(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】シート搬送装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/14 20060101AFI20231212BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20231212BHJP
B65H 5/38 20060101ALI20231212BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20231212BHJP
B65H 5/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65H7/14
G03G15/00 446
B65H5/38
G03G21/16 104
B65H5/00 B
(21)【出願番号】P 2019187657
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 浩一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 充
(72)【発明者】
【氏名】澤田 賢二
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-211596(JP,A)
【文献】特開2006-246107(JP,A)
【文献】特開平10-186764(JP,A)
【文献】特開2012-229075(JP,A)
【文献】特開2010-202400(JP,A)
【文献】特開2011-022244(JP,A)
【文献】特開2002-037541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
B65H 5/38
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00-43/08
G03G 15/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるシートを検出する検出センサーが取り付けられ、前記シートをシート搬送方向に案内するガイド部材と、
前記ガイド部材を着脱可能に支持する支持部材と、
シートの搬送路を挟んで、シート搬送方向に対して直交するシート幅方向の一方の側に設けられ、前記支持部材から取り外された前記ガイド部材が載置される載置領域を有する載置台と、を備え、
前記ガイド部材は、長尺であり、
前記載置領域は、平面視において、シート搬送方向に沿った方向に長尺であり、前記ガイド部材の幅が前記載置領域の幅以下であることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記ガイド部材の長さが前記載置領域の長さ以下であることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
さらに、シート幅方向において、前記支持部材に装着した前記ガイド部材よりも前記載置台側には、前記検出センサーの検出信号を受信する受信部と、
前記検出センサーと前記受信部とをつなぐケーブルと、を備え、
前記ガイド部材が前記支持部材に装着された姿勢において、前記ケーブルは、一端が前記検出センサーに接続され、一端から他端に向かう途中で前記ガイド部材の、前記シート幅方向の一方の側の端部を通り、他端が前記受信部に接続されるように配線されていることを特徴とする請求項1または2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記ケーブルのうち、前記ガイド部材の前記端部を通る部分から前記受信部に接続される他端までの間の一部が、可撓性を有し、前記ガイド部材が前記支持部材に装着された位置から前記載置領域への移動を許容する長さを持つことを特徴とする請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記載置領域には、前記ガイド部材の載置位置を示す目印が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記目印は、前記載置領域に貼付されるシール、または前記載置領域に形成される凸部もしくは凹部であることを特徴とする請求項
5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
シートの搬送路を挟んでシート幅方向の前記一方の側に配されたカバーを有し、
前記支持部材は、シートの搬送路を挟んでシート幅方向の前記一方の側に配された第1支持部材と他方の側に配された第2支持部材とを有し、
前記カバーは、前記第1支持部材を挟んでシートの搬送路の位置する側とは反対側から前記第1支持部材を覆い、
前記載置台は、前記カバーに設けられ、
前記載置領域は、前記カバーの上面に設けられていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記検出センサーは、光学センサーであることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記検出センサーは、ラインセンサーであることを特徴とする請求項8に記載のシート搬送装置。
【請求項10】
前記ラインセンサーは、搬送中のシートのシート幅方向端の位置を検出することを特徴とする請求項9に記載のシート搬送装置。
【請求項11】
前記支持部材は、前記ガイド部材の装着時に、前記ガイド部材の長手方向がシート幅方向に沿った姿勢で前記ガイド部材を支持することを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、当該装置が搬送するシートに画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
給紙されたシートを、レジストローラーを介して像担持体の転写位置まで搬送し、転写位置で前記像担持体上の画像を転写する構成であり、
前記シート搬送装置は、前記レジストローラーを含み、
前記ガイド部材は、前記支持部材に装着された位置にあるときに、前記レジストローラーよりもシート搬送方向の下流側、かつ前記転写位置よりも上流側に位置していることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
さらに、前記シート搬送装置を、シートの搬送路から前記載置台に向かう方向へ引き出し可能に支持する支持機構を有することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記引き出し可能な方向は、前記画像形成装置の背面から正面に向かう方向であることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送されるシートをガイド部材で案内するシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート搬送装置には、搬送ローラーなどの搬送部材によって搬送されるシートを案内するガイド部材に、シートを検出するセンサーが取り付けられたものがある。
【0003】
