(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/16 20060101AFI20231212BHJP
B41J 2/145 20060101ALI20231212BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20231212BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B41J2/16
B41J2/16 501
B41J2/145
B41J2/14
B41J2/01 307
B41J2/14 611
(21)【出願番号】P 2019218553
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2019098349
(32)【優先日】2019-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英一郎
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-170784(JP,A)
【文献】特開2016-002701(JP,A)
【文献】特開2008-012747(JP,A)
【文献】特開2017-189897(JP,A)
【文献】特開2017-001242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液体吐出ヘッドの一部を複数用いて、第2液体吐出ヘッドを製造する製造方法であって、
前記第1液体吐出ヘッドは、
複数のノズル列が第1方向に配列されるようにして形成されたノズル面を含む第1部材と、
前記ノズル列を構成する各ノズルへ液体を供給する流路を含む第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを固定する第1ネジと、を備え、
前記第
1部材の前記第1方向における寸法である第
1寸法は、前記第
2部材の前記第1方向における寸法である第
2寸法よりも小さく、
前記製造方法は、
前記第1部材を複数並べる工程と、
並べられた前記複数の第1部材を、キャリッジに固定する工程と、を備え、
前記並べる工程で並べられた前記複数の第1部材のうち隣り合う2つの第1部材の前記第1方向における隙間の距離は、2つの前記第1液体吐出ヘッドを前記第1方向に密に並べた場合における2つの第1部材の前記第1方向における隙間の距離よりも、小さい、製造方法。
【請求項2】
前記並べる工程において、前記複数の第1部材のうち隣り合う2つの第1部材の前記ノズル面の前記第1方向における隙間の距離は、1つの前記ノズル面の前記第1方向の寸法より小さい、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記固定する工程は、前記第1部材と前記キャリッジとを第2ネジで固定する工程を含み、
前記第1部材と前記キャリッジとの固定に用いられる前記第1部材に形成されたネジ孔は、前記第1液体吐出ヘッドにおいて前記第1部材と前記第2部材との固定に用いられるネジ孔である、請求項1または請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記固定する工程は、前記第1部材を、前記キャリッジと前記第2ネジの頭部とによって挟むことによって、固定する工程を含む、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記製造方法は、さらに、前記並べる工程の前に、
前記第1部材と前記第2部材とを固定する前記第1ネジを取り外す工程を備える、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記製造方法は、さらに、前記第1ネジを取り外す工程の後に、
前記ノズルへ液体を供給する流路を含む第3部材を前記第1部材に取り付ける工程を備える、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第1方向における前記第3部材の寸法は、前記第1方向における前記第2部材の寸法よりも小さく、
前記第3部材の数は、前記第1部材の数と同一であり、
前記取り付ける工程は、複数の前記第3部材のそれぞれを、前記複数の第1部材のそれぞれに固定する工程を含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第3部材は、前記第2部材より大きく、
前記第3部材の数は、前記第1部材の数より少なく、
前記取り付ける工程は、前記第3部材を、前記複数の第1部材のうちの少なくとも2つの前記第1部材にわたって固定する、請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第3部材の流路は、分岐する、請求項6から請求項8までのいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第3部材は、前記第3部材の流路の入口が形成される入口部材を3つ以上備え、
前記3つ以上の入口部材は、前記第3部材の外壁面のうち、前記ノズル面と反対の面において、二次元的に配置されている、請求項6から請求項9までのいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記ノズル面において、前記ノズル列が延びる方向を第2方向とし、前記第2方向に直交する一方向を第3方向として、
