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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20231212BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20231212BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20231212BHJP
   B65H 31/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G03G15/00 460
G03G21/16 147
B65H7/02
B65H31/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019215526
(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2021086032
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠矢 翔太
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-205772(JP,A)
【文献】特開2018-108873(JP,A)
【文献】特開2005-306564(JP,A)
【文献】特開2012-020818(JP,A)
【文献】特開2007-297141(JP,A)
【文献】特開2007-204228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
B65H 5/04
B65H 5/08-5/20
B65H 5/24-7/20
B65H 29/52
B65H 31/00-31/40
B65H 43/00-43/08
G03G 13/00
G03G 15/00
G03G 21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に支持される排出ローラ対と、
前記装置本体に設けられ、前記排出ローラ対により排出されたシートを支持する排出トレイと、
前記装置本体に対して回動可能に支持され前記シートの排出方向と直交する幅方向に延びる回動軸部と、前記回動軸部の径方向に突設され前記排出トレイ上の前記シートに当接するレバー部と、前記幅方向における前記排出トレイに前記シートが排出される領域よりも外側において前記回動軸部の径方向に突設されるアクチュエータ部と、を有し、前記排出トレイ上の前記シートの積載量が増えるときに一定の回動方向へ前記回動軸回りに回動されるスタックレバーと、
前記アクチュエータ部を検知するセンサと、
前記スタックレバーの前記回動方向への回動に伴って回動する前記アクチュエータ部に当接可能であり、前記アクチュエータ部の前記回動方向への回動を規制する第1当接部と、
前記アクチュエータ部と前記第1当接部とが当接している状態から、さらに前記回動方向へ回動する前記スタックレバーに当接可能であり、前記スタックレバーの前記回動方向への回動を規制する第2当接部と、
を備え
前記第2当接部は、
前記レバー部の先端部における上面に当接する画像形成装置。
【請求項2】
前記第2当接部は、
前記回動軸部の径方向において、前記回動軸部から前記第1当接部に当接する前記アクチュエータ部の当接位置までの距離よりも、前記回動軸部からの距離が遠い位置で、前記レバー部の前記先端部における上面に当接する、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
装置本体と、
前記装置本体に支持される排出ローラ対と、
前記装置本体に設けられ、前記排出ローラ対により排出されたシートを支持する排出トレイと、
前記装置本体に対して回動可能に支持され前記シートの排出方向と直交する幅方向に延びる回動軸部と、前記回動軸部の径方向に突設され前記排出トレイ上の前記シートに当接するレバー部と、前記幅方向における前記排出トレイに前記シートが排出される領域よりも外側において前記回動軸部の径方向に突設されるアクチュエータ部と、を有し、前記排出トレイ上の前記シートの積載量が増えるときに一定の回動方向へ前記回動軸回りに回動されるスタックレバーと、
前記アクチュエータ部を検知するセンサと、
前記スタックレバーの前記回動方向への回動に伴って回動する前記アクチュエータ部に当接可能であり、前記アクチュエータ部の前記回動方向への回動を規制する第1当接部と、
前記アクチュエータ部と前記第1当接部とが当接している状態から、さらに前記回動方向へ回動する前記スタックレバーに当接可能であり、前記スタックレバーの前記回動方向への回動を規制する第2当接部と、
を備え
前記装置本体の上面を構成し、且つ、前記スタックレバーを上方から覆う上面カバーをさらに備える画像形成装置。
【請求項4】
前記上面カバーは、前記スタックレバーの上方を覆う被覆状態と、前記スタックレバーの上方を開放する開放状態とに状態変化可能に設けられている、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2当接部は、前記上面カバーに設けられており、
前記スタックレバーは、
前記回動軸部の径方向において、前記レバー部とは異なる方向へ延びる延出部をさらに備え、
前記装置本体は、前記上面カバーが前記開放状態で、前記アクチュエータ部と前記第1当接部とが当接している状態から、前記スタックレバーがさらに前記回動方向へ回動されたとき、前記延出部の下面に接触する第3当接部を有する、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記延出部は、
前記回動軸部の軸方向における前記レバー部の形成領域と重複する位置に設けられている、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記装置本体は、
前記スタックレバーの前記アクチュエータ部を収容する収容部を有し、前記スタックレバーを回動可能に支持するレバーホルダと、
前記装置本体の上部を構成し、且つ、少なくとも前記レバーホルダの前記収容部の上方を覆う上部カバーと、をさらに備え、
前記上面カバーは前記被覆状態において、前記レバーホルダ及び前記上部カバーを被覆しており、
