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特許7400434画像検査装置、画像形成装置、画像検査方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】画像検査装置、画像形成装置、画像検査方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20231212BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20231212BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20231212BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231212BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231212BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J29/00 Z
B41J29/42 F
G03G21/00 390
H04N1/00 838
H04N1/00 Z
B41J29/38 201
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019226911
(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公開番号】P2021094769
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 一慶
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-161345(JP,A)
【文献】特開2019-142172(JP,A)
【文献】国際公開第95/001043(WO,A1)
【文献】特開2015-094675(JP,A)
【文献】特開2019-132661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
G03G 21/00
H01N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部により画像が形成されたシートを読み取って読取画像を生成する画像読取部と、
前記読取画像の画像検査に用いられる基準画像を記憶する記憶部と、
前記画像形成部の処理対象となる印刷ジョブにパスワードが設定されている場合に、操作者に前記印刷ジョブに対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードと当該印刷ジョブに設定されたパスワードとが一致したときに、前記画像形成部による当該印刷ジョブに係る画像形成を許可し、
前記基準画像にパスワードが設定されている場合に、操作者に前記基準画像に対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードと当該基準画像に設定されたパスワードとが一致したときに、当該基準画像を用いた画像検査を許可する制御部と、
を備える画像検査装置であって、
前記制御部は、前記基準画像に設定されたパスワードが前記印刷ジョブに設定されたパスワードと一致する場合に、前記印刷ジョブに対して受け付けたパスワードと当該印刷ジョブに設定されたパスワードとが一致したことを条件として、前記基準画像に対するパスワードの入力を要求することなく、当該基準画像を用いた画像検査を許可する画像検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記基準画像に設定されたパスワードが前記印刷ジョブに設定されたパスワードと一致しない場合に、操作者に前記基準画像に対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードに基づいて当該基準画像を用いた画像検査を許可するか否かを判断する請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記印刷ジョブにパスワードが設定されていない場合に、前記パスワードが設定された基準画像を用いた画像検査を禁止する請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記印刷ジョブにパスワードが設定されていない場合に、操作者に前記パスワードが設定された基準画像に対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードに基づいて当該基準画像を用いた画像検査を許可するか否かを判断する請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている基準画像の一覧を表示部に表示させる際に、パスワードが設定されている基準画像のプレビュー表示を禁止する請求項1からのいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている基準画像の一覧を表示部に表示させる際に、パスワードが設定されている基準画像について、当該基準画像に対して受け付けたパスワードと当該基準画像に設定されたパスワードとが一致した基準画像のプレビュー表示を許可する請求項1からのいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の画像検査装置と、
前記画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【請求項8】
画像形成部により画像が形成されたシートを読み取って読取画像を生成する画像読取部と、前記読取画像の画像検査に用いられる基準画像を記憶する記憶部と、制御部と、を備える画像検査装置における画像検査方法であって、
前記制御部により、前記画像形成部の処理対象となる印刷ジョブにパスワードが設定されている場合に、操作者に前記印刷ジョブに対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードと当該印刷ジョブに設定されたパスワードとが一致したときに、前記画像形成部による当該印刷ジョブに係る画像形成を許可する工程と、
前記制御部により、前記基準画像にパスワードが設定されている場合に、操作者に前記基準画像に対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードと当該基準画像に設定されたパスワードとが一致したときに、当該基準画像を用いた画像検査を許可する工程と、
前記制御部により、前記基準画像に設定されたパスワードが前記印刷ジョブに設定されたパスワードと一致する場合に、前記印刷ジョブに対して受け付けたパスワードと当該印刷ジョブに設定されたパスワードとが一致したことを条件として、前記基準画像に対するパスワードの入力を要求することなく、当該基準画像を用いた画像検査を許可する工程と、
を含む画像検査方法。
【請求項9】
画像形成部により画像が形成されたシートを読み取って読取画像を生成する画像読取部と、前記読取画像の画像検査に用いられる基準画像を記憶する記憶部と、を備える画像検査装置のコンピューターに、
前記画像形成部の処理対象となる印刷ジョブにパスワードが設定されている場合に、操作者に前記印刷ジョブに対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードと当該印刷ジョブに設定されたパスワードとが一致したときに、前記画像形成部による当該印刷ジョブに係る画像形成を許可する工程と、