前記第1部材は、前記第3方向に向いた複数の端子を備えるコネクターを有する、請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記ノズル面において、前記ノズル列の前記第2方向における長さは、前記コネクター内の前記複数の端子の第3方向の長さよりも、長い、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記第1液体吐出ヘッドは、さらに、前記第1部材と前記第2部材とに挟まれる弾性体を備える、請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンター等の液体吐出装置に搭載され、ノズルから液体を吐出する液体噴射ヘッドの製造方法が知られている(例えば、特許文献1)。この製造方法によって製造される液体吐出ヘッドは、供給側部材としてのカートリッジケースと、ノズル側部材としてのヘッド部材と、を備える。この製造方法では、カートリッジケースとヘッド部材とがネジで固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置において、液体吐出の範囲を大きくする場合には、複数の液体吐出ヘッドを液体吐出装置に搭載することが考えられる。この場合において、複数のヘッド部材をより高密度に並べることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態によれば、第1液体吐出ヘッドの一部を用いて、第2液体吐出ヘッドを製造する製造方法が提供される。この製造方法において、前記第1液体吐出ヘッドは、複数のノズル列が第1方向に配列されるようにして形成されたノズル面を含む第1部材と、前記ノズル列を構成する各ノズルへ液体を供給する流路を含む第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを固定する第1ネジと、を備え、前記第1部材の前記第1方向における寸法である第1寸法は、前記第2部材の前記第1方向における寸法である第2寸法よりも小さく、前記製造方法は、前記第1部材を複数並べる工程と、並べられた前記複数の第1部材を、キャリッジに固定する工程と、を備え、前記並べる工程で並べられた前記複数の第1部材のうち隣り合う2つの第1部材の前記第1方向における隙間の距離は、2つの前記第1液体吐出ヘッドを前記第1方向に密に並べた場合における2つの第1部材の前記第1方向における隙間の距離よりも、小さい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の実施形態の液体吐出装置の構成を模式的に示す説明図。
【
図2】第1実施形態におけるヘッドユニットの正面図。
【
図3】+Z方向側からヘッドユニット200を見た場合の供給側部材の上面図。
【
図4】-Z方向側から見た場合のノズル側部材の下面図。
【
図5】+Z方側から見た場合のノズル側部材の上面図。
【
図7】ヘッドユニットと試験用ヘッドの外形を比較する図。
【
図8】第1実施形態におけるヘッドユニットの製造方法を説明するためのフローチャート。
【
図9】第1実施形態におけるヘッドユニットと比較例としての液体吐出ヘッドとを比較する表。
【
図11】液体吐出ヘッドにおける供給針と供給流路とを含む供給側部材の断面の一部を模式的に示した説明図。
【
図13】第1の他の実施形態に係るヘッドユニットの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.第1実施形態
図1は、本開示の実施形態の液体吐出装置100の構成を模式的に示す説明図である。液体吐出装置100は、液体の一例であるインクを媒体12に吐出するインクジェット方式の印刷装置である。液体吐出装置100は、印刷用紙の他、樹脂フィルムや布等の任意の材質の印刷対象を媒体12とし、これらの各種の媒体12に対して液体を吐出することにより印刷を行う。
図1について、互いに直交するX方向、Y方向、Z方向を図示している。Y方向は、後述するヘッドユニット200のノズル列36sにおいてノズル36が並ぶ方向である。X方向は、Y方向と直交する方向のうち複数のノズル列36sが並ぶ方向である。Z方向は、X方向とY方向とに直交する方向であり、例えば鉛直方向に沿った方向である。また、向きを特定する場合には、正の方向を「+」、負の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用する。また、本実施形態に係る液体吐出装置100において、X方向は、ヘッドユニット200の移動方向である主走査方向である。Y方向は、主走査方向と直交した媒体送り方向である副走査方向である。-Z方向は、インク吐出方向である。
図1以降にも同様にX方向とY方向とZ方向とを図示する。なお、必ずしもヘッドユニット200がX方向に移動しなくてもよく、例えば媒体12の方がX方向に移動しても良い。また、必ずしも媒体12の方がY方向に移動しなくてもよく、例えばヘッドユニット200の方がY方向に移動してもよい。なお、主走査方向と副走査方向とインク吐出方向とのそれぞれは、必ずしもX方向とY方向とZ方向と完全に一致しなくてもよい。
【0008】
液体吐出装置100は、液体収容容器14と、媒体12を送り出す搬送機構22と、制御部20と、ヘッド移動機構24と、ヘッドユニット200と、を備える。液体収容容器14は、ヘッドユニット200に供給されるインクを収容する。液体収容容器14としては、可撓性フィルムで形成された袋状のインクパックや、インク補充が可能なインクタンクなどが利用可能である。制御部20は、CPU等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、搬送機構22やヘッド移動機構24、ヘッドユニット200等を統括制御する。搬送機構22は、制御部20の制御下で動作し、媒体12を+Y方向に送り出す。
