(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】集塵装置及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
B03C 3/28 20060101AFI20231212BHJP
B03C 3/74 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B03C3/28
B03C3/74 A
(21)【出願番号】P 2019209901
(22)【出願日】2019-11-20
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】 JP2019022862
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】小前 草太
(72)【発明者】
【氏名】中村 保博
(72)【発明者】
【氏名】清水 彰則
(72)【発明者】
【氏名】弓削 政郎
(72)【発明者】
【氏名】曽根 文彦
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-076872(JP,U)
【文献】実開昭49-095573(JP,U)
【文献】特開2006-334084(JP,A)
【文献】国際公開第2007/145254(WO,A1)
【文献】特開2016-109359(JP,A)
【文献】特許第6661845(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0172809(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00-11/00
A47L 9/02-9/08
F24F 1/0007;1/0059-1/008;
1/02;1/032-1/0355
F24F 1/00-1/0007;1/0011-1/0033;
1/02;1/022;1/028-1/0287
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃対象と接触可能に設けられ、塵埃を付着させて前記清掃対象から除去する第1の清掃部と、
前記第1の清掃部を第1の方向に回転させる回転駆動部と、
前記第1の方向に回転する前記第1の清掃部と接触して設けられ、前記第1の清掃部に付着した塵埃を除去する第2の清掃部と、
前記第1の清掃部及び前記第2の清掃部から脱落した塵埃を捕集する集塵部と、を備え、
前記回転駆動部は、前記第1の清掃部と前記第2の清掃部とが接触した状態で前記第1の清掃部を前記第1の方向と反対の第2の方向に回転させて前記第2の清掃部に付着した塵埃を脱落させる反転動作を行わせる集塵装置。
【請求項2】
前記第2の清掃部による前記第1の清掃部に付着した塵埃の除去性能の低下を判定する塵埃除去性能低下判定部をさらに備え、
前記回転駆動部は、前記第2の清掃部による前記第1の清掃部に付着した塵埃の除去性能が低下したと前記塵埃除去性能低下判定部が判定した場合に、前記反転動作を行わせる請求項1に記載の集塵装置。
【請求項3】
前記回転駆動部が前記反転動作を行わせた後も前記第2の清掃部による前記第1の清掃部に付着した塵埃の除去性能が低下したと前記塵埃除去性能低下判定部が判定した場合に報知する報知部をさらに備えた請求項2に記載の集塵装置。
【請求項4】
前記回転駆動部は、前記反転動作において前記第1の清掃部を前記反転動作の前よりも速く回転させる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の集塵装置。
【請求項5】
前記清掃対象は、前記第1の清掃部の周囲を流れる流体であり、
前記流体の流れを生成する流れ生成装置をさらに備え、
前記流れ生成装置は、前記回転駆動部による前記第1の清掃部の動作状況に応じて前記流体の流れの速さを変更する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の集塵装置。
【請求項6】
前記集塵部は、前記第2の清掃部に対して鉛直下方側に配置され、
前記流れ生成装置は、前記反転動作中において前記流体の流れの生成を停止する、又は、前記反転動作中において前記反転動作前よりも前記流体の流れの速さを遅くする請求項5に記載の集塵装置。
【請求項7】
前記集塵部は、前記第2の清掃部に対して前記流体の流れの下流側に配置され、
前記流れ生成装置は、前記反転動作中において前記反転動作前よりも前記流体の流れの速さを速くする請求項5に記載の集塵装置。
【請求項8】
前記反転動作において前記第2の清掃部の帯電を取り除く除電部をさらに備えた請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の集塵装置。
【請求項9】
請求項1に記載の集塵装置と、
前記反転動作中に前記第2の清掃部の帯電を取り除くための帯電粒子を放出する除電部と、を備え、
前記第1の清掃部は、送風ファンであり、
前記第2の清掃部は、前記反転動作において前記第1の清掃部が前記第2の方向に回転している場合に生成される反転気流における前記第1の清掃部の下流側に設けられた熱交換器と前記第1の清掃部との間に配置され、
前記除電部は、前記反転動作中の前記反転気流における前記第1の清掃部の上流側に配置され、
前記集塵部は、前記熱交換器及び前記熱交換器で生じた結露水を受けるドレンパンである空気調和機。
【請求項10】
前記反転動作後に前記送風ファンを停止させた状態で前記熱交換器で冷却を行う請求項9に記載の空気調和機。
【請求項11】
前記反転動作後に前記熱交換器で冷却を行った場合、その後に前記熱交換器で加熱を行い、かつ、この前記熱交換器の加熱時に前記除電部はイオン、オゾン及びラジカルのうちの1以上を放出する請求項9又は請求項10に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、集塵装置及び空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集塵装置においては、吸込口本体の底面の吸込開口に沿って配設された回転清掃体と、回転清掃体を回転駆動する駆動モーターを備えた電気掃除機用吸込口体において、回転清掃体を逆回転させたときに回転清掃体に付着する塵埃を掻落可能な塵埃掻落部材が吸込室の上壁に設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、特許文献1に示されるような集塵装置は、回転清掃体(第1の清掃部)を逆回転させたときに塵埃掻落部材(第2の清掃部)により第1の清掃部に付着した塵埃を掻き落とす。しかしながら、第1の清掃部を逆回転させて第2の清掃部により第1の清掃部に付着した塵埃を掻き落とす際に、第2の清掃部に塵埃が付着する。そして、第2の清掃部に付着した塵埃が蓄積すると、第2の清掃部による第1の清掃部の塵埃除去性能が低下し、ひいては第1の清掃部の清掃性能、すなわち集塵装置としての集塵性能が低下してしまう。集塵性能の低下を避けるためには、第2の清掃部に蓄積した塵埃を人の手で除去する等の人為的なメンテナンス作業が必要になる。
【0005】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、人為的なメンテナンス作業を行わなくとも、集塵性能の低下を抑制できる集塵装置及び空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る集塵装置は、清掃対象と接触可能に設けられ、塵埃を付着させて前記清掃対象から除去する第1の清掃部と、前記第1の清掃部を第1の方向に回転させる回転駆動部と、前記第1の方向に回転する前記第1の清掃部と接触して設けられ、前記第1の清掃部に付着した塵埃を除去する第2の清掃部と、前記第1の清掃部及び前記第2の清掃部から脱落した塵埃を捕集する集塵部と、を備え、前記回転駆動部は、前記第1の清掃部と前記第2の清掃部とが接触した状態で前記第1の清掃部を前記第1の方向と反対の第2の方向に回転させて前記第2の清掃部に付着した塵埃を脱落させる反転動作を行わせる。
【0007】
また、この発明に係る空気調和機は、上記の集塵装置と、前記反転動作中に前記第2の清掃部の帯電を取り除くための帯電粒子を放出する除電部と、を備え、前記第1の清掃部は、送風ファンであり、前記第2の清掃部は、前記反転動作において前記第1の清掃部が前記第2の方向に回転している場合に生成される反転気流における前記第1の清掃部の下流側に設けられた熱交換器と前記第1の清掃部との間に配置され、前記除電部は、前記反転動作中の前記反転気流における前記第1の清掃部の上流側に配置され、前記集塵部は、前記熱交換器及び前記熱交換器で生じた結露水を受けるドレンパンである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る集塵装置及び空気調和機によれば、人為的なメンテナンス作業を行わなくとも、集塵性能の低下を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る集塵装置を搭載した空気調和機の概略断面図である。
