(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】印刷装置、及び印刷装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/505 20060101AFI20231212BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B41J2/505 101C
B41J5/30 Z
(21)【出願番号】P 2020004310
(22)【出願日】2020-01-15
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】若狭 俊一
(72)【発明者】
【氏名】小池 利明
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-020892(JP,A)
【文献】特開2014-119998(JP,A)
【文献】特開平06-091956(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0255108(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102173230(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/505
B41J 5/44
B41J 5/30
G06F 40/109
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷を行う印刷部と、
複数のフォントデザインに対応付けられた文字コードを受け付けた場合、前記複数の前記フォントデザインのそれぞれに割り当てられた優先順位に基づいて、前記文字コードが示す文字を前記印刷部に印刷させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記複数の前記フォントデザインのうちの第1フォントデザインの優先順位を選択優先順位として示す第1コマンドを受け付けた場合、受け付けた
前記第1コマンド
が示す前記選択優先順位が前記第1フォントデザインの優先順位よりも上であるならば、前記複数の前記フォントデザインのうち、前記選択優先順位以下、且つ、前記第1フォントデザインの優先順位より上の優先順位が割り当てられている1以上の前記フォントデザインそれぞれの優先順位を1つ繰り下げるとともに、前記第1フォントデザインの優先順位を前記選択優先順位へ変更し、受け付けた前記第1コマンドが示す前記選択優先順位が前記第1フォントデザインの優先順位よりも下であるならば、前記複数の前記フォントデザインのうち、前記選択優先順位以上、且つ、前記第1フォントデザインの優先順位より下の優先順位が割り当てられている1以上の前記フォントデザインそれぞれの優先順位を1つ繰り上げるとともに、前記第1フォントデザインの優先順位を前記選択優先順位へ変更する、
印刷装置。
【請求項2】
前記文字コードの符号化方式は、Unicodeである、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記フォントデザインは、字体、書体、前記字体と前記書体との組み合わせ、のいずれかである、
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記フォントデザインは、前記字体、又は、前記字体と前記書体との組み合わせであり、
前記複数の前記字体は、2種類以上の言語のそれぞれに対応付けられた字体を含む、
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
複数のフォントデザインに対応付けられた文字コードを受け付けた場合、前記複数の前記フォントデザインのそれぞれに割り当てられた優先順位に基づいて、印刷を行う印刷部に前記文字コードが示す文字を印刷させ、
前記複数の前記フォントデザインのうちの第1フォントデザインの優先順位を選択優先順位として示す第1コマンドを受け付けた場合、受け付けた
前記第1コマンド
が示す前記選択優先順位が前記第1フォントデザインの優先順位よりも上であるならば、前記複数の前記フォントデザインのうち、前記選択優先順位以下、且つ、前記第1フォントデザインの優先順位より上の優先順位が割り当てられている1以上の前記フォントデザインそれぞれの優先順位を1つ繰り下げるとともに、前記第1フォントデザインの優先順位を前記選択優先順位へ変更し、受け付けた前記第1コマンドが示す前記選択優先順位が前記第1フォントデザインの優先順位よりも下であるならば、前記複数の前記フォントデザインのうち、前記選択優先順位以上、且つ、前記第1フォントデザインの優先順位より下の優先順位が割り当てられている1以上の前記フォントデザインそれぞれの優先順位を1つ繰り上げるとともに、前記第1フォントデザインの優先順位を前記選択優先順位へ変更する、
印刷装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷装置、及び印刷装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数形状文字を印刷可能な印刷装置についての研究、開発が行われている。ここで、複数形状文字は、国又は地域に応じた複数のフォントデザインを有する文字のことである。フォントデザインは、例えば、字体等のことである。
【0003】
