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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20231212BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231212BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20231212BHJP
   H04L 43/0888 20220101ALI20231212BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
B41J29/38 401
G06F3/12 312
G06F3/12 321
G06F3/12 336
H04L43/0888
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019142061
(22)【出願日】2019-08-01
(65)【公開番号】P2021027422
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】友藤 真司
【審査官】鈴木 香苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-184419(JP,A)
【文献】特開2010-232724(JP,A)
【文献】特開2011-040895(JP,A)
【文献】特開2011-019150(JP,A)
【文献】特開2006-010900(JP,A)
【文献】特開2010-171746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
B41J 29/38
G06F 3/12
H04L 43/0888
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のホスト装置からスイッチングハブを介してジョブデータを受信し、前記ジョブデータに基づくプリント処理を実行する画像形成装置であって、
それぞれ定格通信速度が異なる通信方式の候補である第1候補方式および前記第1候補方式よりも高速の第2候補方式のうち前記第2候補方式で前記スイッチングハブとの通信が確立した状況下で、前記ホスト装置ごとの前記ジョブデータの受信データ量および受信所要時間から前記ホスト装置ごとの実績通信速度を算出する速度算出部と、
前記ホスト装置ごとの前記実績通信速度に応じて、前記第1候補方式および前記第2候補方式の一方を採用通信方式として選択し、前記スイッチングハブとの間で前記採用通信方式での通信を確立する通信設定部と、を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記通信設定部は、前記受信データ量が予め定められた基準データ量を上回る前記ホスト装置の前記実績通信速度に応じて、前記第1候補方式および前記第2候補方式の一方を前記採用通信方式として選択する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プリント処理の実行により得られる印刷物を受ける排出トレイ上の前記印刷物を検出する印刷物センサーと、
前記プリント処理が実行された後の前記印刷物センサーの検出結果の変化により、前記ホスト装置ごとに前記プリント処理が実行されてから前記印刷物が前記排出トレイから持ち出されるまでの時間である回収待ち時間を判定する回収待ち時間判定部と、をさらに備え、
前記通信設定部は、前記ホスト装置ごとの前記実績通信速度および前記回収待ち時間に応じて、前記第1候補方式および前記第2候補方式の一方を前記採用通信方式として選択する、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記通信設定部は、前記回収待ち時間が予め定められた基準時間を下回る前記ホスト装置の前記実績通信速度に応じて、前記第1候補方式および前記第2候補方式の一方を前記採用通信方式として選択する、請求項3に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスト装置からスイッチングハブを介してジョブデータを受信する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置は、パーソナルコンピューターなどのホスト装置からLAN(Local Area Network)を通じてジョブデータを受信し、前記ジョブデータに基づくプリント処理を実行する。また、前記画像形成装置が、前記ホスト装置からスイッチングハブなどの中継装置を介して前記ジョブデータを受信する場合がある。
