(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】原稿搬送装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231212BHJP
B65H 15/00 20060101ALI20231212BHJP
B65H 5/38 20060101ALI20231212BHJP
B65H 29/60 20060101ALI20231212BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H04N1/00 519
B65H15/00 E
B65H5/38
B65H29/60 A
G03G15/00 107
(21)【出願番号】P 2019175026
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】所 義多賀
(72)【発明者】
【氏名】田代 義昭
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】萩原 寛史
(72)【発明者】
【氏名】中川 貴文
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-076647(JP,A)
【文献】特開平09-102836(JP,A)
【文献】特開2004-015652(JP,A)
【文献】特開2018-198359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B65H 15/00
B65H 5/38
B65H 29/60
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙トレイに載置された原稿が搬送される直線状の第1搬送路と、
前記第1搬送路を搬送される原稿の一方の面の画像を読み取る第1読取部と、
前記第1読取部よりも原稿の搬送方向の下流側の分岐点で前記第1搬送路から分岐した湾曲状の第2搬送路と、
前記分岐点で前記第1搬送路から分岐した、該第1搬送路の延在方向と同じ方向に沿う直線状の第3搬送路と、
前記第3搬送路を搬送される原稿の他方の面の画像を読み取る第3読取部と、
前記分岐点に設けられて、原稿を前記第2搬送路と前記第3搬送路のいずれかに案内する分岐ガイドと、
前記第1~第3搬送路のカバーと、を備え、
前記第3読取部
と前記分岐ガイドは、前記カバーに備えられていることを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
前記第2搬送路を搬送される原稿の他方の面の画像を読み取る第2読取部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記カバーは着脱可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記第3搬送路は、前記カバーに備えられていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
前記第3読取部はイメージセンサーであり、
前記第3搬送路を挟んで前記第3読取部に対向する補正用ローラーを備え、
前記補正用ローラーは、前記カバーに備えられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の原稿搬送装置。
【請求項6】
前記第3搬送路に沿う原稿の搬送方向において前記第3読取部よりも下流側に設けられる排出ローラー対を備え、
前記排出ローラー対は、前記カバーに備えられていることを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の原稿搬送装置。
【請求項7】
前記分岐ガイドを操作して、前記第2搬送路及び前記第3搬送路のいずれかをユーザーが選択可能な操作部を備えていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の原稿搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を搬送しながら画像を読み取る原稿搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のペーパーレス化に対応した種々のドキュメント(原稿)の電子データ化に伴い、複合機(MFP)の原稿読取装置(DP)の品質や機能の向上が図られている。特に、秤量やサイズが様々なメディアへの対応も要求されている。原稿読取装置は、一般に、原稿をU字状に湾曲した搬送路に沿って搬送しながら画像を読み取るように構成される場合が多い。すると、名刺やカード等の小サイズの原稿や、秤量が大きく硬い原稿は、湾曲した搬送路を円滑に搬送されない場合がある。
