(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】繊維構造体、および、繊維構造体ブロック
(51)【国際特許分類】
D04H 1/70 20120101AFI20231212BHJP
B65D 1/00 20060101ALI20231212BHJP
B65D 81/02 20060101ALI20231212BHJP
B32B 23/02 20060101ALI20231212BHJP
B32B 5/12 20060101ALI20231212BHJP
B32B 23/14 20060101ALI20231212BHJP
D04H 1/732 20120101ALI20231212BHJP
D04H 13/00 20060101ALI20231212BHJP
D04H 1/593 20120101ALI20231212BHJP
D04H 1/425 20120101ALI20231212BHJP
【FI】
D04H1/70
B65D1/00 111
B65D81/02
B32B23/02
B32B5/12
B32B23/14
D04H1/732
D04H13/00
D04H1/593
D04H1/425
(21)【出願番号】P 2019171302
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 佐登美
(72)【発明者】
【氏名】大田 司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 秀裕
(72)【発明者】
【氏名】市川 和弘
(72)【発明者】
【氏名】新井 聖
(72)【発明者】
【氏名】柳 智
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-241822(JP,A)
【文献】特開平04-189740(JP,A)
【文献】実開昭55-168091(JP,U)
【文献】登録実用新案第3006093(JP,U)
【文献】特開昭49-126491(JP,A)
【文献】特開昭53-111169(JP,A)
【文献】特開昭63-035864(JP,A)
【文献】特表2016-525149(JP,A)
【文献】米国特許第03085922(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00-18/04
B65D 57/00-59/08
B65D 81/00-81/17
B32B 1/00-43/00
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維構造体であって、
主たる繊維配向方向が第1方向となるよう配置されたセルロース繊維と、複数の前記セルロース繊維を互いに結着させる架橋材料と、を含み、
前記架橋材料は第1の樹脂と、
前記第1の樹脂と異なるガラス転移点温度を有する第2の樹脂と、を含み、
前記第1方向は、前記繊維構造体の外面に外部から加わる外力の方向に対して45度以下の角度をなす、繊維構造体。
【請求項2】
繊維構造体であって、
主たる繊維配向方向が第1方向となるよう配置されたセルロース繊維と、複数の前記セルロース繊維を互いに結着させる架橋材料と、を含み、
前記架橋材料は第1の樹脂と、
前記第1の樹脂と異なるガラス転移点温度を有する第2の樹脂と、を含み、
被収容物を収容する収容空間を有し、
前記第1方向は、前記繊維構造体の外部から前記収容空間に向けて加わる外力の方向に対して45度以下の角度をなす、繊維構造体。
【請求項3】
前記第1方向は、前記繊維構造体の外面に直接、または、外部の部材を介して加わる外力の方向に対して45度以下の角度をなす方向である、請求項1または2記載の繊維構造体。
【請求項4】
複数の前記外面を有し、前記第1方向は、いずれか1の前記外面の法線に対し、45度以下の角度をなす、請求項1記載の繊維構造体。
【請求項5】
前記第1方向は、複数の前記外面のうち最も大きい前記外面の法線に対し、45度以下の角度をなす、請求項4記載の繊維構造体。
【請求項6】
前記セルロース繊維および前記架橋材料とは異なる材料を含んで構成される、請求項1から
5のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項7】
前記セルロース繊維を積層させた平板構造体で構成され、前記第1方向は、前記平板構造体の面に含まれる方向である、請求項1から
6のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項8】
主たる繊維配向方向が第1方向となるよう配置されたセルロース繊維と、複数の前記セルロース繊維を互いに結着させる架橋材料と、を含む繊維構造体を複数組み合わせて構成され、
前記架橋材料は第1の樹脂と、
前記第1の樹脂と異なるガラス転移点温度を有する第2の樹脂と、を含み、
被収容物を収容する収容空間を有し、
前記繊維構造体が、外部から前記収容空間に向けて加わる外力の方向に対して前記第1方向が45度以下の角度をなすように、配置されている、繊維構造体ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維構造体、および、繊維構造体ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不織布を積層して、繊維製の板状材を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
繊維を用いる包装材は、発泡スチロール製の包装材等に比べて環境負荷が軽いという利点がある。しかしながら、繊維を用いる包装材に衝撃に対する緩衝作用を持たせることは難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する一態様は、繊維構造体であって、主たる繊維配向方向が第1方向となるよう配置されたセルロース繊維と、複数の前記セルロース繊維を互いに結着させる架橋材料と、を含み、前記第1方向は、前記繊維構造体の外面に外部から加わる外力の方向に対して45度以下の角度をなす、繊維構造体である。
【0006】
上記目的を達成する一態様は、繊維構造体であって、主たる繊維配向方向が第1方向となるよう配置されたセルロース繊維と、複数の前記セルロース繊維を互いに結着させる架橋材料と、を含み、被収容物を収容する収容空間を有し、前記第1方向は、前記繊維構造体の外部から前記収容空間に向けて加わる外力の方向に対して45度以下の角度をなす、繊維構造体である。
【0007】
上記繊維構造体において、前記第1方向は、前記繊維構造体の外面に直接、または、外部の部材を介して加わる外力の方向に対して45度以下の角度をなす方向である構成であってもよい。
【0008】
上記繊維構造体において、複数の前記外面を有し、前記第1方向は、いずれか1の前記外面の法線に対し、45度以下の角度をなす構成であってもよい。
【0009】
上記繊維構造体において、前記第1方向は、複数の前記外面のうち最も大きい前記外面の法線に対し、45度以下の角度をなす構成であってもよい。
【0010】
上記繊維構造体において、前記架橋材料は、第1の樹脂、および、前記第1の樹脂とは異なる材料からなる第2の樹脂を含む構成であってもよい。
【0011】
上記繊維構造体において、前記セルロース繊維および前記架橋材料とは異なる材料を含んで構成される構成であってもよい。
【0012】
上記繊維構造体において、前記セルロース繊維を積層させた平板構造体で構成され、前記第1方向は、前記平板構造体の面に含まれる方向である構成であってもよい。