【
図2】この発明の実施の形態1に係る集塵装置の斜視図である。
【
図3】この発明の実施の形態1に係る集塵装置が備えるブラシの斜視図である。
【
図4】この発明の実施の形態1に係る集塵装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
【
図5】この発明の実施の形態1に係る集塵装置の動作の一例を示すフロー図である。
【
図6】この発明の実施の形態2に係る集塵装置である電気掃除機の全体構成を模式的に示す図である。
【
図7】この発明の実施の形態2に係る集塵装置である電気掃除機の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【
図8】この発明の実施の形態2に係る集塵装置である電気掃除機の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【
図9】この発明の実施の形態3に係る集塵装置を備えた空気調和機の構成を示す断面図である。
【
図10】この発明の実施の形態3に係る集塵装置を備えた空気調和機の通常動作を説明する図である。
【
図11】この発明の実施の形態3に係る集塵装置を備えた空気調和機の反転動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1から
図5を参照しながら、この発明の実施の形態1について説明する。
図1は集塵装置を搭載した空気調和機の概略断面図である。
図2は集塵装置の斜視図である。
図3は集塵装置が備えるブラシの斜視図である。
図4は集塵装置の制御系統の構成を示すブロック図である。そして、
図5は集塵装置の動作の一例を示すフロー図である。なお、
図1及び
図2に図示された白抜き矢印は、空気の流れを示している。
【0012】
この実施の形態に係る集塵装置が搭載された空気調和機は、
図1に示すように、家屋の室内の下がり天井20内に収納されている。下がり天井20とは、
図1に示すように天井の一部が下がっている領域を指す。室内美観の点から、
図1のように下がり天井20内に空気調和機及びその他の空調機器をまとめて収納する家屋も多い。設置スペースとして下がり天井20を用いる場合、一般に室内に設置する場合と比較して、広い設置スペースを確保できる。
【0013】
空気調和機が設置される家屋の室外の壁面には、室外給気口21と室外排気口22とが形成されている。また、室内の下がり天井20に室内給気口24と室内排気口23とが形成されている。そして、下がり天井20内には給気風路30と排気風路40とが形成されている。給気風路30は、室外空気を室外給気口21から下がり天井20内に取り入れて、室内給気口24から室内に送風する風路である。排気風路40は、室内空気を室内排気口23から下がり天井20内に取り入れて室外排気口22から室外に排気する風路である。
【0014】
この実施の形態の空気調和機は、集塵装置本体1と熱交換換気装置10とを備えている。集塵装置本体1と熱交換換気装置10とは、給気風路30の上流側から、この順序で配置されている。また、排気風路40には、熱交換換気装置10が配置されている。給気風路30において、室外給気口21と室内給気口24とは、集塵装置本体1と熱交換換気装置10とを介して給気ダクト31で接続されている。また、排気風路40において、室内排気口23と室外排気口22とは、熱交換換気装置10を介して排気ダクト41で接続されている。
【0015】
熱交換換気装置10は、換気機能と空調補助機能とを有する換気装置である。換気機能とは、室外空気を室内へ給気し、室内空気を室外に排気する機能である。この換気機能を実現する構成として、熱交換換気装置10は、給気風路30において室外から室内に向けて空気を送風するファン(図示せず)と、排気風路40において室内から室外に向けて空気を送風するファン(図示せず)とを有している。
【0016】
また、空調補助機能とは、排気する室内空気から熱を回収し、回収した熱を給気する空気へ与えることで、エアコン等の室内温度を調整する機器の空調動作を補助する機能である。空調補助機能は、機器におけるエネルギー負担を軽減する機能であることから省エネルギー機能ともいえる。この空調補助機能を実現する構成として、熱交換換気装置10は排気風路40を通過する空気と給気風路30を通過する空気との間で熱交換する熱交換器(図示せず)を備えている。
【0017】
集塵装置本体1は、室外給気口21から下がり天井20内に流入した室外空気中の塵埃を捕集する装置である。集塵装置本体1の詳細については改めて説明する。集塵装置本体1の上流側と下流側にはそれぞれ、空気の塵埃濃度を検出する第1のパーティクルセンサ11a及び第2のパーティクルセンサ11bが設けられている。上流側の第1のパーティクルセンサ11aは、室外空気中の塵埃濃度を検出する。下流側の第2のパーティクルセンサ11bは、塵埃除去後の空気中の塵埃濃度を検出する。第1のパーティクルセンサ11a及び第2のパーティクルセンサ11bのそれぞれの検出信号は後述の連携制御部25に出力される。
【0018】
空気調和機は、さらに、集塵装置本体1と熱交換換気装置10との運転を連携させる連携制御部25を備えている。連携制御部25は、集塵装置本体1及び熱交換換気装置10のそれぞれと電気的に接続されている。また、連携制御部25は、第1のパーティクルセンサ11a及び第2のパーティクルセンサ11bからの検出信号に基づいて集塵装置本体1及び熱交換換気装置10の運転を制御する。連携制御部25は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、マイコン又はCPUのような演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとにより構成することもできる。
【0019】
次に、
図2を参照しながら集塵装置本体1の構成について説明する。同図に示すように、集塵装置本体1は、筐体15を備えている。筐体15の内部には、回転駆動される複数の捕集板2と、複数のブラシ3と、ダストボックス4とが収納されている。筐体15には、吸入口13と排出口14とが形成されている。そして、筐体15内には、吸入口13から吸入された空気が排出口14から排気される風路16が形成されている。集塵装置本体1は、
図1に示すように給気風路30に設けられている。このため、集塵装置本体1の風路16には、室外給気口21から流入した室外空気が通過するようになっている。
【0020】
捕集板2は、負の摩擦帯電傾向を有するPP(Poly Propylene)のプラスチック板である。捕集板2は、例えば、厚さ1mm、直径300mmの円形状を呈する。複数の捕集板2は、筐体15における室外空気の通過方向と交差する方向に例えば3mmの間隔を開けて配列されている。複数の捕集板2は、それぞれの捕集板2の中央部を貫通する第1のシャフト8によって結合されて全体が一体化されている。
【0021】
ブラシ3は、捕集板2の表面を摩擦して捕集板2の表面に静電気を帯電させるとともに、捕集板2で捕集した塵埃を払い落とすものである。
図3に示すように、ブラシ3は、支持板3aに不織布3bを貼り付けた構成を有する。支持板3aは、例えば厚さ1mmの長方形状を呈するアルミニウムからなる部材である。不織布3bは、正の摩擦帯電傾向を有する例えばPA6(Polyamide6)繊維からなる。
【0022】
各支持板3aには、2つの取付穴3cが空けられている。複数のブラシ3は、各取付穴3cに第2のシャフト9がそれぞれ挿入されて結合されている。また、結合された複数のブラシ3は、第2のシャフト9により筐体15に固定されている。そして、各ブラシ3は、不織布3bが各捕集板2の表面に接触するように捕集板2同士の間の隙間に差し込まれている。各ブラシ3は全て接地されている。
【0023】
ブラシ3は、捕集板2の下流側に配置されている。また、ブラシ3は、室外空気の通過方向に沿った姿勢で捕集板2間に配置されている。この例では、ブラシ3は水平姿勢で配置されている。このようにブラシ3を配置することで、筐体15内を通過する室外空気に対する通風抵抗を低減できる。
【0024】
筐体15内において、ブラシ3の鉛直下方には、ダストボックス4が配置されている。ダストボックス4は、凝集体17を回収するための容器である。凝集体17は、捕集板2に付着してブラシ3で除去された塵埃等の塊である。
【0025】
筐体15内には第1のバッフル材18及び第2のバッフル材19がさらに設けられている。第1のバッフル材18及び第2のバッフル材19は、捕集板2を挟んで対向するように配置されている。第1のバッフル材18及び第2のバッフル材19は、筐体15内に流入した室外空気が捕集板2を通過するように整流するものである。
【0026】
