(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ウェットティッシュ用紙容器及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20231212BHJP
B65D 25/52 20060101ALI20231212BHJP
A47K 7/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65D83/08 B
B65D25/52 D
A47K7/00 H
(21)【出願番号】P 2019236103
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 智彦
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 崇義
(72)【発明者】
【氏名】山口 幸伸
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-091834(JP,U)
【文献】特開平11-263384(JP,A)
【文献】特開2008-007189(JP,A)
【文献】特開2004-175445(JP,A)
【文献】登録実用新案第3001510(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
B65D 25/52
A47K 7/00
B65D 5/06-5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェットティッシュを内部に収容すると共に上端に開閉自在な頂部を備えたゲーベルトップ型の容器本体と、
当該容器本体の開閉自在な前記頂部に嵌合される蓋部材と、
を備えたウェットティッシュ用紙容器であって、
前記容器本体は、
胴部と、底部と、対向する一対の傾斜板と、前記傾斜板の間に対向して位置する一対の折り込み部と、一対の前記傾斜板及び一対の前記折り込み部の上端で形成される頂部とを有するゲーベルトップ型上部と、を備えるゲーベルトップ型容器本体であり、
前記蓋部材は、
前記頂部の一方の前記傾斜板の側から他方の前記傾斜板の側に跨り前記頂部を被覆すると共に前記頂部を閉塞する頂部閉塞具と、
一対の折り込み部のうち、いずれか一方の側の前記折り込み部と一対の前記傾斜板とが接続される接続部に嵌合する側部嵌合具と、
前記容器本体の前記頂部を被嵌すると共に前記頂部を閉塞する蓋具と、
を備え、
前記頂部閉塞具の一の端部と前記側部嵌合具が連設されており、
前記頂部閉塞具の二の端部に前記蓋具が回転自在に取り付けられており、
前記側部嵌合具が嵌合されていない側の前記折り込み部の内側折りされている状態を解除し、内折りされている部分を外側に引っ張り出し、外側折りにして、前記折り込み部を外側に拡開すると共に前記頂部を外側に延長して形成される烏口部と、
前記頂部閉塞具の二の端部に回転自在に取り付けられた前記蓋具の摘み部を摘み、係合部を回転軸にして回転させ、前記頂部の未被嵌部および前記烏口部に、前記蓋具の蓋天部、蓋側部と嵌合する前記蓋具と、
前記容器本体の前記頂部に前記蓋部材が嵌合されており、
前記容器本体は紙を主体とする積層体からなることを特徴とするウェットティッシュ用紙容器。
【請求項2】
ウェットティッシュを内部に収容すると共に上端に開閉自在な頂部を備えたゲーベルトップ型の容器本体と、
当該容器本体の開閉自在な前記頂部に嵌合される蓋部材と、
を備えたウェットティッシュ用紙容器であって、
前記容器本体は、
胴部と、底部と、対向する一対の傾斜板と、前記傾斜板の間に対向して位置する一対の折り込み部と、一対の前記傾斜板及び一対の前記折り込み部の上端で形成される頂部とを有するゲーベルトップ型上部と、を備えるゲーベルトップ型容器本体であり、
前記蓋部材は、前記頂部の一方の前記傾斜板の側から他方の前記傾斜板の側に跨り前記頂部を被覆すると共に前記頂部を閉塞する頂部閉塞具と、
一対の折り込み部のうち、いずれか一方の側の前記折り込み部と一対の前記傾斜板とが接続される接続部に嵌合する側部嵌合具と、
前記容器本体の前記頂部を被嵌すると共に前記頂部を閉塞する蓋具と、
を備え、
前記頂部閉塞具の一
