(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/06 20060101AFI20231212BHJP
B41J 11/00 20060101ALI20231212BHJP
B65H 29/58 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65H5/06 D
B41J11/00 A
B41J11/00 B
B65H29/58 B
(21)【出願番号】P 2019198384
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】和木 信悟
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-058952(JP,A)
【文献】特開平11-208924(JP,A)
【文献】特開平04-115967(JP,A)
【文献】特開2018-017959(JP,A)
【文献】特開2011-190024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00-11/70
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 29/12-29/24
B65H 29/32
B65H 29/54-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に送り力を付与する第1ローラーと、
前記第1ローラーから送り力を受けて搬送される媒体に対し送り力を付与する第2ローラーと、前記第2ローラーから送り力を受けて搬送される媒体に対し送り力を付与する第3ローラーと、
前記第3ローラーに回転トルクを伝達する第1回転体と、
前記第1回転体に対し第1の間隔を空けて設けられた第1軸と、
前記第1回転体に対し前記第1の間隔を空けて設けられ、前記第1軸とは異なる位置に設けられた第2軸と、を備え、
前記第1軸は、第1モーターの回転トルクが、第
2ベルトを介して前記第1軸に伝達され、前記第1軸から第
1ベルトを介して伝達する構成であり、
前記第2軸は、第2モーターの回転トルクが、前記第2軸に伝達され、前記第2軸から前記第
1ベルトを介して伝達する構成であり、
前記第1軸の軸中心と前記第2軸の軸中心が、前記第2ローラーの回転中心を中心とした円弧上に配置されている、ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体搬送装置において、前記第2ローラーの回転軸に設けられ、前記第2ローラーに対し回転トルクを付与する第2回転体と、
前記第1軸または前記第2軸に設けられる第3回転体と、前記第2回転体とに掛け回されるベルトと、
前記ベルトに対しテンションを付与するテンション付与部材と、
前記テンション付与部材を支持するとともに前記ベルトに対し進退する方向にスライド可能なスライダと、
前記スライダに対し押圧力を付与する押圧部材と、を備え、
前記第2ローラーの回転軸を支持するフレームに、前記スライダをガイドする第1ガイド溝と、
前記第1ガイド溝の延設方向に対し交差する方向に延設され、前記スライダをガイドする第2ガイド溝と、が設けられている、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の媒体搬送装置において、前記第1軸及び前記第2軸の少なくともいずれかが、前記フレームと一体に形成されている、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項4】
媒体に記録を行う記録手段と、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の前記媒体搬送装置と、
を備えた記録装置。
【請求項5】
媒体に記録を行う記録手段と、
請求項2または請求項3に記載の前記媒体搬送装置と、を備え、
前記媒体搬送装置は、前記記録手段と対向する媒体搬送経路であって、媒体に記録を行う際の媒体搬送方向である第1方向及び前記第1方向とは反対の第2方向に媒体を搬送可能な第1媒体搬送経路と、
媒体の面を反転させる反転経路と、
前記記録手段によって記録が行われた媒体を前記反転経路に案内する第2媒体搬送経路と、
前記第2媒体搬送経路に対して鉛直下方に位置し、前記記録手段によって記録が行われた媒体を前記反転経路に案内する、前記第2媒体搬送経路とは異なる第3媒体搬送経路と、を備え、
前記第1ローラーが、前記第1媒体搬送経路において前記記録手段の下流に設けられ、媒体を前記第1方向に送り、
前記第2ローラーが、前記第1ローラーに対し前記第1方向の下流に位置し、前記第1方向に搬送された媒体を排出口に向けて送る正転方向とその反対の逆転方向に回転可能であり、正転により媒体を前記排出口から排出し、逆転により媒体を前記第3媒体搬送経路に送り、
前記第3ローラーが、前記第3媒体搬送経路に設けられ、媒体を前記反転経路に向けて送る正転方向にのみ回転可能である、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項5に記載の記録装置において、前記第1軸が、前記第1ローラーの回転軸であるとともに前記第3回転体が前記第1軸に設けられ、
