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特許7400448画像形成方法、画像形成装置、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】画像形成方法、画像形成装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20231212BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20231212BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20231212BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20231212BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20231212BHJP
   B41J 29/387 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H04N1/00 567M
H04N1/387 700
H04N1/387 110
G06T1/00 310Z
B41J21/00 Z
B41J29/46 Z
B41J29/387
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019232902
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021101522
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノルデス メナード ラマー
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-168382(JP,A)
【文献】特開2009-226832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/387
G06T 1/00
B41J 21/00
B41J 29/46
B41J 29/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューターによって実行される、トレイに載置された用紙に画像を形成する方法であって、
前記用紙の画像である用紙上画像を取得するステップと、
前記用紙上画像と出力対象の画像である出力用画像とを用いて、前記出力用画像のうち出力内容を特定するステップと、
プリントエンジンに前記出力内容の画像を前記用紙に形成させるステップとを備え、
前記出力内容を特定するステップは、
前記用紙上画像と前記出力用画像とを比較することと、
前記出力用画像が前記用紙上画像に対して所与の割合以上共通する要素を含む場合に、前記出力用画像のうち前記用紙上画像に対して相違する要素を前記出力内容として特定することとを含む、画像形成方法。
【請求項2】
前記用紙上画像と前記出力用画像とを比較することは、
前記用紙上画像および前記出力用画像の一方を回転させることと、
前記用紙上画像および前記出力用画像の他方を回転後の前記一方と比較することとを含む、請求項に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記用紙上画像に対して文字認識を実行するステップをさらに備え、
前記出力内容を特定するステップは、前記相違する要素が前記用紙上画像の単語に対する訂正用の単語を含む場合、前記相違する要素のうち当該訂正用の単語を構成する部分を前記出力内容から除外することを含む、請求項または請求項に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記出力内容を特定するステップは、
前記出力用画像において前記相違する要素の少なくとも一部を含むオブジェクトである出力用オブジェクトを特定することと、
前記用紙上画像において前記出力用オブジェクトに相当するオブジェクトである用紙上オブジェクトを特定することと、
前記出力用オブジェクトと前記用紙上オブジェクトとの間の相違が所与の要件を満たすか否かを判断することと、
前記出力用オブジェクトと前記用紙上オブジェクトとの間の相違が前記所与の要件を満たす場合、前記相違する要素のうち前記出力用オブジェクトを構成する部分を前記出力内容から除外することとを含む、請求項または請求項に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記出力内容を特定するステップは、前記出力用オブジェクトと前記用紙上オブジェクトとの間の相違が前記所与の要件を満たさない場合、前記出力用オブジェクト全体を前記出力内容として特定することを含み、
前記出力用オブジェクト全体が前記出力内容として特定された場合に、前記プリントエンジンに、前記用紙とは異なる記録用紙に前記出力内容の画像を形成させるステップをさらに備える、請求項に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記出力用オブジェクトと前記用紙上オブジェクトとの間の相違が前記所与の要件を満たさない場合、ディスプレイに所与の情報を表示するステップをさらに備える、請求項に記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記相違が前記所与の要件を満たすか否かを判断することは、第1のオブジェクトを含む第1の画像と第2のオブジェクトを含む第2の画像の組が前記第2の画像を前記第1の画像へと変更することをユーザが希望するか否かの情報にタグ付けされた教師データで学習処理を施された分類器を用いることを含む、請求項~請求項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記出力内容を特定するステップは、
前記出力用画像において前記相違する要素を含むオブジェクトである出力用オブジェクトを特定することと、
前記用紙上画像において前記出力用オブジェクトに相当するオブジェクトである用紙上オブジェクトを特定することと、
前記出力用オブジェクトと前記用紙上オブジェクトとの間の相違を調整するための画像データとして、前記出力内容の画像データを生成することを含む、請求項~請求項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記出力内容を特定するステップは、前記用紙上画像が印刷用の要素を含まない場合、前記出力用画像の全体を前記出力内容として特定することを含む、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記用紙上画像が印刷用の要素を含まない場合、前記出力用画像の出力を回避するステップをさらに備える、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記トレイに載置された用紙を前記用紙上画像の取得のために搬送するステップをさらに備え、
前記搬送するステップでは、前記用紙上画像として印刷用の要素を含まない画像が取得されるまで用紙の搬送が継続される、請求項10に記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記トレイに載置された用紙を前記用紙上画像の取得のために搬送するステップをさらに備え、
前記出力内容を形成させるステップは、前記搬送においてジャムが発生した場合に、
前記プリントエンジンに、前記用紙が印刷に利用可能であれば前記用紙上に前記出力内容の画像を形成させ、
前記プリントエンジンに、前記用紙が印刷に利用可能でなければ前記用紙とは異なる記録用紙に前記出力用画像を形成させることを含む、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項13】
前記出力内容を形成させるステップは、前記プリントエンジンに、
画像形成用のインク不足の発生に応じて画像形成を中断させることとと、
前記インク不足の解消に応じて画像形成を再開させることと、
を含む、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項14】
前記出力内容の画像を前記用紙に形成させるステップは、前記用紙と同じジョブにおいて前記用紙とは他の用紙にも前記出力内容の画像を形成することを含む、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項15】
前記用紙上画像が前記出力用画像と一致している場合には、前記用紙への画像形成を回避するステップをさらに備える、請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項16】
プリントエンジンと、
請求項1~請求項15のいずれか1項に記載の方法を実行するコントローラーと、を備える、画像形成装置。
【請求項17】
コンピューターによって実行されることにより、前記コンピューターに、請求項1~請求項15のいずれか1項に記載の方法を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成方法、画像形成装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のMFP(Multi-Functional Peripheral)等の画像形成装置には、たとえば、特開2012-108828号公報(特許文献1)および特開2012-109895号公報(特許文献2)に記載されるように、予め画像が印刷された用紙上に画像を追加印刷して完成印刷物を作成する「追い刷り印刷」を実行するものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-108828号公報
