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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20231212BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231212BHJP
   B41J 2/015 20060101ALI20231212BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B41J2/14 501
B41J2/01 403
B41J2/01 451
B41J2/015 101
B41J2/18
B41J2/14 605
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019195412
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021066159
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷内 章紀
(72)【発明者】
【氏名】浅見 昌広
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-103602(JP,A)
【文献】特開2007-260661(JP,A)
【文献】特表2004-511366(JP,A)
【文献】特開2019-166823(JP,A)
【文献】特開2019-142106(JP,A)
【文献】特開2017-124610(JP,A)
【文献】特開2017-094636(JP,A)
【文献】特開2012-192746(JP,A)
【文献】特開2018-089860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に液体を流通させる流路と、
前記液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、
前記流路に直接連通し、前記エネルギー発生素子により発生されたエネルギーによって前記第1方向と交差する吐出方向に前記液体を吐出するノズルと、を備える液体吐出ヘッドであって、
前記ノズル内の、前記吐出方向における特定の位置を第1位置とし、
前記ノズル内の、前記第1位置よりも前記吐出方向における下流側の特定の位置を第2位置とし、
前記ノズル内の、前記第1方向および前記吐出方向と交差する方向である第2方向における略中央を第3位置とし、
前記ノズル内の、前記第1方向における特定の位置を第4位置とし、
前記ノズル内の、前記第4位置よりも前記第1方向における前記ノズルの一端に近く、かつ、前記第4位置よりも前記第1方向における前記ノズルの中央から遠い特定の位置を第5位置とし、
前記吐出方向の位置が前記第1位置であり、前記第2方向の位置が前記第3位置である位置における、前記第1方向の前記ノズルの幅を、第1幅とし、
前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第2方向の位置が前記第3位置である位置における、前記第1方向の前記ノズルの幅を、第2幅とし、
前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第1方向の位置が前記第4位置である位置における、前記第2方向の前記ノズルの幅を、第3幅とし、
前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第1方向の位置が前記第5位置である位置における、前記第2方向の前記ノズルの幅を、第4幅としたとき、
前記第2幅は、前記第1幅よりも小さく、
前記第4幅は、前記第3幅よりも大きい、液体吐出ヘッド。
【請求項2】
請求項1記載の液体吐出ヘッドであって、
前記ノズル内の、前記第5位置よりも前記第1方向における前記ノズルの一端に近い特定の位置を、第6位置とし、
前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第1方向の位置が前記第6位置である位置における、前記第2方向の前記ノズルの幅を、第5幅としたとき、
前記第5幅は、前記第4幅より小さい、液体吐出ヘッド。
【請求項3】
請求項2記載の液体吐出ヘッドであって、
前記吐出方向の位置が前記第2位置である位置において、
前記第1方向の位置が前記第4位置から前記第5位置に向かうにしたがって、前記第2方向の前記ノズルの幅は、大きくなり、
前記第1方向の位置が前記第5位置から前記第6位置に向かうにしたがって、前記第2方向の前記ノズルの幅は、小さくなる、液体吐出ヘッド。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記ノズル内の、前記第4位置よりも前記第1方向における前記ノズルの他端に近い特定の位置を、第7位置とし、
前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第1方向の位置が前記第7位置である位置における、前記第2方向の前記ノズルの幅を、第6幅としたとき、
前記第6幅は、前記第3幅よりも大きい、液体吐出ヘッド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記吐出方向の位置が前記第1位置であり、前記第1方向の位置が前記第4位置である位置における、前記第2方向のノズルの幅を、第7幅とし、
前記吐出方向の位置が前記第1位置であり、前記第1方向の位置が前記第5位置である位置における、前記第2方向のノズルの幅を、第8幅としたとき、
前記第8幅は、前記第7幅よりも小さい、液体吐出ヘッド。
【請求項6】
請求項5に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記吐出方向の位置が前記第1位置である場合において、
前記第1方向の位置が前記第4位置から前記第5位置に向かうにしたがって、前記第2方向の前記ノズルの幅は、小さくなる、液体吐出ヘッド。
【請求項7】
請求項5または6に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第7幅は、前記第3幅よりも大きく、
前記第8幅は、前記第4幅よりも大きい、液体吐出ヘッド。
【請求項8】
請求項7に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第7幅と前記第3幅の差分は、前記第8幅と前記第4幅の差分よりも大きい、液体吐出ヘッド。
【請求項9】
請求項5から8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第7幅と前記第1幅は、互いにほぼ等しい、液体吐出ヘッド。
【請求項10】
請求項5から8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第7幅は、前記第1幅よりも小さい、液体吐出ヘッド。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第2幅は、前記第3幅および前記第4幅よりも大きい、液体吐出ヘッド。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記ノズルは、
前記第1位置を含む第1部分と、
前記第2位置を含み前記第1部分よりも前記吐出方向の下流側に位置する第2部分と、を備え、
前記第1部分の前記吐出方向の幅は、第9幅であり、
前記第2部分の前記吐出方向の幅は、第10幅である、液体吐出ヘッド。
【請求項13】
請求項12記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第10幅は、前記第9幅よりも小さい、液体吐出ヘッド。
【請求項14】
請求項12または13記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第1部分において、前記第1方向の前記ノズルの幅は、前記吐出方向の位置によらず一定であり、
前記第1部分において、前記第2方向の前記ノズルの幅は、前記吐出方向の位置によらず一定であり、
前記第2部分において、前記第1方向の前記ノズルの幅は、前記吐出方向の位置によらず一定であり、
前記第2部分において、前記第2方向の前記ノズルの幅は、前記吐出方向の位置によらず一定である、液体吐出ヘッド。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第3幅は、前記第4幅の1/6倍よりも大きく、かつ、前記第4幅の2/3倍よりも小さい、液体吐出ヘッド。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第4位置は、前記ノズル内の、前記第1方向における略中央である、液体吐出ヘッド。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記ノズルは、前記流路から分岐して設けられており、
前記流路は、
前記ノズルが前記流路に接続している部位に対して上流側に位置し、前記ノズルに液体を供給する供給流路部分と、
前記ノズルが前記流路に接続している部位に対して下流側に位置し、前記ノズルから液体を排出する排出流路部分と、を備える、液体吐出ヘッド。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第2幅は、前記第1幅の3/4倍よりも大きく、かつ、前記第1幅の9/10倍よりも小さい、液体吐出ヘッド。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドと、
前記エネルギー発生素子に電気信号を印加することにより、前記エネルギー発生素子の駆動を制御する駆動制御部と、を備える液体吐出装置であって、
前記駆動制御部は、
前記ノズルから液体が吐出されるように前記エネルギー発生素子を駆動させる第1制御と、
前記ノズルから液体が吐出されないように前記エネルギー発生素子を駆動させる第2制御と、を実行可能である、液体吐出装置。
【請求項20】
請求項19に記載の液体吐出装置であって、
前記駆動制御部は、前記第2制御において、前記ノズル内の前記液体のメニスカスが前記第1位置まで到達するように、前記エネルギー発生素子を駆動させる、液体吐出装置。
【請求項21】
液体吐出装置であって、
液体吐出ヘッドであって、
第1方向に液体を流通させる流路と、
前記液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、
前記流路に連通し、前記エネルギー発生素子により発生されたエネルギーによって前記第1方向と交差する吐出方向に前記液体を吐出するノズルと、を備える液体吐出ヘッドであって、
前記ノズル内の、前記吐出方向における特定の位置を第1位置とし、
前記ノズル内の、前記第1位置よりも前記吐出方向における下流側の特定の位置を第2位置とし、
前記ノズル内の、前記第1方向および前記吐出方向と交差する方向である第2方向における略中央を第3位置とし、
前記ノズル内の、前記第1方向における特定の位置を第4位置とし、
前記ノズル内の、前記第4位置よりも前記第1方向における前記ノズルの一端に近い特定の位置を第5位置とし、
前記吐出方向の位置が前記第1位置であり、前記第2方向の位置が前記第3位置である位置における、前記第1方向の前記ノズルの幅を、第1幅とし、
前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第2方向の位置が前記第3位置である位置における、前記第1方向の前記ノズルの幅を、第2幅とし、
前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第1方向の位置が前記第4位置である位置における、前記第2方向の前記ノズルの幅を、第3幅とし、
前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第1方向の位置が前記第5位置である位置における、前記第2方向の前記ノズルの幅を、第4幅としたとき、
前記第2幅は、前記第1幅よりも小さく、
前記第4幅は、前記第3幅よりも大きい、液体吐出ヘッドと、
前記エネルギー発生素子に電気信号を印加することにより、前記エネルギー発生素子の駆動を制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、
前記ノズルから液体が吐出されるように前記エネルギー発生素子を駆動させる第1制御と、
前記ノズルから液体が吐出されないように前記エネルギー発生素子を駆動させる第2制御と、を実行可能であり、
前記駆動制御部は、前記第2制御において、
