(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】船外機
(51)【国際特許分類】
B63H 20/08 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
B63H20/08 510
(21)【出願番号】P 2019193945
(22)【出願日】2019-10-25
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(72)【発明者】
【氏名】福地 智
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】実開平3-17997(JP,U)
【文献】特開平4-5194(JP,A)
【文献】特開昭61-31732(JP,A)
【文献】特開平8-315889(JP,A)
【文献】特開2014-148271(JP,A)
【文献】特開2010-255848(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102649472(CN,A)
【文献】特開2000-128085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 20/08
B63H 20/02
B63H 20/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船外機本体と、
船体に取り付けられるクランプブラケットと、
前記船外機本体を前後に揺動させるチルトシリンダを有するチルト・トリムユニットと、
前記クランプブラケットの下端に位置する左右一対の軸受部、及び当該左右一対の軸受部の間に位置する前記チルト・トリムユニットの下端の軸受部に挿入されるロアシャフトと、を備える船外機であって、
前記チルト・トリムユニットの前記軸受部の長さは、前記チルトシリンダの外径長さとほぼ同じ長さであり、
前記クランプブラケットの左右一対の前記軸受部は、前記チルト・トリムユニットの前記軸受部の両端に隣接して位置し、
前記ロアシャフトは、一端が前記クランプブラケットに対して回転を規制され、他端が前記クランプブラケットに対して締め付けられて固定され、
複数の前記船外機が並んで前記船体に取り付けられ、
左右一対の前記軸受部のうち前記ロアシャフトの前記他端側の前記軸受部、及び前記チルト・トリムユニットの前記軸受部の長さの和は、前記船外機の左右方向における最大幅と前記ロアシャフトの全長との差以下であ
り、
前記ロアシャフトの全長は、前記船外機の左右方向における最大幅と前記ロアシャフトの全長との差以下であり、
前記ロアシャフトは、前記複数の船外機の間から挿入し、前記複数の船外機の両端側から前記クランプブラケットに対して締め付けられて固定されることを特徴とする船外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船外機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船外機本体を前後に揺動させるチルト・トリムユニットが、船体に取り付けられるクランプブラケットの下端に位置するロアシャフトによって支持される船外機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、チルト・トリムユニットの整備や交換の必要が生じた場合、船外機が船体に取り付けられた状態でチルト・トリムユニットを取り外して整備や交換を行うことが、サービス性の向上、工数削減、交換費用低減などの観点から望ましい。このように船外機が船体に取り付けられた状態でチルト・トリムユニットを取り外すためには、ロアシャフトが少なくとも左右一方のクランプブラケットの軸受部とチルト・トリムユニットの軸受部とから抜き出されなければならない。
【0005】
特に複数の船外機が並んで船体に取り付けられた多機掛け状態で使用される場合、ロアシャフトの抜き出し時に、隣接する船外機にロアシャフトが干渉することがある。なお、ロアシャフトを船外機から抜き出すためには、ロアシャフトがクランプブラケット及びチルト・トリムユニットの軸受部に対して簡単な構造で取り付けられていることが望ましい。
【0006】