これに関し、複数形状文字が有する全てのフォントデザインのそれぞれに、ユーザーから受け付けたコマンドに基づいて一括で優先順位を割り当てる印刷装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたような印刷装置は、ある複数形状文字を印刷する際、複数形状文字が有する全てのフォントデザインのそれぞれに割り当てられた優先順位に基づいて、最も優先順位の高いフォントデザインにより、複数形状文字を印刷する。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたような印刷装置は、前述した通り、複数形状文字が有する全てのフォントデザインのそれぞれに、一括で優先順位を割り当てる。このため、当該印刷装置のユーザーは、複数形状文字が有する全てのフォントデザインのそれぞれに割り当てる優先順位を決めなければならず、これら全てのフォントデザインのそれぞれについての知識を有している必要があった。例えば、当該ユーザーは、当該印刷装置において利用可能なフォントデザインの種類を把握している必要があった。このような理由から、当該印刷装置は、複数形状文字が有する全てのフォントデザインのうち、ユーザーが所望するフォントデザインの優先順位を容易に変更することが困難な場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の一態様は、印刷を行う印刷部と、複数のフォントデザインに対応付けられた文字コードを受け付けた場合、前記複数の前記フォントデザインのそれぞれに割り当てられた優先順位に基づいて、前記文字コードが示す文字を前記印刷部に印刷させる制御部と、を備え、前記制御部は、受け付けた第1コマンドに応じて、前記複数の前記フォントデザインの優先順位を変更し、前記第1コマンドは、前記複数の前記フォントデザインのうちの一部の前記フォントデザインの優先順位を示すコマンドである、印刷装置である。
【0008】
また、上記課題を解決するために本発明の一態様は、複数のフォントデザインに対応付けられた文字コードを受け付けた場合、前記複数の前記フォントデザインのそれぞれに割り当てられた優先順位に基づいて、印刷を行う印刷部に前記文字コードが示す文字を印刷させ、受け付けた第1コマンドに応じて、前記複数の前記フォントデザインの優先順位を変更し、前記第1コマンドは、前記複数の前記フォントデザインのうちの一部の前記フォントデザインの優先順位を示すコマンドである、印刷装置の制御方法である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る印刷システム1の構成の一例を示す図である。
【
図2】ある複数形状文字を示すコードポイントと、当該複数形状文字が有する複数のフォントデザインのそれぞれによって表された当該複数形状文字との関係の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る印刷装置11の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】制御部111が順位変更コマンドを受け付けた場合に行う処理の流れの一例を示す図である。
【
図5】印刷装置11において利用可能な全てのフォントデザインのそれぞれにデフォルトで割り当てられた優先順位の一例を示す図である。
【
図6】順位変更コマンドによって制御部111が優先順位を変更した後の優先順位テーブルの一例を示す図である。
【
図7】印刷装置11において利用可能な複数のフォントデザインそれぞれに割り当てられた優先順位を示す情報が印刷された印刷物の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
以下では、説明の便宜上、1バイトを用いて表される文字をまとめて1バイト文字と称して説明する。1バイト文字は、例えば、ANK(Alphabet, Numeric, Kana)文字である。ANK文字は、1バイトを用いて表されるアルファベット、数字のうちのいずれか一方又は両方を含む文字である。すなわち、ANK文字は、アルファニューメリックのことである。また、ANK文字は、1バイトを用いて表されるアルファベット、数字のうちのいずれか一方又は両方に代えて、1バイトを用いて表されるカタカナ等の、1バイトを用いて表される他の文字を含む構成であってもよい。また、ANK文字は、1バイトを用いて表されるアルファベット、数字のうちの両方に加えて、当該他の文字を含む構成であってもよい。ここで、1バイトを用いて表されるアルファベットは、例えば、半角アルファベットのことである。また、1バイトを用いて表される数字は、例えば、半角数字のことである。また、1バイトを用いて表されるカタカナは、半角カナのことである。
【0012】
また、以下では、説明の便宜上、2バイトを用いて表される文字を、まとめて2バイト文字と称して説明する。2バイト文字は、例えば、漢字、繁体字、簡体字、ハングル文字等である。なお、2バイト文字は、漢字、繁体字、簡体字、ハングル文字のうちの一部又は全部に代えて、2バイトを用いて表される他の文字を含む構成であってもよい。また、2バイト文字は、漢字、繁体字、簡体字、ハングル文字の全部に加えて、2バイトを用いて表される他の文字を含む構成であってもよい。
【0013】
また、以下では、説明の便宜上、1バイト文字と2バイト文字とを区別する必要がない限り、まとめて印刷可能文字と称して説明する。ここで、印刷可能文字には、複数形状文字と、単一形状文字とが含まれている。複数形状文字は、国又は地域に応じた複数のフォントデザインを有する文字のことである。換言すると、複数形状文字は、複数のフォントデザインのそれぞれによって表される文字のことである。フォントデザインは、字体、書体、字体と書体との組み合わせ、のいずれかのことである。以下では、一例として、フォントデザインが、字体と書体との組み合わせである場合について説明する。例えば、複数形状文字は、日本語圏における明朝体の漢字、日本語圏におけるゴシック体の漢字、中国語圏における明朝体の簡体字、中国語圏における明朝体の繁体字、韓国語圏におけるゴシック体の漢字等に含まれている。このように、当該場合、ある複数形状文字が有する複数のフォントデザインは、2種類以上の言語のそれぞれに対応付けられた字体を含む。なお、フォントデザインが字体であっても、ある複数形状文字が有する複数のフォントデザインは、2種類以上の言語のそれぞれに対応付けられた字体を含む。この場合、複数形状文字は、例えば、複数形状文字は、日本語圏における漢字、中国語圏における簡体字、中国語圏における繁体字、韓国語圏における漢字等に含まれている。単一形状文字は、1つのフォントデザインを有する文字のことである。換言すると、単一形状文字は、1つのフォントデザインによって表される文字のことである。
