(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】報告書作成支援システム、サーバ装置、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20231212BHJP
G06Q 50/26 20120101ALI20231212BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20231212BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20231212BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q50/26
G01C21/26 A
G08G1/00 J
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2019140955
(22)【出願日】2019-07-31
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】三岡 慈生
(72)【発明者】
【氏名】竹内 優太
(72)【発明者】
【氏名】中野 弘晃
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-112127(JP,A)
【文献】特開2013-139671(JP,A)
【文献】特開2017-181393(JP,A)
【文献】特開2019-079166(JP,A)
【文献】特開2013-140448(JP,A)
【文献】特開2019-070996(JP,A)
【文献】特開平11-025389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G01C 21/26
G08G 1/00
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の異常である道路異常を検出した道路異常位置の位置情報を、車両から受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した
複数の前記位置情報に基づいて、
複数の前記道路異常位置を地図上に表示する表示手段と、
前記表示手段によって地図上に表示した
複数の前記道路異常位置
の中から、
前記道路異常位置を示す報告書の作成を行う前記道路異常位置
の選択を受け付ける第1受付手段と、
前記第1受付手段により
選択を受付けた前記道路異常位置の前記報告書に入力する入力情報であって、前記道路異常の対処に係わる前記入力情報を受け付ける第2受付手段と、
前記第2受付手段により受け付けた前記入力情報と前記道路異常位置の前記位置情報とが
記された前記報告書を作成する報告書作成手段と、
を備
え、
前記車両は、
道路を撮像する撮像手段を有し、
前記受信手段は、
前記位置情報に加え、前記道路異常を検出した道路を前記撮像手段で撮像した車両画像データを受信し、
前記表示手段は、
前記受信手段により受信した前記車両画像データを、前記道路異常位置と関連付けて地図上に表示し、且つ、複数の前記道路異常位置と、複数の前記道路異常位置のそれぞれに関連付けた前記車両画像データを同時に表示する、報告書作成支援システム。
【請求項2】
前記受信手段は、
通信端末と通信可能であり、
前記表示手段は、
複数の前記道路異常位置と、複数の前記道路異常位置のそれぞれに関連付けた前記車両画像データを同時に前記通信端末に表示し、且つ、前記通信端末の現在位置を前記通信端末の地図上に表示する、請求項1に記載の報告書作成支援システム。
【請求項3】
前記第2受付手段は、
前記入力情報に加え、前記道路異常の対処に係わる対処画像データを受け付け、
前記報告書作成手段は、
前記第2受付手段により受け付けた前記入力情報及び前記対処画像データと、前記位置情報が
記された前記報告書を作成する、
請求項1又は請求項2に記載の報告書作成支援システム。
【請求項4】
道路の異常である道路異常を検出した道路異常位置の位置情報を、車両から受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した
複数の前記位置情報に基づいて、
複数の前記道路異常位置を地図上に表示する表示手段と、
前記表示手段によって地図上に表示した
複数の前記道路異常位置
の中から、
前記道路異常位置を示す報告書の作成を行う前記道路異常位置
の選択を受け付ける第1受付手段と、
前記第1受付手段により
選択を受け付けた前記道路異常位置の前記報告書に入力する入力情報であって、前記道路異常の対処に係わる前記入力情報を受け付ける第2受付手段と、
前記第2受付手段により受け付けた前記入力情報と前記道路異常位置の前記位置情報とが
記された前記報告書を作成する報告書作成手段と、
を備
え、
前記車両は、
道路を撮像する撮像手段を有し、
前記受信手段は、
前記位置情報に加え、前記道路異常を検出した道路を前記撮像手段で撮像した車両画像データを受信し、
前記表示手段は、
前記受信手段により受信した前記車両画像データを、前記道路異常位置と関連付けて地図上に表示し、且つ、複数の前記道路異常位置と、複数の前記道路異常位置のそれぞれに関連付けた前記車両画像データを同時に表示する、サーバ装置。
【請求項5】
報告書を作成するコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
道路の異常である道路異常を検出した道路異常位置の位置情報を、車両から受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した
複数の前記位置情報に基づいて、
複数の前記道路異常位置を地図上に表示する表示手段と、
前記表示手段によって地図上に表示した
複数の前記道路異常位置
の中から、
前記道路異常位置を示す前記報告書の作成を行う前記道路異常位置
の選択を受け付ける第1受付手段と、
前記第1受付手段により
選択を受け付けた前記道路異常位置の前記報告書に入力する入力情報であって、前記道路異常の対処に係わる前記入力情報を受け付ける第2受付手段と、
前記第2受付手段により受け付けた前記入力情報と前記道路異常位置の前記位置情報とが
記された前記報告書を作成する報告書作成手段と、
して機能さ
せ、
前記車両は、
道路を撮像する撮像手段を有し、
前記受信手段は、
前記位置情報に加え、前記道路異常を検出した道路を前記撮像手段で撮像した車両画像データを受信し、
前記表示手段は、
前記受信手段により受信した前記車両画像データを、前記道路異常位置と関連付けて地図上に表示させ、且つ、複数の前記道路異常位置と、複数の前記道路異常位置のそれぞれに関連付けた前記車両画像データを同時に表示する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の異常に対処する報告書の作成を支援する報告書作成支援システム、サーバ装置、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、キロポストに基づいて道路を複数の単位区間に区分して点検し、単位区間ごとに点検報告書を作成することが行われている。例えば、特開2018-147314号公報に開示される点検報告書作成支援装置は、点検対象の単位区間の道路を点検車が走行し、点検車に搭載したデジタルビデオカメラによって道路を撮像する。点検報告書作成支援装置は、デジタルビデオカメラで道路を連続的に撮像した各道路画像データと、各道路画像データの撮像位置(キロポスト値)とを対応付けて記憶する。
【0003】
点検報告書作成支援装置は、ユーザから任意の単位区間の指定を受け付けると、記憶したデータの中から指定された単位区間のデータを読み出し、道路画像データを画面に表示する。ユーザは、画面に表示された道路画像データを目視で確認し、ポットホール等の異常があるか判断する。ユーザは、道路の異常を発見すると、画面に表示された変状判定アイコンをクリックする。点検報告書作成支援装置は、変状判定アイコンをクリックされるとユーザによって変状が確認されたと判定し、変状が確認された道路についてキロポスト値と、道路画像データを対応付けて記憶する。点検報告書作成支援装置は、記憶したキロポスト値と、道路画像データとに基づいて点検報告書を作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-147314号公報(段落0025、0055、0074、0078)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に開示された技術では、ポットホール等の道路の異常が発生しているか否かに係わらず、対象となっている単位区間の道路を、点検車によって連続的に撮像している。ユーザは、道路を連続的に撮像した複数の道路画像データを1つ1つ目視で確認しながら異常箇所が発生していないか確認する必要がある。このため、ユーザによる作業負担が増大することが問題となる。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、道路の異常に対処した報告書の作成に係わる作業負担を軽減できる報告書作成支援システム、サーバ装置、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る報告書作成支援システムは、道路の異常である道路異常を検出した道路異常位置の位置情報を、車両から受信する受信手段と、前記受信手段により受信した複数の前記位置情報に基づいて、複数の前記道路異常位置を地図上に表示する表示手段と、前記表示手段によって地図上に表示した複数の前記道路異常位置の中から、前記道路異常位置を示す報告書の作成を行う前記道路異常位置の選択を受け付ける第1受付手段と、前記第1受付手段により選択を受付けた前記道路異常位置の前記報告書に入力する入力情報であって、前記道路異常の対処に係わる前記入力情報を受け付ける第2受付手段と、前記第2受付手段により受け付けた前記入力情報と前記道路異常位置の前記位置情報とが記された前記報告書を作成する報告書作成手段と、を備え、前記車両は、道路を撮像する撮像手段を有し、前記受信手段は、前記位置情報に加え、前記道路異常を検出した道路を前記撮像手段で撮像した車両画像データを受信し、前記表示手段は、前記受信手段により受信した前記車両画像データを、前記道路異常位置と関連付けて地図上に表示し、且つ、複数の前記道路異常位置と、複数の前記道路異常位置のそれぞれに関連付けた前記車両画像データを同時に表示する。
【0008】
また、本発明に係るサーバ装置は、道路の異常である道路異常を検出した道路異常位置の位置情報を、車両から受信する受信手段と、前記受信手段により受信した複数の前記位置情報に基づいて、複数の前記道路異常位置を地図上に表示する表示手段と、前記表示手段によって地図上に表示した複数の前記道路異常位置の中から、前記道路異常位置を示す報告書の作成を行う前記道路異常位置の選択を受け付ける第1受付手段と、前記第1受付手段により選択を受け付けた前記道路異常位置の前記報告書に入力する入力情報であって、前記道路異常の対処に係わる前記入力情報を受け付ける第2受付手段と、前記第2受付手段により受け付けた前記入力情報と前記道路異常位置の前記位置情報とが記された前記報告書を作成する報告書作成手段と、を備え、前記車両は、道路を撮像する撮像手段を有し、前記受信手段は、前記位置情報に加え、前記道路異常を検出した道路を前記撮像手段で撮像した車両画像データを受信し、前記表示手段は、前記受信手段により受信した前記車両画像データを、前記道路異常位置と関連付けて地図上に表示し、且つ、複数の前記道路異常位置と、複数の前記道路異常位置のそれぞれに関連付けた前記車両画像データを同時に表示する。
【0009】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、報告書を作成するコンピュータプログラムであって、コンピュータを、道路の異常である道路異常を検出した道路異常位置の位置情報を、車両から受信する受信手段と、前記受信手段により受信した複数の前記位置情報に基づいて、複数の前記道路異常位置を地図上に表示する表示手段と、前記表示手段によって地図上に表示した複数の前記道路異常位置の中から、前記道路異常位置を示す前記報告書の作成を行う前記道路異常位置の選択を受け付ける第1受付手段と、前記第1受付手段により選択を受け付けた前記道路異常位置の前記報告書に入力する入力情報であって、前記道路異常の対処に係わる前記入力情報を受け付ける第2受付手段と、前記第2受付手段により受け付けた前記入力情報と前記道路異常位置の前記位置情報とが記された前記報告書を作成する報告書作成手段と、して機能させ、前記車両は、道路を撮像する撮像手段を有し、前記受信手段は、前記位置情報に加え、前記道路異常を検出した道路を前記撮像手段で撮像した車両画像データを受信し、前記表示手段は、前記受信手段により受信した前記車両画像データを、前記道路異常位置と関連付けて地図上に表示させ、且つ、複数の前記道路異常位置と、複数の前記道路異常位置のそれぞれに関連付けた前記車両画像データを同時に表示する。
