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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】用紙搬送装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/52 20060101AFI20231212BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231212BHJP
   B65H 29/58 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65H29/52
G03G15/00 463
B65H29/58 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019188294
(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公開番号】P2021062949
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 竜我
(72)【発明者】
【氏名】木村 拓善
(72)【発明者】
【氏名】後藤 康伸
(72)【発明者】
【氏名】小泉 峻彦
(72)【発明者】
【氏名】中田 菜摘
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-261471(JP,A)
【文献】特開2017-142365(JP,A)
【文献】特開平05-051158(JP,A)
【文献】特開2015-049571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/52
G03G 15/00
B65H 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を収容し、底板を有する筐体内の、該底板との間に横向きに広がる隙間を形成した位置に配置された用紙収容部と、
前記用紙収容部から用紙を取り出して、取り出した用紙を、上下方向に延びるとともに前記隙間に繋がる反転搬送路を含む搬送経路に沿って搬送する用紙搬送部と、
用紙を搬送する駆動力を持たず、前記反転搬送路に入り込んだ用紙の自由落下による通過を阻止するとともに、前記用紙搬送部による用紙搬送駆動を受けた用紙の通過を許容する第1のゲート部とを備えたことを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
用紙を収容し、底板を有する筐体内の、該底板との間に横向きに広がる隙間を形成した位置に配置された用紙収容部と、
前記用紙収容部から用紙を取り出して、取り出した用紙を、上下方向に延びるとともに前記隙間に繋がる反転搬送路を含む搬送経路に沿って搬送する用紙搬送部と、
前記反転搬送路に入り込んだ用紙の自由落下による通過を阻止するとともに、前記用紙搬送部による用紙搬送駆動を受けた用紙の通過を許容する弾性材料を有する第1のゲート部とを備えたことを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項3】
前記第1のゲート部が、前記反転搬送路に入り込んで下方に搬送されてきた用紙を湾曲させて前記隙間に案内する湾曲案内部に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記湾曲案内部が、前記反転搬送路に入り込んできた用紙の前記用紙収容部側を向いたうら面に対するおもて面を案内して、該用紙のうら面側を内向きとする向きに該用紙を湾曲させる第1湾曲面と、該用紙の進行方向についての該第1湾曲面の下流側に設けられ該第1湾曲面とは逆向きに湾曲した第2湾曲面と、該第2湾曲面よりも下流側であって該第2湾曲面のとの間にゲート受け面を形成した位置に形成された、該第1湾曲面と同じ向きに湾曲した第3湾曲面とを有し、
前記第1のゲート部が、前記ゲート受け面に押し当てられて、前記用紙搬送部による用紙搬送駆動を受けた用紙を、該ゲート受け面との間に挟んで通過させることを特徴とする請求項に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記用紙の前記用紙収容部側を向いたうら面に対するおもて面を案内する、該用紙の進行方向に交わる幅方向の両部が該両端部を除く中央領域よりも前記用紙収容部に近づく向きに変形したおもて面案内面を有する用紙案内部を備え、
前記第1のゲート部が、前記おもて面案内面の前記中央領域に押し当てられて、前記用紙搬送部による用紙搬送駆動を受けた用紙を、該おもて面案内面との間に挟んで通過させることを特徴とする請求項1または2に記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
前記おもて面案内面が、前記両端部に加えさらに前記中央領域に前記用紙収容部に近づく向きに膨出した膨出部を有し、
