(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】送出装置、画像形成装置、制御装置及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B65H 7/14 20060101AFI20231212BHJP
B65H 1/14 20060101ALI20231212BHJP
B65H 3/06 20060101ALI20231212BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20231212BHJP
B65H 7/04 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65H7/14
B65H1/14 322A
B65H3/06 310
G03G15/00 405
B65H7/04
(21)【出願番号】P 2019162939
(22)【出願日】2019-09-06
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】貫井 哲雄
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-199580(JP,A)
【文献】特開2016-060634(JP,A)
【文献】特開2015-199556(JP,A)
【文献】特開2008-007284(JP,A)
【文献】特開2012-051676(JP,A)
【文献】特開平02-204225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/14
B65H 1/14
B65H 3/06
G03G 15/00
B65H 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部に収容された被送出材を送り出す送出ロールと、
前記収容部に収容された被送出材を上昇させることで、該被送出材を前記送出ロールに押し当てる上昇部と、
前記送出ロールが予め定められた高さに位置するか否かを検知する第一検知部と、
前記収容部に収容された被送出材の有無を検知する第二検知部と、
前記送出ロールによる前記被送出材の送出後に、前記送出ロールが前記予め定められた高さに位置しないことが前記第一検知部によって検知された場合に、前記上昇部によって前記被送出材を上昇させてから前記第二検知部で前記有無を検知させる制御を行う制御装置と、
を備え、
前記第二検知部は、前記収容部に収容された前記被送出材に接触する接触部材の位置によって、前記被送出材の有無を検知し、
前記制御装置は、
前記接触部材の接触位置での第一厚さよりも、前記送出ロールの接触位置での第二厚さが厚い被送出材が前記収容部に収容される場合に前記制御を行う
送出装置。
【請求項2】
前記被送出材は、
紙材が重ねられて形成され、
前記制御装置は、
前記第一厚さでの枚数よりも多い枚数が重ねられることで前記第二厚さが厚い被送出材が前記収容部に収容される場合に前記制御を行う
請求項1に記載の送出装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記送出ロールによる前記被送出材の送出が行われる毎に、前記第一検知部で送出ロールが前記予め定められた高さに位置するか否かを検知させ、前記送出ロールが前記予め定められた高さに位置しないことが前記第一検知部によって検知された場合に、前記制御を行う
請求項1又は2に記載の送出装置。
【請求項4】
収容部に収容された被送出材を送り出す送出ロールと、
前記収容部に収容された被送出材を上昇させることで、該被送出材を前記送出ロールに押し当てる上昇部と、
前記送出ロールが予め定められた高さに位置するか否かを検知する第一検知部と、
前記収容部に収容された被送出材の有無を検知する第二検知部と、
前記送出ロールによる前記被送出材の送出後に、前記送出ロールが前記予め定められた高さに位置しないことが前記第一検知部によって検知された場合に、前記上昇部によって前記被送出材を上昇させてから前記第二検知部で前記有無を検知させる制御を行う制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
送出方向に沿った厚さが一定である被送出材が前記収容部に収容される場合には、前記送出ロールによる前記被送出材の送り出し後に、前記上昇部による前記被送出材の上昇を行わずに前記第二検知部で前記有無を検知させる制御を行う
送出装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記第二検知部で前記有無を検知した結果、前記第二検知部が前記被送出材の有りを検知した場合において、前記送出ロールが前記予め定められた高さに位置しないことが前記第一検知部によって検知された場合に、前記上昇部によって前記被送出材を上昇させる制御を行う
請求項4に記載の送出装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の送出装置と、