尚、「道路異常」とは、路面の凹凸やひび割れなど、道路自体に補修や工事が必要な箇所が生じた状態だけでなく、障害物が道路上に存在する場合など、道路の使用に異常を招く様々な現象を含む概念である。
【発明の効果】
【0010】
前記構成を有する本発明に係る報告書作成支援システム、サーバ装置及びコンピュータプログラムによれば、道路異常を検出した道路異常位置の位置情報を車両から受信し、複数の道路異常位置を地図上に表示する。道路の補修などを行う作業員は、地図上に表示された複数の道路異常位置の中から点検や補修を行う道路異常位置を確認して選択し、点検した結果や補修した結果を入力情報として入力する。報告書作成支援システム等は、受け付けた入力情報と位置情報とを入力した報告書を作成する。これにより、道路を走行する車両によって道路異常を検出するため、異常が発生した位置情報だけを収集できる。このため、作業員等のユーザは、収集されたデータから異常のあるデータを探すなどのデータの精査を行う必要がなくなる。また、作業員によって点検等した入力情報を報告書に入力し、道路異常位置の現状や補修後の状況を報告書として自動で作成することができる。従って、報告書の作成に係わる作業負担を軽減することができる。
また、撮像した車両画像データを地図上に表示することで、作業員は、道路異常位置と、その道路異常位置の現状とを視覚的に容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る報告書作成支援システムを示した概略構成図である。
【
図2】第1実施形態に係る報告書作成支援システムの構成を示したブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係るナビゲーション装置の制御系を模式的に示すブロック図である。
【
図4】第1、第2、第3の各実施形態における検出対象の道路異常と、センサの種類の対応関係を示した図である。
【
図5】プローブ情報DBに記憶されるプローブ情報の一例を示した図である。
【
図6】第1実施形態に係る通信端末の制御系を模式的に示すブロック図である。
【
図7】仮登録処理プログラム、及び本登録処理プログラムのフローチャートである。
【
図8】仮登録地点を通過する通過経路を案内する表示を示す図である。
【
図9】報告書作成処理プログラムのフローチャートである。
【
図10】通信端末のディスプレイに表示した表示画面を示す図である。
【
図11】通信端末のディスプレイに表示した設定画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る報告書作成支援システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る報告書作成支援システム1の概略構成について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る報告書作成支援システム1を示した概略構成図である。
図2は本実施形態に係る報告書作成支援システム1の構成を示したブロック図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る報告書作成支援システム1は、プローブセンタ2が備えるサーバ装置3と、第1車両4に搭載された通信(案内)端末であるナビゲーション装置6と、第2車両5に搭載された通信(案内)端末であるナビゲーション装置6Aと、第1車両4に搭載された第1センサ7と、第2車両5に搭載された第2センサ8と、作業員9が所持する通信端末10と、を基本的に有する。また、サーバ装置3、各ナビゲーション装置6,6A、及び通信端末10は通信ネットワーク網11を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、ナビゲーション装置6,6Aの代わりに、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータを用いても良い。
【0014】
ここで、本実施形態に係る報告書作成支援システム1は、所謂プローブカーシステムを構成する。ここで、プローブカーシステムとは、第1及び第2車両4,5をセンサとして情報を収集するシステムである。具体的には、第1及び第2車両4,5が第1及び第2センサ7,8等を用いて、道路状態の情報をはじめ、速度データ、ステアリング操作やシフト位置等の各システムの作動状況をGPSの位置情報とともに予め第1及び第2車両4,5に搭載された通信装置を介してプローブセンタ2に送信し、センタ側でその収集データを様々な情報として再利用するシステムをいう。
【0015】
プローブセンタ2が備えるサーバ装置3は、全国を走行する第1及び第2車両4,5から道路状態の情報等を含むプローブ情報(材料情報)を適宜収集して蓄積するとともに、蓄積されたプローブ情報から道路に関する各種支援情報(例えば路面の凹凸情報、路面に落下した障害物の情報、路面のμ(摩擦係数)の情報等)を登録する情報管理サーバである。特に、本実施形態では、サーバ装置3は、例えば、第1車両4の第1センサ7や第2車両5の第2センサ8により検出した道路の異常(以下、道路異常という場合がある)を示す情報を登録し、登録した情報に対して外部端末からアクセスされた場合、対応する情報を応答する。ここでいう外部端末とは、ナビゲーション装置6,6Aの他に、例えば、
図1に示す通信端末10である。あるいは、外部端子とは、国土交通省、地方整備局、NEXCO(登録商標)などの一般道や高速道路を管理する省庁、団体、民間企業等である。例えば、道路異常の情報を提供することで、道路を管理する省庁等で道路補修の参考情報として活用することができる。また、サーバ装置3は、例えば、登録した支援情報をナビゲーション装置6,6A等へ能動的に配信し、走行支援の情報提供を実行しても良い。尚、情報を収集する対象となる第1及び第2車両4,5と、収集した情報に基づいて生成された道路状態の情報等を配信する対象となる車両は、同一の車両である必要は無く、異なる車両であっても良い。
【0016】
そして、作業員9は、通信端末10を操作してサーバ装置3へアクセスすることで、路面の凹凸などの道路異常が発生した位置を確認する。作業員9は、道路異常が発生した位置(以下、道路異常位置という場合がある)へ点検車等で移動し、補修や点検などの道路異常に対する対処を実施する。作業員9は、対処を実施した後、対処に係わる情報を通信端末10により入力する。サーバ装置3は、通信端末10から受け付けた入力情報と、道路異常の位置情報とが入力された報告書を自動で作成する。
【0017】
また、ナビゲーション装置6,6Aは、第1及び第2車両4,5に搭載され、格納する地図データに基づいて自車位置周辺の地図を表示したり、地図画像上において車両の現在位置を表示したり、設定された案内経路に沿った移動案内を行う車載機である。また、ナビゲーション装置6,6Aは、第1車両4に搭載された第1センサ7や第2車両5に搭載された第2センサ8で検出した情報を、サーバ装置3へ送信することも行う。尚、ナビゲーション装置6,6Aの詳細については後述する。
【0018】
また、通信端末10は、上記したように、道路の補修等を行なう作業員9が所持する端末である。作業員9は、道路異常位置等で通信端末10を操作することで、サーバ装置3と通信し、報告書の作成に必要な入力情報の入力等を行なう。
【0019】
また、通信ネットワーク網11は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局はナビゲーション装置6,6Aや通信端末10との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網11の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にあるナビゲーション装置6,6Aや通信端末10の通信をサーバ装置3との間で中継する役割を持つ。
【0020】
続いて、報告書作成支援システム1を構成するサーバ装置3の構成について
図2を用いてより詳細に説明する。
【0021】
サーバ装置3は、
図2に示すようにサーバ制御ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)21と、サーバ制御ECU21に接続されたプローブ情報DB(データベース)22と、サーバ側地図情報DB23と、報告書DB24と、センタ通信装置25とから基本的に構成されている。
【0022】
サーバ制御ECU21は、サーバ装置3の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU31、並びにCPU31が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほか、後述の各種プログラム等が記録されたROM33、ROM33から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ34等の内部記憶装置を備えている。ROM33に記憶された各種プログラムには、報告書作成支援処理プログラム(
図7に示す仮登録処理プログラム、本登録処理プログラム、
図9に示す報告書作成処理プログラム)が含まれる。尚、サーバ制御ECU21は、後述の処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、受信手段は、道路の異常である道路異常を検出した道路異常位置の位置情報を、車両(第1車両4、第2車両5)から受信する。表示手段は、受信手段により受信した位置情報に基づいて、道路異常位置を地図上に表示する。第1受付手段は、表示手段によって地図上に表示した道路異常位置により、報告書の作成を行う道路異常位置を受け付ける。第2受付手段は、第1受付手段により受付けた道路異常位置の報告書に入力する入力情報であって、道路異常の対処に係わる入力情報を受け付ける。報告書作成手段は、第2受付手段により受け付けた入力情報と道路異常位置の位置情報とが入力された報告書を作成する。誘導手段は、第1車両4により道路異常を検出したことに基づいて、撮像手段を備える第2車両5が、第1車両4により道路異常を検出した道路異常位置を通過するように誘導する。経路作成手段は、第1車両4により道路異常を検出した道路異常位置を第2車両5が通過する通過経路を作成する。送信手段は、経路作成手段により作成した通過経路を第2車両5へ送信する。
【0023】
また、プローブ情報DB22は、全国を走行する第1及び第2車両4,5から収集したプローブ情報を累積的に記憶する記憶手段である。尚、本実施形態においては、第1及び第2車両4,5から収集されるプローブ情報として、例えば、(a)走行するリンクID、(b)道路異常を検出した道路異常位置の位置座標、(c)リンクへの進入時刻、(d)センサの検出情報、(e)送信元の車両を識別する車両IDが含まれる(
図5参照)。プローブ情報DB22の詳細については、後述する。
【0024】
また、サーバ側地図情報DB23は、例えば、外部からの入力データやサーバ装置3の入力操作に基づいて登録された地図情報であり、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、施設に関する施設データ、経路の探索に係る処理に用いられる探索データ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0025】
また、報告書DB24は、道路異常位置の位置情報や、通信端末10で入力された入力情報に基づいてサーバ装置3により作成した報告書が記憶された記憶手段である。本実施形態のサーバ装置3は、報告書の自動作成を実行し、作成した報告書を報告書DB24に蓄積する。報告書の作成処理の詳細については後述する。
【0026】
また、センタ通信装置25は、第1及び第2車両4,5やVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の外部の交通情報センタと通信ネットワーク網11を介して通信を行う為の通信装置である。本実施形態では、サーバ装置3は、センタ通信装置25を介してプローブ情報等を第1及び第2車両4,5との間で送受信する。また、サーバ装置3は、センタ通信装置25を介して報告書の入力情報等を通信端末10との間で送受信する。
【0027】
次に、第1車両4に搭載されたナビゲーション装置6の概略構成について
図3を用いて説明する。
図3は本実施形態に係るナビゲーション装置6を示したブロック図である。本実施形態では、第1車両4に搭載されたナビゲーション装置6と、第2車両5に搭載されたナビゲーション装置6Aとは、同様の構成となっている。第1車両4のナビゲーション装置6は、第1センサ7に接続される一方、第2車両5のナビゲーション装置6Aは、第2センサ8に接続される点で異なる。このため、