【文献】特開2012-109895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および特許文献2では、それぞれの図2に記載されているように、追い刷り印刷において追加的に印刷されるべき画像のみを印刷された用紙を必要としている。したがって、たとえば、ユーザーがページ番号等の要素を入れ忘れてドキュメントの画像を出力した後、出力された用紙に当該要素を追い刷りしたい場合、全ページについて、当該要素のみを印刷された用紙を準備することを必要とされる。一般的に、ページ番号のみを印刷された用紙は追い刷り印刷後には廃棄される。結果として、ページ番号のみを印刷された用紙は余分に使用されたことになる。
【0005】
一方、上記要素を追加された原稿の画像が改めて印刷された場合、最初に印刷された用紙は不要になり、一般的には廃棄される。結果として、最初に印刷された用紙は余分に使用されたことになる。
【0006】
以上より、従来の技術では、用紙に形成された画像(第1の画像)において要素が欠如していた場合、上記第1の画像に当該要素を追加された画像(第2の画像)を形成された用紙を得るためには、用紙および着色材料(インク、トナーなど)を含む資源を余分に使用することを回避できなかった。
【0007】
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、第1の画像が用紙に形成された後で当該第1の画像に要素を追加された第2の画像を形成された用紙を得るために、必要とされる資源の使用量を抑えるための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある局面に従うと、コンピューターによって実行される、トレイに載置された用紙に画像を形成する方法であって、用紙の画像である用紙上画像を取得するステップと、用紙上画像と出力対象の画像である出力用画像とを用いて、出力用画像のうち出力内容を特定するステップと、プリントエンジンに出力内容の画像を用紙に形成させるステップとを備える、画像形成方法が提供される。
【0009】
好ましくは、出力内容を特定するステップは、用紙上画像と出力用画像とを比較することと、出力用画像が用紙上画像に対して所与の割合以上共通する要素を含む場合に、出力用画像のうち用紙上画像に対して相違する要素を出力内容として特定することとを含む。
【0010】
好ましくは、用紙上画像と出力用画像とを比較することは、用紙上画像および出力用画像の一方を回転させることと、用紙上画像および出力用画像の他方を回転後の一方と比較することとを含む。
【0011】
好ましくは、画像形成方法は、用紙上画像に対して文字認識を実行するステップをさらに備え、出力内容を特定するステップは、相違する要素が用紙上画像の単語に対する訂正用の単語を含む場合、相違する要素のうち当該訂正用の単語を構成する部分を出力内容から除外することを含む。
【0012】
好ましくは、出力内容を特定するステップは、出力用画像において相違する要素の少なくとも一部を含むオブジェクトである出力用オブジェクトを特定することと、用紙上画像において出力用オブジェクトに相当するオブジェクトである用紙上オブジェクトを特定することと、出力用オブジェクトと用紙上オブジェクトとの間の相違が所与の要件を満たすか否かを判断することと、出力用オブジェクトと用紙上オブジェクトとの間の相違が所与の要件を満たす場合、相違する要素のうち出力用オブジェクトを構成する部分を出力内容から除外することとを含む。
【0013】
好ましくは、出力内容を特定するステップは、出力用オブジェクトと用紙上オブジェクトとの間の相違が所与の要件を満たさない場合、出力用オブジェクト全体を出力内容として特定することを含み、画像形成方法は、出力用オブジェクト全体が出力内容として特定された場合に、プリントエンジンに、用紙とは異なる記録用紙に出力内容の画像を形成させるステップをさらに備える。
【0014】
好ましくは、出力用オブジェクトと用紙上オブジェクトとの間の相違が所与の要件を満たさない場合、ディスプレイに所与の情報を表示するステップをさらに備える。
【0015】
好ましくは、相違が所与の要件を満たすか否かを判断することは、第1のオブジェクトを含む第1の画像と第2のオブジェクトを含む第2の画像の組が当該変更を許容するか否かの情報と関連付けて入力された際に、当該変更が所与の要件を満たすか否かを出力するように、教師データを用いた学習処理を施された分類器を用いることを含む。
【0016】
好ましくは、出力内容を特定するステップは、出力用画像において相違する要素を含むオブジェクトである出力用オブジェクトを特定することと、用紙上画像において出力用オブジェクトに相当するオブジェクトである用紙上オブジェクトを特定することと、出力用オブジェクトと用紙上オブジェクトとの間の相違を調整するための画像データとして、出力内容の画像データを生成することを含む。
【0017】
好ましくは、出力内容を特定するステップは、用紙上画像が印刷用の要素を含まない場合、出力用画像の全体を出力内容として特定することを含む。
【0018】
好ましくは、画像形成方法は、用紙上画像が印刷用の要素を含まない場合、出力用画像の出力を回避するステップをさらに備える。
【0019】
好ましくは、画像形成方法は、トレイに載置された用紙を用紙上画像の取得のために搬送するステップをさらに備え、搬送するステップでは、用紙上画像として印刷用の要素を含まない画像が取得されるまで継続される。
【0020】
好ましくは、画像形成方法は、トレイに載置された用紙を用紙上画像の取得のために搬送するステップをさらに備え、出力内容を形成させるステップは、搬送においてジャムが発生した場合に、プリントエンジンに、用紙が印刷に利用可能であれば用紙上に出力内容の画像を形成させ、プリントエンジンに、用紙が印刷に利用可能でなければ用紙とは異なる記録用紙に出力用画像を形成させることを含む。
【0021】
好ましくは、出力内容を形成させるステップは、プリントエンジンに、画像形成用のインク不足の発生に応じて画像形成を中断させることとと、インク不足の解消に応じて画像形成を再開させることと、を含む。
【0022】
好ましくは、出力用画像を取得するステップは、第1のジョブに関連付けられた第1の出力用画像と第1のジョブに関連付けられた第2の出力用画像とを取得することを含み、用紙上画像を取得するステップは、第2のジョブに関連付けられた第1の用紙から第1の出力用画像を取得することと、第2のジョブに関連付けられた第2の用紙から第2の出力用画像を出力することとを含み、出力内容を形成させるステップは、プリントエンジンに、第1の用紙上画像と第1の出力用画像とを用いて特定された第1の出力内容を、第1の用紙に形成させることと、プリントエンジンに、第1の出力内容を第2の用紙に形成させることとを含む。
【0023】
好ましくは、画像形成方法は、用紙上画像が出力用画像と一致している場合には、用紙への画像形成を回避するステップをさらに備える。
【0024】
本開示の他の局面に従うと、プリントエンジンと、上記画像形成方法を実行するコントローラーと、を備える、画像形成装置が提供される。
【0025】
本開示のさらに他の局面に従うと、コンピューターによって実行されることにより、コンピューターに、上記画像形成方法を実行させる、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、出力対象の画像である出力用画像のうちプリントエンジンによって用紙に形成される画像が、用紙の画像と出力用画像とを用いて特定される。これにより、出力用画像を形成された用紙を得るために必要とされる印刷用紙および着色材料の使用量が低減され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】画像形成装置の内部構成の一例を示す図である。
図2】画像形成装置1のハードウェア構成を示す図である。
図3】追加印刷機能の概要を説明するための図である。
図4】特定される差分の画像の一例を模式的に示す図である。
図5】追加印刷機能における用紙上画像と出力用画像の差分の特定の一例を説明するための図である。
図6】差分の特定のための用紙上画像と出力用画像の比較パターンの具体例を説明するための図である。
図7】追加印刷機能が利用される2つ目の具体的状況を説明するための図である。
図8】追加印刷機能が利用される3つ目の具体的状況を説明するための図である。
図9】追加印刷機能が利用される4つ目の具体的状況を説明するための図である。
図10】追加印刷機能が利用される5つ目の具体的状況を説明するための図である。
図11】画像形成装置1が追加印刷機能を実現するために実行する処理のフローチャートである。
図12】追加印刷機能が利用される6つ目の具体的状況を説明するための図である。
図13】追加印刷機能が利用される7つ目の具体的状況を説明するための図である。
図14】追加印刷機能が利用される8つ目の具体的状況を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、図面を参照しつつ、画像形成装置の一実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0029】