このようなセンサーは、シートを検出するため、検出面がシートの搬送経路側を向いた姿勢でガイド部材に取り付けられており、シートの搬送経路を挟んでセンサーとは反対側には、別のガイド部材が設けられていることが多い。センサーが上記の姿勢のままでは、センサーと別のガイド部材との隙間がかなり狭いため、長期間の装置の使用によってセンサーの検出面に付着した紙粉等を清掃することが困難であった。
【0004】
ガイド部材に取り付けられたセンサーの姿勢を変更する構成として、特許文献1には、ガイド部材が揺動可能となった構成が開示されている。
図12は、この揺動機構を簡略化して示す図である。同図に示すように、シートを搬送する搬送ローラー対1010、1020の間に、上下方向(紙面上下方向)に間隔をあけて配されたガイド部材1110、1120のうち、センサー1140が検出面1141を下に向けた姿勢で取り付けられた上側のガイド部材1110が、揺動軸1130に上下に揺動可能に支持されており、シートを案内する案内位置(実線で示す位置)から、離間位置(破線で示す位置)との間で揺動する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の揺動機構をとる場合、センサー1140の検出精度を確保するためには、ガイド部材1110が揺動する度に、センサー1140の搬送経路1000に対する位置が変動しないように、センサー1140を支持する必要がある。このため、揺動軸1130及び揺動軸1130を支持する支持部(不図示)の剛性を強くすることが求められるが、これらの剛性を強くするほど揺動機構が大がかりとなり、省スペース化の観点から良くない。
【0007】
このような揺動機構とは別に、ガイド部材を、これを支持する支持部材から取り外すことでセンサーを清掃しやすくする構成が考えられる。この場合、取り外したガイド部材を、装置周辺の机などの台に置いて、そこで清掃作業をしようとすると、ガイド部材を机などの台に運ぶのが煩わしい。また、装置周辺の床の上に置いたり壁に立てかけたりすれば、机などの台まで運ぶ手間がなくなるが、不用意にガイド部材を倒してしまうことが生じ易く、ガイド部材に取り付けられたセンサーを傷つけてしまうおそれがある。
【0008】
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、着脱可能なガイド部材を安定して載置することができるシート搬送装置および当該シート搬送装置を備える画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本開示は、搬送されるシートを検出する検出センサーが取り付けられ、前記シートをシート搬送方向に案内するガイド部材と、前記ガイド部材を着脱可能に支持する支持部材と、シートの搬送路を挟んで、シート搬送方向に対して直交するシート幅方向の一方の側に設けられ、前記支持部材から取り外された前記ガイド部材が載置される載置領域を有する載置台と、を備え、前記ガイド部材は、長尺であり、前記載置領域は、平面視において、シート搬送方向に沿った方向に長尺であり、前記ガイド部材の幅が前記載置領域の幅以下であることを特徴とする。
【0010】
また、前記ガイド部材の長さが前記載置領域の長さ以下であることとしてもよい。
【0011】
また、シート幅方向において、前記支持部材に装着した前記ガイド部材よりも前記載置台側には、前記検出センサーの検出信号を受信する受信部と、前記検出センサーと前記受信部とをつなぐケーブルと、を備え、前記ガイド部材が前記支持部材に装着された姿勢において、前記ケーブルは、一端が前記検出センサーに接続され、一端から他端に向かう途中で前記ガイド部材の、前記シート幅方向の一方の側の端部を通り、他端が前記受信部に接続されるように配線されていることとしてもよい。
【0012】
さらに、前記ケーブルのうち、前記ガイド部材の前記端部を通る部分から前記受信部に接続される他端までの間の一部が、可撓性を有し、前記ガイド部材が前記支持部材に装着された位置から前記載置領域への移動を許容する長さを持つこととしてもよい。
【0013】
また、前記載置領域には、前記ガイド部材の載置位置を示す目印が設けられていることとしてもよい。
【0014】
また、前記目印は、前記載置領域に貼付されるシール、または前記載置領域に形成される凸部もしくは凹部であることとしてもよい。
【0015】
また、シートの搬送路を挟んでシート幅方向の前記一方の側に配されたカバーを有し、前記支持部材は、シートの搬送路を挟んでシート幅方向の前記一方の側に配された第1支持部材と他方の側に配された第2支持部材とを有し、前記カバーは、前記第1支持部材を挟んでシートの搬送路の位置する側とは反対側から前記第1支持部材を覆い、前記載置台は、前記カバーに設けられ、前記載置領域は、前記カバーの上面に設けられていることとしてもよい。
【0016】
また、前記検出センサーは、光学センサーであることとしてもよい。
【0017】
さらに、前記検出センサーは、ラインセンサーであることとしてもよい。
【0018】
さらに、前記ラインセンサーは、搬送中のシートのシート幅方向端の位置を検出することとしてもよい。
【0019】
また、前記支持部材は、前記ガイド部材の装着時に、前記ガイド部材の長手方向がシート幅方向に沿った姿勢で前記ガイド部材を支持することとしてもよい。
【0020】
また、本開示は、上記のシート搬送装置と、当該装置が搬送するシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた画像形成装置であることを特徴とする。
【0021】
また、給紙されたシートを、レジストローラーを介して像担持体の転写位置まで搬送し、転写位置で前記像担持体上の画像を転写する構成であり、前記シート搬送装置は、前記レジストローラーを含み、前記ガイド部材は、前記支持部材に装着された位置にあるときに、前記レジストローラーよりもシート搬送方向の下流側、かつ前記転写位置よりも上流側に位置していることとしてもよい。
【0022】
さらに、前記シート搬送装置を、シートの搬送路から前記載置台に向かう方向へ引き出し可能に支持する支持機構を有することとしてもよい。
【0023】
さらに、前記引き出し可能な方向は、前記画像形成装置の背面から正面に向かう方向であることとしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
上記のように、シート搬送装置がガイド部材を載置するための載置領域を有した載置台を備えており、ガイド部材の幅が載置台の載置領域の幅以下である、すなわち載置領域の幅がガイド部材の幅以上であるので、取り外されたガイド部材をその幅方向にはみ出すことなく安定して載置領域に載置することができる。これにより、ガイド部材に取り付けられた検出センサーの清掃の作業性を向上させつつ、ガイド部材をシート搬送装置の周辺の床の上等に置いて、不用意に検出センサーを傷つけてしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一の実施の形態としての画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】(a)は、制御回路のうち、主制御部およびレジスト揺動の制御に関する部分を示した図であり、(b)は、レジスト揺動の動作を説明する平面図であり、(c)は、