【0003】
前記スイッチングハブは、前記画像形成装置または前記ホスト装置などの通信端末が接続されるポートごとに、それぞれ定格通信速度が異なる複数の通信方式のうちの1つを選択的に採用して通信することができる。
【0004】
また、前記画像形成装置も、それぞれ定格通信速度が異なる前記複数の通信方式のうちの1つを選択的に採用し、採用した通信方式で通信する機能を備える場合がある。前記複数の通信方式は、1000BASE-Tおよび100BASE-TXなどである。
【0005】
一般に、前記画像形成装置は、低速の通信方式を採用する場合に、高速の通信方式を採用する場合よりも消費電力が小さい。
【0006】
また、前記画像形成装置がルーターを介して端末と通信可能な場合に、所定期間における前記端末による前記画像形成装置の使用状況に応じて、前記画像形成装置が、前記端末ごとに前記端末と前記ルーターとの間の伝送路の通信速度を設定する情報を送信することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-197760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前記画像形成装置は、省電力化への対応の面では、低速の通信方式を採用することが望ましい。一方、前記画像形成装置は、ユーザーの利便性向上の面では、高速の通信方式を採用することが望ましい。
【0009】
本発明の目的は、ジョブデータがホスト装置からスイッチングハブを介して受信される場合に、ユーザーの利便性を確保しつつ通信の省電力化を実現できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、1つ以上のホスト装置からスイッチングハブを介してジョブデータを受信し、前記ジョブデータに基づくプリント処理を実行する。前記画像形成装置は、速度算出部と、通信設定部と、を備える。前記速度算出部は、それぞれ定格通信速度が異なる通信方式の候補である複数の候補方式のうち最も高速の候補方式で前記スイッチングハブとの通信が確立した状況下で、前記ホスト装置ごとの前記ジョブデータの受信データ量および受信所要時間から前記ホスト装置ごとの実績通信速度を算出する。前記通信設定部は、前記ホスト装置ごとの前記実績通信速度に応じて、前記複数の候補方式から1つを採用通信方式として選択し、前記スイッチングハブとの間で前記採用通信方式での通信を確立する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によればジョブデータがホスト装置からスイッチングハブを介して受信される場合に、ユーザーの利便性を確保しつつ通信の省電力化を実現できる画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る画像形成装置の構成を表すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る画像形成装置における通信調整モードでのジョブ制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
[画像形成装置10の構成]
実施形態に係る画像形成装置10は、シートに画像を形成するプリント処理を実行するプリント装置1を備える。画像形成装置10は、画像形成後の前記シートである印刷物9を排出トレイ11上へ排出する。
【0015】
画像形成装置10は、LAN80を通じて、1つ以上のホスト装置8などの他装置と通信可能である。ホスト装置8は、画像形成装置10と通信可能なコンピューターである。
【0016】
本実施形態において、画像形成装置10は、1つ以上のホスト装置8からスイッチングハブ800を介してジョブデータJ0を受信し、受信したジョブデータJ0に基づく前記プリント処理を実行する。ジョブデータJ0は、前記プリント処理の対象となる画像を表すデータを含む。
【0017】
図1に示されるように、画像形成装置10は、プリント装置1,操作装置2、表示装置3、二次記憶装置4、制御装置5および通信装置6などを備える。
【0018】
操作装置2は、ユーザーの操作を受け付ける装置であり、例えば復帰ボタンおよびタッチパネルなどを含む。表示装置3は、情報を表示可能な液晶パネルなどの表示パネルを含む。
【0019】
通信装置6は、LAN80を通じてホスト装置8などの前記他装置との間で通信を行う通信インターフェイスデバイスである。制御装置5は、前記他装置との間のデータの送信および受信の全てを、通信装置6を通じて行う。
【0020】