前記第1当接部は、
前記上部カバーに設けられている、請求項~請求項の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
装置本体と、
前記装置本体に支持される排出ローラ対と、
前記装置本体に設けられ、前記排出ローラ対により排出されたシートを支持する排出トレイと、
前記装置本体に対して回動可能に支持され前記シートの排出方向と直交する幅方向に延びる回動軸部と、前記回動軸部の径方向に突設され前記排出トレイ上の前記シートに当接するレバー部と、前記幅方向における前記排出トレイに前記シートが排出される領域よりも外側において前記回動軸部の径方向に突設されるアクチュエータ部と、を有し、前記排出トレイ上の前記シートの積載量が増えるときに一定の回動方向へ前記回動軸回りに回動されるスタックレバーと、
前記アクチュエータ部を検知するセンサと、
前記スタックレバーの前記回動方向への回動に伴って回動する前記アクチュエータ部に当接可能であり、前記アクチュエータ部の前記回動方向への回動を規制する第1当接部と、
前記アクチュエータ部と前記第1当接部とが当接している状態から、さらに前記回動方向へ回動する前記スタックレバーに当接可能であり、前記スタックレバーの前記回動方向への回動を規制する第2当接部と、
を備え
前記スタックレバーは、
前記回動軸部の径方向において、前記レバー部とは異なる方向へ延びる延出部をさらに備え、
前記第2当接部は、
前記スタックレバーが、前記アクチュエータ部と前記第1当接部とが当接している状態から、さらに前記回動方向へ回動されるときに、前記延出部における下面に接触する画像形成装置。
【請求項9】
前記延出部は、
前記回動軸部の軸方向における前記レバー部の形成領域と重複する位置に設けられている、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1当接部と前記アクチュエータ部とが当接する前記スタックレバーの回動位置は、
前記排出トレイにおいて前記シートが満載となるときの回動位置である、請求項1~の何れか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出トレイに排出されたシートの積載量を検知するためのスタックレバーを備えた画像形成装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排出トレイに排出されたシートの積載量を検知するための機構を構成する部材として、排出トレイに排出されたシートに接触する部位であるレバー部と、レバー部を回動可能に支持する部位である回動軸部と、シートの満載を検知するための部位として回動軸部に設けられたアクチュエータ部とを、有するスタックレバーを備えた画像形成装置が知られている。このような画像形成装置としては、特許文献1に示されたものがある。
【0003】
特許文献1のスタックレバーは、排出トレイに排出されたシートに接触する位置にレバー部が配置されており、排出トレイ上のシートの積載量が増えるとレバー部が持ち上げられるように構成されている。このような構成のスタックレバーは、レバー部が持ち上げられる際の回動軸の回動に伴って、アクチュエータ部が回動するように構成されている。そして、特許文献1の画像形成装置では、さらにセンサを備えており、排出トレイ上のシートが満載になったときのアクチュエータ部の位置をセンサで検知するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-204228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の画像形成装置においては、センサによるアクチュエータ部の検知精度を安定させるために、シートの満載を検知する検知位置に回動されたアクチュエータ部と当接する部位である回転止めを設ける構成を採用することが考えられる。このような構成を採用すれば、アクチュエータ部が検知位置を超えて回動されるのを防ぐことができ、センサによるアクチュエータ部の検知精度を安定させることができる。しかしながら、上記構成を採用した場合には、回転止めによってアクチュエータ部の回動が規制されている状態から、ユーザーがレバー部を更に上方へ持ち上げてしまうと、回転止めを支点として回動軸部をねじるように負荷がかかり、スタックレバーが破損する恐れがある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するために為されたものであり、スタックレバーを備えた画像形成装置において、ユーザーが誤った操作をしてしまった時もスタックレバーが破損することを抑制できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、本発明に係る画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体に支持される排出ローラ対と、前記装置本体に設けられ、前記排出ローラ対により排出されたシートを支持する排出トレイと、前記装置本体に対して回動可能に支持され前記シートの排出方向と直交する幅方向に延びる回動軸部と、前記回動軸部の径方向に突設され前記排出トレイ上の前記シートに当接するレバー部と、前記幅方向における前記排出トレイに前記シートが排出される領域よりも外側において前記回動軸部の径方向に突設されるアクチュエータ部と、を有し、前記排出トレイ上の前記シートの積載量が増えるときに一定の回動方向へ前記回動軸回りに回動されるスタックレバーと、前記アクチュエータ部を検知するセンサと、前記スタックレバーの前記回動方向への回動に伴って回動する前記アクチュエータ部に当接可能であり、前記アクチュエータ部の前記回動方向への回動を規制する第1当接部と、前記アクチュエータ部と前記第1当接部とが当接している状態から、さらに前記回動方向へ回動する前記スタックレバーに当接可能であり、前記スタックレバーの前記回動方向への回動を規制する第2当接部と、を備えるものである。
【0009】
このような構成を有する画像形成装置によれば、アクチュエータ部と第1当接部との当接後、さらにシートの積載量が増えるときの回動方向へ回動するスタックレバーの回動を第2当接部で規制することができ、アクチュエータ部と第1当接部との当接後に回動軸部が一定量以上ねじられることを防止できる。これにより、ユーザーが誤った操作をしてしまった時も、スタックレバーの破損を抑制できる。