前記送出装置によって送り出された被送出材としての記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送出装置、画像形成装置、制御装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、用紙をセットするトレイと、前記トレイ上に前記用紙がセットされているか否かを検知するセット用紙検知手段と、前記トレイ上にセットされた前記用紙を1枚ずつ用紙搬送路に送り出す給紙手段とを備えた自動用紙給送装置において、前記セット用紙検知手段が、前記トレイの先端側の壁面に沿うように配設され、前記用紙がトレイ上にセットされた際、前記壁面側に移動するように一端部が軸支された第1のアクチュエータと、前記第1のアクチュエータと当接するとともに、前記用紙搬送路を介して前記第1のアクチュエータと対峙するように配設され、前記第1のアクチュエータの移動に伴って前記用紙の搬送方向に跳ね上がるように軸支された第2のアクチュエータと、前記第2のアクチュエータにより制御され、前記トレイ上における前記用紙の有無の検知を行う用紙検知センサとからなることを特徴とする自動用紙給紙装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、開閉可能な手差しトレイと、該手差しトレイの給紙を行う手差し給紙装置を備え、手差し給紙可能に構成してある画像形成装置において、前記手差し給紙装置は、用紙を積載する手差し台と、積載された用紙を送り出すピックアップローラと、送り出された用紙を1枚に分離するフィードローラ及びリバースローラと、セットされた用紙の先端位置を検知する検知手段と、を備え、給紙命令の直後に前記検知手段により検知状態のチェックを行い、前記用紙のセット位置が適切でないときには給紙動作を行わず、用紙の再セットを促すことを特徴とする画像形成装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、用紙を給紙カセットの底板に支持させ、該底板の給紙側端部を上昇させることにより給紙ローラに上記用紙を押圧し、該給紙ローラを回転させて用紙を送り出す給紙装置において用いる用紙残量検知装置であって、用紙の有無により回動する第1の突出部を有する第1のアクチュエータと、上記底板の高さにより回動する第2の突出部を有する第2のアクチュエータと、上記第1、第2の突出部の回動軌跡上にそれぞれ配置する複数個の突出部検知手段とを備え、上記第1、第2の突出部の回動軌跡の少なくとも一部を一致させ、上記突出部検知手段による上記突出部の検知情報を用いて、上記給紙カセット内の用紙の残量及び有無を検知可能としてなることを特徴とする給紙装置の用紙残量検知装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-239402号公報
【文献】特開2007-106573号公報
【文献】特開2000-118792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、送出装置としては、収容部に収容された被送出材を送り出す送出ロールと、前記収容部に収容された被送出材を上昇させることで、前記送出ロールに押し当てる上昇部と、を備える送出装置が考えられる。当該送出装置において、送出ロールによる被送出材の送り出し後に、上昇部による被送出材の上昇を行わずに被送出材の有無を検知すると、被送出材が無いと誤検知する場合がある。
【0007】
本発明は、送出ロールによる被送出材の送り出し後に上昇部が被送出材の高さを常に維持したまま被送出材の有無を検知する構成に比べ、被送出材が無いと誤検知することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様は、収容部に収容された被送出材を送り出す送出ロールと、前記収容部に収容された被送出材を上昇させることで、該被送出材を前記送出ロールに押し当てる上昇部と、前記送出ロールが予め定められた高さに位置するか否かを検知する第一検知部と、前記収容部に収容された被送出材の有無を検知する第二検知部と、前記送出ロールによる前記被送出材の送出後に、前記送出ロールが前記予め定められた高さに位置しないことが前記第一検知部によって検知された場合に、前記上昇部によって前記被送出材を上昇させてから前記第二検知部で前記有無を検知させる制御を行う制御装置と、を備える送出装置である。
【0009】
第2態様は、前記第二検知部は、前記収容部に収容された前記被送出材に接触する接触部材の位置によって、前記被送出材の有無を検知し、前記制御装置は、前記接触部材の接触位置での第一厚さよりも、前記送出ロールの接触位置での第二厚さが厚い被送出材が前記収容部に収容される場合に前記制御を行う第1態様に係る送出装置である。
【0010】
第3態様は、前記被送出材は、紙材が重ねられて形成され、前記制御装置は、前記第一厚さでの枚数よりも多い枚数が重ねられることで前記第二厚さが厚い被送出材が前記収容部に収容される場合に前記制御を行う第2態様に係る送出装置である。
【0011】
第4態様は、前記制御装置は、前記送出ロールによる前記被送出材の送出が行われる毎に、前記第一検知部で送出ロールが前記予め定められた高さに位置するか否かを検知させ、前記送出ロールが前記予め定められた高さに位置しないことが前記第一検知部によって検知された場合に、前記制御を行う第2態様又は第3態様に係る送出装置である。
【0012】
第5態様は、前記制御装置は、送出方向に沿った厚さが一定である被送出材が前記収容部に収容される場合には、前記送出ロールによる前記被送出材の送り出し後に、前記上昇部による前記被送出材の上昇を行わずに前記第二検知部で前記有無を検知させる制御を行う第1態様に係る送出装置である。
【0013】
第6態様は、前記制御装置は、前記第二検知部で前記有無を検知した結果、前記第二検知部が前記被送出材の有りを検知した場合において、前記送出ロールが前記予め定められた高さに位置しないことが前記第一検知部によって検知された場合に、前記上昇部によって前記被送出材を上昇させる制御を行う第5態様に係る送出装置である。
【0014】
第7態様は、第1態様から第6態様までのいずれか1つの態様に係る送出装置と、前記送出装置によって送り出された被送出材としての記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置である。
【0015】
第8態様は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、収容部に収容された被送出材が上昇部によって上昇されることで、該被送出材が押し当てられる送出ロールが、予め定められた高さに位置するか否かの情報を取得し、前記送出ロールによる前記被送出材の送出後に、前記送出ロールが前記予め定められた高さに位置しない場合に、前記上昇部によって前記被送出材を上昇させてから前記被送出材の有無を検知部で検知させる制御を行う制御装置である。
