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特許7400309チューブ容器およびチューブ容器用の積層体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】チューブ容器およびチューブ容器用の積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20231212BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20231212BHJP
   B32B 15/20 20060101ALI20231212BHJP
   B65D 35/10 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B32B27/00 H
B32B7/023
B32B15/20
B65D35/10 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019180315
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021053982
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】大村 寛美
(72)【発明者】
【氏名】勝又 淑江
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-155790(JP,A)
【文献】特開2018-118788(JP,A)
【文献】特開2016-210510(JP,A)
【文献】特開2019-155791(JP,A)
【文献】特開2005-178851(JP,A)
【文献】特開平08-230112(JP,A)
【文献】特開平04-059357(JP,A)
【文献】特開2008-162599(JP,A)
【文献】特開2016-027171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B65D 35/00-35/42、35/56-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
賦形層、第1シーラント層、基材層、第2シーラント層が、順に積層されてなり、
前記賦形層には、可視光を回折する微細凹凸が形成されており、
前記賦形層は紫外線硬化型インキを含み、
前記基材層と前記第2シーラント層の間に、前記基材層側から順に、保護層、金属箔が積層されており、
前記保護層は、金属蒸着フィルムを用いて形成されており、
前記金属箔は、アルミニウム箔である積層体を用いたことを特徴とするチューブ容器。
【請求項2】
前記金属蒸着フィルムは、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項3】
前記各層のうち、前記賦形層を除くいずれかの層には、絵柄領域を有する印刷部が形成されており、前記微細凹凸は、前記絵柄領域に対応する領域である特定領域にのみ形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のチューブ容器。
【請求項4】
前記保護層と前記金属箔の間に、さらに中間基材層を備えたことを特徴とする請求項から請求項のいずれか一項に記載のチューブ容器。
【請求項5】
前記基材層、前記保護層の少なくとも一方に植物由来性樹脂が含まれていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のチューブ容器。
【請求項6】
前記第1シーラント層、前記第2シーラント層の少なくとも一方に植物由来性樹脂が含まれていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のチューブ容器。
【請求項7】
賦形層、第1シーラント層、基材層、第2シーラント層が、順に積層されてなり、前記各層のうち、前記賦形層を除くいずれかの層には、絵柄領域を有する印刷部が形成されており、前記賦形層における前記絵柄領域に対応する領域である特定領域に可視光を回折する微細凹凸が形成された積層体を製造する積層体の製造方法であって、
前記基材層よりも内面側に、金属蒸着フィルムを用いて形成される保護層を形成する工程と、
前記保護層のよりも内面側に、アルミニウム箔を含む金属箔が積層される工程と、
前記金属箔のよりも内面側に、前記第2シーラント層を形成する工程と、
前記基材層よりも外面側に前記第1シーラント層を形成する工程と、
前記第1シーラント層の外面側における前記特定領域に紫外線硬化型インキを塗布する工程と、
前記紫外線硬化型インキに微細凹凸を転写する工程と、
前記紫外線硬化型インキを硬化させて前記微細凹凸が形成された賦形層を前記特定領域に形成する工程と、
前記第1シーラント層の外面側における前記特定領域以外の領域である非特定領域に前記紫外線硬化型インキを塗布する工程と、
前記非特定領域に塗布された紫外線硬化型インキを硬化させる工程と、
を有することを特徴とするチューブ容器用の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐傷性とともに意匠性を有する積層体、および、このような積層体を用いたチューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のチューブ容器、特にラミネートチューブ容器の外面は、ポリエチレンを代表とするポリオレフィンが使用されており、ラミネートチューブ容器の外面に印刷されるものは少ない。印刷は、中間層となるポリエチレンテレフタレートフィルムなどの内面に印刷されることが多い(特許文献1および特許文献2参照)。印刷されていない外面のポリエチレン層の表面は柔らかく、外部の硬質な物体と擦れると、傷が生じやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-144812号公報
【文献】特開2005-178851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チューブ容器に内容物を充填して密封するチューブ容器の包装製品の製造ラインにおいては、空チューブ容器の搬送の時や、充填・包装工程中や、充填・包装工程完了後のいずれの工程においても、チューブ容器を搬送する必要があり、搬送コンベアの上にてガイドなどと接触し、擦れることとなる。また、充填・包装装置内でも、装置内の各工程でのチューブ容器を固定する冶具に接触したり、各工程間の移送時でも、各種ハンドリング装置と接触したりして、チューブ容器の外面が傷つくことがある。このため、チューブ容器の外面に耐傷性が望まれている。また、商品としての魅力を高めるためには、耐傷性だけでなく外観の美観も望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、耐傷性とともに意匠性を有する積層体、積層体を用いたチューブ容器、および積層体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、
賦形層、第1シーラント層、基材層、第2シーラント層が、順に積層されてなり、
前記賦形層には、可視光を回折する微細凹凸が形成されていることを特徴とする積層体を提供する。
【0007】
また、本発明の積層体は、
前記各層のうち、前記賦形層を除くいずれかの層には、絵柄領域を有する印刷部が形成されており、前記微細凹凸は、前記絵柄領域に対応する領域である特定領域にのみ形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の積層体は、
前記基材層と前記第2シーラント層の間に、前記基材層側から順に、保護層、金属箔が積層されており、
