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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】エジェクタ冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 27/02 20060101AFI20231212BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20231212BHJP
   F04F 5/10 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
F25B27/02 N
F25B1/00 389A
F25B1/00 304D
F04F5/10 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019200985
(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公開番号】P2021076262
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 時空
(72)【発明者】
【氏名】安嶋 賢哲
(72)【発明者】
【氏名】松原 健
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 正道
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-082080(JP,A)
【文献】特開2013-189110(JP,A)
【文献】特開平06-101932(JP,A)
【文献】特開平09-159303(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0118618(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 27/02
F25B 1/00
F04F 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を昇圧して循環させる冷媒ポンプと、
入力される高温の温水の熱エネルギーを前記冷媒側に回収して熱交換を行う回収器と、
前記冷媒ポンプで昇圧され前記回収器で熱エネルギーを回収した冷媒が導入されるエジェクタと、
前記エジェクタの吸引作用により冷熱を生成し前記回収器から流出した前記温水をさらに冷却する熱交換を行う蒸発器と、
前記エジェクタから流出する前記冷媒を熱交換によって放熱する凝縮器と、
を備え、
前記回収器の温水の管路と前記蒸発器の温水の管路とを直列に接続し、前記温水を前記回収器及び前記蒸発器を用いて2段冷却した温水として出力することを特徴とするエジェクタ冷却装置。
【請求項2】
前記回収器の前記温水に対する冷却能力は、前記蒸発器の前記温水に対する冷却能力よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ冷却装置。
【請求項3】
前記蒸発器から流出する温水の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサの検出温度をもとに前記蒸発器から流出する温水の温度を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記冷媒ポンプの回転数、及び、前記エジェクタの駆動流の流量を調整する可変ノズルの開度調整により前記回収器の冷却能力を調整し、前記蒸発器に流入する冷媒を膨張する膨張弁の開度を調整して前記蒸発器の冷却能力を調整し、前記蒸発器から流出する温水の温度を所定低温温度範囲に制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のエジェクタ冷却装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定低温温度範囲よりも広い広域低温温度範囲を設け、前記検出温度が前記広域低温温度範囲外の温度である場合、前記冷媒ポンプの回転数、及び、前記エジェクタの駆動流の流量を調整する可変ノズルの開度調整により前記検出温度が前記広域低温温度範囲内となるように制御し、前記検出温度が前記所定低温温度範囲外であって前記広域低温温度範囲内である場合、前記膨張弁の開度を調整して前記検出温度が前記所定低温温度範囲内となるように制御することを特徴とする請求項3に記載のエジェクタ冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産装置などから排出される高温の温水を、簡易な構成、かつ、低消費電力量で冷却して生産装置などに戻す温水の循環系を形成することができるエジェクタ冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、冷媒を循環させる回路には、エジェクタを備えたものがある。