(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】シート収容装置、及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 1/26 20060101AFI20231212BHJP
B65H 1/04 20060101ALI20231212BHJP
B65H 31/26 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65H1/26 Z
B65H1/04 310
B65H31/26
(21)【出願番号】P 2019159418
(22)【出願日】2019-09-02
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 義規
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 潔
(72)【発明者】
【氏名】前田 祥一
(72)【発明者】
【氏名】池田 将士
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-318845(JP,A)
【文献】特開2016-000653(JP,A)
【文献】特開2002-338069(JP,A)
【文献】特開2018-193217(JP,A)
【文献】特開2018-154457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/26
B65H 1/04
B65H 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載する積載部と、
前記積載部を昇降させる昇降部と、
前記積載部の最下降位置に対してシートの積載面をかさ上げすると共に、上方側に前記シートの一部が積載されるかさ上げ部と、
前記かさ上げ部の側から平面視にて前記積載部の外側に延長され、前記シートの他の一部を支持する延長部と、
を有
し、
前記積載部又は前記かさ上げ部と、前記延長部とで前記シートを支持し、
前記かさ上げ部は、前記積載部の上に配置されているシート収容装置。
【請求項2】
前記積載部又は前記かさ上げ部に対して前記シートの長さ方向の一端側に前記延長部が設けられている請求項
1に記載のシート収容装置。
【請求項3】
前記延長部は、前記かさ上げ部の側方に固定されており、
前記積載部の上昇により前記延長部が前記かさ上げ部と一体で上昇する請求項
1又は請求項2に記載のシート収容装置。
【請求項4】
前記延長部は、前記かさ上げ部の側方に配置されると共に装置本体の側に固定されている請求項
1又は請求項2に記載のシート収容装置。
【請求項5】
前記昇降部は、前記積載部を昇降させるワイヤと、前記ワイヤを巻き取るモータと、を備え、
前記かさ上げ部の取付時に、前記ワイヤと前記モータとの接続を遮断することで、前記積載部が自重で前記最下降位置まで下降する構成とされている請求項
1から請求項
4までのいずれか1項に記載のシート収容装置。
【請求項6】
シートを積載する積載部と、
前記積載部を昇降させる昇降部と、
前記積載部の最下降位置に対してシートの積載面をかさ上げすると共に、上方側に前記シートの一部が積載されるかさ上げ部と、
前記かさ上げ部の側から平面視にて前記積載部の外側に延長され、前記シートの他の一部を支持する延長部と、
を有
し、
前記積載部又は前記かさ上げ部と、前記延長部とで前記シートを支持し、
前記かさ上げ部は、前記昇降部により定められた位置に上昇させた前記積載部の下側に配置されており、
前記かさ上げ部は、装置本体に固定されているシート収容装置。
【請求項7】
前記積載部又は前記かさ上げ部に対して前記シートの長さ方向の一端側に前記延長部が設けられている請求項
6に記載のシート収容装置。
【請求項8】
前記かさ上げ部の側の一端部から前記延長部の側の他端部までの長さは、A3サイズのシートの長手方向の長さよりも長い請求項
1から請求項
7までのいずれか1項に記載のシート収容装置。
【請求項9】
前記かさ上げ部の側の一端部から前記延長部の側の他端部までの長さは、864mmの長さの前記シートの末端がはみ出さない長さとされている請求項
8に記載のシート収容装置。
【請求項10】
前記かさ上げ部の上側に積載されたシートに空気を吹き込み、最上部の前記シートを吸着して搬送する搬送部を備える請求項1から請求項
9までのいずれか1項に記載のシート収容装置。
【請求項11】
前記積載部の最下降位置に対してシートの積載面をかさ上げすると共に、上方側に前記シートの一部が積載される
前記かさ上げ部と、
前記かさ上げ部の側から平面視にて前記積載部の外側に延長され、
前記シートの他の一部を支持する
前記延長部と、
を有する延長ユニット
がシート収容装置本体に取り付けられる構成とされている請求項1に記載のシート収容装置。
【請求項12】
請求項1から請求項
11までのいずれか1項に記載のシート収容装置と、
前記シート収容装置から搬送された前記シートに画像を形成する画像形成装置と、
を有する画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート収容装置、及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、給紙トレイのトレイ底板を延長して長尺紙を搭載するように長尺オプションが設けられた給紙装置が開示されている。この給紙装置では、長尺オプションの取付時は給紙トレイを引き出せないようにロックする機構を設け、延長板の破損を防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、シートの積載面をかさ上げなしで延長する構成と比較して、昇降部の負荷を軽減するシート収容装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様に係るシート収容装置は、シートを積載する積載部と、前記積載部を昇降させる昇降部と、前記積載部の最下降位置に対してシートの積載面をかさ上げすると共に、上方側に前記シートの一部が積載されるかさ上げ部と、前記かさ上げ部の側から平面視にて前記積載部の外側に延長され、前記シートの他の一部を支持する延長部と、を有する。
【0006】
第2の態様に係るシート収容装置は、第1の態様に記載のシート収容装置において、前記積載部又は前記かさ上げ部と、前記延長部とで前記シートを支持する。
【0007】
第3の態様に係るシート収容装置は、第2の態様に記載のシート収容装置において、前記積載部又は前記かさ上げ部に対して前記シートの長さ方向の一端側に前記延長部が設けられている。
