(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/569 20210101AFI20231212BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20231212BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20231212BHJP
H01M 50/509 20210101ALI20231212BHJP
【FI】
H01M50/569
H01G11/12
H01M50/209
H01M50/509
(21)【出願番号】P 2019192413
(22)【出願日】2019-10-23
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】飛鷹 強志
(72)【発明者】
【氏名】川内 智弘
(72)【発明者】
【氏名】楠 寿樹
【審査官】鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-091668(JP,A)
【文献】特開2019-003870(JP,A)
【文献】特開2017-091676(JP,A)
【文献】特開2015-207394(JP,A)
【文献】特開2014-022169(JP,A)
【文献】国際公開第2013/030891(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/569
H01G 11/12
H01M 50/209
H01M 50/509
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に沿って配列された複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子に電気的に接続される複数のバスバーと、
前記複数の蓄電素子のうち、少なくとも二つの蓄電素子の状態を検出するため、前記少なくとも二つの蓄電素子のそれぞれに電気的に接続された複数の検出線と、
前記複数の蓄電素子上に配置されて、前記複数のバスバー及び複数の検出線を保持するバスバー保持部材と、を備え、
前記バスバー保持部材は、前記少なくとも二つの蓄電素子のうち一つの蓄電素子の近傍に配置され、当該蓄電素子に接続された検出線の接続端子を、他の蓄電素子に接続された他の検出線の上方で保持する検出線保持部を有
し、
前記検出線保持部は、前記接続端子を、当該接続端子の平面視で前記他の検出線に対して重なる位置で保持している
蓄電装置。
【請求項2】
所定の方向に沿って配列された複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子に電気的に接続される複数のバスバーと、
前記複数の蓄電素子のうち、少なくとも二つの蓄電素子の状態を検出するため、前記少なくとも二つの蓄電素子のそれぞれに電気的に接続された複数の検出線と、
前記複数の蓄電素子上に配置されて、前記複数のバスバー及び複数の検出線を保持するバスバー保持部材と、を備え、
前記バスバー保持部材は、前記少なくとも二つの蓄電素子のうち一つの蓄電素子の近傍に配置され、当該蓄電素子に接続された検出線の接続端子を、他の蓄電素子に接続された他の検出線の上方で保持する検出線保持部を有し、
前記検出線保持部は、保持している前記検出線の前記接続端子と、前記他の検出線との間に介在する第一壁部を有している
蓄電装置。
【請求項3】
前記検出線保持部は、前記接続端子を規制するバネ部を有する
請求項1
または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記検出線保持部は、当該検出線保持部の下方を通過する前記他の検出線を上方から規制する第一壁部と、当該他の検出線を一側方から規制する第二壁部とを有している
請求項1~
3のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記接続端子は、基部が、前記蓄電素子に接続される先端部よりも上方に位置するように段差状に形成されており、
前記検出線保持部は、前記接続端子の前記基部を保持している
請求項1~
4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体(スタックケース)内にて所定の方向に配列された複数の蓄電素子(単電池7)に対して、当該蓄電素子の状態(例えば電圧、温度など)を検出する複数の検出線(ハーネスH)が電気的に接続された蓄電装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した蓄電装置では、複数の蓄電素子上で複数の検出線が平面的に広がって配置されているために、それだけ複数の蓄電素子上のスペースを消費することとなっていた。
【0005】
このため、本発明の目的は、複数の蓄電素子上の省スペース化が可能な蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、所定の方向に沿って配列された複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子に電気的に接続される複数のバスバーと、複数の蓄電素子のうち、少なくとも二つの蓄電素子の状態を検出するため、少なくとも二つの蓄電素子のそれぞれに電気的に接続された複数の検出線と、複数の蓄電素子上に配置されて、複数のバスバー及び複数の検出線を保持するバスバー保持部材と、を備え、バスバー保持部材は、少なくとも二つの蓄電素子のうち一つの蓄電素子の近傍に配置され、当該蓄電素子に接続された検出線の接続端子を、他の蓄電素子に接続された他の検出線の上方で保持する検出線保持部を有する。
【0007】
これによれば、検出線保持部が、一つの蓄電素子に接続された検出線の接続端子を他の検出線の上方で保持しているので、当該接続端子と、他の検出線とを上面視で重ねて配置することができる。これにより、接続端子と他の検出線とが平面的に広がって配置されにくくなり、省スペース化を図ることができる。
【0008】
また、検出線保持部は、接続端子を、当該接続端子の平面視で他の検出線に対して重なる位置で保持していてもよい。
【0009】
これによれば、平面視において接続端子が他の検出線に対して重なる位置に配置されているので、接続端子と、他の検出線とを確実に重ねて配置することができる。これにより、より確実に省スペース化を図ることができる。
【0010】
また、検出線保持部は、保持している検出線の接続端子と、他の検出線との間に介在する第一壁部を有していてもよい。
【0011】
これによれば、検出線保持部の第一壁部が、保持している接続端子と、他の検出線との間に介在しているので、接続端子が、他の検出線に対して干渉することを抑制できる。したがって、接続端子が他の検出線を損傷させてしまうことを抑制することができ、当該損傷を起因とした短絡の発生を抑制できる。これにより、短絡防止用の専用の部材を設けなくてもよいので、より省スペース化を図ることができる。
【0012】
また、検出線保持部は、接続端子を規制するバネ部を有していてもよい。
【0013】
これによれば、検出線保持部が接続端子を規制するバネ部を有しているので、バネ部によって、接続端子の位置ずれを抑制することができる。
【0014】
また、検出線保持部は、当該検出線保持部の下方を通過する他の検出線を上方から規制する第一壁部と、当該他の検出線を一側方から規制する第二壁部とを有していてもよい。
【0015】
これによれば、検出保持部の第一壁部が他の検出線の上方への移動を規制し、第二壁部が他の検出線の側方への移動を規制しているので、他の検出線が移動して接続端子に干渉してしまうことを抑制することができる。
【0016】
また、接続端子は、基部が、蓄電素子に接続される先端部よりも上方に位置するように段差状に形成されており、検出線保持部は、接続端子の基部を保持していてもよい。
【0017】
これによれば、接続端子が段差状に形成されており、蓄電素子に接続される先端部よりも上方に位置する基部が検出線保持部によって保持されているので、検出線保持部の下部に他の検出線用の空間を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の蓄電装置によれば、複数の蓄電素子上の省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電ユニットを分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る排気部及びバスバーフレームの概略構成を示す分解斜視図である。
