(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】容器用包装体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61J 1/14 20230101AFI20231212BHJP
A61J 1/06 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A61J1/14 520
A61J1/06 M
(21)【出願番号】P 2019239601
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【氏名又は名称】大田黒 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100169236
【氏名又は名称】藤村 貴史
(72)【発明者】
【氏名】古谷 紀子
(72)【発明者】
【氏名】金原 潤
(72)【発明者】
【氏名】中田 清
(72)【発明者】
【氏名】米本 智裕
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-295368(JP,A)
【文献】特開2001-348062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/14
A61J 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液が充填された容器を収容する包装体であって、
樹脂フィルムからなる内袋と、前記内袋を収容し樹脂フィルムからなる外袋とを備え、
前記内袋は、前記容器を袋の内側に収容して脱気状態で封止され、前記外袋は、端部が前記内袋の端部と固着されて前記内袋の外側に気体を収容した状態で封止され、前記容器が、前記内袋により前記外袋から空間を隔てて固定されることを特徴とする容器用包装体。
【請求項2】
前記内袋及び前記外袋が三方袋又は四方袋である請求項1記載の容器用包装体。
【請求項3】
前記内袋の樹脂フィルムが、少なくともポリオレフィン系樹脂フィルムを含む請求項1又は2記載の容器用包装体。
【請求項4】
前記外袋の樹脂フィルムが、バリア層を含む請求項1~3のいずれか一項に記載の容器用包装体。
【請求項5】
前記容器が、医薬品容器である請求項1~4のいずれか一項に記載の容器用包装体。
【請求項6】
内袋用樹脂フィルムと外袋用樹脂フィルムとを重ねた後、前記内袋用樹脂フィルムが内側になるように半折し、容器を内袋用樹脂フィルム間に挿入し、前記内袋用樹脂フィルム間を脱気しながら内袋を封止し、かつ前記内袋用樹脂フィルムと外袋用樹脂フィルムとの間にガスを供給しながら外袋を封止することを特徴とする容器用包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、例えばプレフィルドシリンジやアンプル、バイアル等の医薬品容器を包装可能な包装体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、プレフィルドシリンジと呼ばれる、薬剤が予め充填された注射器が用いられるようになってきた。プレフィルドシリンジを用いることにより、従来の注射器のように薬剤を注射器に詰め替える作業が不要になることから、詰め替え時に感染や異物混入のおそれがなく、救急時に迅速な投与が可能になり、医療従事者の労働生産性の向上に寄与する。また、あらかじめ定められた量の薬剤をプレフィルドシリンジに充填することにより、正確な量を投与することができる。このことは薬剤管理が簡便になることにも寄与する。
【0003】
医薬品には厳重な品質管理が求められており、近年では品質管理が製造プロセスに限らず、流通過程における保管や輸送のプロセスにまで拡大されるようになってきた。流通過程における品質保証を目的とした基本的な指針としてのGDP(Good Distribution Practices)では、温度管理の他、振動衝撃等についても管理することが要求される。したがって、医薬品の包装体に、流通過程における振動衝撃を緩衝することが要求されるようになってきた。
【0004】
プレフィルドシリンジの包装体に関し、プレフィルドシリンジが包装容器内で移動・振動することなく適度に固定され、しかも包装容器への装填が機械によっても容易に行うことができる包装容器として、ブリスター一体成型の包装容器であって、プレフィルドシリンジの外径に合わせて絞って成形されたロック部を備え、このロック部でプレフィルドシリンジの一部分を固定したプレフィルドシリンジ収納用ブリスター包装容器がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
