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特許7400307排紙装置、排紙装置の制御方法、処理装置及び記録システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】排紙装置、排紙装置の制御方法、処理装置及び記録システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/26 20060101AFI20231212BHJP
   B65H 43/04 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65H31/26
B65H43/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019179220
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021054594
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】島田 知明
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-086060(JP,A)
【文献】特開2017-222455(JP,A)
【文献】特開2008-044771(JP,A)
【文献】特開2003-073011(JP,A)
【文献】特開2004-203572(JP,A)
【文献】特開2013-052937(JP,A)
【文献】特開平09-240901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/26
B65H 43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に搬送された媒体を支持する揺動可能な媒体支持部と、
前記媒体支持部の鉛直下方に設けられ、前記媒体支持部から落下した前記媒体が積載される昇降可能な積載部と、
前記媒体支持部の揺動を検知する検知部と、を備え、
前記検知部は、上昇する前記積載部上の前記媒体が前記媒体支持部の下面に接触した際の前記媒体支持部の揺動を検知
前記積載部は、前記検知の結果に基づいて設定される下降距離を下降する
ことを特徴とする排紙装置。
【請求項2】
搬送方向に搬送された媒体を支持する揺動可能な媒体支持部と、
前記媒体支持部の鉛直下方に設けられ、前記媒体支持部から落下した前記媒体が積載される昇降可能な積載部と、
前記媒体支持部の揺動を検知する検知部と、を備え、
前記検知部は、上昇する前記積載部上の前記媒体が前記媒体支持部の下面に接触した際の前記媒体支持部の揺動を検知し、
前記媒体支持部は、
前記搬送方向における上流側に揺動中心を有し、
前記搬送方向における下流側に該媒体支持部を前記積載部から遠ざける方向に付勢する付勢部材を備える
ことを特徴とする排紙装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の排紙装置において、
前記媒体支持部は、前記搬送方向と交差する幅方向において、前記媒体の両側を支持する位置に一対で設けられ、
前記検知部は、
揺動する前記一対の媒体支持部に連動するフラグレバーと、
前記フラグレバーに設けられるフラグの変位をセンシングするセンサーと、を有する、
ことを特徴とする排紙装置。
【請求項4】
請求項3に記載の排紙装置において、
前記一対の媒体支持部は、
幅の異なる媒体を支持するに際して、前記幅方向において互いが最も接近した位置である第1位置と、互いが最も離れた位置である第2位置と、の間で移動可能であり、
前記フラグレバーは、
前記幅方向に延設された延設体と、
該延設体から突出する前記フラグと、を備え、
前記延設体は、前記第2位置に位置する前記一対の媒体支持部と接触可能な長さに形成されている、
ことを特徴とする排紙装置。
【請求項5】
搬送方向に搬送された媒体を支持する揺動可能な一対の媒体支持部と、
前記一対の媒体支持部の鉛直下方に設けられ、前記一対の媒体支持部が前記搬送方向と交差する幅方向に移動することで落下した前記媒体が積載される昇降可能な積載部と、
前記媒体支持部の揺動を検知する検知部と、を備える排紙装置の制御方法であって、
搬送される前記媒体を前記一対の媒体支持部で支持することと、
前記一対の媒体支持部を前記幅方向に移動することにより、前記一対の媒体支持部上の前記媒体を落下させることと、
落下した前記媒体を前記積載部で受けて積載面に積載することと、
前記一対の媒体支持部から落下した前記媒体を前記積載面に積載した後に、前記一対の媒体支持部を前記落下時と逆方向に移動させて停止することと、
前記一対の媒体支持部を停止させた後に前記積載部を上昇させて前記積載面上の前記媒体を前記媒体支持部の下面に接触させることと、
前記接触による前記媒体支持部の揺動の有無を検知することと、
前記検知の結果に基づいて前記積載部を下降することと、を含む、
ことを特徴とする排紙装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の排紙装置の制御方法において、
前記検知の結果が揺動無しの場合は、前記積載部を予め設定された所定距離下降し、
前記検知の結果が揺動ありの場合は、該揺動の程度に応じた距離、前記積載部を下降する、
ことを特徴とする排紙装置の制御方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の排紙装置の制御方法において、
前記一対の媒体支持部を前記落下時と逆方向に移動させる前に前記積載部を所定距離下降すること、を含む、
ことを特徴とする排紙装置の制御方法。
【請求項8】
媒体に処理を行う処理部と、
前記処理部を経て搬送方向に搬送された前記媒体を支持する揺動可能な媒体支持部と、
前記媒体支持部の鉛直下方に設けられ、前記媒体支持部から落下した前記媒体が積載される昇降可能な積載部と、
前記媒体支持部の揺動を検知する検知部と、を備え、
前記検知部は、上昇する前記積載部上の前記媒体が前記媒体支持部の下面に接触した際の前記媒体支持部の揺動を検知し、
前記積載部は、前記検知の結果に基づいて設定される下降距離を下降する
ことを特徴とする処理装置。
【請求項9】
媒体に記録を行う記録部と、
該記録部で前記記録が行われた前記媒体を排出する排出部と、
を有する記録装置と、
前記排出部から排出された前記媒体を導入する媒体導入部と、
該媒体導入部から導入された前記媒体に処理を行う処理部と、
前記処理部を経て搬送方向に搬送された前記媒体を支持する揺動可能な媒体支持部と、
前記媒体支持部の鉛直下方に設けられ、前記媒体支持部から落下した前記媒体が積載される昇降可能な積載部と、
前記媒体支持部の揺動を検知する検知部と、
を有する処理装置と、を備え、
前記検知部は、上昇する前記積載部上の前記媒体が前記媒体支持部の下面に接触した際の前記媒体支持部の揺動を検知し、
前記積載部は、前記検知の結果に基づいて設定される下降距離を下降する
ことを特徴とする記録システム。
【請求項10】
媒体に処理を行う処理部と、
前記処理部を経て搬送方向に搬送された前記媒体を支持する揺動可能な媒体支持部と、
前記媒体支持部の鉛直下方に設けられ、前記媒体支持部から落下した前記媒体が積載される昇降可能な積載部と、
前記媒体支持部の揺動を検知する検知部と、を備え、
前記検知部は、上昇する前記積載部上の前記媒体が前記媒体支持部の下面に接触した際の前記媒体支持部の揺動を検知し、
前記媒体支持部は、
前記搬送方向における上流側に揺動中心を有し、
前記搬送方向における下流側に該媒体支持部を前記積載部から遠ざける方向に付勢する付勢部材を備える
ことを特徴とする処理装置。
【請求項11】
媒体に記録を行う記録部と、
該記録部で前記記録が行われた前記媒体を排出する排出部と、
を有する記録装置と、
前記排出部から排出された前記媒体を導入する媒体導入部と、
該媒体導入部から導入された前記媒体に処理を行う処理部と、
前記処理部を経て搬送方向に搬送された前記媒体を支持する揺動可能な媒体支持部と、
前記媒体支持部の鉛直下方に設けられ、前記媒体支持部から落下した前記媒体が積載される昇降可能な積載部と、
前記媒体支持部の揺動を検知する検知部と、