本発明は、上述の実情に鑑みてなされたものであり、船外機本体を前後に揺動させるチルト・トリムユニットを狭いスペースで取り外すことができる船外機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の船外機は、船外機本体と、船体に取り付けられるクランプブラケットと、前記船外機本体を前後に揺動させるチルトシリンダを有するチルト・トリムユニットと、前記クランプブラケットの下端に位置する左右一対の軸受部、及び当該左右一対の軸受部の間に位置する前記チルト・トリムユニットの下端の軸受部に挿入されるロアシャフトと、を備える船外機であって、前記チルト・トリムユニットの前記軸受部の長さは、前記チルトシリンダの外径長さとほぼ同じ長さであり、前記クランプブラケットの左右一対の前記軸受部は、前記チルト・トリムユニットの前記軸受部の両端に隣接して位置し、前記ロアシャフトは、一端が前記クランプブラケットに対して回転を規制され、他端が前記クランプブラケットに対して締め付けられて固定され、複数の前記船外機が並んで前記船体に取り付けられ、左右一対の前記軸受部のうち前記ロアシャフトの前記他端側の前記軸受部、及び前記チルト・トリムユニットの前記軸受部の長さの和は、前記船外機の左右方向における最大幅と前記ロアシャフトの全長との差以下であり、前記ロアシャフトの全長は、前記船外機の左右方向における最大幅と前記ロアシャフトの全長との差以下であり、前記ロアシャフトは、前記複数の船外機の間から挿入し、前記複数の船外機の両端側から前記クランプブラケットに対して締め付けられて固定される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、船外機本体を前後に揺動させるチルト・トリムユニットを狭いスペースで取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る船外機が2機配置された船舶を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態におけるロアシャフトの抜き出し状態を説明するための、2機の船外機の一部を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施形態におけるロアシャフトの抜き出し状態を説明するための、船外機の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る船外機について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る船外機1が2機配置された船舶100を示す斜視図である。
図2及び
図3は、ロアシャフト30の抜き出し状態を説明するための、2機の船外機1の一部を示す正面図及び船外機1の一部を示す断面図である。
【0011】
図1に示すように、船外機1は、船舶100の船体101の後部である船尾に取り付けられる船舶推進装置である。船外機1は、船体101に対して前後方向及び左右方向に向きを変えることが可能であるが、
図1~
図3では、初期状態の船外機1におけるプロペラ14の回転軸(プロペラシャフト)を前後方向として、互いに直交する、前後、上下、及び左右の各方向を矢印で示す。なお、前方が船体101側で、後方が船外機1側である。また、右方は、船外機1から船体101側に向かって右手側で、左方は左手側である。
【0012】
船舶100は、ステアリングハンドル102を備える。このステアリングハンドル102が操作されると、後述する船外機1のステアリングブラケット60及び図示しない操舵軸を介して船外機1を左右に旋回(揺動)させる力が伝えられる。
【0013】
船外機1は、船外機本体10を備える。この船外機本体10は、エンジンカバー11と、ドライブハウジング12と、ロアハウジング13と、プロペラ14と、を備える。
【0014】
エンジンカバー11は、アッパカバー11a及びロアカバー11bを有する。エンジンカバー11は、プロペラ14を駆動する図示しないエンジンを密閉状態となるように覆う。このエンジンの図示しないドライブシャフトは、ドライブハウジング12の内部を通ってロアハウジング13の内部まで延び、プロペラ14に連結されるプロペラシャフトに例えばベベルギア機構を介して動力を伝達する。そして、プロペラ14が回転することによって、船外機1による推進力が発生する。
【0015】
船外機1は、上述の船外機本体10と、
図2及び
図3に示すクランプブラケット20及びロアシャフト30と、
図3に示すチルト・トリムユニット40、スイベルブラケット50、及びステアリングブラケット60と、を備える。
【0016】