引用文献1に記載のプレフィルドシリンジ収納用ブリスター包装容器は、プレフィルドシリンジが包装容器に固定されるので、輸送中にプレフィルドシリンジが包装容器内で過度の振動をすることを防止する。しかしながら、かかるブリスター包装容器は、外部から振動や衝撃がブリスター包装容器に加えられたときには、その振動や衝撃がほとんど減衰されることなくプレフィルドシリンジに伝わってしまう。そのため流通過程における振動や衝撃を緩衝することが十分ではなかった。また、医療従事者の使用時においても、プレフィルドシリンジを収容したブリスター包装容器の取り扱い時に生じることがある振動や衝撃を緩衝することが十分ではなかった。
【0007】
本発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、プレフィルドシリンジやアンプルやバイアルのような、薬剤を収容した医薬品容器に対する振動や衝撃を緩衝することが可能な容器用包装体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、内袋と外袋の二重パウチの包装体であって、当該内袋の内側に容器を収容して脱気封止し、内袋と外袋との間には気体を封入して、容器が、内袋により外袋から空間を隔てて固定される構造とすることにより、容器の振動衝撃を緩衝することが可能なことを見出し、本発明に到った。
【0009】
上記の知見に基づく本発明の容器用包装体は、液が充填された容器を収容する包装体であって、樹脂フィルムからなる内袋と、前記内袋を収容し樹脂フィルムからなる外袋とを備え、前記内袋は、前記容器を袋の内側に収容して脱気状態で封止され、前記外袋は、端部が前記内袋の端部と固着されて前記内袋の外側に気体を収容した状態で封止され、前記容器が、前記内袋により前記外袋から空間を隔てて固定されることを特徴とする。
【0010】
本発明の容器用包装体においては、前記内袋及び前記外袋が三方袋又は四方袋である構造とすることができる。また、前記内袋の樹脂フィルム(以下、「内袋用樹脂フィルム」ともいう。)が、少なくともポリオレフィン系樹脂フィルムを含む構造とすることができる。さらに、前記外袋の樹脂フィルム(以下、「外袋用樹脂フィルム」ともいう。)が、バリア層を含む構造とすることができる。またさらに、前記容器は、医薬品容器とすることができる。
【0011】
本発明の容器用包装体の製造方法は、内袋用樹脂フィルムと外袋用樹脂フィルムとを重ねた後、前記内袋用樹脂フィルムが内側になるように半折し、容器を内袋用樹脂フィルム間に挿入し、前記内袋用樹脂フィルム間を脱気しながら内袋を封止し、かつ前記内袋用樹脂フィルムと外袋用樹脂フィルムとの間にガスを供給しながら外袋を封止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の容器用包装体によれば、プレフィルドシリンジやアンプルやバイアルのような薬剤を収容した容器の振動衝撃を緩衝することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の容器用包装体の一実施形態の模式的な平面図である。
【
図3】
図1の容器用包装体にバイアルを収容した例を示す模式的な平面図である。
【
図4】本発明の容器用包装体の別の実施形態の模式的な平面図である。
【
図6】内袋用樹脂フィルムと外袋用樹脂フィルムとがポイントシールにより部分的に接合されていることを説明する模式図である。
【
図7】本発明の容器用包装体の製造方法の一実施形態を説明する模式図であり、
図7(a)は製造ラインを斜め上方から見た図、
図7(b)は製造ラインを正面から見た図である。
【
図8】本発明の容器用包装体の製造時における包装機の空気吸引用チューブ及び気体送入用チューブの配置を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の容器用包装体の実施形態を、図面を用いつつ具体的に説明する。
図1に、本発明の容器用包装体の一実施形態の模式的な平面図を示し、
図2に、
図1の容器用包装体のII-II線視断面図を示す。
図1、
図2では、容器用包装体1は、容器の一例としてのプレフィルドシリンジSを包装する包装体の実施形態を示しており、図面上、プレフィルドシリンジSは模式的に単純な円筒形状で表されている。また、容器用包装体1が収容可能な容器はプレフィルドシリンジSに限られず、
図3に示すように医薬品容器としてのバイアルVやアンプルの場合であっても容器用包装体1の構造上、プレフィルドシリンジSを収容した場合と同様に、振動、衝撃の緩和の効果を得ることができる。また、医療用容器以外の用途の容器にも本発明の容器用包装体を用いることができる。
【0015】
図1及び
図2において、容器用包装体1は、内袋2と外袋3とを備え、外袋3の内側に内袋2が収容された二重袋の構造になっている。図示した本実施形態においては、内袋2及び外袋3は、いずれも樹脂フィルムが半折されて略四角形の平面形状を有していて、折り曲げられた端辺以外の三つの端辺がシールされた三方袋に形成されている。もっとも、三方袋に限られず折り曲げられた端辺についても内袋2と外袋3とが互いに固着されるようにシールされている四方袋とすることもできる。