を有する処理装置と、を備え、
前記検知部は、上昇する前記積載部上の前記媒体が前記媒体支持部の下面に接触した際の前記媒体支持部の揺動を検知し、
前記媒体支持部は、
前記搬送方向における上流側に揺動中心を有し、
前記搬送方向における下流側に該媒体支持部を前記積載部から遠ざける方向に付勢する付勢部材を備える
ことを特徴とする記録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送された媒体の少なくとも先端部を支持する媒体支持部と、該媒体支持部から落とされる媒体を積載する積載部を備える排紙装置、該排紙装置の制御方法、該排紙装置を備える処理装置及び前記処理装置を備える記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送される媒体を支持し揃えてスタックする左右一対のジョガーを有するジョガー・スタック手段を備え、左右一対のジョガーを開くことにより、前記揃えた媒体の束を積載トレイ上に落として積載する構造の処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-52937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばインクジェットプリンター等で印刷された媒体は、搬送中にカールし、該カールによって媒体の搬送が阻害される場合がある。また、前記カールによって前記媒体の積載部への積載が阻害される場合がある。前記カールは成長する場合が多いので、該媒体の搬送や積載が益々阻害されやすくなる。
しかし、特許文献1には、搬送される媒体がカールした場合の問題について考慮する記載はなく、またその示唆も見あたらない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の排紙装置は、搬送方向に搬送された媒体を支持する揺動可能な媒体支持部と、前記媒体支持部の鉛直下方に設けられ、前記媒体支持部から落下させた前記媒体が積載される昇降可能な積載部と、前記媒体支持部の揺動を検知する検知部と、を備え、前記検知部は、上昇する前記積載部上の前記媒体が前記媒体支持部の前記下面に接触した際の前記媒体支持部の揺動を検知する、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態の記録システムを表す概略図。
図2】本実施形態の処理装置を表す斜視図。
図3】本実施形態の排紙装置を表し、媒体支持部が揺動していない状態の斜視図。
図4】本実施形態の処理装置を表す媒体受入れ前の側断面図。
図5】本実施形態の処理装置を表す媒体受入れ時の側断面図。
図6】本実施形態の処理装置を表す媒体整合・処理後の側断面図。
図7】本実施形態の処理装置を表す媒体排紙後の側断面図。
図8】本実施形態の処理装置を表す媒体積載時の側断面図。
図9】本実施形態の処理装置を表す媒体積載後の側断面図。
図10】本実施形態の排紙装置を表す揺動検知時の側断面図。
図11】本実施形態の排紙装置を表す図10中のA部の拡大図。
図12】本実施形態の排紙装置を表す図10中のB矢視図。
図13】本実施形態の排紙装置の制御方法を表す工程図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様に係る排紙装置は、搬送方向に搬送された媒体を支持する揺動可能な媒体支持部と、前記媒体支持部の鉛直下方に設けられ、前記媒体支持部から落下させた前記媒体が積載される昇降可能な積載部と、前記媒体支持部の揺動を検知する検知部と、を備え、前記検知部は、上昇する前記積載部上の前記媒体が前記媒体支持部の前記下面に接触した際の前記媒体支持部の揺動を検知する、ことを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、前記検知部は、上昇する前記積載部上の前記媒体が前記媒体支持部の前記下面に接触した際の前記媒体支持部の揺動を検知する。前記媒体がカール等の変形がない平坦なものである場合は、該媒体が前記媒体支持部の下面に接触しないので、前記媒体支持部は揺動しない。
しかし、前記媒体がカール等の変形があるものである場合は、そのカール等で変形した部分が最初に前記媒体支持部の下面に接触し、他の部分は接触していない状態になることで該媒体支持部が揺動する。当該検知部は、前記揺動により、前記媒体にカール等の変形が在ることを検知することができる。また前記揺動の程度から前記カール等の変形の大きさを把握することができ、その対処を取ることが可能となる。即ち、カール等の変形の大きさに応じて前記積載部を下降する距離を適切に定めることが可能になり、以って前記積載部に積載された前記媒体と前記媒体支持部とが接触することによる積載ずれ等の問題の発生を抑制することが可能となる。
【0009】
本発明の第2の態様の排紙装置は、第1の態様において、前記媒体支持部は、前記搬送方向における上流側に揺動中心を有し、前記搬送方向における下流側に該媒体支持部を前記積載部から遠ざける方向に付勢する付勢部材を備える、ことを特徴とする。
ここで、前記媒体支持部が揺動中心を支点にして鉛直方向に揺動する状態において、前記付勢部材の付勢力は、前記媒体支持部がその自重によって鉛直下方へ揺動する力を減じ、カール等の変形をした前記媒体の前記変形部が前記媒体支持部に接触したときに、そのカールがつぶれずに、小さい力で前記媒体支持部を鉛直上方へ揺動させることができるように設定される。尚、現実的な観点から、前記付勢力は、あらゆる種類の媒体のカールに対応できることは要せず、当該排紙装置で多く使用されると想定される種類の媒体に対して設定されてよいものである。
【0010】
本態様によれば、前記媒体支持部は、前記搬送方向における上流側に揺動中心を有し、下流側が揺動する自由端になる構造であるので、その逆の構造にした場合に比べて前記付勢部材の付勢力が過大となることを抑制できる。また、前記カールは前記搬送方向における下流側で大きくなる傾向があるので、そのカールの傾向に容易に対応することができる。
【0011】
本発明の第3の態様の排紙装置は、第1の態様又は第2の態様において、前記媒体支持部は、前記搬送方向と交差する幅方向において、前記媒体の両側を支持する位置に一対で設けられ、前記検知部は、揺動する前記一対の媒体支持部に連動するフラグレバーと、前記フラグレバーに設けられるフラグの変位をセンシングするセンサーと、を有することを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、前記検知部は、揺動する該媒体支持部に連動するフラグレバーと、前記フラグレバーに設けられるフラグの変位をセンシングするセンサーと、を有する。このように、前記フラグレバーのフラグの変位をセンシングするセンサーを用いることで、簡単な構造で前記媒体支持部の揺動を検知することができる。
【0013】
本発明の第4の態様の排紙装置は、第3の態様において、前記一対の媒体支持部は、幅の異なる媒体を支持するに際して、前記幅方向において互いが最も接近した位置である第1位置と、互いが最も離れた位置である第2位置と、の間で移動可能であり、前記フラグレバーは、前記幅方向に延設された延設体と、該延設体から突出する前記フラグと、を備え、前記延設体は、前記第2位置に位置する前記一対の媒体支持部と接触可能な長さに形成されている、ことを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、前記フラグレバーの前記延設体は、前記第2位置に位置する前記一対の媒体支持部と接触可能な長さに形成されている。これにより、前記一対の媒体支持部に対して一個のセンサーで前記揺動を検知することができる。
【0015】
