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特許7400403照明装置、光学部材、照明システム及び照明方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】照明装置、光学部材、照明システム及び照明方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/00 20060101AFI20231212BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20231212BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
E04H6/00 C
E04H6/42 C
G08G1/14 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019215110
(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2021085230
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】中津川 夏織
(72)【発明者】
【氏名】倉重 牧夫
(72)【発明者】
【氏名】西尾 俊平
(72)【発明者】
【氏名】中井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】石田 一敏
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-371678(JP,A)
【文献】特開2016-091430(JP,A)
【文献】国際公開第2018/216609(WO,A1)
【文献】特開2019-089547(JP,A)
【文献】特開2002-042523(JP,A)
【文献】特開平09-091592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00
E04H 6/42
G08G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車スペースの進入方向後方側の床面上に位置する導光層を備え、
前記導光層は、車両の最低地上高よりも低い高さで前記駐車スペースの進入方向後方側に出射された光を入射させ、入射した光の進行方向を変化させて出射させ、
前記導光層は、前記入射した光を入射方向と異なる方向に反射させる反射層を有し、
前記反射層は、前記導光層の第1側面側から入射した光を前記第1側面とは面法線方向が異なる前記導光層の第2側面側に反射させ、
前記導光層は、導光路を補強する梁構造を更に有する、光学部材。
【請求項2】
前記導光層は、前記導光層の前記第1側面側から入射した光を前記第1側面とは面法線方向が異なる前記導光層の前記第2側面側から出射させる、請求項に記載の光学部材。
【請求項3】
前記第2側面に対して出射側に位置し、前記第2側面側から出射された光に対して拡散、回折および屈折の少なくとも1つを行う第2の光学素子を更に備える、請求項に記載の光学部材。
【請求項4】
前記第1側面に対して入射側に位置し、前記第1側面側から入射する光を所定の光に整形する光整形素子を更に備える、請求項又はに記載の光学部材。
【請求項5】
前記導光層は、前記導光層の側面側から入射した光を前記導光層の上面側から出射させる、請求項に記載の光学部材。
【請求項6】
前記導光層の上面側に位置する保護層を更に備える、請求項乃至のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項7】
前記導光層の下面側に位置する粘着層を更に備える、請求項乃至のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項8】
前記導光層は、前記入射した光の進行方向を60°以上120°以下の角度で変化させる、請求項乃至のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項9】
前記第2の光学素子は、前記進行方向を変化させた光を水平方向および垂直方向において10°以上30°以下の拡散角で出射させる、請求項に記載の光学部材。
【請求項10】
前記導光層は、前記第1側面側の光の入射口と、前記第2側面側の光の出射口と、前記入射口と前記出射口との間の空洞部とが設けられており、
前記反射層は、前記空洞部の内側面上に位置し、
前記梁構造は、前記空洞部内に位置する、請求項に記載の光学部材。
【請求項11】
明装置と、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光学部材と、を備え
前記照明装置は、
前記駐車スペースの進入方向前端の近傍に位置し、光を出射させる光源と、
前記光源からの光を前記車両の最低地上高よりも低い高さの光に整形して前記駐車スペースの進入方向後方側に出射させる光整形部材と、を備える照明システム。
【請求項12】
前記光整形部材は、前記光源からの光に対して拡散、回折および屈折の少なくとも1つを行う光学素子を有する、請求項11に記載の照明システム。
【請求項13】
前記光整形部材は、前記光源と前記光学素子との間に位置し、前記光源からの光をコリメートするコリメータレンズを更に有する、請求項12に記載の照明システム。
【請求項14】
前記光整形部材は、以下の条件式を満足するように前記光源からの光を整形する、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の照明システム。