図4に、四方袋の実施形態の容器用包装体の模式的な平面図を示し、
図5に、
図4の容器用包装体のA-A線視断面図を示す。
図4及び
図5の容器用包装体1は、内袋5と外袋6とを備え、外袋6の内側に内袋5が収容された二重袋の構造になっている。
図1、2に示した容器用包装体1と、
図4、5に示した容器用包装体4とは、三方袋か四方袋かの構造の相違以外は相違はなく、同じ材料を用いることができるため、以下の説明では三方袋の容器用包装体1に代表させて説明する。
内袋2用樹脂フィルムは、それぞれポリオレフィン系樹脂フィルムの単層体又は積層体とすることができる。外袋3用樹脂フィルムは、基層を有し、ポリオレフィン系樹脂層を内層側の表層に有する積層フィルムとすることができる。
【0016】
図2に示されるように、プレフィルドシリンジSは、内袋2の内側に収容される。この内袋2は、プレフィルドシリンジSが収容されて、脱気状態で封止されている。脱気状態にされることで、内袋2は減圧状態になり、プレフィルドシリンジSは、内袋2を構成する樹脂フィルムに密着して固定される。プレフィルドシリンジSの好ましい固定位置は、好ましくは
図1の平面図で見て内袋2の長手方向のほぼ中央、幅方向のほぼ中央である。
【0017】
外袋3は、内袋2と外袋3と間に気体、例えば空気や不活性ガスが収容されて外袋3が膨らんだ状態で封止されている。
図2の断面図で見て内袋2は、両端部のうちの一方の端部が、外袋3とシールされて固着されている。
図5の四方袋の場合は両端部が外袋3とシールされて固着されている。なお、
図2の三方袋の場合は内袋2の両端部のうちの他方の端部は外袋3とはシールされていないが、外袋3の内側にガスが封止されて膨らんでいることにより内袋2の両端部が押圧され固定されている。したがって、内袋2は、外袋3から外袋3の内部空間を隔てて固定されている。このため、内袋2の幅方向のほぼ中央部に位置するプレフィルドシリンジSもまた、外袋3から内部空間を隔てて位置する。
【0018】
本実施形態の容器用包装体1は、プレフィルドシリンジSが、脱気された内袋2により固定されていることから、外部から衝撃や振動が容器用包装体1に加わっても、容器用包装体1内で不要に動くことがない。また、プレフィルドシリンジSが、外袋3から空間を隔てて位置することから、外部から衝撃や振動が容器用包装体1に加わっても、外袋3内の気体が緩衝材となって衝撃や振動を吸収する。したがって、プレフィルドシリンジSの振動や衝撃を緩衝することができる。
【0019】
容器用包装体1は、容器の包装体であるとともに、容器の緩衝体でもある。つまり包装体と緩衝体とが一体化したものである。これにより包装機能と緩衝機能とを兼ね備えた、一体化された包装体となっている。容器用包装体1は、さらに外袋及び内袋のいずれか又は両方の樹脂フィルム中にバリア層等になる機能性フィルムを積層させることにより、バリア機能等を付加することができる。
【0020】
内袋2用樹脂フィルムは、単層であってもよく、二層以上の複層であってもよい。いずれの場合もポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィン系樹脂からなるフィルムを少なくとも含む。内袋2用樹脂フィルムがポリオレフィン系樹脂からなるフィルムを含むことにより、プレフィルドシリンジSのような容器を脱気状態で確実に固定することができる。また、内袋2を透明な袋にすることができる。また、ポリオレフィン系樹脂は、内袋用樹脂フィルムを半折して三方袋を作成するとき、又は内袋用樹脂フィルムの二枚で四方袋を作成するときに、内袋用樹脂フィルム同士をヒートシールして内袋を容易に製造することができる。また、内袋2の周辺部と外袋3の周辺部とを熱接合して容易に固定することができる。ポリオレフィン系樹脂は、より具体的に、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、プロックポリプロピレン、ヒートシール性延伸ポリプロピレン(HS-OPP)から選択される1種又は2種以上とすることができる。
【0021】
内袋2用樹脂フィルムの複層が積層された積層フィルムの場合は、例えば未延伸ポリプロピレンフィルムとポリエチレンフィルムの積層フィルムを用いることができる。また、内袋2の積層フィルムは、必要に応じて機能性層を備えることができる。機能性層は、例えばガスバリア層や、酸素吸収層がある。ガスバリア層として、延伸ナイロン、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、金属または金属酸化物の蒸着層例えば、酸化珪素蒸着層、酸化アルミ蒸着層、アルミ蒸着層や、IBフィルム、その他の公知のガスバリアコート層をしたバリアコート層を含むことができる。