前記第3回転体に、前記第1回転体としての第3ローラー駆動歯車と噛合する第1歯車が一体に設けられ、
前記第2ローラー及び前記第3ローラーが、前記第1ローラーの回転軸及び前記第1歯車を介して、第1モーターにより駆動される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項5に記載の記録装置において、前記第1軸が、前記第1ローラーの回転軸であるとともに前記第3回転体が前記第2軸に設けられ、
前記第3回転体に、前記第1回転体としての第3ローラー駆動歯車と噛合する第1歯車が一体に設けられ、
前記第1ローラーが、第1モーターにより駆動され、
前記第2ローラー及び前記第3ローラーが、前記第1歯車を介して、第2モーターにより駆動される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項7に記載の媒体搬送装置において、前記第2モーターを取り付けるモーター取付部材を備え、
前記モーター取付部材を前記フレームに固定した状態において、前記第2軸の軸端が、前記モーター取付部材に支持される、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を搬送する媒体搬送装置、およびこれを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリやプリンター等に代表される記録装置においては、販売戦略上、基本的仕様は同じであるものの部分的に仕様が異なる複数の機種がラインナップされる場合がある。その場合、機種毎に専用の部品設計を行うのではコストアップを招くことから、できる限り共通の部品を用いることが従来から行われている(特許文献1~5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-103736号公報
【文献】特開2004-154974号公報
【文献】特開2004-042382号公報
【文献】特開2008-200892号公報
【文献】特開2009-034858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
媒体を搬送する媒体搬送装置についても、複数のローラーを駆動する為の駆動源として1つのモーターを備える機種と、複数のモーターを備える機種とを、できる限り部品の共通化を行いたいという要請がある。しかしながらモーターの数が変化すると、特にモーターからローラーへ動力を伝達する伝達機構について、機種毎に用意すべき専用の部品が多くなり易く、低コスト化の障壁となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための、本発明の媒体搬送装置は、媒体に送り力を付与する第1ローラーと、前記第1ローラーから送り力を受けて搬送される媒体に対し送り力を付与する第2ローラーと、前記第2ローラーから送り力を受けて搬送される媒体に対し送り力を付与する第3ローラーと、前記第3ローラーに回転トルクを伝達する第3ローラー駆動歯車と、前記第3ローラー駆動歯車に対し第1の間隔を空けて設けられた第1軸と、前記第3ローラー駆動歯車に対し前記第1の間隔を空けて設けられ、前記第1軸とは異なる位置に設けられた第2軸と、を備え、前記第1軸の軸中心と前記第2軸の軸中心が、前記第2ローラーの回転中心を中心とした円弧上に配置されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】プリンターの用紙搬送経路の全体を示す側断面図。
【
図3】プリンターの用紙搬送経路の一部を示す側断面図。
【
図4】プリンターの用紙搬送経路の一部を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る媒体搬送装置は、媒体に送り力を付与する第1ローラーと、前記第1ローラーから送り力を受けて搬送される媒体に対し送り力を付与する第2ローラーと、前記第2ローラーから送り力を受けて搬送される媒体に対し送り力を付与する第3ローラーと、前記第3ローラーに回転トルクを伝達する第1回転体と、前記第1回転体に対し第1の間隔を空けて設けられた第1軸と、前記第1回転体に対し前記第1の間隔を空けて設けられ、前記第1軸とは異なる位置に設けられた第2軸と、を備え、前記第1軸の軸中心と前記第2軸の軸中心が、前記第2ローラーの回転中心を中心とした円弧上に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、第1ローラー、第2ローラー、第3ローラー、のこれらローラーを備えた媒体搬送装置において、前記第3ローラーに回転トルクを伝達する第1回転体に対して、第1軸と第2軸が配置されているので、前記第1軸を用いる場合と前記第2軸を用いる場合とで、動力伝達構成を異ならせることができる。
そして前記第1軸と前記第2軸は、前記第2ローラーの回転中心を中心とした円弧上に配置されているので、前記第2ローラーの回転中心と前記第1軸との間の距離と、前記第2ローラーの回転中心と前記第2軸との間の距離とが均一に保たれる。しかも、前記第1軸と前記第1回転体との間隔及び前記第2軸と前記第1回転体との間隔がいずれも第1の間隔に設定される。
