(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ハーネス保護構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20231212BHJP
H01R 13/74 20060101ALI20231212BHJP
B62D 21/00 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
H02G3/04 087
H01R13/74 F
H02G3/04 037
H02G3/04 018
B62D21/00 A
(21)【出願番号】P 2019239040
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】福永 健志
(72)【発明者】
【氏名】近藤 義剛
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-121444(JP,A)
【文献】特開平07-131914(JP,A)
【文献】特開平08-223737(JP,A)
【文献】特開2004-229350(JP,A)
【文献】特開2003-032859(JP,A)
【文献】特開2015-109722(JP,A)
【文献】特開2012-147584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H01R 13/74
B62D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両に搭載された動力装置の外側部に取り付けられているプロテクタを有し、該プロテクタの内部には、ハーネスの一部が配索されているハーネス保護構造において、
前記プロテクタの外部に位置する前記ハーネスの端部には、コネクタが設けられ、該コネクタは、前記
動力装置の前記外側部に設けられたコネクタ受部に接続可能に構成されており、
前記プロテクタの上面部には、車両上方側に突出するリブ構造体が設けられ、
前記リブ構造体は、車両上方視で、車両内側に開口する第1U字形状部を有し、
前記第1U字形状部は、前記コネクタ受部に接続されていない状態で前記第1U字形状部の内側に配置された前記コネクタを、係止可能に構成されていることを特徴とする、ハーネス保護構造。
【請求項2】
前記コネクタには、前記第1U字形状部に係止される被係止部が設けられ、
前記第1U字形状部は、車幅方向に延びる前壁部と、該前壁部の車幅方向外側端から車両後方に延びる外壁部と、該外壁部の後端から車幅方向内側に延びる後壁部と、を有し、
前記前壁部には、前記コネクタの前記被係止部を係止可能な係止部が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のハーネス保護構造。
【請求項3】
前記リブ構造体は、前記第1U字形状部の車両後方側に連続し、車両上方視で車両外側に開口する第2U字形状部を有し、該第2U字形状部の車両内側部に設けられた背面壁部は、前記
動力装置の前記外側部に接合されており、
前記プロテクタの前記上面部の車両下方側には、前記ハーネスが配索される支持部が設けられ、該支持部の車両外側部には、開口部が設けられ、該開口部を塞ぐカバー部材が取り付けられ、該カバー部材の上部には、前記プロテクタの前記上面部に取り付けられるフランジが車両内側に突出して設けられ、該フランジには、車両側面視で前記第2U字形状部の内側に位置するように切欠きが設けられ、該切欠きによって、前記第2U字形状部の内側と前記支持部の内部とが連通されており、
前記
動力装置の前記外側部には、前記ハーネスが接続される端子が設けられ、該端子は、前記プロテクタの車両下方側で、上面視で前記プロテクタに重なって配置されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のハーネス保護構造。
【請求項4】
前記支持部の底部には、車両前方に向かうに従い車両下方に傾斜する傾斜面が形成されており、該傾斜面の後端は、前記切欠きの車両下方側に位置していることを特徴とする、請求項3に記載のハーネス保護構造。
【請求項5】
前記コネクタ受部の車両上方側には、前記コネクタ受部を、車両前方側、車両後方側及び車両上方側から覆う保護構造体が設けられており、
前記保護構造体の前部には、前記
動力装置に固定される前側固定部が設けられ、
前記保護構造体の後部には、前記
動力装置に固定される後側固定部が設けられ、
前記前側固定部及び前記後側固定部の少なくとも一方の車両下方側には、前記第2U字形状部が配置されていることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のハーネス保護構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハーネス保護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車は、車両の動力室(エンジンルームやモータルーム)に搭載された動力装置(エンジンやモータユニット)を有し、動力装置は補機や制御装置(コントロールユニット)等の電力を必要とする電装機器を有している。
