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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】印刷装置及びキャリッジ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231212BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20231212BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/01 303
B41J2/14 611
B41J2/175 121
B41J2/175 153
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020002659
(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公開番号】P2021109377
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋次
(72)【発明者】
【氏名】村山 平
(72)【発明者】
【氏名】竜田 大輝
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-155880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出方向に吐出可能な複数のヘッドを支持する支持部を有するヘッドユニットと

前記ヘッドユニットを前記吐出方向の上流から取り外し可能に搭載するキャリッジと、
を備え、
前記キャリッジは、前記液滴を吐出する前記ヘッドのノズル面が露出する開口が形成さ
れた底部を有し、
前記支持部には、前記吐出方向に前記支持部の底面から突出する少なくとも1つの突出
部が設けられ、
前記底部には、前記少なくとも1つの突出部が挿通される挿通孔と、前記挿通孔に前記
少なくとも1つの突出部が挿通された状態において前記支持部を前記吐出方向と交差する
交差方向に付勢する付勢部材とが設けられ、
前記底面は、第1辺と、前記第1辺と平行な第2辺とを含む外縁を有し、
前記底部には、前記第1辺と当接する第1当接部と、前記第2辺と当接する第2当接部
と、が設けられ、
前記付勢部材は、前記第1辺及び前記第2辺と平行な方向に付勢し、
前記第1当接部及び前記第2当接部は、互いに離れる方向に向かって傾斜する傾斜面を
有し、
前記第1当接部と前記第2当接部との間隔は、前記吐出方向の上流に向かうほど大きい
こと、を特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記第1当接部及び前記第2当接部は、前記外縁の角部と対応する位置に設けられるこ
と、
を特徴とする請求項に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記ヘッドユニットに接続される通信ケーブルを備え、
前記通信ケーブルは、ボード・ツー・ボードコネクターを介して前記支持部に接続され
ること、
を特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記ボード・ツー・ボードコネクターと前記支持部とには、前記ボード・ツー・ボード
コネクターと前記支持部とを前記底部に対して固定するネジを挿通させる貫通孔が設けら
れ、
前記ネジは、前記ボード・ツー・ボードコネクターの前記貫通孔から脱落することを防
止する脱落防止ネジであること、
を特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記キャリッジには、前記支持部から取り外された前記ボード・ツー・ボードコネクタ
ーを載置するコネクター載置部が設けられること、
を特徴とする請求項又は請求項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記ヘッドユニットに接続され前記複数のヘッドに液体を供給する液体供給ユニットを
備え、
前記キャリッジには、前記ヘッドユニットから取り外された前記液体供給ユニットを載
置可能な供給ユニット載置部が接続されること、
を特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記供給ユニット載置部は、前記キャリッジから展開される、底を有する枠状の部材で
あり、
前記液体供給ユニットが前記供給ユニット載置部に載置された状態において、
前記ヘッドユニットと接続される前記液体供給ユニットの接続部は、前記供給ユニット
載置部の前記底から離間すること、
を特徴とする請求項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記キャリッジ及び前記ヘッドユニットを開閉可能に覆う蓋体と、
前記ヘッドユニットに接続され前記複数のヘッドに液体を供給する液体供給ユニットと
、を備え、
前記蓋体の内側には、開状態において、前記ヘッドユニットから取り外された前記液体
供給ユニットと係合可能な係合部が設けられ、
前記液体供給ユニットには、前記係合部と係合可能な被係合部が設けられること、
を特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項9】
液滴を吐出方向に吐出可能な複数のヘッドを支持する支持部と、前記支持部の底面から
前記吐出方向の下流に突出する少なくとも1つの突出部と、を有するヘッドユニットを前
記吐出方向の上流から取り外し可能に搭載するキャリッジであって、
前記ヘッドの前記液滴を吐出するノズル面が露出する開口が形成された底部を有し、
前記底部には、前記少なくとも1つの突出部が挿通される挿通孔と、前記挿通孔に前記
少なくとも1つの突出部が挿通された状態において前記支持部を前記吐出方向と交差する
交差方向に付勢する付勢部材とが設けられ、
前記底面は、第1辺と、前記第1辺と平行な第2辺とを含む外縁を有し、
