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特許7400326駐車支援装置、駐車支援方法、および、駐車支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】駐車支援装置、駐車支援方法、および、駐車支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20231212BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B60W30/06
G08G1/16 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019188388
(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公開番号】P2021062751
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小▲瀬▼垣 慶彦
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 博紀
(72)【発明者】
【氏名】立花 裕之
(72)【発明者】
【氏名】清川 裕介
(72)【発明者】
【氏名】水谷 友一
(72)【発明者】
【氏名】友澤 元克
(72)【発明者】
【氏名】大村 明寛
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 和磨
【審査官】藤田 和英
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-008957(JP,A)
【文献】特開2005-280392(JP,A)
【文献】特開2018-075904(JP,A)
【文献】特開2006-335239(JP,A)
【文献】特開2018-203142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が駐車する場合に、前記車両の目標走行速度を計算し、前記目標走行速度と前記車両の実速度に基づいて第1の要求駆動力を生成する第1の要求駆動力生成部と、
前記車両の衝突による被害を軽減するために第2の要求駆動力を生成する第2の要求駆動力生成部から前記第2の要求駆動力を取得し、前記第1の要求駆動力と前記第2の要求駆動力を比較し、小さいほうを選択して駆動力発生制御部に出力する調停部と、を備え、
前記調停部が第2の要求駆動力を選択した場合、
前記第1の要求駆動力生成部は、次に前記調停部が前記第1の要求駆動力を選択するまで前記第1の要求駆動力を増加させない第1の制御と、次に前記調停部が前記第1の要求駆動力を選択したときにそのときの前記実速度に基づいて第1の要求駆動力を再計算する第2の制御と、の少なくともいずれかを実行する、駐車支援装置。
【請求項2】
前記調停部が第2の要求駆動力を選択した場合であって、前記車両が停止状態から発進しようとしている場合、
前記第1の要求駆動力生成部は、前記第1の制御を実行する、請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記調停部が第2の要求駆動力を選択した場合であって、前記車両が走行中の場合、
前記第1の要求駆動力生成部は、前記第2の制御を実行する、請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記第1の要求駆動力生成部は、前記車両が段差を乗り越えるときに前記第1の要求駆動力を上昇させる段差制御を、さらに実行し、
前記調停部が第2の要求駆動力を選択した場合であって、前記車両が段差を乗り越える場合、
前記第1の要求駆動力生成部は、次に前記調停部が前記第1の要求駆動力を選択するまで前記段差制御を停止する、請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
車両が駐車する場合に、前記車両の目標走行速度を計算し、前記目標走行速度と前記車両の実速度に基づいて第1の要求駆動力を生成する第1の要求駆動力生成ステップと、
前記車両の衝突による被害を軽減するために第2の要求駆動力を生成する第2の要求駆動力生成部から前記第2の要求駆動力を取得し、前記第1の要求駆動力と前記第2の要求駆動力を比較し、小さいほうを選択して駆動力発生制御部に出力する調停ステップと、を含み、
前記調停ステップが第2の要求駆動力を選択した場合、
前記第1の要求駆動力生成ステップは、次に前記調停ステップが前記第1の要求駆動力を選択するまで前記第1の要求駆動力を増加させない第1の制御と、次に前記調停ステップが前記第1の要求駆動力を選択したときにそのときの前記実速度に基づいて第1の要求駆動力を再計算する第2の制御と、の少なくともいずれかを実行する、駐車支援方法。
【請求項6】
車両が駐車する場合に、前記車両の目標走行速度を計算し、前記目標走行速度と前記車両の実速度に基づいて第1の要求駆動力を生成する第1の要求駆動力生成ステップと、
前記車両の衝突による被害を軽減するために第2の要求駆動力を生成する第2の要求駆動力生成部から前記第2の要求駆動力を取得し、前記第1の要求駆動力と前記第2の要求駆動力を比較し、小さいほうを選択して駆動力発生制御部に出力する調停ステップと、をコンピュータに実行させるための駐車支援プログラムであって、
前記調停ステップが第2の要求駆動力を選択した場合、