【0008】
第4の態様に係るシート収容装置は、第2の態様又は第3の態様に記載のシート収容装置において、前記かさ上げ部は、前記積載部の上に配置されている。
【0009】
第5の態様に係るシート収容装置は、第4の態様に記載の給紙装置において、前記延長部は、前記かさ上げ部の側方に固定されており、前記積載部の上昇により前記延長部が前記かさ上げ部と一体で上昇する。
【0010】
第6の態様に係るシート収容装置は、第4の態様に記載のシート収容装置において、前記延長部は、前記かさ上げ部の側方に配置されると共に装置本体の側に固定されている。
【0011】
第7の態様に係るシート収容装置は、第4の態様から第6の態様までのいずれか1つの態様に記載のシート収容装置において、前記昇降部は、前記積載部を昇降させるワイヤと、前記ワイヤを巻き取るモータと、を備え、前記かさ上げ部の取付時に、前記ワイヤと前記モータとの接続を遮断することで、前記積載部が自重で前記最下降位置まで下降する構成とされている。
【0012】
第8の態様に係るシート収容装置は、第2の態様又は第3の態様に記載のシート収容装置において、前記かさ上げ部は、前記昇降部により定められた位置に上昇させた前記積載部の下側に配置されている。
【0013】
第9の態様に係るシート収容装置は、第8の態様に記載のシート収容装置において、前記かさ上げ部は、装置本体に固定されている。
【0014】
第10の態様に係るシート収容装置は、第2の態様から第9の態様までのいずれか1つの態様に記載のシート収容装置において、前記かさ上げ部の側の一端部から前記延長部の側の他端部までの長さは、A3サイズのシートの長手方向の長さよりも長い。
【0015】
第11の態様に係るシート収容装置は、第10の態様に記載のシート収容装置において、前記かさ上げ部の側の一端部から前記延長部の側の他端部までの長さは、864mmの長さの前記シートの末端がはみ出さない長さとされている。
【0016】
第12の態様に係るシート収容装置は、第1の態様から第11の態様までのいずれか1つの態様に記載のシート収容装置において、前記かさ上げ部の上側に積載されたシートに空気を吹き込み、最上部の前記シートを吸着して搬送する搬送部を備える。
【0017】
第13の態様に係る画像形成システムは、第1の態様から第12の態様までのいずれか1つの態様に記載のシート収容装置と、前記シート収容装置から搬送された前記シートに画像を形成する画像形成装置と、を有する。
【0018】
第14の態様に係る延長ユニットは、シート収容装置に取り付けられ、上昇可能な積載部の最下降位置に対してシートの積載面をかさ上げすると共に、上方側に前記シートの一部が積載されるかさ上げ部と、前記かさ上げ部の側から平面視にて前記積載部の外側に延長され、前シートの他の一部を支持する延長部と、を有する。
【発明の効果】
【0019】
第1の態様に係るシート収容装置によれば、シートの積載面をかさ上げなしで延長する構成と比較して、昇降部の負荷が軽減される。
【0020】
第2の態様に係るシート収容装置によれば、積載部又はかさ上げ部のみでシートを支持する場合と比較して、通常サイズよりも長い長尺のシートが積載される。
【0021】
第3の態様に係るシート収容装置によれば、シートの短い方向の一端側に延長部が設けられている場合と比較して、通常サイズよりも長い長尺のシートが積載される。
【0022】
第4の態様に係るシート収容装置によれば、かさ上げ部が積載部の下側に配置されている場合と比べて、かさ上げ部の取り付け作業が容易である。
【0023】
第5の態様に係るシート収容装置によれば、延長部がかさ上げ部の側方にかさ上げ部とは別の部材に固定される場合と比較して、延長部の取り付けが簡単である。
【0024】
第6の態様に係るシート収容装置によれば、積載部の上昇により延長部のすべてがかさ上げ部と一体で上昇する場合と比較して、昇降部の負荷が抑制される。
【0025】
第7の態様に係るシート収容装置によれば、かさ上げ部の取付時にワイヤとモータとの接続を遮断しない構成と比較して、かさ上げ部の取付作業が容易となる。
【0026】
第8の態様に係るシート収容装置によれば、積載部のシートを積載する構造をそのまま使用できる。
【0027】
第9の態様に係るシート収容装置によれば、かさ上げ部が積載部に固定されている場合と比較して、昇降部の負荷が低減される。
【0028】
第10の態様に係るシート収容装置によれば、A3サイズよりも長手方向の長さが長いシート(一例として、488mmより長手方向の長いシート)が積載可能となる。
【0029】
第11の態様に係るシート収容装置によれば、864mmの長さのシートが積載可能となる。
【0030】
第12の態様に係るシート収容装置によれば、かさ上げ部の上側に積載されたシートのうち最上部のシートを給紙ロールのみによって搬送する場合と比較して、シートの重送が抑制される。
【0031】
第13の態様に係る画像形成システムによれば、シートの積載面をかさ上げなしで延長する構成と比較して、積載部の側方の強度部品とシートの積載面との干渉が抑制される。
【0032】
第14の態様に係る延長ユニットによれば、シートの積載面をかさ上げなしで延長する構成と比較して、昇降部の負荷が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】第1実施形態に係るシート収容装置を備えた画像形成システムを示す正面図である。
【
図2】第1実施形態に係るシート収容装置を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係るシート収容装置に用いられる開閉部材を回転させて積載部上の積載空間を開放した状態を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係るシート収容装置におけるシートが積載される積載部、かさ上げ部及び延長部の概略構成を示す断面図である。
【
図5】第1実施形態に係るシート収容装置におけるシートが積載される積載部、かさ上げ部及び延長部に取り付けられる第2延長ユニットを示す断面図である。
【
図6】第1実施形態に係るシート収容装置におけるシートが積載される積載部、かさ上げ部及び延長部を、開閉カバーを閉止した状態で示す斜視図である。
【
図7】第1実施形態に係るシート収容装置におけるシートが積載される積載部、かさ上げ部及び延長部を、開閉カバーを開放した状態で示す斜視図である。
【
図10】かさ上げ部及び延長部の一部を示す斜視図である。
【
図13】第1実施形態に係るシート収容装置におけるシートが積載される積載部、かさ上げ部及び延長部を昇降させる昇降装置を示す側面図である。