の端部と前記側部嵌合具が連設されており、
前記頂部閉塞具の二の端部に前記蓋具が回転自在に取り付けられており、
前記側部嵌合具が嵌合されていない側の前記折り込み部の内側折りされている状態を解除し、内折りされている部分を外側に引っ張り出し、外側折りにして、前記折り込み部を外側に拡開すると共に前記頂部を外側に延長して形成される烏口部と、
前記頂部閉塞具の二の端部に回転自在に取り付けられた前記蓋具の摘み部を摘み、係合部を回転軸にして回転させ、前記頂部の未被嵌部および前記烏口部に、前記蓋具の蓋天部、蓋側部と嵌合する前記蓋具と、
前記容器本体の前記頂部に前記蓋部材が嵌合されており、
前記容器本体は紙を主体とする積層体からなるウェットティッシュ用紙容器の使用方法であって、
前記容器本体の開閉自在な前記頂部を開いた状態で前記ウェットティッシュを前記容器本体の中に収容する工程と、
前記傾斜板の間に対向して位置する一対の前記折り込み部を前記胴部の上辺より内側に折り込むと共に対向する一対の前記傾斜板を前記胴部の上辺より折り曲げ、一対の前記傾斜板及び一対の前記折り込み部の上端で前記頂部を形成し、前記ゲーベルトップ型上部を形成するために前記容器本体をくせ折りする工程と、
くせ折りした前記ゲーベルトップ型上部の前記頂部を前記蓋部材の前記頂部閉塞具で閉塞すると共に一対の折り込み部のうち、いずれか一方の側の前記折り込み部と一対の前記傾斜板とが接続される前記接続部に前記側部嵌合具を嵌合することにより前記容器本体の開閉自在な前記頂部の開いた状態を閉塞する工程と、
前記側部嵌合具が嵌合されていない側の前記折り込み部の内側折りを外側折りにし、前記折り込み部を外側に拡開すると共に前記頂部を外側に延長し、前記容器本体の取り出し口を形成する工程と、
前記ウェットティッシュの一端を前記容器本体の前記取り出し口から引き出し、前記ウェットティッシュを必要量取り出す工程と、
前記頂部閉塞具の二の端部に回転自在に取り付けられた前記蓋具を回転させ、前記容器本体に形成された前記取り出し口に前記蓋具を嵌合し閉塞する工程と、
を備えたウェットティッシュ用紙容器の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おしりふき、フェイシャルペーパー等のウェットティッシュを主に収容するウェットティッシュ用紙容器及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェットティッシュを収容する容器として、ウェットティッシュを内部に収容する容器本体と、この容器本体の開口を閉塞する蓋装置を備えたウェットティッシュ用容器が知られている。例えば、上方が開口された容器本体にウェットティッシュを収容し、この開口を密閉すると共に取り出し口が形成された開閉蓋を有するウェットティッシュ用容器が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。このウェットティッシュ用容器は、取り出し口からウェットティッシュを引き出して使用するものである。
【0003】
特許文献1、2のウェットティッシュ用容器は、容器本体及び開閉蓋のいずれもポリプロピレン等の樹脂を用いた成形品からなり、プラスチック製である。このようなプラスチック製容器は使用後、ごく一部でリサイクルがされているが、その大半は廃棄後に焼却されており、近年、焼却の際に発生する二酸化炭素が地球温暖化等の環境問題を引き起こすとして問題視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-263174号公報
【文献】特開平11-180460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは焼却時の二酸化炭素排出量を顕著に低減することができるウェットティッシュ用紙容器及びその使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、ウェットティッシュを内部に収容すると共に上端に開閉自在な頂部を備えたゲーベルトップ型の容器本体と、当該容器本体の開閉自在な前記頂部に嵌合される蓋部材と、を備えたウェットティッシュ用紙容器であって、前記容器本体は、胴部と、底部と、対向する一対の傾斜板と、