(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】金属調加飾シート、並びにそれを用いた金属調加飾成形体及び表示装置、並びに金属調加飾シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 15/08 20060101AFI20231212BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20231212BHJP
G09F 13/04 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
B32B15/08 M
B32B27/00 E
G09F13/04 Z
(21)【出願番号】P 2019236746
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】天野 剛
(72)【発明者】
【氏名】徳光 敦
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-171836(JP,A)
【文献】特開2018-171837(JP,A)
【文献】特開2017-189983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
G09F 13/00 - 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層、金属層及び接着層をこの順に有する金属調加飾シートであって、
前記金属層は金属を含む複数の島部と、前記島部の間に位置する海部とを有し、
前記海部は、厚み方向において、前記接着層が充填される充填部と、前記接着層が充填されない非充填部とを有し、
前記金属調加飾シートをSEMを用いて断面観察したときに、隣接する前記島部の間に位置する前記海部の厚みを、前記海部1個あたりの厚みと定義し、該海部における前記充填部の厚みを、前記海部1個あたりの充填部の厚みと定義したときに、前記海部1個あたりの厚みに対する
、前記海部1個あたりの前記充填部の厚みの比率は、10%以上、100%未満である、金属調加飾シート。
【請求項2】
前記海部1個あたりの厚みに対する
、前記海部1個あたりの前記充填部の厚みの比率が、10%以上、80%以下である、請求項1に記載の金属調加飾シート。
【請求項3】
前記島部1個あたりの厚みが30~100nmである、請求項1又は2に記載の金属調加飾シート。
【請求項4】
前記金属層は、インジウム又はスズを含む、請求項1~3の何れか1項に記載の金属調加飾シート。
【請求項5】
前記接着層の、前記金属層とは反対側に剥離層を有する、請求項1~4の何れか1項に記載の金属調加飾シート。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の金属調加飾シートと、被着体とを有する金属調加飾成形体。
【請求項7】
光源の前面に請求項6に記載の金属調加飾成形体を有する表示装置。
【請求項8】
基材層上に、金属を含む複数の島部と、前記島部の間に位置する海部とを有する金属層を有する金属調シートの金属層側の面に、剥離層上に接着層を有する接着シートの接着面をラミネートするラミネート工程を有してなり、
前記海部の厚み方向において、前記接着層が充填される充填部と、前記接着層が充填されない非充填部を有し、
前記金属調加飾シートをSEMを用いて断面観察したときに、隣接する前記島部の間に位置する前記海部の厚みを、前記海部1個あたりの厚みと定義し、当該海部における前記充填部の厚みを、前記海部1個あたりの充填部の厚みと定義したときに、前記海部1個あたりの厚みに対する
、前記海部1個あたりの前記充填部の厚みの比率が、10%以上、100%未満となるように前記ラミネート工程を行う、金属調加飾シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属調加飾シート、並びにそれを用いた金属調加飾成形体及び表示装置、並びに金属調加飾シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属調加飾シート及び金属調加飾シートを用いた金属調加飾成形体が知られている。また、金属調加飾シート及び金属調加飾成形体の背面側に光源を配置することにより、金属調加飾シート及び金属調加飾成形体を、光源の消灯時には金属調の意匠を有し、光源の点灯時には光源からの透過光により消灯時とは異なる意匠を有するようにすることも提案されている。
例えば、特許文献1には、金属薄膜層を用いることで、光源の消灯時には金属調の意匠を奏し、光源の点灯時には光源からの透過光による優れた意匠を奏する加飾シート及び加飾樹脂成形品が開示されている。
【0003】
また、金属光沢を有する加飾シートを用いて樹脂成形体等の被着体の意匠性を高めるべく、被着体の表面に金属光沢を付与する手段が提案されている。特に、三次元曲面などの複雑な表面形状を有する被着体の加飾には、真空成形法や射出成形法が用いられてきた。