【
図14】第1実施形態に係るシート収容装置におけるシートが積載される積載部、かさ上げ部及び延長部を昇降させる昇降装置を示す斜視図である。
【
図15】昇降装置に用いられるカップリング機構であって、積載部とワイヤとがカプリングされた状態を示す斜視図である。
【
図16】昇降装置に用いられるカップリング機構であって、積載部とワイヤとのカプリングが解除された状態を示す斜視図である。
【
図17】第2実施形態に係るシート収容装置におけるシートが積載される積載部、かさ上げ部及び延長部を昇降させる昇降装置を示す側面図である。
【
図18】第1比較例に係るシート収容装置におけるシートが積載される積載部及び延長部を昇降させる昇降装置を示す側面図である。
【
図19】第2比較例に係るシート収容装置におけるシートが積載される積載部及び延長部を昇降させる昇降装置を示す側面図である。
【
図20】第3比較例に係るシート収容装置におけるシートが積載される積載部及び延長部を昇降させる昇降装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。以下の説明では、図面に矢印Xで示す方向を装置幅方向、矢印Yで示す方向を装置高さ方向とする。また、装置幅方向及び装置高さ方向のそれぞれに直交する方向(矢印Z方向)を装置奥行き方向とする。
【0035】
〔第1実施形態〕
図1には、第1実施形態に係るシート収容装置10を備えた画像形成システム200の一例が正面図にて示されている。
【0036】
<画像形成システムの構成>
図1に示されるように、画像形成システム200は、シートの一例としての記録媒体に画像を形成する画像形成装置202と、画像形成装置202に記録媒体を供給するシート収容装置10と、を備えている。シート収容装置10は、画像形成装置202の側部に隣接するように配置されている。図示を省略するが、画像形成装置202の内部には、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、該画像形成部に記録媒体を搬送する搬送手段とが設けられている。画像形成部と搬送手段の構成及び配置は特に限定されない。シート収容装置10は、オプションで画像形成装置202に取り付けられるものであり、単独で取引される。
【0037】
<シート収容装置の構成>
(全体構成)
図2には、第1実施形態に係るシート収容装置10が斜視図にて示されている。
図2に示されるように、シート収容装置10は、装置本体の一例としての本体部12と、本体部12の側部から本体部12の外側に向かって張り出すように取り付けられた取付装置14と、を備えている。取付装置14は、オプションにより本体部12に後付けされる構成とされている。
【0038】
図3に示されるように、本体部12の内部には、複数の記録媒体Pが積載される積載部16(
図4参照)の上方に積載空間Sが設けられている。本体部12の側部に取付装置14が取り付けられることで、本体部12のみの場合に積載部16(
図4参照)上に積載される記録媒体Pの長手方向の長さよりも長手方向の長さが長い記録媒体Pが収容可能とされている。
【0039】
図2及び
図3に示されるように、シート収容装置10は、本体部12の上部に設けられると共に記録媒体Pが積載される積載空間Sを開閉する開閉部材20と、開閉部材20による積載空間Sの開放動作を補助するダンパ36と、を備えている(
図3参照)。また、シート収容装置10は、開閉部材20の上に重なるように配置される回転部材22を備えている。回転部材22は、開閉部材20の開閉に伴って本体部12に対して回転可能とされている。回転部材22の上部には、手差し用の記録媒体(図示省略)が配置される。取付装置14における本体部12の側部から張り出した部分には、後述する長尺の記録媒体Pが積載される積載空間Sを開閉する後述の開閉カバー30が設けられている。
【0040】
さらに、シート収容装置10は、本体部12の奥行き方向(すなわち、Z方向)の前側の下部に、記録媒体Pとは別種の記録媒体(図示省略)が格納される引き出しトレイ26を備えている。引き出しトレイ26は、本体部12から引き出されることで、記録媒体Pとは別種の記録媒体(図示省略)が格納されるようになっている。
【0041】
(本体部)
図2及び
図3に示されるように、本体部12は、シート収容装置10の取付装置14以外の部分の筐体としての機能を有する。本体部12は、装置奥行き方向(すなわち、Z方向)の手前側に配置された前壁12Aと、装置奥行き方向の奥側に配置された後壁12Bと、を備えている。また、本体部12は、装置幅方向(すなわち、X方向)の一方側に配置された側壁12Cと、装置幅方向の他方側に配置された側壁(
図2中に図示されていない)と、を備えている。前壁12Aは、複数のパネルにより構成されている。引き出しトレイ26は、前壁12Aの上部側及び前壁12Aの装置幅方向の他方側を除いた範囲に設けられている。
【0042】
また、本体部12は、前壁12Aと後壁12Bと側壁12Cと他の側壁(
図2中に図示されていない)の上部に配置された上壁12Dを備えている。上壁12Dは、装置幅方向の他方側にのみ配置されている。前壁12Aと後壁12Bの上端は上壁12Dに繋がっており、積載空間Sの一部が上壁12Dで覆われている。
【0043】
前壁12Aと後壁12Bは、記録媒体Pの搬送方向との交差方向、すなわち矢印Zに示す装置奥行き方向の両側から記録媒体Pの積載空間Sを挟む構成とされている。また、前壁12Aには、上壁12Dと反対側の部分の高さを、上壁12Dと連結される側の部分の高さよりも低くした切欠き部32が設けられている。
【0044】
図4に示されるように、本体部12の内部には、記録媒体Pが積載される積載部16を備えている。図示を省略するが、本体部12に取付装置14を取り付けない場合には、本体部12の内部の積載部16上に、通常サイズの記録媒体Pが直接積載される。通常サイズの記録媒体Pとして、例えば、長手方向の長さが488mmまでの記録媒体Pが使用される。このようなサイズの記録媒体Pの一例としては、A3サイズ以下の記録媒体が該当する。
【0045】
本体部12には、積載部16を上下方向に昇降させる昇降部の一例としての昇降装置100(
図14参照)が設けられている。昇降装置100は、積載部16の上側に積載された記録媒体Pの最上部の記録媒体Pの位置が定められた高さとなるように、積載部16を上昇させる構成とされている。昇降装置100の構成については、後に説明する。
【0046】