【0014】
<印刷システムの構成>
以下、
図1を参照し、実施形態に係る印刷システム1の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る印刷システム1の構成の一例を示す図である。
【0015】
印刷システム1は、印刷装置11と、情報処理装置12を備える。
【0016】
印刷装置11は、有線又は無線の回線13を介して、情報処理装置12と互いに通信可能に接続される。回線13は、例えば、ネットワークの回線であってもよい。ネットワークは、インターネットであってもよい。
【0017】
ここで、本実施形態では、説明を簡易にするために、1つの印刷装置11と1つの情報処理装置12を示す。なお、例えば、1つの印刷装置11には、複数の情報処理装置12が接続されてもよい。また、例えば、1つの情報処理装置12には、複数の印刷装置11が接続されてもよい。
【0018】
このように、印刷システム1は、任意の数の印刷装置11を備えてもよく、任意の数の情報処理装置12を備えてもよい。また、印刷システム1に備えられる装置の配置としては、任意の配置が用いられてもよい。
【0019】
情報処理装置12は、印刷装置11と通信し、符号化方式指定コマンドを送信する。符号化方式指定コマンドは、印刷装置11が受信した文字コードが示す文字を特定するために印刷装置11が用いる符号化方式を、印刷装置11に対して指定するコマンドである。
【0020】
例えば、ある1バイト文字コードが示す1バイト文字を特定する場合、印刷装置11は、1バイト文字符号化方式を用いて、当該1バイト文字コードが示す1バイト文字を特定する。1バイト文字符号化方式は、1バイト文字コードと1バイト文字とを対応付ける符号化方式のことであり、例えば、ASCII等である。すなわち、1バイト文字符号化方式に基づいて構成された1バイト文字コードは、例えば、ASCIIの文字コード等である。また、例えば、ある2バイト文字コードが示す2バイト文字を特定する場合、印刷装置11は、2バイト文字符号化方式を用いて、当該2バイト文字コードが示す2バイト文字を特定する。2バイト文字符号化方式は、2バイト文字コードと2バイト文字とを対応付ける符号化方式のことである。2バイト文字符号化方式は、例えば、ISO-2022-JP、Shift_JIS、EUC-JP等である。すなわち、2バイト文字符号化方式に基づいて構成された2バイト文字コードは、例えば、ISO-2022-JP、Shift_JIS、EUC-JP等の文字コードである。また、例えば、あるコードポイントが示す文字を特定する場合、印刷装置11は、Unicodeを用いて、当該コードポイントが示す文字を特定する。なお、Unicodeは、UTF-8と称されることもある。Unicodeの詳細については、国際標準規格として定められているため、説明を省略する。
【0021】
ここで、Unicodeでは、個々の単一形状文字のそれぞれを、1つのコードポイントによって示す。しかしながら、Unicodeでは、個々の複数形状文字のそれぞれも、1つのコードポイントによって示す。このため、Unicodeでは、
図2に示したように、ある複数形状文字を示すコードポイントは、当該複数形状文字が有する複数のフォントデザインを区別して示すことができない。
図2は、ある複数形状文字を示すコードポイントと、当該複数形状文字が有する複数のフォントデザインのそれぞれによって表された当該複数形状文字との関係の一例を示す図である。
図2に示したコードポイント「U+9AA8」は、日本語圏におけるゴシック体の「骨」という漢字K1に対応付けられたコードポイントである。しかしながら、漢字K1は、中国語圏において、明朝体の簡体字K2のように描画されることがある。また、漢字K1は、中国語圏において、明朝体の繁体字K3のように描画されることがある。また、漢字K1は、韓国語圏において、ゴシック体の漢字K4のように描画されることがある。これらのため、コードポイント「U+9AA8」は、漢字K1の中国語圏における明朝体の簡体字K2、漢字K1の中国語圏における明朝体の繁体字K3、韓国語圏におけるゴシック体の漢字K4のそれぞれにも対応付けられている。
図2に示したコードポイント「U+9AA86B21」、コードポイント「U+3042」のそれぞれについても、コードポイント「U+9AA8」と同様に、複数のフォントデザインのそれぞれによって表された複数形状文字に対応付けられている。このように、Unicodeでは、コードポイントによって複数形状文字が有する複数のフォントデザインを区別することができない。
【0022】
また、印刷装置11において利用可能な全てのフォントデザインのそれぞれには、優先順位が割り当てられている。印刷装置11では、これら全てのフォントデザインのそれぞれには、デフォルトで所定の優先順位が割り当てられている。しかしながら、印刷装置11は、ユーザーから受け付けた順位変更コマンド、又は、ユーザーから受け付けた操作に応じて、これら全てのフォントデザインのうちユーザーが所望するフォントデザインの優先順位を所望の優先順位に変更することができる。以下では、一例として、印刷装置11が、ユーザーから受け付けた順位変更コマンドに応じて、これら全てのフォントデザインのうちユーザーが所望するフォントデザインの優先順位を所望の優先順位に変更する場合について説明する。