【0009】
ヘッド移動機構24は、媒体12の印刷範囲に亘ってX方向に掛け渡された搬送ベルト23と、液体吐出ヘッドとしてのヘッドユニット200を収容して搬送ベルト23に固定するキャリッジ25とを備える。ヘッド移動機構24は、制御部20の制御下で動作し、ヘッドユニット200を主走査方向であるX方向においてキャリッジ25を往復移動させる。キャリッジ25の往復移動の際、キャリッジ25は図示しないガイドレールにより案内される。ヘッドユニット200は、複数のノズル列36sを有する。各ノズル列36sには、複数のノズル36が配列されている。
【0010】
図2は、第1実施形態におけるヘッドユニット200の正面図である。ヘッドユニット200は、2つのサブユニット205と、2つのサブユニット205の位置を固定するための固定部材230と、を備える。固定部材230は、各サブユニット205のノズル側部材210を挿入可能な開口を有する板状部材である。固定部材230には、例えば樹脂や金属等の種々の素材が用いられる。
【0011】
サブユニット205は、ノズル側部材210と供給側部材240とを備える。ノズル側部材210は、複数のノズル列36sが形成されたノズル面212を有する。供給側部材240は、液体収容容器14からノズル側部材210のノズル36へ液体を供給する供給流路を有する。供給側部材240の内部には、液体中の異物を捕捉するためのフィルターが設けられている。これにより、ノズル側部材210への異物の流入を抑制できるので、ノズル側部材210に異物が流入することによる吐出不良を抑制できる。本実施形態において、ノズル側部材210の数と供給側部材240の数とは、それぞれ2つである。2つのノズル側部材210のそれぞれは、第2ネジ260によって対応する1つの供給側部材240に取り付けられている。
【0012】
ノズル側部材210は、
図1のノズル列36sが形成されたノズル面212と、コネクター220と、を備えている。コネクター220は、ヘッドユニット200の外部、例えば
図1の制御部20と電気的に接続するための端子部222を有している。端子部222は、端子と、FFC等のコネクターを装着するための開口部を有する。コネクター220は、Y方向における位置において、ノズル面212と重ならない位置に設けられている。また、コネクター220は、サブユニット205が固定部材230に取り付けられた状態において、固定部材230より+Z方向側に位置するように設けられている。これにより、固定部材230にサブユニット205が取り付けられた状態であっても、+Z方向側からコネクター220へFFC等を接続することが容易となる。コネクター220の端子部222、詳細には開口部は、ノズル面212に沿った方向のうち、ノズル列36sの延びるY方向に垂直な-X方向に向いている。また、ノズル側部材210は、内部に液体を流通させるための流路構造や駆動されることで液体を吐出するためのエネルギーを生成するエネルギー生成素子を有する。エネルギー生成素子は、例えば圧電素子であり、
図1に示すノズル36から液体を吐出するために液体に対して圧力変動を付与する。また、エネルギー生成素子は駆動されることで熱エネルギーを生成しノズル36内の液体を膜沸騰させることで液体の吐出を行う電気熱変換素子であっても良い。なお、コネクター220の端子部222の向きは、-X方向に限定されない。例えば、コネクター220は、Y方向に垂直な方向のうちXY平面に交差する方向に向いていてもよい。また、Y方向に垂直な方向には、Y方向に概ね垂直に交差する方向が含まれる。また、コネクター220は、供給側部材240等、ノズル側部材210以外の部材に設けられていてもよい。
【0013】
ノズル面212は、ノズルプレートとノズルプレートをノズル側部材210の外殻に固定する固定板とによって形成されている。なお、ノズルプレートは、ノズル側部材210の外殻に接着剤等によって直接固定されていてもよい。この場合には、例えば、ノズル面212は、ノズルプレートのみによって形成されていてもよい。ノズル側部材210は、第1部材の一例である。
【0014】
供給側部材240は、内部に流路を有し、略直方体形状の外殻を有する部材である。供給側部材240は、略直方体形状の外殻を有することによって、ヘッドユニット200への取付が可能な治具やインク供給用の流路部材等の着脱が容易になる。供給側部材240は、+Z方向側の外壁面である供給側上面201に複数の供給針246を有する。供給針256は、その内部に流路が形成され、外部から内部の流路へ液体を導入するための入口部材として機能する。また、-Z方向側の外壁面である供給側下面202とノズル側部材210との接続部には、外部への液体の流出を抑制するシール部材228が設けられている。これにより、ヘッドユニット200内を流通する液体が外部に流出する可能性が低減する。供給側部材240は、第3部材の一例である。
【0015】
供給針246は、供給側上面201から+Z方向側に突出した筒状の部材であり、+Z方向側に略円錐状の先端部を有する。供給針246は、8つ設けられている。供給針246のそれぞれには、一端が
図1の液体収容容器14に接続されているチューブ142の他端が接続される。
【0016】
第2ネジ260は、+Z方向側から供給側部材240やノズル側部材210に形成されたネジ孔に挿入され、供給側部材240とノズル側部材210とを互いに固定する。さらに、本実施形態において、第2ネジ260は、ヘッドユニット200に対して-Z方向側に位置する