従って、前記第1軸を利用して前記第1回転体と前記第2ローラーとの間で駆動力を伝達する場合、及び前記第2軸を利用して前記第1回転体と前記第2ローラーとの間で駆動力を伝達する場合のいずれにおいても、ベルトや歯車等を利用した駆動力伝達機構について同じ部品構成を用いることができ、異なる仕様の機種を展開する場合のコストアップを効果的に抑制できる。
【0009】
第2の態様は、第1の態様において、前記第2ローラーの回転軸に設けられ、前記第2ローラーに対し回転トルクを付与する第2回転体と、前記第1軸または前記第2軸に設けられる第3回転体と、前記第2回転体とに掛け回されるベルトと、前記ベルトに対しテンションを付与するテンション付与部材と、前記テンション付与部材を支持するとともに前記ベルトに対し進退する方向にスライド可能なスライダと、前記スライダに対し押圧力を付与する押圧部材と、を備え、前記第2ローラーの回転軸を支持するフレームに、前記スライダをガイドする第1ガイド溝と、前記第1ガイド溝の延設方向に対し交差する方向に延設され、前記スライダをガイドする第2ガイド溝と、が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、前記スライダをガイドする第1ガイド溝と、前記第1ガイド溝の延設方向に対し交差する方向に延設され、前記スライダをガイドする第2ガイド溝とを備えているので、前記第1軸に前記回転体を設けた場合の前記ベルト、及び前記第2軸に前記回転体を設けた場合の前記ベルトに対し、コストアップを招くことなく、適切な方向にテンションを付与することができる。
【0011】
第3の態様は、第2の態様において、前記第1軸及び前記第2軸の少なくともいずれかが、前記フレームと一体に形成されていることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1軸及び前記第2軸の少なくともいずれかが、前記フレームと一体に形成されているので、装置の低コスト化を図ることができる。
【0012】
第4の態様に係る記録装置は、媒体に記録を行う記録手段と、第1から第3の態様のいずれかに係る前記媒体搬送装置とを備えたことを特徴とする。
本態様によれば、記録装置において、上述した第1から第3の態様のいずれかの作用効果が得られる。
【0013】
第5の態様に係る記録装置は、媒体に記録を行う記録手段と、第2のまたは第3の態様に係る前記媒体搬送装置と、を備え、前記媒体搬送装置は、前記記録手段と対向する媒体搬送経路であって、媒体に記録を行う際の媒体搬送方向である第1方向及び前記第1方向とは反対の第2方向に媒体を搬送可能な第1媒体搬送経路と、媒体の面を反転させる反転経路と、前記記録手段によって記録が行われた媒体を前記反転経路に案内する第2媒体搬送経路と、前記第2媒体搬送経路に対して鉛直下方に位置し、前記記録手段によって記録が行われた媒体を前記反転経路に案内する、前記第2媒体搬送経路とは異なる第3媒体搬送経路と、を備え、前記第1ローラーが、前記第1媒体搬送経路において前記記録手段の下流に設けられ、媒体を前記第1方向に送り、前記第2ローラーが、前記第1ローラーに対し前記第1方向の下流に位置し、前記第1方向に搬送された媒体を排出口に向けて送る正転方向とその反対の逆転方向に回転可能であり、正転により媒体を前記排出口から排出し、逆転により媒体を前記第3媒体搬送経路に送り、前記第3ローラーが、前記第3媒体搬送経路に設けられ、媒体を前記反転経路に向けて送る正転方向にのみ回転可能であることを特徴とする。
本態様によれば、前記第3媒体搬送経路を利用して、前記反転経路に媒体を送る際の経路長を確保でき、長さの長い媒体の両面記録に対応することができる。
【0014】
第6の態様は、第5の態様において、前記第1軸が、前記第1ローラーの回転軸であるとともに前記第3回転体が前記第1軸に設けられ、前記第3回転体に、前記第1回転体としての第3ローラー駆動歯車と噛合する第1歯車が一体に設けられ、前記第2ローラー及び前記第3ローラーが、前記第1ローラーの回転軸を介して第1モーターにより駆動されることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1モーターにより、前記第1ローラー、前記第2ローラー、及び前記第3ローラーのこれらローラーを駆動でき、装置の部品コストを抑制できる。
【0015】
第7の態様は、第5の態様において、前記第1軸が、前記第1ローラーの回転軸であるとともに前記第3回転体が前記第2軸に設けられ、前記第3回転体に、前記第1回転体としての第3ローラー駆動歯車と噛合する第1歯車が一体に設けられ、前記第1ローラーが、第1モーターにより駆動され、前記第2ローラー及び前記第3ローラーが、前記第1歯車を介して、第2モーターにより駆動されることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1ローラーが、第1モーターにより駆動され、前記第2ローラー及び前記第3ローラーが第2モーターにより駆動されるので、制御の自由度が向上する。
【0016】