エジェクタは、先端の噴射口から駆動流体が噴射されるノズル部と、ノズル部の周囲を取り囲むように配置され、ノズル部の噴射口延長上となる部位に中空部が設けられた本体部と、本体部の中空部に開口するように接続された吸引経路とを備えて構成されている。このエジェクタでは、ノズル部の噴射口から冷媒を駆動流体として噴射すると、吸引経路を通じて外部の冷媒が本体部の中空部に吸引され、吸引された吸引流体と駆動流体とが混合された後にディフューザで昇圧されて吐出口から吐出される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-64021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アルミダイカストマシンなどの生産装置では、金型を冷却する必要があり、冷却後に高温となった排温水(温水)は、外部の冷却装置によって冷却され、冷却された温水を再び生産装置へ供給して冷却水として用いる循環系を構成している。
【0005】
冷却装置は、例えば、生産装置からの温水を一旦、水槽に貯留して空気に放熱し、放熱後の温水をチラーなどによって所定温度まで冷却し、冷却した温水を再び生産装置に供給するようにしている。この場合、水槽が必要なのは、生産装置から排出される温水は、例えば70℃以上と高い場合が多く、チラーの冷却性能外であるからである。この水槽を用いた冷却装置では、水槽における温水の放熱により未利用熱を回収できず、また、チラーの消費電力量が増大するという問題があった。
【0006】
このため、上記のエジェクタを用いたエジェクタ冷却装置が考案されている。従来のエジェクタ冷却装置は、上記の水槽は不要となり、生産装置からの温水の排熱を回収器で回収できるが、エジェクタの吸引作用により蒸発器で発生する冷熱を、温水とは別系統の水を冷却し、この冷熱によって温水を冷却する冷却器が必要となり(図6参照)、構成が複雑になるとともに、コストが増大するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生産装置などから排出される高温の温水を、簡易な構成、かつ、低消費電力量で冷却して生産装置などに戻す温水の循環系を形成することができるエジェクタ冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、冷媒を昇圧して循環させる冷媒ポンプと、入力される高温の温水の熱エネルギーを前記冷媒側に回収して熱交換を行う回収器と、前記冷媒ポンプで昇圧され前記回収器で熱エネルギーを回収した冷媒が導入されるエジェクタと、前記エジェクタの吸引作用により冷熱を生成し前記回収器から流出した前記温水をさらに冷却する熱交換を行う蒸発器と、前記エジェクタから流出する前記冷媒を熱交換によって放熱する凝縮器と、を備え、前記回収器の温水の管路と前記蒸発器の温水の管路とを直列に接続し、前記温水を前記回収器及び前記蒸発器を用いて2段冷却した温水として出力することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記の発明において、前記回収器の前記温水に対する冷却能力は、前記蒸発器の前記温水に対する冷却能力よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記の発明において、前記蒸発器から流出する温水の温度を検出する温度センサと、前記温度センサの検出温度をもとに前記蒸発器から流出する温水の温度を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記冷媒ポンプの回転数、及び、前記エジェクタの駆動流の流量を調整する可変ノズルの開度調整により前記回収器の冷却能力を調整し、前記蒸発器に流入する冷媒を膨張する膨張弁の開度を調整して前記蒸発器の冷却能力を調整し、前記蒸発器から流出する温水の温度を所定低温温度範囲に制御することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記の発明において、前記制御部は、前記所定低温温度範囲よりも広い広域低温温度範囲を設け、前記検出温度が前記広域低温温度範囲外の温度である場合、前記冷媒ポンプの回転数、及び、前記エジェクタの駆動流の流量を調整する可変ノズルの開度調整により前記検出温度が前記広域低温温度範囲内となるように制御し、前記検出温度が前記所定低温温度範囲外であって前記広域低温温度範囲内である場合、前記膨張弁の開度を調整して前記検出温度が前記所定低温温度範囲内となるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、生産装置などから排出される高温の温水を、簡易な構成、かつ、低消費電力量で冷却して生産装置などに戻す温水の循環系を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態であるエジェクタ冷却装置が適用される生産システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、エジェクタ冷却装置の構成を示す回路図である。
図3図3は、制御部による温水の温度制御処理手順を示すフローチャートである。
図4図4は、制御部が行う温度制御処理のパラメータを説明する説明図である。