図3では、第1車両4の第1センサ7を実線で示し、第2車両5の第2センサ8を破線で示している。また、後述するように、本実施形態では、報告書の作成処理において、第2センサ8で撮像した画像データを用いる。このため、第2車両5は、第2センサ8として、少なくとも車載カメラを備えている。以下の説明では、第1車両4のナビゲーション装置6について主に説明し、第2車両5のナビゲーション装置6Aについては、その説明を省略する。尚、第1車両4のナビゲーション装置6と第2車両5のナビゲーション装置6Aとは異なる構成でも良い。また、第1センサ7及び第2センサ8は、1つのセンサで構成しても良く、複数のセンサで構成しても良い。
【0028】
図3に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置6は、ナビゲーション装置6が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部41と、各種のデータが記録されたデータ記録部43と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU44と、ユーザからの操作を受け付ける操作部45と、ユーザに対して車両周辺の地図や道路状態の情報等を表示する液晶ディスプレイ46と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ47と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ48と、プローブセンタ2やVICSセンタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール49と、から基本的に構成されている。また、ナビゲーション装置6はCAN等の車載ネットワークを介して、第1車両4に対して設置された第1センサ7(第2車両5であれば第2センサ8)が接続されている。
【0029】
以下に、ナビゲーション装置6を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部41は、GPS51等からなり、現在の車両の位置、方位等を検出することが可能となっている。尚、現在位置検出部41は、GPS51以外のセンサ、例えば、車速センサやステアリングセンサ等を備えても良く、第1センサ7の検出信号を取得して利用しても良い。現在位置検出部41は、複数のセンサを用いて現在の車両の位置等を検出する精度を高めても良い。
【0030】
また、データ記録部43は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB52、走行履歴DB53、配信情報DB54、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部43をハードディスクの代わりにフラッシュメモリやメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。また、地図情報DB52、走行履歴DB53、配信情報DB54を外部のサーバに格納させ、ナビゲーション装置6が通信により外部のサーバから必要な情報を取得する構成としても良い。
【0031】
ここで、地図情報DB52は、地図情報が、エリア毎(例えば20km四方のメッシュ毎)に区分されて記憶される記憶手段である。また、地図情報DB52は、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、各地点の座標位置の位置データ、道路(リンク)に関するリンクデータ、リンクの両端のノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ等を含む。
【0032】
また、走行履歴DB53は、第1車両4の走行情報や第1センサ7で検出した情報を累積して記憶する記憶手段である。尚、走行履歴DB53に記憶された走行情報や第1センサ7の検出情報は、プローブ情報としてサーバ装置3へ適宜送信される。また、配信情報DB54は、サーバ装置3から配信されるプローブ情報(他の車両で検出した路面の凹凸情報など)が記憶される記憶手段である。
【0033】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)44は、ナビゲーション装置6の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU61、並びにCPU61が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM62、制御用のプログラムの他、後述する仮登録処理プログラム(
図7参照)(ナビゲーション装置6Aであれば本登録処理プログラム)等が記録されたROM63、ROM63から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ64等の内部記憶装置を備えている。尚、以下の説明では、第2車両5のナビゲーション装置6AのCPUを、第1車両4のナビゲーション装置6のCPU61と区別して説明する場合、CPU61Aと称して説明する。
【0034】
操作部45は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU44は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部45は液晶ディスプレイ46の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、マイクと音声認識装置によって構成することもできる。
【0035】
また、液晶ディスプレイ46には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、案内経路(走行予定経路)に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。また、本実施形態では、特に、液晶ディスプレイ46は、道路異常位置を通過する通過経路を表示する。尚、液晶ディスプレイ46の代わりに、HUDやHMDを用いても良い。
【0036】
また、スピーカ47は、ナビゲーションECU44からの指示に基づいて案内経路(走行予定経路)に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。また、本実施形態では、特に仮登録の道路異常位置(以下、仮登録地点という場合がある)地点まで案内する場合には、仮登録地点等について案内する。例えば「まもなく路面の凹凸地点です」との音声案内を出力する。
【0037】
また、DVDドライブ48は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB52の更新等が行われる。尚、DVDドライブ48に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。
【0038】
また、通信モジュール49は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやその他の外部センタ等から送信された交通情報、天候情報等を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。また、車車間で通信を行う車車間通信装置や路側機との間で通信を行う路車間通信装置も含む。また、プローブ情報や配信情報をサーバ装置3との間で送受信するのにも用いられる。
【0039】
ここで、上記したように、本実施形態のプローブセンタ2は、複数の第1及び第2車両4,5の第1及び第2センサ7,8から検出情報を集約して、情報提供等に活用する。しかし、車両に取り付けられるセンサの精度は、車両ごとに異なっている。そこで、報告書作成支援システム1は、センサの精度に応じて、道路異常を示す情報の仮登録と、仮登録後の登録の確定(以下、本登録という場合がある)を実行する。本実施形態では、第2車両5の第2センサ8の精度は、第1車両4の第1センサ7の精度に比べて高くなっている。そして、報告書作成支援システム1は、低精度の第1センサ7による検出情報に基づいて仮登録を実行し、高精度の第2センサ8による検出情報に基づいて本登録を実行する。尚、本願における「センサの精度」とは、例えば、同一種類のセンサの性能の高さを示す値に限らず、種類の異なるセンサであっても、ある事象(路面の凹凸などの道路異常)を検出する手段として用いた場合において、その事象を検出できる精度の高さをいう。従って、高精度の第2センサ8は、低精度の第1センサ7に比べて、例えば、路面の凹凸を検出する手段として用いた場合(検出信号を利用した場合)に、より高い精度で路面の凹凸を検出できるセンサである。
【0040】
図4は、検出対象の道路異常と、センサの関係を示している。以下の説明では、道路異常の種類に応じて適宜詳細な説明を行なうため、説明の便宜上、道路異常の種類ごとに、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態と称して説明する。
図4に示すように、第1実施形態は、道路異常として、路面の凹凸の情報の仮登録及び本登録を行う場合である。また、第2実施形態は、道路異常として、道路の障害物の情報を仮登録等する場合である。また、第3実施形態は、道路異常として、路面のμ(摩擦係数)の低下情報を仮登録等する場合である。尚、本願の道路異常の種類としては、上記した種類に限らず、アスファルトの剥がれ、道路のひび割れなど、道路の使用に影響を与える様々な事象を採用できる。
【0041】
図4に示すように、第1実施形態の路面の凹凸を検出する第1センサ7としては、例えば、車速センサを採用することができる。
図3に示すように、第1車両4のナビゲーション装置6は、第1センサ7と接続され、第1センサ7から検出信号を入力する。車速センサ(第1センサ7)は、例えば、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU44に出力する。ナビゲーションECU44は、入力したパルス信号のパルスを計数することにより駆動輪の車輪速度(回転速度)や移動距離を算出することができる。ナビゲーションECU44は、例えば、車輪速度の変動等に基づいて、路面の凹凸を推定する。例えば、ナビゲーションECU44は、車速センサの出力から特定周波数の大きさを振動度合として計算し、計算結果のパラメータに基づいてファジー推論により路面の凹凸の推定を行う。また、路面の凹凸を検出する第2センサ8としては、例えば、第2車両5の車輪に作用する上下方向への加速度を検出する上下加速度センサを採用することができる。第2車両5のナビゲーション装置6AのナビゲーションECU44は、例えば、上下加速度センサ(第2センサ8)で検出した上下加速度の変動に基づいて、路面の凹凸を推定する。
【0042】
また、
図4に示すように、第2実施形態の道路の障害物を検出する第1センサ7としては、例えば、車両の急操舵や急減速を検出するセンサを採用することができる。具体的には、急操舵を検出する第1センサ7としては、ステアリングの中立位置からの回転角度を検出し、検出した回転角度(ステアリング角度)を示す信号を出力するステアリングセンサを採用することができる。また、急減速を検出する第1センサ7としては、車速センサを採用することができる。ナビゲーションECU44は、ステアリングセンサや車速センサ(第1センサ7)から入力した信号に基づいて急操舵や急減速を検出する。例えば、ナビゲーションECU44は、単位時間当たりのステアリング角度の変化率が基準変化率以上である場合に、ステアリングを急速に回転させた急操舵であると判定する。また、ナビゲーションECU44は、単位時間当たりの車速の低下率が基準変化率以上である場合に、ブレーキを急激に踏み込む急減速であると判定する。ドライバが、急操舵や急減速を行う場合、走行する道路(路面上)に障害物がある可能性が高い。そこで、第2車両5のナビゲーション装置6A(ナビゲーションECU44)は、急操舵や急減速を検出した地点を、道路に障害物がある道路異常位置として推定する。
【0043】
また、道路の障害物を検出する第2センサ8としては、例えば、車載カメラを採用することができる。車載カメラは、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラにより構成され、第2車両5のバンパ、バックミラーの裏側、ドアミラー等に取り付けられるとともに第2車両5の周囲環境が撮像可能となるように光軸方向が設定される。車載カメラの数は単数であっても良いし、複数であっても良い。例えば、車載カメラは、第2車両5の走行時において車両の進行方向前方の周辺環境を撮像する。尚、車載カメラは、第2車両5の進行方向前方ではなく、側方や後方を撮像範囲としても良い。第2車両5のナビゲーション装置6A(CPU61A)は、例えば、車載カメラ(第2センサ8)で撮像した車両前方の画像データを画像処理し、所定の大きさ以上の物体が路面などの上にあるか否かを判定する。ナビゲーション装置6Aは、所定の大きさ以上の物体を検出すると、その地点を道路に障害物がある道路異常位置として推定する。