前記底部には、前記第1辺と当接する第1当接部と、前記第2辺と当接する第2当接部
と、が設けられ、
前記付勢部材は、前記第1辺及び前記第2辺と平行な方向に付勢し、
前記第1当接部及び前記第2当接部は、互いに離れる方向に向かって傾斜する傾斜面を
有し、
前記第1当接部と前記第2当接部との間隔は、前記吐出方向の上流に向かうほど大きい
こと、を特徴とするキャリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及びキャリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、媒体に向かって液滴を吐出可能なヘッドと、ヘッドを搭載して媒体の幅方向に往復移動するキャリッジとを備え、キャリッジに搭載されるヘッドを交換可能とした印刷装置が知られている。例えば、特許文献1には、ヘッドが取り付けられるプレート部と、プレート部が着脱可能に取り付けられるキャリッジとを備え、プレート部に設けられた位置決めピンと、キャリッジに設けられた位置決め溝とを係合させることにより、ヘッド交換を行う印刷装置が開示されている。この印刷装置は、プレート部に設けられた開口部に対して吐出方向の下流側である下方からヘッドを着脱させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-122535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャリッジには、複数種類の色に対応する複数のヘッドで構成されるヘッドユニットが搭載される。また、印刷装置には、ユーザーが容易にヘッド交換を可能とする構成が望まれている。しかしながら、ヘッドユニットは、重量及び大きさが増加するため、特許文献1のように、ヘッドユニットを下方から着脱させる構成では、キャリッジにヘッドユニットを取り付けて精度良く位置決めする作業は煩雑になり、ユーザー自身にヘッド交換をさせるには困難な作業であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
印刷装置は、液滴を吐出方向に吐出可能な複数のヘッドを支持する支持部を有するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを前記吐出方向の上流から取り外し可能に搭載するキャリッジと、を備え、前記キャリッジは、前記液滴を吐出する前記ヘッドのノズル面が露出する開口が形成された底部を有し、前記支持部には、前記吐出方向に前記支持部の底面から突出する少なくとも1つの突出部が設けられ、前記底部には、前記少なくとも1つの突出部が挿通される挿通孔と、前記挿通孔に前記少なくとも1つの突出部が挿通された状態において前記支持部を前記吐出方向と交差する交差方向に付勢する付勢部材とが設けられる。
【0006】
キャリッジは、液滴を吐出方向に吐出可能な複数のヘッドを支持する支持部と、前記支持部の底面から前記吐出方向の下流に突出する少なくとも1つの突出部と、を有するヘッドユニットを前記吐出方向の上流から取り外し可能に搭載するキャリッジであって、前記ヘッドの前記液滴を吐出するノズル面が露出する開口が形成された底部を有し、前記底部には、前記少なくとも1つの突出部が挿通される挿通孔と、前記挿通孔に前記少なくとも1つの突出部が挿通された状態において前記支持部を前記吐出方向と交差する交差方向に付勢する付勢部材とが設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る印刷装置の構成を示す斜視図。
図2】蓋体を開放した状態の印刷装置を示す斜視図。
図3】キャリッジ周辺の構成を示す斜視図。
図4】キャリッジ内部の構成を示す拡大斜視図。
図5】供給ユニット載置部を展開した状態のキャリッジ周辺を示す斜視図。
図6】ヘッドユニットに液体供給ユニットが搭載された状態を示す斜視図。
図7】ヘッドユニットと液体供給ユニットとを離間させた状態を示す斜視図。
図8】キャリッジの底部の構成を示す平面図。
図9】キャリッジにヘッドユニットが搭載された状態を示す斜視図。
図10】第1当接部の形状を示す拡大斜視図。
図11】ボード・ツー・ボードコネクターの構成を示す断面図。
図12】ヘッドユニットの交換方法を示すフローチャート。
図13】供給ユニット載置部に液体供給ユニットが載置された状態を示す斜視図。
図14】供給ユニット載置部に液体供給ユニットが載置された状態を示す断面図。
図15】ヘッドユニットから液体供給ユニットを取り外した状態を示す斜視図。
図16】キャリッジからヘッドユニットを取り外した状態を示す斜視図。
図17】実施形態2に係る印刷装置の構成を示す斜視図。
図18】蓋体を開放した部分を拡大して示す斜視図。
図19】蓋体に液体供給ユニットが係合された状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.実施形態1
1-1.印刷装置の概略構成
実施形態1に係る印刷装置1の概略構成について図を参照して説明する。なお、図面に付記する座標においては、Z軸に沿う両方向は上下方向であり矢印方向が「上」、X軸に沿う両方向は左右方向であり矢印方向が「左」、Y軸に沿う両方向は前後方向であり矢印方向が「前」としている。また、主走査方向は、左右方向に対応し、副走査方向は、前後方向に対応する。また、Z軸に沿う両方向のうち矢印方向が「正」、X軸に沿う両方向のうち矢印方向が「正」、Y軸に沿う両方向のうち矢印方向が「正」である。
【0009】
印刷装置1は、媒体支持部3に支持された媒体に、Z軸に沿う下方(-Z方向)を吐出方向として液滴を吐出することで所望の画像を印刷するインクジェット式のプリンターである。印刷装置1が行う印刷は、例えば、印刷装置1に接続されたパーソナルコンピューターやデジタルカメラなどの外部機器から受信する画像データに基づいて行われる。媒体としては、例えば、Tシャツなどの素材である布帛や、紙、塩化ビニル樹脂など、種々の素材を用いることができる。
【0010】