θV<θH (1)
ただし、
θV:光整形部材から出射される光の鉛直方向への拡散角
θH:光整形部材から出射される光の水平方向への拡散角
【請求項15】
前記光整形部材は、以下の条件式を更に満足するように前記光源からの光を整形する、請求項14に記載の照明システム。
θV≦1° (2)
【請求項16】
前記照明装置は、車止めの近傍に位置する、請求項11乃至15のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項17】
前記光源は、前記駐車スペースの空き状況に応じて光の出射態様を異ならせる、請求項11乃至16のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項18】
前記照明装置の前記光整形部材は、前記光源からの光を前記照明装置に対面する前記光学部材の側面に入射する光に整形する、請求項11に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置、光学部材、照明システム及び照明方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、表示灯によって空いている駐車スペースを運転者に通知することが行われている。特許文献1に記載された駐車空スペースの表示装置では、支柱および水平アームを介して在車・空車表示灯を駐車スペースの車両よりも高い位置に設けることで、どこからでも空車状態の駐車スペースを確認することができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-264434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の表示装置においては、駐車場内の他の車、壁、柱などの障害物によって表示光が遮光されることで、駐車スペースを適切に案内することができない虞がある。また、表示灯を車両よりも高い位置に設けるために装置が大掛かりになり、駐車スペースが制約される虞がある。
【0005】
本開示は、以上の点を考慮してなされたものであり、簡易な構成によって適切に駐車スペースを案内することができる照明装置、光学部材、照明システム及び照明方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示による照明装置は、
駐車スペースの進入方向前端の近傍に位置し、光を出射させる光源と、
前記光源からの光を車両の最低地上高よりも低い高さの光に整形して前記駐車スペースの進入方向後方側に出射させる光整形部材と、を備える。
【0007】
本開示による照明装置において、
前記光整形部材は、前記光源からの光に対して拡散、回折および屈折の少なくとも1つを行う光学素子を有していてもよい。
【0008】
本開示による照明装置において、
前記光整形部材は、前記光源と前記光学素子との間に位置し、前記光源からの光をコリメートするコリメータレンズを更に有していてもよい。
【0009】
本開示による照明装置において、
前記光整形部材は、以下の条件式を満足するように前記光源からの光を整形してもよい。
θV<θH (1)
ただし、
θV:光整形部材から出射される光の鉛直方向への拡散角
θH:光整形部材から出射される光の水平方向への拡散角
【0010】
本開示による照明装置において、
前記光整形部材は、以下の条件式を更に満足するように前記光源からの光を整形してもよい。
θV≦1° (2)
【0011】
本開示による照明装置は、
車止めの近傍に位置していてもよい。
【0012】
本開示による照明装置において、
前記光源は、前記駐車スペースの空き状況に応じて光の出射態様を異ならせてもよい。
【0013】
本開示による照明装置は、
光を出射させる光源と、
前記光源からの光を車両の最低地上高よりも低い高さの光に整形して前記駐車スペースに向かう車両の進行方向後方側に出射させる光整形部材と、を備える。
【0014】
本開示による照明装置において、
前記光整形部材は、前記駐車スペースに向かう車両の進行方向後方側の床面上に、前記駐車スペースへの進路を指示するパターン光を照射するように前記光源からの光を整形してもよい。
【0015】
本開示による光学部材は、
駐車スペースの進入方向後方側の床面上に位置する導光層を備え、
前記導光層は、車両の最低地上高よりも低い高さで前記駐車スペースの進入方向後方側に出射された光を入射させ、入射した光の進行方向を変化させて出射させる。
【0016】
本開示による光学部材において、
前記導光層は、前記導光層の第1側面側から入射した光を前記第1側面とは面法線方向が異なる前記導光層の第2側面側から出射させてもよい。
【0017】
本開示による光学部材は、
前記第2側面に対して出射側に位置し、前記第2側面側から出射された光に対して拡散、回折および屈折の少なくとも1つを行う第2の光学素子を更に備えていてもよい。
【0018】
本開示による光学部材は、
前記第1側面に対して入射側に位置し、前記第1側面側から入射する光を所定の光に整形する光整形素子を更に備えていてもよい。
【0019】
本開示による光学部材において、
前記導光層は、前記導光層の側面側から入射した光を前記導光層の上面側から出射させてもよい。
【0020】
本開示による光学部材は、
前記導光層の上面側に位置する保護層を更に備えていてもよい。
【0021】
本開示による光学部材は、
前記導光層の下面側に位置する粘着層を更に備えていてもよい。
【0022】
本開示による光学部材において、
前記導光層は、前記入射した光の進行方向を60°以上120°以下の角度で変化させてもよい。
【0023】
本開示による光学部材において、