前記傾斜板の間に対向して位置する一対の折り込み部と、一対の前記傾斜板及び一対の前記折り込み部の上端で形成される頂部とを有するゲーベルトップ型上部と、を備えるゲーベルトップ型容器本体であり、前記蓋部材は、前記頂部の一方の前記傾斜板の側から他方の前記傾斜板の側に跨り前記頂部を被覆すると共に前記頂部を閉塞する頂部閉塞具と、一対の折り込み部のうち、いずれか一方の側の前記折り込み部と一対の前記傾斜板とが接続される接続部に嵌合する側部嵌合具と、前記容器本体の前記頂部を被嵌すると共に前記頂部を閉塞する蓋具と、を備え、前記頂部閉塞具の一の端部と前記側部嵌合具が連設されており、前記頂部閉塞具の二の端部に前記蓋具が回転自在に取り付けられており、前記容器本体の前記頂部に前記蓋部材が嵌合されており、前記容器本体は紙を主体とする積層体からなることを特徴とするウェットティッシュ用紙容器である。
【0007】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1に記載のウェットティッシュ用紙容器において、前記頂部閉塞具の一の端部から二の端部に至る長さをL1、前記頂部の一の端部から二の端部に至る長さをLとしたとき、次式(1)の関係を満足し、
L1<L (1)
前記頂部が、前記頂部の二の端部から前記頂部閉塞具の二の端部に至る間に前記頂部閉塞具を備えない未被嵌部を備えており、前記未被嵌部の長さをL2としたとき、次式(2)の関係を満足することを特徴とするものである。
L2≦L1 (2)
また、請求項3記載の本発明は、ウェットティッシュを内部に収容すると共に上端に開閉自在な頂部を備えたゲーベルトップ型の容器本体と、当該容器本体の開閉自在な前記頂部に嵌合される蓋部材と、を備えたウェットティッシュ用紙容器であって、前記容器本体は、胴部と、底部と、対向する一対の傾斜板と、前記傾斜板の間に対向して位置する一対の折り込み部と、一対の前記傾斜板及び一対の前記折り込み部の上端で形成される頂部とを有するゲーベルトップ型上部と、を備えるゲーベルトップ型容器本体であり、前記蓋部材は、前記頂部の一方の前記傾斜板の側から他方の前記傾斜板の側に跨り前記頂部を被覆すると共に前記頂部を閉塞する頂部閉塞具と、一対の折り込み部のうち、いずれか一方の側の前記折り込み部と一対の前記傾斜板とが接続される接続部に嵌合する側部嵌合具と、前記容器本体の前記頂部を被嵌すると共に前記頂部を閉塞する蓋具と、を備え、前記頂部閉塞具の一の端部端と前記側部嵌合具が連設されており、前記頂部閉塞具の二の端部に前記蓋具が回転自在に取り付けられており、前記容器本体の前記頂部に前記蓋部材が嵌合されており、前記容器本体は紙を主体とする積層体からなるウェットティッシュ用紙容器の使用方法であって、前記容器本体の開閉自在な前記頂部を開いた状態で前記ウェットティッシュを前記容器本体の中に収容する工程と、前記傾斜板の間に対向して位置する一対の前記折り込み部を前記胴部の上辺より内側に折り込むと共に対向する一対の前記傾斜板を前記胴部の上辺より折り曲げ、一対の前記傾斜板及び一対の前記折り込み部の上端で前記頂部を形成し、前記ゲーベルトップ型上部を形成するために前記容器本体をくせ折りする工程と、くせ折りした前記ゲーベルトップ型上部の前記頂部を前記蓋部材の前記頂部閉塞具で閉塞すると共に一対の折り込み部のうち、いずれか一方の側の前記折り込み部と一対の前記傾斜板とが接続される前記接続部に前記側部嵌合具を嵌合することにより前記容器本体の開閉自在な前記頂部の開いた状態を閉塞する工程と、前記側部嵌合具が嵌合されていない側の前記折り込み部の内側折りを外側折りにし、前記折り込み部を外側に拡開すると共に前記頂部を外側に延長し、前記容器本体の取り出し口を形成する工程と、前記ウェットティッシュの一端を前記容器本体の前記取り出し口から引き出し、前記ウェットティッシュを必要量取り出す工程と、前記頂部閉塞具の二の端部に回転自在に取り付けられた前記蓋具を回転させ、前記容器本体に形成された前記取り出し口に前記蓋具を嵌合し閉塞する工程と、を備えたウェットティッシュ用紙容器の使用方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、容器本体に紙を主体とする積層体を用いることにより、焼却時の二酸化炭素排