【
図4】実施の形態に係るバスバーフレームの概略構成を示す上面図である。
【
図5】実施の形態に係る梁部と蓄電素子との位置関係を示す説明図である。
【
図6】実施の形態に係る梁部と排気部との位置関係を示す断面図である。
【
図7】実施の形態に係るガイド部の概略構成を示す上面図である。
【
図8】実施の形態に係る検出線保持部の概略構成を示す斜視図である。
【
図9】実施の形態に係る検出線保持部の概略構成を示す断面図である。
【
図10】変形例1に係る検出線保持部の概略構成を示す断面図である。
【
図11】変形例2に係るバスバーフレームであって、ガイド部の近傍を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0021】
また、以下の説明及び図面中において、1つの蓄電素子における一対(正極側及び負極側)の電極端子の並び方向、蓄電素子の容器の短側面の対向方向、または、蓄電ユニットの外装体の長側面の対向方向を、X軸方向と定義する。複数の蓄電素子の並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、蓄電ユニットの外装体の短側面の対向方向、蓄電ユニットと基板ユニットとの並び方向をY軸方向と定義する。蓄電ユニットの外装体支持体と外装体蓋体との並び方向、蓄電素子とバスバーとの並び方向、蓄電素子の容器本体と蓋部との並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0022】
また、以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。また、以下では、Y軸方向を第一方向とも呼び、X軸方向を第二方向とも呼び、Z軸方向を第三方向とも呼ぶ場合がある。さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0023】
(実施の形態)
[1 蓄電装置の構成の説明]
まず、本実施の形態における蓄電装置1の構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る蓄電ユニット10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0024】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される。具体的には、蓄電装置1は、例えば、家庭用または発電機用等に使用される定置用のバッテリ等として用いられる。また、蓄電装置1は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いることができる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及びガソリン自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール及びリニアモーターカーが例示される。
【0025】
これらの図に示すように、蓄電装置1は、蓄電ユニット10と、蓄電ユニット10に取り付けられる基板ユニット20と、を備えている。蓄電ユニット10は、Y軸方向に長尺の略直方体形状を有する電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電ユニット10は、複数の蓄電素子11と、バスバーフレーム12と、排気部50と、複数のバスバー13と、これらを収容する外装体本体14、外装体支持体15及び外装体蓋体17からなる外装体18と、を有している。また、蓄電ユニット10には、ケーブル30が接続されている。なお、蓄電ユニット10は、複数の蓄電素子11を拘束する拘束部材(エンドプレート、サイドプレート等)等を有していてもよい。
【0026】
蓄電素子11は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子11は、扁平な直方体形状(角形)を有しており、本実施の形態では、16個の蓄電素子11がY軸方向に並んで配列されている。なお、蓄電素子11の形状、配置位置及び個数等は、特に限定されない。また、蓄電素子11は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子11は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。さらに、蓄電素子11は、固体電解質を用いた電池であってもよい。また、蓄電素子11は、ラミネート型の蓄電素子とすることもできる。
【0027】
具体的には、蓄電素子11は、本体部をなす金属製の容器11aを備え、容器11aの蓋部には、金属製の電極端子である正極端子11b及び負極端子11cが設けられている。つまり、本体部の上面には、正極端子11b及び負極端子11cが設けられている。容器11aの蓋部には、容器11a内の圧力上昇時にガスを排出して圧力を開放するガス排出弁111(
図4参照)が正極端子11b及び負極端子11cの間に設けられている。複数の蓄電素子11は、それぞれのガス排出弁111が同一方向(Z軸プラス方向)を向く姿勢で配列されている。また、隣り合う蓄電素子11同士の間には、断熱性を有する平板状のスペーサ11dが配置されている。なお、容器11aの蓋部には、電解液を注液するための注液部等が設けられていてもよい。また、容器11aの内方には、電極体(蓄電要素または発電要素ともいう)及び集電体(正極集電体及び負極集電体)等が配置され、電解液(非水電解質)などが封入されているが、詳細な説明は省略する。
【0028】
ここで、正極端子11b及び負極端子11cは、容器11aの蓋部から上方(Z軸プラス方向)に向けて突出して配置されている。そして、複数の蓄電素子11が有する最も外側の正極端子11b及び負極端子11cが、ケーブル30に接続されることにより、蓄電装置1が、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる。
【0029】
ケーブル30は、蓄電装置1(蓄電素子11)を充放電するための電流(充放電電流、主電流ともいう)が流れる電線(電源ケーブル、電力ケーブル、電源線、電力線ともいう)であり、正極側の正極電源ケーブル31と、負極側の負極電源ケーブル32とを有している。つまり、複数の蓄電素子11のうちの、Y軸プラス方向の端部の蓄電素子11の正極端子11bに、ケーブル30の正極電源ケーブル31が接続され、Y軸マイナス方向の端部の蓄電素子11の負極端子11cに、ケーブル30の負極電源ケーブル32が接続される。
【0030】
バスバーフレーム12は、バスバー13と他の部材との電気的な絶縁、及び、バスバー13の位置規制を行うことができる扁平な矩形状の部材である。バスバーフレーム12は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の、後述する基板ユニット20の基板収容部100と同様の絶縁部材により形成されている。具体的には、バスバーフレーム12は、複数の蓄電素子11の上方に載置され、複数の蓄電素子11に対して位置決めされる。また、バスバーフレーム12上には、複数のバスバー13が載置されて位置決めされている。これにより、各バスバー13は、複数の蓄電素子11に対して位置決めされて、当該複数の蓄電素子11が有する正極端子11b及び負極端子11cに接合される。また、バスバーフレーム12は、外装体18の中蓋として、外装体本体14の補強を行う機能も有している。バスバーフレーム12の詳細については後述する。
【0031】
排気部50は、バスバーフレーム12上に配置されており、各蓄電素子11のガス排出弁111から排出されたガスの排気経路59(
図6参照)を構成している。排気部50のY軸プラス方向の一端部は、ガスが排出される排気口部51であり、外装体18のY軸プラス方向の一端部から突出している。排気部50の詳細については後述する。
【0032】
各バスバー13は、複数の蓄電素子11上(バスバーフレーム12上)に配置され、複数の蓄電素子11の電極端子同士を電気的に接続する矩形状の板状部材である。バスバー13は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ステンレス鋼等の金属で形成されている。本実施の形態では、バスバー13は、隣り合う蓄電素子11の正極端子11bと負極端子11cとを接続することで、16個の蓄電素子11を直列に接続している。複数のバスバー13は、X軸プラス方向側(一側方)でY軸方向に沿って配列された第一バスバー群131と、X軸マイナス方向側(他側方)でY軸方向に沿って配列された第二バスバー群132とに分けられる。なお、蓄電素子11の接続の態様は上記には限定されず、直列接続及び並列接続がどのように組み合わされていてもよい。