【0023】
また、情報処理装置12は、印刷装置11と通信し、印刷装置11に対して印刷の指示を送信する。
【0024】
印刷の指示には、印刷対象となる印刷可能文字を示す文字コードが含まれる。例えば、ある1バイト文字の印刷の指示には、当該1バイト文字を示す1バイト文字コード、又は、当該1バイト文字を示すコードポイントが含まれる。また、例えば、ある2バイト文字の印刷の指示には、当該2バイト文字を示す2バイト文字コード、又は、当該2バイト文字を示すコードポイントが含まれる。例えば、印刷装置11は、ある複数形状文字を示すコードポイントを含む印刷の指示を受け付けた場合、当該複数形状文字が有する複数のフォントデザインのうち最も高い優先順位のフォントデザインにより、当該複数形状文字を印刷する。例えば、当該複数形状文字が有する複数のフォントデザインが、日本語圏におけるゴシック体の漢字、中国語圏における明朝体の簡体字、中国語圏における明朝体の繁体字の3つのフォントデザインであり、日本語圏におけるゴシック体の漢字の優先順位が1位、中国語圏における明朝体の簡体字の優先順位が2位、中国語圏における明朝体の繁体字の優先順位が3位であった場合、印刷装置11は、当該複数形状文字を、日本語圏におけるゴシック体の漢字により印刷する。また、例えば、当該複数形状文字が有する複数のフォントデザインが、日本語圏におけるゴシック体の漢字、中国語圏における明朝体の簡体字、中国語圏における明朝体の繁体字の3つのフォントデザインであり、日本語圏におけるゴシック体の漢字の優先順位が3位、中国語圏における明朝体の簡体字の優先順位が2位、中国語圏における明朝体の繁体字の優先順位が5位であった場合、印刷装置11は、当該複数形状文字を、中国語圏における明朝体の簡体字により印刷する。なお、印刷の指示には、他の情報が含まれてもよい。
【0025】
なお、情報処理装置12は、任意の装置であってもよく、例えば、パーソナルコンピューター、又は、スマートフォン等であってもよい。
【0026】
情報処理装置12は、図示しないユーザーによって操作され、ユーザーによって行われた操作に応じた処理を実行する。また、情報処理装置12は、予め定められた処理を自動的に実行する構成であってもよい。
【0027】
印刷装置11は、制御部111と、不揮発性メモリー112と、印刷部113と、通信部114と、スイッチ115を備える。
【0028】
制御部111は、CPU(Central Processing Unit、プロセッサー)131と、ROM(Read Only Memory)132と、RAM(Random Access Memory)133を備える。なお、制御部111は、他の制御回路等を備えてもよい。
【0029】
印刷部113は、印刷ヘッド151と、カッター152と、搬送モーター153を備える。
【0030】
不揮発性メモリー112には、1バイト文字フォントデータ211と、2バイト文字フォントデータ212と、Unicodeフォントデータ213が記憶されている。
【0031】
ここで、フォントデータは、文字を印刷媒体に印刷することが可能な態様で表現する実データのことであり、例えば、ビットマップフォントデータである。後述するROM132には、1バイト文字コードアドレステーブル、2バイト文字コードアドレステーブル、コードポイントアドレステーブルが記憶されている。1バイト文字コードアドレステーブルは、各1バイト文字コードに対応付けられたビットマップフォントデータの、不揮発性メモリー112上のアドレスを示すテーブルである。2バイト文字コードアドレステーブルは、各2バイト文字コードに対応付けられたビットマップフォントデータの、不揮発性メモリー112上のアドレスを示すテーブルである。コードポイントアドレステーブルは、各コードポイントに対応付けられたビットマップフォントデータの、不揮発性メモリー112上のアドレスを示すテーブルである。
【0032】
すなわち、1バイト文字フォントデータ211は、1バイト文字を印刷媒体に印刷することが可能な態様で表現するビットマップフォントデータである。通信部114により受信されたデータは、通信部114により受信された順に、RAM133(受信バッファー)に記憶される。制御部111は、通信部114により受信された順にRAM133からデータを読み出す。制御部111は、読み出したデータがある1バイト文字コードである場合、当該1バイト文字コードに基づいて、ROM132を参照し、1バイト文字コードアドレステーブルを参照して当該1バイト文字コードの不揮発性メモリー112上のアドレスを取得し、取得したアドレスにより1バイト文字フォントデータ211から対象となるビットマップフォントデータを読み出す。そして、制御部111は、読み出したビットマップフォントデータを、印刷ヘッド151で印刷可能な順番に並べてRAM133(印刷バッファー)に記憶する(展開する)。また、制御部111は、先に文字装飾コマンドを受信していた場合、読み出したビットマップフォントデータに対して、文字装飾コマンドで指定された処理を施し、当該処理を施した後のビットマップフォントデータをRAM133に記憶する。そして、制御部111は、RAM133に記憶したビットマップフォントデータを読み出して印刷部113へ送り印刷を行う。
【0033】