【0044】
また、
図4に示すように、第3実施形態の路面μの低下を検出する第1センサ7としては、例えば、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)の作動を検出するセンサを採用することができる。路面のμ(摩擦係数)は、雨、雪、凍結などによって低下する。あるいは、路面のμは、事故によって路面にオイル等が撒かれた場合も低下する。そして、路面のμが低下すると、低摩擦路でのブレーキ操作において、車輪のロックによる滑走発生を低減すため、ABSが作動する可能性が高い。換言すれば、ABSが作動した地点は、路面μが低下した道路異常位置である可能性が高い。そこで、第1車両4のナビゲーション装置6は、第1センサ7によってABSの作動を検出した地点を、路面μが低下した道路異常位置として推定する。
【0045】
また、路面μの低下を検出する第2センサ8としては、例えば、車載カメラを採用することができる。第2車両5のナビゲーション装置6Aは、例えば、第2車両5のフロントガラズに取り付けられた車載カメラ(第2センサ8)で撮像した路面の画像データを画像処理し、水たまり、雪、凍結、オイル等のμを低下させる物体の存在を判定する。ナビゲーション装置6Aは、μを低下させる物体を検出すると、その地点を路面μが低下した道路異常位置として推定する。上記した各実施形態では、第2センサ8によって道路異常を推定した結果の精度は、第1センサ7によって推定した精度に比べて高くなっている。
【0046】
尚、
図4に示す検出対象の道路異常や第1及び第2センサ7,8の種類は、一例である。例えば、上記した路面の凹凸の推定方法は、一例であり、他の公知の技術を採用することができる。例えば、車輪のサスペンション装置の伸縮量(サスペンションアームの変位量)を検出するサスペンションセンサと、車高の変位量を検出する車高センサとを第1センサ7として用いて、サスペンションアームの変位量と車高の変位量の差分から、路面の凹凸を推定しても良い。
【0047】
以下の説明では、説明を分かり易くするため、報告書作成支援システム1が、第1実施形態である路面の凹凸を道路異常として仮登録及び本登録する場合について主に説明し、第2及び第3実施形態の説明を適宜省略する。尚、報告書作成支援システム1は、第1実施形態と同様に、第2実施形態及び第3実施形態についても仮登録等を実行できる。また、報告書作成支援システム1は、複数の種類の道路異常をまとめて処理することも可能である。即ち、第1車両4から、路面の凹凸の検出情報だけでなく、道路の障害物や路面μの低下の検出情報を同時又は並列的に収集しても良い。
【0048】
第1車両4のナビゲーション装置6は、第1センサ7で検出した路面の凹凸の情報を、サーバ装置3のプローブ情報DB22へ仮登録する。そして、第2車両5のナビゲーション装置6Aが、後述するようにサーバ装置3による誘導に基づいて、仮登録の道路異常位置へ移動し、第2センサ8で検出した路面の凹凸の情報に基づいて、サーバ装置3のプローブ情報DB22へ本登録を行なう。
図5はプローブ情報DB22に記憶されるプローブ情報の一例を示した図である。
図5に示すように、プローブ情報は、上記(a)~(e)に関する情報等が含まれる。例えば、
図5に示すプローブ情報の1行目は、ID“A1”の第1車両4が、ID“100001”のリンクに2019年2月7日の9:01に進入した場合において、当該リンクを走行する第1車両4が位置座標(x1,y1)で第1センサ7により検出した検出情報が記憶されている。ここでいう第1センサ7の検出情報とは、例えば、路面の凹凸があると推定した結果を示すデータである。尚、センサ情報は、凹凸があると推定した結果を示すデータに限らず、例えば、車速センサ(第1センサ7)で検出した車輪速の値、車輪速の変動分布、ファジー推論の結果、凹凸度合いなどを示すデータでも良い。また、センサ情報は、凹凸がないと推定した結果を示すデータや、凹凸がないと推定する至った検出値のデータを含んでも良い。
【0049】
図5に示すプローブ情報の1行目は、第1センサ7の検出情報だけが仮登録され、第2センサの検出情報が本登録されていない。一方で、2行目は、ID“B211”の第2車両5が、ID“100012”のリンクに2019年1月3日の13:30に進入した場合において、当該リンクを走行する第2車両5が位置座標(x20,y2)で第2センサ8により検出した検出情報が記憶されている。そして、第1センサ7の検出情報が、2019年1月3日の11:30に仮登録された後に、第2センサ8の検出情報が本登録されている。
【0050】
また、
図5に示すように、本登録された2行目のデータには、上記(a)~(e)に関する情報の他に、車両画像データが関連付けて記憶されている。この車両画像データは、車載カメラを第2センサ8として備える第2車両5が、道路異常位置(路面の凹凸など)を撮像した画像データである。第2車両5のナビゲーション装置6Aは、後述するように、本登録を行なう際に、道路異常位置を撮像した車両画像データを登録する(
図7のS32)。サーバ装置3は、仮登録及び本登録の情報に関連付けて車両画像データをプローブ情報DB22に記憶する。記憶された車両画像データは、後述する道路異常位置の表示処理(
図9のS62,S63)で使用される。
【0051】
ここで、一般的に、高い精度で道路異常を推定(検出)可能な高精度の第2センサ8の価格は、低精度の第1センサ7の価格に比べて高くなる。従って、第2センサ8を搭載する第2車両5の価格は、第1センサ7を搭載する第1車両4の価格に比べて高くなる可能性が高い。仮に、第2車両5を、所謂高級車や、道路を補修する補修車両や、パトロール車とした場合、道路を走行する第2車両5の総数は、価格の安い第1車両4の総数に比べて少なくなる。そこで、本実施形態の報告書作成支援システム1では、低精度の第1センサ7による検出情報を仮登録しておき、仮登録した道路異常位置へ第2車両5を誘導し、高精度の第2センサ8によっても道路異常を検出した場合に本登録を行う。これにより、プローブ情報DB22に登録したデータの信頼性を高めることができる。
【0052】
また、サーバ装置3は、プローブ情報DB22に本登録した道路異常位置の情報を、サーバ装置3へアクセスしてきた通信端末10の画面に表示する。作業員9は、例えば、表示された道路異常位置から自身が担当する道路異常位置を確認し、点検車等で移動する。作業員9は、道路の補修や点検などの対処を行なうと、通信端末10の表示画面の中から対処を行なった道路異常位置を選択し、報告書の作成に必要な情報を入力する。これにより、サーバ装置3は、報告書の自動作成を実行することができる。サーバ装置3は、作成した報告書を報告書DB24に記憶する。尚、プローブ情報DB22に本登録した道路異常の情報の活用方法は、上記した通信端末10へ表示する方法に限らない。例えば、サーバ装置3は、プローブ情報DB22に本登録した道路異常の情報を、道路を管理する省庁等へ道路補修の参考情報として提供しても良い。これにより、道路を管理する省庁等は、道路異常位置へ道路を修理する車両やパトロールカーを配車し、道路の補修や走行車両の誘導など、適切な対応を迅速に行うことができる。
【0053】
次に、作業員9が所持する通信端末10の概略構成について
図6を用いて説明する。尚、以下の説明では、特に通信端末10がスマートフォンである場合を例に挙げて説明する。
図6に示すように、通信端末10は、データバスBUSに、CPU71と、メモリ72と、通信ネットワーク網11の基地局との間で信号の送受信を行う送受信回路部(RF)73と、送受信回路部73において受信したRF(Radio Frequency)信号をベースバンド信号に変換するとともにベースバンド信号をRF信号に変換するベースバンド処理部74と、マイクロホン75及びスピーカ76等とのインターフェイスである入出力部77と、液晶表示パネル等で構成されたディスプレイ78と、カメラ79と、タッチパネルやハードボタン等から構成される入力操作部80と、GPS81とが接続されることにより構成されている。
【0054】
ここで、通信端末10に内蔵されるCPU71は、メモリ72に格納されているプログラムに従って種々の動作を実行する通信端末10の制御手段であり、メモリ72とともに通信端末ECU82を構成する。また、通信端末ECU82の各種処理内容は必要に応じてディスプレイ78に表示される。
【0055】
また、メモリ72は、端末情報等を記憶する記憶媒体である。端末情報は、通信端末10のIDや、通信端末10を所持する作業員9の情報(ユーザID、氏名等)である。また、メモリ72には、制御用のプログラムのほか、後述の報告書作成処理プログラム(
図9参照)を含む各種アプリケーションプログラムについても記憶される。尚、メモリ72は、ハードディスク、メモリーカード等により構成しても良い。
【0056】
また、ディスプレイ78は、例えば、筐体の一面に配設されており、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。そして、通信端末10にインストールされている各種アプリケーションを実行する為のトップ画面や、実行されたアプリケーションに係る画面(インターネット画面、メール画面等)や、画像、動画等の各種情報が表示される。また、報告書作成支援処理プログラム(
図9の報告書作成処理プログラム)が起動された状態では、報告書の作成に必要な入力情報を入力する備考欄、データの送信を決定する送信ボタン等(
図11参照)についても表示される。
【0057】
また、カメラ79は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラにより構成される小型の撮像装置であり、通信端末10の背面側に内蔵される。そして、専用のアプリケーションプログラムが起動された状態で、ユーザが入力操作部80を操作することによって周辺を撮像することが可能となる。本実施形態では、特に、作業員9が、対処を行なった道路異常位置の状態をカメラ79により撮像し、撮像した画像データ(本願の対処画像データの一例)が報告書の作成に用いられる。尚、カメラ79で撮像された画像データは、メモリ72に格納される。
【0058】
また、入力操作部80は、ディスプレイ78の前面に設けられたタッチパネルや筐体に配置されたハードボタン等によって構成されている。そして、通信端末ECU82は、入力操作部80のタッチパネルやハードボタンの押下等により出力される電気信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。また、本実施形態では、特に、入力操作部80は、報告書の作成処理において、ディスプレイ78に表示した決定ボタンの操作等を作業員9から受け付ける。尚、入力操作部80は、番号/文字入力キー、表示された内容を選択するためのカーソルを動かすカーソルキー、選択を確定する決定キー等の各種キー等により構成することもできる。
【0059】
また、GPS81は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、通信端末10(即ち作業員9)の現在位置及び現在日時を検出可能とする。また、GPS81以外にも通信端末10の現在位置や方位を検出する為の他の装置(例えばジャイロセンサ等)を備える構成としても良い。
【0060】
続いて、前記構成を有する報告書作成支援システム1に含まれる第1車両4のナビゲーション装置6と、サーバ装置3において実行する仮登録処理プログラムについて
図7に基づき説明する。
図7は本実施形態に係る仮登録処理プログラム、及び本登録処理プログラムのフローチャートである。まず、
図7に示す仮登録処理プログラムについて説明し、本登録処理プログラムについては後述する。ここで、仮登録処理プログラムは、例えば、第1車両4のナビゲーション装置6の電源が投入された状態で、且つ第1車両4の走行が開始されると実行される。仮登録処理プログラムは、前回プログラムを終了した時から所定時間(例えば数分)経過後に実行され、道路状態を推定して、道路異常位置の仮登録を実行するプログラムである。尚、以下の
図7にフローチャートで示すプログラムは、例えば、ナビゲーション装置6が備えているRAM62やROM63等に記憶されており、CPU61により実行される。
【0061】
また、仮登録処理プログラムは、例えば、サーバ装置3においてシステムの起動時に所定のアプリケーションプログラムが起動されることで実行され、第1車両4のナビゲーション装置6から道路異常位置の情報を受信すると処理が開始される。仮登録処理プログラムは、第1車両4から受信した情報をプローブ情報DB22へ仮登録し、仮登録した道路異常位置を通過する後続の第2車両5へ、通過経路の情報を送信するプログラムである。尚、以下の
