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特許7400369ステータ部材、ステータアセンブリ、モータ及び電気機械設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ステータ部材、ステータアセンブリ、モータ及び電気機械設備
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/04 20060101AFI20231212BHJP
   H02K 9/02 20060101ALI20231212BHJP
   H02K 15/14 20060101ALI20231212BHJP
   H02K 16/02 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
H02K5/04
H02K9/02 Z
H02K15/14
H02K16/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019205006
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2020096515
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】201822063051.5
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】▲ウー▼ 耿彰
(72)【発明者】
【氏名】顔 國智
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-066991(JP,A)
【文献】実開昭59-025939(JP,U)
【文献】特開2007-306689(JP,A)
【文献】特開2002-233107(JP,A)
【文献】特開2010-154678(JP,A)
【文献】特開2002-218703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/04
H02K 9/02
H02K 15/14
H02K 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層設置された少なくとも2つのステータハウジングプレートを含み、
各前記ステータハウジングプレートは、プレート状の外周に囲まれるフレームであり、
各前記ステータハウジングプレートの前記外周に、少なくとも2つの突起部が設けられ、前記突起部は、前記ステータハウジングプレートの内部から前記ステータハウジングプレートの外部を向き、
各前記ステータハウジングプレートの前記外周の内縁に1つ以上の樹脂係合溝が設けられ、
隣接する前記突起部間に溝部を形成するステータ部材であって、
前記少なくとも2つのステータハウジングプレートの積層方向において、隣接する前記ステータハウジングプレートの突起部が交互に配置され、かつ、隣接する前記ステータハウジングプレートの樹脂係合溝が交互に配置されることを特徴とするステータ部材。
【請求項2】
各前記ステータハウジングプレートの外周に、少なくとも1つのめねじ柱取付溝と少なくとも1つのボルト穴が更に設けられ、前記めねじ柱取付溝は、めねじ柱に取り付けるのに用い、前記めねじ柱取付溝の内周形状と前記めねじ柱の外周形状は、同じであることを特徴とする請求項1に記載のステータ部材。
【請求項3】
前記ボルト穴の直径は、前記めねじ柱取付溝の外接円の直径より小さく、前記めねじ柱の内径より大きいことを特徴とする請求項2に記載のステータ部材。
【請求項4】
前記少なくとも2つのステータハウジングプレートの積層方向において、
前記めねじ柱の高さの範囲内で、
隣接する前記ステータハウジングプレートの前記めねじ柱取付溝は、揃っていることを特徴とする請求項2に記載のステータ部材。
【請求項5】
前記少なくとも2つのステータハウジングプレートの積層方向において、
前記めねじ柱の高さ範囲の上側と下側の前記ステータハウジングプレートの前記ボルト穴と前記めねじ柱の高さ範囲内の前記ステータハウジングプレートの前記めねじ柱取付溝は、揃っていることを特徴とする請求項4に記載のステータ部材。
【請求項6】
前記ステータハウジングプレートは、スタンピング成形か、レーザ切断か、ワイヤーカットによって形成することを特徴とする請求項1に記載のステータ部材。
【請求項7】
ステータ及び請求項1~6のいずれかに記載のステータ部材を有し、前記ステータは、前記ステータ部材の内部に位置することを特徴とするステータアセンブリ。
【請求項8】
前記ステータは、コイルを有し、
前記ステータアセンブリは、前記コイルを前記ステータ部材の内部に固定する樹脂を更に有することを特徴とする請求項に記載のステータアセンブリ。
【請求項9】
中心軸周りに回転するロータ及び請求項又はに記載のステータアセンブリを有することを特徴とするモータ。
【請求項10】