また、2バイト文字フォントデータ212は、2バイト文字を印刷媒体に印刷することが可能な態様で表現するビットマップフォントデータである。制御部111は、読み出したデータがある2バイト文字コードである場合、当該2バイト文字コードに基づいて、ROM132を参照し、2バイト文字コードアドレステーブルを参照して当該2バイト文字コードの不揮発性メモリー112上のアドレスを取得し、取得したアドレスにより2バイト文字フォントデータ212から対象となるビットマップフォントデータを読み出す。そして、制御部111は、読み出したビットマップフォントデータを、印刷ヘッド151で印刷可能な順番に並べてRAM133(印刷バッファー)に記憶する(展開する)。また、制御部111は、先に文字装飾コマンドを受信していた場合、読み出したビットマップフォントデータに対して、文字装飾コマンドで指定された処理を施し、当該処理を施した後のビットマップフォントデータをRAM133に記憶する。そして、制御部111は、RAM133に記憶したビットマップフォントデータを読み出して印刷部113へ送り印刷を行う。
【0034】
また、Unicodeフォントデータ213は、コードポイントが示す文字を印刷媒体に印刷することが可能な態様で表現するビットマップフォントデータである。制御部111は、読み出したデータがあるコードポイントである場合、当該コードポイントに基づいて、ROM132を参照し、コードポイントアドレステーブルを参照して当該コードポイントの不揮発性メモリー112上のアドレスを取得し、取得したアドレスによりUnicodeフォントデータ213から対象となるビットマップフォントデータを読み出す。そして、制御部111は、読み出したビットマップフォントデータを、印刷ヘッド151で印刷可能な順番に並べてRAM133(印刷バッファー)に記憶する(展開する)。また、制御部111は、先に文字装飾コマンドを受信していた場合、読み出したビットマップフォントデータに対して、文字装飾コマンドで指定された処理を施し、当該処理を施した後のビットマップフォントデータをRAM133に記憶する。そして、制御部111は、RAM133に記憶したビットマップフォントデータを読み出して印刷部113へ送り印刷を行う。
【0035】
ここで、本実施形態では、不揮発性メモリー112に記憶されている3種類のフォントデータは、印刷装置11の出荷前に、不揮発性メモリー112に記憶される。また、例えば、印刷装置11の出荷後に、新たなフォントデータが不揮発性メモリー112に記憶されてもよい。また、例えば、印刷装置11の出荷後に、不揮発性メモリー112に記憶されたフォントデータが書き換え又は消去等されてもよい。
【0036】
なお、Unicodeフォントデータ213を、1バイト文字フォントデータ211と2バイト文字フォントデータ212に含めることができる場合、不揮発性メモリー112は、Unicodeフォントデータ213を記憶しない構成であってもよい。この場合、例えば、ROM132には、各コードポイントを各文字コードに変換するテーブルを備える。そして、制御部111は、あるコードポイントを受信した場合、当該テーブルを参照し、当該コードポイントを当該コードポイントに対応する文字コードに変換し、当該文字コードの不揮発性メモリー112上のアドレスを取得し、取得したアドレスにより1バイト文字フォントデータ211又は2バイト文字フォントデータ212から対象となるビットマップフォントデータを読み出す。
【0037】
制御部111は、印刷装置11の各部を制御する。
【0038】
ROM132は、CPU131が実行する制御プログラムの他、各種のデータを不揮発的に記憶する。
【0039】
RAM133は、CPU131のワークエリアとして機能し、各種のデータを一時的に記憶する。
【0040】
CPU131は、ROM132に記憶された制御プログラム等を読み出して実行することにより、印刷装置11の各部を制御する。
【0041】
不揮発性メモリー112は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリー等の半導体記憶素子、ハードディスク等の記憶媒体を備え、各種のデータを書き換え可能に不揮発的に記憶する。
【0042】
なお、一般に、不揮発性メモリーは、電源が供給されなくても、記憶されたデータが残るメモリーである。また、一般に、揮発性メモリーは、電源が供給されないと、記憶されたデータが残らないメモリーである。
【0043】
印刷部113は、印刷機構により、印刷媒体に印刷する。印刷媒体は、例えば、紙等である。
【0044】
本実施形態では、印刷部113は、文字のフォントデータを用いて、文字の印刷を行う。
【0045】
ここで、本実施形態では、印刷装置11がサーマルヘッドを有するサーマルプリンターであって、レシートを印刷するレシートプリンターである場合を示す。なお、印刷装置11は、他の種類の装置であってもよい。
【0046】
印刷ヘッド151は、ロール紙の搬送方向と交わる方向に解像度に応じた複数の発熱素子が並べられて設けられたライン型のサーマルヘッドである。印刷ヘッド151は、当該発熱素子を発熱させて、感熱紙であるロール紙にドットを形成する。
【0047】
カッター152は、固定刃と可動刃とを備え、固定刃に対して可動刃を相対的に移動させて固定刃と可動刃とを交叉させることにより、ロール紙を切断する。
【0048】
搬送モーター153は、図示しない搬送ローラーを回転させて、印刷装置11の筐体に収容されたロール紙を搬送する。
【0049】
印刷部113は、制御部111により制御されて、搬送モーター153によりロール紙を搬送しつつ、印刷ヘッド151によりロール紙にレシートに係る文字等を印刷し、カッター152により所定の位置でロール紙を切断して、レシートを発行する。
【0050】
なお、印刷装置11では、制御部111によって、印刷対象となる文字を示す文字コードのデータをRAM133に記憶した後に、当該データを図示しない所定のプリントバッファーに格納し、当該データを印刷ヘッド151に送ることで、印刷の処理を行うが、本実施形態では、これに関して、詳しい説明を省略する。
【0051】