図1から図4に示すように、印刷装置1は、筐体2と、筐体2の内部を開閉可能に覆う蓋体9とを有する。印刷装置1は、媒体を支持する媒体支持部3、媒体に液滴を吐出可能な複数のヘッド30を有するヘッドユニット20、ヘッド30に液体を供給する液体供給ユニット12、ヘッドユニット20及び液体供給ユニット12を搭載するキャリッジ40を備える。また、印刷装置1は、主走査方向に延在して筐体2に固定されるガイドレール4を有する。キャリッジ40は、ガイドレール4に沿って摺動可能に支持される。図3に図示するように、キャリッジ40は、前後に並ぶ2つの液体供給ユニット12を備えている。すなわち、本実施形態の印刷装置1は、2つのヘッドユニット20を有している。ヘッド30及びヘッドユニット20の構成は、後で詳述する。
【0011】
図2に示すように、印刷装置1は、ヘッドユニット20を主走査方向に往復移動する主走査部5、媒体支持部3を副走査方向に往復移動する副走査部6などを備える。なお、図2は、スライド式の蓋体9を開いた状態の印刷装置1を図示する。本実施形態の印刷装置1は、ヘッドユニット20及び液体供給ユニット12を搭載したキャリッジ40を覆うキャリッジカバー17を有している。キャリッジカバー17は、複数のネジによりキャリッジ40に取り外し可能に設けられる。
【0012】
主走査部5は、主走査方向においてヘッドユニット20と媒体支持部3との相対位置が変化するようにヘッドユニット20及び媒体支持部3のうち少なくとも一方を移動させる主走査を実行する。主走査部5は、キャリッジ40をガイドレール4に沿って主走査方向である左右方向に往復移動させる際の駆動源としてのモーターなどを備える。主走査部5は、制御部8の制御に基づいて、ヘッドユニット20を搭載したキャリッジ40を左右方向に移動させる。すなわち、印刷装置1は、媒体支持部3に対してヘッドユニット20が主走査方向に移動する。
【0013】
副走査部6は、副走査方向においてヘッドユニット20と媒体支持部3との相対位置が変化するようにヘッドユニット20及び媒体支持部3のうち少なくとも一方を移動させる副走査を実行する。副走査部6は、副走査方向に延在する搬送レールと、媒体支持部3を搬送レールに沿って副走査方向に移動させる際の駆動源としてのモーターを備える。副走査部6は、制御部8の制御に基づいて、媒体支持部3を副走査方向である前後方向に移動させる。すなわち、印刷装置1は、ヘッドユニット20に対して媒体支持部3が副走査方向に移動する。
【0014】
筐体2の前面には、印刷装置1を操作するための操作部7が備えられ、筐体2の内部には、印刷装置1の全体の動作を制御する制御部8などを備える。操作部7は、ヒューマンインターフェイスとしての表示部や入力部を備えるタッチパネルであり、制御部8に対する指示や、印刷装置1の操作に必要な情報の表示などを行う。
【0015】
印刷装置1は、制御部8の制御に基づいて、ヘッド30から液滴を吐出させながらキャリッジ40を主走査方向に移動させる主走査と、媒体支持部3を副走査方向に移動させる副走査とを交互に繰り返すことで媒体に画像や文字を印刷する。
【0016】
1-2.ヘッドユニット及びキャリッジの構成
図3に示すように、印刷装置1は、ヘッドユニット20に接続され複数のヘッド30に液体を供給する液体供給ユニット12を備える。液体供給ユニット12は、チューブ14によってインクタンクやインクパックなどの液体供給源と連通し、液体供給源からフィルター13を介して液体が供給される。フィルター13は、液体中の気泡や異物を捕捉し、キャリッジ40の右側壁に交換可能に設けられる。すなわち、液体供給源は、チューブ14とは異なる不図示のチューブを介してフィルター13と接続される。そして、フィルター13は、チューブ14を介して液体供給ユニット12と接続される。
【0017】
図3から図5に示すように、キャリッジ40は、上方が開放された箱状をなす。図4及び図5では、説明の便宜上、キャリッジ40の側壁の一部、又は全部の図示を省略している。キャリッジ40はヘッドユニット20を下方から支持し、ヘッドユニット20は液体供給ユニット12を下方から支持する。すなわち、ヘッドユニット20及び液体供給ユニット12は、キャリッジ40に対して、吐出方向の上流である上方側から取り外し可能に構成されている。
【0018】
図6及び図7に示すように、液体供給ユニット12は、ヘッドユニット20に接続される接続部12aを有する。接続部12aは、ヘッドユニット20に備えられる各ヘッド30と連通するインク流路として機能する。液体供給ユニット12は、液体を溜めると共に各ヘッド30側の圧力に応じてインク流路を開閉する圧力調整弁として機能する。このような液体供給ユニット12は、ヘッドユニット20と係合する4つの固定レバー15を有し、固定レバー15の操作によりヘッドユニット20から取り外し可能に構成されている。図6及び図7では、説明の便宜上、チューブ14及びBtoBコネクター50の一部の図示を省略している。
【0019】
図3及び図5に示すように、キャリッジ40には、ヘッドユニット20から取り外された液体供給ユニット12を載置可能な供給ユニット載置部48が接続される。供給ユニット載置部48は、上述したフィルター13の取り付け位置と対向するキャリッジ40の左側壁に接続されている。言い換えれば、ヘッドユニット20がキャリッジ40に取り付けられた状態において、供給ユニット載置部48は、ヘッドユニット20を挟んでフィルター13の反対の位置に設けられる。これにより、供給ユニット載置部48がヘッドユニット20を挟んでフィルター13と同じ位置に設けられる場合と比べて、液体供給ユニット12が供給ユニット載置部48に載置される際に、チューブ14がフィルター13の設けられる位置で折り返されてチューブ14に負担が掛かることが抑制される。供給ユニット載置部48は底48bを有する枠状の部材であり、枠48aを形成する1辺がキャリッジ40の左側壁の上端に回動可能に接続される。供給ユニット載置部48は、印刷を行う印刷動作において、底48bを上にした状態で液体供給ユニット12の上方を覆う位置にネジなどで固定される。図5に示すように、供給ユニット載置部48は、ヘッドユニット20の交換を行う交換作業において、キャリッジ40の左側壁の上端を支点に回動してキャリッジ40の左方の外側に展開される。これにより、供給ユニット載置部48は、底48bを下にした枠状をなし、液体供給ユニット12を載置可能な状態になる。
