(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】浴室内異常警報システム
(51)【国際特許分類】
A47K 3/00 20060101AFI20231212BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20231212BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20231212BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20231212BHJP
A47K 4/00 20060101ALI20231212BHJP
G02F 1/13 20060101ALN20231212BHJP
E06B 9/24 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
A47K3/00 Z
G08B25/04 K
G08B21/02
E04H1/12 301
A47K4/00
G02F1/13 505
E06B9/24 C
(21)【出願番号】P 2019181479
(22)【出願日】2019-10-01
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】須藤 征史
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-090765(JP,U)
【文献】国際公開第2018/074576(WO,A1)
【文献】特開2005-143905(JP,A)
【文献】特開平01-127786(JP,A)
【文献】特開平01-247390(JP,A)
【文献】特開2018-146654(JP,A)
【文献】特開2017-166157(JP,A)
【文献】特開2004-70842(JP,A)
【文献】特開2014-89494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00-4/00
G08B 19/00-31/00
G08B 21/02
E04H 1/12
G02F 1/13
E06B 9/24
G02F 1/15-1/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧印加によって調光可能な調光体を備えた浴室仕切面と、
浴室内の人の生体情報を検出する生体情報検出手段と、
前記調光体の駆動電圧を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記生体情報検出手段による前記生体情報に基
づいて、前記浴室内の人の状態を監視し、異常と判断すると、前記調光体が透明になるように駆動制御する
ことを特徴とする浴室内異常警報システム。
【請求項2】
前記調光体は、電源オフによって透明になり、電圧印加によって不透明になる型を用いることを特徴とする請求項1記載の浴室内異常警報システム。
【請求項3】
前記調光体は、電源オフによって不透明になり、電圧印加によって透明になる型を用いることを特徴とする請求項1記載の浴室内異常警報システム。
【請求項4】
前記生体情報検出手段は、前記浴室内の人が装着する加速度センサーの搭載された機器によって前記浴室内の人の急激な動作を検出するように構成される
ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の浴室内異常警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
浴室と部屋内の仕切面が、調光パネルまたはフィルムを備える浴室において、浴室内の人の異常を、検知し警報を発する浴室内異常警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室内外の仕切面に対する透視性の制御を行って、入浴時には、プライバシーを保ち、非入浴時には、浴室内の視界も取り入れて居室からの開放感を向上できる浴室の仕切面は提案されている(特許文献1、2)。しかしながら従来の構成では、浴室内の人に異常が、起きても、浴室時のプライバシー保護の面から、仕切面は不透明のままであり、になっており、浴室の外側からでは、異常の即検知が難しいというおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平7-38324号公報