前記第1の要求駆動力生成ステップは、次に前記調停ステップが前記第1の要求駆動力を選択するまで前記第1の要求駆動力を増加させない第1の制御と、次に前記調停ステップが前記第1の要求駆動力を選択したときにそのときの前記実速度に基づいて第1の要求駆動力を再計算する第2の制御と、の少なくともいずれかを実行する、駐車支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、駐車支援装置、駐車支援方法、および、駐車支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の駐車支援技術において、例えば、車両速度を制御するために、駐車支援のための第1の要求駆動力と、車両の衝突による被害を軽減するための第2の要求駆動力が並列して計算される場合がある。その場合、第1の要求駆動力と第2の要求駆動力のうち、小さいほうが選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-248925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術では、選択されている要求駆動力が第2の要求駆動力から第1の要求駆動力に変わった場合に、意図しない急加速が起きることがあり、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の駐車支援装置は、車両が駐車する場合に、前記車両の目標走行速度を計算し、前記目標走行速度と前記車両の実速度に基づいて第1の要求駆動力を生成する第1の要求駆動力生成部と、前記車両の衝突による被害を軽減するために第2の要求駆動力を生成する第2の要求駆動力生成部から前記第2の要求駆動力を取得し、前記第1の要求駆動力と前記第2の要求駆動力を比較し、小さいほうを選択して駆動力発生制御部に出力する調停部と、を備える。そして、前記調停部が第2の要求駆動力を選択した場合、前記第1の要求駆動力生成部は、次に前記調停部が前記第1の要求駆動力を選択するまで前記第1の要求駆動力を増加させない第1の制御と、次に前記調停部が前記第1の要求駆動力を選択したときにそのときの前記実速度に基づいて第1の要求駆動力を再計算する第2の制御と、の少なくともいずれかを実行する。この構成によれば、例えば、第2の要求駆動力が選択されている場合でも、上述の第1の制御と第2の制御の少なくともいずれかを実行することで、その後に、選択されている要求駆動力が第2の要求駆動力から第1の要求駆動力に変わったときに、意図しない急加速を回避することができる。
【0006】
また、実施形態の駐車支援装置において、前記調停部が第2の要求駆動力を選択した場合であって、前記車両が停止状態から発進しようとしている場合、前記第1の要求駆動力生成部は、前記第1の制御を実行する。この構成によれば、例えば、車両が停止状態から発進するときに、意図しない急加速を回避することができる。
【0007】
また、実施形態の駐車支援装置において、前記調停部が第2の要求駆動力を選択した場合であって、前記車両が走行中の場合、前記第1の要求駆動力生成部は、前記第2の制御を実行する。この構成によれば、例えば、車両が走行中に、意図しない急加速を回避することができる。
【0008】
また、実施形態の駐車支援装置において、前記第1の要求駆動力生成部は、前記車両が段差を乗り越えるときに前記第1の要求駆動力を上昇させる段差制御を、さらに実行し、前記調停部が第2の要求駆動力を選択した場合であって、前記車両が段差を乗り越える場合、前記第1の要求駆動力生成部は、次に前記調停部が前記第1の要求駆動力を選択するまで前記段差制御を停止する。この構成によれば、例えば、車両の段差制御による意図しない急加速を回避することができる。
【0009】
また、実施形態の駐車支援方法は、車両が駐車する場合に、前記車両の目標走行速度を計算し、前記目標走行速度と前記車両の実速度に基づいて第1の要求駆動力を生成する第1の要求駆動力生成ステップと、前記車両の衝突による被害を軽減するために第2の要求駆動力を生成する第2の要求駆動力生成部から前記第2の要求駆動力を取得し、前記第1の要求駆動力と前記第2の要求駆動力を比較し、小さいほうを選択して駆動力発生制御部に出力する調停ステップと、を含む。そして、前記調停ステップが第2の要求駆動力を選択した場合、前記第1の要求駆動力生成ステップは、次に前記調停ステップが前記第1の要求駆動力を選択するまで前記第1の要求駆動力を増加させない第1の制御と、次に前記調停ステップが前記第1の要求駆動力を選択したときにそのときの前記実速度に基づいて第1の要求駆動力を再計算する第2の制御と、の少なくともいずれかを実行する。この構成によれば、例えば、第2の要求駆動力が選択されている場合でも、上述の第1の制御と第2の制御の少なくともいずれかを実行することで、その後に、選択されている要求駆動力が第2の要求駆動力から第1の要求駆動力に変わったときに、意図しない急加速を回避することができる。
【0010】