図2(b)に示すセンサーのG-G線における矢視断面図である。
【
図3】搬送ユニットが画像形成装置の装置筐体から引き出された様子を示す図である。
【
図7】取り外されたガイド部材が支持板に装着される前の様子を示した図である。
【
図8】(a)は、
図7においてガイド部材を矢印C方向に移動した後の様子を示した図であり、(b)は、ガイド部材を(a)の位置から矢印D方向にスライドさせた後の様子を示す図である。
【
図9】装置筐体から引き出されたシート搬送ユニットにおいて、支持板から取り外されたガイド部材が、前面カバーの載置領域に載置される様子を示した図である。
【
図10】(a)~(c)は、変形例に係る前面カバーの構成を示す斜視図である。
【
図11】(a)と(b)は、変形例に係るガイド部材の構成を示す平面図である。
【
図12】従来のシート搬送装置において、ガイド部材が揺動軸を中心に揺動する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔1〕 実施の形態
本開示に係る一の実施の形態としての画像形成装置1について図面を参照しながら説明する。
【0027】
(1.1) 画像形成装置1
図1は、画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。同図では、X軸方向が画像形成装置1を正面側から見たときの左右方向に相当し、Y軸方向が上下方向に相当する。X軸とY軸の双方に直交する方向をZ軸方向(奥行方向)という場合がある。
【0028】
画像形成装置1は、スキャナー、プリンター及びコピー機等の機能を有するタンデム型のカラー複合機(MFP:Multi Function Peripheral)である。
【0029】
画像形成装置1においては、
図1に示すように、筐体底部に、シートを収容し搬送するシート搬送部50が設けられている。シート搬送部50の上方には、電子写真方式により画像を形成するプリントエンジン13及び画像形成装置1の各ブロックを統合的に制御する制御回路14が設けられ、プリントエンジン13及び制御回路14の上方には、原稿を読み取って入力画像データを生成するスキャナー10及び操作用の画面を表示し、操作者から入力操作を受け付ける操作パネル20が設けられている。
【0030】
(1)スキャナー10
スキャナー10は、
図1に示すように、自動原稿給紙装置(ADF:Auto Document Feeder)11及び原稿画像走査装置12等を備えて構成される。
【0031】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿を搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。
【0032】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。スキャナー10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。スキャナー10は、生成した入力画像データを画像メモリ(不図示)に書き込む。
【0033】
(2)操作パネル20
操作パネル20は、表示部21及び操作部(不図示)から構成される。
【0034】
表示部21は、各種操作画面、各機能の動作状況等の表示を行う。表示は、例えば、後述するセンサー5303の清掃を促すメッセージであり、このメッセージは、装置の累計印刷枚数や累計使用時間等が、予め決められた閾値を超えたときに表示されるようになっている。
【0035】
操作部は、操作者の接触操作を受け付けるタッチパネル及びテンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、操作者による各種入力操作、例えば、プリントの実行指示を受け付けて、操作信号を主制御部100(
図2(a))に出力する。操作パネル20は、例えば、タッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)により構成される。
【0036】
(3)プリントエンジン13
プリントエンジン13は、
図1に示すように、電子写真方式により画像を形成する画像形成部40及びトナー像をシートに融着する定着部60から構成されている。
【0037】
画像形成部40は、画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット31等を備える。
【0038】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素を同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号を付し、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号を省略している。以下、画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kを代表して、画像形成ユニット41Yについて、画像形成ユニット41として説明する。
【0039】
画像形成ユニット41は、露光装置48、現像装置42、感光体ドラム43(感光体)、帯電装置44、およびドラムクリーニング装置45等を備える。
【0040】
帯電装置44は、感光体ドラム43の周面を一様に負極性に帯電させる。
【0041】
露光装置48は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム43に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。レーザー光の照射により、感光体ドラム43の周面には、各色成分の静電潜像が形成されることとなる。
【0042】
現像装置42は、例えば二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム43の周面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー画像を形成する。
【0043】
ドラムクリーニング装置45は、感光体ドラム43の周面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有する。ドラムクリーニングブレードは、一次転写後に感光体ドラム43の周面に残存する転写残トナーを除去する。
【0044】
中間転写ユニット31は、中間転写ベルト32、複数の一次転写ローラー47、複数の支持ローラー33A~33D、及びベルトクリーニング装置36等を備える。
【0045】
中間転写ベルト32は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー33A~33Dにより、張架される。複数の支持ローラー33A~33Dのうち、支持ローラー33Aは、駆動ローラーであり、支持ローラー33B~33Dは、従動ローラーである。
【0046】
各色成分の一次転写ローラー47は、当該色成分の感光体ドラム43に対向して、中間転写ベルト32の内周面側に配置される。一次転写ローラー47には、印加される電圧に応じた転写電流が流れる。中間転写ベルト32を挟んで、一次転写ローラー47が感光体ドラム43に押圧されることにより、感光体ドラム43が中間転写ベルト32に圧接され、感光体ドラム43から中間転写ベルト32へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0047】