(i)前記ノズルに第1種類の液体が供給される場合、前記エネルギー発生素子に第1電気信号を印加し、
(ii)前記ノズルに前記第1種類の液体よりも粘度が高い第2種類の液体が供給される場合、前記エネルギー発生素子に第2電気信号を印加し、
前記エネルギー発生素子に前記第2電気信号が印加されたときに発生するエネルギーの量は、前記エネルギー発生素子に前記第1電気信号が印加されたときに発生するエネルギーの量よりも多い、液体吐出装置。
【請求項22】
液体吐出装置であって、
液体吐出ヘッドであって、
第1方向に液体を流通させる流路と、
前記液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、
前記流路に連通し、前記エネルギー発生素子により発生されたエネルギーによって前記第1方向と交差する吐出方向に前記液体を吐出するノズルと、を備える液体吐出ヘッドであって、
前記ノズル内の、前記吐出方向における特定の位置を第1位置とし、
前記ノズル内の、前記第1位置よりも前記吐出方向における下流側の特定の位置を第2位置とし、
前記ノズル内の、前記第1方向および前記吐出方向と交差する方向である第2方向における略中央を第3位置とし、
前記ノズル内の、前記第1方向における特定の位置を第4位置とし、
前記ノズル内の、前記第4位置よりも前記第1方向における前記ノズルの一端に近い特定の位置を第5位置とし、
前記吐出方向の位置が前記第1位置であり、前記第2方向の位置が前記第3位置である位置における、前記第1方向の前記ノズルの幅を、第1幅とし、
前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第2方向の位置が前記第3位置である位置における、前記第1方向の前記ノズルの幅を、第2幅とし、
前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第1方向の位置が前記第4位置である位置における、前記第2方向の前記ノズルの幅を、第3幅とし、
前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第1方向の位置が前記第5位置である位置における、前記第2方向の前記ノズルの幅を、第4幅としたとき、
前記第2幅は、前記第1幅よりも小さく、
前記第4幅は、前記第3幅よりも大きい、液体吐出ヘッドと、
前記エネルギー発生素子に電気信号を印加することにより、前記エネルギー発生素子の駆動を制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、
前記ノズルから液体が吐出されるように前記エネルギー発生素子を駆動させる第1制御と、
前記ノズルから液体が吐出されないように前記エネルギー発生素子を駆動させる第2制御と、を実行可能であり、
前記駆動制御部は、前記第2制御において、
(i)前記エネルギー発生素子の駆動時間の累積値が第1時間である場合、前記エネルギー発生素子に第3電気信号を印加し、
(ii)前記エネルギー発生素子の駆動時間の累積値が前記第1時間よりも長い第2時間である場合、前記エネルギー発生素子に第4電気信号を印加し、
前記エネルギー発生素子に前記第4電気信号が印加されたときに発生するエネルギーの量は、前記エネルギー発生素子に前記第3電気信号が印加されたときに発生するエネルギーの量よりも多い、液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体吐出ヘッドにおいて液体を吐出するノズルを構成する流路部分のうち、開口端を含む流路部分に対して、その上流側に接続されている流路部分が、より太く設けられている技術が存在する(特許文献1)。ノズルにおいて、上流側に位置する流路部分の断面積を大きくすることにより、ノズルに対して、さらに上流の流路から効率的に液体を供給することができる。一方、ノズルにおいて、開口端に位置する流路部分の断面積を小さくすることにより、ノズルの開口から、より安定して開口端面に対して垂直な方向に液体を吐出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-89860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ノズル内の流路部分において断面積が異なる部分が存在すると、それらの接続部分に形成される段差において、液体が滞留する場合がある。ノズル内の流路部分において、流路の中心軸近傍に位置した液体は、さらに上流の流路から供給される液体に押されて、ノズルの開口に向かって移動し、開口から吐出される。一方、ノズル内の流路部分の内壁近傍に位置した液体は、下流部分と上流部分の間の内壁の段差によって下流への移動を妨げられ、ノズル開口から効率的に吐出されず、その結果、長期間、ノズル内に滞留する。ノズル内の液体は時間の経過とともに劣化する。このため、そのような液体は、ノズルから吐出される液体の質の低下をもたらす。また、ノズル内に滞留している液体インクにおいては、その色材や樹脂が固化し、堆積して、ノズルからの液体の吐出不良を起こすこともある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態によれば、液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドは、第1方向に液体を流通させる流路と、前記液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、前記流路に直接連通し、前記エネルギー発生素子により発生されたエネルギーによって前記第1方向と交差する吐出方向に前記液体を吐出するノズルと、を備える。
前記ノズル内の、前記吐出方向における特定の位置を第1位置とし、前記ノズル内の、前記第1位置よりも前記吐出方向における下流側の特定の位置を第2位置とし、前記ノズル内の、前記第1方向および前記吐出方向と交差する方向である第2方向における略中央を第3位置とし、前記ノズル内の、前記第1方向における特定の位置を第4位置とし、前記ノズル内の、前記第4位置よりも前記第1方向における前記ノズルの一端に近く、かつ、前記第4位置よりも前記第1方向における前記ノズルの中央から遠い特定の位置を第5位置とする。
前記吐出方向の位置が前記第1位置であり、前記第2方向の位置が前記第3位置である位置における、前記第1方向の前記ノズルの幅を、第1幅とし、前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第2方向の位置が前記第3位置である位置における、前記第1方向の前記ノズルの幅を、第2幅とし、前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第1方向の位置が前記第4位置である位置における、前記第2方向の前記ノズルの幅を、第3幅とし、前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第1方向の位置が前記第5位置である位置における、前記第2方向の前記ノズルの幅を、第4幅とする。
前記第2幅は、前記第1幅よりも小さく、前記第4幅は、前記第3幅よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の液体吐出装置100を示す説明図である。
図2】液体吐出ヘッド1の平面図である。
図3図2のIII-IIIの断面における断面図である。
図4】液体吐出装置100の電気的な構成を示すブロック図である。
図5図3のノズル21近傍の部分を拡大した図である。
図6】ノズル21をZ方向に沿ってみたときの、ノズル21の第1部分21aと第2部分21bとの関係を模式的に示す平面図である。
図7図6のVII-VIIの断面における断面図である。
図8図6のVIII-VIIIの断面における断面図である。
図9図6のIX-IXの断面における断面図である。
図10】ノズル21sをZ方向に沿ってみたときの、ノズル21sの第1部分21aと第2部分21bとの関係を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.第1実施形態:
A1.液体吐出装置の構成:
(1)液体吐出装置の機械的な構成:
図1は、第1実施形態の液体吐出装置100を示す説明図である。液体吐出装置100は、液体であるインクを媒体PMに吐出するインクジェット方式の印刷装置である。液体吐出装置100は、インクを貯留する液体容器2を取りつけられ、媒体PMをセットされることができる。液体吐出装置100は、液体容器2内のインクを、媒体PMに向けて吐出することができる。液体吐出装置100は、液体吐出ヘッド1と、移動機構24と、搬送機構8と、制御ユニット121と、を備える。
【0008】
液体吐出ヘッド1は、複数のノズルを備える。液体吐出ヘッド1は、液体容器2から供給される液体のインクを、複数のノズルから吐出する。ノズルから吐出されたインクは、所定の位置に配された媒体PMに着弾する。液体吐出ヘッド1の構成については、後に詳細に説明する。
【0009】
移動機構24は、輪状のベルト24bと、ベルト24bに固定されており、液体吐出ヘッド1を保持することができるキャリッジ24cと、を備える。移動機構24は、輪状のベルト24bを双方向に回転させることにより、液体吐出ヘッド1をX方向に沿って往復させることができる。
【0010】
搬送機構8は、移動機構24による液体吐出ヘッド1の複数回の移動の間に、媒体PMを-Y方向に沿って搬送する。Y方向は、X方向と直交する方向である。但し、Y方向は、必ずしもX方向と直交してなくとも良く、例えばY方向がX方向に対して85度~89度の角度で交差していても良い。その結果、X方向とY方向で張られる仮想面に向かって吐出されたインクによって、媒体PM上に、画像が形成される。図1において、媒体PMが搬送される-Y方向を、矢印Y2で示す。
【0011】
X方向およびY方向に垂直な方向をZ方向とする。但し、Z方向は、必ずしもX方向およびY方向に垂直でなくとも良く、例えばZ方向がX方向に対して85度~89度の角度で交差していても良く、Z方向がY方向に対して85度~89度の角度で交差していても良い。液体吐出ヘッド1は、X方向に沿って搬送されている間に、Z方向に沿ってインクを吐出する。
【0012】
制御ユニット121は、液体吐出ヘッド1からのインクの吐出動作を制御する。制御ユニット121は、搬送機構8と、移動機構24と、液体吐出ヘッド1と、を制御して、媒体PM上に画像を形成させる。
【0013】
図2は、液体吐出ヘッド1の平面図である。本実施形態の液体吐出ヘッド1は、インクジェット式記録ヘッドである。液体吐出ヘッド1は、ノズル21からインク滴を吐出する。ノズル21は、XY平面に平行に配されているノズルプレート20において、Y方向に沿って直線状に配されている。
【0014】
図3は、図2のIII-IIIの断面における断面図である。液体吐出ヘッド1は、流路形成基板10と、連通板15と、ノズルプレート20と、コンプライアンス基板49と、振動板50と、圧電アクチュエーター300と、保護基板30と、ケース部材40と、を備える。
【0015】
流路形成基板10は、シリコン単結晶基板で構成される。流路形成基板10は、複数の圧力室12を備える(図3の下段中央参照)。複数の圧力室12は、Y方向に沿って並んで配されている。一つの圧力室12は、一つのノズル21に連通している。Y方向に隣接して配されている二つの圧力室12は、流路形成基板10の一部である隔壁によって隔てられている。
【0016】
連通板15は、流路形成基板10に対してZ方向+側に、流路形成基板10に接して配されている。連通板15は、第1連通板151と、第2連通板152と、を有する。第1連通板151と第2連通板152とは、Z方向において、第1連通板151、第2連通板152の順に配されている。第1連通板151と第2連通板152は、それぞれシリコン単結晶基板で構成される。
【0017】
連通板15は、一つの第1連通部16と、一つの第2連通部17と、一つの第3連通部18と、複数の第1流路201と、複数の第2流路202と、複数の供給路203と、を有する。
【0018】
第1連通部16は、第1連通板151および第2連通板152に設けられた一つの空隙である(図3の下段右部参照)。第1連通部16は、ケース部材40の第1液室部41と連通する。第1連通部16は、第1連通板151および第2連通板152に設けられた複数の供給路203を介して、複数の圧力室12と連通する。一つの供給路203は、一つの圧力室12に連通する。
【0019】
第2連通部17は、第1連通板151に設けられた一つの空隙である(図3の下段左部参照)。第2連通部17は、ケース部材40の第2液室部42と連通する。第2連通部17は、第3連通部18と連通する。