【0010】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記第2当接部は、前記レバー部の先端部における上面に当接するものである。
【0011】
このような構成を有する画像形成装置によれば、ユーザーが誤操作でレバー部を触ったとき、レバー部に作用した応力を第2当接部で直接受けることができるので、スタックレバーの破損を確実に抑制できる。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記第2当接部は、前記回動軸部の径方向において、前記回動軸部から前記第1当接部に当接する前記アクチュエータ部の当接位置までの距離よりも、前記回動軸部からの距離が遠い位置で、前記レバー部の前記先端部における上面に当接するものである。
【0013】
このような構成を有する画像形成装置によれば、レバー部のより先端側で力を受けることによって、回動軸部に生じるねじれ量を抑制することができるので、スタックレバーの破損をより確実に抑制できる。
【0014】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記装置本体の上面を構成し、且つ、前記スタックレバーを上方から覆う上面カバーをさらに備えるものである。
【0015】
このような構成を有する画像形成装置によれば、スタックレバーを隠すことで、ユーザーがスタックレバーに触ることを抑制できる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記上面カバーは、前記スタックレバーの上方を覆う被覆状態と、前記スタックレバーの上方を開放する開放状態とに状態変化可能に設けられているものである。
【0017】
このような構成を有する画像形成装置によれば、上面カバーを開放状態とすることができ、JAM処理性を向上することができる。
【0018】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記第2当接部は、前記上面カバーに設けられており、前記スタックレバーは、前記回動軸部の径方向において、前記レバー部とは異なる方向へ延びる延出部をさらに備え、前記装置本体は、前記上面カバーが前記開放状態で、前記アクチュエータ部と前記第1当接部とが当接している状態から、前記スタックレバーがさらに前記回動方向へ回動されたとき、前記延出部の下面に接触する第3当接部を有するものである。
【0019】
このような構成を有する画像形成装置によれば、上面カバーが開放状態とされたとしても、アクチュエータ部と第1当接部との当接後、さらにシートの積載量が増えるときの回動方向へ回動するスタックレバーの回動を第3当接部で規制することができ、アクチュエータ部と第1当接部との当接後に回動軸部が一定量以上ねじられることを防止できる。これにより、スタックレバーの破損を抑制できる。
【0020】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記延出部は、前記回動軸部の軸方向における前記レバー部の形成領域と重複する位置に設けられているものである。
【0021】
このような構成を有する画像形成装置によれば、レバー部に作用した応力を第3当接部で効率よく受けることができるので、スタックレバーの破損を確実に抑制することができる。
【0022】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記装置本体は、前記スタックレバーの前記アクチュエータ部を収容する収容部を有し、前記スタックレバーを回動可能に支持するレバーホルダと、前記装置本体の上部を構成し、且つ、少なくとも前記レバーホルダの前記収容部の上方を覆う上部カバーと、をさらに備え、前記上面カバーは前記被覆状態において、前記レバーホルダ及び前記上部カバーを被覆しており、前記第1当接部は、前記上部カバーに設けられているものである。
【0023】
このような構成を有する画像形成装置によれば、上面カバーが開放状態とされたとしても、アクチュエータ部は露出されず、スタックレバーが外れないようにしている。
【0024】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記スタックレバーは、前記回動軸部の径方向において、前記レバー部とは異なる方向へ延びる延出部をさらに備え、前記第2当接部は、前記スタックレバーが、前記アクチュエータ部と前記第1当接部とが当接している状態から、さらに前記回動方向へ回動されるときに、前記延出部における下面に接触するものである。
【0025】
このような構成を有する画像形成装置によれば、アクチュエータ部と第1当接部との当接後、さらにシートの積載量が増えるときの回動方向へ回動するスタックレバーの回動を第2当接部で規制することができ、アクチュエータ部と第1当接部との当接後に回動軸部が一定量以上ねじられることを防止できる。これにより、スタックレバーの破損を抑制できる。
【0026】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記延出部は、前記回動軸部の軸方向における前記レバー部の形成領域と重複する位置に設けられているものである。
【0027】
このような構成を有する画像形成装置によれば、レバー部に作用した応力を第2当接部で効率よく受けることができるので、スタックレバーの破損を確実に抑制できる。
【0028】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記第1当接部と前記アクチュエータ部とが当接する前記スタックレバーの回動位置は、前記排出トレイにおいて前記シートが満載となるときの回動位置であるものである。
【0029】
このような構成を有する画像形成装置によれば、シートの満載状態を精度よく検知することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る画像形成装置によれば、アクチュエータ部と第1当接部との当接後、さらにシートの積載量が増えるときの回動方向へ回動するスタックレバーの回動を第2当接部で規制することができ、アクチュエータ部と第1当接部との当接後に回動軸部が一定量以上ねじられることを防止できる。これにより、ユーザーが誤った操作をしてしまった時も、スタックレバーの破損を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示した断面模式図。
