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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20231212BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20231212BHJP
   G03G 15/06 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/08 235
G03G15/06 101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019206955
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021081497
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 保
(72)【発明者】
【氏名】橋本 光弘
(72)【発明者】
【氏名】大久保 尭洋
(72)【発明者】
【氏名】若狹 洋平
(72)【発明者】
【氏名】中地 一博
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-043719(JP,A)
【文献】特開2005-189790(JP,A)
【文献】特開2019-090953(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0071477(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/06
G03G 13/08
G03G 13/095
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/06
G03G 15/08
G03G 15/095
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に感光層が形成された像担持体と、
前記像担持体を帯電させる帯電装置と、
前記帯電装置により帯電された前記像担持体を露光することにより静電潜像を形成する露光装置と、
前記像担持体に対向配置され、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を担持する現像剤担持体を有し、前記像担持体に形成された前記静電潜像に前記トナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、
を含む画像形成部と、
前記現像剤担持体に直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を印加する現像電圧電源と、
前記現像装置により形成された前記トナー像の濃度を検知する濃度検知装置と、
前記現像剤担持体に前記現像電圧を印加したときに流れる現像電流の直流成分を検出する電流検出部と、
前記画像形成部および前記現像電圧電源を制御する制御部と、
を備えた画像形成装置において、
前記制御部は、
非画像形成時に前記現像装置によって前記像担持体上に基準画像を形成し、前記基準画像を形成したときの前記現像電流を電流検出部により検出し、検出された前記現像電流から前記キャリアに流れるキャリア電流を減算して前記トナーの移動によって流れるトナー電流を算出し、
前記濃度検知装置により検知された前記基準画像の濃度から前記基準画像を形成したときのトナー現像量を算出し、
前記トナー電流と前記トナー現像量とに基づいてトナー帯電量を推定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記像担持体の表面電位V0と前記現像剤担持体に印加される前記現像電圧の直流成分Vdcとの現像電位差V0-Vdcを複数段階に変化させて、前記像担持体の非露光部が対向しているときに前記現像剤担持体に流れる前記現像電流の直流成分を前記キャリア電流として検出し、前記V0-Vdcと前記キャリア電流との相関関係から取得される近似式を用いて前記基準画像を形成したときに流れる前記キャリア電流を推定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、推定された前記トナー帯電量に基づいて画像形成条件を変更することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記トナー帯電量の絶対値が所定値よりも低いとき前記現像装置内のトナー濃度を低くするか、前記現像電圧の交流成分のVppの絶対値を低くするか、若しくは前記像担持体の表面電位V0と前記現像電圧の直流成分Vdcとの電位差V0-Vdcの絶対値を小さくすることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記像担持体に対向配置され、前記像担持体上に形成された前記トナー像を被転写体に転写する転写部材を備え、