前記基準画像にパスワードが設定されている場合に、操作者に前記基準画像に対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードと当該基準画像に設定されたパスワードとが一致したときに、当該基準画像を用いた画像検査を許可する工程と、
前記基準画像に設定されたパスワードが前記印刷ジョブに設定されたパスワードと一致する場合に、前記印刷ジョブに対して受け付けたパスワードと当該印刷ジョブに設定されたパスワードとが一致したことを条件として、前記基準画像に対するパスワードの入力を要求することなく、当該基準画像を用いた画像検査を許可する工程と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置、画像形成装置、画像検査方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置における印刷物の画像品質や汚れ付着の有無の確認を目的として、画像検査が行われている。画像検査では、予め基準画像(正解画像)を保存しておき、画像が形成された用紙等のシートを画像読取装置で読み取って得られた読取画像を基準画像と比較して、印刷欠陥の有無を判定している。
【0003】
画像検査において欠陥ありと判定された場合、欠陥原因を特定するために、欠陥が検知されたページのデータを第三者(装置のメーカー等)に閲覧させる場合がある。その際、検査対象の画像中に含まれる個人情報等の開示を制限すべき領域については、暗号化等の処理が望まれるが、メーカー等に欠陥内容を知らせるためには、その部分を暗号化せずに開示する必要がある。解決策として、画像検査において、開示を制限すべき領域に含まれる画素が欠陥として判定された場合、その画素の暗号化をキャンセルする技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、セキュリティー保護の観点から、印刷ジョブにパスワードを設定する場合がある。このようなジョブの印刷を実行するためには、画像形成装置でパスワード認証を行う必要がある。
【0005】
ところで、印刷ジョブにパスワードが設定され、印刷ジョブ自体がパスワードで保護されている場合においても、画像検査に用いる基準画像が公開されていたのでは、ジョブの内容を第三者に知られてしまう。例えば、画像検査を実行するにあたり、登録されている基準画像の一覧の中から画像検査に用いる基準画像を選択する際に、各基準画像のプレビュー画像が表示される場合がある。そこで、基準画像に対しても、パスワードを設定することが考えられる。基準画像にパスワードが設定されると、パスワード認証後、基準画像を用いた画像検査が実行可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-200066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、印刷ジョブに対して設定されたパスワードと、基準画像に対して設定されたパスワードのそれぞれについて、操作者がパスワードを入力して認証を行う場合、操作が煩雑であり、手間がかかるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、効率良く基準画像に対するセキュリティーを保護することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像形成部により画像が形成されたシートを読み取って読取画像を生成する画像読取部と、前記読取画像の画像検査に用いられる基準画像を記憶する記憶部と、前記画像形成部の処理対象となる印刷ジョブにパスワードが設定されている場合に、操作者に前記印刷ジョブに対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードと当該印刷ジョブに設定されたパスワードとが一致したときに、前記画像形成部による当該印刷ジョブに係る画像形成を許可し、前記基準画像にパスワードが設定されている場合に、操作者に前記基準画像に対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードと当該基準画像に設定されたパスワードとが一致したときに、当該基準画像を用いた画像検査を許可する制御部と、を備える画像検査装置であって、前記制御部は、前記基準画像に設定されたパスワードが前記印刷ジョブに設定されたパスワードと一致する場合に、前記印刷ジョブに対して受け付けたパスワードと当該印刷ジョブに設定されたパスワードとが一致したことを条件として、前記基準画像に対するパスワードの入力を要求することなく、当該基準画像を用いた画像検査を許可する
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の画像検査装置において、前記制御部は、前記基準画像に設定されたパスワードが前記印刷ジョブに設定されたパスワードと一致しない場合に、操作者に前記基準画像に対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードに基づいて当該基準画像を用いた画像検査を許可するか否かを判断する
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の画像検査装置において、前記制御部は、前記印刷ジョブにパスワードが設定されていない場合に、前記パスワードが設定された基準画像を用いた画像検査を禁止する。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の画像検査装置において、前記制御部は、前記印刷ジョブにパスワードが設定されていない場合に、操作者に前記パスワードが設定された基準画像に対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードに基づいて当該基準画像を用いた画像検査を許可するか否かを判断する
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の画像検査装置において、前記制御部は、前記記憶部に記憶されている基準画像の一覧を表示部に表示させる際に、パスワードが設定されている基準画像のプレビュー表示を禁止する。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の画像検査装置において、前記制御部は、前記記憶部に記憶されている基準画像の一覧を表示部に表示させる際に、パスワードが設定されている基準画像について、当該基準画像に対して受け付けたパスワードと当該基準画像に設定されたパスワードとが一致した基準画像のプレビュー表示を許可する。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の画像検査装置と、前記画像形成部と、を備える画像形成装置である。
【0017】