二次記憶装置4は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。二次記憶装置4は、プログラムおよび各種のデータを記憶可能である。例えば、ハードディスクドライブおよびSSD(Solid State Drive)の一方または両方の組合せが、二次記憶装置4として採用される。
【0021】
プリント装置1は、電子写真方式またはインクジェット方式などの予め定められた方式で前記プリント処理を実行する。
【0022】
例えば、プリント装置1が電子写真方式で前記プリント処理を実行する装置である場合、プリント装置1は、シート搬送機構1a、感光体1b、帯電装置1c、レーザースキャニングユニット1d、現像装置1e、転写装置1fおよび定着装置1gなどを備える。
【0023】
シート搬送機構1aは、予め定められた経路に沿って前記シートを搬送する。帯電装置1cは、感光体1bの表面を帯電させる。レーザースキャニングユニット1dは、帯電した感光体1bの表面に静電潜像を書き込む。
【0024】
現像装置1eは、感光体1b上の前記静電潜像をトナー像へ現像する。転写装置1fは、感光体1b上の前記トナー像を前記シートに転写する。定着装置1gは、前記シート上の前記トナー像を加熱することにより、前記トナー像を前記シートに定着させる。
【0025】
シート搬送機構1aは、定着装置1gを経た前記シートである印刷物9を排出トレイ11上へ排出する。排出トレイ11は、前記プリント処理の実行により得られる印刷物9を受ける。
【0026】
画像形成装置10は、排出トレイ11上の印刷物9を検出する印刷物センサー12をさらに備える。例えば、印刷物センサー12は、印刷物9の荷重によって変位するアクチュエーターの変位を検出するフォトセンサーまたはリミットスイッチなどである。
【0027】
制御装置5は、各種の演算、データ処理および画像形成装置10が備える各種の電気機器の制御を実行する。制御装置5は、プリント装置1、表示装置3および通信装置6との間でデータおよび制御信号の受け渡しが可能である。さらに、制御装置5は、操作装置2に対する操作内容を表す操作信号を操作装置2から入力する。
【0028】
制御装置5は、プリントエンジン50、CPU51およびRAM(Random Access Memory)52などを含む。プリントエンジン50は、CPU51からの指令に従ってプリント装置1を制御することにより、プリント装置1に前記プリント処理を実行させる。
【0029】
プリントエンジン50は、不図示のMPU(Micro Processing Unit)もしくはDSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサー、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの回路によって実現される。
【0030】
CPU51は、二次記憶装置4に記憶されたプログラムを実行することにより、各種のデータ処理および制御を実行するプロセッサーである。なお、DSPなどの他のプロセッサーが、CPU51の代わりに前記データ処理および制御を実行することも考えられる。
【0031】
RAM52は、CPU51が実行する前記プログラムおよびCPU51が前記プログラムを実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する揮発性の記憶装置である。
【0032】
CPU51は、前記プログラムを実行することにより、主制御部5aおよびジョブ制御部5bなどとして動作する。
【0033】
主制御部5aは、主として表示装置3および通信装置6を制御する。ジョブ制御部5bは、主としてプリントエンジン50を制御する。
【0034】
例えば、通信装置6が、ホスト装置8からジョブデータJ0を受信した場合に、ジョブ制御部5bは、プリントエンジン50にプリント指令を出力する。プリントエンジン50は、前記プリント司令に応じて、ジョブデータJ0に基づく前記プリント処理をプリント装置1に実行させる。
【0035】
スイッチングハブ800は、画像形成装置10またはホスト装置8などの通信端末が接続されるポートごとに、それぞれ定格通信速度が異なる複数の通信方式のうちの1つを選択的に採用して通信することができる。
【0036】
また、画像形成装置10の通信装置6も、それぞれ定格通信速度が異なる前記複数の通信方式のうちの1つを選択的に採用し、採用した通信方式で通信する機能を備える。本実施形態において、前記複数の通信方式は、1000BASE-Tおよび100BASE-TXなどである。
【0037】
通信装置6は、低速通信方式である100BASE-TXを採用する場合に、高速通信方式である1000BASE-Tを採用する場合よりも消費電力が小さい。
【0038】