前記第2の光学素子は、前記進行方向を変化させた光を水平方向および垂直方向において10°以上30°以下の拡散角で出射させてもよい。
【0024】
本開示による光学部材において、
前記導光層は、前記入射した光を入射方向と異なる方向に反射させる反射層を有していてもよい。
【0025】
本開示による光学部材において、
前記反射層は、前記導光層の第1側面側から入射した光を前記第1側面とは面法線方向が異なる前記導光層の第2側面側に反射させ、
前記導光層は、導光路を補強する梁構造を更に有していてもよい。
【0026】
本開示による光学部材において、
前記導光層は、前記第1側面側の光の入射口と、前記第2側面側の光の出射口と、前記入射口と前記出射口との間の空洞部とが設けられており、
前記反射層は、前記空洞部の内側面上に位置し、
前記梁構造は、前記空洞部内に位置していてもよい。
【0027】
本開示による照明システムは、
上述した照明装置と、
上述した光学部材と、を備える。
【0028】
本開示による照明システムにおいて、
前記照明装置の前記光整形部材は、前記光源からの光を前記照明装置に対面する前記光学部材の側面に入射する光に整形してもよい。
【0029】
本開示による照明方法は、
駐車スペースに駐車される車両の車体の下を通るように前記駐車スペースの進入方向後方側に光を出射させ、
前記駐車スペースの進入方向後方側において前記出射された光の進行方向を変化させる。
【0030】
本開示による照明方法は、
駐車スペースに向かう車両の車体の下を通るように前記車両の進行方向後方側に光を出射させて、前記車両の進行方向後方の床面上に前記駐車スペースへの進路を指示するパターン光を照射する。
【発明の効果】
【0031】
本開示によれば、簡易な構成によって適切に駐車スペースを案内表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本実施形態による照明システムを示す斜視図である。
図2図2は、図1の平面図である。
図3図3は、図1の側面図である。
図4図4は、本実施形態による照明システムにおいて、照明装置を示すブロック図である。
図5図5は、本実施形態による照明システムにおいて、照明装置を示す斜視図である。
図6図6は、本実施形態による照明システムにおいて、光学部材を示す縦断面図である。
図7図7は、本実施形態による照明システムにおいて、光学部材の導光層を示す平面図である。
図8図8は、本実施形態の第1の変形例による照明システムにおいて、光学部材を示す斜視図である。
図9図9は、図8の下面図である。
図10図10は、本実施形態の第2の変形例による照明システムにおいて、光学部材を示す縦断面図である。
図11図11は、本実施形態の第3の変形例による照明システムにおいて、光学部材を示す縦断面図である。
図12図12は、本実施形態の第4の変形例による照明システムにおいて、光学部材を示す縦断面図である。
図13図13は、本実施形態の第5の変形例による照明システムにおいて、照明装置を示す斜視図である。
図14図14は、本実施形態の第6の変形例による照明装置を示す側面図である。
図15図15は、本実施形態の第6の変形例による照明装置において、パターン光の照射状態を示す平面図である。
図16図16は、本実施形態の第6の変形例による照明装置において、図15と異なるパターン光の照射状態を示す平面図である。
図17図17は、本実施形態の第6の変形例による照明装置を示す斜視図である。
図18図18は、本実施形態の第6の変形例による照明装置の第1の動作例を示す図である。
図19図19は、本実施形態の第6の変形例による照明装置の第2の動作例を示す図である。
図20図20は、本実施形態の第7の変形例による照明装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0034】
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や、長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0035】
図1は、本実施形態による照明システム1を示す斜視図である。図2は、図1の平面図である。図3は、図1の側面図である。図1において、車両7が駐車するために駐車スペース4に進入する方向の先を進入方向前方側とし、進入方向前方とは反対側すなわち車両7が駐車スペース4から脱出する方向の先を進入方向後方側としている。図1の照明システム1は、屋内又は屋外にある駐車スペース4に駐車される車両7の車体の下を通るように駐車スペース4の進入方向前方側から進入方向後方側に向けて光8を出射させ、駐車スペース4の進入方向後方側において出射された光8の進行方向を変化させるシステムである。変化した光8の進行方向は、典型的には駐車スペース4に駐車するために駐車スペース4に向かって進行する他車5の方向であり、他車5の運転者は、進行方向が変化した光8によって駐車スペース4への駐車の可否を判断することができる。
【0036】
照明システム1は、照明装置2と光学部材3とを備える。照明装置2は、駐車スペース4に駐車される車両7の車体の下を通るように駐車スペース4の進入方向後方側に光8を出射させる装置である。なお、図1には、駐車スペース4の進入方向が矢印dで示されており、進入方向後方は、矢印dの反対方向である。光学部材3は、駐車スペース4の進入方向後方側において、照明装置2から出射された光8の進行方向を変化させる部材である。以下、照明装置2および光学部材3のそれぞれの構成について具体的に説明する。
【0037】
(照明装置2)
図4は、本実施形態による照明システム1において、照明装置2を示すブロック図である。