図5図5は、変形例の制御部による温水の温度制御処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、従来のエジェクタ冷却装置の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係るエジェクタ冷却装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
<装置構成>
図1は、本発明の実施の形態であるエジェクタ冷却装置1が適用される生産システムの構成を示すブロック図である。この生産システムは、アルミダイカストマシンなどの生産装置2に、エジェクタを利用したエジェクタ冷却装置1が接続される。エジェクタ冷却装置1は、生産装置2から排出され、例えば70℃程度の高温になった排温水である温水W1を、例えば25℃程度の温水W2に冷却して生産装置2に戻し、生産装置2が生産時における冷却処理に冷却された温水W2を用いるようにしている。すなわち、この生産システムでは、生産装置2が冷却処理に用いた冷却後の温水をエジェクタ冷却装置1が冷却して再度、冷却用の温水として生産装置2に戻すという温水の循環系が形成されている。
【0016】
図2は、エジェクタ冷却装置1の構成を示す回路図である。図2に示すように、エジェクタ冷却装置1は、冷媒が循環する冷媒管路L1によって順次接続された冷媒ポンプP、回収器10、エジェクタ12、凝縮器13を有する。また、分岐管路L2は、凝縮器13を通過した後の冷媒管路L1から分岐点PTを介して分岐し、冷媒管路L1を流通する冷媒の一部を吸引流体としてエジェクタ12に供給する吸引経路となる。分岐管路L2には、分岐点PTから順次、膨張弁14、蒸発器11が接続される。温水管路L3は、生産装置2から排出される温水W1を回収器10及び蒸発器11を介して冷却し、冷却した温水W2として生産装置2側に戻す管路である。ここで、回収器10と蒸発器11との温水管路L3は、直列に接続されている。
【0017】
冷媒ポンプPは、冷媒管路L1において冷媒の循環供給を行う。より詳細に説明すると、冷媒ポンプPは例えば液相ポンプであり、冷媒をエジェクタ12の駆動圧力まで昇圧して供給するものである。回収器10は、温水管路L3に供給される温水W1との間で熱交換を行うことにより、冷媒ポンプPから供給された冷媒管路L1の冷媒R1を蒸発させるものである。これにより、温水W1は、冷却された温水W3として蒸発器11側に流出される。
【0018】
エジェクタ12は、回収器10を通過した気相の冷媒R2と、分岐管路L2から供給される気相の冷媒R8とを混合し、昇圧した冷媒R3を下流に吐出するものである。凝縮器13は、エジェクタ12から吐出された気相の冷媒R3と、冷却水管路L4に供給される冷却水W10との間で熱交換を行うことにより、冷媒管路L1の冷媒R3を凝縮させるものである。凝縮器13に流入した冷却水W10は、高温の冷却水W11として排出される。一方、凝縮器13に流入した冷媒R3は、冷却された冷媒R4として分岐点PT側に流出する。分岐点PTに流入した冷媒R4は、冷媒ポンプP側への冷媒R5と、膨張弁14側への冷媒R6とに分岐する。
【0019】
分岐管路L2上の膨張弁14は、分岐した冷媒R6を膨張させて減圧するものである。蒸発器11は、膨張弁14を通過した後の気液二相の冷媒R7と、温水管路L3上で回収器10から流出した温水W3との間で熱交換を行って冷媒R7を蒸発した冷媒R8としてエジェクタ12の吸引媒体として供給するとともに、温水W3を冷却した温水W2として流出する。この温水W2は、生産装置2側に戻される。ここで、蒸発器11では、エジェクタ12の吸引作用により、冷媒R8が低圧となって冷熱を発生し、温水W3を冷却することになる。
【0020】
このエジェクタ冷却装置1は、回収器10が高温の温水W1から冷媒R1に熱交換させ、温水W1から熱エネルギーを回収して温水W1を冷却し、回収した熱エネルギーでエジェクタ12を駆動する。さらに、回収器10から流出した温水W3を直列に蒸発器11に導入し、エジェクタ12の吸引作用により冷媒R8側が低圧となって蒸発器11に冷熱が発生し、この冷熱で温水W3をさらに冷却するようにしている。
【0021】
これにより、図6で示した冷却器100の構成は必要とならず、簡易な構成になるとともに、エジェクタ12は、回収した熱エネルギーで駆動されるため、消費電力量を抑えることができる。
【0022】
<温水の温度制御系>
ところで、蒸発器11から生産装置2に供給される温水W2は、生産装置2で製造する製品品質を確保するため、所定低温温度範囲内に保持する必要がある。しかし、生産装置2からの温水W1は、排熱変動に伴って変動するため、エジェクタ冷却装置1側の冷却熱量を制御する必要がある。一方、生産装置2からの温水W1を冷却する回収器10と蒸発器11とは、直列に接続され、温水W1と温水W2との温度差が大きいことから、蒸発器11のみの制御では冷却能力が不足し、温水W2の温度を所定低温温度範囲内に維持することが困難となる場合がある。
【0023】
