IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本発條株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-サスペンションシート 図1
  • 特許-サスペンションシート 図2
  • 特許-サスペンションシート 図3
  • 特許-サスペンションシート 図4
  • 特許-サスペンションシート 図5
  • 特許-サスペンションシート 図6
  • 特許-サスペンションシート 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】サスペンションシート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/52 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
B60N2/52
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019171725
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021046172
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】上原 慎二
(72)【発明者】
【氏名】八重樫 賢
(72)【発明者】
【氏名】中村 竜誠
(72)【発明者】
【氏名】内沢 祐希
【審査官】瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-225177(JP,A)
【文献】特開平05-238298(JP,A)
【文献】特開昭61-098634(JP,A)
【文献】特開昭62-199542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サスペンションの車両下方側を形成すると共に車室の床部に連結された下側部材と、
前記サスペンションの車両上方側を形成すると共に車両用シート本体の車両下方側に配置され、前記車両用シート本体を車両下方側から支持する上側部材と、
車両下方側の部分が前記下側部材に連結されると共に車両上方側の部分が前記上側部材に連結され、変位することにより前記上側部材を車両上下方向に沿って変位させるサスペンションリンク機構と、
前記サスペンションリンク機構に設けられると共に前記サスペンションリンク機構の変位と連動して直線的に変位される直線変位部と、
前記上側部材の車両下方側に設けられると共に前記上側部材を車両上方側へ向けて付勢可能な付勢手段と、
端部が前記上側部材の車両下方側において前記サスペンションリンク機構に連結されると共に前記サスペンションリンク機構に生じた振動を吸収する減衰手段と、
一端部が前記直線変位部に固定されると共に前記直線変位部の変位する方向に沿って前記直線変位部と一体で直線的に変位可能に設けられ、他端部に被ロック部を備えた変位部材と前記変位部材の当該他端部の側に設けられると共に前記被ロック部と対向する部分に前記変位部材の変位する範囲内で前記被ロック部を拘束可能に形成されたロック部を備えた拘束部材と、を含んで構成され、前記直線変位部を拘束することにより前記サスペンションリンク機構の変位を拘束するロック機構と、
を備え、
前記ロック機構は、前記車両用シート本体に着座した乗員が立ち上がる直前に、前記拘束部材が駆動されることによって前記変位部材の直線的な変位を拘束し、
前記変位部材は、直線的に変位する方向に沿った長手方向の一端部が前記直線変位部に固定されると共に前記被ロック部として前記変位部材の短手方向の端部に当該長手方向に沿って歯が形成されたラック歯部が設けられたラックとされ、前記拘束部材は、前記ロック部として前記ラック歯部と噛合可能な歯が形成された噛合部が設けられたロック部材とされ、
前記ロック機構は、
出力軸を備えた駆動装置と、
前記出力軸に固定されると共に前記出力軸と一体で回転可能なピニオンギアと、
端部に前記ピニオンギアと噛合するピニオン噛合部を備えると共に前記ピニオン噛合部とは反対側の端部に前記拘束部材と連結される連結部とを備え、前記ピニオンギアの回転に連動して回動されることにより前記拘束部材を前記変位部材と噛合させ又は離隔させる引張部材と、
前記引張部材に設けられ、前記拘束部材が前記変位部材と噛合する際に前記拘束部材の
前記変位部材と噛合する側とは反対側の部分を係止する係止部材と、
を含んで構成されたサスペンションシート。
【請求項2】
前記ロック機構は、
シートベルトの着脱を検出するために設けられたバックルスイッチにより、前記シートベルトの取外しが検知された場合、
シフトレバーがパーキングレンジに入れられた場合、及び、
サイドブレーキが引かれた場合、の少なくとも1つの場合に、
前記拘束部材が駆動されることによって前記変位部材の直線的な変位を拘束する