図4に示すように、照明装置2は、駐車スペース4の進入方向dの前端の近傍に位置し、光8を出射させる光源21と、光源21からの光8を車両7の車体の下を通ることができる高さの光8に整形して駐車スペース4の進入方向後方側に出射させる光整形部材22と、を備える。駐車スペース4の進入方向前端の近傍とは、駐車スペース4の進入方向後端よりも駐車スペース4の進入方向前端の近くを言う。駐車する車両7の車体と床面10との距離は、車両7の車種によって異なるが、例えば、本実施形態において、光8を最低地上高よりも低い高さに整形して駐車スペース4の進入方向後方側に出射させるように構成する。最低地上高は、水平な地表面から車体の一番低い箇所までの垂直距離である。日本の保安基準では、普通乗用車の最低地上高は9cm以上と定められている。例えば、光源21からの光8の出射は、水平な地表面から1cm~10cm程度の範囲の高さから行うとよい。図4に示される例において、照明装置2は、駐車スペース4に駐車された車両7を検出し、検出結果を出力するセンサ23と、センサ3から出力された検出結果に基づいて光源21の駆動を制御する制御部24とを更に備える。
【0038】
照明装置2は、例えば、車止め9の近傍に位置している。より具体的には、照明装置2は、進入方向前方向において車止め9と同等の位置又は車止め9よりも前方側に位置している。図1に示される例において、照明装置2は、駐車スペース4内の2つの車止め9,9の間の位置に、光整形部材22の出射端である光8の出射位置を進入方向後方に向けて配置されている。このような位置に配置されることで、照明装置2は、車止め9,9の存在により車両7の車輪との接触の可能性が回避されるとともに、進入方向に沿った車止め9,9の間の領域では光8の光路が車両7の車輪に邪魔されることなく、車両7の車体の下を通る最低地上光未満の高さの光8を適切に出射することができる。このような効果は、照明装置2を図2に示される領域A内のいずれの位置に配置しても得ることができる。すなわち、照明装置2を駐車スペース4内において2つの車止め9,9の間の位置または2つの車止め9,9の間よりも進入方向前方の位置に配置することで、車両7の車輪に邪魔されることなく、車両7の車体の下を通る最低地上光未満の高さの光8を適切に出射することができる。照明装置2が車止め9,9の間に配置される場合、照明装置2の床面10からの高さを車止め9の高さ以下とすることが好ましい。このような構成によれば、照明装置が駐車する車両の車体と接触する可能性を低減できる。なお、照明装置2の位置は、駐車スペース4における進入方向前端の近傍であれば特に限定されない。例えば、照明装置2の位置は、駐車スペース4内に限定されず、駐車スペース4の進入方向前端よりも前方であってもよい。また、図1に示される例において、照明装置2は、単一の筐体20内に収容された一体の構成であるが、照明装置2の一部の構成部が他の構成部と分離して配置されていてもよい。また、図4に示したセンサ23は、照明装置2とは独立した構成であってもよい。
【0039】
図5は、本実施形態による照明システム1において、照明装置2を示す斜視図である。図5に示すように、光整形部材22は、光源21からの光8に対して拡散、回折および屈折の少なくとも1つを行う光学素子222を有する。また、図5に示すように、光整形部材22は、光源21と光学素子222との間に位置し、光源21からの光8をコリメートするコリメータレンズ221を更に有する。光源21としては、例えばコヒーレント光の一例であるレーザ光を出射するレーザ光源を好適に用いることができる。光源21は、駐車スペース4の空き状況に応じて光8の出射態様を異ならせる。出射態様の変更は、例えば、光8のオンオフの切替、点灯間隔の変更、光8の色や強度の変更、光8による表示内容の変更を挙げることができる。より具体的な例として、光源21は、センサ23によって車両7が検出された場合には、制御部24による制御によって光8を出射させず、一方、センサ23によって車両7が検出されなかった場合には、制御部24による制御によって光8を出射させてもよい。なお、センサ23は、駐車スペース4に駐車された車両7を検出できる構成であれば特に限定されず、種々の検出手段6を用いて車両7を検出する構成を採用することができる。例えば、センサ23は、検出手段6として赤外線を用いる赤外線センサ、超音波を用いる超音波センサ、画像を用いる画像センサや磁気を用いる磁気センサなどであってもよい。光学素子222としては、光源21から出射された光8を車両7の最低地上高よりも低い高さの光8に整形するために好ましい光学素子が用いられる。例えば、光学素子222としては、レーザ拡散板(LSD)、マイクロレンズアレイ(MLA)、回折光学素子(DOE)などを好適に用いることができる。なお、室内や夜間などの光源21のパワーが小さくてもよい場合には、光学素子222を省略することも可能である。
【0040】
既述したように、光整形部材22は、光源21からの光8を車両7の最低地上高よりも低い高さの光8に整形して駐車スペース4の進入方向後方側に出射させる。その目的は、駐車スペース4の進入方向後方側に位置する光学部材3の入射面すなわち照明装置2に対面する光学部材3の側面に光8を入射させるためである。光学部材3に光8を適切に入射させるため、光整形部材22は、以下の条件式を満足するように光源21からの光8を整形してもよい。
θV<θH (1)
ただし、数式(1)において、θVは、図3に示される光整形部材22から出射される光8の鉛直方向への拡散角である。θHは、図2に示される光整形部材22から出射される光の水平方向への拡散角である。
光整形部材22は、以下の条件式を更に満足するように光源21からの光8を整形してもよい。
θV≦1° (2)