図7にフローチャートで示されるプログラムは、サーバ装置3が備えるRAM32やROM33に記憶される報告書作成支援処理プログラムに含まれており、CPU31により実行される。
【0062】
先ず、
図7に示すステップ(以下、Sと略記する)1において、第1車両4のナビゲーション装置6のCPU61は、第1センサ7で検出した検出情報に基づいて、道路異常を推定する。例えば、第1実施形態であれば、CPU61は、車速センサ(第1センサ7)で検出した車輪速度の変動に基づいて、第1車両4が走行中の道路の路面に凹凸があるか推定する。例えば、穴が開いている路面、凹凸が形成されている路面、マンホールの段差が発生している路面を、第1車両4が走行すると、車輪速度が変動するため、CPU61は、走行中の路面に凹凸があると推定する。
【0063】
次に、S2においてCPU61は、S1において路面の凹凸があると推定、即ち、道路異常があると推定したか否かを判定する。CPU61は、路面の凹凸がないと判定すると(S2:NO)、
図7に示す仮登録処理プログラムを終了する。CPU61は、前回仮登録処理プログラムを終了した時から所定時間だけ経過すると、再度、S1から処理を開始する。これにより、ナビゲーション装置6は、第1車両4の走行中において、第1車両4の走行する路面の凹凸の推定等を繰り返し実行する。尚、仮登録処理プログラムを、例えば、目的地までの経路案内等の特定の処理が実行されている状態のみ、ナビゲーション装置6で実行しても良い。
【0064】
また、S2において、CPU61は、路面の凹凸があると判定すると(S2:YES)、サーバ装置3のプローブ情報DB22へアクセスして道路異常位置の仮登録を行う(S3)。CPU61は、S3において、例えば、上記した走行するリンクID等の(a)~(e)の情報(
図5参照)と、仮登録を指示する情報を、サーバ装置3へ送信する。CPU61は、S3において仮登録を実行した後、
図7に示す仮登録処理プログラムを終了し、終了した時から所定時間だけ経過すると、再度、S1から処理を開始する。
【0065】
CPU61は、S3において、(a)走行するリンクIDとして、例えば路面の凹凸を検出した際に第1車両4が走行中の走行路のリンクIDを送信する。また、CPU61は、(b)道路異常位置の位置座標として、例えば路面の凹凸があると推定した時点の第1車両4の位置座標(GPS51の位置情報など)を送信する。この位置座標の情報は、本願の道路異常位置の位置情報の一例である。尚、CPU61は、例えば、長距離に亘って路面の凹凸を検出した場合、路面の凹凸を検出した始点のみを、道路異常位置としてサーバ装置3へ送信し仮登録しても良い。
【0066】
また、CPU61は、(c)リンクへの進入時刻として、例えば走行中のリンクへ第1車両4が進入した時間の情報を送信する。また、CPU61は、(d)センサの検出情報として、例えば凹凸があることを示す情報を送信する。また、第2実施形態であれば、CPU61は、(d)センサの検出情報として、例えば障害物があることを示す情報や、ステアリングセンサの検出値などを送信する。また、第3実施形態であれば、CPU61は、(d)センサの検出情報として、例えば路面μが低下していることを示す情報や、ABSの作動時間などを送信する。また、CPU61は、(e)送信元の車両を識別する車両IDとして、例えばナビゲーション装置6のシリアル番号を送信する。尚、車両IDとしては、車両を個々に識別可能な他の情報(車体番号など)を採用できる。
【0067】
一方、サーバ装置3のCPU31は、CPU61(第1車両4)から仮登録を指示する情報を受信すると(S11)、指示情報とともに受信した情報の各々を、プローブ情報DB22の対応する欄(仮登録の欄)に記憶する(S12)。これにより、プローブ情報DB22への仮登録が完了する。尚、仮登録をすべきか、本登録をすべきかの判定を、サーバ装置3側で実行しても良い。例えば、ナビゲーション装置6のCPU61は、(a)~(e)の情報のみをサーバ装置3へ送信しても良い。そして、サーバ装置3のCPU31は、例えば、センサの種類や型番などに基づいて、仮登録すべきか本登録すべきかを判定しても良い。
【0068】
CPU31は、S12を実行した後、S13を実行する。S13において、CPU31は、S12で仮登録を行なった仮登録地点を走行すると予想される後続の第2車両5が存在するか否かを判定する。ここでいう仮登録地点を走行すると予想される後続の第2車両5とは、例えば、道路異常を検出した道路を、仮登録地点に向かって走行している第2車両5や、後述する仮登録地点を通過する通過経路をサーバ装置3から通知することで、迂回等して仮登録地点を通過してくれる可能性がある距離や範囲に存在する第2車両5である。例えば、第2車両5のナビゲーション装置6Aは、走行中において、GPS51で取得した位置情報、車両ID、搭載する第2センサ8の情報(精度など)を、定期的にサーバ装置3へ送信する。サーバ装置3のCPU31は、仮登録地点を中心として所定距離の範囲に存在する第2車両5を、第2車両5から受信した位置情報に基づいて判定する。この所定距離は、例えば、第2車両5を運転するドライバが、迂回等して仮登録地点へ立ち寄っても良いと考える距離であり、数km~数十kmである。サーバ装置3は、第2車両5から受信した第2センサ8の情報に基づいて、第2センサ8として高精度のセンサと車載カメラを備える第2車両5が存在した場合に、S13において後続の第2車両5が存在すると判定する(S13:YES)。これは、後述するように、高精度の第2センサ8で道路異常を検出することにより本登録を行ない(登録を確定し)、本登録の情報に基づいて道路異常位置を表示する際に、第2車両5で撮像した車両画像データを用いるためである。
【0069】
CPU31は、S13において、道路異常位置を走行すると予想される後続の第2車両5が存在すると判定すると(S13:YES)、S14を実行する。S14において、CPU31は、S13で検出した後続の第2車両が仮登録地点を通過する通過経路を作成する。CPU31は、仮登録地点の位置座標、後続の第2車両5の現在位置、サーバ側地図情報DB23に基づいて、現在位置から仮登録地点を通過する通過経路を探索する。この通過経路は、現在位置から仮登録地点へ到達するまでの経路や、現在位置から仮登録地点を経由して現在位置に戻ってくる経路、あるいは、現在位置から仮登録地点を通過して主要な幹線道路まで到達する経路である。
【0070】
CPU31は、S14を実行した後、S15を実行する。CPU31は、S14で作成した通過経路の情報を、後続の第2車両5へ送信する(S15)。尚、CPU31は、S13において、後続の第2車両5を複数台検出した場合、そのうちの1台だけに通過経路の情報を送信しても良く、2以上の複数台の第2車両5へそれぞれの通過経路の情報を送信しても良い。
【0071】
また、後続の第2車両5を判定する方法は、上記した仮登録地点を中心とした範囲を用いる方法に限らない。例えば、サーバ装置3は、第2車両5から案内中の案内経路の情報を定期的に取得し、その案内経路上に仮登録地点が存在した場合、その第2車両5を後続の第2車両5として判定しても良い。また、サーバ装置3は、第2車両5から取得した情報に基づいて、第2車両5の車両ID(ナビゲーション装置6のシリアル番号など)と、第2車両5が備える第2センサ8の情報を関連付けてDBに蓄積し、仮登録地点を中心とした範囲内に存在する車両から第2センサ8として高精度のセンサと車載カメラを備える第2車両5を検出しても良い。あるいは、第2車両5のナビゲーション装置6A(CPU61A)が、仮登録地点の情報を取得する処理を実行しても良い。例えば、ナビゲーション装置6Aは、案内経路の案内を開始する際に、第2車両5の現在位置周辺や、案内経路周辺に存在する仮登録地点をサーバ装置3へ問い合わせてドライバへ案内しても良い。
【0072】
続いて、前記構成を有する報告書作成支援システム1に含まれる第2車両5のナビゲーション装置6Aと、サーバ装置3において実行する本登録処理プログラムについて
図7に基づき説明する。ここで、本登録処理プログラムは、例えば、第2車両5のナビゲーション装置6Aの電源が投入されシステムの起動時に所定のアプリケーションプログラムが起動されることで実行され、上記した通過経路の情報をサーバ装置3から受信すると処理が開始される。従って、この本登録処理プログラムを実行する第2車両5は、上記したS13で検出された後続の第2車両5である。本登録処理プログラムは、サーバ装置3から受信した通過経路をドライバへ報知し、仮登録地点の通過を判定して道路異常を検出した後、道路異常位置の本登録を実行するプログラムである。尚、以下の
図7にフローチャートで示すプログラムは、例えば、ナビゲーション装置6Aが備えているRAM62やROM63等に記憶されており、CPU61Aにより実行される。
【0073】
また、本登録処理プログラムは、例えば、サーバ装置3においてシステムの起動時に所定のアプリケーションプログラムが起動されることで実行され、第2車両5のナビゲーション装置6Aから道路異常位置(仮登録地点)の情報と、道路異常位置を撮像した車両画像データを受信すると処理が開始される。本登録処理プログラムは、受け付けた情報を報告書DB24へ本登録するプログラムである。尚、以下の
図7にフローチャートで示されるプログラムは、サーバ装置3が備えるRAM32やROM33に記憶される報告書作成支援処理プログラムに含まれており、CPU31により実行される。
【0074】
先ず、
図7に示すS21において、ナビゲーション装置6AのCPU61Aは、サーバ装置3から通過経路の情報を受信すると、受信した通過経路をドライバへ報知する(S22)。
図8は、通過経路を案内する画面の一例を示している。例えば、CPU61Aは、
図8に示すように、「路面の凹凸を確認して頂きたい仮登録地点がある」旨のメッセージ91とともに、案内を行う案内ボタン92と、キャンセルボタン93とを、ナビゲーション装置6の液晶ディスプレイ46に表示する。CPU61Aは、例えば、案内ボタン92を選択する操作を操作部45で受け付けた場合、サーバ装置3からS21で受信した通過経路を液晶ディスプレイ46に表示する。これにより、第2車両5を仮登録地点へ誘導することができる。また、CPU61Aは、キャンセルボタン93を選択する操作を操作部45で受け付けた場合、メッセージ91の表示を消し、元の表示画面に戻す。
【0075】
尚、道路異常位置をドライバに報知する方法は、上記した方法に限らない。例えば、CPU61Aは、第2車両5の現在位置周辺に存在する仮登録地点の情報をサーバ装置3から取得し、取得した仮登録地点を液晶ディスプレイ46に表示して、仮登録地点をドライバに案内しても良い。これにより、ドライバは、液晶ディスプレイ46の表示を確認して、立ち寄れる仮登録地点を判断し通過することができる。
【0076】
また、CPU61Aは、ドライバが仮登録地点に立ち寄りたくなるようなインセンティブ情報を提示しても良い。このインセンティブ情報とは、例えば、ドライバにとって有益な情報を提示することで、ドライバが仮登録地点を通過したくなる意欲を掻き立てる情報である。インセンティブなサービスとしては、例えば、ナビゲーション装置6Aのベンダーと、他の企業(車のディーラーや保険会社)とが連係し、仮登録地点を通過することでポイントが貯まる制度を設け、貯まったポイントによって車検費用や車両保険費用を安くするサービスを採用できる。例えば、
図8に示すように、CPU61は、ポイント情報を表示するポイント情報ボタン94を液晶ディスプレイ46に表示する。CPU61は、ポイント情報ボタン94を選択する操作を操作部45に受け付けると、今回の仮登録地点を通過することで加算されるポイントの情報、現在までの累計ポイントの情報、車検費用や保険費用の割引制度を受けられるポイント数の情報などを表示する。これにより、仮登録地点地点を通過する意欲を、ドライバに対して掻き立てることができる。
【0077】
尚、インセンティブなサービスとしては、上記した車検費用の割引制度等に限らない。例えば、高精度な第2センサ8の情報を収集することで、より信頼度の高いプローブ情報DB22を生成できる。ひいては、このプローブ情報DB22を用いることで、道路補修等を迅速且つ的確に行うことができる。このため、仮登録地点を通過して第2センサ8によって検出した情報をサーバ装置3(道路補修業者)へ提供することは、社会貢献にも繋がる。そこで、例えば、地域ごとに仮登録地点を通過し本登録を実行した回数のランキングを行い、そのランキングをインセンティブ情報として表示しても良い。このランキングは、より地域の道路補修に貢献しているドライバのランキングとなる。これにより、ドライバに対して、社会貢献を目的として仮登録地点を通過する意欲を掻き立てることができる。
【0078】
CPU61Aは、