図2に示すように、クランプブラケット20は、左ブラケット21及び右ブラケット22を有する。左ブラケット21及び右ブラケット22のそれぞれには、クランプブラケット20を上述の船体101の後尾(トランサム)に対して取り付けるための複数の取付孔21a,22aが設けられている。左ブラケット21及び右ブラケット22のそれぞれの複数の取付孔21a,22aのうち任意の取付孔21a,22aにおいて船体101の後尾にボルトで取り付けを行うことによって、クランプブラケット20(船外機1)の船体101に対する高さ位置を調整することができる。
【0017】
図2とは左右が反転した断面図である
図3に示すように、左ブラケット21及び右ブラケット22の下端には、ロアシャフト30を支持する左右一対の軸受部21b,22bが設けられている。この左右一対の軸受部21b,22bは、後述するチルト・トリムユニット40の下端の軸受部42の両端に隣接して位置する。また、左ブラケット21の軸受部21bの左端、及び右ブラケット22の軸受部22bの右端には、ロアシャフト30よりも大径の非円形凹部21c,22cが設けられている。この非円形凹部21c,22cは、左右方向から見て、真円形状ではない凹部、例えば多角形状、楕円形状などの凹部である。
【0018】
図3に示すように、ロアシャフト30は、クランプブラケット20の左右一対の軸受部21b,22bと、これらの軸受部21b,22bの間に位置するチルト・トリムユニット40の下端の軸受部42と、に挿入される。
【0019】
ロアシャフト30には、非円形板金32と、ボルト33と、ワッシャ34と、が取り付けられる。
【0020】
ロアシャフト30の左端には、小径部30aが設けられている。この小径部30aに非円形板金32が例えば溶接により固定されている。この非円形板金32は、上述の左ブラケット21及び右ブラケット22の非円形凹部21c,22cと同様に、左右方向から見て、真円形状ではない形状、例えば多角形状、楕円形状などの形状を呈する。なお、非円形板金32は、左ブラケット21の非円形凹部21cに挿入されるが、ロアシャフト30が左右逆方向から軸受部21b,22b,42に挿入される場合には、右ブラケット22の非円形凹部22cに挿入される。このように、ロアシャフト30の挿入方向を左右で可変とすることができる。
【0021】
ロアシャフト30は、非円形板金32が左ブラケット21の非円形凹部21cに挿入されることによって、回転不能に左ブラケット21によって保持される。すなわち、ロアシャフト30の左端(一端の一例)は、左ブラケット21に対して回転を規制される。なお、ロアシャフト30の一端が左ブラケット21に対して回転を規制されるようにするためには、非円形板金32及び非円形凹部21cを用いた構成に限らず、ロアシャフト30の回転を規制するピンによって左ブラケット21とロアシャフト30とを位置決めする構成などの他の構成が用いられてもよい。
【0022】
ボルト33は、ロアシャフト30の右端に設けられたネジ孔30bに挿入され、ワッシャ34を介して非円形凹部22cにおいて右ブラケット22に固定される。このように、ロアシャフト30の右端(他端の一例)は、右ブラケット22に対して締め付けられて固定される。なお、
図2に示すように、船外機1が船体101に対して2機(複数の一例)配置される場合、ロアシャフト30は、2機の船外機1の両端側(右側の船外機1では右側)から右ブラケット22に対して締め付けられて固定されるとよい。
【0023】
チルト・トリムユニット40は、チルトシリンダ41と、軸受部42と、ブッシュ43,44と、チルトシリンダピン45と、左右一対のトリムシリンダ46(
図3では左側のトリムシリンダ46のみ図示)と、を有する。
【0024】
チルトシリンダ41は、軸受部42に連結されているピストンロッド41aと、このピストンロッド41aによって貫通されるピストン41bと、を有する片ロッドシリンダである。なお、軸受部42には、左右両側からブッシュ43,44が挿入されている。
【0025】
ピストン41bは、例えば油圧によってチルトシリンダ41内を摺動することによって、チルトシリンダ41の上部に設けられたチルトシリンダピン45のロアシャフト30に対する位置を可変に進退する。
【0026】
スイベルブラケット50は、前端上部の図示しないクランプ軸において、クランプブラケット20に対して前後方向に揺動可能に配置されている。そして、スイベルブラケット50は、左右一対のピン受部51によってチルトシリンダピン45を支持する。そのため、上述のチルトシリンダ41の作動によってチルトシリンダピン45のロアシャフト30に対する位置が変化することで、スイベルブラケット50が前後に揺動する。スイベルブラケット50は、上下方向に挿入される図示しない操舵軸、及びステアリングブラケット60を介して、船外機本体10に連結される。そのため、チルトシリンダ41の作動によってスイベルブラケット50とともに船外機本体10も前後方向に揺動する。