本発明の第5の態様の排紙装置の制御方法は、搬送方向に搬送された媒体を支持する揺動可能な一対の媒体支持部と、前記一対の媒体支持部の鉛直下方に設けられ、前記一対の媒体支持部が前記搬送方向と交差する幅方向に移動することで落下した前記媒体が積載される昇降可能な積載部と、前記媒体支持部の揺動を検知する検知部と、を備える排紙装置の制御方法であって、搬送される前記媒体を前記一対の媒体支持部で支持することと、前記一対の媒体支持部を前記幅方向に移動することにより、前記一対の媒体支持部上の前記媒体を落下させることと、落下した前記媒体を前記積載部で受けて積載面に積載することと、前記一対の媒体支持部から落下した前記媒体を前記積載面に積載した後に、前記一対の媒体支持部を前記落下時と逆方向に移動させて停止することと、前記一対の媒体支持部を停止させた後に前記積載部を上昇させて前記積載面上の前記媒体を前記媒体支持部の下面に接触させることと、前記接触による前記媒体支持部の揺動の有無を検知することと、前記検知の結果に基づいて前記積載部を下降すると、を含む、ことを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、第1の態様と同様の効果を得ることができる。
【0017】
本発明の第6の態様の排紙装置の制御方法は、第5の態様において、前記検知の結果が揺動無しの場合は、前記積載部を予め設定された所定距離下降し、前記検知の結果が揺動ありの場合は、該揺動の程度に応じた距離、前記積載部を下降する、ことを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、前記検出結果が揺動ありの場合は、該揺動の程度に応じた距離、前記積載部を下降する。これにより、カール等の変形が大きくなっても、その大きさに見合う距離だけ前記積載部を下降するので、該積載部上の媒体と前記媒体支持部が接触することによる積載ずれを抑制することができる。
【0019】
本発明の第7の態様の排紙装置の制御方法は、第5の態様又は第6の態様において、前記一対の媒体支持部を前記落下時と逆方向に移動させる前に前記積載部を所定距離下降すること、を含む、ことを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、該積載部上の媒体と前記媒体支持部が接触することによる積載ずれを一層抑制することができる。
【0021】
本発明の第8の態様の処理装置は、媒体に処理を行う処理部と、前記処理部を経て搬送方向に搬送された前記媒体を支持する揺動可能な媒体支持部と、前記媒体支持部の鉛直下方に設けられ、前記媒体支持部から落下させた前記媒体が積載される昇降可能な積載部と、前記媒体支持部の揺動を検知する検知部と、を備え、前記検知部は、上昇する前記積載部上の前記媒体が前記媒体支持部の前記下面に接触した際の前記媒体支持部の揺動を検知する、ことを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、処理装置において第1の態様と同様の効果を得ることができる。
【0023】
本発明の第9の態様の記録システムは、媒体に記録を行う記録部と、該記録部で前記記録が行われた前記媒体を排出する排出部と、を有する記録装置と、前記排出部から排出された前記媒体を導入する媒体導入部と、該媒体導入部から導入された前記媒体に処理を行う処理部と、前記処理部を経て搬送方向に搬送された前記媒体を支持する揺動可能な媒体支持部と、前記媒体支持部の鉛直下方に設けられ、前記媒体支持部から落下させた前記媒体が積載される昇降可能な積載部と、前記媒体支持部の揺動を検知する検知部と、を有する処理装置と、を備え、前記検知部は、上昇する前記積載部上の前記媒体が前記媒体支持部の前記下面に接触した際の前記媒体支持部の揺動を検知する、ことを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、記録装置を備える記録システムにおいて、第1の態様と同様の効果を得ることができる。
【0025】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。
各図において示すX-Y-Z座標系は直交座標系であり、X軸方向は媒体Pの幅方向であり、また各装置の奥行き方向でもある。Y軸方向は媒体Pが水平に搬送される場合は媒体Pの長さ方向となり、また各装置の幅方向となる。Z軸方向は媒体Pを水平に載置した場合の厚さ方向ないし積載高さ方向であり、また、鉛直方向ないし各装置の高さ方向を示している。
また、Ya軸方向は本実施形態の処理装置ないし排紙装置における搬送方向ないし排紙方向を示しており、+Yaは媒体Pを搬送ないし排紙する場合の下流を示している。また、-Yaは上記と反対の上流を示している。そして、本実施形態では、Ya軸方向は、水平な前記Y軸方向に対して+Ya側が幾分Z軸方向に高くなった上り傾斜となる方向に設定されている。
【0026】
<<記録システムの全体構成>>
先ず、図1に基づいて、本発明の実施形態に係る排紙装置を有する処理装置を備える記録システムの全体構成の概略について説明する。
本実施形態の記録システム1は、印刷用紙等の媒体Pに記録を行う記録部10と、記録部10で記録が行われた媒体Pを排出する排出部である排出経路13と、を有する記録装置2と、排出部である排出経路13から排出された媒体Pを導入する媒体導入部40と、媒体導入部40から導入された媒体Pに処理を行う処理部36と、処理部36を経て搬送方向Yaに搬送された媒体Pを支持する揺動可能な媒体支持部50と、媒体支持部50の鉛直方向Zの下方に設けられ、媒体支持部50から落下した媒体Pが積載される昇降可能な積載部37と、媒体支持部50の揺動を検知する検知部100と、を備え、積載部37の積載面37aは、媒体支持部50の下面50cと平行である処理装置4と、を備えて構成されている。
そして、検知部100は、上昇する積載部37上の媒体Pが媒体支持部50の下面50cに接触した際の媒体支持部50の揺動を検知するように構成されている。
【0027】
具体的に本実施形態では記録システム1は、一例として図1に表すように構成されており、図1の右方から左方に向って順に記録装置2と中間装置3と後述する本実施形態の排紙装置30を有する処理装置4とが備えられている。
そして、記録装置2と中間装置3と処理装置4とは互いに接続されていて、記録装置2によって供給され記録が実行された媒体Pは、中間装置3を経て処理装置4に導入され、最終的に積載部37に受け渡されるまでの間、連続的に搬送及び排紙されるように構成されている。
以下、記録装置2、中間装置3、処理装置4の順にそれぞれの概略の構成について説明する。
【0028】
<記録装置の概略>
記録装置2は、媒体Pの一例である記録用紙に液体の一例であるインクを吐出して記録を実行する記録ヘッド(記録部)10を備えるプリンター部5と、原稿に記載された画像を読み取るスキャナー部6と、を備えた複合機として構成されている。そして、本実施形態ではプリンター部5は、いわゆるインクジェットプリンターとして構成されており、記録ヘッド10として媒体Pの幅方向Xの記録を一挙に実行するラインヘッドが一例として採用されている。
また、記録装置2の装置本体の下部には、媒体収容カセット7が複数段に亘って設けられており、これらの媒体収容カセット7には、例えばサイズの違う複数枚の媒体Pがサイズ枚に仕分けされて個別に収容されている。
【0029】
そして、各段の媒体収容カセット7に収容された媒体Pは、図1の記録装置2中において実線で示す給送経路11を通って記録ヘッド10が存するプリンター部5の記録領域に送られて所望の記録動作が実行される。記録ヘッド10により記録が実行された媒体Pは、一例として記録ヘッド10の上方に設けられる排出トレイ8に向けて排出する第1排出経路12と、次に述べる中間装置3を介して本実施形態の処理装置4に向けて排出する第2排出経路13と、のいずれかの排出経路に供給される。
尚、図1では第1排出経路12を破線で図示し、第2排出経路13を一点鎖線で図示している。
【0030】
また、記録装置2のプリンター部5には、二点鎖線で示す反転用経路14も備えられており、媒体Pの表面への記録の実行後に、媒体Pを反転させて裏面への記録を連続して実行する両面記録を実行することが可能になっている。
尚、図示は省略するが供給経路11、第1排出経路12、第2排出経路13及び反転用経路14のそれぞれには、媒体Pに搬送力を付与する搬送ローラー対が一対以上と、媒体Pの搬送を案内するガイドローラーないしガイド部材が適宜、配置されている。
【0031】
この他、記録装置2には媒体Pの搬送や記録に係る各種の情報を入力する場合等に使用される図示しない操作パネルと、入力された各種の情報に基づいて媒体Pの搬送や記録に係る各種の動作を制御する制御部15と、が設けられている。
尚、操作パネルと制御部15は、記録装置2、中間装置3、処理装置4のそれぞれに設ける構造にしてもよいし、記録装置2のみに設けても各装置の全体を制御する構造にしてもよい。