【0016】
第9態様は、コンピュータに、収容部に収容された被送出材が上昇部によって上昇されることで、該被送出材が押し当てられる送出ロールが、予め定められた高さに位置するか否かの情報を取得し、前記送出ロールによる前記被送出材の送出後に、前記送出ロールが前記予め定められた高さに位置しない場合に、前記上昇部によって前記被送出材を上昇させてから前記被送出材の有無を検知部で検知させる制御を行う処理を実行させるための制御プログラムである。
【発明の効果】
【0017】
第1態様の構成によれば、送出ロールによる被送出材の送り出し後に上昇部が被送出材の高さを常に維持したまま被送出材の有無を検知する構成に比べ、被送出材が無いと誤検知することが抑制される。
【0018】
第2態様の構成によれば、収容部に収容される被送出材の厚さに関係になく常に制御を行う構成に比べ、被送出材を送出してから次の被送出材を送出するまで時間が短くなる。
【0019】
第3態様の構成によれば、接触部材の接触位置での第一厚さよりも、送出ロールの接触位置での第二厚さが厚い被送出材が収容部に収容される場合に常に制御を行う構成に比べ、被送出材を送出してから次の被送出材を送出するまで時間が短くなる。
【0020】
第4態様の構成によれば、被送出材の送出が複数回行われる毎に第一検知部で送出ロールの位置を検知させる構成に比べ、被送出材が無いと誤検知することが抑制される。
【0021】
第5態様の構成によれば、上昇部による被送出材の上昇を常に行ってから第二検知部で有無を検知させる構成に比べ、被送出材を送出してから次の被送出材を送出するまで時間が短くなる。
【0022】
第6態様の構成によれば、送出ロールによる被送出材の送り出し後に、上昇部による被送出材の上昇を常に行わない構成に比べ、送出ロールによる被送出材の送出不良が抑制される。
【0023】
第7態様の構成によれば、送出ロールによる被送出材の送り出し後に上昇部による被送出材の上昇を常に行わずに第二検知部で有無を検知させる構成に比べ、記録媒体が無いと誤検知することが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【
図2】本実施形態に係る送出装置の構成を示す概略図である。
【
図3】本実施形態に係る、収容部に収容された記録媒体の有無を検知する有無検知部の構成を模式的に示す概略図である。
【
図4】
図3に示す有無検知部において、収容部に記録媒体がない場合を模式的に示す概略図である。
【
図5】本実施形態に係る制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る収容部に封筒が収容された場合を模式的に示す概略図である。
【
図7】本実施形態に係る制御装置による制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態に係る収容部に封筒が収容された場合の有無検知部を模式的に示す概略図である。
【
図9】
図8に示す構成において、記録媒体の上昇を行わない場合の有無検知部を模式的に示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0026】
(画像形成装置10)
本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0027】
図1に示される画像形成装置10は、送り出される被送出材の一例としての記録媒体に画像を形成する画像形成装置の一例である。具体的には、画像形成装置10は、記録媒体Pにトナー像(画像の一例)を形成する電子写真式の画像形成装置である。さらに具体的には、画像形成装置10は、収容部12と、排出部13と、送出装置18と、搬送装置15と、画像形成部14と、定着装置16と、を備えている。以下、画像形成装置10の各部(収容部12、排出部13、送出装置18、搬送装置15、画像形成部14及び定着装置16)について説明する。
【0028】
(収容部12、排出部13、送出装置18及び搬送装置15)
収容部12は、用紙等の記録媒体Pを収容する機能を有している。排出部13は、記録媒体Pが排出される部分である。
【0029】
送出装置18は、収容部12から記録媒体Pを送り出す装置である。なお、送出とは、送り出すことを意味する。送出装置18の具体的な構成について後述する。
【0030】
搬送装置15は、送出装置18が送り出した記録媒体Pを搬送する機能を有している。具体的には、搬送装置15は、収容部12から画像形成部14(具体的には後述の二次転写位置T2)及び定着装置16を経由して、排出部13へ記録媒体Pを搬送する機能を有している。さらに具体的には、搬送装置15は、記録媒体Pを搬送する複数の搬送ロール19を有している。
【0031】
(画像形成部14)
画像形成部14は、送出装置18によって送り出された記録媒体Pにトナー画像を形成する機能を有している。具体的には、画像形成部14は、トナー像形成部22と、転写装置17と、を有している。
【0032】
(トナー像形成部22)
図1に示されるトナー像形成部22は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー像形成部22が設けられている。
図1に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。
【0033】
各色のトナー像形成部22は、用いるトナーを除き同様に構成されているので、各色のトナー像形成部22を代表して、
図1ではトナー像形成部22(Y)の各部に符号を付している。
【0034】
各色のトナー像形成部22は、具体的には、一方向(例えば
図1における反時計回り方向)に回転する感光体ドラム32(感光体)を有している。さらに、各色のトナー像形成部22は、帯電器23と、露光装置36と、現像装置38と、を有している。