【0020】
図7に示すように、ヘッドユニット20は、複数のヘッド30と、複数のヘッド30を支持する支持部21とを有する。ヘッドユニット20は、例えば、シアンインクC、マゼンタインクM、イエローインクY、黒色インクKのカラーインク、および下地形成用の白色インクWなどの液体を吐出するノズルを有する複数のヘッド30で構成される。各ヘッド30には、インクパックやインクタンクなどの液体供給源から液体供給ユニット12を介して液体が供給される。なお、白色インクWは、下地形成用のインクであり、媒体の色の影響を受けずに所望の発色の画像を形成させる領域に対し、その下地を形成するために用いる。なお、白色インクWは、白色の画像を形成する際にも、画像形成インクとして使用される。また、上述のインクの数及び種類は、一例であり、これに限定されない。各ヘッド30は、制御部8の制御に基づいて液体を液滴として吐出方向に吐出する。
【0021】
液滴を吐出させる圧力発生手段には、ピエゾ方式を用いている。ピエゾ方式は、各ノズルに対応する圧力室を押圧する圧電素子にパルスが印加されることにより、圧力室に貯留されたインクに圧力が加えられ、圧力室に連通するノズルから液滴を吐出させる方式である。なお、圧力発生手段としては、静電気力によって圧力室を押圧する静電式アクチュエーターなどを使用してもよい。さらには、発熱体を用いて発生させた泡によって液体を液滴に吐出させるヘッドであってもよい。
【0022】
支持部21はX軸に長い長方形の板状をなし、Y軸と平行な第1辺24aと、第1辺24aと平行な第2辺24bとを含む外縁24で形成される底面21aを有する。外縁24は、第1辺24aと交差する第3辺24cと、第3辺24cと平行な第4辺24dとをさらに含む。第1辺24a及び第2辺24bは、長方形を形成する短辺であり。第3辺24c及び第4辺24dは、長方形を形成する長辺である。
【0023】
ヘッドユニット20の支持部21には、各ヘッド30がネジなどにより接続される。各ヘッド30は、液体供給ユニット12から供給される液体を下方に向かって液滴に吐出するノズルが形成されたノズル面31を有する。支持部21には、支持部21の底面21aから下方に向かって突出する少なくとも1つの突出部22が設けられる。突出部22は、底面21aから円柱状に伸びている。本実施形態の突出部22は、第3辺24cの両端部に2つ設けられている。支持部21に設ける突出部22の数は、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
また、支持部21の4つの角部25には、後述するローレットネジ54を挿通させる貫通孔26が設けられている。
【0024】
図8に示すように、キャリッジ40は、液滴を吐出するヘッド30のノズル面31を露出させる開口41aが形成された底部41を有する。キャリッジ40の底部41には、ヘッドユニット20の底面21aに設けられた突出部22が挿通される2つの挿通孔42が設けられる。挿通孔42は、突出部22に対応した数及び位置に形成される。2つの挿通孔42のうち第1の挿通孔421は、曲面形状の内壁である曲面内壁421aと平面形状の内壁である平面内壁421bとにより構成される。また、2つの挿通孔42のうち第2の挿通孔422は、平面内壁422aと、平面内壁422bと、平面内壁422cと、を有する。平面内壁422aと平面内壁422bとは、X軸及びY軸と交差する方向に沿う面を有する。また、少なくとも一つの突出部22は、第1の挿通孔421と対応する第1の突出部221と、第2の挿通孔422と対応する第2の突出部222と、を有する。挿通孔42のX軸に沿う寸法は、突出部22を形成する円柱と嵌合する寸法である。挿通孔42のY軸に沿う寸法は、突出部22を形成する円柱と遊嵌する寸法である。嵌合とは、隙間なく嵌め合った状態を表し、遊嵌とは、若干の隙間を持った嵌め合い状態を表す。
【0025】
ヘッドユニット20をキャリッジ40の上方から底部41に載置する場合、Y軸に沿う方向において突出部22と挿通孔42とは遊嵌状態であるため、キャリッジ40に対してヘッドユニット20を容易に載置することができる。また、X軸に沿う方向において突出部22と挿通孔42とは嵌合状態であるため、キャリッジ40に対するヘッドユニット20のX軸に沿う方向における位置が精度良く位置決めされる。
なお、本実施形態では、キャリッジ40の底部41に挿通孔42が設けられた構成を例示したが、キャリッジ40の底部41に接続された部材に挿通孔42が設けられた構成であってもよい。
【0026】
図7及び図8に示すように、キャリッジ40の底部41には、ヘッドユニット20の支持部21における底面21aを形成する第1辺24aと当接する第1当接部44と、底面21aを形成する第2辺24bと当接する第2当接部45とが設けられる。第1当接部44及び第2当接部45は、対応する第1辺24a及び第2辺24bにおいて、各辺24a,24bの中央部に1つ設けられた構成でも、各辺24a,24bの両端部に1つ又は2つ設けられた構成でもよい。本実施形態の第1当接部44は、第1辺24aと第3辺24cとで形成される角部25と対応する位置、及び第1辺24aと第4辺24dとで形成される角部25と対応する位置に設けられる。第2当接部45は、第2辺24bと第3辺24cとで形成される角部25と対応する位置、及び第2辺24bと第4辺24dとで形成される角部25と対応する位置に設けられる。
【0027】
第1辺24aと第3辺24cとの角部25に位置する第1当接部44の形状について説明する。なお、第2辺24bと第3辺24cとの角部25に位置する第2当接部45は、以下で説明する第1当接部44とY軸に関して対称の形状であり、第1辺24aと第4辺24dとの角部25に位置する第1当接部44は、以下で説明する第1当接部44とX軸に関して対称の形状であるので、その説明を省略する。
【0028】