【0013】
上記目的を達成する一態様は、主たる繊維配向方向が第1方向となるよう配置されたセルロース繊維と、複数の前記セルロース繊維を互いに結着させる架橋材料と、を含む繊維構造体を複数組み合わせて構成され、被収容物を収容する収容空間を有し、前記繊維構造体が、外部から前記収容空間に向けて加わる外力の方向に対して前記第1方向が45度以下の角度をなすように、配置されている、繊維構造体ブロックである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】繊維構造体の製造工程を示すフローチャート。
【
図16】第2実施形態における成形部を示す模式図。
【
図17】第2実施形態の繊維構造体の例を示す斜視図。
【
図19】第2実施形態の繊維構造体の別の例を示す斜視図。
【
図20】第2実施形態の繊維構造体のさらに別の例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0016】
[1.第1実施形態]
[1-1.シート製造装置]
図1は、シート製造装置100の構成を示す図である。シート製造装置100は、本発明を適用した繊維構造体の材料となるシートS1を製造する。
【0017】
シート製造装置100は、供給部10、粗砕部12、解繊部20、選別部40、第1ウェブ形成部45、回転体49、混合部50、分散部60、第2ウェブ形成部70、ウェブ搬送部79、加工部80、及び、切断部90を備える。
【0018】
シート製造装置100は、木質系パルプ材料やクラフトパルプ、古紙、合成パルプ等の後述する繊維を含む原料MAを繊維化して、シートS1を製造する。
原料MAは、セルロース繊維を含むものであればよい。例えば、木質系パルプ材料やクラフトパルプ、古紙、合成パルプ等を用いることができる。木質系パルプ材料としては、グランドパルプなど機械処理で作った機械パルプ(メカニカルパルプ)、化学処理で作った化学パルプ(ケミカルパルプ)、これらの両処理を併用して製造されたセミケミカルパルプ、ケミグランドパルプ等が挙げられる。また、さらしパルプ及び未さらしパルプのいずれであってもよい。例えば、N-BKP(針葉樹晒クラフトパルプ)やL-BKP(広葉樹晒クラフトパルプ)等のバージンパルプ、晒ケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP:Bleached ChemiThermoMechanical Pulp)等が挙げられる。また、ナノセルロースファイバー(NCF)を用いてもよい。古紙は、印刷後のPPC(Plain Paper Copy)用紙、雑誌、新聞等の使用後の紙である。合成パルプとしては、例えば、三井化学株式会社製のSWPが挙げられる。SWPは登録商標である。
【0019】
また、原料MAは、上記の木質系パルプ材料、古紙、合成パルプ等に加えて、或いは、これらの代替として、炭素繊維、金属繊維、チクソ性繊維を含むものであってもよい。従って、原料MAは、上記の木質系パルプ材料、古紙、合成パルプ、炭素繊維、金属繊維、チクソ性繊維のうち複数の材料を混合した混合物であってもよい。
原料MA、及び後述する解繊物MB、繊維材料MCは、繊維を含む材料ということができる。
【0020】
供給部10は、粗砕部12に原料MAを供給する。粗砕部12は、粗砕刃14により原料MAを裁断するシュレッダーである。粗砕部12により裁断された原料MAは、管を通じて解繊部20に搬送される。
【0021】
解繊部20は、粗砕部12で裁断された細片を乾式で解繊して解繊物MBにする。解繊とは、複数の繊維が結着された状態の原料MAを、1本または少数の繊維に解きほぐす加工である。乾式とは、液体中ではなく、空気中等の気中において、解繊等の処理を行うことを指す。解繊物MBは、原料MAに含まれていた繊維を含む。また、解繊物MBは、原料MAに含まれていた繊維以外の物質を含むことがある。例えば、原料MAとして古紙を用いる場合、解繊物MBは、樹脂粒、インクやトナーなどの色剤、にじみ防止材、紙力増強剤等の成分を含む。
【0022】
解繊部20は、例えば、筒状の固定子22と、固定子22の内部で回転するローター24とを備えるミルであり、粗砕片を固定子22とローター24との間に挟んで解繊する。解繊物MBは、配管を通じて選別部40に送られる。
【0023】
原料MAに含まれる繊維または解繊物MBに含まれる繊維については、繊維長が0.1mm以上100mm以下であり、0.5μm以上~50m以下であることが好ましい。また、これらの繊維の繊維径が、0.1μm以上1000μm以下であり、1μm~500μm以下であることが好ましい。また、これらの繊維は、複数の種類の繊維を含んでもよく、繊維長および/または繊維径が異なる繊維を含んでもよい。繊維長及び繊維幅は、例えば、ファイバーテスター(Lorentzen & Wettre社製)にて測定し、長さ加重平均値を算出することにより、求めることができる。
【0024】
選別部40は、ドラム部41と、ドラム部41を収容するハウジング部43とを有する。ドラム部41は、網、フィルター、スクリーン等の開口を有する篩であり、図示しないモーターの動力により回転する。解繊物MBは、回転するドラム部41の内部でほぐされて、ドラム部41の開口を通過して下降する。解繊物MBの成分のうちドラム部41の開口を通過しない物は、管を通じて解繊部20に搬送される。
【0025】
第1ウェブ形成部45は、多数の開口を有する無端形状のメッシュベルト46を備える。第1ウェブ形成部45は、ドラム部41から下降する繊維等をメッシュベルト46に堆積させることにより、第1ウェブW1を製造する。ドラム部41から下降した成分のうちメッシュベルト46の開口より小さい物は、メッシュベルト46を通過して吸引部48により吸引除去される。これにより、解繊物MBの成分のうち、シートS1の製造に適しない短い繊維や、樹脂粒、インク、トナー、にじみ防止剤等が除去される。
【0026】
メッシュベルト46の移動経路には加湿器77が配置され、ミスト状の水または高湿度の空気により、メッシュベルト46に堆積した第1ウェブW1が加湿される。
第1ウェブW1は、メッシュベルト46により搬送され、回転体49に接触する。回転体49は、複数の羽根によって第1ウェブW1を分断し、繊維材料MCとする。繊維材料MCは管54を通じて混合部50に搬送される。
【0027】
混合部50は、繊維材料MCに添加材料ADを添加する添加物供給部52、及び、繊維材料MCと添加材料ADとを混合する混合ブロアー56を備える。添加材料ADについては後述する。
混合ブロアー56は、繊維材料MCおよび添加材料ADが搬送される管54に気流を発生させて繊維材料MCと添加材料ADとを混合し、混合物MXを分散部60に輸送する。
【0028】
分散部60は、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング部63とを有する。ドラム部61は、ドラム部41と同様に構成される円筒形状の篩であり、図示しないモーターにより駆動されて回転する。ドラム部61の回転により、混合物MXは解きほぐされてハウジング部63の内部を下降する。
【0029】
第2ウェブ形成部70は、多数の開口を有する無端形状のメッシュベルト72を備える。第2ウェブ形成部70は、ドラム部61から下降する混合物MXをメッシュベルト72に堆積させて第2ウェブW2を製造する。混合物MXの成分のうちメッシュベルト72の開口より小さい物は、メッシュベルト72を通過して吸引部76により吸引される。
【0030】