通信部114は、制御部111により制御されて、所定の通信規格に従って、例えば、印刷装置11の印刷動作を制御するホストコンピューター等の外部装置と通信する。当該外部装置は、本実施形態では、情報処理装置12である。つまり、本実施形態では、通信部114は、回線13を介して、情報処理装置12と通信する。
【0052】
スイッチ115は、例えば、ディップスイッチである。スイッチ115は、図示しないユーザーによって操作され、2以上の状態に切り替えられる。本実施形態では、スイッチ115は、切り替えられる状態として、所定の符号化方式を指定する状態を有する。
【0053】
具体例として、ディップスイッチは、ユーザーによって、オンの状態又はオフの状態に設定される。そして、印刷装置11の電源が投入された場合、又は、印刷装置11がリセットされた場合、制御部111によって、ディップスイッチの状態が読み込まれて、当該状態に応じた設定を行う。ここで、例えば、ディップスイッチがオンの状態は、所定の符号化方式を指定する状態であり、又、ディップスイッチがオフの状態は、所定の符号化方式を指定しない状態である。
【0054】
なお、本実施形態では、説明の便宜上、情報処理装置12のユーザーと印刷装置11のユーザーとは同じであるとして説明するが、これらのユーザーは、異なっていてもよい。
【0055】
図3は、実施形態に係る印刷装置11の機能構成の一例を示す図である。
【0056】
印刷装置11は、制御部111と、第1記憶部311と、第2記憶部312と、印刷部113と、通信部114と、スイッチ115を備える。なお、本実施形態では、第1記憶部311は、不揮発性メモリー112である。また、本実施形態では、第2記憶部312は、揮発性メモリーであるRAM133である。
【0057】
通信部114は、第1指示受付部331を有する。
【0058】
第1指示受付部331は、符号化方式を指定する指示をソフトウェア的に受け付ける。具体的には、第1指示受付部331は、通信部114によって外部装置から受信される信号に含まれる符号化方式指定コマンドに応じて、当該符号化方式指定コマンドによって特定される符号化方式を指定する指示を受け付ける。当該符号化方式指定コマンドは、ソフトウェア的なコマンドである。
【0059】
また、第1指示受付部331は、前述の印刷の指示をソフトウェア的に受け付ける。
【0060】
第1指示受付部331は、受け付けられた指示の内容を制御部111に出力する。制御部111は、第1指示受付部331から出力される指示の内容を取得する。なお、第1指示受付部331の機能は、例えば、制御部111に備えられてもよい。
【0061】
スイッチ115は、第2指示受付部351を有する。
【0062】
第2指示受付部351は、符号化方式を指定する指示をハードウェア的に受け付ける。具体的には、第2指示受付部351は、スイッチ115が切り替えられた状態に応じて、当該状態によって特定される符号化方式を指定する指示を受け付ける。
【0063】
本実施形態では、スイッチ115は、当該スイッチ115が切り替えられた状態に応じた符号化方式指定コマンドを出力する。第2指示受付部351は、当該符号化方式指定コマンドに応じて、当該符号化方式指定コマンドによって特定される符号化方式を指定する指示を受け付ける。
【0064】
第2指示受付部351は、受け付けられた指示の内容を制御部111に出力する。制御部111は、第2指示受付部351から出力される指示の内容を取得する。なお、第2指示受付部351の機能は、例えば、制御部111に備えられてもよい。
【0065】
ここで、本実施形態では、説明の便宜上、第1指示受付部331と第2指示受付部351との両方が印刷装置11に備えられる場合を示すが、他の構成例として、第1指示受付部331と第2指示受付部351とのいずれか一方のみが印刷装置11に備えられる構成が用いられてもよい。
【0066】
制御部111は、第1指示受付部331により受け付けられた符号化方式を指定する指示に基づいて、印刷装置11が用いる符号化方式を選択する。すなわち、制御部111は、当該指示により指定された符号化方式を、印刷に用いる符号化方式として選択可能である。以下では、説明の便宜上、制御部111により選択された符号化方式を、選択符号化方式と称して説明する。例えば、制御部111により選択された符号化方式が1バイト文字符号化方式であった場合、選択符号化方式は、1バイト文字符号化方式のことである。また、例えば、制御部111により選択された符号化方式が2バイト文字符号化方式であった場合、選択符号化方式は、2バイト文字符号化方式のことである。また、例えば、制御部111により選択された符号化方式がUnicodeであった場合、選択符号化方式は、Unicodeのことである。
【0067】
また、制御部111は、選択符号化方式としてUnicodeが選択されている場合、且つ、ある複数形状文字を示すコードポイントを含む印刷の指示を受け付けた場合、以下の処理を行う。すなわち、制御部111は、当該場合、当該複数形状文字が有する複数のフォントデザインのそれぞれに割り当てられた優先順位に基づいて、受け付けた印刷の指示のデータに含まれる当該コードポイントが示す当該複数形状文字を、印刷部113に印刷させる。より具体的には、制御部111は、当該場合、受け付けた印刷の指示のデータに含まれる当該コードポイントが示す当該複数形状文字を、当該複数形状文字が有する複数のフォントデザインのうち最も高い優先順位のフォントデザインにより、印刷部113に印刷させる。
【0068】