請求項に記載の発明は、画像形成部により画像が形成されたシートを読み取って読取画像を生成する画像読取部と、前記読取画像の画像検査に用いられる基準画像を記憶する記憶部と、制御部と、を備える画像検査装置における画像検査方法であって、前記制御部により、前記画像形成部の処理対象となる印刷ジョブにパスワードが設定されている場合に、操作者に前記印刷ジョブに対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードと当該印刷ジョブに設定されたパスワードとが一致したときに、前記画像形成部による当該印刷ジョブに係る画像形成を許可する工程と、前記制御部により、前記基準画像にパスワードが設定されている場合に、操作者に前記基準画像に対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードと当該基準画像に設定されたパスワードとが一致したときに、当該基準画像を用いた画像検査を許可する工程と、前記制御部により、前記基準画像に設定されたパスワードが前記印刷ジョブに設定されたパスワードと一致する場合に、前記印刷ジョブに対して受け付けたパスワードと当該印刷ジョブに設定されたパスワードとが一致したことを条件として、前記基準画像に対するパスワードの入力を要求することなく、当該基準画像を用いた画像検査を許可する工程と、を含む。
【0018】
請求項に記載の発明は、画像形成部により画像が形成されたシートを読み取って読取画像を生成する画像読取部と、前記読取画像の画像検査に用いられる基準画像を記憶する記憶部と、を備える画像検査装置のコンピューターに、前記画像形成部の処理対象となる印刷ジョブにパスワードが設定されている場合に、操作者に前記印刷ジョブに対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードと当該印刷ジョブに設定されたパスワードとが一致したときに、前記画像形成部による当該印刷ジョブに係る画像形成を許可する工程と、前記基準画像にパスワードが設定されている場合に、操作者に前記基準画像に対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードと当該基準画像に設定されたパスワードとが一致したときに、当該基準画像を用いた画像検査を許可する工程と、前記基準画像に設定されたパスワードが前記印刷ジョブに設定されたパスワードと一致する場合に、前記印刷ジョブに対して受け付けたパスワードと当該印刷ジョブに設定されたパスワードとが一致したことを条件として、前記基準画像に対するパスワードの入力を要求することなく、当該基準画像を用いた画像検査を許可する工程と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、効率良く基準画像に対するセキュリティーを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施の形態における画像検査システムのシステム構成図である。
図2】基準画像管理テーブルのデータ構成を示す図である。
図3】画像形成装置により実行される基準画像登録処理を示すフローチャートである。
図4】JDFコマンドを用いたパスワード設定の例を示す図である。
図5】基準画像一覧表示処理を示すフローチャートである。
図6】基準画像一覧表示画面の例である。
図7】パスワードが設定された基準画像に対してプレビュー表示が許可された後の基準画像一覧表示画面の例である。
図8】画像形成装置により実行される本番印刷処理を示すフローチャートである。
図9】画像形成装置により実行される本番印刷処理を示すフローチャートである。
図10】基準画像選択画面の例である。
図11】基準画像のパスワード入力画面が表示された基準画像選択画面の例である。
図12】パスワード認証が行われた後の基準画像選択画面の例である。
図13】第2の実施の形態における本番印刷処理の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の範囲は、実施の形態や図示例に限定されるものではない。
【0022】
[第1の実施の形態]
図1に、本発明の第1の実施の形態における画像検査システム100のシステム構成を示す。画像検査システム100は、クライアントPC(Personal Computer)10と、画像形成装置20と、を備えて構成され、各装置は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNを介してデータ通信可能に接続されている。
【0023】
クライアントPC10は、画像形成装置20に対して印刷ジョブを送信する。
クライアントPC10は、制御部11、表示部12、操作部13、通信部14、記憶部15等を備える。
【0024】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113等により構成され、クライアントPC10内の各部を制御する。CPU111は、ROM112又は記憶部15に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM113に展開し、展開されたプログラムに従って、各種処理を実行する。ROM112は、各種プログラム及び各種データを記憶する読み出し専用のメモリーである。RAM113は、作業領域として、一時的にプログラムやデータを記憶する。
【0025】
表示部12は、LCD(Liquid Crystal Display)のモニターを備えて構成されており、制御部11から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0026】
操作部13は、カーソルキー、文字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部11に出力する。
【0027】
通信部14は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークNを介して接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0028】
記憶部15は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。例えば、記憶部15には、プリンタードライバープログラムが記憶されている。CPU111は、プリンタードライバープログラムとの協働により、表示部12に印刷設定項目等を表示させ、操作部13から各種印刷設定を受け付け、通信部14を介して、画像形成装置20に印刷ジョブを送信する(ジョブ投入)。
【0029】
画像形成装置20は、シートとしての用紙に画像を形成するとともに、用紙上に形成された画像を読み取り、画像検査を行う。
画像形成装置20は、制御部21、表示部22、操作部23、通信部24、記憶部25、用紙搬送部26、画像形成部27、画像読取部28、画像検査部29等を備える。
【0030】
制御部21は、CPU211、ROM212、RAM213等により構成され、画像形成装置20内の各部を制御する。CPU211は、ROM212又は記憶部25に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM213に展開し、展開されたプログラムに従って、各種処理を実行する。ROM212は、各種プログラム及び各種データを記憶する読み出し専用のメモリーである。RAM213は、作業領域として、一時的にプログラムやデータを記憶する。
【0031】
表示部22は、LCD等により構成されており、制御部21から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0032】
操作部23は、ハードキーや、表示部22に積層されたタッチパネルにより構成され、操作者による操作入力を受け付け、入力された操作信号を制御部21に出力する。
【0033】