図7のS22で通過経路の報知(案内)を開始した後、S23を実行する。CPU61Aは、S22で報知した通過経路の仮登録地点を第2車両5が通過したか否かを判定する。CPU61Aは、仮登録地点を通過するまでの間(S23:NO)、S23の判定処理を繰り返し実行する。これにより、CPU61Aは、報知した仮登録地点を第2車両5が通過するまでの間、S23の判定処理を繰り返し実行する。尚、CPU61Aは、所定の条件に基づいて、S23の判定処理を終了しても良い。例えば、CPU61Aは、報知した仮登録地点と第2車両5の現在位置との距離が所定距離以上となった場合、S23の判定処理を終了し、
図7に示す処理を終了しても良い。この場合、ドライバの気持ちが変わり、第2車両5が仮登録地点を通過しない可能性が高いため、液晶ディスプレイ46に表示した通過経路や仮登録地点の表示を自動で消去しても良い。あるいは、CPU61Aは、ドライバから通過経路の案内をキャンセルする操作を操作部45で受け付けた場合、S23の判定処理を終了しても良い。
【0079】
尚、CPU61Aは、S23を実行して仮登録地点の通過を判定している場合、仮登録地点を通過するか、上記した所定の条件によりS23の処理を終了するまでの間、他の仮登録地点の報知を実行しなくとも良い。即ち、仮登録地点へ向かうドライバに対しては、別の仮登録地点の提示等を実行しなくとも良い。また、CPU61Aは、第2車両5が仮登録地点を通過するまでの間、サーバ装置3から受信した別の通過経路(仮登録地点)の情報を蓄積し、通過したタイミングで別の通過経路を報知しても良い。
【0080】
また、
図4に示す第3実施形態(路面μの低下)については、ABSが作動した仮登録地点への誘導を実行するため、高級車などの一般車両を誘導することは好ましくない。このため、第3実施形態については、誘導対象の第2車両5として、補修する補修車両、パトロール車を対象とすることが好ましい。また、第2実施形態(道路の障害物)については、急操舵や急減速に基づく仮登録であるため、実際に障害物があるか不確定である。このため、例えば、急操舵や急減速の度合いや回数等(仮登録の障害物がある確率の高さ)に応じて、誘導対象の第2車両5を変更しても良い。
【0081】
また、サーバ装置3は、第2車両5を仮登録地点へ誘導しなくとも良い。例えば、ナビゲーション装置6Aは、第2車両5の走行中において道路異常の検出を定期的に実行し、検出したことに基づいてサーバ装置3へ道路異常の情報を送信しても良い。そして、サーバ装置3は、第2車両5(第2センサ8)から道路異常の情報を受信した場合、本登録を実行しても良い。この場合、サーバ装置3は、仮登録がない地点についても本登録を実行しても良い。
【0082】
図7のS23において、CPU61Aは、第2車両5が仮登録地点を通過したと判定すると(S23:YES)、S24を実行する。S24において、CPU61Aは、第2センサ8で検出した検出情報に基づいて、道路異常を推定する。例えば、第1実施形態であれば、CPU61Aは、上下加速度センサ(第2センサ8)で検出した加速度の変動に基づいて、第2車両5が走行中の路面の凹凸を推定する。CPU61Aは、例えば、仮登録地点を含む走行リンクへ第2車両5が進入した時点から上下加速センサ(第2センサ8)の検出情報の取得と、車載カメラ(第2センサ8)で撮像した車両画像データの取得を開始する。CPU61Aは、仮登録地点を通過した後、仮登録地点を通過中に取得した上下加速度センサの検出情報に基づいて、路面の凹凸の推定を実行する。尚、CPU61Aは、仮登録地点の前後において取得した検出情報に基づいて、路面の凹凸の推定を実行しても良い。即ち、CPU61Aは、仮登録地点を含む所定範囲内で、第2センサ8による道路異常の検出を実施しても良い。
【0083】
CPU61Aは、S24を実行した後、S25を実行する。CPU61Aは、S25において、S24の推定結果を判定する。CPU61Aは、路面の凹凸があると推定、即ち、道路異常があると推定したか否かを判定する。CPU61Aは、路面の凹凸がないと判定すると(S25:NO)、
図7に示す処理を終了する。CPU61は、通過経路の案内等を終了し、液晶ディスプレイ46の表示を元に戻す。この場合、誘導した第2車両5によって道路異常を検出できなかったため、サーバ装置3は、別の第2車両5を仮登録地点へ誘導する処理を実施しても良い。
【0084】
また、S25において、CPU61Aは、路面の凹凸があると判定すると(S25:YES)、サーバ装置3のプローブ情報DB22へアクセスして道路異常位置の本登録を行う(S26)。CPU61Aは、S26において、仮登録と同様に、
図5に示す本登録の情報((a)~(d)の情報)と、本登録を指示する情報を、サーバ装置3へ送信する。また、CPU61Aは、道路異常を検出した際に車載カメラで撮像した道路異常位置の車載画像データをサーバ装置3へ送信する。ここでいう道路異常を検出した際とは、例えば、S24で推定した道路異常を検出したタイミングである。CPU61Aは、S26を実行すると、
図7に示す処理を終了する。
【0085】
一方、サーバ装置3のCPU31は、CPU61A(第2車両5)から本登録を指示する情報を受信すると(S31)、指示情報とともに受信した情報の各々を、プローブ情報DB22の本登録に対応する欄に記憶する(S32)。また、CPU31は、CPU61Aから受信した車両画像データ、例えば、第2センサ8で検出した道路異常位置を撮像した画像データを、本登録する道路異常位置の情報に紐付けてプローブ情報DB22へ記憶する。これにより、道路異常位置の位置座標等と車両画像データとが関連付けられプローブ情報DB22に記憶され、プローブ情報DB22への本登録が完了する。サーバ装置3は、S32を実行すると、
図7に示す処理を終了する。
【0086】
また、CPU61は、
図5に示すように、本登録の(d)センサの検出情報として、例えば凹凸があることを示す情報や、上下加速度センサの検出値などを送信する。また、第2実施形態であれば、CPU61は、(d)センサの検出情報として、例えば障害物があることを示す情報や、車載カメラで撮像した画像データ、画像処理後の画像データ、抽出した特徴点の情報などを送信する。また、第3実施形態であれば、CPU61は、(d)センサの検出情報として、例えば路面μが低下していることを示す情報や、車載カメラの画像データなどを送信する。
【0087】
このようにして、本実施形態の報告書作成支援システム1では、低精度の第1センサ7を搭載する第1車両4で仮登録を実行した仮登録地点へ、高精度の第2センサ8を搭載する第2車両5を誘導する。これにより、総数の少ない第2センサ8(第2車両5)を効率良く道路異常位置へ誘導でき、信頼度の高いプローブ情報DB22を迅速に構築することができる。
【0088】
尚、サーバ装置3は、仮登録地点の座標位置と、本登録の座標位置の一致を判定しても良い。そして、サーバ装置3は、座標位置が一致しなかった場合、本登録を中止しても良い。あるいは、サーバ装置3は、座標位置にズレがあってもズレが所定範囲内である場合、本登録を行なっても良い。この所定範囲は、座標位置の誤差として許容できる範囲である。例えば、GPS51の位置精度の誤差範囲や、第2実施形態であれば障害物が移動する可能性がある範囲などである。
【0089】
続いて、前記構成を有する報告書作成支援システム1に含まれる通信端末10と、サーバ装置3において実行する報告書作成処理プログラムについて
図9に基づき説明する。ここで、報告書作成処理プログラムは、例えば、通信端末10のシステムが起動された後、所定のアプリケーションプログラムが起動されることで実行される。報告書作成処理プログラムは、作業員9の入力情報を受け付け、道路異常に対処した内容を入力した報告書の作成をサーバ装置3へ依頼するプログラムである。尚、以下の
図9にフローチャートで示すプログラムは、例えば、通信端末10が備えているメモリ72に記憶されており、CPU71により実行される。
【0090】
また、報告書作成処理プログラムは、例えば、サーバ装置3においてシステムの起動時に所定のアプリケーションプログラムが起動されることで実行され、通信端末10から報告書の作成を要求する情報を受信すると処理が開始される。報告書作成処理プログラムは、通信端末10から受信した入力情報等に基づいて報告書を作成するプログラムである。尚、以下の
図9にフローチャートで示されるプログラムは、サーバ装置3が備えるRAM32やROM33に記憶される報告書作成支援処理プログラムに含まれており、CPU31により実行される。
【0091】
先ず、
図9に示すS41において、通信端末10のCPU71は、報告書の作成を要求する情報をサーバ装置3へ送信する。CPU71は、例えば、報告書を作成するアプリケーションプログラムが起動されたタイミングや、そのアプリケーションプログラムにおいて所定の操作が行なわれたタイミングで、報告書の作成を要求する情報をサーバ装置3へ送信する。また、CPU71は、作成要求の情報とともに、通信端末10の現在位置の位置情報をサーバ装置3へ送信する(S41)。CPU71は、GPS81のGPS情報に基づいて現在位置を検出し、現在位置の位置情報をサーバ装置3へ送信する。
【0092】
例えば、作業員9は、本登録された道路異常位置へ点検車に乗って移動し、道路異常の対処を行なう。作業員9は、路面の凹凸の確認や補修、障害物の回収などの対処を行なう。作業員9は、対処した後、通信端末10を操作して報告書の作成を行なう。この際に、アプリケーションプログラムが起動等され、通信端末10からサーバ装置3へ上記した作成要求の情報や位置情報が送信される。
【0093】
一方、サーバ装置3のCPU31は、S61において、報告書の作成要求の情報や位置情報を通信端末10から受信すると(S61)、S62を実行する。S62において、CPU31は、通信端末10から受信した位置情報に基づいて、通信端末10の現在位置周辺の地図情報をサーバ側地図情報DB23から取得する。CPU31は、取得した地図情報の地図上に存在する道路異常位置であって、本登録された道路異常位置をプローブ情報DB22から取得する。CPU31は、例えば、地図情報の経度及び緯度の情報と、プローブ情報DB22の本登録における「道路異常位置の位置座標」に基づいて、地図上に存在する道路異常位置を取得する。
【0094】
また、CPU31は、取得する道路異常位置に関連付けられた車両画像データをプローブ情報DB22から取得する。この車両画像データは、第2車両5の第2センサ8(車載カメラ)で撮像した画像データであり、路面の凹凸等を撮像した画像データである。CPU31は、サーバ側地図情報DB23から取得した地図情報が示す地図上に、道路異常位置を示すマークと、車両画像データとを配置した表示データを生成する。CPU31は、S62で生成した表示データを通信端末10へ送信する(S63)。
【0095】
通信端末10のCPU71は、S41を実行した後、S42を実行する。CPU71は、S42において、サーバ装置3から受信した表示データをディスプレイ78に表示する。
図10は、通信端末10のディスプレイ78に表示された表示画面の一例を示している。
図10に示すように、CPU71は、表示データに基づいて、地図情報101の地図上に道路異常位置を示すピン102を重ねてディスプレイ78に表示させる。また、CPU71は、ピン102ごとに吹き出し103を表示する。CPU71は、ピン102で発生している道路異常の種類(図示例では、路面の凹凸)、道路異常位置の位置座標、及びその道路異常位置を撮像した車両画像データ104を吹き出し103内に表示する。これらの情報は、上記したS62においてサーバ装置3によりプローブ情報DB22から取得した情報である。
【0096】
また、
図10に示すように、CPU71は、GPS81のGPS情報に基づいて、通信端末10の現在位置を示す現在位置マーク105を、地図情報101に重ねて表示する。これにより、通信端末10を操作する作業員9は、自身の現在位置を確認でき、対処を行なった道路異常位置(ピン102)を容易に確認できる。尚、サーバ装置3は、通信端末10の現在位置に基づいて、現在位置から最も近い道路異常位置のピン102のみを通信端末10に表示しても良い。また、通信端末10は、ディスプレイ78に表示する地図の位置を変更する操作を受け付けた場合、その変更した位置をサーバ装置3へ送信しても良い。そして、サーバ装置3は、受信した変更後の位置に基づいて、変更後の位置を中心とする表示データを生成し、通信端末10へ送信しても良い。これにより、通信端末10は、作業員9の操作に応じて、表示する地図やピン102の情報を変更できる。例えば、作業員9は、点検車に乗って会社から道路異常位置へ移動する前に、ディスプレイ78の地図の表示位置を変更し、移動先の道路異常位置を確認することができる。
【0097】