本体部12の内部には、上壁12D側に配置されると共に、積載部16の上側に積載された記録媒体Pを一枚ずつ搬送する搬送部38が設けられている。搬送部38は、積載部16の上側の最上部の記録媒体Pを送り出す給紙ロール40と、給紙ロール40よりも装置幅方向内側に配置されて最上部の記録媒体Pを吸着する吸着部42と、を備えている。さらに、搬送部38は、本体部12の内部の側壁48に配置された複数の空気吹出部44を備えている。複数の空気吹出部44は、積載部16の上側に積載された複数の記録媒体Pの上部と対向する位置に配置されており、複数の記録媒体Pの間に空気を吹き込む構成とされている。
【0047】
給紙ロール40は、一対のロールで構成されており、記録媒体Pを画像形成装置202(
図1参照)側、すなわち矢印A方向に送り出す。吸着部42は、記録媒体Pの搬送方向に沿って移動可能に支持されており、記録媒体Pを吸着した状態で記録媒体Pの搬送方向下流側に移動することで、給紙ロール40の接触部に記録媒体Pを供給する。空気吹出部44は、複数の記録媒体Pの間に空気を吹き込むことで、給紙ロール40による記録媒体Pの重送を抑制するようになっている。
【0048】
(開閉部材)
開閉部材20は、積載部16に複数の記録媒体Pを配置するために、開閉カバー30と分担して記録媒体Pの積載空間Sを開放する。
図2及び
図3に示されるように、開閉部材20は、前壁12Aと後壁12Bの上部間に設けられている。本実施形態では、開閉部材20は、本体部12の上壁12Dと隣接する位置に設けられている。
【0049】
開閉部材20は、記録媒体Pの搬送方向(すなわち、
図3に示す矢印A方向)の下流側に設けられるヒンジ(図示省略)周りに回転して記録媒体Pの積載空間S(
図3参照)を開閉する構成とされている。ヒンジは、前壁12Aと後壁12Bの装置幅方向の一端側である上壁12D(
図2参照)の端縁側に設けられている。開閉部材20は、積載空間Sを閉止した状態で、上壁12Dより記録媒体Pの搬送方向(すなわち、
図3に示す矢印A方向)の上流側における前壁12Aと後壁12Bの端部までを覆っている。
【0050】
開閉部材20には、積載空間Sの閉止状態で開閉部材20の縁部から張り出し、切欠き部32と開閉部材20の縁部との隙間を埋める張出部34が設けられている(
図2参照)。張出部34は、開閉部材20の先端部20A側に設けられている。
【0051】
ダンパ36は、筒状のダンパ本体36Aと、ダンパ本体36Aから進退可能に設けられたロッド36Bと、を備えている。ダンパ本体36Aにおけるロッド36Bと反対側の端部は、開閉部材20に回転可能に支持されている。ロッド36Bの先端部(すなわち、ダンパ本体36Aと反対側の端部)は、後壁12Bに回転可能に支持されている。ダンパ36は、ロッド36Bがダンパ本体36Aに対して進出する方向に押される構成とされており、積載空間Sを開放する方向に開閉部材20を途中まで持ち上げると、ダンパ36の作用により開閉部材20が持ち上げられるようになっている。
【0052】
図2に示されるように、開閉部材20の先端部20Aには、開閉部材20による積載空間Sの閉止状態で、開閉部材20の本体部12へのロックを解除するハンドル46が設けられている。ハンドル46は、例えば、上下方向に回転する構成とされており、ハンドル46を上方に持ち上げることで、開閉部材20の本体部12へのラッチ機構(図示省略)によるロックが解除され、開閉部材20が積載空間Sを開放する方向へ回転可能となる構成とされている。
【0053】
(取付装置)
取付装置14は、本体部12の側部に取り付けられることで、通常サイズよりも長手方向の長さが長い長尺の記録媒体Pを収容する機能を有する。
図2及び
図3に示されるように、取付装置14は、本体部12の側壁12Cの上方から本体部12の外側に向かって張り出している。本実施形態では、取付装置14は、前壁12Aと後壁12Bとの間と、側壁12Cの外側とに跨って配置されている。取付装置14は、本体部12の側壁12Cに取り付けられる筐体としての本体部14Aと、本体部14Aの上側に設けられた開閉カバー30と、を備えている。
【0054】
開閉カバー30は、本体部14Aの装置奥行き方向(すなわち、Z方向)の奥側に設けられたヒンジ(図示省略)により、装置奥行き方向に沿って回転する構成とされている(
図3参照)。開閉カバー30を装置奥行き方向(Z方向)の手前側から奥側に向かって上方に回転することにより、長尺の記録媒体Pの積載空間Sの一部が開放されるようになっている。また、開閉カバー30は、取付装置14の前壁12Aと後壁12Bから張り出した部分を覆っている。
【0055】
図4~
図7に示されるように、取付装置14は、平面視にて積載部16における装置幅方向(すなわち、矢印X方向)の外側に記録媒体Pの積載面を延長する第1延長ユニット50を備えている。ここで、第1延長ユニット50は、延長ユニットの一例である。第1延長ユニット50は、本体部12の内部の積載部16の最下降位置に対して記録媒体Pの積載面をかさ上げするかさ上げ部52と、かさ上げ部52の側から平面視にて積載部16の外側に延長される延長部54と、を備えている。
【0056】
かさ上げ部52は、本体部12の内部の積載部16の上に配置されている(
図4参照)。本実施形態では、かさ上げ部52は、積載部16における記録媒体Pの積載面16Aの上に配置されている。かさ上げ部52の上面には、長尺の記録媒体Pが積載される積載面52Aが形成されている。
【0057】
延長部54は、かさ上げ部52の側部に取り付けられており、本体部12の内部から取付装置14の本体部14Aの内部に跨って配置されている(
図4参照)。言い換えると、延長部54は、前壁12Aと後壁12Bとの間から記録媒体Pの搬送方向(すなわち、矢印A方向)の上流側に張り出している。シート収容装置10では、前壁12Aと後壁12Bとの間における側壁12Cの上方は、記録媒体Pの搬送方向の上流側に向けて開放されており、この開放された部分に跨って延長部54が配置されている。本実施形態では、シート収容装置10の装置幅方向(すなわち、X方向)と、記録媒体Pの搬送方向(すなわち、矢印A方向)は同じである。延長部54の上面には、長尺の記録媒体Pが積載される積載面54Aが形成されている。延長部54は、かさ上げ部52に対して記録媒体Pの長手方向(すなわち、長さ方向)の一端側に設けられている。
【0058】
かさ上げ部52の積載面52A及び延長部54の積載面54Aの上には、長尺の記録媒体Pが積載される。すなわち、かさ上げ部52上には、記録媒体Pの一部である長手方向の一端部側が支持され、延長部54上には、記録媒体のPの他の一部である長手方向の他端側が支持される。延長部54における記録媒体Pの長手方向の他端側、すなわち記録媒体Pの搬送方向の上流側の端部には、記録媒体Pの長手方向の他端側の端面を規制するエンドガイド58が設けられている。エンドガイド58は、例えば、L字状に形成されており、一端部が延長部54の積載面54A上面に支持されている。本実施形態では、エンドガイド58と延長部54は金属製とされており、エンドガイド58が磁力により延長部54に着脱可能に吸着される構成とされている。