【0022】
ガスバリア層の蒸着層は、透明蒸着層であってもよく、不透明蒸着層であってもよい。蒸着層が透明蒸着層であることにより、内容物の視認性を保ちながら、酸素ガス及び水蒸気等のガスの透過を阻止するガスバリア性を付与、又は向上させることができる。なお、蒸着層は2層以上を備えてもよい。蒸着層を2層以上備える場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
【0023】
透明蒸着層としては、無機元素又は無機酸化物、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ハフニウム(Hf)、バリウム(B)等の無機元素又はその酸化物の蒸着層を使用することができる。
【0024】
無機酸化物の化学式は、例えば、SiOX、AlOX等のようにMOX(ただし、式中、Mは、無機元素を表し、Xは正数であり、Xの値は、無機元素によってそれぞれ範囲が異なる。)で表される。なお、無機元素がAlの場合、上記の式中のXの値としては、基本的には、X=0.5以上のものを使用することができるが、X=1.0未満になると、着色し、かつ、透明性に劣ることから、X=1.0以上のものを使用することが好ましい。また、X=1.5のものは、Alと酸素とが完全に酸化した状態のものであることから、上限としては、X=1.5までのものを使用することができる。
【0025】
透明蒸着層の厚みは、使用する無機酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50Å以上2000Å以下、好ましくは、100Å以上1000Å以下の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。例えば、酸化アルミニウムあるいは酸化ケイ素の蒸着層の場合には、厚みは50Å以上500Å以下、更に、好ましくは、100Å以上300Å以下が望ましい。
【0026】
蒸着層は、基材層に例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等により形成することができる。より具体的には、ローラー式蒸着膜成膜装置を用いて、成膜ローラー上において蒸着層を形成することができる。
【0027】
ガスバリアコート層は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を抑制する層として機能する塗膜である。ガスバリアコート層は、一般式R1
nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも一種以上の金属アルコキシドと、ポリビニルアルコ-ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ-ル共重合体等の水溶性高分子とを含有し、さらに、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合して得られる金属アルコキシドの加水分解物または金属アルコキシドの加水分解縮合物を含むガスバリア性組成物からなる。なお、ガスバリアコート層は透明であることが好ましい。ガスバリアコート層は、単独で又は上記蒸着層に重ねて用いることができる。蒸着層にガスバリアコート層を重ねて用いることにより、蒸着膜のクラックの発生を効果的に防止することができる。
【0028】
上記の一般式R1
nM(OR2)mで表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解の縮合物の少なくとも一種以上を使用することができる。また、上記のアルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されている必要はなく、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよい。アルコキシドの加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のもの、具体的には、2~6量体のものを使用される。
【0029】
上記の一般式R1
nM(OR2)mで表されるアルコキシドにおいて、Mで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他などを使用することができる。好ましい金属としては、例えば、ケイ素、チタンなどを挙げることができる。また、本発明において、アルコキシドの用い方としては、単独または二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うこともできる。
【0030】
また、上記の一般式R1
nM(OR2)mで表されるアルコキシドにおいて、R1で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、その他などのアルキル基を挙げることができる。また、上記の一般式R1