請求項1に記載のサスペンションシート。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記車室に装備されると共にレバー又はスイッチを備えた操作部と電気的又は機械的に接続され、乗員が前記操作部を操作した場合に前記拘束部材が駆動されることによって前記変位部材の直線的な変位を拘束する請求項1又は請求項2に記載のサスペンションシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サスペンションシートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ロアフレームに対してアッパフレームを上下動可能に支持するリンク機構の動作をロックすることによりサスペンション高さ位置を固定するサスペンションロック手段を備えた車両用エアサスペンション式シート支持装置が開示されている。リンク機構は、2本のリンクバーがリンク軸を介してX状に組まれた一対のXリンクを備えると共に一対のXリンクの車両前方側かつ車両下方側を連結する前下側可動軸を備えている。アッパフレームの上下動に伴い車両水平方向に移動可能とされた前下側可動軸には、その移動に伴って回動するギヤ付きアームが係合されている。前下側可動軸は、ギヤ付きアームにエアスプリングによって回転駆動されたロックギアが噛合されることにより車両水平方向への移動がロックされる。これにより、任意のシート高さでサスペンションを固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-225177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された車両用エアサスペンション式シート支持装置では、サスペンションを拘束する機構を構成するギヤ付きアームとロックギアには複数のリンク部材が連結されるため機構の構成が複雑となる。また、サスペンションを拘束する機構は、複数のリンク部材を介して連結されたギヤ付きアームとロックギアを回動させるためにロアフレームの車両下方側とフロアパネルの間の空間に設けられている。以上より、サスペンションを拘束する機構は簡易に構成されることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、簡易に構成されると共にシートの車両上下方向に変位する範囲内においてサスペンションを拘束可能なロック機構を備えたサスペンションシートを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のサスペンションシートは、サスペンションの車両下方側を形成すると共に車室の床部に連結された下側部材と、前記サスペンションの車両上方側を形成すると共に車両用シート本体の車両下方側に配置され、前記車両用シート本体を車両下方側から支持する上側部材と、車両下方側の部分が前記下側部材に連結されると共に車両上方側の部分が前記上側部材に連結され、変位することにより前記上側部材を車両上下方向に沿って変位させるサスペンションリンク機構と、前記サスペンションリンク機構に設けられると共に前記サスペンションリンク機構の変位と連動して直線的に変位される直線変位部と、前記上側部材の車両下方側に設けられると共に前記上側部材を車両上方側へ向けて付勢可能な付勢手段と、端部が前記上側部材の車両下方側において前記サスペンションリンク機構に連結されると共に前記サスペンションリンク機構に生じた振動を吸収する減衰手段と、一端部が前記直線変位部に固定されると共に前記直線変位部の変位する方向に沿って前記直線変位部と一体で直線的に変位可能に設けられ、他端部に被ロック部を備えた変位部材と前記変位部材の当該他端部の側に設けられると共に前記被ロック部と対向する部分に前記変位部材の変位する範囲内で前記被ロック部を拘束可能に形成されたロック部を備えた拘束部材と、を含んで構成され、前記直線変位部を拘束することにより前記サスペンションリンク機構の変位を拘束するロック機構と、を備え、前記ロック機構は、前記車両用シート本体に着座した乗員が立ち上がる直前に、前記拘束部材が駆動されることによって前記変位部材の直線的な変位を拘束し、前記変位部材は、直線的に変位する方向に沿った長手方向の一端部が前記直線変位部に固定されると共に前記被ロック部として前記変位部材の短手方向の端部に当該長手方向に沿って歯が形成されたラック歯部が設けられたラックとされ、前記拘束部材は、前記ロック部として前記ラック歯部と噛合可能な歯が形成された噛合部が設けられたロック部材とされ、前記ロック機構は、出力軸を備えた駆動装置と、前記出力軸に固定されると共に前記出力軸と一体で回転可能なピニオンギアと、端部に前記ピニオンギアと噛合するピニオン噛合部を備えると共に前記ピニオン噛合部とは反対側の端部に前記拘束部材と連結される連結部とを備え、前記ピニオンギアの回転に連動して回動されることにより前記拘束部材を前記変位部材と噛合させ又は離隔させる引張部材と、前記引張部材に設けられ、前記拘束部材が前記変位部材と噛合する際に前記拘束部材の前記変位部材と噛合する側とは反対側の部分を係止する係止部材と、を含んで構成された
【0007】
請求項1に記載のサスペンションシートによれば、ロック機構は、直線変位部の変位する方向に沿って直線変位部と一体で直線的に変位可能に設けられた変位部材と変位部材の変位する範囲内において変位部材の他端部を拘束可能な拘束部材とを含んで構成されてい
る。変位部材は、一端部が直線変位部に固定されると共に直線変位部の直線的に変位する方向に沿って設けられている。このため、例えば、変位部材と拘束部材を直線変位部の車両後方側において棒状や板状の部材で簡易に形成することができる。また、拘束部材には、被ロック部と対向する部分に設けられると共に変位部材の変位する範囲内で被ロック部を拘束可能なロック部が形成されている。これにより、ロック機構を簡易に構成することができると共にシートの車両上下方向に変位する範囲内においてサスペンションを拘束することができる。