CPU71は、S42を実行した後、S43を実行する。S43において、CPU71は、表示した複数のピン102のうち、何れか1つのピン102の選択を受け付けたか否かを判定する。例えば、作業員9は、ディスプレイ78の表示を見て、現在位置マーク105とピン102の位置を確認し、自身が対処した道路異常位置を確認する。作業員9は、報告書を作成するため、対処した道路異常位置のピン102を選択する。作業員9は、入力操作部80のタッチパネルをタッチ操作等してピン102を選択する。
【0098】
CPU71は、S43において、ピン102の選択を受け付けるまでの間(S43:NO)、S43の判定処理を繰り返し実行する。また、CPU71は、ピン102の選択を受け付けたと判定すると(S43:YES)、受け付けたピン102の情報をサーバ装置3へ送信する(S44)。これにより、サーバ装置3は、報告書を作成する道路異常位置の選択を受け付けることができる。尚、上記した道路異常位置の選択を受け付ける方法は、一例である。例えば、サーバ装置3は、本登録の道路異常位置だけでなく、仮登録地点を通信端末10に表示し、仮登録地点の報告書を受け付けても良い。
【0099】
一方、サーバ装置3のCPU31は、S63を実行した後、S64を実行する。CPU31は、通信端末10からピン102の情報を受信し、即ち、作業員9によって選択されたピン102の情報を受信し(S64)、S65を実行する。S65において、CPU31は、報告書に入力する入力情報を受け付ける設定画面の表示データを通信端末10へ送信する。
【0100】
通信端末10のCPU71は、S44を実行した後、S45を実行する。CPU71は、設定画面の表示データを受信すると、表示データに基づいて設定画面をディスプレイ78に表示する(S45)。CPU71は、S45を実行した後、設定画面に対する入力が完了したか否かを判定する(S46)。
【0101】
図11は、通信端末10のディスプレイ78に表示される設定画面の一例を示している。
図11に示すように、CPU71は、選択された入力情報を表示する選択表示欄110と、選択表示欄110に表示する情報を選択する選択ボタン111と、入力情報として文字情報を入力可能な備考欄112と、画像添付ボタン113と、送信ボタン114とをディスプレイ78に表示する。本実施形態においては、選択表示欄110として表示する項目として、例えば、(a)点検日、(b)作成者、(c)異常種、(d)路線、(e)位置座標、(f)ステータスが含まれている。
【0102】
CPU71は、上記した(a)、(b)、(c)、(f)の選択表示欄110の横に選択ボタン111を表示し、選択ボタン111に対する操作を受け付ける。作業員9は、入力操作部80のタッチパネルやハードボタンを操作して、任意の選択ボタン111を選択する操作を行なう。CPU71は、例えば、(a)点検日の選択ボタン111に対する操作を受け付けると、カレンダーをディスプレイ78に表示し、表示したカレンダーから日付けの選択を受け付ける。CPU71は、選択された日付けを(a)点検日の選択表示欄110へ入力する。これにより、作業員9は、道路異常位置に対する対処を行なった日付け、即ち、報告書で報告する日付けを、点検日として入力できる。
【0103】
また、CPU71は、例えば、(b)作成者の選択ボタン111に対する操作を受け付けると、作業員9の氏名をプルダウンメニュー形式で表示し、表示した氏名の中から作成者の氏名の選択を受け付ける。CPU71は、選択された作成者の氏名を(b)作成者の選択表示欄110へ入力する。これにより、作業員9は、報告書の作成者を入力きる。尚、作業員9の氏名のデータは、通信端末10のメモリ72に記憶されたデータでも良く、サーバ装置3から取得したデータでも良い。
【0104】
また、CPU71は、例えば、(c)異常種の選択ボタン111に対する操作を受け付けると、道路異常の種類をプルダウンメニュー形式で表示し、表示した種類の中から報告する道路異常の種類の選択を受け付ける。CPU71は、選択された種類を(c)異常種の選択表示欄110へ入力する。これにより、作業員9は、報告書で報告する道路異常の種類を入力きる。道路異常の種類とは、例えば、
図4に示す路面の凹凸、道路の障害物、路面μの低下などである。あるいは、設定画面で入力する道路異常の種類は、
図4に示す第1車両4や第2車両5で検出する道路異常の種類をさらに細分化した情報でも良い。例えば、Xcm以上のポットホール、マンホールの段差、幅がX1cm~X2cmの道路のひび割れなどのより詳細な道路異常の種類でも良い。これにより、道路異常の種類についてのより詳細な情報を、作業員9が道路異常位置の現場で確認して入力できる。
【0105】
また、(d)路線及び(e)位置座標には、例えば、S43で選択されたピン102の位置座標、即ち、今回報告する道路異常位置の位置座標に基づいたデータが表示されている。この(d)路線及び(e)位置座標の表示項目は、サーバ装置3が表示データに予め設定し、S65において設定した表示データを通信端末10へ送信しても良い。そして、CPU71は、サーバ装置3から受信した表示データに基づいて、(d)、(e)の表示を行なっても良い。サーバ装置3は、S43で選択された道路異常位置の位置座標をプローブ情報DB22から取得し、取得した位置座標の情報と、サーバ側地図情報DB23の情報に基づいて、(d)に表示する国道名、道路の上りであるか下りであるかの情報を取得することができる。また、(e)位置座標の情報は、例えば、プローブ情報DB22の本登録された(S43で選択された)道路異常位置の位置座標である。尚、CPU71が、S43で選択されたピン102の情報に基づいて通信端末10が備える地図情報を検索し、(d)、(e)の情報を表示しても良い。
【0106】
また、CPU71は、例えば、(f)ステータスの選択ボタン111に対する操作を受け付けると、ステータスの種類をプルダウンメニュー形式で表示し、表示した種類の中から報告するステータスの種類の選択を受け付ける。CPU71は、選択された種類を(f)ステータスの選択表示欄110へ入力する。ステータスとは、例えば、対処した結果を示す情報である。(f)に表示する項目としては、例えば、道路異常に対する対処を開始したことを示す「対処開始」、補修等の対処が完了したこと示す「対処完了」、道路異常の経過を観察することを示す「要経過観察」などの項目を採用できる。作業員9は、(f)の項目を選択することで、対処した結果を報告書に入力きる。
【0107】
尚、上記した選択表示欄110や選択ボタン111を用いた入力方法は、一例である。例えば、CPU71は、入力操作部80により作業員9から文字入力を受付け、受け付けた文字を選択表示欄110に入力しても良い。あるいは、CPU71は、上記した自動入力、選択入力、手動入力を組み合わせ処理しても良い。例えば、CPU71は、(d)路線の項目において、国道名だけを自動入力し、上りや下りの情報、車線の位置の情報などを作業員9から受け付けても良い。
【0108】
また、CPU71は、入力操作部80の操作入力に基づいて、備考欄112への入力を受け付ける。備考欄112は、例えば、報告書において報告すべき情報、引き継ぎ事項、特記事項などを入力する欄である。作業員9は、入力操作部80を操作し、備考欄112を選択することで、備考欄112に文字を入力することができる。
図11に示す例では、「路面の凹凸が確認されたものの、近日中(2019/06/11)に定期点検があるため、要経過観察となったこと」が入力されている。このように、本実施形態の報告書作成支援システム1では、対処の完了だけでなく、経過観察や途中経過を報告書で報告できる。
【0109】
また、CPU71は、入力操作部80の操作入力に基づいて、画像添付ボタン113に対する操作を受け付けると、報告書に添付する画像データを選択する画面を表示する。この画像データは、例えば、通信端末10のカメラ79により道路異常位置を撮像した画像データ(以下、対処画像データという場合がある)である。作業員9は、道路異常に対処した後、対処後の道路状態をカメラ79で撮像し、画像添付ボタン113を選択した後の画面において撮像した対処画像データを選択することで、報告書に対処画像データを添付できる。
【0110】
また、CPU71は、入力操作部80の操作入力に基づいて、送信ボタン114に対する操作を受け付けると、
図11に示す設定画面で受け付けた入力情報をサーバ装置3へ送信する。詳述すると、CPU71は、
図9のS45を実行した後、S46を実行する。S46において、設定画面に対する入力が完了したか否かを判定する。CPU71は、送信ボタン114に対する操作入力を受け付けるまでの間、S46において否定判定し(S46:NO)、S46の判定を繰り返し実行する。また、CPU71は、送信ボタン114に対する操作入力を受け付けると(S46:YES)、設定画面で受け付けた入力情報をサーバ装置3へ送信する(S47)。ここでいう入力情報とは、
図11に示す選択表示欄110の情報、備考欄112の情報、画像添付ボタン113で選択された対処画像データである。
【0111】
サーバ装置3のCPU31は、S65を実行した後、S66を実行する。CPU31は、通信端末10から設定画面の入力情報を受信すると(S66)、入力情報に基づいて報告書を作成する(S67)。
図12は、報告書の一例を示している。
図12に示すように、CPU31は、例えば、上記した(a)点検日、(b)作成者の入力情報122を、報告書121の右上に入力する。また、CPU31は、(c)異常種、(d)路線、(e)位置座標、(f)ステータスの入力情報123を入力情報122の下方であって報告書121の左端に入力する。入力情報123に含まれる(d)路線、(e)位置座標の位置情報123Aは、本願における道路異常位置の位置情報の一例である。この(d)路線、(e)位置座標の位置情報123Aは、プローブ情報DB22やサーバ側地図情報DB23、即ち、サーバ装置3側の情報を用いてサーバ装置3が自動で入力しても良く、通信端末10に表示した設定画面(
図11参照)で変更を受け付けた場合には変更後の入力情報を用いても良い。従って、本実施形態のCPU31は、
図11に示す設定画面で受け付けた入力情報122,123((a)、(b)、(c)、(f))と、道路異常位置の位置情報123A((d)、(e))とが入力された報告書121を作成する。
【0112】
また、CPU31は、設定画面の画像添付ボタン113で選択された対処画像データを、報告書121の中央の画像添付欄124に入力する。尚、CPU31は、道路異常位置を第2車両5が撮像した車両画像データ104(
図10参照)を、画像添付欄124に入力しても良い。また、CPU31は、設定画面の備考欄112で受け付けた入力情報125を、報告書121の下部に入力する。これにより、作業員9が対処した道路異常位置に係わる報告書121を、サーバ装置3において自動で作成することができる。尚、
図11に示す報告書121の構成は、一例である。例えば、CPU31は、報告書121に画像添付欄124を設けなくとも良い。あるいは、CPU31は、道路異常位置周辺の地図情報を報告書121に入力しても良い。
【0113】
CPU31は、S67で報告書121を作成した後、作成した報告書121を通信端末10へ送信する(S68)。通信端末10のCPU71は、S47を実行した後、サーバ装置3から受信した報告書121をディスプレイ78に表示する(S48)。CPU71は、報告書121を表示した後、例えば、報告書121を表示したディスプレイ78の表示画面において、報告書121の内容が正しいか否かの確認を受け付ける(S49)。
【0114】
CPU71は、内容が正しい旨の操作入力を、入力操作部80を介して受け付けるまでの間(S49:NO)、S49の判定処理を繰り返し実行する。CPU71は、内容が正しい旨の操作入力を受け付けたと判定すると(S49:YES)、確認が完了した旨の情報をサーバ装置3へ送信する(S50)。CPU71は、S50を実行すると、
図9に示す処理を終了する。
【0115】
一方、サーバ装置3のCPU31は、S68を実行した後、S69を実行する。CPU31は、通信端末10から確認が完了した旨の情報を受信すると(S69)、S70を実行する。CPU31は、S67で作成した報告書121と、サーバ側地図情報DB23の地図情報とを紐付けて報告書DB24へ記憶する。例えば、CPU31は、報告書121に入力した(e)位置座標と、サーバ側地図情報DB23の地図情報とを対応付けて報告書DB24へ記憶する。これにより、後から地図情報に関連付けて報告書121を表示することができる。
【0116】
尚、通信端末10は、S48やS49の報告書121の確認処理において、報告書121の変更を受け付けても良い。通信端末10は、受け付けた変更情報をサーバ装置3へ送信し、変更後の報告書121の作成をサーバ装置3へ要求しても良い。また、サーバ装置3は、作成した報告書121の確認を通信端末10へ要求しなくとも良い。サーバ装置3は、S67で報告書121を作成した後、S70を実行し報告書DB24へ記憶しても良い。
【0117】