図2】画像形成装置の全体構成を示した斜視図。
図3】上面カバーを外した状態の画像形成装置を示した斜視図。
図4】スタックレバーとレバーホルダを示す斜視組み立て図。
図5】排紙部を示す部分正面図。
図6】(A)図6におけるI-I線断面図、(B)図6におけるII-II線断面図。
図7】アクチュエータ部の動作を示す部分断面模式図。
図8】レバー部の動作を示す部分断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[画像形成装置の全体構成]
図1に示す画像形成装置1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態であり、装置本体2と、給紙部3と、画像形成部5と、排出部7と、再搬送部8と、モータ9とを備えている。
【0033】
以下の説明では、図1における右側を画像形成装置1の前側、図1における左側を画像形成装置1の後側と規定し、図1における紙面手前側を画像形成装置1の左側、図1における紙面奥側を画像形成装置1の右側と規定する。また、図1における上側および下側を、それぞれ画像形成装置1の上側および下側と規定する。
【0034】
装置本体2は、給紙部3、画像形成部5、排出部7、再搬送部8、モータ9等を収容する筐体である。装置本体2は、図1図3に示すように、開閉カバー20、後面カバー21、左側面カバー22、右側面カバー23、上部カバー24、および上面カバー25により構成されている。
【0035】
図1に示すように、装置本体2を構成する開閉カバー20は、装置本体2において回動可能に支持されており、装置本体2の前面に形成された開口部2aを閉塞する閉位置と、開口部2aを開放する開位置との間で回動可能に構成されている。
【0036】
給紙部3は、装置本体2の下部に配置され、シートカセット30に支持されるシートSを画像形成部5に搬送するものである。画像形成部5は、給紙部3よりもシートSの搬送方向下流側に配置され、給紙部3から搬送されるシートSに画像を形成するものである。排出部7は、画像形成部5よりもシートSの搬送方向下流側に配置され、画像形成部5にて画像が形成されたシートSを画像形成装置1の外部へ排出するものである。
【0037】
画像形成装置1におけるシートSの排出方向Aは、画像形成装置1の後から前へ向かう方向である。即ち、装置本体2の排出方向Aにおける下流の側面は、装置本体2の前面となっている。
【0038】
画像形成装置1は、給紙部3から画像形成部5を経由して排出部7へ至るシートSの搬送経路L1を有している。給紙部3は、シートSを支持するシートカセット30と、給紙機構32と、搬送ローラ対33と、搬送経路L1においてシートSを搬送する一対のレジストローラ対34とを備えている。
【0039】
給紙機構32は、給紙ローラ32a、分離ローラ32bを備えている。給紙ローラ32aは、シートカセット30に支持されるシートSを分離ローラ32bへ向けて送り出すためのローラである。分離ローラ32bは、給紙ローラ32aよりもシートSの搬送方向下流に配置されている。
【0040】
給紙ローラ32aにより分離ローラ32bに向けて送り出されたシートSは、分離ローラ32bと図示しない分離パッドとの間で1枚ずつに分離される。1枚ずつに分離されたシートSは、搬送経路L1に沿って搬送ローラ対33へ向けて搬送される。
【0041】
搬送ローラ対33は、シートSに搬送力を付与するローラであり、給紙機構32よりもシートSの搬送方向下流に配置されている。給紙機構32から搬送ローラ対33に向けて搬送されてきたシートSは、搬送ローラ対33により搬送経路L1に沿ってレジストローラ対34へ向けて搬送される。
【0042】
レジストローラ対34は、搬送ローラ対33よりもシートSの搬送方向下流に配置されている。レジストローラ対34は、搬送されるシートSの先端の移動を一旦停止させることにより、シートSの姿勢を矯正する。その後、レジストローラ対34は、所定のタイミングにてシートSを画像形成部5の転写位置に向けて搬送する。
【0043】
画像形成装置1は、複数枚のシートSを支持可能なMPトレイ40と、MPトレイ40に支持されたシートSを給送する給送機構41を備えている。給送機構41は、MPトレイ40に支持されるシートSを一枚ずつ分離して取り出し、レジストローラ対34へ向けて搬送する機構であり、給送ローラの一例としてのピックアップローラ42と、分離ローラ43等を備えている。
【0044】
画像形成部5は、装置本体2内に配置され、搬送されるシートSに画像を形成する。画像形成部5は、給紙部3から搬送されてきたシートSの表面に画像を転写するプロセスカートリッジ50と、プロセスカートリッジ50における感光体ドラム54の表面を露光する露光ユニット56と、プロセスカートリッジ50によりシートSに転写された画像を定着させる定着部60とを備えている。
【0045】
プロセスカートリッジ50は、装置本体2内における給紙部3よりも上方に配置されており、現像剤収容室51と、供給ローラ52と、現像ローラ53と、感光体ドラム54と、転写ローラ55等とを備えている。
【0046】
露光ユニット56は、レーザダイオード、ポリゴンミラー、レンズ、及び反射鏡等を備えており、画像形成装置1に入力された画像データに基づいてレーザ光を感光体ドラム54へ向けて照射することにより、感光体ドラム54の表面を露光する。
【0047】
現像剤収容室51には現像剤となるトナーが収容されている。現像剤収容室51に収容されたトナーは、図示しない撹拌部材により撹拌されながら供給ローラ52に送られる。供給ローラ52は、現像剤収容室51から送られてくるトナーをさらに現像ローラ53へ供給する。
【0048】
現像ローラ53は、供給ローラ52に密着して配置されており、供給ローラ52から供給されるとともに図示しない摺接部材により帯電されたトナーを担持する。また、現像ローラ53には、図示しないバイアス印加手段により現像バイアスが印加される。
【0049】