出量を顕著に低減することができるウェットティッシュ用紙容器とすることができ、また、その使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器の頂部に蓋部材が嵌合された状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器の使用状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器の使用後、蓋具を閉めた状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器を構成する蓋部材の斜視図である。
【
図5】本発明に係るウェットティッシュ用紙容器の容器本体を構成する積層体の例を示す断面図である。
【
図6】本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器を構成する容器本体を組み立てるブランクの展開図である。
【
図7】本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器を構成する容器本体の斜視図である。
【
図8】本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器の使用方法の一例を示し、(イ)がウェットティッシュを容器本体の中に収容する工程、(ロ)が容器本体のゲーベルトップ型上部をくせ折りする工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
【0011】
図1は本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器の頂部に蓋部材が嵌合された状態を示す斜視図、
図2は本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器の使用状態を示す斜視図、
図3は本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器の使用後、蓋具を閉めた状態を示す斜視図、
図4は本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器を構成する蓋部材の斜視図、
図5は本発明に係るウェットティッシュ用紙容器の容器本体を構成する積層体の例を示す断面図、
図6は本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器を構成する容器本体を組み立てるブランクの展開図、
図7は本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器を構成する容器本体の斜視図、
図8は本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器の使用方法の一例を示し、(イ)がウェットティッシュを容器本体の中に収容する工程、(ロ)が容器本体のゲーベルトップ型上部をくせ折りする工程の説明図であり、図中のVはウェットティッシュ用紙容器、1は容器本体、11は胴部、12はゲーベルトップ型上部、13は底部、14は頂部、14aは頂部の一の端部、14bは頂部の二の端部、15は傾斜板、16は折り込み部、16aは烏口部、17は接続部、2は蓋部材、21は頂部閉塞具、21aは頂部閉塞具の一の端部、21bは頂部閉塞具の二の端部、21cは天部、21d、21eは垂れ壁、22は側部嵌合具、22aは傾斜板重合部、22bは折り込み部重合部、22cは接続部重合部、23は蓋具、23aは蓋天部、23b、23c、23dは蓋側部、23eは摘み部、24は係合部、25は未被嵌部、26は取り出し口、Lは頂部の一の端部から二の端部に至る長さ、L1は頂部閉塞具の一の端部から二の端部に至る長さ、L2は未被嵌部の長さ、3はウェットティッシュ、4は積層体、41は外側熱融着性樹脂層、42は紙基材層、43は接着層、44はバリア層、45は内側熱融着性樹脂層、Bはブランク、111、112、113、114は側面板、115は接着板、121、122、123、124は上部形成板、131、132、133、134は底部形成板、135は底端縁接着部、141は頂部形成板、kは折り畳み罫をそれぞれ示す。