nM(OR2)mで表されるアルコキシドにおいて、R2で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、その他などを挙げることができる。なお、同一分子中にこれらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
【0031】
上記一般式を満たす金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン(Si(OCH3)4)、テトラエトキシシランSi(OC2H5)4)、テトラプロポキシシラン(Si(OC3H7)4)、テトラブトキシシラン(Si(OC4H9)4)などが挙げられる。
【0032】
上記のガスバリア性組成物を調製する際、例えば、シランカップリング剤などを添加してもよい。上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。本実施形態においては、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。上記のようなシランカップリング剤は、一種または二種以上を混合して用いてもよい。
【0033】
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールおよびエチレン-ビニルアルコール共重合体が好ましく、酸素バリア性及び水蒸気バリア性という観点からは、これらを併用することが好ましい。
【0034】
ガスバリアコート層における水溶性高分子の含有量は、金属アルコキシド100質量部に対して5質量部以上500質量部以下であることが好ましい。ガスバリアコート層における水溶性高分子の含有量を、金属アルコキシド100質量部に対して5質量部以上とすることにより、基材の酸素バリア性及び水蒸気バリア性をより向上することができる。また、ガスバリアコート層における水溶性高分子の含有量を、金属アルコキシド100質量部に対して500質量部以下とすることにより、ガスバリアコート層の製膜性を向上することができる。
【0035】
ガスバリアコート層の厚さは、0.01μm以上100μm以下であることが好ましく、0.1μm以上50μm以下であることがより好ましい。これにより、リサイクル性を維持しつつ、酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。ガスバリアコート層の厚さを0.01μm以上とすることにより、基材の酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上することができる。また、無機酸化物から構成される蒸着膜と隣接するように設けた場合に、蒸着膜におけるクラックの発生を防止することができる。
【0036】
ガスバリアコート層は、上記材料を含む組成物を、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコード、アプリケータなどの従来公知の手段により、塗布し、その組成物をゾルゲル法により重縮合することにより形成させることができる。
【0037】
ゾルゲル法触媒としては、酸またはアミン系化合物が好適である。アミン系化合物としては、水に実質的に不溶であり、且つ有機溶媒に可溶な第3級アミンが好適であり、例えば、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミンなどが挙げられる。これらの中でも、N,N-ジメチルべンジルアミンが好ましい。
【0038】
ゾルゲル法触媒は、金属アルコキシド100質量部当り、0.01質量部以上1.0質量部以下の範囲で使用することが好ましく、0.03質量部以上0.3質量部以下の範囲で使用することがより好ましい。
ゾルゲル法触媒の使用量を金属アルコキシド100質量部当り、0.01質量部以上とすることにより、その触媒効果を向上することができる。また、ゾルゲル法触媒の使用量を金属アルコキシド100質量部当り、1.0質量部以下とすることにより、形成されるガスバリアコート層の厚さを均一にすることができる。
【0039】
上記ガスバリア性組成物は、さらに酸を含んでいてもよい。酸は、ゾル-ゲル法の触媒、主としてアルコキシドやシランカップリング剤などの加水分解のための触媒として用いられる。
酸としては、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに酢酸、酒石酸などの有機酸が用いられる。酸の使用量は、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対して、0.001モル以上0.05モル以下であることが好ましい。