また、ロック機構は、車両用シート本体に着座した乗員が立ち上がる直前に、拘束部材が駆動されることによって変位部材の直線的な変位を拘束することで、乗員が立ち上がる直前に、サスペンションリンク機構の変位が拘束される。そのため、乗員がサスペンションシートから降りようとする動作の前に、サスペンションリンク機構の変位が拘束される。その結果、乗員が立ち上がる直前に、シート本体部の浮き上がりを防止することができ、着座乗員の不快感の発生を抑制することができる。
また、変位部材は、変位部材の短手方向の端部に長手方向に沿って歯が形成されたラック歯部が設けられたラックとされている。また、拘束部材は、ラック歯部と噛合可能な歯が形成された噛合部が設けられたロック部材とされている。このため、ロック部材の噛合部をラック歯部に噛合させることによりラックの直線的な変位を拘束することができる。これにより、ロック機構を簡易な構成とすることができると共にシートの車両上下方向に変位する範囲内においてサスペンションを拘束することができる。
また、ロック機構には、駆動装置の出力軸に固定されたピニオンギアの回転に連動して回動されることにより拘束部材と変位部材を噛合させ又は離隔させる引張部材が設けられている。このため、シートが車両上下方向に変位する範囲内においてサスペンションシートを拘束することができると共に、例えば、駆動装置を制御することによりサスペンションシートの高さ位置を細かく調整することができる。また、引張部材には、拘束部材が変位部材と噛合する際に拘束部材の変位部材と噛合する側とは反対側の部分を係止する係止部材が設けられている。このため、拘束部材と変位部材とを安定して噛合させることができる。これにより、シートの車両上下方向に変位する範囲内においてサスペンションを安定して拘束することができる。
【0008】
請求項2に記載のサスペンションシートは、請求項1に記載のサスペンションシートにおいて、前記ロック機構は、シートベルトの着脱を検出するために設けられたバックルスイッチにより、前記シートベルトの取外しが検知された場合、シフトレバーがパーキングレンジに入れられた場合、及び、サイドブレーキが引かれた場合、の少なくとも1つの場合に、前記拘束部材が駆動されることによって前記変位部材の直線的な変位を拘束する。
【0009】
請求項2に記載のサスペンションシートによれば、ロック機構は、シートベルトの着脱を検出するために設けられたバックルスイッチにより、シートベルトの取外しが検知された場合、シフトレバーがパーキングレンジに入れられた場合、及び、サイドブレーキが引かれた場合、の少なくとも1つの場合に、サスペンションリンク機構の変位が拘束される。そのため、乗員がサスペンションシートから降りようとする動作の前に、サスペンションリンク機構の変位が拘束される。その結果、乗員が立ち上がる直前に、シート本体部の浮き上がりを防止することができ、着座乗員の不快感の発生を抑制することができる
【0010】
請求項3に記載のサスペンションシートは、請求項1又は請求項2に記載のサスペンションシートにおいて、前記ロック機構は、前記車室に装備されると共にレバー又はスイッチを備えた操作部と電気的又は機械的に接続され、乗員が前記操作部を操作した場合に前記拘束部材が駆動されることによって前記変位部材の直線的な変位を拘束する。
【0011】
請求項3に記載のサスペンションシートによれば、ロック機構は、車室に装備されると共にレバー又はスイッチを備えた操作部と電気的又は機械的に接続されている。これにより、乗員は操作部を操作することにより拘束部材を駆動させると共に変位部材の変位を拘束することができるため、着座乗員が立ち上がる際にシートが浮き上がりかつ接触することによる着座乗員の不快感の発生を抑制又は防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係るサスペンションシートは、簡易に構成されると共にシートの車両上下方向に変位する範囲内においてサスペンションを拘束可能なロック機構を備えることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係るサスペンションシートをシート前方側から見た斜視図である。
図2】本実施形態に係るサスペンションの斜視図である。
図3】本実施形態に係るサスペンションの平面図である。
図4】本実施形態に係るサスペンションの側面図である。
図5】本実施形態に係るロック機構の斜視図である。
図6】本実施形態に係る拘束部材と変位部材が噛合した状態を示す平面図である。
図7】本実施形態に係る拘束部材と変位部材が離隔した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1図7を用いて、本発明の実施形態の一例であるサスペンションシート10について説明する。以下の図において、矢印FRはシート前方側を示し、矢印UPはシート上方側を示し、矢印Wはシート幅方向を示している。なお、本実施形態では、サスペンションシート10の前方側、上方側及び幅方向は、車両の前方側、上方側及び幅方向と一致している。また、ここでは、シート前方側を向いた場合の右手方向を「シート右側」、左手方向を「シート左側」と定義する。