メッシュベルト72の移動経路には加湿器78が配置され、ミスト状の水または高湿度の空気により、メッシュベルト72に堆積した第2ウェブW2が加湿される。
【0031】
第2ウェブW2は、ウェブ搬送部79によってメッシュベルト72から剥がされ、加工部80に搬送される。加工部80は、加圧部82、及び、加熱部84を備える。加圧部82は、一対の加圧ローラーにより第2ウェブW2を挟み、所定のニップ圧で加圧して、加圧後シートSS1を形成する。加熱部84は、一対の加熱ローラーによって加圧後シートSS1を挟んで熱を加える。これにより、加圧後シートSS1に含まれる繊維が、添加材料ADに含まれる樹脂により結着し、加熱後シートSS2が形成される。加熱後シートSS2は、切断部90に搬送される。
【0032】
切断部90は、加熱後シートSS2を、搬送方向FEと交差する方向及び/または搬送方向FEに沿う方向に切断し、所定サイズのシートS1を製造する。シートS1は、排出部96に貯留される。
【0033】
シート製造装置100は、制御装置110を備える。制御装置110は、解繊部20、添加物供給部52、混合ブロアー56、分散部60、第2ウェブ形成部70、加工部80、及び切断部90を含むシート製造装置100の各部を制御して、シートS1の製造方法を実行させる。また、制御装置110は、供給部10、選別部40、第1ウェブ形成部45、及び、回転体49の動作を制御するものであってもよい。
【0034】
添加材料ADは、複数の繊維を架橋させることにより、繊維同士を結合させて、繊維をシート形状にする。添加材料ADは、繊維同士を結着させる結合材料として機能する樹脂を含み、詳細には、熱可塑性樹脂、及び/または、熱硬化性樹脂を含む。熱可塑性芯鞘樹脂を含んでもよい。また、添加材料ADは、上記樹脂に加え、着色剤、凝集抑制剤、難燃剤等を含んでもよい。
【0035】
熱可塑性樹脂としては、例えば、溶融温度60℃以上200℃以下、変形温度50℃以上180℃以下の樹脂を用いることができる。ここで、変形温度とは、ガラス転移点温度ということもできる。熱可塑性樹脂としては、石油由来樹脂、バイオマスプラスチック、生分解性プラスチック、天然系樹脂を用いることができる。ここで、石油由来樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、環状ポリオレフィン、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、テフロン樹脂、アクリル樹脂、ポリフェニレンスルファイド、ポリテトラフロロエチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリエート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミドが挙げられる。バイオマスプラスチックや生分解性プラスチックとしては、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、変性でんぷん、ポリヒドロキシブチレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート等が挙げられる。天然系樹脂としては、ロジンなどがあげられる。テフロンは登録商標である。また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル等、また天然系熱硬化性樹脂のシェラック等が挙げられる。添加材料ADは、上記の樹脂のうち1または複数を含む。例えば、ガラス転移点温度Tgや融点が異なる複数の樹脂を含んでもよい。
【0036】
また、添加材料ADに含まれる樹脂は、粒子状または繊維状であることが好ましい。粒子状の樹脂を用いる場合、重量平均粒径0.1μm以上120μm以下の粒子であることがより好ましく、1μm以上50μm以下の粒子であると、さらに好ましい。
【0037】
添加材料ADは、上述した樹脂に加え、加熱により多孔質構造を形成する樹脂材料あるいは高分子材料を含んでもよい。これらの材料は、例えば、加熱により膨張する熱膨張性材料である。熱膨張性材料は、いわゆる発泡材を用いることができる。熱膨張性材料は、粒子状であることが好ましく、粒子状に成形された熱膨張性の材料を発泡粒子ということができる。添加材料ADに含まれる発泡粒子の粒径は、発泡前重量平均粒径において0.5μm以上1000μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以上300μm以下である。さらに好ましくは、発泡後重量平均粒径は5μm以上1000μm以下であり、最も好ましくは、5μm以上800μm以下である。
【0038】
発泡粒子は、例えば、熱により膨張するカプセル状の熱膨張カプセルや、熱膨張性材料が混合された発泡材混合粒子を用いることができる。熱膨張カプセルは、例えば、積水化学工業株式会社製アドバンセル、株式会社クレハ製クレハスフィアー、アクゾノーベル株式会社製Expancel(エクスパンセル)、松本油脂製薬株式会社製マツモトマイクロスフィアー等が挙げられる。アドバンセル、クレハ、Expancel、エクスパンセル、及び、マツモトマイクロスフィアーは、それぞれ登録商標である。発泡材混合粒子は、上述した熱可塑性樹脂に熱膨張性材料を混合して製造された粒子状の製剤である。ここで、発泡材は、例えば、アゾジカルボンアミド、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4´-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド、N,N´-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム等を用いることができる。
【0039】
発泡粒子の表面が樹脂により覆われている構成である場合、発泡粒子の樹脂による被覆率が10%以上100%以下であることが好ましい。
【0040】
添加材料ADは、繊維同士が結着した架橋構造をより剛性にする強化材料として、上述した樹脂に加え、無機充填剤、剛繊維、チクソ性繊維を含んでもよい。無機充填材料としては、例えば、炭酸カルシウム、マイカ等を用いることができる。剛繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維を用いることができる。また、ケブラーまたは他のアラミド繊維等の高剛性繊維を用いることができる。ケブラーは登録商標である。チクソ性繊維としては、セルロースナノファイバーが挙げられる。
【0041】
また、添加材料ADは、上述した樹脂、発泡粒子、強化材料等の成分を混錬粉砕し、複合樹脂材料粉体として形成したものであってもよい。
【0042】
[1-2.繊維構造体の製造工程]
図2は、本発明を適用した繊維構造体の製造工程を示すフローチャートである。
図2に示す製造工程は、シート製造装置100によりシートS1を製造する工程を含む。
【0043】
ステップSA1は、原料MAを粗砕する粗砕工程であり、例えば、シート製造装置100の粗砕部12による処理に相当する。粗砕工程は、原料MAを、所定サイズ以下に裁断する工程である。所定サイズは、例えば、1cm~5cm四方である。原料MAが、裁断された状態で供給される場合、ステップSA1を省略可能である。
【0044】
ステップSA2は、解繊工程であり、例えば、シート製造装置100の解繊部20による処理に相当する。
ステップSA3は、解繊物MBから繊維を主とする材料を取り出す工程であり、分離工程という。分離工程は、繊維や樹脂粒等を含む解繊物MBから、樹脂や添加剤等の粒子を分離し、繊維を主な成分とする材料を取り出す工程である。分離工程は、例えば、シート製造装置100の選別部40および回転体49を含む処理に相当する。