【0020】
第3連通部18は、第1連通板151および第2連通板152に設けられた一つの空隙である(図3の下段中央部参照)。第3連通部18は、第2連通部17と連通する。第3連通部18は、第2連通板152に設けられた複数組の第1流路201および第2流路202を介して、複数の圧力室12と連通する。一組の第1流路201および第2流路202は、一つの圧力室12に連通する。
【0021】
連通板15内において、インクは、第1連通部16から、供給路203と圧力室12と第2流路202と第1流路201とを経て、第3連通部18に至る。供給路203と圧力室12と第2流路202と第1流路201とを、まとめて個別流路200とも呼ぶ。一つの個別流路200は、一つのノズル21と接続されている。図3においてインクが流通する方向を、空隙内に配した矢印で示す。
【0022】
ノズルプレート20は、連通板15に対してZ方向+側に、連通板15に接して配されている(図3の下段参照)。ノズルプレート20は、ステンレス鋼の板材である。ノズルプレート20は、連通板15においてそれぞれZ方向+側に開口している、第1流路201と、第2流路202と、第3連通部18とを、連通板15のZ方向+側において塞いでいる。
【0023】
ノズルプレート20は、第1流路201を塞ぐ部分に、ノズル21を備えている。ノズル21は、XY平面に平行に配されているノズルプレート20において、Y方向に沿って直線状に配されている(図2参照)。
【0024】
コンプライアンス基板49は、連通板15に対してZ方向+側に、連通板15に接して配されている(図3の下段参照)。コンプライアンス基板49は、連通板15においてZ方向+側に開口している第1連通部16を、Z方向+側において塞いでいる(図3の下段右部参照)。コンプライアンス基板49は、封止膜491と、固定基板492と、を有する。封止膜491と固定基板492とは、Z方向において、封止膜491、固定基板492の順に配されている。
【0025】
封止膜491は、可撓性を有する薄膜である。固定基板492は、金属材料で構成される。コンプライアンス基板49のうち、連通板15の第1連通部16を封止する部分には、封止膜491は設けられているが、固定基板492は設けられていない(図3の下段右部参照)。連通板15の第1連通部16を封止する封止膜491は、弾性変形することにより、第1連通部16内の圧力変動を緩和する。コンプライアンス基板49のうち連通板15の第1連通部16を封止する部分を、コンプライアンス部494とも呼ぶ。
【0026】
振動板50は、流路形成基板10に対してZ方向-側に、流路形成基板10に接して配されている(図3の中央部参照)。振動板50は、二酸化シリコン層や酸化ジルコニウム層から選択される単一層または積層の構造を有する。振動板50は、流路形成基板10においてZ方向-側に開口している圧力室12を、流路形成基板10のZ方向-側において塞いでいる。
【0027】
圧電アクチュエーター300は、振動板50に対してZ方向-側に、振動板50に接して配されている(図3の中央部参照)。複数の圧電アクチュエーター300が、振動板50を挟んで、複数の圧力室12とそれぞれ向かい合う位置に、設けられている。圧電アクチュエーター300は、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80と、を有する。第1電極60と圧電体層70と第2電極80とは、-Z方向において、第1電極60、圧電体層70、第2電極80の順に配されている。
【0028】
第2電極80には、リード電極90がそれぞれ接続されている(図3の中央部参照)。リード電極90を介して、各圧電アクチュエーター300に、選択的に電圧が印加される。第1電極60と第2電極80によって圧電体層70に電圧が付与されると、圧電体層70は変形する。圧電アクチュエーター300に接して配されている振動板50は、圧電体層70の変形によって変形され、圧力室12内のインクに圧力を付与する。その結果、第2流路202内のインクを介して、第1流路201内のインクに圧力が伝達され、ノズル21からインクが吐出される。圧力室12内のインクに圧力が付与されることは、圧力室12内のインクに、圧電アクチュエーター300によって発生した運動エネルギーが付与されることである、と解釈することもできる。
【0029】
保護基板30は、振動板50に対してZ方向-側に、その一部を振動板50に接して配されている(図3の中央部参照)。保護基板30は、シリコン単結晶基板で構成される。保護基板30は、複数の圧電アクチュエーター300を収容する圧電アクチュエーター保持部31を有する。圧電アクチュエーター保持部31は、Z方向-側に開口している一つの凹部である。圧電アクチュエーター保持部31内において、複数の圧電アクチュエーター300は変形することができる。
【0030】
振動板50の一部およびリード電極90の一部は、保護基板30に覆われることなく露出している(図3の中央部参照)。露出しているリード電極90の一部には、フレキシブルケーブル120が接続されている。フレキシブルケーブル120は、可撓性を有する配線基板である。フレキシブルケーブル120は、半導体素子である駆動回路126a,126bを備える。
【0031】
ケース部材40は、連通板15および保護基板30に対してZ方向-側に、連通板15および保護基板30に接して配されている(図3の上段参照)。ケース部材40は、第1液室部41と、第2液室部42と、導入口43と、排出口44と、接続孔45と、を備える。
【0032】
第1液室部41は、Z方向側に開口している一つの凹部である(図3の上段右部参照)。第1液室部41は、連通板15の第1連通部16と連通する。ケース部材40の第1液室部41と、連通板15の第1連通部16とは、第1共通液室101を構成する。導入口43は、第1液室部41と、液体吐出ヘッド1の外部に設けられた一時貯留部と、を連通する。なお、技術の理解を容易にするため、一時貯留部は図3において示していない。
【0033】
第2液室部42は、Z方向側に開口している一つの凹部である(図3の上段左部参照)。第2液室部42は、連通板15の第2連通部17と連通する。ケース部材40の第2液室部42と、連通板15の第2連通部17および第3連通部18とは、第2共通液室102を構成する。排出口44は、第2液室部42と一時貯留部とを連通する。
【0034】
ケース部材40において、インクは、導入口43から導入され、第1液室部41を経て、連通板15に供給される(図3の上段右部の矢印IN参照)。連通板15から供給されたインクは、第2液室部42を経て、排出口44から一時貯留部に排出される(図3の上段左部の矢印OUT参照)。
【0035】
なお、一時貯留部に排出されたインクは、再度導入口43から導入される。すなわち、本実施形態においては、インクは、液体吐出ヘッド1と液体吐出ヘッド1の外部に設けられた一時貯留室との間を循環する。
【0036】
接続孔45は、Z方向にケース部材40を貫通している孔である(図3の上段中央部参照)。露出しているリード電極90の一部は、接続孔45内を通って配されるフレキシブルケーブル120に接続されている。
【0037】
(2)液体吐出装置100の電気的な構成:
図4は、液体吐出装置100の電気的な構成を示すブロック図である。制御ユニット121は、液体吐出ヘッド1の圧電アクチュエーター300に電気信号を印加することにより、圧電アクチュエーター300の駆動を制御する。制御ユニット121は、ノズル21から液体が吐出されるように圧電アクチュエーター300を駆動させる第1制御と、ノズル21から液体が吐出されないように圧電アクチュエーター300を駆動させる第2制御と、を実行可能である。このような制御により、ノズル21からインクを吐出させない時間区間においても、ノズル21内のインクを流動させることができる。その結果、一部のインクが長期にわたってノズル21内に滞留する事態を防止できる。以下で、液体吐出装置100の電気的な構成および機能について、詳細に説明する。
【0038】
制御ユニット121は、制御信号Ctr、駆動信号COM-A、COM-B、および電圧VBSの保持信号を液体吐出ヘッド1に供給する(図4の上段左部参照)。液体吐出ヘッド1は、制御ユニット121から受け取った制御信号Ctr、駆動信号COM-A、COM-B、および電圧VBSに応じて、圧電アクチュエーター300を駆動し、ノズル21からインクを吐出させる。
【0039】
制御ユニット121は、制御部122と、駆動回路126a、126bと、電圧生成回路124とを含む。制御部122は、CPUやRAM、ROMなどを有するマイクロコンピューターである(図4の上段左部参照)。制御部122は、CPUで所定のプログラムを実行することによって、画像データに基づいて、液体吐出装置100の各部を制御するための各種の制御信号等を出力することができる。
【0040】
制御部122は、移動機構24および搬送機構8を制御する(図1参照)。制御部122は、移動機構24および搬送機構8に対する制御に同期させて、液体吐出ヘッド1に各種の制御信号Ctrを供給する(図4の上段参照)。制御信号Ctrには、ノズル21から吐出させるインクの量を規定する印刷データ、印刷データの転送に用いるクロック信号、印刷周期等を規定するタイミング信号等が含まれる。制御部122は、駆動回路126aにデジタルのデータdAを繰り返して供給する(図4の上段左部参照)。制御部122は、駆動回路126bにデジタルのデータdBを繰り返して供給する。
【0041】
駆動回路126aは、データdAをアナログ変換し、さらに増幅して、駆動信号COM-Aとして液体吐出ヘッド1に出力する(図4の上段左部参照)。駆動回路126bは、データdBをアナログ変換し、さらに増幅して、駆動信号COM-Bとして液体吐出ヘッド1に出力する。駆動回路126a、126bのハードウェア構成は同一である。
【0042】
本実施形態においては、1画素に対応する印刷周期中に1つのノズル21からインク滴を最大で2回吐出させる。そのインク滴の組み合わせにより、1画素において、大ドット、中ドット、小ドットおよび非記録の4階調が表現される。
【0043】
駆動信号COM-Aは、印刷周期の前半の期間に配された台形波形Adp1と、印刷周期の後半の期間に配された台形波形Adp2とを有する(図4の下段中央部参照)。台形波形Adp1、Adp2は、互いにほぼ同一の波形である。台形波形Adp1、Adp2は、それぞれが圧電アクチュエーター300の個別の電極に供給された場合、圧電アクチュエーター300に対応するノズル21から中程度の量のインクをそれぞれ吐出させる波形である。
【0044】
駆動信号COM-Bは、印刷周期の前半の期間に配された台形波形Bdp1と、印刷周期の後半の期間に配された台形波形Bdp2とを有する(図4の下段中央部参照)。台形波形Bdp1、Bdp2とは、互いに異なる波形である。台形波形Bdp1は、ノズル21の付近におけるインクを微振動させてインクの粘度の増大を防止するための波形である。台形波形Bdp1が圧電アクチュエーター300の個別の電極に供給された場合には、その圧電アクチュエーター300に対応するノズル21からインク滴は吐出されない。台形波形Bdp2は、圧電アクチュエーター300の個別の電極に供給された場合に、その圧電アクチュエーター300に対応するノズル21から台形波形Adp1、Adp2よりも少ない量のインクを吐出させる波形である。
【0045】
ある画素に大ドットを形成すべき場合には、印刷周期の前半および後半において駆動信号COM-Aが選択され、駆動対象である圧電アクチュエーター300の個別の電極(図4の圧電アクチュエーター300の左側、および図3の80参照)に供給される。その結果、中程度の量のインク滴が2回吐出される。それらのインク滴のインクが媒体PM上で合体して、大ドットが形成される。
【0046】
ある画素に中ドットを形成すべき場合には、印刷周期の前半に駆動信号COM-Aが選択され、後半に駆動信号COM-Bが選択されて、駆動対象である圧電アクチュエーター300の個別の電極に供給される。すなわち、台形波形Adp1と台形波形Bdp2が選択され、圧電アクチュエーター300の個別の電極に供給される。その結果、中程度および小程度のインク滴が吐出される。それらのインク滴のインクが媒体PM上で合体して、中ドットが形成される。
【0047】
ある画素に小ドットを形成すべき場合には、印刷周期の前半では駆動信号COM-A、COM-Bのいずれも選択されず、後半に駆動信号COM-Bが選択されて、駆動対象である圧電アクチュエーター300の個別の電極に供給される。すなわち、台形波形Bdp2が選択され、圧電アクチュエーター300の個別の電極に供給される。その結果、小程度のインクが1回吐出され、媒体PMに小ドットが形成される。
【0048】