前記ロータと前記ステータは、前記中心軸と平行な方向において対向することを特徴とする請求項に記載のモータ。
【請求項11】
第1のカバー部と第2のカバー部を更に有し、
前記中心軸と平行な方向において、前記第1のカバー部と前記第2のカバー部は、それぞれ前記ステータ部材の軸方向の両側から前記ステータ部材を支持することを特徴とする請求項に記載のモータ。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のモータを有することを特徴とする電気機械設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電気機械分野に関し、特に、ステータ部材、ステータアセンブリ、モータ及び電気機械設備に関する。
【背景技術】
【0002】
モータは、ステータとステータに対して回転可能なロータを備える。ロータは通常磁石を含み、ステータは通常ステータコイルを含み、ステータコイルは通電すると磁界を発生し、磁界とロータの磁石の相互作用により、ロータを駆動して回転させる。
【0003】
モータ動作時に、ステータコイルは通電により発熱する。現在の技術案において、幾つかの構造を設けることでステータコイルの放熱の問題を解決している。例えば、モータに導電構造を設け、導電構造は、ステータコイルと接触して、ステータコイルを放熱する。又は、ステータコイルを樹脂内に封止して、樹脂によってステータコイルを放熱する。又は、モータハウジングに水冷経路を設け、水冷経路の水の流れによってステータコイルを放熱する。
【0004】
上記技術背景の紹介は、本発明の技術案を明確で完全に説明するためであり、当業者が理解し易いように述べたものでしかない。これらの詳細な説明は、本発明の背景技術で説明していることだけで、上記技術案が当業者の公知であると認定することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-017915号公報
【文献】特開2012-182862号公報
【文献】特表2012-518376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のステータコイルの放熱構造はいずれも幾つかの課題があることが知られている。例えば、モータに導電構造を設けると、導電構造は、モータステータとロータとの間の磁気回路の電力や効率に影響する。ステータコイルを樹脂内に封止すると、樹脂の熱伝導効果は限られていることから、放熱効果が限定される。モータハウジングに水冷経路を設けると、水冷経路のコストが高く、モータの小型化に不利である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記少なくとも1つの課題を解決するために、本願は、ステータ部材、ステータアセンブリ、モータ及び電気機械設備を提供する。前記ステータ部材は、少なくとも2つのステータハウジングプレートを含み、前記少なくとも2つのステータハウジングプレートの積層方向において、隣接するステータハウジングプレートの突起部が交互に配置されて、突起部とステータ部材外部の空気との接触面積が増えて、低コスト且つ優れた放熱能力で、ステータ内部の熱を放熱できる。
【0008】
実施例の1つの態様によれば、積層設置された少なくとも2つのステータハウジングプレートを含み、各前記ステータハウジングプレートは、プレート状の外周に囲まれるフレームであり、各前記ステータハウジングプレートの前記外周に、少なくとも2つの突起部が設けられ、前記突起部は、前記ステータハウジングプレートの内部から前記ステータハウジングプレートの外部を向き、隣接する前記突起部間に溝部を形成し、前記少なくとも2つのステータハウジングプレートの積層方向において、隣接する前記ステータハウジングプレートの突起部が交互に配置されるステータ部材を提供する。
【0009】
本願実施例の別の側面によれば、各前記ステータハウジングプレートの外周に、少なくとも1つのめねじ柱取付溝と少なくとも1つのボルト穴が更に設けられ、前記めねじ柱取付溝の内周形状と前記めねじ柱の外周形状は、同じである。
【0010】
本願実施例の別の側面によれば、前記ボルト穴の直径は、前記めねじ柱取付溝の外接円の直径より小さく、前記めねじ柱の内径より大きい。
【0011】
本願実施例の別の側面によれば、前記少なくとも2つのステータハウジングプレートの積層方向において、前記めねじ柱の高さ範囲内で、隣接する前記ステータハウジングプレートの前記めねじ柱取付溝は、揃っている。
【0012】
本願実施例の別の側面によれば、前記少なくとも2つのステータハウジングプレートの積層方向において、前記めねじ柱の高さ範囲の上側と下側の前記ステータハウジングプレートの前記ボルト穴と前記めねじ柱の高さ範囲内の前記ステータハウジングプレートの前記めねじ柱取付溝は、揃っている。
【0013】