また、制御部111は、受け付けた順位変更コマンド、又は、受け付けた操作に応じて、印刷装置11において利用可能な全てのフォントデザインのうち、順位変更コマンドが示すフォントデザインの優先順位を、順位変更コマンドが示す優先順位に変更する。順位変更コマンドは、印刷装置11において利用可能な全てのフォントデザインのうちの一部のフォントデザインを示すコマンドであり、且つ、このコマンドが示す1以上のフォントデザインそれぞれの優先順位を示すコマンドである。これにより、印刷装置11は、複数のフォントデザインそれぞれの優先順位を容易に変更することができる。なお、以下では、一例として、順位変更コマンドが、印刷装置11において利用可能な全てのフォントデザインのうちの1つのフォントデザインを示すコマンドであり、且つ、このコマンドが示す1つのフォントデザインの優先順位を示すコマンドである場合について説明する。
【0069】
以下では、このような制御部111が順位変更コマンドを受け付けた場合に行う処理について、詳しく説明する。
【0070】
<制御部が順位変更コマンドを受け付けた場合に行う処理>
以下、
図4を参照し、制御部111が順位変更コマンドを受け付けた場合に行う処理について説明する。
図4は、制御部111が順位変更コマンドを受け付けた場合に行う処理の流れの一例を示す図である。なお、以下では、一例として、
図4に示したステップS110の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、順位変更コマンドを印刷装置11が情報処理装置12から受け付けている場合について説明する。また、以下では、選択符号化方式が、Unicodeである場合について説明する。
【0071】
制御部111は、予め受け付けた順位変更コマンドに基づいて、対象フォントデザインを特定する(ステップS110)。対象フォントデザインは、順位変更コマンドが示すフォントデザインのことである。ここで、ステップS110の処理について説明する。
【0072】
印刷装置11が情報処理装置12から受け付ける順位変更コマンドは、例えば、以下の(1)として示すようなコマンドである。
【0073】
FS(C pL pH fn m a) ・・・(1)
【0074】
上記の(1)として示したコマンドのFSは、コマンドであることを示す変数である。また、当該コマンドのCは、当該コマンドがパラメーターを設定するコマンドであることを示す変数である。また、当該コマンドのpLとpHは、当該コマンドのfn、m、aの3つの変数のデータサイズ、すなわち、バイト数を示す変数である。pLが下位のバイト数を示す。pHが上位のバイト数を示す。また、当該コマンドのうちのfnは、ファンクションナンバーを示す。また、当該コマンドのうちのmは、ユーザーが優先順位を変更したい所望のフォントデザインの優先順位を指定する変数である。また、当該コマンドのうちのaは、ユーザーが優先順位を変更したい所望のフォントデザインを指定する変数である。ここで、以下では、説明の便宜上、当該コマンドを、コマンドFSと称して説明する。
【0075】
制御部111は、例えば、コマンドFSを受け付けた場合、コマンドFSに含まれる変数aにより指定されるフォントデザインを、対象フォントデザインとして特定する。このようにして、制御部111は、ステップS110において、予め受け付けた順位変更コマンドに基づいて、対象フォントデザインを特定する。
【0076】
ステップS110の処理が行われた後、制御部111は、予め受け付けた順位変更コマンドに基づいて、対象フォントデザインの優先順位としてユーザーが所望する優先順位を、対象優先順位として特定する(ステップS120)。ここで、例えば、制御部111は、コマンドFSを受け付けた場合、コマンドFSに含まれる変数mにより指定される優先順位を、対象優先順位として特定する。このようにして、制御部111は、ステップS120において、予め受け付けた順位変更コマンドに基づいて、対象優先順位を特定する。
【0077】
なお、制御部111は、ステップS110の処理と、ステップS120の処理とを、逆の順に行ってもよく、並列に行ってもよい。
【0078】
ステップS120の処理が行われた後、制御部111は、対象フォントデザインの優先順位を、対象優先順位に変更する(ステップS130)。ここで、ステップS130の処理について説明する。
【0079】
図5は、印刷装置11において利用可能な全てのフォントデザインのそれぞれにデフォルトで割り当てられた優先順位の一例を示す図である。
図5に示した矢印は、
図5における上下を示す。
図5に示した例では、印刷装置11において、少なくとも6つのフォントデザインが利用可能である。そして、当該例では、当該6つのフォントデザインには、サンセリフ体のANK文字、日本語圏における明朝体の漢字、日本語圏におけるゴシック体の漢字、中国語圏における明朝体の簡体字、中国語圏における明朝体の繁体字、韓国語圏におけるゴシック体の漢字が含まれている。また、当該例では、サンセリフ体のANK文字は、変数「xxx1」によって指定される。また、当該例では、日本語圏における明朝体の漢字は、変数「xxx2」によって指定される。また、当該例では、日本語圏におけるゴシック体の漢字は、変数「xxx3」によって指定される。また、当該例では、中国語圏における明朝体の簡体字は、変数「xxx4」によって指定される。また、当該例では、中国語圏における明朝体の繁体字は、変数「xxx5」によって指定される。また、当該例では、韓国語圏におけるゴシック体の漢字は、変数「xxx6」によって指定される。そして、
図5に示したテーブルでは、上から下に向かって並ぶ複数のフォントデザインそれぞれの並び順が、複数のフォントデザインそれぞれの優先順位を示している。すなわち、当該例では、サンセリフ対のANK文字は、優先順位が1位である。また、当該例では、中国語圏における明朝体の簡体字は、優先順位が4位である。以下では、説明の便宜上、
図5に示したテーブルを、優先順位テーブルと称して説明する。
【0080】
ここで、制御部111は、ステップS110において特定した対象フォントデザインが変数「xxx4」により指定されるフォントデザインであり、且つ、ステップS120において特定した対象優先順位が2位であった場合、