【0059】
かさ上げ部52側の一端部から延長部54側の他端部までの長さ(装置幅方向に沿った長さ)は、A3サイズの記録媒体Pの長手方向の長さよりも長い。本実施形態では、かさ上げ部52側の一端部から延長部54側の他端部までの長さ(装置幅方向に沿った長さ)は、864mmの長さの記録媒体Pの末端がはみ出さない長さとされている。長尺の記録媒体Pは、一例として、長手方向の長さが488mmより長く、864mm以下のサイズの記録媒体Pが積載可能とされている。
【0060】
取付装置14における装置奥行き方向(すなわち、矢印Z方向)両側の側壁56には、延長部54の上に積載された記録媒体Pの上部に空気を吹き込む複数の空気吹出部44が設けられている。
【0061】
図6~
図11に示されるように、かさ上げ部52は、積載部16の積載面16A上に取り付けられる本体部70と、本体部70の上に配置されて記録媒体Pの積載面となる上壁部72と、を備えている。本体部70は、一例として、記録媒体Pの搬送方向下流側に配置された縦壁部70Aと、縦壁部70Aに連結される一対の中間部70Bと、を備えている。縦壁部70Aは、装置奥行き方向(矢印Z方向)に沿って配置されている。一対の中間部70Bは、縦壁部70Aの長手方向の中間部から縦壁部70Aと交差する方向に延びている。本実施形態では、一対の中間部70Bは、装置幅方向(矢印X方向)に沿って配置されている。さらに、本体部70は、中間部70Bにおける記録媒体Pの搬送方向上流側に連結されると共に装置奥行き方向両側に延びた2つの壁部70C、70Dを備えている(
図11参照)。
【0062】
上壁部72は、一例として、一対の中間部70Bの上に固定される中央壁部72Aと、中央壁部72Aから装置奥行き方向にスライド可能に支持される複数のスライド板72Bと、を備えている。
【0063】
延長部54は、かさ上げ部52の側方に図示しない締結具により固定されており、積載部16の上昇により延長部54がかさ上げ部52と一体で上昇する。
【0064】
延長部54は、本体部70の中間部70B及び壁部70Dに連結される固定板74を備えている(
図10参照)。固定板74は、記録媒体Pの搬送方向上流側に装置奥行き方向に延びた延出部74Aを備えている。さらに、延長部54は、固定板74に対して装置奥行き方向にスライド可能とされた複数のスライド板76を備えている(
図8参照)。複数のスライド板76は、装置幅方向の両端部が本体部70の壁部70Cと延出部74Aに支持されている。
【0065】
図4に示されるように、シート収容装置10では、かさ上げ部52及び延長部54の上に積載された複数の記録媒体Pの間に空気吹出部44から空気が吹き込まれる。さらに、最上部の記録媒体Pが吸着部42により吸着され、吸着部42が記録媒体Pの搬送方向下流側に移動することで、吸着部42に吸着された記録媒体Pが給紙ロール40により矢印A方向に送り出される。
【0066】
図5に示されるように、延長部54におけるかさ上げ部52と反対側の端部には、延長部54をさらに延長する第2延長ユニット60が設けられている。第2延長ユニット60は、延長部54におけるかさ上げ部52と反対側の端部に取り付けられる第1支持部62と、延長部54と第1支持部62との間に斜め方向に掛け渡される第2支持部64と、を備えている。
【0067】
第1支持部62は、延長部54におけるかさ上げ部52と反対側の端部に固定される縦壁部62Aと、縦壁部62Aの上端から斜め方向に延びた傾斜部62Bと、傾斜部62Bの上端から水平方向に延びた水平部62Cと、を備えている。水平部62Cの高さは、延長部54の高さよりも高い。
【0068】
第2支持部64は、斜め方向の下端部側が延長部54に支持され、斜め方向の上端部側が傾斜部62Bに接触している。第2支持部64は、延長部54の上昇に伴って傾斜部62Bと摺動可能とされている。かさ上げ部52、延長部54及び延長ユニット60の上には、例えば、長手方向の長さが864mmより長く、1200mm以下のサイズの長尺の記録媒体Pが積載される。その際、記録媒体Pの長手方向の一端部側は、かさ上げ部52上に配置され、記録媒体Pの長手方向の他端部側は、延長部54から傾斜部62Bを経て水平部62Cの上に配置される。
【0069】
(昇降装置)
図13には、昇降装置100の構成が側面図にて示されている。また、
図14には、昇降装置100の構成が斜視図にて示されている。
図13では、昇降装置100の構成を分かりやすくするため、模式的な構成を図示している。
【0070】
図13及び
図14に示されるように、昇降装置100は、積載部16の奥行き方向の一方(
図14では矢印Z方向の手前側)の下部に連結された2本のワイヤ102A、102Bと、本体部12の上部側に配置されると共にワイヤ102A、102Bがそれぞれ巻き掛けられるプーリ104A、104Bと、を備えている。また、昇降装置100は、プーリ104A、104Bからの2本のワイヤ102A、102Bを巻き上げる巻き上げプーリ106を備えている(
図13参照)。
【0071】
昇降装置100は、図示を省略するが、積載部16の奥行き方向の他方(
図14では矢印Z方向の奥側)にも、2本のワイヤ102A、102Bと、プーリ104A、104Bと、巻き上げプーリ106(
図14に図示)と、を備えている。
図14に示されるように、装置奥行き方向両側の巻き上げプーリ106は、プーリ軸108で接続されている。巻き上げプーリ106には、後述するカップリング機構120(
図15参照)を介してモータ110が接続されている。
【0072】
図14に示されるように、積載部16の下部には、装置奥行き方向(矢印Z方向)に沿って2本のフレーム112が取り付けられており、2本のワイヤ102A、102Bは、それぞれフレーム112に連結されている。ワイヤ102Aは、積載部16における記録媒体Pの搬送方向下流側に配置されている。ワイヤ102Bは、積載部16における記録媒体Pの搬送方向上流側に配置されている。
【0073】
図13に示されるように、本体部12の内部には、水平方向に配置されると共に、積載部16が最下降位置まで下降したときに積載部16の下部が接触するフレーム13が設けられている。積載部16がフレーム13と接触する最下降位置まで下降した状態で、積載部16の上にかさ上げ部52が配置されると共に、かさ上げ部52における記録媒体Pの搬送方向上流側の側部に延長部54が取り付けられている。