ところで、画像形成装置10は、省電力化への対応の面では、100BASE-TXなどの前記低速通信方式を採用することが望ましい。一方、画像形成装置10は、ユーザーの利便性向上の面では、1000BASE-Tなどの高速通信方式を採用することが望ましい。
【0039】
画像形成装置10のCPU51は、後述する通信調整モードでのジョブ制御を実行することにより、スイッチングハブ800との通信の方式を自動設定する。これにより、画像形成装置10は、ユーザーの利便性を確保しつつ通信の省電力化を実現することができる。
【0040】
本実施形態において、CPU51は、前記プログラムを実行することにより、さらに速度算出部5c、回収待ち時間判定部5dおよび通信設定部5eとしても動作する。
【0041】
主制御部5aは、予め定められた調整開始条件が成立した場合に、動作モードを通常モードから前記通信調整モードへ移行させる。前記動作モードが前記通信調整モードであるときに、通信設定部5eが、図2に示されるジョブ制御を開始する。
【0042】
例えば、前記調整開始条件は、前回の前記通信調整モードでの前記ジョブ制御が終了した日から予め指定された日数が経過しており、かつ、未処理のジョブデータJ0が残っておらず、かつ、他装置との通信中ではない、という条件である。
【0043】
さらに、前記調整開始条件が、現時刻が予め指定された時間帯である、という条件を必須条件として含むことも考えられる。
【0044】
[通信調整モードでのジョブ制御]
以下、図2に示されるフローチャートを参照しつつ、前記通信調整モードでの前記ジョブ制御の手順の一例について説明する。以下の説明において、S1,S2,…は、前記ジョブ制御における複数の工程の識別符号を表す。
【0045】
<工程S1>
前記ジョブ制御において、通信設定部5eは、スイッチングハブ800との間で前記高速通信方式での通信を確立する処理を通信装置6に実行させる。これにより、少なくとも画像形成装置10とスイッチングハブ800との間では、1000BASE-Tでの通信が可能となる。
【0046】
前記高速通信方式は、それぞれ定格通信速度が異なる通信方式の候補である複数の候補方式の1つである。本実施形態において、通信装置6において採用される通信方式は、2つの前記候補方式から選択される。本実施形態において、2つの前記候補方式は、前記高速通信方式および前記低速通信方式の2つである。前述したように、前記高速通信方式は、1000BASE-Tであり、前記低速通信方式は100BASE-TXである。
【0047】
以下に示される工程S2~S9の処理は、それぞれ定格通信速度が異なる通信方式の候補である前記複数の候補方式のうち最も高速の候補方式でスイッチングハブ800との通信が確立した状況下で実行される。
【0048】
なお、前記動作モードが前記通常モードから前記通信調整モードへ移行された時点において画像形成装置10とスイッチングハブ800との間で確立している通信方式が前記高速通信方式である場合、工程S1の処理はスキップされる。
【0049】
<工程S2>
次に、主制御部5aが、ホスト装置8からのジョブデータJ0の受信有無を確認する。そして、主制御部5aは、ジョブデータJ0がホスト装置8から受信された場合に、処理を工程S3へ移行させ、そうでない場合に、処理を工程S8へ移行させる。
【0050】
<工程S3>
工程S3において、速度算出部5cが、ホスト装置8ごとのジョブデータJ0の受信データ量の情報を二次記憶装置4に記録し、処理を工程S4へ移行させる。
【0051】
具体的には、速度算出部5cは、ジョブデータJ0の送信元であるホスト装置8を識別するホスト識別情報と、前記受信データ量の情報とを関連付けて二次記憶装置4に記録する。
【0052】
なお、速度算出部5cは、通信装置6がジョブデータJ0を受信するために要した時間である受信所要時間を計時する。
【0053】
<工程S4>
工程S4において、速度算出部5cは、ホスト装置8ごとの実績通信速度を算出し、算出した前記実績通信装置をホスト装置8ごとに二次記憶装置4に記録する。その後、速度算出部5cは、処理を工程S5へ移行させる。
【0054】
速度算出部5cは、前記受信データ量および前記受信所要時間から前記実績通信速度を算出する。さらに、速度算出部5cは、前記実績通信速度の情報を、ジョブデータJ0の送信元を識別する前記ホスト識別情報に関連付けて二次記憶装置4に記録する。
【0055】
前記通信調整モードにおいて、スイッチングハブ800は、画像形成装置10との間では前記高速通信方式での通信を行う。一方、スイッチングハブ800は、ホスト装置8との間では必ずしも前記高速通信方式に相当する速度での通信を行うことができるとは限らない。
【0056】