【0003】
そこで、特許文献1には、名刺サイズのメディアの原稿を読み取り可能な自動原稿搬送装置が記載されている。この自動原稿搬送装置には、湾曲状の搬送路の上流側に、所定幅の硬い原稿が通過可能な原稿逃げ部(開口部)が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の自動原稿読取装置では、原稿の搬送路が直線状ではなく一部が傾斜しているので、上記のような秤量が大きく硬い原稿や小サイズの原稿を円滑に搬送することは困難である。さらに、開口部のサイズが小サイズに設定されているため、読取可能な原稿のサイズが限定される。
【0006】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、小サイズの原稿や秤量が大きく硬い原稿を円滑に搬送して画像を読み取ることのできる原稿搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の原稿搬送装置は、給紙トレイに載置された原稿が搬送される直線状の第1搬送路と、前記第1搬送路を搬送される原稿の一方の面の画像を読み取る第1読取部と、前記第1読取部よりも原稿の搬送方向の下流側の分岐点で前記第1搬送路から分岐した湾曲状の第2搬送路と、前記分岐点で前記第1搬送路から分岐した、該第1搬送路の延在方向と同じ方向に沿う直線状の第3搬送路と、前記第3搬送路を搬送される原稿の他方の面の画像を読み取る第3読取部と、前記分岐点に設けられて、原稿を前記第2搬送路と前記第3搬送路のいずれかに案内する分岐ガイドと、前記第1~第3搬送路のカバーと、を備え、前記第3読取部は、前記カバーに備えられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の原稿搬送装置において、前記第2搬送路を搬送される原稿の他方の面の画像を読み取る第2読取部を備えていることを特徴としてもよい。
【0009】
本発明の原稿搬送装置において、前記カバーは着脱可能であることを特徴としてもよい。
【0010】
本発明の原稿搬送装置において、前記第3搬送路は、前記カバーに備えられていることを特徴としてもよい。
【0011】
本発明の原稿搬送装置において、前記第3読取部はイメージセンサーであり、前記第3搬送路を挟んで前記第3読取部に対向する補正用ローラーを備え、前記補正用ローラーは、前記カバーに備えられていることを特徴としてもよい。
【0012】
本発明の原稿搬送装置において、前記分岐ガイドは、前記カバーに備えられていることを特徴としてもよい。
【0013】
本発明の原稿搬送装置において、前記第3搬送路に沿う原稿の搬送方向において前記第3読取部よりも下流側に設けられる排出ローラー対を備え、前記排出ローラー対は、前記カバーに備えられていることを特徴としてもよい。
【0014】
本発明の原稿搬送装置において、前記分岐ガイドを操作して、前記第2搬送路及び前記第3搬送路のいずれかをユーザーが選択可能な操作部を備えていることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1搬送路と第3搬送路とによって形成される直線状の搬送路に沿って、プラスチック製の硬い原稿等の特殊原稿を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置の原稿搬送ユニットを示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置において、外カバーを取り外した原稿搬送ユニットを示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置(普通原稿搬送時)を模式的に示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置(特殊原稿搬送時)を模式的に示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置の変形例において、外カバーを取り外した原稿搬送ユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置について説明する。