前記第1のゲート部が、前記おもて面案内面の前記中央領域のうちの、前記膨出部を除く領域に押し当てられていることを特徴とする請求項に記載の用紙搬送装置。
【請求項7】
前記反転搬送路に入り込んできた用紙の進行方向についての前記第1のゲート部よりも下流側に、前記用紙搬送部による用紙搬送駆動を受けた用紙を通過させるとともに該搬送駆動を受けずに進んできた用紙の通過を阻止する第2のゲート部を備えたことを特徴とする請求項1からのうちのいずれか1項に記載の用紙搬送装置。
【請求項8】
前記用紙搬送部が、互いの間を開放可能に用紙を挟持し下方に向けて前記反転搬送路内に送り込み、さらに該反転搬送路内に送り込んだ用紙を上方に搬送して該反転搬送路から取り出す一対の用紙駆動部を備えたことを特徴とする請求項1からのうちのいずれか1項に記載の用紙搬送装置。
【請求項9】
用紙を収容し、底板を有する筐体内の、該底板との間に横向きに広がる隙間を形成した位置に配置された用紙収容部と、
前記用紙収容部から用紙を取り出して、取り出した用紙を、上下方向に延びるとともに該用紙収容部の下の前記隙間に繋がる反転搬送路を含む搬送経路に沿って搬送する用紙搬送部と、
用紙を案内して前記反転搬送路を形成する案内壁に押し当てられる押し当て部材と、
を備えたことを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項10】
前記案内壁と前記押し当て部材との接点は、前記反転搬送路に送り込まれる用紙の搬送方向に関し該案内壁の垂直面よりも下流に位置し、前記搬送された用紙が前記接点を通過して用紙が反転されることを特徴とする請求項に記載の用紙搬送装置。
【請求項11】
前記接点は、前記底板の水平面よりも前記搬送方向上流に位置することを特徴とする請求項10に記載の用紙搬送装置。
【請求項12】
前記案内壁と前記押し当て部材との接点は、該案内壁の湾曲もしくは傾斜している面に位置し、前記搬送された用紙が前記接点を通過して用紙が反転されることを特徴とする請求項に記載の用紙搬送装置。
【請求項13】
請求項1から12のうちのいずれか1項に記載の用紙搬送装置を備え、前記用紙搬送部により搬送されている途中の用紙上に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙搬送装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙トレイから用紙を取り出して搬送しその用紙の両面に画像を形成する画像形成装置が知られている。その画像形成装置において長尺の用紙の両面に画像を形成することが考えられている。用紙の両面に画像を形成するには、おもて面に画像を形成した後の用紙を反転する必要がある。このため、長尺の用紙の両面に画像を形成するには、用紙を反転するための、その長尺の用紙に対応した長さのスペースが必要となる。このスペースとして、用紙トレイの下の隙間を利用することが考えられている。長尺用紙を使用してその長尺用紙の両面に画像を形成できるという仕様の画像形成装置であっても、通常の長さの用紙が使用されることが多く、さらに短い用紙が使用されることもある。そのような画像形成装置における課題の1つは、長さの短い用紙に画像を形成していて、その用紙が何らかのトラブルで用紙搬送機構から外れ、用紙トレイの下の隙間に潜り込んでしまうのを如何にして防止するか、という点である。
【0003】
ここで、特許文献1には、用紙トレイの下の隙間に繋がる用紙搬送路の途中にゲート機構を設け、手動であるいはソレノイドなどで、長尺の用紙の両面に画像を形成しようとしているときにだけゲートを開くことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-142365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、用紙搬送機構から外れた用紙が隙間に潜り込むのを抑える、開閉の切り替えの不要なゲート構造を備えた用紙搬送装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、
用紙を収容し、底板を有する筐体内の、該底板との間に横向きに広がる隙間を形成した位置に配置された用紙収容部と、
前記用紙収容部から用紙を取り出して、取り出した用紙を、上下方向に延びるとともに前記隙間に繋がる反転搬送路を含む搬送経路に沿って搬送する用紙搬送部と、
用紙を搬送する駆動力を持たず、前記反転搬送路に入り込んだ用紙の自由落下による通過を阻止するとともに、前記用紙搬送部による用紙搬送駆動を受けた用紙の通過を許容する第1のゲート部とを備えたことを特徴とする用紙搬送装置である。
請求項2に係る発明は、
用紙を収容し、底板を有する筐体内の、該底板との間に横向きに広がる隙間を形成した位置に配置された用紙収容部と、
前記用紙収容部から用紙を取り出して、取り出した用紙を、上下方向に延びるとともに前記隙間に繋がる反転搬送路を含む搬送経路に沿って搬送する用紙搬送部と、