【0033】
また、バスバー13、または、蓄電素子11の電極端子には、検出線13aが接続されている。検出線13aは、各蓄電素子11の状態を検出するためのケーブルである。検出線13aは、蓄電素子11の電圧計測用、温度計測用、または、蓄電素子11間の電圧バランス用の電線(通信ケーブル、制御ケーブル、通信線、制御線ともいう)である。なお、バスバー13または蓄電素子11の電極端子には、蓄電素子11の温度を計測するためのサーミスタ(図示せず)が配置されているが、説明は省略する。また、検出線13aのY軸マイナス方向の端部には、コネクタ13bが接続されている。コネクタ13bは、後述する基板ユニット20の基板200に接続されるコネクタである。つまり、検出線13aは、コネクタ13bを介して、蓄電素子11の電圧及び温度等の情報を、基板ユニット20の基板200に伝達する。また、検出線13aは、基板200の制御によって、電圧が高い蓄電素子11を放電させて、蓄電素子11間の電圧をバランスさせる機能も有している。
【0034】
外装体18は、蓄電ユニット10の外装体を構成する矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体18は、蓄電素子11等の外方に配置され、蓄電素子11等を所定の位置で固定し、衝撃などから保護する。ここで、外装体18は、外装体18の本体を構成する外装体本体14と、外装体本体14を支持する外装体支持体15と、外装体18の蓋体(外蓋)を構成する外装体蓋体17と、を有している。
【0035】
外装体本体14は、開口が形成された有底矩形筒状のハウジングである。外装体本体14は、例えば、PC、PP、PE等の、後述する基板ユニット20の基板収容部100と同様の絶縁部材により形成されている。
【0036】
外装体支持体15及び外装体蓋体17は、外装体本体14を保護(補強)する部材である。外装体支持体15及び外装体蓋体17は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板等の金属製の部材により形成されている。なお、外装体支持体15及び外装体蓋体17は、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。
【0037】
外装体支持体15は、外装体本体14を下方(Z軸マイナス方向)から支持する部材であり、底部15aと、基板ユニット取付部16と、接続部15b及び15cと、を有している。底部15aは、蓄電装置1の底部を構成する、XY平面に平行かつY軸方向に延設された平板状かつ矩形状の部位であり、外装体本体14の下方に配置される。基板ユニット取付部16は、底部15aのY軸マイナス方向の端部からZ軸プラス方向に立設された平板状かつ矩形状の部位であり、基板ユニット20が取り付けられる。接続部15bは、基板ユニット取付部16のZ軸プラス方向の端部に配置され、Y軸マイナス方向に突出する部位であり、外装体蓋体17と接続される。接続部15cは、底部15aのY軸プラス方向の端部からZ軸プラス方向に立設され、かつ、Y軸プラス方向に突出する部位であり、外装体蓋体17と接続される。
【0038】
外装体蓋体17は、外装体本体14の開口を塞ぐように配置される部材であり、天面部17aと、接続部17b及び17cと、を有している。天面部17aは、蓄電装置1の上面部を構成する、XY平面に平行かつY軸方向に延設された平板状かつ矩形状の部位であり、外装体本体14の上方に配置される。接続部17bは、天面部17aのY軸マイナス方向の端部に配置され、Y軸マイナス方向に突出する部位であり、外装体支持体15の接続部15bと接続される。接続部17cは、天面部17aのY軸プラス方向の端部からZ軸マイナス方向に延び、かつ、Y軸プラス方向に突出する部位であり、外装体支持体15の接続部15cと接続される。このように、外装体支持体15及び外装体蓋体17は、外装体本体14を上下方向から挟み込んだ状態で、接続部15b及び15cと接続部17b及び17cとがネジ止め等で接続されることで固定される構成となっている。
【0039】
基板ユニット20は、蓄電ユニット10が有する蓄電素子11の状態の監視、及び、蓄電素子11の制御を行うことができる機器である。本実施の形態では、基板ユニット20は、蓄電ユニット10の長手方向の端部、つまり、蓄電ユニット10のY軸マイナス方向の側面に取り付けられる扁平な矩形状の部材である。具体的には、基板ユニット20は、蓄電ユニット10の外装体18が有する外装体支持体15に設けられた基板ユニット取付部16に、回動可能に取り付けられる。
【0040】
[2 排気部及びバスバーフレームの構成]
図3は、実施の形態に係る排気部50及びバスバーフレーム12の概略構成を示す分解斜視図である。
【0041】
図3に示すように、排気部50は、排気部材60と、蓋部材65とを有している。排気部材60は、各蓄電素子11のガス排出弁111の直上に配置されている。排気部材60は、Y軸方向視で上方が開放されたU字状に形成されており、Y軸方向に長尺な樹脂製の部材である。排気部材60の底部には、各蓄電素子11のガス排出弁111を露出させる複数の孔部61が形成されている。
【0042】
排気部材60は、バスバーフレーム12よりも耐熱性の高い樹脂から形成されていてもよい。例えばバスバーフレーム12がPPから形成されている場合には、排気部材60を、PPよりも耐熱性の高いポリフェニレンスルファイド(PPS)で形成すればよい。ここで、バスバーフレームと排気部材とを単一の樹脂により一体成形する場合には、その全てを耐熱性の高い樹脂で成形する必要があるが、本実施の形態では、バスバーフレーム12とは別体の排気部材60のみを耐熱性の高い樹脂で形成すればよいので、当該樹脂の使用量を抑制することができる。
【0043】
蓋部材65は、排気部材60の上方に配置されており、排気部材60の開放部分を閉塞している。具体的には、蓋部材65は、Y軸方向視で下方が開放されたU字状に形成されており、Y軸方向に長尺な部材である。蓋部材65は、金属製であり、排気部材60よりも放熱性が高い。蓋部材65のY軸プラス方向の一端部は、排気部材60から突出した状態で下方及び先端面が開放されている。一方、蓋部材65の他端部は閉塞されており、ガスの排出を防止している。蓋部材65は、排気部材60内に収容された状態で、排気部材60とともにガスの排気経路59を構成している。前述した蓋部材65の一端部における開放された部位からはガスが排出される。つまり、蓋部材65の一端部はガスが排出される排気口部51である。排気口部51は、バスバーフレーム12のY軸プラス方向の端部から外方に突出している。このため、各蓄電素子11のガス排出弁111から排出されたガスは、排気部材60の孔部61から、排気部材60と蓋部材65とがなす排気経路59に進入する。その後、ガスは排気経路59を通過して、バスバーフレーム12の外方にある排気口部51から蓄電ユニット10外に排出される。
【0044】
次にバスバーフレーム12の詳細について説明する。
図4は、実施の形態に係るバスバーフレーム12の概略構成を示す上面図である。
図4においては、蓄電素子11、バスバー13、正極電源ケーブル31、負極電源ケーブル32、複数の検出線13aも図示している。
【0045】
図3及び
図4に示すように、バスバーフレーム12は、複数の蓄電素子11上に配置されて、複数のバスバー13を保持するバスバー保持部材の一例である。具体的には、バスバーフレーム12は、第一保持部71と、第二保持部72と、連結部73とを有している。ここで、複数の検出線13aのうち、第一保持部71で保持される複数の検出線13aを第一検出線13a1と称す。また、複数の検出線13aのうち、第二保持部72で保持される複数の検出線13aを第二検出線13a2と称す。
【0046】
第一保持部71は、バスバーフレーム12におけるX軸プラス方向側(一側方)の部位であり、第一バスバー群131と、正極電源ケーブル31とを保持する部位である。また、第一保持部71は、各蓄電素子11におけるX軸プラス方向の電極端子(正極端子11bまたは負極端子11c)または、第一バスバー群131に含まれるバスバー13に接続される複数の第一検出線13a1も保持している。