【0019】
(サスペンション)
図1には、サスペンションシート10の外観が斜視図にて示されている。サスペンションシート10のシート本体部12のシート下方側(車両下方側)には、サスペンション14が配置されている。サスペンション14は、シート下方側を形成する下側部材としてのロアフレーム16と、シート上方側(車両上方側)を形成する上側部材としてのアッパフレーム18と、ロアフレーム16とアッパフレーム18に連結されると共にロアフレーム16に対してアッパフレーム18をシート上下方向に沿って変位させるサスペンションリンク機構20と、を含んで構成されている。
【0020】
図2に示されるように、ロアフレーム16は、そのシート下方側の部分がシートレールを介して車室の床部(どちらも図示省略)に固定されている。これにより、サスペンションシート10が車両(図示省略)へ固定されている。ロアフレーム16は、シート幅方向(車幅方向)の両端部においてシート前後方向に沿って延在された左右一対のレールメンバー16Aと、その前後端においてシート幅方向に沿って延在されると共にレールメンバー16Aの前端同士及び後端同士を連結する前後一対の横メンバー16Bを備えている。このため、ロアフレーム16は、平面視で略枠状に形成されている。
【0021】
ロアフレーム16のシート上方側には、アッパフレーム18が配置されている。アッパフレーム18は、そのシート幅方向両端部においてシート前後方向に沿って延在された左右一対のレールメンバー18Aと、その前後端においてシート幅方向に沿って延在されると共にレールメンバー18Aの前端同士及び後端同士を連結する前後一対の横メンバー18Bを備えている。このため、アッパフレーム18は、平面視で略枠状に形成されている。アッパフレーム18は、車両用シート本体としてのシート本体部12(図1参照)のシート下方側に配置されている。これにより、シート本体部12は、サスペンション14によってシート下方側から支持されている。
【0022】
図2に示されるように、ロアフレーム16は、サスペンションリンク機構20を介してアッパフレーム18と連結されている。図3に示されるように、ロアフレーム16とアッパフレーム18の間には、アッパフレーム18をシート上方側へ向けて付勢すると共にシート本体部12側(シート上方側)から作用する荷重に対する反力を生じさせる付勢手段としてのエアスプリング22が配設されている。また、エアスプリング22の振動を吸収する減衰手段としての油圧シリンダ式のダンパ24が配設されている。エアスプリング22には、例えば、車両のエアブレーキ装置を構成する空気供給源としてのエアコンプレッサからエアチューブ等(いずれも図示省略)を介して圧縮空気が供給されるように構成されている。サスペンションリンク機構20は、エアスプリング22の膨張及び縮小に伴ってシート上下方向に対して伸縮可能に形成されている。これにより、アッパフレーム18及びシート本体部12をシート上下方向に沿って変位可能とされている。
【0023】
(サスペンションリンク機構)
図4に示されるように、サスペンションリンク機構20は、ロアフレーム16及びアッパフレーム18のシート幅方向両端部側に各々配置されると共に2本のリンクアーム30、32がX状に組み合わされた左右一対のXリンク28を備えている。左右一対のXリンク28は、2本のリンクアーム30、32の中間部同士がリンク軸34を介して各々連結されている。Xリンク28は、シート前方側へ向かうにつれてシート上方側へ傾斜する第1リンクアーム30とシート下方側へ傾斜する第2リンクアーム32の中間部がリンク軸34を介してX状に組み合わされている。これにより、リンク軸34を支点として第1リンクアーム30と第2リンクアーム32を相対回転可能とされている。
【0024】
サスペンションリンク機構20には、図2に示されるように、第1リンクアーム30のシート前方側かつシート上方側の端部には前上側可動軸36が配置されている。また、第2リンクアーム32のシート前方側かつシート下方側の端部には直線変位部としての前下側可動軸38が配置されている。
【0025】
図4に示されるように、第1リンクアーム30の後端部には、シート幅方向に沿って延在されると共にシート幅方向両端部が各々第1リンクアーム30のシート後方側かつシート下方側の端部に固定された下側固定軸40が配設されている。下側固定軸40は、ロアフレーム16の各レールメンバー16Aの後端部に回転可能に支持されている。
【0026】
図2に示されるように、第2リンクアーム32の後端部には、シート幅方向に沿って延在されると共にシート幅方向両端部が各々第2リンクアーム32のシート後方側かつシート上方側の端部に固定された上側固定軸42が配設されている。上側固定軸42は、アッパフレーム18の各レールメンバー18Aの後端部に回転可能に支持されている。
【0027】
左右一対のXリンク28における第1リンクアーム30の前端部には、シート幅方向に沿って延在されると共にシート幅方向両端部が各々第1リンクアーム30の前端部に固定された前上側可動軸36が配設されている。
【0028】
前上側可動軸36は、アッパフレーム18の左右一対のレールメンバー16Aの前端部に架け渡され、レールメンバー16Aに沿ってシート前後方向に沿って直線的に変位可能に支持されている。
【0029】