前記制御部は、前記トナー帯電量の絶対値が所定値よりも低いとき前記転写部材に印加する転写電圧の絶対値を大きくすることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、推定された前記トナー帯電量が所定範囲外であるとき前記現像装置内の前記トナーを前記像担持体に吐出する強制吐出動作を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体を備えた複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関し、特に、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いる現像方式においてトナー帯電量を精度よく測定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を用いた現像方式においては、印字枚数、環境(温湿度)変動、印字モード、画像上の印字率(画像形成可能な面積に対する印字される面積の割合)等の影響を受けて現像剤が劣化し、現像剤中のトナーの帯電特性が変化する。その結果、トナーが十分に帯電できなくなり、画像濃度の低下、画像かぶりやトナー飛散等の問題が発生する。
【0003】
そこで、従来は印字枚数、環境変動、印字モード、印字率等によりトナーの帯電量変化を予測し、予測結果に基づいてトナー濃度、現像電圧、感光体の表面電位、現像ローラーの回転速度、飛散トナーを吸引するファンの出力等を調整して、画像濃度の低下や、画像かぶり、トナー飛散を抑制するようにしていた。
【0004】
しかし、これらの方法は、印字枚数からの予測や、環境変動、印字モード、印字率のそれぞれの条件下での予測を組み合わせたものに過ぎず、印字枚数、環境変動、印字モード、印字率等が複合的に変化した場合はトナーの帯電量を精度よく予測できなかった。
【0005】
そこで、トナー帯電量を直接算出する方法が提案されており、例えば特許文献1には、現像前のドラムの表面電位、現像後のトナー層の表面電位を測定し、トナー層の画像濃度からトナー現像量を求め、このドラム・トナー層の表面電位とトナー現像量からトナー帯電量を求める画像形成装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、印刷用の画像データに基づきトナー画像を形成する第1モードと、パッチ画像データに基づきパッチ画像を形成し、パッチ画像の濃度と現像電流に基づいてトナーの帯電量を測定する第2モードとを実行可能である画像形成装置が開示されている。特許文献3には、像担持体上に形成される画像の付着量を変化させると共に、像担持体上に形成された画像の変化に対応して電流検出手段により検出された現像電流の変化量と、付着量検出手段により検出された現像剤の付着量の変化量とに基づいてトナー帯電量を算出する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-345075号公報
【文献】特開2009-294504号公報
【文献】特開2010-19969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法では表面電位を測定するために表面電位センサーが必要になり、コストアップに繋がる。また、トナー層の表面電位を取得するためには、表面電位センサーをドラム回転方向に対し現像領域の下流側に設置する必要がある。しかし、この位置に表面電位センサーを設置すると、表面電位センサー表面は現像装置からの飛散トナーに汚染されやすくなり、長期に亘って高精度な表面電位の測定ができなくなる。
【0009】
また、特許文献2、3の方法では、現像電流が、トナーの移動によって流れる電流(トナー電流)のみでなくキャリアを流れる電流(キャリア電流)も含んでしまうという問題がある。キャリア電流が一定値であれば、予め測定したキャリア電流の分だけ現像電流をシフトさせればよいが、耐久印字によってキャリアのコート層の削れや汚染が発生し、キャリア抵抗値が変化するため、キャリア電流も変化してしまう。その結果、現像電流を測定するだけではトナー電流を正しく測定することができなかった。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、簡易な構成で現像電流に含まれるトナー電流を測定し、測定結果に基づいてトナー帯電量を精度よく算出可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、像担持体と、帯電装置と、露光装置と、現像装置と、を含む画像形成部と、現像電圧電源と、濃度検知装置と、電流検出部と、制御部と、を備えた画像形成装置である。像担持体は、表面に感光層が形成される。帯電装置は、像担持体を帯電させる。露光装置は、帯電装置により帯電された像担持体を露光することにより静電潜像を形成する。現像装置は、像担持体に対向配置され、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を担持する現像剤担持体を有し、像担持体に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。現像電圧電源は、現像剤担持体に直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を印加する。