図1のキャリッジ25まで延び、ヘッドユニット200とキャリッジ25とを固定する。本実施形態において、ノズル側部材210は、2つのノズル側部材210のノズル側部材のノズル面212のX方向における距離D2がノズル面212のX方向の寸法D1より小さくなるように、固定されている。このため、ヘッドユニット200の小型化が容易である。距離D2は、寸法D1の4分の3以下であることが好ましく、寸法D1の2分の1以下であることがより好ましい。
【0017】
図3は、+Z方向側からヘッドユニット200を見た場合の供給側部材240の上面図である。
図3に示すように、+Z方向側から見た場合において、8つの供給針246はマトリクス状に配置されている。マトリクス状に配置とは、供給側上面201において、8つの供給針246が二次元的に配置されている、つまり8つの供給針246が一直線上に並ばないように配置されていることを意味する。これにより、例えば8つの供給針246がX方向に延びる一直線上に並ぶ場合と比べて、X方向における供給側部材240の寸法を小さくすることが容易である。
【0018】
図4は、-Z方向側から見た場合のノズル側部材210の下面図である。ノズル列36sのY方向における長さL1は、コネクター220に設けられた端子部222のY方向における長さL2より長い。これにより、長さL1が長さL2より短い場合と比べて、ヘッドユニット200における液体の吐出範囲が大きいので、液体吐出装置100における印刷速度を向上させることができる。また、長さL1が長さL2より長いことにより、コネクター220に接続される接続端子がサブユニット205の-Y方向側や+Y方向側に配置された他の構成に干渉することを抑制できる。このため、例えば、2つのサブユニット205をY方向側にズラして配置する場合などに、一方のサブユニット205に接続される接続端子が、他方のサブユニット205に干渉することを抑制できる。
【0019】
図5は、+Z方側から見た場合のノズル側部材210の上面図である。
図5では、ノズル側部材210に加えて、シール部材228が示されている。シール部材228は、本実施形態において、弾性を有する樹脂によって形成された板状の部材である。シール部材228は、供給側部材240からノズル側部材210の内部に液体を流入させるための接続口部218に対向する位置に、液体を流通されるための貫通口229を有している。
図2に示すように、シール部材228は、ノズル側部材210と供給側部材240とによってZ方向に押圧されることによる弾性変形によって、シール性を確保している。このため、ノズル側部材210と供給側部材240とのXY方向における相対的な位置が多少ズレた場合であっても、シール部材228のシール性が失われることを抑制できる。
【0020】
図6は、試験用ヘッド300の正面図である。本実施形態において、ヘッドユニット200に用いられているノズル側部材210には、ヘッドユニット200の製造前に、吐出試験による吐出性能の確認が行われている。これにより、ヘッドユニット200における吐出不良の発生の可能性が低減される。試験用ヘッド300は、ノズル側部材210の吐出試験に用いられる。試験用ヘッド300は、ヘッドユニット200に用いられるノズル側部材210と、試験用部材340と、を備える。試験用部材340は、供給側部材240とは異なる構造を有する。試験用部材340は、吐出試験において、試験用装置から供給される液体をノズル側部材210に供給するための流路構造を内部に有する。ノズル側部材210と試験用部材340とは、互いに第1ネジ360によって固定されている。試験用ヘッド300は、試験装置に取り付けられ、試験装置による吐出試験に用いられる。試験用部材340は、第2部材の一例である。
【0021】
試験用部材340の寸法は、供給側部材240の寸法と比べて大きい。具体的には、試験用ヘッド300のX方向における寸法D3は、
図2のヘッドユニット200のノズル側部材210におけるノズル面212の寸法D1と、2つのノズル面212の間の距離D2と、の和よりも大きい。
【0022】
図7は、ヘッドユニット200と試験用ヘッド300の外形を比較する図である。
図7では、-Z方向からヘッドユニット200を観た場合の様子を示す図である。
図7では、試験用ヘッド300を+Z方向側から投影した場合の外形S1とヘッドユニット200をZ方向側から投影した場合の2つのノズル側部材210のそれぞれの外形S21、S22とが破線で示されている。ヘッドユニット200では、外形S1の内側に、2つのノズル側部材210うちの一方の外形S21の全体と、さらに他方の外形S22の一部と、が含まれるように2つのノズル側部材210が配置されている。ノズル側部材210のそれぞれの外形S21、S22は、試験用ヘッド300の外形S1と比べて、X方向における寸法とY方向における寸法との両方において、小さい。
【0023】
ヘッドユニット200では、2つのノズル側部材210は、Y方向における位置が互いにズレるように配置されている。これにより、ヘッドユニット200では、2つのノズル側部材210や2つの供給側部材240をX方向に並べて配置する際に、コネクター220の端子部が向く-X方向における空間を十分に確保することが可能である。このため、コネクター220への外部側の接続端子の取付が容易である。
【0024】