第1のバッフル材18は、筐体15の上面15aの内面側に配置されている。第1のバッフル材18は、捕集板2の外周面に沿う面形状を有する。第2のバッフル材19は、筐体15の下面15bの内面側に配置されている。第2のバッフル材19は、平坦な面形状を有する。また、第2のバッフル材19は、ダストボックス4へ空気が衝突して生じる騒音を抑制する。さらに、第2のバッフル材19は、ダストボックス4内部への空気流入によってダストボックス4内に回収した塵埃が舞い上がることを抑制する。このため、第2のバッフル材19の配置位置は、ダストボックス4の先端部4aと同等以上の高さであることが望ましい。
【0027】
集塵装置本体1は、モーター6及び駆動制御部7をさらに備えている。モーター6及び駆動制御部7は、筐体15の外に設けられている。モーター6は、図示しないギアを介して第1のシャフト8に連結されている。モーター6の回転により第1のシャフト8が回転する。第1のシャフト8が回転すると、第1のシャフト8に固定された捕集板2も回転する。駆動制御部7は、モーター6の回転を制御することで、捕集板2の回転駆動を制御する。
【0028】
次に、以上のように構成された集塵装置本体1の動作について説明する。集塵装置本体1を初めて又は1ケ月以上の長期間停止した後、運転する場合、捕集板2の表面に静電気を帯電させるための摩擦帯電動作を行う。すなわち、集塵装置本体1の駆動制御部7は、モーター6を動作させることで捕集板2を回転させる。ここでは、捕集板2を1rpmの速さで20秒間、正回転(
図2の矢印12方向の回転)させる。捕集板2が回転して捕集板2の表面がブラシ3と擦れることで、捕集板2の表面に負の静電気が発生する。捕集板2の回転が停止すると摩擦帯電が完了し、摩擦帯電動作が終了する。なお、捕集板2の回転は、静電気が発生するように行えばよい。ここで示した回転速度及び回転時間等は一例であり、実使用条件等に応じて適宜設定すればよい。
【0029】
摩擦帯電動作後、室外空気が集塵装置本体1内に取り込まれると、室外空気は、第1のバッフル材18及び第2のバッフル材19により整流されて捕集板2間の中心部を通過する。捕集板2間を室外空気が通過する際、室外空気中の塵埃5が、捕集板2の表面に発生した静電気によって捕集板2の表面に捕集される。ここで、ブラシ3は空気の通過方向に沿った姿勢で、例えば空気の通過方向に平行な姿勢で捕集板2間に配置されている。このため、捕集板2間を通過する室外空気の流れを大きく阻害せず、通風抵抗が小さい。よって、高い集塵性能を得ることができる。
【0030】
また、集塵装置本体1の動作として、捕集板2の自動表面清掃及び自動再帯電動作(以下、清掃兼帯電動作という)がある。清掃兼帯電動作では、まず、前述した初期の摩擦帯電動作と同様、集塵装置本体1の駆動制御部7からモーター6への命令により、捕集板2を1rpmの速さで20秒間、正回転させる。捕集板2が回転して捕集板2の表面がブラシ3と擦れることで、捕集板2の表面に付着した塵埃がブラシ3により払い落とされるとともに、捕集板2が摩擦帯電する。つまり、捕集板2の回転により、付着した塵埃の払い落としと捕集板2の摩擦帯電との両方が行われる。なお、ブラシ3の下部には塵埃の一部が凝集体17となって付着する。ブラシ3の下部に付着した凝集体17が一定以上の大きさになると、重力で落下してダストボックス4に回収される。
【0031】
次に、以上のように構成された集塵装置本体1を搭載した空気調和機の動作について説明する。集塵装置本体1の前述した初期の摩擦帯電動作が必要な場合、連携制御部25は、熱交換換気装置10のファンを停止させた状態で、駆動制御部7に指令信号を出力して前述した初期の摩擦帯電動作を行わせる。
【0032】
そして、初期の摩擦帯電動作が終了すると、換気を開始する。つまり、連携制御部25は、熱交換換気装置10のファンを運転させる。これにより、室外から取り込まれた室外空気が集塵装置本体1を通過して室外空気中の塵埃が除去される。塵埃が除去された空気は、熱交換換気装置10に供給される。熱交換換気装置10に供給された室外空気は、室内排気口23を介して熱交換換気装置10に流入した室内空気と熱交換して熱回収し、室内給気口24から室内に供給される。
【0033】
連携制御部25は、集塵装置本体1に配置された第1のパーティクルセンサ11a及び第2のパーティクルセンサ11bのそれぞれからの検出信号に基づいて、集塵装置本体1の集塵性能の低下をチェックしている。連携制御部25は、各検出信号に基づいて集塵装置本体1の集塵性能の低下を検知すると、熱交換換気装置10のファンを停止させる。そして、連携制御部25は、空気の流れを停止した状態で集塵装置本体1に前述の清掃兼帯電動作を行わせる。清掃兼帯電動作により、捕集板2の集塵性能が復活すると、再び捕集板2で塵埃の捕集が行われる。
【0034】
なお、第1のパーティクルセンサ11a及び第2のパーティクルセンサ11bからの検出信号に基づく集塵装置本体1の集塵性能の低下の検知は、例えば以下のようにすればよい。すなわち、集塵装置本体1の通過前後の塵埃濃度の差が、予め設定された濃度以下となった場合、集塵装置本体1の集塵性能の低下と判断すればよい。
【0035】
以上においては、捕集板2を負に帯電する例で説明した。しかし、この点については、これに限られない。他に例えば、捕集板2の繊維をPA6としたり、捕集板2の摩擦体の材料に負帯電傾向の強いPTFEを用いたりして、捕集板2を正に帯電してもよい。ただし、捕集板2を負に帯電する場合は、ブラシ3は正に帯電しやすい素材にするとよい。また、逆に、捕集板2を正に帯電する場合は、ブラシ3は負に帯電しやすい素材にするとよい。
【0036】
また、ブラシ3の繊維がPA6繊維である例を示したが、ブラシ3の繊維にPAN(Polyacrylonitrile)繊維等を用いてもよい。ブラシ3の帯電飽和を抑制するためには、摩擦体の導電性は高い方が好ましく、ブラシ3の繊維に炭素を付与した材料を用いる等して導電性を付与してもよい。また、ブラシ3は不織布状以外にも、はけ状、スポンジ状又は板状等であってもよい。
【0037】
また、ここで説明した構成例では、ブラシ3は捕集板2の下流側から上流側に向け捕集板2の間隔に差し込まれている。しかし、この点については、これに限られない。ブラシ3は、捕集板2の上流側から下流側に向け捕集板2の間隔に差し込まれていてもよい。この場合、ダストボックス4も同様にブラシ3の鉛直下方に配置すればよい。
【0038】
次に、
図4も参照しながら、この実施の形態の集塵装置について説明を続ける。この実施の形態の捕集板2は、第1の清掃部101である。第1の清掃部101である捕集板2は、清掃対象である室外空気と接触可能に設けられている。そして、第1の清掃部101である捕集板2は、塵埃を捕集板2自身に付着させて清掃対象である室外空気から塵埃を除去する。
【0039】
この実施の形態のモーター6及び駆動制御部7は、回転駆動部102である。回転駆動部102であるモーター6及び駆動制御部7は、第1の清掃部101である捕集板2を第1の方向に回転させる。第1の方向とは、前述した正回転の方向である。すなわち、
図1中に矢印12で示す方向が第1の方向である。
【0040】
この実施の形態のブラシ3は、第2の清掃部106である。第2の清掃部106であるブラシ3は、前述した第1の方向に回転する第1の清掃部101(捕集板2)と接触して設けられている。そして、第2の清掃部106であるブラシ3は、第1の清掃部101である捕集板2に付着した塵埃を除去する。すなわち、第2の清掃部106が第1の清掃部101に接続した状態で、回転駆動部102が第1の清掃部101を第1の方向に回転させることで、清掃対象の塵埃を第1の清掃部101に付着させると同時に、第1の清掃部101に付着した塵埃が第2の清掃部106により除去される。この際、第1の清掃部101に付着していた塵埃の一部は、第2の清掃部106により払われて脱落する。また、第1の清掃部101に付着していた塵埃の他の一部は、第2の清掃部106に付着する。
【0041】
回転駆動部102であるモーター6及び駆動制御部7は、集塵装置本体1に反転動作を行わせる。反転動作とは、第1の清掃部101と第2の清掃部106とが接触した状態で第1の清掃部101を第2の方向に回転させて第2の清掃部106に付着した塵埃を脱落させる動作である。第2の方向は、第1の方向と反対の方向である。すなわち、反転動作において、回転駆動部102は第1の清掃部101を前述した正回転とは反対に逆回転させる。
【0042】
集塵装置本体1が清掃対象から塵埃を除去する集塵動作を開始すると、回転駆動部102は第1の清掃部101を第1の方向に回転させる。そして、集塵動作を開始してから予め設定された運転時間が経過すると、集塵装置本体1は集塵動作を終了する。回転駆動部102は、集塵動作を終了する前に、第1の清掃部101を第2の方向に回転させる反転動作を行わせる。
【0043】