濃度検知装置は、現像装置により形成されたトナー像の濃度を検知する。電流検出部は、現像剤担持体に現像電圧を印加したときに流れる現像電流の直流成分を検出する。制御部は、画像形成部および現像電圧電源を制御する。制御部は、非画像形成時に現像装置によって像担持体上に基準画像を形成し、基準画像を形成したときの現像電流を電流検出部により検出し、検出された現像電流からキャリアに流れるキャリア電流を減算してトナーの移動によって流れるトナー電流を算出する。制御部は、濃度検知装置により検知された基準画像の濃度から基準画像を形成したときのトナー現像量を算出し、トナー電流とトナー現像量とに基づいてトナー帯電量を推定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の構成によれば、基準画像を形成するときに流れる現像電流からキャリア電流を差し引くことにより、トナー電流を精度よく算出することができる。そして、算出されたトナー電流と基準画像の濃度から算出されるトナー現像量とに基づいてトナー帯電量を推定することで、トナー帯電量を精度よく推定することができ、推定されたトナー帯電量に基づいてキャリアの寿命や画像濃度低下の原因を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の内部構成を示す側面断面図
図2】画像形成装置100に搭載される現像装置3aの側面断面図
図3】現像装置3aの制御経路を含む画像形成部Pa周辺の部分拡大図
図4】非露光部(白地部)電位V0と現像電圧の直流成分Vdcとの現像電位差V0-Vdcを複数段階に変化させたときに流れる現像電流Idを示すグラフ
図5】現像電圧の直流成分Vdcと露光部電位VLとの現像電位差Vdc-VLを変化させたときに流れる現像電流Idとキャリア電流Icとの関係を示すグラフ
図6】本実施形態の画像形成装置100におけるトナー帯電量の推定制御例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の内部構造を示す断面図である。画像形成装置100(ここではカラープリンター)本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、搬送方向上流側(図1では左側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。
【0015】
これらの画像形成部Pa~Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)1a、1b、1cおよび1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト(中間転写体)8が各画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳される。その後、中間転写ベルト8上に一次転写されたトナー像は、二次転写ローラー9によって記録媒体の一例としての転写紙P上に二次転写される。さらに、トナー像が二次転写された転写紙Pは、定着部13においてトナー像が定着された後、画像形成装置100本体より排出される。感光体ドラム1a~1dを図1において時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a~1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0016】
トナー像が二次転写される転写紙Pは、画像形成装置100の本体下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9と中間転写ベルト8の駆動ローラー11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
【0017】
次に、画像形成部Pa~Pdについて説明する。回転可能に配設された感光体ドラム1a~1dの周囲および下方には、感光体ドラム1a~1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2cおよび2dと、各感光体ドラム1a~1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a~1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3cおよび3dと、感光体ドラム1a~1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング装置7a、7b、7cおよび7dが設けられている。