例えば、光学部材3の入射面を光整形部材22の光軸に対して垂直な10cm×10cmの面とし、光整形部材22からの光8の出射位置を床面10から高さ10cmの位置とする。この場合、光学部材3を照明装置2から6m離して配置するときは、θVが0.0157°、θHが0.95°となるように光源21からの光8を整形することが好ましい。また、光学部材3を照明装置2から10m離して配置するときは、θVが0.00567°、θHが0.57°となるように光源21からの光8を整形することが好ましい。これにより、光整形部材22は、光源21からの光8を照明装置2に対面する光学部材3の側面に入射する光8に適切に整形することができる。
【0041】
(光学部材3)
図6は、本実施形態による照明システム1において、光学部材3を示す縦断面図である。図6に示すように、光学部材3は、駐車スペース4の進入方向後方側の床面10上に位置する。図6に示される例において、光学部材3は、駐車スペース4の外側の床面10上に位置する。床面10は、典型的には、複数の駐車スペース4を有する駐車場の地表面である。駐車スペース4が路上にある場合、床面10は、路面である。すなわち、本開示の照明システム1は、時間制限駐車区間等の路上の駐車場にも適用することができる。路上の駐車場に適用する場合、進入方向前方は路肩側であり、進入方向後方は道路側であってもよい。
【0042】
光学部材3は、駐車スペース4の進入方向後方側の床面10上に位置する導光層31を備える。導光層31は、車両7の最低地上高よりも低い高さで駐車スペース4の進入方向後方側に出射された光8を入射させ、入射した光8の進行方向を変化させて出射させる。
【0043】
図7は、本実施形態による照明システム1において、光学部材3の導光層31を示す平面図である。図7に示すように、導光層31は、導光層31の第1側面31a側から入射した光8を第1側面31aとは面法線方向が異なる導光層31の第2側面31b側から出射させる。図7に示される例において、導光層31は、平面視において矩形状を有しており、第1側面31aと第2側面31bとは、面法線方向が互いに直交する隣り合う側面である。さらに詳しくは、図7に示される例において、導光層31は、第1側面31aから入射した光8を反射面31eによる反射によって第2側面31b側に折り返す折り返し光学系で構成されている。このような導光層31は、例えば、プリズムやミラーなどによって構成することができる。なお、導光層31の平面形状は、矩形状に限定されず、例えば、三角形状、五角形状、六角形状等の種々の多角形状であってもよい。
【0044】
導光層31が光8の進行方向すなわち光軸を変化させる角度は、駐車スペース4に向かって進行する他車5の運転者が視認できる視野範囲、光源21から出射される光8のパワー、環境光の強さ等に応じて好適な角度に設計されている。例えば、導光層31は、入射した光8の進行方向を60°以上120°以下の角度で変化させるように設計されていてもよい。
【0045】
図7に示すように、光学部材3は、第1側面31aに対して入射側に位置し、第1側面31a側から入射する光8を所定の光に整形する光整形素子34を更に備える。図7に示される例において、光整形素子34は、第1側面31aに沿ったシート状の部材であり、表面に光整形機能を有する凹凸形状が形成されている。光整形素子34としては、例えば、コリメータレンズやフレネルレンズなどを好適に用いることができる。屋外で使用する場合の耐候性の観点から、光整形素子34は、凹凸形状が形成された側の面を内側に向けて配置されていることが好ましい。
【0046】
図7に示すように、光学部材3は、第2側面31bに対して出射側に位置し、第2側面31b側から出射された光8に対して拡散、回折および屈折の少なくとも1つを行う第2の光学素子35を更に備える。図7に示される例において、光学素子35は、第2側面31bに沿ったシート状の部材である。光学素子35としては、レーザ拡散板(LSD)、マイクロレンズアレイ(MLA)、回折光学素子(DOE)などを好適に用いることができる。光学素子35は、導光層31によって進行方向を変化させた光8を水平方向および垂直方向において10°以上30°以下の拡散角で出射させてもよい。屋外で使用する場合の耐候性の観点から、光学素子35は、光学機能を有する側の面を内側に向けて配置されていることが好ましい。
【0047】
図6に示すように、光学部材3は、導光層31の上面31c側に位置する保護層32を更に備える。保護層32の材料としては、耐候性に優れたポリカーボネートなどの樹脂を好適に用いることができる。環境光による影響を低減するため、保護層32は、黒色の樹脂等によって遮光性を有するように構成されていることが好ましい。
【0048】
図6に示すように、光学部材3は、導光層31の下面31d側に位置する粘着層33を更に備える。粘着層33は、導光層31を床面10上に固定する層である。粘着層33としては、導光層31を床面10上に固定するために好適な構成が選択される。粘着層33は、例えば、コンクリートボンドであってもよい。
【0049】
以上のように構成された本実施形態による照明システム1によれば、照明装置2は、駐車スペース4の進入方向前端の近傍に位置する光源21によって光8を出射させ、光源21から出射された光8を光整形部材22によって車両7の最低地上高よりも低い高さの光8に整形して駐車スペース4の進入方向後方側に出射させる。そして、光学部材3は、駐車スペース4の進入方向後方側の床面10上に位置する導光層31によって、光整形部材22から車両7の最低地上高よりも低い高さで駐車スペース4の進入方向後方側に出射された光8を入射させ、入射した光8の進行方向を変化させて出射させる。これにより、駐車スペース4に駐車される車両7の車体の下を通るように駐車スペース4の進入方向後方側に光8を出射させ、出射された光8の進行方向を他車5に向けて変化させることができる。これにより、駐車場内の他の車、壁、柱などの障害物によって光8が遮光されることを回避することができるとともに、装置が大掛かりになることによって駐車スペース4が制約されることを回避することができる。したがって、本実施形態の照明システム1によれば、簡易な構成によって適切に駐車スペース4を案内することができる。