【文献】特許4201748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の事情に鑑み、本発明は、仕切面に対する透視性制御を可能にしつつも浴室内の異常を浴室外に適切に報知することが可能な浴室内異常警報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、本発明の態様は、電圧印加によって調光可能な調光体を備えた浴室仕切面と、浴室内の人の生体情報を検出する生体情報検出手段と、前記調光体の駆動電圧を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記生体情報検出手段による前記生体情報に基いて、前記浴室内の人の状態を監視し、異常と判断すると、前記調光体が透明になるように駆動制御することを特徴とする浴室内異常警報システムである。
【0006】
また前記態様の浴室内異常警報システムでは、前記調光体は、電源オフによって透明になり、電圧印加によって不透明になる型を用いてもよい。
【0007】
また前記態様の浴室内異常警報システムでは、前記調光体は、電源オフによって不透明になり、電圧印加によって透明になる型を用いてもよい。
【0008】
また前記態様の浴室内異常警報システムでは、前記調光体は、電圧印加によって調光可能な調光フィルムを、透明ガラスの上に付着したものからなるものを用いてもよい。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、浴室と部屋内の仕切面が、透視性の制御が行える浴室において、浴室内にいる人の生体情報を検知し、人に異常があれば、浴室と部屋内の仕切面に透明性を出現させ、浴室外の、部屋側の人に、異常警報通知をすることができる、浴室内異常警報システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態における浴室内異常警報システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態における浴室内異常警報システムの一例を示す模式的イメージ図である。
【
図3】本発明の実施形態における浴室内異常警報システムの一例を示す模式的イメージ図である。
【
図4】本発明の実施形態における浴室内異常警報システムの一例を示す模式的イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の浴室内異常警報システムについて添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の実施形態における浴室内異常警報システムの概略構成を示すブロック図である。
【0013】
本発明の一実施形態に係る浴室内異常警報システムは、調光体である調光フィルム1と透明ガラス2からなる浴室仕切面3と、浴室10内の人50の生体情報を検出する生体情報検出手段30と、調光フィルム1の駆動電圧を制御するとともに、浴室10内の人50の監視を行う制御部20と、を有する。なお、上記では調光フィルムと称しているが、例えば硬質な調光パネルであってもよい。
【0014】
制御部20は、生体情報検出手段30による生体情報に基いて、浴室内の人50の状態を監視し、異常と判断されれば、調光フィルム1を透明にする。また、異常警報をより確かなものにするため、部屋側aにスピーカ40を設けて、浴室内の異常時には、音を発報してもよい。これは制御部20からの音信号がスピーカ40に入力され、スピーカ40が発音する。
【0015】
生体情報検出手段30は、浴室の人の、体温、心拍数、血圧の生体情報を検出する。生体情報検出手段30としては、サーモセンサ、心拍センサ、血圧センサ等が例示される。また生体情報検出手段30は、接触式または非接触式であってもよい。
【0016】
また、生体情報検出手段30として、転倒検出を行ってもよい。人の動作を非接触に記録するカメラが、急激な画像の変化をとらえられるようにしてあって、急激な動作検出をおこなう。あるいは。加速度センサーが搭載された機器のリストバンド装着により、人の急激な動作を検出することをやってもよい。
【0017】
また、生体情報検出手段30として、非接触もしくは接触で、心電波形を検出することをやってもよい。
【0018】
制御部20の記憶部(不図示)には生体情報検出手段30による生体情報の正常値範囲と異常値範囲を有している。
【0019】
制御部20には、浴室使用・不使用スイッチ(不図示)が接続されており、前記浴室使用・不使用スイッチの浴室不使用時のスイッチ指示によって、制御部20は不使用時と判断し、前記浴室使用・不使用スイッチの浴室使用時のスイッチ指示によって、制御部20は使用時と判断する(手動設定モード)。
【0020】
あるいは、制御部20には、浴室使用・不使用スイッチを使用せずに、浴室内に設置された人感センサー(不図示)が浴室が接続されており、人感センサーにより、浴室内に人を検知しない場合には、人感センサーの該当する出力信号により制御部20は不使用時と
判断し、また、人感センサーにより、浴室内に人を検知した場合には、人感センサーの該当する出力信号により制御部20は使用時と判断する(自動設定モード)。