感光体ドラム54は、現像ローラ53に隣接して配置されている。感光体ドラム54の表面は、図示しない帯電器により一様に帯電された後、露光ユニット56により露光される。感光体ドラム54の露光された部分は他の部分よりも電位が低くなり、感光体ドラム54に画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された感光体ドラム54の表面に、帯電されたトナーが現像ローラ53から供給されることにより、静電潜像が顕像化されて現像剤像となる。
【0050】
転写ローラ55は、感光体ドラム54に対向配置され、図示しないバイアス印加手段により負の転写バイアスが印加される。転写ローラ55の表面に転写バイアスが印加されている状態で、現像剤像が形成された感光体ドラム54と転写ローラ55との間(転写位置)でシートSを挟持しなから搬送することにより、感光体ドラム54の表面に形成された現像剤像がシートSの表面に転写される。
【0051】
定着部60は、加熱ローラ61と加圧ローラ62とを備えている。加熱ローラ61はモータ9からの駆動力により回転駆動され、図示せぬ電源ユニットから供給される電力により加熱される。加圧ローラ62は加熱ローラ61に対向配置されており、加熱ローラ61に密着して従動回転する。現像剤像が転写されたシートSが搬送経路L1に沿って定着部60に搬送されてくると、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間でシートSを挟持しながら搬送し、シートSに現像剤像を定着させる。
【0052】
第1中間排出ローラ対70と第2中間排出ローラ対71は、装置本体2内に配置され、画像形成部5よりもシート搬送方向の下流側に配置されている。各中間排出ローラ対70、71は、定着部60から搬送経路L1に沿って搬送されてくるシートSを、さらに排出ローラ対72へ向けて搬送する。
【0053】
排出部7は、排出ローラ対72と排出トレイ73とを有している。排出ローラ対72は、各中間排出ローラ対70、71により搬送されるシートSをさらに搬送して、装置本体2の外部へ排出可能に構成されている。排出トレイ73は、装置本体2を構成する上部カバー24の上面に形成されており、排出ローラ対72により装置本体2の外部に排出されたシートSが排出トレイ73によって支持される。画像形成装置1では、排出トレイ73上に積載可能なシートSの最大枚数Zを設定している。
【0054】
[再搬送経路L2]
画像形成装置1は、画像形成部5の下方に形成された再搬送経路L2を有している。画像形成装置1において両面印刷を行う場合には、シートSは、さらに再搬送経路L2に沿って画像形成部5側へ向けて再び搬送される。再搬送経路L2は、画像形成部5により一方の面に画像形成されたシートSを再び画像形成部5に搬送する経路である。
【0055】
再搬送経路L2は、搬送経路L1における第1中間排出ローラ対70と第2中間排出ローラ対71との間の分岐部10にて搬送経路L1から分岐し、搬送経路L1における搬送ローラ対33とレジストローラ対34との間の合流部11にて搬送経路L1と合流している。
【0056】
再搬送経路L2に搬送されたシートSは、再搬送経路L2上に設けられる第2再搬送ローラ対36および第1再搬送ローラ対35によって、さらに画像形成部5側へ向けて搬送される。
【0057】
[スイッチバック経路L3]
また、画像形成装置1は、画像形成部5の後方に形成されたスイッチバック経路L3を有している。スイッチバック経路L3は、シートSを搬送経路L1から再搬送経路L2に送る前にシートSの前後を入れ替えるために設けた経路である。スイッチバック経路L3は、図1に示すように、装置本体2を構成する上面カバー25に向けて延設されている。
【0058】
スイッチバック経路L3は、分岐部10にて搬送経路L1から分岐され、再搬送経路L2とは逆側の上方へ延びたあと、前側へ向かうようにUターンするU字形状に形成されており、シートSの搬送方向における再搬送経路L2の上流に位置している。そして、スイッチバック経路L3の再搬送経路L2に接続される側とは反対側の端部は、上面カバー25の前面において開放された開口部13となっている。スイッチバック経路L3に導入されたシートSは、スイッチバック経路L3内に収まらない部分が開口部13から装置本体2の外部に食み出されるように構成されている。
【0059】
スイッチバック経路L3には、スイッチバックローラ対74を設けている。スイッチバックローラ対74は、回転方向を切り換え可能に構成されており、シートSをスイッチバック経路L3に導入する際の回転方向(正転方向)と、シートSをスイッチバック経路L3から再搬送経路L2へ送給する際の回転方向(逆転方向)とに駆動可能に構成されている。
【0060】
画像形成装置1は、再搬送経路L2およびスイッチバック経路L3を有する再搬送部8によって、搬送経路L1の途中に配置された画像形成部5にて一面に画像が形成されたシートSを、再搬送経路L2およびスイッチバック経路L3を通じて画像形成部5へ再び搬送して、シートSの他面に画像を形成すること、即ち、両面印刷が可能となっている。
【0061】
[スイッチバック機構]
画像形成装置1は、図1に示すように、分岐部10においてフラッパ12を設けている。フラッパ12は、搬送経路L1と再搬送経路L2およびスイッチバック経路L3との分岐部10においてシートSの搬送方向を切り替える部材であり、装置本体2に対して揺動可能に設けられている。フラッパ12は、定着部60から搬送されたシートSを排出トレイ73へ案内する場合には、再搬送経路L2へ通じる開口部10aを閉じる排出位置Xに配置される。また、フラッパ12は、定着部60から搬送されたシートSを再搬送経路L2およびスイッチバック経路L3へ案内する場合には、排出位置Xから前方へ揺動して再搬送位置Yとなり、開口部10aを開くとともに、排出トレイ73へ通じる搬送経路L1を閉じるように構成されている。
【0062】
また、フラッパ12が再搬送位置Yに位置しているときは、搬送経路L1から開口部10aに送り込まれたシートSは後方斜め上向きに搬送されて、まずスイッチバック経路L3に導入される。スイッチバック経路L3に導入されたシートSは、スイッチバックローラ対74に受け継がれるとともに、搬送方向に沿ったシートSの全長が開口部10aを通過するまでは、スイッチバック経路L3側に搬送される。そして、シートSの全長が開口部10aを通過した後、スイッチバックローラ対74の回転方向が反転され、スイッチバック経路L3から再搬送経路L2に向けてシートSが搬送される。またこのとき、フラッパ12は、排出位置Xに位置するように揺動されて開口部10aが閉じられる。次に、シートSは、スイッチバックローラ対74から第2再搬送ローラ対36および第1再搬送ローラ対35へと受け継がれて、再搬送経路L2に沿って搬送され、合流部11から搬送経路L1に再び導入される。