【0074】
図13に示されるように、昇降装置100には、積載部16の上側(
図13ではかさ上げ部52及び延長部54の上)に積載された記録媒体Pの最上部の記録媒体Pの位置を検出するセンサ114が設けられている。昇降装置100では、センサ114による検出信号に基づき、モータ110を回転させることで、記録媒体Pの最上部の記録媒体Pの位置が定められた高さとなるように、積載部16を上昇させる。
【0075】
図15及び
図16に示されるように、カップリング機構120は、モータ110に接続される駆動側カップリング122と、プーリ軸108(
図14参照)に接続される非駆動側カップリング124と、を備えている。また、カップリング機構120は、駆動側カップリング122と非駆動側カップリング124との間に配置されるスペーサ126と、スペーサ126を軸方向に移動させるカム128と、カム128を回転させるモータ130と、を備えている。
【0076】
非駆動側カップリング124は、スペーサ126と対向する側に凹部124Aを備えている。スペーサ126は、非駆動側カップリング124の側に突出すると共に凹部124Aに係合する突起部126Aと、非駆動側カップリング124と連結される軸部126B(
図16参照)と、を備えている。スペーサ126が軸方向に沿って非駆動側カップリング124の側に移動することで、突起部126Aが非駆動側カップリング124の凹部124Aに係合されると共に、スペーサ126の軸部126B(
図16参照)と非駆動側カップリング124とが連結される。
【0077】
スペーサ126は、駆動側カップリング122側に突出する複数の突起部126Cを備えている(
図15参照)。駆動側カップリング122は、スペーサ126が駆動側カップリング122側に移動したときに、複数の突起部126Cがそれぞれ挿入される孔部122Aを備えている(
図15参照)。スペーサ126が駆動側カップリング122の側に移動したときに、複数の突起部126Cがそれぞれ孔部122Aに挿入されることで、スペーサ126と非駆動側カップリング124とが離間されて非連結状態となる。
【0078】
カム128は、スペーサ126のフランジ126Dに接触すると共に軸方向の厚さが徐々に変化する接触面128Aを備えている。カム128の接触面128Aがスペーサ126のフランジ126Dに接触しながら回転することで、スペーサ126は、非駆動側カップリング124の側の連結位置と、駆動側カップリング122の側の非連結位置とに移動する。
【0079】
<作用及び効果>
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0080】
シート収容装置10では、通常サイズよりも長手方向の長い長尺の記録媒体P(例えば、864mmまでの長さの記録媒体P)を使用する際には、本体部12に取付装置14を取り付ける。取付装置14の第1延長ユニット50を取り付ける際には、カップリング機構120のカム128を回転させ、カップリング機構120を非連結状態とする(
図16参照)。これにより、昇降装置100のワイヤ102A、102Bとモータ110との接続が遮断されることで、積載部16が自重でフレーム13と接触する最下降位置まで下降する(
図13参照)。
【0081】
この状態で、積載部16上に図示しない締結具によりかさ上げ部52が取り付けられ、さらにかさ上げ部52の上下方向上側の側部に図示しない締結具により延長部54が取り付けられる。さらに、かさ上げ部52及び延長部54の上部に長尺の記録媒体P(例えば、864mmまでの長さの記録媒体P)が積載される。また、カップリング機構120のカム128を回転させることで、カップリング機構120を連結状態とする(
図15参照)。
【0082】
昇降装置100では、カップリング機構120が連結された状態で、モータ110の回転力がカップリング機構120を介して巻き上げプーリ106に伝達され、巻き上げプーリ106が回転する。これにより、ワイヤ102A、102Bが巻き上げられ、プーリ104A、104Bを介してワイヤ102A、102Bが連結された積載部16が上昇する。このとき、積載部16上のかさ上げ部52と、かさ上げ部52の上下方向上側の側部に取り付けられた延長部54とが積載部16と一体として上昇する。昇降装置100では、かさ上げ部52及び延長部54の上側に積載された記録媒体Pの最上部の記録媒体Pの位置が定められた高さとなるように、積載部16を上昇させる(
図4参照)。この状態で、シート収容装置10では、搬送部38により記録媒体Pが一枚ずつ画像形成装置202に供給される。
【0083】
ここで、
図18~
図20を用いて、第1比較例~第3比較例のシート収容装置について説明する。
【0084】
図18には、第1比較例のシート収容装置300が示されている。
図18に示されるように、シート収容装置300は、積載部16と、積載部16における記録媒体Pの搬送方向上流側の側部に取り付けられる延長部302と、を備えている。延長部302は、積載部16に図示しない締結具で固定されている。また、シート収容装置300は、積載部16を昇降させる昇降装置310を備えている。
【0085】
昇降装置310は、積載部16に連結される2本のワイヤ102A、102Bと、本体部12の上部側に配置されると共にワイヤ102A、102Bがそれぞれ巻き掛けられるプーリ104A、104Bと、を備えている。また、昇降装置310は、プーリ104A、104Bからの2本のワイヤ102A、102Bを巻き上げる巻き上げプーリ106を備えている。巻き上げプーリ106には、モータ312が接続されている。
【0086】
シート収容装置300では、積載部16及び延長部302上に長尺の記録媒体Pが積載されている。昇降装置310では、最上部の記録媒体Pの位置をセンサ114により検出することで、最上部の記録媒体Pの位置が定められた高さとなるように、積載部16が上昇する。
【0087】
しかし、シート収容装置300では、積載部16及び延長部302上に長尺の記録媒体Pが積載されているため、記録媒体Pの質量が大きい。このため、シート収容装置300では、本実施形態のシート収容装置10のモータ110と比べて、より重い記録媒体Pを上昇させる性能を有するモータ312に変更する必要がある。また、積載部16及び延長部302により長尺の記録媒体Pをリフトアップするときの装置幅方向のバランスが悪く、長尺の記録媒体Pのリフトアップが困難となる可能性がある。
【0088】
図19には、第2比較例のシート収容装置320が示されている。