【0018】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a~2dによって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a~1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a~3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a~3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a~4dから各現像装置3a~3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a~3dにより感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0019】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、一次転写後に感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナー等がクリーニング装置7a~7dにより除去される。
【0020】
中間転写ベルト8は、上流側の従動ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とに掛け渡されており、駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラー対12bから所定のタイミングで駆動ローラー11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラー9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像が転写紙P上に二次転写される。トナー像が二次転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
【0021】
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱および加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、両面搬送路18に送られて両面に画像が形成された後に)、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0022】
さらに、中間転写ベルト8を挟んで駆動ローラー11と対向する位置には画像濃度センサー40が配置されている。画像濃度センサー40としては、一般にLED等から成る発光素子と、フォトダイオード等から成る受光素子を備えた光学センサーが用いられる。中間転写ベルト8上のトナー付着量を測定する際、発光素子から中間転写ベルト8上に形成された各基準画像に対し測定光を照射すると、測定光はトナーによって反射される光、およびベルト表面によって反射される光として受光素子に入射する。
【0023】
トナーおよびベルト表面からの反射光には正反射光と乱反射光とが含まれる。この正反射光および乱反射光は、偏光分離プリズムで分離された後、それぞれ別個の受光素子に入射する。各受光素子は、受光した正反射光と乱反射光を光電変換して主制御部80(図3参照)に出力信号を出力する。そして、正反射光と乱反射光の出力信号の特性変化からトナー量を検知し、予め定められた基準濃度と比較して現像電圧の特性値などを調整することにより、各色について濃度補正(キャリブレーション)が行われる。
【0024】
図2は、画像形成装置100に搭載される現像装置3aの側面断面図である。なお、以下の説明では図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aを例示するが、画像形成部Pb~Pdに配置される現像装置3b~3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
【0025】
図2に示すように、現像装置3aは、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤という)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって攪拌搬送室21、供給搬送室22に区画されている。攪拌搬送室21および供給搬送室22には、トナーコンテナ4a(図1参照)から供給されるトナーを磁性キャリアと混合して攪拌し、帯電させるための攪拌搬送スクリュー25aおよび供給搬送スクリュー25bがそれぞれ回転可能に配設されている。
【0026】
そして、攪拌搬送スクリュー25aおよび供給搬送スクリュー25bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向(図2の紙面と垂直な方向)に搬送され、仕切壁20aの両端部に形成された不図示の現像剤通過路を介して攪拌搬送室21、供給搬送室22間を循環する。即ち、攪拌搬送室21、供給搬送室22、現像剤通過路によって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
【0027】
現像容器20は図2の右斜め上方に延在しており、現像容器20内において供給搬送スクリュー25bの右斜め上方には現像ローラー31が配置されている。そして、現像ローラー31の外周面の一部が現像容器20の開口部20bから露出し、感光体ドラム1aに対向している。現像ローラー31は、図2において反時計回り方向に回転する。
【0028】