【0021】
浴室使用・不使用スイッチによる、手動設定モードか、人感センサーによる自動設定モードかどちらの設定かを選択するモード選択スイッチ(不図示)あり、そのモード選択スイッチスイッチは制御部20に接続される。制御部20は、前記モード選択スイッチにより、手動か自動かで、浴室使用か、不使用か判断する。
【0022】
手動設定モードにおける浴室使用・不使用スイッチによる浴室使用時もしくは、自動設定モードにおいて人感センサーが浴室に人を感知した浴室使用時に、制御部20は、生体情報検出手段30で生体情報を検出し続け、検出された生体情報が、異常値範囲内に入ってくれば、異常と判断する。
【0023】
本発明の一実施形態に係る浴室内異常警報システムの主な3つの場合についてそれぞれ説明する。
【0024】
(浴室非使用時で調光フィルム1が透明の状態)
浴室使用・不使用スイッチによって浴室非使用と設定された場合(手動設定モード)あるいは人感センサーにより、浴室に人がいない場合(自動設定モード)を想定する。
【0025】
図2は本発明の実施形態における浴室内異常警報システムの一例を示す模式的イメージ図である。
図2では、浴室10内には人が存在しておらず、調光フィルム1が透明な状態であることを想定している。
【0026】
図2は本発明の実施形態における浴室内異常警報システムの1場面で、浴室に人がいない場合の調光フィルム1が透明の状態を示す模式的イメージ図である。浴室に人がいない場合に、部屋側aから、調光フィルム1を備えた浴室仕切面3超しに浴槽11などの浴室10内が見え、開放感を与える。
【0027】
浴室仕切面3は、仕切壁および仕切扉のいずれかあるいは両方により構成される。
【0028】
制御部20は、浴室の非使用時と設定された(手動設定モード)か、人感センサーにより浴室の人を検知しない場合(自動設定モード)には、調光フィルム1を駆動制御し透明にする。
【0029】
浴室の清掃時に、人が浴室内に入るが、部屋側aから浴室内を観察できるようにしたければ、前記モード選択スイッチで、手動設定モードを選択し、浴室使用・不使用スイッチによって浴室非使用と設定すれば、制御部20は、浴室の非使用時と設定されるととらえ、調光フィルム1を駆動制御し透明にする。
【0030】
(浴室使用時で人に異常がない場合で調光フィルム1が不透明の状態)
浴室使用・非使用スイッチによって浴室使用と設定された場合あるいは人感センサーにより、浴室に人がいる場合を想定する。
【0031】
図3は本発明の実施形態における浴室内異常警報システムの1場面で、浴室に浴室に人がいて人に異常がない場合で調光フィルム1が不透明の状態を示す模式的イメージ図である。浴室に人がいて、人に異常がない場合である。調光フィルム1を備えた浴室仕切面3は不透明になり、浴室内の人のプライバシーが保護される。
【0032】
制御部20は、浴室の使用時と設定されたか、人感センサーにより、浴室内の人を検知
した場合には、生体情報検出手段30で浴室内の人50の生体情報を検出し続け、検出された生体情報が、生体情報検出手段30による生体情報が、異常値範囲内に入っておらず正常値範囲内に入っている場合、浴室内の人50の状態は異常と判断されないので、調光フィルム1を駆動制御し不透明にする。
【0033】
(浴室使用時で人に異常が起きた場合で、調光フィルム1が透明の状態)
浴室使用・不使用スイッチによって浴室使用と設定された場合あるいは人感センサーにより、浴室に人がいる場合を想定する。
【0034】
制御部20は、浴室の使用時と設定されたか、人感センサーにより、浴室内の人を検知した場合には、生体情報検出手段30で浴室内の人50の生体情報を検出し続け、検出された生体情報が、生体情報検出手段30による生体情報が、異常値範囲内に入った場合、浴室内の人50の状態は異常と判断し、調光フィルム1を駆動制御し透明にする。調光フィルム1が透明になることによって、部屋側aにいる人に、知らすことができる。
【0035】
図4は本発明の実施形態における浴室内異常警報システムの1場面で、浴室に人がいて、人に異常が起きた場合の調光フィルム1が透明の状態を示す模式的イメージ図である。
【0036】
調光フィルム1として液晶分子を使用した例を説明する。浴室仕切面3は、透明ガラス2の上に、調光フィルム1が貼られている。
【0037】
調光フィルム1として、電源オフによって透明、電圧印加によって不透明になるいわゆるリバースタイプもしくは、電源オフによって不透明、電圧印加によって透明になるいわゆるノーマルタイプを使用可能である。使用される型に応じて、調光フィルム1を透明にしたり不透明にするときの電圧駆動動作が決まる。
【0038】
(調光フィルム1として、リバースタイプを使用する場合の動作)