【0018】
図1~
図4を参照して、原稿搬送装置1について説明する。
図1及び
図2は原稿搬送装置1の原稿搬送ユニットを示す斜視図、
図3及び
図4は原稿搬送装置1を示す断面図である。各図に示す、Fr、Rr、L、Rは、原稿搬送装置1の前側、後側、左側、右側をそれぞれ示す。
【0019】
原稿搬送装置1は、例えば、画像形成装置(図示省略)の上面に載置される。原稿搬送装置1は、原稿を自動的に搬送して、搬送された原稿の両面(表側の面及び裏側の面)又は一方の面の画像を読み取る。画像形成装置は、原稿搬送装置1で読み取られた画像に対応した画像を用紙の両面又は一方の面に形成する。あるいは、原稿搬送装置1は、外部のコンピューターと電気的に接続して、原稿読取装置(原稿入力装置、スキャナー)として使用することもできる。
【0020】
原稿搬送装置1は、原稿搬送ユニット3と、読取ユニット5(
図3及び
図4参照)と、を備えている。原稿搬送ユニット3は、読取ユニット5の後端部に回動可能に支持されている。読取ユニット5の詳細な説明は省略する。
【0021】
原稿搬送ユニット3は、原稿を搬送しながら画像を読み取る搬送部11と、搬送部11で画像が読み取られる原稿が載置される給紙トレイ13と、搬送部11で画像が読み取られた原稿が積載される排出トレイ15と、を備えている。
【0022】
図3及び
図4に示されるように、搬送部11は、内ガイド部17と、カバーとしての外カバー19と、を有し、全体として、原稿搬送ユニット3の略左半分を構成する略直方体形状を成している(
図1も参照)。外カバー19は、内ガイド部17の上面及び左側面を覆うように配置されて、内ガイド部17の左下隅部に回動可能かつ着脱可能(
図2参照)に支持されている。
【0023】
搬送部11の右側面には、給紙口21と第1排出口23とが形成されている。給紙口21は、内ガイド部17と外カバー19との間に形成されている。第1排出口23は、給紙口21よりも下方において、内ガイド部17の右側面に形成されている。搬送部11の左側面、すなわち、外カバー19の左側面には、第2排出口25が形成されている。第2排出口25は、給紙口21と略同じ高さに形成されている。
【0024】
搬送部11には、原稿の搬送路が形成されている。搬送路は、第1搬送路31と、第2搬送路32と、第3搬送路33と、第4搬送路34とに分けられる。
【0025】
第1搬送路31は、給紙口21から、外カバー19の内側の面と内ガイド部17の外側の面(上面)との間に、左方向に直線状に延びている。
【0026】
第1搬送路31には、搬送方向の上流側から順に、ピックアップローラー41と、分離ローラーユニット43と、第1上流側搬送ローラー対45と、第1読取部47及び補正用ローラー48と、第1下流側搬送ローラー対49と、が設けられている。分離ローラーユニット43は、2つのプーリーに巻き回された供給ベルトと、供給ベルトに接触する分離ローラーと、を有している。第1上流側搬送ローラー対45及び第1下流側搬送ローラー対49は、それぞれ、駆動ローラーと、駆動ローラーに従動して回転する従動ローラーと、を有している。第1読取部47は、原稿の画像を読み取るイメージセンサーである。補正用ローラー48は、イメージセンサーのシェーディング補正を行うための反射板が設けられた駆動ローラーである。
【0027】
ピックアップローラー41と、分離ローラーユニット43と、第1上流側搬送ローラー対45の駆動ローラーと、第1読取部47と、第1下流側搬送ローラー対49の駆動ローラーとは、内ガイド部17の外側の面に支持されている。第1上流側搬送ローラー対45の従動ローラーと、補正用ローラー48と、第1下流側搬送ローラー対49の従動ローラーとは、外カバー19の内側の面に支持されている。
【0028】
第1上流側搬送ローラー対45と第1下流側搬送ローラー対49との間の、搬送方向に沿った距離L1は、原稿搬送装置1で搬送可能な最小サイズの原稿(例えば、ICカード)の搬送方向に沿った長さよりも短い。