図19に示されるように、シート収容装置320は、積載部16と、積載部16における記録媒体Pの搬送方向上流側の側部に取り付けられる延長部302と、を備えている。また、シート収容装置320は、積載部16を昇降させる昇降装置330を備えている。
【0089】
昇降装置330は、積載部16に連結される2本のワイヤ102A、102Bと、2本のワイヤ102A、102Bがそれぞれ巻き掛けられるプーリ104A、104Bと、2本のワイヤ102A、102Bを巻き上げる巻き上げプーリ106と、を備えている。さらに、昇降装置330は、巻き上げプーリ106に接続されるモータ332と、延長部302が取り付けられたときの積載部16の高さを検出するセンサ334と、を備えている。
【0090】
シート収容装置320では、センサ334で積載部16の高さを検出することで、積載部16がフレーム13と接触する最下降位置まで下降しないようにし、積載部16及び延長部302上に積載される長尺の記録媒体Pの積載枚数を制限している。
【0091】
しかし、シート収容装置320では、センサ334が必要となると共に検出回路(図示省略)を変更する必要がある。また、積載部16及び延長部302を宙吊りとした状態で記録媒体Pを積載した場合に、積載部16又は延長部302の衝撃により、ワイヤ102A、104Bやモータ332の駆動伝達系統に大きな負荷がかかる。
【0092】
図20には、第3比較例のシート収容装置340が示されている。
図19に示されるように、シート収容装置340は、積載部16と、積載部16における記録媒体Pの搬送方向上流側の側部に取り付けられる延長部302と、を備えている。また、シート収容装置340は、積載部16を昇降させる昇降装置350を備えている。
【0093】
昇降装置350は、積載部16に連結される2本のワイヤ352A、352Bと、2本のワイヤ352A、352Bがそれぞれ巻き掛けられるプーリ104A、104Bと、2本のワイヤ352A、352Bを巻き上げる巻き上げプーリ106と、を備えている。さらに、昇降装置350は、巻き上げプーリ106に接続されるモータ352を備えている。ワイヤ352Aの長さは、第2比較例のシート収容装置320のワイヤ102Aの長さよりも短く、ワイヤ352Bの長さは、第2比較例のシート収容装置320のワイヤ102Bの長さよりも短い。このシート収容装置340では、積載部16の高さを検出するセンサ(
図19に示すセンサ334)は設けられていない。
【0094】
シート収容装置340は、積載部16の高さを検出するセンサを設けないようにするため、ワイヤ352A、352Bの長さを第2比較例のシート収容装置320のワイヤ102A、102Bの長さよりも短くしている。しかし、シート収容装置340では、長尺の記録媒体Pを収容するためにワイヤ352A、352Bを交換する必要がある。また、積載部16及び延長部302を宙吊りとした状態で記録媒体Pを積載した場合に、ワイヤ352A、352Bに大きな負荷がかかる。
【0095】
これに対して、本実施形態のシート収容装置10では、積載部16を自重によりフレーム13と接触する最下降位置まで下降させた状態で、積載部16上にかさ上げ部52を配置し、かさ上げ部52の側部に延長部54を取り付ける。このため、シート収容装置10では、かさ上げ部52及び延長部54上に長尺の記録媒体Pが積載されることで、長尺の記録媒体Pの質量が小さくなる。また、シート収容装置10では、積載部16を宙吊りとした状態で長尺の記録媒体Pを搭載する必要がない。また、ワイヤ102A、102Bを交換する必要もない。さらに、かさ上げ部52及び延長部54上の長尺の記録媒体Pの重心がワイヤ352A、352Bの間の中心部に近づく。
【0096】
したがって、シート収容装置10では、シートの積載面をかさ上げなしで延長する構成と比較して、昇降装置100の負荷が軽減される。
【0097】
また、シート収容装置10では、かさ上げ部52及び延長部54上に長尺の記録媒体Pが長さ方向に積載される。このため、シート収容装置10では、積載部又はかさ上げ部のみでシートを支持する場合と比較して、通常サイズよりも長い長尺のシートが積載される。また、シート収容装置10では、シートの短い方向の一端側に延長部が設けられている場合と比較して、通常サイズよりも長い長尺の記録媒体Pが積載される。
【0098】
また、シート収容装置10では、かさ上げ部52は、積載部16における積載面16Aの上に配置されている。このため、シート収容装置10では、かさ上げ部が積載部の下側に配置されている場合と比べて、かさ上げ部52の取り付け作業が容易である。
【0099】
また、シート収容装置10では、延長部54は、かさ上げ部52の側方に固定されており、積載部16の上昇により延長部54がかさ上げ部52と一体で上昇する。このため、シート収容装置10では、延長部がかさ上げ部の側方にかさ上げ部とは別の部材に固定される場合と比較して、延長部54の取り付けが簡単である。
【0100】
また、シート収容装置10では、昇降装置100は、積載部16を昇降させるワイヤ102A、102Bと、ワイヤ102A、102Bを巻き取るモータ110と、を備えている。そして、かさ上げ部52の取付時に、ワイヤ102A、102Bとモータ110との接続を遮断することで、積載部16が自重で最下降位置まで下降する。このため、シート収容装置10では、かさ上げ部の取付時に積載部とワイヤとの接続を遮断しない構成と比較して、かさ上げ部52の取付作業が容易となる。
【0101】
また、シート収容装置10では、かさ上げ部52の側の一端部から延長部54の側の他端部までの長さは、A3サイズの記録媒体Pの長手方向の長さよりも長い。このため、シート収容装置10では、A3サイズよりも長手方向の長い記録媒体P(一例として、488mmよりも長い記録媒体P)が積載可能となる。
【0102】
また、シート収容装置10では、かさ上げ部52の側の一端部から延長部54の側の他端部までの長さは、864mmの長さの記録媒体Pの末端がはみ出さない長さとされている。このため、シート収容装置10では、864mmの長さの記録媒体Pが積載可能となる。
【0103】
また、シート収容装置10では、かさ上げ部52の上側に積載された記録媒体Pに空気吹出部44から空気を吹き込み、吸着部42により最上部の記録媒体Pを吸着して搬送する。このため、シート収容装置10では、かさ上げ部の上側に積載されたシートのうち最上部のシートを給紙ロールのみによって搬送する場合と比較して、記録媒体Pの重送が抑制される。
【0104】