試験用ヘッド300は、吐出試験の後に、吐出試験を実施した工場等からヘッドユニット200の製造を行う製造工場へと運搬され、ヘッドユニット200の製造に用いられる。すなわち、本実施形態では、試験用ヘッド300からヘッドユニット200が製造される。試験用ヘッド300の運搬時において、試験用部材340は、ノズル側部材210を保護するキャップとして機能する。これにより、ノズル側部材210の上面に形成された開口から埃等が侵入する可能性が低減される。
【0025】
図8は、第1実施形態におけるヘッドユニット200の製造方法を説明するためのフローチャートである。ヘッドユニット200の製造方法では、まずステップS102の工程が行われる。本実施形態において、ヘッドユニット200は、課題を解決するための手段に記載の第2液体吐出ヘッドに相当する。また、試験用ヘッド300は、課題を解決するための手段に記載の第1液体吐出ヘッドに相当する。
【0026】
ステップS102において、ノズル側部材210から試験用部材340を取り外す工程が実行される。ステップS102の工程は、ノズル側部材210と試験用部材340とを固定する第1ネジ360を取り外す工程を含んでいる。第1ネジ360が取り外されることによって、ノズル側部材210から試験用部材340の取り外しが可能となる。ステップS102において、試験用部材340とともに、ノズル側部材210からシール部材328が取り外される。なお、取り外された試験用部材340やシール部材328は、他のノズル側部材210に取り付けられて、吐出試験に再利用してもよい。またシール部材328は、ノズル側部材210から取り外されることなく、シール部材228として、ヘッドユニット200に取り付けられてもよい。ステップS102の工程の後に、ステップS104の工程が実行される。
【0027】
ステップS104において、ノズル側部材210を並べる工程が実行される。この工程では、2つのノズル側部材210が、高密度で配列されるように、並べられる。高密度とは、2つのノズル側部材210におけるノズル面212のX方向における長さD4が、2つの試験用ヘッド300をX方向に密に並べた場合において、+X方向に配置された試験用ヘッド300のノズル側部材210の+X方向の端部から-X方向に配置された試験用ヘッド300のノズル側部材210の-X方向の端部までの距離よりも、小さいことを意味している。換言すれば、後述の
図9に示すように、隣り合う2つのノズル側部材210のX方向における隙間の距離D2が、2つの試験用ヘッド300をX方向に密に並べた場合における2つのノズル側部材210のX方向における隙間の距離D5よりも小さい。例えば、距離D2は、隣り合う2つのノズル側部材210のノズル面212同士のX方向における隙間の距離であり、距離D5は、2つの試験用ヘッド300をX方向に密に並べた場合における2つのノズル側部材210のノズル面212同士のX方向における隙間の距離である。また、密な配置とは、具体的には2つの試験用ヘッド300がX方向に互いに接触して並ぶ場合である。長さD4は、+X方向側のノズル側部材210の+X方向側端部から-X方向側のノズル側部材210の-X方向側端部までのX方向における距離である。本実施形態では、ノズル側部材210は、キャリッジ25に取り付けられることによって並べられる。本実施形態においては、
図8において図示を省略している固定部材230によってノズル側部材210の位置決めがされた後に、ノズル側部材210をキャリッジ25に取り付ける。ステップS104の工程の後に、ステップS106の工程が実行される。
【0028】
ステップS106では、ノズル側部材210に供給側部材240を取る付ける工程が実行される。この工程におけるノズル側部材210への供給側部材240の取付は、簡易的な取付であり、ネジ等による固定は行われない。なお、シール部材228も、この工程において、ノズル側部材210と供給側部材240との間に配置される。ステップS106の工程の後に、ステップS108の工程が実行される。
【0029】
ステップS108では、並べられた複数のノズル側部材210を、キャリッジ25に固定する工程が実行される。「キャリッジ25に固定する」とは、ノズル側部材210のキャリッジ25に対する相対的な位置が保持される状態にすることを意味する。本実施形態では、ヘッドユニット200は、第2ネジ260のネジ頭とノズル側部材210とによって挟まれることによって、固定される。このため、第2ネジ260を+Z方向側から挿入できるので、キャリッジ25およびノズル側部材210の姿勢をキャリッジ25上にノズル側部材210を並べる際の姿勢から姿勢を変更することなく、固定を行える。第2ネジ260が挿入されるネジ孔のうち、ノズル側部材210に設けられたネジ孔は、試験用部材340との固定の際に第1ネジ360が挿入されていたネジ孔と同一のものである。これにより、ノズル側部材210に対して新たにネジ孔を設ける必要がないため、ヘッドユニット200の製造コストが低減される。キャリッジ25への固定には、上記の方法以外の種々の方法を用いてもよい。例えば、ノズル側部材210は、接着剤を用いた接着や単にキャリッジ25にはめ込みによってキャリッジ25に固定されてもよい。また、ノズル側部材210への供給側部材240の取付も、接着剤を用いた接着やはめ込みによって固定されてもよい。ステップS108の工程が完了することによって、ヘッドユニット200の製造が完了する。製造されたヘッドユニット200は、搬送機構22に取り付けられる等によって、液体吐出装置100の製造に用いられる。なお、上記のステップS104とステップS106とが実行される順番は、これに限定されず、例えば、ステップS106の工程が実行された後にステップS104の工程が実行されてもよい。