この実施の形態の集塵装置本体1においては、前述したように、第1の清掃部101を第1の方向に回転させることで、清掃対象の塵埃を第1の清掃部101に付着させて清掃対象から取り除きつつ、第1の清掃部101に付着した塵埃は、第2の清掃部106により第1の清掃部101から取り除かれる。このため、長時間にわたって第1の清掃部101により清掃対象の塵埃を除去できる。一方、第2の清掃部106により第1の清掃部101から取り除かれた塵埃の一部は、第2の清掃部106に付着する。このため、第1の清掃部101を第1の方向に回転させる時間が長くなると、第2の清掃部106に付着した塵埃が蓄積する。
【0044】
この実施の形態の集塵装置によれば、前述した反転動作を行うことで、第2の清掃部106に付着した塵埃を第1の清掃部101との摩擦により取り除くことができる。このため、人為的なメンテナンス作業を行わずとも、第1の清掃部101のみならず第2の清掃部106への塵埃の蓄積を抑制でき、集塵性能の低下を抑制して、集塵可能な期間を長くすることが可能である。
【0045】
この実施の形態のダストボックス4は、集塵部である。集塵部であるダストボックス4は、第1の清掃部である捕集板2及び第2の清掃部106であるブラシ3から脱落した塵埃を捕集する。すなわち、第1の清掃部101が第1の方向に回転している時は、主に第2の清掃部106により第1の清掃部101から払い落とされた塵埃が集塵部で捕集される。そして、前述の反転動作中には、第2の清掃部106から脱落した塵埃が集塵部で捕集される。
【0046】
この実施の形態における清掃対象は、前述したように室外空気である。すなわち、この清掃対象は、第1の清掃部101である捕集板2の周囲を流れる流体である。そして、この実施の形態における熱交換換気装置10のファンは、流れ生成装置104である。流れ生成装置104である熱交換換気装置10のファンは、清掃対象である流体の流れを生成する。
【0047】
流れ生成装置104は、回転駆動部102による第1の清掃部101の動作状況に応じて、清掃対象である流体の流れの速さを変更する。具体的に、この実施の形態では、流れ生成装置104は、前述の反転動作中において、清掃対象である流体の流れの生成を停止する。あるいは、流れ生成装置104は、前述の反転動作中において、清掃対象である流体の流れの速さを当該反転動作前よりも遅くする。
【0048】
前述したように、この実施の形態の集塵装置本体1においては、集塵部であるダストボックス4は、第2の清掃部106であるブラシ3に対して鉛直下方側に配置されている。そこで、前述の反転動作中において、熱交換換気装置10のファンの回転を停止させる、又は、回転数を下げることで、ブラシ3の周囲の空気流をなくし、又は、弱くする。このようにすることで、前述の反転動作中においてブラシ3(第2の清掃部106)から脱落した塵埃がダストボックス4(集塵部)内に入りやすくできる。
【0049】
図4に示すように、この実施の形態の集塵装置は、塵埃除去性能低下判定部103及び報知部105をさらに備えている。塵埃除去性能低下判定部103は、第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能の低下を判定する。次に、第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能の低下を塵埃除去性能低下判定部103が判定する方法について、いくつかの例を説明する。
【0050】
まず、第1の例は、第2の清掃部106であるブラシ3に付着した塵埃の量が予め設定された基準量以上となった場合に、第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能が低下したと塵埃除去性能低下判定部103が判定するものである。第2の清掃部106に付着した塵埃が蓄積すると、第2の清掃部106により第1の清掃部101に付着した塵埃を除去する性能が低下する。そこで、第2の清掃部106に付着した塵埃の量を検出し、第2の清掃部106に付着した塵埃の検出量が一定以上となった場合に、第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能が低下したと判定する。
【0051】
この例では、塵埃除去性能低下判定部103は、第2の清掃部106であるブラシ3に付着した塵埃の量を検出する塵埃センサを備えている。塵埃センサは、例えば、赤外線等を第2の清掃部106であるブラシ3に照射し、その反射率から塵埃の量を測定する。なお、塵埃除去性能低下判定部103は、他に例えば、第2の清掃部106を摩擦した際に摩擦熱により生じる摩擦部位の特性変化を利用して第2の清掃部106に付着した塵埃の量を求めてもよい。
【0052】
第2の例は、回転駆動部102が第1の清掃部101を回転させる時にかかるトルクの変化に基づいて、第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能の低下を塵埃除去性能低下判定部103が判定するものである。第2の清掃部106に付着した塵埃が蓄積して、第2の清掃部106により第1の清掃部101に付着した塵埃を除去する性能が低下すると、第2の清掃部106に付着した塵埃が抵抗となり、回転駆動部102が第1の清掃部101を回転させる時にかかるトルクが増加する。この例では、塵埃除去性能低下判定部103は、回転駆動部102のトルクを検出するトルクセンサを備えている。そして、回転駆動部102のトルクが予め設定された基準値以上になった場合に、第1の清掃部101に付着した塵埃の第2の清掃部106による除去性能が低下したと塵埃除去性能低下判定部103が判定する。
【0053】
第3の例は、流れ生成装置104の動作時間に基づいて、第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能の低下を塵埃除去性能低下判定部103が判定するものである。流れ生成装置104の動作時間が長くなると、第2の清掃部106に付着した塵埃が蓄積して、第2の清掃部106により第1の清掃部101に付着した塵埃を除去する性能が低下する。
【0054】
そこで、まず、集塵装置本体1の設置環境における流れ生成装置104の動作時間と第2の清掃部106であるブラシ3の塵埃付着量との関係を実験、シミュレーション等で予め特定する。次に、この関係を用いて、第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能が低下したとみなす流れ生成装置104の動作時間を、基準時間として設定する。そして、流れ生成装置104の動作時間が、この予め設定された基準時間以上となった場合に、第1の清掃部101に付着した塵埃の第2の清掃部106による除去性能が低下したと塵埃除去性能低下判定部103が判定する。
【0055】
第4の例は、集塵装置本体1の設置環境における塵埃等の量に関する情報を外部から取得し、この取得した情報(以下、「外部情報」ともいう)に基づいて、第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能の低下を塵埃除去性能低下判定部103が判定するものである。塵埃除去性能低下判定部103は、例えば、インターネットを介して外部と通信可能に接続されている。塵埃除去性能低下判定部103は、外部情報として、例えば、花粉情報、PM2.5情報等を取得する。そして、塵埃除去性能低下判定部103は、取得した外部情報と流れ生成装置104の流量とを用いて、第2の清掃部106であるブラシ3への塵埃の付着量を推定する。塵埃除去性能低下判定部103は、こうして推定した第2の清掃部106の塵埃の付着量が予め設定された基準量以上となった場合に、第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能が低下したと判定する。
【0056】
第5の例は、ダストボックス4に蓄積された塵埃の量に基づいて、第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能の低下を塵埃除去性能低下判定部103が判定するものである。集塵装置本体1の集塵性能が低下しているとき、第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能も低下している可能性が高い。そこで、例えば一定時間内にダストボックス4に蓄積される塵埃の量に基づいて集塵装置本体1の集塵性能の低下をチェックし、集塵装置本体1の集塵性能の低下した場合に第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能も低下していると推定する。
【0057】
この例では、塵埃除去性能低下判定部103は、ダストボックス4に蓄積された塵埃の量を検出するセンサを備えている。塵埃除去性能低下判定部103は、センサの検出結果を用いて、集塵装置本体1の1回の動作毎、又は、予め設定された一定時間毎のダストボックス4に蓄積された塵埃の量の増加分を求める。そして、ダストボックス4に蓄積された塵埃の量の増加分が、過去よりも一定以上減少した場合に、第1の清掃部101に付着した塵埃の第2の清掃部106による除去性能が低下したと塵埃除去性能低下判定部103が判定する。