【0047】
第一保持部71は、各蓄電素子11のガス排出弁111よりもX軸プラス方向に配置されている。第一保持部71は、当該第一保持部71の外周を囲む第一外壁部711と、第一外壁部711とともに各バスバー13を囲む第一囲壁712とを有している。
【0048】
第一外壁部711におけるY軸マイナス方向の端部には、一対の第一切欠711a及び711bが形成されている。一対の第一切欠711a及び711bのうち一方の第一切欠711aには、正極電源ケーブル31及び複数の第一検出線13a1が貫通するように配置されている。また、他方の第一切欠711bには負極電源ケーブル32が貫通するように配置されている。
【0049】
第一囲壁712は、第一外壁部711内においてX軸プラス方向側に配置されており、Y軸方向に長尺に設けられている。第一囲壁712のY軸プラス方向の端部は、Y軸プラス方向の端部の蓄電素子11と、その隣の蓄電素子11との間に配置されている。第一囲壁712のY軸マイナス方向の端部は、第一外壁部711の第一切欠711aの近傍まで延設されている。
【0050】
第一囲壁712内には、各バスバー13の間に配置された複数の第一区画壁713と、各蓄電素子11の間に配置された複数の第一仕切部714とが設けられている。第一区画壁713は、XZ平面に平行な平板形状を有しており、その上端面が第一外壁部711の上端面と面一となっている。第一仕切部714は、X軸方向に長尺な部位であり、第一区画壁713よりも高さが低い。各バスバー13は、対応する第一仕切部714をまたぐように配置されている。
【0051】
第一外壁部711内において、第一囲壁712よりもX軸マイナス方向の領域は、Y軸方向に沿って貫通された第一ケーブル経路部715である。第一ケーブル経路部715は、各蓄電素子11のガス排出弁111と、第一バスバー群131に含まれる各バスバー13との間に配置されている。このように、第一ケーブル経路部715は、バスバーフレーム12内において、第一バスバー群131よりもX軸方向の内方に配置されている。
【0052】
第一ケーブル経路部715には、正極電源ケーブル31及び複数の第一検出線13a1が配置されている。第一ケーブル経路部715は、正極電源ケーブル31及び複数の第一検出線13a1の経路をなしている。つまり、第一ケーブル経路部715は、複数の第一検出線13a1の経路である第一検出線経路とも言える。複数の第一検出線13a1及び正極電源ケーブル31は、第一ケーブル経路部715内に配置されることで、第一保持部71と第二保持部72との間、つまり連結部73上を回避して配置されている。
【0053】
第一ケーブル経路部715内において、正極電源ケーブル31及び複数の第一検出線13a1のそれぞれは、概ねY軸方向に沿う姿勢で配置されている。第一ケーブル経路部715は、正極電源ケーブル31の一端部をガイドするガイド部80を有している。また、第一ケーブル経路部715は、第一検出線13a1を保持する複数の検出線保持部90を有している。ガイド部80及び検出線保持部90の詳細については、後述する。
【0054】
第二保持部72は、バスバーフレーム12におけるX軸マイナス方向側(他側方)の部位である。第二保持部72は、第二バスバー群132と、各蓄電素子11におけるX軸マイナス方向の電極端子(正極端子11bまたは負極端子11c)または、第二バスバー群132に含まれるバスバー13に接続される複数の第二検出線13a2とを保持している。
【0055】
第二保持部72は、各蓄電素子11のガス排出弁111よりもX軸マイナス方向に配置されている。第二保持部72は、当該第二保持部72の外周を囲む第二外壁部721と、第二外壁部721とともに各バスバー13を囲む第二囲壁722とを有している。
【0056】
第二外壁部721におけるY軸マイナス方向の端部には、第二切欠721aが形成されている。第二切欠721aには、複数の第二検出線13a2が貫通するように配置されている。
【0057】
第二囲壁722は、第二外壁部721内においてX軸マイナス方向側に配置されており、Y軸方向に長尺に設けられている。第二囲壁722のY軸プラス方向の端部は、第二外壁部721のY軸プラス方向の端部に連続している。また、第二囲壁722のY軸マイナス方向の端部は、第二外壁部721の第二切欠721aの近傍まで延設されている。
【0058】
第二囲壁722におけるX軸マイナス方向側の領域には、各バスバー13の間に配置された複数の第二区画壁723と、各蓄電素子11の間に配置された複数の第二仕切部724とが設けられている。第二区画壁723は、XZ平面に平行な平板形状を有しており、その上端面が第二外壁部721の上端面と面一となっている。第二仕切部724は、X軸方向に長尺な部位であり、第二区画壁723よりも高さが低い。各バスバー13は、対応する第二仕切部724をまたぐように配置されている。
【0059】
第二外壁部721内において、第二囲壁722よりもX軸プラス方向側の領域は、Y軸方向に沿って貫通された第二ケーブル経路部725である。第二ケーブル経路部725は、各蓄電素子11のガス排出弁111と、第二バスバー群132に含まれる各バスバー13との間に配置されている。このように、第二ケーブル経路部725は、バスバーフレーム12内において、第二バスバー群132よりもX軸方向の内方に配置されている。
【0060】
第二ケーブル経路部725には、複数の第二検出線13a2が配置されている。第二ケーブル経路部725は、複数の第二検出線13a2の経路である第二検出線経路と言える。複数の第二検出線13a2は、第二ケーブル経路部725内に配置されることで、第一保持部71と第二保持部72との間、つまり連結部73上を回避して配置されている。
【0061】
第二ケーブル経路部725内では、複数の第二検出線13a2のそれぞれは、概ねY軸方向に沿う姿勢で配置されている。第二ケーブル経路部725内には、各第二検出線13a2を係止する複数の検出線係止部99が設けられている。複数の検出線係止部99は、Y軸方向に沿って配列されている。検出線係止部99は、X軸方向に長尺な突起であり、その下方に第二検出線13a2がY軸方向で貫通される空間が形成されている。この空間内に第二検出線13a2が貫通されることで、検出線係止部99が第二検出線13a2の浮きを抑制している。複数の検出線係止部99は全て同形状であるが係止する第二検出線13a2の本数が異なる。具体的には、
図4に示すように、最も第二切欠721aから遠い検出線係止部99、つまり最もY軸プラス方向に配置された検出線係止部99は、1本の第二検出線13a2を保持している。それよりもY軸マイナス方向に向かうにしたがって、各検出線係止部99が係止する第二検出線13a2の本数を1本ずつ増加させることが可能である。なお、第二検出線13a2の本数が多い箇所においては、一つの検出線係止部99が全ての第二検出線13a2を保持していてもよいし、保持していなくてもよい。
【0062】
図3及び
図4に示すように、連結部73は、第一保持部71と第二保持部72とを連結する部位である。具体的には、連結部73は、一端部が第一保持部71に連結され、他端部が第二保持部72に連結されたX軸方向に長尺な複数の梁部731を有している。複数の梁部731は、Y軸方向に所定の間隔をあけて配置されている。複数の梁部731のうち、Y軸マイナス方向の端部の梁部731は、Y軸マイナス方向の端部の蓄電素子11の外方に配置されている。また、Y軸プラス方向の端部の梁部731は、Y軸プラス方向の端部の蓄電素子11の外方に配置されている。これら以外の梁部731は、隣り合う一対の蓄電素子11の間に配置されている。このように、複数の梁部731は、各蓄電素子11のガス排出弁111から退避した位置に配置されている。換言すると、各蓄電素子11のガス排出弁111は、上面視で複数の梁部731から露出された状態となっている。
【0063】
[3 梁部]
図5は、実施の形態に係る梁部731と、蓄電素子11との位置関係を示す説明図である。具体的には、
図5は、
図4におけるV-V線を含む切断面を見た図である。
図5においては、蓄電素子11は平面図で示し、梁部731は断面図で示している。また、
図6は、実施の形態に係る梁部731と、排気部50との位置関係を示す断面図である。具体的には、
図6は、梁部731の位置をXZ平面で切断した断面図である。
【0064】
図5及び