酸の使用量をアルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対して、0.001モル以上とすることにより、触媒効果を向上することができる。また、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対して、0.05モル以下とすることにより、形成されるガスバリアコート層の厚さを均一にすることができる。
【0040】
また、上記ガスバリア性組成物は、アルコキシドの合計モル量1モルに対して、好ましくは0.1モル以上100モル以下、より好ましくは0.8モル以上2モル以下の割合の水を含んでなることが好ましい。
水の含有量をアルコキシドの合計モル量1モルに対して、0.1モル以上とすることにより、基材の酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上することができる。また、水の含有量をアルコキシドの合計モル量1モルに対して、100モル以下とすることにより、加水分解反応を速やかに行うことができる。
【0041】
また、上記ガスバリア性組成物は、有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノールなどを用いることができる。
【0042】
以下、ガスバリアコート層の形成方法の一実施形態について以下に説明する。
まず、金属アルコキシド、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、水、有機溶媒および必要に応じてシランカップリング剤などを混合し、組成物を調製する。該組成物中では次第に重縮合反応が進行する。
次いで、ポリオレフィン系樹脂層上に、上記従来公知の方法により、該組成物を塗布、乾燥する。この乾燥により、アルコキシドおよび水溶性高分子(組成物が、シランカップリング剤を含む場合は、シランカップリング剤も)の重縮合反応がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。
最後に、該組成物を20~250℃、好ましくは50~220℃の温度で、1秒~10分間加熱することにより、ガスバリアコート層を形成することができる。
【0043】
酸素吸収層は、樹脂層又は接着層に酸素吸収剤を含む層を含むものである。酸素吸収剤は、無機系酸素吸収剤及び有機系酸素吸収剤のいずれでもよい。無機系酸素吸収剤は、粒状の金属等を主成分とする従来から使用されている酸素吸収剤を用いることができ、還元性を有する金属粉、例えば還元性鉄、還元性亜鉛、還元性錫粉:金属低位酸化物、例えば、酸化第一鉄、四三酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛:還元性金属化合物、例えば、炭化鉄、硅素鉄、鉄カルボニル、水酸化第一鉄等の一種または二種以上を組み合わせたものを主成分としたものが挙げられる。また、有機系酸素吸収剤は、OH基酸化型のものとしてアスコルビン酸、カテコール、グリセリン等を、二重結合酸化型のものとして共役二重結合ポリマ、シクロヘキサン含有ポリマ、不飽和脂肪酸等を、その他のものとしてMXDナイロン等を用いることができる。これらの酸素吸収剤は、必要に応じてアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、第三燐酸塩、活性アルミナ、活性白土のような助剤と組み合わせて使用することができる。
【0044】
さらに、内袋2は、必要に応じて易開封性を有するフィルム又は易開封性の付与する加工を施したフィルムを用いることができる。
【0045】
次に、外袋3について説明する。外袋3は、PETやナイロン等の基層を有し、ポリオレフィン系樹脂からなる層を内層側の表層に有する積層フィルムを用いることができる。ポリオレフィン系樹脂からなる内層側の表層が、外袋3を袋状に形成したときに内表面となる層であり、ヒートシール層として機能する。そのポリオレフィン系樹脂を、内袋2の外層側の表面のポリオレフィン系樹脂フィルムと同種の樹脂にすることで、内袋の周辺部と外袋の周辺部とをヒートシールで容易に熱接合することができる。同種の樹脂とは、例えば、内袋2の外表面がポリエチレン樹脂であるときに外袋3の内層側の表層がポリエチレン樹脂からなる層であることをいい、また、内袋2の外表面がポリプロピレン樹脂であるときに外袋3の内層側の表層がポリプロピレン樹脂からなる層であることをいう。
【0046】