このため、本実施の形態では、蒸発器11から流出する温水W2の温度を検出する温度センサTSと、温度センサTSの検出温度Tをもとに蒸発器11から流出する温水W2の温度を制御する制御部Cとを設けている。制御部Cは、冷媒ポンプPの回転数、及び、エジェクタ12の駆動流である冷媒R2の流量を調整する可変ノズルの開度の調整による回収器10の冷却能力を調整し、蒸発器11に流入する冷媒R7を膨張する膨張弁14の開度を調整して蒸発器11の冷却能力を調整し、蒸発器11から流出する温水W2の温度を所定低温温度範囲に制御する。
【0024】
<温水の温度制御処理>
図3は、制御部Cによる温水W2の温度制御処理手順を示すフローチャートである。また、図4は、制御部Cが行う温度制御処理のパラメータを説明する説明図である。図4に示すように、制御部Cは、温水W3が所定低温温度範囲ΔT1内に収まるように制御する。所定低温温度範囲ΔT1は、上限温度T1uと下限温度T1dとの間の範囲である。また、制御部Cは、温水W2の粗調を行うため、所定低温温度範囲ΔT1を覆う、所定低温温度範囲ΔT1よりも広い広域低温温度範囲ΔT2を設けている。広域低温温度範囲ΔT2は、上限温度T2u(>T1u)と下限温度T2d(<T1d)との間の範囲である。
【0025】
図3に示すように、まず制御部Cは、検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1内であるか否かを判定する(ステップS110)。検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1内であれば(ステップS110,Yes)、本処理をそのまま終了し、検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1内でない場合(ステップS110,No)、さらに、検出温度Tは、上限温度T1uより高いか、下限温度T1dより低いかを判定する(ステップS120)。
【0026】
検出温度Tが上限温度T1uより高い場合(ステップS120,T>T1u)、冷媒ポンプ回転数を所定量増大するとともに、エジェクタノズル開度を所定量増大する処理を行う(ステップS130)。その後、検出温度Tが広域低温温度範囲ΔT2の上限温度T2uを超えているか否かを判定する(ステップS140)。検出温度Tが広域低温温度範囲ΔT2の上限温度T2uを超えている場合(ステップS140,Yes)、ステップS130に移行し、さらに冷媒ポンプ回転数を所定量増大するとともに、エジェクタノズル開度を所定量増大する処理を繰り返す。
【0027】
一方、検出温度Tが広域低温温度範囲ΔT2の上限温度T2uを超えていない場合(ステップS140,No)、さらに、検出温度Tが上限温度T1uを超え、上限温度T2u以下(T2u≧T>T1u)であるか、検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1(T1u≧T≧T1d)内であるかを判定する(ステップS150)。検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1である場合(ステップS150,ΔT1内)、そのまま本処理を終了し、検出温度Tが上限温度T1uを超え、上限温度T2u以下である場合(ステップS150,T2u≧T>T1u)、さらに膨張弁開度を所定量増大する処理を行う(ステップS160)。
【0028】
その後、制御部Cは、検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1内であるか否かを判定し(ステップS170)、検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1内でない場合(ステップS170,No)、ステップS160に移行し、さらに膨張弁開度を所定量増大する処理を行う。検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1内である場合(ステップS170,Yes)には、そのまま本処理を終了する。
【0029】
一方、検出温度Tが下限温度T1dより小さい場合(ステップS120,T<T1d)、冷媒ポンプ回転数を所定量減少するとともに、エジェクタノズル開度を所定量減少する処理を行う(ステップS180)。その後、検出温度Tが広域低温温度範囲ΔT2の下限温度T2d未満であるか否かを判定する(ステップS190)。検出温度Tが広域低温温度範囲ΔT2の下限温度T2d未満の場合(ステップS190,Yes)、ステップS180に移行し、さらに冷媒ポンプ回転数を所定量減少するとともに、エジェクタノズル開度を所定量減少する処理を繰り返す。
【0030】
一方、検出温度Tが広域低温温度範囲ΔT2の下限温度T2d未満でない場合(ステップS190,No)、さらに、検出温度Tが下限温度T1d未満で、下限温度T2d以上(T1d>T≧T2d)であるか、検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1(T1u≧T≧T1d)内であるかを判定する(ステップS200)。検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1である場合(ステップS200,ΔT1内)、そのまま本処理を終了し、検出温度Tが下限温度T1d未満で、下限温度T2d以上である場合(ステップS200,T1d>T≧T2d)、さらに膨張弁開度を所定量減少する処理を行う(ステップS210)。