図6に示すように梁部731の上面には、X軸方向の中央部に凹部732が形成されている。凹部732の底面733は、梁部731の一部の上端面を構成しており、XY平面に平行な平面状に形成されている。凹部732の底面733は、蓄電素子11の容器11a(本体部)の上面11eよりも下方に配置されている(
図5参照)。なお、梁部731の一部の上端面は、蓄電素子11の容器11aの上端(Z軸方向で最もプラス側に位置する部位)よりも下方に配置されていればよい。また、梁部731の一部の上端面は、容器11aの上面に対して面一に配置されていてもよい。
【0065】
また、
図6に示すように、凹部732内には、排気部材60の下端部が配置されている。具体的に説明すると、排気部材60の下面における梁部731に対応する部位には、下方に向けて突出した凸部62が形成されている。この凸部62が梁部731の凹部732内に収容されている。凸部62が凹部732内に配置されることで、バスバーフレーム12に対して排気部材60が位置決めされている。また、排気部材60は、凸部62の存在する部位が厚肉化されることで強度が高められている。ここで、排気部材60の内底面を膨出させることで厚肉化することも可能であるが、この場合、排気経路59が狭まってしまい、スムーズな排気を阻害するおそれがある(例えば
図6の二点鎖線L5参照)。本実施の形態では、排気部材60の下面に凸部62が設けられていることで、排気部材60の一部を厚肉化しつつも、排気経路59が狭まることを抑制している。特に、本実施の形態では、梁部731に凹部732が設けられているために、凸部62を凹部732内に向けてより突出させることで、より厚肉化することが可能である。
【0066】
このように、梁部731の一部である凹部732の底面733(上端面)が蓄電素子11の容器11aの上面11eよりも下方に配置されているために、当該部位の直上のスペースを確保して、排気部材60の一部を厚肉化することが可能である。つまり、蓄電装置1内のスペース効率が高められている。なお、排気部材60の強度向上を優先させる場合には、排気部材60の内底面を膨出させてもよい。
【0067】
[4 ガイド部]
次に、ガイド部80の詳細について説明する。
図7は実施の形態に係るガイド部80の概略構成を示す上面図である。
【0068】
図7に示すように、ガイド部80は、第一ケーブル経路部715内で、正極電源ケーブル31の一端部をY軸方向に対して傾斜する姿勢にガイドする部位である。正極電源ケーブル31の一端部には、汎用の例えば丸端子311が取り付けられている。この丸端子311は、複数の蓄電素子11のうちの、Y軸プラス方向の端部の蓄電素子11の正極端子11bに対して、検出線13aの接続端子19とともに、ナット312でネジ止めされている。ガイド部80は、正極電源ケーブル31の一端部を側方から支えることで、当該一端部をY軸方向に対して傾斜する姿勢にガイドしている。
【0069】
ここで、正極電源ケーブル31の一端部がY軸方向に対して直交する姿勢で配置されている場合、つまり、正極電源ケーブル31の一端部がX軸方向に沿う姿勢で配置されている場合を想定する。正極電源ケーブル31は、検出線13aと比べて太く曲がりにくいために、丸端子311を介して一端部がY軸方向に直交する姿勢に配置されていると、
図7に示す破線L2のように連結部73側にはみ出るおそれがある。これを許容するには、第一保持部71をX軸マイナス方向に大きくしなければならないが、そうなると排気部50を小型にする必要がある。つまり、排気経路59が狭まることで排気性能が低下する可能性がある。
【0070】
本実施の形態では、ガイド部80が、正極電源ケーブル31の一端部をY軸方向に対して傾斜する姿勢にガイドしていることにより、正極電源ケーブル31を急峻に曲げなくともよくなる。これにより、第一保持部71を大型にしなくても、第一ケーブル経路部715内に正極電源ケーブル31を収容することができる。
【0071】
具体的に説明すると、ガイド部80は、第一囲壁712のY軸プラス方向の端部に設けられている。第一囲壁712のY軸プラス方向の端部は、XZ平面に平行な平板状の第一壁体718と、YZ平面に平行な平板状の第二壁体719とを有している。この第一壁体718と第二壁体719との間に配置され、第一壁体718と第二壁体719とを連結する部位がガイド部80である。ガイド部80は、第一囲壁712におけるY軸プラス方向の端部に設けられた角部であるとも言える。ガイド部80は、複数の蓄電素子11のうち、Y軸プラス方向の端部に配置された蓄電素子11と、第一バスバー群131のうち、Y軸プラス方向の端部に配置されたバスバー13との間に配置されており、障壁として機能する。例えば、万が一、蓄電素子11から正極電源ケーブル31の一端部が外れたときや、接続作業時あるいは取り外し作業時に、正極電源ケーブル31の一端部がバスバー13に触れようとすることをガイド部80で遮ることができる。
【0072】
ガイド部80は、平板状の壁体であり、その平面状の外側面81が正極電源ケーブル31の一端部を側方から支えている。これにより、正極電源ケーブル31の一端部は直線的な状態で支持されている。ここで、ガイド部80の外側面81とY軸方向とがなす鋭角側の角度αは45度未満である。つまり、ガイド部80によりガイドされた正極電源ケーブル31の一端部もY軸方向に対して概ね同角度で配置される。このため、正極電源ケーブル31の他端部がY軸マイナス方向に引っ張られた際の、正極電源ケーブル31の一端部と蓄電素子11との接続部分にかかるモーメントを小さくすることができる。
【0073】
また、第一ケーブル経路部715には、ガイド部80よりもY軸マイナス方向の箇所には、正極電源ケーブル31を係止する係止片717が設けられている。具体的には、係止片717は、ガイド部80の延長線(破線L3)上に配置されている。係止片717は、正極電源ケーブル31におけるY軸方向に沿った部位と、傾斜した部位との境界部分を係止している。正極電源ケーブル31の他端部がY軸マイナス方向に引っ張られた場合に、係止片717がその張力の一部を受けることとなる。したがって、正極電源ケーブル31の一端部と蓄電素子11との接続部分にかかるモーメントをより小さくすることができる。
【0074】
[5 検出線保持部]
図4に示すように、複数の検出線保持部90のうち、一つの検出線保持部90は、Y軸マイナス方向の端部に配置された蓄電素子11の近傍に配置されている。また、残りの各検出線保持部90は、第一バスバー群131のうちの一つのバスバー13に接続された一対の蓄電素子11のうち、Y軸マイナス方向の蓄電素子11の近傍に配置されている。検出線保持部90は、概ね同一な構成であるために、ここでは一つの検出線保持部90を例示して説明する。
【0075】
図8は、実施の形態に係る検出線保持部90の概略構成を示す斜視図である。
図9は、実施の形態に係る検出線保持部90の概略構成を示す断面図である。
【0076】
図8及び
図9に示すように、検出線保持部90は、当該検出線保持部90の近傍の蓄電素子11に接続された第一検出線13a1を保持している。
【0077】
まず、第一検出線13a1の接続端子19について説明する。接続端子19は、第一検出線13a1の先端部に接続されている。接続端子19は、板金から形成されており、その基部191が先端部192よりも上方に位置するように段差状に形成されている。基部191には、第一検出線13a1の先端部を固定する固定爪193が設けられている。固定爪193と基部191とが第一検出線13a1を挟持することで、当該第一検出線13a1を固定している。接続端子19の先端部192は、基部191の先端から連続して垂れ下がった垂下部194と、垂下部194の先端から連続し、基部191と平行に延設された取付部195とを有している。取付部195は、平面視(Z軸方向視)で円環状に形成されており、その開口内に蓄電素子11の電極端子(例えば正極端子11b)が挿通されている。正極端子11bには、バスバー13及び取付部195が貫通された状態でナット115がネジ止めされている。これによりバスバー13及び取付部195が正極端子11bに固定されている。なお、第二検出線13a2の接続端子についても第一検出線13a1の接続端子19と同等である。
【0078】
次に、検出線保持部90について詳細に説明する。検出線保持部90は、当該検出線保持部90の近傍の蓄電素子11に接続される第一検出線13a1及びその接続端子19を保持している。以降の説明において、複数の第一検出線13a1のうち、検出線保持部90の近傍の蓄電素子11に接続される第一検出線13a1を接続対象線13b1と称し、接続対象線13b1とは異なる他の第一検出線13a1を非対象線13c1と称す。