本願実施例の別の側面によれば、前記めねじ柱の高さ範囲内において、各ステータハウジングプレートの形状は同じであり、前記ステータハウジングプレートの形状と鏡像形状は一致せず、隣接する2つの前記ステータハウジングプレートにおいて、一方の前記ステータハウジングプレートは、他方の前記ステータハウジングプレートに対して、180度反転している。
【0014】
本願実施例の別の側面によれば、各前記ステータハウジングプレートの前記外周の内縁に1つ以上の樹脂係合溝が設けられ、前記少なくとも2つのステータハウジングプレートの積層方向において、隣接する前記ステータハウジングプレートの樹脂係合溝が交互に配置される。
【0015】
本願実施例の別の側面によれば、前記ステータハウジングプレートは、スタンピング成形か、レーザ切断か、ワイヤーカットによって形成する。
【0016】
本願実施例の別の側面によれば、ステータ及び上記側面のいずれかに記載のステータ部材を有し、前記ステータは、前記ステータ部材の内部に位置するステータアセンブリを提供する。
【0017】
本願実施例の別の側面によれば、前記ステータは、コイルを有し、前記ステータアセンブリは、前記コイルを前記ステータ部材の内部に固定する樹脂を更に有する。
【0018】
本願実施例の別の側面によれば、中心軸周りに回転するロータ及び上記実施例に記載のステータアセンブリを有するモータを提供する。
【0019】
本願実施例の別の側面によれば、前記ロータと前記ステータは、前記中心軸と平行な方向において対向する。
【0020】
本願実施例の別の側面によれば、第1のカバー部と第2のカバー部を更に有し、前記中心軸と平行な方向において、前記第1のカバー部と前記第2のカバー部は、それぞれ前記ステータ部材の軸方向の両側から前記ステータ部材を支持する。
【0021】
本願実施例の別の側面によれば、上記実施例に記載のモータを有する電気機械設備を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の有益な効果は、低コスト且つ強力な放熱能力で、ステータ内部の熱を放熱できる。
【0023】
以下の文の説明と図面を参照すると、本発明の特定の実施例を詳細に公開して、本発明の原理が採用されてもよい実施例を説明している。本発明の実施例は、特許請求の範囲において、限定されないことを理解しなければならない。添付の請求項の技術思想の範囲内で、本発明の実施例は、多くの変更、修正及び同等なものを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
含まれる図面は、本発明実施例を更に理解するために提供されており、明細書の一部を構成し、本発明の実施方式を例示し、文言の記述と併せて本発明の原理を説明するのに用いる。以下に記述する図面は、本発明の幾つかの実施例でしかなく、当業者にとって、容易に創造できる範囲内の下で、これらの図面によりその他の図面を得ることができることは明らかである。
【0025】
図1図1は、ステータ部材を有するモータの軸方向断面概略図である。
図2図2は、モータの立体概略図である。
図3図3は、本実施例のステータ巻線群、ベアリング取付リング、ステータ鉄心及びステータ部材の分解概略図である。
図4図4は、本実施例のステータハウジングプレートの上面図である。
図5図5は、本実施例のステータ部材外部からステータ部材の局部を視たときの立体図である。
図6図6は、本実施例のステータ部材内部からステータ部材の局部を視たときの立体図である。
図7図7は、図1の破線枠部分の拡大概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を参照して、以下の明細書を通して、本発明の上記及びその他の特徴は、明らかになる。明細書と図面において、本発明の特定の実施方式を具体的に公開し、本発明の原則を採用できる一部の実施方式を表しており、理解しなければならないのは、本発明は、記述する実施方式に限定せず、反対に、本発明は、添付の請求項の範囲内に入る全ての修正、変更及び同等のものを含む。
【0027】
本願実施例において、用語「第一」、「第二」等は、異なる要素に用いて、名称上区別しているが、これらの要素の空間配列又は時間順等を表さず、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではない。用語「及び/又は」は、関連の並列する用語の1種、又は複数のうちのいずれか1つ及びその組合せを含む。用語「含む」、「備える」、「有する」等は、陳述した特徴、要素、素子又は部材の存在を指すが、1つ又は複数のその他の特徴、要素、素子又は部材の存在又は追加を排除しない。
【0028】
本願実施例において、単数形式「一」、「該」等は、複数の形式を含み、「1種」または「1種類」は、「1つ」の意味に限定しないことを広義に理解しなければならない。また、前後で別に明確に指摘していない限り、用語「によると」は、「少なくとも一部は・・・によると」と理解しなければならず、用語「に基づき」は、「少なくとも一部は・・・に基づき」と理解しなければならない。
【0029】