前記保護層は、金属蒸着フィルムを用いて形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の積層体は、
前記金属箔は、アルミニウム箔であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の積層体は、
前記金属蒸着フィルムは、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の積層体は、
前記保護層と前記金属箔の間に、さらに中間基材層を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の積層体は、
前記基材層、前記保護層の少なくとも一方に植物由来性樹脂が含まれていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の積層体は、
前記第1シーラント層、前記第2シーラント層の少なくとも一方に植物由来性樹脂が含まれていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、
前記積層体を胴部として用いたことを特徴とするチューブ容器を提供する。
【0015】
また、本発明では、
賦形層、第1シーラント層、基材層、第2シーラント層が、順に積層されてなり、前記各層のうち、前記賦形層を除くいずれかの層には、絵柄領域を有する印刷部が形成されており、前記賦形層における前記絵柄領域に対応する領域である特定領域に可視光を回折する微細凹凸が形成された積層体を製造する積層体の製造方法であって、
前記基材層よりも内面側に前記第2シーラント層を形成する工程と、
前記基材層よりも外面側に前記第1シーラント層を形成する工程と、
前記第1シーラント層の外面側における前記特定領域に紫外線硬化型インキを塗布する工程と、
前記紫外線硬化型インキに微細凹凸を転写する工程と、
前記紫外線硬化型インキを硬化させて前記微細凹凸が形成された賦形層を前記特定領域に形成する工程と、
前記第1シーラント層の外面側における前記特定領域以外の領域である非特定領域に前記紫外線硬化型インキを塗布する工程と、
前記非特定領域に塗布された紫外線硬化型インキを硬化させる工程と、
を有することを特徴とする積層体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、耐傷性を有するとともに意匠性を高めた積層体、積層体を用いたチューブ容器、および積層体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】キャップを装着した状態のチューブ容器の正面図である。
図2】頭部成形体の部分断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るチューブ容器に装着されるキャップの断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るチューブ容器の筒状の胴部を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係るチューブ容器の上面図である。
図6】頭部成形体にキャップを装着した状態のチューブ容器の部分断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るチューブ容器の胴部の積層体の断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るチューブ容器で用いる密封シールの積層体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
但し、本発明はこれら具体的に例示された形態や、各種の具体的に記載された構造に限定されるものではない。なお、各図においては、分かり易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見やすさの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
【0019】
本明細書において「外面」、「内面」とは、積層体10を用いてチューブ容器30を作製した場合における「外面」および「内面」を意味する。また「上側」、「下側」とは、チューブ容器30を、口部36及びキャップ60を上向きにした際に、「上側」とは口部36側を、「下側」とは口部の反対側を意味する。
【0020】
図1は、キャップを装着した状態の本実施形態に係るチューブ容器の正面図である。図1に示すように、本実施形態に係るチューブ容器30は、胴部31と、胴部31に対して圧縮成形、射出成形などの方法により合成樹脂を設けることにより作製される頭部成形体37とを備えている。頭部成形体37は、さらに肩部35、口部36、首部38を備えている。またチューブ容器30の口部36には、密封シール20が接合され、口部36、首部38の全体と肩部35の一部を覆うようにしてキャップ60が装着される。
【0021】
チューブ容器30は、吐出用の開口を含む筒状体の口部36と、口部36に連設され下側に向うにつれて外周が広がる係止部45を備えた首部38と、首部38に連設され下側に向うにつれて外周が広がる錘台筒状の肩部35とによって構成される頭部成形体37を有する。図2は、頭部成形体37の部分断面図である。
【0022】
図2において、頭部成形体37は、右半分にその正面が示されており、左半分に、その径方向中心を通って正面と平行に切断した面が示されている。図2の左半分においてハッチングがなされた部分は、頭部成形体37の実体を示し、空白部分が空洞である。肩部35は、口部36から離れるほど、チューブ容器30の径方向の外側に広がる例えば円錐台筒状に構成されている。例えば、肩部35は、水平に対して30度の傾きを有している。肩部35は、下側において胴部31に連設されている。
【0023】
略円筒状の口部36は、上端の環状の天面46と、天面46の径方向の外側(外縁)から首部38、肩部35の方向(軸方向)に延びる外周面47と、天面46の内縁から軸方向に延びる内周面48とを有する。天面46は平坦に形成されている。口部36の内周面48は開口49を規定する。開口49は、内容物を吐出するための吐出口となる。胴部31に収容される中身は、開口49を通過することによってチューブ容器30から吐出される。
【0024】
首部38は、口部36と肩部35の間に連設されており、口部36から下側に向かうにつれて外周が広がる係止部45を有する。係止部45は、その最大径部分から下側に向うにつれて、外周が狭まる部分を備えている。このような形状の係止部45を備えることにより、キャップ60の内筒9の弾性脚片9Aを係止する構造となっている。
【0025】
本実施形態では、チューブ容器30は、中身が吐出されないように開口49を封鎖する機能、及び易開封性を有する密封シール20を備えている。具体的には、口部36の天面46に密封シール20が接合されている。図2に示すように、密封シール20は、開口49を覆うようにして天面46に取り付けられる。天面46と、密封シール20の接合は、どのような態様でなされていてもよい。例えば、天面46と、密封シール20とは、接着剤で貼り付けられていてもよく、熱融着、熱圧着等がなされていても良い。密封シール20は、鋭角的な物体が突き刺さることや、指が押し込まれることで破断する構成であってもよい。このような場合に密封シール20は易開封性を必ずしも有していなくても良い。
【0026】
密封シール20の材料は、チューブ容器30の密封性(バリア性)や天面46との接合強度、突き刺し強度、引き裂き強度等に応じて選択されると良い。このため、密封シール20には、アルミニウム箔、2軸延伸ポリプロピレン(Oriented Polypropylene)等の単層体や、これらの積層体が適用可能である。