【0079】
具体的には、検出線保持部90は、第一ケーブル経路部715の内底面よりも上方(Z軸プラス方向)に配置されている。検出線保持部90は、第一壁部91と、第二壁部92と、第三壁部93と、バネ部94とを有している。
【0080】
第一壁部91は、接続端子19の基部191を下方から支持する部位である。第一壁部91は、第一ケーブル経路部715の内底面よりも上方で、当該内底面に対して平行に配置された平板状の部位である。第一ケーブル経路部715の内底面において、第一壁部91に対向する部分には開口715aが形成されている。第一ケーブル経路部715の内底面と、第一壁部91とは上下方向で離間しているので、当該内底面と第一壁部91とがなす空間内に、複数の非対象線13c1が配置されている。このとき、複数の非対象線13c1は、開口715a上に架け渡されている。一方、接続対象線13b1の接続端子19は、第一壁部91上に配置されることで、複数の非対象線13c1の上方で保持されている。つまり、平面視(Z軸方向視)では、接続端子19と複数の非対象線13c1の少なくとも一本とが重なって配置されている。第一ケーブル経路部715の内底面と第一壁部91とがなす空間は、少なくとも一本の非対象線13c1が接続対象線13b1の接続端子19に平面視で重ねることができる大きさとする必要がある。
【0081】
第一壁部91における上面には、接続端子19の基部191をY軸方向で挟むように配置された一対の規制突起911が設けられている。この一対の規制突起911に基部191が挟まれることにより、接続端子19のY軸方向の位置決めがなされている。また、第一壁部91における蓄電素子11側の端面(X軸プラス方向の端面)には、接続端子19の垂下部194が当接されている。これにより、接続端子19のX軸方向の位置決めがなされている。
【0082】
第二壁部92は、第一壁部91の下方であって、第一壁部91をY軸方向で挟む位置に設けられた平板状の部位である。第二壁部92は、第一囲壁712の一部でもある。第二壁部92は、第一壁部91のX軸プラス方向の端部に対応した位置に配置されている。第二壁部92は、接続端子19の垂下部194と非対象線13c1との間に配置されている。これにより、第二壁部92が障壁となるため、非対象線13c1と接続端子19との干渉を抑制することができる。さらに、組立時においては、非対象線13c1を、第一ケーブル経路部715の内底面に沿ってスライドさせて、第二壁部92に当接させれば、平面視で接続端子19に重なる位置に確実に配置することができる。
【0083】
第三壁部93は、第一壁部91の上面において、Y軸プラス方向の端部と、X軸マイナス方向の端部とに立設されている。つまり、第三壁部93は、正極電源ケーブル31と接続端子19との間に配置されている。第三壁部93が障壁となることにより、正極電源ケーブル31と接続端子19との干渉が防止されている。
【0084】
バネ部94は、接続端子19を規制する部位である。具体的には、バネ部94は、一対の板バネ941を有している。一対の板バネ941は、第一壁部91の上方に配置されており、Y軸方向で所定の間隔をあけて対向している。一対の板バネ941のそれぞれは、検出線保持部90の上端部から垂れ下がった棒状体である。一対の板バネ941のそれぞれは、下方に向かうにしたがって他方の板バネ941に近づくように傾斜している。つまり、一対の板バネ941におけるY軸方向の間隔は、下端部では最も狭く、上端部では最も広くなっている。組立時において、接続端子19の基部191を一対の板バネ941の間に配置し、当該一対の板バネ941に沿わせながら下降させると、一対の板バネ941が弾性変形して、接続端子19の下降を許容する。接続端子19の基部191が一対の板バネ941の下端部を通過すると、一対の板バネ941が元の形状に復帰する。このとき、一対の板バネ941の下端部は、接続端子19の基部191の直上に配置される。つまり、一対の板バネ941は、接続端子19の基部191を保持している。これにより、一対の板バネ941が接続端子19の上昇を規制することとなり、接続端子19における上下方向で位置決めされる。
【0085】
ここで、複数の検出線保持部90は全て同形状であるが、第一ケーブル経路部715の内底面と第一壁部91とがなす空間内に配置された非対象線13c1の本数が異なる。具体的には、
図4に示すように、最も第一切欠711aから遠い検出線保持部90、つまり最もY軸プラス方向に配置された検出線保持部90は、当該空間に非対象線13c1が配置されていない。それよりもY軸マイナス方向に向かうにしたがって、当該空間内に配置される非対象線13c1の本数を1本ずつ増加させることが可能である。なお、非対象線13c1の本数が多い箇所においては、一つの検出線保持部90の前記空間を全ての非対象線13c1が配置されていてもよいし、配置されていなくてもよい。
【0086】
[6 効果の説明]
以上のように、本実施の形態に係る蓄電装置1によれば、Y軸方向(所定の方向)に沿って配列された複数の蓄電素子11と、複数の蓄電素子11に電気的に接続される複数のバスバー13と、複数の蓄電素子11のうち、少なくとも二つの蓄電素子11の状態を検出するため、前記少なくとも二つの蓄電素子11のそれぞれに電気的に接続された複数の検出線13aと、複数の蓄電素子11上に配置されて、複数のバスバー13及び複数の検出線13aを保持するバスバーフレーム12(バスバー保持部材)と、を備え、バスバーフレーム12は、前記少なくとも二つの蓄電素子11のうち一つの蓄電素子11の近傍に配置され、当該蓄電素子11に接続された接続対象線13b1の接続端子19を、他の蓄電素子11に接続された非対象線13c1の上方で保持する検出線保持部90を有している。
【0087】
これによれば、検出線保持部90が、接続対象線13b1の接続端子19を非対象線13c1の上方で保持しているので、当該接続端子19と、非対象線13c1とを上面視で重ねて配置することができる。これにより、接続端子19と非対象線13c1とが平面的に広がって配置されにくくなり、省スペース化を図ることができる。
【0088】
特に、本実施の形態では、第一ケーブル経路部715内に複数の第一検出線13a1と正極電源ケーブル31とが収容されているので、第二ケーブル経路部725と比べてもスペース的な制約が大きい。しかし、上述したように接続端子19と、非対象線13c1とを上面視で重ねて配置することができれば、第一ケーブル経路部715内での正極電源ケーブル31の設置スペースを確保することができる。
【0089】
また、検出線保持部90は、接続端子19を、当該接続端子19の平面視で非対象線13c1に対して重なる位置で保持している。
【0090】
これによれば、平面視において接続端子19が非対象線13c1に対して重なる位置に配置されているので、接続端子19と、非対象線13c1とを確実に重ねて配置することができる。これにより、より確実に省スペース化を図ることができる。
【0091】
また、検出線保持部90は、保持している接続対象線13b1の接続端子19と、非対象線13c1との間に介在する第一壁部91を有している。
【0092】
これによれば、検出線保持部90の第一壁部91が、保持している接続端子19と、非対象線13c1との間に介在しているので、接続端子19が非対象線13c1に対して干渉することを抑制できる。したがって、接続端子19が非対象線13c1を損傷させてしまうことを抑制することができ、当該損傷を起因とした短絡の発生を抑制できる。これにより、短絡防止用の専用の部材を設けなくてもよいので、より省スペース化を図ることができる。
【0093】
また、検出線保持部90は、接続端子19を規制するバネ部94を有する。
【0094】
これによれば、検出線保持部90が接続端子19を規制するバネ部94を有しているので、バネ部94によって、接続端子19の位置ずれを抑制することができる。
【0095】
また、検出線保持部90は、当該検出線保持部90の下方を通過する非対象線13c1を上方から規制する第一壁部91と、当該非対象線13c1を一側方から規制する第二壁部92とを有している。
【0096】
これによれば、検出線保持部90の第一壁部91が非対象線13c1の上方への移動を規制し、第二壁部92が非対象線13c1の側方への移動を規制しているので、非対象線13c1が移動して接続端子19に干渉してしまうことを抑制することができる。
【0097】
また、接続端子19は、基部191が、蓄電素子11に接続される先端部192よりも上方に位置するように段差状に形成されており、検出線保持部90は、接続端子19の基部191を保持している。