また、実施形態の駐車支援プログラムは、車両が駐車する場合に、前記車両の目標走行速度を計算し、前記目標走行速度と前記車両の実速度に基づいて第1の要求駆動力を生成する第1の要求駆動力生成ステップと、前記車両の衝突による被害を軽減するために第2の要求駆動力を生成する第2の要求駆動力生成部から前記第2の要求駆動力を取得し、前記第1の要求駆動力と前記第2の要求駆動力を比較し、小さいほうを選択して駆動力発生制御部に出力する調停ステップと、をコンピュータに実行させるための駐車支援プログラムである。そして、前記調停ステップが第2の要求駆動力を選択した場合、前記第1の要求駆動力生成ステップは、次に前記調停ステップが前記第1の要求駆動力を選択するまで前記第1の要求駆動力を増加させない第1の制御と、次に前記調停ステップが前記第1の要求駆動力を選択したときにそのときの前記実速度に基づいて第1の要求駆動力を再計算する第2の制御と、の少なくともいずれかを実行する。この構成によれば、例えば、第2の要求駆動力が選択されている場合でも、上述の第1の制御と第2の制御の少なくともいずれかを実行することで、その後に、選択されている要求駆動力が第2の要求駆動力から第1の要求駆動力に変わったときに、意図しない急加速を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態の車両の車室の一部が透視された状態を示す例示的な斜視図である。
図2図2は、実施形態の車両の例示的な平面図(俯瞰図)である。
図3図3は、実施形態の車両のダッシュボードの一例を車両後方から見た場合を示す図である。
図4図4は、実施形態の駐車支援システムの構成の例示的なブロック図である。
図5図5は、実施形態の駐車支援システムのECUの機能構成の例示的なブロック図である。
図6図6は、実施形態の駐車支援システムのECUにおける第1の要求駆動力生成部による発進時処理の例示的なフローチャートである。
図7図7は、比較例と実施形態における車両発進時の各パラメータの経時的変化の様子を例示的に示すシーケンス図である。
図8図8は、比較例と実施形態における車両走行中の補正量等の経時的変化の様子を例示的に示すシーケンス図である。
図9図9は、実施形態の駐車支援システムのECUにおける第1の要求駆動力生成部による走行中処理の例示的なフローチャートである。
図10図10は、比較例と実施形態における車両走行中の各パラメータの経時的変化の様子を例示的に示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の駐車支援装置、駐車支援方法、および、駐車支援プログラムの例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0013】
本実施形態の車両1は、例えば、不図示の内燃機関を駆動源とする自動車、すなわち内燃機関自動車であってもよいし、不図示の電動機を駆動源とする自動車、すなわち電気自動車や燃料電池自動車等であってもよいし、それらの双方を駆動源とするハイブリッド自動車であってもよいし、他の駆動源を備えた自動車であってもよい。また、車両1は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置、例えばシステムや部品等を搭載することができる。また、車両1における車輪3の駆動に関わる装置の方式や、数、レイアウト等は、種々に設定することができる。
【0014】
まず、図1図4を参照して、本実施形態の車両1の構成について説明する。図1は、実施形態の車両1の車室の一部が透視された状態を示す例示的な斜視図である。図2は、実施形態の車両1の例示的な平面図(俯瞰図)である。図3は、実施形態の車両1のダッシュボードの一例を車両後方から見た場合を示す図である。図4は、実施形態の駐車支援システム100の構成の例示的なブロック図である。
【0015】
図1に例示されるように、車体2は、不図示の乗員が乗車する車室2aを構成している。車室2a内には、乗員としての運転者の座席2bに臨む状態で、操舵部4、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等が設けられている。操舵部4は、例えば、ダッシュボード24から突出したステアリングホイールである。加速操作部5は、例えば、運転者の足下に位置されたアクセルペダルである。制動操作部6は、例えば、運転者の足下に位置されたブレーキペダルである。変速操作部7は、例えば、センターコンソールから突出したシフトレバーである。なお、操舵部4、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等は、これらには限定されない。
【0016】
また、車室2a内には、表示出力部としての表示装置8や、音声出力部としての音声出力装置9が設けられている。表示装置8は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や、OELD(Organic Electro-Luminescent Display)等である。音声出力装置9は、例えば、スピーカである。また、表示装置8は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部10で覆われている。乗員は、操作入力部10を介して表示装置8の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、乗員は、表示装置8の表示画面に表示される画像に対応した位置で手指等で操作入力部10を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。これらの表示装置8、音声出力装置9、操作入力部10等は、例えば、ダッシュボード24の車幅方向すなわち左右方向の中央部に位置されたモニタ装置11に設けられている。モニタ装置11は、スイッチ、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の不図示の操作入力部を有することができる。また、モニタ装置11とは異なる車室2a内の他の位置に不図示の音声出力装置を設けることができるし、モニタ装置11の音声出力装置9と他の音声出力装置から、音声を出力することができる。なお、モニタ装置11は、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されうる。