【0045】
ステップSA1で供給される原料MAが、シートS1の製造に影響する粒子等を含まない場合、或いは、原料MAに含まれる成分から粒子等を除去する必要がない場合、ステップSA3の分離工程を省略できる。この場合、解繊物MBが、そのまま繊維材料MCとして利用される。
【0046】
ステップSA4は、添加工程であり、ステップSA3で分離された繊維材料MCに添加材料ADを添加する工程である。添加工程は、例えば、シート製造装置100の添加物供給部52による処理に相当する。
【0047】
ステップSA5は、混合工程であり、繊維材料MCと、添加材料ADとを混合して混合物MXを製造する工程である。混合工程は、例えば、シート製造装置100の混合部50による処理に相当する。
【0048】
ステップSA6は、篩工程であり、混合物MXを篩にかけて大気中に分散させ、降下させる工程である。篩工程は、例えば、シート製造装置100の分散部60による処理に相当する。
【0049】
ステップSA7は、堆積工程であり、ステップSA6の篩工程で降下する混合物MXを堆積させて、ウェブを形成する工程である。堆積工程は、例えば、シート製造装置100の第2ウェブ形成部70により第2ウェブW2を形成する処理に相当する。
【0050】
ステップSA8は、加圧加熱工程であり、ウェブに対し、加圧及び加熱を行う。加熱加圧工程は、例えば、シート製造装置100の加工部80により、第2ウェブW2を加熱および加圧し、加圧後シートSS1および加熱後シートSS2を経て、シートS1を形成する処理に相当する。加圧加熱工程における加圧と加熱の順序は限定されないが、加圧が先に行われることが好ましい。
【0051】
ステップSA9は、シートS1を用いて繊維構造体を成形する成形工程である。成形工程は、シートS1の連結、接合、接着等の処理により、箱形状等の繊維構造体が作成される。成形工程では、複数のシートS1を接合するため、接着材料による接着、熱可塑性樹脂の溶融を用いた熱融着、芯材による串刺し、留め部品による結束等の工法を用いることができ、シートS1の繊維表面のラフネスによる簡易接合を採用してもよい。
【0052】
図2に示した製造工程は、シート製造装置100を用いる場合に限定されず、他の装置により製造したシートS1を用いることも勿論可能である。また、シートS1の製造方法として
図2に示した製造工程は一例であり、他の方法により製造したシートS1を用いて、本発明を適用した繊維構造体を成形してもよい。
【0053】
[1-3.シートの繊維配向方向]
図3は、シートS1における繊維配向方向の説明図である。
図3に符号Aで示すように、シートS1は、厚みの小さい平面形状または可撓性を有するシートである。シートS1は、原料MAを解繊した解繊物に含まれる繊維と、粒子状および/または繊維状の樹脂の混合物を篩って堆積させたものである。従って、シートS1の面をX-Y平面とするX-Y-Z直交座標系を想定すると、シートS1に含まれる繊維Fは、X-Y平面においてランダムな方向を向く一方、Z方向においては、シートS1の面に沿った方向となっている。シートS1に含まれる各々の繊維Fは、積層されて互いに重なり、或いは、他の繊維Fと点状接触して、一定の配向性を持つ構造となっている。
【0054】
従って、シートS1においては、繊維FがシートS1のX-Y平面の面内に沿っているため、X-Y平面を繊維Fの配向方向ということができる。
【0055】
さらに、シートS1のX-Y平面内において、繊維Fの方向が偏在することがある。シートS1をシート製造装置100により製造する場合、円筒形のドラム部61の回転に伴ってメッシュベルト72に混合物MXが堆積する工程を経る。この堆積工程(ステップSA7)で、混合物MXに含まれる繊維は、ドラム部61の回転方向に沿った方向を向きやすい。このため、第2ウェブW2において、ドラム部61の回転方向に沿った向きの繊維Fが多く含まれる傾向にある。従って、シートS1においても、ドラム部61の回転方向を向く繊維Fが多く含まれる。
【0056】
ここで、繊維Fの方向について、
図3に符号Bで示す。通常、繊維Fは細長い形状を有している。繊維Fの長手方向のサイズを繊維長L1とし、繊維Fの短手方向のサイズを幅L2と呼ぶことができる。幅L2は、繊維径に相当する。本実施形態では、繊維Fの長さL1の方向を、配向方向DFという。配向方向DFは、1本の繊維Fの方向を示している。
【0057】
シートS1に含まれる複数の繊維Fの配向方向DFを総合して、シートS1における繊維配向方向DSを求めることができる。例えば、シートS1を構成する繊維Fから所定数の繊維Fを抽出し、抽出した複数の繊維Fの配向方向DFの平均の向きを求め、求めた向きを、シートS1の繊維配向方向DSとすることができる。
本発明者らは、繊維配向方向DSを求める方法として、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製:VHX5000)を用いて倍率200以上500倍以下の条件下で、シートS1、或いは後述する繊維構造体または繊維構造体ブロックの表面を観察した。発明者らは、デジタルマイクロスコープで観察した繊維Fから50本の繊維Fを無作為に選択し、観察した表面を基準とする配向方向DFを測定し、平均値を算出し、繊維配向方向DSとした。
【0058】
より詳細には、配向方向DFが所定方向である繊維Fの数をT1とし、配向方向DFが所定方向とは異なる方向である繊維Fの数をT2とし、T1/T2を求めることにより、所定方向における繊維数の割合を求めることができる。そして、この繊維数の割合が最も大きい所定方向を、シートS1の繊維配向方向DSとすることができる。
【0059】
シートS1における繊維配向方向DSの例を、
図3に符号Cで示す。シートS1は、X-Y平面におけるサイズに比べて、厚みを示すZ方向のサイズが小さい。このため、シートS1の繊維配向方向DSは、ほとんどの場合、
図3に示すようにX-Y平面内の方向となる。繊維配向方向DSは、Y軸に平行な繊維配向方向DS1、および、X軸に平行な繊維配向方向DS2のほか、X軸およびY軸に対し傾いている繊維配向方向DS3、DS4、或いはその他の方向となり得る。
【0060】
さらに、多くの繊維Fの配向方向DFを、シートの繊維配向方向DSと一致する手法が挙げられる。
図4は、シートS2における繊維配向方向DSの説明図である。シートS2は、複数のシートSを積層した積層体201から、シート形状となるように切断面CUに沿って切り出された部材である。
【0061】
積層体201は、複数枚のシートSを積層し、或いは、シートSを折りたたむことによって複数の層が重なった状態となったものに、接合処理を施して形成される。接合処理は、プレス処理、加圧処理および加熱処理、オーブンや炉内における加熱処理、接着剤による接着処理等である。
【0062】
シートS2では、積層体201をY-Z平面で切断したことにより、X方向に延びる繊維Fが短く切断されている。また、積層体201は、Z方向に延びる長い繊維Fを含まない。従って、シートS2の繊維配向方向DSは、図中のY方向に平行であり、繊維配向方向DSに沿っていない繊維Fは、ほぼ短繊維である。
シートS2は、多くの繊維Fの配向方向DFが繊維配向方向DSに平行であり、配向方向DFが良く整った状態にある。
【0063】
[1-4.繊維構造体の緩衝機能]
ここで、繊維構造体の緩衝機能と繊維配向方向DSについて説明する。