【0035】
各色のトナー像形成部22では、帯電器23が、感光体ドラム32を帯電させる。さらに、露光装置36が、帯電器23によって帯電された感光体ドラム32を露光して、感光体ドラム32に静電潜像を形成する。また、現像装置38が、露光装置36によって感光体ドラム32に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0036】
(転写装置17)
図1に示される転写装置17は、トナー像形成部22で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する装置である。具体的には、転写装置17は、
図1に示されるように、中間転写体としての転写ベルト24と、一次転写ロール26と、二次転写ロール28と、を備えている。
【0037】
転写ベルト24は、複数のロール42に巻き掛けられた環状のベルトで構成されている。この転写ベルト24は、複数のロール42のいずれかが回転駆動することで、一方向(例えば
図1における時計回り方向)へ周回する。
【0038】
転写装置17では、一次転写ロール26が、各色の感光体ドラム32のトナー像を、感光体ドラム32と一次転写ロール26との間の一次転写位置T1にて、転写ベルト24に重ねて一次転写する。
【0039】
転写ベルト24に一次転写されたトナー像は、転写ベルト24が周回することで、二次転写ロール28と転写ベルト24との間の二次転写位置T2へ搬送される。そして、二次転写ロール28が、二次転写位置T2へ搬送されたトナー像を記録媒体Pに二次転写する。
【0040】
なお、画像形成部14の構成としては、上記構成に限らない。例えば、画像形成部14の構成としては、転写ベルト24を介さずに、感光体ドラム32から直接、記録媒体Pに転写する構成であってもよい。この場合では、例えば、単色のトナー画像が記録媒体Pに転写される。
【0041】
(定着装置16)
図1に示される定着装置16は、二次転写ロール28によって記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着する装置である。具体的には、定着装置16は、
図1に示されるように、加熱部材としての加熱ロール68と、加圧部材としての加圧ロール69と、を有している。定着装置16では、加熱ロール68及び加圧ロール69によって、記録媒体Pを加熱及び加圧することで、記録媒体Pに形成されたトナー像を該記録媒体Pに定着する。
【0042】
(送出装置18の具体的な構成)
送出装置18は、具体的には、
図2に示されるように、送出ロール71と、底板72と、高さ検知部73と、有無検知部74と、制御装置50と、を備えている。以下、送出装置18の各部(送出ロール71、底板72、高さ検知部73、有無検知部74及び制御装置50)について説明する。
【0043】
(送出ロール71)
図2に示される送出ロール71は、収容部12に収容された記録媒体Pを送り出すロールである。この送出ロール71は、予め定められた範囲で上下方向に移動可能に画像形成装置10の装置本体11(
図1参照)に支持されている。さらに、送出ロール71は、バネ等の弾性体(図示省略)の弾性力により、下方へ押され又は引っ張られている。
【0044】
この送出ロール71は、底板72に積載された記録媒体Pが下方側から押し当てられることで、前述の弾性体の弾性力に対抗して、予め定められた高さ(以下、送出位置という)まで上昇する。そして、送出ロール71は、送出位置において、底板72に積載された記録媒体Pの上面に接触した状態で
図1における時計回り方向に回転することで、記録媒体Pを収容部12から
図1における左方(以下、送出方向という)へ送り出す。
【0045】
(底板72)
図2に示される底板72は上昇部の一例である。この底板72は、収容部12に収容された記録媒体Pを上昇させることで、当該記録媒体Pを送出ロール71に押し当てる機能を有している。具体的には、底板72は、収容部12に収容された記録媒体Pが積載される部材であり、板状に形成されている。さらに、底板72は、送出方向とは反対側の端部(
図1における右端部)を支点72Aとして、送出方向側の端部(
図1における左端部)が上昇可能に収容部12に支持されている。
【0046】
この底板72は、側面視にて傾斜した状態で、上昇機構79により上昇される。これにより、底板72は、積載された記録媒体Pを傾斜した状態で上昇させて、当該記録媒体Pを送出ロール71に押し当てる。上昇機構79としては、例えば、ラック、ピニオン及び駆動モータ等の機械要素により底板72を上昇させる機構を用いることが可能である。
【0047】
なお、上昇部の一例としては、記録媒体Pを水平に上昇させる構成であってもよい。また、上昇機構79と底板72と含めて、上昇部の一例と把握してもよい。
【0048】
(高さ検知部73)
図2に模式的に示される高さ検知部73は、第一検知部の一例である。この高さ検知部73は、送出ロール71が送出位置に位置する否かを検知する検知部である。具体的には、高さ検知部73は、例えば、送出ロール71が送出位置に位置する場合に受光し、送出ロール71が送出位置よりも下方側に位置すると遮光される透過型の光センサで構成されている。
【0049】
高さ検知部73の検知信号は、制御装置50の後述のCPU51に送られる。なお、CPU51は、高さ検知部73の検知結果に基づき、底板72の上昇機構79の駆動を制御する。具体的には、CPU51は、記録媒体Pが押し当てられた送出ロール71が送出位置に位置することが、高さ検知部73で検知されるまで、底板72を上昇機構79により上昇させる。
【0050】
(有無検知部74)
図2に示される有無検知部74は、検知部の一例であり、第二検知部の一例である。この有無検知部74は、収容部12に収容された記録媒体Pの有無を検知する検知部である。具体的には、