【0017】
また、車室2a内には、表示装置8とは別の表示装置12が設けられている。図3に例示されるように、表示装置12は、例えば、ダッシュボード24の計器盤部25に設けられ、計器盤部25の略中央で、速度表示部25aと回転数表示部25bとの間に位置されている。表示装置12の画面12aの大きさは、表示装置8の画面8aの大きさよりも小さい。この表示装置12には、主として車両1の駐車支援に関する情報を示す画像が表示されうる。表示装置12で表示される情報量は、表示装置8で表示される情報量より少なくてもよい。表示装置12は、例えば、LCD、OELD等である。なお、表示装置8に、表示装置12で表示される情報が表示されてもよい。
【0018】
また、図1,2に例示されるように、車両1は、例えば、四輪自動車であり、左右二つの前輪3Fと、左右二つの後輪3Rとを有する。これら四つの車輪3は、いずれも転舵可能に構成されうる。図4に例示されるように、車両1は、少なくとも二つの車輪3を操舵する操舵システム13を有している。操舵システム13は、アクチュエータ13aと、トルクセンサ13bとを有する。操舵システム13は、ECU14(Electronic Control Unit)等によって電気的に制御されて、アクチュエータ13aを動作させる。操舵システム13は、例えば、電動パワーステアリングシステムや、SBW(Steer By Wire)システム等である。操舵システム13は、アクチュエータ13aによって操舵部4にトルク、すなわちアシストトルクを付加して操舵力を補ったり、アクチュエータ13aによって車輪3を転舵したりする。この場合、アクチュエータ13aは、一つの車輪3を転舵してもよいし、複数の車輪3を転舵してもよい。また、トルクセンサ13bは、例えば、運転者が操舵部4に与えるトルクを検出する。
【0019】
また、図2に例示されるように、車体2には、複数の撮像部15として、例えば四つの撮像部15a~15dが設けられている。撮像部15は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部15は、所定のフレームレートで動画データを出力することができる。撮像部15は、それぞれ、広角レンズまたは魚眼レンズを有し、水平方向には例えば140°~190°の範囲を撮影することができる。また、撮像部15の光軸は斜め下方に向けて設定されている。よって、撮像部15は、車両1が移動可能な路面や車両1が駐車可能な領域を含む車体2の周辺の外部の環境を逐次撮影し、撮像画像データとして出力する。
【0020】
撮像部15aは、例えば、車体2の後側の端部2eに位置され、リヤトランクのドア2hの下方の壁部に設けられている。撮像部15bは、例えば、車体2の右側の端部2fに位置され、右側のドアミラー2gに設けられている。撮像部15cは、例えば、車体2の前側、すなわち車両前後方向の前方側の端部2cに位置され、フロントバンパー等に設けられている。撮像部15dは、例えば、車体2の左側、すなわち車幅方向の左側の端部2dに位置され、左側の突出部としてのドアミラー2gに設けられている。ECU14は、複数の撮像部15で得られた画像データに基づいて演算処理や画像処理を実行し、より広い視野角の画像を生成したり、車両1を上方から見た仮想的な俯瞰画像を生成したりすることができる。
【0021】
また、ECU14は、撮像部15の画像から、車両1の周辺の路面に示された区画線等を識別し、区画線等に示された駐車区画を検出(抽出)する。
【0022】
また、図1,2に例示されるように、車体2には、複数の測距部16,17として、例えば四つの測距部16a~16dと、八つの測距部17a~17hとが設けられている。測距部16,17は、例えば、超音波を発射してその反射波を捉えるソナーである。ソナーは、ソナーセンサ、あるいは超音波探知器とも称されうる。ECU14は、測距部16,17の検出結果により、車両1の周囲に位置された障害物等の物体の有無や当該物体までの距離を測定することができる。すなわち、測距部16,17は、物体を検出する検出部の一例である。なお、測距部17は、例えば、比較的近距離の物体の検出に用いられ、測距部16は、例えば、測距部17よりも遠い比較的長距離の物体の検出に用いられうる。また、測距部17は、例えば、車両1の前方および後方の物体の検出に用いられ、測距部16は、車両1の側方の物体の検出に用いられうる。
【0023】
また、図4に例示されるように、駐車支援システム100では、ECU14、モニタ装置11、操舵システム13、測距部16,17等の他、ブレーキシステム18、舵角センサ19、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等が、電気通信回線としての車内ネットワーク23を介して電気的に接続されている。車内ネットワーク23は、例えば、CAN(Controller Area Network)として構成されている。ECU14は、車内ネットワーク23を通じて制御信号を送ることで、操舵システム13、ブレーキシステム18等を制御することができる。また、ECU14は、車内ネットワーク23を介して、トルクセンサ13b、ブレーキセンサ18b、舵角センサ19、測距部16、測距部17、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等の検出結果や、操作入力部10等の操作信号等を、受け取ることができる。