前記反転搬送路に入り込んだ用紙の自由落下による通過を阻止するとともに、前記用紙搬送部による用紙搬送駆動を受けた用紙の通過を許容する弾性部材を有する第1のゲート部とを備えたことを特徴とする用紙搬送装置である。
【0007】
請求項に係る発明は、
前記第1のゲート部が、前記反転搬送路に入り込んで下方に搬送されてきた用紙を湾曲させて前記隙間に案内する湾曲案内部に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の用紙搬送装置である。
【0008】
請求項に係る発明は、
前記湾曲案内部が、前記反転搬送路に入り込んできた用紙の前記用紙収容部側を向いたうら面に対するおもて面を案内して、該用紙のうら面側を内向きとする向きに該用紙を湾曲させる第1湾曲面と、該用紙の進行方向についての該第1湾曲面の下流側に設けられ該第1湾曲面とは逆向きに湾曲した第2湾曲面と、該第2湾曲面よりも下流側であって該第2湾曲面のとの間にゲート受け面を形成した位置に形成された、該第1湾曲面と同じ向きに湾曲した第3湾曲面とを有し、
前記第1のゲート部が、前記ゲート受け面に押し当てられて、前記用紙搬送部による用紙搬送駆動を受けた用紙を、該ゲート受け面との間に挟んで通過させることを特徴とする請求項に記載の用紙搬送装置である。
【0009】
請求項に係る発明は、
前記用紙の前記用紙収容部側を向いたうら面に対するおもて面を案内する、該用紙の進行方向に交わる幅方向の両部が該両端部を除く中央領域よりも前記用紙収容部に近づく向きに変形したおもて面案内面を有する用紙案内部を備え、
前記第1のゲート部が、前記おもて面案内面の前記中央領域に押し当てられて、前記用紙搬送部による用紙搬送駆動を受けた用紙を、該おもて面案内面との間に挟んで通過させることを特徴とする請求項1または2に記載の用紙搬送装置である。
【0010】
請求項に係る発明は、
前記おもて面案内面が、前記両端部に加えさらに前記中央領域に前記用紙収容部に近づく向きに膨出した膨出部を有し、
前記第1のゲート部が、前記おもて面案内面の前記中央領域のうちの、前記膨出部を除く領域に押し当てられていることを特徴とする請求項に記載の用紙搬送装置である。
【0011】
請求項に係る発明は、
前記反転搬送路に入り込んできた用紙の進行方向についての前記第1のゲート部よりも下流側に、前記用紙搬送部による用紙搬送駆動を受けた用紙を通過させるとともに該搬送駆動を受けずに進んできた用紙の通過を阻止する第2のゲート部を備えたことを特徴とする請求項1からのうちのいずれか1項に記載の用紙搬送装置である。
【0012】
請求項に係る発明は、
前記用紙搬送部が、互いの間を開放可能に用紙を挟持し下方に向けて前記反転搬送路内に送り込み、さらに該反転搬送路内に送り込んだ用紙を上方に搬送して該反転搬送路から
取り出す一対の用紙駆動部を備えたことを特徴とする請求項1からのうちのいずれか1項に記載の用紙搬送装置である。
【0013】
請求項に係る発明は、
用紙を収容し、底板を有する筐体内の、該底板との間に横向きに広がる隙間を形成した位置に配置された用紙収容部と、
前記用紙収容部から用紙を取り出して、取り出した用紙を、上下方向に延びるとともに該用紙収容部の下の前記隙間に繋がる反転搬送路を含む搬送経路に沿って搬送する用紙搬送部と、
用紙を案内して前記反転搬送路を形成する案内壁に押し当てられる押し当て部材と、
を備えたことを特徴とする用紙搬送装置である。
【0014】
請求項10に係る発明は、
前記案内壁と前記押し当て部材との接点は、前記反転搬送路に送り込まれる用紙の搬送方向に関し該案内壁の垂直面よりも下流に位置し、前記搬送された用紙が前記接点を通過して用紙が反転されることを特徴とする請求項に記載の用紙搬送装置である。
【0015】
請求項11に係る発明は、
前記接点は、前記底板の水平面よりも前記搬送方向上流に位置することを特徴とする請求項10に記載の用紙搬送装置である。
【0016】
請求項12に係る発明は、
前記案内壁と前記押し当て部材との接点は、該案内壁の湾曲もしくは傾斜している面に位置し、前記搬送された用紙が前記接点を通過して用紙が反転されることを特徴とする請求項に記載の用紙搬送装置である。
【0017】
請求項13に係る発明は、
請求項1から12のうちのいずれか1項に記載の用紙搬送装置を備え、前記用紙搬送部により搬送されている途中の用紙上に画像を形成することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1、2、請求項乃至請求項12の用紙搬送装置、並びに請求項13の画像形成装置によれば、用紙搬送機構から外れた用紙が用紙搬送部の下の隙間に潜り込むのが抑えられる。
【0020】
請求項の用紙搬送装置によれば、用紙が直線的に落下する箇所に第1のゲート部を設けた場合と比べ、用紙あるいは用紙上の画像にダメージを与えるおそれを低減させることができる。
【0021】
請求項の用紙搬送装置によれば、用紙あるいは用紙上の画像にダメージを与えるおそれをさらに低減させることができる。