【0029】
第2搬送路32は、第1搬送路31の下流端から分岐して、外カバー19の内側の面と内ガイド部17の外側の面(左側面)との間に、下向きの円弧状に湾曲するように形成されている。
【0030】
第2搬送路32には、搬送方向の上流側から順に、第2上流側搬送ローラー対51と、第2下流側搬送ローラー対53と、第2読取部55及び補正部56と、が設けられている。第2上流側搬送ローラー対51及び第2下流側搬送ローラー対53は、それぞれ、駆動ローラーと、駆動ローラーに従動して回転する従動ローラーと、を有している。第2読取部55は、原稿の画像を読み取るイメージセンサーである。補正部56は、イメージセンサーのシェーディング補正を行う反射板である。
【0031】
第2上流側搬送ローラー対51の駆動ローラーと、第2下流側搬送ローラー対53の駆動ローラーと、補正部56とは、内ガイド部17の外側の面に支持されている。第2上流側搬送ローラー対51の従動ローラーと、第2下流側搬送ローラー対53の従動ローラーとは、外カバー19の内側の面に支持されている。第2読取部55は、読取ユニット5に支持されている。
【0032】
第3搬送路33は、第1搬送路31の下流端から分岐して、第2排出口25に向かう左方向に沿って内ガイド部17に形成されている。第3搬送路33は、第1搬送路31の延在方向と同じ左方向に沿った一本の直線状に形成されている。つまり、第1搬送路31と第3搬送路33とは、直線状の搬送経路を形成している。なお、直線状とは、原稿を反転させない形状及び原稿を屈曲させない形状を含み、プラスチック製のカードを抵抗なく(湾曲させたり屈曲させたりすることなく)搬送可能な形状を示す。
【0033】
第3搬送路33には、搬送方向の上流側から順に、第3読取部61及び補正用ローラー62と、排出ローラー対63と、が設けられている。第3読取部61は、原稿の画像を読み取るイメージセンサーである。補正用ローラー62は、イメージセンサーのシェーディング補正を行う反射板が設けられた駆動ローラーである。排出ローラー対63は、駆動ローラーと、駆動ローラーに従動して回転する従動ローラーと、を有している。
図2に示されるように、第3読取部61は、外カバー19の内側の面に支持されている。補正用ローラー62は、第3読取部61に対向するように内ガイド部17に支持されている。排出ローラー対63の従動ローラーは、内ガイド部17の第3搬送路33の上側の面に支持され、駆動ローラーは、内ガイド部17の第3搬送路33の下側の面に支持されている。
【0034】
第1下流側搬送ローラー対49と排出ローラー対63との間の距離L2は、原稿搬送装置1で搬送可能な最小サイズの原稿の搬送方向に沿った長さよりも短い。
【0035】
第4搬送路34は、第2搬送路32の下流端から、第1排出口23に向かって斜め右上方向に沿って内ガイド部17に形成されている。
【0036】
第4搬送路34には、搬送方向の上流側から順に、第4搬送ローラー対71と、排出ローラー対73と、が設けられている。第4搬送ローラー対71と、排出ローラー対73は、それぞれ、駆動ローラーと、駆動ローラーに従動して回転する従動ローラーと、を有している。
【0037】
前述のように外カバー19は内ガイド部17の左下隅に回動可能に支持されているので、外カバー19が下方に回動して、内ガイド部17の外側の面(上面及び左側面)を覆うと、内ガイド部17の外側の面と外カバー19の内側の面との間に、第1搬送路31及び第2搬送路32が形成される。一方で、外カバー19が上方に回動して、内ガイド部17の外側の面を露出させると、第1搬送路31及び第2搬送路32が開放されて、紙詰まり等の処理が行われるようになっている。
【0038】
内ガイド部17には、第2搬送路32と第3搬送路33の分岐点に、分岐ガイド81が備えられている。分岐ガイド81は、第1搬送路31に沿って搬送された原稿を第2搬送路32又は第3搬送路33のいずれかに案内する。分岐ガイド81は、回動可能なガイド板と、ガイド板を回動させるソレノイドと、を有している。
【0039】