【0003】
動力装置の周囲には、ハーネスが配索されている。当該ハーネスには、例えば特許文献1に開示されているように、プロテクタが設けられている。特許文献1に開示されているハーネスのプロテクタには、ハーネスが挿通される電線収容部が設けられている。当該電線収容部によって内部のハーネスは、保護される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハーネスの端部には、ハーネスを電装機器に接続するためのコネクタが設けられている。一方で、電装機器の例えば側部には、当該コネクタを受けるコネクタ受部が設けられている。動力装置を動力室内に設置するときは、通常では、コネクタは、コネクタ受部に接続された状態であるが、車両のレイアウトやコネクタのサイズによっては、搭載時の周辺部品や構造との干渉を回避し、隙間を確保するためにはずされた状態にされ、所定の場所に仮置きされる場合がある。
【0006】
動力装置の設置作業中に、ハーネスは作業者の意図に関わらず動くことがあるため、プロテクタには、所定の荷重が作用する。また、走行時などでの振動によってもハーネスが揺動することでプロテクタに所定の荷重が作用する。そのため、プロテクタには、所定の剛性が要求される。上記例のプロテクタには、複数のリブが設けられており、当該リブによって、プロテクタの剛性が保たれている。
【0007】
一方、動力装置を搭載する際に接続されていないハーネスのコネクタや端子があると、搭載時にハーネスが意図せず動き、周辺の部品と干渉してハーネスが破損することがある。そのため、動力装置の設置作業中には、ハーネスの保護の観点からも、コネクタが動かないように固定できることが望ましい。そのため、上記例のようなハーネスを保護する構造には、ハーネスの接続作業等を効率よく行う上で、改善の余地があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、動力装置の設置作業時に、ハーネス及びコネクタの破損を防ぐことを可能にするハーネス保護構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るハーネス保護構造は、電動車両に搭載された動力装置の外側部に取り付けられているプロテクタを有し、該プロテクタの内部には、前記動力装置の周囲に配索されたハーネスが挿通されている。当該ハーネス保護構造において、前記プロテクタの外部に位置する前記ハーネスの端部には、コネクタが設けられ、該コネクタは、前記動力装置の前記外側部に設けられたコネクタ受部に接続可能に構成されており、前記プロテクタの上面部には、車両上方側に突出するリブ構造体が設けられ、前記リブ構造体は、車両上方視で、車両内側に開く第1U字形状部を有し、該第1U字形状部は、前記コネクタ受部に接続されていない状態の前記コネクタを、係止可能に構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、動力装置の設置作業時に、ハーネスのコネクタを保持でき、かつコネクタの破損を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るハーネス保護構造を有するモータユニット等を車両上方から見た斜視図である。
【
図2】
図1のコネクタがプロテクタに仮置きされている状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1の側面図であり、コネクタがコネクタ受部に接続された状態を実線で示し、コネクタがプロテクタに仮置きされた状態を破線で示している。
【
図5】
図1のプロテクタを単体で示す斜視図である。
【
図6】
図5のカバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図7】
図5のプロテクタを車両外側から見た側面図である。
【
図9】
図6のプロテクタを車両外側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るハーネス5保護構造の一実施形態について、図面(
図1~
図9)を参照しながら説明する。
【0013】
なお、図において、矢印Fr方向は車両前後方向における前方を示す。実施形態の説明における「前部(前端)及び後部(後端)」は、車両前後方向における前部及び後部に対応する。また、矢印R,Lは、それぞれ車幅方向の右側、左側を示しており、本実施形態における「左右」は、乗員が車両前方を向いたときの「左側」及び「右側」に対応している。
【0014】
本実施形態のハーネス保護構造は、車両前部に位置する動力室(この例ではモータルーム)内に配置された動力装置(この例ではモータユニット1)の周囲に配索されたハーネス5を保護するための構造である。モータルーム内には、