第8の態様は、第7の態様において、前記第2モーターを取り付けるモーター取付部材を備え、前記モーター取付部材を前記フレームに固定した状態において、前記第2軸の軸端が、前記モーター取付部材に支持されることを特徴とする。
本態様によれば、前記モーター取付部材を前記フレームに固定した状態において、前記第2軸の軸端が、前記モーター取付部材に支持されるので、前記第2軸の変形を抑制できる。
【0017】
以下、本発明を具体的に説明する。
尚、各図においてX軸に沿った方向は装置幅方向であり、用紙搬送方向と交差する方向、即ち用紙幅方向となる。-X方向は装置前面をユーザーと対面させた際にユーザーから見て右方向となり、また+X方向は同左方向となる。
またY軸に沿った方向は装置奥行き方向であり、+Y方向は装置背面から前面に向かう方向であり、第1方向となる。また、-Y方向は装置前面から背面に向かう方向であり、第2方向となる
またZ軸に沿った方向は鉛直方向であり、+Z方向は鉛直上方、-Z方向は鉛直下方となる。
本実施形態において装置の周囲を構成する側面のうち操作部5が設けられた側面が装置前面となる。
【0018】
図1において記録装置の一例であるインクジェットプリンター1は、装置本体2の上部に、スキャナー部3を備えて成る、所謂複合機である。以下、インクジェットプリンターを「プリンター」と略称する。
装置本体2は、媒体の一例である記録用紙に記録を行う機能を有し、スキャナー部3は、原稿を読み取る機能を有する。尚、スキャナー部3は、セットされた原稿を自動送りする自動原稿送り機構(ADF:Auto Document Feeder)を備えている。
【0019】
装置本体2は、記録用紙を搬送する媒体搬送装置4(
図2参照)と、記録用紙を搬送する搬送経路(後述)や記録手段の一例である記録ヘッド9(
図2参照)とを備えており、また、本実施形態では二つの媒体収容カセット、具体的には第1用紙カセット51及び第2用紙カセット52を着脱可能に備えている。
【0020】
また装置本体2は、第1用紙カセット51及び第2用紙カセット52への用紙セットに加え、装置背面からの用紙セット及び給送も可能に構成されている。符号7は装置背面から用紙をセットする際の用紙セット口(不図示)を開閉するカバーである。
【0021】
装置本体2は、装置前面に、プリンター1の各種操作を行う操作部5を備えている。操作部5は、表示部と複数の操作ボタンを備えて成るとともに、チルト可能に設けられている。
操作部5の下側には、記録が行われた記録用紙を排出する排出口10が設けられ、排出口10の下側には、排出される記録用紙を受ける排出トレイ6が設けられている。排出トレイ6は、
図1に示すように装置本体2の内部に収容された状態と、装置本体2から引き出された状態(不図示)と、を取り得るように設けられている。
【0022】
続いて
図2を参照しつつ記録用紙の搬送経路について説明する。尚、
図2では第2用紙カセット52の図示は省略する。
プリンター1において、記録用紙は給送経路に拘わらず反転経路RRを構成する反転ローラー21を介して搬送ローラー対15に搬送され、搬送ローラー対15によって、記録ヘッド9による記録領域に搬送される。
【0023】
より詳しくは、プリンター1は用紙給送経路として第1用紙カセット51から記録用紙を給送する為の用紙給送経路K1と、第1用紙カセット51の下の第2用紙カセット52から記録用紙を給送する為の用紙給送経路K2と、装置後方上部から手差しで記録用紙を給送する為の用紙給送経路K3と、を備えている。
【0024】
またプリンター1は用紙搬送経路として、記録ヘッド9と対向する用紙搬送経路であって記録用紙に記録を行う際の用紙搬送方向である第1方向(+Y方向)及びその反対の第2方向(-Y方向)に記録用紙を搬送可能な第1用紙搬送経路FR1と、記録用紙の面を反転させる反転経路RRと、記録が行われた記録用紙を反転経路RRに案内する第2用紙搬送経路FR2と、第2用紙搬送経路FR2に対して鉛直下方に位置し、記録が行われた記録用紙を反転経路RRに案内する、第2用紙搬送経路FR2とは異なる第3用紙搬送経路FR3と、を備えている。
【0025】
尚、本実施形態において第1用紙搬送経路FR1は、搬送ローラー対15と第1排出ローラー対40との間の用紙搬送経路とする。また第2用紙搬送経路FR2は、従動ローラー14dを経由する、搬送ローラー対15と従動ローラー14aとの間の用紙搬送経路とする。また第3用紙搬送経路FR3は、反転駆動ローラー44を経由する、第2排出ローラー対46と従動ローラー14aとの間の用紙搬送経路とする。また反転経路RRは、従動ローラー14aと従動ローラー14cとの間の用紙搬送経路とする。尚、
図2において符号FR4は、従動ローラー14cと搬送ローラー対15との間の用紙搬送経路(第4用紙搬送経路)である。また符号FR5は、第1排出ローラー対40と第2排出ローラー対46との間の用紙搬送経路(第5用紙搬送経路)である。
【0026】
用紙給送経路K1において、記録用紙は給送ローラー11により給送される。給送ローラー11は揺動軸12aを中心に揺動する支持部材12に支持され、支持部材12の揺動により給送ローラー11が第1用紙カセット51に収容される記録用紙Pに対して進退する。
第1用紙カセット51の下に設けられた第2用紙カセット52(