外袋3の積層フィルムは、必要に応じて機能性層を備えることができる。機能性層は、例えば遮光層(UVカット層)や、ガスバリア層などがある。遮光層は、アルミ箔やアルミ蒸着膜、紫外線吸収剤を含む層が挙げられる。ガスバリア層は、アルミ蒸着層、アルミニウム酸化物蒸着層、酸化ケイ素蒸着層等の蒸着層、IBフィルム、その他の公知のガスバリアコート層、延伸ナイロン層、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)層などを例示することができる。外袋3のガスバリア層は、内袋2の積層フィルムに用いられるガスバリア層のいずれも用いることができる。内袋2に用いられるガスバリア層は既に説明したので、ここでは重複する説明を省略する。また、外袋3の積層フィルムは、酸素吸収層として、樹脂層又は接着層に酸素吸収剤を含む層を含むことができる。酸素吸収剤は、内袋2の積層フィルムに用いられる酸素吸収層のいずれも用いることができ、内袋2に用いられる酸素吸収層は既に説明したので、ここでは重複する説明を省略する。
【0047】
容器用包装体1は、収容された容器を目で確認できることが求められていることから、外袋3は、外部から容器を目視で確認することが求められることがあり、この場合には、上述した機能性層のうちの遮光層として紫外線吸収材を含む層として例えばUVカットインキを含む層やUVカットフィルムを選択し、ガスバリア層として透明なアルミニウム酸化物蒸着層、酸化ケイ素蒸着膜や透明な延伸ナイロン、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)層などを選択し、組み合わせて用いることができる。また、アルミニウム蒸着層のように不透明な層を有する場合には、目視用に不透明な層を部分的に有しない領域を備えるようにして、この領域を外袋3の確認窓とすることができる。
【0048】
外袋3の積層フィルムは、例えばPETフィルム層-アルミニウム酸化物蒸着層-接着層-ポリエチレンフィルム層の積層フィルム、PETフィルム層-アルミニウム酸化物蒸着層-接着層-延伸ナイロン層-接着層-ポリエチレンフィルム層の積層フィルム、延伸ナイロン層-アルミニウム酸化物蒸着層-接着層-ポリエチレンフィルム層の積層フィルム等がある。これらの積層フィルムの内層側の表層のポリエチレンフィルム層は、内袋2がポリエチレンフィルムである場合の当該ポリエチレンフィルムと接合されるように用いられる。
【0049】
外袋3の積層フィルムは、上記の他に、PETフィルム層-アルミニウム酸化物蒸着層-接着層-無延伸ポリプロピレン層の積層フィルム等がある。この積層フィルムの内層側の表層のポリプロピレン層は、内袋2がポリプロピレン層-接着層-ポリエチレン層の積層フィルムである場合の当該ポリプロピレン層と接合されるように用いられる。
【0050】
次に、容器用包装体1の製造方法について
図6~8を用いて説明する。
容器用包装体1は、包装機を用いて製造することができる。まず、内袋2用樹脂フィルムと外袋3用樹脂フィルムとを用意する。内袋2用樹脂フィルムのロールと外袋3用樹脂フィルムのロールとをそれぞれ包装機にセットしてもよいし、内袋2用樹脂フィルムと外袋3用樹脂フィルムとが予め重ねられているロールを包装機にセットしてもよい。内袋2用樹脂フィルムと外袋3用樹脂フィルムとを予め重ねる場合は、内袋2用樹脂フィルムと外袋3用樹脂フィルムに位置ずれが生じないように、
図6に示すようにポイントシールPにより部分的に内袋2用樹脂フィルムと外袋3用樹脂フィルムとを接合しておくことが好ましい。
図7(a)の模式的な斜め上方から見た図及び同図(b)の模式的な正面図に示すように包装機において、樹脂フィルムをロールRから巻き出し、内袋2用樹脂フィルムと外袋3用樹脂フィルムとが重なるように連続的に供給する。
【0051】
この重ねられた樹脂フィルムに対して、容器として例えばプレフィルドシリンジSを、内袋2用樹脂フィルムの内表面側に位置するように一定間隔で順次に供給する。
【0052】
内袋2用樹脂フィルムと外袋3用樹脂フィルムとが重ねられた樹脂フィルムを、内袋2用樹脂フィルムの一表面が互いに対向するように半折し、樹脂フィルムの端部をヒートシールして筒状にする。折り重ねた樹脂フィルムの折り曲げられた端部を内袋2用樹脂フィルムと外袋3用樹脂フィルムとが固着するようにヒートシールしてもよい。
【0053】
筒状になった樹脂フィルムの移動方向先端側の端部をヒートシールして後端部のみが開放された二重袋の形状とし、当該二重袋の内袋2の内側に挿入された空気吸引用チューブ11により、プレフィルドシリンジSがほぼ中央に位置するようにして脱気する。
【0054】
脱気と同時に、内袋2と外袋3との間に挿入された気体送入用チューブ12により、空気又は不活性ガスとしての例えば窒素ガスを吹き込みながら、後端部の開口部をヒートシールして内袋2及び外袋3とを同時に封止する。
図8に、包装機において内袋2の脱気を行う空気吸引用チューブ11と、外袋3への気体送入を行う気体送入用チューブ12の配置を模式的な断面図で示す。
【0055】
後端部の開口部がヒートシールされた後、樹脂フィルムの移動方向先後端をカットして個別の容器用包装体1を得る。なお、製造工程は、上記の工程に限定されるものではなく、幾多の変形が可能である。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0057】