図1~
図3に示すように、モータユニット1を設置するためのユニット設置部8が設けられている。当該ユニット設置部は、例えば、2本の前後方向フレームと、2本の幅方向フレームによって形成された略四角形状の枠を有し、当該枠上にモータユニット1を設置可能に構成されている。
【0015】
モータユニット1の車幅方向外側部(
図2の例では、右側部)には、ハーネス5を保護するためのプロテクタ20が設けられている。プロテクタ20の内部には、ハーネス5が挿通している。また、プロテクタ20の車両上方側のモータユニット1の右側部には、後述するハーネス5のコネクタ10が接続されるコネクタ受部2が設けられている。コネクタ受部2は、モータユニット1の右側部から車幅方向右外側に突出しており、先端部には車両前後方向に延びる長方形状の開口が設けられている。
【0016】
また、モータユニット1の右側部におけるプロテクタ20の車両下方側には、ハーネス端子3が設けられている。また、コネクタ受部2の車両上方側には、コネクタ受部2を保護するための保護構造体50が取り付けられている。
【0017】
ハーネス5には、高電圧のハーネスや低電圧のハーネスが含まれる。プロテクタ20の外側に位置するハーネス5の端部には、コネクタ10が設けられている。上記したように、当該コネクタ10は、モータユニット1のコネクタ受部2に接続可能である。
【0018】
先ず、プロテクタ20の構造の概略について説明する。
図1及び
図2に示すように、プロテクタ20は、車両前後方向に延びており、
図5及び
図6に示すように、上面部21と、支持部30とを有している。支持部30には、ハーネス5が挿通される複数の挿通部が設けられている。支持部30の詳細については、後で説明する。
【0019】
上面部21には、
図5、
図6及び
図8に示すように、第1U字形状部23及び第2U字形状部27を有するリブ構造体22が設けられている。第1U字形状部23は、上面部21から車両上方に突出し、車両上方視で、車両内側、詳細には車幅方向内側であって、この例では、左側に開くように形成されている。第1U字形状部23は、コネクタ受部2に接続されていない状態のコネクタ10を係止可能に構成されている。本実施形態では、第1U字形状部23は、コネクタ10が仮置きされることが可能である。
【0020】
ここで、コネクタ10の構造について説明する。
図1~
図3に示すように、コネクタ10は、全体で箱状に形成されており、ハーネス5が挿入されるハーネス挿入部11と、コネクタ受部2に差し込む差込部(図示せず)を有している。この例では、ハーネス5が挿入される方向は、コネクタ受部2に差し込む方向に対して、略直交している。詳細には、コネクタ10がコネクタ受部2に接続されているとき、ハーネス挿入部11は、コネクタ10の後部もしくは側部に設けられ、ハーネス5は、コネクタ10の車両後方側からハーネス挿入部11に挿入される。
【0021】
また、コネクタ10には、
図1及び
図2に示すように、被係止部12が設けられている。被係止部12は、ハーネス挿入部11の裏側に位置し、例えば、コネクタ10がコネクタ受部2に接続されている状態のコネクタ10の前部に設けられている。被係止部12は、この状態において、車両上下方向に延びる穴部12aと、該穴部12aの一辺(
図1の右側辺)が車両後方に突出する突出部12bによって構成されている。被係止部12は、後述する係止部24Aに係止される。
【0022】
次に、プロテクタ20の構造の詳細について説明する。
図5、
図6及び
図8に示すように、第1U字形状部23は、前壁部24と、外壁部25と、後壁部26と、を有している。前壁部24は、第1U字形状部23の前部に位置し、上面部21の前端から車両上方に突出し、車幅方向に延びている。この例では、前壁部24は、上面部21の前端における右側端から左側に向かって延びている。
【0023】
外壁部25は、上面部21の右側部から車両上方に突出し、前壁部24の右側端から車両後方に延びている。この例では、外壁部25は、上面部21の右側端よりもやや左側にずれた位置に設けられている。後壁部26は、上面部21の車両前後方向中間部から車両上方に突出し、外壁部25の後端から、上面部21の左側端まで延びている。
【0024】
さらに、前壁部24には、コネクタ10の被係止部12を係止可能な係止部24Aが設けられている。係止部24Aは、
図5及び
図6に示すように、縦壁24aと、傾斜壁24bとを有している。縦壁24aは、リブ構造体22の前壁部24の車幅方向中間部から左側端までの部分が、車両上方に突出することにより形成されている。傾斜壁24bは、縦壁24aの上端から車両後方に向かうに従い車両後方に傾斜している。
【0025】