【0027】
頭部成形体37は、上記のような構造により、キャップ60の脱着時に、外側から押圧された際、肩部35に接触させられる外筒8と、外筒8の内側に間隙を有して配されるとともに係止部45に嵌着させるための内筒9と、を有するキャップ60と、上下方向の直線運動のみにより着脱可能になっている。すなわち、頭部成形体37とキャップ60は、いわゆるワンタッチ嵌合により結合されている。図3は、本実施形態で用いるキャップ60を正面側から見た断面図である。図3に示したキャップ60は、実公平1-33483号公報に示されているような従来のワンタッチ嵌合で用いられるキャップと同様の形態であり、上側(上方)から見ると円形状、下側(下方)から見ると円筒状である。
【0028】
図3に示すように、本実施形態で用いるキャップ60は、全体が可撓性を有する軟質合成樹脂で成形されており、円筒状の外筒8及び内筒9を有する。外筒8は下方裾部8Aの下端面を傾斜面8Bに形成し、内筒9は円周方向に等分した箇所にスリット(図示省略)を穿設して複数の弾性脚片9Aを円状に列設してある。さらに、各弾性脚片9Aの下端部には、内向きのフック状爪片7を設け、フック状爪片7の下端面は傾斜面7Aとなっている。また、内筒9の中央上面には円筒状のアウターリング2が形成されている。
【0029】
胴部31は、フィルム状の積層体が筒状に成形されたものである。そして、筒状に延びる胴部31の一端が肩部35と接合されている。一方で、筒状の胴部31の内面が重ねられて接合された底シール部39によって胴部31の他端が封止されている(図1参照)。底シール部39は、胴部31に中身が充填された後に接合されれば良い。チューブ容器30の特に胴部31は、多少の粘度を有する中身であっても所望の量を容易に押し出すことが可能な可撓性(柔軟性、スクイズ性)を有するように構成されているとよい。胴部31の寸法は、中身の種類等によって適宜設計されれば良く、例えば、直径が50mmとされている。
【0030】
上記のような構成からなるチューブ容器30は、以下のような製造工程を経て得られる。まず、図4に示すように、積層体10を用いて、積層体10の一対の貼り合わせ端部(以下、両端部と呼ぶことがある。)33A、33Bを重ね合わせて、その重ね合せ部分の外面と内面とをヒートシールして貼り合わせて胴貼り部32を形成することにより、筒状の胴部31を製造する。
【0031】
ヒートシールする方法としては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール、火炎シールなどの従来公知の方法で行うことができる。
【0032】
次いで、筒状の胴部31を金型(図示省略)内に装着し、胴部31の一方の開口部(上側)34Aに、例えば、圧縮成形、射出成形などの方法によって、頭部成形体37(肩部35、首部38、口部36)を形成する。このようにして胴部31の一方の開口部(上側)34Aに、頭部成形体37(肩部35、首部38、口部36)が一体に成形されてチューブ容器30が作製される。
【0033】
一方、包装材料から所定の形状で打ち抜かれて密封シール20が得られる。この密封シール20の密封部20Aをチューブ容器30の口部36の天面46に当てて熱圧着し、密封シール20を口部36に接合する。これにより、開口49が密封シール20により覆われることになる。
【0034】
図5は、密封シール20の接合前後におけるチューブ容器30の上面図である。図5(a)は、密封シール20の接合前、図5(b)は、密封シール20の接合後を示している。図5(a)に示すように、上側(口部36側)から見ると、吐出用の開口49の周囲に、筒状である口部36の厚みに相当する天面46が形成され、口部36の外周面47からチューブ容器30の下側(図5における奥方向)に向かうにつれて外周が広がる係止部45が形成されている。さらに、係止部45を備えた首部38と胴部31を結ぶように、チューブ容器30の下側(図5における奥方向)に向かうにつれて外周が広がる肩部35が形成されている。
【0035】
図5(a)に示した口部36側において開口49を覆うようにして、口部36の上端である天面46に密封シール20を熱圧着する。密封シール20は、図5(b)に示すように、口部36の外周面47で規定される密封部20Aと、密封部20Aから外側に突出する摘み部20Bと、を有する。密封部20Aは、開口49を覆って口部36の上端である天面46に熱圧着される。このため、密封部20Aは、開口49より大きい必要があり、密封部20Aの外周は、天面46の外周と同サイズであることが好ましい。本実施形態では、天面46の外周が円形であるため、密封部20Aも円形となっている。密封シール20を剥離する際に、指で摘まむ部分である摘み部20Bは、矩形状であり、その長手方向が、内側から外側に向かうように、密封部20Aに連設されている。図5(b)に示すように、密封シール20が熱圧着された際には、開口49および天面46が覆われた状態となっている。
【0036】
そして密封シール20が接合されたチューブ容器30の口部36側にキャップ60が装着される。図6は、頭部成形体37にキャップ60を装着した状態の部分断面図である。図6においても、図2と同様、右半分にその正面が示されており、左半分に、その径方向中心を通って正面と平行に切断した面が示されている。
【0037】
図2に示したような頭部成形体37の口部36に、図3に示したようなキャップ60を装着すると、図6に示したような状態となる。具体的には、キャップ60を、チューブ容器30の上側から装着する際、まず、キャップ60の内筒9が、口部36の外周に位置するように、位置決めする。そして、その状態からキャップ60を下側に移動させる。すると、下側に進むほど外側に広がる係止部45に沿って、弾性脚片9Aが下側に移動され、弾性脚片9Aが外側に広がる。そして、弾性脚片9Aのフック状爪片7が係止部より下側に移動した際に、フック状爪片7が内側に移動し、図6に示すように、キャップ60がチューブ容器30に装着される。
【0038】
図6に示したように、キャップ60の装着がなされた際、口部36の外周面47は、アウターリング2に接して囲まれた状態となる。この際、密封シール20の摘み部20Bは、アウターリング2に抑えられるようにして、下側に曲げられて、口部36の外周面47に接する状態となる。しかし、キャップ60のアウターリング2の内側と外周面47のいずれにもネジ山のような凹凸がないため、摘み部20Bが破損する惧れが極めて低い。
【0039】
次にチューブ容器30の筒状の胴部31の他方の開口部(下側)34Bから、例えば、練り辛子、練りわさび、その他の内容物が適量分だけ充填される。その後、開口部(下側)34Bを溶着して底シール部39を形成して、内容物を充填包装したチューブ容器30を含む包装製品30Aが得られる。
【0040】
頭部成形体37の詳細についてさらに説明する。頭部成形体37には、口部36、首部38、肩部35が適度の硬さとなるように成形することができ、胴部31の材料との接着性が高く、中身の品質に影響を与えず、中身に接触しても衛生的に支障のない材料が用いられる。このような材料として頭部成形体37には熱可塑性樹脂が用いられ、より具体的には高密度ポリエチレンが用いられる。
【0041】
更に、頭部成形体37には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン、ランダムポリプロピレン)等のポリオレフィン樹脂や、オレフィンと、ビニル系モノマー、アクリル系モノマー、不飽和カルボン酸等の共重合性モノマーとの共重合体やこれらのブレンド組成物等のポリオレフィン系樹脂、及び上述の樹脂が、高密度ポリエチレンにブレンドされた樹脂等が用いられても良い。更に、耐熱性や、胴部31との熱接着性の観点からは頭部成形体37には、直鎖状低密度ポリエチレンに高密度ポリエチレンがブレンドされた樹脂が用いられると良い。更に、頭部成形体37の特に肩部35には、酸素等の気体の透過を防止するためにバリア材としての円錐台状筒体が積層されていても良い。肩部35には、植物由来性樹脂が含まれてもよい。