【0098】
これによれば、接続端子19が段差状に形成されており、蓄電素子11に接続される先端部192よりも上方に位置する基部191が検出線保持部90によって保持されているので、検出線保持部90の下部に非対象線13c1の空間を容易に形成することができる。
【0099】
また、本実施の形態に係る蓄電装置1によれば、Y軸方向(所定の方向)に沿って配列された複数の蓄電素子11と、複数の蓄電素子11に電気的に接続される複数のバスバー13と、複数の蓄電素子11上に配置されて、複数のバスバー13を保持するバスバーフレーム12(バスバー保持部材)と、複数の蓄電素子11のうち、一つの蓄電素子11に対して電気的に接続される正極電源ケーブル31(電源ケーブル)と、を備え、バスバーフレーム12は、複数のバスバー13よりも内方に配置され、Y軸方向に沿う姿勢で正極電源ケーブル31が配置される第一ケーブル経路部715(ケーブル経路部)を有し、第一ケーブル経路部715は、正極電源ケーブル31における一つの蓄電素子11に接続される一端部を、Y軸方向に対して傾斜する姿勢にガイドするガイド部80を有する。
【0100】
これによれば、正極電源ケーブル31の一端部を複数の蓄電素子11の並び方向(Y軸方向)に対して傾斜させれば、直交する場合よりも接続構造の設置スペースを確保しつつ、正極電源ケーブル31の曲げ量を小さくすることができる。つまり、汎用の例えば丸端子311を採用することが可能となる。このように、バスバーフレーム12には、正極電源ケーブル31の一端部をY軸方向に対して傾斜する姿勢にガイドするガイド部80が設けられているので、正極電源ケーブル31に対する負担を抑えつつ、正極電源ケーブル31の一端部を安定して保持することが可能である。
【0101】
また、複数の蓄電素子11は、それぞれガス排出弁111を有し、当該ガス排出弁111が同一方向を向く姿勢で配列されており、第一ケーブル経路部715は、複数のバスバー13と複数の蓄電素子11のそれぞれのガス排出弁111との間に配置されている。
【0102】
これによれば、第一ケーブル経路部715が複数のバスバー13と複数の蓄電素子11のそれぞれのガス排出弁111との間に配置されているので、第一ケーブル経路部715内の正極電源ケーブル31もガス排出弁111から退避した位置に配置される。したがって、ガス排出弁111から排出されたガスに正極電源ケーブル31を晒されにくくすることができる。これにより、ガス排出中の正極電源ケーブル31に対する負担を抑制することができる。
【0103】
また、ガイド部80が平面状であるので、正極電源ケーブル31の一端部を直線状にしてガイドすることができる。したがって、正極電源ケーブル31に対する負担をより抑制することができる。
【0104】
また、ガイド部80と、Y軸方向とがなす鋭角側の角度αが45度未満である。
【0105】
これによれば、ガイド部80と、Y軸方向とがなす鋭角側の角度αが45度未満であるので、ガイド部80によりガイドされた正極電源ケーブル31の一端部もY軸方向に対して概ね同角度で配置される。このため、正極電源ケーブル31の他端部が引っ張られた際の、正極電源ケーブル31の一端部と蓄電素子11との接続部分にかかるモーメントを小さくすることができる。したがって、正極電源ケーブル31の一端部と蓄電素子11との接続を安定させることが可能である。
【0106】
また、ガイド部80は、複数のバスバー13のうち一つのバスバー13と、一つの蓄電素子11との間に配置されている。
【0107】
これによれば、ガイド部80が、複数のバスバー13のうち一つのバスバー13と、一つの蓄電素子11との間に配置されているので、万が一、正極電源ケーブル31の一端部が蓄電素子11からはずれたとしてもガイド部80が障壁となり、バスバー13や他の蓄電素子11に干渉してしまうことを抑制できる。
【0108】
また、本実施の形態に係る蓄電装置1によれば、それぞれガス排出弁111を有し、当該ガス排出弁111が同一方向を向く姿勢で配列された複数の蓄電素子11と、複数の蓄電素子11に電気的に接続される複数のバスバー13と、複数の蓄電素子11上に配置されて、複数のバスバー13を保持するバスバーフレーム12(バスバー保持部材)と、を備え、蓄電素子11は、上面にガス排出弁111を有する容器11a(本体部)と、容器11aの上面に配置された一対の電極端子(正極端子11b及び負極端子11c)とを備え、バスバーフレーム12は、複数の蓄電素子11上であってガス排出弁111の一側方に配置される第一保持部71と、複数の蓄電素子11上であってガス排出弁111の他側方に配置される第二保持部72と、複数の蓄電素子11のうち、隣り合う少なくとも一対の蓄電素子11の間に配置され、第一保持部71と第二保持部72とを連結する梁部731とを備え、梁部731の一部の上端面(底面733)は、容器11aの上面11eよりも下方または面一に配置されている。
【0109】
これによれば、隣り合う少なくとも一対の蓄電素子11の間に梁部731が配置されているので、各蓄電素子11のガス排出弁111は露出された状態となる。このため、ガス排出弁111から排出されたガスの影響を梁部731が受けることを抑制できる。また、梁部731の底面733が、蓄電素子11の容器11aの上面11eよりも下方または面一に配置されているので、当該部位の直上のスペースを確保することができる。したがって、蓄電装置1内のスペース効率を高めることができる。これらのことにより、蓄電装置1内のスペース効率を高めつつも、梁部731に対するガスの影響を抑制することが可能である。
【0110】
また、梁部731は、隣り合う複数対の蓄電素子11のそれぞれの間に配置されている。
【0111】
これによれば、隣り合う複数対の蓄電素子11のそれぞれの間に梁部731が配置されているので、第一保持部71と第二保持部72とが複数の梁部731で連結されている。これにより、バスバーフレーム12の剛性を高めることができる。また、各梁部731においても、その底面733が蓄電素子11の容器11aの上面11eよりも下方または面一に位置しているので、各梁部731において当該部位の直上のスペースを確保することができる。したがって、蓄電装置1内のスペース効率をより高めることができる。
【0112】
また、蓄電装置1は、バスバーフレーム12の梁部731上に配置され、ガス排出弁111から排出されたガスの排気経路59をなす排気部材60を備える。
【0113】
これによれば、排気部材60が梁部731上に配置されているので、当該排気部材60が梁部731をガスから保護することができる。したがって、梁部731に対するガスの影響をより抑制することができる。
【0114】
また、梁部731は、前記一部の上端面をなす凹部732を有しており、凹部732内に排気部材60が配置されている。
【0115】
これによれば、梁部731には、蓄電素子11の容器11aの上面11eよりも低いまたは面一な上端面(底面733)をなす凹部732が設けられており、この凹部732内に排気部材60が配置されているので、排気部材60の一部を蓄電素子11の容器11aの上面に寄せて配置することができる。これにより、排気部材60、つまり排気経路59をより大きく形成することができ、スムーズなガスの排気が可能となる。したがって、排気部材60内の高温化をより抑制することができる。
【0116】
また、梁部731の凹部732内に排気部材60の一部が配置されているので、凹部732によって排気部材60を位置決めすることができる。
【0117】
また、蓄電装置1は、複数の蓄電素子11のそれぞれの状態を検出するための複数の検出線13aを備え、第一保持部71は、複数の検出線13aのうち少なくとも一つの第一検出線13a1の経路である第一ケーブル経路部715(第一検出線経路)を有し、第二保持部72は、複数の検出線13aのうち、前記少なくとも一つの第一検出線13a1以外の第二検出線13a2の経路である第二ケーブル経路部725(第二検出線経路)を有し、第一検出線13a1及び第二検出線13a2は、第一保持部71及び第二保持部72の間を回避して配置されている。
【0118】
これによれば、第一検出線13a1は、第一ケーブル経路部715内に配置された状態で、第一保持部71及び第二保持部72の間を回避して配置されている。一方、第二検出線13a2は、第二ケーブル経路部725内に配置された状態で、第一保持部71及び第二保持部72の間を回避して配置されている。このように、第一検出線13a1及び第二検出線13a2が第一保持部71及び第二保持部72の間を回避して配置されているので、第一保持部71及び第二保持部72の間の空間、つまり梁部731の直上のスペースをより確保することができる。