図2において不図示)にも同様な給送機構(不図示)が設けられている。
【0027】
反転ローラー21は他のローラーに比して最も大径に形成され、記録用紙を湾曲反転させる。反転ローラー21の周囲には従動ローラー14a、14b、14c、14d、が設けられている。用紙給送経路K1、K2を介して給送される記録用紙は、反転経路RR、及び第4用紙搬送経路FR4を介して搬送ローラー対15に送られる。
用紙給送経路K3を介して給送される記録用紙は、第4用紙搬送経路FR4を介して搬送ローラー対15に送られる。
【0028】
第2用紙搬送経路FR2を介して-Y方向に沿って送られる記録用紙は、反転経路RR、及び第4用紙搬送経路FR4を介して搬送ローラー対15に送られる。
同様に第3用紙搬送経路FR3を介して-Y方向に沿って送られる記録用紙は、反転経路RR、及び第4用紙搬送経路FR4を介して搬送ローラー対15に送られる。
【0029】
搬送ローラー対15は、回転駆動される搬送駆動ローラー16と、従動回転する搬送従動ローラー17とを備えて構成される。搬送ローラー対15に送られた記録用紙は、搬送駆動ローラー16と搬送従動ローラー17とによってニップされ、記録ヘッド9と対向する領域、即ち記録領域に送られ、記録が行われる。
【0030】
記録ヘッド9を備えるキャリッジ8は、X軸方向に延びるキャリッジガイド軸19にガイドされつつ、キャリッジ駆動用モーター(不図示)から動力を得てX軸方向に往復動する。記録ヘッド9は、キャリッジ8の移動動作に伴い、記録用紙に対してインクを吐出する。
【0031】
記録ヘッド9と対向する位置には支持部材18が設けられており、記録ヘッド9により記録の行われる記録用紙は、支持部材18によって支持される。
支持部材18の下流には、記録の行われた記録用紙を下流に送る第1排出ローラー対40が設けられている。第1排出ローラー対40は、回転駆動される「第1ローラー」としての第1排出駆動ローラー41と、従動回転する第1排出従動ローラー42とを備えて構成されている。第1排出駆動ローラー41は、本実施形態ではゴムローラーであり、第1排出従動ローラー42は、本実施形態では記録用紙と点接触する拍車である。
第1排出ローラー対40は、記録ヘッド9の下流に最初に位置するローラー対である。
【0032】
そして第1排出ローラー対40の下流には、第2排出ローラー対46が設けられている。第2排出ローラー対46は、回転駆動される「第2ローラー」としての第2排出駆動ローラー47と、従動回転する第2排出従動ローラー48とを備えて構成されている。
符号49は、第1排出ローラー対40と第2排出ローラー対46との間に設けられた、記録用紙の浮きを抑制する従動ローラーである。
第2排出駆動ローラー47は、本実施形態ではゴムローラーであり、第2排出従動ローラー48及び従動ローラー49は、本実施形態では記録用紙と点接触する拍車である。
第2排出ローラー対46の機能については、後に更に詳説する。
【0033】
以下、第2用紙搬送経路FR2及び第3用紙搬送経路FR3並びに反転経路RRについて更に説明する。
第1面に記録の行われた記録用紙の、前記第1面に対し反対側の第2面に記録を行う際、記録の行われた記録用紙を、反転経路RRに送る。その際の用紙搬送経路として、第2用紙搬送経路FR2、及び第3用紙搬送経路FR3のいずれかを選択できる。
【0034】
第3用紙搬送経路FR3の経路長は、第2用紙搬送経路FR2の経路長より長く、従ってプリンター1の制御部(不図示)は、用紙長の閾値を持ち、記録用紙の長さが閾値を超える場合には第3用紙搬送経路FR3を選択し、記録用紙の長さが閾値未満の場合には第2用紙搬送経路FR2を選択する。即ち第3用紙搬送経路FR3を利用することで、長さの長い記録用紙に対応することができる。
【0035】
第2用紙搬送経路FR2を利用する場合、第1面に記録が完了した後、搬送駆動ローラー16、第1排出駆動ローラー41、第2排出駆動ローラー47、のこれらを逆転させる。これにより記録用紙は第2用紙搬送経路FR2を-Y方向に沿って搬送され、反転経路RRに到達する。
【0036】
第3用紙搬送経路FR3を利用する場合、第1面に記録が完了した後、用紙後端が従動ローラー49に到達するまで+Y方向に沿って搬送し、その後、第2排出駆動ローラー47を逆転させる。従動ローラー49の上流には揺動軸39aを中心に揺動可能なフラップ39が設けられており、第3用紙搬送経路FR3に記録用紙を送る場合、フラップ39の+Y方向端部を上に上げる(
図3参照)。これにより記録用紙は第3用紙搬送経路FR3に送り込まれ、反転経路RRに送られる。尚、フラップ39は制御部(不図示)により制御されるフラップ駆動源(不図示)により駆動される。
【0037】
第3用紙搬送経路FR3には、搬送ローラー対43が設けられている。搬送ローラー対43は、回転駆動される「第3ローラー」としての反転駆動ローラー44と、従動回転する反転従動ローラー45とを備えて構成される。反転駆動ローラー44は、本実施形態ではゴムローラーであり、反転従動ローラー45は、本実施形態では記録用紙と点接触する拍車である。
第3用紙搬送経路FR3において記録用紙に搬送力を付与する観点において、第2排出ローラー対46は第1ローラー対として機能し、搬送ローラー対43は第2ローラー対として機能する。