例えば真空成形法の場合、加飾フィルムを加熱軟化しつつ展張し、加飾フィルムの被着体側の空間を減圧し、必要に応じ反対側の空間を加圧することにより、加飾フィルムを被着体の表面の三次元立体形状に沿って成形しつつ粘着剤等を用いて貼り合わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属調加飾成形体が背面に光源を備える場合、光源点灯時の透過光による優れた意匠の発現は可視光線透過率を高く設定することで実現し得る。しかしながら、光源の消灯時に良質な金属光沢感を発現させるには可視光線反射率を高く設定する必要があるため、通常はその分可視光線透過率を低くする設計とされる。こういった背景から、十分な光透過性を有しつつ、光源の消灯時に良質な金属光沢感を発現し得る金属調加飾シートの設計が求められている。
【0006】
また、金属調加飾シートと被着体とを粘着層で貼着した金属調加飾成形体を自動車等の車両体の外装用として使用する場合、被着体との密着強度が十分でないことから、該車両体の走行中の飛び石等に由来する表面層の剥がれ(チッピングとも称される)が生じるという問題があることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、金属層と、接着層とを、特定の構成で組み合わせることにより、チッピングを抑制しながら、十分な光透過性を有する金属調加飾シート、並びにそれを用いた金属調加飾成形体及び表示装置とし得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、以下の[1]~[8]を提供する。
[1]基材層、金属層及び接着層をこの順に有する金属調加飾シートであって、前記金属層は金属を含む複数の島部と、前記島部の間に位置する海部とを有し、前記海部は、厚み方向において、前記接着層が充填される充填部と、前記接着層が充填されない非充填部とを有し、前記海部1個あたりの厚みに対する前記充填部の厚みの比率は、10%以上、100%未満である、金属調加飾シート。
[2]前記海部1個あたりの厚みに対する前記充填部の厚みの比率が、10%以上、80%以下である、[1]に記載の金属調加飾シート。
[3]前記島部1個あたりの厚みが30~100nmである、[1]又は[2]に記載の金属調加飾シート。
[4]前記金属層は、インジウム又はスズを含む、[1]~[3]の何れかに記載の金属調加飾シート。
[5]前記接着層の、前記金属層とは反対側に剥離層を有する、[1]~[4]の何れかに記載の金属調加飾シート。
[6][1]~[5]の何れかに記載の金属調加飾シートと、被着体とを有する金属調加飾成形体。
[7]光源の前面に[6]に記載の金属調加飾成形体を有する表示装置。
[8]基材層上に、金属を含む複数の島部と、前記島部の間に位置する海部とを有する金属層を有する金属調シートの金属層側の面に、剥離層上に接着層を有する接着シートの接着面をラミネートするラミネート工程を有してなり、
前記海部の厚み方向において、前記接着層が充填される充填部と、前記接着層が充填されない非充填部を有し、前記海部1個あたりの厚みに対する前記充填部の厚みの比率が、10%以上、100%未満となるように前記ラミネート工程を行う、金属調加飾シートの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、チッピングを抑制しながら、十分な光透過性を有する金属調加飾シート、並びにそれを用いた金属調加飾成形体及び表示装置、並びに金属調加飾シートの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の金属調加飾シートの一実施形態を示す断面図である。
【
図2】本発明の金属調加飾シートの一実施形態における金属層のSEM写真である。
【
図3】
図1に示す金属調加飾シートを拡大し寸法を図示した平面図である。
【
図4】本発明の金属調加飾成形体の一実施形態を示す断面図である。
【
図5】本発明の表示装置の一実施形態を示す断面図である。
【
図6】耐チッピング性を評価するグラベロ試験装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、本明細書において、AA~BBとは、AA以上BB以下であることを意味する。
【0012】
[金属調加飾シート]
本発明の金属調加飾シートは、基材層、金属層及び接着層をこの順に有しており、前記金属層は金属を含む複数の島部と、前記島部の間に位置する海部とを有し、前記海部は、厚み方向において、前記接着層が充填される充填部と、前記接着層が充填されない非充填部とを有し、前記海部1個あたりの厚みに対する前記充填部の厚みの比率は、10%以上、100%未満であるものである。
【0013】
図1は、本発明の金属調加飾シートの一実施形態を示す断面図である。
図1の金属調加飾シート100は、基材層110、金属層120及び接着層130をこの順に有している。また、
図1の金属調加飾シートの金属層120は、金属を含む複数の島部121と、島部121の間に位置する海部122とを有する海島構造となっている。海部122は、厚み方向において、接着層が充填される充填部122aと、接着層が充填されない非充填部122bを有し、海部1個あたりの厚みに対する充填部の厚みの比率は、10%以上、100%未満となっている。
【0014】