図5は、緩衝機能の試験に用いた試験片の構成を示す図である。ここで、緩衝機能とは、シートSを用いて成形された繊維構造体に衝撃が加わった場合に、繊維構造体から他の物体に衝撃が伝達されないように、衝撃を吸収あるいは緩和する作用をいう。
【0064】
本発明者らは、シートS1またはシートS2を用いて試験片210及び試験片220を制作し、試験片210、220に外力を加えた場合の応力と圧縮率を測定した。また、比較対象として発泡スチロール製の試験片230を制作して、試験片210、220と同様の測定を行った。
図5には、試験片210、220、230を図示し、試験において外力が加わる方向を符号PWで示す。
【0065】
試験片210は、略直方体形状であり、試験の際に外力PWが加わる面211を有する。試験片210における繊維配向方向DSは、外力PWの方向に対し、45度(Degree)を超える角度で交差し、典型的には垂直である。別の表現では面211の法線に対して繊維配向方向DSが直交する。試験片210の密度は0.15であり、試験片210に含まれる添加材料ADの樹脂は30重量%であった。
【0066】
試験片220は、略直方体形状であり、試験の際に外力PWが加わる面221を有する。試験片220における繊維配向方向DSは、外力PWの方向との角度が45度以内であり、典型的には平行である。別の表現では面211の法線に対して繊維配向方向DSが平行である。試験片220の密度は0.15であり、試験片220に含まれる添加材料ADの樹脂は30重量%であった。
試験片210および試験片220は、シートS1またはシートS2を積層して接合することにより、製作できる。
【0067】
試験片230は、発泡スチロール製の略直方体形状の物体であり、試験の際に外力PWが加わる面231を有する。
【0068】
図6は、緩衝機能の試験結果を示す図表である。
図5の横軸は圧縮率を示し、縦軸は応力を示す。圧縮率は、外力PWが加わることにより試験片210、220、230が外力PW方向に圧縮された量を、試験片210、220、230のサイズに対する割合により示している。応力は、外力PWに抗する試験片210、220、230の応力である。
図6の曲線251は試験片210の圧縮率-応力曲線であり、曲線252は試験片220の圧縮率-応力曲線である。曲線253は試験片230の圧縮率-応力曲線である。
【0069】
また、
図6には、対照例としての試験片の圧縮率-応力曲線である曲線254を示す。曲線254は、繊維Fの配向方向DFが乱雑である、すなわち配向方向DFが特定の方向に偏っていない、或いは、偏りが小さい試験片を用いた例である。この試験片は、配向方向DFが分散するようにシート製造装置100によって低密度で製造したシートS1で構成され、密度0.09であり、添加材料ADの樹脂を33重量%含む。
【0070】
曲線251、254は、圧縮率が高まるにつれて応力が増している。つまり、外力PWにより面211が陥凹するにつれて、外力PWに抗する応力が増しているので、外力PWによって圧縮され、高密度化している。
【0071】
これに対し、曲線253は、圧縮率の増大に対する応力の増加が小さい。つまり、発泡スチロール製の試験片230は、外力PWによって変形して面231が陥凹しても応力が増大しない傾向がある。曲線252は、全体として曲線253と同様の傾向を示しており、圧縮率の増大に対する応力の増加が小さい傾向を示している。
【0072】
曲線252、253の結果から、試験片220および試験片230は、外部から押圧力や衝撃が加わった場合に変形するが、変形の過程において応力を増大させないか、増大させにくい傾向にある。このため、試験片220や試験片230と同様の材料を包装材や収納容器として被収容物を収めた状態で、外力や衝撃が加わった場合、包装材あるいは収納容器が変形や破壊しても、被収容物に力が加わりにくいといえる。発泡スチロール製の収納容器は緩衝機能に優れていることが評価されており、試験片220も同様に、緩衝機能に優れる包装材や収納容器の製造に好適である。一方、曲線251の結果からは、試験片210と同様の材料で構成される包装材や収納容器に被収容物を収めた状態で、外力や衝撃が加わった場合、被収容物にも力や衝撃が加わりやすいといえる。
【0073】
図7は、試験片210、220、230の緩衝機能の発現状態を示す模式図である。
図7に示すように、試験片210は、繊維Fが重なった状態で外力PWにより圧縮されることで、圧縮率が高まるほど硬度および剛性が増し、応力を発現するに至ったと考察される。これに対し、試験片220は、外力PWを受けた繊維Fが、外力PWを避けるようにDV方向に移動することにより、試験片220全体が大きく変形し、外力PWに降伏したと考えられる。この場合、試験片220の変形に伴い、試験片220に含まれる繊維を、結合材料によって結合した状態から互いに解離させるために外力PWの衝撃エネルギーが消費されるので、外力PWが緩和、吸収される。また、試験片220は外力PWとは異なる方向に変形するので、外力PWが加わっても試験片220が高密度化しにくい。従って、変形に伴う応力の増大が起きにくい。また、発泡スチロール製の試験片230は、外力PWにより個々のスチロール樹脂の粒が潰れるので、試験片230全体としての剛性が変化せず、応力が増大しにくいと考えられる。
【0074】
このように、シートS1やシートS2を用いた繊維構造体では、繊維配向方向DSが、外力PWや衝撃が加わる方向と平行、或いは平行に近い場合に、発泡スチロール製の容器のように優れた緩衝機能を実現できる。
発明者らの知見では、高い緩衝機能を得られるのは、繊維配向方向DSが、外力PWや衝撃が作用する方向に対し、-45度以上、+45度以下の角度をなす場合である。
【0075】
以下の説明において、シートS1とシートS2を区別しない場合は、シートSと表記する。すなわち、以下の説明でシートSを用いて構成される各種の構造体は、シートS1を材料として制作してもよいし、シートS2を材料として制作してもよい。
【0076】
[1-5.繊維構造体の構成例]
ここで、シートSを用いた繊維構造体の構成例を説明する。
図8は、シートSを用いた構成例としての繊維構造体300の斜視図である。繊維構造体300は、底面301、側面302、303、304、305、及び、上面306を有する略直方体形状の箱である。
【0077】
側面302、303、304、305のうち少なくとも1面は、いずれもシートSを用いて構成される。より好ましくは、側面302、303、304、305のうち2面以上がシートSを用いて構成され、さらに好ましくは4面の全てがシートSで構成される。なお、繊維構造体300の複数の面がシートSで構成される場合、シートS1およびシートS2が混在して用いられてもよい。
【0078】
一方、底面301および上面306は、シートSにより構成されてもよい。また、剛性を有する板材であれば、シートS以外の材料を用いてもよく、例えば、合成樹脂製のシートや板、紙、木材や金属の板であってもよい。
また、
図8には、底面301、側面302、303、304、305及び上面306の繊維配向方向DSを、矢印で示す。
【0079】
繊維構造体300の内部は、被収容物を収容する収容空間となっている。繊維構造体300は、繊維構造体300の外部から加わる外力PWに対して緩衝作用を発揮して、外力PWを減衰させ、被収容物を保護することができる。ここで、外力PWは、衝撃力、或いは、押圧力であり、両方を含んでもよい。
【0080】
図8には、底面301に向けて外部から外力PWが加わる場合を例示する。この例では、底面301は、外力PWが加わる外面に相当する。側面302、303、304、305には、底面301を介して外力PWが加わる。また、外力PWが底面301の周縁部に加わる場合には、側面302、303、304、305に直接、外力PWが加わるといえる。