【0058】
第6の例は、集塵装置本体1に設けられた第1のパーティクルセンサ11a及び第2のパーティクルセンサ11bのそれぞれからの検出信号に基づいて、第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能の低下を塵埃除去性能低下判定部103が判定するものである。前述したように、連携制御部25は、第1のパーティクルセンサ11a及び第2のパーティクルセンサ11bのそれぞれからの検出信号に基づいて、集塵装置本体1の集塵性能の低下をチェックしている。集塵装置本体1の集塵性能が低下しているとき、第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能も低下している可能性が高い。そこで、塵埃除去性能低下判定部103は、第1のパーティクルセンサ11a及び第2のパーティクルセンサ11bからの検出信号に基づき集塵装置本体1の集塵性能の低下を連携制御部25が検知した場合に、第1の清掃部101に付着した塵埃の第2の清掃部106による除去性能が低下したと判定する。
【0059】
第7の例は、集塵装置本体1の筐体15を通過する風量又は風速に基づいて、第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能の低下を塵埃除去性能低下判定部103が判定するものである。第2の清掃部106に付着した塵埃が蓄積して、第2の清掃部106により第1の清掃部101に付着した塵埃を除去する性能が低下すると、第1の清掃部101である捕集板2に蓄積した塵埃により、筐体15を通過する空気の流れが阻害される。この例では、塵埃除去性能低下判定部103は、例えば、筐体15の排出口14における風量を検出する風量センサ又は風速を検出する風速センサを備えている。そして、筐体15の排出口14における風量又は風速が予め設定された基準値以上になった場合に、第1の清掃部101に付着した塵埃の第2の清掃部106による除去性能が低下したと塵埃除去性能低下判定部103が判定する。
【0060】
第8の例は、前述した摩擦帯電動作後における捕集板2の表面の帯電量に基づいて、第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能の低下を塵埃除去性能低下判定部103が判定するものである。第2の清掃部106であるブラシ3に付着した塵埃が蓄積すると、ブラシ3で捕集板2の表面を十分に摩擦できなくなる。このため、前述の摩擦帯電動作後における捕集板2の表面の帯電量が、通常時よりも低下する。この例では、塵埃除去性能低下判定部103は、例えば、捕集板2表面の電位を検出する表面電位センサを備えている。筐体15の排出口14における風量を検出する風量センサ又は風速を検出する風速センサを備えている。そして、前述した摩擦帯電動作後における捕集板2の表面の電位すなわち帯電量が予め設定された基準値以下になった場合に、第1の清掃部101に付着した塵埃の第2の清掃部106による除去性能が低下したと塵埃除去性能低下判定部103が判定する。
【0061】
回転駆動部102は、第1の清掃部101に付着した塵埃の第2の清掃部106による除去性能が低下したと塵埃除去性能低下判定部103が判定した場合に、前述の反転動作を行わせる。このようにすることで、第1の清掃部101に付着した塵埃の第2の清掃部106による除去性能が低下した場合に、前述の反転動作を行って第2の清掃部106に付着した塵埃を脱落させ、第2の清掃部106により第1の清掃部101に付着した塵埃を除去する性能を復活させることができる。
【0062】
報知部105は、集塵装置の使用者、保守作業者、管理者等に集塵装置の状態等を報知するものである。この実施の形態においては、報知部105は、回転駆動部102が前述の反転動作を行わせた後も、第2の清掃部106による第1の清掃部101に付着した塵埃の除去性能が低下したと塵埃除去性能低下判定部103が判定した場合に報知する。このようにすることで、反転動作によっても第2の清掃部106に付着した塵埃を除去しきれずに塵埃除去性能を回復できなかったことを報知し、第2の清掃部106の清掃、交換等のメンテナンスを促すことができる。
【0063】
報知部105は、LED等のランプ、スピーカ及び液晶画面等の少なくともいずれかを備えている。そして、報知部105は、例えば、LED等のランプを点灯・点滅させたり、スピーカから音を鳴動させたり、液晶画面に表示を行ったりして報知を行う。なお、使用者等が所持するスマートフォン、PC等の端末装置にインストールされた専用アプリケーション、又は、端末装置のブラウザで実行するWebアプリケーション等により報知部105を構成してもよい。
【0064】
回転駆動部102は、前述の反転動作において第1の清掃部101を当該反転動作の前よりも速く回転させてもよい。このようにすることで、より短時間で前述の反転動作を行って第2の清掃部106に付着した塵埃を除去できる。
【0065】
前述したように、第2の清掃部106であるブラシ3は接地されている。この接地は、特に前述した反転動作において、第2の清掃部106であるブラシ3の帯電を取り除く除電部として働く。回転する捕集板2にブラシ3が接触することで摩擦によりブラシ3が帯電する。ブラシ3が帯電すると、ブラシ3に付着した塵埃が静電力によりブラシ3から離脱しづらくなる。そこで、除電部を備えることで、第2の清掃部106であるブラシ3を除電して、前述した反転動作においてブラシ3に付着した塵埃を除去しやすくできる。
【0066】
なお、第1のシャフト8を介して捕集板2を接地してもよい。この際、意図せずに捕集板2が除電されてしまうことを避けるため、捕集板2を接地するか否かを切り替えるスイッチを設けるとよい。ブラシ3についても同様に、ブラシ3を接地するか否かを切り替えるスイッチを設けてもよい。捕集板2とブラシ3の接地を切り替えることで、状況、動作に応じて、捕集板2、ブラシ3を帯電させて静電力による塵埃吸着作用を優先するのか、捕集板2、ブラシ3を除電して、これらから塵埃を除去しやすくすることを優先するのかを選択できる。また、特に前述した摩擦帯電動作中においては、捕集板2及びブラシ3を接地しないようにするとよい。摩擦帯電動作中に捕集板2及びブラシ3を接地すると、捕集板2とブラシ3との間に電位差が形成され難くなるためである。
【0067】
次に、以上のように構成された集塵装置の動作例について、
図5のフロー図を参照しながら説明する。まず、ステップS11において、集塵装置本体1の集塵動作を開始すると、回転駆動部102であるモーター6及び駆動制御部7は、第1の清掃部101である捕集板2を正回転させる、すなわち、第1の方向に回転させる。
【0068】
続くステップS12において、回転駆動部102は、塵埃除去性能低下判定部103により検出された第2の清掃部106(ブラシ3)に付着している塵埃の量が、前述の基準量以上であるか否かを確認する。塵埃の量が基準量以上の場合、処理はステップS13へと進む。
【0069】
ステップS13においては、回転駆動部102は前述の反転動作を行わせる。つまり、回転駆動部102は、第1の清掃部101である捕集板2を逆回転させる、すなわち、第2の方向に回転させる。続くステップS14において、回転駆動部102は前述の反転動作を終了させ、第1の清掃部101を正回転すなわち第1の方向への回転に戻す。ステップS14の後、処理はステップS12へと戻る。
【0070】
一方、ステップS12で塵埃除去性能低下判定部103により検出された塵埃の量が基準量以上でない場合、処理はステップS15へと進む。ステップS15においては、回転駆動部102は、ステップS11で集塵動作を開始してからの経過時間が運転終了時間に達したか否かを確認する。集塵動作を開始してから運転終了時間が経過していない場合、運転終了時間が経過するまでステップS15の処理を繰り返す。そして、経過時間が運転終了時間に達したら、処理はステップS16へと進む。
【0071】
ステップS16においては、回転駆動部102は前述の反転動作を行わせる。つまり、回転駆動部102は、第1の清掃部101を逆回転させる、すなわち、第2の方向に回転させる。そして、処理はステップS17へと進み、回転駆動部102は第1の清掃部101の回転を停止させ、集塵動作を終了させる。ステップS17の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
【0072】
また、前述の反転動作において、回転駆動部102は、第1の清掃部101の回転方向を複数回反転させてよい。すなわち、回転駆動部102は、第1の清掃部101の第1の方向への回転と第2の方向への回転を交互に繰り返してもよい。このようにすることで、より効果的に第1の清掃部101及び第2の清掃部106に付着した塵埃を除去できる。
【0073】
実施の形態2.