【0030】
図9は、第1実施形態におけるヘッドユニット200と比較例としての液体吐出ヘッド390とを比較する表である。以下において、比較例としての液体吐出ヘッド390を比較例390とも記載する。比較例390は、2つの試験用ヘッド300を密に並べて製造した場合における、液体吐出ヘッドである。前述したように、比較例390の2つの試験用ヘッド300をX方向に密に並べた場合における複数のノズル側部材210のX方向における隙間の距離D5は、第1実施形態における距離D2より大きい。これは、試験用部材340の寸法D3が大きいためである。
【0031】
以上説明した第1実施形態によれば、試験用ヘッド300を複数並べる場合と比べて、ノズル側部材210を高密度に配置したヘッドユニット200を製造することが可能である。したがって、ノズル側部材210を高密度に配置することにより、液体吐出装置100における印刷の速度や品質が向上する。
【0032】
また以上説明した第1実施形態によれば、各供給側部材240は、2つのノズル側部材210のうち、それぞれに対応する一のノズル側部材210に固定されている。これにより、ノズル側部材210や供給側部材240を1つずつ取り外すことが可能であるため、メンテナンスや修理等が容易になる。また、供給側部材240を小さくすることができるので、供給側部材240の製造が容易である。
【0033】
B.第2実施形態
図10は、第2実施形態のヘッドユニット400の正面図である。第2実施形態のヘッドユニット400は、供給針446の数が第1実施形態のヘッドユニット200における供給針246の数より少ない供給側部材440を備える点で第1実施形態のヘッドユニット200と異なる。具体的には、第2実施形態のヘッドユニット400を構成する各サブユニット405は、第1実施形態と比べて半分の4つの供給針446を有している。以下において、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。供給側部材440は、第3部材の一例である。
【0034】
図11は、液体吐出ヘッド390における供給針446と供給流路412とを含む供給側部材440の断面の一部を模式的に示した説明図である。供給針446は、液体を供給流路412内に導入するための開口416を複数有している。各供給流路412は、2つの分岐流路414を有し、それぞれ異なるノズル列36sへと液体を供給する。このため、供給側部材440に設ける供給針446を少なくすることができるので、ヘッドユニット400の小型化が容易である。
【0035】
C.第3実施形態
図12は、第3実施形態のヘッドユニット600である。第3実施形態のヘッドユニット200は、2つのノズル側部材210に共通して取り付けられる供給側部材640を備える点で、第1実施形態のヘッドユニット200と異なる。以下において、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。供給側部材640は、第3部材の一例である。
【0036】
ヘッドユニット600の供給側部材640は、+Z方向側から2つのノズル側部材210を覆うように取り付けられている。このため、
図8のステップS106の工程において、1回の取付で2つのノズル側部材210に供給側部材640を取り付けられるため、作業効率が向上する。
【0037】
D.他の実施形態
D1.第1の他の実施形態
上記実施形態において、供給側部材240、440、640は、略直方体形状であり、内部に流路やフィルターを有している。しかし、供給側部材240、440、640は、これに限定されない。供給側部材240、440、640は、例えば、液体収容容器14から供給される液体を受け入れる入口部材としての機能のみを備えた構造であってもよい。この場合には、供給側部材の小型化が容易である。また、ヘッドユニット200、400、600は、供給側部材240、440、640を備えなくてもよい。この場合には、ノズル側部材210にチューブを接着などで繋いでもよい。この場合には、ステップS106は実行されず、ステップS104の後にステップS108が実行されてもよい。
【0038】
図13は、第1の他の実施形態に係るヘッドユニット800の正面図である。ヘッドユニット800は、ノズル側部材210の上面を覆う薄板状の金属部材によって形成された供給側部材840を備える。供給側部材840は、第3部材の一例である。この供給側部材840は、内部にフィルター等を有さず、
図2に示す供給針246に代えて、+Z方向に円筒状の入口部846を備えている。この場合には、ヘッドユニット800の小型化が容易である。
【0039】
D2.第2の他の実施形態
上記実施形態において、ヘッドユニット200には、2つのノズル側部材210が設けられているが、3つ以上のノズル側部材210が設けられていてもよい。例えば、ヘッドユニット200は、Xh方向に配列された3つ以上のノズル側部材210を備えるラインヘッドであってもよい。この場合には、液体吐出装置100は、搬送機構22を有していないラインヘッド型のインクジェットプリンターであってもよい。
【0040】
D3.第3の他の実施形態
上記実施形態において、ヘッドユニット200、400、600は、試験用ヘッド300から製造されているが、ヘッドユニット200、400、600の製造方法はこれに限定されない。例えば、ヘッドユニット200、400、600は、試験用ヘッド300ではなく他の液体吐出装置に用いられる液体吐出ヘッドから製造されてもよい。この場合には、既存の液体吐出ヘッドからヘッドユニット200、400、600を製造できるので、製造コストが低減される。