通信部24は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークNを介して接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0034】
記憶部25は、HDDや不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。例えば、記憶部25には、読取画像の画像検査に用いられる基準画像の画像データが記憶される。また、記憶部25には、基準画像管理テーブルT1が記憶される。
【0035】
図2に、基準画像管理テーブルT1のデータ構成を示す。基準画像管理テーブルT1には、基準画像ごとに、ファイル名、保存日時、パスワードの有無、パスワード等が対応付けられて格納されている。
「ファイル名」フィールドには、基準画像のファイル名が格納される。
「保存日時」フィールドには、基準画像が保存された日時が格納される。
「パスワードの有無」フィールドには、基準画像にパスワードが設定されているか否かを示す情報が格納される。基準画像にパスワードが設定されている場合には「有」、基準画像にパスワードが設定されていない場合には「無」となる。
「パスワード」フィールドには、基準画像にパスワードが設定されている場合に、パスワードが格納される。
【0036】
用紙搬送部26は、用紙を搬送するための搬送ローラーを備え、画像形成装置20内において用紙を搬送する。
【0037】
画像形成部27は、印刷用の画像データに基づいて、用紙上に画像を形成する。例えば、画像形成部27は、電子写真方式の画像形成を行うものであり、感光体ドラム、感光体ドラムを帯電させる帯電部、画像データに基づいて感光体ドラム表面を露光走査する露光部、感光体ドラムにトナーを付着させる現像部、感光体ドラム上に形成されたトナー像を用紙に転写する転写部、用紙上に形成されたトナー像を定着させる定着部等から構成される。
【0038】
画像読取部28は、用紙搬送方向において画像形成部27の下流側に設けられたインラインスキャナーであり、画像形成部27により画像が形成された用紙を読み取って読取画像を生成する。画像読取部28は、光源から射出され用紙の表面で反射した光を受光素子で受光し、光の強度に応じた信号を出力する。
【0039】
画像検査部29は、画像読取部28により生成された読取画像と基準画像とに基づいて画像検査を行う。画像検査部29は、読取画像と基準画像との照合を行い、画像形成部27により形成された画像の色、位置、汚れ等を検査する。具体的には、画像検査部29は、読取画像と基準画像とを比較し、両画像の差分が所定値以上の場合に、異常があると判断する。画像検査部29は、ROM212又は記憶部25に記憶されたプログラムとCPU211との協働によってソフトウェア処理で実現される。
【0040】
画像形成装置20において、クライアントPC10から送信された印刷ジョブのデータを通信部24により受信すると、制御部21は、画像形成部27を制御して、用紙上に印刷ジョブに基づく画像を形成させる。制御部21は、印刷ジョブにパスワードが設定されている場合には、印刷前に、印刷ジョブに対するパスワードの入力を要求し、パスワード認証を行う。制御部21は、操作者から受け付けたパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致する場合に、画像形成部27による画像形成を許可する。
【0041】
画像形成装置20の制御部21、記憶部25、画像読取部28、画像検査部29により、画像検査装置が構成される。
【0042】
<基準画像の登録>
画像検査の準備段階として、予め基準画像を作成しておく。画像形成装置20において、制御部21は、画像形成部27を制御して、用紙上に印刷ジョブに基づく画像を形成させ、画像読取部28を制御して、印刷済み用紙を読み取らせ、基準画像(読取画像)を生成させる(確認印刷)。操作者が印刷済み用紙を目視で確認し、意図通りの印刷内容となっているかを判断する。確認印刷結果に問題がなければ、制御部21は、画像読取部28で読み取った読取画像を基準画像として採用し、基準画像を記憶部25に記憶させる。この基準画像は、画像検査部29における画像検査に用いられる。
【0043】
制御部21は、画像形成部27の処理対象となる印刷ジョブにパスワードが設定されているか否かを判定する。
例えば、制御部21は、印刷ジョブに係る印刷データに設定されているパスワードを取得することで、印刷ジョブにパスワードが設定されていると判定する。
また、制御部21は、印刷ジョブに係る印刷設定にパスワードが含まれることで、印刷ジョブにパスワードが設定されていると判定する。
【0044】
制御部21は、印刷ジョブにパスワードが設定されている場合に、当該印刷ジョブの画像検査に用いられる基準画像にもパスワードを設定する。
制御部21は、基準画像にパスワードを設定する際に、第1のパスワード設定モードが指定されている場合には、印刷ジョブに設定されているパスワードと同じものを基準画像に設定する。
制御部21は、基準画像にパスワードを設定する際に、第2のパスワード設定モードが指定されている場合には、操作者に基準画像に対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードを基準画像に設定する。
なお、操作者により、予め第1のパスワード設定モード、又は、第2のパスワード設定モードのいずれかが指定されており、パスワード設定モードの指定内容は、記憶部25に記憶されている。
【0045】
新たに基準画像を登録した後、制御部21は、記憶部25に記憶されている基準画像の一覧を表示部22に表示させる。
制御部21は、第1のプレビュー制御モードが指定されている場合には、記憶部25に記憶されている基準画像の一覧を表示部22に表示させる際に、パスワードが設定されている基準画像のプレビュー表示を禁止する。
制御部21は、第2のプレビュー制御モードが指定されている場合には、記憶部25に記憶されている基準画像の一覧を表示部22に表示させる際に、パスワードが設定されている基準画像について、当該基準画像に設定されているパスワードが印刷ジョブに設定されているパスワードと一致する場合に、当該基準画像のプレビュー表示を許可する。
なお、操作者により、予め第1のプレビュー制御モード、又は、第2のプレビュー制御モードのいずれかが指定されており、プレビュー制御モードの指定内容は、記憶部25に記憶されている。
【0046】
<登録された基準画像の使用>
制御部21は、パスワードが設定された基準画像を用いて画像検査を行う場合に、画像形成部27の処理対象となる印刷ジョブに設定されたパスワードと、当該基準画像に設定されたパスワードと、により認証を行う。
【0047】
制御部21は、基準画像に設定されたパスワードが印刷ジョブに設定されたパスワードと一致する場合に、当該基準画像を用いた画像検査を許可する。
制御部21は、基準画像に設定されたパスワードが印刷ジョブに設定されたパスワードと一致しない場合に、操作者に基準画像に対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードで認証を行う。
【0048】
制御部21は、印刷ジョブにパスワードが設定されていない場合に、パスワードが設定された基準画像を用いた画像検査を禁止する。
【0049】
画像検査に用いる基準画像を選択させる際に、制御部21は、記憶部25に記憶されている基準画像の一覧を表示部22に表示させる。
制御部21は、記憶部25に記憶されている基準画像の一覧を表示部22に表示させる際に、パスワードが設定されている基準画像のプレビュー表示を禁止する。