【0081】
ここで、側面302、303、304、305の繊維配向方向DSは、いずれも、外力PWに対し、ほぼ0度の角度をなす。従って、試験片220について上述したように、側面302、303、304、305が外力PWに対する緩衝作用を発揮し、外力PWを減衰させることができる。
緩衝作用が発揮される場合の外力PWの方向は、
図8に示す例に限定されない。すなわち、外力PWが、底面301の法線に対し45度以内の角度で加わった場合には、この外力PWに対し、側面302、303、304、305の緩衝作用が発揮される。
【0082】
図8には、底面301および/または上面306をシートSにより構成した例を示す。この例では、底面301の繊維配向方向DSと上面306の繊維配向方向DSが同じ方向を向いている。このため、側面303または側面305の法線に対し45度以内の方向から外力PWが加わった場合、底面301および/または上面306による緩衝作用が発揮される。
【0083】
図9は、シートSを用いた繊維構造体の別の構成例として、繊維構造体310を示す斜視図である。
図10は、
図9のQ-Q線における断面図であり、繊維構造体310の断面を示している。
【0084】
繊維構造体310は、底面311、側面312、313、314、315、及び、上面316を有する略直方体形状の箱である。繊維構造体310の内部には、内部構造体320が配置されている。内部構造体320は、底面321、側面322、323、324、325、及び、上面326を有する略直方体形状の箱である。内部構造体320は、斜面材331、332、333、334を介して繊維構造体310の底部に支持されている。内部構造体320の底面321は底面311から離れた位置にある。
【0085】
繊維構造体310の底面311、側面302、303、304、305および上面306は、剛性を有する板材であれば、シートS以外の材料を用いてもよく、例えば、合成樹脂製のシートや板、紙、木材や金属の板であってもよい。これらの面をシートSにより構成してもよい。
【0086】
斜面材331、332、333、334のうち少なくとも1面は、いずれもシートSを用いて構成される。より好ましくは2面以上、さらに好ましくは4面の全てがシートSで構成される。なお、斜面材331、332、333、334のうち複数の面がシートSで構成される場合、シートS1およびシートS2が混在して用いられてもよい。
本実施形態では、斜面材331、332、333、334の全てがシートSで構成された例を示し、各斜面材331、332、333、334の繊維配向方向DSを図中に矢印で示す。
【0087】
内部構造体320は、被収容物を収容する収容空間を構成する。内部構造体320に収容される被収容物は、底面321を介して斜面材331、332、333、334によって支えられている。
【0088】
繊維構造体310は、繊維構造体310の外部から底面311に向けて加わる外力PWに対して緩衝作用を発揮して、外力PWを減衰させ、内部構造体320に収容される被収容物を保護する効果がある。
【0089】
この例では、底面311は、外力PWが加わる外面に相当する。斜面材331、332、333、334は、底面311を介して間接的に外力PWを受け、外力PWに対して緩衝作用を発揮する。
【0090】
図10の断面図では、底面311の法線方向に外力PWが加わる場合を仮定する。斜面材331は、斜面材331の繊維配向方向DSに対する外力PWの方向の角度θ1の大きさが45度以内である場合、試験片220を例示して説明したように緩衝作用を発揮し、外力PWを減衰させる。なお、角度θ1が45度より大きい角度であっても斜面材331による緩衝作用が発揮されるが、|θ1|≦45°である場合には緩衝作用が良好に発揮され、内部構造体320内の被収容物を保護できる。
斜面材333も同様に、斜面材333の繊維配向方向DSに対する外力PWの方向の角度θ2の大きさが45度以内である場合、|θ2|≦45°である場合に、優れた緩衝作用を発揮して外力PWを減衰させる。
【0091】
繊維構造体300は、外力PWが直接または間接的に加わる外面にシートSを用いた構成である。これに対し、繊維構造体310は、外力PWが間接的に加わる内部の構造体にシートSを用いた構成である。これらのいずれの場合にも、シートSが緩衝作用を発揮し、被収容物を保護できる。特に、外力PWの方向に対してシートSの繊維配向方向DSが45度以内であると、良好な緩衝作用が発揮される。
【0092】
図11は、シートSを用いた繊維構造体のさらに別の構成例として、繊維構造体350を示す斜視図である。詳細には、シートSの加工例としての筒状体401、および、筒状体401を用いて制作された繊維構造体350を示す。
筒状体401は、シートSを筒状に丸めた構造物である。筒状体401は、断面円形の筒であってもよいし、断面が楕円形であっても多角形であってもよい。筒状体401において複数のシートSが重なる部分があってもよい。筒状体401の繊維配向方向DSは、例えば、
図11に示すように筒状体401の軸方向に沿った方向となる。
【0093】
繊維構造体350の内部には筒状体401が配置される。繊維構造体350は、底面351、側面352、353、354、355、及び、上面356を有する略直方体形状の箱である。筒状体401は、底面351と上面356の少なくともいずれか、好ましくは両方に固定される。
【0094】
図11には、底面351に向けて外部から外力PWが加わる場合を例示する。この例では、底面351は、外力PWが加わる外面に相当する。筒状体401には、底面351を介して間接的に外力PWが加わる。筒状体401の繊維配向方向DSは外力PWの方向から45度以内の角度であるため、外力PWに対し、筒状体401が変形しながら緩衝作用を発揮する。このため、筒状体401の内部空間に被収容物を収容した場合、被収容物に伝わる外力PWを減衰させて、被収容物を保護できる。
【0095】
また、繊維構造体350において、側面352、353、354、355をシートSにより構成した場合、筒状体401とともに各側面352、353、354、355が緩衝作用を発揮する。このため、より確実に、被収容物を外力PWから保護できる。
【0096】
[1-6.シートを構成する成分の例]
シートSを構成する材料は、原料MAに含まれるセルロース繊維と、1または複数種類の添加材料ADとの組み合わせが挙げられる。
この構成により、シートSの製造過程において加熱によってセルロース繊維同士の架橋構造が形成され、シートSにおいては繊維構造間の空隙が保持され、かつ、繊維構造に剛性を与えることができる。さらに、架橋構造に寄与しなかった添加材料ADの樹脂成分は、繊維の表面をコートすることにより繊維の剛性を向上させる効果がある。
【0097】
さらに、繊維の架橋構造は、外力PWが加わった場合に微小変形領域として、印加された外力PWの衝撃やエネルギーを吸収し、熱エネルギーとして放出し緩和する。これにより衝撃吸収機能や内部損失としてのノイズ吸収などの機能を発揮する作用がある。上述したように、繊維配向方向DSが外力PWの方向に対し-45度以上+45以下の範囲に位置する構成とすることで、外力PWのエネルギーに対する応力を発揮する際に、繊維同士の架橋構造によるエネルギー緩和がより効果的に起こるようになる。
【0098】
シートSを構成する組成の例として、第1組成例、第2組成例、第3組成例、第4組成例、および、第5組成例を挙げる。
【0099】
第1組成例は、原料MAに由来するセルロース繊維と、粒子状の第1樹脂と、粒子状の第2樹脂とを含む。