上記したようにコネクタ10がコネクタ受部2に接続されていないとき、コネクタ10は、プロテクタ20の第1U字形状部23に仮置き可能である。第1U字形状部23にコネクタ10が仮置きされるとき、被係止部12の穴部12aには、係止部24Aの傾斜壁24bが挿入される。このとき、被係止部12の突出部12bは車幅方向に延びる状態となり、当該突出部12bは、係止部24Aの縦壁24aによって前方に移動しないように係止され、傾斜壁24bと上面部21とにより挟まれることによって車両上方へ移動しないように係止される。
【0026】
また、本実施形態のリブ構造体22では、外壁部25の上端は、前壁部24の上端及び後壁部26の上端よりも、車両上方側に位置している。さらに、この例では、外壁部25の上端は、係止部24Aの傾斜壁24bの上端よりも車両上方に位置している。
【0027】
本実施形態のようにコネクタ10を仮置き可能なプロテクタ20を設けることにより、モータユニット1を搭載する作業時に、モータユニット1に結線されていないハーネス5のコネクタ10を第1U字形状部23内に仮保持することができる。その結果、当該作業中にハーネス5が意図せず動くことを抑制することが可能となり、作業性が向上する。さらに、第1U字形状部23を構成する外壁部25を構成するリブを、ガイドとして用いることができるため、コネクタ10を第1U字形状部23に仮置きする作業が容易になる。また、第1U字形状部23を設けることにより、プロテクタ20の上面部21の剛性が向上し、組付け時や振動によるハーネス5からの入力に対し、プロテクタ20が変形するのを抑制することが可能となる。
【0028】
続いて、第2U字形状部27について説明する。
図5、
図6及び
図8に示すように、第2U字形状部27は、第1U字形状部23の車両後方側に連続し、車両上方視で車両外側(この例では右側)に開くU字形状をなしている。第2U字形状部27は、第1U字形状部23の後壁部26と、該後壁部26の車幅方向内側端から車両後方に延びる背面壁部28と、背面壁部28の後端から車幅方向外側に延びる最後壁部29とにより、構成されている。この例では、最後壁部29は、リブ構造体22の最後部である。
【0029】
背面壁部28は、第2U字形状部27の車両内側に位置し、この例では、上面部21の車幅方向内側端から車両上方に突出し、車両前後方向に延びている。背面壁部28の上部の前端及び後端は、R形状を有しており、背面壁部28の車両前後方向の中間部には、プロテクタ20をモータユニット1に取り付けるための取付部28aが設けられている。取付部28aは、車幅方向に貫通する貫通孔を有し、背面壁部28は、ボルト等によりモータユニット1の側部に接合される。
【0030】
続いて、プロテクタ20の支持部30について説明する。
図6及び
図9に示すように、支持部30は、上記したように、ハーネス5が挿通される複数の挿通部31,37,38を有している。本実施形態では、支持部30は、前後方向挿通部31と、下側挿通部37と、上側挿通部38と、を有している。前後方向挿通部31は、
図6及び
図9に示すように、上面部21の車両下方側に設けられており、車両前後方向に延びている。前後方向挿通部31は、側壁部32と底面部33とを有している。側壁部32は、上面部21の左側端から車両下方に延び且つ車両前後方向に延びている。底面部33は、側壁部32の下端から右側に延び且つ車両前後方向に延びている。
【0031】
前後方向挿通部31の右側(車両外側)には、開口34が設けられている。すなわち、上面部21と、側壁部32と、底面部33により、車両外側に開くU字形断面が形成されている。
【0032】
下側挿通部37は、前後方向挿通部31の後端から車両下方に延びている。前後方向挿通部31の底面部33よりも下方側において、下側挿通部37は、左側に突出し、さらに車両下方に向かって延びている。下側挿通部37の上部は、前後方向挿通部31の後部に連通している。
【0033】
上側挿通部38は、上面部21から車両上方側に延び、車両上方に向かうに従い車両前方に傾斜している。図示は省略しているが、下側挿通部37に挿通されるハーネス5は、下側挿通部37の上部で分岐して、一方は上側挿通部38に挿通され、他方は前後方向挿通部31に挿通される。
【0034】
支持部30には、
図5、
図7及び
図8に示すように、開口34を塞ぐカバー部材40が取り付けられている。カバー部材40は、
図5及び
図7に示すように、前後方向挿通部31の開口34を塞ぎ、下側挿通部37の一部及び上側挿通部38の一部を塞いでいる。カバー部材40のうち、前後方向挿通部31の開口34を塞ぐ部分には、上側フランジ41及び下側フランジ43が設けられている。
【0035】
下側フランジ43は、
図5に示すように、前後方向挿通部31の開口34を塞ぐ部分の下端から車幅方向の左側に張り出し、車両前後方向に延びている。上側フランジ41は、当該部分の上端から左側に張り出し、車両前後方向に延びている。下側フランジ43は、底面部33の下部に取り付けられ、上側フランジ41は、上面部21の上部に取り付けられている。上側フランジ41には、
図5、
図7及び