制御部21は、記憶部25に記憶されている基準画像の一覧を表示部22に表示させる際に、パスワードが設定されている基準画像について、パスワードで認証された基準画像のプレビュー表示を許可する。
【0050】
次に、画像形成装置20における動作について説明する。
図3は、画像形成装置20により実行される基準画像登録処理を示すフローチャートである。基準画像登録処理は、基準画像を作成し、登録する処理である。
【0051】
まず、通信部24により、基準画像を登録したい印刷ジョブをクライアントPC10から受信すると、制御部21は、画像形成部27の処理対象となる印刷ジョブにパスワードが設定されているか否かを判定する(ステップS1)。
印刷ジョブにパスワードが設定されているか否かの判定方法として、以下、2通りの例を示す。
【0052】
(1)印刷データ自体にパスワードが設定されている場合
制御部21は、印刷ジョブに係る印刷データにパスワードが設定されているか否かに応じて、印刷ジョブにパスワードが設定されているか否かを判定する。
例えば、原稿がPDFファイルであり、PDFファイル自体にパスワードが付与され得る場合には、制御部21がPDFファイルを参照する際に、パスワードの有無を知ることができる。
【0053】
(2)印刷設定にパスワードが設定されている場合
制御部21は、印刷ジョブに係る印刷設定にパスワードが含まれるか否かに応じて、印刷ジョブにパスワードが設定されているか否かを判定する。
制御部21は、印刷設定の記述を参照する際に、パスワードの有無を知ることができる。印刷設定として、PJL(Print Job Language)やJDF(Job Definition Format)といった印刷ジョブの制御コマンドが用いられる。
【0054】
図4に、JDFコマンドを用いたパスワード設定の例を示す。JDFとは、CIP4(The International Cooperation for the Integration of Processes in Prepress, Press and Postpress Organization)により定義された印刷業界標準の規格であり、図4に示すようなXML形式で印刷設定30が記載されている。図4では、JDFの「JDF/ResourcePool/RunList/LayoutElement/FileSpec」に記載されたコマンドにて、「PrintData.pdf」という印刷対象のPDFファイル31と、それに対応する「password」というパスワード32が指定されている。制御部21は、このJDFを解析し、パスワード設定の記載を検出することで、この印刷ジョブにパスワードが設定されていることを知ることができる。
【0055】
ステップS1において、印刷ジョブにパスワードが設定されている場合には(ステップS1;YES)、制御部21は、印刷ジョブのパスワード入力画面を表示部22に表示させて、操作者に印刷ジョブに対するパスワードの入力を要求し、操作部23から入力されるパスワードを受け付ける(ステップS2)。
【0056】
次に、制御部21は、操作部23から入力されたパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致するか否かを判定する(ステップS3)。ステップS2で入力されたパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致しない場合には(ステップS3;NO)、ステップS2に戻り、処理を繰り返す。
【0057】
ステップS3において、ステップS2で入力されたパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致する場合(ステップS3;YES)、又は、ステップS1において、印刷ジョブにパスワードが設定されていない場合には(ステップS1;NO)、制御部21は、画像形成部27を制御して、印刷ジョブに係る印刷データに基づいて、基準画像作成用画像を用紙に印刷させる(ステップS4)。
【0058】
次に、制御部21は、画像読取部28を制御して、基準画像作成用画像が形成された印刷済み用紙を読み取らせ、基準画像を生成させる(ステップS5)。
【0059】
次に、制御部21は、印刷ジョブにパスワードが設定されているか否かを判定する(ステップS6)。印刷ジョブにパスワードが設定されているか否かの判定方法は、ステップS1と同様である。なお、ステップS1における判定結果を利用することとしてもよい。
【0060】
印刷ジョブにパスワードが設定されている場合には(ステップS6;YES)、制御部21は、基準画像に対するパスワードを生成する(ステップS7~ステップS9)。
具体的には、まず、制御部21は、記憶部25に記憶されているパスワード設定モードを参照して、第1のパスワード設定モードが指定されているか、第2のパスワード設定モードが指定されているかを判定する(ステップS7)。
【0061】
第1のパスワード設定モードは、印刷ジョブに設定されているパスワードをそのまま使用するモードであり、PDFファイルに付与されているパスワードや、PJLやJDFから読み取ったパスワードをそのまま基準画像用のパスワードとして採用する。
第2のパスワード設定モードは、印刷ジョブに設定されているパスワードとは別に、新たにパスワードを生成するモードであり、セキュリティーレベルをより高めるため、操作者(画像検査のオペレーター)だけが把握できるような新たなパスワードを生成する。
【0062】
第1のパスワード設定モードが指定されている場合には(ステップS7;YES)、制御部21は、印刷ジョブに設定されているパスワードと同じパスワードを基準画像のパスワードとして生成し(ステップS8)、生成したパスワードを基準画像に設定する(ステップS10)。
【0063】
ステップS7において、第1のパスワード設定モードが指定されていない場合(ステップS7;NO)、すなわち、第2のパスワード設定モードが指定されている場合には、制御部21は、基準画像のパスワード入力画面を表示部22に表示させて、操作者に基準画像に対して設定するパスワードの入力を要求し、操作部23から入力されるパスワードを受け付ける(ステップS9)。そして、制御部21は、操作部23から入力されたパスワードを基準画像に設定する(ステップS10)。
【0064】
ステップS10の後(印刷ジョブにパスワードが設定されており、基準画像にパスワードが設定された場合)、又は、ステップS6において、印刷ジョブにパスワードが設定されていない場合には(ステップS6;NO)、制御部21は、ステップS5で生成された基準画像を記憶部25に保存する(ステップS11)。
さらに、基準画像にパスワードが設定された場合には、制御部21は、記憶部25の基準画像管理テーブルT1に新規レコードを追加し、「ファイル名」フィールドに基準画像のファイル名を格納し、「保存日時」フィールドに基準画像の保存日時を格納し、「パスワードの有無」フィールドに「有」を格納し、「パスワード」フィールドに設定されたパスワードを格納する。
基準画像にパスワードが設定されていない場合には、制御部21は、記憶部25の基準画像管理テーブルT1に新規レコードを追加し、「ファイル名」フィールドに基準画像のファイル名を格納し、「保存日時」フィールドに基準画像の保存日時を格納し、「パスワードの有無」フィールドに「無」を格納する。
【0065】
次に、制御部21は、基準画像一覧表示処理を行う(ステップS12)。基準画像一覧表示処理は、記憶部25に記憶されている基準画像の一覧を表示部22に表示させる処理である。