第1組成例は、粒子状の第1樹脂および第2樹脂が、製造後のシートSにおいても熱溶融性を維持させる。このため、後述するように、複数のシートSを接合する際に、加熱によって容易に接合できるという利点がある。
【0100】
第2組成例は、原料MAに由来するセルロース繊維と、粒子状の第1樹脂と、繊維状の第2樹脂とを含む。第2組成例は、繊維状の第2樹脂がセルロース繊維を強固に接合する効果が期待できる。さらに、粒子状の第1樹脂を含むため、製造後のシートSが熱用優勢を維持する。このため、後述するように、複数のシートSを接合する際に、加熱によって容易に接合できるという利点がある。
【0101】
第1樹脂および第2樹脂は、上記の熱可塑性樹脂、および、熱硬化性樹脂から選択され、少なくともいずれか一方は熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
第1樹脂および第2樹脂のいずれか一方を、生分解性の樹脂とすることができる。この場合、より環境負荷の小さいシートS、および繊維構造体を提供できる。また、第1樹脂および第2樹脂のいずれか一方を耐水性の高い樹脂とする場合、他方を水溶性の樹脂とすることができる。すなわち、水溶性の樹脂を用いて、耐水性を有するシートSを実現できる。
【0102】
第3組成例は、原料MAに由来するセルロース繊維と、粒子状の第1樹脂と、繊維状の第3樹脂とを含む。第3樹脂は、上述した、加熱により多孔質構造を形成する樹脂材料あるいは高分子材料から選択される。この構成では、第1樹脂により架橋されるセルロース繊維の間に、第3樹脂によって大きな空隙を確保することができる。このため、衝撃エネルギーを吸収する能力を、より一層高めることが期待できる。
【0103】
第4組成例は、原料MAに由来するセルロース繊維と、第1樹脂および/または第2樹脂と、無機粒子とを含む。無機粒子は、例えば、上述した炭酸カルシウム、マイカ等の無機充填剤から選択される。
第5組成例は、原料MAに由来するセルロース繊維と、第1樹脂および/または第2樹脂と、無機繊維または高剛性繊維とを含む。無機繊維または高剛性繊維は、上述した剛繊維やチクソ性繊維から選択される。
【0104】
第4組成例の無機粒子や、第5組成例の無機繊維または高剛性繊維は、シートSに、外力PWのエネルギーに対する応力を高める効果を奏する。このため、より緩衝性能が高いシートS、および繊維構造体を実現できる。
【0105】
さらに、第1-第5組成例により構成されるシートSの製造工程において、第2ウェブW2を形成する堆積工程で、添加材料AD以外の材料を散布してもよい。この場合、シートSの表面に特定の材料を偏在させることができる。例えば、結合材料として機能する熱可塑性樹脂を散布することにより、複数のシートSを接合する際の接合性を高める効果が期待できる。また、例えば、着色成分を含む樹脂や無機粒子を散布することにより、シートSに効果的に着色できるという利点がある。
【0106】
[1-7.複合シートの構成]
上述したシートS1、およびシートS2は、そのまま繊維構造体300、310、350に用いてもよいが、シートS1やシートS2を複数接合した複合シートとして用いてもよい。
【0107】
図12は、シートS1またはシートS2を矩形に成形した矩形シートS11、S12、S13、S14を用いた例として、複合シート411、412、413、414、415、416を示す。また、
図13は、シートS1またはシートS2を矩形に成形した矩形シートS14、S15を用いた例として、複合シート421、422、423、424、425、426を示す。
【0108】
シートS1及びシートS2は容易に切断可能であるため、長さや幅が異なる矩形シートS11-S15が得られる。これらを2枚重ねて接合することで複合シート411を得ることができる。また、3枚ないし4枚の矩形シートS11、S12、S13、S14を重ねて接合することで、複合シート412、413、414、415、416を得ることができる。また、より長い矩形シートS15を用いることで、複合シート421、422、423、424、425、426を得ることができる。
矩形シートS11-S15の接合方法は、上述したように、加圧、加圧と加熱の組み合わせ等が挙げられ、加熱方法としては、オーブンによる加熱、水蒸気加熱、マイクロウェーブ加熱などが挙げられる。
【0109】
図12及び
図13に示した複合シート411-416,421-426は、異なる繊維配向方向DSを有する。このため、様々な方向から加わる外力PWに対し、緩衝作用を発揮することができる。すなわち、これらの複合411-416,421-426は、互いに90度の角度をなす複数の繊維配向方向DSを有している。このため、どのような方向から外力PWが加わっても、いずれかの繊維配向方向DSに対し外力PWが45度以内の角度となる。従って、様々な方向から加わる外力PWに対し、高い緩衝作用を発揮することが期待できる。
【0110】
図14および
図15に示す矩形シートS16、S17は、矩形シートS16、S17の外形の辺に対して斜め方向の繊維配向方向DSを有する。矩形シートS16、S17は、一例として、外形の辺に対し45度の角度をなす繊維配向方向DSを有する。
これらを用いて構成した複合シート431、432、435、436、437は、45度、或いは90度異なる複数の繊維配向方向DSを有する。このため、広い角度からの外力PWに対し、緩衝作用を発揮する。
【0111】
このように、シートS1および/またはシートS2を複数組み合わせた複合シートを用いて、繊維構造体300、310,350を構成した場合、広い範囲からの外力PWに対して緩衝作用を有する繊維構造体を実現できる。これら複合シートを用いて構成した繊維構造体を、特に、繊維構造体ブロックと呼ぶ。
【0112】
以上説明したように、本発明を適用した繊維構造体300は、主たる繊維配向方向DSが第1方向となるよう配置されたセルロース繊維と、複数のセルロース繊維を互いに結着させる架橋材料と、を含むシートSを含む。第1方向は、繊維構造体300の外面に外部から加わる外力PWの方向に対して45度以下の角度をなす。
この構成によれば、シートSの繊維配向方向DSが、外力PWに対して45度以下の角度をなしているため、シートSに含まれる繊維が解離する作用によって、シートSが緩衝作用を発揮する。このため、本発明を適用した繊維構造体により、例えば被収容物を収容する容器を構成した場合、被収容物を衝撃から保護できる。
【0113】
繊維構造体300は、主たる繊維配向方向DSが第1方向となるよう配置されたセルロース繊維と、複数のセルロース繊維を互いに結着させる架橋材料と、を含み、被収容物を収容する収容空間を有し、第1方向は、繊維構造体300の外部から収容空間に向けて加わる外力PWの方向に対して45度以下の角度をなす。
この構成によれば、シートSの繊維配向方向DSが、外力PWに対して45度以下の角度をなしているため、シートSに含まれる繊維が解離する作用によって、シートSが緩衝作用を発揮する。このため、収容空間に収容された被収容物を衝撃から保護できる。
【0114】
また、繊維配向方向DSの第1方向は、繊維構造体300の外面に直接、または、外部の部材を介して加わる外力PWの方向に対して45度以下の角度をなす方向となっている。この構成によれば、繊維構造体が外力PWに対して変形することにより、強い緩衝作用を発揮するため、外力PWの衝撃を緩和できる。
【0115】
また、繊維構造体300は、複数の外面を有し、第1方向は、いずれか1の外面の法線に対し、45度以下の角度をなしているので、繊維構造体300の外部から加わる外力PWに対し、高い緩衝作用を発揮できる。