【0022】
請求項の用紙搬送装置によれば、用紙幅方向について平坦なおもて面案内面を有する用紙案内部を備えた場合と比べ、用紙搬送駆動を受けた用紙がその第1のゲート部を通過
しやすくなる。
【0023】
請求項の用紙搬送装置によれば、膨出部を有さない用紙案内部を備えた場合と比べ、用紙搬送駆動を受けた用紙がその第1のゲート部をさらに通過しやすくなる。
【0024】
請求項の用紙搬送装置によれば、第1のゲート部のみの場合と比べ、長さがさらに広範に異なる用紙に対応した装置とすることができる。
【0025】
請求項の用紙搬送装置によれば、一対の用紙駆動部が常に閉じた状態にある場合と比べ単位時間当たりの用紙搬送枚数を増加させ、かつ、互いの間を開放可能に用紙を挟持する機構を備えたことにより増加するおそれのある、用紙が用紙トレイの下に潜り込むという危険にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態としての画像形成装置の模式図である。
図2】第1例のゲート部が配備された反転搬送路を示した模式図である。
図3】第2例のゲート部が配備された反転搬送路を示した模式図である。
図4】第3例のゲート部が配備された反転搬送路を示した模式図である。
図5】ゲート部が配備された反転搬送路の第2例を示した模式図である。
図6図2(A)に示した矢印X-Xに沿う断面を示した模式図である。
図7】2つのゲート部が配備された反転搬送路を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態としての画像形成装置の模式図である。この画像形成装置には、本発明の一実施形態としての用紙搬送装置が含まれている。
【0029】
この図1に示す画像形成装置10には、筐体11内に4つの用紙トレイ20が備えられている。これらの用紙トレイ20は、筐体11からの、この図1の紙面に垂直な前方への引き出し、および後方への押し込みによる筐体11内への収納が可能である。そして、各用紙トレイ20には、各々の種類の用紙が、積み重ねられた状態に収容される。この画像形成装置10では、これらの用紙トレイ20のうちの指定された用紙トレイ20から、その用紙トレイ20に収容されている用紙が取り出されて搬送され、その取り出された用紙上に画像が形成され、その画像が形成された用紙が排紙トレイ12上に排出される。用紙搬送については、後述する。
【0030】
この画像形成装置10の筐体11内の上部には、4つの画像形成エンジン30Y,30M,30C,30Kが配備されている。各画像形成エンジン30Y,30M,30C,30Kでは、それぞれY(イエロー),M(マゼンタ),C(サイアン),K(黒)の各色のトナーによるトナー像が形成される。
【0031】
これらの画像形成エンジン30Y,30M,30C,30Kの直下には、中間転写ベルト31が配置されている。この中間転写ベルト31は、複数のロール32a,32b,32cに巻き架けられて矢印Aの向きに循環移動する。そして、各画像形成エンジン30Y,30M,30C,30Kで形成された各色のトナー像は、一次転写器33Y,33M,33C,33Kの作用により、中間転写ベルト31上に順次に重なるように転写される。この中間転写ベルト31上に転写されたトナー像は、中間転写ベルト31の循環移動に伴って搬送され、二次転写器34の作用により、タイミングを合わせて搬送されてきた用紙上に転写される。用紙上に転写されたトナー像は、定着器35による加熱および加圧を受けてその用紙上に定着される。そして、定着トナー像からなる画像が形成された用紙は、最終的には、排紙トレイ12上に排出される。
【0032】
また、この画像形成装置10には、制御部40が備えられている。この制御部40は、各画像形成エンジン30Y,30M,30C,30Kによるトナー像の形成、中間転写ベルト31上への転写、用紙上への転写、用紙搬送等、この画像形成装置10の動作の全体の制御を担っている。
【0033】
次に、用紙搬送経路について説明する。この用紙搬送経路上には搬送ロール等からなる多数の搬送部材や用紙の進路を切り換えるゲート等が備えられているが、この図1には、本実施形態の特徴点の説明に必要となる3か所の搬送ロール51,52,53のみ示されている。
【0034】
画像形成にあたっては、いずれかの用紙トレイ20から図1の左側に向かって矢印Bの向きに用紙が取り出されて、矢印Cの向きに上方に搬送される。用紙トレイ20のうちに最下段に配置されている用紙トレイ21が、本発明にいう用紙収容部の一例に相当する。
【0035】
また、矢印Cの向きに上方に搬送されてきた用紙は、矢印Bの向きとは逆向きの矢印Dの向きに搬送される。この矢印Dの向きに搬送されている用紙上に画像が形成される。
【0036】
そして、二次転写器34の作用によりトナー像の転写を受け、さらに定着器35の作用により定着トナー像からなる画像が形成された用紙は、用紙の両面に画像を形成する両面プリントモードの場合を除き、矢印Eの向きに搬送され、排紙トレイ12上に排出される。
【0037】