【0066】
図5を参照して、基準画像一覧表示処理について説明する。
制御部21は、記憶部25に記憶されているプレビュー制御モードを参照して、第1のプレビュー制御モードが指定されているか、第2のプレビュー制御モードが指定されているかを判定する(ステップS21)。
【0067】
第1のプレビュー制御モードが指定されている場合には(ステップS21;YES)、制御部21は、記憶部25に記憶されている基準画像の一覧を表示部22に表示させるとともに、パスワードが設定されている基準画像のプレビュー表示を禁止する(ステップS22)。
【0068】
図6に、表示部22に表示される基準画像一覧表示画面221の例を示す。基準画像一覧表示画面221には、基準画像リスト表示領域40、「閉じる」ボタンB1等が含まれる。
【0069】
基準画像リスト表示領域40には、「ファイル名」欄40A、「保存日時」欄40B、「パスワード認証」欄40C、「サムネイル」欄40Dが含まれ、登録されている基準画像に関する情報が表示される。
制御部21は、記憶部25に記憶されている基準画像管理テーブルT1を参照し、基準画像ごとに、「ファイル名」欄40Aに基準画像のファイル名を表示させ、「保存日時」欄40Bに基準画像の保存日時を表示させる。また、制御部21は、基準画像管理テーブルT1において、該当する基準画像の「パスワードの有無」フィールドが「有」の場合には、「パスワード認証」欄40Cに「未」と表示させ、「サムネイル」欄40Dに「非公開」と表示させる。また、制御部21は、基準画像管理テーブルT1において、該当する基準画像の「パスワードの有無」フィールドが「無」の場合には、「パスワード認証」欄40Cに「-」と表示させ、「サムネイル」欄40Dに基準画像のサムネイル画像をプレビュー表示させる。
【0070】
また、基準画像リスト表示領域40には、「次ページ」ボタンB2が含まれる。「次ページ」ボタンB2は、基準画像リスト表示領域40において、次のページへの遷移を指示するためのボタンである。
【0071】
基準画像一覧表示画面221の基準画像リスト表示領域40では、3番目の「CC社納入データ」というファイル名の基準画像41に対してパスワードが設定されており、「パスワード認証」欄40Cにパスワードが未認証であることを示す「未」が表示され、「サムネイル」欄40Dにおいて「CC社納入データ」のプレビュー表示が禁止されている。
「閉じる」ボタンB1は、基準画像一覧表示画面221を閉じるためのボタンである。
【0072】
ステップS21において、第1のプレビュー制御モードが指定されていない場合(ステップS21;NO)、すなわち、第2のプレビュー制御モードが指定されている場合には、制御部21は、記憶部25に記憶されている基準画像の一覧を表示部22に表示させるとともに、パスワードが設定されていない基準画像のみをプレビュー表示させる(ステップS23)。
この段階では、表示部22に表示される基準画像一覧表示画面は、図6と同様である。
【0073】
ここで、制御部21は、プレビュー画像が表示されていない(プレビュー非表示の)基準画像のうち、基準画像に設定されているパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致するものがあるか否かを判定する(ステップS24)。ここで、「印刷ジョブに設定されているパスワード」とは、ステップS1,S6において、印刷ジョブにパスワードが設定されていると判定された場合の、印刷ジョブに設定されているパスワードのことである。
【0074】
プレビュー非表示の基準画像のうち、基準画像に設定されているパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致するものがある場合には(ステップS24;YES)、制御部21は、表示部22に表示されている基準画像の一覧において、印刷ジョブと同じパスワードが設定されている基準画像のプレビュー表示を許可する(ステップS25)。プレビュー表示が許可された基準画像は、ステップS8で、印刷ジョブに設定されているパスワードがそのまま基準画像のパスワードとして生成された基準画像である。
【0075】
図7に、パスワードが設定された基準画像に対してプレビュー表示が許可された後の基準画像一覧表示画面222の例を示す。基準画像一覧表示画面222の基準画像リスト表示領域40では、3番目の「CC社納入データ」というファイル名の基準画像41について、「パスワード認証」欄40Cが「済」に変更され、「サムネイル」欄40Dに基準画像41のサムネイル画像がプレビュー表示されている。
【0076】
ステップS24において、基準画像に設定されているパスワードで、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致するものがない場合(ステップS24;NO)、ステップS22又はステップS25の後、基準画像一覧表示処理が終了し、基準画像登録処理も終了する。
【0077】
図8及び図9は、画像形成装置20により実行される本番印刷処理を示すフローチャートである。本番印刷処理は、印刷ジョブに係る本番印刷を開始するにあたり、画像検査を開始可能とするまでの処理である。
【0078】
まず、通信部24により、画像形成部27の処理対象となる印刷ジョブをクライアントPC10から受信すると、制御部21は、印刷ジョブにパスワードが設定されているか否かを判定する(ステップS31)。印刷ジョブにパスワードが設定されているか否かの判定方法は、基準画像登録処理(図3参照)のステップS1と同様である。
【0079】
印刷ジョブにパスワードが設定されている場合には(ステップS31;YES)、制御部21は、印刷ジョブのパスワード入力画面を表示部22に表示させて、操作者に印刷ジョブに対するパスワードの入力を要求し、操作部23から入力されるパスワードを受け付ける(ステップS32)。
【0080】
次に、制御部21は、操作部23から入力されたパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致するか否かを判定する(ステップS33)。ステップS32で入力されたパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致しない場合には(ステップS33;NO)、ステップS32に戻り、処理を繰り返す。
【0081】
ステップS33において、ステップS32で入力されたパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致する場合には(ステップS33;YES)、制御部21は、記憶部25に記憶されている基準画像の一覧を表示部22に表示させるとともに、パスワードが設定されている基準画像のプレビュー表示を禁止する(ステップS34)。
【0082】
図10に、表示部22に表示される基準画像選択画面223の例を示す。基準画像選択画面223には、基準画像リスト表示領域50、「キャンセル」ボタンB11、「OK」ボタンB12等が含まれる。
【0083】
基準画像リスト表示領域50には、「ファイル名」欄50A、「保存日時」欄50B、「パスワード認証」欄50C、「サムネイル」欄50Dが含まれ、登録されている基準画像に関する情報が表示される。
基準画像リスト表示領域50の表示方法については、基準画像一覧表示画面221(図6参照)の基準画像リスト表示領域40と同様である。
【0084】
また、基準画像リスト表示領域50には、「次ページ」ボタンB13が含まれる。「次ページ」ボタンB13は、基準画像リスト表示領域50において、次のページへの遷移を指示するためのボタンである。