本発明の金属調加飾シートは、基材層110、金属層120、及び接着層130をこの順に有すればよく、これらの層の間や表面等に、後述するプライマー層140、剥離層等の他の層を有していてもよい。
【0015】
<金属調加飾シートの層構成の例>
金属調加飾シートの具体例としては、例えば、下記(1)~(8)の構成が挙げられる。なお、「/」は各層の境界を意味する。
(1)基材層/金属層/接着層
(2)基材層/金属層/接着層/剥離層
(3)基材層/プライマー層/金属層/接着層
(4)基材層/プライマー層/金属層/接着層/剥離層
(5)基材層/金属層/接着層/バッカー層
(6)基材層/プライマー層/金属層/接着層/バッカー層
(7)基材層/金属層/接着層/バッカー層/第二接着層
(8)基材層/プライマー層/金属層/接着層/バッカー層/第二接着層
【0016】
<基材層>
基材層は、本発明の加飾シートにおいて、金属調加飾シートの支持体としての役割を有することが好ましい。また、基材層は、最も外層側に配置されることが好ましく、その場合は金属調加飾シートに耐擦傷性を付与する役割を有する。基材層としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン―酢酸ビニル共重合体、エチレン―ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ナイロン6又はナイロン66などで代表されるポリアミド系樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル―スチレン―ブタジエン共重合体樹脂)などの樹脂を含むプラスチックフィルムを用いることが好ましい。
これらの中でも、耐候性、成形性に優れるとともに、屈折率が低いため透明性に優れ、かつ傷が目立ちにくい、アクリル系樹脂フィルムが好適である。
基材層を形成する樹脂成分としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、基材層は、これら樹脂の単層フィルムで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層フィルムで形成されていてもよいが、単層フィルムで形成されていることが好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び「メタクリル」の総称であり、(メタ)の付く他の類似するものも同様の意である。
【0017】
基材層は、金属層、後述するプライマー層などとの密着性を向上させるために、必要に応じて、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。基材層の表面処理として行われる酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられる。また、基材層の表面処理として行われる凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材層を構成する樹脂成分の種類に応じて適宜選択されるが、効果及び操作性等の観点から、好ましくはコロナ放電処理法が挙げられる。
【0018】
一般的な加飾シートにおいては、基材層には、射出成形で成形樹脂層を形成する際に樹脂が焼きつくことで生じる変色を隠蔽すること等を目的として、着色剤等を配合することにより着色したり、色彩を整えるために塗装を施したりすることが多い。本発明においてもこれらの処理がなされていてもよいが、金属調加飾シートの可視光線透過率を所定の値に調整する観点からは、過度に着色や塗装を施さず、透明性の高い基材層とすることが望ましい。
【0019】
基材層は、JIS K7136:2000のヘイズが5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
また、基材層は、JIS K7361-1:1997の可視光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
【0020】
基材層の厚みは、金属調加飾シートの用途等に応じて適宜設定されるが、通常50~250μm程度、好ましくは60~150μm程度、さらに好ましくは70~125μm程度が挙げられる。基材層の厚みが上記範囲内であると、金属調加飾シートに対してより一層優れた三次元成形性、意匠性などを備えさせることができる。
【0021】
<金属層>
金属層は、基材層の上に設けられ、金属調加飾シートに金属光沢を付与する層である。本発明では、例えば
図2のように、金属層が、金属を含む複数の島部と、島部の間に位置する海部とを有する、海島構造をとるように形成する。
本発明において、金属層は、十分な光透過性を有することが好ましい。すなわち、金属層は、本発明の金属調加飾シートに対して基材層側の光源から光が照射された際に、照射された光の少なくとも一部が金属層を透過し、金属層の表面において透過光による意匠性を認識できるものであることが好ましい。さらに、金属層は、光源の消灯時に良質な金属光沢感を発現できるものであることが好ましい。金属層が十分な光透過性を有し、かつ、光源の消灯時に良質な金属光沢感を発現するためには、金属層が島部及び海部を有し、かつ、海部の厚みに対する接着層の充填部の厚みの比率を100%未満とすることが肝要である。例えば、島部及び海部を有さず一面ベタの金属層は、金属層の厚みを薄くすれば光透過性を付与し得るが、光源の消灯時に良質な金属光沢感を発現することが困難である。また、後述するように、金属層が島部及び海部を有していても、海部の厚みに対する接着層の充填部の厚みの比率が100%である場合には、光透過性が不十分となる。