支持ローラー33Bは、中間転写ベルト32を挟んで、二次転写ローラー34Bに圧接しており、これにより、中間転写ベルト32からシートSへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0048】
各色の一次転写ニップを中間転写ベルト32が通過する際、各色の感光体ドラム43上のトナー像が中間転写ベルト32に重ねて一次転写される。
【0049】
その後、シートSが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト32上のトナー像がシートSに二次転写される。トナー像が転写されたシートSは定着部60に向けて搬送される。
【0050】
ベルトクリーニング装置36は、中間転写ベルト32の表面に摺接するベルトクリーニングブレード等を有し、二次転写後に中間転写ベルト32の表面に残留する転写残トナーを除去する。
【0051】
定着部60は、二次転写ニップから、シートSの搬送方向、下流側に設けられている。定着部60は、定着ベルト60A、加圧ローラー60B及び定着ベルト60Aに熱量を付与する加熱源60C等を備える。定着ベルト60Aに加圧ローラー60Bが圧接されることによりその圧接領域である定着ニップNPが形成される。
【0052】
定着部60は、二次転写ニップから搬送されてきたシートSを定着ニップNPが通過する際に加熱、加圧して、シートS上のトナー像をシートSに定着する。定着ニップNPを通過したシートSは、排紙部52に向けて搬送される。
【0053】
(4)シート搬送部50
シート搬送部50は、給紙部51、搬送経路部53及び排紙部52等を備える。シート搬送部50は、制御回路14の指示に従って制御される。
【0054】
給紙部51は、画像形成装置1の筐体底部に設けられ、搬送経路部53は、給紙部51から給紙されるシートの搬送方向、下流側に設けられている。
【0055】
給紙部51は、2つの給紙トレイユニット51a、51bを備える。給紙トレイユニット51a、51bには、それぞれ、シートが収容される。給紙トレイユニット51a、51bに収容されているシートSは、搬送経路部53に搬送される。
【0056】
搬送経路部53は、搬送ローラー対53a、搬送ローラー53b、レジストローラー対53c等の複数の搬送ローラー対と、上下に一定の間隔をあけて配された一対のガイド板53d、53e、ガイド板53f、53g、およびガイド部材530、ガイド板53hを有する。給紙部51から、シートSが搬送経路部53に搬送されると、シートSは、一対のガイド板53d、53eの間、ガイド板53f、53gの間、およびガイド部材530、ガイド板53hの間を通り、搬送ローラー対53a、53b、レジストローラー対53cによって搬送方向下流に案内される。レジストローラー対53cは、シートSの傾き補正を行うとともに搬送タイミングを調整する。その後、シートSは、二次転写ニップに向けて搬送される。
【0057】
このように、シート搬送方向に間隔をあけて複数のローラー対を配置して、搬送方向上流側のローラー対から下流側のローラー対にシートを送って搬送する構成では、画像形成装置1の長期間の使用による各ローラーの回転軸方向の径の差異等により、シート搬送路上における搬送位置が、シート搬送方向に対して直交する方向(以下、シート幅方向という)にずれてくることがある。この位置ずれは、シート搬送路上のシート幅方向中央と、シートSの幅方向中央とが一致する位置を本来の位置とすると、この本来の位置よりもシート幅方向にずれた位置をシートSが搬送する場合の位置ずれである。この位置ずれを補正するために、レジストローラー対53cを回転軸方向(シート幅方向に相当)に移動させる、いわゆるレジスト揺動の制御が制御回路14により行われる。
【0058】
(5)制御回路14の構成とレジスト揺動の説明
図2(a)は、制御回路14の構成を示す図であり、同図に示すように制御回路14は、主制御部100、記憶部105、レジスト揺動制御部108等から構成されている。
【0059】
主制御部100は、CPU101、ROM102およびRAM103等を含む。RAM103は、半導体メモリから構成され、各種の制御変数などを一時記憶すると共に、CPU101によるプログラム実行時のワークエリアを提供する。ROM102は、半導体メモリから構成され、予め、スキャンジョブ、コピージョブまたはプリントジョブ等の各種ジョブを実行させるための制御プログラムなどを記憶している。CPU101は、ROM102に記憶されている制御プログラムに従って動作する。
【0060】
記憶部105は、不揮発性の半導体メモリから構成されており、シートSが搬送路上で本来の位置を搬送されるときの、シート幅方向におけるシート側端の基準位置105aを記憶するための領域を備えている。基準位置105aを
図2(b)で具体的に説明する。
【0061】
図2(b)は、レジスト揺動の動作を説明するための平面図であり、この図では、本来の位置にあるシートを破線で示し、本来の位置からずれたシートを実線で示している。破線で示す本来の位置にあるシートの側端Se1のシート幅方向の位置を基準位置としており、これが上記の基準位置105aに相当する。
【0062】
レジスト揺動の制御には、
図2(b)に示すセンサー5303が用いられる。センサー5303は、シート幅方向に長尺な光学式のラインセンサーであり、シート幅方向の位置ずれがあっても、シート側端Seのシート幅方向の位置を検出可能な程度に長くなっており、その長手方向がシート側端Seをまたぐ姿勢で配置されている。
【0063】
図2(c)は、
図2(b)に示すセンサー5303のG-G線における矢視断面図である。同図に示すようにセンサー5303は、断面コの字型のセンサー筐体5303fに、発光部5303dと受光部5303cが取り付けられた基板5303eが固着されており、筐体5303fの下方に設けられた貫通孔5303gに、透光性のカバーガラス5303aがはめ込まれている。発光部5303dは、シート幅方向に沿った長尺状の光源であり、シート搬送路を搬送されているシートSに向かって光を照射する。受光部5303cは、シート幅方向に長いCCDセンサーなどの一次元イメージセンサーである。
【0064】
発光部5303dから発光された光は、カバーガラス5303aを通過して、シートS等の表面で反射し、その反射光が、カバーガラス5303aを通過して受光部5303cに入る。
【0065】
シート幅方向にシート側端Seを介してシートSの表面が存する側とシートSが存しない側とで、反射光の光量に大きな差が生じる。この光量差がシート幅方向のどの位置で生じているかを受光部5303cの検出結果から判定することで、現に搬送されているシートSのシート側端Seのシート幅方向における位置を検出することができる。
【0066】
同図の検出位置は、実線で示すシートの側端Seの検出位置を示し、基準位置に対して距離ΔAだけシートの側端Seがシート幅方向にずれている様子の例を示している。
【0067】
図2(a)に戻り、レジスト揺動制御部108は、シート位置比較回路108a(受信部)と、モーター駆動回路108bとを備える。