また、本発明の以下の説明では、説明のために、ロータアセンブリの中心軸を延ばした方向を「軸方向」と称し、「軸方向」において、第2のカバー部が第1のカバー部を向く方向は、「上」方向になり、「上」方向と反対の方向は「下」方向となる。中心軸を中心とする半径方向を「径方向」と称し、中心軸周りの方向を「周方向」と称し、「積層方向において、2つの部材が揃っている」が指すのは、「積層方向において、2つの部材の幾何学的中心が揃い、2つの部材の幾何学的中心が積層方向の一直線上に位置する」である。
【0030】
(実施例1)
本願実施例は、モータの一部分を構成してもよいステータ部材を提供する。本実施例の以下の記載では、モータは、軸方向フラックスモータを例に説明するが、本実施例はこれに限定しない、即ち、本実施例のステータ部材に関する技術構想は径方向フラックスモータのステータ部材に用いてもよい。
【0031】
図1は、ステータ部材を有するモータの1つの軸方向断面概略図である。図2は、モータの1つの立体概略図である。
【0032】
図1に示すように、モータ100は、ロータアセンブリ1及びステータアセンブリ2を含んでもよい。
【0033】
ロータアセンブリ1は、少なくとも1つのロータ12、14を含み、ロータ12、14は、中心軸C周りに回転可能である。ロータ12、14にそれぞれ少なくとも1つの磁石13が設けられる。ロータアセンブリ1は、中心軸Cを中心に回転する回転軸11を更に含んでもよい。
【0034】
ステータアセンブリ2は、少なくとも1つのステータ巻線群(即ち、コイル)27、少なくとも1つのベアリング取付リング28及びステータ部材21を含み、ステータ巻線群27とベアリング取付リング28は、ステータ部材21の内部に位置する。ロータ12、14はそれぞれステータ巻線群27と軸方向に沿って対向してもよい。
【0035】
本実施例において、少なくとも1つのステータ巻線群27と少なくとも1つのベアリング取付リング28は、ステータの一部分であってもよい。
【0036】
ステータ巻線群27に、ステータ鉄心30(図1に図示していない)を有して、ステータ巻線群27が発生する磁界強度を向上させてもよい。また、ステータ鉄心30は、必須のものではなく、ステータ巻線群27には、ステータ鉄心30を有していなくてもよい。
【0037】
本実施例において、ステータアセンブリ2は、樹脂部29(図1に図示していない)を更に含んでもよく、樹脂部29は、一定の機械強度を有し、ステータ巻線群27とベアリング取付リング28をステータ部材21の内部に固定でき、樹脂部29の材料は、例えば、エポキシ樹脂である。これより、ステータ巻線群27が発生する熱量は、樹脂部29を介してステータ部材21に伝導し、ステータ部材21から外部環境へ伝導する。
【0038】
図1に示すように、モータ100は、少なくとも1つのベアリング31を更に含んでもよく、ベアリング31は、ベアリング取付リング28の径方向内側に取り付けられ、回転軸11は、ベアリング31の径方向内側に位置し、これより、回転軸11は、ベアリング31によってステータアセンブリ2に対して回転してもよい。
【0039】
図1図2に示すように、モータ100は、第1のカバー部23と第2のカバー部24を更に含んでもよく、中心軸Cと平行な方向において、第1のカバー部23と第2のカバー部24は、それぞれステータ部材21の両側からステータ部材2を支持する。
【0040】
1つの実施方式において、第1のカバー部23と第2のカバー部24は、それぞれ固定部材によってステータ部材21と固定してもよく、固定部材は、例えば、ボルトであってもよい。例えば、図1図2では、第1のカバー部23と第2のカバー部24は、それぞれボルト25、26によってステータ部材21と固定してもよい。
【0041】
図1に示すように、ステータ部材21に、めねじ柱22を設けてもよく、めねじ柱22の上側と下側は、それぞれボルト25、26と固定して、第1のカバー部23、第2のカバー部24及びステータ部材21を固定する。
【0042】
また、図2に示すように、モータ100は、1つ以上のボルト取付穴5を更に有してもよく、ボルト取付穴5は、第1のカバー部23、ステータ部材21、及び第2のカバー部24を貫通してもよく、これより、固定用ボルトは、ボルト取付穴5を貫通して、第1のカバー部23、ステータ部材21、及び第2のカバー部24を、例えば、機械である特定の装置に固定してもよい。
【0043】
以下に、本実施例のステータ部材21を説明する。
【0044】
図3は、本実施例のステータ巻線群27、ベアリング取付リング28、ステータ鉄心30及びステータ部材21の1つの分解概略図である。図4は、本実施例のステータハウジングプレートの1つの上面図である。図5は、本実施例のステータ部材外部からステータ部材の局部を観察した1つの立体図である。図6は、本実施例のステータ部材内部からステータ部材の局部を観察した1つの立体図である。図7は、図1の破線枠部分の1つの拡大概略図である。
【0045】