【0022】
金属層を形成する金属としては、光源の消灯時に金属光沢感を付与し、点灯時には光源からの透過光による意匠を付与できる金属であれば特に限定されないが、例えば、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、これらのうち少なくとも1種を含む合金及びこれらの金属酸化物などが挙げられる。これらの中でも、上述した海島構造をとりやすいという観点から、好ましくはスズ、インジウム及び金が挙げられる。また、インジウムは、金属光沢に優れつつ、耐候性が良好である点で特に好ましい。さらに、インジウムは融点が低いため、インジウムは上述した海島構造を特にとりやすい傾向がある。よって、金属層がインジウムの場合に、光源の消灯時に金属光沢感を付与し、点灯時には光源からの透過光による意匠を付与しやすい点で有効である。
【0023】
金属層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相蒸着法(PVD)や、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat-CVD)等の化学的気相蒸着法(CVD)が挙げられる。これらの中でも、あらゆる素材に処理可能である真空蒸着法が好ましい。すなわち、金属層としては物理的気相蒸着膜が好ましく、その中でも真空蒸着膜が好ましい。
【0024】
金属光沢感及び成形性等の観点から、島部1個あたりの厚みH1が30~100nmとなるように形成するものとすることが好ましく、40~80nmであることがより好ましい。
【0025】
島部1個あたりの厚みH1は、例えば、蒸着の時間で調整することができる(蒸着時間を長くすると島部1個あたりの厚みH1が増加する。)。
【0026】
本発明では、金属層の島部の各々を円形と仮定し、島部1個あたりの面積から算出した直径の平均値を「島部のサイズ」と定義した場合に、島部のサイズが75nm以上400nm以下であることが好ましい。
島部のサイズが75nm以上の場合、金属光沢に優れ、金属調加飾シートの意匠性を良好にしやすくできる。
一方、島部のサイズが400nm以下の場合、金属層の島部の密度が高くなり過ぎず、成形後の金属光沢を優れたものとしやすい。
島部のサイズは160nm以上350nm以下であることがより好ましく、200nm以上300nm以下であることがさらに好ましい。
【0027】
本明細書において、島部のサイズは、下記の手法で算出したものとする。
まず、走査型電子顕微鏡(SEM)により、金属層の表面観察を行い、画像を取得する。観察条件は下記の条件とすることが好ましい。
<観察条件>
加速電圧:5kV
エミッションカレント:10μA
ピクセルサイズ:9.5~10.0nm
ワーキングディスタンス:15mm
観察倍率:10,000倍
階調:8ビット
【0028】
次いで、上記条件での観察で得られた画像から80~90万画素分を切り出す。切り出した画像をOtsu’s method(大津の手法)に基づいて2値化処理する。
次いで、撮影した写真上に、島部が50個以上100個以下入る正方形の枠を重ねる。該枠の一辺の長さをL[nm]とする。「L」はサンプル上の実サイズを表し、例えば、SEM写真のピクセルサイズ又はスケールバーを基準として算出することができる。
次いで、該枠内に全体が含まれる島部の数(n
1)、該枠内にその島部の面積の1/2以上1未満が存在すると認められる島部の数(n
2)、該枠内にその島部の面積の1/2未満が存在すると認められる島部の数(n
3)をカウントする。カウントしたn
1、n
2及びn
3に基づいて下記式(i)で示される「n」を、該枠内に存在する島部の個数と擬制する。
n=n
1+(3n
2+n
3)/4 (i)
次いで、該枠における島部の合計面積(2値化処理で島部と認定した領域の合計面積)を算出し、該合計面積を「S[nm
2]」とする。
そして、S[nm
2]及び式(i)で算出した該枠内の島部の数(n)に基づいて下記式(ii)で示される「a」を、該枠内における島部1個あたりの面積[nm
2]と擬制する。
a=S/n (ii)
図2の電子顕微鏡写真のように、島部は不定形を有するため、本明細書において島部サイズを算出するにあたって、各島部を円形と仮定する。円形と仮定した島部の直径を「島部のサイズ」と定義する。
本明細書では、20箇所における島部1個あたりの面積a[nm
2]から、島部のサイズd[nm]を式(iii)から算出する。そして、20箇所の「d」の平均値を、本明細書における島部のサイズD[nm]とする。
d=(4a/π)
1/2 (iii)
【0029】
島部のサイズは、例えば、蒸着の時間で調整することができる(蒸着時間を長くするとサイズが増加する。)。
【0030】
<接着層>