【0068】
シート位置比較回路108aは、シート側端位置の基準位置105aと、センサー5303によるシート側端Seの検出結果から得られた検出位置との距離ΔA(
図2(b))を算出し、求めた距離ΔAをレジストローラー対53cの移動量とする。ここで、レジストローラー対53cは、回転軸方向に移動可能に支持されており、直動モーター110の駆動力により、回転軸方向に移動する機構になっている。
【0069】
モーター駆動回路108bは、シートSの搬送中にシートSがレジストローラー対53cのみに挟持されている間に、シート位置比較回路108aで算出した距離ΔAに対応する量だけ、直動モーター110を回転駆動させ、レジストローラー対53cを回転軸方向に移動させる。これにより、シートSは、
図2(b)に示す実線の位置から破線の位置に移動して、シート側端Seのシート幅方向における位置が基準位置に補正される。
【0070】
このように光学式のセンサー5303を用いる構成では、カバーガラス5303aの表面が紙粉等の付着により汚れていると、シートSからの反射光の一部がその汚れによって遮られることで、汚れていない場合に対して受光部5303cの受光量が変わってしまい、シート側端Seの検出精度が低下する。このため、カバーガラス5303aの表面の清掃がメンテナンスとして必要になる。清掃対象のカバーガラス5303aの表面をセンサーの検出面と捉えることができる。
【0071】
センサー5303は、フレキシブル(可撓性を有する)なケーブル93を介して、シート位置比較回路108aに接続されており、受光部5303cによる検出信号がケーブル93を通じてシート位置比較回路108aに送信される。
【0072】
(6)シート搬送ユニット80
図1に戻って、搬送ローラー対53a、53b、レジストローラー対53c、中間転写ローラー34B、センサー5303が取り付けられたガイド部材530、定着部60等は、シート搬送ユニット80(破線で囲まれた部分に相当)を構成している。シート搬送ユニット80は、画像形成装置1の装置筐体70から、正面側に引き出し可能に支持されている。
【0073】
図3は、シート搬送ユニット80が装置筐体70から引き出された様子を示す図である。同図に示すように、搬送ユニット80は、支持板81、82(図では81のみを示す)に固定された内レール95と、装置筐体70の内壁面71に固定された外レール96とからなるスライドレール97(支持機構)を介して装置筐体70に支持されている。なお、
図3では、シート搬送ユニット80の右側部を支持するスライドレール97のみを示しているが、シート搬送ユニット80の左側部にも、スライドレール97と同じものが、シート搬送ユニット80を支持する部材として設けられている。
【0074】
装置筐体70には、開閉扉72が、開閉自在に取り付けられており、開閉扉72を
図3に示す開いた状態にして、シート搬送ユニット80を装置正面側に引き出し可能になっている。このようにシート搬送ユニット80が引き出された状態では、JAM発生時にシート搬送ユニット80の搬送経路に残留したシートの除去や、センサー5303の清掃作業を行うことができる。
【0075】
(1.2) シート搬送ユニット80の構成
図4は、シート搬送ユニット80の分解斜視図である。
【0076】
同図に示すように、シート搬送ユニット80は、大きく分けて搬送経路部53、前面カバー84、定着部60からなる。
【0077】
搬送経路部53は、装置前後方向に間隔をあけて配された2枚の支持板81、82と、シート幅方向(Z軸方向)に長尺な搬送ローラー対53a、53b、レジストローラー対53c、二次転写ローラー34B、ガイド板53d、53e、53f、53g、53h、およびガイド部材530を含む。
【0078】
支持板81、82は、鉄等の金属製であり、支持板81の正面壁81aおよび支持板82の背面壁82aは、X-Y平面に沿って平行である。
【0079】
拡大図(右下)で示すように、支持板81の背面壁81aの左右方向中央付近の上部には、正面側に折れ曲がった支持片811、812が設けられている。支持片811、812には、ネジが切られたネジ孔811a、812aが設けられており、このネジ孔811a、812aには、頭部91a、92aにプラス溝を有する段付きネジ91、92が螺合されるようになっている。また、拡大図(左上)で示すように、支持板82の正面壁82aには、左右方向に長い嵌合孔821、822が左右方向に一定の間隔をあけて形成されている。嵌合孔821、822は、同形状である。正面壁82aの上端縁82cには、右側の嵌合孔822の直上の位置に、突出片823が形成されている。段付きネジ91、92、支持片811、812、および突出片823は、ガイド部材530を着脱可能に支持する支持機構として設けられたものである。この支持機構の詳細については、後述する。
【0080】
搬送ローラー対53a、53b、レジストローラー対53c、二次転写ローラー34Bは、その回転軸の装置正面側の端部が、支持板82の正面壁82aに設けられた軸受891に支持され、装置背面側の端部が、支持板81の背面壁81aに設けられた軸受881に回転自在に支持されている。各ローラー対のうち一方のローラーは、その回転軸の正面側の端部が正面壁82aに設けられた軸受891から正面側に少し突出しており、この突出端にギア(不図示)が嵌め込まれ、そのギアを介して不図示のモーターによって回転駆動される。なお、上記のレジスト揺動に用いられる直動モーター110と、直動モーター110の駆動力をレジストローラー対53cに伝える伝達機構が支持板81または82に取り付けられているが、ここでは図示を省略している。
【0081】
ガイド板53d、53e、53f、53g、53hは、それぞれが長尺な板形状であり、ガイド板53d、53e、53f、53g、53hの長手方向における装置正面側の端部が支持板82に固定され、装置背面側の端部が支持板81に固定されている。ガイド部材530は、支持板81、82に着脱可能に支持されている。ガイド部材530を除く各ガイド板は、清掃等のメンテナンス時には着脱の必要がないが、ガイド部材530は、センサー5303の検出面である表面5303bを清掃する必要がある。このため、ガイド部材530については、着脱可能な支持機構が用いられている。
【0082】
前面カバー84は、樹脂製であり、正面視L字形状の支持板82の形状に応じた形状をしており、装置背面側が開放された箱形である。正面壁82aの下端から装置正面側に折り曲げられた底壁82c上には、上記のモーター制御部108が配置されるとともに、ケーブル93が敷設されている。また、正面壁82aの正面側には、軸受891から正面側に突出している各ローラーの回転軸に嵌め込まれたギア(不図示)も位置している。
【0083】
前面カバー84は、これらの部材、すなわちモーター制御部108、ケーブル93、軸受891や各ローラーの回転軸に嵌め込まれたギアなどが正面側に露出しないように支持板82を正面側から覆った状態で、ネジ90により支持板82に固定されている。これにより、ユーザーがこれらの部材に簡単に触れることが防止される。なお、図示はしていないが、前面カバー84と支持板82のネジ留めは、一カ所だけではなく、複数の箇所で行われている。
【0084】
また、前面カバー84の上面84bのうち左端の上面部分から一段下がった上面部分84cは、