[1.画像形成装置の内部構成]
図1は、画像形成装置の内部構成の一例を示す図である。画像形成装置1は、第1スキャナー3と、給紙トレイ4と、手差しトレイ4Xと、転写部5と、定着部6と、排紙トレイ70とを含む。
【0030】
第1スキャナー3は、原稿P1の画像を読み取る。給紙トレイ4は、記録紙P2を収納する。手差しトレイ4Xには、記録紙P2が載置される。転写部5は、給紙トレイ4または手差しトレイ4Xから給紙された記録紙P2にトナー画像を転写する。定着部6は、転写部5によって転写されたトナー画像を記録紙P2に定着させる。排紙トレイ70には、定着部6でトナー画像を定着された記録紙P2が排紙される。
【0031】
第1スキャナー3は、原稿P1からの画像を読み取る読取部31と、読取部31に原稿P1を1枚ずつ搬送させる自動原稿搬送部(ADF:Auto Document Feeder)32とを含む。装置本体2の正面側(前面側)には、操作パネル(図2において後述する「操作パネル9」)が設けられる。
【0032】
第1スキャナー3の読取部31は、原稿台33と、光源部34と、イメージセンサー35と、結像レンズ36と、ミラー群37とを含む。原稿台33は、上面側にプラテンガラス(不図示)を含む。光源部34は、原稿P1に対して光を照射する。イメージセンサー35は、原稿P1からの反射光を画像データに光電変換する。結像レンズ36は、原稿P1からの反射光をイメージセンサー35上に結像させる。ミラー群37は、原稿P1からの反射光を順次反射させて結像レンズ36に入射させる。光源部34、イメージセンサー35、結像レンズ36およびミラー群37は、原稿台33の内部に設けられる。
【0033】
第1スキャナー3が原稿台33のプラテンガラス(不図示)上の原稿P1を読み取る場合、右方向(副走査方向)に移動する光源部34から原稿P1に、光が照射される。原稿P1から反射した反射光は、光源部34と同じく右方向に移動するミラー群37で順次反射されて結像レンズ36に入射し、イメージセンサー35上に結像される。イメージセンサー35は、入射光の強さに応じて画素毎に光電変換を実行して、原稿P1の画像に対応した画像信号(RGB信号)を生成する。
【0034】
一方、イメージセンサー35が原稿載置トレイ38に載置された原稿P1を読み取る場合、当該原稿P1は、複数のローラー等で構成される原稿搬送機構40によって読取位置に搬送される。読取部31の光源部34およびミラー群37は、原稿台33内部の所定位置に固定される。光源部34により原稿P1の読取位置部分に光が照射され、その反射光が読取部31のミラー群37および結像レンズ36を介してイメージセンサー35上に結像される。その後、イメージセンサー35が、当該反射光を、原稿P1の画像に対応した画像信号(RGB信号)に変換する。その後、原稿P1は原稿排出トレイ39に排出される。
【0035】
図1の例では、第1スキャナー3は、原稿台33上の原稿P1の下側の面の画像を読み取る。第1スキャナー3は、さらに、原稿排出トレイ39の内部に追加のイメージセンサーを含んでもよく、当該追加のイメージセンサーを用いて原稿P1の上側の面の画像を読み取ってもよい。すなわち、第1スキャナー3は、原稿P1の両面の画像を同時に読み取るように構成されていてもよい。
【0036】
転写部5は、作像部51と、露光部52と、中間転写ベルト53と、一次転写ローラー54と、駆動ローラー55と、従動ローラー56と、二次転写ローラー57と、クリーナー部58とを含む。作像部51は、Y(Yellow)、M(Magenta)、C(Cyan)、およびK(Key tone)の各色のトナー画像を生成する。露光部52は、作像部51の下方に設けられている。中間転写ベルト53が水平方向に並んだ各色の作像部51と当接することにより、作像部51から中間転写ベルト53へ、各色のトナー画像が転写される。一次転写ローラー54は、作像部51の各色について、作像部51とともに中間転写ベルト53を挟持する。駆動ローラー55は、中間転写ベルト53を回動させる。従動ローラー56は、駆動ローラー55の回転が中間転写ベルト53を通じて伝達することによって回転する。二次転写ローラー57は、中間転写ベルト53を挟んで駆動ローラー55と対向する位置に設置される。クリーナー部58は、中間転写ベルト53を挟んで従動ローラー56と対向する位置に設置される。
【0037】
作像部51は、中間転写ベルト53の外周面と当接する感光体ドラム61と、感光体ドラム61の外周面をコロナ放電により帯電させる帯電器62と、攪拌して帯電させたトナーを感光体ドラム61の外周面に付着させる現像器63と、トナー画像を中間転写ベルト53に転写した後に感光体ドラム61の外周面に残留するトナーを除去するクリーナー部64とを含む。感光体ドラム61は、中間転写ベルト53を挟んで、一次転写ローラー54と対向する位置に設置されるとともに、図1における時計回りの方向に回転する。感光体ドラム61の周囲には、一次転写ローラー54、クリーナー部64、帯電器62、および現像器63が、感光体ドラム61の回転方向に沿って、順番に配置されている。
【0038】
中間転写ベルト53は、例えば導電性を有する無端状のベルト部材から構成される。中間転写ベルト53は、駆動ローラー55および従動ローラー56に緩みの無い状態で巻き掛けられることで、駆動ローラー55の回転に従って、図1の反時計回りの方向に回動する。中間転写ベルト53の周囲には、中間転写ベルト53の回転方向に沿って、二次転写ローラー57、クリーナー部58、YMCK各色の作像部51それぞれが順番に配置されている。
【0039】
定着部6は、記録紙P2に転写されたトナー画像を定着させる。定着部6は、記録紙P2上のトナー画像を定着させるために加熱するハロゲンランプなどを備えた加熱ローラー59と、記録紙P2を加熱ローラー59と共に挟持して記録紙P2を加圧する加圧ローラー60とを含む。加熱ローラー59は、電磁誘導によりその表面に渦電流を生じさせることによって、その表面を加熱させてもよい。
【0040】
画像形成装置1では、転写部5および定着部6によってプリントエンジンの一例が実現され得る。
【0041】
記録紙P2を搬送させる搬送装置は、給紙トレイ4に収納された記録紙P2を最上層から給紙路R1に繰り出す繰り出しローラー81と、繰り出された記録紙P2を給紙路R1に更に送り出す給紙ローラー対82と、給紙ローラー対82により給紙された記録紙P2を主搬送路R0で縦搬送させる搬送ローラー対83と、主搬送路R0における搬送ローラー対83の下流側に配置されて記録紙P2を転写部5に向かって搬送させるタイミングローラー対84と、を含む。主搬送路R0は、画像形成(印刷)の工程にある記録紙P2の主な搬送経路である。給紙路R1は、給紙トレイ4毎に設けられる。各給紙路R1は、主搬送路R0に合流する。給紙路R1は、搬送経路の一例である。
【0042】
記録紙P2を搬送させる搬送装置は、さらに、手差しトレイ4Xに収納された記録紙P2を最上層から給紙路R1Xに繰り出す繰り出しローラー81Xと、繰り出された記録紙P2を給紙路R1Xに更に送り出す給紙ローラー対82Xとをさらに含む。給紙ローラー対82Xにより給紙された記録紙P2は、搬送ローラー対83によって、主搬送路R0で縦搬送される。
【0043】
すなわち、各給紙トレイ4内の記録紙P2は、対応する繰り出しローラー81の回転駆動によって、最上層のものから1枚ずつ、給紙路R1に送り出された後、給紙ローラー対82により主搬送路R0に向けてさらに送り出される。手差しトレイ4X内の記録紙P2は、繰り出しローラー81Xの回転駆動によって、最上層のものから1枚ずつ、給紙路R1Xに送り出された後、給紙ローラー対82Xにより主搬送路R0に向けてさらに送り出される。
【0044】
給紙路R1Xには、第2スキャナー7が設けられている。第2スキャナー7は、給紙路R1Xを搬送される記録紙P2、すなわち、手差しトレイ4Xに載置された記録紙P2の画像を読み取る。第2スキャナー7は、記録紙P2の両面の画像を読み取ってもよい。
【0045】
主搬送路R0では、給紙ローラー対82または給紙ローラー対82Xから搬送された記録紙P2が、搬送ローラー対83の回転駆動により、転写部5手前に配置されたタイミングローラー対84に向けて搬送される。タイミングローラー対84は、転写部5でトナー画像を記録紙P2に正常に転写させるため、転写部5でのトナー画像の形成タイミングに同期させて、記録紙P2を転写部5へ搬送する。すなわち、搬送ローラー対83で記録紙をタイミングローラー対84まで搬送すると、タイミングローラー対84を停止した状態とすることで記録紙P2が弛んでループを形成させ、そのループにより用紙スキューを補正してから二次転写ローラー57に搬送される。
【0046】
主搬送路R0には、搬送ローラー対83の上方(搬送方向下流側)に、搬送ローラー対83により縦搬送された記録紙P2を検出するための搬送センサー(移動量検出部)85が設置される。タイミングローラー対84の下方(搬送方向上流側)には、タイミングローラー対84手前に到達した記録紙P2の先端を検出するためのタイミング前センサー(記録紙検出部)86が設置される。搬送センサー85およびタイミング前センサー86それぞれの検出信号に基づき、主搬送路R0における用紙搬送およびループ制御が実行される。
【0047】