【0042】
頭部成形体37の肩部35の形成に用いる高密度ポリエチレンは化石原料由来のものを使用してもよいが、環境負荷の低減のためカーボンニュートラル材料として知られるバイオマス由来の高密度ポリエチレンを使用してもよい。頭部やキャップはチューブ容器に占める質量割合が大きいため、頭部成形体37をバイオマス由来の高密度ポリエチレンを用いて成形することにより、チューブ容器全体として化石原料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、チューブ容器30の頭部成形体37は、従来の化石原料から得られる原料から製造された頭部と比べて、機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来の頭部を代替することができる。
【0043】
環境負荷低減の観点からは、バイオマス由来のポリエチレンのみを用いることが好ましいと言えるが、製造コスト等を考慮して、化石原料由来のポリエチレンとバイオマス由来のポリエチレンとをブレンドしたものを用いてもよい。ここで、バイオマス由来のポリエチレンとは、バイオマス由来のエチレンを含むモノマー重合体である。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、重合されてなるポリエチレンはバイオマス由来となる。原料モノマー中のバイオマス由来のエチレンの含有量は、100質量%である必要は無く、例えば、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。
【0044】
原料モノマーには、化石原料由来のエチレンが含まれていてもよく、ブチレン、ヘキセン、およびオクテン等のα-オレフィンのモノマーが含まれていてもよい。このような場合であっても、得られた重合体をバイオマスポリエチレンと呼ぶ。バイオマス由来のポリエチレンを使用する場合、異なるバイオマス度のポリオレフィンを2種以上含むものであってもよい。また、化石原料由来のポリエチレンとバイオマス由来のポリエチレンとをブレンドする場合、混合方法は特に限定されず、ドライブレンドやメルトブレンドでもよい。また、両者を混合する場合の化石原料由来のポリエチレンとバイオマス由来のポリエチレンとの混合割合は、質量比において1:9~9:1が好ましく、より好ましくは2:8~8:2である。
【0045】
例えば、バイオマス由来のエチレンは、バイオマス由来のエタノールを原料として製造することができる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。すなわち、植物由来性樹脂を用いることが好ましい。植物原料は、特に限定されず、従来公知の植物を用いることができる。例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、およびマニオクを挙げることができる。
【0046】
本発明において、バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物またはその破砕物由来産物を接触させ、生産した後、精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離、および抽出等の従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を添加し、共沸させるか、または膜分離等により水分を除去する等の方法が挙げられる。
【0047】
そして、これらのような樹脂が用いられる頭部成形体37の厚さは0.5 mm以上、2.0 mm以下であることが好ましい。本実施形態では、頭部成形体37は、圧縮成形(コンプレッション成形)によって作製される。このため、コンプレッション成形物である頭部成形体37では、天面46等の厚肉の部分にも、成形時の収縮によって生じるくぼみ、いわゆるヒケが生じないようにすることができる。更に、ゲート部のような材料の無駄も削減することができる。なお、頭部成形体37を射出成形(インジェクション成形)によって作製してもよい。
【0048】
次に、図7により、筒状の胴部31を形成する積層体10について説明する。チューブ容器30の胴部31を形成する積層体10は、図7に示すように、外面から内面に向かって順に配置された賦形層11と、第1シーラント層12と、基材層13と、保護層19と、中間基材層17と、金属箔18と、第2シーラント層15とを有する積層体である。第1シーラント層12の外面側に、賦形層11が形成されている。
【0049】
第1シーラント層12の外面には、コーターによるコート層や、OPニス等のインキなどを用いて賦形層11が形成され、基材層13の内面には印刷インキを用いて所望の模様を含む内面印刷部13Aが形成されており、印刷基材層を構成している。なお、基材層13の外面または第1シーラント層12の外面に印刷インキを用いて、内面印刷部13Aに代わる印刷部を設けても良い。
【0050】
賦形層11よりも内面に絵柄印刷が存在する場合は、賦形層11は絵柄印刷を外部より視認可能となるように、透視可能な層で構成することが望ましい。
【0051】
図7に示すように、賦形層11には、可視光を回折する微細凹凸が形成されている。本実施形態では、積層体10に特定領域RAと非特定領域RBを設定し、特定領域RAにのみ微細凹凸を形成している。図7における凹凸は、特定領域RA、非特定領域RBと微細凹凸の形成位置の関係を示すものであるため、実際の微細凹凸における凹凸の間隔とは異なっている。微細凹凸とは、凹凸の間隔が微細で狭いことを意味する。具体的には、微細凹凸の間隔、すなわち隣り合う凹部間の間隔(隣り合う凸部間の間隔)は、可視光を回折するように、3μm以下とすることが好ましい。
【0052】
また、第1シーラント層12と基材層13とは、押出しラミネートにより接合されている。また、基材層13と保護層19とはドライラミネートにより接合されている。また、保護層19と中間基材層17とは押出しラミネートにより接合されている。また、中間基材層17と金属箔18とは押出しラミネートにより接合されている。また、金属箔18と第2シーラント層15とは押出しラミネートにより接合されている。金属箔18と第2シーラント層15の層間においては、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)等の酸共重合体を用いて押出しラミネートにて積層される。
【0053】
ドライラミネートにより2層を接着する場合、積層しようとする層の表面に、接着剤を塗布して乾燥させることにより形成される接着剤層とすることができる。接着剤としては、例えば、1液型あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などの接着剤を用いることができる。2液硬化型の接着剤としては、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を用いることができる。上記のラミネート用接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で積層体を構成する層の塗布面に塗布することができる。
【0054】