図7から図10に示すように、第1当接部44は、+Z方向からの平面視にて、キャリッジ40の底部41に対してヘッドユニット20を載置する際に、ヘッドユニット20の短辺である第1辺24aとヘッドユニット20の長辺である第3辺24cとに当接可能なL字形状をなす。第1当接部44は、第1辺24aに沿う傾斜面46aと第3辺24cに沿う傾斜面46bとを有する。傾斜面46aは、上方に向かうに従い第1辺24aから離れる方向に傾斜している。傾斜面46bは、上方に向かうに従い第3辺24cから離れる方向に傾斜している。
【0029】
すなわち、X方向に対向して位置する第1当接部44及び第2当接部45は、互いに離れる方向に向かって傾斜する傾斜面46aを有している。換言すると、第1当接部44と第2当接部45との間隔は、上方に向かうほど大きくなっている。第1当接部44の傾斜面46aと第2当接部45の傾斜面46aとの最も狭い間隔は、X軸に沿う第3辺24cの両端と隙間なく当接する間隔である。これにより、キャリッジ40に対するヘッドユニット20のX軸に沿う方向における位置が精度良く位置決めされる。
【0030】
同様に、Y方向に対向して位置する2つの第1当接部44は、互いに離れる方向に向かって傾斜する傾斜面46bを有している。換言すると、2つの第1当接部44の間隔は、上方に向かうほど大きくなっている。2つの第1当接部44における傾斜面46bの最も狭い間隔は、Y軸に沿う第1辺24aの両端と若干の遊びを持つ間隔である。これにより、キャリッジ40に対してヘッドユニット20を容易に載置することができる。
【0031】
また、上述した突出部22が挿通される挿通孔42は、第1当接部44又は第2当接部45の形状であるL字によって囲まれる位置に配置されている。キャリッジ40に対するヘッドユニット20の位置決めの要となる挿通孔42の近傍にL字状の当接部44,45を配置することで、キャリッジ40に対するヘッドユニット20の位置決め精度が向上する。
【0032】
図7から図9に示すように、キャリッジ40の底部41に設けられた挿通孔42に、ヘッドユニット20の支持部21における底面21aに設けられた突出部22が挿通された状態において、支持部21をZ軸と交差する交差方向に付勢する少なくとも1つの付勢部材43が底部41に設けられる。本実施形態の付勢部材43は、ヘッドユニット20の第1辺24aと第4辺24dとで形成される角部25における第4辺24d側に対応する位置に設けられる第1の付勢部材431と、第2辺24bと第3辺24cとで形成される角部25における第3辺24c側に対応する位置に設けられる第2の付勢部材432と、を含む。
【0033】
付勢部材43は板バネであり、ヘッドユニット20がキャリッジ40の上方から底部41に載置された時に、第2の付勢部材432は、キャリッジ40に対してヘッドユニット20をY軸と平行な一方向に付勢する。第1の付勢部材431は、キャリッジ40に対してヘッドユニット20をY軸と平行な一方向と反対側の他方向に付勢する。これにより、突出部22が、対応する挿通孔42を構成する内壁に向かって付勢され、キャリッジ40に対するヘッドユニット20のY軸に沿う方向における位置が精度良く位置決めされる。本実施形態では、第1の挿通孔421を構成する内壁(曲面内壁421a及び平面内壁421b)に、第1の突出部221が第1の付勢部材431によって付勢される。これにより、第1の挿通孔421と第1の突出部221とを回動支点としてヘッドユニット20が回動可能となる。第1の挿通孔421は曲面内壁421aを有するので、ヘッドユニット20は滑らかに回動可能となる。そして、第2の突出部222が平面内壁422aと平面内壁422bとに第2の付勢部材432によって付勢されながら当接し、ヘッドユニット20の回動範囲が規制される。第2の突出部222が、X軸及びY軸に交差する方向に沿う平面を有する平面内壁422a及び平面内壁422bに付勢されながら当接することにより、キャリッジ40に対する第2の突出部222のX軸及びY軸における位置が精度よく決まる。第2の突出部222はヘッドユニット20に固定されているので、キャリッジ40に対するヘッドユニット20のX軸及びY軸における位置も精度よく決まる。
なお、付勢部材43は、つる巻きバネ、ねじりコイルバネ、樹脂製の弾性部材などであってもよい。また、本実施形態で示した付勢部材43の取り付け位置及び数量は、一例である。付勢部材43の数量は、1つでも3つ以上であってもよい。また、付勢部材43は、所定の方向に付勢力を発生可能であれば、その取り付け位置は限定されない。また、第1の挿通孔421を構成する内壁(曲面内壁421a及び平面内壁421b)に、第1の突出部221がちょうど嵌合するように設計されているのであれば、第1の付勢部材431は省略してもよい。
【0034】
図4及び図9に示すように、ヘッドユニット20には、制御部8と電気的導通を取るための通信ケーブル11が接続される。通信ケーブル11は、ボード・ツー・ボードコネクター50を介して支持部21に接続される。なお、図9では、通信ケーブル11の図示を省略している。以下、ボード・ツー・ボードコネクターをBtoBコネクターと記す。BtoBコネクター50は、オス側のBtoBコネクター51とメス側のBtoBコネクター52とを有する。詳しくは、BtoBコネクター50は、+Z方向からの平面視にて長方形状をなす。図6に示すように、オス側のBtoBコネクター51は、支持部21の上面21bにおける、第1辺24aに沿う位置と、第2辺24bに沿う位置とに2つ設けられる。
【0035】
図11に示すように、通信ケーブル11は、メス側のBtoBコネクター52を介してオス側のBtoBコネクター51と接続される。なお、図11では、通信ケーブル11及び一部部材の図示を省略している。通信ケーブル11は、フレキシブルフラットケーブルである。以下、フレキシブルフラットケーブルである通信ケーブル11をFFC11とも記す。メス側のBtoBコネクター52は、+Z方向からの平面視にてY方向に長い長方形の箱状のホルダー57を有する。FFC11は、ホルダー57の内部に設けられたFFC用コネクター58と電気的に接続され、さらにホルダー57の底部に設けられたメス側のBtoBコネクター52に変換される。FFC11とFFC用コネクター58との接続は、FFC11の誤挿入やコネクターの破損などの不具合を生じる恐れがあった。この構成によれば、FFC11を抜き差しせずに、BtoBコネクター50の抜き差しによって、制御部8とヘッドユニット20との電気的導通を容易に取ることができる。