主搬送路R0の最下流となる終端部分には、印刷済の記録紙P2を排出する排紙ローラー対91が配置される。印刷済の記録紙P2は、排紙ローラー対91の回転駆動によって排紙トレイ70に排出される。主搬送路R0において、排紙ローラー対91の下方(搬送方向上流側)には、記録紙P2の後端を検出する排紙センサー90が配置されている。これにより、排紙センサー90が記録紙P2の後端を検出することによって、記録紙P2が排紙ローラー対91から排紙トレイ70に正常に排出されたことが確認され得る。
【0048】
[2.画像形成装置のハードウェア構成]
図2は、画像形成装置1のハードウェア構成を示す図である。
【0049】
図2に示されるように、画像形成装置1は本体制御部10を含む。本体制御部10は、画像形成装置1を構成する各部を制御する。これにより、画像形成装置1における各種の動作(記録紙P2への印字動作、原稿P1からの画像読取動作、など)が実行される。
【0050】
本体制御部10は、CPU(Central Processing Unit)101と、記憶装置102と、RAM(Random Access Memory)103と、画像処理部104と、画像メモリ105と、入出力インターフェース106とを含む。
【0051】
CPU101は、各種演算処理や制御を実行する。記憶装置102は、たとえばハードディスクドライブによって実現され、制御プログラムなどのデータを格納する。RAM103は、演算データを一時的に格納する。画像処理部104は、転写部5で形成させるトナー画像の基となる画像データを生成する。画像メモリ105は、画像処理部104で得られた画像データを一時的に格納する。
【0052】
入出力インターフェース106は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク110を介して、外部機器からのデータを受信し、また、外部機器へデータを送信する。入出力インターフェース106は、たとえばネットワークカードによって実現される。たとえば、本体制御部10は、入出力インターフェース106を介して、ユーザーのパーソナルコンピューターからの印刷ジョブの指示を取得する。
【0053】
すなわち、画像形成装置1は、第1スキャナー3が読み取った画像を形成することもできるし、入出力インターフェース106を介して取得したドキュメントファイルの画像を形成することもできる。
【0054】
画像形成装置1は、操作パネル9を含む。一実現例では、操作パネル9は、ユーザーからの操作を受け付けるタッチセンサーと、ディスプレイとを含む。すなわち、一実現例では、操作パネル9は、タッチパネルによって実現される。
【0055】
画像形成装置1は、画像読取制御部113と、露光制御部114と、転写制御部115と、定着制御部116と、搬送制御部118とを含む。
【0056】
画像読取制御部113は、第1スキャナー3および第2スキャナー7を制御する。露光制御部114は、露光部52を制御する。転写制御部115は、転写部5を制御する。定着制御部116は、定着部6を制御する。搬送制御部118は、繰り出しローラー81,81X等を駆動するモーター、すなわち、記録紙P2の搬送に利用されるローラーを駆動する。
【0057】
[3.追加印刷機能]
画像形成装置1は、手差しトレイ4Xに載置された用紙の画像を読み出し、原稿の画像と用紙の画像の差異を特定することができる。画像形成装置1は、さらに、上記用紙に、(原稿全体の画像の全体ではなく)特定された差異に相当する画像を形成することができる。本明細書では、画像形成装置1の、特定された差異に相当する画像を形成する機能を「追加印刷機能」と称する。以下、追加印刷機能について説明する。
【0058】
<概要>
図3は、追加印刷機能の概要を説明するための図である。図3を参照して、枠300には、手差しトレイ4Xにセットされる用紙の組の一例が示される。より具体的には、枠300内の用紙301,302,303,304のそれぞれは、1枚目,2枚目,3枚目,4枚目のそれぞれの用紙を表す。
【0059】
枠310には、原稿の組の一例が示される。原稿の組は、たとえば、印刷対象のドキュメントファイルである。枠310内の原稿311,312,313,314のそれぞれは、原稿の組における、1ページ目,2ページ目,3ページ目,4ページ目のそれぞれを表す。
【0060】
枠320には、追加印刷機能により出力される印刷用紙の組の一例が表される。枠320内の用紙321,322,323,324のそれぞれは、1枚目,2枚目,3枚目,4枚目のそれぞれの用紙を表す。
【0061】
用紙321には、用紙301に対して、用紙301の画像と原稿311の画像の差分の画像が追加的に印刷されている。用紙322,323,324のそれぞれには、用紙302,303,304のそれぞれに対して、用紙302,303,304のそれぞれの画像と原稿312,313,314の画像の差分の画像が追加的に印刷されている。
【0062】
枠300内の各ページの画像は、用紙上画像の一例である。枠310内の各ページの画像は、出力用画像の一例である。
【0063】
図4は、特定される差分の画像の一例を模式的に示す図である。図4に示された原稿311の画像のうち、枠3111によって囲われた要素(用紙301の画像と共通する要素)に加えて、枠3112によって囲われた要素を含む。この場合、一実現例において、画像形成装置1は、枠3112によって囲われた要素(黒色の画素の集合体)を差分の画像として特定する。
【0064】
以下、枠300内の用紙、枠310内の原稿、および、枠320内の用紙の関係をより具体的に説明するために具体的状況を例示する。
【0065】
<具体的状況>
ユーザーは、コンピューターから、画像形成装置1に、あるドキュメントファイルを印刷するための印刷ジョブ(ジョブ(1))を指示する。その後、ユーザーは、上記コンピューターで、当該ドキュメントファイルを、各ページに要素(たとえば、ページ番号、ドキュメントファイルのファイル名を表す文字列、企業の標章、など)を追加するように更新する。その後、ユーザーは、上記コンピューターから、画像形成装置1に、「追加印刷機能」を利用しながら、更新後のドキュメントファイルを印刷するための印刷ジョブ(ジョブ(2))を指示する。ジョブ(2)の指示は、ジョブ(1)を特定する情報を含んでいてもよい。
【0066】
この例では、ジョブ(1)によって出力される用紙は、図3における枠300内の用紙301,302,303,304に相当する。
【0067】
ユーザーは、ジョブ(1)の後、出力された用紙(用紙301,302,303,304)を手差しトレイ4Xにセットし、画像形成装置1にジョブ(2)の開始を指示する。
【0068】
ジョブ(2)において、画像形成装置1は、第2スキャナー7を利用して手差しトレイ4Xにセットされた用紙(用紙301,302,303,304)のそれぞれの画像を取得する。一方、画像形成装置1は、更新後のドキュメントファイルの各ページの画像を展開する。更新後のドキュメントファイルの画像は、図3における枠310内の原稿311,312,313,314に相当する。
【0069】
ジョブ(2)において、画像形成装置1は、第2スキャナー7を利用して取得された各用紙の画像と、更新後のドキュメントファイルの各ページの画像を比較することにより、各用紙について差分の画像を特定する。そして、画像形成装置1は、各用紙に、それぞれについて特定された差分の画像を形成する。
【0070】
ジョブ(2)によって出力される用紙は、図3の枠320内の用紙321,322,323,324に相当する。より具体的には、画像形成装置1は、手差しトレイ4Xから用紙301を取得し、用紙301に原稿311と用紙301の差分の画像を形成することにより用紙321を出力する。画像形成装置1は、手差しトレイ4Xから用紙302を取得し、用紙302に原稿312と用紙302の差分の画像を形成することにより用紙322を出力する。画像形成装置1は、手差しトレイ4Xから用紙303を取得し、用紙303に原稿313と用紙303の差分の画像を形成することにより用紙323を出力する。画像形成装置1は、手差しトレイ4Xから用紙304を取得し、用紙304に原稿314と用紙304の差分の画像を形成することにより用紙324を出力する。
【0071】
この具体的状況によれば、ジョブ(1)の後、ジョブ(2)において枠320内の用紙321,322,323,324を得るために、既にジョブ(1)において利用された用紙301,302,303,304が利用される。これにより、ジョブ(2)において新たに用紙が使用されることが回避される。すなわち、用紙321,322,323,324を得るために使用される用紙の枚数が低減され得る。
【0072】
また、この具体的状況では、用紙321,322,323,324を得るために、既に用紙301,302,303,304において画像を形成された部分への画像の形成が必要とされない。これにより、用紙321,322,323,324を得るために使用される着色材料(画像形成装置1ではトナー。画像形成装置がインクで画像を形成する場合はインク。)の量が低減され得る。
【0073】
<差分の特定>
図5は、追加印刷機能における用紙上画像と出力用画像の差分の特定の一例を説明するための図である。図5において、枠8Aには、用紙上画像の一例として画像800が示される。
【0074】
枠8Bには、差分の特定のための処理中の状態が示される。画像810は、出力用画像と用紙上画像とが重ねられることによって生成される画像の一例を表す。
【0075】
枠8Cには、差分を追加されて出力される用紙が示される。画像820は、出力される用紙上に形成された画像の一例を表す。
【0076】