例えば、ホスト装置8が前記低速通信方式を採用している場合、スイッチングハブ800は、ホスト装置8との間で前記低速通信方式での通信を行う。この場合、ホスト装置8から画像形成装置10に至る通信経路における通信の実効速度は、ホスト装置8が採用する前記低速通信方式がボトルネックとなる。
【0057】
また、前記高速通信方式以外の通信方式を採用する他のハブが、ホスト装置8とスイッチングハブ800との間に介在している場合がある。この場合、ホスト装置8から画像形成装置10に至る通信経路における通信の実行速度は、ホスト装置8からスイッチングハブ800までの通信経路における最も低速の通信機器の通信方式がボトルネックとなる。
【0058】
<工程S5>
工程S5において、ジョブ制御部5bが、プリントエンジン50を制御することにより、ジョブデータJ0に基づく前記プリント処理をプリント装置1に実行させる。その後、ジョブ制御部5bは処理を工程S6へ移行させる。
【0059】
工程S5の処理により、受信されたジョブデータJ0に対応する印刷物9が排出トレイ11上に排出される。また、印刷物センサー12が、排出トレイ11上の印刷物9を検出する。
【0060】
<工程S6>
工程S6において、回収待ち時間判定部5dが、前記プリント処理が実行された後の印刷物センサー12の検出結果の変化により、印刷物9が排出トレイ11から持ち出されたか否かを判定する。
【0061】
即ち、回収待ち時間判定部5dは、前記プリント処理が実行された後に印刷物センサー12が印刷物9を検出し、その後、印刷物センサー12が印刷物9を検出しなくなった場合に、印刷物9が排出トレイ11から持ち出されたと判定する。
【0062】
そして、回収待ち時間判定部5dは、印刷物9が排出トレイ11から持ち出されたと判定する場合に、処理を工程S7へ移行させ、そうでない場合に、処理を工程S2へ移行させる。
【0063】
<工程S7>
工程S7において、回収待ち時間判定部5dは、ホスト装置8ごとに回収待ち時間を判定し、処理を工程S2へ移行させる。前記回収待ち時間は、前記プリント処理が実行されてから印刷物9が排出トレイ11から持ち出されるまでの時間である。
【0064】
具体的には、回収待ち時間判定部5dは、前記プリント処理が実行された後における印刷物センサー12が印刷物9を検出する状態の継続時間を計時し、その継続時間を前記回収待ち時間とする。なお、前記継続時間の終了時点は、印刷物センサー12が印刷物9を検出する状態から検出しない状態へ変化する時点である。
【0065】
<工程S8>
工程S8において、主制御部5aが、予め定められた前記通信調整モードの終了条件が成立するか否かを判定する。そして、主制御部5aは、前記終了条件が成立すると判定する場合に処理を工程S9へ移行させ、そうでない場合に処理を工程S6へ移行させる。
【0066】
なお、工程S6において、回収待ち時間判定部5dは、そもそも前記プリント処理が実行されていない場合、即ち、そもそも印刷物センサー12が印刷物9を検出していない場合には、処理を工程S2へ移行させる。
【0067】
例えば、前記終了条件は、前記通信調整モードの継続時間が予め定められた基準時間を超えており、かつ、未処理のジョブデータJ0が残っておらず、かつ、他装置との通信中ではない、という条件である。
【0068】
<工程S9>
工程S9において、通信設定部5eが、ホスト装置8ごとの前記実績通信速度に応じて、前記2つの候補方式から1つを採用通信方式として選択し、処理を工程S10へ移行させる。
【0069】
本実施形態において、通信設定部5eは、ホスト装置8ごとの前記実績通信速度、前記受信データ量および前記回収待ち時間に応じて、前記2つの候補方式から前記採用通信方式を選択する。
【0070】
具体的には、通信設定部5eは、前記受信データ量が予め定められた基準データ量を上回り、かつ、前記回収待ち時間が予め定められた基準時間を下回るホスト装置8である対象ホスト装置の前記実績通信速度に応じて、前記2つの候補方式の一方を前記採用通信方式として選択する。
【0071】
例えば、通信設定部5eは、少なくとも1つの前記対象ホスト装置の前記実績通信速度が予め定められた基準速度を上回る場合に、前記高速通信方式を前記採用通信方式として選択し、そうでない場合に前記低速通信方式を前記採用通信方式として選択する。
【0072】
例えば、前記基準速度は、前記低速通信方式での通信における平均的な実効通信速度に対して予め定められた1以上の係数を乗算することにより得られる速度である。
【0073】
1つのホスト装置8について複数の前記実績通信速度が記録されている場合、複数の前記実績通信速度の平均値または最大値などの代表値が前記採用通信方式の選択に用いられる。同様に、1つのホスト装置8について複数の前記受信データ量が記録されている場合、複数の前記受信データ量の平均値または最大値などの代表値が前記採用通信方式の選択に用いられる。