図3に模式的に示されるように、有無検知部74は、送出ロール71に対し記録媒体Pの送出方向上流側に配置されている。この有無検知部74は、接触部材75と、検知センサ76と、を有している。接触部材75は、底板72の上方であって、送出ロール71の近傍に配置されている。接触部材75は、接触部75Aと、被支持部75Bと、被検知部75Cと、を有している。検知センサ76は、例えば、透過型の光センサで構成されている。
【0051】
接触部材75は、例えば、被支持部75Bで画像形成装置10の装置本体11(
図1参照)又は、収容部12に揺動可能に支持されている。接触部75Aは、被支持部75Bから下方側へ延び出ており、送出ロール71が送出位置に位置するまで底板72が上昇された場合において、当該底板72に積載された記録媒体Pに接触する。これにより、接触部75Aが記録媒体Pの上面で支持され、被検知部75Cは、検知センサ76を遮光しない位置に位置する。なお、
図3において、符号PAは、複数の記録媒体Pが積載されることで形成された記録媒体Pの束を示している。
【0052】
一方、底板72に積載された記録媒体Pがなくなると、
図4に模式的に示されるように、接触部75Aが記録媒体Pの上面で支持されず、底板72の切り欠き(図示省略)で下方へ降下することで、被検知部75Cが、検知センサ76を遮光する。このように、有無検知部74では、接触部材75の位置によって、記録媒体Pの有無を検知する。すなわち、接触部材75の接触部75Aが降下することで、記録媒体Pがないことを検知する。なお、検知センサ76の検知信号は、制御装置50の後述のCPU51に送られる。
【0053】
(制御装置50)
制御装置50は、底板72の上昇機構79を含む画像形成装置10の各部の動作を制御する装置である。
図5には、制御装置50のハードウェア構成を示すブロック図が示されている。
【0054】
図5に示されるように、制御装置50は、コンピュータとしての機能を備え、CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、ストレージ54、及びI/O(Input/Output)部57を有している。制御装置50の各部は、バス59を介して相互に通信可能に接続されている。なお、CPU51は、プロセッサの一例である。
【0055】
CPU51は、中央演算処理ユニットであり、制御プログラムを含む各種プログラムを実行したり、各部の動作を制御したりする。すなわち、CPU51は、ROM52又はストレージ54からプログラムを読み出し、RAM53を作業領域としてプログラムを実行する。CPU51は、ROM52又はストレージ54に記録されているプログラムに従って、画像形成装置10の各部の制御および各種の演算処理を行う。
【0056】
ROM52は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM53は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ54は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0057】
ユーザインタフェース55は、画像形成装置10の使用者としてのユーザが、画像形成装置10を使用する際のインタフェースである。ユーザインタフェース55は、例えば、ボタンやタッチパネル等の入力部及び液晶ディスプレイ等の表示部を有している。ユーザは、ユーザインタフェース55を通じて、画像形成の指示、及び記録媒体Pの種類の指定などを行う。I/O部57は、CPU51を画像形成装置10の各部と接続する。
【0058】
ここで、制御装置50は、送出ロール71による記録媒体Pの送出後に、送出ロール71が送出位置に位置しないことが、高さ検知部73によって検知された場合に、底板72によって記録媒体Pを上昇させてから有無検知部74で記録媒体Pの有無を検知させる制御を行う。
【0059】
具体的には、制御装置50は、
図2に示されるように、機能構成として、取得部50Aと、制御部50Bと、を有している。各機能構成は、CPU51がROM52又はストレージ54に記憶された制御プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0060】
取得部50Aは、収容部12に収容された記録媒体Pが底板72によって上昇されることで記録媒体Pが押し当てられる送出ロール71が、送出位置に位置するか否かの情報(以下、位置情報という)を取得する。取得部50Aは、具体的には、送出ロール71の当該位置情報を高さ検知部73から取得する。
【0061】
また、取得部50Aは、有無検知部74が検知した記録媒体Pの有無情報を取得する。さらに、取得部50Aは、ユーザインタフェース55を通じて指定された記録媒体Pの種類情報を取得する。
【0062】
制御部50Bは、送出ロール71による記録媒体Pの送出後に、位置情報において送出ロール71が送出位置に位置しない場合に、底板72によって記録媒体Pを上昇させてから記録媒体Pの有無を有無検知部74で検知させる制御(以下、検知制御という)を行う。
【0063】
具体的には、制御部50Bは、
図6に模式的に示されるように、接触部材75の接触位置75Sでの第一厚さM1よりも送出ロール71の接触位置71Sでの第二厚さM2が厚い記録媒体Pが、収容部12に収容される場合に、検知制御を行う。なお、有無検知部74は、接触部材75が記録媒体Pの厚さが第一厚さM1の位置で接触するように配置されている。
【0064】
さらに具体的には、制御部50Bは、記録媒体Pが、紙材が重ねられて形成された記録媒体Pであって、制御部50Bは、第一厚さM1での枚数よりも多い枚数が重ねられることで、第二厚さM2が厚い記録媒体Pが、収容部12に収容される場合に検知制御を行う。
【0065】
当該記録媒体Pとしては、具体的には、例えば、封筒PSが該当する。封筒PSは、例えば、本体部PS1において紙材が2枚分重ねられている。さらに、封筒PSは、フラップPS2を有するため、第二厚さM2において、紙材が3枚分重ねられている。本実施形態では、封筒PSは、例えば、1枚の紙材から形成されている。具体的には、封筒PSは、1枚の紙材を折り畳むと共に、一部を重ね合わせることで形成されている。なお、封筒PSは、複数枚の紙材から形成されていてもよい。