ガイド板は、原稿の幅方向に長く搬送方向に短い板状の部材である。ガイド板の、搬送方向における一方の端部には、先細の爪状部が形成され、他方側の端部には、幅方向に沿う回動軸が設けられている。ガイド板は、爪状部が搬送方向の上流側、回動軸が下流側に向く姿勢で配置されて、回動軸を中心として上下方向に回動可能である。ソレノイドは、幅方向において原稿の通紙領域よりも外側に、ロッドが上向きの姿勢で配置されている。ロッドの先端は、ガイド板の下面に連結している。ソレノイドの非通電時には、ロッドが進出してガイド板を上向きに傾斜した姿勢に回動させ、原稿を第1搬送路31から第2搬送路32に案内する。ソレノイドの通電時には、ロッドが後退してガイド板を略水平な姿勢に回動させ、原稿を第1搬送路31から第3搬送路33に案内する。ソレノイドは、制御部に電気的に接続されている。ソレノイドは制御部で制御されて、ロッドを進出又は後退させる。
【0040】
給紙トレイ13は、給紙口21に向かって下方に傾斜する姿勢で、搬送部11に支持されている。排出トレイ15は、給紙トレイ13の下方に、搬送部11と一体に設けられている。排出トレイ15には、右方向に向かって上向きに傾斜した原稿積載面15aが形成されている。
【0041】
原稿搬送装置1は、操作部としての操作パネル93を備えている。操作パネル93には、原稿搬送及び画像読取動作を開始させるスタートボタンや、原稿が普通原稿(普通紙等)か特殊原稿(名刺やカード等の小サイズの原稿、又は、秤量の大きい原稿)かを選択する原稿選択ボタン等が備えられている。
【0042】
操作パネル93は制御部と電気的に接続している。スタートボタンが押されると、制御部は、原稿搬送及び画像読取動作を開始する。原稿選択ボタンで特殊原稿が選択されると、制御部は分岐ガイド81のソレノイドに通電する。
【0043】
上記構成を有する原稿搬送装置1の原稿搬送及び画像読取動作の一例について説明する。原稿搬送装置1は、特殊原稿の読み取りが必要な仕様、すなわち、第3搬送路33、第3読取部61、補正用ローラー62、排出ローラー対63、分岐ガイド81が予め備えられた仕様で提供される。つまり、原稿搬送装置1は、特殊原稿の読み取りを必要とするユーザーに選択的に提供される。
【0044】
原稿搬送及び画像読取動作を開始する際、ユーザーは、まず、操作パネル93の原稿選択ボタンで、原稿が普通原稿か特殊原稿かを選択する。ユーザーが普通原稿を選択すると、分岐ガイド81のソレノイドには通電されず、
図3に示されるように、分岐ガイド81のガイド板は上向きに傾斜した姿勢のままである。これにより、分岐ガイド81は第1搬送路31から第2搬送路32へ原稿を案内する。
【0045】
次に、ユーザーは、原稿を給紙トレイ13に載置し、操作パネル93のスタートボタンを押して、原稿搬送及び画像読取動作を開始する。原稿は、ピックアップローラー41によって給紙トレイ13から給紙され、分離ローラーユニット43によって1枚ずつ捌かれて、第1搬送路31に搬送される。原稿が、第1上流側搬送ローラー対45によって第1搬送路31に沿って搬送されて第1読取部47に達すると、第1読取部47によって原稿の裏側の画像が読み取られる。その後、原稿は第1下流側搬送ローラー対49によって第1搬送路31に沿って搬送され、分岐ガイド81によって第2搬送路32に案内される。
【0046】
原稿が第2搬送路32に沿って搬送されて第2読取部55に達すると、第2読取部55によって原稿の表側の画像が読み取られる。その後、原稿は第4搬送路34に沿って搬送されて、排出ローラー対73によって第1排出口23から排出される。排出された原稿は、排出トレイ15に積載される。
【0047】
一方で、ユーザーが特殊原稿を選択すると、制御部はソレノイドに通電し、
図4に示されるように、分岐ガイド81のガイド板を略水平姿勢に回動させる。これにより、分岐ガイド81は、第1搬送路31から第3搬送路33へ原稿を案内する。
【0048】
ユーザーは、原稿を給紙トレイ13に載置し、操作パネル93のスタートボタンを押して原稿搬送及び読取を開始する。原稿は、ピックアップローラー41によって給紙トレイ13から給紙され、分離ローラーユニット43によって1枚ずつ捌かれて、第1搬送路31に搬送される。原稿が、第1上流側搬送ローラー対45によって第1搬送路31に沿って搬送されて第1読取部47に達すると、第1読取部47によって原稿の裏側の画像が読み取られる。その後、原稿は第1下流側搬送ローラー対49によって第1搬送路31に沿って搬送され、分岐ガイド81によって第3搬送路33に案内される。つまり、特殊原稿は、第1搬送路31から第3搬送路33へ直線状に搬送される。