押出しラミネートに使用される熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、または環状ポリオレフィン系樹脂、またはこれら樹脂を主成分とする共重合樹脂、変性樹脂、または、混合体(アロイを含む)を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、上記したポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体、エチレン・ポリプロピレンのランダムもしくはブロック共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン・マレイン酸共重合体、アイオノマー樹脂、また、層間の密着性を向上させるために、上記したポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂などを用いることができる。また、ポリオレフィン樹脂に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂などを用いることができる。
【0055】
これらの材料は、一種単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリノルボネンなどの環状ポリオレフィンなどを用いることができる。これらの樹脂は、単独または複数を組み合せて使用できる。なお、上記したポリエチレン系樹脂としては、上記したバイオマス由来のエチレンをモノマー単位として用いたものを使用して、バイオマス度をさらに向上させることができる。
【0056】
押出しラミネート法により接着樹脂層を積層する場合には、積層される側の層の表面に、アンカーコート剤を塗布して乾燥させることにより形成されるアンカーコート(AC)層を設けてもよい。アンカーコート剤としては、耐熱温度が135℃以上である任意の樹脂、例えばビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンイミン等からなるアンカーコート剤が挙げられるが、特に、構造中に2以上のヒドロキシル基を有するポリアクリル系又はポリメタクリル系樹脂(ポリオール)と、硬化剤としてのイソシアネート化合物との硬化物であるアンカーコート剤を、好ましく使用することができる。また、これに添加剤としてシランカップリング剤を併用してもよく、また、硝化綿を、耐熱性を高めるために併用してもよい。
【0057】
乾燥後のアンカーコート層は、0.1μm以上1μm以下、好ましくは0.3μm以上0.5μm以下の厚さを有するものである。乾燥後の接着剤層は、好ましくは1μm以上10μm以下、より好ましくは2μm以上5μm以下の厚さを有するものである。接着樹脂層は好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下の厚さを有するものである。
【0058】
次に筒状の胴部31の積層体10を構成する各部分の材料について説明する。
第1シーラント層12および第2シーラント層15は例えばポリエチレン(PE)を含んでいてもよい。具体的には、第1シーラント層12および第2シーラント層15を以下の材料から作製してもよい。
【0059】
第1シーラント層12および第2シーラント層15としては、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、その他等の樹脂の1種ないしそれ以上からなる樹脂を使用することができる。
【0060】
また基材層13としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す。)層を用いることができ、PET層13に印刷を施すことによってPET層13に印刷インキからなる内面印刷部13Aを設けることができる。また、基材層13は、中間基材層17とともにチューブ容器の剛性保持を担っている。
【0061】
また基材層13としてPET層を用いる代わりに、ナイロン層を用いてもよい。ナイロン層を用いた場合は、PET層よりも機械的強度が優れる場合が多い。また、PET、ナイロン以外では、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を用いることもできる。
【0062】
保護層19は、金属箔18を保護するとともに、積層体10全体の外観の意匠性を高めるための層である。特に、金属箔18がアルミニウム箔である場合に、ヒートシール時に金属箔18が割れるのを抑止することにより、金属箔18を保護するものである。保護層19は、必ずしも金属箔18が割れることを防止することはできないが、一定程度保護することができる。保護層19としては、金属蒸着フィルムを用いることができる。金属蒸着フィルムのベースとなるフィルムとしては、基材層13と同様、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン等を用いることができる。ベースとなるフィルムに蒸着する金属としては、銅、すず等、一般に金属蒸着に用いられる様々なものを用いることができるが、アルミニウムを用いることが好ましい。本実施形態では、保護層19の金属蒸着フィルムとしてアルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いている。保護層19として金属蒸着フィルムを用いることにより、外側から第1シーラント層12、基材層13を通して見た場合に、メタリック調の外観を維持することができる。また、保護層19を金属箔18より外面側に形成することにより、金属箔18の破損を抑止することができる。アルミニウム箔等の金属箔は、金属膜であるため、膜が固く、ヒートシール時に熱と圧力で割れ易く、外観では黒い筋が見え易くなる。一方、アルミニウム蒸着PETのアルミニウム蒸着層は、40nm程度のため、基本的には膜が柔らかく、PET等の基材層13に追従する。このため、アルミニウム蒸着PET等の保護層19の方が同じ熱と圧力を加えても割れにくい要因となる。
【0063】
中間基材層17としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系のフィルムを用いることができる。ポリエチレン(PE)としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)等を用いることができる。中間基材層17は、耐内容物性を一層高める機能を備えるとともに、チューブ容器の胴部31の剛性保持を担っている。第1シーラント層12および第2シーラント層15として用いられるポリオレフィン系のフィルムと同一のものを用いてもよい。
【0064】
中間基材層17の積層体10に対する厚みの比率は、0.30以上0.45以下であることが好ましく、0.35以上0.40以下であることがより好ましい。中間基材層17の積層体10に対する厚みの比率が小さ過ぎると、保護層19および金属箔18を備えた積層体10に十分なコシの強さが得られずに胴部31の弾性が低くなり、中間基材層17の積層体10に対する厚みの比率が大き過ぎると、柔軟性が弱まるため、保護層19および金属箔18を備えた積層体10が扱い難くなる。
【0065】
金属箔18としては、水蒸気その他のガスバリア性など、必要とされる機能に応じて、適切なものが選択される。金属箔としては、例えば、銅、すず等、バリア性を有する様々な金属箔を用いることができるが、アルミニウム箔を用いることが好ましい。
【0066】
第1シーラント層12、基材層13、保護層19、中間基材層17、第2シーラント層15に用いられる材料として上記した樹脂は、化石原料由来のものだけでなく、バイオマス由来の樹脂を用いてもよい。例えば、上記したバイオマス由来のポリエチレン樹脂の他、特開2012-116082号公報に記載されているようなバイオマス由来のエチレングリコールをジオール成分として使用したバイオマスポリエステルや、ポリ乳酸樹脂、セロハン、でんぷん、セルロース等を使用することができる。バイオマス由来の樹脂としては植物由来性樹脂を用いることが好ましい。
【0067】
基材層13の内面に設けられた内面印刷部13Aは、平滑でかつ透明性が優れる基材層13に印刷されることから、美粧性に秀でた印刷をすることが可能である。