【0066】
さらに説明すると、本実施形態では、制御部50Bは、記録媒体Pの種類として封筒PSが指定されている場合に、封筒PSが収容部12に収容されるものとして、検知制御を行う。なお、封筒PSは、紙材の一部(具体的にはフラップPS2)が他の一部(具体的には本体部PS1)に対して離間可能とされた記録媒体の一例ともいえる。
【0067】
また、制御部50Bは、記録媒体Pの種類として封筒PSが指定されている場合に、送出ロール71による記録媒体Pの送出が行われる毎に、高さ検知部73で送出ロール71が送出位置に位置するか否かを検知させる。これにより、取得部50Aは、送出ロール71による記録媒体Pの送出が行われる毎に、送出ロール71が、送出位置に位置するか否かの情報を取得する。そして、制御部50Bは、送出ロール71による記録媒体Pの送出が行われる毎に、高さ検知部73で検知させた結果、送出ロール71が送出位置に位置しない場合に、検知制御を行う。
【0068】
さらに説明すると、本実施形態では、制御部50Bは、送出ロール71による記録媒体Pの送出後に、位置情報において送出ロール71が送出位置に位置しない場合にのみ、検知制御を行う。
【0069】
換言すれば、制御部50Bは、送出ロール71による記録媒体Pの送出後に、送出ロール71が送出位置に位置する場合には、底板72による記録媒体Pの上昇を行わずに有無検知部74で記録媒体Pの有無を検知させる制御(以下、非上昇検知制御という)を行う。
【0070】
さらに、制御部50Bは、送出方向に沿った厚さが一定である記録媒体Pが収容部12に収容される場合には、送出ロール71による記録媒体Pの送り出し後に、非上昇検知制御を行う。当該記録媒体Pとしては、例えば、封筒PS以外の記録媒体(例えば普通紙)が該当する。
【0071】
したがって、本実施形態では、制御部50Bは、記録媒体Pの種類として封筒PS以外の記録媒体P(例えば普通紙)が指定されている場合に、封筒PS以外の記録媒体Pが収容部12に収容されるものとして、送出ロール71による記録媒体Pの送り出し後に、非上昇検知制御を行う。
【0072】
さらに、非上昇検知制御における記録媒体Pの有無を検知した結果、有無検知部74が記録媒体Pの有りを検知した場合において、位置情報において送出ロール71が送出位置に位置しない場合に、制御部50Bは、底板72によって記録媒体Pを上昇させる制御を行う。
【0073】
(本実施形態に係る作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
図7は、制御装置50によって実行される制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0074】
本制御処理は、CPU51がROM52又はストレージ54から制御プログラムを読み出して実行することにより行なわれる。本実施形態では、本制御処理は、例えば、CPU51が、記録媒体Pに画像を形成する指示を取得した場合に行われる。
【0075】
図7に示されるように、本制御処理が開始されると、CPU51は、取得した記録媒体Pの種類情報から、ユーザインタフェース55を通じて指定された記録媒体Pが封筒PSであるかを判断する(ステップS102)。
【0076】
CPU51は、ステップS102において、ユーザインタフェース55を通じて指定された記録媒体Pが封筒PSであると判断した場合に、ステップS104に移行する。一方、CPU51は、ステップS102において、ユーザインタフェース55を通じて指定された記録媒体Pが封筒PS以外の記録媒体Pであると判断した場合に、ステップS120に移行する。
【0077】
ステップS104では、CPU51は、取得部50Aが取得した送出ロール71の位置情報から、送出ロール71による記録媒体Pの送出後に、送出ロール71が送出位置に位置していないかを判断する。
【0078】
CPU51は、ステップS104において、送出ロール71による記録媒体Pの送出後に、送出ロール71が送出位置に位置してないと判断した場合に、底板72によって記録媒体Pを上昇させてから記録媒体Pの有無を有無検知部74で検知させる検知制御を行う(ステップS106)。
【0079】
一方、CPU51は、ステップS104において、送出ロール71による記録媒体Pの送出後に、送出ロール71が送出位置に位置していると判断した場合に、底板72による記録媒体Pの上昇を行わずに、記録媒体Pの有無を有無検知部74で検知させる非上昇検知制御を行う(ステップS108)。
【0080】
なお、ステップ106及びステップS108にて、有無検知部74が記録媒体Pの有無を検知した検知情報は、CPU51(具体的には取得部50A)が取得する。
【0081】
次に、ステップS110において、CPU51は、取得部50Aが取得した検知情報から、収容部12に記録媒体Pが有るかを判断する。
【0082】
CPU51は、ステップS110において、収容部12に記録媒体Pがないと判断した場合に、ユーザインタフェース55を通じて、収容部12に記録媒体Pがない旨をユーザに通知し(ステップS112)、本制御処理を終了する。
【0083】
一方、CPU51は、ステップS110において、収容部12に記録媒体Pが有ると判断した場合に、記録媒体Pへの画像形成動作が終了したかを判断する(ステップS114)。すなわち、ステップS114において、CPU51は、収容部12から二次転写位置T2への記録媒体Pの送出が終了したかを判断する。
【0084】
CPU51は、ステップS114において、記録媒体Pへの画像形成動作が終了したと判断した場合に、本制御処理を終了する。
【0085】