画像形成装置1は、第2スキャナー7を利用して手差しトレイ4Xにセットされた用紙の画像を取得すると、枠8B内に示されるように、取得された画像に、実行中のジョブ(上記の例では「ジョブ(2)」)の原稿の画像を重ねる。枠8Bに示された方眼は、画素を表すための参照用に示されている。
【0077】
一実現例では、画像形成装置1は、用紙上画像と出力用画像とを画素ごとに対比し、用紙上画像において階調値が0(または、所与の値以下)であって出力用画像では階調値が0(または、所与の値)より上である画素を特定する。たとえば、枠8B内の画像810において、画素811は、用紙上画像において階調値が0より上である画素の一例である。画素812は、用紙上画像において階調値が0であって出力用画像では階調値が0より上である画素の一例である。画素813は、用紙上画像と出力用画像のいずれにおいても階調値が0である画素の一例である。
【0078】
そして、画像形成装置1は、画素812として示されたような画素の集合を、用紙上画像と出力用画像の差分として特定する。
【0079】
図6は、差分の特定のための用紙上画像と出力用画像の比較パターンの具体例を説明するための図である。図6において、画像501は用紙上画像の一例を表し、画像502は出力用画像の一例を表す。
【0080】
図6には、比較(1)および比較(2)として示された2つの比較パターンが示される。比較(2)では、比較(1)に対して画像501が180°回転されている。一実現例では、比較(1)は、用紙上画像と出力用画像のそれぞれを入力された状態のままで比較することを表し、比較(2)は、用紙上画像を180°回転させた後の画像と入力されたままの状態の出力用画像とを比較することを表す。
【0081】
画像形成装置1は、画像501と画像502との間の差分の特定前に、比較(1)と比較(2)のそれぞれの状態について、画像501と画像502の一致度を算出してもよい。そして、画像形成装置1は、一致度が高い方のパターンで、画像501と画像502の間の差分を特定してもよい。ここで、一致度とは、たとえば、全画素数に対する、階調値が一致する画素の数の割合を表す。
【0082】
図6の例では、比較(2)に従ったパターンの方が、比較(1)に従ったパターンよりも、画像501と画像502の間の一致度が高くなることが理解される。より具体的には、比較(1)では、画像501は文字「A」を表す領域を含むが、画像502は文字「A」が上下逆に表される領域を含む。一方、比較(2)では、画像501および画像502の双方が文字「A」が上下逆に表される領域を含む。したがって、比較(2)では、画像501と画像502において、上下逆に表示される文字「A」を表す領域を構成する画素の階調値が一致するのに対し、このような一致は比較(1)では見られない。
【0083】
したがって、図6に示された例では、画像形成装置1は、比較(2)に従ったパターンで、画像501と画像502の差分を特定する。
【0084】
なお、図6に示された例では、出力用画像は回転されず用紙上画像が回転されたが、用紙上画像は回転されず出力用画像が回転されてもよい。
【0085】
また、図6に示された例では、双方が回転されないパターン(比較(1))と、一方が180°回転されるパターン(比較(2))の2つのパターンについてのみ、一致度が算出されたが、他の回転角度(たとえば、90°)を含む、3つ以上のパターンのそれぞれにおいて一致度が算出されてもよい。
【0086】
<具体的状況(2)>
図7は、追加印刷機能が利用される2つ目の具体的状況を説明するための図である。
【0087】
図7に示された状況では、図3について説明されたように、ジョブ(1)において用紙301,302,303,304が出力され、ジョブ(2)における出力対象のドキュメントファイルは原稿311,312,313,314を含む。
【0088】
図7に示された状況では、枠300Aとして示されるように、ユーザーは、ジョブ(1)において出力された用紙301,302,303,304のうち用紙301,302,304を手差しトレイ4Xにセットする。すなわち、ユーザーは、用紙303を手差しトレイ4Xにセットすることなく、ジョブ(2)の実行を指示する。
【0089】
ジョブ(2)において、画像形成装置1は、原稿311,312,313,314の中から、たとえば画像の一致度に従って、用紙301,302,304のそれぞれに対応する原稿を選択する。より具体的には、画像形成装置1は、用紙301に対応する原稿として原稿311を選択し、用紙302に対応する原稿として原稿312を選択し、用紙304に対応する原稿として原稿314を選択する。
【0090】
そして、画像形成装置1は、ジョブ(2)によって、用紙301,302,304のそれぞれに原稿311,312,314との差分の画像を形成する。これにより、枠320Aとして示されるように、用紙321,322,324が出力される。
【0091】
以上より、図7の例では、画像形成装置1は、追加印刷機能を利用したジョブ(ジョブ(2))の結果として、手差しトレイ4Xにセットされた用紙についてのみ、差分の画像を追加的に印刷された用紙を出力する。すなわち、画像形成装置1は、手差しトレイ4Xにセットされなかった用紙については、画像形成を行わない。
【0092】
<具体的状況(3)>
図8は、追加印刷機能が利用される3つ目の具体的状況を説明するための図である。
【0093】
図8に示された状況では、図3について説明されたように、ジョブ(1)において用紙301,302,303,304が出力され、ジョブ(2)における出力対象のドキュメントファイルは原稿311,312,313,314を含む。
【0094】
図8に示された状況では、枠300Bとして示されるように、ユーザーは、ジョブ(1)において出力された用紙301,302,303,304のうち用紙301,302,304を手差しトレイ4Xにセットする。すなわち、ユーザーは、用紙303を手差しトレイ4Xにセットすることなく、ジョブ(2)の実行を指示する。
【0095】
ジョブ(2)において、画像形成装置1は、図7の例と同様に、用紙301,302,304のそれぞれに原稿311,312,314との差分の画像を形成する。これにより、枠320Aとして示されるように、用紙321,322,324が出力される。
【0096】
図8の状況では、画像形成装置1は、さらに、枠310内の原稿のうち、差分の画像の形成の対象とならなかった原稿(原稿313)を形成された用紙を出力する。図8では、このように出力される用紙が用紙323Bとして示される。用紙323Bとして、画像形成装置1は、手差しトレイ4Xにセットされた予備の用紙を利用してもよいし、給紙トレイ4にセットされた用紙を利用してもよい。
【0097】
本明細書では、図8の状況における用紙323Bの出力は、「欠落ページ印刷」とも称される。より具体的には、手差しトレイ4Xにセットされた用紙がジョブ(2)に含まれる原稿311,312,313,314のうち原稿313に対応する画像を形成された用紙を含まない場合、画像形成装置1は、原稿313の画像を形成された用紙(用紙323B)を補って出力する。
【0098】
これにより、ジョブ(2)において手差しトレイ4Xにセットされた用紙の組において、ジョブ(1)において出力された用紙のうち一部が欠落していたとしても、画像形成装置1は、ジョブ(2)では、欠落している用紙に対応する原稿(ページ)が新たな用紙に印刷されて出力される。
【0099】
<具体的状況(4)>
図9は、追加印刷機能が利用される4つ目の具体的状況を説明するための図である。
【0100】
図9に示された状況では、枠310Cとして示されるように、ジョブ(2)の出力対象となるドキュメントファイルは、原稿311,312C,313C,314Cを含む。原稿312C,313C,314Cのそれぞれの画像には、用紙302,303,304のそれぞれの画像から変更がない。
【0101】
すなわち、図9に示された状況では、ユーザーは、ドキュメントファイルを、その1ページ目のみを変更するように更新した後、ジョブ(2)の実行を指示する。
【0102】
枠320C内に、ジョブ(2)によって出力される用紙(用紙321,302,303C,304)が示される。ジョブ(2)では、画像形成装置1は、用紙301に、用紙301と原稿311との差分の画像を印刷して、用紙321を出力する。一方、画像形成装置1は、用紙302,303,304のそれぞれは原稿312C,313C,314Cのそれぞれに対する差分が無いので、用紙302,303,304のそれぞれをそのまま(画像形成無しで)出力する。すなわち、図9に示された状況では、用紙302,303,304のそれぞれは、画像形成装置1内をスルーされてそのまま出力される。
【0103】
<具体的状況(5)>
ジョブ(2)の印刷対象の画像(出力用画像)の取得方法が変更され得る。より具体的には、ジョブ(2)の印刷対象の画像は、画像形成装置1内の記憶装置に格納されたドキュメントファイルの画像であってもよいし、第1スキャナー3によって取得された原稿の画像であってもよい。たとえば、ユーザーは、印刷用画像(ジョブ(1)で出力された画像)に対して手描きで要素を追加して手差しトレイ4Xにセットし、ジョブ(2)の実行を指示してもよい。
【0104】
図10は、追加印刷機能が利用される5つ目の具体的状況を説明するための図である。
図10に示された状況では、枠310Dとして示されるように、ジョブ(2)の出力対象となるドキュメントファイルは、用紙301に対応する原稿311のみを含み、用紙302,303,304に対応する原稿を含まない。
【0105】