調光フィルム1は、リバースタイプと呼ばれるネガ型の液晶分子が使用される。すなわち電源オフの状態で、液晶分子は入射光に対して平行に配列した状態となる。
【0039】
このため、入射光は調光フィルム1を透過して、透過光となる。すなわち、調光フィルム1は透明な状態であるから、透明ガラス2の上に調光フィルム1が付着した浴室仕切面3も透明となり、浴室10内部を、部屋側aから見通すことが可能となる。
【0040】
これに対し、電源オンの操作により、調光フィルム1に電圧が印加されると、液晶分子の配列は不規則となって、入射光は透過することができず、散乱光となる。
【0041】
このため、調光フィルム1は不透明な状態であるから、透明ガラス2の上に調光フィルム1が付着した浴室仕切面3も不透明となり、浴室10内部を、部屋側aから見通すことが不可能となり、同時に透過する光は減じられる。
【0042】
制御部20は、手動設定モードで浴室非使用とされるか、自動設定モードで人感センサーにより浴室に人がいない場合に、調光フィルム1に印加する電圧の電源をオフにし、浴室仕切面3を透明な状態にする。
【0043】
この透明な状態の時間が長い場合、調光フィルム1として、リバースタイプを使用するものは、ノーマルタイプのものを使用するよりも消費電力が少ないので、優位である。
【0044】
制御部20は、手動設定モードで浴室使用とされるか、自動設定モードで人感センサーにより浴室に人がいる場合に、生体情報検出手段30の測定値が正常値範囲内にあって浴
室の人50に異常がないと判断した時には、調光フィルム1に印加する電圧の電源をオンにし、浴室仕切面3を不透明の状態にする。
【0045】
制御部20は、手動設定モードで浴室使用とされるか、自動設定モードで人感センサーにより浴室に人がいる場合に、生体情報検出手段30の測定値が異常値範囲内にあって浴室の人50に異常が起きたと判断した時には、調光フィルム1に印加する電圧の電源をオフにし浴室仕切面3を透明の状態にする。
【0046】
(調光フィルム1として、ノーマルタイプを使用する場合の動作)
調光フィルム1は、ノーマルタイプと呼ばれるポジ型の液晶分子が使用される。すなわち電源オフの状態で、液晶分子は入射光に対してランダムに配列した状態となる。このため、入射光は透過することができず、散乱光となり、調光フィルム200は不透明な状態となることから、浴室10内部を、部屋側aから見通すことが不可能となる。
【0047】
これに対し、電源オンの操作により、調光フィルム1に電圧が印加されると、液晶分子の配列は入射光に平行に配列した状態となって、入射光は、そのまま調光フィルム1を透過して、透過光となる。
【0048】
すなわち、調光フィルム1は透明な状態であるから、透明ガラス2の上に調光フィルム1が付着した浴室仕切面3も透明となり、浴室10内部を、部屋側aから見通すことが可能となる。
【0049】
制御部20は、手動設定モードで浴室非使用とされるか、自動設定モードで人感センサーにより浴室に人がいない場合に、調光フィルム1に印加する電圧の電源をオンにし、浴室仕切面3を透明な状態にする。
【0050】
制御部20は、手動設定モードで浴室使用とされるか、自動設定モードで人感センサーにより浴室に人がいる場合に、生体情報検出手段30の測定値が正常値範囲内にあって浴室の人50に異常がないと判断した時には、調光フィルム1に印加する電圧の電源をオフにし、浴室仕切面3を不透明の状態にする。
【0051】
制御部20は、手動設定モードで浴室使用とされるか、自動設定モードで人感センサーにより浴室に人がいる場合に、生体情報検出手段30の測定値が異常値範囲内にあって浴室の人50に異常が起きたと判断した時には、調光フィルム1に印加する電圧の電源をオンにし浴室仕切面3を透明の状態にする。
【0052】
例えば、浴室に人がいなくても、調光フィルム1を不透明にしたい場合は、制御部20に対する指示ができるようにし、制御部20が制御する調光フィルム1への印加電圧がオフにするようにすればよい。
【0053】
調光フィルム1を不透明にしたい時間が多い場合は、この調光フィルム1にノーマルタイプを使用した方が、消費電力において調光フィルム1にリバースタイプを使用した時よりも優位となる。
【0054】
また、調光フィルムは、液晶分子のほか、液晶分子と高分子の複合体を用いることもできる。
【0055】
浴室と部屋内の仕切面が、透視性の制御が行える浴室において、浴室内にいる人の生体情報を検知し、人に異常があれば、浴室と部屋内の仕切面で透明性を出現させ、浴室外の、部屋側の人に、異常警報通知をすることができる、浴室内異常警報システムを提供することが可能となった。
【符号の説明】
【0056】
1・・・調光フィルム(調光体)
2・・・透明ガラス
3・・・浴室仕切面
10・・・浴室
11・・・浴槽
20・・・制御部
30・・・生体情報検出手段
40・・・スピーカ(アラーム)
50・・・人
a・・・部屋側