図6から
図8を参照しながら、この発明の実施の形態2について説明する。
図6は集塵装置である電気掃除機の全体構成を模式的に示す図である。そして、
図7及び
図8は集塵装置である電気掃除機の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【0074】
前述した実施の形態1は、集塵装置を空気調和機に搭載したものであった。これに対し、ここで説明する実施の形態2は、集塵装置を電気掃除機に適用したものである。以下、この実施の形態2に係る集塵装置について、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した構成については実施の形態1と基本的に同様である。
【0075】
この実施の形態に係る集塵装置を適用した電気掃除機51は、
図6に示すように、掃除機本体60、延長管70及び吸込口体80を備えている。掃除機本体60は、ごみを含む空気(含塵空気)からごみを分離し、ごみが取り除かれた空気(清流空気)を排出する(例えば、室内に戻す)ためのものである。掃除機本体60の内部には、集塵ケース61及び電動送風機62が備えられている。集塵ケース61は、掃除機本体60へと流入した含塵空気中のごみ(塵埃)を捕捉して集めるためのものである。電動送風機62は、掃除機本体60の集塵ケース61へと含塵空気を吸引するための気流を作り出すためのものである。
【0076】
掃除機本体60の前端部には、ホース52の一端部が接続されている。このホース52は、蛇腹等により可撓性を備えた中空筒状の部材からなる。ホース52の他端部には、延長管70の一端部が接続されている。延長管70は、中空筒状の部材からなる。延長管70は、ここでは例えば直状な中空円筒形を呈する。延長管70の他端部には、吸込口体80が着脱可能に接続される。延長管70には、取っ手53が取り付けられている。取っ手53は、電気掃除機51の使用者が持って操作するためのものである。取っ手53には、電気掃除機51の運転を制御するための操作スイッチ(図示せず)等が設けられている。
【0077】
吸込口体80の底面には、吸込口81が形成されている。吸込口81は、床面等の被清掃面上のごみ、塵埃等を含んだ空気(含塵空気)を吸い込むためのものである。このようにして、吸込口体80の吸込口81から掃除機本体60の集塵ケース61までが、延長管70及びホース52を経由して連通される。そして、吸込口体80、延長管70及びホース52は、含塵空気を掃除機本体60の外部から内部に流入させるための吸引経路を構成している。
【0078】
次に、
図7及び
図8を参照しながら吸込口体80の構成について説明する。吸込口体80は、回転ブラシ82、ブラシ清掃体84、除電部85及びブラシモーター86を備えている。回転ブラシ82は、被清掃面上の塵埃を掻き取るためのものである。また、回転ブラシ82は、吸込口体80の内部に吸い込まれた含塵空気からも塵埃を除去する。回転ブラシ82は、吸込口体80の内部に、吸込口81を臨むようにして配置されている。回転ブラシ82は、ブラシ回転軸83を中心にして両方向に回転可能に支持されている。回転ブラシ82の回転は、吸込口体80内に収容されたブラシモーター86により駆動される。
【0079】
ブラシ清掃体84は、吸込口体80の内部に、回転ブラシ82と接触して配置されている。ブラシ清掃体84は、例えば、不織布状、はけ状、スポンジ状又は板状等を呈する部材である。除電部85は、ブラシ清掃体84の帯電を取り除くためのものである。除電部85は、導電性を有する素材からなる。除電部85は、ブラシ清掃体84と接触して配置されている。
【0080】
次に、実施の形態1の説明で参照した
図4をここでも参照しながら、この実施の形態の集塵装置について説明を続ける。この実施の形態の回転ブラシ82は、第1の清掃部101である。第1の清掃部101である回転ブラシ82は、清掃対象である被清掃面及び含塵空気と接触可能に設けられている。そして、第1の清掃部101である回転ブラシ82は、塵埃を回転ブラシ82自身に付着させて清掃対象である被清掃面及び含塵空気から塵埃を除去する。
【0081】
この実施の形態のブラシモーター86は、回転駆動部102である。回転駆動部102であるブラシモーター86は、第1の清掃部101である回転ブラシ82を第1の方向に回転させる。第1の方向は、
図7中に矢印で示す方向である。この第1の方向は、被清掃面上で吸込口体80を前進させる時の回転ブラシ82の回転方向である。
【0082】
この実施の形態のブラシ清掃体84は、第2の清掃部106である。第2の清掃部106であるブラシ清掃体84は、前述した第1の方向に回転する第1の清掃部101(回転ブラシ82)と接触して設けられている。そして、第2の清掃部106であるブラシ清掃体84は、第1の清掃部101である回転ブラシ82に付着した塵埃を除去する。
【0083】
すなわち、第2の清掃部106が第1の清掃部101に接続した状態で、回転駆動部102が第1の清掃部101を第1の方向に回転させることで、清掃対象の塵埃を第1の清掃部101に付着させると同時に、第1の清掃部101に付着した塵埃が第2の清掃部106により除去される。この際、第1の清掃部101に付着していた塵埃の一部は、第2の清掃部106により払われて脱落する。また、第1の清掃部101に付着していた塵埃の他の一部は、第2の清掃部106に付着する。
【0084】
回転駆動部102であるブラシモーター86は、電気掃除機51に反転動作を行わせる。反転動作とは、第1の清掃部101と第2の清掃部106とが接触した状態で第1の清掃部101を第2の方向に回転させて第2の清掃部106に付着した塵埃を脱落させる動作である。第2の方向は、
図8中に矢印で示す方向である。すなわち、第2の方向は、第1の方向と反対の方向である。
【0085】
電気掃除機51が清掃対象から塵埃を除去する集塵動作を開始すると、回転駆動部102は第1の清掃部101を第1の方向に回転させる。この第1の方向は、前述したように被清掃面上で回転する回転ブラシ82により吸込口体80が前進する回転方向である。このため、回転ブラシ82を第1の方向に回転させることで、使用者は被清掃面上で吸込口体80を容易に前進させることができる。
【0086】
吸込口体80には、被清掃面と当該吸込口体80とが接触しなくなったことを検知する図示しないスイッチが設けられている。回転駆動部102は、このスイッチにより被清掃面と当該吸込口体80とが接触しなくなったことが検知された場合に、第1の清掃部101を第2の方向に回転させる反転動作を行わせる(
図8)。
【0087】
この実施の形態の電気掃除機51においては、前述したように、第1の清掃部101を第1の方向に回転させることで、清掃対象の塵埃を第1の清掃部101に付着させて清掃対象から取り除きつつ、第1の清掃部101に付着した塵埃は、第2の清掃部106により第1の清掃部101から取り除かれる。このため、長時間にわたって第1の清掃部101により清掃対象の塵埃を除去できる。一方、第2の清掃部106により第1の清掃部101から取り除かれた塵埃の一部は、第2の清掃部106に付着する。このため、第1の清掃部101を第1の方向に回転させる時間が長くなると、第2の清掃部106に付着した塵埃が蓄積する。そこで、前述した反転動作を行うことで、第2の清掃部106に付着した塵埃を第1の清掃部101との摩擦により取り除くことができる。このため、人為的なメンテナンス作業を行わずに、集塵可能な期間を長くすることが可能である。
【0088】
この実施の形態の集塵ケース61は、集塵部である。集塵部である集塵ケース61は、第1の清掃部である回転ブラシ82及び第2の清掃部106であるブラシ清掃体84から脱落した塵埃を捕集する。第1の清掃部101である回転ブラシ82が第1の方向に回転している時は、主にブラシ清掃体84により回転ブラシ82から払い落とされた塵埃が、掃除機本体60にまで吸引されて集塵ケース61で捕集される。そして、前述の反転動作中には、第2の清掃部106であるブラシ清掃体84から脱落した塵埃が、掃除機本体60にまで吸引されて集塵ケース61で捕集される。
【0089】
この実施の形態における清掃対象には、前述したように含塵空気が含まれる。すなわち、この清掃対象は、第1の清掃部101である回転ブラシ82の周囲を流れる流体である。そして、この実施の形態における電動送風機62は、流れ生成装置104である。流れ生成装置104である電動送風機62は、清掃対象である流体の流れを生成する。
【0090】
この実施の形態では、流れ生成装置104である電動送風機62は、前述の反転動作中において、清掃対象である流体の流れの速さを当該反転動作前よりも速くする。この実施の形態の電気掃除機51においては、集塵部である集塵ケース61は、第2の清掃部106であるブラシ清掃体84に対して、清掃対象の流体すなわち含塵空気の流れの下流側に配置されている。
【0091】
そこで、前述の反転動作中において、電動送風機62の回転数を上げることで、ブラシ清掃体84の周囲の空気流を強くする。このようにすることで、前述の反転動作中においてブラシ清掃体84(第2の清掃部106)から脱落した塵埃を速やかに掃除機本体60に吸引して、集塵ケース61(集塵部)で捕集しやすくできる。
【0092】
除電部85は、特に前述した反転動作において、第2の清掃部106であるブラシ清掃体84の帯電を取り除く。回転する回転ブラシ82にブラシ清掃体84が接触することで摩擦によりブラシ清掃体84が静電気を帯びることがある。ブラシ清掃体84が帯電すると、ブラシ清掃体84に付着した塵埃が静電力によりブラシ清掃体84から離脱しづらくなる。そこで、除電部85を備えることで、第2の清掃部106であるブラシ清掃体84を除電して、前述した反転動作においてブラシ清掃体84に付着した塵埃を除去しやすくできる。
【0093】
なお、この実施の形態の集塵装置が適用された電気掃除機51も、実施の形態1の集塵装置と同様に、塵埃除去性能低下判定部103及び報知部105を備えている。以上のように構成された集塵装置である電気掃除機51においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0094】
実施の形態3.