金属調加飾シートは、金属層の、基材層とは反対の面に接着層を有する。本発明における接着層は、基材層や金属層を被着体に接着させるための層である。接着層は、感熱性又は感圧性の樹脂から構成することが好ましい。言い換えると、接着層は、いわゆる感熱性接着層や感圧性接着層であることが好ましい。また、海部1個あたりの厚みに対する充填部の厚みの比率を調整しやすい点から、接着層は感圧性接着層であることがより好ましい。また、海部1個あたりの厚みに対する充填部の厚みの比率を調整しやすい点から、接着層は、金属層に直接接していることが好ましい。
【0031】
本発明では、海部1個あたりの厚みに対する充填部の厚みの比率が、10%以上、100%未満となるように形成する。
海部1個あたりの厚みに対する充填部の厚みの比率が10%未満の場合、金属層と接着層の接着力が小さくなりやすいことから、チッピングを抑制しにくい。
一方、海部1個あたりの厚みに対する充填部の厚みの比率が100%の場合、光透過性が不十分となり、例えば、光源点灯時の意匠性を優れたものにすることが困難となる。
海部1個あたりの厚みに対する充填部の厚みの比率は10%~80%であることが好ましく、15%~80%であることがさらに好ましい。
【0032】
図3は、
図1に示す金属調加飾シートを拡大し、寸法を図示した平面図である。
本明細書において、海部1個あたりの厚みH2に対する充填部122aの厚みH3の比率は、「(充填部122aの厚みH3/海部1個あたりの厚みH2)×100(%)」である。海部1個あたりの厚みH2は、対象とする海部の両隣の島部1個あたりの厚みH1、H1’の平均((H1+H1’)/2)で表される。
また、充填部122aの厚みH3は、前述した島部1個あたりの厚みと同様に算出するのが好ましい。
海部1個あたりの厚みに対する充填部の厚みの比率(本明細書中において、「充填率」と称する場合がある。)は、例えば、接着層を貼り合わせる際のニップ圧やライン速度、接着層の弾性率で調整することができる(ニップ圧を高くすると、充填率が大きくなる傾向がある。また、ライン速度を下げると、充填率が大きくなる傾向がある。また、接着層の弾性率が小さくなると、充填率が大きくなる傾向がある。)。
海部1個あたりの厚みに対する充填部の厚みの比率を調整するため、ニップ圧は0.4~3.0MPaであることが好ましく、0.4~2.7MPaであることがより好ましい。ライン速度は0.1~1.5m/分であることが好ましく、0.3~1.0m/分であることがより好ましい。また、接着層の弾性率は、23℃において、1.0×10
5~1.0×10
8N/m
2であることが好ましく、1.0×10
6~1.0×10
7N/m
2であることがより好ましい。
【0033】
島部1個あたりの厚みH1、海部1個あたりの厚みH2及び充填部122aの厚みH3は、SEMを用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出する。また、SEMでの観察は、温度23℃±5℃、湿度40~65%の環境に蒸着フィルムを十分になじませた後に実施する。また、SEMの撮影時の加速電圧は1~5kVの範囲とし、画像のピクセルサイズは0.9~1.0nmとする。
【0034】
接着層に用いられる樹脂としては、汎用のアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、塩化ビニル系樹脂若しくは酢酸ビニル系樹脂、又はこれらの2種以上の混合物若しくは共重合体を用いることが好ましい。粘着強度の観点から、アクリル系樹脂がさらに好ましい。
接着層の厚みは、20~100μmであることが好ましく、30~70μmであることがより好ましい。接着層の厚みを20μm以上とすることにより、金属層との密着力を良好にしやすくでき、100μm以下とすることにより、金属調加飾シートの表面硬度が低くなることを抑制しやすくできる。
【0035】
透明樹脂からなる被着体と接着層の界面反射率を小さくする観点から、接着層の屈折率は1.4~1.6であることが好ましい。
【0036】
接着層のガラス転移温度Tgは、0~30℃であることが好ましく、5~28℃であることがより好ましく、10~26℃であることがさらに好ましい。
ガラス転移温度を0℃以上とすることにより、チッピングへの耐性(耐チッピング性)を良好にしやすきでき、また、耐熱性が良好となり、加飾成形体の表面の平滑性が低下することを抑制しやすくなる。また、ガラス転移温度を30℃以下とすることにより、密着性の低下により耐チッピング性が低下することを抑制しやすくなる。さらに、ガラス転移温度がこの範囲(0~30℃)にあると、加飾成形体の耐チッピング性と金属調加飾シートの高温での表面の平滑性とのバランスがとりやすくなる。
【0037】
<非充填部>
非充填部は、金属層の海部のうち、接着層が充填されていない箇所を示す。非充填部は、空気及び窒素等の気体、水等の液体、樹脂等の固体等の各種材料が挙げられる。
非充填部の材料の屈折率は1.0~1.3であることが好ましい。
また、非充填部は気体で形成されていることが好ましく、空気で形成されていることがより好ましい。
【0038】
<プライマー層>