一方、CPU51は、ステップS114において、記録媒体Pへの画像形成動作が終了していないと判断した場合には、ステップS104に戻る。したがって、ステップS104は、送出ロール71による記録媒体Pの送出が行われる毎に実行される。
【0086】
さらに、ステップS120では、CPU51は、送出ロール71による記録媒体Pの送出後に、底板72による記録媒体Pの上昇を行わずに、記録媒体Pの有無を有無検知部74で検知させる非上昇検知制御を行う。なお、ステップ120にて、有無検知部74が記録媒体Pの有無を検知した検知情報は、CPU51(具体的には取得部50A)が取得する。
【0087】
次に、ステップS122において、CPU51は、取得部50Aが取得した検知情報から、収容部12に記録媒体Pが有るかを判断する。
【0088】
CPU51は、ステップS122において、収容部12に記録媒体Pがないと判断した場合に、ユーザインタフェース55を通じて、収容部12に記録媒体Pがない旨をユーザに通知し(ステップS112)、本制御処理を終了する。
【0089】
一方、CPU51は、ステップS122において、収容部12に記録媒体Pが有ると判断した場合には、取得部50Aが取得した送出ロール71の位置情報から、送出ロール71が送出位置に位置していないかを判断する(ステップS124)。
【0090】
CPU51は、ステップS124において、送出ロール71が送出位置に位置していないと判断した場合に、底板72によって記録媒体Pを上昇させて(ステップS126)、ステップS128へ移行する。
【0091】
一方、CPU51は、ステップS124において、送出ロール71が送出位置に位置していると判断した場合に、底板72による記録媒体Pの上昇を行わずに、ステップS128へ移行する。
【0092】
ステップS128では、CPU51は、記録媒体Pへの画像形成動作が終了したかを判断する。すなわち、ステップS128において、CPU51は、収容部12から二次転写位置T2への記録媒体Pの送出が終了したかを判断する。
【0093】
CPU51は、ステップS128において、記録媒体Pへの画像形成動作が終了したと判断した場合に、本制御処理を終了する。
【0094】
一方、CPU51は、ステップS128にて、記録媒体Pへの画像形成動作が終了していないと判断した場合には、ステップS120に戻る。
【0095】
以上のように、本実施形態では、制御装置50において、CPU51が、送出ロール71による記録媒体Pの送出後に、送出ロール71が送出位置に位置しないことが、高さ検知部73によって検知された場合に、底板72によって記録媒体Pを上昇させてから有無検知部74で記録媒体Pの有無を検知させる検知制御を行う。
【0096】
ここで、送出ロール71による記録媒体Pの送り出し後に、底板72が記録媒体Pの高さを常に維持したまま記録媒体Pの有無を検知する構成(以下、第1構成という)では、以下のように、記録媒体Pが無いと誤検知する場合がある。
【0097】
すなわち、
図8に示されるように、記録媒体Pの送出前では、接触部75Aが記録媒体Pの上面で支持され、被検知部75Cが検知センサ76を遮光しない位置に位置する状態(この状態を
図9では二点鎖線で示す)から、記録媒体Pの送出により、
図9に示されるように、接触部材75の接触位置75Sにおける記録媒体Pの高さが下がった場合に、接触部75Aが降下し、被検知部75Cが検知センサ76を遮光する位置に移動する場合がある。この場合では、記録媒体Pがあるにもかかわらず、記録媒体Pが無いと誤検知される。
【0098】
これに対して、本実施形態では、CPU51が、送出ロール71による記録媒体Pの送出後に、送出ロール71が送出位置に位置しないことが、高さ検知部73によって検知された場合に、底板72によって記録媒体Pを上昇させてから有無検知部74で記録媒体Pの有無を検知させるので、第1構成に比べ、記録媒体Pが収容部12にある場合において、被検知部75Cが検知センサ76を遮光する位置に接触部75Aが降下しにくく、記録媒体Pが無いと誤検知することが抑制される。
【0099】
なお、第1構成は、送出ロール71による記録媒体Pの送り出し後に、底板72による記録媒体Pの上昇を常に行わずに、記録媒体Pの有無を検知する構成ともいえる。また、
図8及び
図9において、符号PAは、複数の記録媒体Pが積載されることで形成された記録媒体Pの束を示している。
【0100】
また、本実施形態では、CPU51は、接触部材75の接触位置75Sでの第一厚さM1よりも送出ロール71の接触位置71Sでの第二厚さM2が厚い記録媒体Pとしての封筒PS(
図6参照)が収容部12に収容される場合において、前述の検知制御を行う。
【0101】
ここで、収容部12に収容される記録媒体Pの厚さに関係になく常に検知制御を行う構成(以下、第2構成という)では、有無検知部74で記録媒体Pの有無を検知する前に、必ず、底板72によって記録媒体Pを上昇させる動作が実行されるため、記録媒体Pを送出してから次の記録媒体Pを送出するまで時間が長くなる。このため、記録媒体Pに画像を形成する生産性の低下する場合がある。
【0102】
これに対して、本実施形態では、封筒PSが収容部12に収容される場合において、前述の検知制御を行うので、第2構成に比べ、記録媒体Pを送出してから次の記録媒体Pを送出するまで時間が短くなる。このため、本実施形態の構成によれば、第2構成に比べ、記録媒体Pに画像を形成する生産性の低下が抑制される。
【0103】
特に、接触部材75の接触位置75Sでの第一厚さM1よりも送出ロール71の接触位置71Sでの第二厚さM2が厚い記録媒体Pでは、
図8に示されるように、記録媒体Pの送出前では、接触部75Aが記録媒体Pの上面で支持され、被検知部75Cが検知センサ76を遮光しない位置に位置する状態から、記録媒体Pの送出により、
図9に示されるように、接触部材75の接触位置75Sにおける記録媒体Pの高さが下がった場合に、接触部75Aが降下し、被検知部75Cが検知センサ76を遮光する位置に移動しやすい。このため、記録媒体Pが収容部12にあるにもかかわらず、記録媒体Pが無いと誤検知されやすい。したがって、接触部材75の接触位置75Sでの第一厚さM1よりも送出ロール71の接触位置71Sでの第二厚さM2が厚い記録媒体Pとしての封筒PSの場合において、検知制御を行うことが有効である。