この画像形成装置10には、手差しトレイ13が備えられていて、この手差しトレイ13から用紙を送り込むことも可能である。この手差しトレイ13から用紙を送り込むときは、この手差しトレイ13上に用紙を載せる。この手差しトレイ13上の用紙は、矢印Fの向きに引き込まれて、矢印Dの向きに進む。その後の用紙の搬送路については、用紙トレイ20から取り出された用紙の搬送路と同一である。
【0038】
用紙の両面に画像を形成する両面プリントモードの場合、用紙は、以下の搬送路を通るように搬送される。
【0039】
先ずは、用紙のおもて面に画像が形成される。用紙のおもて面に画像を形成するにあたっては、上記と同様に、いずれかの用紙トレイ20から図1の左側に向かって矢印Bの向きに用紙が取り出されて、矢印Cの向きに上方に搬送され、さらに矢印Dの向きに搬送される。そして、矢印Dの向きに搬送された用紙のおもて面にトナー像の転写を受け、さらに定着トナー像からなる画像がおもて面に形成される。
【0040】
このおもて面に画像が形成された用紙は、矢印Eの向きへの搬送に代わり、矢印Gの向きに進み、搬送ロール51により矢印Hの向きに下方に搬送され、搬送ロール52により、矢印Iの向きにさらに下方に送り込まれる。
【0041】
搬送ロール52は正逆回転可能な搬送ロールであり、矢印Iの向きに下方に送り込んだ用紙の上端が未だ搬送ロール52よりも上方にあるときに逆転を開始する。ここで、今回の画像形成に用いている用紙の搬送方向の長さによって、その用紙が短いときは、逆転を開始する時点における用紙は、下方に垂れ下がった姿勢となっている。
【0042】
搬送ロール52の、筐体11の底板111からの高さよりも長い用紙の場合は、以下の姿勢となる。
【0043】
筐体11内に収容された状態にある、複数の用紙トレイ20のうちの最下段の用紙トレイ21と、筐体11の底板111との間には隙間Sが形成されている。そして、搬送ロール52から下に延びる搬送路は、その隙間Sに繋がっている。このため、搬送方向の長さの長い用紙は、矢印Iの向き下方に搬送され、さらに、その用紙の先端部は隙間Sに入り込んで矢印Jの向きに搬送される。
【0044】
搬送ロール52は、下方に送り込んだ用紙の上端が未だ搬送ロール52よりも上方にあるときに逆転を開始する。すると、用紙の長さが長いときはその用紙の下方の先端部分は矢印Kの向きに搬送されさらに矢印Lの向きに上方に搬送される。そして、その用紙は、今度は矢印Mの向きに搬送され、さらに搬送ロール53により、矢印Dの向きへの搬送路の下側を通って矢印Dの向きとは逆向きの矢印Nの向きに搬送される。本実施形態における、矢印Iの向きおよび矢印Jの向きに搬送され、さらに隙間Sに繋がった搬送路は、本発明にいう反転搬送路の一例に相当する。また、この反転搬送路を含む上記の搬送路を形成して用紙を搬送する構造は、本発明にいう用紙搬送部の一例に相当する。この反転搬送路上の、筐体11の底板111よりも少し上方の位置には、ゲート部60が設けられている。このゲート部60についての説明は後に譲る。
【0045】
矢印Nの向きに搬送された用紙は、矢印Oの向きに搬送されて矢印Dの向きの搬送路に合流する。このとき、用紙はおもて面とうら面とが逆向きとなっており、矢印Dの向きに進む間に、今度はその用紙の裏面にトナー像が転写される。裏面に転写されたトナー像は、定着器35でその用紙の裏面上に定着される。これにより、用紙のおもて面とうら面との両面に画像が形成される。両面に画像が形成された用紙は、今度は矢印Eの向きに進み、排紙トレイ12上に排出される。
【0046】
ここで、両面プリントモードにおいて、その用紙のおもて面に画像が形成されて矢印G,H,Iの向きに進み、シーケンス上の何らかのトラブル、例えば、搬送ロール52の逆転への移行が少し遅れたこと、あるいはユーザの用紙セットミスで実際の用紙が指定した用紙よりも長さの短い用紙だった場合などを原因として、用紙の上端が搬送ロール52を抜けて矢印Iの向きに落下した場合を考える。
【0047】
上記の通り、搬送ロール51により用紙が矢印Hの向きに搬送され、さらにその搬送が搬送ロール52に受け継がれて、その搬送ロール52により矢印Iの向きに搬送され、その搬送ロール52が逆転して用紙が矢印Lの向きに搬送され、さらに矢印Mの向きに搬送されて、その用紙の搬送が搬送ロール53に受け継がれる。ここで、長さの長い用紙を使用していると、その用紙の搬送が搬送ロール53に受け継がれても、その用紙の後端が未だ搬送ロール52を抜けるよりも前に、搬送ロール51により搬送されている次の用紙の先端が搬送ロール52に達する場合があり得る。この実施形態の場合は、搬送ロール52は、互いの間を開放可能に用紙を挟持する2本のロールで構成されている。すなわち、2本のロールの間が開いた時には、その2本のロールの間を用紙が自由に通過することができる。先の用紙の後端が搬送ロール52を抜けた段階では次の用紙は未だ搬送ロール51に搬送されていて、搬送ロール52は、先の用紙の後端が搬送ロール52を抜けた段階で閉状態となり、後の用紙の、矢印Iの向きへの搬送を搬送ロール51から受け継ぐ。本実施形態の場合、このようなシーケンスを採用することにより、画像形成の生産性を向上させている。ただし、その一方で、搬送ロール52が開閉することから、用紙が搬送ロール52を抜けて落下する危険性が増加するおそれがある。この搬送ロール52を構成している2本のロールは、本発明にいう一対の用紙駆動部の一例に相当する。