図5に示す平面視において、シート搬送方向に長尺に延びた領域(斜線部分)となっており、その長さLおよび幅Wは、支持板81、82から取り外されたガイド部材530を載置することができる寸法に設定されている。この意味で、前面カバー84の上面部分84cが、ガイド部材530が載置される載置領域として機能している(以下、載置領域84cという)。この載置領域84cの、凹み84gを挟んで長手方向両側に位置する面84e、面84fには、ガイド部材530を載置するときの目印となる位置決めシール84dが貼付されている。破線84hは、ガイド部材530を位置決めシール84dに合わせて載置したと仮定したときのガイド部材530の輪郭を概略で示しており、この破線84hのように、ガイド部材530を位置決めシール84dに合わせて載置することで、載置領域84c内でのガイド部材530の位置決めを容易に行うことができるようになっている。
【0085】
なお、
図4に示す定着部60は、
図1で示したものと同じものであり、定着部60の筐体の正面側の側壁が、正面壁82aにネジなどで固着されるとともに、背面側の側壁が背面壁81aに固着されている。そして、定着ベルト60Aを張架する支持ローラー60D、60Eおよび加圧ローラー60Bの、回転軸方向の装置正面側と背面側の両端部が支持板81、82に設けられた軸受881、891に回転自在に支持されている。
【0086】
(1.3) ガイド部材530の構成
図6は、ガイド部材530の分解斜視図である。以下、ガイド部材530の構成を説明するが、上下左右方向については、ガイド部材530の装着姿勢における方向を示す。
【0087】
同図に示すように、ガイド部材530は、ガイド板5301と、これの上に位置する蓋板5302と、センサー5303とを備えている。ガイド板5301は、長尺であり、下面にガイド面5301hを有する本体ガイド5301jと、これの左右方向端部から上方に向かって延びた右側壁5301f、左側壁5301gとからなる。蓋板5302は、ガイド板5301と略同じ長さの長尺な蓋本体5302jと、これの左右方向端部から下方に向かって延びた右側壁5302f、左側壁5302gとからなる。
【0088】
ガイド板5301と蓋板5302は、上下からセンサー5303を挟んだ状態で、一体となるように、ガイド板5301の右側壁5301fと蓋板5302の右側壁5302fとがネジ留め等により固定され、ガイド板5301の左側壁5301gと蓋板5302の左側壁5302gとがネジ留め等により固定される。
【0089】
本体ガイド5301jの正面側である長手方向の一端には、左右方向に間隔をあけて2つの突出片5301a、5301bが延長されており、他端には突出片5301cが延長されている。各片は、本体ガイド5301jと同じ厚みで、左右方向に一定の長さを有する形状であり、突出片5301cには、上下方向に貫通するダルマ孔5301kが形成されている。ダルマ孔5301kは、円弧状の大径部5301dと、これの直径よりも小さな幅を有し、ガイド部材の530の長手方向に沿った長孔の一部である小径部5301eとが連続してなる。
【0090】
蓋本体5302jの正面側である長手方向の一端には、突出片5302aが延長されており、他端には突出片5302cが延長されている。各片は、蓋本体5302jと同じ厚みで、左右方向に一定の長さを有する形状であり、突出片5302aは、上下方向に貫通する矩形の開口部5302bを有し、突出片5302cには、ダルマ孔5302kが形成されている。ダルマ孔5302kは、ダルマ孔5301kと同じ形状で同じ大きさであり、大径部5302dと小径部5302kを有する。
【0091】
大径部5301d、5302dは、段付きネジ91、92(
図4)の頭部91a、92aの直径よりも大きく、小径部5301e、5302eの幅は、段付きネジ91、92の段部91b、92b(
図4)の径とほぼ同じ大きさになるように寸法が決められている。さらに、矩形の開口部5302bの幅W0は、支持板82の突出片823(
図4)の左右方向の長さL0よりもやや大きく、突出片5301a、5301bの幅と厚みは、支持板82の正面壁82aの嵌合孔821、嵌合孔822(
図4)の幅と高さとほぼ同じであり、突出片5301a、5301bが、嵌合孔821、嵌合孔822に嵌合できるようになっている。これらの大小関係により、後述するようにガイド部材530の支持板81、82に対する位置決めが可能になっている。
【0092】
ガイド部材530の長さは、前面カバー84の載置領域84cの長さL(
図5)よりも短く、ガイド部材530の幅は、載置領域84cの幅Wよりも狭くなっている。
【0093】
センサー5303は、
図2(b)に示したものと同じものであり、ガイド板5301と蓋板5302が一体となって固定されたときに、センサー5303の透光性のカバーガラス5303aが、ガイド板5301の本体ガイド5301jに形成された長孔5301fに嵌め込まれるような位置で蓋板5302の裏面5302hに接着剤等により固定されている。なお、カバーガラス5303aは、ガイド板5301と蓋板5302が一体となって固定されたときに、ガイド板5301のシートを案内するガイド面5301hと面一になっているのが望ましい。これにより、カバーガラス5303aとガイド面5301h間に段差がない状態でシートSを搬送できる。
【0094】
(1.4) ガイド部材530の着脱
図7は、取り外されたガイド部材530が支持板81、82に装着される前の様子を示した図である。
図8(a)は、
図7においてガイド部材530を矢印C方向に移動させた後の様子を示した図であり、
図8(b)は、ガイド部材530を
図8(a)の位置から矢印D方向にスライドさせた後の様子を示す図である。
【0095】
以下、ガイド部材530の着脱について、支持板81、82への装着、支持板81、82からの取り外しの順に説明する。
【0096】
作業者が、ガイド部材530を支持板81、82に装着する場合、まず、
図7に示すように、ガイド部材530を水平姿勢かつガイド面5301hが下を向いた姿勢にして、矩形の開口部5302bを、支持板82の突出片823に合わせ、ダルマ孔5301k、5302kの大径部5301d、5302dの位置を、支持板81の支持片811、812に設けられた段付きネジ91、92の頭部91a、92aに合わせるように、ガイド部材530の厚み方向に沿った矢印C方向に移動させる。
【0097】
移動後は、
図8(a)に示すように、ガイド部材530の長手方向における正面側では、矩形の開口部5302bから突出片823が上方に突出するとともに、突出片5302aが支持板82の上端縁82cに乗った状態になり、背面側では、ダルマ孔5301k、5302kの大径部5301d、5302dから段付きネジ91、92の頭部91a、92aが上方に突出するとともに、突出片5301cが支持片811の上面811bに乗り、突出片5302cが支持片812の上面812bに乗った状態になる。
【0098】
この状態では、ガイド部材530は、矢印C方向(下方向)への移動が規制されており、これにより、ガイド部材530の支持板81、82に対する厚み方向の位置が決められる。さらに、突出片823は、矩形の開口部5302bの中で正面側に寄っており、突出片5301aは、嵌合孔821と対向し、突出片5301bは、嵌合孔822と対向している。なお、段付きネジ91、92の段部91b、92bの長さは、突出片5301c、5302cの厚みよりもやや短く、段部91b、92bが支持片811、812の上面811b、812bから突出するように、予めネジ部91c、92c(