図3図6に示すように、ステータ部材21は、積層設置された少なくとも2つのステータハウジングプレート211を含んでもよく、積層の方向は、例えば、中心軸Cと平行な方向である。また、図3図6に示すように、ステータ巻線群27とステータ鉄心30は、ステータ部材21の内部に位置し、複数のステータ巻線群27とステータ鉄心30は、ベアリング取付リング28の外周に配列する。
【0046】
図4に示すように、各ステータハウジングプレート211は、プレート状ボディに囲まれるフレームである。ステータハウジングプレート211の外周210に少なくとも2つの突起部212が設けられ、突起部212は、ステータハウジングプレート211の内部からステータハウジングプレート211の外部を向く。隣接する突起部212間に溝部213を形成する。
【0047】
図5に示すように、ステータ部材21は、少なくとも2つのステータハウジングプレート211の積層方向において、隣接するステータハウジングプレート211の突起部212が交互に配置される。突起部212が交互に配置されるのは、例えば、上層の突起部212の少なくとも一部が下層の溝部213と揃っていることであってもよい。
【0048】
これより、突起部は、積層方向において、隣接するステータハウジングプレートに完全に遮断されず、突起部の上面と下面の空気との接触面積を増やして、突起部の放熱能力を向上する。例えば、周方向に突起部を有さないステータ部材と比較すると、本実施例のステータ部材は、放熱能力を0.5倍~2倍向上させることが可能である。
【0049】
本実施例において、図3図4に示すように、各ステータハウジングプレート211の外周に、少なくとも1つのめねじ柱取付溝215と少なくとも1つのボルト穴214が更に設けられる。
【0050】
本実施例において、めねじ柱取付溝215は、めねじ柱22(図1に図示)に取り付けるのに用い、めねじ柱取付溝215の内周形状とめねじ柱22の外周形状は、同じであり、1つの実施方式において、めねじ柱取付溝215の内周形状は、正多角形であり、例えば、正六角形である。ボルト穴214は、固定用ボルトの貫通のためであってもよく、これより、ボルト穴214は、ボルト取付穴5(図2図5図6に図示)を構成する一部分としてもよく、例えば、少なくとも2つのステータハウジングプレート211の積層方向において、ステータハウジングプレート211のボルト穴214は揃っており、固定ボルトが貫通するボルト取付穴5を形成しやすくする。
【0051】
本実施例において、ボルト穴214内周形状は、円形であってもよく、また、ボルト穴214内周形状は、その他の固定ボルトに合わせられる形状であってもよい。
【0052】
本実施例において、ボルト穴214の直径は、めねじ柱取付溝215の外接円の直径より小さくてもよい。これより、めねじ柱取付溝215に取り付けためねじ柱22(図1に図示)の軸方向における位置を限定できる。本実施例において、ボルト穴214の直径は、めねじ柱22の内径より大きくてもよい。これより、ボルト穴214は、ボルト25、26をめねじ柱22に取り付けるのを妨げない。
【0053】
本実施例において、図4図5図6に示すように、各ステータハウジングプレート211の外周の内縁に1つ以上の樹脂係合溝216が設けられる。流動する樹脂は、樹脂係合溝216に流れ込むことができ、これより、流動する樹脂が硬化して樹脂部29を形成した後、樹脂係合溝216は、樹脂部29とステータ部材21との接続を更に強固にすることができる。
【0054】
本実施例において、図6に示すように、少なくとも2つのステータハウジングプレート211の積層方向において、隣接するステータハウジングプレート211の樹脂係合溝216は交互に配置してもよい、即ち、積層方向において、少なくとも2つの樹脂係合溝216は揃っていない。これより、樹脂部29とステータ部材21が接続する強固さを更に向上でき、樹脂部29からステータ部材21への熱伝導の界面を増やすことができる。
【0055】
本実施例において、図7図3に示すように、少なくとも2つのステータハウジングプレート211の積層方向において、めねじ柱22の高さ範囲H(図7)内において、隣接するステータハウジングプレート211のめねじ柱取付溝215は揃っており、これより、めねじ柱22は、積層しためねじ柱取付溝215内に設けられる。
【0056】
図7図3に示すように、少なくとも2つのステータハウジングプレート211の積層方向において、めねじ柱22の高さ範囲H(図7)の上側と下側において、ステータハウジングプレート211のボルト穴214とめねじ柱の高さ範囲H内のステータハウジングプレート211のめねじ柱取付溝215は揃っている、即ち、めねじ柱22の軸方向両側において、それぞれステータハウジングプレート211のボルト穴214が積層される。これより、ボルト穴214は、めねじ柱22の軸方向シフトを軸方向両側から固定できる。
【0057】