実施例の容器用包装体を作製して、落下衝撃試験により評価した。
(実施例1)
内袋2用樹脂フィルムをポリエチレンフィルム厚さ50μmとし、外袋3用樹脂フィルムをPETフィルム12μm/接着層/低密度ポリエチレンフィルム30μmの積層フィルム(厚さ45μm)とし、
図1及び
図2を用いて説明した形態となるようにプレフィルドシリンジSを収容した実施例1の容器用包装体を得た。プレフィルドシリンジSにはプラスチック製(COP)1mL用プレフィルドシリンジを使用し、水1mLを充填して、シリンジ本体の先端をブチルゴム製キャップで封止し、シリンジ本体の後端からブチルゴム製ガスケットを挿入した。
包装体のサイズは短辺40mm×長辺130mmであった。
試験用の包装体の作成方法としては、外袋用樹脂フィルムに内袋用樹脂フィルムを合わせて2つ折りにし長辺及び短辺の一方をヒートシールしプレフィルドシリンジSを収容した後、開放部から内袋を真空脱気して密封シールした。同時に外袋と内袋との間に空気を充填しつつ開放した残りの短辺をヒートシールすることにより実施例1の三方袋を得た。
【0058】
落下衝撃試験は、容器用包装体に収容されたプレフィルドシリンジSに、歪ゲージを円周方向と鉛直方向の2方向に接着剤で貼り付け、30cmの高さから床面に落下させる試験を、プレフィルドシリンジSの軸方向がほぼ鉛直方向になる向きでの落下と、プレフィルドシリンジSの軸方向がほぼ水平方向になる向きでの落下との二種類で行って、プレフィルドシリンジSに生じる微小な歪を、取り付けられた歪ゲージにより検出し、ひずみ測定装置により測定し、解析することにより包装体の緩衝効果の有無を測定した。このときの歪ゲージは共和電業製、KFEMタイプ(箔超大ひずみゲージ)を用い、測定装置は共和電業製、EDX-10シリーズ、EDX-14Aひずみ測定ユニットを用いた。
【0059】
その結果、微小歪の最大値と最小値との差は、垂直方向試験で鉛直歪が56με、円周歪が48με、水平方向試験で鉛直歪が86με、円周歪が33μεであり、実施例1の容器用包装体は、十分な緩衝効果が得られた。
【0060】
(実施例2)
実施例2は、内袋2用樹脂フィルムを(ポリエチレンーエチレンビニルアルコール共重合体―ポリエチレン)からなる多層フィルム(厚さ50μm)とし、外袋3用樹脂フィルムを(酸化アルミニウム蒸着PETフィルム12μm/接着層/低密度ポリエチレンフィルム30μm)の積層フィルム(厚さ約45μm)とした以外は実施例1と同様にして実施例2の三方袋を得た。
得られた実施例2の三方袋に、実施例1と同様の衝撃落下試験を行ったところ、微小歪の最大値と最小値との差は、垂直方向試験で鉛直歪が55με、円周歪が40με、水平方向試験で鉛直歪が90με、円周歪が31με)であり、実施例2の容器法包装体は、十分な緩衝効果が得られた。
【0061】
実施例3は、内袋2用樹脂フィルムを(ポリエチレンーエチレンビニルアルコール共重合体―ポリエチレン)からなる多層フィルム(厚さ50μm)とし、外袋3用樹脂フィルムを(酸化アルミニウム蒸着PETフィルム12μm/UVカットインキ層/接着層/延伸ナイロンフィルム15μm/接着層/低密度ポリエチレンフィルム30μm)の積層フィルム(厚さ約60μm)とした以外は実施例1と同様にして実施例3の三方袋を得た。
得られた実施例2の三方袋に、実施例1と同様の衝撃落下試験を行ったところ、微小歪の最大値と最小値との差は、垂直方向試験で鉛直歪が58με、円周歪が45με、水平方向試験で鉛直歪が95με、円周歪が33με)であり、実施例3の容器法包装体は、十分な緩衝効果が得られた。
【0062】
比較例1として、包装体に収容しないプレフィルドシリンジSを作成した。プレフィルドシリンジSは実施例1と同様に水を充填しキャップとガスケットを用いて封止したものを用いて、実施例1と同様に落下衝撃試験を行ったところ、微小歪の最大値と最小値との差は、垂直方向試験で鉛直歪が67με、円周歪が35με、水平方向試験で鉛直歪が150με、円周歪が52μεであった。
【0063】
比較例2として、実施例1の外袋3用樹脂フィルムを用いたが、内袋2を排除した一重パウチを作成し、実施例1と同様に水を充填したプレフィルドシリンジSを封入シールして、実施例1、及び比較例1と同様に落下衝撃試験を行ったところ、微小歪の最大値と最小値との差は、垂直方向試験で鉛直歪が61με、円周歪が34με、水平方向試験で(鉛直歪が116με、円周歪が30μεであった。
【0064】
以上、実施の形態および実施例を用いて本発明の容器用包装体を具体的に説明したが、本発明の容器用包装体は、これらの実施形態および実施例の記載に限定されることなく本発明の趣旨を逸脱しない範囲で幾多の変形が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 容器用包装体
2 内袋
3 外袋
11 空気吸引用チューブ
12 気体送入用チューブ