プライマー層は、金属層と金属層に隣接する層との密着性を向上すること、金属層を蒸着で形成する場合に下地とすることなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。プライマー層は、例えば、基材層と金属層との間に設けられるが、その場合には、基材層と金属層の密着性を向上することができる。プライマー層を形成する素材は、これらの層間の密着性を向上させ得るものであれば、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル-ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂が挙げられる。例えば、基材層がアクリル系樹脂を含む場合、プライマー層はアクリル系樹脂を含むことが好ましい。
【0039】
プライマー層の厚みは、特に限定されないが、通常0.5~2.5μm程度、好ましくは1~2μm程度である。プライマー層中には、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を含有してもよい。
【0040】
<剥離層>
金属調加飾シートは、接着層の、金属層とは反対側に剥離層を有していてもよい。本発明における剥離層は、加飾フィルムの接着層を保護するための層である。剥離層は、成形前又は成形後に接着層から容易に剥離可能なものであることが好ましい。剥離層には、剥離性を向上させるために、離型剤が用いられる。離型剤としては、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース樹脂系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤、アクリル樹脂系離型剤、およびこれらの複合型離型剤等の離型剤が好ましい。これらのなかで、シリコーン系離型剤が特に好ましい。
【0041】
本発明における剥離層は、上記の離型剤と、バインダー樹脂とを用いて形成することができる。バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いるのがよく、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、および塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。剥離層は、上記の離型剤およびバインダー樹脂に必要な添加剤を加えたものを適当な溶剤に溶解または分散させて調製したインキを、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、およびグラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により塗布・乾燥させて形成することができる。
【0042】
本発明においては、剥離層として、ポリエステルフィルム等の公知の樹脂フィルムの片面に、上記の離型剤を含む離型層を設けた剥離フィルムを用いてもよい。
【0043】
<バッカー層>
金属調加飾シートは、接着層の金属層とは反対側にバッカー層を有していてもよい。
バッカー層は、例えば、金属調加飾シート及び金属調加飾成形体の強度を高めたり、成形体の形状を保持したりする役割を有する。
【0044】
バッカー層はプラスチックフィルムから構成することが好ましい。バッカー層のプラスチックフィルムは、基材層で例示したプラスチックフィルムと同様のものが挙げられる。
バッカー層の厚みは、100μm以上1000μm未満が好ましく、150μm以上500μm以下がより好ましい。
【0045】
<第二接着層>
金属調加飾シートがバッカー層を有する場合、バッカー層の接着層とは反対側に第二接着層を有していてもよい。
第二接着層は、例えば、被着体との密着性を良好にする役割を有する。第二接着層は、上述した接着層に用いられる樹脂と同様の樹脂から形成することができる。
第二接着層の厚みは、20μm以上100μm以下が好ましく、30μm以上70μm以下がより好ましい。
【0046】
<その他の層>
金属調加飾シートは、上記に例示した以外の層を有していてもよい。
【0047】
<可視光線透過率>
金属調加飾シートは、波長380~780nmの分光透過率の平均が5.0%超であることが好ましく、5.5%以上であることが好ましい。なお、可視光線透過率が高すぎると、光源の消灯時の良質な金属光沢感が低下しやすくなる傾向がある。このため、金属調加飾シートの可視光線透過率は10.0%以下であることが好ましい。
【0048】
[金属調加飾シートの製造方法]
本発明の金属調加飾シートの製造方法は、金属調加飾シートが上記のいくつかの層を有し、金属層の海部の充填部と非充填部とが所定の関係を有するものであれば特に限定されない。
なお、剥離層を設ける場合には、以下のように金属調加飾シートを製造することができる。
本発明の金属調加飾シートの製造方法の一実施形態は、基材層上に、金属を含む複数の島部と、前記島部の間に位置する海部とを有する金属層を有する金属調シートの金属層側の面に、剥離層上に接着層を有する接着シートの接着面をラミネートするラミネート工程を有してなり、
前記海部の厚み方向において、前記接着層が充填される充填部と、前記接着層が充填されない非充填部を有し、前記海部1個あたりの厚みに対する前記充填部の厚みの比率が、10%以上、100%未満となるように前記ラミネート工程を行うものである。