【0027】
なお、チルトシリンダ41の駆動により行う船外機本体10の揺動をチルト動作、トリムシリンダ46の駆動により行う船外機本体10の揺動をトリム動作とする。チルト動作は、停船中や船体101を陸揚げする場合に、船外機本体10を大きく傾けてプロペラ14を含む部分を水面上に上昇させる場合等に行われる。トリム動作は、プロペラ14が水中にある状態で、上下方向への船外機本体10の傾き角(トリム角)を調整して走行姿勢を変化させる場合等に行われる。このトリム動作を行うために作動する左右一対のトリムシリンダ46も、スイベルブラケット50ひいては船外機本体10を前後方向に揺動させる。
【0028】
ここで、ロアシャフト30、船外機1、クランプブラケット20の軸受部21b,22b、及びチルト・トリムユニット40の軸受部42の左右方向における長さの関係について説明する。
【0029】
まず、チルト・トリムユニット40の軸受部42の長さLaは、チルトシリンダ41の外径長さとほぼ同じ長さである。なお、例えば、軸受部42の長さLaが、チルトシリンダ41の外径長さの90%~110%の長さ程度であれば、軸受部42の長さLaは、チルトシリンダ41の外径長さとほぼ同じ長さ程度の関係とする。
【0030】
左ブラケット21の軸受部21bの長さを長さLb、右ブラケット22の軸受部22bの長さを長さLcとすると、上述のように左右一対の軸受部21b,22bがチルト・トリムユニット40の軸受部42の両端に隣接して位置するため、本実施形態では、軸受部42の長さLaと、軸受部21bの長さLbと、軸受部22bの長さLcと、の和が、ロアシャフト30の全長L1にほぼ一致する。
【0031】
チルト・トリムユニット40を船外機1から取り外すためには、ロアシャフト30がクランプブラケット20の一方の軸受部22b、及び軸受部42から抜き出る必要がある。そのため、ロアシャフト30は、一方の軸受部22bの長さLcと、軸受部42の長さLaと、の和である長さL2以上の長さで
図2に示すように抜き出されると、チルト・トリムユニット40を船外機1から取り外すことができる。
【0032】
ここで、
図2に示す船外機1(船外機本体10)の左右方向における最大幅を長さL3とすると、船外機1のロアシャフト30と、隣接する船外機1のロアシャフト30との互いに向き合う端部間の長さは、船外機1間の最小すき間を考えて、2機の船外機1の隙間がない場合を例にすると、船外機1の最大幅L3と、ロアシャフト30の全長L1と、の差の長さ(L3-L1)となる。この長さがロアシャフト30の抜き出しスペースの長さとなる。
【0033】
そのため、ロアシャフト30が軸受部22b(長さLc)及び軸受部42(長さLa)から抜き出るための長さL2(La+Lc)は、船外機1の最大幅L3と、ロアシャフト30の全長L1と、の差(L3-L1)以下となるとよい。
【0034】
また、ロアシャフト30を船外機1から完全に抜き出すために、ロアシャフト30の全長L1は、抜き出しスペースの長さ(L3-L1)以下の長さになるように短くするとよい。
【0035】
以上説明した本実施形態では、船外機1は、船外機本体10と、クランプブラケット20と、ロアシャフト30と、チルト・トリムユニット40と、を備える。クランプブラケット20は、船体101に取り付けられる。チルト・トリムユニット40は、船外機本体10を前後に揺動させるチルトシリンダ41を有する。ロアシャフト30は、クランプブラケット20の下端に位置する左右一対の軸受部21b,22b、及びこれら左右一対の軸受部21b,22bの間に位置するチルト・トリムユニット40の下端の軸受部42に挿入される。チルト・トリムユニット40の軸受部42の長さLaは、チルトシリンダ41の外径長さとほぼ同じ長さである。クランプブラケット20の左右一対の軸受部21b,22bは、チルト・トリムユニット40の軸受部42の両端に隣接して位置する。ロアシャフト30は、例えば非円形板金32が非円形凹部21cに挿入されることによって、左端(一端の一例)が左ブラケット21に対して回転を規制される。また、ロアシャフト30は、例えばボルト33によって右ブラケット22の非円形凹部22cにおいて固定されることによって、右端(他端の一例)が右ブラケット22に対して締め付けられて固定される。
【0036】