【0036】
メス側のBtoBコネクター52とヘッドユニット20の支持部21とは、キャリッジ40の底部41に対してネジとしてのローレットネジ54で固定される。ホルダー57には、ローレットネジ54をZ軸に沿って挿通させる貫通孔55が設けられ、支持部21には、ローレットネジ54をZ軸に沿って挿通させる貫通孔26が設けられる。ローレットネジ54は、+Z方向からの平面視において、Y方向に長いメス側のBtoBコネクター52のホルダー57の両端部に設けられる。メス側のBtoBコネクター52は長方形をなし、2つのローレットネジ54を結ぶ仮想直線上に位置する。これにより、オス側のBtoBコネクター51とメス側のBtoBコネクター52との嵌合が不十分な状態であっても、ローレットネジ54を締め込む力が効果的にBtoBコネクター50に伝わり、ローレットネジ54の締め込みによって正常に嵌合される。
【0037】
BtoBコネクター50は、ローレットネジ54を完全に締め込んだ状態において、電気的導通が取れる程度に嵌合することが好ましい。これにより、BtoBコネクター50に、過剰な応力が加わって不具合を生じることを抑制することができる。なお、BtoBコネクター50は、電気的導通を取るものと説明したが、光ファイバーなどで配信される光を接続するコネクターであってもよい。
【0038】
ローレットネジ54は、ホルダー57の貫通孔55から脱落することを防止する脱落防止ネジである。詳しくは、本実施形態のローレットネジ54は、ローレット加工された頭54aと、頭54aから延出する円筒部54bと、先端部にネジ山が形成されたネジ部54cとを有する。ネジ部54cは、頭54aの回転に伴ってキャリッジ40の底部41に設けられたネジ係合部49と係合する。
【0039】
円筒部54bには、円周方向と交差する方向に突出するリング状の突起部56aが設けられる。ホルダー57の貫通孔55の直径は、突起部56aの直径と略同じであり、貫通孔55の上端には、突起部56aの直径より狭い直径を有する円環状のストッパー部56bが設けられる。突起部56aは、ホルダー57の貫通孔55内に位置しており、突起部56aの貫通孔55外への移動がストッパー部56bで規制される。すなわち、ローレットネジ54は、ホルダー57と分離しないように構成されている。
【0040】
図9に示すように、キャリッジ40の底部41には、支持部21に設けられたオス側のBtoBコネクター51から取り外したメス側のBtoBコネクター52を載置するコネクター載置部47が設けられる。コネクター載置部47は、キャリッジ40にヘッドユニット20が搭載された状態において、2つのオス側のBtoBコネクター51に沿った位置に2箇所設けられている。
【0041】
1-3.ヘッドユニットの交換方法
次に、図12に示すフローチャートに基づいてヘッドユニット20の交換方法について説明する。
【0042】
ステップS101では、供給ユニット載置部48を展開する。図2及び図3に示すように、ユーザーは、蓋体9を開放し、キャリッジ40を上方から覆うキャリッジカバー17を取り外す。そして、図5に示すように、ユーザーは、供給ユニット載置部48をキャリッジ40から展開し、液体供給ユニット12を載置可能な状態にする。
【0043】
ステップS102では、液体供給ユニット12を取り外す。ユーザーは、ヘッドユニット20と係合する4つの固定レバー15の係合を解除し、ヘッドユニット20から液体供給ユニット12を取り外す。そして、図13に示すように、ユーザーは、液体供給ユニット12を供給ユニット載置部48に載置する。この時、液体供給ユニット12のヘッドユニット20との接続部12aは、供給ユニット載置部48の底48bから離間することが好ましい。図14は、供給ユニット載置部48に載置された状態の液体供給ユニット12の断面図である。供給ユニット載置部48の枠48aの幅は液体供給ユニット12の幅よりも狭く、供給ユニット載置部48の枠48aの高さは接続部12aの高さよりも高い。これにより、接続部12aを供給ユニット載置部48の底48bから離間させることができる。
【0044】
ステップS103では、メス側のBtoBコネクター52を取り外す。ユーザーは、キャリッジ40の底部41と係合するローレットネジ54の係合を解除する。そして、図15に示すように、ユーザーは、ヘッドユニット20の支持部21に設けられたオス側のBtoBコネクター51からメス側のBtoBコネクター52を取り外し、コネクター載置部47に載置する。
【0045】
ステップS104では、ヘッドユニット20を取り出す。図16に示すように、ユーザーは、キャリッジ40の底部41に載置されているヘッドユニット20を取り出す。
【0046】
ステップS105では、新しいヘッドユニット20を載置する。ユーザーは、新しいヘッドユニット20をキャリッジ40の底部41に設けられた第1、第2当接部44,45に沿わせてキャリッジ40の底部41に載置する。この時、キャリッジ40の底部41に設けられた挿通孔42に、ヘッドユニット20の底面21aから突出した突出部22が挿通し、X軸に沿う方向における位置が精度良く位置決めされる。さらに、付勢部材43の付勢力により、Y軸に沿う方向における位置が精度良く位置決めされる。
【0047】
ステップS106では、メス側のBtoBコネクター52を取り付ける。ユーザーは、コネクター載置部47に載置されているメス側のBtoBコネクター52を新しいヘッドユニット20に設けられてるオス側のBtoBコネクター51の上に置き、ローレットネジ54をキャリッジ40の底部41と係合する。これにより、オス側のBtoBコネクター51とメス側のBtoBコネクター52とが嵌合し、ヘッドユニット20の支持部21がキャリッジ40の底部41に対して固定される。