たとえば、図10に示された状況では、ユーザーは、ジョブ(1)において出力された用紙の中の一部にのみ手描きで要素を追加して手差しトレイ4Xにセットする。そして、ユーザーは、ジョブ(1)において出力された2枚以上の用紙を手差しトレイ4Xにセットして、ジョブ(2)の実行を指示する。
【0106】
枠320D内に、ジョブ(2)によって出力される用紙(用紙321,322D,323D,324D)が示される。ジョブ(2)では、画像形成装置1は、用紙301に、用紙301と原稿311との差分の画像を印刷して、用紙321を出力する。そして、画像形成装置1は、用紙302,303,304それぞれに対して、用紙301に対して印刷されたのと同じ差分の画像を印刷して、用紙322D,323D,324Dとして出力する。
【0107】
<追加印刷の対象>
画像形成装置1は、用紙上画像と出力用画像との間に差分がある場合、差分の内容に基づいて、当該差分の画像を形成するか否かを決定してもよい。
【0108】
一実現例では、更新後の原稿において更新前の原稿に含まれる要素の大きさが変更された場合、画像形成装置1は、当該変更が予め定められた範囲内(たとえば、変更倍率が1.1倍以下)であるか否かを判断する。原稿内の要素および用紙内の要素は、たとえば、原稿または用紙において連続してドットが存在する領域として特定され得る。
【0109】
画像形成装置1は、用紙上画像と出力用画像の間の大きさの変更が上記範囲内であれば、追加印刷機能において、用紙上画像と出力用画像との間の差分を追加印刷の対象から除外してもよい。
【0110】
他の実現例では、更新後の原稿において更新前の原稿に含まれる要素の位置が変更された場合、画像形成装置1は、当該変更が予め定められた範囲内(たとえば、要素の移動距離が0.1cm以下)であるか否かを判断する。原稿内の要素および用紙内の要素は、たとえば、原稿または用紙において連続してドットが存在する領域として特定され得る。
【0111】
画像形成装置1は、用紙上画像と出力用画像の間の要素の位置の変更が上記範囲内であれば、追加印刷機能において、用紙上画像と出力用画像との間の差分を追加印刷の対象から除外してもよい。
【0112】
さらに他の実現例では、更新後の原稿において更新前の原稿に含まれる要素の色が変更された場合、画像形成装置1は、当該変更が予め定められた範囲内(たとえば、色の濃度の変更が所定のレベル以下。レベルは、たとえばRGB値に関連付けられる。)であるか否かを判断する。原稿内の要素および用紙内の要素は、たとえば、原稿または用紙において連続してドットが存在する領域として特定され得る。
【0113】
画像形成装置1は、用紙上画像と出力用画像の間の要素の色の変更が上記範囲内であれば、追加印刷機能において、用紙上画像と出力用画像との間の差分を追加印刷の対象から除外してもよい。
【0114】
なお、画像形成装置1は、色の変更が上記範囲内であるか否かに拘わらず、追加印刷用の画像データとして、色の変更を実現するための(用紙上の要素の色を原稿上の要素の色へと調整するための画像データ)を生成してもよい。たとえば、用紙上画像においてある要素の色が黄色である場合であって、出力用画像では当該要素の色が緑である場合、画像形成装置1は、追加印刷用の画像データとして、当該要素に対応する領域に青色の着色材料を付するようなデータを生成してもよい。用紙上の黄色の要素の領域に、追加印刷において青色の着色材料を付与されることにより、ジョブ(2)において出力される用紙では、当該領域は緑色を呈し得る。
【0115】
上記範囲は、分類器(学習済モデル)によって規定されてもよい。すなわち、画像形成装置1は、上記変更が上記範囲内にあるか否かを、分類器を利用して判断してもよい。
【0116】
学習済モデルの学習は、画像形成装置1において実行されてもよいし、外部の装置(たとえば、画像形成装置1のメーカーによって管理されるサーバー)によって実行されてもよい。
【0117】
一実現例では、学習に利用される教師データは、第1の画像と第2の画像の複数の組を含む。教師データにおける画像の各組は、当該組において第1の画像を第2の画像に変更するべきか否かを規定する情報にタグ付けされている。
【0118】
一例では、ある組は、第1の画像と第1の画像内の要素が第1の距離だけ移動されるように変更された第2の画像とを含む。当該組は、第1の画像と第2の画像を見たユーザーが第1の画像を第2の画像へと変更することを希望するか否かを示す情報にタグ付けされている。他の組は、第1の画像と第1の画像内の要素が第2の距離だけ移動されるように変更された第2の画像とを含む。当該組は、第1の画像と第2の画像を見たユーザーが第1の画像を第2の画像へと変更することを希望するか否かを示す情報にタグ付けされている。
【0119】
他の例では、ある組は、第1の画像と第1の画像内の要素が第1の倍率だけ拡大/縮小されるように変更された第2の画像とを含む。当該組は、第1の画像と第2の画像を見たユーザーが第1の画像を第2の画像へと変更することを希望するか否かを示す情報にタグ付けされている。他の組は、第1の画像と第1の画像内の要素が第2の倍率だけ拡大/縮小されるように変更された第2の画像とを含む。当該組は、第1の画像と第2の画像を見たユーザーが第1の画像を第2の画像へと変更することを希望するか否かを示す情報にタグ付けされている。
【0120】
さらに他の例では、ある組は、第1の画像と第1の画像内の要素の色が第1のレベル(RGBのそれぞれの値)だけ変更された第2の画像とを含む。当該組は、第1の画像と第2の画像を見たユーザーが第1の画像を第2の画像へと変更することを希望するか否かを示す情報にタグ付けされている。他の組は、第1の画像と第1の画像内の要素の色が第2のレベル(RGBのそれぞれの値)だけ変更された第2の画像とを含む。当該組は、第1の画像と第2の画像を見たユーザーが第1の画像を第2の画像へと変更することを希望するか否かを示す情報にタグ付けされている。
【0121】
画像形成装置1では、学習済モデルを規定するデータ(たとえば、学習モデルおよび当該学習モデルにおいて利用されるパラメーター)は、記憶装置102に格納され得る。記憶装置102は、さらに学習済モデルを学習するためのプログラムが格納されていてもよい。
【0122】
学習済モデルを規定するデータは、更新され得る。一実現例では、学習済モデルの機械学習はサーバーにおいて実行され得る。機械学習は、ニューラルネットワークアルゴリズムを利用したものであってもよい。
【0123】
機械学習によって学習モデルで利用されるパラメーターが更新され得る。画像形成装置1は、所与の契機で、画像形成装置1内のパラメーターを上記サーバー内のパラメーターで更新してもよい。所与の契機の一例は、操作パネル9に対する更新用の操作であってもよいし、サーバーからの更新の通知の受信であってもよいし、画像形成装置1において予め設定された時期の到来であってもよい。
【0124】
<用紙上画像と出力用画像との差分が単語の訂正に該当する場合>
ユーザーは、ジョブ(1)の用紙の出力の後、ドキュメントファイル内の単語のスペルミスを訂正することによって当該ドキュメントファイルを更新し、ジョブ(2)において更新後のドキュメントファイルの出力を指示してもよい。この場合、更新後のドキュメントファイル(出力用画像)内の少なくとも一部のページは、更新前のドキュメントファイル(用紙上画像)に含まれる単語(スペルミスを含む)を訂正するための単語を含む。
【0125】
一例では、更新前のドキュメントファイルは「pqtent」を含み、更新後のドキュメントファイルでは、更新前のドキュメントファイルの「pqtent」が「patent」によって置換されている。「patent」は「pqtent」を訂正するための単語の一具体例である。
【0126】
この場合、画像形成装置1は、用紙上画像と出力用画像との差分として、用紙上画像の「q」を構成する画素から出力用画像の「a」を構成する画素を差し引いたものを特定し得る。そして、この場合、画像形成装置1は、追加印刷機能において、このような差分の画像を追加印刷の対象からは除外してもよい。
【0127】
より具体的には、画像形成装置1は、用紙上画像に対して文字認識を実行してもよい。画像形成装置1は、用紙上画像に対して文字認識を実行することにより、用紙上画像において出力用画像に体して差分が発生している部分が、単語を構成する部分であることを認識し得る。画像形成装置1は、さらに、出力用画像において、差分が発生している部分が構成している単語を取得する。画像形成装置1は、文字が配列されている方向に所与の長さ以上の空白が発生していることを条件として、2つの空白に挟まれた領域を1つの単語に相当する領域として認識し得る。
【0128】
画像形成装置1は、出力用画像において、差分が発生している部分が構成している単語が辞書に記載されていない単語(すなわち、単なる文字列)である場合には、上記差分の画像を追加印刷の対象から除外し得る。このような画像が追加印刷の対象から除外されることにより、「pqtent」の上に「patent」が印刷されてユーザーが当該部分に記載された内容を読みにくいと感じる事態が回避され得る。
【0129】
[4.処理の流れ]
図11は、画像形成装置1が追加印刷機能を実現するために実行する処理のフローチャートである。図11の処理は、たとえば、手差しトレイ4Xに用紙(たとえば、図3の用紙301,302,303,304)がセットされた後、画像形成装置1が追加印刷機能を利用する印刷ジョブの実行の指示を受け付けたことによって開始される。当該指示は、追加印刷機能を利用することの指示を含む。
【0130】