【0012】
図1は本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器の頂部に蓋部材が嵌合された状態を示す斜視図、
図2は本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器の使用状態を示す斜視図、
図3は本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器の使用後、蓋具を閉めた状態を示す斜視図である。本発明のウェットティッシュ用紙容器Vは、ウェットティッシュ3を内部に収容すると共に上端に開閉自在な頂部14を備えたゲーベルトップ型の容器本体1と、当該容器本体1の開閉自在な頂部14に嵌合される蓋部材2と、を備えている。
【0013】
容器本体1は、胴部11と、底部13と、対向する一対の傾斜板15と、傾斜板15の間に対向して位置する一対の折り込み部16と、一対の傾斜板15及び一対の折り込み部16の上端で形成される頂部14とを有するゲーベルトップ型上部12と、を備えるゲーベルトップ型容器本体である。
【0014】
蓋部材2は、
図1、
図2、
図3に示すように頂部14を閉塞する頂部閉塞具21と側部嵌合具22と蓋具23を備えている。頂部14を閉塞する頂部閉塞具21は、頂部14の一方の傾斜板15の側から他方の傾斜板15の側に跨り頂部14を被覆する。側部嵌合具22は、一対の折り込み部16のうち、いずれか一方の側の折り込み部16と一対の傾斜板15、15とが接続される接続部17に嵌合する。頂部閉塞具21は、頂部閉塞具の一の端部21aに側部嵌合具22が連設されており、頂部閉塞具の二の端部21bに蓋具23が回転自在に取り付けられている。そして、容器本体1の頂部14に蓋部材2が嵌合されている。蓋部材2は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂を用いて成形されるものである。また、蓋部材2は、一体成形された頂部閉塞具21及び側部嵌合具22と、蓋具23の2パーツで成形し、蓋具23を頂部閉塞具21に回転自在に取り付けてもよい。あるいは、頂部閉塞具21、側部嵌合具22、蓋具23を一体成形し、例えば頂部閉塞具21にヒンジを介して、蓋具23が回転自在な構成にしてもよい。
【0015】
図4は、本発明に係る一実施形態のウェットティッシュ用紙容器Vを構成する蓋部材2の斜視図である。蓋部材2の頂部閉塞具21は、平面視略矩形状の細長い形状で頂部14の上端を覆う天部21cと、天部21cの長辺側の周縁から垂れ下がる一方の傾斜板15側の垂れ壁21dと、他方の側の傾斜板15側の垂れ壁21eを備え、両垂れ壁間の隙間は頂部14の厚さと同程度とされ、頂部14に蓋部材2が嵌合されたとき、頂部閉塞具21の天部21c、垂れ壁21d、21eに係合される。
【0016】
頂部閉塞具21の短辺側には対向して頂部閉塞具の一の端部21aと頂部閉塞具の二の端部21bとを備え、頂部閉塞具の一の端部21aには側部嵌合具22を備えている。頂部閉塞具の一の端部21aに備える側部嵌合具22は、傾斜板15に重合される傾斜板重合部22a、22a、と、折り込み部16に重合される折り込み部重合部22b、22bと、接続部17、17に重合される接続部重合部22c、22cを備える。傾斜板重合部22aは略直角三角形で直角を成す一の辺が垂れ壁21dの下端と連設しており、二の辺が接続部重合部22cに連設されている。同様に垂れ壁21e側も略直角三角形の傾斜板重合部22aを備える。傾斜板重合部22aに対向して折り込み部重合部22bを備え、それぞれ傾斜板15の傾斜に沿うように構成されており、傾斜板重合部22aと折り込み部重合部22bの一端は接続部重合部22cと連結しており、傾斜板重合部22aと折り込み部重合部22bの間で形成される隙間はゲーベルトップ型上部12の接続部17を被覆できる間隔、つまり、積層体4の厚さの約2倍程度で側部嵌合具22を嵌合したとき、蓋部材2が固定できればよい。頂部閉塞具21の頂部閉塞具の一の端部21a側の側面は接続部重合部22cで閉塞されているが、頂部閉塞具の二の端部21b側の側面は壁がなく開放されている。
【0017】