以上で説明した、画素に大ドット、中ドットまたは小ドットを形成すべき場合の圧電アクチュエーター300の制御が、前述の「第1制御」である。
【0049】
ある画素にドットを記録しない場合には、印刷周期の前半に駆動信号COM-Bが選択され、後半に駆動信号COM-A、COM-Bのいずれも選択されずに、駆動対象である圧電アクチュエーター300の個別の電極に供給される。すなわち、台形波形Bdp1が選択され、圧電アクチュエーター300の個別の電極に供給される。その結果、印刷周期の前半において当該ノズル21の付近のインクが微振動し、インクは吐出されない。画素にドットを記録しない場合の圧電アクチュエーター300の制御が、前述の「第2制御」である。
【0050】
ノズル21は、第1部分21aと、第1部分21aよりも吐出方向Zの下流側に位置する第2部分21bとを有する(図3の下段中央部参照)。以下、技術の理解を容易にするため、第1部分21aを「上流の第1部分21a」と記載し、第2部分21bを「下流の第2部分21b」と記載することがある。下流の第2部分21bは、インク滴が吐出されるノズル21の開口端を含む。ノズル21内におけるインクと外気の界面であるメニスカスMnは、圧電アクチュエーター300がエネルギーを発生させておらず、その結果、ノズル21内のインクにエネルギーが付与されていないときには下流の第2部分21b内に存在する。
【0051】
上述の第2制御によって、圧電アクチュエーター300がエネルギーを発生させ、ノズル21内のインクにエネルギーが付与されると、メニスカスMnが振動する。制御ユニット121は、第2制御において、ノズル21内のインクのメニスカスMnが、第1部分21a内の第1位置Pz1まで到達するように、圧電アクチュエーター300を駆動させる。その結果、ノズル21内の液体の流動を促進することができる。第2制御によるメニスカスMnの振動については、後にさらに説明する。
【0052】
電圧生成回路124は、一定の電圧VBSを有する保持信号を生成して、液体吐出ヘッド1に出力する(図4の下段左部参照)。保持信号は、アクチュエーター基板1Aにおける複数の圧電アクチュエーター300の共通の電極(図4の圧電アクチュエーター300の右側、および図3の60参照)の電位を、一定に保持する。
【0053】
液体吐出ヘッド1は、アクチュエーター基板1Aと駆動IC1Dを有する(図4の右部参照)。なお、アクチュエーター基板1Aと駆動IC1Dとは、電気的な構成における概念的な区分であり、これらの呼称は、必ずしもそれらの構成が一つの基板や一つのICによって実現されていることを意味するものではない。
【0054】
駆動IC1Dは、アクチュエーター基板1Aの各圧電アクチュエーター300の個別の電極に駆動信号を供給する(図4の圧電アクチュエーター300の左側、および図3の80参照)。駆動IC1Dは、制御ユニット121の電圧生成回路124から受け取った保持信号を、アクチュエーター基板1Aの各圧電アクチュエーター300の共通の電極(図4の圧電アクチュエーター300の右側、および図3の60参照)に中継する。
【0055】
駆動IC1Dは、選択制御部1D1と、圧電アクチュエーター300に一対一に対応した選択部1D2と、を有する(図4の右部参照)。選択制御部1D1は、各選択部1D2における選択をそれぞれ制御する。より具体的には、選択制御部1D1は、制御部122からクロック信号に同期して供給される印刷データを、液体吐出ヘッド1の圧電アクチュエーター300の数の分、蓄積する。そして、選択制御部1D1は、各選択部1D2に対し、印刷データに応じた駆動信号COM-A、COM-Bの選択を、タイミング信号で規定される印刷周期の前半および後半の開始タイミングで指示する。
【0056】
各選択部1D2は、選択制御部1D1からの指示にしたがって、駆動信号COM-A、COM-Bのいずれかを選択し、または、選択せずに、電圧Voutの駆動信号として、対応する圧電アクチュエーター300の個別の電極に印加する(図4の圧電アクチュエーター300の左側参照)。電圧Voutの駆動信号は、具体的には、圧電アクチュエーター300の第2電極80に印加される(図3参照)。
【0057】
アクチュエーター基板1Aは、複数の圧電アクチュエーター300を有する。各圧電アクチュエーター300の一方の第2電極80は個別に設けられているのに対して、他方の第1電極60は、複数の圧電アクチュエーター300について共通の電極として設けられる。複数の圧電アクチュエーター300の個別の第2電極80に対しては、駆動信号によって、形成するドットの大きさに応じて異なる電圧Voutが付与される(図4の圧電アクチュエーター300の左側参照)。複数の圧電アクチュエーター300の共通の第1電極60に対しては、配線パターン1Lを介して、保持信号によって一定の電圧VBSが付与される(図4の圧電アクチュエーター300の右側参照)。
【0058】
(3)インクの種類に応じた圧電アクチュエーター300の制御:
制御ユニット121は、第2制御において、インクの種類に応じて異なる制御を行う。ノズル21に第1種類のインクが供給される場合、制御ユニット121は、駆動IC1Dを介して、圧電アクチュエーター300に第1電気信号を印加する(図4参照)。そして、ノズル21に第1種類のインクよりも粘度が高い第2種類のインクが供給される場合、制御ユニット121は、駆動IC1Dを介して、圧電アクチュエーター300に第1電気信号とは異なる第2電気信号を印加する。インクの種類に対応づけられた電気信号の波形のデータは、制御ユニット121のROM内にされている。なお、図4においては、これらの電気信号はいずれも電圧Voutの駆動信号、より具体的には、駆動信号COM-Bの台形波形Bdp1で表されている。
【0059】
圧電アクチュエーター300に第2電気信号が印加されたときに、圧電アクチュエーター300が発生させ、第2種類のインクに付与されるエネルギーの量は、圧電アクチュエーター300に第1電気信号が印加されたときに、圧電アクチュエーター300が発生させ、第1種類のインクに付与されるエネルギーの量よりも多い。このような処理を行うことにより、第1種類のインクよりも粘度が高い第2種類のインクが供給される場合にも、第2種類のインクをノズル21内において効果的に流動させることができる。
【0060】
(4)時間経過に応じた圧電アクチュエーター300の制御:
制御ユニット121は、第2制御において、時間の経過に応じた制御を行う。液体吐出装置100の使用が最初に開始されてからの圧電アクチュエーター300の駆動時間の累積値が第1時間である場合、制御ユニット121は、駆動IC1Dを介して、圧電アクチュエーター300に第3電気信号を印加する。圧電アクチュエーター300の駆動時間の累積値が第1時間よりも長い第2時間である場合、制御ユニット121は、駆動IC1Dを介して、圧電アクチュエーター300に第4電気信号を印加する。
【0061】
圧電アクチュエーター300に第4電気信号が印加されたときに、圧電アクチュエーター300が発生させるエネルギーの量は、圧電アクチュエーター300に第3電気信号が印加されたときに圧電アクチュエーター300が発生させるエネルギーの量よりも多い。
【0062】
圧電アクチュエーター300の駆動時間の累積値についてあらかじめ定められた時間区間、およびそれらの時間区間に対応づけられた係数が、制御ユニット121のROM内にされている。時間区間に対応づけられる係数は、より後の時間区間に対応づけられているものほど大きくなる。圧電アクチュエーター300に印加される電気信号の波形は、基準となる台形波形Bdp1に対して、その係数が掛けられて生成される。
【0063】
圧電アクチュエーター300の駆動時間の累積値は、制御ユニット121が備えるタイマーによって計測することができる。また、圧電アクチュエーター300の駆動時間の累積値は、制御ユニット121が計数する圧電アクチュエーター300の駆動回数の累積値から擬似的に得ることができる。なお、図4においては、これらの電気信号はいずれも電圧Voutの駆動信号で表されている。
【0064】
時間の経過に伴って、圧電体層70が劣化し、印加されるエネルギーに対して変形量が小さくなることがある。また、時間の経過に伴って、溶媒が揮発したり、成分が酸化するなどして、インクが流動しにくくなることがある。しかし、上記の処理を行うことにより、時間の経過に伴って流動されにくくなったインクを、ノズル21内において効果的に流動させることができる。
【0065】
A2.ノズルの構成:
図5は、図3のノズル21近傍の部分を拡大した図である。ノズル21は、第1流路201に連通している。すなわち、ノズル21は、第1流路201から分岐して設けられている。第1流路201のうち、ノズル21が第1流路201に接続している部位に対して上流側に位置し、ノズル21にインクを供給する流路部分を、供給流路部分201aと呼ぶ。第1流路201のうち、ノズル21が第1流路201に接続している部位に対して下流側に位置し、ノズル21からインクを排出する流路部分を、排出流路部分201bと呼ぶ。
【0066】
液体吐出ヘッド1内のインクは、圧力室12において、圧電アクチュエーター300から吐出のためのエネルギーを付与される(図5の上段右部参照)。第1流路201は、運動エネルギーが付与されたインクを-X方向に流通させる(矢印A1参照)。インクが流通する-X方向を、「第1方向D1」と呼ぶ。Y方向を、「第2方向D2」と呼ぶ。ノズル21は、圧電アクチュエーター300により付与されたエネルギーによって+Z方向にインクを吐出する。+Z方向を、「吐出方向Z」とも呼ぶ。
【0067】
ノズル21は、Z方向に沿って、第1部分21aと、第2部分21bとを有する。第2部分21bは、第1部分21aよりも吐出方向Zの下流側に位置する。吐出方向Zに垂直な断面における第1部分21aの形状は、吐出方向Zの位置によらず一定である。吐出方向Zに垂直な断面における第2部分21bの形状は、吐出方向Zの位置によらず一定である。
【0068】
その結果、第1部分21aにおいて、第1方向D1のノズル21の幅は、吐出方向Zの位置によらず一定である。第1部分21aにおいて、第2方向D2のノズル21の幅は、吐出方向Zの位置によらず一定である。第2部分21bにおいて、第1方向D1のノズル21の幅は、吐出方向Zの位置によらず一定である。第2部分21bにおいて、第2方向D2のノズル21の幅は、吐出方向Zの位置によらず一定である。吐出方向Zに垂直な断面における第2部分21bの断面積は、吐出方向Zに垂直な断面における第1部分21aの断面積より小さい。
【0069】
図6は、ノズル21をZ方向に沿ってみたときの、ノズル21の第1部分21aと第2部分21bとの関係を模式的に示す平面図である。図7は、図6のVII-VIIの断面における断面図である。図8は、図6のVIII-VIIIの断面における断面図である。図9は、図6のIX-IXの断面における断面図である。図6図9は、ノズル21の形状を説明するための図であり、ノズル21の各部の寸法を正確に反映するものではない。
【0070】
ノズル21内の空間における、吐出方向Zにおける特定の位置を「第1位置Pz1」とする(図7参照)。第1位置Pz1は、ノズル21の第1部分21aに含まれる位置である。より具体的には、第1位置Pz1は、ノズル21の第1部分21aと第2部分21bの境界から、第1部分21aのZ方向の寸法の1/10の位置である。第1位置Pz1は、吐出方向Zについての位置を特定するものであり、X方向およびY方向の位置を限定しない。
【0071】
ノズル21内の空間における、第1位置Pz1よりも吐出方向Zにおける下流側の特定の位置を「第2位置Pz2」とする。第2位置Pz2は、ノズル21の第2部分21bに含まれる位置である。より具体的には、第2位置Pz2は、ノズル21の第1部分21aと第2部分21bの境界から、第2部分21bのZ方向の寸法の1/5の位置である。第2位置Pz2は、吐出方向Zについての位置を特定するものであり、X方向およびY方向の位置を限定しない。
【0072】
ノズル21内の空間における、第2方向D2すなわちY方向における中央を、「第3位置P23」とする(図6参照)。第3位置P23は、第2方向D2についての位置を特定するものであり、Z方向およびX方向の位置を限定しない。
【0073】
ノズル21内の空間における、第1方向D1すなわち-X方向における特定の位置を、「第4位置P14」とする(図6参照)。より具体的には、第4位置P14は、ノズル21内の空間における、第1方向D1における中央の位置である。第4位置P14は、第1方向D1についての位置を特定するものであり、Y方向およびZ方向の位置を限定しない。
【0074】