現像ローラー31は、図2において反時計回り方向に回転する円筒状の現像スリーブと、現像スリーブ内に固定された複数の磁極を有するマグネット(図示せず)とで構成されている。なお、ここでは表面がローレット加工された現像スリーブを用いているが、表面に多数の凹形状(ディンプル)を形成したものや、表面がブラスト加工された現像スリーブ、更には、ローレット加工や凹形状の形成に加えてブラスト加工を施したものや、メッキ処理を施したものを用いることもできる。
【0029】
また、現像容器20には規制ブレード27が現像ローラー31の長手方向(図2の紙面と垂直方向)に沿って取り付けられている。規制ブレード27の先端部と現像ローラー31表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
【0030】
現像ローラー31には、現像電圧電源43(図3参照)により直流電圧Vslv(DC)(以下、Vdcともいう)および交流電圧Vslv(AC)からなる現像電圧が印加される。
【0031】
図3は、現像装置3aの制御経路を含む画像形成部Pa周辺の部分拡大図である。以下の説明では画像形成部Paの構成および現像装置3aの制御経路について説明するが、画像形成部Pb~Pdの構成および現像装置3b~3dの制御経路についても同様であるため説明を省略する。
【0032】
現像ローラー31は、直流電圧と交流電圧が重畳された振動電圧を生成する現像電圧電源43に接続されている。現像電圧電源43は、交流定電圧電源43aと、直流定電圧電源43bとを備える。交流定電圧電源43aは、昇圧トランス(図示せず)を用いてパルス状に変調した低圧直流電圧から発生させた正弦波の交流電圧を出力する。直流定電圧電源43bは、昇圧トランスを用いてパルス状に変調した低圧直流電圧から発生させた正弦波の交流電圧を整流した直流電圧を出力する。
【0033】
現像電圧電源43は、画像形成時には交流定電圧電源43aおよび直流定電圧電源43bから直流電圧に交流電圧を重畳させた現像電圧を出力する。電流検出部44は、現像ローラー31と感光体ドラム1aの間に流れる直流電流値を検出する。
【0034】
帯電電圧電源45は、帯電装置2aの帯電ローラー34に直流電圧に交流電圧が重畳された帯電電圧を印加する。帯電電圧電源45の構成は現像電圧電源43と同様である。転写電圧電源47は、一次転写ローラー6a~6d、二次転写ローラー9(図1参照)に、それぞれ一次転写電圧、二次転写電圧を印加する。
【0035】
クリーニング装置7aは、感光体ドラム1a表面の残留トナーを除去するクリーニングブレード32と、感光体ドラム1a表面の残留トナーを除去するとともに感光体ドラム1a表面を摺擦して研磨する摺擦ローラー33と、クリーニングブレード32および摺擦ローラー33によって感光体ドラム1aから除去された残留トナーをクリーニング装置7aの外部に排出する搬送スパイラル35と、を含む。
【0036】
次に、画像形成装置100の制御システムについて図3を参照して説明する。画像形成装置100には、CPU等で構成される主制御部80が設けられている。主制御部80は、ROMやRAM等からなる記憶部70に接続される。主制御部80は、記憶部70に格納された制御プログラムや制御用データに基づいて画像形成装置100の各部(帯電装置2a~2d、現像装置3a~3d、露光装置5、一次転写ローラー6a~6d、クリーニング装置7a~7d、二次転写ローラー9、定着部13、現像電圧電源43、電流検出部44、帯電電圧電源45、転写電圧電源47、電圧制御部50等)を制御する。
【0037】
電圧制御部50は、現像ローラー31に現像電圧を印加する現像電圧電源43、帯電ローラー34に帯電電圧を印加する帯電電圧電源45、一次転写ローラー6a~6dおよび二次転写ローラー9に転写電圧を印加する転写電圧電源47を制御する。なお、電圧制御部50は、記憶部70に記憶される制御プログラムで構成されていてもよい。
【0038】
主制御部80には液晶表示部90、送受信部91が接続されている。液晶表示部90は、ユーザーが画像形成装置100の各種設定を行うためのタッチパネルとして機能するとともに、画像形成装置100の状態、画像形成状況や印字枚数等を表示する。送受信部91は、電話回線やインターネット回線を用いて外部との通信を行う。
【0039】
前述したように、現像剤中のトナーの帯電量が変化すると、画像濃度の低下、画像かぶりやトナー飛散等の問題が発生する。本実施形態の画像形成装置100では、画像形成時に現像ローラー31と感光体ドラム1a~1dとの間に流れる現像電流からキャリア電流を差し引くことでトナー電流を精度よく測定し、トナー電流に基づいてトナー帯電量を算出する。以下、本発明の特徴部分であるトナー帯電量の算出方法について説明する。
【0040】
現像電流は、キャリアに流れるキャリア電流とトナーの移動によって流れるトナー電流との和である。現像電流をId[μA]、キャリア電流をIc[μA]、トナー電流をIt[μA]とすると、Id=Ic+Itと表される。即ち、トナーが移動しない非露光部(白地部)ではId=Icとなる。
【0041】
また、非露光部(白地部)および露光部(画像部)の感光体ドラム1a~1dの表面電位をそれぞれV0、VLとし、現像ローラー31に印加する現像電圧の直流成分をVdcとする。このとき、非露光部(白地部)および露光部(画像部)での現像ローラー31と感光体ドラム1a~1dとの間の電位差(現像電位差)は、それぞれV0-Vdc、Vdc-VLで表される。