【0041】
D4.第4の他の実施形態
上記実施形態における
図8の製造方法は、適宜変更可能である。例えば、製造方法において、ステップS102はなくてもよい。この場合には、吐出試験後に試験用ヘッド300からノズル側部材210のみ取り外して、ノズル側部材210のみが、ヘッドユニット200の製造工場に搬送されてもよい。
【0042】
D5.第5の他の実施形態
上記実施形態において、ヘッドユニット200、400、600は、2つのノズル面212がY方向において重ならない構造を有している。しかし、ヘッドユニット200、400、600の構造は、これに限定されない。例えば、ヘッドユニット200、400、600は、Y方向において2つのノズル面212が重なる構造を有していてもよい。
【0043】
D6.第6の他の実施形態
上記実施形態において、ヘッドユニット200、400、600は、弾性を有する樹脂によって形成された板状のシール部材228を有しているが、これに限定されない。ヘッドユニット200、400、600は、例えば、板状以外の形状のシール部材を有していてもよい。ヘッドユニット200、400、600は、具体的には、ノズル側部材210と供給側部材240との間での液体の流通を可能にする接続部を外側から内側に向って締め付ける弾性を有するリング状のシール部材を有していてもよい。
【0044】
以上説明した第1から第6の他の実施形態であっても、上記第1から第3実施形態と同様の構成を有する点において、同様の効果を奏する。
【0045】
D7.第7の他の実施形態
本開示は、インクを吐出する液体吐出装置に限らず、インク以外の他の液体を吐出する任意の液体吐出装置にも適用することができる。例えば、以下のような各種の液体吐出装置に本開示は適用可能である。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置。
(2)液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出装置。
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ(Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材吐出装置。
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を吐出する液体吐出装置。
(5)精密ピペットとしての試料吐出装置。
(6)潤滑油の吐出装置。
(7)樹脂液の吐出装置。
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置。
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置。
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を吐出する液体吐出装置。
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置。
【0046】
なお、「液体」とは、液体吐出装置が消費できるような材料であればよい。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であれば良く、粘性の高い又は低い液状態の材料、及び、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。液体の代表的な例としてはインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含するものとする。
【0047】
(1)本開示の一形態によれば、第1液体吐出ヘッドの一部を用いて、第2液体吐出ヘッドを製造する製造方法が提供される。この製造方法において、前記第1液体吐出ヘッドは、複数のノズル列が第1方向に配列されるようにして形成されたノズル面を含む第1部材と、前記ノズル列を構成する各ノズルへ液体を供給する流路を含む第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを固定する第1ネジと、を備え、前記第1部材の前記第1方向における寸法である第1寸法は、前記第2部材の前記第1方向における寸法である第2寸法よりも小さく、前記製造方法は、前記第1部材を複数並べる工程と、並べられた前記複数の第1部材を、キャリッジに固定する工程と、を備え、前記並べる工程で並べられた前記複数の第1部材のうち隣り合う2つの第1部材の前記第1方向における隙間の距離は、2つの前記第1液体吐出ヘッドを前記第1方向に密に並べた場合における2つの第1部材の前記第1方向における隙間の距離よりも、小さい。この形態によれば、第1液体吐出ヘッドを複数並べる場合と比べて、第1部材を高密度に配置した第2液体吐出ヘッドを製造することが可能である。
【0048】
(2)上記形態において、前記並べる工程において、前記複数の第1部材のうち隣り合う2つの第1部材の前記ノズル面の前記第1方向における隙間の距離は、1つの前記ノズル面の前記第1方向の寸法より小さくてもよい。この形態の製造方法によれば、第2液体吐出ヘッドの第1方向におけるノズルの密度を、第1液体吐出ヘッドの第1方向におけるノズルの密度より高くすることができる。
【0049】
(3)上記形態において、前記固定する工程は、前記第1部材と前記キャリッジとを第2ネジで固定する工程を含み、