【0049】
上記の製造方法において、金属調シートは、例えば、基材層上に、金属を含む複数の島部と、前記島部の間に位置する海部とを有する金属層を形成する工程により得ることができる。
また、上記の製造方法において、接着シートは、例えば、剥離フィルム等の剥離層上に、接着層を形成する工程により得ることができる。
【0050】
[金属調加飾成形体]
図4は、本発明の金属調加飾成形体の一実施形態を示す断面図である。本発明の金属調加飾成形体200は、本発明の金属調加飾シート100に被着体210を一体化させることにより成形されてなるものである。すなわち、本発明の金属調加飾成形体200は、少なくとも、被着体210と、本発明の金属調加飾シート100とが積層された金属調加飾成形体200であって、金属調加飾シート100の接着層130が被着体210側に位置するようにして、金属調加飾シート100が積層されてなる。本発明の金属調加飾成形体は、少なくとも、被着体210と、接着層130と、金属層120と基材層110を有しており、必要に応じて、図示したように上述のプライマー層140などの少なくとも1層がさらに設けられていてもよい。
【0051】
<被着体>
本発明の金属調加飾シートの金属調加飾成形体に用いられる被着体としては、特に限定されることなく、ガラス、セラミックス、樹脂等からなる成形体が挙げられる。
なお、被着体は、あらかじめ成形体の形状に成形されたものを用いてもよいし、真空成形やインサート成形などによる加飾成形時に成形体の形状としてもよい。
被着体の厚みは特に限定されないが、通常、1mm以上であり、1~10mmであることが好ましい。
着色剤等を配合することにより着色したり、色彩を整えるために塗装を施したりすることも可能であるが、金属調加飾シートの可視光線透過率を所定の値に調整する観点からは、過度に着色や塗装を施さず、透明性の高い被着体とすることが望ましい。
【0052】
被着体は、JIS K7136:2000のヘイズが5.0%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましく、2.0%以下であることがさらに好ましい。
また、被着体は、JIS K7361-1:1997の可視光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
【0053】
[金属調加飾成形体の製造方法]
例えば、下記(y1)~(y2)の工程を有する真空成形により、金属調加飾成形体を製造することができる。
(y1)金属調加飾シートの接着層側の面と、被着体とを貼着させた積層体を作製する。
(y2)上記積層体の被着体側の面を型に向けて配置して真空成形する。
【0054】
[表示装置]
図5は、本発明の表示装置の一実施形態を示す断面図である。
図5に示される表示装置300は光源310と、光源310の前面の金属調加飾成形体200とを有している。このような表示装置300の用途としては、例えば、自動車や鉄道などの車両、航空機、船舶及び宇宙船などの移動体の内装部材または外装部材に用いられる。その中でも光源310からの強い透過光強度が求められる、自動車のバックリット式ウインカー、Bピラー、サイドバイザー、ブレーキランプ、ガーニッシュなどの自動車の外装用バックリット製品に用いることが好ましい。なお図示されている例では、表示装置300は平板状に示されているが、湾曲形状であっても良い。
【0055】
<光源>
光源310は、可視光、赤外光、電波等の電磁波を出射する素子であり、金属調加飾成形体200の背面側に配置される。光源310は可視光を出射する素子が好ましい。
光源310の種類としては、特に制限されない。
光源が可視光を出射する素子の場合、例えば、LED、蛍光灯、電球、ハロゲンランプ、ディチャージランプ、OLED、レーザーダイオード、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどが挙げられ、その中でも、LED、蛍光灯、電球、ハロゲンランプ、ディチャージランプ、OLED、レーザーダイオードが好ましい。また、光源が可視光を出射する素子の場合、光源は単色であっても良く、多色であっても良い。また、光源が可視光を出射する素子の場合、光源は情報を表示するものでも良い。表示する情報は静止画であっても良く、動画であっても良い。
【実施例】
【0056】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。
【0057】
1.測定、評価
実施例及び比較例で得られた金属調加成形体に係る諸特性(耐チッピング性、可視光線透過率)を、下記要領に従って評価した。結果を表1に示す。
【0058】
1-1.耐チッピング性
耐チッピング性試験は、規格番号SAE J-400、規格名称Test for Chip Resistance of Surface Coatings準拠、グラベロ試験にて実施した。