【0048】
この落下した用紙の長さが比較的長い場合は、用紙トレイ21の下の隙間に潜り込むのはその用紙の一部のみあって、その用紙の上方の部分は上下に延びる搬送路内に残っている。この筐体11の、その上下に延びる搬送路に沿った壁面には、扉14が設置されているため、この扉14を開いてその落下した用紙を取り出すことができる。しかし、仮に、後述するゲート部60が設置されておらず、しかも、そのときに使用していた用紙が、例えばはがきサイズなど、長さの短い用紙だったときは、その用紙が全長に亘って用紙トレイ21の下の隙間Sに潜り込んでしまうことがあり得る。
【0049】
その隙間Sに潜り込んだ用紙をそのままにしておくと、その潜り込んだ用紙に次の用紙が当接して、その用紙にしわや折り曲げを生じさせてしまうおそれがある。このため、用紙が潜り込んだときは、その用紙を取り除く必要がある。ユーザが用紙トレイ52を筐体から引き出して、さらに筐体から取り外すことができる構造の場合は、用紙が潜り込んだことにユーザが気づけばその用紙を取り出すことができる。ただし、その用紙トレイ21に大きな用紙が多数枚積層されていた場合は、その用紙トレイ21を取り外すことはユーザにとって大きな負担となり、危険も伴う。このため、本実施形態の場合、用紙トレイ21は、ユーザには取り外すことはできない構造となっている。また、筐体11の底は、防火等の安全上の要請から底板111で塞がれている。したがって、用紙が一旦潜り込んでしまうとメンテナンス担当の人を呼ぶ必要が生じることになる。そこで、本実施形態の場合、その隙間Sに用紙が潜り込むこと自体を抑えるために、反転搬送路上の、筐体11の底板111よりも上方の位置に、ゲート部60を配備している。
【0050】
図2は、第1例のゲート部が配備された反転搬送路を示した模式図である。
【0051】
図2(A)に示すように、反転搬送路の上部には、搬送ロール52が備えられている。搬送ロール52により反転搬送路に送り込まれた用紙は、案内壁70Aに沿って下降する。そして、搬送方向の長さの長い用紙の場合、さらに、その案内壁70Aの下部の湾曲案内部71に案内され、筐体11(図1参照)の底壁111に案内されて、隙間S(図1参照)に入り込む。
【0052】
この案内壁70Aの下部の湾曲案内部71に対面する位置に、ゲート部60Aが設置されている。このゲート部60Aは、樹脂製のゲート部材61と、そのゲート部材61を案内壁70Aの湾曲案内部71に押し当てるばね部材62とを備えている。本実施形態の場合、ゲート部材61の案内壁70Aへの接点は、湾曲案内部71、すなわち、搬送ロール52により反転搬送路に送り込まれる用紙の搬送方向下流側であって、かつ、底板111の水平面よりも上流側である。
【0053】
図2(B)には、自由落下時の用紙の軌跡が破線で示されている。この図2(B)には、その自由落下の分かりやすい原因として、開いた状態にある搬送ロール52が示されている。
【0054】
ゲート部材61は、ばね部材62により、用紙の自由落下による力では開かない強さの力で案内壁70A(湾曲案内部71)に押し当てられている。
【0055】
一方、図2(C)には、搬送ロール52により搬送駆動された用紙の搬送の軌跡が破線で示されている。ここでは、隙間S(図1参照)に入り込む程度の長さの用紙を想定している。ゲート部材61を案内壁70A(その湾曲案内部71)に押し当てているばね部材62のばね力は、搬送ロール52により搬送駆動された用紙によってゲート部材71が押しのけられるレベルの力である。搬送ロール52により搬送駆動された用紙の場合、ゲート部材61を押しのけて、案内壁70Aとゲート部材61との間を通過する。
【0056】
このように、ゲート部材71は、自由落下してきた用紙をせき止め、搬送ロール52によって搬送駆動された用紙を通過させる機能を有する。
【0057】
ここで、自由落下する用紙は、湾曲案内部71によってその落下の勢いが減殺される。落下の勢いが弱まると、ゲート部材61を弱い力で湾曲案内部71に押し当てておくだけで、用紙の通過を阻止することができる。このゲート部材61を通過する用紙には、案内壁70A側を向いたおもて面に画像が形成されている。このため、ゲート部材61を強い力で案内壁70Aに押し当てておくと、その画像にダメージを与えるおそれがある。そこで、ここでは、用紙の落下の勢いが削がれる湾曲案内部71にゲート部60Aを配備し、ゲート部材61の押し当て力を弱めている。このゲート部材61は、本発明にいう押し当て部材の一例に相当する。また、このゲート部60Aは、本発明にいう第1のゲート部の一例に相当する。さらに、案内壁70Aの湾曲案内部71は、本発明にいう湾曲案内部の一例に相当する。