【0024】
ECU14は、例えば、CPU14a(Central Processing Unit)、ROM14b(Read Only Memory)、RAM14c(Random Access Memory)、表示制御部14d、音声制御部14e、SSD14f(Solid State Drive、フラッシュメモリ)等を有している。CPU14aは、ROM14b等の不揮発性の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって各種の演算処理および制御を実行することができる。RAM14cは、CPU14aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。また、表示制御部14dは、ECU14での演算処理のうち、主として、撮像部15で得られた画像データを用いた画像処理や、表示装置8で表示される画像データの合成等を実行する。また、音声制御部14eは、ECU14での演算処理のうち、主として、音声出力装置9で出力される音声データの処理を実行する。また、SSD14fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、ECU14の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。なお、CPU14a、ROM14b、RAM14c等は、同一パッケージ内に集積されうる。また、ECU14は、CPU14aに替えて、DSP(Digital Signal Processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSD14fに替えてHDD(Hard Disk Drive)が設けられてもよいし、SSD14fやHDDは、ECU14とは別に設けられてもよい。
【0025】
ブレーキシステム18は、例えば、ブレーキのロックを抑制するABS(Anti-lock Brake System)や、コーナリング時の車両1の横滑りを抑制する横滑り防止装置(ESC:Electronic Stability Control)、ブレーキ力を増強させる(ブレーキアシストを実行する)電動ブレーキシステム、BBW(Brake By Wire)等である。ブレーキシステム18は、アクチュエータ18aを介して、車輪3ひいては車両1に制動力を与える。また、ブレーキシステム18は、左右の車輪3の回転差などからブレーキのロックや、車輪3の空回り、横滑りの兆候等を検出して、各種制御を実行することができる。ブレーキセンサ18bは、例えば、制動操作部6の可動部の位置を検出するセンサである。ブレーキセンサ18bは、可動部としてのブレーキペダルの位置を検出することができる。ブレーキセンサ18bは、変位センサを含む。
【0026】
舵角センサ19は、例えば、ステアリングホイール等の操舵部4の操舵量を検出するセンサである。舵角センサ19は、例えば、ホール素子などを用いて構成される。ECU14は、運転者による操舵部4の操舵量や、自動操舵時の各車輪3の操舵量等を、舵角センサ19から取得して各種制御を実行する。なお、舵角センサ19は、操舵部4に含まれる回転部分の回転角度を検出する。舵角センサ19は、角度センサの一例である。
【0027】
アクセルセンサ20は、例えば、加速操作部5の可動部の位置を検出するセンサである。アクセルセンサ20は、可動部としてのアクセルペダルの位置を検出することができる。アクセルセンサ20は、変位センサを含む。
【0028】
シフトセンサ21は、例えば、変速操作部7の可動部の位置を検出するセンサである。シフトセンサ21は、可動部としての、レバー、アーム、ボタン等の位置を検出することができる。シフトセンサ21は、変位センサを含んでもよいし、スイッチとして構成されてもよい。
【0029】
車輪速センサ22は、車輪3の回転量や単位時間当たりの回転数を検出するセンサである。車輪速センサ22は、検出した回転数を示す車輪速パルス数をセンサ値として出力する。車輪速センサ22は、例えば、ホール素子などを用いて構成されうる。ECU14は、車輪速センサ22から取得したセンサ値に基づいて車両1の移動量などを演算し、各種制御を実行する。なお、車輪速センサ22は、ブレーキシステム18に設けられている場合もある。その場合、ECU14は、車輪速センサ22の検出結果を、ブレーキシステム18を介して取得する。
【0030】
なお、上述した各種センサやアクチュエータの構成や、配置、電気的な接続形態等は、一例であって、種々に設定(変更)することができる。
【0031】
次に、図5を参照して、実施形態の駐車支援システム100のECU14の機能構成について説明する。図5は、実施形態の駐車支援システム100のECU14の機能構成の例示的なブロック図である。図5に示すように、ECU14は、機能構成として、第1の要求駆動力生成部141、第2の要求駆動力生成部142、調停部143、駆動力発生制御部144を備える。各部141~144は、図4のECU14において、CPU14aが、例えばROM14b内に格納された駐車支援プログラムを実行することで実現される。なお、各部141~144を2つ以上のECUで実現するように構成してもよい。また、各部141~144をハードウェアで実現するように構成してもよい。
【0032】
また、以下の例では、第1の要求駆動力生成部141と第2の要求駆動力生成部142は、それぞれ別々のアプリケーションプログラムによって実現されるものとする。
【0033】