【0048】
ステップS107では、液体供給ユニット12を取り付ける。ユーザーは、供給ユニット載置部48に載置されている液体供給ユニット12を新しいヘッドユニット20と接続し、4つの固定レバー15によって液体供給ユニット12を新しいヘッドユニット20と係合する。
【0049】
ステップS108では、供給ユニット載置部48を収納する。ユーザーは、供給ユニット載置部48を回動し、液体供給ユニット12の上方を覆う位置に戻す。さらに、ユーザーは、キャリッジカバー17を取り付け、筐体2の蓋体9を閉じる。以上により、ヘッドユニット20の交換作業が終了する。
【0050】
以上述べたように、本実施形態1に係る印刷装置1及びキャリッジ40によれば、以下の効果を得ることができる。
印刷装置1は、ヘッドユニット20を取り外し可能に搭載するキャリッジ40を備えている。ヘッドユニット20は、吐出方向において上流からキャリッジ40の底部41に載置される。この時、突出部22が底部41に設けられた挿通孔42に挿通され、さらにヘッドユニット20が付勢部材43によって交差方向に付勢される。これにより、ヘッドユニット20がキャリッジ40に対して精度良く位置決めされるので、ヘッド30を容易に交換することができる。したがって、ユーザー自身がヘッド交換することが可能な印刷装置1を提供することができる。
【0051】
ヘッドユニット20は、第1当接部44と第2当接部45とによって第1辺24a及び第2辺24bと交差する方向における位置が精度良く位置決めされ、付勢部材43によって第1辺24a及び第2辺24bと平行な方向における位置が精度良く位置決めされる。これにより、キャリッジ40に対するヘッドユニット20の搭載位置精度がさらに向上する。
【0052】
ヘッドユニット20は、第1、第2当接部44,45の傾斜面46aに沿ってキャリッジ40に搭載される。これにより、ヘッドユニット20を第1当接部44と第2当接部45との間に精度良く容易に搭載することができる。
【0053】
第1当接部44と第2当接部45とは、底面21aを構成する外縁24の4つの角部25と対応する位置に設けられているので、キャリッジ40に対するヘッドユニット20の搭載位置精度がさらに向上する。
【0054】
通信ケーブル11は、メス側のBtoBコネクター52を介して支持部21に設けられているオス側のBtoBコネクター51と接続される。フレキシブルフラットケーブルである通信ケーブル11をBtoBコネクター50で接続することにより、通信ケーブル11を容易に着脱することができる。
【0055】
メス側のBtoBコネクター52には、貫通孔55が設けられ、ヘッドユニット20の支持部21には、貫通孔26が設けられている。メス側のBtoBコネクター52と支持部21とは、貫通孔26,55を貫通するローレットネジ54によってキャリッジ40の底部41に固定される。これにより、支持部21に設けられたオス側のBtoBコネクター51とメス側のBtoBコネクター52との電気的接続と、支持部21と底部41との接続を同時に行うことができる。また、ローレットネジ54は、メス側のBtoBコネクター52の貫通孔55から脱落することを防止する脱落防止ネジであるので、ヘッド交換の作業中におけるローレットネジ54の紛失を抑制することできる。
【0056】
キャリッジ40には、支持部21から取り外したメス側のBtoBコネクター52を載置するコネクター載置部47が設けられている。これにより、ヘッド交換の作業中にメス側のBtoBコネクター52をコネクター載置部47に載置することが可能になり、ヘッド交換の作業性が向上する。
【0057】
キャリッジ40には、ヘッドユニット20から取り外された液体供給ユニット12を載置可能な供給ユニット載置部48が接続されている。これにより、ヘッド交換の作業中に液体供給ユニット12を供給ユニット載置部48に載置することが可能になり、ヘッド交換の作業性が向上する。
【0058】
液体供給ユニット12を供給ユニット載置部48に載置させた時、液体供給ユニット12の接続部12aは、供給ユニット載置部48の底48bから離間する。すなわち、供給ユニット載置部48に液体が付着しないので、ヘッド交換に伴う清掃作業の発生が抑制される。
【0059】
キャリッジ40は、ヘッドユニット20を吐出方向において上流から取り外し可能に載置する底部41を備えている。ヘッドユニット20が底部41に載置された時、突出部22が底部41に設けられた挿通孔42に挿通され、さらにヘッドユニット20が付勢部材43によって交差方向に付勢される。これにより、ヘッドユニット20がキャリッジ40に対して精度良く位置決めされるので、ヘッド30を容易に交換することができる。したがって、ユーザー自身がヘッド交換することが可能なキャリッジ40を提供することができる。
【0060】
2.実施形態2
実施形態2に係る印刷装置101の概略構成について図を参照して説明する。なお、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。また、X軸に沿う両方向は主走査方向に対応し、Y軸は印刷部170における搬送方向に対応する。
【0061】
印刷装置101は、媒体Sに、Z軸に沿う下方(-Z方向)を吐出方向として液滴を吐出することで所望の画像を印刷するインクジェット式のプリンターである。
図17に示すように、印刷装置101は、供給部140、案内部158、巻取部160、印刷部170、制御部110を含んで構成される。供給部140、案内部158、巻取部160は、車輪が下端に取り付けられたフレーム120に接続される。印刷部170は、フレーム120に支持されたX軸に長い略直方体状の筐体130の内部に設けられる。制御部110は、筐体130の内部に設けられ、印刷装置101の各部の動作を制御する。
【0062】
供給部140は、筐体130の後方下部に設けられる。供給部140には、未使用の媒体Sが巻き重ねられたロール体が保持される。供給部140は、媒体Sをロール体から巻き解き印刷部170へ供給する。なお、供給部140には、媒体Sの幅や巻き数の異なる複数サイズのロール体が交換可能に装填される。