ノズル21内の空間における、第4位置P14よりも第1方向D1におけるノズル21の一端E1に近い特定の位置を、「第5位置P15」とする(図6参照)。ノズル21内の空間における、第5位置P15よりも第1方向D1におけるノズル21の一端E1に近い特定の位置を、「第6位置P16」とする。第5位置P15および第6位置P16は、第1方向D1についての位置を特定するものであり、Y方向およびZ方向の位置を限定しない。
【0075】
ノズル21内の空間における、第4位置P14よりも第1方向D1におけるノズル21の他端E2に近い特定の位置を、「第7位置P17」とする(図6参照)。第7位置P17は、第4位置P14に対して、第5位置P15と対称の位置である。ノズル21内の空間における、第7位置P17よりも第1方向D1におけるノズル21の他端E2に近い特定の位置を、「第8位置P18」とする。第8位置P18は、第4位置P14に対して、第6位置P16と対称の位置である。第7位置P17および第8位置P18は、第1方向D1についての位置を特定するものであり、Y方向およびZ方向の位置を限定しない。
【0076】
吐出方向Zの位置が上流の第1部分21aの内の第1位置Pz1であり、第2方向D2の位置が中央の第3位置P23である位置における、第1方向D1のノズル21の幅を、「第1幅W1p23b」とする(図7の下段参照)。吐出方向Zの位置が下流の第2部分21b内の第2位置Pz2であり、第2方向D2の位置が中央の第3位置P23である位置における、第1方向D1のノズル21の幅を、「第2幅W1p23」とする。
【0077】
吐出方向Zの位置が下流の第2部分21b内の第2位置Pz2であり、第1方向D1の位置が第4位置P14である位置における、第2方向D2のノズル21の幅を、「第3幅W2p14」とする(図6の中央および図8の右部参照)。吐出方向Zの位置が下流の第2部分21b内の第2位置Pz2であり、第1方向D1の位置が第5位置P15である位置における、第2方向D2のノズル21の幅を、「第4幅W2p15」とする(図6の右部および図9の右部参照)。
【0078】
吐出方向Zの位置が下流の第2部分21b内の第2位置Pz2であり、第1方向D1の位置が第6位置P16である位置における、第2方向D2のノズル21の幅を、「第5幅W2p16」とする(図6の右部参照)。吐出方向Zの位置が下流の第2部分21b内の第2位置Pz2であり、第1方向D1の位置が第7位置P17である位置における、第2方向D2のノズル21の幅を、「第6幅W2p17」とする(図6の左部参照)。
【0079】
吐出方向Zの位置が上流の第1部分21aの内の第1位置Pz1であり、第1方向D1の位置が第4位置P14である位置における、第2方向D2のノズル21の幅を、「第7幅W2p14b」とする(図6の右部および図8の左部参照)。吐出方向Zの位置が上流の第1部分21aの内の第1位置Pz1であり、第1方向D1の位置が第5位置P15である位置における、第2方向D2のノズル21の幅を、「第8幅W2p15b」とする(図6の右部および図9の左部参照)。
【0080】
ノズル21の上流の第1部分21aの吐出方向Zの幅を、「第9幅Wz21a」とする(図7図9参照)。下流の第2部分21bの吐出方向Zの幅を、「第10幅Wz21b」とする。
【0081】
下流の第2部分21bの第10幅Wz21bは、上流の第1部分21aの第9幅Wz21aよりも小さい(図7図9参照)。ノズル21内におけるインクと外気の界面であるメニスカスMnは、ノズル21内のインクにエネルギーが付与されていないときには、第2部分21b内において、ノズル21内部に向かってわずかに凹んだ凹面状の形状で存在する。上記の構成とすることにより、ノズル21内のインクにエネルギーが付与された際に振動するメニスカスMnの位置を、上流の第1部分21aに到達させることができる(図7および図9参照)。このため、ノズル21内のインクの流動を促進することができる。また、より断面積の大きい上流の第1部分21aの吐出方向Zの第9幅Wz21aが、下流の第2部分21bの第10幅Wz21bよりも、大きい(図7図9参照)。このため、ノズル21内のインクの量を確保することができ、圧電アクチュエーター300の一度の動作によって、十分な量のインクを第2部分21bの開口端から送出することができる。
【0082】
ノズル21において第2部分21bよりも上流側に位置する第1部分21aの外形は、円形である(図6参照)。その結果、第2方向D2の第7幅W2p14bと、第1方向D1の第1幅W1p23bは、互いに等しい。そして、第1方向D1の位置が第4位置P14から第5位置P15に向かうにしたがって、第2方向D2のノズル21の幅は、小さくなる。第5位置P15における第2方向D2の第8幅W2p15bは、中心である第4位置P14における第7幅W2p14bよりも小さい(図6の右部参照)。
【0083】
このような構成とすることにより、吐出方向Zの上流側の第1位置Pz1において、第2方向D2の第7幅W2p14bと、第1方向D1の第1幅W1p23bとが、大きく異なる態様に比べて、第1方向D1および第2方向D2で張られる面内における流速の分布の変化がより少ない安定した流れで、インクをノズル21内に導入することができる。
【0084】
また、このような構成とすることにより、吐出方向Zの上流側の第1位置Pz1において、第1方向D1に沿って第4位置P14から第5位置P15に近づくほど第2方向D2の幅が大きくなる態様(図6の仮想的な第1部分21ai参照)や、第2方向D2の幅が増減する態様に比べて、以下のような効果が得られる。すなわち、第1方向D1の端における第2方向D2の両端の角部Ci1,Ci2の角度を大きくすることができ、または第2方向D2の端の角部Ci1,Ci2をなくすことができる。その結果、第2方向D2の両端の角部Ci1,Ci2におけるインクの滞留の可能性を低減することができる。なお、本実施形態においては、第1部分21aの外形は円であるため、第2方向D2の端の角部はない(図6参照)。
【0085】
ノズル21において第1部分21aよりも下流側に位置する第2部分21bの外形は、直径が等しい二つの円を、各円の中心間の距離が円の直径よりも小さい位置にそれぞれ配置した場合に形成される外形と等しい。その結果、下流の第2部分21bに含まれる第2位置Pz2において、第1方向D1の第2幅W1p23は、第2方向D2の第3幅W2p14および第4幅W2p15よりも、大きい(図6参照)。すなわち、吐出方向Zの下流側の第2位置Pz2において、ノズル21は、第2方向D2について扁平であり、第1方向D1について長い形状を有する。
【0086】
このような構成とすることにより、第1方向D1についての第2幅W1p23が、第2方向D2についての第3幅W2p14および第4幅W2p15よりも小さい態様に比べて、第1流路201内におけるインクの流れによって、ノズル21内のインクが撹拌されやすい。その結果、ノズル21内の各部においてインクが滞留しにくい。特に、ノズル21の内壁のうち、ノズル21の中心軸に対して第1流路201の上流側に位置する内壁の近傍と、ノズル21の中心軸CAに対して第1流路201の下流側に位置する内壁の近傍とにおいて、液体の滞留を効果的に抑制することができる。
【0087】
下流の第2部分21bの外形は、真円である第1部分21aの外形に含まれている(図6参照)。その結果、第2方向D2の位置がノズル21の中央である第3位置P23である位置において、下流の第2部分21bに含まれる第2位置Pz2における第1方向D1の第2幅W1p23は、上流の第1部分21aに含まれる第1位置Pz1における第1方向D1の第1幅W1p23bよりも、小さい(図6の下段参照)。より具体的には、第2幅W1p23は、第1幅W1p23bの80%である。
【0088】
下流の第2部分21bの第2幅W1p23を、上流の第1部分21aの第1幅W1p23bの3/4倍よりも大きく、かつ、9/10倍よりも小さくすることにより、以下のような効果が得られる。すなわち、第2幅W1p23が3/4より小さい場合に比べて、圧電アクチュエーター300の一度の動作によって、より多くの量のインクをノズル21から吐出することができる。また、第2幅W1p23が9/10倍より大きい場合に比べて、ノズル21から、安定して一定の方向にインクを吐出することができる。
【0089】
第1方向D1の位置がノズル21の中央である第4位置P14である位置において、上流の第1部分21aに含まれる第1位置Pz1における第2方向D2の第7幅W2p14bは、下流の第2部分21bに含まれる第2位置Pz2における第2方向D2の第3幅W2p14よりも、大きい(図6の中央部および図8参照)。第1方向D1の位置が第5位置P15である位置において、上流の第1部分21aに含まれる第1位置Pz1における第2方向D2の第8幅W2p15bは、下流の第2部分21bに含まれる第2位置Pz2における第2方向D2の第4幅W2p15よりも、大きい(図6および図9参照)。
【0090】
上記のような構成とすることにより、上流の第7幅W2p14bが下流の第3幅W2p14よりも小さく、上流の第8幅W2p15bが下流の第4幅W2p15よりも小さい態様に比べて、以下のような効果が得られる。すなわち、ノズル21に対して、上流の第1流路201からノズル21の開口端に向かって効率的にインクを供給することができる。ノズル21から、安定して一定の方向にインクを吐出することができる。
【0091】
第1方向D1における第5位置P15は、一方の円の中心が配されている位置である。第1方向D1における第7位置P17は、他方の円の中心が配されている位置である。その結果、下流の第2部分21bにおいて、第5位置P15における第2方向D2の第4幅W2p15は、第4位置P14における第2方向D2の第3幅W2p14よりも、大きい(図6参照)。
【0092】
圧電アクチュエーター300によってノズル21内のインクに運動エネルギーが加えられた場合、ノズル21内におけるインクと外気の界面であるメニスカスMnは、ノズル21内の内壁から最も離れた部位において最も大きく振動する(図8および図9参照)。一方、ノズル21内の内壁に近い部位は、振動しにくい。ただし、ノズル21内の内壁に近い部位の振動幅と、ノズル21内の内壁から最も離れた部位の振動幅との差は、ノズル21内の内壁から最も離れた部位と、ノズル21内の内壁との距離が小さいほど、小さくなる。
【0093】
本実施形態においては、第2方向D2の位置が中央である第3位置P23において、吐出方向Zの第2位置Pz2における第2幅W1p23は、より上流である第1位置Pz1における第1幅W1p23bよりも、小さい(図6の下段および図7の下段参照)。このため、第2幅W1p23が第1幅W1p23bより大きい態様に比べて、以下のような効果が得られる。すなわち、ノズル21に対して、さらに上流の第1流路201からノズル21の開口端に向かって効率的にインクを供給することができ、かつ、ノズル21から、安定して一定の方向にインクを吐出することができる。
【0094】
また、本実施形態においては、下流の第2部分21bに含まれる第2位置Pz2において、第1方向D1の位置が第5位置P15である位置における第4幅W2p15は、第1方向D1の位置がより端E1から遠い第4位置P14である位置における第3幅W2p14よりも、大きい(図6の中央部参照)。このため、第4幅W2p15が第3幅W2p14未満である態様、たとえば、第2部分21bの外形形状が円形である態様に比べて、以下のような効果が得られる。すなわち、下流の第2部分21bに含まれる第2位置Pz2において、第2部分21bの内壁から最も離れた部位と、2部分21bの内壁との距離を小さくすることができる。
【0095】
本実施形態において、第2部分21bの内壁から最も離れた部位は、第2部分21bを構成する二つの円のそれぞれの中心近傍である。このため、第2部分21bの内壁から最も離れた部位と、第2部分21b内の内壁との距離は、二つの円の半径にほぼ等しい。一方、第2部分の外形形状が、第2部分21bの面積と等しい面積を有する一つの円で構成される態様においては、第2部分の内壁から最も離れた部位と、第2部分の内壁との距離は、第2部分を構成する一つの円の半径に等しい。その一つの円の半径は、第2部分21bの二つの円の半径よりも大きくなる。
【0096】
本実施形態においては、ノズル21内の内壁から最も離れた部位と、内壁との距離が小さくなる結果、メニスカスMnにおけるノズル21内の内壁に近い部位の振動幅と、ノズル21内の内壁から最も離れた部位の振動幅との差が小さくなる。よって、ノズル21内のインクにエネルギーを加えることにより、ノズル21内の内壁から最も離れた部位のインクに加えて、ノズル21内の内壁に近い位置にあるインクも、効率的に流動させることができる。その結果、ノズル21内に滞留するインクを減らすことができる。
【0097】