【0068】
次に、積層体10の賦形層11に微細凹凸を転写して形成するための賦形シートについて説明する。賦形シートは、シート基材と賦形層が積層されたものである。賦形シートのシート基材としては耐熱性のあるプラスチックフィルムが好ましい。プラスチックフィルムの樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート等が挙げられるが、経済性、作業性などからポリエチレンテレフタレートが好ましい。プラスチックフィルムの厚さとしては10μm~50μm程度である。なお、シート基材に紙を用いることもできるが熱転写作業における賦形シートの耐久性を考慮するとプラスチックフィルムが好ましい。
【0069】
このような賦形シートは例えば次のように作製することができる。ここでは、賦形シート基材層として透明な樹脂、賦形層として紫外線硬化樹脂が適用された例について説明する。まず、ニップロールと型ロールとの間に賦形シート基材層のシートを送る。ここで型ロールの表面には賦形層線状凹凸部の形状を転写することができる凹凸が形成されている。即ち、型ロールの表面の凹凸形状は回折光沢シートの回折光沢層の線状凹凸部と同形状または略同形状となっている。そしてノズルから賦形シート基材層と型ロールとの間に硬化前の紫外線硬化樹脂を滴下し、液だまりを形成しつつ賦形シート基材層と型ロールとの間に硬化前の紫外線硬化樹脂を供給する。これにより賦形シート基材層及び型ロールの幅方向に均一にムラなく材料を供給することができる。
【0070】
賦形シート基材層と型ロールと間に供給された硬化前の紫外線硬化樹脂は型ロールの表面形状に沿った形状となって賦形シート基材層と型ロールと間に充填される。そして、当該充填された状態で賦形シート基材層側から紫外線照射装置から紫外線を照射して充填された紫外線硬化樹脂を硬化させて形状を固定する。これにより賦形シート基材層上に賦形層が形成される。尚、紫外線照射裝置としては、例えば、高圧水銀燈等の水銀燈を使用することが出来る。
【0071】
引き続き型ロールを回転させて賦形シート基材層及び賦形層を送り、離型ロールにより型ロールから離型して賦形シートを得る。
【0072】
このように賦形シートを得ることにより高い精度で効率よく賦形シートを作製することができる。また、このとき賦形シートの賦形層線状凹凸部の形態は積層体10の賦形層11における微細凹凸の上記した形態に対応した形状とされているので、離型性もよく形状的な欠陥の発生を防止することができる。
【0073】
次に筒状の胴部31の積層体10の製造方法について図7により説明する。
積層体10は、以下の各工程を実行することにより製造される。まず基材層13の内面に印刷を施し、基材層13の内面に印刷インキからなる内面印刷部13Aを設ける。
【0074】
次に、基材層13の内面に、保護層19をドライラミネート(DL)にて接合する。
【0075】
次に保護層19の内面に中間基材層17を押出しラミネートにより接合する。
【0076】
次に中間基材層17の内面に金属箔18を押出しラミネートにより接合する。
【0077】
次に、金属箔18の内面に第2シーラント層15を押出しラミネートにより接合する。
【0078】
次に基材層13の外面に第1シーラント層12を押出しラミネートにより形成する。
【0079】
次に、第1シーラント層12の外面にインキを印刷して賦形層11を形成する。インキとしては、紫外線硬化型インキである紫外線照射硬化型ニスを用いることが好ましい。このようにして第1シーラント層12の外面に印刷からなる賦形層11が設けられる。続いて、積層体10の賦形層11側の面に、賦形シートを配置して、積層体10と賦形シートを重ねた状態でニップロール間を通す。このニップロール間で圧力を掛け、賦形シートの微細凹凸を賦形層11に転写する。この際、特に加熱は行わず、常温にて転写を行う。そして、転写後に、賦形層11に紫外線を照射して、紫外線照射硬化型ニスを硬化させる。これにより、賦形層11に可視光を回折する微細凹凸が形成される。上記のようにして、胴部31の積層体10が得られる。なお、所望の積層体10が得られるようであれば、上記の製造方法には限られない。
【0080】
上記のような製造方法により、外面の賦形層11に微細凹凸が形成された積層体10が形成される。ただし、上記の製造方法では、領域を特定せずに、賦形シートに形成されていた微細凹凸が賦形層11に転写されるだけである。したがって、内面印刷部13Aが含む絵柄、すなわち内面印刷部13Aにより表現される絵柄との相乗効果をさらに高める余地がある。内面印刷部13Aが含む絵柄と微細凹凸の形成位置を関連付けることにより、一層意匠性が高まるものと思われる。次に、このように、より一層意匠性を高めるため、特定の領域にのみ微細凹凸を形成した積層体の製造方法について説明する。
【0081】
特定の領域にのみ微細凹凸を形成する場合として、内面印刷部13Aの所定の領域に、例えば、花の絵など、装飾的な絵柄を施した際に、その絵柄に対応する領域にのみ微細凹凸を形成し、装飾である絵柄を一層引き立たせる効果を狙う場合を想定して説明する。この場合、装飾的な絵柄は、内面印刷部13Aに施される。絵柄が施された領域を絵柄領域とし、絵柄領域に対応する領域を特定領域RAとする。特定領域RAにのみ微細凹凸を形成する場合も、第1シーラント層12の形成までは、内面印刷部13Aに装飾的な絵柄を含みながら、上記の製造方法と同様に行う。そして、第1シーラント層12の外面に賦形層11の印刷を行うが、この際、内面印刷部13Aの絵柄領域に合わせてパターン状に塗布を行い、特定領域RAにのみ賦形層11が設けられる。特定領域RA以外の領域を非特定領域RBとする。この時点では、最外面に賦形層11が形成された特定領域RAと、最外面に第1シーラント層12が形成された非特定領域RBとが存在することになる。
【0082】
積層体10の賦形層11側の面に、賦形シートを配置して、両者を重ねた状態でニップロール間を通す。このニップロール間で圧力を掛け、賦形シートの微細凹凸を賦形層11に転写する。転写は、特に加熱は行わず、常温にて行う。賦形シートには、全面に渡って微細凹凸が形成されていてもよい。賦形シートの全面に微細凹凸が形成されていても、賦形層11が特定の領域にしか存在しないため、微細凹凸が積層体10の全面に渡って形成されることはなく、特定の領域にのみ、微細凹凸が転写される。
【0083】
次に、微細凹凸が転写されていない領域、すなわち第1シーラント層12が外面として表出している領域に、賦形層11と同じ材料を塗布する。この部分には、微細凹凸の形成は行わないため、非賦形領域となる。そして、非賦形領域における紫外線照射硬化型ニスの塗布後に、非賦形領域に紫外線を照射して、紫外線照射硬化型ニスを硬化させる。これにより、内面印刷部13Aの絵柄に対応した領域が賦形領域、その他の領域が非賦形領域となった賦形層11が積層体10の外面のほぼ全体に形成される。
【0084】
このようにして得られた胴部31の積層体10は円筒状に巻かれ、上述のようにその両端部33A、33Bが重ね合わされて、両端部33A、33Bにおいて積層体10の外面と内面がヒートシールされて、胴貼り部32が形成され、筒状の胴部31が作製される。この場合、積層体10の外面側に設けられた第1シーラント層12と、内面側に設けられた第2シーラント層15とが溶融して接合され、筒状の胴部31が得られる。
【0085】
なお、上記では胴貼り部32は、重ね合わせにより形成されるが、両端部33A、33Bのそれぞれの端面を、突き合わせて接合してもよい。さらに、上記にて付き合わせて接合した接合線を、筒状の胴部31の内面または外面にフィルムを貼付して保護してもよい。また、内側となる端部33Bには、端面保護のための加工をしてもよい。例えばテープ貼りによる保護や、端部33Bを容器の外側方向に折り曲げる加工(ヘミング加工)などがある。