【0058】
図3は、第2例のゲート部が配備された反転搬送路を示した模式図である。ここでは、図2との相違点についてのみ、説明する。
【0059】
この図3に示した第2例のゲート部60Bには、PETフイルムからなるゲート部材63が備えられている。そして、このゲート部材63は、案内壁70Aの湾曲案内部71に押し当てられていて弾性変形した状態にある。この弾性変形による案内壁70Aへの押し当て力は、自由落下してきた用紙をせき止め、搬送ロール52によって搬送駆動された用紙を通過させるレベルに調整されている。
【0060】
この第2例のゲート部63Bの場合、そのゲート部材63の弾性変形で案内壁70Aへの押し当て力を得ており、ゲート部材63を押し当てるための別途のばね部材は不要である。これにより、構造の簡単なゲート部を実現している。
【0061】
図4は、第3例のゲート部が配備された反転搬送路を示した模式図である。ここでも、図2との相違点についてのみ、説明する。
【0062】
この図4に示した第3例のゲート部60Cには、自由回転するコロからなるゲート部材64と、そのゲート部材64を案内壁70Aの湾曲案内部71に押し当てるばね部材65とを備えている。このばね部材65によるゲート部材64の案内壁70Aへの押し当て力は、自由落下してきた用紙をせき止め、搬送ロール52によって搬送駆動された用紙を通過させるレベルに調整されている。
【0063】
この第3例のゲート部63Cの場合、ゲート部材64としてのコロが自由回転するため、そこを通過する用紙に与えるダメージをさらに低減される。
【0064】
なお、上記の第1例~第3例の場合、案内壁70Aの垂直に広がる部分よりも下方には、用紙を水平方向に案内する筐体の底板111との間に湾曲案内部71が備えられているが、この湾曲案内部71に代えて、斜面を備えていてもよい。
【0065】
図5は、ゲート部が配備された反転搬送路の第2例を示した模式図である。図2図4との相違点について説明する。
【0066】
図2図4に示した反転搬送路を構成している案内壁70Aには、単純に湾曲した湾曲案内部71が備えられていたが、この図5に示す案内壁70Bの、その湾曲案内部71に対応する箇所は、以下に説明する形状の湾曲案内部72となっている。すなわち、この図5に示す湾曲案内部72には、反転搬送路に入り込んできた用紙の、下向きの搬送方向の上流側(上側)から順に、第1湾曲面721と、第2湾曲面722と、ゲート受け面723と、第3湾曲面724とが形成されている。
【0067】
第1湾曲面721は、用紙トレイ20側(図5の左側)を向いたうら面に対するおもて面を案内して、用紙のうら面側を内向きとする向きに用紙を湾曲させる案内面である。また、第2湾曲面722は、第1湾曲面721の下流側に設けられていて、第1湾曲面721とは逆向きに湾曲した案内面である。その第2湾曲面722に続くゲート受け面723は、図2に示すゲート部材61等のゲート部材が突き当てられる面である。さらに、第3湾曲面724は、そのゲート受け面723の下流側に形成された、第1湾曲面721と同じ向きに湾曲した案内面である。
【0068】
この図5に示す第2例の反転搬送路には、このような形状の湾曲案内部72が形成された案内壁70Bが備えられている。
【0069】
図5(A),図5(B),図5(C)には、それぞれ図2図3図4に示したゲート部60A,60B,60Cが示されている。図5(A),図5(B),図5(C)のいずれにおいても、ゲート部材61,63,64は、ゲート受け面723に対面する位置に配備されて、そのゲート受け面623に突き当てられている。
【0070】
この図5に示す第2例の反転搬送路に備えられている案内壁70Bの湾曲案内部72には、第1湾曲面721に続きそれとは逆向きに湾曲した第2湾曲面722が形成されている。このため、自由落下してきた用紙は、その第1湾曲面721で落下の勢いが大きく削がれることになる。ゲート部材61等のゲート部材は、落下の勢いが大きく削がれた用紙の通過を阻止すればよく、図2等に示す湾曲案内部71の場合と比べゲート部材の押し当て力をさらに下げて用紙へのダメージをさらに抑えることができる。
【0071】
図6は、図2(A)に示した矢印X-Xに沿う断面を示した模式図である。図6(A)は第1例、図6(B)は第2例である。ここには、案内壁70Aの、図1図2の紙面に垂直な奥行方向を上下にして示してある。
【0072】
この図6には、案内壁70Aと、用紙Pと、ゲート部材61が示されている。前述の通り、案内壁70Aは用紙Pのおもて面を案内する案内壁である。図6(A)の第1例の場合、案内壁70Aの、用紙Pのおもて面を案内するおもて面案内面79は、奥行方向、すなわち用紙の進行方向に交わる幅方向の両端部791が、その両端部791を除く中央領域792よりも用紙トレイ20(図1参照)に近づく向き(図6の左向き)に変形した形状を有する。そのため、このおもて面案内面79に案内される用紙Pも、その幅方向両端部が曲がった形状となっている。ゲート部材61は、おもて面案内面79の平坦な中央領域792に押し当てられていて、そこを通過しようとする用紙Pによって押される。このとき、用紙Pがこのような曲がった形状を有するため、単純に平らな形状の用紙よりも座屈しにくく、用紙Pの先端がゲート部材61に突き当たって用紙Pが座屈し、そこを通過できないという事故の発生が抑えられる。