図4)がネジ孔811a、812aに仮止めされている。
【0099】
次に、ガイド部材530を、ガイド部材530の長手方向に沿った矢印Dの方向に、矩形の開口部5302bの背面側の面5302iが突出片823に当たるまでスライドさせる。スライド後は、
図8(b)に示すように、ガイド部材530の長手方向における正面側では、突出片5301aが嵌合孔821に嵌合され、突出片5301bが嵌合孔822に嵌合され、背面側では、段付きネジ91の段部91bがダルマ孔5301kの小径部5301eに入り込み、段付きネジ92の段差部92bがダルマ孔5302kの小径部5302eに入り込んだ状態になる。
【0100】
この状態では、(a)矩形の開口部5302bの面5302iが、突出片823に接しており、ガイド部材530の矢印D方向への移動が規制される。さらに、(b)突出片5301a、5301bが嵌合孔821、822に嵌合し、(c)上記のようにダルマ孔5301k、5302kの小径部5301e、5302eの幅が段付きネジ91、92の段部91b、92bの直径とほぼ同じであり、(d)段付きネジ91、92の頭部91a、92bの径がダルマ孔5301k、5302kの小径部5301e、5302eの幅よりも大きいことから、ガイド部材530の幅方向かつ上方向への移動が規制される。
【0101】
これにより、ガイド部材530の支持板81、82に対する厚み方向に加えて、長手方向および幅方向に加えて上方向の位置が決められる。
【0102】
この後、作業者は、
図8(b)に示す状態で段付きネジ91、92を本締めする。これにより、突出片5301c、5302cが段付きネジ91、92の頭部91a、92aと支持片811、812との間で締め付けられて固定される。これで、ガイド部材530の支持板81、82への装着が完了する。このように、ガイド部材530が支持板81、82に装着されると同時に、支持板81、82に対する位置決めがされるので、ガイド部材530の支持板81、82への装着の度に、センサー5303のシート搬送経路に対する位置が変動しないようになっている。
【0103】
一方、ガイド部材530の支持板81、82からの取り外しは、上記とは逆の手順になる。具体的には、ガイド部材530が支持板81、82に装着された
図8(b)に示す状態で、段付きネジ91、92を少し緩めると(仮止め状態)、ガイド部材530は、矢印D方向とは逆方向の矢印F方向(
図8(a))にスライド可能な状態になる。
【0104】
この状態で、ガイド部材530を矢印F方向にスライドさせると、突出片5301aと嵌合孔821の嵌合、突出片5301bと嵌合孔822の嵌合が解除されるとともに、段付きネジ91、92の段部91b、92bがダルマ孔5301k、5302kの小径部5301e、5302eから外れ、ガイド部材530は、矢印C方向とは反対の矢印E方向(
図7)に移動可能な状態になる。これは、ガイド部材530の上方向、幅方向、長手方向への移動の規制解除になる。
【0105】
そして、ガイド部材530を矢印E方向(上方向)に移動させると、ダルマ孔5301k、5302kの大径部5301d、5302dが段付きネジ91、92から外れるとともに、矩形の開口部5302bが突出片823から外れる。これにより、ガイド部材530が、支持板81、82から取り外される。
【0106】
(1.5) ガイド部材530の載置領域への載置
図9は、装置筐体70から引き出されたシート搬送ユニット80において、ガイド部材530が支持板81、82から取り外され、前面カバー84の載置領域84cに載置される様子を示した図である。同図では、ガイド部材530について、支持板81、82に支持された姿勢(装着姿勢)を一点鎖線で示し、支持板81、82から取り外され、長手方向の背面側の端部530aが持ち上げられた姿勢を二点鎖線で示し、載置領域84cに載置された姿勢を実線で示している。
【0107】
同図に示すように、支持板81、82から取り外されたガイド部材530は、長手方向においてケーブル93が正面側に延出された正面側の端部530bとは反対側の背面側の端部530aが持ち上げられる(二点鎖線で示す姿勢)。続いて、ガイド部材530は、カバーガラス5303aが上を向く姿勢、かつ背面側の端部530aが、面84f上に位置し、長手方向において正面側の端部530bが、載置領域84cの面84e上に位置するように載置される。
【0108】
ここで、ケーブル93は、センサー5303に接続された一端からシート位置比較回路108aに接続される他端までの間の途中の部分93aがガイド部材530の長手方向(シート幅方向)の正面側の端部530bを通り、さらに支持板82に取り付けられたケーブルクランプ94(
図7)を通って、シート位置比較回路108a(受信部)と接続されている。このケーブル93の途中の部分93aからシート位置比較回路108aに接続される他端までの間の一部、具体的には、部分93aからケーブルクランプ94を通過した部分までの間のケーブル部分93bが可撓性を有し、ケーブル93に形状変化を許容する程度に撓みをもたせた状態で、ガイド部材530の、支持板81、82に装着された位置から載置領域84cに載置される位置までの移動を許容する長さに調整されている。
【0109】
上記のように、ガイド部材530の長さLgは、載置領域84cの長さLよりも短く、ガイド部材530の幅Wgは、載置領域84cの幅Wよりも狭くなっているので、ガイド部材530を、載置領域84cからはみ出すことなく、安定して載置領域84cに載置することができる。さらに、ガイド部材530を載置する際、ガイド部材530の幅方向の端部530cおよび長手方向の端部530aを2つの位置決めシール84dに合わせて載置することで、位置決めシール84dがない構成に比べて、より正確に載置領域84cからはみ出さないようにガイド部材530を載置させることができる。
【0110】
これにより、装置の長期間の使用によって、紙粉等が付着したセンサー5303のカバーガラス5303aを清掃する際の作業性を向上させつつ、ガイド部材をシート搬送ユニット80の周辺の床等に置いて、不用意にセンサー5303のカバーガラス5303aを傷つけてしまうことを抑制することができる。
【0111】
また、ガイド部材530を取り外して載置領域84cに載置する際、センサー5303に接続されているケーブル93を取り外す必要がないので、取り外す手間がない分、取り外し作業の簡素化をさらに図ることができる。
【0112】
〔2〕変形例
以上、実施の形態に基づいて説明してきたが、上述の構成に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
【0113】
(2.1)上記の実施の形態では、載置領域84cがシート搬送方向に凹部84gを挟んで2つの面84e、面84fが並んでなる構成例を説明したが、これに限られない。
【0114】
例えば、
図10(a)に示すように、載置領域84cにガイド部材530の長さLgと同じかやや長い長さL1(L1≧Lg)の凹み84kを形成し、この凹み84kにガイド部材530が嵌り込むように載置する構成をとることもできる。