図9から
図11を参照しながら、この発明の実施の形態3について説明する。
図9は集塵装置を備えた空気調和機の構成を示す断面図である。
図10は集塵装置を備えた空気調和機の通常動作を説明する図である。そして、
図11は集塵装置を備えた空気調和機の反転動作を説明する図である。
【0095】
ここで説明する実施の形態3は、集塵装置を室内壁掛け型の循環風を生成する空気調和機に適用したものである。以下、この実施の形態3に係る集塵装置について、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した構成については実施の形態1と基本的に同様である。
【0096】
この実施の形態に係る集塵装置である空気調和機200は、空気調和装置の特に室内機である。室内機である空気調和機200は、
図9に示すように、室内機筐体210を備えている。室内機筐体210は、横長な略直方体状を呈する。室内機筐体210の上面部には、室内機吸込口215が形成されている。室内機吸込口215は、外部から室内機筐体210の内部に空気を取り込むための開口である。室内機筐体210の下面部には、室内機吹出口216が形成されている。室内機吹出口216は、室内機筐体210の内部から外部へと空気を排出するための開口である。室内機筐体210の内部には、室内機吸込口215から室内機吹出口216へと通じる風路が形成されている。
【0097】
室内機吹出口216には、上下導風板217が設けられている。上下導風板217は、室内機吹出口216から吹き出す空気の上下方向の吹き出し角度を調整するためのものである。上下導風板217は、図示しない支持腕を介して室内機筐体210に取り付けられている。支持腕は室内機筐体210に対して回転可能に取り付けられている。支持腕が室内機筐体210に対して回転することで、上下導風板217の向きを変えることができるようになっている。そして、上下導風板217の向きを変えることで、空気調和機200は、送風方向を上下に変更可能である。上下導風板217の支持腕は、図示しないステッピングモーターの駆動により角度を変更できるように設けられている。
【0098】
室内機吹出口216における上下導風板217の奥側には、左右導風板218が設けられている。左右導風板218は、室内機吹出口216から吹き出す空気の左右方向の吹き出し角度を調整するためのものである。左右導風板218は、室内機筐体210の長手方向(室内機吹出口216の左右方向)にわたって並べられた複数の板材により構成されている。複数の左右導風板218は、図示しないステッピングモーターの駆動により角度を調節できるようにして取り付けられている。
【0099】
空気調和機200は、送風ファン212、熱交換器211及びドレンパン214をさらに備えている。送風ファン212は、室内機筐体210内の前述した風路内に設けられている。送風ファン212は、風路中に気流を生成するためのものである。熱交換器211は、室内機筐体210内の前述した風路内における室内機吸込口215と送風ファン212との間に配置されている。熱交換器211は、風路を流れる空気を加熱又は冷却することで、当該空気の温度、湿度等を調整し、調和空気を生成する。なお、暖房運転時には調和空気として温風が生成され、冷房運転時には調和空気として冷風が生成される。ドレンパン214は、室内機筐体210内における熱交換器211の下方に設けられている。ドレンパン214は、熱交換器211における空気の冷却時に、熱交換器211の表面に生じる結露水を受けるためのものである。
【0100】
送風ファン212は、図示しないファンモーターにより回転が駆動される。ファンモーターは、送風ファン212を正逆両方向に回転させることができる。送風ファン212が正方向に回転すると、
図10に示すように、室内機吸込口215から室内機吹出口216へと向かう空気流が風路中に生成され、室内機吸込口215から空気が吸い込まれ、室内機吹出口216から空気が吹き出される。室内機吸込口215から吸い込まれた空気は、室内機筐体210の内部の風路を、熱交換器211、送風ファン212の順に通過する空気流となり、室内機吹出口216から吹き出す。この際、送風ファン212の風下側に配置された上下導風板217及び左右導風板218により、室内機吹出口216から吹き出される風の方向が調整される。
【0101】
この実施の形態の空気調和機200は、ブラシ3及びイオン発生部213をさらに備えている。ブラシ3は、例えば、ブラシ基部と、このブラシ基部に植毛された繊維の刷毛部とからなる。ブラシ3の刷毛部は、送風ファン212と接触して設けられている。イオン発生部213は、室内機筐体210内の前述した風路内における室内機吹出口216と送風ファン212との間に設けられている。イオン発生部213は、送風ファン212とブラシ3との摩擦により生じたブラシ3の帯電を取り除くための帯電粒子を放出可能である。
【0102】
次に、実施の形態1の説明で参照した
図4をここでも参照しながら、この実施の形態の集塵装置について説明を続ける。この実施の形態の送風ファン212は、第1の清掃部101である。第1の清掃部101である送風ファン212は、清掃対象である風路内の空気と接触可能に設けられている。空気調和機200の運転により、送風ファン212には、前述の風路を通過する空気中に含まれる塵埃が付着する。すなわち、第1の清掃部101である送風ファン212は、塵埃を送風ファン212自身に付着させて清掃対象の空気から塵埃を除去する。
【0103】
この実施の形態の送風ファン212を回転させるファンモーターは、回転駆動部102である。回転駆動部102であるファンモーターは、第1の清掃部101である送風ファン212を第1の方向に回転させる。第1の方向は、
図10中に「回転方向」の矢印で示す方向である。この第1の方向は、空気調和機200の通常運転時における送風ファン212の回転方向である。
【0104】
この実施の形態のブラシ3は、第2の清掃部106である。第2の清掃部106であるブラシ3は、前述した第1の方向に回転する第1の清掃部101(送風ファン212)と接触して設けられている。そして、第2の清掃部106であるブラシ3は、第1の清掃部101である送風ファン212に付着した塵埃を除去する。
【0105】
すなわち、第2の清掃部106が第1の清掃部101に接続した状態で、回転駆動部102が第1の清掃部101を第1の方向に回転させることで、清掃対象の塵埃を第1の清掃部101に付着させると同時に、第1の清掃部101に付着した塵埃が第2の清掃部106により除去される。この際、第1の清掃部101に付着していた塵埃の一部は、第2の清掃部106により払われて脱落する。また、第1の清掃部101に付着していた塵埃の他の一部は、第2の清掃部106に付着する。
【0106】
この実施の形態の熱交換器211及びドレンパン214は、第1の清掃部101及び第2の清掃部106から脱落した塵埃を捕集する集塵部である。第1の清掃部101である送風ファン212が第1の方向に回転しているときに、第2の清掃部106であるブラシ3により払われて送風ファン212から脱落した塵埃は、集塵部のうちのドレンパン214内に落下する。また、この際にブラシ3に付着した塵埃は、後述する反転動作中に生じる気流により吹き飛ばされる。反転動作中の気流でブラシ3から吹き飛ばされた塵埃は、集塵部のうちの熱交換器211に捕捉され、熱交換器211の表面に付着する。なお、後述するように、熱交換器211の表面に付着した塵埃は、最終的にドレンパン214に捕集される。
【0107】
回転駆動部102であるファンモーターは、空気調和機200に反転動作を行わせる。
図11を参照しながら、この実施の形態の空気調和機200における反転動作について説明する。この実施の形態の反転動作も、第1の清掃部101と第2の清掃部106とが接触した状態で第1の清掃部101を第2の方向に回転させて第2の清掃部106に付着した塵埃を脱落させる動作である。この実施の形態における第2の方向は、
図11中に「回転方向」の矢印で示す方向である。すなわち、第2の方向は、第1の方向と反対の方向である。
【0108】
空気調和機200は、例えば、冷房運転又は暖房運転の終了時等に反転動作を行う。この反転動作時には、まず、室内機吹出口216の風路が狭くなるように上下導風板217を閉じる。そして、ファンモーターは、送風ファン212を第2の方向に回転させる。すると、