【0031】
その後、制御部Cは、検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1内であるか否かを判定し(ステップS220)、検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1内でない場合(ステップS220,No)、ステップS210に移行し、さらに膨張弁開度を所定量減少する処理を行う。検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1内である場合(ステップS220,Yes)には、そのまま本処理を終了する。なお、上記の処理は、所定時間ごと、繰り返し行われる。
【0032】
なお、本実施の形態では、回収器10の温水W1に対する冷却能力は、蒸発器11の温水W3に対する冷却能力よりも大きい。このため、回収器10の温水W1に対する冷却能力調整、すなわち冷媒ポンプ回転数の所定量増減及びエジェクタノズル開度の所定量増減によって粗調を行うことが好ましい。
【0033】
<変形例>
上記の実施の形態では、冷却ポンプ回転数及びエジェクタノズル開度の制御による回収器10の冷却能力制御と、膨張弁開度の制御による蒸発器11の冷却能力制御とを段階的に行っていたが、回収器10の冷却能力制御と蒸発器11の冷却能力制御とを所定量ずつ、同時に制御するようにしてもよい。
【0034】
図5は、変形例の制御部Cによる温水W3の温度制御処理手順を示すフローチャートである。図5に示すように、まず制御部Cは、検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1内であるか否かを判定する(ステップS310)。検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1内であれば(ステップS310,Yes)、本処理をそのまま終了し、検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1内でない場合(ステップS310,No)、さらに、検出温度Tは、上限温度T1uより高いか否かを判定する(ステップS320)。
【0035】
検出温度Tが上限温度T1uより高い場合(ステップS320,Yes)、冷媒ポンプ回転数を所定量増大し(ステップS330)、エジェクタノズル開度を所定量増大し(ステップS340)、さらに、膨張弁開度を所定量増大する(ステップS350)。その後、検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1内であるかを判定する(ステップS360)。検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1でない場合(ステップS360,No)、ステップS330に移行し、冷媒ポンプ回転数を所定量増大し、エジェクタノズル開度を所定量増大し、さらに、膨張弁開度を所定量増大する処理を繰り返す。検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1である場合(ステップS360,Yes)、そのまま本処理を終了する。
【0036】
検出温度Tが上限温度T1uより高くない場合(ステップS320,No)、冷媒ポンプ回転数を所定量減少し(ステップS370)、エジェクタノズル開度を所定量減少し(ステップS380)、さらに、膨張弁開度を所定量減少する(ステップS390)。その後、検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1内であるかを判定する(ステップS400)。検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1でない場合(ステップS400,No)、ステップS370に移行し、冷媒ポンプ回転数を所定量減少し、エジェクタノズル開度を所定量減少し、さらに、膨張弁開度を所定量減少する処理を繰り返す。検出温度Tが所定低温温度範囲ΔT1である場合(ステップS400,Yes)、そのまま本処理を終了する。
【0037】
なお、上記の実施の形態及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 エジェクタ冷却装置
2 生産装置
10 回収器
11 蒸発器
12 エジェクタ
13 凝縮器
14 膨張弁
100 冷却器
C 制御部
L1 冷媒管路
L2 分岐管路
L3 温水管路
L4 冷却水管路
P 冷媒ポンプ
PT 分岐点
R1~R8 冷媒
T 検出温度
T1d,T2d 下限温度
T1u,T2u 上限温度
TS 温度センサ
W1~W3 温水
W10,W11 冷却水
ΔT1 所定低温温度範囲
ΔT2 広域低温温度範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6