【0104】
さらに、検知制御を行う対象である封筒PSは、第一厚さM1での枚数よりも多い枚数が重ねられることで、第二厚さM2が厚い記録媒体Pでもある。
【0105】
ここで、接触部材75の接触位置75Sでの第一厚さM1よりも送出ロール71の接触位置71Sでの第二厚さM2が厚い記録媒体Pが収容部12に収容された場合に常に検知制御を行う構成(以下、第3構成という)では、有無検知部74で記録媒体Pの有無を検知する前に、必ず、底板72によって記録媒体Pを上昇させる動作が実行されるため、記録媒体Pを送出してから次の記録媒体Pを送出するまで時間が長くなる。このため、記録媒体Pに画像を形成する生産性の低下する場合がある。
【0106】
これに対して、本実施形態では、封筒PSが収容部12に収容される場合において、前述の検知制御を行うので、第3構成に比べ、記録媒体Pを送出してから次の記録媒体Pを送出するまで時間が短くなる。このため、本実施形態の構成によれば、第3構成に比べ、記録媒体Pに画像を形成する生産性の低下が抑制される。
【0107】
特に、第一厚さM1での枚数よりも多い枚数が重ねられることで、第二厚さM2が厚い記録媒体Pでは、重ねられた紙材の間に空気が入って浮き上がりやすいため、接触部材75の記録媒体Pに対する接触位置75Sと、送出ロール71の記録媒体Pに対する接触位置71Sとの高さの差が生じやすい。このため、
図8に示されるように、記録媒体Pの送出前では、接触部75Aが記録媒体Pの上面で支持され、被検知部75Cが検知センサ76を遮光しない位置に位置する状態から、記録媒体Pの送出により、
図9に示されるように、接触部材75の接触位置75Sにおける記録媒体Pの高さが下がった場合に、接触部75Aが降下し、被検知部75Cが検知センサ76を遮光する位置に移動しやすい。このため、記録媒体Pが収容部12にあるにもかかわらず、記録媒体Pが無いと誤検知されやすい。したがって、第一厚さM1での枚数よりも多い枚数が重ねられることで、第二厚さM2が厚い記録媒体Pとしての封筒PSの場合において、検知制御を行うことが有効である。
【0108】
また、本実施形態では、送出ロール71による記録媒体Pの送出が行われる毎に、高さ検知部73で送出ロール71が送出位置に位置するか否かを検知させ、送出ロール71が送出位置に位置しない場合に、検知制御を行う。
【0109】
このため、本実施形態の構成によれば、記録媒体Pの送出が複数回行われる毎に高さ検知部73で送出ロール71の位置を検知させる構成に比べ、記録媒体Pが無いと誤検知することが抑制される。
【0110】
また、本実施形態では、CPU51は、封筒PS以外の記録媒体P(例えば普通紙)が収容部12に収容される場合に、送出ロール71による記録媒体Pの送り出し後に、底板72による記録媒体Pの上昇を行わずに有無検知部74で記録媒体Pの有無を検知させる非上昇検知制御を行う。
【0111】
このため、底板72による記録媒体Pの上昇を常に行ってから有無検知部74で有無を検知させる構成(以下、第4構成という)に比べ、記録媒体Pを送出してから次の記録媒体Pを送出するまで時間が短くなる。このため、本実施形態の構成によれば、第4構成に比べ、記録媒体Pに画像を形成する生産性の低下が抑制される。
【0112】
さらに、本実施形態では、非上昇検知制御における記録媒体Pの有無を検知した結果、有無検知部74が記録媒体Pの有りを検知した場合において、位置情報において送出ロール71が送出位置に位置しない場合に、底板72によって記録媒体Pを上昇させる制御を行う。
【0113】
このため、本実施形態の構成によれば、送出ロール71による記録媒体Pの送り出し後に、底板72による記録媒体Pの上昇を常に行わない構成に比べ、送出ロール71が送出位置よりも下方側に位置することが抑制され、送出ロール71による記録媒体Pの送出不良が抑制される。
【0114】
(変形例)
本実施形態では、CPU51は、封筒PSが収容部12に収容される場合において、前述の検知制御を行っていたが、これに限られない。
【0115】
例えば、第一厚さM1での枚数よりも多い枚数が重ねられることで第二厚さM2が厚い、封筒PS以外の記録媒体Pが収容部12に収容される場合において、前述の検知制御を行う構成であってもよい。当該記録媒体Pとしては、例えば、箱紙(すなわち、組み立てられることで箱となる組立前の紙)などが該当する。
【0116】
また、例えば、接触部材75の接触位置75Sでの第一厚さM1よりも送出ロール71の接触位置71Sでの第二厚さM2が厚い、前述の箱紙及び封筒PS以外の記録媒体Pが収容部12に収容される場合において、前述の検知制御を行う構成であってもよい。当該記録媒体Pとしては、例えば、凹凸を有する用紙などが該当する。
【0117】
さらに、例えば、収容部12に収容される記録媒体Pの厚さに関係になく常に検知制御を行う構成であってもよい。
【0118】
また、本実施形態では、送出ロール71による記録媒体Pの送出が行われる毎に、高さ検知部73で送出ロール71が送出位置に位置するか否かを検知させ、送出ロール71が送出位置に位置しない場合に、検知制御を行っていたが、これに限られない。
【0119】
例えば、記録媒体Pの送出が複数回行われる毎に高さ検知部73で送出ロール71の位置を検知させる構成であってもよい。
【0120】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0121】
10 画像形成装置
12 収容部
14 画像形成部
18 送出装置
50 制御装置
51 CPU(プロセッサの一例)
71 送出ロール
72 底板(上昇部の一例)
73 高さ検知部(第一検知部の一例)
74 有無検知部(第二検知部の一例)
75 接触部材
P 記録媒体(被送出材の一例)