【0042】
キャリア電流Icは現像電位差に依存するため、非露光部(白地部)での現像電流Id(=キャリア電流Ic)と現像電位差V0-Vdcとの相関関係を取得する。そして、取得された相関関係から露光部(画像部)での現像電位差Vdc-VLに対応する現像電流Idを算出する。算出された現像電流Idが画像形成時に流れるキャリア電流Icであると仮定してトナー電流Itの算出に用いる。
【0043】
具体的には、図4に示すように非露光部(白地部)での現像電位差V0-Vdcを複数段階に変化させたときに流れる現像電流Idを取得し、取得結果からV0-Vdcに対する現像電流Idの変化を取得する。非露光部(白地部)の表面電位V0は現像電圧Vdcよりも高いため、現像電流(=キャリア電流Ic)は感光体ドラム1a~1d側から現像ローラー31側に流れる。そのため、電流検出部44で検出される現像電流Idはマイナスとなる。V0-Vdcに対する現像電流Idの変化は図4に点線で示す近似式(1)で表される。
y=-0.0189x+0.7665 ・・・(1)
【0044】
なお、実際の計算では現像電流を測定面積で除算することで単位面積当たりの電流量[μA/cm2]を算出する必要がある。また、現像電流は複数回測定し、各測定値の平均値を用いると誤差が小さくなる。
【0045】
次に、露光装置5により感光体ドラム1a~1dの表面を露光して基準画像の静電潜像パターンを形成する。そして、現像装置3a~3dにより画像部(露光部)を現像し、現像時に流れる現像電流Idと基準画像の濃度を測定する。
【0046】
図5は、現像電圧の直流成分Vdcと露光部電位VLとの現像電位差Vdc-VLを変化させたときに流れる現像電流Idとキャリア電流Icとの関係を示すグラフである。図5に示すように、露光部(画像部)では現像電流Idは現像ローラー31側から感光体ドラム1a~1d側に流れる。そのため、図4に示した近似式(1)をプラス側に反転させた近似式(1′)を用いて、基準画像の形成時の現像電位差Vdc-VLで流れると予測されるキャリア電流Icを求める。
y=0.0189x-0.7665 ・・・(1′)
【0047】
そして、基準画像の形成時に実際に流れる現像電流Id(図5に破線で表示)から減算することにより、トナー電流Itが算出される。
【0048】
ここで、I(電流)=Q(電荷)/t(時間)であるから、トナー電流Itに基づいてトナー移動電荷量Qtが算出される。また、画像濃度センサー40により検出された基準画像の画像濃度からトナー現像量mが算出される。算出されたQt、mを用いて、トナー帯電量(=Qt/m)を算出することができる。
【0049】
以上説明したように、非露光部(白地部)の現像電位差V0-Vdcと現像電流Id(=キャリア電流Ic)との相関関係を取得し、基準画像を形成するときの現像電位差Vdc-VLで流れると予測されるキャリア電流Icを算出して基準画像を形成したときの現像電流Idから差し引くことにより、トナー電流Itを精度よく算出することができる。
【0050】
以上のようにして計算されたトナー帯電量を用いることで、キャリアの寿命や画像濃度低下の原因を特定することが可能となる。即ち、トナー帯電量の上昇や低下が確認できた場合、現像装置3a~3dに対するトナーの供給、消費や現像装置3a~3d内の現像剤のエージングを適切に行うことができる。また、トナー帯電量の経時変化を取ることでキャリアの劣化状態を知ることができ、トナー帯電量の低下を予測して現像剤中のトナー濃度の目標値を変更したり、現像電圧の交流電圧を変更したりすることで、現像ゴーストや転写メモリーの発生を抑制することができる。また、トナー帯電量の経時変化の予測に併せて、次回のトナー帯電量の測定タイミングを適正化することができる。さらに、一次転写電圧を調整することで転写不良による画像濃度の低下を抑制することもできる。
【0051】
また、トナーに予め一定量のキャリアを混合させておき、トナーの消費に応じてキャリアを含むトナーを供給するとともに余剰の現像剤を排出する機構を有する現像装置3a~3dを用いる場合は、トナー帯電量の低下が著しい場合にトナーを強制吐出して、現像装置3a~3d内のキャリアを積極的に入れ替える。これにより、キャリアの劣化によるトナー帯電量の低下を抑制することができる。さらに、現像装置3a~3dの交換時期の予測にも活用できる。
【0052】
図6は、本発明の画像形成装置100におけるトナー帯電量の推定制御例を示すフローチャートである。先ず、主制御部80は印字命令を受信したか否かを判定する(ステップS1)。印字命令を受信した場合は(ステップS1でYes)通常の画像形成動作によって印字を実行する(ステップS2)。印字命令が送信されない場合は(ステップS1でNo)、主制御部80はキャリア電流変化の取得タイミングであるか否かを判定する(ステップS3)。キャリア電流変化の取得タイミングとしては、例えば前回の取得時からの累積印字枚数が所定枚数(50k枚~100k枚)以上となっている場合等が挙げられる。
【0053】