左右一対のXリンク28における第2リンクアーム32の前端部には、シート幅方向に沿って延在されると共にシート幅方向両端部が各々第2リンクアーム32の前端部に固定された前下側可動軸38が配設されている。
【0030】
前下側可動軸38は、ロアフレーム16の左右一対のレールメンバー16Aの前端部に架け渡され、レールメンバー16Aに沿ってシート前後方向に沿って直線的に変位可能に支持されている。
【0031】
アッパフレーム18は、ロアフレーム16側の下側固定軸40を支点として左右のXリンク28が同期して伸縮することによりシート上下方向に沿って昇降させることができる。具体的には、アッパフレーム18をシート上方側へ向けて変位(上昇)させる際には、第1リンクアーム30と第2リンクアーム32の傾斜方向がシート上下方向に近づくように変形される(立ち上げられる)。このため、前上側可動軸36は、シート後方側へ直線的に変位すると共に上側固定軸42に接近する。また、前下側可動軸38は、シート後方側へ直線的に変位すると共に下側固定軸40に接近する。これにより、Xリンク28がシート上方側へ向けて伸張するため、アッパフレーム18がシート上方側へ向けて変位(上昇)する。
【0032】
アッパフレーム18をシート下方側へ向けて変位(下降)させる際には、第1リンクアーム30と第2リンクアーム32の傾斜方向がシート前後に近づくように変形される(折り畳まれる)。このため、前上側可動軸36は、シート前方側へ直線的に変位すると共に上側固定軸42と離間する。また、前下側可動軸38は、シート前方側へ直線的に変位すると共に下側固定軸40と離間する。これにより、Xリンク28がシート下方側へ向けて縮小され、アッパフレーム18は、シート下方側へ向けて変位(下降)する。
【0033】
(エアスプリング、ダンパ)
図3に示されるように、エアスプリング22は、ロアフレーム16の枠形状の内側かつシート後方側の空間に配置されている。エアスプリング22は、その上端部が、第1リンクアーム30又は第2リンクアーム32に固定されサスペンションリンク機構20の作動に伴って昇降する受圧板22Aに固定されている。エアスプリング22には、例えば、車両のエアブレーキ装置を構成するエアコンプレッサ(空気供給源)から圧縮空気が供給されるように構成されている。このため、エアスプリング22は、空気が供給されるとシート上方側へ向けて膨出され、排気されるとシート下方側へ向けて縮小される。
【0034】
アッパフレーム18上に設置されたシート本体部12に着座する乗員の荷重(自重)は、受圧板22Aを介してエアスプリング22に伝達(負荷)される。Xリンク28が拘束されていない場合は、エアスプリング22に負荷された荷重は、ダンパ24の振動吸収作用と共に緩衝される。エアスプリング22は、空気が供給されるとシート上方側へ向けて膨出されるため、アッパフレーム18が上昇されると共にシート本体部12の高さ位置がシート上方側に調整される。また、エアスプリング22から空気が排気されるとシート下方側へ向けて縮小されるため、アッパフレーム18が下降されると共にシート本体部12の高さ位置がシート下方側に調整される。
【0035】
(ロック機構)
図3に示されるように、ロアフレーム16の枠形状の内側かつシート前後方向略中間部には、サスペンションリンク機構20の変形を拘束するためのロック機構50が配置されている。具体的には、シート幅方向に沿って延在された板状に形成されると共にロアフレーム16の左右一対のレールメンバー16A間に架け渡された台座部52の上面に、ロック機構50がボルト締結により固定されている。
【0036】
図5に示されるように、ロック機構50は、サスペンションリンク機構20を構成する前下側可動軸38に固定される変位部材としてのラック54と、ラック54を拘束するための拘束部材としてのロック部材56と、を含んで構成されている。
【0037】
図6に示されるように、ラック54とロック部材56は、略板状に形成されると共にその面内方向がシート幅方向かつシート前後方向に沿って形成された基盤部58の上面側に配置されている。ロック機構50は、前下側可動軸38にシート前方側の端部が固定されたラック54をロック部材56により拘束することによってサスペンションリンク機構20の変形を拘束することができる。
【0038】
ラック54は、長手方向となるシート前後方向に沿って略長板状(幅の狭い板状)に形成され、一端部としての前端部が前下側可動軸38に固定されると共に基盤部58の上面にシート前後方向に沿って摺動可能に配置されている。このため、前下側可動軸38がシート前後方向に沿って直線的に変位する際に、前下側可動軸38と一体でシート前後方向に沿って直線的に変位可能とされている。また、基盤部58には、シート前後方向を長手方向とすると共にラック54のシート左側の周縁部に沿って略長板状に形成されたベースプレート60が配置されている。このため、ラック54は、ベースプレート60の長手方向に沿って変位される。これにより、ラック54をシート前後方向に沿って安定して変位させることができる。
【0039】
ラック54の他端部としての短手方向の一方の端部(シート右側端部)には、長手方向(シート前後方向)に沿って被ロック部としてのラック歯部54Aが設けられている。具体的には、ラック54の短手方向一端部となるシート右側の周縁部54Bには、ロック部材56に拘束される全ての部位に長手方向に沿って歯が形成されたラック歯部54Aが形成されている。