印刷ジョブは、印刷対象のドキュメントファイルの指定を含む。この印刷対象のドキュメントファイルの画像が出力用画像として扱われる。なお、図11の処理は、印刷ジョブの指示の代わりに、コピージョブの指示を受けたことによって開始されてもよい。この場合、原稿をスキャンすることによって取得された画像が出力用画像に相当する。
【0131】
以下、図11の説明では、図11の開始の起因として実行を指示されたジョブを「実行中のジョブ」と称する。
【0132】
一実現例では、図11の処理は、本体制御部10のCPU101が所与のプログラムを実行することによって実現される。この意味において、本体制御部10は、画像形成装置1におけるコントローラーの一例である。以下、図11の処理について説明する。
【0133】
ステップS500にて、画像形成装置1は、搬送制御部118に、手差しトレイ4X上の用紙を搬送させる。
【0134】
ステップS502にて、画像形成装置1は、手差しトレイ4X上に用紙が載置されているか否かを判断する。一実現例では、繰り出しローラー81Xの近傍に給紙路R1X内の用紙を検出するセンサーが設けられていてもよい。画像形成装置1は、ステップS500における用紙の搬送の開始から所与の時間後に上記センサーが用紙を検出した場合には、手差しトレイ4X上に用紙が載置されていると判断してもよく、また、そうでなければ、手差しトレイ4X上に用紙が載置されていないと判断してもよい。
【0135】
ステップS502にて、画像形成装置1は、手差しトレイ4X上に用紙が載置されていると判断すると(ステップS502にてYES)、ステップS504へ制御を進め、そうでなければ(ステップS502にてNO)、図11の処理を終了させる。
【0136】
ステップS504にて、画像形成装置1は、第2スキャナー7に用紙をスキャンさせる。
【0137】
ステップS506にて、画像形成装置1は、ステップS504のスキャンによって取得された画像データに印刷用のデータがあるか否かを判断する。印刷用のデータとは、トナーを付す画素を表すデータを意味する。たとえば、スキャンされた用紙が白紙であれば、ステップS506では画像データには印刷用のデータが無いと判断される。一方、スキャンされたが用紙に、図3に用紙301として示されたように画像が印刷されていれば、ステップS506では画像データに印刷用のデータがあると判断される。
【0138】
画像形成装置1は、画像データに印刷用のデータがあると判断すると(ステップS506にてYES)、ステップS508へ制御を進め、そうでなければ(ステップS506にてNO)、ステップS520へ制御を進める。
【0139】
ステップS520にて、画像形成装置1は、画像形成装置1において、欠落ページ印刷(図8)の設定値がONであるか否かを判断する。一実現例では、画像形成装置1では、欠落ページ印刷の設定値が設定されていてもよい。他の実現例では、実行中のジョブの指示が、欠落ページ印刷の設置値を含んでいても良い。
【0140】
画像形成装置1は、欠落ページ印刷の設定値がONであれば(ステップS520にてYES)、ステップS524へ制御を進め、そうでなければ(ステップS520にてNO)、図11の処理を終了させる。
【0141】
ステップS508にて、画像形成装置1は、ステップS504にて取得された画像データを解析する。当該解析は、画像データに対する文字認識を含んでいても良い。
【0142】
ステップS510にて、画像形成装置1は、ステップS504にて取得された画像データの画像(用紙上画像)と、実行中のジョブにおける印刷対象の画像(出力用画像)とを比較する。ステップS510における比較は、図6を参照して説明されたように、用紙上画像および出力用画像のいずれか一方を回転させた後で他方と比較することを含んでいても良い。
【0143】
ステップS512にて、画像形成装置1は、出力用画像が用紙上画像を含むか否かを判断する。
【0144】
たとえば、出力用画像が図3の原稿311,312として示された画像を含み、用紙上画像が図3の用紙301として示された画像を含む場合、用紙301上の画像(文字「A」)は原稿311に含まれるため、すなわち、用紙301上において着色された全ての位置と同じ位置の画素が原稿311においても着色されているため、出力用画像が用紙上画像を含むと判断される。一方、出力用画像が図3の原稿311,312として示された画像を含み、用紙上画像が図3の用紙304として示された画像を含む場合、用紙304上の画像(文字「D」)は、原稿311の画像および原稿312の画像のいずれにおいても着色されていない位置に着色されている画素を含むため、出力用画像は用紙上画像を含まないと判断される。
【0145】
なお、「出力用画像が用紙上画像を含む」とは、出力用画像が用紙上画像の所与の割合以上(たとえば、用紙上画像を構成する画素の95%以上(または、98%以上))を含むことを意味する場合もあり得る。
【0146】
画像形成装置1は、出力用画像が用紙上画像を含むと判断すると(ステップS512にてYES)、ステップS514へ制御を進め、そうでなければ(ステップS512にてNO)、ステップS524へ制御を進める。
【0147】
ステップS514にて、画像形成装置1は、出力用画像が用紙上画像に対して相違する部分を特定する。相違する部分の一例は、出力用画像中の、用紙上画像に対して追加的に着色されている部分である。ステップS514において特定された部分は、本明細書において「追加部分」とも称される。
【0148】
たとえば、出力用画像が図3の原稿311,312として示された画像を含み、用紙上画像が図3の用紙301として示された画像を含む場合、ステップS514では、出力用画像(原稿311,312)のうち用紙上画像を含む原稿311の画像において、用紙上画像に対する追加部分が特定される。この例では、特定される追加部分として、図4の枠3112内の着色部分が特定される。
【0149】
ステップS516にて、画像形成装置1は、出力用画像と用紙上画像とが一致しているか否かを判断する。「一致」の一例は、出力用画像が用紙上画像と共通する着色部分以外に着色部分を含まないことを意味してもよい。他の例は、出力用画像が用紙上画像と共通する着色部分以外に着色部分を含まず、かつ、着色部分の色が一致していることを意味してもよい。なお、出力用画像と用紙上画像の着色部分の位置は一致し、着色部分の色のみが異なる場合、追加部分は、両者の間で色が異なる部分を意味してもよい。
【0150】
画像形成装置1は、出力用画像と用紙上画像とが一致していると判断すると(ステップS516にてYES)、ステップS534へ制御を進め、そうでなければ(ステップS516にてNO)、ステップS518へ制御を進める。
【0151】
ステップS518にて、画像形成装置1は、画像形成装置1内のプリントエンジンに、ステップS500にて搬送された用紙の上に追加部分の印刷を指示する。
【0152】
ステップS524にて、画像形成装置1は、画像形成装置1内のプリントエンジンに、原稿のページ全体の画像を給紙トレイ4上の用紙に印刷することを指示する。図12および図13を参照して、ステップS524において印刷が指示される状況の具体例を説明する。
【0153】
図12は、追加印刷機能が利用される6つ目の具体的状況を説明するための図である。図12に示された状況では、手差しトレイ4X上に載置された用紙は、枠300Eにおいて用紙301として示される。実行中のジョブ(ジョブ(2))の出力対象となるドキュメントファイルは、枠310E内に示されるように、原稿312のみを含む。この場合、用紙301上の画像は、着色された部分を含むが(ステップS506にてYES)、原稿312には含まれない(ステップS512にてNO)。この場合、画像形成装置1は、原稿312の全体の画像を、ステップS500にて搬送された用紙とは異なる用紙に印刷する。
【0154】
図13は、追加印刷機能が利用される7つ目の具体的状況を説明するための図である。図13に示された状況では、手差しトレイ4X上には白紙の用紙(用紙301F)が載置される。実行中のジョブ(ジョブ(2))の出力対象となるドキュメントファイルは、枠310E内に示されるように、原稿312を含む。この場合、ステップS500において搬送される用紙は白紙であるため(ステップS506にてNO)、欠落ページ印刷の設定値がONであることを条件として(ステップS520にてYES)。画像形成装置1は、原稿312の全体の画像の印刷を、ステップS500にて搬送された用紙に印刷する。
【0155】
図11に戻って、ステップS526にて、画像形成装置1は、画像形成装置1内で、ステップS500にて搬送を開始した用紙のジャムが発生しているか否かを判断する。画像形成装置1は、ジャムが発生していると判断すると(ステップS526にてYES)、ステップS530へ制御を進め、そうでなければ(ステップS526にてNO)、ステップS528へ制御を進める。
【0156】
ステップS528にて、画像形成装置1は、画像形成装置1においてトナー切れが発生しているか否かを判断する。画像形成装置1は、トナー切れが発生していると判断すると(ステップS528にてYES)、ステップS530へ制御を進め、そうでなければ(ステップS526にてNO)、ステップS5324へ制御を進める。
【0157】
ステップS530にて、画像形成装置1は、実行中のジョブを一時停止する。その後、画像形成装置1は、ステップS532にてジョブが再開可能(発生中のジャムおよびトナー切れが解消)になるまで待機し(ステップS532にてNO)、再開可能になったと判断すると(ステップS532にてYES)、ステップS533へ制御を進める。