【0050】
また、本実施形態による照明システム1によれば、光整形部材22が光学素子222によって光源21からの光8に対して拡散、回折および屈折の少なくとも1つを行うことで、光源21からの光8を簡便かつ適切に車両7の最低地上高よりも低い高さの光8に整形することができる。
【0051】
また、本実施形態による照明システム1によれば、光整形部材22がコリメータレンズ221によって光源21からの光8を光学素子222の入射側でコリメートすることで、光源21からの光8をより適切に車両7の最低地上高よりも低い高さの光8に整形することができる。
【0052】
また、本実施形態による照明システム1によれば、光整形部材22が数式(1)の条件を満足するように光源21からの光8を整形することで、車両の通行の邪魔にならない低い高さに設計された光学部材3の入射面に適切に入射するように光源21からの光8を整形することができる。
【0053】
また、本実施形態による照明システム1によれば、光整形部材22が数式(2)の条件を満足するように光源21からの光8を整形することで、光源21からの光8をより確実に車両7の最低地上高よりも低い高さの光8に整形することができる。
【0054】
また、本実施形態による照明システム1によれば、照明装置2を車止め9の近傍に配置することで、駐車場内の他の車、壁、柱などの障害物によって光8が遮光されることをより確実に回避することができる。
【0055】
また、本実施形態による照明システム1によれば、光源21が駐車スペース4の空き状況に応じて光8の出射態様を異ならせることで、他車5の運転者が光8に基づいて駐車スペース4の空き状況を容易に把握することができる。
【0056】
一実施の形態をいくつかの具体例により説明してきたが、上述した具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の構成の省略、置き換え、変更、或いは、更なる構成の追加を行うことができる。
【0057】
以下、図面を参照しながら、他の具体例を説明していくことで上述した実施の形態を更に説明していく。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0058】
(第1の変形例)
図8は、本実施形態の第1の変形例による照明システム1において、光学部材3を示す斜視図である。図9は、図8の下面図である。図8および図9に示される例において、導光層31は、遮光性および剛性を有する扁平な板状部材30に、保護層32と一体の構成として作り込まれている。板状部材30は、黒色のポリカーボネート等の樹脂材料で構成することができる。なお、図8および図9では、粘着層33の図示を省略している。
【0059】
導光層31は、光学部材3に入射した光8を入射方向と異なる方向に反射させる反射層311を有する。より詳しくは、反射層311は、導光層31の第1側面31a側から入射した光8を第1側面31aとは面法線方向が異なる導光層31の第2側面31b側に反射させる。導光層31は、導光層31の導光路を補強する梁構造312を更に有する。
【0060】
より詳しくは、導光層31は、第1側面31a側の光8の入射口31fと、第2側面31b側の光8の出射口31gと、入射口31fと出射口30gとの間の空洞部31fとが設けられている。図9に示される例において、入射口31f、出射口31gおよび空洞部31fは、板状部材30の形状として板状部材30に設けられている。反射層311は、空洞部31fの内側面上に位置する。このような反射層311は、例えば、アルミなどの金属膜や誘導体多層膜をコーティングすることで形成することができる。梁構造312は、空洞部31f内に位置する。梁構造312は、例えば樹脂成形などによって板状部材30と一体的に形成することができる。図8および図9に示される例において、梁構造312は、空洞部31fの内部上面から垂下した複数の凸部3121で構成されている。複数の凸部3121のうちの一部は、入射口31fを複数に区画するように、入射口31fの間口方向に間隔を空けて配置されている。入射口31fを区画する凸部3121は、導光層31の第1側面31aを構成している。複数の凸部3121のうちの他の一部は、出射口31gを複数に区画するように、出射口31gの間口方向に間隔を空けて配置されている。出射口31gを区画する凸部3121は、導光層31の第2側面31bを構成している。このような梁構造312により、入射口31fと出射口31gとの間の導光路を確保しつつ空洞部31fを有する導光路を補強することができる。
(第2~第4の変形例)
図10は、本実施形態の第2の変形例による照明システム1において、光学部材3を示す縦断面図である。図11は、本実施形態の第3の変形例による照明システム1において、光学部材3を示す縦断面図である。図12は、本実施形態の第4の変形例による照明システムにおいて、光学部材3を示す縦断面図である。
【0061】