【0040】
ラック54のシート右側には、ロック部材56が配置されている。ロック部材56は、シート前後方向に沿って略長板状(幅の狭い板状)に形成され、そのシート後方側においてシート上下方向(板厚方向)に沿って第1孔部56Aが貫通形成されている。ロック部材56は、第1孔部56Aに貫通配置されると共に下端が基盤部58に固定された第1軸部62を軸中心として回動可能に基盤部58の上面に配置されている。
【0041】
ロック部材56は、ラック歯部54Aと対向する側の端部に歯が形成されたロック部としての噛合部56Bを備えている。これにより、噛合部56Bをラック歯部54Aに噛合させることによってラック54の直線的な変位を拘束すると共にサスペンションリンク機構20(図4参照)の変形を拘束することができる。
【0042】
図5に示されるように、ロック機構50には、駆動装置としてのモータ64が設けられている。また、図6に示されるように、モータ64の出力軸64Aにはピニオンギア66が固定されている。ピニオンギア66は、モータ64が駆動されることにより出力軸64Aと一体で回転可能に形成されている。
【0043】
基盤部58の上面には、回動軸68回りに回動可能に引張部材としてのガイドプレート70が配置されている。ピニオンギア66は、ガイドプレート70のシート右側かつシート後方側の端部にピニオンギア66と噛合可能な歯が形成されたピニオン噛合部56Bと噛合されている。ガイドプレート70のピニオン噛合部56B側と反対側の端部としてのシート左側かつシート前方側の端部には、当該端部における外周形状に沿って連結部としての孔部70Aが貫通形成されている。ロック部材56には、孔部70Aとシート上下方向に重なる位置に、略円筒状に形成されると共にシート下方側へ向けて突出された突出部56Cが設けられている。ガイドプレート70は、孔部70Aに突出部56Cが挿通された状態で、ロック部材56のシート下方側に配置されている。このため、ガイドプレート70が回動されることにより、ロック部材56の突出部56Cが孔部70Aの内部でスライドされると共にロック部材56が第1軸部62回りに回動される。これにより、ロック部材56をラック54に噛合させることができる。また、図7に示されるように、モータ64がロック部材56をラック54に噛合させる場合とは逆回転に駆動された場合には、ガイドプレート70もロック部材56をラック54に噛合させる場合とは逆方向に回転される。これにより、ロック部材56をラック54から離隔させることができる。
【0044】
図6に示されるように、ガイドプレート70のシート上方側には、係止部材72が設けられている。係止部材72は、一方の端部がガイドプレート70に固定されると共に他方の端部が回動軸68に回動軸68を軸中心として回動可能に取り付けられている。このため、ロック部材56がラック54と噛合する際にロック部材56のラック54と噛合する側とは反対側の部分を係止することができる。これにより、ラック54を拘束するロック部材56を安定させることができる。
【0045】
図1に示されるように、シート本体部12のシート上方側に配置されたシートクッション(図示省略)の内部には、着座センサ80が配置されている。着座センサ80は、シートクッションに配置される側の一方の端部にセンサ部80Aを備えている。センサ部80Aは、例えば、圧電素子のような電極を備え、シートクッションの着座乗員により押圧される(荷重が加えられる)部位に電極が配置されるようにシートクッション(図示省略)の内部に配置されている。
【0046】
着座センサ80の他方の端部は、図示しないコネクタを介してECU(Electronic Control Unit)82と電気的に接続されている。また、ロック機構50のモータ64も同様にECU82と電気的に接続されている。このため、着座センサ80とロック機構50はECU82を介して電気的に接続されている。ここでは、着座センサ80が、乗員の着座による荷重を検出する荷重センサとして機能し、ECU82が、乗員の着座や立ち上がりを判定する機構として機能する。具体的には、ECU82は、着座センサ80に複数設けられた電極間の抵抗値を検出する。例えば、乗員が着座することにより押圧された電極の抵抗値が、押圧されていない場合、すなわち、乗員が着座していない状態の電極の抵抗値と差を生じているかどうかを判定することにより、乗員がシート本体部12に着座しているか否かを検出する。また、乗員が着座している状態の電極の抵抗値と差を生じているかどうかを判定することにより、乗員がシート本体部12から立ち上がっているか否かを検出する。
【0047】
ECU82は、車室に装備されたシートベルト装置のシートベルトバックルにおいてシートベルト(いずれも図示省略)の着脱を検出するために設けられたバックルスイッチ86と電気的に接続されている。バックルスイッチ86は、ロック機構50とECU82を介して電気的に接続され、ロック機構50は乗員によるシートベルトの着脱と連動して作動するように構成されている。具体的には、乗員がシートベルトを取り外した場合に、ロック機構50のモータ64が作動し、ロック部材56はラック54と噛合する方向に回動される。
【0048】