図8に示すように、切欠き42が設けられている。該切欠き42は、上側フランジ41の左側端から右側に切り欠かれており、側面視で第2U字形状部27の内側、すなわち、車両前後方向で、後壁部26と最後壁部29との間に位置している。当該切欠き42によって、上面部21における第2U字形状部27の内側と、支持部30の前後方向挿通部31の内部とは、流体連通されている。
【0036】
また、本実施形態では、
図3及び
図4に示すように、ハーネス端子3は、プロテクタ20の車両下方側で、上面視でプロテクタ20に重なる位置に固定されている。プロテクタ20の上面部21にリブ構造体22を設けることで、車両上方からの雨水等の滴下による被水に対し、水の流れを、例えば車両前後方向等の水平方向(横方向、
図3の矢印X3)に流すように、水流をコントロールすることができる。その結果、モータユニット1の下部のハーネス端子3への被水を防ぐことが可能となる。
【0037】
さらに、カバー部材40に切欠き42を設けることで、プロテクタ20の上面部21を流れる水を、積極的に前後方向挿通部31に流すことができる。その結果、前後方向挿通部31の内部の水は、前後方向挿通部31の前部のハーネス挿通口または下側挿通部37に流れるため、当該構造は、上面部21を流れる水を、プロテクタ20の真下に位置するハーネス端子3等の部品から離れた個所に排水することが可能となる。
【0038】
また、本実施形態では、支持部30の前後方向挿通部31の底面部33には、
図6及び
図9に示すように、車両前方に向かうに従い車両下方に傾斜する傾斜面33aが形成されている。該傾斜面33aの後端は、切欠き42の車両下方側に位置している。これにより、切欠き42を通り抜けて前後方向挿通部31に流れ込んだ水は、傾斜面33aの上を流れるので、当該水をプロテクタ20の前部のハーネス挿通口からプロテクタ20の外に排水することが容易になる。
【0039】
続いて、保護構造体50について説明する。保護構造体50は、
図1~
図3に示すように、前側固定部51と、後側固定部52と、連結部53とを有している。前側固定部51は、モータユニット1の右側面部のうち、コネクタ受部2の車両前方側に間隔を空けて配置されている。前側固定部51は、車幅方向外側を臨む面を有し、当該面には、貫通孔が設けられている。当該貫通孔にボルト等が挿入され、前側固定部51はモータユニット1の右側面部に接合される。
【0040】
後側固定部52は、モータユニット1の右側面部のうち、コネクタ受部2の車両後方側に間隔を空けて配置されている。後側固定部52は、前側固定部51と同様に、車幅方向外側を臨む面を有し、当該面には、貫通孔が設けられている。当該貫通孔にボルト等が挿入され、後側固定部52はモータユニット1の右側面部に接合される。
【0041】
連結部53は、前側固定部51と後側固定部52とを連結するように車両前後方向に延び、かつ車両上方側に凸形状のアーチ形状をなしている。連結部53は、コネクタ受部2の上部よりも車両上方に間隔を空けて配置されている。
【0042】
本実施形態では、後側固定部52の車両下方側には、第2U字形状部27が配置されている。これにより、保護構造体50により、コネクタ受部2に向かって流れる水を、例えば後側固定部52に流し、後側固定部52から
図4の矢印X1及びX2に示すように、車両下方に排水することで、コネクタ受部2及びコネクタ10への被水を抑制することが可能となる。さらに、後側固定部52から流れ落ちる水を、プロテクタ20の第2U字形状部27及び切欠き42によって、支持部30の前後方向挿通部31に導水することで、周辺部品への被水を抑制することが可能となる。
【0043】
本実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0044】
例えば、本実施形態では、後側固定部52の車両下方側に第2U字形状部27を配置しているが、これに限らない。前側固定部51の車両下方側に第2U字形状部27を配置してもよい。
【0045】
また、本実施形態では、動力装置として、電動車両のモータユニット1を例に挙げて説明しているが、これに限らない。例えば、動力装置をガソリン車用のエンジンとしてもよいし、ハイブリット車用の動力装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 モータユニット(動力装置)
2 コネクタ受部
3 ハーネス端子
5 ハーネス
8 ユニット設置部
10 コネクタ
11 ハーネス挿入部
12 被係止部
12a 穴部
12b 突出部
20 プロテクタ
21 上面部
22 リブ構造体
23 第1U字形状部
24 前壁部
24A 係止部
24a 縦壁
24b 傾斜壁
25 外壁部
26 後壁部
27 第2U字形状部
28 背面壁部
28a 取付部
29 最後壁部
30 支持部
31 前後方向挿通部
32 側壁部
33 底面部
33a 傾斜面
34 開口
37 下側挿通部
38 上側挿通部
40 カバー部材
41 上側フランジ
42 切欠き
43 下側フランジ
50 保護構造体
51 前側固定部
52 後側固定部
53 連結部