第1の要求駆動力生成部141は、車両1が駐車する場合に、駐車支援のため、車両1の目標走行速度を計算し、目標走行速度と車両1の実速度に基づいて第1の要求駆動力を生成する。
【0034】
第2の要求駆動力生成部142は、車両の衝突による被害を軽減するために第2の要求駆動力を生成する。第2の要求駆動力は、例えば、車両1が停まることを目的とした最大要求駆動力である。つまり、例えば、測距部16,17の検出結果により、車両1の移動予定方向の近くに他の車両や歩行者等の物体が存在すると判定された場合、第2の要求駆動力生成部142は、車両1の走行速度を遅く抑えるために、小さな値の第2の要求駆動力を生成する。
【0035】
調停部143は、第1の要求駆動力と第2の要求駆動力を比較し、小さいほうを選択して駆動力発生制御部144に出力する。
【0036】
駆動力発生制御部144は、調停部143から受け取った第1の要求駆動力と第2の要求駆動力のいずれかに基づいて、駆動機構を制御して車両1の走行のための駆動力を発生させる。
【0037】
そして、調停部143が第2の要求駆動力を選択した場合(つまり、車両1の移動予定方向の近くに他の物体が存在していて「第1の要求駆動力>第2の要求駆動力」の関係となっている場合)、第1の要求駆動力生成部141は、次に調停部143が第1の要求駆動力を選択するまで(つまり、その後に車両1の移動予定方向の近くに他の物体が存在しなくなって「第1の要求駆動力<第2の要求駆動力」の関係となるまで)第1の要求駆動力を増加させない第1の制御と、次に調停部143が第1の要求駆動力を選択したとき(つまり、その後に車両1の移動予定方向の近くに他の物体が存在しなくなって「第1の要求駆動力<第2の要求駆動力」の関係となったとき)にそのときの実速度に基づいて第1の要求駆動力を再計算する第2の制御と、の少なくともいずれかを実行する。
【0038】
また、調停部143が第2の要求駆動力を選択した場合であって、車両が停止状態から発進しようとしている場合、第1の要求駆動力生成部141は、第1の制御を実行する。
【0039】
また、調停部143が第2の要求駆動力を選択した場合であって、車両が走行中の場合、第1の要求駆動力生成部141は、第2の制御を実行する。
【0040】
また、第1の要求駆動力生成部141は、車両が段差を乗り越えるときに第1の要求駆動力を上昇させる段差制御を、さらに実行する。そして、調停部143が第2の要求駆動力を選択した場合であって、車両が段差を乗り越える場合、第1の要求駆動力生成部141は、次に調停部143が第1の要求駆動力を選択するまで段差制御を停止する。
【0041】
次に、図6を参照して、第1の要求駆動力生成部141による発進時処理について説明する。図6は、実施形態の駐車支援システム100のECU14における第1の要求駆動力生成部141による発進時処理の例示的なフローチャートである。なお、この発進時処理が開始される前、車両1は停止状態である。
【0042】
まず、ステップS1において、第1の要求駆動力生成部141は、車両1の発進動作を開始するか否かを判定し、Yesの場合はステップS2に進み、Noの場合はステップS1に戻る。例えば、車両1の運転者が操作入力部10等によって駐車支援を開始するための操作を行ったとき、ステップS1でYesとなる。
【0043】
ステップS2において、第1の要求駆動力生成部141は、調停結果が第1の要求駆動力であるか否かを判定し、Yesの場合はステップS3に進み、Noの場合はステップS4に進む。
【0044】
例えば、車両1の移動予定方向の近くに他の車両や歩行者等の物体が存在する場合、第2の要求駆動力生成部142によって生成される第2の要求駆動力は車両の衝突による被害を軽減するために小さい値となる。そうすると、調停部143は、第1の要求駆動力と第2の要求駆動力を比較し、小さいほうの第2の要求駆動力を選択する。その場合、ステップS2でNoとなる。
【0045】
また、例えば、車両1の移動予定方向の近くに他の車両や歩行者等の物体が存在しない場合、第2の要求駆動力生成部142によって生成される第2の要求駆動力は小さい値とはならない。そうすると、調停部143は、第1の要求駆動力と第2の要求駆動力を比較し、小さいほうの第1の要求駆動力を選択する。その場合、ステップS2でYesとなる。なお、車両1の移動予定方向の近くに他の物体が存在しない場合に生成される第2の要求駆動力は、第1の要求駆動力として考えられる値の最大値よりも大きい。そうなるように設計されている。これにより、車両の移動予定方向の近くに他の物体が存在しないときに、第2の要求駆動力よりも小さい第1の要求駆動力が選択されて速度制御に使用される。
【0046】
ステップS3において、第1の要求駆動力生成部141は、第1の要求駆動力を増加させる。
【0047】
次に、ステップS4において、第1の要求駆動力生成部141は、車両1が動き出したか否かを判定し、Yesの場合は処理を終了し、Noの場合はステップS2に戻る。
【0048】
次に、図7を参照して、比較例と実施形態における車両発進時の各パラメータの経時的変化の様子について説明する。図7は、(a)比較例と(b)実施形態における車両発進時の各パラメータの経時的変化の様子を例示的に示すシーケンス図である。なお、以下の図7図8図10に示す図は、概要を模式的に表すことを目的としている。
【0049】