キャリア電流変化の取得タイミングである場合は(ステップS3でYes)、現像電位差V0-Vdcを変化させて、現像ローラー31が白地部に対向したときに流れる現像電流Id1を検出する(ステップS4)。そして、測定されたId1とV0-Vdcとの相関関係を取得し(ステップS5)、図4に示したような近似式(1)を作成する。なお、初回のキャリア電流変化の取得までに後述するトナー帯電量の推定タイミングに到達した場合は、画像形成装置100の組み立て時に測定し、記憶部70に記憶されたキャリア電流変化を読み出して使用する。
【0054】
次に、主制御部80はトナー帯電量の推定タイミングであるか否かを判定する(ステップS6)。トナー帯電量の推定タイミングとしては、例えば印字動作の終了時に、前回のトナー帯電量の推定からの累積印字枚数が所定枚数以上となっている場合等が挙げられる。トナー帯電量の推定タイミングでない場合は(ステップS6でNo)ステップS1に戻り、印字命令の待機状態を継続する。
【0055】
トナー帯電量の推定タイミングである場合は(ステップS6でYes)、トナー帯電量の推定モードを開始する。具体的には、帯電装置2a~2dにより感光体ドラム1a~1dの表面を帯電させた後、露光装置5によって感光体ドラム1a~1d上に基準画像の静電潜像を形成する。そして、現像電圧電源43によって現像ローラー31に現像電圧を印加して静電潜像をトナー像に現像することにより、感光体ドラム1a~1d上に基準画像を形成するとともに、電流検出部44によって現像ローラー31に流れる現像電流Id2を検出する(ステップS7)。
【0056】
主制御部80は、ステップS5で作成した近似式(1)をプラス側に反転させた近似式(1′)を用いて現像電位差Vdc-VLである基準画像の形成時に流れるキャリア電流Icを予測する(ステップS8)。また、Id2-Icによりトナー電流Itを算出する(ステップS9)。
【0057】
次に、一次転写ローラー6a~6dに所定の一次転写電圧を印加して基準画像を中間転写ベルト8上に転写する。そして、画像濃度センサー40により各基準画像の濃度を検出する。主制御部80は、検出された基準画像の濃度に基づいてトナー現像量mを算出する(ステップS10)。トナー現像量mの算出は、予め記憶部70に記憶された画像濃度とトナー現像量との関係を用いて行われる。
【0058】
なお、トナー現像量の算出精度を高めるために、基準画像の形成回数(n数)を増加させるか、或いは基準画像の濃度を複数段階に変化させることが好ましい。基準画像の濃度を変化させる際は、露光装置5によって感光体ドラム1a~1dの表面を全面露光するとともに、感光体ドラム1a~1dの表面電位V0と現像ローラー31に印加される現像電圧Vdcとの電位差V0-Vdcを一定に維持してV0およびVdcを変更することが好ましい。
【0059】
これにより、基準画像の端部(エッジ部)におけるキャリア現像を抑制できる。また、印字率を変化させてドット状の画像を形成する場合はドット周縁部に濃度の高い部分が生じるが、露光装置5によって全面露光することでドット周縁部の濃度の高い部分がなくなるため、基準画像の濃度をトナー現像量に換算する際の誤差を小さくすることができる。
【0060】
主制御部80は、ステップS8で検出されたトナー電流Itから算出されるトナー移動電荷量Qtと、ステップS9で算出したトナー現像量mに基づいて、トナー帯電量(=Qt/m)を推定する(ステップS11)。
【0061】
主制御部80は、トナー帯電量の推定結果に基づいて画像形成条件を変更し(ステップS12)、処理を終了する。変更される画像形成条件としては、現像装置3a~3d内のトナー濃度、現像電圧の交流成分のVpp、非露光部(白地部)の現像電位差V0-Vdc、一次転写ローラー6a~6dに印加する一次転写電圧等が挙げられる。
【0062】
具体的には、トナー帯電量が低い場合は現像ゴーストが発生し易くなるため、トナー濃度を低くしてトナー帯電量を上昇させる。或いは、Vppを低くするか、V0-Vdcを小さくすることにより現像ゴーストの発生を抑制する。また、トナー帯電量が低い場合は一次転写電圧を大きくすることで転写不良による画像濃度の低下を抑制する。
【0063】
また、トナー帯電量が一定値以上低い(または高い)場合、即ちトナー帯電量が所定範囲外である場合は、感光体ドラム1a~1d上に静電潜像パターン(ベタパターン)を形成し、現像ローラー31に現像電圧を印加して現像ローラー31上のトナーを感光体ドラム1a~1d上に移動(強制吐出)させる。トナー帯電量が一定以上高い場合は現像装置3a~3d内の現像剤のエージング(攪拌)時間を長くすることも有効である。
【0064】
そして、トナーの劣化が進んでいる状況を液晶表示部90(図3参照)に表示し、トナーの交換準備や使用状況の変更を促す。さらに、トナー帯電量が大幅に低下している場合はトナーの交換を要求する表示を液晶表示部90に表示し、画像形成装置100の動作を停止させる。
【0065】