【0032】
<中間装置の概略>
中間装置3は、第2排出経路13を通って排出される記録実行後の媒体Pを記録装置2から受け入れて、処理装置4に受け渡す装置である。
中間装置3には、記録装置2の第2排出経路13を通って排出される記録実行後の媒体Pを中間装置3の装置本体内に受け入れる図1中、実線で示す中間受入れ経路20が設けられている。
【0033】
更に、中間受入れ経路20の終端には分岐部24が設けられており、この分岐部24を起点として媒体Pを搬送する搬送経路が二つ設けられている。このうち一つ目の搬送経路が中間受入れ経路20から第1スイッチバック経路21を経て、中間排出経路23に至る搬送経路である。
尚、第1スイッチバック経路21は、矢印A1方向に媒体Pを受け入れた後、矢印A2方向に媒体Pをスイッチバックさせて中間排出経路23に至らせる経路である。第2スイッチバック経路22は、矢印B1方向に媒体Pを受け入れた後、矢印B2方向に媒体Pをスイッチバックさせて中間排出経路23に至らせる経路である。
【0034】
従って、第1スイッチバック経路21と第2スイッチバック経路22の終端には、合流部25が設けられており、この合流部25により第1スイッチバック経路21に送られた媒体Pと、第2スイッチバック経路22に送られた媒体Pと、のいずれもが、共通の中間排出経路23に導かれて後述する排紙装置30を有する処理装置4に媒体Pを受け渡すことができるように構成されている。
尚、図示は省略するが中間受入れ経路20、第1スイッチバック経路21、第2スイッチバック経路22及び中間排出経路23のそれぞれには、媒体Pに搬送力を付与する搬送ローラー対が一対以上と、媒体Pの搬送を案内するガイドローラーないしガイド部材が適宜、配置されている。
【0035】
また、複数枚の媒体Pに連続して記録を実行する場合には、中間装置3内に受け入れられた媒体Pを、第1スイッチバック経路21を通る搬送経路と、第2スイッチバック経路22を通る搬送経路と、に交互に送ることが可能である。因みにこのように構成することによって、中間装置3における媒体Pの搬送のスループットを高めて効率の良い中間搬送を実現することが可能になる。
尚、記録装置2によって記録が実行された媒体Pを、中間装置3を経由して処理装置4に送る場合には、記録装置2から直接処理装置4に媒体Pを送る場合に比べて搬送時間が長く取れるので処理装置4に搬送される前に媒体Pの表面ないし裏面に吐出され付着しているインクの乾燥を促す効果が得られるようになる。
また、上記インクの乾燥促進等が必要でなければ中間装置3を省略して記録装置2と処理装置4のみを備える記録システム1とすることも可能である。
【0036】
<処理装置の概略>
処理装置4は、記録装置2によって記録が実行され、中間装置3によって乾燥が促進された媒体Pを例えば複数枚まとめて束にし、整合後、所定の処理を実行し、排紙装置30により積載部37に順次排紙して積載して行く装置である。
これに伴い処理装置4には、中間装置3から受け渡された媒体Pを処理装置4の装置本体内に導いて整合、排紙を行うために搬送する搬送要素と、搬送された媒体Pを複数枚まとめて束にして整合する整合要素と、整合された媒体Pにステープル処理等の所定の処理を実行する処理要素と、処理後の媒体Pを排紙して順次積載して行く排紙・積載要素とが設けられている。
本実施形態では、前記搬送要素は、搬送経路31、第1搬送ローラー対32、第2搬送ローラー対33、媒体搬送部34、及び媒体載置部35を備える。また、前記整合要素は、後端整合部38、パドル機構43(図4)、及び側端整合部41を備える。前記処理要素は、例えばステープル処理、パンチング処理、折曲げ処理、中綴じ処理等の処理部36を備える。前記排紙・積載要素は、排紙装置30、媒体支持部50、及び積載部37を備える。
【0037】
更に、本実施形態では、記録装置2での記録の実行による膨潤や搬送によって発生した媒体Pの先端56が上方に湾曲する横目カールと、媒体Pの先端部53の左右の側端57L、57Rが上方に湾曲する縦目カールと、媒体Pの中央部がインクによる膨潤によって上方にふくらむ膨潤によるカールの発生に起因する、積載部37上の媒体Pが媒体支持部50の下面50cに接触した場合に生ずる媒体支持部50の揺動を検知する検知要素が設けられている。
図3図4に表したように、該検知要素は、媒体支持部50、積載部37、検知部100を備えている。
【0038】
また、本実施形態では前記カールの発生等を抑制する押圧要素も設けられている。該押圧要素は、押圧部51、媒体支持部50を備えている。
更に、処理装置4の媒体導入部40には、処理装置4に受け渡された媒体Pを装置本体内に導いて所定の搬送を実行できるように案内する搬送経路31が設けられている。また、搬送経路31上には装置本体内に導入された媒体Pに搬送力を付与する第1搬送ローラー対32と第2搬送ローラー対33の二組の搬送ローラー対が一例として備えられている。
以下、これら各要素によって構成される本実施形態の処理装置4の具体的構成について詳細に説明する。
【0039】
<<処理装置の具体的構成>>(図1図12
図1から図4に表れているように、本実施形態の処理装置4は、媒体Pに所定の処理を行う処理部36と、処理部36を経て搬送方向Yaに搬送された媒体Pを支持する揺動可能な媒体支持部50と、媒体支持部50の鉛直方向Zの下方に設けられ、媒体支持部50から落下させた媒体Pが積載される昇降可能な積載部37と、媒体支持部50の揺動を検知する検知部100と、を備えて構成されている。
そして、図4に表れているように、積載部37の積載面37aは、媒体支持部50の下面50cと平行であり、検知部100は、上昇する積載部37上の媒体Pが媒体支持部50の下面50cに接触した際の媒体支持部50の揺動を検知するように構成されている。
【0040】
更に、図4図5に表れているように、本実施形態では、媒体支持部50の支持面50aと対向する押圧面51aを有し、押圧面51aが退避位置Q1と、退避位置Q1よりも支持面50aに近い押圧位置Q2と、の間を移動可能である押圧部51を備えている。押圧部51は、媒体支持部50に媒体Pが搬送される際は退避位置Q1に配置され、整合部38が媒体支持部50上の媒体Pの整合を行った後は押圧位置Q2に配置されるように構成されている。
【0041】
更に、図4図5に表れているように、本実施形態では、中間装置3から搬送された媒体Pの後端59側の部分を支持可能な載置面35aを有する媒体載置部35が、媒体支持部50における搬送方向Yaの上流-Ya位置に設けられている。そして、媒体載置部35の上方に整合部38の動作を補助するパドル機構43を備えた媒体搬送部34が設けられている。
また、媒体支持部50と積載部37は、整合及び処理後に排紙される媒体Pを積載して保持することから、排紙装置30の構成部材にもなっているということができる。以下、処理装置4を構成している前述した各要素の構成部材について具体的に説明する。
【0042】
<搬送要素>
処理装置4の搬送要素は、図1図4に表れているように、搬送経路31、第1搬送ローラー対32、第2搬送ローラー対33、媒体搬送部34及び媒体載置部35によって構成されている。
搬送経路31は、本実施形態では、図1に表すように媒体導入部40ではY方向と平行に水平に配置されており、媒体搬送部34及び媒体載置部35が配置されている部分から上向きに修正された搬送方向Yaに沿った上り傾斜の搬送経路31となっている。
そして、搬送経路31の水平部の上流位置(-Y方向)に一対のニップローラーによって構成される第1搬送ローラー対32が設けられており、該水平部の下流位置(+Y方向)に同じく一対のニップローラーによって構成される第2搬送ローラー対33が設けられている。
【0043】
媒体搬送部34は、整合・処理後の媒体Pの束を、その後端59側の部分が媒体載置部35の載置面35a上に存している位置から媒体支持部50の支持面50a上に位置するまでの搬送を行う。
媒体搬送部34は、揺動支点Oを中心に所定の角度揺動する揺動フレーム63を備え、揺動フレーム63の下面の下流位置におけるコーナー部に、媒体Pの束の上面に接触して後述する搬送駆動ローラー61とのニップ作用によって搬送方向Yaの下流+Yaへの搬送力を媒体Pに付与する搬送従動ローラー62が設けられている。また、媒体搬送部34には後述する整合を補助するパドル機構43も搭載されている。