図7(a)に示すように、比較例(従来技術)の場合、車両の発進時に、第1の要求駆動力D1が時刻T1から増加し始めたとして、時刻T2に調停結果が第1の要求駆動力S1から第2の要求駆動力S2に切り替わったものとする。そうすると、時刻T2以降、第1の要求駆動力生成部(第1の要求駆動力生成部141に対応)は、車両の実速度が目標走行速度に到達しないために、第1の要求駆動力D1を増加させ続ける。
【0050】
そして、時刻T3に、それまで車両1の移動予定方向の近くに存在していた他の物体がいなくなったことに起因して「第1の要求駆動力>第2の要求駆動力」の関係から「第1の要求駆動力<第2の要求駆動力」の関係に変わったことで、調停結果が第2の要求駆動力S2から第1の要求駆動力S1に切り替わったものとすると、駆動力発生制御部(駆動力発生制御部144に対応)が、大きくなっている第1の要求駆動力によって駆動力を発生させるため、車両1の急加速(ピーク加速度H1)が起きてしまう。
【0051】
一方、図7(b)に示すように、本実施形態の駐車支援システム100の場合、時刻T2までは図7(a)と同様で、時刻T2に調停結果が第1の要求駆動力S1から第2の要求駆動力S2に切り替わったものとする。そうすると、図6のフローチャートに示すように、ステップS2でNoとなってステップS3をスキップするため、第1の要求駆動力生成部141は、第1の要求駆動力D1を増加させない。
【0052】
そして、時刻T3に調停結果が第2の要求駆動力S2から第1の要求駆動力S1に切り替わった場合でも、第1の要求駆動力D1が時刻T2から増加していないため、車両1の急加速は起きない。その後、第1の要求駆動力生成部141が第1の要求駆動力D1を増加させると、時刻T4に車両1は動きだし、車両1は緩やかに加速する(ピーク加速度H2<ピーク加速度H1)。
【0053】
このように、本実施形態の駐車支援システム100によれば、車両1の停止状態からの発進時に、調停部143が第2の要求駆動力を選択した場合であっても、第1の要求駆動力生成部141が、次に調停部143が第1の要求駆動力を選択するまで第1の要求駆動力を増加させない第1の制御を実行することで、意図しない急加速を回避することができる。つまり、車両1の発進時に、乗員にとってショックが少なく良い乗り心地を実現できる。
【0054】
次に、図8図9を参照して、第1の要求駆動力生成部141による走行中処理について説明する。図8は、比較例と実施形態における車両走行中の補正量等の経時的変化の様子を例示的に示すシーケンス図である。なお、以下において、補正量とは、第1の要求駆動力を算出する場合に、時系列目標値に対して、時系列目標値と実値の差に応じて加算することで補正を行うための量である。ここで、時系列目標値とは、例えば、1秒後、2秒後、3秒後、・・・等の車両1の位置、速度、加速度の目標値である。以下では、時系列目標値として、主に速度の目標値の場合について説明する。
【0055】
図8(a)に示すように、比較例(従来技術)の場合、時刻T41まで、調停結果が(1)第1の要求駆動力であり、目標値(速度目標値。目標走行速度)と補正量との和(以下、「当該和」ともいう。)と、実値(実速度の値)は一致する。つまり、補正量は0である。その後、時刻T41で調停結果が(1)第1の要求駆動力から(2)第2の要求駆動力に切り替わると、第1の要求駆動力生成部141は、実値が目標値に到達しないので、第1の要求駆動力D1を増加させるために、補正量を増加させる。
【0056】
そして、時刻T42に、それまで車両1の移動予定方向の近くに存在していた他の物体がいなくなったことに起因して「第1の要求駆動力>第2の要求駆動力」の関係から「第1の要求駆動力<第2の要求駆動力」の関係に変わったことで、調停結果が(2)第2の要求駆動力から(1)第1の要求駆動力に切り替わると、当該和が実値よりも大きいため、大きな第1の要求駆動力が算出されてしまい、車両1の急加速が起きてしまう。
【0057】
一方、図8(b)に示すように、本実施形態の場合、時刻T42までは図8(a)と同様であるが、時刻T42に調停結果が(2)第2の要求駆動力から(1)第1の要求駆動力に切り替わると、第1の要求駆動力生成部141は、補正量を0にリセットする。これにより、当該和と実値が一致し、適正な第1の要求駆動力が算出され、車両1の急加速は起きない。これを実現するための処理について、図9を参照して説明する。
【0058】
図9は、実施形態の駐車支援システム100のECU14における第1の要求駆動力生成部141による走行中処理の例示的なフローチャートである。
【0059】
まず、ステップS11において、第1の要求駆動力生成部141は、車両1の現在状態(現在の位置、速度、加速度)から時系列目標値(位置、速度、加速度の目標値)を生成する。
【0060】
次に、ステップS12において、第1の要求駆動力生成部141は、時系列目標値と実値から、補正量を計算する。
【0061】
次に、ステップS13において、第1の要求駆動力生成部141は、時系列目標値と補正量に基づいて、第1の要求駆動力を生成する。
【0062】
次に、ステップS14において、第1の要求駆動力生成部141は、(それまで車両1の移動予定方向の近くに存在していた他の物体がいなくなったことに起因して「第1の要求駆動力>第2の要求駆動力」の関係から「第1の要求駆動力<第2の要求駆動力」の関係に変わったことで)調停結果が第2の要求駆動力から第1の要求駆動力に切り替わったか否かを判定し、Yesの場合はステップS15に進み、Noの場合はステップS11に戻る。
【0063】