【0038】
第2排出ローラー対46を構成する第2排出駆動ローラー47は、第1用紙搬送経路FR1を第1方向に搬送された記録用紙を排出口10に向けて送る正転方向(
図2において時計回り方向)とその反対の逆転方向(
図2において反時計回り方向)に駆動可能であり、第2排出ローラー対46を構成する第2排出従動ローラー48は、第2排出駆動ローラー47との間で記録用紙をニップする。
この第2排出ローラー対46は、第1用紙搬送経路FR1と排出口10との間に位置し、第2排出駆動ローラー47の正転により記録用紙を排出口10から排出し、第2排出駆動ローラー47の逆転により記録用紙を第3用紙搬送経路FR3に送る。
媒体搬送装置4は、以上説明した複数の用紙搬送経路と、複数のローラーとを備えている。媒体搬送装置4は、プリンター1から記録ヘッド9などの記録に係わる機能を省いた装置と捉えることもできる。
【0039】
以上の用紙搬送経路を備えた媒体搬送装置4において、給送ローラー11と反転ローラー21は、不図示のモーターにより駆動される。そして媒体搬送装置4において搬送駆動ローラー16、第1排出駆動ローラー41、第2排出駆動ローラー47、反転駆動ローラー44のこれらの駆動は、第1駆動形態及び第2駆動形態の2つの形態を取りうる。
第1駆動形態では、搬送駆動ローラー16、第1排出駆動ローラー41、第2排出駆動ローラー47、反転駆動ローラー44のこれらは、第1モーター55(
図5参照)により駆動される。
第2駆動形態では、搬送駆動ローラー16及び第1排出駆動ローラー41は第1モーター55(
図7参照)により駆動され、第2排出駆動ローラー47及び反転駆動ローラー44は第2モーター56(
図7参照)により駆動される。即ち第1駆動形態と第2駆動形態とでは、用いるモーターの数が異なる。
【0040】
媒体搬送装置4の上記第1駆動形態及び第2駆動形態は、例えば製品の基本的仕様は同一であるもののスループット重視の機種として製造される場合には上記第2駆動形態が採用され、コスト重視の機種として製造される場合には上記第1駆動形態が採用される。詳しくは後述するが、プリンター1は上記第1駆動形態と第2駆動形態を、同一のフレーム構成で、且つ極めて少ない構成部品の相違で実現できる様に構成されている。
【0041】
続いて
図5以降を参照して媒体搬送装置4の構成について更に説明する。尚、
図5及び
図8は媒体搬送装置が上記第1駆動形態をとる場合の構成を示しており、
図6、
図7、
図9は上記第2駆動形態をとる場合の構成を示している。第1駆動形態に係る媒体搬送装置は符号4Aで示し、第2駆動形態に係る媒体搬送装置は符号4Bで示す。但し、以下では両者を区別する必要のない場合には媒体搬送装置4と称する。
媒体搬送装置4は+X方向のサイドにサイドフレーム53を備え、このサイドフレーム53に対し、モーターや歯車等の構成要素を取り付ける。尚、媒体搬送装置4は-X方向のサイドにも不図示のサイドフレームを備えており、このサイドフレームとサイドフレーム53とで、必要に応じてローラーの回転軸が支持される。
【0042】
図5において符号55はサイドフレーム53に設けられる第1モーターであり、媒体搬送装置4は第1駆動形態及び第2駆動形態のいずれにおいても第1モーター53から第2ベルト64を介して搬送駆動ローラー16(
図2参照)及び第1排出駆動ローラー41(
図2参照)に回転トルクが伝達される。
図5において符号60は搬送駆動ローラー16の軸端に設けられる第4プーリーであり、符号61は第1排出駆動ローラー41の回転軸41aの軸端に設けられる第5プーリーである。また、符号59は第2ベルト64にテンションを付与する第3プーリーである。
【0043】
図5において符号44aは回転軸であり、符号74は「第1回転体」及び「第3ローラー駆動歯車」としての歯車である。歯車74は、回転軸44aを中心に回転する歯車である。歯車74から、ワンウェイクラッチ75を介して歯車80に回転トルクが伝達される。歯車80は歯車81と噛合しており、歯車81は歯車82と噛合している。歯車82は回転軸83の軸端に設けられている。回転軸83は、反転駆動ローラー44(
図2参照)の回転軸である。即ち歯車74から、ワンウェイクラッチ75を介して、反転駆動ローラー44へと回転トルクが伝達される。
ワンウェイクラッチ75は、歯車74の回転方向に拘わらず、歯車80に対し一定方向の回転トルクを伝達するためのクラッチである。これにより反転駆動ローラー44(
図2参照)は、常に記録用紙を-Y方向に向けて搬送する回転方向(
図2において反時計回り方向)に回転することとなる。
これに対し、搬送駆動ローラー16及び第1排出駆動ローラー41は、第1モーター55の正転により記録用紙を+Y方向に搬送する回転方向(
図2において時計回り方向)に回転し、第1モーター55の逆転により記録用紙を-Y方向に搬送する回転方向(
図2において反時計回り方向)に回転する。
【0044】
符号47aは第2排出駆動ローラー47(
図2参照)の回転軸であり、この回転軸47aの軸端には「第2回転体」としての第2プーリー58が設けられている。第2プーリー58には第1ベルト63が掛け回されており、第1ベルト63によって第2排出駆動ローラー47が駆動される。尚、後述するが第1ベルト63の駆動源は、第1駆動形態と第2駆動形態とで異なっている。