【0158】
ステップS533にて、画像形成装置1は、停止したジョブを再開させる。その後、ステップS500にて搬送を開始された用紙の搬送(および、必要に応じて当該用紙への印刷)が完了する。
【0159】
ステップS534にて、画像形成装置1は、実行中のジョブに未出力のページがあるか否か、または、手差しトレイ4X上に用紙が載置されているか否かを判断する。画像形成装置1は、実行中のジョブに未出力のページがある、または、手差しトレイ4X上に用紙が載置されていると判断すると(ステップS534にてYES)、ステップS500へ制御を戻す。一方、画像形成装置1は、実行中のジョブに未出力のページが無く、かつ、手差しトレイ4X上に用紙が載置されていないと判断すると(ステップS534にてNO)、ステップS11の処理を終了させる。
【0160】
以上、図11を参照して説明された処理において、画像形成装置1は、手差しトレイ4Xに載置された用紙の画像である用紙上画像を取得する(ステップS504)。画像形成装置1は、当該用紙上画像と出力対象の画像である出力用画像(実行中のジョブの原稿の画像)とを用いて、出力用画像のうち出力内容を特定し(ステップS510~ステップS514)、プリントエンジンに当該出力内容の画像を用紙に形成させる(ステップS518)。
【0161】
図11の処理では、用紙上画像が出力用画像と一致している場合には、手差しトレイ4X上の用紙の搬送は画像を形成されることなく終了される(ステップS516にてYES)。
【0162】
図11の処理では、用紙ジャムまたはトナー切れを要因として実行中のジョブが一時的に停止され、当該要因が解消されるジョブが再開される。
【0163】
用紙ジャムの発生により停止されたジョブを再開する場合、画像形成装置1は、用紙の状態に応じて、再開後のジョブの内容を変更してもよい。より具体的には、用紙ジャムによりステップS500にて搬送された用紙が利用可能ではない状態(多数のシワが発生、破れた、など)になった場合には、画像形成装置1は、用紙上に印刷する予定の画像を給紙トレイ4内の別の用紙に印刷する。予定された印刷内容が原稿の画像の一部のみ(ステップS514において特定された追加部分)であった場合、印刷対処の用紙を手差しトレイ4X上の用紙から給紙トレイ4内の用紙へと変更するときには、画像形成装置1は、印刷内容を、原稿の画像の一部から原稿の画像全部へと変更してもよい。一例では、画像形成装置1は、ユーザーからのボタン操作によって、用紙が印刷可能ではない状態となったことを検出してもよい。
【0164】
図11の処理では、手差しトレイ4Xに白紙の用紙が載置された場合、欠落ページ印刷の設定値に従って、出力用画像を形成された画像を印刷するか否かが決定される。より具体的には、欠落ページ印刷の設定値がONであれば出力用画像が印刷され(ステップS520にてYES、ステップS524)、欠落ページ印刷の設定値がOFFであれば出力用画像は印刷されない(ステップS520にてNO)。出力用画像が複数のページの画像を含む場合、ステップS524において出力される画像として未出力のページの画像が画像形成される。
【0165】
図14は、追加印刷機能が利用される8つ目の具体的状況を説明するための図である。図11の処理では、手差しトレイ4X上に白紙の用紙が載置され、欠落ページ印刷の設定値がONである場合、図14に示されるようにジョブが実行される。
【0166】
より具体的には、図14に示された状況では、図8に示された状況に対して、枠300Gに示される手差しトレイ4X上の用紙の構成が異なる。すなわち、枠300Gに示されるように、手差しトレイ4Xには、用紙301,302,304に加えて、4枚目の用紙として用紙305Gが載置される。用紙305Gは白紙である。
【0167】
画像形成装置1は、用紙305Gが印刷用のデータを含まないと判断すると(ステップS506にてNO)、欠落ページ印刷の設定値がONであることを条件として(ステップS520にてYES)、枠310内の4ページ分の画像のから未出力のものを検索する。図14の例では、原稿311,312,314の画像は、用紙321,322,324として既に出力されているが、原稿313の画像は未だ出力されていない。したがって、画像形成装置1は、検索結果として原稿313の画像を取得する。そして、画像形成装置1は、原稿313の原稿の画像全体を、用紙305G上に印刷することにより、用紙323Bとして出力する。
【0168】
図14の処理では、欠落ページ印刷の設定値がOFFである場合、ステップS500において搬送された用紙が白紙である場合、次の用紙の搬送は行われない。換言すると、ステップS500における搬送は、搬送された用紙が白紙であることが検出されるまで継続される。
【0169】
図11の処理では、ステップS518にて、用紙に追加部分が印刷される。なお、用紙上画像と出力用画像の間の相違が追加印刷では補えない場合には、画像形成装置1は、ステップS518にて追加部分の印刷をすることに代えて、給紙トレイ4から用紙を繰り出し、当該用紙に出力用画像全体を印刷してもよい。このとき、ステップS500において搬送された用紙は、画像を形成されることなく排紙トレイ70に排出される。
【0170】
用紙上画像と出力用画像の間の相違が追加印刷では補えない場合の一例は、出力用画像が、用紙上画像中の第1の文字列に対応する位置に、当該第1の文字列のスペルミスを訂正された第2の文字列を含む場合である。他の例は、出力用画像が、用紙上画像中の第1の文字列に対応する位置に、第1の文字列とは無関係な第2の文字列を含む場合である。さらに他の例は、出力用画像が、用紙上画像中の第1のオブジェクトに対応する位置に、当該第1のオブジェクトを縮小された第2のオブジェクトを含む場合である。さらに他の例は、出力用画像が、用紙上画像において第1の色で着色されたオブジェクトに対応する位置に、当該第1の色より薄い色または当該第1の色に対して色調が全く異なる色で着色されたオブジェクトを含む場合である。
【0171】
追加印刷では補えない上記相違が発生していることを検出した場合、画像形成装置1は、給紙トレイ4の用紙に出力用画像を印刷する前に、または、給紙トレイ4の用紙に出力用画像を印刷するのと並行して、上記相違が発生していることを表す画面を操作パネル9に表示してもよい。表示される画面の一例は、用紙上画像と出力用画像との間で追加印刷では補えない相違が発生していることを表すメッセージを含む。他の例は、用紙上画像および出力用画像そのものを表示する。
【0172】
追加印刷では補えない上記相違が発生していることを検出した場合、画像形成装置1は、ユーザーに、出力用画像全体を手差しトレイ4Xに載置された用紙とは異なる用紙(給紙トレイ4の用紙)に印刷するか、上記相違に関する追加印刷を省略するかを選択させてもよい。ユーザーは、選択に従った内容を画像形成装置1に入力する。画像形成装置1は、ユーザーからの入力に従って、出力用画像全体を手差しトレイ4Xに載置された用紙とは異なる用紙(給紙トレイ4の用紙)に印刷し、または、上記相違に関する追加印刷を省略する。
【0173】
図11の処理では、画像形成装置1は、手差しトレイ4X上の用紙が搬送されるたびに、ステップS514において追加部分を特定したが、追加部分の特定はジョブ実行中1回であってもよい。たとえば、画像形成装置1は、図3に示された状況において、用紙301の画像と原稿311の画像とを比較することによって追加部分(図4の枠3112内の着色部分)を特定すると、その後の用紙302,303,304の際にはステップS514の制御を省略し得る。すなわち、用紙301に対して特定された追加部分を、用紙302,303,304に対する追加部分としても利用し得る。
【0174】
なお、画像形成装置1は、用紙302,303,304のそれぞれに追加部分を印刷する場合、用紙302,303,304のそれぞれの画像に基づいて追加部分の配置を特定してもよい。すなわち、画像形成装置1は、用紙302,303,304のそれぞれの画像が追加部分を印刷されることによって原稿312,313,314のそれぞれの画像を構成するように追加部分の配置を設定してもよい。
【0175】
また、画像形成装置1は、追加部分が所与のパターンに適合する場合、当該パターン基づいて、印刷される追加部分に修正を加えてもよい。より具体的には、追加部分がページ番号のパターンに適合する場合を想定する。追加部分が2つのハイフン記号と当該2つのハイフン記号に挟まれた数字とを含む場合、画像形成装置1は、追加部分がページ番号のパターンに適合すると判断し得る。そして、この場合、画像形成装置1は、追加部分を印刷されるページごとに、追加部分に含まれる数字を変更してもよい。図3の例では、用紙301は、原稿311(出力対象のファイルの1ページ目)に対応する。このため、画像形成装置1は、追加部分を用紙301に印刷する場合、追加部分の中の数字として「1」を採用する。用紙303は、原稿313(出力対象のファイルの3ページ目)に対応する。このため、画像形成装置1は、追加部分を用紙303に印刷する場合、追加部分の中の数字として「3」を採用する。
【0176】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0177】
1 画像形成装置、2 装置本体、3 第1スキャナー、4 給紙トレイ、4X 手差しトレイ、7 第2スキャナー、9 操作パネル、10 本体制御部、70 排紙トレイ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14