本実施例において、めねじ柱取付溝215は、積層方向において、揃っている、及び/又はボルト穴214とめねじ柱取付溝215は、積層方向において、揃っている、及び/又はボルト穴214は、積層方向において、揃っている場合、いずれも積層方向において、隣接するステータハウジングプレート211の突起部212が交互に配置されるという条件を同時に満たす必要がある。
【0058】
1つの実施方式において、図3に示すように、各ステータハウジングプレート211の形状は同じであり、ステータハウジングプレート211の形状とその鏡像形状は一致しない。めねじ柱22の高さ範囲H内において、隣接する2つのステータハウジングプレート211において、一方のステータハウジングプレート211を、他方のステータハウジングプレート211に対して、180度反転させてもよく(即ち、ステータハウジングプレート211の軸方向に垂直な上下面を反転する)、反転したステータハウジングプレート211と隣接するステータハウジングプレート211を積層し、これより、めねじ柱取付溝215が互いに揃っている場合、突起部212を交互に配置させる。
【0059】
本実施例において、ステータハウジングプレート211の形状とその鏡像形状は一致せず、ステータハウジングプレート211のめねじ柱取付溝215とボルト穴214が外周において、均一に分布し、突起部212が外周において、均一に分布していなくてもよい。突起部212が外周において、均一に分布していないことは、例えば、突起部212及び/又は溝部213の周方向における幅が不均一等であってもよい。
【0060】
また、本実施例は、これに限定しなくてもよい。例えば、積層方向において、隣接するステータハウジングプレートの形状は、異なり、且つ、めねじ柱取付溝215とボルト穴214の位置はそれぞれ同じにして、突起部212の突起部212及び/又は溝部213の周方向における幅は異なるようにしてもよい。これより、めねじ柱取付溝215が互いに揃っている場合でも、突起部212を交互に配置させることができる。
【0061】
本実施例において、ステータハウジングプレート211は、スタンピング成形によって形成してもよい、又はレーザ切断かワイヤーカットによって形成してもよい。これより、ステータ部材21の製造及び加工コストを大幅に低減してもよい。
【0062】
本実施例において、ステータ部材21は、少なくとも2つのステータハウジングプレート211を積層して形成されることから、これより、積層したステータハウジングプレート211の数を調整することで、ステータ部材21の軸方向サイズを柔軟に設定でき、例えば、モータのステータアセンブリの軸方向サイズが変化して、モータの功率及び/又はトルク特性が変わる時、ステータハウジングプレート211の数を適切に変更してもよい。
【0063】
本実施例によれば、突起部は、積層方向において、隣接するステータハウジングプレートと完全に遮断されず、突起部の上面と下面の空気との接触面積を増やして、低コストでステータ部材の放熱能力を向上することが可能である。また、ステータ部材は、ステータ巻線群の周辺に位置することから、モータの磁気回路に影響しない。また、樹脂係合溝を設けることで、樹脂部とステータ部材との間の連結の強固さが向上する。
【0064】
(実施例2)
本発明実施例2は、実施例1に記載のモータを有する電気機械設備を提供する。実施例1において、モータの構造を詳細に説明済みであることから、その内容は、本実施例でも同様であるため、ここでは、説明を省略する。
【0065】
本実施例によれば、モータのステータ部材の突起部は、積層方向において、隣接するステータハウジングプレートと完全に遮断されず、突起部の上面と下面の空気との接触面積を増やして、ステータ部材の放熱能力を向上する。更に、モータの放熱能力及び電気機械設備の信頼性を向上する。
【0066】
以上、具体的な実施方式を結合して、本発明を記載したが、当業者は、これらはいずれも例示的なものであり、本発明の保護範囲を限定するものではないことを明瞭にしなければならない。当業者は、本発明の精神及び原理に基づいて、本発明を各種変更及び修正を行うことができ、これらの変更及び修正も本発明の範囲内にある。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、低コスト且つ強力な放熱能力で、ステータ部材内部に設けられたステータを放熱できるステータ部材、ステータアセンブリ、モータ及び電気機械設備を提供する。
【符号の説明】
【0068】
1:ロータアセンブリ
100:モータ
11:回転軸
12、14:ロータ
2:ステータアセンブリ
21:ステータ部材
210:外周
211:ステータハウジングプレート
212:突起部
213:溝部
214:ボルト穴
215:めねじ柱取付溝
216:樹脂係合溝
22:めねじ柱
23:第1のカバー部
24:第2のカバー部
25、26:ボルト
27:ステータ巻線群
28:ベアリング取付リング
29:樹脂部
30:ステータ鉄心
31:ベアリング
5:ボルト取付穴
C:中心軸
H:高さ範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7