【0063】
[スタックレバー]
図1に示すように、画像形成装置1は、スタックレバー80を備えている。スタックレバー80は、排出ローラ対72により排出トレイ73上に排紙されたシートSが満載状態か否かを検知するための機構を構成する部材である。
【0064】
図4に示すように、スタックレバー80は、回動軸部81、レバー部82、アクチュエータ部83を備えている。スタックレバー80は、樹脂を一体成型して作成されており、レバー部82およびアクチュエータ部83は、回動軸部81に対して一体に構成され、回動軸部81から径方向に突出されている。スタックレバー80は、回動軸部81、レバー部82、アクチュエータ部83が一体で構成されているため、スタックレバー80が、回動軸部81の軸心回りに回動するとき、その回動量に応じて、レバー部82とアクチュエータ部83が同じ回動量で回動変位される。なお、本実施形態では、一体成型された樹脂製のスタックレバー80を例示しているが、本発明に係る画像形成装置を構成するスタックレバーの材質や作成方法をこれに限定するものではない。スタックレバー80は、レバーホルダ26に対して回動可能に軸支されている。
【0065】
[延出部]
また、画像形成装置1において、スタックレバー80は、回動軸部81の径方向において、レバー部82とは異なる方向へ延びる延出部84をさらに備えている。延出部84は、回動軸部81の軸方向におけるレバー部82の形成領域と重複する位置に設けられている。なお、本実施形態では、延出部84は、回動軸部81に対してレバー部82の延出方向と反対側に延出される構成としているが、延出部84の延出方向はこれに限定されず、レバー部82の延出方向に対して傾斜した方向に延出する構成としてもよい。
【0066】
[レバーホルダ]
図1図3および図4に示すように、画像形成装置1は、装置本体2の一部を構成するレバーホルダ26を備えている。レバーホルダ26は、スタックレバー80を回動可能に支持するためのフレームを構成する部位であり、上部カバー24に対して固定されている。
【0067】
図4に示すように、レバーホルダはスタックレバー80を軸支するための軸支部27を備えている。軸支部27は、回動軸部81を収容するための空間となる溝状の凹部27aと、凹部27aの左端部に位置する軸孔部27bと、凹部27aの左右中途部と右端部に位置する複数の軸受部27cと、を備えている。また、レバーホルダ26は、軸支部27の前側において、レバー部82を変位可能に配置する空間を確保するための切欠き部28が3箇所形成されている。さらに、レバーホルダ26は、軸孔部27bの前方において、アクチュエータ部83を収容するための空間となる収容部29が形成されている。
【0068】
そして、スタックレバー80は、回動軸部81が軸支部27に配置され、軸孔部27bと軸受部27cとによって回動可能に支持される。このとき、レバー部82は、切欠き部28に配置され、軸支部27から前方に向けて突出されるとともに、レバーホルダ26の外部において上下方向に揺動可能とされる。またこのとき、アクチュエータ部83は、収容部29内に配置され、軸支部27から前方に向けて突出されるとともに、収容部29内において上下方向に揺動可能とされる。
【0069】
[上面カバー]
図1図3に示すように、レバーホルダ26の上方には、上面カバー25が配置されている。上面カバー25は、レバーホルダの前端部より前側の位置まで延設されている。このような構成により、レバーホルダ26に形成された切欠き部28より前方に突出されるレバー部82は、上面カバー25の下方において、上面カバー25の前端部よりも後方へ奥まった位置に配置される。画像形成装置1では、レバー部82を上面カバー25の前端部よりも後方へ奥まった位置に配置することによって、レバー部82をユーザーから見えにくくしており、これにより、ユーザーがレバー部82に触れにくくなっている。
【0070】
即ち、画像形成装置1においては、装置本体2の上面を構成し、且つ、スタックレバー80を上方から覆う上面カバー25を備えている。このような構成を有する画像形成装置1であれば、スタックレバー80を隠すことで、ユーザーがスタックレバー80に触ることを抑制できる。なお、画像形成装置1は、スタックレバー80のレバー部82を上面カバー25から突出させて、ユーザーから見えやすい位置に設ける構成であってもよい。
【0071】
また、図2および図3に示すように、上面カバー25は、装置本体2に対して、スタックレバー80の上方を覆う被覆状態と、スタックレバー80の上方を開放する開放状態とに状態変化可能に設けられている。
【0072】
なお、本実施形態で示した上面カバー25は、装置本体2に対して着脱可能に構成されているが、上面カバー25は、ヒンジ等を介して装置本体2に回動可能に設ける構成としてもよく、この場合においても、上面カバー25を被覆状態と開放状態とに状態変化させることができる。また、画像形成装置1では、上面カバー25を装置本体2に対して固定し、着脱できないように構成してもよい。
【0073】
[上部カバー]
また、図2図4に示すように、レバーホルダのうち、アクチュエータ部83を収容する収容部29の上方には、上部カバー24が配置されている。
【0074】
[スタックレバーの動作]
図1に示すように、スタックレバー80は、レバー部82が排出トレイ73上に積載されたシートSに接触するように構成されている。スタックレバー80は、排出トレイ73上のシートSの積載量に応じてレバー部82の回動位置が変化する。スタックレバー80は、排出トレイ73上のシートSの積載量が増えると、それに伴ってレバー部82が上方に持ち上げられて、図1に示す矢印Bの方向に回動する。以下では、矢印Bの方向を、排出トレイ73上のシートSの積載量が増えるときの回動方法として回動方向Bと呼ぶ)。また、スタックレバー80は、排出ローラ対72より排出トレイ73に向けて排紙されるシートSをレバー部82に接触させることで、シートSを排出トレイ73上に案内する役割をも果たしている。
【0075】