【0045】
符号67は「テンション付与部材」としての従動プーリーであり、この従動プーリー67がスライダ66に支持されている。スライダ66は、第1ベルト63の延設方向と交差する方向に変位可能に設けられるとともに、押圧部材としての引っ張りばね68によって、従動プーリー67が第1ベルト63に押し当たる方向に押圧されている。これにより、第1ベルト63にテンションが付与される。
【0046】
続いて第1駆動形態に特有の構成について説明する。
図5に示す様に、第1排出駆動ローラー41の回転軸41aには「第3回転体」としての回転体70が設けられている。第1駆動形態において回転軸41aは、回転体70を取り付ける第1軸として機能する。尚、回転軸41aの軸端は、支持フレーム77(
図6参照)によって支持される。
図5では、支持フレーム77の図示は省略している。尚、サイドフレーム53には、回転軸41aをX軸方向に通す為の凹部53bが形成されている。本実施形態では凹部53bは、回転軸41aを受ける軸受け部としては機能しないが、軸受け部として機能する様に構成しても良い。
【0047】
回転軸41aに設けられた回転体70は、第1プーリー57と、「第1歯車」としての歯車71とが一体に構成されたものである。歯車71は歯車74と噛合しており、従って回転軸41aから歯車74へとモーター55の回転トルクが伝達され、反転駆動ローラー44(
図2参照)が回転する。
第1プーリー57には上述した第1ベルト63が掛け回されており、モーター55の回転トルクが、第1ベルト63を介して第2排出駆動ローラー47に伝達される。尚、第1駆動形態では第1ベルト63にテンションを付与する従動プーリー67を支持するスライダ66が、サイドフレーム53に形成された第1ガイド溝53h(
図6参照)によって案内され、第1ベルト63の延設方向と交差する方向に変位する。尚第1駆動形態では、引っ張りばね68はサイドフレーム53に形成された第1ばね掛け部53gとスライダ66とに掛けられる。
【0048】
以上により、第1駆動形態では、搬送駆動ローラー16が第1モーター55により駆動され、また第2排出駆動ローラー47及び反転駆動ローラー44が、第1排出駆動ローラー41の回転軸41a及び歯車71を介して第1モーター55によって駆動されるので、装置の部品コストを抑制できる。
【0049】
次に、第2駆動形態に特有の構成について説明する。
図6及び
図7に示す様に第2駆動形態では、上述した第1プーリー57と歯車71とから成る回転体70が、上述した第1駆動形態とは異なり第2軸としての軸部53aに取り付けられている。軸部53aは、本実施形態ではサイドフレーム53と樹脂材料により一体的に形成されている。
【0050】
また、サイドフレーム53には固定部53d、53e(
図5参照)が一体的に形成されており、この固定部53d、53eに対し、モーター固定板76が
図6に示す様にねじ固定される。尚、
図7は
図6の状態からモーター固定板76を取り外した状態を示す図である。
モーター固定板76には第2モーター56が固定される。第2モーター56は、歯車76(
図7参照)を介して歯車71に回転トルクを伝達する。そして歯車71は歯車74に噛合し、ひいては反転駆動ローラー44(
図2参照)へと第2モーター56の回転トルクが伝達される。尚、歯車76は、サイドフレーム53に一体的に形成された軸部53c(
図5参照)に支持される。
【0051】
モーター固定板76がサイドフレーム53に固定されると、軸部53aの軸端が
図6に示す様にモーター固定板76の孔に入り、モーター固定板76により支持される状態となる。これにより軸部53aの変形が抑制される。
尚、サイドフレーム53には位置決め軸53fが形成されており(
図5参照)、モーター固定板76がサイドフレーム53に固定されると、位置決め軸53fがサイドフレーム53の孔に入り(
図6参照)、サイドフレーム53の位置を規制する。
【0052】
そして第2駆動形態では、上述した第1駆動形態とは異なり、従動プーリー67を支持するスライダ66が、サイドフレーム53に形成された第2ガイド溝53k(
図5参照)によって案内され、第1ベルト63の延設方向と交差する方向に変位する。そして引っ張りばね68は、サイドフレーム53に形成された第2ばね掛け部53jとスライダ66との間に掛けられ、従動プーリー67が第1ベルト63に押し当たる方向に押圧される。
【0053】
以上により、第2駆動形態では、搬送駆動ローラー16及び第1排出駆動ローラー41が、第1モーター55によって駆動され、第2排出駆動ローラー47及び反転駆動ローラー44が、歯車71を介して第2モーター56によって駆動されるので、制御の自由度が向上する。
例えば、
図3及び
図4において符号P1で示す一点鎖線は、第1面に記録が行われた後、第2面に記録を行う為に第3搬送経路FR3に送り込まれた先行用紙を示している。また符号P2で示すニ点鎖線は、先行用紙P1の次に給送され、記録が行われている途中の後続用紙を示している。
図3の状態では、先行用紙P1を第3搬送経路FR3に送る為、第2モーター56(
図7参照)を逆転させ、これにより第2排出駆動ローラー47は