【0044】
尚、媒体搬送部34は、上記した搬送駆動ローラー61と搬送従動ローラー62の組によるものに代えて、例えばループ状に配置された複数のローラーに掛け渡された搬送ベルト等を使用し、更に吸引ファンによって生じさせた負圧を利用した吸引吸着式あるいは静電吸着式の吸着手段を併用した構成の搬送手段を採用することも可能である。
【0045】
媒体載置部35は、搬送経路31に導かれた媒体Pの後端59側の部分を支持して後述する整合作業が円滑に実行されるようにする部材である。
媒体載置部35は、上面に排紙方向Yaに沿って傾斜する載置面35aを備えたハウジング65を有している。ハウジング65の上部の下流位置におけるコーナー部には前述した搬送従動ローラー62と共にニップローラーを構成して媒体Pに搬送力を付与する搬送駆動ローラー61が設けられている。この他、ハウジング65内には搬送駆動ローラー61に駆動力を付与する図示しないモーターと動力伝達手段、後述する整合部38を媒体支持部50が存する排紙方向Yaの下流+Yaないし上流-Yaに移動させる移動手段が設けられている。
【0046】
<整合要素>
処理装置4の整合要素は、後端整合部38、図示を省く第1側端整合部、パドル機構43及び第2側端整合部41を備えることによって構成されている。また、媒体Pの整合を実行する際に媒体Pを下方から支持する部分として媒体支持部50の支持面50aと媒体載置部35の載置面35aがある。
後端整合部38は、媒体載置部35の載置面35aによって支持された複数枚の媒体Pの束の後端59を揃えて整合させる部分である。後端整合部38は、排紙方向Yaの下流+Ya側の端面が開放された断面が略Uの字状の部材である。本実施形態では、後端整合部38は、媒体幅方向Xの左右と中央に一組ずつ計三組の後端整合部38L、38R、38Cが設けられている。
前記第1側端整合部は、媒体載置部35上の媒体Pを媒体幅方向Xから挟むように左右一対設けられていて、媒体幅方向Xに所定ストローク、シフト動作できるように構成されている。これにより、媒体載置部35の載置面35aに支持されている媒体Pの後端59側の側辺の整合を図ることができるように構成されている。
【0047】
また、媒体支持部50の支持面50aと媒体載置部35の載置面35aは、後端整合部38内に媒体Pの後端59が円滑に進入して保持されることを補助するために傾斜面になっている。媒体Pは、これらの傾斜面である支持面50a及び載置面35aを自重で滑り落ちることによって該媒体Pの後端59が後端整合部38内に円滑に導かれて後端整合部38の底面に接触することによって揃えられて整合される。
また、上記自重による媒体Pの移動を補助する機構としてパドル機構43がある。
【0048】
パドル機構43は、媒体幅方向Xに延びる回転軸45と、回転軸45の周囲に設けられる、ゴム材等に構成されるパドル47と呼ばれる複数枚の翼片と、前記回転軸45を媒体Pの後端59が後端整合部38に進入する方向に回転駆動する駆動手段と、を備えている。また、複数枚の翼片によって構成されるパドル47の組は、媒体幅方向Xに二組、離れた位置に配置されていて、媒体幅方向Xに移動可能に設けられている。
前記第1側端整合部及び第2側端整合部41は、媒体搬送部34と媒体載置部35を挟むようにその左右に配置されている。前記両整合部は、図示しないシフト機構によって、媒体幅方向Xに所定ストローク、シフト動作することによって媒体Pの束の左右の側端57L、57Rを揃えて整合させる。
【0049】
また、第2側端整合部41は、後述するように、媒体支持部50を構成する部材である。媒体支持部50は、媒体Pを媒体幅方向Xに挟むように左右一対設けられていて、図示しないシフト機構によって媒体幅方向Xに所定ストローク、シフト動作できるように構成されている。これにより、媒体支持部50の支持面50aに支持されている媒体Pの主に先端部53の側辺である側端57L、57R(図2)の整合が図られるように構成されている。
【0050】
<処理要素>
処理装置4の処理要素は、媒体載置部35に載置される媒体Pに対して所定の処理を実行する処理部36を備えている。
図1図3に記載されている処理部36は、媒体Pの後端59における左右のコーナー部と中央の3ヶ所に一例として設けられており、上述したようにステープル処理、パンチング処理、折曲げ処理、中綴じ処理等の所定の処理を実行する。
本実施形態では、媒体Pの後端59の前述した3ヶ所の一つに図示しない綴じ針を打ち込んでステープル処理を行う構成が一例として採用されている。これに伴い、処理部36には、複数本の綴じ針を収容できる収容部と、綴じ針を綴じ位置に送る機構と、綴じ針を打ち込む機構とが適宜設けられている。
【0051】
<排紙・積載要素>
処理装置4の排紙・積載要素は、既述の通り、排紙装置30、及びその構成要素でもある媒体支持部50及び積載部37を備えることによって構成されている。
排紙装置30は、後端59側の部分が媒体載置部35の載置面35aに支持されている、処理部36による処理が行われた媒体Pの束を、排紙方向Yaの下流+Yaに移送して媒体Pの後端59側を媒体支持部50の支持面50a上に位置させる排紙動作(図7)と、媒体支持部50による支持を解除して排紙した媒体Pの束を下方の積載部37の積載面37a上に落として積載する積載動作(図8)と、を基本的に実行する。
更に、排紙装置30は、積載後の媒体Pに生じるカール等の変形に起因する媒体支持部50の下面50cと媒体Pとの接触の虞を低減させるために、媒体支持部50の揺動の有無の確認と揺動の程度を確認する検知部100による検知動作を行う。
【0052】
媒体支持部50は、上面が支持面50aになっている下支え部70と、内壁面が媒体Pの側端57L、57R(図2)を整合する際の規制面になっている側板101と、が一体に形成された断面形状が一例としてL字状をした媒体支持部材である。該媒体支持部50は、排紙方向Yaに沿う下流+Ya側が高くなる上り傾斜の傾斜姿勢で設けられている。側板101は、第2側端整合部41としても機能する。
媒体支持部50は、媒体幅方向Xの左右に一つずつ向かい合わせで配置されており、一例として媒体幅方向Xに所定ストロークのシフト動作ができるように構成されている。具体的には、媒体Pを支持している状態では、左右の媒体支持部50L、50Rが共に内方にシフトして媒体Pの側端57L、57R近傍の下面を支持するように構成されている。
【0053】
一方、媒体Pの支持を解除して媒体Pの束を下方の積載部37の積載面37a上に落下させる場合には、左右の媒体支持部50L、50Rが共に外方にシフトして媒体Pの存する領域の外方に移動するように構成されている。
積載部37は、媒体支持部50による支持が解除されて鉛直方向Zの下方に落下した媒体Pの束を受け取る昇降可能な排紙トレイ71を備えている。
【0054】
図4に表れているように、排紙トレイ71は、その積載面37aが媒体支持部50と同様、排紙方向Yaに沿う下流+Ya側が高くなる上り傾斜の傾斜姿勢で設けられている。排紙トレイ71は、図4に表す最上位に位置している状態では、積載面37aと媒体支持部50との間に常に一定の距離を保って、その下方位置に待機するように構成されている。
また、排紙トレイ71が最上位に位置しているときの排紙トレイ71の基部側方のハウジング77にはセンサー79が設けられている。そして、通常は、排紙トレイ71の積載面37a上に媒体Pの束を落下させると、その媒体Pの存在をセンサー79が検知して落下した媒体Pの束の積層高さ分、排紙トレイ71が鉛直方向Zの下方に下降するように構成されている。これにより、媒体支持部50による支持が解除されて媒体Pの束を落下させると、その落下する距離Dが略一定に維持されるようになっている。
【0055】
<押圧要素>
図2から図5に表れているように、処理装置4の押圧要素は、媒体支持部50の上方において、媒体支持部50と同様、排紙方向Yaに沿う下流+Ya側が高くなる上り傾斜の傾斜姿勢で設けられている押圧部51と、押圧部51を媒体支持部50側に押し付ける押圧機構80と、これらを媒体支持部50と接続させた状態で保持する側板109を有する、一例としてL字形に折り曲げられた形状の保持フレーム81R、81L(図2図3)と、を備えて構成されている。