なお、このような効果は、ノズルの吐出方向Zに垂直な断面積を一定と仮定した場合に、ノズルが円形断面を有する態様に比べて、ノズルの断面の外周の距離が大きいノズルほど、大きくなる、と説明することもできる。
【0098】
本実施形態においては、下流の第2部分21bに含まれる第2位置Pz2において、第1方向D1の第4位置P14における第2方向D2のノズル21の第3幅W2p14は、第1方向D1の第5位置P15における第2方向D2のノズル21の第4幅W2p15の60%である(図6の中央部参照)。
【0099】
第3幅W2p14を、第4幅W2p15の1/6倍よりも大きく、かつ、2/3倍よりも小さくすることにより、以下のような効果が得られる。すなわち、第3幅W2p14が第4幅W2p15の1/6倍よりも小さい態様に比べて、第1方向D1および第2方向D2で張られる面内における流速の分布の変化がより少ない安定した流れで、インクをノズル21から吐出することができる。また、第3幅W2p14が第4幅W2p15の2/3倍よりも大きい態様に比べて、ノズル21内のインクにエネルギーを加えることにより、ノズル21内の内壁に近い位置にあるインクを、より効率的に流動させることができる。その結果、ノズル21内に滞留するインクを減らすことができる。
【0100】
本実施形態においては、下流の第2部分21bに含まれる第2位置Pz2において、(i)第1方向D1の位置が第4位置P14から第5位置P15に向かうにしたがって、第2方向D2のノズル21の幅は、大きくなる(図6の右部参照)。そして、(ii)第1方向D1の位置が第5位置P15から第6位置P16に向かうにしたがって、第2方向D2のノズル21の幅は、小さくなる。その結果、第6位置P16の第5幅W2p16は、第5位置P15の第4幅W2p15より小さい。
【0101】
このような構成とすることにより、下流の第2部分21bに含まれる第2位置Pz2において、第1方向D1に沿って端に近づくほど第2方向D2の幅が大きくなる態様(図6の仮想的な第2部分21bi参照)や、第2方向D2の幅が増減する態様に比べて、以下のような効果が得られる。すなわち、第1方向D1の端における第2方向D2の両端の角部Ci3,Ci4の角度を大きくすることができ、または第2方向D2の端の角部Ci3,Ci4をなくすことができる。その結果、第2方向D2の両端の角部Ci3,Ci4におけるインクの滞留の可能性を低減することができる。なお、本実施形態においては、第2部分21bの第4位置P14から一端E1側の外形は円弧であるため、第2方向D2の端の角部はない(図6参照)。
【0102】
第1方向D1の位置がノズル21の中央である第4位置P14である位置において、上流の第1部分21aの第2方向D2の幅は最大であるのに対して、下流の第2部分21bの第2方向D2の幅は最大ではない(図6の中央部参照)。第1方向D1の位置が第5位置P15である位置において、上流の第1部分21aの第2方向D2の幅は最大ではないのに対して、下流の第2部分21bの第2方向D2の幅は最大である。このため、第7幅W2p14bと第3幅W2p14の差分は、第8幅W2p15bと第4幅W2p15の差分よりも、大きい。
【0103】
第2部分21bの対称の軸は、第4位置P14と一致する。すなわち、第2部分21bの対称の軸は、ノズル21の第1方向D1における中央である。このような構成とすることにより、第2方向D2のノズル21の幅が最も狭くなっている第4位置P14が、ノズル21内の第1方向D1における中央から大きく外れている態様と比べて、以下のような効果が得られる。すなわち、第1方向D1および第2方向D2で張られる面内における流速の分布の変化がより少ない安定した流れで、インクをノズル21内に導入することができる。
【0104】
本実施形態においては、第2部分21bは、第1部分21aの円の中心を通り第2方向D2に平行な方向を対称の軸として、線対称の形状を有する。その結果、たとえば、第7位置P17における第2方向D2の第6幅W2p17は、中心である第4位置P14における第2方向D2の第3幅W2p14よりも、大きい。第8位置P18における第2方向D2の幅は、第7位置P17における第2方向D2の第6幅W2p17よりも、小さい。このような構成とすることにより、上述の効果が、対称の軸の両側において奏される。
【0105】
本実施形態における第1流路201を、「流路」とも呼ぶ。圧電アクチュエーター300を、「エネルギー発生素子」とも呼ぶ。制御ユニット121を、「駆動制御部」とも呼ぶ。
【0106】
B.第2実施形態:
第2実施形態の液体吐出装置においては、ノズル21sの形状が、第1実施形態の液体吐出装置100のノズル21の形状とは異なる。第2実施形態の液体吐出装置の他の点は、第1実施形態の液体吐出装置100と同じである。
【0107】
図10は、ノズル21sをZ方向に沿ってみたときの、ノズル21sの第1部分21aと第2部分21bとの関係を模式的に示す平面図である。ノズル21sの各部の名称は、ノズル21の各部の名称と同じである。
【0108】
ノズル21sにおいて第2部分21bよりも上流側に位置する第1部分21aの外形は、楕円形である。その結果、第1方向D1の中央である第4位置P14における第1部分21aの第2方向D2の第7幅W2p14bは、第2方向D2の中央である第3位置P23における第1部分21aの第1方向D1の第1幅W1p23bよりも小さい。すなわち、吐出方向Zの上流側に位置する第1部分21aの第1位置Pz1において、ノズル21は、第2方向D2について扁平であり、第1流路201内においてインクが流通する第1方向D1について長い形状を有する。
【0109】
このような構成とすることにより、第7幅W2p14bが第1幅W1p23bよりも、大きい態様に比べて、第1流路201内における第1方向D1に沿ったインクの流れによって、ノズル21内のインクが撹拌されやすい。その結果、ノズル21内においてインクが滞留しにくい。
【0110】
C.他の実施形態:
C1.他の形態1:
(1)上記実施形態においては、インクは、圧電アクチュエーター300が発生させた吐出のための運動エネルギーを付与される(図3参照)。しかし、液体を吐出するためのエネルギーを発生させ、液体に付与するエネルギー発生素子としては、液体を加熱して沸騰させ、液体の気化によって生成されたガスによって、ノズルから液体が吐出される素子とすることもできる。
【0111】
(2)上記実施形態においては、ノズル21は、第1部分21aと、第1部分21aよりも吐出方向Zの下流側に位置する第2部分21bとを有する(図5の下段中央部参照)。そして、第1位置Pz1は、ノズル21の第1部分21aに含まれる位置である(図7参照)。第2位置Pz2は、ノズル21の第2部分21bに含まれる位置である。しかし、ノズルがそのような吐出方向に沿ってそれぞれ一定の形状を有する構成部分からなる態様ではない態様において、第1位置と第2位置を定めることもできる。第2位置は、ノズル内の、第1位置よりも吐出方向における下流側の特定の位置である。第2位置におけるノズルの、吐出方向に垂直な断面の断面積は、第1位置におけるノズルの、吐出方向に垂直な断面の断面積よりも小さいことが好ましい。
【0112】
(3)上記実施形態においては、第3位置P23は、ノズル21内の空間における、第2方向D2すなわちY方向における中央である(図6の左部参照)。しかし、第3位置P23は、ノズル21内の空間における、第2方向D2すなわちY方向における中央から外れた位置であってもよい。第3位置P23は、ノズル21内の空間における、第2方向D2すなわちY方向における略中央であればよい。ここで、ノズル内のある方向の「略中央」とは、ノズル内の空間におけるある方向の中央から、その方向に沿ったノズル内の空間の最大幅の寸法の±10%の範囲を意味する。
【0113】
(4)上記実施形態においては、第4位置P14は、ノズル21内の空間における、第1方向D1における中央の位置である(図6参照)。しかし、第4位置P14は、ノズル21内の空間における、第1方向D1における任意の位置であってよい。
【0114】
(5)上記実施形態においては、第5位置P15は、ノズル21内の空間における、第4位置P14よりも第1方向D1におけるノズル21の一端E1に近い特定の位置である(図6参照)。しかし、第5位置P15は、ノズル21内の空間における、第4位置P14よりも第1方向D1におけるノズル21の他端E2に近い特定の位置であってもよい。
【0115】
(6)上記実施形態においては、ノズル21において第1部分21aよりも下流側に位置する第2部分21bの外形は、直径が等しい二つの円を、各円の中心間の距離が円の直径よりも小さい位置にそれぞれ配置した場合に形成される外形と等しい(図6参照)。しかし、吐出方向Zに垂直な断面におけるノズルの第2部分の外形形状は、他の形状とすることもできる。たとえば、第2部分21bの外形は、3個以上の円を、互いが重なるように配することによって得られる形状とすることもできる。また、第2部分21bの内部空間の外形は、略円形または略楕円形であって、円または楕円の内面から中心に向かって突出する部位を有する形状とすることもできる。
【0116】
(7)上記第1実施形態においては、吐出方向Zに対直な断面における上流の第1部分21aの外形は、円形である(図6参照)。しかし、第1部分の外形は、円形以外に、楕円形(図10参照)や長円形、多角形など、様々な形状とすることができる。
【0117】
(8)上記実施形態においては、第1位置Pz1は、ノズル21の第1部分21aと第2部分21bの境界から、第1部分21aのZ方向の寸法の1/10の位置である(図7参照)。しかし、第1位置Pz1と、ノズル21の第1部分21aと第2部分21bの境界との距離は、第1部分21aのZ方向の寸法の1/5、1/4、1/3、1/2、2/3、3/4など他の値とすることもできる。
【0118】
(9)上記実施形態においては、第2位置Pz2は、ノズル21の第1部分21aと第2部分21bの境界から、第2部分21bのZ方向の寸法の1/5の位置である(図7参照)。しかし、第2位置Pz2と、ノズル21の第1部分21aと第2部分21bの境界との距離は、第2部分21bのZ方向の寸法の1/4、1/3、1/2、2/3、3/4など他の値とすることもできる。
【0119】
(10)上記実施形態においては、インクの種類に応じた第2制御を行うために、インクの種類に対応づけられた電気信号の波形のデータは、制御ユニット121のROM内にされている。また、時間の経過に応じた第2制御を行うために、圧電アクチュエーター300の駆動時間の累積値についてあらかじめ定められた時間区間、およびそれらの時間区間に対応づけられた係数が、制御ユニット121のROM内にされている。
【0120】
しかし、たとえば、圧電アクチュエーター300の駆動時間の累積値についてあらかじめ定められた時間区間、およびそれらの時間区間に対応づけられた電気信号の波形のデータが、制御ユニット121のROM内にされている態様とすることもできる。また、インクの種類に対応づけられた係数が制御ユニット121のROM内にされており、基準となる台形波形Bdp1に対して、インクの種類に応じた係数が掛けられて電気信号の波形が生成される態様とすることもできる。
【0121】
(11)上記実施形態においては、インクが液体吐出ヘッド1と外部の間を循環する。しかし、例えばインクが液体吐出ヘッド1内に供給された後、ノズル以外からは排出されない系、すなわち非循環系であっても、ノズル内の流路部分で断面積が異なる部分が存在し、その段差で液体が滞留する態様においては、上記実施形態と同様のノズル構成とすることで、その滞留を解消することができる。そのような態様においても、ノズルと接続する流路内の接続部分におけるインクの流れ方向と、ノズルにおけるインクの流れ方向と、が交差する場合、上記の液体の滞留が顕著に生じ易くなる。このため、上記実施形態と同様のノズル構成としたときに得られる効果も大きくなる。
【0122】
C2.他の形態2:
上記実施形態においては、第1方向D1における第5位置P15は、第2部分21bの外形を構成する一方の円の中心が配されている位置である(図6参照)。そして、第1方向D1の第6位置P16における第2方向D2の第5幅W2p16は、第1方向D1の第5位置P15における第2方向D2の第4幅W2p15より小さい。しかし、第5位置P15は、第1方向D1についての他の位置であってもよい。そして、第6位置P16の第5幅W2p16は、第5位置P15の第4幅W2p15以上であってもよい(図6の21bi参照)。
【0123】
C3.他の形態3:
上記実施形態においては、下流の第2部分21bに含まれる第2位置Pz2において、(i)第1方向D1の位置が第4位置P14から第5位置P15に向かうにしたがって、第2方向D2のノズル21の幅は、大きくなる(図6の右部参照)。そして、(ii)第1方向D1の位置が第5位置P15から第6位置P16に向かうにしたがって、第2方向D2のノズル21の幅は、小さくなる。しかし、吐出方向Zに垂直な断面における第2部分21bの断面形状は、他の形状であってもよい。たとえば、第5位置P15以外の部位において、第2方向D2の幅が最大となる形状を備えていてもよい(図6の21bi参照)。第2方向D2の幅が最大となる部位の前と後の一方または両方において、第2方向D2の幅は、減少と増大とを含む変化をしてもよい。
【0124】
C4.他の形態4:
上記実施形態においては、第7位置P17における第2方向D2の第6幅W2p17は、中心である第4位置P14における第2方向D2の第3幅W2p14よりも、大きい(図6参照)。しかし、ノズルは、第6幅W2p17が第3幅W2p14よりも小さい態様とすることもできる。
【0125】
C5.他の形態5:
上記実施形態においては、上流の第1部分21aにおいて、第5位置P15における第2方向D2の第8幅W2p15bは、中心である第4位置P14における第7幅W2p14bよりも小さい(図6参照)。しかし、第8幅W2p15bは、第7幅W2p14b以上であってもよい(図6の21ai参照)。たとえば、吐出方向Zに垂直な断面における第1部分21aの外形形状は、第2部分21bと同様に、二つの円を、各円の中心間の距離が円の直径よりも小さい位置にそれぞれ配置した場合に形成される外形とすることもできる。
【0126】
C6.他の形態6:
上記実施形態においては、上流の第1部分21aにおいて、第1方向D1の位置が第4位置P14から第5位置P15に向かうにしたがって、第2方向D2のノズル21の幅は、小さくなる(図6参照)。しかし、上流の第1部分21aにおいて、第1方向D1の位置が第4位置P14から第5位置P15に向かうにしたがって、第2方向D2のノズル21の幅は、大きくなってもよい(図6の21ai参照)。また、第4位置P14から第5位置P15に向かうにしたがって、第2方向D2のノズル21の幅は、減少と増大とを含む変化をしてもよい。
【0127】
C7.他の形態7:
上記実施形態においては、第1方向D1の中央である第4位置P14において、上流の第1部分21aにおける第2方向D2の第7幅W2p14bは、下流の第2部分21bにおける第2方向D2の第3幅W2p14よりも、大きい(図6の中央部および図8参照)。第1方向D1の位置が第5位置P15である位置において、上流の第1部分21aにおける第2方向D2の第8幅W2p15bは、下流の第2部分21bにおける第2方向D2の第4幅W2p15よりも、大きい(図6および図9参照)。
【0128】
しかし、吐出方向に垂直な断面における第1部分21aの寸法は、第4位置P14と第5位置P15の一方において、第2部分21bの寸法と同じか、第2部分21bの寸法以下であってもよい。また、吐出方向に垂直な断面における第1部分21aの寸法は、第1方向D1と第2方向D2の一方において、第2部分21bの寸法と同じか、第2部分21bの寸法以下であってもよい。
【0129】
C8.他の形態8:
上記実施形態において、第4位置P14における、上流の第1部分21aの第2方向D2の第7幅W2p14bと、下流の第2部分21bの第3幅W2p14の差分は、第5位置P15における、上流の第1部分21aの第2方向D2の第8幅W2p15bと、下流の第2部分21bの第4幅W2p15と、の差分よりも、大きい。しかし、第7幅W2p14bと第3幅W2p14の差分は、第8幅W2p15bと第4幅W2p15と、の差分以下であってもよい。
【0130】
C9.他の形態9:
上記実施形態において、第4位置P14における上流の第1部分21aの第2方向D2の第7幅W2p14bと、第3位置P23における第1部分21aの第1方向D1の第1幅W1p23bは、互いに等しい(図6参照)。しかし、第7幅W2p14bと、第1幅W1p23bは、異なっていてもよい(図10参照)。ただし、第7幅W2p14bと、第1幅W1p23bは、互いにほぼ等しいことが好ましい。ここで、二つの寸法が「ほぼ等しい」とは、一方の寸法が他方の寸法の85%~115%の範囲に含まれることを意味する。
【0131】
C10.他の形態10:
上記第2実施形態において、上流の第1部分21aの外形は、楕円形である(図10参照)。その結果、第1方向D1の中央である第4位置P14における第1部分21aの第2方向D2の第7幅W2p14bは、第2方向D2の中央である第3位置P23における第1部分21aの第1方向D1の第1幅W1p23bよりも小さい。しかし、上流の第1部分21aの外形は、第4位置P14における第2方向D2の第7幅W2p14bが、第3位置P23における第1方向D1の第1幅W1p23bよりも大きい、楕円形または長円形とすることもできる。
【0132】
C11.他の形態11:
上記実施形態においては、下流の第2部分21bにおいて、第1方向D1の第2幅W1p23は、第2方向D2の第3幅W2p14および第4幅W2p15よりも、大きい(図6参照)。しかし、第1方向D1の第2幅W1p23は、第2方向D2の第3幅W2p14以下であってもよく、第2方向D2の第4幅W2p15以下であってもよい。
【0133】
C12.他の形態12:
上記実施形態においては、ノズル21は、第1部分21aと、第1部分21aよりも吐出方向Zの下流側に位置する第2部分21bとを有する(図3の下段中央部参照)。しかし、ノズルは、たとえば、第1部分と第2部分の間に、第3部分を備えていてもよい。また、第1部分の上流側に、他の部分を備えていてもよい。
【0134】
C13.他の形態13:
上記実施形態においては、下流の第2部分21bの吐出方向Zの第10幅Wz21bは、上流の第1部分21aの吐出方向Zの第9幅Wz21aよりも小さい(図7図9参照)。しかし、下流の第2部分21bの第10幅Wz21bは、上流の第1部分21aの第9幅Wz21a以上であってもよい。
【0135】
C14.他の形態14:
上記実施形態においては、吐出方向Zに垂直な断面における第1部分21aの形状は、吐出方向Zの位置によらず一定である。吐出方向Zに垂直な断面における第2部分21bの形状は、吐出方向Zの位置によらず一定である(図7図9参照)。しかし、吐出方向Zに垂直な断面における第1部分21aの形状は、吐出方向Zの位置によって異なっていてもよい。また、吐出方向Zに垂直な断面における第2部分21bの形状は、吐出方向Zの位置によって異なっていてもよい。
【0136】
C15.他の形態15:
上記実施形態においては、下流の第2部分21bにおいて、第1方向D1の第4位置P14における第2方向D2のノズル21の第3幅W2p14は、第1方向D1の第5位置P15における第2方向D2のノズル21の第4幅W2p15の60%である(図6の中央部参照)。しかし、第3幅W2p14は、第4幅W2p15の50%、70%、75%など、他の値をとりうる。ただし、第3幅W2p14は、第4幅W2p15の1/6倍よりも大きいことが好ましく、20%よりも大きいことがより好ましく、30%よりも大きいことがさらに好ましい。第3幅W2p14は、第4幅W2p15の2/3倍より小さいことが好ましく、65%より小さいことが好ましく、55%より小さいことがさらに好ましい。
【0137】
C16.他の形態16:
上記実施形態においては、第4位置P14は、ノズル21内の空間における、第1方向D1における中央の位置である(図6参照)。しかし、第4位置P14は、ノズル21内の空間における、第1方向D1における他の位置であってもよい。
【0138】
C17.他の形態17:
上記実施形態においては、ノズル21は、第1流路201から直接、分岐して設けられている(図5参照)。しかし、ノズルは、第1流路201から分岐する流路に接続されていてもよい。
【0139】
C18.他の形態18:
上記実施形態においては、下流の第2部分21bにおける第1方向D1の第2幅W1p23は、上流の第1部分21aにおける第1方向D1の第1幅W1p23bの80%である(図6参照)。しかし、第2幅W1p23は、第1幅W1p23bの90%、70%、60%など、他の値をとりうる。ただし、第2幅W1p23は、第1幅W1p23bの3/4倍よりも大きいことが好ましく、78%よりも大きいことがより好ましい。また、第2幅W1p23は、第1幅W1p23bの9/10倍よりも小さいことが好ましく、88%よりも小さいことがより好ましく、85%よりも小さいことがさらに好ましい。
【0140】
C19.他の形態19:
上記実施形態においては、制御ユニット121は、ノズル21から液体が吐出されるように圧電アクチュエーター300を駆動させる第1制御と、ノズル21から液体が吐出されない程度に圧電アクチュエーター300を駆動させる第2制御と、を実行可能である(図4参照)。しかし、液体吐出ヘッドは、第2制御が行われない液体吐出装置において使用されることもできる。
【0141】
C20.他の形態20:
上記実施形態においては、制御ユニット121は、第2制御において、ノズル21内のインクのメニスカスMnが、第1部分21a内の第1位置Pz1まで到達するように、圧電アクチュエーター300を駆動させる(図7および図9参照)。しかし、制御ユニット121は、第2制御において、ノズル21内のインクのメニスカスMnが、第1部分21a内の第1位置Pz1まで到達しないように、圧電アクチュエーター300を駆動させてもよい。
【0142】
C21.他の形態21:
上記実施形態においては、制御ユニット121は、第2制御において、インクの種類に応じて異なる制御を行う。しかし、液体吐出ヘッドは、インクの種類に応じて異なる第2制御が行われない液体吐出装置において使用されることもできる。
【0143】
C22.他の形態22:
上記実施形態においては、制御ユニット121は、第2制御において、時間の経過に応じた制御を行う。しかし、液体吐出ヘッドは、時間の経過に応じた第2制御が行われない液体吐出装置において使用されることもできる。
【0144】
D.さらに他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0145】
(1)本開示の一形態によれば、液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドは、第1方向に液体を流通させる流路と、前記液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、前記流路に連通し、前記エネルギー発生素子により発生されたエネルギーによって前記第1方向と交差する吐出方向に前記液体を吐出するノズルと、を備える。
前記ノズル内の、前記吐出方向における特定の位置を第1位置とし、前記ノズル内の、前記第1位置よりも前記吐出方向における下流側の特定の位置を第2位置とし、前記ノズル内の、前記第1方向および前記吐出方向と交差する方向である第2方向における略中央を第3位置とし、前記ノズル内の、前記第1方向における特定の位置を第4位置とし、前記ノズル内の、前記第4位置よりも前記第1方向における前記ノズルの一端に近い特定の位置を第5位置とする。
前記吐出方向の位置が前記第1位置であり、前記第2方向の位置が前記第3位置である位置における、前記第1方向の前記ノズルの幅を、第1幅とし、前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第2方向の位置が前記第3位置である位置における、前記第1方向の前記ノズルの幅を、第2幅とし、前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第1方向の位置が前記第4位置である位置における、前記第2方向の前記ノズルの幅を、第3幅とし、前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第1方向の位置が前記第5位置である位置における、前記第2方向の前記ノズルの幅を、第4幅とする。
前記第2幅は、前記第1幅よりも小さく、前記第4幅は、前記第3幅よりも大きい。
【0146】
ノズル内の液体にエネルギーが加えられた場合、ノズル内における液体と外気の界面であるメニスカスは、ノズル内の内壁から最も離れた部位において最も大きく振動する。一方、ノズル内の内壁に近い部位は、振動しにくい。ただし、ノズル内の内壁に近い部位の振動幅と、ノズル内の内壁から最も離れた部位の振動幅との差は、ノズル内の内壁から最も離れた部位と、ノズル内の内壁との距離が小さいほど、小さくなる。
【0147】
上記の態様においては、第2方向の位置が第3位置である位置において、吐出方向の位置が第2位置である位置における第2幅は、吐出方向の位置がより上流である第1位置である位置における第1幅よりも、小さい。このため、第2幅が第1幅より大きい態様に比べて、以下のような効果が得られる。すなわち、ノズルに対して、さらに上流の流路からノズルの開口端に向かって効率的に液体を供給することができ、かつ、ノズルから、安定して一定の方向に液体を吐出することができる。