前記第1部材と前記キャリッジとの固定に用いられる前記第1部材に形成されたネジ孔は、前記第1液体吐出ヘッドにおいて前記第1部材と前記第2部材との固定に用いられるネジ孔であってもよい。この形態の製造方法によれば、第1部材とキャリッジとを固定するためのネジ孔を別途設ける必要がない。したがって、ネジ孔を別途設ける場合と比べて、第2液体吐出ヘッドの製造コストを低減できる。
【0050】
(4)上記形態において、前記固定する工程は、前記第1部材を、前記キャリッジと前記第2ネジの頭部とによって挟むことによって、固定する工程を含んでもよい。この形態の製造方法によれば、キャリッジに対する第1部材の位置と、第1部材に対する第2ネジの頭部の位置とを同じにできる。したがって、キャリッジに対して第1部材側から第2ネジを固定できるので、ネジを固定する際の作業性が向上する。
【0051】
(5)上記形態において、前記製造方法は、さらに、前記並べる工程の前に、前記第1部材と前記第2部材とを固定する前記第1ネジを取り外す工程を備えてもよい。この形態の製造方法によれば、第1部材を並べる工程の前に、第1部材から第2部材を外すことができる。
【0052】
(6)上記形態において、前記製造方法は、さらに、前記第1ネジを取り外す工程の後に、前記ノズルへ液体を供給する流路を含む第3部材を前記第1部材に取り付ける工程を備えてもよい。この形態の製造方法によれば、第2液体吐出ヘッドにおいて、第3部材を介した第1部材への液体の供給を可能にすることができる。このため、この製造方法によって製造された第2液体吐出ヘッドは、第3部材に安定的に液体を供給しやすい。
【0053】
(7)上記形態において、前記第1方向における前記第3部材の寸法は、前記第1方向における前記第2部材の寸法よりも小さく、前記第3部材の数は、前記第1部材の数と同一であり、前記取り付ける工程は、複数の前記第3部材のそれぞれを、前記複数の第1部材のうち前記第3部材のそれぞれに対応する一の第1部材に固定する工程を含んでもよい。この形態の製造方法によれば、第3部材が小さいので、第3部材の製造が容易である。
【0054】
(8)上記形態において、前記第3部材は、前記第2部材より大きく、前記第3部材の数は、前記第1部材の数より少なく、前記取り付ける工程は、前記第3部材を、前記複数の第1部材のうちの少なくとも2つの前記第1部材にわたって固定してもよい。この形態の製造方法によれば、複数の第1部材に対して1回で第3部材を取り付けることができる。また、部品点数を削減することができる。
【0055】
(9)上記形態において、前記第3部材の流路は、分岐してもよい。この形態の製造方法によれば、第3部材は分岐するので、第3部材部材に形成される流路への入口を少なくできる。これにより、第3部材の小型化が容易になる。
【0056】
(10)上記形態において、前記第3部材は、前記第3部材の流路の入口が形成される入口部材を3つ以上備え、前記3つ以上の入口部材は、前記第3部材の外壁面のうち、前記ノズル面と反対の面において、二次元的に配置されていてもよい。この形態の製造方法によれば、直線的に入口部材が配置される場合と比べて、一方向における第3部材の大きさを小さくすることが容易である。
【0057】
(11)上記形態において、前記ノズル面において、前記ノズル列が延びる方向を第2方向とし、前記第2方向に直交する一方向を第3方向として、前記第1部材は、前記第3方向に向いた複数の端子を備えるコネクターを有してもよい。この形態の製造方法によれば、コネクターを用いて外部との電気的な接続が可能な第2液体吐出ヘッドを製造することができる。
【0058】
(12)上記形態において、前記ノズル面において、前記ノズル列の前記第2方向における長さは、前記コネクター内の前記複数の端子の第3方向の長さよりも、長くてもよい。この形態の製造方法によれば、ノズル列を長くすることができる。これにより、第2液体吐出ヘッドは、広範囲への液体の吐出が可能である。また、コネクターに起因した第2方向における第2液体吐出ヘッドの寸法の増大を抑制できる。
【0059】
(13)上記形態において、前記第1液体吐出ヘッドは、さらに、前記第1部材と前記第2部材とに挟まれる弾性体を備えてもよい。この形態の製造方法によれば、第2液体吐出ヘッドにおける第1部材と第2部材との間でのシール性を向上されることができる。
【0060】
本開示は、液体吐出ヘッドの製造方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、液体吐出ヘッドの製造プログラムや、液体吐出ヘッドを含む液体吐出装置の製造方法や製造プログラム等の形態で実現することができる。
【0061】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
12…媒体、14…液体収容容器、20…制御部、22…搬送機構、23…搬送ベルト、24…ヘッド移動機構、25…キャリッジ、36…ノズル、36s…ノズル列、100…液体吐出装置、142…チューブ、200…ヘッドユニット、201…供給側上面、202…供給側下面、205…サブユニット、210…ノズル側部材、212…ノズル面、218…接続口部、220…コネクター、222…端子部、228…シール部材、229…貫通口、230…固定部材、240…供給側部材、246…供給針、260…ネジ、300…試験用ヘッド、328…シール部材、340…試験用部材、360…ネジ、390…液体吐出ヘッド、400…ヘッドユニット、405…サブユニット、412…供給流路、414…分岐流路、416…開口、440…供給側部材、446…供給針、600…ヘッドユニット、640…供給側部材、800…ヘッドユニット、840…供給側部材、846…入口部