押圧部51は、媒体支持部50と平行に配置され、媒体支持部50の下支え部70より一回り小さな平板状の部材で、その排紙方向Yaの上流-Ya端には、媒体Pの搬送及び排紙が円滑に行われるように上向きに折り曲げられた傾斜ガイド83が形成されている。
【0056】
また、押圧部51の傾斜ガイド83近傍の下流+Ya位置と、所定の距離隔てた更に下流+Ya側の位置には、上方に立ち上げられた接続片85A、85B(図4)が設けられている。押圧部51は、これらの接続片85A、85Bを介して次に述べる押圧機構80と接続されている。
押圧機構80は、駆動源となる図示しないモーターと、モーターの出力軸の回転を駆動軸87に伝達する図示しない動力伝達機構と、駆動軸87の回転を媒体支持部50の支持面50aに対する押圧部51の接近、離間動作に変換する動力変換機構89と、を備えて構成されている。
【0057】
また、動力変換機構89は、本実施形態では平行リンク機構によって構成されている。具体的には、動力変換機構89は、その一端が駆動軸87に対して固定状態で接続され、他端が下流+Ya位置の接続片85Bに対して回転可能な状態で接続されている第1リンクアーム90と、第1リンクアーム90と同じ長さであって、その一端が駆動軸87の上流-Ya側の離間した位置に設けられている回動軸91に対して回動可能な状態で接続され、他端が上流-Ya位置の接続片85Aに対して回転可能な状態で接続されている第2リンクアーム93と、駆動軸87と回動軸91とを軸支し、前記図示しないモーターと動力伝達機構とを支持する一例として門型をした支持フレーム95と、を備えて構成されている。
【0058】
これにより、図示しないモーターの出力軸の回転が前記動力伝達機構を介して駆動軸87に伝達されると、第1リンクアーム90と第2リンクアーム93は、それぞれ駆動軸87と回動軸91を中心に互いの平行状態を維持して、図4中の時計方向または反時計方向に回動する。
また、第1リンクアーム90と第2リンクアーム93の回動は、他端側に接続されている二つの接続片85A、85Bを介して押圧部51に伝達され、押圧部51の押圧面51aを前述した退避位置Q1と、退避位置Q1よりも支持面50aに近い押圧位置Q2と、の間を、押圧部51と媒体支持部50との平行状態を維持しながら移動できるように構成されている。
【0059】
<検知要素>
処理装置4の検知要素は、媒体支持部50の揺動を検知することによって積載部37に積載されている媒体Pのカールの有無とその程度を判断して排紙装置30の制御に利用する要素である。具体的には、図3図4に表れているように、媒体支持部50と積載部37と検知部100と、を備えて構成されている。
尚、検知要素の具体的構成については、次に説明する排紙装置の具体的構成の中で詳述する。
【0060】
<<排紙装置の具体的構成>>
図3図4に表れているように、本実施形態の排紙装置30は、搬送された媒体Pを支持する揺動可能な媒体支持部50と、媒体支持部50の鉛直方向Zの下方に設けられ、媒体支持部50から落下した媒体Pが積載される昇降可能な積載部37と、媒体支持部50の揺動を検知する検知部100と、を備えている。
積載部37の載置面37aは、媒体支持部50の下面50cと平行であり、検知部100は、上昇する積載部37上の媒体Pが媒体支持部50の下面50cに接触した際の媒体支持部50の揺動を検知するように構成されている。
ここで、「積載部37の積載面37aは、媒体支持部50の下面50cと平行であり」における「平行」とは、積載面37aに積載される媒体Pが作る面と媒体支持部50の下面50cとが平行であることを意味する。また、その「平行」は、厳密に平行であることは要せず、媒体Pのカール等による変形の有無を媒体支持部50の揺動の有無によって検出するという目的を果たせる範囲で幅があってもよい。また、媒体Pのサイズや、発生しやすいカール等の変形によっては、積載部37の積載面37aは、媒体支持部50の下面50cと必ずしも平行である必要はない。
【0061】
<媒体支持部の構成>
媒体支持部50の基本的構成については既に説明したので、ここでは処理装置4の検知要素として機能する部分の構成を中心に説明する。本実施形態では、媒体支持部50は、押圧部51を支持している支持フレーム95を保持している保持フレーム81に、所定の角度揺動し得るように取付けられている。
図3から図9は、媒体支持部50に揺動の力が掛かっていない状態を示し、媒体支持部50の姿勢は、積載部37の積載面37aと平行になる所定の角度に設定されている。
具体的には、媒体支持部50の下支え部70の外方の側辺から上方に立ち上げられている第2側端整合部41として機能する側板101に、搬送方向Yaの上流-Ya位置に揺動中心となる基準穴103が設けられている。更に側板101は、搬送方向Yaの下流+Ya寄りの位置と、その中間の上方寄りの位置に、媒体支持部50の揺動を可能にするための2つの長穴105、107が基準穴103を中心とする所定半径の円周上を通るように所定長さに亘って形成されている。
【0062】
そして、基準穴103と2つの長穴105、107には、保持フレーム81の側板部109に形成された図示しないネジ穴に螺合する連結ネジ111が、媒体支持部50の揺動を可能にするため、例えば緩めに締付けられた状態で取り付けられている。
また、搬送方向Yaの下流+Ya寄りの長穴105の近傍には、付勢部材の一例である引張りコイルばね113が取り付けられている。引張りコイルばね113は、媒体支持部50を積載部37から遠ざける方向に付勢している。因みに、このような付勢部材113を設けることによって媒体支持部50の自重が媒体Pに与える影響を小さくでき、極めて小さな負荷でも感度良く揺動できる媒体支持部材50を実現することが可能になる。
【0063】
また、媒体支持部50の側板101には、媒体幅方向Xの内方に向けて延びる、一例としてL字形をした押上げレバー115(図2から図4)が取り付けられている。この押上げレバー115により後述するフラグレバー117に媒体支持部50の揺動が伝達されるように構成されている。
また、媒体支持部50は、前述したように媒体幅方向Xの対向する位置に向かい合わせで一対設けられている。これに伴い、押上げレバー115も同じく向かい合わせで一対設けられている。
【0064】
<積載部の構成>
積載部37の基本的構成については既に説明したので、ここでは処理装置4の検知要素として機能する部分の構成を中心に説明する。本実施形態では、積載部37は、ハウジング77に配置されたセンサー79の指令に基づいて排紙トレイ71を鉛直方向Zに昇降動させる基本動作の他、次に述べる検知部100による検知を行う予備動作として、或いは検知部100が検知した検知情報に基づいた処置動作としても排紙トレイ71を鉛直方向Zに昇降動できるように構成されている。
【0065】
<検知部の構成>
検知部100は、媒体Pの幅方向Xに向かい合わせで配置され、媒体Pの幅方向Xに移動可能な一対の媒体支持部50L、50Rと一体に揺動する押上げレバー115と接触して媒体支持部50の動きに連動して揺動するフラグレバー117(図3図12)と、フラグレバー117に設けられているフラグ121の変位をセンシングするセンサー119と、を備えている。
【0066】
また、一対の媒体支持部50は、媒体収容カセット7に収容される媒体Pのサイズや向きの違いによって生ずる幅の異なる複数の媒体Pを支持するため、媒体幅方向Xにおいて互いが最も接近した接近位置となる第1位置R1と、互いが最も離れた離間位置となる第2位置R2と、の間における任意の位置に移動可能に構成されている。ここで、符号R1とR2は、明細書中の説明においてのみ使用され、図面には登場しない。
フラグレバー117は、媒体幅方向Xに延設された延設体123と、延設体123から突出するフラグ121と、を備えている。延設体123の長さS(図12)は、最も離間した第2位置R2に位置する一対の媒体支持部50L、50Rに対して、媒体支持部50L、50Rの一部として機能する内方に張り出した一対の押上げレバー115、115を介して接触可能な長さに形成されている。
【0067】
具体的には、図3図12に表したように、延設体123は、一例として丸棒状の部材によって形成される揺動軸125と、揺動軸125から排紙方向Yaの上流‐Ya側の斜め下方に向けて突出して延びる、一例としてヘの字状に途中で屈曲した平板形状の受動翼板127と、を備えている。そして、この受動翼板127の長さが一対の押上げレバー115、115と接触可能な前述した長さSになっている。