頂部閉塞具の二の端部21bの天部21cには係合部24を介して回転自在に蓋具23が取り付けられている。係合部24は回転可能な構成であればよく、限定されるものではない。例えば、
図4に示すように係合部24は、天部21cに回転軸を設け、蓋具23の一端に軸受けを設け、それらを係合させ回転自在な構造にしてもよい。
【0018】
ウェットティッシュ用紙容器Vは、
図1に示すように頂部14が、頂部の二の端部14bから頂部閉塞具の二の端部21bに至る間に頂部閉塞具21を備えない未被嵌部25を備えていることが好ましい。頂部閉塞具の一の端部21aから頂部閉塞具の二の端部21bに至る長さをL1、頂部の一の端部14aから頂部の二の端部14bに至る長さをLとしたとき、次式(1)の関係を満足し、
L1<L (1)
未被嵌部25の長さをL2としたとき、次式(2)の関係を満足することがより好ましい。
L2≦L1 (2)
つぎに容器本体1について説明する。容器本体1は紙を主体とする積層体4からなり、紙を主体とする積層体とは、積層体の総重量に対して、紙が50重量%以上であることをいう。
図5は本発明に係るウェットティッシュ用紙容器Vの容器本体1を構成する積層体4の例を示す断面図である。
図5(イ)に示す積層体4は、順に外側熱融着性樹脂層41、紙基材層42、内側熱融着性樹脂層45が積層されている。
図5(ロ)に示す積層体4は、順に外側熱融着性樹脂層41、紙基材層42、接着層43、バリア層44、内側熱融着性樹脂層45が積層されている。
【0019】
外側熱融着性樹脂層41の樹脂としては低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン等の熱接着可能な樹脂が使用される。これらの樹脂を用いて押出しラミネーション法により紙基材層42の上に積層される。厚さとしては10μm以上、50μm以下である。
【0020】
紙基材層42の紙基材としては坪量250g/m2以上、450g/m2 以下の板紙が使用される。容器本体1は紙を主体とする積層体4であることが好ましく、紙基材が50重量%以上となるように紙基材の坪量が設定される。
【0021】
接着層43は、紙基材層42とバリア層44を接着させる層であり、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-αオレフイン共重合体、アイオノマー、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体等のポリオレフィン系樹脂が用いられ、押出しラミネーション法により紙基材層42とバリア層44を積層する。厚さは、通常、10μm以上、50μm以下である。
【0022】
バリア層44は、二軸延伸されたポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が用いられる。厚さは通常、4~40μmであり、好ましくは9~25μmである。また、二軸延伸されたポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の上に蒸着層を設けた蒸着フィルムも使用できる。蒸着層はこれらのフィルムを担体としてその上にアルミニウム等の金属や、酸化アルミニウム、酸化珪素等の無機物を蒸着することにより設けられる。また、バリア層44として、アルミニウム等の金属箔も使用でき、その金属箔の厚さは6μm~12μm程度である。バリア層44は、ウェットティッシュ等に含まれる成分、商品の使用期間等を考慮し、設けられるものであり、その条件によりバリア層44を省略することもできる。
【0023】
内側熱融着性樹脂層45は、熱融着性樹脂が使用され、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等の樹脂を用いたフィルムまたはこれらの樹脂が押出しラミネーション法によりバリア層44に積層される。内側熱融着性樹脂層45の厚さは通常20~100μmである。また、バリア層44と内側熱融着性樹脂層45の間に図示しないが接着層を設けてもよい。接着層は、接着層43と同じ樹脂を用いて押出しラミネーション法により積層されるものであり、その厚さは、通常、10~50μmである。また、接着層として接着剤にポリエステルポリオール-イソシアネート系、ポリエーテルポリオール-イソシアネート系、ウレタン-イソシアネート系等の主剤と硬化剤とからなる2液タイプのドライラミネート用接着剤を用いてドライラミネーション法により積層することもできる。ドライラミネーション法の場合、接着剤の塗布量は、通常、固形分重量1~5g/m2 である。