【0086】
次に、筒状の胴部31の開口部(上側)34Aが金型(図示省略)内に挿着され、筒状の胴部31に圧縮成形、射出成形などの方法を用いて、筒状の胴部31の開口部(上側)34Aに肩部35と口部36が形成されて、チューブ容器30が得られる(図1および図4参照)。
【0087】
次に、上記のようにして製造されたチューブ容器30の口部36に、密封シール20が熱融着された後、キャップ60が装着され、キャップ60が装着されたチューブ容器30は複数まとめてダンボール箱内に収納される。その後、キャップ60が装着された複数のチューブ容器30は、ダンボール箱毎に搬送される。
【0088】
以上のように、本実施形態によれば、賦形層11は一対の貼り合わせ端部33A、33B以外の領域に設けられ、賦形層11は優れた耐傷性を有するため、耐傷性に優れたチューブ容器30を製造することができる。また、賦形層11には微細凹凸が形成されているため、可視光を回折し、虹状の光を視認することができ、意匠性が高まる。
【0089】
<実施例1>
基材層13として厚み12μmのPETフィルム、保護層19として厚み12μmのVM-PETフィルム、中間基材層17として厚み130μmのPEフィルム、金属箔18として厚み10μmのアルミニウム箔を用いた。
【0090】
具体的には、まず、基材層13となる厚みが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの内面側に内面印刷部13Aを形成した。
次に、基材層13であるPETフィルムの内面印刷部13Aが形成された内面側において、接着剤を用いたドライラミネートにより、保護層19となる厚み12μmのVM-PETフィルムを貼り合わせた。
次に、保護層19の内面側にアンカーコート層を形成して、押出しラミネートにより熱可塑性樹脂であるPEを厚み20μmの接着層として、中間基材層17となる厚み130μmのPEフィルムを貼り合わせた。
次に、中間基材層17の内面側にアンカーコート層を形成して、押出しラミネートにより熱可塑性樹脂であるEMAAを厚み20μmの接着層として、金属箔18となる厚み10μmのアルミニウム箔を貼り合わせた。
さらに、金属箔18となる厚み10μmのアルミニウム箔の内面側に、厚さ35μmのエチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂フィルムを押出しラミネートし、さらに、このエチレン-メタクリル酸共重合体樹脂面に対し、2つの工程の押出しラミネートにより、第2シーラント層15となる厚み50μmのPE層を形成した。
次に、内面印刷部13Aが形成されていない基材層13の外面側にアンカーコート層を形成して、第1シーラント層12となる厚み60μmのPE層を2つの工程の押出しラミネートにより形成した。
【0091】
そして、第1シーラント層12の外面側にフレキソ印刷機を用いてインキを塗布し、賦形層11を形成した。インキは紫外線照射硬化型ニス(OPニス 組成 感光性モノマー75~85質量%、光重合開始剤15~25質量%、補助剤1~10質量%、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール1質量%未満)を用いている。
【0092】
一方、シート基材と賦形層が積層されており、光を回折する微細凹凸が賦形層に形成された賦形シートを事前に製造しておく。賦形シートのシート基材としてはポリエチレンテレフタレート、賦形層としては紫外線硬化樹脂を用いた。微細凹凸としては、可視光を回折するため、隣り合う凸部間の間隔(隣り合う凹部間の間隔)が2μm~3μmの間となるように形成した。
【0093】
続いて、積層体10の賦形層11側の面に、準備した賦形シートを配置して、積層体10と賦形シートを重ねた状態でニップロール間を通して、微細凹凸の賦形を行った。具体的には、ニップロール間で所定の圧力を掛け、賦形シートの微細凹凸を賦形層11に転写した。転写時の室温は20℃であり、特に加熱は行わなかった。そして、転写後に、賦形層11に紫外線を照射して、紫外線照射硬化型ニスを硬化させた。これにより、賦形層11に可視光を回折する微細凹凸が、隣り合う凸部間の間隔(隣り合う凹部間の間隔)が2μm~3μmとなるように形成された。
【0094】
この結果、賦形層(ニス塗布層)/PE35μm/PE25μm/AC/PET12μm/印刷層(インキ)/DL/VM-PET12μm/AC/PE20μm/PE130μm/AC/EMAA20μm/ALM箔10μm/EMAA35μm/PE25μm/PE25μmの構成となる積層体10が得られた。
【0095】
<実施例2>
基材層13として厚み12μmのバイオPETフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、賦形層(ニス塗布層)/PE35μm/PE25μm/AC/バイオPET12μm/印刷層(インキ)/DL/VM-PET12μm/AC/PE20μm/PE130μm/AC/EMAA20μm/ALM箔10μm/EMAA35μm/PE25μm/PE25μmの構成となる積層体10を得た。基材層13のバイオPETフィルムとしては、東洋紡社製「DE024」を用いた。
【0096】
<実施例3>
保護層19として厚み12μmの蒸着バイオPETフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、賦形層(ニス塗布層)/PE35μm/PE25μm/AC/PET12μm/印刷層(インキ)/DL/蒸着バイオPET12μm/AC/PE20μm/PE130μm/AC/EMAA20μm/ALM箔10μm/EMAA35μm/PE25μm/PE25μmの構成となる積層体10を得た。保護層19の蒸着バイオPETフィルムとしては、DNPテクノパック社製「IB-PET-PBIR」を用いた。
【0097】
<実施例4>
中間基材層17として厚み130μmのバイオPEフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、賦形層(ニス塗布層)/PE35μm/PE25μm/AC/PET12μm/印刷層(インキ)/DL/VM-PET12μm/AC/PE20μm/バイオPE130μm/AC/EMAA20μm/ALM箔10μm/EMAA35μm/PE25μm/PE25μmの構成となる積層体10を得た。中間基材層17のバイオPEフィルムとしては、大日本印刷社製「BDP-401」を用いた。
【0098】
中間基材層17の積層体10に対する厚みの比率は、実施例1~4のいずれにおいても同一であり、0.372である。実施例1~4のいずれにおいても中間基材層17の厚みは130μmであり、積層体10全体の厚みは349μmである。
【0099】
<比較例>
基材層として厚み12μmのPETフィルム、中間基材層として厚み130μmのPEフィルム、バリア層として厚み10μmのアルミニウム箔を用いた。実施例1と比較すると、保護層19を備えていない点が大きな相違である。賦形層(ニス塗布層)、第1シーラント層、基材層、中間基材層、バリア層、第2シーラント層については、実施例1と同一である。
【0100】
この結果、PE35μm/PE25μm/AC/PET12μm/印刷層(インキ)/DL/PE130μm/AC/EMAA20μm/ALM箔10μm/EMAA35μm/PE25μm/PE25μmの構成となる積層体が得られた。
【0101】
<評価>
実施例1~4、比較例の計5つの積層体について、評価を行った。評価の指標として、ヒートシール後の割れやシワの外観状態、外観のメタリック性の2つを用いた。評価結果を表1に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