図6は、実施例及び比較例で得られた加飾成形体の耐チッピング性を評価するグラベロ試験装置の模式図である。グラベロ試験装置400を用いて、-20℃で、試験用支持体420(材質:セラミック)上の実施例及び比較例で得られた金属調加飾成形体200に7号砕石410(100g)を、金属調加飾成形体200の垂直方向、距離350mmの位置から、射出圧0.4MPaにて1秒間照射した後、金属調加飾成形体200のフィルムの剥がれ具合を確認した。評価基準は以下のとおりである。
<評価基準>
A:目視で観察し、フィルムの剥がれがない。
B:目視で観察し、フィルムの剥がれがほとんどない。
C:目視で観察し、フィルムの剥がれがある。
【0059】
1-2.可視光線透過率
分光光度計(日本分光株式会社製の商品名V-670)を用いて、金属調加飾成形体シートの可視光線透過率(測定波長:380~780nm)を測定(光入射面はポリエステルフィルム側)した。可視光線透過率が5.5%以上であれば、光透過性が良好であり、光源点灯時の意匠性に大幅に優れるといえる(A評価)。また、可視光線透過率が5.0%超5.5%未満であれば、光透過性が許容範囲であり、光源点灯時の意匠性に優れるといえる(B評価)。また、可視光線透過率が5.0%以下であると、光透過性が十分ではなく、光源点灯時の意匠性にやや劣るといえる(C評価)。
【0060】
2.金属調加飾シート及び金属調加飾成形体の作成
[実施例1]
厚み125μmのアクリルフィルム上に、アクリルポリオール及びイソシアネート系硬化剤を含むプライマー層形成用塗布液を塗布、乾燥し、厚み2μmのプライマー層を形成した。
【0061】
次いで、プライマー層上に、真空蒸着法により、インジウム(In)からなる金属層を厚み50nmとなるように形成した。SEM観察により、形成された金属層は海島構造となっていることを確認した。
【0062】
次いで、アクリル系感圧性接着剤(綜研化学社製、商品名:SKダイン2094、固形分25質量%)100質量部に対して、エポキシ系架橋剤(綜研化学社製、商品名:E-AX、固形分5質量%)0.27質量部を混合し、接着層用組成物を得た。シリコーン剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(東洋紡社製、商品名:E7304)の離型処理面に、接着層用組成物を乾燥後の厚みが40μmになるように塗布、乾燥し、感圧性接着層(感圧性接着剤層)を形成した。その後、ニップ圧0.4MPa、ライン速度1.0m/分の条件で金属層上に接着層を貼り合わせ、実施例1の金属調加飾シートを得た。得られた金属調加飾シートの断面SEM画像から、海部1個あたりの厚みに対する充填部の厚みの比率(充填率)を算出した
【0063】
次いで、金属調加飾シートの接着層側を介して、厚み3mmの板状透明ABSに貼着した。所望の成形形状の型を準備し、ABS側の面を該型に向けて配置して真空成形し(ABS板到達温度160℃)、実施例1の金属調加飾成形体を得た。
【0064】
[実施例2]
ニップ圧1.0MPa、ライン速度1.0m/分で金属層上に接着層を貼り合わせた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の金属調加飾成形体を得た。
【0065】
[実施例3]
真空蒸着法により、スズ(Sn)からなる金属層を厚み50nmとなるように形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の金属調加飾成形体を得た。
【0066】
[実施例4]
ニップ圧2.0MPa、ライン速度0.3m/分で金属層上に接着層を貼り合わせた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の金属調加飾成形体を得た。
【0067】
[実施例5]
ニップ圧2.7MPa、ライン速度0.3m/分で金属層上に接着層を貼り合わせた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の金属調加飾成形体を得た。
【0068】
[実施例6]
ニップ圧2.0MPa、ライン速度1.0m/分で金属層上に接着層を貼り合わせた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の金属調加飾成形体を得た。
【0069】
[比較例1]
ニップ圧0.4MPa、ライン速度3.0m/分で金属層上に接着層を貼り合わせた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の金属調加飾成形体を得た。
【0070】
[比較例2]
ニップ圧2.7MPa、ライン速度0.1m/分で金属層上に接着層を貼り合わせた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の金属調加飾成形体を得た。
【0071】
【0072】
表1の結果から、実施例の金属調加飾シートは、チッピングを抑制しながら、光透過性が良好であり、光源点灯時の意匠性に優れるものであることが確認できる。
【符号の説明】
【0073】
100:金属調加飾シート
110:基材層
120:金属層
121:島部
122:海部
122a:充填部
122b:非充填部
130:接着層
140:プライマー層
200:金属調加飾成形体
210:被着体
300:表示装置
310:光源
400:クラベロ試験装置
410:砕石
420:試験用支持体