【0115】
さらに、
図10(b)に示すように、センサー5303の長さLs(
図9)と同じかやや長い長さL2(L2≧Ls)の凹み84mを設け、平面視においてセンサー5303が凹み84mと重なるようにガイド部材530が載置される構成をとることもできる。
【0116】
ガイド部材53の長手方向の両端部530a、530bは、凹み84mの両側であり凹み84mの底面841よりも高い面84p、84qに載置される。これにより、支持板81、82から取り外したガイド部材53が、載置領域84cに載置される際、誤ってセンサー5303のカバーガラス5303aを下に向けて載置した場合においても、カバーガラス5303aが凹み84mの底面84lから浮いた状態になるので、カバーガラス5303aを傷つけることを防止できる。
【0117】
また、
図10(c)に示すように、面84eおよび面84fに設けられた凸部84jにガイド部材530を載置する構成をとることもできる。この2つの凸部84jは、ガイド部材530を安定に載置するために、ガイド部材530を、ガイド部材530の長手方向の重心位置を挟んで両側で載置するように配置されることが望ましい。
【0118】
(2.2)上記の実施の形態では、
図9に示すように、ガイド部材530の長さLgおよび幅Wgの両方について、載置領域84cの長さL、幅Wとの大小関係(Lg<L、Wg<W)をもった構成例を説明したが、これに限られない。例えば、Lg=L、Wg=Wとすることもできる。つまり、ガイド部材530の幅Wgが載置領域84cの幅W以下であり、ガイド部材530の長さLgが載置領域84cの長さL以下とすることができる。ガイド部材530を幅方向および長さ方向に載置領域84cからはみ出すことなく載置領域84cに載置することができる。
【0119】
なお、この幅と長さのうち、ガイド部材530の幅Wgについてのみ、載置領域84cの幅Wとの大小関係(Wg<W)をもった構成をとってもよい。ガイド部材530の幅が載置領域84cの幅よりも広い構成に比べて、ガイド部材530を安定して載置領域84cに載置することができる。
【0120】
(2.3)上記の実施の形態では、載置領域84cの面84e、面84fに位置決めシール84dが貼付されている構成例を説明したが、これに限られない。面84e、面84fに、ガイド部材530を置くべき位置を作業者が認識できるものが表われていればよく、シールに代えて、例えば、面84e、面84fにおいて、位置決めシール84dの貼付位置を凸形状または凹形状に形成することによって、ガイド部材530を置くべき位置を表してもよい。
【0121】
(2.4)上記の実施の形態では、前面カバー84が、正面側の支持板82を覆う構成例を説明したが、これに限られない。例えば、背面側の支持板81を背面側から覆う背面カバーを有する場合、背面カバーに載置領域84cを設ける構成をとることもできる。
【0122】
(2.5)上記の実施の形態では、シート搬送ユニット80が、装置筐体70から装置正面側に引き出される構成例を説明したが、これに限られない。例えば、開閉扉72を側面側または背面側に設け、シート搬送ユニット80が、側面側または背面側から引き出される構成をとることもできる。
【0123】
(2.6)上記の実施の形態では、センサー5303によって、シートSの側端位置を検出する構成例を説明したが、シートの検出は、シートの側端に限られず、例えば、シートの先端や後端を光学的に検出して、その検出結果をシートの搬送路での位置検出やJAM検出等に用いることもできる。また、シートの先端や後端を検出する構成では、ラインセンサーに限られず、例えば、1つの発光部と1つの受光部を有する反射型の光学センサー等を用いることもできる。さらに、光学センサーに代えて、例えば、超音波センサーを用いる構成をとることもできる。
【0124】
(2.7)上記の実施の形態では、ガイド部材530が、シート上にトナー像が転写される二次転写ニップ(転写位置)の搬送方向上流側に設けられた構成例を説明したが、これに限られず、シート上の画像を読み取る読取装置において、その読取位置の搬送方向上流側に設けられていてもよい。例えば、原稿画像走査装置12(
図1)にシートを送り出す自動原稿給紙装置11に、検出センサーが取り付けられたガイド部材、ガイド部材を着脱可能に支持する支持部材、および支持部材から取り外されたガイド部材が載置される載置領域を有するカバーが設けられる構成をとることもできる。この構成においても、ガイド部材の幅を、載置領域の幅よりも狭くすることで、支持部材から取り外されたガイド部材を安定して載置領域に載置することができる。
【0125】
(2.8)上記の実施の形態では、ガイド部材530が、その長手方向をシート幅方向に向けた姿勢で支持される構成例を説明したが、これに限られない。センサー5303を清掃するためには、センサー5303が取り付けられた部分が着脱可能になっていればよい。
【0126】
図11(a)は、シート搬送方向に長尺の2つのガイド部材5305、5306がシート幅方向に隣接された状態で設けられ、正面側のガイド部材5306が着脱可能であり、ガイド部材5306にセンサー5303が取り付けられた構成例を示している。
【0127】
この構成では、平面視において、ガイド部材5306の長手方向が載置領域84cの長手方向と揃っている。このため、
図11(a)に示すガイド部材5306を取り外した場合、
図11(b)に示すようにガイド部材5306をその長手方向の向きを変えることなく天地が逆転するようにひっくり返す作業を行うことで、センサー5303のカバーガラス5303aが上に向いた姿勢でガイド部材5306を載置領域84cに載置することができる。
【0128】
(2.9)上記実施の形態では、センサー5303とシート位置比較回路108aとを1本のケーブル93で電気的に接続する構成例を説明したが、これに限られない。例えば、一端がセンサー5303に接続され、他端が第1コネクター(プラグ)に接続される第1ケーブルと、一端がシート位置比較回路108aに接続され、他端が、第1コネクターに着脱可能な第2コネクター(ソケット)に接続される第2ケーブルを有し、第1コネクターを第2コネクターに差し込んで電気的に接続されることで、センサー5303の検出信号が第1ケーブル、第2ケーブルを介してシート位置比較回路108aに送信される構成をとることもできる。この構成では、ガイド部材530を取り外す際に、第1コネクターを第2コネクターから取り外すことで、ガイド部材530をシート位置比較回路108aから切り離した状態で載置することができる。
【0129】
(2.10)上記実施の形態及び上記変形例の構成をそれぞれ可能な限り組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本開示は、搬送されるシートをガイド部材で案内するシート搬送装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0131】
80 シート搬送ユニット
81、82 支持板
84 前面カバー
84c 載置領域
84d 位置決めシール
93 ケーブル
93a ケーブルのうち、ガイド部材の正面側の端部を通る部分
108a シート位置比較回路(受信部)
530 ガイド部材
5303 センサー