【0024】
図6は本発明に係る第一実施形態のウェットティッシュ用紙容器Vを構成する容器本体1を組み立てるブランクBの展開図であり、
図1のウェットティッシュ用紙容器Vの容器本体1は、紙を主体とする積層体4を
図6に示す展開図にしたがって切断し、1枚の積層体シートからなるブランクBを切取り、適所を折り曲げ、接着することによってつくられる。ブランクBは通常、所定の切刃と折線を形成するための罫線を備えた打ち抜き型で打ち抜くことにより形成される。
【0025】
図6に示す展開図において、容器本体1を組み立てるとき、折り曲げられる折線箇所を破線で示している。折線箇所には折り曲げを容易にするために押罫により罫線が形成されている。これらの罫線は、ブランクBを打ち抜く切刃を備えた打ち抜き型に所定の形状の押罫を備えることにより打ち抜きと同時に形成される。
【0026】
図6に示すようにブランクBは、順に側面板111、112、113、114及び接着板115が罫線を介して左右の方向に連設されている。接着板115は側面板111に接着されるものである。そして、側面板111、112、113、114の上辺には罫線を介して上部形成板121、122、123、124が連設され、さらにその上辺には罫線を介して頂部形成板141がそれぞれ連設されている。側面板111、112、113、114の下辺には罫線を介して底部形成板131、132、133、134が連設され、さらにその下辺には底端縁接着部135がそれぞれ設けられている。なお、
図6において、側面板112、114及び上部形成板122、124には一点鎖線で示す折り畳み罫kが施されている。折り畳み罫kは必須ではないがウェットティッシュ用紙容器Vを廃棄するとき、折り畳み罫kで容器本体1を折り畳んで減容化が図れるので好ましいものである。
【0027】
図7は本発明に係る第一実施形態のウェットティッシュ用紙容器Vを構成する容器本体1の斜視図であり、ブランクBを組み立てることにより
図7に示す容器本体1が形成される。ブランクBの組み立て方の一例を説明すると、
図6に示すブランクBは、接着板115の端面がウェットティッシュ3に直接接してウェットティッシュ3に含まれる有効成分が紙基材層42に浸透することを抑制するために例えば、スカイブヘミング加工等の端面処理を施し紙基材層42がウェットティッシュ3と直接接することがないようにした後、ブランクBの頂部形成板141、折り込み部16を形成するための上部形成板124、側面板114、底部形成板134及び端面処理された接着板115を一体として上下方向の罫線に沿って内側熱融着性樹脂層45同士が対向するように折り曲げ、側面板113側に折り畳み、同様に頂部形成板141、傾斜板15を形成するための上部形成板121、側面板111、底部形成板131を一体として上下方向の罫線に沿って内側熱融着性樹脂層45同士が対向するように折り曲げ、側面板112側に折り畳み、重なり合う端面処理された接着板115の内側熱融着性樹脂層45と頂部形成板141、上部形成板121、側面板111、底部形成板131の内面の内側熱融着性樹脂層45と熱融着して筒貼りし、筒状に胴貼りされ折り畳まれたフラットな状態とする。
【0028】
この折り畳まれたフラットな状態の容器本体1を例えば組立装置に供給して、起函し両端が開口とされた四角筒状とし、底部形成板131、132、133、134を罫線で折り込み加熱、圧着して底端縁接着部135を形成すると共に底部13を成形し、一方の開口を閉塞することにより
図7に示す上部が開口した容器本体1の組立が完成する。
【0029】
つぎに、
図8を参照しながら一実施形態のウェットティッシュ用紙容器Vの使用方法の一例を説明する。
(イ)容器本体1の開閉自在な頂部14を開いた状態でウェットティッシュ3を容器本体1の中に収容する工程
図8(イ)に示すように容器本体1のゲーベルトップ型上部12の開放された上部より、例えば長尺のウェットティッシュが巻き取られたロール状のウェットティッシュ3を容器本体1の中に収納する。