【0073】
また、図6(B)に示す第2例の場合、案内壁70Aのおもて面案内面79には、さらに中央領域792に用紙トレイ20に近づく向きに膨出した膨出部792aが形成されている。そして、ゲート部材61は、おもて面案内面79の中央領域792のうちの、膨出部792aを除く領域に押し当てられている。
【0074】
このように、用紙Pが幅方向両端部だけでなく中央部でも変形していると、さらに座屈しにくく、用紙Pが座屈して通過できないという事故の発生がさらに確実に抑えられる。
【0075】
なお、この図6では案内壁70Aとしているが、図5に示す案内壁70Bであっても同様である。
【0076】
図7は、2つのゲート部が配備された反転搬送路を示した模式図である。
【0077】
この図7に示す反転搬送路には、その反転搬送路に入り込んできた用紙の進行方向についての図2にも示すゲート部60よりも下流側に、もう1つのゲート部70が配備されている、このゲート部70も、搬送ロール52による搬送駆動を受けた用紙を通過させ、搬送駆動を受けずに進んできた用紙の通過を阻止するゲート部である。
【0078】
例えば長さが中途半端に長い用紙が搬送ロール52により駆動されて下向きに搬送されながら、その用紙の先端が1つ目のゲート部60を通過したとする。その時点で、ノイズやその他の原因で搬送ロール52が開き、自由落下が始まったとする。その場合、用紙は、ゲート部60を一旦通過しているため、自由落下に切り替わってもそのまま自由落下を続けることになる。長さが十分に長い用紙の場合、自由落下によってその先端部が隙間Sに入り込んでも、図1に示す扉14を開けばそこに用紙の後端部が現れていて、その用紙を取り出すことができる。これに対し、中途半端に長い用紙の場合、その用紙の先端が1つ目のゲート部60を通過したした後に自由落下が始まると、2つ目のゲート部70が設置されていない場合、その後端部までが隙間Sに入り込んでしまうおそれがある。
【0079】
この図7に示す例の場合、2つ目のゲート部70が設置されている。長さが中途半端に長い用紙の場合、正常動作の時は先端が2つ目のゲート部70を通過する前に、用紙搬送方向が反転する。したがって、その中途半端に長い用紙が自由落下したときは、その用紙は、2つ目のゲート部70で進行が阻止される。そして、扉14を開けば、そこにその用紙の後端部が現れていて、その用紙を取り出すことができる。ただし、仮に、2つ目のゲート部70のみを設置し、1つ目のゲート部60を取り除くと、極端に短い用紙、例えばはがきサイズの用紙の場合は、2つ目のゲート部70で進行が阻止されても、その用紙の後端部までが隙間Sにほとんど潜り込んだ状態となり、扉14を開けても、その用紙を取り出すことはできないことになる。したがって、このような状況の発生が考えらえる装置の場合、1つ目のゲート部60に加え、2つ目のゲート部70を設置することで、用紙が隙間Sに入り込んで取り出せなくなる事態の発生を強く抑えることができる。
【0080】
なお、本実施形態では、本発明にいうゲート部として、樹脂製のゲート部材61を用いた例、PETフイルムからなるゲート部材63を用いた例、およびコロからなるゲート部材64を用いた例の3例を示したが、本発明にいうゲート部は、これらの例に限られるものではなく、用紙の自由落下による通過を阻止するとともに、搬送駆動を受けた用紙の通過を許容するものであれば、その具体的な構造を問うものではない。
【0081】
また、ここでは、電子写真方式を採用して画像を形成する画像形成装置およびその画像形成装置に組み込まれた用紙搬送装置を例に挙げて説明したが、本発明の画像形成装置は、例えばインクジェット方式等、電子写真方式以外の方式を採用して画像を形成する画像形成装置であってもよく、本発明の用紙搬送装置は、電子写真方式以外の方式を採用して画像を形成する画像形成装置に組み込まれた用紙搬送装置であってもよい。さらには、本発明の用紙搬送装置は、画像形成装置以外の、用紙を反転する必要のある装置に組み込まれる用紙搬送装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
10 画像形成装置
11 筐体
111 筐体の底板
12 排紙トレイ
14 扉
20 用紙トレイ
21 最下段の用紙トレイ
51,52,53 搬送ロール
60,60A,60B,60C ゲート部
61,63,64 ゲート部材
62,65 ばね部材
70A,70B 案内壁
71,72 湾曲案内部
721 第1湾曲面
722 第2湾曲面
723 ゲート受け面
724 第3湾曲面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7