排出トレイ73上に積載されたシートSの枚数が増大していくと、最上部のシートSに接触するレバー部82が、上方へ回動変位されていく。スタックレバー80は、レバー部82の上方への回動変位に伴って、回動軸部81が、回動方向Bに回動される。そしてスタックレバー80は、回動軸部81が回動方向Bに回動されるのに伴って、アクチュエータ部83が上方へ回動変位される。
【0076】
[当接部24a]
図5および図6(A)に示すように、アクチュエータ部83に形成された上面83aの上方には、上部カバー24の下面に形成された当接部24aが位置している。なお、図5図8の各図においては、上部カバー24の当接部24a以外の部分の図示を省略している。
【0077】
図7に示すように、当接部24aは、排出トレイ73上のシートSが増大するのに伴って回動方向Bに回動されるアクチュエータ部83の回動位置を規制する。
【0078】
即ち、画像形成装置1において、装置本体2は、上部カバー24と上面カバー25に覆われたレバーホルダ26をさらに備え、当接部24aは、上部カバー24に設けられている。
【0079】
このような構成を有する画像形成装置1では、上面カバー25が開放状態とされたとしても、アクチュエータ部83は露出されず、スタックレバー80が外れることがない。また、当接部24aを上部カバー24に設けることによって、上面カバー25を開放状態としたときにおいても、アクチュエータ部83の回動位置を規制することができる。なお、画像形成装置1では、当接部24aを上部カバー24に設ける構成としているが、アクチュエータ部の回動を規制するための当接部は、例えば、レバーホルダ26に設けてもよい。
【0080】
[当接部25a]
図5および図6(B)に示すように、レバー部82の上面82aの上方には、上面カバー25の下面に形成された当接部25aが位置している。
【0081】
図8に示すように、当接部25aは、スタックレバー80が、アクチュエータ部83が当接部24aに当接する位置まで回動方向Bに回動された後で、さらに、回動軸部81が回動方向Bへ回動された場合に、レバー部82がさらに回動変位することを規制する。このため、当接部25aは、アクチュエータ部83が当接部24aに接触する位置まで回動軸部81が回動方向Bに回動されている状態で、例えばユーザーがレバー部82を上方へ回動変位させた場合に、レバー部82がさらに回動方向Bへ回動変位するのを規制することができる。
【0082】
画像形成装置1では、当接部25aを備えることによって、ユーザーがレバー部82を持ち上げてしまった場合に、回動軸部81に過度のねじれが生じることを防止して、スタックレバー80の破損を抑制することができる。
【0083】
[レバー部とアクチュエータ部の当接位置の関係]
図6(A)(B)に示すように、画像形成装置1において、アクチュエータ部83の上面83aが当接部24aと当接する位置Pと回動軸部81の軸心との距離Cは、レバー部82の上面82aが当接部25aと当接する位置Qと回動軸部81の軸心との距離Dに比して小さい。なお、位置Pは、上面83aが当接部24aと当接する最も遠い位置であり、位置Qは、上面82aが当接部25aと当接する最も遠い位置である。
【0084】
即ち、画像形成装置1において、当接部25aは、回動軸部81の径方向において、回動軸部81から当接部24aに当接するアクチュエータ部83の当接位置までの距離よりも、回動軸部81からの距離が遠い位置で、レバー部82の先端部における上面82aに当接するように構成している。
【0085】
このような構成を有する画像形成装置1であれば、レバー部82のより先端側で力を受けることによって、回動軸部81に生じるねじれ量を抑制することができるので、スタックレバー80の破損をより確実に抑制できる。なお、画像形成装置1では、回動軸部81の径方向において、当接部25aが、回動軸部81から当接部24aに当接するアクチュエータ部83の当接位置までの距離よりも、回動軸部81からの距離が近い位置で、レバー部82の先端部における上面82aに当接するように構成してもよい。
【0086】
[当接部26a]
図6(B)および図8に示すように、レバーホルダ26は、レバー部82より後方に延出した延出部84に当接可能な当接部26aを備えている。
【0087】
画像形成装置1では、上面カバー25を取り外すことができる。当接部26aは、上面カバー25を取り外し、当接部25aが無くなった状態において、レバー部82の回動変位を規制することができる。当接部26aは、上面カバー25を取り外した状態において、例えばユーザーがレバー部82を持ち上げた場合に、レバー部82の回動方向Bへの回動変位を規制する。
【0088】
[スタックレバーの詳細な動作]
図7および図8に示すように、排出トレイ73上に積載されたシートSの枚数が最大枚数Zよりも少なく、レバー部82が最上部に積層されているシートSと未だ接触していないとき(フェーズ1)には、スタックレバー80は、アクチュエータ部83とレバー部82が最も下方の回動位置となっている。
【0089】
次に、排出トレイ73上のシートSの積載量が増大し最大枚数Zとなったとき(フェーズ2)には、スタックレバー80は、アクチュエータ部83が、当接部24aに当接する位置まで回動する。言い換えれば、このときアクチュエータ部83は、当接部24aによって、回動方向Bへの回動が規制されている。このとき、レバー部82は、まだ当接部25aには当接していない。
【0090】
次に、排出トレイ73上におけるシートSの積載数が最大枚数Zとなっている状態で、ユーザーがレバー部82を持ち上げたとき(フェーズ3)には、スタックレバー80は、ユーザーが加えた力によって、回動方向Bに回動される。このとき、アクチュエータ部83は、当接部24aに当接した状態が保持され、回動方向Bへの回動が規制されている。一方、このときレバー部82は、ユーザーが加えた力によって、当接部25aに当接する位置まで回動方向Bに回動される。言い換えれば、このときレバー部82は、当接部25aによって、当接部25aと当接する回動位置で回動方向Bへの回動が規制されている。
【0091】
具体的には、(フェーズ3)において、当接部25aは、レバー部82の先端部における上面82aに当接している。このような構成を有する画像形成装置1であれば、ユーザーが誤操作でレバー部82を持ち上げたときには、レバー部82の先端部付近を持ち上げる場合が多いと考えられるところ、画像形成装置では、レバー部82の先端部に作用した応力を先端部の上面82aと当接する当接部25aで直接受けることができるので、スタックレバー80の破損を確実に抑制できる。