(ロ)容器本体1のゲーベルトップ型上部12をくせ折りする工程
図8(ロ)に示すように一対の折り込み部16を対向して形成する上部形成板122及び上部形成板124を胴部11の上辺より内側に罫線に沿って折り込むことにより折り込み部16を形成するためのくせ折りをすると共に一対の傾斜板15を対向して形成する上部形成板121及び上部形成板123を胴部11の上辺より内側に罫線に沿って折り込むことにより傾斜板15を形成するためのくせ折りをする。また、上部形成板121、122、123、124の上部に備える頂部形成板141も頂部14を形成するためにくせ折りされることによりゲーベルトップ型上部12を形成するためのくせ折りする工程が終了する。
(ハ)容器本体1の開閉自在な頂部14の開いた状態を閉塞する工程
くせ折りしたゲーベルトップ型上部12の頂部14を蓋部材2の頂部閉塞具21で閉塞すると共に一対の折り込み部16のうち、いずれか一方の側の折り込み部16と一対の傾斜板15とが接続される接続部17に側部嵌合具22を嵌合することにより容器本体1の開閉自在な頂部14の開いた状態を閉塞する。頂部14の外面は頂部閉塞具21の垂れ壁21d、21e及び天部21cの内面と当接し、ゲーベルトップ型上部12の接続部17の外面は側部嵌合具22の接続部重合部22cの内面に当接し、接続部17の近傍の折り込み部16及び傾斜板15が重合された積層体4の外面が傾斜板重合部22a及び折り込み部重合部22bの内面と当接し、頂部14が閉塞されると共に蓋部材がゲーベルトップ型上部12にロックされた状態となる。そうすることにより
図1に示す状態となる。
(ニ)容器本体1の取り出し口26を形成する工程
図1に示す状態より、側部嵌合具22が嵌合されていない側の折り込み部16の内側折りされている状態を解除し、内折りされている部分を外側に引っ張り出し、外側折りにする。そうすることにより折り込み部16を外側に拡開すると共に頂部14を外側に延長することができ、
図2に示すように容器本体1の上部に取り出し口26を形成する。
(ホ)取り出し口26からウェットティッシュ3を取り出す工程
容器本体1の取り出し口26からウェットティッシュ3の一端を引き出し、ウェットティッシュ3を必要量取り出す。
図2はその状態を示している。
(ヘ)容器本体1に形成された取り出し口26に蓋具23を嵌合し閉塞する工程
頂部閉塞具の二の端部21bに回転自在に取り付けられた蓋具23の摘み部23eを摘み、係合部24を回転軸にして回転させ、ウェットティッシュ3の一端が露出した取り出し口26に蓋具23の蓋天部23a、蓋側部23b、23c、23dを嵌合し、外側に延長された頂部14を閉塞する。このとき、外側に延長された頂部14の外側と蓋具23の内側が略一致して嵌合されることが好ましく、密封性が向上する。
図3にその状態を示す。
【0030】
本発明のウェットティッシュ用紙容器Vは、容器本体1に紙を主体とする積層体4を用いることにより、焼却時の二酸化炭素排出量を顕著に低減することができる。
【符号の説明】
【0031】
V ウェットティッシュ用紙容器
1 容器本体
11 胴部
12 ゲーベルトップ型上部
13 底部
14 頂部
14a 頂部の一の端部
14b 頂部の二の端部
15 傾斜板
16 折り込み部
16a 烏口部
17 接続部
2 蓋部材
21 頂部閉塞具
21a 頂部閉塞具の一の端部
21b 頂部閉塞具の二の端部
21c 天部
21d 垂れ壁
21e 垂れ壁
22 側部嵌合具
22a 傾斜板重合部
22b 折り込み部重合部
22c 接続部重合部
23 蓋具
23a 蓋天部
23b、23c、23d 蓋側部
23e 摘み部
24 係合部
25 未被嵌部
26 取り出し口
L 頂部の一の端部から二の端部に至る長さ
L1 頂部閉塞具の一の端部から二の端部に至る長さ
L2 未被嵌部の長さ
3 ウェットティッシュ
4 積層体
41 外側熱融着性樹脂層
42 紙基材層
43 接着層
44 バリア層
45 内側熱融着性樹脂層
B ブランク
111、112、113、114 側面板
115 接着板
121、122、123、124 上部形成板
131、132、133、134 底部形成板
135 底端縁接着部
141 頂部形成板
k 折り畳み罫