図3の反時計回り方向に回転する。
しかしながらこの状態から用紙搬送が進むと、後続用紙P2の先端が第2排出駆動ローラー47に到達するため、第2モーター56を逆転から正転に切り換える。これにより第2排出駆動ローラー47は
図4に示す様に時計回り方向に回転する。
以上の様に第2駆動形態を採用することで、第3搬送経路FR3での先行用紙P1の搬送と、後続用紙P2の記録動作とを同時に行うことができる。即ち、制御の自由度が向上する。
【0054】
上記の通り回転体70は、第1駆動形態では第1軸としての回転軸41aに取り付けられ、第2駆動形態では第2軸としての軸部53aに取り付けられる。即ち、回転軸41aを用いる場合と軸部53aを用いる場合とで、動力伝達構成を異ならせることができる。
そして回転軸41aの軸中心と軸部53aの軸中心が、
図8及び
図9に示す様に、第2ローラーとしての第2排紙駆動ローラー47の回転中心を中心とした円弧Ra上に配置されている。これにより、第2排紙駆動ローラー47の回転中心と回転軸41aとの間の距離と、第2排紙駆動ローラー47の回転中心と軸部53aとの間の距離とが均一に保たれる。しかも、回転軸41aと歯車74との間隔、及び軸部53aと歯車74との間隔がいずれも第1の間隔に設定される。
従って、回転軸41aを利用して歯車74と第2排紙駆動ローラー47との間で駆動力を伝達する場合、つまり第1駆動形態を採用する場合と、軸部53aを利用して歯車74と第2排紙駆動ローラー47との間で駆動力を伝達する場合、つまり第2駆動形態を採用する場合とで、回転体70及び第1ベルト63の仕様を異ならせることなく同じものを用いることができる。このことにより、第1駆動形態と第2駆動形態とで、ベルトや歯車等を利用した駆動力伝達機構について同じ部品構成を用いることができ、異なる仕様の機種を展開する場合のコストアップを効果的に抑制できる。
【0055】
また媒体搬送装置4は、サイドフレーム53に、スライダ66をガイドする第1ガイド溝53h(
図9参照)と、第1ガイド溝53hの延設方向に対し交差する方向に延設され、スライダ66をガイドする第2ガイド溝53k(
図8参照)と、が設けられている。
このことにより、第1駆動形態と第2駆動形態とで同一のサイドフレーム53を利用しても、適切な方向に第1ベルト63にテンションを付与することができる。
【0056】
また本実施形態において第2軸としての軸部53aが、サイドフレーム53と一体に形成されているので、装置の低コスト化を図ることができる。尚、本実施形態では第1軸としての回転軸41aはサイドフレーム53と別部材であるが、軸部53aと同様な軸部をサイドフレーム53に一体に形成し、これを第1軸としても良い。また本実施形態では第2軸としての軸部53aが、サイドフレーム53と一体に形成されているが、軸部53aをサイドフレーム53と別体に構成しても良い。
【0057】
本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
例えば上記実施形態において、歯車による駆動力伝達はプーリーとベルトによる駆動力伝達に代えても良いし、逆にプーリーとベルトによる駆動力伝達は、歯車による駆動力伝達に代えても良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0058】
1…インクジェットプリンター、2…装置本体、3…スキャナー部、4…媒体搬送装置、5…操作部、6…排出トレイ、7…カバー、8…キャリッジ、9…記録ヘッド、11…給送ローラー、12…支持部材、14a~14d…従動ローラー、15…搬送ローラー対、16…搬送駆動ローラー、17…搬送従動ローラー、18…支持部材、19…キャリッジガイド軸、20…ユニット体、20a…ロック解除部、21…反転ローラー、22…第2経路形成部、22a、22b…リブ、23…第3経路形成部、24…第4経路形成部、25…第5経路形成部、25a…リブ、26…第6経路形成部、27…第7経路形成部、27a…リブ、39…フラップ、40…第1排出ローラー対、41…第1排出駆動ローラー、41a…回転軸、42…第1排出従動ローラー、43…搬送ローラー対、44…反転駆動ローラー、44a…回転軸、45…反転従動ローラー、46…第2排出ローラー対、47…第2排出駆動ローラー、47a…回転軸、48…第2排出従動ローラー、49…従動ローラー、50…第1用紙カセット、52…第2用紙カセット、53…サイドフレーム、53a…軸部、53b…凹部、53c…軸部、53d、53e…固定部、53f…位置決め軸、53g…第1ばね掛け部、53h…第1ガイド溝、53j…第2ばね掛け部、53k…第2ガイド溝、55…第1モーター、56…第2モーター、57…第1プーリー、58…第2プーリー、59…第3プーリー、60…第4プーリー、61…第5プーリー、63…第1ベルト、64…第2ベルト、66…スライダ、67…従動プーリー、68…引っ張りばね、70…回転体、71…歯車、74…歯車、75…ワンウェイクラッチ、76…モーター固定板、77…支持フレーム、80…歯車、81…歯車、82…歯車、83…回転軸、K1、K2、K3…用紙給送経路、FR1…第1用紙搬送経路、FR2…第2用紙搬送経路、FR3…第3用紙搬送経路、RR…反転経路