また、フラグ121は、図3に表したように、一例として角の丸い矩形平板状の部材によって形成されており、揺動軸125の媒体幅方向Xの一例として一端(例えば左端)において、排紙方向Yaの上流‐Ya側の斜め上方に向けて突出して延びるように配置されている。そして、このフラグ121によって検知の際に光路が遮られる配置で、一例としてU字状をした透過型の光センサーによって構成されるセンサー119が設けられている。
【0068】
<排紙装置の効果の説明>
本実施形態の排紙装置30は、以上述べた構成を有することによって以下述べる効果が得られる。
(1)先ず、本実施形態では、媒体支持部50と積載部37に加えて検知部100を備えることによって排紙装置30は構成されており、積載部37の積載面37aは、媒体支持部50の無負荷時の下面50cと平行であり、検知部100は、上昇する積載部37上の媒体Pが媒体支持部50の下面50cに接触した際の媒体支持部50の揺動を検知するように構成されている。
【0069】
本実施形態によれば、上昇する積載部37上の媒体Pがカール等の変形がない平坦なものである場合には、媒体Pが媒体支持部50の下面50cに接触しないので、媒体支持部50は揺動しない。
しかし、媒体Pがカール等の変形があるものである場合は、そのカール等で変形した部分が最初に媒体支持部50の下面50cに接触し、他の部分は接触していない状態になることで媒体支持部50が揺動する。そして、検知部100は、媒体支持部50の揺動により媒体Pにカール等の変形が生じていることを検知することができる。また、その揺動の程度からカール等の変形の大きさを把握することができるので、その対処を取ることが可能になる。
これにより、媒体Pに生じたカール等の変形の大きさに応じて積載部37を下降させる距離を適切に定めることが可能になり、以って積載部37に積載された媒体Pと媒体支持部50とが接触することによる媒体Pの積載ずれなどの問題や媒体支持部50の動作不良等の問題の発生を抑制することが可能になる。
【0070】
(2)また、本実施形態では、媒体支持部50は、搬送方向Yaにおける上流-Ya側に揺動中心を有し、搬送方向Yaにおける下流+Ya側に媒体支持部50を積載部37から遠ざける方向に付勢する付勢部材113を備えている。
そして、媒体支持部50が揺動中心を支点にして揺動する際、付勢部材113の付勢力は、媒体支持部50がその自重によって鉛直方向Zの下方へ揺動しようとする力を減じ、カール等の変形が生じている媒体Pの当該変形部が媒体支持部50に接触したときに、その変形部がつぶれずに、小さな力で媒体支持部50を鉛直方向Zの上方へ揺動させることができるように設定されている。
【0071】
本実施形態によれば、前記と逆の、媒体支持部50を搬送方向Yaにおける下流+Ya側を揺動中心として、その上流-Ya側を揺動させるような構造に比べて、付勢部材113の付勢力が過大になることを抑制することができる。また、媒体Pに生ずるカール等の変形部は、搬送方向Yaのおける下流+Ya側で大きくなる傾向があるので、その傾向に対応した効果的な付勢部材113の配置が可能になる。
【0072】
(3)また、本実施形態では、媒体支持部50は、媒体Pの搬送方向Yaと交差する媒体幅方向Xにおいて、媒体Pの左右両側端57L、57R側の下面を支持し得る位置に一対設けられており、検知部100が一対の媒体支持部50L、50Rと一体の押上げレバー115、115と接触し、連動して揺動するフラグレバー117と、フラグレバー117に設けられるフラグ121の変位をセンシングするセンサー119と、を備えている。
【0073】
本実施形態によれば、媒体支持部50の揺動を、これに連動するフラグレバー117の揺動によって把握することができ、フラグレバー117のフラグ121の変位をセンシングするセンサー119を用いることで、簡単な構造で媒体支持部50の揺動検知機構を実現することが可能になる。
また、フラグレバー117を設けないで直接左右の媒体支持部50L、50Rの変位を2個のセンサーによって検知することもできるが、センサーを2個使用すると製品コストの増大を招くので、本実施形態の当該構成は製品コストの削減にも寄与し得る構成になっている。
【0074】
(4)また、本実施形態では、媒体幅方向Xに移動可能な一対の媒体支持部50L、50Rが最も接近する第1位置R1と、最も離間した第2位置R2と、間で移動可能であり、フラグレバー117が媒体幅方向Xに延設された延設体123と、延設体123から突出するフラグ121と、を備えて構成されている。
また延設体123は、離間位置である第2位置R2に位置している一対の媒体支持部50L、50Rから延びる2つの押上げレバー115、115と接触可能な長さSに形成されている。
本実施形態によれば、延設体123を必要以上長くすることなく、左右の媒体支持部50L、50Rの揺動を単一の延設体123と、一個のセンサー119と、を使用することで検知することが可能になる。
【0075】
<<排紙装置の制御方法の内容>>
本実施形態の排紙装置の制御方向は、前述したように構成される排紙装置30における排紙・積載後の媒体支持部50、検知部100及び積載部37の動作の制御方法である。この制御は、媒体Pの支持工程である第1工程P1と、媒体Pの落下工程である第2工程P2と、媒体Pの積載工程である第3工程P3と、媒体Pの検知準備工程である第4工程P4と、媒体Pの接触工程である第5工程P5と、媒体Pのカール等の有無の検知工程である第6工程P6と、検知結果に基づいて所定の処置を実行する処置工程P7と、を有している。
また、本実施形態では積載工程である第3工程P3と検知準備工程である第4工程P4との間に、積載部37を所定の距離下降させる予備下降工程である第8工程P8を有している。そして、これら各工程の制御は、制御部15によって行われる。以下、これらの工程の内容を順番に説明する。
【0076】
<第1工程>(図13のP1)
第1工程P1は、搬送される媒体Pを一対の媒体支持部50L、50Rで支持する支持工程である。
即ち、図示しないモーターを駆動して左右の媒体支持部50L、50Rの媒体幅方向Xの間隔を、使用する媒体Pの向きとサイズに対応した所定の間隔にして、排紙された処理後の媒体Pの束を媒体支持部50L、50Rの下支え部70によって支持した状態にする。
【0077】
<第2工程>(図13のP2)
第2工程P2は、第1工程P1の後に一対の媒体支持部50L、50Rを搬送方向Yaと交差する媒体幅方向Xの外方F2に移動させて、一対の媒体支持部50L、50Rから媒体Pを落下させる落下工程である。
即ち、図示しないモーターを駆動して左右の媒体支持部50L、50Rの媒体幅方向Xの間隔を、支持している媒体Pの幅寸法よりも大きな間隔に開いて、支持していた媒体Pを鉛直方向Zの下方に落下させる。
【0078】
<第3工程>(図13のP3)
第3工程P3は、第2工程P2により落下させた媒体Pを積載部37で受けて、その積載面37a上に積載する工程である。
この場合、積載部37は、センサー79により設定される最上位の位置に位置するように上昇させて待機させ、上方から落下された媒体Pを受け取って、その積載面37a上に積載する。
【0079】
<第8工程>(図13のP8)
第8工程P8は、第3工程P3の後、積載部37を所定の距離下降させる予備下降工程である。この第8工程P8は媒体Pの種類等に応じて必要ない場合は省いてもよい。
即ち、積載部37の排紙トレイ71上に媒体Pの束が落下されて積載されると、センサー79によって媒体Pの積載が確認されて予め設定されている所定の距離、排紙トレイ71を下降させて次工程の第4工程P4に備える。
【0080】
<第4工程>(図13のP4)
第4工程P4は、第3工程P3または第8工程P8の後に一対の媒体支持部50L、50Rを、媒体Pを落下させる場合と逆方向の接近方向F1に移動させて停止させる検知準備工程である。
即ち、図示しないモーターを駆動して積載部37上に落下させた媒体Pの幅寸法よりも外方R2に離間させた状態の一対の媒体支持部50L、50Rをそれぞれ内方R1に移動させて、次に行う媒体Pのカール等との接触が可能な位置まで接近させて停止させる。