ヒートシール後の割れやシワの外観状態としては、胴部31の底シール部39を形成するためのヒートシール後に、割れやシワの外観状態を目視観察した。目視観察の結果、以下のような状態で、〇、△、×の3段階で評価した。
・割れもシワも確認できない 〇
・シワを確認 △
・割れを確認 ×
【0104】
光沢度(外観のメタリック性)としては、堀場製作所製の光沢計「グロスチェッカーIG-320」にて測定した。
具体的には、JIS規格(Z8741)に準拠して測定した。光沢度は、光源から規定された入射角θで試料表面に光を入射し、鏡面反射方向に反射角θ´で反射する光を受光器で測定した。 なお、JIS規格(Z8741)では、屈折率1.567の黒色鏡面ガラス板を基準とし、規定された入射角θでの鏡面反射率を鏡面光沢度100と定義している。測定に用いた光学系の条件は以下の通りである。
<光学系>
入射角60°-受光角60°
測定面積:12×6mmの楕円
光源:LED(波長880nm)
使用温度範囲:0~40℃
【0105】
表1に示すように、割れやシワの外観状態については、実施例1~4の積層体では、いずれも割れもシワも確認できない(〇)状態であったが、比較例の積層体には、割れが確認できた(×)。なお、割れもシワも確認できない場合とは、必ずしもアルミニウム箔自体が割れていないのではなく、保護層であるアルミニウム蒸着フィルムを通しているため、アルミニウム箔の割れやシワが確認できない場合も含んでいる。アルミニウム蒸着フィルムの方がアルミニウム箔と比べて印刷基材層のPETへの追従性が高いため、割れが起きにくいためである。また、光沢度(外観のメタリック性)については、実施例1~4の積層体の全てにおいて、比較例の積層体に比べて約2倍の高い値が得られた。
【0106】
表1に示した評価結果より、賦形層11、第1シーラント層12、基材層13、保護層19、中間基材層17、金属箔18、第2シーラント層15が、順に積層されてなり、保護層19として、金属蒸着フィルムを用いた積層体は、それ以外の積層体に比較して、割れやシワの外観状態、光沢度(外観のメタリック性)のいずれも良好であるということが分かった。
【0107】
さらに賦形層11に可視光を回折する微細凹凸が形成されていることにより、回折光を視認することができ、特に内面印刷部13Aの絵柄との重ね合わせにより、高い意匠性が得られた。
【0108】
このように、割れやシワの外観状態が良好であり、光沢度(外観のメタリック性)も高い積層体をチューブ容器30の胴部31として用いることにより、バリア機能を十分に発揮し、高メタリック調で意匠性を高めることができた。
【0109】
さらに、賦形層11が積層体10外面の保護層としての機能を備えることにより、耐傷性が向上する。実施例1~4の積層体においては、いずれも耐傷性の向上が確認された。
【0110】
次に図8により、密封シール20の層構成について説明する。密封シール20は、図8に示すように、上側から下側に向かって順に配置された第1基材層21と、第2基材層22と、シーラント層23とを有する積層体である。
【0111】
第1基材層21の下側には印刷インキを用いて所望の模様を含む内面印刷部21Aが形成されている。また、第1基材層21と第2基材層22とは、ドライラミネートにより接合されている。さらに第2基材層22とシーラント層23とはドライラミネートにより接合されている。
【0112】
次に密封シール20を構成する各部分の材料について説明する。
シーラント層23は例えばポリエチレン(PE)を含んでいてもよい。具体的には、シーラント層23を以下の材料から作製してもよい。
【0113】
シーラント層23としては、熱によって溶融し、チューブ容器30の口部36と相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、その他等の樹脂の1種ないしそれ以上からなる樹脂を使用することができる。
【0114】
また第1基材層21、第2基材層22としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)層を用いることができる。第1基材層21としてPET層を用いた場合、PET層に印刷を施すことによってPET層に印刷インキからなる内面印刷部21Aを設けることができる。
【0115】
また第1基材層21としてPET層を用いる代わりに、ナイロン層を用いてもよく、また少なくとも一方の面に金属蒸着膜を有しガスバリア性をもったPET層を用いてもよく、また少なくとも一方の面に金属蒸着膜を有しガスバリア性をもったナイロン層を用いてもよい。
【0116】
また、少なくとも一方の面にシリカ蒸着膜を有しガスバリア性をもったPET層を用いてもよく、また少なくとも一方の面にシリカ蒸着膜を有しガスバリア性をもったナイロン層を用いてもよい。
【0117】
また、少なくとも一方の面に酸化アルミ蒸着膜を有しガスバリア性をもったPET層を用いてもよく、また少なくとも一方の面に酸化アルミ蒸着膜を有しガスバリア性をもったナイロン層を用いてもよい。
【0118】
また第2基材層22としてPET層を用いる代わりに、ナイロン層を用いてもよい。
【0119】
ナイロン層を用いた場合は、PET層よりも機械的強度が優れる場合が多い。また、各種蒸着膜を備えたフィルムは、基材となるフィルムよりもガスバリア性が優れる。
【0120】
密封シール20の好ましい一例としては、第1基材層21として上側に金属蒸着膜を有しガスバリア性をもったPET層、第2基材層22としてPET層、シーラント層23としてポリエチレン(PE)を用い、VMPET12μm/インキ/接着剤/PET25μm/接着剤/PE30μm、の積層体とした構成が挙げられる。
【0121】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、チューブ容器30を密封するように、密封シール20を、口部36に接合するようにしたが、必ずしも密封シール20を備える必要はない。
【0122】
また、上記実施形態では、胴部31の機能を高めるため、積層体10において、保護層19、中間基材層17、金属箔18を備えた構成としたが、必ずしもこれらの層を備える必要はない。
【0123】
また、上記実施形態では、チューブ容器のキャップとして、上下方向の直線運動のみにより容器に対してキャップを着脱させるような、いわゆるワンタッチ嵌合により結合されるタイプのものを用いたが、口部の外周面にネジ条を設け、ネジ条に螺合するように、キャップ内面にネジ溝を備えたスクリュータイプのもの等、他のタイプのものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0124】
2・・・アウターリング
7・・・フック状爪片
7A・・・傾斜面
8・・・外筒
8A・・・下方裾部
8B・・・傾斜面
9・・・内筒
9A・・・弾性脚片
10・・・(チューブ容器30の胴部31の)積層体
11・・・賦形層
RA・・・特定領域
RB・・・非特定領域
12・・・第1シーラント層
13・・・基材層
15・・・第2シーラント層
17・・・中間基材層
18・・・金属箔
19・・・保護層
20・・・密封シール
20A・・・密封部
20B・・・摘み部
21・・・第1基材層
22・・・第2基材層
23・・・シーラント層
30・・・チューブ容器
31・・・胴部
32・・・胴貼り部
33A・・・胴貼りの際に外側となる貼り合わせ端部
33B・・・胴貼りの際に内側となる貼り合わせ端部
34A・・・開口部(上側)
34B・・・開口部(下側)
35・・・肩部
36・・・口部
37・・・頭部成形体
38・・・首部
39・・・底シール部
45・・・係止部
46・・・天面
47・・・外周面
48・・・内周面
49・・・開口
60・・・キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8