【0074】
同様に、1つのホスト装置8について複数の前記回収待ち時間が記録されている場合、複数の前記回収待ち時間の平均値などの代表値が前記採用通信方式の選択に用いられる。
【0075】
また、前記対象ホスト装置が存在しない場合、通信設定部5eは、前記低速通信方式を前記採用通信方式として選択する。
【0076】
前記受信データ量が小さい場合、前記低速通信方式が採用されても、前記受信所要時間は比較的短いため、ユーザーの利便性は損なわれない。同様に、前記回収待ち時間が長い場合、前記低速通信方式が採用されても、ユーザーの利便性は損なわれない。そのため、前記受信データ量が小さく、前記回収待ち時間が長いホスト装置8は、前記対象ホスト装置から除外される。
【0077】
<工程S10>
工程S10において、通信設定部5eは、スイッチングハブ800との間で、工程S9で選択された前記採用通信方式での通信を確立し、処理を工程S11へ移行させる。
【0078】
工程S10において、通信設定部5eは、スイッチングハブ800との間で既に確立している通信の接続を解除した上で、新たに前記採用通信方式での通信を確立する。
【0079】
但し、通信設定部5eは、工程S10が実行される時点において画像形成装置10とスイッチングハブ800との間で確立している通信方式が前記採用通信方式と同じである場合、工程S10の処理はスキップする。
【0080】
<工程S11>
工程S11において、主制御部5aは、前記動作モードを前記通常モードへ移行させ、前記通信調整モードでの前記ジョブ制御を終了させる。
【0081】
前記通常モードにおいて、制御装置5は、前記採用通信方式での通信によってジョブデータJ0の受信処理を実行する。
【0082】
また、前記通常モードにおける前記採用通信方式が前記低速通信方式である場合、CPU51は、図2における工程S2,S3,S5~S7の処理を実行し、工程S1,S4,S8~S11の処理をスキップする。
【0083】
また、前記通常モードにおける前記採用通信方式が前記高速通信方式である場合、CPU51は、図2における工程S2~S7の処理を実行し、工程S1,S8~S11の処理をスキップする。
【0084】
以上に示されるように、画像形成装置10は、ジョブデータJ0がホスト装置8からスイッチングハブ800を介して受信される場合に、ユーザーの利便性を確保しつつ通信の省電力化を実現できる。
【0085】
[第1応用例]
次に、画像形成装置10の第1応用例について説明する。
【0086】
本応用例における通信設定部5eは、図2の工程S9において、前記回収待ち時間を用いずに前記採用通信方式を選択する。
【0087】
具体的には、通信設定部5eは、前記受信データ量が前記基準データ量を上回るホスト装置8である前記対象ホスト装置の前記実績通信速度に応じて、前記2つの候補方式から1つを前記採用通信方式として選択する。
【0088】
[第2応用例]
次に、画像形成装置10の第2応用例について説明する。
【0089】
本応用例における通信設定部5eは、図2の工程S9において、前記受信データ量および前記回収待ち時間を用いずに前記採用通信方式を選択する。
【0090】
具体的には、通信設定部5eは、前記実績通信速度が得られた全てのホスト装置8を前記対象ホスト装置とする。そして、通信設定部5eは、前記対象ホスト装置ごとの前記実績通信速度に応じて、前記2つの候補方式から1つを前記採用通信方式として選択する。
【0091】
[第3応用例]
次に、画像形成装置10の第3応用例について説明する。
【0092】
本応用例における通信設定部5eは、図2の工程S9において、前記受信データ量を用いずに前記採用通信方式を選択する。
【0093】
具体的には、通信設定部5eは、前記回収待ち時間が前記基準時間を下回るホスト装置8を前記対象ホスト装置とする。そして、通信設定部5eは、前記対象ホスト装置ごとの前記実績通信速度に応じて、前記2つの候補方式から1つを前記採用通信方式として選択する。
【符号の説明】
【0094】
1 :プリント装置
1a :シート搬送機構
1b :感光体
1c :帯電装置
1d :レーザースキャニングユニット
1e :現像装置
1f :転写装置
1g :定着装置
2 :操作装置
3 :表示装置
4 :二次記憶装置
5 :制御装置
5a :主制御部
5b :ジョブ制御部
5c :速度算出部
5d :時間判定部
5e :通信設定部
6 :通信装置
8 :ホスト装置
9 :印刷物
10 :画像形成装置
11 :排出トレイ
12 :印刷物センサー
50 :プリントエンジン
51 :CPU
52 :RAM
800 :スイッチングハブ
J0 :ジョブデータ
図1
図2