これまでは、導光層31の第1側面31aから入射した光の進行方向を変化させて導光層31の第2側面31bから出射させる光学部材3の例について説明した。これに対して、図10に示すように、光学部材3は、導光層31の側面から入射した光8の進行方向を変化させて導光層31の上面31cから出射させてもよい。または、図11に示すように、図10の構成に対して、導光層31の上面31cに光学素子35を配置して上面31cから出射された光8に対して拡散、回折および屈折の少なくとも1つを行ってもよい。あるいは、図12に示すように、光学部材3は、導光層31の代わりに入射した光8を拡散させる光拡散シート36を備えていてもよい。光拡散シート36は、蛍光物質を有していてもよい。
【0062】
(第5の変形例)
図13は、本実施形態の第5の変形例による照明システム1において、照明装置2を示す斜視図である。これまでは、単一の光源21および単一の光整形部材22を備えた照明装置2の例について説明した。これに対して、図13に示すように、照明装置2は、互いに異なる色の光を出射させる複数の光源21および複数の光源21のそれぞれに対応する複数の光整形部材22を備えていてもよい。このような構成によれば、駐車スペース4の空き状況に応じて異なる色の光を出射することで、他車5の運転者は、光8の色によって駐車スペース4への駐車の可否を判断することができる。
【0063】
(第6の変形例)
図14は、本実施形態の第6の変形例による照明装置2を示す側面図である。図14に示される照明装置2は、駐車スペース4に向かう車両7Aの車体の下を通るように車両7Aの進行方向後方側に光8を出射させて、車両7Aの進行方向後方の床面10上に駐車スペース4への進路を指示するパターン光81を照射する装置である。図14に示すように、パターン光81は、車両7Aと車両7の後続車両7Bとの間の床面10上に照射され、後続車両7Bの運転者は、パターン光81によって駐車スペース4への進路を判断することができる。第6の変形例によれば、パターン光81が車両7Aによって遮られることがないため、後続車両7Bの運転者が床面10上のパターン光81を視認することできる。なお、照明装置2は、図示のように床面10上に配置されることに限られず、例えば、壁や、縁石の側面の所定位置に配置されていてもよい。
【0064】
図15は、本実施形態の第6の変形例による照明装置2において、パターン光81Rの照射状態を示す平面図である。図16は、本実施形態の第6の変形例による照明装置2において、図15と異なるパターン光81Lの照射状態を示す平面図である。図15および図16に示すように、典型的なパターン光81R,81Lは、駐車スペース4への進路を示す矢印状のパターン光81R,81Lである。このようなパターン光81R,81Lを照射する照明装置2は、例えば、図15および図16に示すように、駐車場内の走行路の分岐点P近傍に、光8の出射端が分岐点Pへの進入路側を向くように配置される。後続車両7Bの運転者が先行車両7Aの後方においてパターン光81R,81Lを視認できるようにするため、パターン光81R,81Lは、分岐点Pに対して少なくとも1台の車両の全長よりも後方の照射領域上に照射される。なお、図15および図16に示される例では、パターン光81R,81Lが右方向および左方向をそれぞれ指示しているが、パターン光はこれらの態様に限定されず、例えば、一方のパターン光が直進方向を指示し、他方のパターン光が右左折方向を指示してもよい。
【0065】
図17は、本実施形態の第6の変形例による照明装置2を示す斜視図である。図18は、本実施形態の第6の変形例による照明装置2の第1の動作例を示す図である。図19は、本実施形態の第6の変形例による照明装置2の第2の動作例を示す図である。図17に示すように、照明装置2は、光8を出射させる光源21A,21Bと、光源21A,21Bからの光8を車両7Aの最低地上高よりも低い高さの光8に整形して駐車スペース4に向かう車両7Aの進行方向後方側に出射させる光整形部材22A,22Bと、を備える。光整形部材22A,22Bは、駐車スペース4に向かう車両7Aの進行方向後方側の床面10上に、駐車スペース4への進路を指示するパターン光81R,81Lを照射するように光源21A,21Bからの光8を整形する。
【0066】
図17に示される例において、2つの光源21A,21Bは、制御部25によって点灯が制御される。制御部25は、駐車場に設置された複数の駐車スペース4の空き状況を示す空きスペース情報を取得し、取得された空きスペース情報に基づいて、例えば既述した走行路の分岐点Pにおける複数の分岐方向のうちの空いている駐車スペース4の数が多い方向を判別し、判別された方向に対応する光源21A,21Bを点灯させる。空きスペース情報は、例えば既述した各駐車スペース4に設けられたセンサ23の検出結果に基づく情報であってもよい。空きスペース情報は、センサ23から直接取得してもよいし、駐車場を管理する管理システムから取得してもよい。また、図17に示される例において、2つの光整形部材22A,22Bは、対応する光源21A,21Bから入射した光8に基づいて、互いに異なるパターンのパターン光81R,81Lを予め決められた床面10の照射領域上に照射するように構成されている。
【0067】