また、画像形成システム200では、シート収容装置10と、シート収容装置10から搬送された記録媒体Pに画像を形成する画像形成装置202と、を有する。このため、画像形成システム200では、シートの積載面をかさ上げなしで延長する構成と比較して、積載部16の側方の本体部12の強度部品と記録媒体Pの積載面52Aとの干渉が抑制される。
【0105】
〔第2実施形態〕
次に、
図17を用いて、第2実施形態のシート収容装置について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0106】
図17に示されるように、第2実施形態のシート収容装置140は、積載部16を延長する延長ユニットの一例としての第1延長ユニット142を備えている。第1延長ユニット142は、上昇可能な積載部16の最下降位置に対して記録媒体Pの積載面をかさ上げするかさ上げ部144と、かさ上げ部144の側から平面視にて積載部16の外側に延長される延長部146と、を備えている。さらに、シート収容装置140は、積載部16を昇降させる昇降部の一例としての昇降装置150を備えている。
【0107】
かさ上げ部144は、昇降装置150により定められた位置に上昇させた積載部16の下側に配置されている。かさ上げ部144は、装置本体の一例としてのフレーム13に固定されている。かさ上げ部144は、積載部16に固定されておらず、昇降装置150により積載部16が上昇しても、かさ上げ部144は上昇しない。
【0108】
延長部146は、積載部16の側部に図示しない締結具により固定されている。延長部146は、昇降装置150により積載部16と一体で昇降される。延長部146の上面には、長尺の記録媒体Pが積載される積載面146Aが形成されている。
【0109】
積載部16及び延長部146の上には、通常サイズよりも長手方向の長さが長い長尺の記録媒体Pが積載されている。言い換えると、かさ上げ部144の上方側には、長尺の記録媒体Pの長手方向の一端部側が積載されている。延長部146は、長尺の記録媒体Pの長手方向の他端部側を支えている。
【0110】
昇降装置150は、積載部16に連結される2本のワイヤ152A、152Bと、本体部12の上部側に配置されると共にワイヤ152A、152Bがそれぞれ巻き掛けられるプーリ104A、104Bと、を備えている。また、昇降装置150は、プーリ104A、104Bからの2本のワイヤ152A、152Bを巻き上げる巻き上げプーリ106を備えている。巻き上げプーリ106は、カップリング機構120を介してモータ110に接続されている。
【0111】
シート収容装置140では、昇降装置150により積載部16を定められた高さ(すなわち、かさ上げ部144が設置可能な高さ)以上に上昇させ、かさ上げ部144をフレーム13上に設置する。かさ上げ部144は、フレーム13に図示しない締結具により固定してもよい。そして、かさ上げ部144に接触する位置に積載部16を下降させ、積載部16の側部に図示しない締結具により延長部146を取り付ける。この状態で、積載部16の積載面16A及び延長部146の積載面146Aの上に長尺の記録媒体Pが積載される。
【0112】
シート収容装置140では、第1実施形態のシート収容装置10と同じ構成による作用及び効果に加えて、以下のような作用及び効果を有している。
【0113】
シート収容装置140では、かさ上げ部144は、昇降装置150により定められた位置に上昇させた積載部16の下側に配置されている。このため、シート収容装置140では、積載部16の記録媒体Pを積載する構造をそのまま使用できる。
【0114】
また、シート収容装置140では、かさ上げ部144は、フレーム13に固定されている。これにより、積載部16、延長部146及びこれらの上に積載される長尺の記録媒体P全体の質量が軽くなる。このため、シート収容装置140では、かさ上げ部が積載部に固定されている場合と比較して、昇降装置150の負荷が低減される。
【0115】
〔補足説明〕
第1実施形態のシート収容装置10では、延長部54は、かさ上げ部52の側部に固定されていたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、延長部は、かさ上げ部の側方に配置されると共に装置本体に固定されており、積載部の上昇により延長部は上昇せずにかさ上げ部のみが上昇する構成としてもよい、これにより、シート収容装置では、積載部の上昇により延長部がかさ上げ部と一体で上昇する場合と比較して、昇降部の負荷が抑制される。
【0116】
第2実施形態のシート収容装置140では、延長部146は、積載部16の側部に固定されていたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、延長部は、積載部の側方に配置されると共に装置本体に固定されており、積載部の上昇により延長部は上昇せずに積載部のみが上昇する構成としてもよい、これにより、シート収容装置では、積載部の上昇により延長部が積載部と一体で上昇する場合と比較して、昇降部の負荷が抑制される。
【0117】
また、第1実施形態において、かさ上げ部52及び延長部54の構成部品や形状は変更可能である。
【0118】
第1及び第2実施形態では、シート収容装置10は、画像形成装置202よりも記録媒体Pの搬送方向上流側に設けられ、シート収容装置10から画像形成装置202に記録媒体Pを搬送したが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、シート収容装置を画像形成装置よりも記録媒体の搬送方向下流側に設け、画像形成装置により画像が形成された記録媒体をシート収容装置に回収する構成でもよい。
【0119】
第1及び第2実施形態では、記録媒体Pが使用されているが、本開示のシート収容装置は、記録媒体に限られない。本開示のシート収容装置では、例えば、記録媒体以外のシート状媒体(例えば、金属製シート、樹脂製シート、布製シートなど)であれば適用可能である。
【0120】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0121】
10 シート収容装置
12 本体部(装置本体の一例)
13 フレーム(装置本体の一例)
16 積載部
16A 積載面
40 給紙ロール(搬送部の一例)
42 吸着部(搬送部の一例)
44 空気吹出部(搬送部の一例)
50 第1延長ユニット(延長ユニットの一例)
52 かさ上げ部
54 延長部
100 昇降装置(昇降部の一例)
102A、102B ワイヤ
110 モータ
140 シート収容装置
142 第1延長ユニット(延長ユニットの一例)
144 かさ上げ部
146 延長部
150 昇降装置(昇降部の一例)
152A、152B ワイヤ
P 記録媒体(シートの一例)