【0085】
基準画像選択画面223の基準画像リスト表示領域50では、3番目の「CC社納入データ」というファイル名の基準画像51に対してパスワードが設定されており、「パスワード認証」欄50Cにパスワードが未認証であることを示す「未」が表示され、「サムネイル」欄50Dにおいて「CC社納入データ」のプレビュー表示が禁止されている。
「キャンセル」ボタンB11は、基準画像の選択をキャンセルするためのボタンである。
「OK」ボタンB12は、基準画像の選択を確定させるためのボタンである。
【0086】
図10に示す基準画像選択画面223は、基準画像が選択されていない状態であるため、「OK」ボタンB12はグレーアウトされて操作できなくなっており、画像検査の実行は許可されていない。
【0087】
表示部22に表示されている基準画像の一覧において、操作者により操作部23から基準画像のいずれかが選択されると(ステップS35)、制御部21は、選択された基準画像にパスワードが設定されているか否かを判定する(ステップS36)。具体的には、制御部21は、記憶部25の基準画像管理テーブルT1において、選択された基準画像に対応するレコードの「パスワードの有無」フィールドが「有」であるか否かを判定する。
【0088】
選択された基準画像にパスワードが設定されている場合には(ステップS36;YES)、制御部21は、記憶部25の基準画像管理テーブルT1において、選択された基準画像に対応するレコードの「パスワード」フィールドから、基準画像に設定されているパスワードを取得する(ステップS37)。
【0089】
次に、制御部21は、基準画像に設定されているパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致するか否かを判定する(ステップS38)。
基準画像に設定されているパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致する場合は、基準画像登録処理(図3参照)のステップS8で、印刷ジョブに設定されているパスワードをそのまま基準画像のパスワードとして生成した場合に対応している。
一方、基準画像に設定されているパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致しない場合は、基準画像登録処理のステップS9で、基準画像用のパスワードを新たに受け付けた場合に対応している。
【0090】
基準画像に設定されているパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致しない場合には(ステップS38;NO)、制御部21は、基準画像のパスワード入力画面を表示部22に表示させて、操作者に基準画像に対するパスワードの入力を要求し、操作部23から入力されるパスワードを受け付ける(ステップS39)。
【0091】
図10に示す基準画像選択画面223の基準画像リスト表示領域50において、3番目の「CC社納入データ」というファイル名の基準画像51が選択されると、図11に示す基準画像選択画面224のように、基準画像のパスワード入力画面60が表示される。基準画像のパスワード入力画面60には、パスワード入力領域61、「キャンセル」ボタンB21、「OK」ボタンB22が含まれる。
パスワード入力領域61は、基準画像51のパスワードを入力するための領域である。
「キャンセル」ボタンB21は、パスワードの入力をキャンセルするためのボタンである。
「OK」ボタンB22は、パスワード入力領域61に入力されたパスワードを確定させるためのボタンである。
【0092】
基準画像のパスワード入力画面60において、操作者は、操作部23からの操作により、パスワード入力領域61に基準画像51のパスワードを入力した後、「OK」ボタンB22を押下する。
【0093】
次に、制御部21は、操作部23から入力されたパスワードが、基準画像に設定されているパスワードと一致するか否かを判定する(ステップS40)。ステップS39で入力されたパスワードが、基準画像に設定されているパスワードと一致しない場合には(ステップS40;NO)、ステップS39に戻り、処理を繰り返す。
【0094】
ステップS40において、ステップS39で入力されたパスワードが、基準画像に設定されているパスワードと一致する場合には(ステップS40;YES)、制御部21は、基準画像のパスワード認証が成功したと判断し、選択された基準画像のプレビュー表示を許可する(ステップS41)。
【0095】
図12に、パスワード認証が行われた後の基準画像選択画面225の例を示す。基準画像選択画面225の基準画像リスト表示領域50では、3番目の「CC社納入データ」というファイル名の基準画像51について、「パスワード認証」欄50Cが「済」に変更され、「サムネイル」欄50Dに基準画像51のサムネイル画像がプレビュー表示されている。また、この基準画像51のパスワード認証が成功しているため、基準画像51の選択が有効となり、「OK」ボタンB12は活性化され、押下可能な状態となる。
【0096】
ステップS38において、基準画像に設定されているパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致する場合には(ステップS38;YES)、印刷ジョブに対するパスワード認証時(ステップS32、ステップS33)に、既にパスワード認証が済んでいるため、このタイミングでは新たな認証を行わない。制御部21は、基準画像のパスワード認証が成功したと判断し、選択された基準画像のプレビュー表示を許可する(ステップS41)。
【0097】
図10に示す基準画像選択画面223の基準画像リスト表示領域50において、3番目の「CC社納入データ」というファイル名の基準画像51が選択され、基準画像51に設定されているパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致する場合にも、図12に示すような基準画像選択画面225が表示される。
【0098】
ステップS41の後、又は、ステップS36において、選択された基準画像にパスワードが設定されていない場合には(ステップS36;NO)、制御部21は、画像検査部29による画像検査の開始可能状態へ移行する(ステップS42)。
画像検査の開始可能状態になると、制御部21は、画像形成部27に、印刷ジョブに基づく画像を形成させ(本番印刷)、画像読取部28に、用紙に形成された画像を読み取らせ(読取画像の生成)、画像検査部29に、選択された基準画像を用いて画像検査を行わせる。
【0099】
ステップS31において、印刷ジョブにパスワードが設定されていない場合には(ステップS31;NO)、図9に移行し、制御部21は、記憶部25に記憶されている基準画像の一覧を表示部22に表示させるとともに、パスワードが設定されている基準画像のプレビュー表示を禁止する(ステップS43)。
【0100】
表示部22に表示されている基準画像の一覧において、操作部23から基準画像のいずれかが選択されると(ステップS44)、制御部21は、選択された基準画像にパスワードが設定されているか否かを判定する(ステップS45)。処理の詳細については、ステップS36と同様である。
【0101】
選択された基準画像にパスワードが設定されている場合には(ステップS45;YES)、制御部21は、基準画像の選択を無効とし(ステップS46)、画像検査部29による画像検査を禁止する(ステップS47)。具体的には、制御部21は、パスワードが設定されていない印刷ジョブに対しては、表示部22に表示されている基準画像の一覧において、パスワードが設定されている基準画像がタッチされても、反応しない(選択を受け付けない、選択状態にさせない)こととする。すなわち、画面遷移や画面表示の変更は生じない。