【0092】
なお、本実施形態では、アクチュエータ部83が当接部24aに当接する回動軸部81の回動位置と、レバー部82が当接部25aに当接する回動軸部81の回動位置に位相差を設けているが、位相差を設けなくてもよい。また、位相差を設ける場合には、アクチュエータ部83およびレバー部82の突設位置と各当接部24a・25aとの相対的な位置関係を調整し、その位相差に起因するねじれによって回動軸部81が破損しない範囲の位相差とする。
【0093】
次に、上面カバー25が取り外された状態で、ユーザーがレバー部82を持ち上げたとき(フェーズ4)において、スタックレバー80のアクチュエータ部83は、当接部24aによって、回動方向Bへの回動が規制されている。また、レバー部82は、延出部84の下面84aが当接部26aに当接する位置まで回動方向Bに回動される。言い換えれば、このときレバー部82は、延出部84と当接部26aによって、回動方向Bへの回動が規制されている。
【0094】
画像形成装置1では、当接部26aを備えることによって、上面カバー25を取り外している状態でユーザーがレバー部82を持ち上げてしまった場合に、回動軸部81に過度のねじれが生じることが防止でき、スタックレバー80の破損を抑制することができる。
【0095】
即ち、画像形成装置1において、装置本体2は、上面カバー25が開放状態で、アクチュエータ部83と当接部24aとが当接している状態から、スタックレバー80がさらに回動方向Bへ回動されたとき、延出部84の下面84aに接触する当接部26aを有している。
【0096】
このような構成を有する画像形成装置1であれば、上面カバー25を開放状態とすることができJAM処理性を向上することができる。また、上面カバー25が開放状態とされたとしても、アクチュエータ部83と当接部24aとの当接後、さらにシートSの積載量が増えるときの回動方向Bへ回動するスタックレバー80の回動を当接部26aで規制することができ、アクチュエータ部83と当接部24aとの当接後に回動軸部81が一定量以上ねじられることを防止できる。これにより、スタックレバー80の破損を抑制できる。
【0097】
また、画像形成装置1において、延出部84は、回動軸部81の軸方向におけるレバー部82の形成領域と重複する位置に設けられている。
【0098】
このような構成を有する画像形成装置1であれば、レバー部82に作用した応力を当接部26aで効率よく受けることができるので、スタックレバー80の破損を確実に抑制することができる。なお、画像形成装置1では、延出部84を、回動軸部81の軸方向におけるレバー部82の形成領域と重複しない位置に設けてもよい。また、画像形成装置1では、延出部84の幅が、レバー部82の幅と同じとなっているが、延出部84の幅が、レバー部82の幅よりも狭くてもよいし、広くてもよい。
【0099】
即ち、画像形成装置1において、スタックレバー80は、回動軸部81の径方向において、レバー部82とは異なる方向へ延びる延出部84を備えている。そして、画像形成装置1において、当接部25aとして代用できる当接部26aは、スタックレバー80が、アクチュエータ部83と当接部24aとが当接している状態から、さらに回動方向Bへ回動されるときに、延出部84における下面84aに接触する。
【0100】
[当接部25aがない場合の別実施形態]
画像形成装置1は、上面カバー25に当接部25aを設けず、レバーホルダ26のみに当接部26aを設ける構成とし、上面カバー25が被覆状態である場合において、スタックレバー80が回動方向Bに回動されたときに、当接部26aによってレバー部82の回動方向Bへの回動を規制する構成としてもよい。つまり、画像形成装置1では、当接部25aがない場合において、当接部26aが当接部25aと同様の機能を果たすように構成してもよい。つまり、画像形成装置1では、当接部25aの一実施形態に当接部26aのような形態が含まれる。
【0101】
また、このような構成の画像形成装置1では、上面カバー25を取り外した状態においても、当接部26aによって、レバー部82の回動位置を規制することができ、スタックレバー80の破損を抑制できる。
【0102】
[当接部25aと当接部26aが両方ある場合の別実施形態]
画像形成装置1では、上面カバー25に当接部25aがあり、レバーホルダ26に当接部26がある場合において、上面カバー25を取り付けた状態で、スタックレバー80が、レバー部82が当接部25aに当接する位置まで回動方向Bに回動されたときに、それと同時に延出部84が当接部26aに当接するように構成してもよい。このような構成であれば、レバー部82の回動方向Bへの回動をより確実に規制することができる。
【0103】
[排紙トレイ上のシート満載の検知方法]
図6(A)に示すように、収容部29内には、アクチュエータ部83の前端部83bと対面する位置に、前端部83bの位置を検知するセンサ90が配置されている。画像形成装置1では、排出トレイ73上に積載可能なシートSの積載量を、最大枚数Zに予め設定している。センサ90は、排出トレイ73上のシートSの積載量が、最大枚数Zとなったとき、前端部83bを検出可能に構成されている。
【0104】
そして、図7の(フェーズ2)に示すように、画像形成装置1において、当接部24aとアクチュエータ部83とが当接するスタックレバー80の回動位置は、排出トレイ73においてシートSが満載となるときの回動位置である。
【0105】
このような構成を有する画像形成装置1であれば、アクチュエータ部83が、シートSの満載時に対応する回動位置で当接部24aによって回動が規制されるため、シートSの満載状態を精度よく検知することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 画像形成装置
2 装置本体
24 上部カバー
24a 当接部
25 上面カバー
25a 当接部
26 レバーホルダ
26a 当接部
72 排出ローラ対
73 排出トレイ
80 スタックレバー
81 回動軸部
82 レバー部
82a 上面
83 アクチュエータ部
84 延出部
84a 下面
S シート
B (シートの積載量が増えるときの)回動方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8