また、報告書DB24のデータ構成は特に限定されない。例えば、サーバ装置3は、道路異常の発生順や、報告書の作成順に識別番号を付与して報告書121を報告書DB24に保存しても良い。また、サーバ装置3は、報告書121をサーバ側地図情報DB23の地図情報に紐付けずに報告書DB24に記憶しても良い。
【0118】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る報告書作成支援システム1のサーバ装置3は、道路異常を検出した道路異常位置の位置情報123Aを、第1車両4や第2車両5から受信する(S11,S31)。サーバ装置3は、受信した位置情報123Aに基づいて、道路異常位置を地図上に表示する(S62,S63)。サーバ装置3は、表示した道路異常位置の中から、報告書121の作成を行う道路異常位置の選択を受け付ける(S64)。サーバ装置3は、受け付けた道路異常位置の報告書121に入力する入力情報122,123,125や対処画像データを受け付ける(S65,S66)。サーバ装置3は、受け付けた入力情報122,123,125等と、道路異常位置の位置情報123Aが入力された報告書121を作成する(S67)。
【0119】
上記構成を有する報告書作成支援システム1によれば、道路異常を検出した道路異常位置の位置情報123Aを第1車両4及び第2車両5から受信し、道路異常位置を地図上に表示する。道路の補修などを行う作業員9は、地図上に表示された道路異常位置から点検や補修を行う道路異常位置を選択し、点検した結果や補修した結果を入力情報122,123,125や対処画像データとして入力する。報告書作成支援システム1は、受け付けた入力情報122,123,125等と、位置情報123Aとを入力した報告書121を作成する。これにより、道路を走行する第1車両4や第2車両5車両によって道路異常を検出するため、異常が発生した位置情報123Aだけを収集できる。従来技術のように、道路を連続的に撮像した複数の車両画像データを、後から1つ1つ目視で確認し異常箇所を発見する必要がなくなる。即ち、作業員9等は、収集されたデータから異常のあるデータを探すなどのデータの精査を行う必要がなくなる。また、作業員9によって点検等した入力情報122,123,125や対処画像データを報告書121に入力し、道路異常位置の現状や補修後の状況を報告書121として自動で作成することができる。従って、報告書121の作成に係わる作業負担を軽減することができる。また、従来技術のように、異常のない区間も含めてデータを収集しないため、蓄積するデータのデータ量(位置情報や車両画像データなどのデータ量)を減らすことが可能となる。
【0120】
また、本実施形態に係る報告書作成支援システム1では、第1車両4に備えられた第1センサ7により路面の凹凸等を検出した地点を、道路状態に異常がある道路異常位置(仮登録地点)としてプローブ情報DB22へ仮登録する(S12)。報告書作成支援システム1は、精度の高い第2センサ8を備える第2車両5の第2センサ8により、仮登録地点の異常を検出したことに基づいて、プローブ情報DB22に仮登録された道路異常位置の本登録を行なう(S32)。
【0121】
これによれば、第1車両4の低精度の第1センサ7により路面の凹凸等を検出した地点を仮登録する。即ち、低精度センサで検出した道路異常位置は、信頼度の低い仮登録の扱いとする。一方で、第2車両5の高精度の第2センサ8により、仮登録された仮登録地点の異常を検出した場合、その仮登録地点を本登録する。即ち、第1及び第2センサ7,8の両方で検出した道路異常位置については、より信頼度の高い情報として本登録する。これにより、センサにより検出した道路状態の情報を、センサの精度に応じて適切に登録できる。報告書121の作成処理においてより精度の高い情報を活用できる。また、国土交通省などの道路を管理する省庁等へ、精度の高い情報を提供することができる。尚、仮登録された仮登録地点の異常を検出するとは、仮登録地点と同一の位置座標の地点において、第2センサ8により異常を検出した場合だけでなく、仮登録地点から一定の範囲(GPS51の誤差範囲など)において、第2センサ8により異常を検出した場合を含む。
【0122】
尚、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、上記各実施形態では、報告書作成支援システム1は、第1車両4から受信した道路異常の情報を仮登録し、第2車両5から受信した道路異常の情報を本登録した。そして、サーバ装置3は、本登録した道路異常位置について報告書121の作成を行なった。しかしながら、サーバ装置3は、仮登録の道路異常位置について報告書121を作成しても良い。
また、サーバ装置3は、車両から受信する道路異常位置の情報を区別せずに、全ての道路異常位置について地図上に表示する処理を行ない、報告書121の作成を受け付けても良い。
【0123】
また、サーバ装置3は、第2車両5で撮像された車両画像データを、道路異常位置に関連付けて通信端末10に表示しなくとも良い。例えば、サーバ装置3は、ピン102(本願の道路異常位置)だけをディスプレイ78の地図上に表示しても良い。また、サーバ装置3は、道路を走行する第1車両4や第2車両5から道路異常位置の情報を収集し、各車両で検出した道路異常位置をピン102としてディスプレイ78の地図上に表示しても良い。
また、サーバ装置3は、仮登録地点へ第2車両5を誘導しなくとも良い。
また、サーバ装置3は、仮登録地点を第2車両5が通過する通過経路を作成しなくとも良い。
【0124】
また、上記各実施形態では、道路異常を示す情報を、ナビゲーション装置6,6Aが、仮登録及び本登録したが、他の装置が実行しても良い。例えば、ナビゲーション装置6,6Aは、第1及び第2センサ7,8の種類(精度)と、推定結果をサーバ装置3に送信しても良い。そして、サーバ装置3は、ナビゲーション装置6,6Aから受信したデータの内容に基づいて、仮登録をすべきか本登録をすべきかを判定し、各登録を実行しても良い。即ち、サーバ装置3が、仮登録又は本登録の判定を実行しても良い。
あるいは、第1車両4のナビゲーション装置6は、第1センサ7の検出情報(車輪速の値など)を定期的にサーバ装置3へ送信する処理だけを実行しても良い。そして、サーバ装置3は、第1車両4から受信した検出情報に基づいて推定を実行し、路面の凹凸等を判定しても良い。即ち、道路異常の推定を、サーバ装置3が実行しても良い。また、サーバ装置3とナビゲーション装置6,6Aが、推定、仮登録、本登録の処理の一部を互いに連係して実行しても良い。
【0125】
また、サーバ装置3は、仮登録後に本登録が済んだデータの提供を実行したが、仮登録のデータの提供、仮登録のない本登録だけのデータの提供を実行しても良い。
また、上記した第1及び第2センサ7,8の種類は、一例である。例えば、第2実施形態において、第1センサ7は、急操舵又は急減速の一方のみを検出可能なセンサでも良い。
また、ナビゲーション装置6,6Aの代わりに、仮登録、本登録を行う機能を有する他の装置で報告書作成支援システム1を構成することも可能である。例えば、ナビゲーション装置6,6A以外の車載器、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等が可能である。
【0126】
また、本発明に係る報告書作成支援システムを具体化した実施例について上記に説明したが、報告書作成支援システムは以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
【0127】
例えば、第1の構成は以下のとおりである。
道路の異常である道路異常を検出した道路異常位置の位置情報(123A)を、車両(4,5)から受信する受信手段(31)と、前記受信手段により受信した前記位置情報に基づいて、前記道路異常位置(102)を地図上に表示する表示手段(31)と、前記表示手段によって地図上に表示した前記道路異常位置により、報告書(121)の作成を行う前記道路異常位置を受け付ける第1受付手段(31)と、前記第1受付手段により受付けた前記道路異常位置の前記報告書に入力する入力情報(122,123,125,124)であって、前記道路異常の対処に係わる前記入力情報を受け付ける第2受付手段(31)と、前記第2受付手段により受け付けた前記入力情報と前記道路異常位置の前記位置情報(123A)とが入力された前記報告書を作成する報告書作成手段(31)と、を備える報告書作成支援システム(1)。
上記構成を有する報告書作成支援システムによれば、道路異常を検出した道路異常位置の位置情報を車両から受信し、道路異常位置を地図上に表示する。道路の補修などを行う作業員は、地図上に表示された道路異常位置から点検や補修を行う道路異常位置を確認し、点検した結果や補修した結果を入力情報として入力する。報告書作成支援システムは、受け付けた入力情報と位置情報とを入力した報告書を作成する。これにより、道路を走行する車両によって道路異常を検出するため、異常が発生した位置情報だけを収集できる。このため、作業員等のユーザは、収集されたデータから異常のあるデータを探すなどのデータの精査を行う必要がなくなる。また、作業員によって点検等した入力情報を報告書に入力し、道路異常位置の現状や補修後の状況を報告書として自動で作成することができる。従って、報告書の作成に係わる作業負担を軽減することができる。また、従来技術のように、異常のない区間も含めてデータを収集しないため、蓄積するデータのデータ量(位置情報など)を減らすことが可能となる。
【0128】
また、第2の構成は以下のとおりである。
前記車両(5)は、道路を撮像する撮像手段(8)を有し、前記受信手段(31)は、前記位置情報に加え、前記道路異常を検出した道路を前記撮像手段で撮像した車両画像データ(104)を受信し、前記表示手段(31)は、前記受信手段により受信した前記車両画像データを、前記道路異常位置と関連付けて地図上に表示する(
図10)。
上記構成を有する報告書作成支援システムによれば、道路異常を検出した道路だけを撮像するため、蓄積する車両画像データのデータ量を減らすことができる。また、撮像した車両画像データを地図上に表示することで、作業員は、道路異常位置と、その道路異常位置の現状とを視覚的に容易に確認することができる。
【0129】
また、第3の構成は以下のとおりである。
第1車両(4)により前記道路異常を検出したことに基づいて、前記撮像手段を備える第2車両(5)が、前記第1車両により前記道路異常を検出した前記道路異常位置を通過するように誘導する誘導手段(31)を備え、前記第2車両は、前記誘導手段による誘導に基づいて、前記第1車両により前記道路異常を検出した道路を前記撮像手段で撮像する。
道路を走行する車両が備える装備は異なっている。カメラを備えていないが、車速センサ等の道路異常を検出する検出手段を備える車両も存在する。このため、撮像手段を備えていない第1車両で道路異常を検出した場合や、撮像手段を備えているものの撮像に失敗した第1車両で道路異常を検出した場合、撮像手段を備える第2車両をその道路異常位置へ誘導する。これにより、他の車両で検出した道路異常位置について、車両画像データを撮像して地図上に表示することができる。
【0130】
また、第4の構成は以下のとおりである。
前記誘導手段(31)は、前記第1車両により前記道路異常を検出した前記道路異常位置を前記第2車両が通過する通過経路を作成する経路作成手段(31)と、前記経路作成手段により作成した前記通過経路を前記第2車両へ送信する送信手段(31、25)と、を有する。
上記構成を有する報告書作成支援システムによれば、第1車両で検出した道路異常位置を通過する通過経路を作成して第2車両へ送信することで、第2車両のドライバは、通過経路を確認して道路異常位置の通過を実行するか、即ち、誘導に従うか否かを判断できる。また、第2車両側で道路異常位置を通過する経路等を探索する必要がなくなり、第2車両の装置の処理負担やドライバの操作に係わる負荷を軽減できる。
【0131】
また、第5の構成は以下のとおりである。
前記第2受付手段(31、113)は、前記入力情報に加え、前記道路異常の対処に係わる対処画像データ(124)を受け付け、前記報告書作成手段(31)は、前記第2受付手段により受け付けた前記入力情報(122,123,125)及び前記対処画像データと、前記位置情報(123A)が入力された前記報告書(121)を作成する。
上記構成を有する報告書作成支援システムによれば、作業員は、地図上で確認した道路異常位置へ実際に移動し、点検や補修などの対処を実行した後、道路等を撮像した対処画像データを第2受付手段によって提出することができる。これにより位置情報、入力情報に加え、対処画像データを入力した報告書を自動で作成できる。
【符号の説明】
【0132】
1 報告書作成支援システム
4 第1車両
5 第2車両
8 第2センサ
25 センタ通信装置
31 CPU
102 ピン
104 車両画像データ
113 画像添付ボタン
121 報告書
124 画像添付欄
122,123,125 入力情報
123A 位置情報