図6に示した制御例によれば、非露光部(白地部)の現像電位差V0-Vdcを変化させて非露光部(白地部)に流れる現像電流Id1(=Ic)を検出して現像電位差とキャリア電流Icの相関関係を取得し、基準画像を形成したときの現像電位差で流れるキャリア電流Icを予測する。そして、基準画像の形成時に流れる現像電流Id2から予測されたキャリア電流Icを差し引くことによりトナー電流Itを精度よく算出することができる。そして、トナー電流Itと、基準画像の画像濃度から算出されるトナー現像量mとに基づいて現像装置3a~3d内のトナー帯電量を精度よく推定することができる。
【0066】
さらに、推定されたトナー帯電量に基づいて現像装置3a~3d内のトナー濃度、現像電圧、転写電圧の制御やトナーの強制吐出を実行することにより、トナー帯電量の変化に起因する現像ゴースト、画像かぶり、転写不良等の画像不具合を効果的に抑制することができる。
【0067】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では所定の印字枚数(50k~100k枚)毎に現像電位差に対するキャリア電流変化の取得を行うこととしたが、トナー帯電量の推定タイミングに到達する毎にキャリア電流変化の取得を行うようにしてもよい。また、キャリア電流変化を複数回取得して近似式を作成した後は、キャリア電流の測定を行わずに近似式からキャリア電流変化を予測してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では画像形成装置100として図1に示したようなカラープリンターを例に挙げて説明したが、カラープリンターに限らず、モノクロおよびカラー複写機、デジタル複合機、ファクシミリ等の他の画像形成装置であってもよい。以下、実施例により本発明の効果について更に詳細に説明する。
【実施例
【0069】
現像電位差を変化させて非露光部(白地部)に流れる現像電流Id1(=Ic)を検出して現像電位差とキャリア電流Icの相関関係を取得し、基準画像を形成したときに流れる現像電流Id2からキャリア電流Icの予測値を差し引いて算出されたトナー電流Itと、基準画像の画像濃度から算出されるトナー現像量mとに基づく現像装置3a~3d内のトナー帯電量の推定についての検証試験を行った。試験機の条件としては、図1に示したような画像形成装置100において、アモルファスシリコン(a-Si)感光層を有する感光体ドラム1a~1dを用い、非露光部電位V0=270V、露光部電位VL=20Vとした。また、全速モード時のドラム線速(プロセス速度)を55枚/minとした。
【0070】
現像装置3a~3dは、ローレット加工により周方向に80列の凹部が形成された直径20mmの現像ローラー31を用い、規制ブレード27として厚さ1.5mmのステンレス(SUS430)製の磁性ブレードを用いた。現像ローラー31による現像剤搬送量を250g/m2とした。現像ローラー31と感光体ドラム1a~1dの周速比を1.8(対向位置でトレール回転)、現像ローラー31と感光体ドラム1a~1d間の距離を0.30mmとした。現像ローラー31には、現像電圧として170Vの直流電圧Vslv(DC)に、周波数4.2kHz、Duty=50%の矩形波の交流電圧を重畳した電圧を印加した。
【0071】
また、平均粒子径6.8μmの正帯電性トナーと、平均粒子径35μmのフェライト・樹脂コートキャリアとからなる二成分現像剤を用い、トナー濃度を8%とした。
【0072】
試験方法としては、基準画像の形成時に流れる現像電流Id2をトナー電流Itとしてトナー帯電量を推定した場合(補正前)、現像電流Id2からキャリア電流Icの予測値を差し引いた値をトナー電流Itとしてトナー帯電量を推定した場合(補正後)とを、トナー帯電量の実測値と比較した。トナー帯電量の推定結果をトナー帯電量の実測値と併せて表1に示す。
【0073】
【表1】
※吸引式小型帯電量測定装置(212HS、トレック社製)を用いて測定
【0074】
表1に示すように、現像電流Id2をトナー電流Itとして推定した補正前のトナー帯電量は37.9μC/gであった。これに対し、現像電流Id2からキャリア電流Icの予測値を差し引いた値をトナー電流Itとして推定した補正後のトナー帯電量は27.9μC/gであった。
【0075】
また、吸引式小型帯電量測定装置(212HS、トレック社製)を用いて、現像ローラー上の現像剤のトナー帯電量を測定したところ、27.6μC/gであり、補正後のトナー帯電量とよく一致していた。以上より、本推定方法を用いてトナー帯電量を精度よく推定できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いる画像形成装置に利用可能である。本発明の利用により、トナー帯電量を精度よく推定し、推定結果に基づいて画像形成条件を決定することにより画像不具合を抑制可能な画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0077】
1a~1d 感光体ドラム(像担持体)
2a~2d 帯電装置
3a~3d 現像装置
5 露光装置
31 現像ローラー(現像剤担持体)
40 画像濃度センサー(濃度検知装置)
43 現像電圧電源
43a 交流定電圧電源
43b 直流定電圧電源
44 電流検出部
45 電圧制御部
50 駆動制御部
70 記憶部
80 主制御部(制御部)
100 画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6