【0081】
<第5工程>(図13のP5)
第5工程P5は、第4工程P4の後に積載部37を上昇させて積載面37a上に積載されている媒体Pを上方に位置する媒体支持部50の下面50cに接触させる接触工程である。
即ち、図示しないモーターを駆動して積載部37の排紙トレイ71を上昇させて、排紙トレイ71上に積載されている媒体Pを上方に位置する媒体支持部50の下支え部70の下面50cに接触させる。
【0082】
<第6工程>(図13のP6)
第6工程P6は、第5工程P5により媒体支持部50の下面50cに接触された媒体Pによって生じる媒体支持部50の揺動の有無を検知する検知工程である。
即ち、媒体Pが媒体支持部50の下面50cに接触したとき、媒体支持部50が揺動しない場合には、積載部37上の媒体Pにカール等の変形部が発生していないと判断して、その旨を検知の結果として出力する。
一方、媒体Pが媒体支持部50の下面50cに接触したとき、媒体支持部材50が揺動した場合には、積載部37上の媒体Pにカール等の変形部が発生していると判断でき、その旨とそのときの揺動角度を検知の結果として出力する。
【0083】
<第7工程>(図13のP7)
第7工程P7は、第6工程P6で得た検知の結果に基づいて所定の処置を実行する処置工程である。
即ち、媒体Pにカール等の変形部が無くて平坦な場合には媒体支持部50の下面50cに、均等に媒体Pの上面が接触するので媒体支持部50は揺動しない。この場合の処置として、積載部37の下降距離を予め設定しておいた所定の距離に設定する。
【0084】
一方、媒体Pにカール等の変形部がある場合には、変形部が生じている部分が最初に媒体支持部50の下面50cに接触するので媒体支持部50はその揺動中心を支点として所定の角度、揺動する。この場合の処置として、その揺動角度に対応した所定の距離、下降するように積載部37の下降距離を設定する。
揺動角度に対応した前記所定の距離は、揺動が無い場合に対して予め設定した所定の距離に媒体Pに生じているカール等の変形部の大きさを加えたものとなる。尚、本工程で行う所定の処置としては、ここで述べた積載部37の下降距離を調整するものの他、積載部37の上昇距離を調整するもの、媒体Pのカール等の変形部の存在や大きさをモニター表示や警告音等で知らせるもの、或いは媒体支持部50の動作を停止させるものや強制的に媒体Pの記録と搬送を停止させるもの等が挙げられる。
【0085】
<排紙装置の制御方法の効果の説明>
(5)先ず、排紙装置30の通常の動作を行う第1工程P1~第3工程P3の3工程の後に、積載後の媒体Pの状態を検知し、処置を実行する第4工程P4~第7工程P7の4工程を設けたので、排紙トレイ71と媒体支持部50との間に積載された媒体Pを挟み込むことにより発生する故障等の不具合を抑制することが可能になる。
また、媒体Pが接触している或いは移動により接触する虞のある状態で媒体支持部50が移動することによって発生する媒体Pの積載ずれを抑制することが可能になる。更に、媒体支持部50が媒体幅方向Xに移動する際の媒体Pとの接触によって発生する積載された媒体Pの落下の虞も抑制される。
【0086】
(6)また、第6工程P6の検知の結果が揺動無しの場合は、積載部37を予め設定しておいた所定の距離下降し、検知の結果が揺動ありの場合は、揺動の程度に応じた所定の距離、積載部37を下降するようにした場合には、媒体Pに発生するカール等の変形部が大きくなっても、その大きさに見合う距離だけ積載部37は下降するようになる。従って、積載部37上の媒体Pと媒体支持部50との接触を抑制して、該接触によって発生する積載ずれ等の不具合を低減することが可能になる。
【0087】
(7)また、第3工程P3で積載部37上に媒体Pの束を積載した後に、積載部37を所定距離下降させる第8工程P8を設け、その後、媒体支持部50を接近方向R1に移動させる第4工程P4を実行するようにした場合には、積載部37に積載された媒体Pに対して接近方向R1に移動する媒体支持部50が接触する虞を低減できる。これにより、当該接触によって生じる媒体Pの積載ずれ等の不具合を一層抑制することができるようになる。
【0088】
[他の実施形態]
本発明の実施形態に係る排紙装置30、排紙装置の制御方法、処理装置4及び記録システム1は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【0089】
例えば、媒体支持部50を揺動可能にする他の構成として、前述した実施形態と逆の構成にして、保持フレーム81側に基準穴103と一例として二つの長穴105、107を設け、媒体支持部50側にねじ穴を設けることも可能である。また、媒体支持部50を揺動可能にする他の構成として揺動リンク機構等を適用することも可能である。
また、保持フレーム81と媒体支持部50を連結する連結ネジ111としては、ネジが切れていない部分が基部側にある段付きネジを使用することが可能である。その場合にはネジを締め付けても媒体支持部を円滑に揺動させることが可能になる。また、保持フレーム81と媒体支持部50を連結する手段は、連結ネジ111に限られない。例えば、連結ピンを使用したものや凸部と凹部が係合して案内作用をする凹凸係合手段等を採用することも可能である。その他、付勢部材113として捩じりコイルばねを採用することが可能であり、この場合には、揺動中心となる基準穴103に取り付ける連結ネジ111等に捩じりコイルばねのコイル部を嵌めて使用する。
【0090】
記録システム1においては、中間装置3を省略しても良く、その際には記録装置2と処理装置4をそれぞれ独立したユニットとしても良いし、記録装置2と処理装置4を一体化しても良い。また、記録装置2に排紙装置30を搭載しても良い。
【符号の説明】
【0091】
1…記録システム、2…記録装置、3…中間装置、4…処理装置、
5…プリンター部、6…スキャナー部、7…媒体収容カセット、8…排出トレイ、
10…記録部、11…給送経路、12…第1排出経路、
13…第2排出経路(排出部)、14…反転用経路、15…制御部、
20…中間受入れ経路、21…第1スイッチバック経路、
22…第2スイッチバック経路、23…中間排出経路、24…分岐部、25…合流部、
30…排紙装置、31…搬送経路、32…第1搬送ローラー対、
33…第2搬送ローラー対、34…媒体搬送部、35…媒体載置部、35a…載置面、
35b…先端、36…処理部、37…積載部、37a…積載面、
38…後端整合部、40…媒体導入部、41…第2側端整合部、43…パドル機構、
45…回転軸、47…パドル、50媒体支持部、50a…支持面、
50b…後端、50c…下面、51…押圧部、53…先端部、
56…先端、57…側端、59…後端、61…搬送駆動ローラー、
62…搬送従動ローラー、63…揺動フレーム、65…ハウジング、
70…下支え部、71…排紙トレイ、77…ハウジング、79…センサー、
80…押圧機構、81…保持フレーム、83…傾斜ガイド、85…接続片、
87…駆動軸、89…動力変換機構、90…第1リンクアーム、91…回動軸、
93…第2リンクアーム、95…支持フレーム、100…検知部、101…側板、
103…基準穴、105…長穴、107…長穴、109…側板部、
111…連結ネジ、113…引張りコイルばね(付勢部材)、115…押上げレバー、
117…フラグレバー、119…センサー、121…フラグ、123…延設体、
125…揺動軸、127…受動翼板、
X…媒体幅方向(装置奥行き方向)、Y…媒体長さ方向(装置幅方向)、
Z…媒体積載高さ方向(装置高さ方向、鉛直方向)、Ya…搬送方向、排紙方向、
+Ya…下流、-Ya…上流、P…媒体、Q1…退避位置、Q2…押圧位置、
O…揺動支点、
R1…第1位置(接近位置、接近方向、内方)、
R2…第2位置(離間位置、離間方向、外方)、S…長さ、
P1…第1工程(支持工程)、P2…第2工程(落下工程)、
P3…第3工程(積載工程)、P4…第4工程(検知準備工程)、
P5…第5工程(接触工程)、P6…第6工程(検知工程)、
P7…第7工程(処理工程)、P8…第8工程(予備下降工程)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
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図13