ECU82は、車室に配設されると共に車両の変速機(図示省略)を操作する操作部としてのシフトレバー88と電気的に接続されている。シフトレバー88は、略棒状に形成されたレバーを備えて構成されている。以下の説明では、変速機はオートマチックトランスミッションとして説明するが、これに限らず、変速機はマニュアルトランスミッションとされてもよい。シフトレバー88はロック機構50とECU82を介して電気的に接続され、ロック機構50はシフトレバー88の操作と連動して作動するように構成されている。具体的には、乗員がシフトレバー88をリバースレンジに入れた場合又はシフトレバー88をパーキングレンジに入れた場合に、ロック機構50のモータ64が作動し、ロック部材56はラック54と噛合する方向に回動される。
【0049】
車室前部かつサスペンションシート10の車両前方側に設けられたインストルメントパネル(図示省略)には、操作部としてのロックスイッチ90が設けられている。ロックスイッチ90は、乗員が手動でオン又はオフの操作が可能なスイッチを備えて構成されている。ロックスイッチ90はロック機構50とECU82を介して電気的に接続され、ロック機構50はロックスイッチ90の操作と連動して作動するように構成されている。具体的には、乗員がロックスイッチ90をオンにした場合に、ロック機構50のモータ64が作動し、ロック部材56はラック54と噛合する方向に回動される。また、乗員がロックスイッチ90をオフにした場合に、ロック機構50のモータ64が作動し、ロック部材56はラック54と離隔する方向に回動される。
【0050】
ロック機構50は、例えば、サスペンションシート10のシート右側又はシート左側に配置された操作部としてのサイドブレーキ92とケーブル94を介して機械的に接続されている。ロック部材56は、乗員がサイドブレーキ92のレバー(図示省略)を引くことによりラック54と噛合する方向に回動されるように構成されている。また、ロック部材56は、乗員がサイドブレーキ92のレバーを下げることによりラック54と離隔する方向に回動されるように構成されている。
【0051】
(作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0052】
本実施形態に係るサスペンションシート10によれば、ロック機構50は、前下側可動軸38の変位する方向に沿って変位可能なラック54とラック54の変位する範囲内においてラック54のシート右側端部を拘束可能なロック部材56とを備えている。ラック54は、全体形状が略長板状に形成され、シート前方側端部が前下側可動軸38に固定されると共に前下側可動軸38の直線的に変位する方向に沿って設けられている。また、ロック部材56は、全体形状が略長板状に形成されると共に前下側可動軸38と一体で直線的に変位されるラック54のシート右側端部を拘束可能とされている。このため、ラック54とロック部材56とによりロック機構50を簡易に構成することができる。
【0053】
さらに、本実施形態に係るサスペンションシート10によれば、ラック54は、短手方向の一方の周縁部のロック部材56に拘束される部位に長手方向に沿って歯が形成されたラック歯部54Aを備えている。また、ロック部材56は、ラック歯部54Aと対向する側のシート左側端部に歯が形成された噛合部56Bを備えている。このため、噛合部56Bをラック歯部54Aに噛合させることによりラック54の直線的な変位をロック部材56により拘束することができる。これにより、ロック機構50を簡易な構成とすることができると共にシート上下方向に変位する範囲内において安定してサスペンションシート10を拘束することができる。
【0054】
また、本実施形態に係るサスペンションシート10によれば、ロック機構50には、モータ64の出力軸64Aに固定されたピニオンギア66の回転に連動して回動されることによりロック部材56とラック54を噛合させ又は離隔させるガイドプレート70が備えられている。このため、変位する範囲内においてサスペンションシート10を拘束することができると共に、例えば、モータを制御することによりサスペンションシート10の高さ位置を細かく調整することができる。また、ガイドプレート70には、ロック部材56がラック54と噛合する際にロック部材56のラック54と噛合する側とは反対側の部分を係止する係止部材72が設けられている。このため、ロック部材56によりラック54を安定して噛合させることができる。これにより、シート上下方向に変位する範囲内において安定してサスペンションシート10を拘束することができる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係るサスペンションシート10は、簡易に構成されると共にシート本体部12のシート上下方向に変位する範囲内においてサスペンションリンク機構20を拘束可能なロック機構50を備えることができる。
【0056】
さらに、本実施形態に係るサスペンションシート10によれば、ロック機構50は、シート本体部12に配置された着座センサ80とECU82を介して電気的に接続されている。また、ロック機構50は、着座センサ80により着座乗員のシート本体部12からの立ち上がりが検知された場合にロック部材56がラック54を拘束することにより前下側可動軸38の変位を拘束すると共にサスペンションリンク機構20の変形を拘束することができる。これにより、変位する範囲内において安定してサスペンションシート10を拘束することができると共に着座乗員が立ち上がる際にシート本体部12が浮き上がりかつ接触することによる着座乗員の不快感の発生を抑制又は防止することができる。