【0148】
また、上記の態様においては、吐出方向の位置が第2位置である位置において、第1方向の位置が第5位置である位置における第4幅は、第1方向の位置がより端から遠い第4位置である位置における第3幅よりも、大きい。このため、第4幅が第3幅未満である態様に比べて、以下のような効果が得られる。すなわち、吐出方向の位置が第2位置である位置において、ノズル内の内壁から最も離れた部位と、ノズル内の内壁との距離を小さくすることができる。その結果、メニスカスにおけるノズル内の内壁に近い部位の振動幅と、ノズル内の内壁から最も離れた部位の振動幅との差を小さくすることができる。よって、ノズル内の液体にエネルギーを加えることにより、ノズル内の内壁に近い位置にある液体も、効率的に流動させることができる。その結果、ノズル内に滞留する液体を減らすことができる。
【0149】
(2)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記ノズル内の、前記第5位置よりも前記第1方向における前記ノズルの一端に近い特定の位置を、第6位置とし、前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第1方向の位置が前記第6位置である位置における、前記第2方向の前記ノズルの幅を、第5幅としたとき、前記第5幅は、前記第4幅より小さい、態様とすることができる。
【0150】
(3)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記吐出方向の位置が前記第2位置である位置において、(i)前記第1方向の位置が前記第4位置から前記第5位置に向かうにしたがって、前記第2方向の前記ノズルの幅は、大きくなり、(ii)前記第1方向の位置が前記第5位置から前記第6位置に向かうにしたがって、前記第2方向の前記ノズルの幅は、小さくなる、態様とすることができる。
【0151】
(4)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記ノズル内の、前記第4位置よりも前記第1方向における前記ノズルの他端に近い特定の位置を、第7位置とし、前記吐出方向の位置が前記第2位置であり、前記第1方向の位置が前記第7位置である位置における、前記第2方向の前記ノズルの幅を、第6幅としたとき、前記第6幅は、前記第3幅よりも大きい、態様とすることができる。
【0152】
(5)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記吐出方向の位置が前記第1位置であり、前記第1方向の位置が前記第4位置である位置における、前記第2方向のノズルの幅を、第7幅とし、前記吐出方向の位置が前記第1位置であり、前記第1方向の位置が前記第5位置である位置における、前記第2方向のノズルの幅を、第8幅としたとき、前記第8幅は、前記第7幅よりも小さい、態様とすることができる。
【0153】
(6)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記吐出方向の位置が前記第1位置である場合において、前記第1方向の位置が前記第4位置から前記第5位置に向かうにしたがって、前記第2方向の前記ノズルの幅は、小さくなる、態様とすることができる。
【0154】
(7)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第7幅は、前記第3幅よりも大きく、前記第8幅は、前記第4幅よりも大きい、態様とすることができる。
【0155】
(8)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第7幅と前記第3幅の差分は、前記第8幅と前記第4幅の差分よりも大きい、態様とすることができる。
【0156】
(9)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第7幅と前記第1幅は、互いにほぼ等しい、態様とすることができる。
【0157】
(10)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第7幅は、前記第1幅よりも小さい、態様とすることができる。
【0158】
(11)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第2幅は、前記第3幅および前記第4幅よりも大きい、態様とすることができる。
【0159】
(12)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記ノズルは、前記第1位置を含む第1部分と、前記第2位置を含み前記第1部分よりも前記吐出方向の下流側に位置する第2部分と、を備え、前記第1部分の前記吐出方向の幅は、第9幅であり、前記第2部分の前記吐出方向の幅は、第10幅である、態様とすることができる。
【0160】
(13)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第10幅は、前記第9幅よりも小さい、態様とすることができる。
【0161】
(14)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第1部分において、前記第1方向の前記ノズルの幅は、前記吐出方向の位置によらず一定であり、前記第1部分において、前記第2方向の前記ノズルの幅は、前記吐出方向の位置によらず一定であり、前記第2部分において、前記第1方向の前記ノズルの幅は、前記吐出方向の位置によらず一定であり、前記第2部分において、前記第2方向の前記ノズルの幅は、前記吐出方向の位置によらず一定である、態様とすることができる。
【0162】
(15)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第3幅は、前記第4幅の1/6倍よりも大きく、かつ、前記第4幅の2/3倍よりも小さい、態様とすることができる。
【0163】
(16)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第4位置は、前記ノズル内の、前記第1方向における略中央である、態様とすることができる。
【0164】
(17)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記ノズルは、前記流路から分岐して設けられており、前記流路は、前記ノズルが前記流路に接続している部位に対して上流側に位置し、前記ノズルに液体を供給する供給流路部分と、前記ノズルが前記流路に接続している部位に対して下流側に位置し、前記ノズルから液体を排出する排出流路部分と、を備える、態様とすることができる。
【0165】
(18)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第2幅は、前記第1幅の3/4倍よりも大きく、かつ、前記第1幅の9/10倍よりも小さい、態様とすることができる。
【0166】
(19)本開示の他の形態によれば、液体吐出装置が提供される。この液体吐出装置は、上記のいずれかの態様の液体吐出ヘッドと、前記エネルギー発生素子に電気信号を印加することにより、前記エネルギー発生素子の駆動を制御する駆動制御部と、を備える。前記駆動制御部は、前記ノズルから液体が吐出されるように前記エネルギー発生素子を駆動させる第1制御と、前記ノズルから液体が吐出されないように前記エネルギー発生素子を駆動させる第2制御と、を実行可能である。
このような態様とすることにより、ノズルから液体を吐出させない時間区間においても、ノズル内の液体を流動させることができる。その結果、一部の液体が長期にわたってノズル内に滞留する事態を防止できる。
【0167】
(20)上記形態の液体吐出装置において、前記駆動制御部は、前記第2制御において、前記ノズル内の前記液体のメニスカスが前記第1位置まで到達するように、前記エネルギー発生素子を駆動させる、態様とすることができる。
【0168】
(21)上記形態の液体吐出装置において、前記駆動制御部は、前記第2制御において、(i)前記ノズルに第1種類の液体が供給される場合、前記エネルギー発生素子に第1電気信号を印加し、(ii)前記ノズルに前記第1種類の液体よりも粘度が高い第2種類の液体が供給される場合、前記エネルギー発生素子に第2電気信号を印加し、前記エネルギー発生素子に前記第2電気信号が印加されたときに発生するエネルギーの量は、前記エネルギー発生素子に前記第1電気信号が印加されたときに発生するエネルギーの量よりも多い、態様とすることができる。
【0169】
(22)上記形態の液体吐出装置において、前記駆動制御部は、前記第2制御において、(i)前記エネルギー発生素子の駆動時間の累積値が第1時間である場合、前記エネルギー発生素子に第3電気信号を印加し、(ii)前記エネルギー発生素子の駆動時間の累積値が前記第1時間よりも長い第2時間である場合、前記エネルギー発生素子に第4電気信号を印加し、前記エネルギー発生素子に前記第4電気信号が印加されたときに前記発生するエネルギーの量は、前記エネルギー発生素子に前記第3電気信号が印加されたときに発生するエネルギーの量よりも多い、態様とすることができる。
【0170】
本開示は、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置の製造方法や、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置の制御方法、その制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【0171】
上述した本開示の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、上述した本開示の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を上述した本開示の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本開示の独立した一形態とすることも可能である。
【符号の説明】
【0172】
1…液体吐出ヘッド、1A…アクチュエーター基板、1D…駆動IC、1D1…選択制御部、1D2…選択部、1L…配線パターン、2…液体容器、8…搬送機構、10…流路形成基板、12…圧力室、15…連通板、16…第1連通部、17…第2連通部、18…第3連通部、20…ノズルプレート、21…ノズル、21a…第1部分、21ai…比較対象である仮想的な第1部分、21b…第2部分、21bi…比較対象である仮想的な第2部分、21s…ノズル、24…移動機構、24b…ベルト、24c…キャリッジ、30…保護基板、31…圧電アクチュエーター保持部、40…ケース部材、41…第1液室部、42…第2液室部、43…導入口、44…排出口、45…接続孔、49…コンプライアンス基板、50…振動板、60…第1電極、70…圧電体層、80…第2電極、90…リード電極、100…液体吐出装置、101…第1共通液室、102…第2共通液室、120…フレキシブルケーブル、121…制御ユニット、122…制御部、124…電圧生成回路、126a…駆動回路、126b…駆動回路、151…第1連通板、152…第2連通板、200…個別流路、201…第1流路、201a…供給流路部分、201b…排出流路部分、202…第2流路、203…供給路、300…圧電アクチュエーター、491…封止膜、492…固定基板、494…コンプライアンス部、A1…インクの流通方向を示す矢印、Adp1…台形波形、Adp2…台形波形、Bdp1…台形波形、Bdp2…台形波形、CA…中心軸、COM-A…駆動信号、COM-B…駆動信号、Ci1…仮想的な角部、Ci2…仮想的な角部、Ci3…仮想的な角部、Ci4…仮想的な角部、Ctr…制御信号、D1…第1方向、D2…第2方向、E1…一端、E2…他端、IN…インクの流通方向を示す矢印、Mn…メニスカス、OUT…インクの流通方向を示す矢印、P14…第4位置、P15…第5位置、P16…第6位置、P17…第7位置、P18…第8位置、P23…第3位置、PM…媒体、Pz1…第1位置、Pz2…第2位置、VBS…電圧、Vout…電圧、W1p23b…第1幅、W1p23…第2幅、W2p14…第3幅、W2p14b…第7幅、W2p15…第4幅、W2p15b…第8幅、W2p16…第5幅、W2p17…第6幅、Wz21a…第9幅、Wz21b…第10幅、Y2…媒体の搬送方向を示す矢印、dA…データ、dB…データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10