図11中に矢印で示すように、室内機吹出口216から室内機筐体210の風路内に吸い込まれる気流が生成される。このように、反転動作において第1の清掃部101である送風ファン212が第2の方向に回転している場合に生成される気流を「反転気流」とも呼ぶ。前述したように反転動作では上下導風板217が閉じられているため、反転気流の風量は、上下導風板217が開かれている場合と比較して抑制されている。
【0109】
室内機吹出口216から室内機筐体210の風路内に吸い込まれた反転気流は、まず、イオン発生部213の設置箇所を通過する。そして、送風ファン212とブラシ3とをこの順で通過した後、熱交換器211に達する。熱交換器211を通過した反転気流は、室内機吸込口215から室内機筐体210の外に排出される。したがって、熱交換器211は、反転気流における第1の清掃部101(送風ファン212)の下流側に設けられている。また、第2の清掃部106であるブラシ3も、反転気流における第1の清掃部101(送風ファン212)の下流側に設けられている。そして、熱交換器211は、反転気流における第2の清掃部106(ブラシ3)のさらに下流側に設けられている。この実施の形態の除電部であるイオン発生部213は、反転気流における第1の清掃部101(送風ファン212)の上流側に配置されている。
【0110】
反転動作では、送風ファン212とブラシ3とが接触した状態で送風ファン212が第2の方向に回転することで、ブラシ3に付着した塵埃を脱落させることができる。また、反転動作で生じた反転気流により、ブラシ3に付着した塵埃を吹き飛ばすことができる。反転気流によりブラシ3から吹き飛ばされた塵埃は、ブラシ3よりも反転気流の下流側の熱交換器211に付着する。
【0111】
また、反転動作中において、除電部であるイオン発生部213は、イオンを風路中に放出する。イオンは、反転動作中に第2の清掃部106であるブラシ3の帯電を取り除くための帯電粒子の一例である。送風ファン212とブラシ3とが接触した状態で送風ファン212が回転すると、送風ファン212とブラシ3との摩擦でブラシ3が静電気を帯びる。帯電したブラシ3は、塵埃を吸着しやすくなる。このため、ブラシ3で送風ファン212から塵埃を除去しやすくなる。この一方で、ブラシ3からは塵埃が脱落し難くなる。
【0112】
そこで、この実施の形態の空気調和機200においては、反転動作中にイオン発生部213は、帯電粒子を送風ファン212及びブラシ3の反転気流の上流側から風路中に放出する。イオン発生部213から放出された帯電粒子は、反転気流に乗ってブラシ3に達してブラシ3表面の電荷を中和する。したがって、静電気力でブラシ3が塵埃を吸着する作用を弱め、ブラシ3に付着した塵埃を反転気流で吹き飛ばしやすくできる。このため、反転動作によるブラシ3からの塵埃の除去を促進することが可能である。
【0113】
また、この際、前述したように上下導風板217を閉じて室内機吹出口216の風路を狭くすることで、室内機吹出口216から室内機筐体210の風路内に流入する気流に乱流が生じやすくなる。反転気流中に乱流を引き起こすことで、イオン発生部213から反転気流中に放出されたイオンの消失を抑制し、より多くの帯電粒子をブラシ3に届けることができる。このため、反転動作中にブラシ3を除電する効率を向上し、反転動作によるブラシ3からの塵埃の除去をさらに促進できる。
【0114】
さらに、イオン発生部213から風路中に放出したイオンにより、カビ、菌等の微生物を不活化して繁殖を抑制し、微生物による汚染発生を抑制する効果も期待できる。なお、イオン発生部213はオゾン、ラジカルを放出してもよい。このようにすることで、微生物を不活化する効果の向上を図ることができる。
【0115】
この実施の形態の集塵装置における清掃対象は、室内機筐体210に吸い込んだ空気である。すなわち、この清掃対象は、第1の清掃部101である送風ファン212の周囲を流れる流体である。そして、この実施の形態における送風ファン212は、流れ生成装置104を兼ねている。流れ生成装置104としての送風ファン212は、清掃対象である流体の流れを生成する。
【0116】
この実施の形態の空気調和機200においては、前述したように、第1の清掃部101を第1の方向に回転させることで、清掃対象の塵埃を第1の清掃部101に付着させて清掃対象から取り除きつつ、第1の清掃部101に付着した塵埃は、第2の清掃部106により第1の清掃部101から取り除かれる。このため、長時間にわたって第1の清掃部101により清掃対象の塵埃を除去できる。一方、第2の清掃部106により第1の清掃部101から取り除かれた塵埃の一部は、第2の清掃部106に付着する。このため、第1の清掃部101を第1の方向に回転させる時間が長くなると、第2の清掃部106に付着した塵埃が蓄積する。そこで、前述した反転動作を行うことで、第2の清掃部106に付着した塵埃を第1の清掃部101との摩擦により取り除くことができる。このため、人為的なメンテナンス作業を行わずとも、集塵性能の低下を抑制できる。
【0117】
以上のような反転動作により、ブラシ3に付着していた塵埃は、集塵部である熱交換器211及びドレンパン214に捕集される。反転動作を行った場合、空気調和機200は冷房運転を行うとよい。冷房運転により熱交換器211で冷却を行うと、熱交換器211で冷やされた空気に含まれていた水分が凝結し、熱交換器211の表面に結露水が生じる。結露水は重力により熱交換器211の表面を下方に伝ってドレンパン214に落下する。この際、結露水は熱交換器211の表面に付着した塵埃を取り込みつつドレンパン214に落下する。このようにして、結露水により熱交換器211に付着した塵埃を洗い流し、反転動作でブラシ3から除去した塵埃を最終的にドレンパン214に捕集できる。したがって、反転動作で塵埃が付着した熱交換器211を結露水で洗浄し、熱交換器211が清潔な状態を維持できる。
【0118】
なお、反転動作後に熱交換器211を洗浄するために冷房運転を行う際には、送風ファン212を停止させるとよい。送風ファン212は停止させて風路に気流がない状態にすることで、熱交換器211表面の結露水がドレンパン214に落下する前に吹き飛ばされてしまうことを抑制し、熱交換器211表面の結露水及び塵埃を効率よくドレンパン214に導くことが可能である。
【0119】
また、反転動作後に冷房運転により熱交換器211で冷却を行った場合、空気調和機200は今度は暖房運転を行うとよい。反転動作後に熱交換器211で冷却を行うと、結露水と塵埃が混ざって熱交換器211及びドレンパン214には水分を含む塵埃ができ、カビ、菌等の微生物が繁殖しやすい環境ができる。そこで、暖房運転により熱交換器211で加熱を行うことで、熱交換器211及びドレンパン214の水分を含む塵埃を乾燥させることができる。そして、この乾燥により、微生物の不活化を図るとともに、微生物が繁殖しやすい環境ができることを抑制することが可能である。さらにこの熱交換器211の加熱時に、イオン発生部213からイオン、オゾン及びラジカルのうちの1以上を放出すると、なおよい。このようにすることで、微生物のさらなる不活化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
この発明は、清掃対象から塵埃を取り除く集塵装置及び空気調和機に利用できる。
【符号の説明】
【0121】
1 集塵装置本体
2 捕集板
3 ブラシ
3a 支持板
3b 不織布
3c 取付穴
4 ダストボックス
4a 先端部
5 塵埃
6 モーター
7 駆動制御部
8 第1のシャフト
9 第2のシャフト
10 熱交換換気装置
11a 第1のパーティクルセンサ
11b 第2のパーティクルセンサ
12 矢印
13 吸入口
14 排出口
15 筐体
15a 上面
15b 下面
16 風路
17 凝集体
18 第1のバッフル材
19 第2のバッフル材
20 天井
21 室外給気口
22 室外排気口
23 室内排気口
24 室内給気口
25 連携制御部
30 給気風路
31 給気ダクト
40 排気風路
41 排気ダクト
51 電気掃除機
52 ホース
53 取っ手
60 掃除機本体
61 集塵ケース
62 電動送風機
70 延長管
80 吸込口体
81 吸込口
82 回転ブラシ
83 ブラシ回転軸
84 ブラシ清掃体
85 除電部
86 ブラシモーター
101 第1の清掃部
102 回転駆動部
103 塵埃除去性能低下判定部
104 流れ生成装置
105 報知部
106 第2の清掃部
200 空気調和機
210 室内機筐体
211 熱交換器
212 送風ファン
213 イオン発生部
214 ドレンパン
215 室内機吸込口
216 室内機吹出口
217 上下導風板
218 左右導風板