このように、チルト・トリムユニット40の軸受部42の長さLaがチルトシリンダ41の外径長さとほぼ同じ長さであり、且つ、クランプブラケット20の左右一対の軸受部21b,22bがチルト・トリムユニット40の軸受部42の両端に隣接して位置するため、ロアシャフト30の支持部分(軸受部21b,22b,42)の長さを短くすることができる。そのため、ロアシャフト30を少なくともチルト・トリムユニット40の軸受部42から抜き出すための抜き出し長さL2(軸受部42の長さLaと左ブラケット21の軸受部21bの長さLcと、の和の長さ)を短くすることができる。したがって、チルト・トリムユニット40の整備や交換の必要が生じた場合などに、狭いスペースでも最小限のロアシャフト30の抜き取りによって、チルト・トリムユニット40を取り外すことができる。よって、本実施形態によれば、船外機本体10を前後に揺動させるチルト・トリムユニット40を狭いスペースでも取り外すことができる。
【0037】
したがって、例えば、複数の船外機1が並んで船体101に取り付けられた多機掛け状態で使用される場合、ロアシャフト30の抜き出し時に、隣接する船外機1にロアシャフト30が干渉するのを回避することができる。また、船外機1を船体101に取り付けた状態のまま、チルト・トリムユニット40を取り外して整備や交換を行うことが可能なため、サービス性の向上、作業工数削減、交換費用低減などを図ることができる。更には、ロアシャフト30の一端(左端)が左ブラケット21に対して回転を規制され、他端(右端)が右ブラケット22に対して締め付けられて固定されるので、ロアシャフト30が両端側でクランプブラケット20に対して固定される態様と比較して、簡単な構造でロアシャフト30がクランプブラケット20に取り付けられている。これにより、ボルト33及びワッシャ34での締め付けがロアシャフト30の片側だけで済み、コストダウンや組立工数の削減を図ることもできる。
【0038】
また、本実施形態では、クランプブラケット20の左右一対の軸受部21b,22bのうち右側の軸受部22b、及びチルト・トリムユニット40の軸受部42の長さの和(Lc+La=L2)は、船外機1の左右方向における最大幅L3とロアシャフト30の全長L1との差以下(L2≦(L3-L1))である。ところで、上述のように、ロアシャフト30と、隣接する船外機1のロアシャフト30との端部間の長さは、2機の船外機1の隙間がない場合を例にすると、船外機1の最大幅L3と、ロアシャフト30の全長L1と、の差の長さ(L3-L1)となる。この長さがロアシャフト30の抜き出しスペースの長さとなる。そのため、複数の船外機1間の隙間がほとんどないほど密接して配置されていても、長さL2が、抜き出しスペースの長さ(L3-L1)以下(「L2≦(L3-L1)」)となることで、チルト・トリムユニット40を船外機1から取り外すために、ロアシャフト30をクランプブラケット20の一方の軸受部22b、及びチルト・トリムユニット40の軸受部42から抜き出すことができる。これにより、チルト・トリムユニット40を船外機1から取り外すことができる。
【0039】
また、本実施形態では、ロアシャフト30は、船外機1が船体101に複数配置され、複数の船外機1の両端側(右側の船外機1では右側)からクランプブラケット20に対して締め付けられて固定される。このような場合でも、ロアシャフト30の抜き出し時に、隣接する船外機1にロアシャフト30が干渉するのを回避することができる。
【0040】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。添付図面に図示されている構成や制御等については、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 船外機
10 船外機本体
11 エンジンカバー
11a アッパカバー
11b ロアカバー
12 ドライブハウジング
13 ロアハウジング
14 プロペラ
20 クランプブラケット
21 左ブラケット
21a 取付孔
21b 軸受部
21c 非円形凹部
22 右ブラケット
22a 取付孔
22b 軸受部
22c 非円形凹部
30 ロアシャフト
30a 小径部
30b ネジ孔
32 非円形板金
33 ボルト
34 ワッシャ
40 チルト・トリムユニット
41 チルトシリンダ
41a ピストンロッド
41b ピストン
42 軸受部
43,44 ブッシュ
45 チルトシリンダピン
46 トリムシリンダ
50 スイベルブラケット
51 ピン受け部
60 ステアリングブラケット
100 船舶
101 船体
102 ステアリングハンドル