具体的には、図17に示される例において、光整形部材22A,22Bは、複数の要素拡散部Eを有する拡散素子で構成されている。拡散素子は、例えば、要素拡散部Eとしての要素ホログラムを有するホログラムである。光整形部材22A,22Bの隣り合う各要素拡散部Eは、それぞれが別個の照射領域または別個の光の対応波長域を有していてもよく、または、一部の要素拡散部E同士の間で照射領域または対応波長領域が重複してもよい。要素拡散素子それぞれが同一の照射領域を照明する場合、通行者などの予期せぬ障害物が光路の一部を通過したとしても、照明パターン全体を欠落なく適切に形成することができる。各要素拡散部Eでは、それぞれ異なる波面が形成され、形成された波面が対応する照射領域を照射してもよい。そして、各要素拡散部Eによる各照射領域の全体によって、パターン光81R,81Lが形成されてもよい。拡散素子の一例であるホログラムは、例えばフォトポリマーや銀塩材料などのホログラム感光材料に、散乱板からの散乱光を物体光として用いて作製される。参照光には、コヒーレント光であるレーザ光が用いられる。作製に用いた参照光の焦点位置からホログラムに向かってレーザ光を照射すると、物体光として用いた元となる散乱板の配置位置に散乱板の再生像が再生される。この再生像が要素ホログラムの照射領域となる。矢印形状の散乱板を用いれば、矢印形状の照射領域の再生が可能となる。すなわち、矢印形状のパターン光81R,81Lを形成することができる。なお、ホログラムとして、レリーフ型すなわちエンボス型のホログラムを用いてもよい。また、実際の物体光や参照光を用いずに、計算機を用いてホログラムを設計することも可能である。このようにして得られたホログラムは、計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)と呼ばれる。また、ホログラム上の各点における拡散角度特性が同じであるフーリエ変換ホログラムを計算機合成により形成してもよい。また、ホログラムは、反射型ホログラムであってもよく、または、透過型ホログラムであってもよい。拡散素子としてホログラムを用いる利点は、レーザ光の光エネルギー密度を拡散により低下させることができ、さらに指向性の面光源として利用可能になるため、従来のランプ等の点光源と比較して同一照度分布を実現するための光源輝度を下げることができることである。
【0068】
図17に示す例において、制御部25は、空いている駐車スペース4の数が多い方向が分岐点の右方向であると判別した場合には、図18に示すように、右方向に対応する光源21Aをオンし、左方向に対応する光源21Bをオフする。これにより、右方向に対応する光源21Aが光8を出射させ、出射された光8は光整形部材22Aによって右方向を指示する矢印形状のパターン光81Rに整形されて床面10上に照射される。このとき、光整形部材22Aは、車両7Aの最低地上高よりも低い高さとなるようにパターン光81Rを整形するため、駐車スペース4に向かう車両7Aの車体の下を通して車両7Aの進行方向後方の床面10上にパターン光81Rを照射することができる。これにより、パターン光81Rを視認した後続車両7Bの運転者は、分岐点Pで右折すればよいことを予め判断することができる。
【0069】
一方、図17に示す例において、制御部25は、空いている駐車スペース4の数が多い方向が分岐点の左方向であると判別した場合には、図19に示すように、右方向に対応する光源21Aをオフし、左方向に対応する光源21Bをオンする。これにより、左方向に対応する光源21Bが光8を出射させ、出射された光8は光整形部材22Bによって左方向を指示する矢印形状のパターン光81Lに整形されて床面10上に照射される。このとき、光整形部材22Bは、車両7Aの最低地上高よりも低い高さとなるようにパターン光81Lを整形するため、駐車スペース4に向かう車両7Aの車体の下を通して車両7Aの進行方向後方の床面10上にパターン光81Lを照射することができる。これにより、パターン光81Lを視認した後続車両7Bの運転者は、分岐点Pで左折すればよいことを予め判断することができる。
【0070】
駐車場では、複数台の車両7A,7Bが列をなして駐車スペース4に向かうことがある。仮に、車両7A,7Bの進行方向前方において、車両7A,7Bの最低地上高よりも高い位置に駐車スペース4への進路を指示する表示を出力した場合、この表示を視認できるのは先行車両7Aの運転者のみであり、後続車両7Bの運転者は、表示にしたがって進路変更すべき位置の直前になるまで表示を視認できないことがある。これにより、後続車両7Bの運転者は、突然視界に現れた表示にしたがって進路変更を慌てて行わなければならない虞や、短時間のうちに表示に対して注意が向かずに表示にしたがった進路とは異なる方向に進路変更を行ってしまう虞がある。
【0071】
これに対して、第6の変形例によれば、駐車スペース4に向かう車両7Aの車体の下を通るように車両7Aの進行方向後方側に光8を出射させて、車両7Aの進行方向後方の床面10上に駐車スペース4への進路を指示するパターン光81を照射することで、簡易な構成によって後続車両7Bの運転者に駐車スペース4に向かう進路を先行車両7Aに妨げられることなく適切に把握させることができる。すなわち、簡易な構成によって適切に駐車スペースを案内表示することができる。
【0072】
(第7の変形例)
図20は、本実施形態の第7の変形例による照明装置2を示す斜視図である。図17では、複数の光源21A,21Bを備えた照明装置2の例について説明した。これに対して、図20に示すように、走査デバイス26によって単一の光源21からの光8を2つの光整形部材22A,22Bに振り分けてもよい。図20に示される例において、走査デバイス26は、駆動部27で駆動され、駆動部27は、制御部25によって走査デバイス26の駆動を制御される。走査デバイス26としては、例えば回転軸26aを中心に回転可能なミラーを用いることができる。駆動部27としては、例えばミラーを回転駆動するモータを用いることができる。
【0073】
なお、以上において上述した実施の形態に対して適用可能な多数の変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0074】
2 照明装置
21 光源
22 光整形部材
4 駐車スペース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20