【0102】
ステップS45において、選択された基準画像にパスワードが設定されていない場合には(ステップS45;NO)、画像検査部29による画像検査の開始可能状態へ移行する(ステップS48)。
ステップS42、ステップS47又はステップS48の後、本番印刷処理が終了する。
【0103】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、パスワードが設定された基準画像を用いて画像検査を行う場合に、印刷ジョブに設定されたパスワードと、基準画像に設定されたパスワードと、により認証を行うので、効率良く基準画像に対するセキュリティーを保護することができる。
【0104】
具体的には、基準画像に設定されたパスワードが印刷ジョブに設定されたパスワードと一致する場合に、基準画像を用いた画像検査を許可するので、基準画像に対しては、別途パスワードを入力する手間を省くことができ、効率的にパスワード認証を行うことができる。
【0105】
一方、基準画像に設定されたパスワードが印刷ジョブに設定されたパスワードと一致しない場合には、基準画像に対して設定されたパスワードで認証を行うことで、セキュリティーレベルをより高めることができる。
【0106】
また、印刷ジョブにパスワードが設定されていない場合に、パスワードが設定された基準画像を用いた画像検査を禁止することで、パスワードで保護されている基準画像の漏洩を防ぐことができる。
【0107】
また、画像検査に用いる基準画像の選択時、基準画像の一覧を表示させる際に、パスワードが設定されている基準画像のプレビュー表示を禁止することで、パスワードにより保護されている基準画像については公開を防ぎ、第三者からの閲覧を防止することができる。
【0108】
また、画像検査に用いる基準画像の選択時、基準画像の一覧を表示させる際に、パスワードが設定されている基準画像について、パスワードで認証された場合には、基準画像のプレビュー表示を許可することができる。
【0109】
[第2の実施の形態]
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態における画像検査システムは、第1の実施の形態に示した画像検査システム100と同様の構成であるため、図1を援用し、その構成については図示及び説明を省略する。以下、第2の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0110】
画像形成装置20の制御部21は、パスワードが設定された基準画像を用いて画像検査を行う際に、印刷ジョブにパスワードが設定されていない場合に、操作者に基準画像に対するパスワードの入力を要求し、受け付けたパスワードで認証を行う。制御部21は、操作者から受け付けたパスワードが、基準画像に設定されているパスワードと一致する場合に、画像検査部29による基準画像を用いた画像検査を許可する。
【0111】
第2の実施の形態における基準画像登録処理は、第1の実施の形態と同様である。
第2の実施の形態における本番印刷処理については、図8に示すステップS31において、印刷ジョブにパスワードが設定されている場合(ステップS31;YES)の処理は、第1の実施の形態と同様である。ステップS31において、印刷ジョブにパスワードが設定されていない場合には(ステップS31;NO)、図13に移行する。
【0112】
図13に示すように、制御部21は、記憶部25に記憶されている基準画像の一覧を表示部22に表示させるとともに、パスワードが設定されている基準画像のプレビュー表示を禁止する(ステップS51)。
【0113】
表示部22に表示されている基準画像の一覧において、操作部23から基準画像のいずれかが選択されると(ステップS52)、制御部21は、選択された基準画像にパスワードが設定されているか否かを判定する(ステップS53)。処理の詳細については、図8のステップS36と同様である。
【0114】
選択された基準画像にパスワードが設定されている場合には(ステップS53;YES)、制御部21は、基準画像のパスワード入力画面を表示部22に表示させて、操作者に基準画像に対するパスワードの入力を要求し、操作部23から入力されるパスワードを受け付ける(ステップS54)。パスワード入力画面については、図11に示した基準画像のパスワード入力画面60と同様である。
【0115】
次に、制御部21は、操作部23から入力されたパスワードが、基準画像に設定されているパスワードと一致するか否かを判定する(ステップS55)。ステップS54で入力されたパスワードが、基準画像に設定されているパスワードと一致しない場合には(ステップS55;NO)、ステップS54に戻り、処理を繰り返す。
【0116】
ステップS55において、ステップS54で入力されたパスワードが、基準画像に設定されているパスワードと一致する場合には(ステップS55;YES)、制御部21は、基準画像のパスワード認証が成功したと判断し、選択された基準画像のプレビュー表示を許可する(ステップS56)。
【0117】
ステップS56の後、又は、ステップS53において、選択された基準画像にパスワードが設定されていない場合には(ステップS53;NO)、制御部21は、画像検査部29による画像検査の開始可能状態へ移行する(ステップS57)。
以上で、第2の実施の形態における本番印刷処理が終了する。
【0118】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、印刷ジョブにパスワードが設定されている場合には、第1の実施の形態と同様、パスワードが設定された基準画像を用いて画像検査を行うときに、印刷ジョブに設定されたパスワードと、当該基準画像に設定されたパスワードと、により認証を行うので、効率良く基準画像に対するセキュリティーを保護することができる。
【0119】
また、印刷ジョブにパスワードが設定されていない場合には、基準画像に対して設定されたパスワードで認証を行い、操作者が入力したパスワードが、基準画像に設定されているパスワードと一致することを条件として、画像検査部29による基準画像を用いた画像検査を許可することができる。
【0120】
なお、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る画像検査装置及び画像形成装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0121】
例えば、上記各実施の形態では、画像形成装置20が画像検査装置の機能を備えることとしたが、画像検査装置が画像形成装置(画像形成部)とは別の装置内に存在していてもよい。
【0122】
各処理を実行するためのプログラムを格納するコンピューター読み取り可能な媒体としては、上記の例に限定されず、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0123】
10 クライアントPC
20 画像形成装置
21 制御部
22 表示部
23 操作部
25 記憶部
27 画像形成部
28 画像読取部
29 画像検査部
100 画像検査システム
N 通信ネットワーク
T1 基準画像管理テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13