【0063】
巻取部160は、筐体130の前方下部に設けられる。巻取部160には、印刷部170で印刷された媒体Sが芯管162に巻き取られたロール体が形成される。巻取部160は、芯管162の両端を挟む一対のホルダー161を備える。一方のホルダー161には、芯管162に回動力を供給するモーターが備えられる。モーターが駆動され芯管162が回転することにより、媒体Sが芯管162に巻き取られる。なお、巻取部160は、自重によって垂れ下がる媒体Sの裏面側を押圧し、芯管162に巻き取られる媒体Sに張力を付与するテンションローラーを備えた構成であってもよい。
【0064】
案内部158は、印刷部170と対向する媒体Sを支持するプラテンから筐体130の前方及び後方に円弧状に突出するように設けられ、媒体Sを下方から支持する。筐体130の背面には、案内部158の上側となる位置に、媒体Sを筐体130の内部へ供給するための供給口が形成される。筐体130の前面には、案内部158の上側となる位置に、媒体Sを筐体130の外部へ排出するための排出口132が形成される。
【0065】
筐体130の内部には、媒体Sを上下方向から挟持可能なローラー対が設けられる。ローラー対が回転駆動することで、ローラー対に挟持された媒体Sが搬送方向へ搬送される。案内部158は、供給部140から供給される媒体Sを印刷部170に案内し、印刷部170で印刷された媒体Sを巻取部160に案内する。
【0066】
印刷部170は、プラテンの配置位置に対して上方に配置される。印刷部170は、媒体Sに液滴を吐出可能な複数のヘッド30を有するヘッドユニット20、ヘッドユニット20が搭載されるキャリッジ40を備える。ヘッドユニット20は、キャリッジ40に対して、吐出方向の上流である上方側から取り外し可能に構成されている。ヘッドユニット20の取り外しは筐体130の右端部で行われ、当該場所にはキャリッジ40及びヘッドユニット20を開閉可能に覆う蓋体131が設けられている。
【0067】
また、印刷部170は、主走査方向に延在して筐体130に固定されるガイドレール173を有する。キャリッジ40は、ガイドレール173に支持され、モーターによって主走査方向に往復移動可能に構成される。ヘッドユニット20は、キャリッジ40と共に主走査方向に往復移動する。ヘッドユニット20が主走査方向に移動しながら媒体Sに対して液滴を吐出することで、印刷が行われる。
【0068】
筐体130の右上部には、設定操作や入力操作を行うための操作部135が設けられる。筐体130の右下部には、液体を収容可能な液体収容容器134を装着可能な容器装着部133が設けられる。容器装着部133には、液体の種類や色に対応して、複数の液体収容容器134が装着される。
【0069】
なお、印刷装置101は、媒体Sを加熱することにより液滴を媒体Sに速やかに乾燥定着させるためのヒーターが内蔵された構成や、乾燥炉を備えた構成であってもよい。
【0070】
図18に示すように、ヘッドユニット20の交換作業を行うために開放された蓋体131の内側には、液体供給ユニット12を係合するための係合部180が設けられる。係合部180は、蓋体131が開放された状態において上方に延びる延出部分180aを有する。延出部分180aは、例えば金属板を曲げ加工することにより形成される。また、液体供給ユニット12の前面には、係合部180と係合可能な被係合部190が設けられる。被係合部190は、延出部分180aが挿通される切り欠き190aを有する。切り欠き190aは、例えば金属板を穴あけ加工することにより形成される。図19に示すように、液体供給ユニット12は、蓋体131の内側に係合可能に構成されている。具体的には、延出部分180aが切り欠き190aに挿通されて係合することにより、液体供給ユニット12が蓋体131の内側に支持される。すなわち、延出部分180aは、切り欠き190aを有する被係合部190を引っ掛けるためのフックとして機能する。また、液体供給ユニット12が蓋体131の内側に係合された状態において、接続部12aがZ方向において上方を向くように、係合部180と被係合部190との形状を設計することが好ましい。これにより、接続部12aから液体が漏れ出ることを抑制できる。図18及び図19では、説明の便宜上、キャリッジ40の側壁や、ケーブル、チューブ類の表示を省略している。ユーザーは、ヘッドユニット20の交換作業において、ヘッドユニット20から取り外した液体供給ユニット12を蓋体131に効率よく係合することができる。これにより、ヘッドユニット20の交換作業を行う際の作業効率が向上する。
なお、係合部180と被係合部190との態様は上記に限らない。例えば、係合部180に切り欠きを形成するとともに、当該切り欠きに挿通可能な延出部分を被係合部190に形成してもよい。例えば、係合部180としてネオジム磁石などの永久磁石や電磁石を採用し、被係合部190として鉄などの強磁性金属を採用する態様であってもよい。例えば、係合部180として蓋体131の内側にX軸に平行な少なくとも一つの溝を設け、被係合部190として当該少なくとも一つの溝にX軸に沿ってスライドさせて係合する少なくとも一つの突起を設けてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1,101…印刷装置、9,131…蓋体、11…通信ケーブル、12…液体供給ユニット、12a…接続部、20…ヘッドユニット、21…支持部、21a…底面、22…突出部、24…外縁、24a…第1辺、24b…第2辺、25…角部、26,55…貫通孔、30…ヘッド、31…ノズル面、40…キャリッジ、41…底部、41a…開口、42…挿通孔、43…付勢部材、44…第1当接部、45…第2当接部、46a,46b…傾斜面、47…コネクター載置部、48…供給ユニット載置部、48a…枠、48b…底、50…ボード・ツー・ボードコネクター、54…ネジとしてのローレットネジ、56a…突起部、180…係合部、190…被係合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19