【0119】
また、第一保持部71及び第二保持部72の間、つまりガス排出弁111から回避して、第一検出線13a1及び第二検出線13a2が配置されているので、ガス排出弁111から排出されたガスに第一検出線13a1及び第二検出線13a2を晒されにくくすることができる。
【0120】
[7 変形例の説明]
以上、本実施の形態に係る蓄電装置1について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0121】
例えば、上記実施の形態では、ガイド部80が第一囲壁712の角部である場合を例示したが、ガイド部は第一囲壁712とは別体の部位であってもよい。この場合、第一囲壁712に依存せずにガイド部の形状を決定することができる。例えば、係止片717と一体化されたガイド部とすれば、正極電源ケーブル31の一端部をより広範囲に支えることができる。
【0122】
また、上記実施の形態では、ガイド部80の外側面81とY軸方向とがなす鋭角側の角度αが45度未満である場合を例示したが、45度以上であってもよい。
【0123】
また、上記実施の形態では、ガイド部80が正極電源ケーブル31の一端部を側方から支える場合を例示したが、ガイド部80が正極電源ケーブル31の丸端子311を側方から支えてもよい。
【0124】
また、上記実施の形態では、ガイド部80の外側面81が平面状である場合を例示したが、ガイド部の外側面は凹状あるいは凸状の湾曲面であってもよい。正極電源ケーブル31の他端部が引っ張られた際の張力を吸収するという観点では、ガイド部の外側面は凸状の湾曲面であることが好ましい。
【0125】
また、上記実施の形態では、隣り合う複数対の蓄電素子11の全ての間に梁部731が配置されている場合を例示したが、梁部は、少なくとも一対の蓄電素子の間に設けられていればよい。
【0126】
また、上記実施の形態では、梁部731の直上に排気部材60が配置される場合を例示した。しかしながら、梁部731の直上に配置される部材としては、排気部材60以外の他の部材であってもよい。この場合においても、梁部の一部の上端面が蓄電素子11の容器11aの上面11eよりも下方または面一に配置されているので、他の部材の設置スペースをより広く確保することができる。
【0127】
また、上記実施の形態では、梁部731に凹部732が設けられている場合を例示した。しかしながら、梁部は全長にわたって均等な形状であってもよい。この場合、梁部の上面の全てを、蓄電素子11の容器11aの上面11eよりも下方または面一に配置すればよい。
【0128】
また、上記実施の形態では、接続端子19が段差形状である場合を例示したが、接続端子19は平板状であってもよい。
【0129】
また、上記実施の形態では、検出線保持部90と検出線係止部99とが異なる構成である場合を例示したが、検出線係止部99を検出線保持部90と同構成としてもよい。この場合、第二ケーブル経路部725内のスペース効率が高められるので、第二ケーブル経路部725内に、第二検出線13a2とは異なる部材を新たに収容することも可能である。
【0130】
また、上記実施の形態では、複数の蓄電素子11の全てに対して検出線13aが接続されている場合を例示した。しかしながら、例えば温度検出用の検出線であると、複数の蓄電素子の全てに検出線が接続されない場合がある。つまり、温度検出用の検出線は、複数の蓄電素子のうち、少なくとも二つの蓄電素子の状態を検出するため、少なくとも二つの蓄電素子のそれぞれに電気的に接続されていればよい。具体的には、Y軸方向で両端の蓄電素子と、中央の蓄電素子とにのみ温度検出用の検出線が接続される場合がある。この場合においても、検出線保持部は、少なくとも二つの蓄電素子のうち一つの蓄電素子の近傍に配置され、当該蓄電素子に接続された検出線の接続端子を、他の蓄電素子に接続された他の検出線の上方で保持すればよい。この場合においても、蓄電素子に接続された検出線の接続端子と他の検出線とが平面的に広がって配置されにくくなり、省スペース化を図ることができる。
【0131】
図10は、変形例1に係る検出線保持部715bの概略構成を示す断面図である。
図10は、
図9に対応する図である。
図10に示すように、検出線保持部715bでは、非対象線13c1が、正極電源ケーブル31の下方に配置されている。このように、非対象線13c1は、正極電源ケーブル31の下方に配置されていてもよい。具体的には、少なくとも1つの非対象線13c1は、検出線保持部90の下方に配置されており、残りの非対象線13c1は、正極電源ケーブル31の下方に配置されている。これにより、正極電源ケーブル31で非対象線13c1の浮きを抑制することが可能である。
【0132】
図11は、変形例2に係るバスバーフレーム12bであって、ガイド部80の近傍を示す斜視図である。
図11に示すように、バスバーフレーム12bには、ガイド部80の近傍にスロープ部89bが設けられている。具体的には、スロープ部89bは、第一ケーブル経路部715の内底面であって、ガイド部80の近傍に配置されている。より具体的には、スロープ部89bは、ガイド部80bの外側面81に隣り合う位置に配置されている。スロープ部89bは、外側面81に沿って延設された溝部である。スロープ部89b内には、正極電源ケーブル31が収容されている。スロープ部89bの底面は、正極端子11bに向かうにつれて低位となるように傾斜している。つまり、スロープ部89bの底部は、正極端子11bに向かうにつれて肉厚が薄くなっている。このようにスロープ部89bの底面が傾斜しているので、スロープ部89b内で角張った部位が正極電源ケーブル31に当接しにくくなる。したがって、正極電源ケーブル31の損傷を抑制することができる。また、正極電源ケーブル31がスロープ部89b内に収容されているので、正極電源ケーブル31の位置ずれも抑制することができる。正極電源ケーブル31における一端部は、スロープ部89bに収容されると、Y軸方向に対して傾斜する姿勢となる。つまり、スロープ部89bは、本開示に係るガイド部の一例であるとも言える。
【0133】
また、本発明は、蓄電装置1として実現することができるだけでなく、複数のバスバーを保持するバスバーフレーム12(バスバー保持部)としても実現することができる。
【0134】
また、上記実施の形態及びその変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0136】
1 蓄電装置
10 蓄電ユニット
11 蓄電素子
11a 容器(本体部)
11b 正極端子(電極端子)
11c 負極端子(電極端子)
11d スペーサ
11e 上面
12、12b バスバーフレーム(バスバー保持部材)
13 バスバー
13a 検出線
13a1 第一検出線
13a2 第二検出線
13b コネクタ
13b1 接続対象線
13c1 非対象線(他の検出線)
14 外装体本体
15 外装体支持体
15a 底部
15b、15c、17b、17c 接続部
16 基板ユニット取付部
17 外装体蓋体
17a 天面部
18 外装体
19 接続端子
20 基板ユニット
30 ケーブル
31 正極電源ケーブル(電源ケーブル)
32 負極電源ケーブル
50 排気部
51 排気口部
59 排気経路
60 排気部材
61 孔部
62 凸部
65 蓋部材
71 第一保持部
72 第二保持部
73 連結部
80 ガイド部
81 外側面
89b スロープ部
90 検出線保持部
91 第一壁部
92 第二壁部
93 第三壁部
94 バネ部
99 検出線係止部
100 基板収容部
111 ガス排出弁
115、312 ナット
131 第一バスバー群
132 第二バスバー群
191 基部
192 先端部
193 固定爪
194 垂下部
195 取付部
200 基板
311 丸端子
711 第一外壁部
711a、711b 第一切欠
712 第一囲壁
713 第一区画壁
714 第一仕切部
715 第一ケーブル経路部(ケーブル経路部、第一検出線経路)
715a 開口
715b 検出線保持部
717 係止片
718 第一壁体
719 第二壁体
721 第二外壁部
721a 第二切欠
722 第二囲壁
723 第二区画壁
724 第二仕切部
725 第二ケーブル経路部(第二検出線経路)
731 梁部
732 凹部
733 底面(上端面)
911 規制突起
941 板バネ
L2 破線
L3 破線
L5 二点鎖線
α 角度