つまり、調停結果が最初は第1の要求駆動力であったとして、その状態が継続したり、あるいは、調停結果が第1の要求駆動力から第2の要求駆動力に切り替わったりしても、ステップS11→ステップS12→ステップS13でNo→ステップS11→・・・、という処理が繰り返されることになる。そして、調停結果が第2の要求駆動力から第1の要求駆動力に切り替わると、ステップS14でYesとなり、ステップS15に進む。
【0064】
ステップS15において、第1の要求駆動力生成部141は、補正量を0にリセットする。
【0065】
次に、ステップS16において、第1の要求駆動力生成部141は、時系列目標値に基づいて、第1の要求駆動力を生成する。
【0066】
次に、ステップS17において、第1の要求駆動力生成部141は、車両1が駐車の目標位置に到達したか否かを判定し、Yesの場合は処理を終了し、Noの場合はステップS18に進む。
【0067】
ステップS18において、第1の要求駆動力生成部141は、車両1の現在状態から時系列目標値を生成する。
【0068】
次に、ステップS19において、第1の要求駆動力生成部141は、時系列目標値と実値から、補正量を計算する。
【0069】
次に、ステップS20において、第1の要求駆動力生成部141は、時系列目標値と補正量に基づいて、第1の要求駆動力を生成する。ステップS20の後、ステップS17に戻る。
【0070】
次に、図10を参照して、比較例と実施形態における車両走行中の各パラメータの経時的変化の様子について説明する。図10は、(a)比較例と(b)実施形態における車両走行中の各パラメータの経時的変化の様子を例示的に示すシーケンス図である。
【0071】
図10(a)に示すように、比較例(従来技術)の場合、車両の走行中に、時刻T21まで、調停結果は第1の要求駆動力S1であり、第1の要求駆動力D1に基づいて車両1が走行するものとする。そして、時刻T21に調停結果が第1の要求駆動力S1から第2の要求駆動力S2に切り替わったものとする。そうすると、時刻T21以降、第1の要求駆動力生成部(第1の要求駆動力生成部141に対応)は、車両1の実速度が目標速度に達しないために、第1の要求駆動力D1を増加させ続ける。
【0072】
そして、時刻T22に調停結果が第2の要求駆動力S2から第1の要求駆動力S1に切り替わったものとすると、駆動力発生制御部(駆動力発生制御部144に対応)が、大きくなっている第1の要求駆動力によって駆動力を発生させるため、車両1の急加速(ピーク加速度H3)が起きてしまう。
【0073】
一方、図10(b)に示すように、本実施形態の駐車支援システム100の場合、時刻T22までは図10(a)と同様で、時刻T22に調停結果が第2の要求駆動力S2から第1の要求駆動力S1に切り替わったものとすると、第1の要求駆動力生成部141は、補正量を0にリセットする(図9のステップS14でYes→ステップS15)。したがって、車両1は緩やかに加速する(ピーク加速度H4<ピーク加速度H3)。
【0074】
このように、本実施形態の駐車支援システム100によれば、車両1の走行中に、調停部143が第2の要求駆動力を選択した場合であっても、第1の要求駆動力生成部141が、次に調停部143が第1の要求駆動力を選択したときにそのときの実速度に基づいて第1の要求駆動力を再計算する第2の制御を実行することで、意図しない急加速を回避することができる。つまり、車両1の走行中に、乗員にとってショックが少なく良い乗り心地を実現できる。
【0075】
また、調停部143が第2の要求駆動力を選択した場合であって、車両1が段差を乗り越える場合、第1の要求駆動力生成部141は、次に調停部143が第1の要求駆動力を選択するまで段差制御を停止する。これにより、車両1の段差制御による意図しない急加速を回避することができる。
【0076】
以上説明したように、本実施形態の駐車支援システム100によれば、第2の要求駆動力が選択されている場合でも、上述の第1の制御と第2の制御の少なくともいずれかを実行することで、その後に、選択されている要求駆動力が第2の要求駆動力から第1の要求駆動力に変わったときに、意図しない急加速を回避することができる。
【0077】
また、ECU14において、例えば、第2の要求駆動力生成部142、調停部143、駆動力発生制御部144を従来技術のまま変更せず、第1の要求駆動力生成部141を変更するだけでよいので、対応のためのコストや手間が少なくて済む。
【0078】
なお、本実施形態のCPU14aで実行される駐車支援プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0079】
さらに、駐車支援プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行される駐車支援プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0080】
上述の本発明の実施形態は、発明の範囲を限定するものではなく、発明の範囲に含まれる一例に過ぎない。本発明のある実施形態は、上述の実施形態に対して、例えば、具体的な用途、構造、形状、作用、及び効果の少なくとも一部について、発明の要旨を逸脱しない範囲において変更、省略、及び追加がされたものであっても良い。
【符号の説明】
【0081】
1…車両、14…ECU、100…駐車支援システム、141…第1の要求駆動力生成部、142…第2の要求駆動力生成部、143…調停部、144…駆動力発生制御部
図1
図2
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図6
図7
図8
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