【0057】
また、本実施形態に係るサスペンションシート10によれば、ロック機構50は、シートベルトバックルに設けられたバックルスイッチ86と電気的に接続されている。このため、着座乗員がシートベルトを取り外した場合に、ロック部材56はラック54と噛合する方向に回動され、サスペンションシート10の変形を拘束することができる。これにより、着座乗員が立ち上がる直前にシート本体部12の浮き上がりを防止することができ、着座乗員の不快感の発生を抑制又は防止することができる。
【0058】
さらに、本実施形態に係るサスペンションシート10によれば、ロック機構50は、シフトレバー88と電気的に接続されると共にサイドブレーキ92と機械的に接続されている。このため、乗員がシフトレバー88をパーキングレンジに入れた場合や乗員がサイドブレーキ92を引いた場合に、サスペンションリンク機構20の変形を拘束することができる。これにより、車両の動きと連動してサスペンションシート10の変形を拘束することができるため、着座乗員が立ち上がる際のシート本体部12の浮き上がりを防止することができかつ着座乗員の不快感の発生を抑制又は防止することができる。また、乗員がシフトレバー88をリバースレンジに入れた場合にもサスペンションシート10の変形を拘束することができる。このため、例えば、乗員が車両の窓から上半身を乗り出した状態で車両を後退させる場合に、乗員の姿勢を安定させることができる。
【0059】
また、本実施形態に係るサスペンションシート10によれば、ロック機構50は、インストルメントパネルに設けられたロックスイッチ90と電気的に接続されている。これにより、任意の位置やタイミングでサスペンションシート10を拘束することができると共に着座乗員が立ち上がる際にシート本体部12が浮き上がりかつ接触することによる着座乗員の不快感の発生を抑制又は防止することができる。
【0060】
なお、ここでは、サスペンションリンク機構20は、Xリンク28により構成されているとして説明したが、これに限らず、サスペンションリンク機構は、例えば、上側部材のシート下方側にシート上下方向に沿って伸縮可能な軸部が設けられた構成等のように他の構成が適用されてもよい。
【0061】
また、ここでは、ロアフレーム16とアッパフレーム18は、略枠状に形成されているとして説明したが、これに限らず、例えば、ロアフレームとアッパフレームは、各々板状に形成されてもよい。
【0062】
さらに、ここでは、拘束部材としてロック部材56が適用されているとして説明したが、これに限らず、拘束部材は、例えば、金属製の変位部材が連結されたプランジャーを備えたソレノイド等のように他の構成が適用されてもよい。
【0063】
また、ここでは、ロック機構50には、駆動装置としてのモータ64が設けられているとして説明したが、これに限らず、ロック機構には、例えば、手動のハンドル等により拘束部材を操作することにより変位部材を拘束する構成が適用されてもよい。
【0064】
さらに、ここでは、ロック機構50は、着座乗員のシート本体部12からの立ち上がりが検知された場合にサスペンションリンク機構20の変形を拘束することができるとして説明したが、これに限られない。ロック機構は、例えば、走行中の車両又は車両用シートの振動が大きくなったことを検知した場合に車体とサスペンションの共振を抑制又は防止するためにサスペンションリンク機構の変形を拘束できるように制御されてもよい。
【0065】
また、ここでは、ロック機構50は、着座センサ80とECU82を介して電気的に接続されているとして説明したが、これに限らず、ロック機構にCPU等を備えたコントローラを設けると共に着座センサと当該コントローラが直接電気的に接続されてもよい。
【0066】
さらに、ここでは、ロック機構50は、着座センサ80とバックルスイッチ86が各々ECU82を介して電気的に接続されているとして説明したが、これに限らず、着座センサとバックルスイッチの一方だけがロック機構と電気的に接続されてもよく、着座センサとバックルスイッチが連動するように構成されてもよい。
【0067】
また、ここでは、ロックスイッチ90はインパネに設けられているとして説明したが、これに限らず、シート本体や、例えば、アームレストやセンターコンソール等の車室内のその他の部分に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 サスペンションシート
12 シート本体部(車両用シート本体)
16 ロアフレーム(下側部材)
18 アッパフレーム(上側部材)
20 サスペンションリンク機構
22 エアスプリング(付勢手段)
24 ダンパ(減衰手段)
38 前下側可動軸(直線変位部)
50 ロック機構
54 ラック(変位部材)
54A ラック歯部(被ロック部)
56 ロック部材(拘束部材)
56B 噛合部(ロック部)
64 モータ(駆動装置)
64A 出力軸
66 ピニオンギア
70 ガイドプレート(引張部材)
70A 孔部(連結部)
72 係止部材
80 着座センサ
86 バックルスイッチ
88 シフトレバー(操作部)
90 ロックスイッチ(操作部)
92 サイドブレーキ(操作部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7