【0116】
また、繊維構造体300における第1方向は、複数の外面のうち最も大きい外面である底面301の法線に対し、45度以下の角度をなすので、底面301の法線方向から加わる外力PWに対し、高い緩衝作用を発揮できる。
【0117】
シートSに含まれる架橋材料は、第1の樹脂、および、第1の樹脂とは異なる材料からなる第2の樹脂を含む。この場合、複数の樹脂の性質により、シートSに含まれる繊維同士を強く接合させることができ、耐水性や、環境負荷の軽減等の機能を与えることができる。
【0118】
シートSは、セルロース繊維および架橋材料とは異なる材料を含んで構成されてもよい。この場合、シートSの着色等が可能になるほか、接合性の向上、耐衝撃性の向上などの機能をシートSに与えることができる。
【0119】
繊維構造体300に、セルロース繊維を積層させた平板構造体としての複合シートを用いる構成であってもよく、この構成において、第1方向は、平板構造体の面に含まれる方向であってもよい。この場合、第1方向を含む複数の繊維配向方向DSを有する繊維構造体300を実現できる。従って、様々な方向から加わる外力PWに対し、高い緩衝作用を発揮できる。
【0120】
[2.第2実施形態]
本発明を適用した第2実施形態として、シートSに対し、型を用いた成形により繊維構造体を構成する例について説明する。
図16は、成形部120による加工を示す模式図である。成形部120は、上型121と下型122とを有し、上型121と下型122との間にシートS1またはシートS2を挟んで加圧することにより、繊維構造体500を形成する。成形部120は、シート製造装置100の一部として構成してもよいし、シート製造装置100とは別体の装置であってもよい。
【0121】
成形部120は、上型121と下型122の間に、複数枚のシートSを重ねて挟むことが可能な構成であってもよい。上型121と下型122とは、互いに嵌合する雄型と雌型であってもよいし、上型121と下型122との間に空隙が形成される型であってもよい。
【0122】
また、成形部120は、上型121と下型122とによってシートSを加圧する加圧中または加圧後に、加熱を行う構成であってもよい。この場合、加熱方法としては、成形部120を含むチャンバー全体の温度をヒーター等により昇温させる方法や、上型121および/または下型122にヒーターを内蔵させる方法を採用できる。また、加圧後の繊維構造体500をヒーターやマイクロウェーブ加熱により加熱する方法を用いてもよい。
【0123】
図17は、繊維構造体500の一具体例として、繊維構造体510を示す斜視図である。
繊維構造体510は、円錐形の凸部511と、凸部511の周囲の平面部512とを有する。繊維構造体510を、被収容物を収容する包装材や収納容器に用いる場合、凸部511の先端が被収容物に当接する。繊維構造体510は、平面部512の法線方向から加わる外力PWに対し、緩衝作用を発揮する。
【0124】
図18は、
図17のR-R線における断面図であり、凸部511の頂点を通る切断面を示す。
図18に示すように、凸部511の斜面の少なくとも一方向は繊維配向方向DSを重なる。この場合、凸部511の斜面は、平面部512の法線方向から加わる外力PWに対する角度θ3が、45度以内となる角度であることが好ましい。すなわち、|θ3|≦45°である。この場合、繊維構造体510に外力PWが加わった場合に、外力PWは凸部511に対し45度以内の角度で作用する。このため、凸部511が外力PWを減衰させる効果がある。
【0125】
繊維構造体510は、複数のシートSを積層させて成形部120で加工したものであってもよい。また、凸部511の内部が密である構成であってもよい。
【0126】
図19は、第2実施形態の繊維構造体500の別の例として、繊維構造体550を示す斜視図である。
繊維構造体550は、円錐台形状の台部551と、凸部511の周囲の平面部552とを有する。台部551の頂部553は平面となっている。繊維構造体550を、被収容物を収容する包装材や収納容器に用いる場合、頂部553に被収容物が載置される。
【0127】
繊維構造体550は、平面部552の法線方向から加わる外力PWに対し、緩衝作用を発揮する。このため、繊維配向方向DSが台部551を構成する斜面に沿っており、台部551の斜面が、平面部552の法線方向に対し45度以内であることが好ましい。
【0128】
台部551は、外力PWに対する緩衝作用を発揮する上、頂部553が平面であることから、収容状態において被収容物が安定するという効果がある。
さらに、複数の台部551を並べて配置した構成とすることもできる。
【0129】
図20は、繊維構造体500のさらに別の具体例として、繊維構造体560を示す斜視図である。繊維構造体560は、複数の台部551と、台部551の周囲の平面部562とを有する。台部551は、繊維構造体550と同様に構成される。
【0130】
繊維構造体560は、複数の台部551によって被収容物を支持できるため、重量物を収容する包装材や収納容器に好適である。
【0131】
上述した繊維構造体510、550、560は、本発明の繊維構造体、および、繊維構造体ブロックとして、第1実施形態で説明したものと同様の効果を奏する。
【0132】
[3.他の実施形態]
上述した各実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明を実施する具体的態様に過ぎず、本発明を限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、例えば以下に示すように、種々の態様において実施することが可能である。
【0133】
例えば、上記各実施形態において示したシートSは、表面が平滑なものに限定されず、エンボス加工や削り加工によって、粗面を有するものであってもよい。また、シートSを用いて構成される繊維構造体、および繊維構造体ブロックは、繊維構造体300、310、350に限定されない。すなわち、外面を有する形状は直方体に限定されず、球形であってもよいし、多面体であってもよい。また、繊維構造体510、550、560は、箱形に成形されてもよいし、繊維構造体300などの直方体の構造物の内部に設置されてもよいし、球形に成形されてもよく、具体的な形状は制限されない。
その他の細部構成についても、任意に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0134】
100…シート製造装置、120…成形部、121…上型、122…下型、210、220、230…試験片、300、310、350…繊維構造体(繊維構造体ブロック)、301…底面、302、303、304、305…側面、306…上面、311…底面、312、313、314、315…側面、316…上面、320…内部構造体(収容空間)、321…底面、322、323、324、325…側面、326…上面、331、332、333、334…斜面材、351…底面、352、353、354、355…側面、356…上面、401…筒状体、411、412、413、414、415、416…複合シート、421、422、423、424、425、426…複合シート、431、432、435、436、437…複合シート、500、510、550、560…繊維構造体(繊維構造体ブロック)、511…凸部、512…平面部、551…台部、552…平面部、553…頂部、562…平面部、AD…添加材料(架橋材料)、DF…配向方向、DS、DS1、DS2、DS3、DS4…繊維配向方向、MA…原料、PW…外力、S、S1、S2…シート。