【0049】
原稿が、第3搬送路33に沿って搬送されて第3読取部61に達すると、第3読取部61によって原稿の表側の画像が読み取られる。その後、原稿は、排出ローラー対63によって第2排出口25から排出される。なお、外カバー19に、第2排出口25から排出された原稿が積載されるトレイが備えられてもよい。トレイは、折り畳み可能あるいは伸縮可能であり、折り畳まれた状態あるいは収縮した状態で、外カバー19に収容可能であってもよい。
【0050】
上記説明したように、本発明の原稿搬送装置1によれば、第1搬送路31と第3搬送路33とによって形成される直線状の搬送路に沿って、プラスチック製の硬い原稿等の特殊原稿を搬送することができる。したがって、特殊原稿を、湾曲させたり屈曲させたりすることなく円滑に搬送して画像を読み取ることができる。
【0051】
さらに、原稿搬送装置1の外カバー19以外の部分は、普通原稿のみ読み取りが可能な仕様と共通である。また、外カバー19は取り外し可能であるので、第3読取部61が備えられていない標準外カバーを予め準備しておき、外カバー19を標準外カバーと交換すれば、特殊原稿の読み取りが不要で普通原稿の読み取りのみが必要な仕様の原稿搬送装置を提供できる。
【0052】
ただし、普通原稿のみの読み取りが可能な仕様の場合にも、第3搬送路33、補正用ローラー62、排出ローラー対63、分岐ガイド81が備えられたままとなるが、第3読取部61(イメージセンサー)は比較的高価であるので、第3読取部61の有無によって両仕様の価格の差別化を図ることができる。
【0053】
また、第1上流側搬送ローラー対45と第1下流側搬送ローラー対49間の距離L1、及び、第1下流側搬送ローラー対49と排出ローラー対63間の距離L2は、最小サイズの原稿の長さよりも短いので、最小サイズの原稿に確実に搬送力を与えることができ、最小サイズの原稿を安定に搬送できる。なお、第1下流側搬送ローラー対49と第2上流側搬送ローラー対51間の距離は、最小サイズの原稿の長さよりも長くてもよい。
【0054】
また、操作パネル93で普通原稿か特殊原稿かを選択することで分岐ガイド81を回動できるので、原稿搬送及び画像読取動作におけるユーザーの負担をできるだけ少なくできる。
【0055】
次に、
図5を参照して、原稿搬送装置1の変形例について説明する。
図5は、原稿搬送装置の斜視図である。
【0056】
この変形例においては、外カバー19に、第3読取部61に加えて、第3搬送路33、補正用ローラー62、排出ローラー対63、分岐ガイド81が備えられている(補正用ローラー62、分岐ガイド81は図示省略)。つまり、特殊原稿読み取りに必要な要素が全て外カバー19に備えられている。
【0057】
この変形例においても、特殊原稿読み取りに必要な要素が備えられていない標準外カバーを準備しておき、外カバー19を標準外カバーと交換すれば、特殊原稿の読み取りが不要で普通原稿の読み取りのみが必要な仕様の原稿搬送装置を提供できる。さらに、この変形例においては、普通原稿のみ読み取りが可能な仕様には、第3読取部61に加えて、第3搬送路33、補正用ローラー62、排出ローラー対63、分岐ガイド81が備えられていないので、コストをより低減できる。
【0058】
なお、第3搬送路33、補正用ローラー62、排出ローラー対63、分岐ガイド81のうちのいくつかが、外カバー19に備えられてもよい。
【0059】
また、上記の実施形態では、第2搬送路32は、分岐点から下方に湾曲するように形成されているが、分岐点から上方に湾曲するように形成されてもよい。
【0060】
本発明は特定の実施形態について記載されてきたが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の範囲及び主旨を逸脱しない限りにおいて、当業者は上記実施形態を改変可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 原稿搬送装置
19 外カバー(カバー)
31 第1搬送路
32 第2搬送路
33 第3搬送路
45 第1上流側搬送ローラー対
47 第1読取部
49 第1下流側搬送ローラー対
55 第2読取部
61 第3読取部
62 補正用ローラー
63 排出ローラー対
81 分岐ガイド
93 操作パネル(操作部)