図5に示したフォントデザインの優先順位を、
図6に示したフォントデザインの優先順位となるように変更する。
図6は、順位変更コマンドによって制御部111が優先順位を変更した後の優先順位テーブルの一例を示す図である。制御部111は、当該場合、
図6に示すように、中国語圏における明朝体の簡体字を、対象フォントデザインとして4位から2位に変更する。この際、制御部111は、優先順位の変更前に優先順位が2位であった日本語圏における明朝体の漢字の優先順位を3位に繰り下げ、優先順位の変更前に優先順位が3位であった日本語圏におけるゴシック体の漢字の優先順位を4位に繰り下げる。そして、制御部111は、優先順位の変更前に優先順位が5位であった中国語圏における明朝体の繁体字の優先順位を5位のまま保持するとともに、優先順位の変更前に優先順位が6位であった韓国語圏におけるゴシック体の漢字の優先順位を6位のまま保持する。すなわち、制御部111は、当該場合、優先順位の変更前の対象フォントデザインの優先順位を対象優先順位まで繰り上げる。そして、制御部111は、当該場合、対象優先順位の1つ下の優先順位のフォントデザインから、優先順位の変更前の対象フォントデザインの優先順位の1つ上の優先順位のフォントデザインまでの1つ以上のフォントデザインそれぞれの優先順位を1つ繰り下げる。これにより、印刷装置11は、複数のフォントデザインそれぞれの優先順位を容易に変更することができる。例えば、印刷装置11では、印刷装置11のユーザーは、印刷装置11において利用可能なフォントデザインの種類を把握していなくとも、ユーザーが所望するフォントデザインの優先順位を所望の優先順位へと変更することができる。換言すると、印刷装置11のユーザーは、自らが住んでいる国又は地域に応じたフォントデザイン以外のフォントデザインの優先順位についての知識を有しなくとも、自らが住んでいる国又は地域に応じたフォントデザインの優先順位を容易に所望の優先順位へと変更することができる。また、印刷装置11がこのようにフォントデザインの優先順位を変更するため、印刷装置11は、利用可能なフォントデザインの種類が増やされた場合であっても、順位変更コマンドによってユーザーが所望するフォントデザインを所望の優先順位へと問題なく変更することができる。例えば、利用可能なフォントデザインのそれぞれに対して一括で優先順位を割り当てるような従来の印刷装置は、当該印刷装置において利用可能なフォントデザインの種類が増やされた場合、利用可能なフォントデザインの種類が増やされる前に用いていたコマンドを認識できないことがある。印刷装置11は、このような問題が起きないため、印刷装置11において利用可能なフォントデザインの優先順位の変更について、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0081】
なお、ステップS130の処理では、制御部111は、順位変更コマンドに基づいて、対象フォントデザインの優先順位を上げずに、下げてもよい。すなわち、印刷装置11では、対象優先順位は、対象フォントデザインの優先順位よりも下の優先順位であってもよい。
【0082】
そして、ステップS130の処理が行われた後、制御部111は、処理を終了する。
【0083】
なお、
図4に示したフローチャートの処理は、選択符号化方式がUnicode以外の符号化方式である場合において制御部111に行われてもよい。ただし、この場合、当該符号化方式は、Unicode以外の符号化方式のうち、複数形状文字を1つの文字コードによって示す符号化方式である。
【0084】
また、
図4に示したフローチャートの処理は、順位変更コマンドに代えて、ユーザーから受け付けた操作に基づいて行われてもよい。この場合、印刷装置11は、ユーザーから操作を受け付けるスイッチ、ボタン等のハードウェアキー、ユーザーから操作を受け付けるソフトウェアキーを表示するディスプレイ等を備える。そして、この場合、印刷装置11は、フォントデザインの優先順位を変更する操作をユーザーから受け付ける過程において、印刷装置11において利用可能な複数のフォントデザインそれぞれに割り当てられた優先順位を示す情報が印刷された印刷物を印刷する。
図7は、印刷装置11において利用可能な複数のフォントデザインそれぞれに割り当てられた優先順位を示す情報が印刷された印刷物の一例を示す図である。印刷装置11は、
図7に示したような印刷物を、当該過程においてユーザーから操作を受け付ける毎に印刷する。
図7に示した例では、日本語圏における漢字は、「Japanese」として示されており、優先順位として1位が割り当てられている。また、当該例では、韓国語圏における漢字は、「Korean」として示されており、優先順位として2位が割り当てられている。また、当該例では、中国語圏における繁体字は、「Traditional Chinese」として示されており、優先順位として3位が割り当てられている。また、当該例では、中国語圏における簡体字は、「Simplified Chinese」として示されており、優先順位として4位が割り当てられている。
【0085】
以上説明したように、実施形態に係る印刷装置は、印刷を行う印刷部と、複数のフォントデザインに対応付けられた文字コードを受け付けた場合、複数のフォントデザインのそれぞれに割り当てられた優先順位に基づいて、当該文字コードが示す文字を印刷部に印刷させる制御部と、を備え、制御部は、受け付けた第1コマンドに応じて、複数のフォントデザインの優先順位を変更し、第1コマンドは、複数のフォントデザインのうちの一部のフォントデザインの優先順位を示すコマンドである。これにより、印刷装置は、複数のフォントデザインそれぞれの優先順位を容易に変更することができる。なお、上記において説明した例では、印刷装置11は、当該印刷装置の一例である。また、上記において説明した例では、印刷部113は、当該印刷部の一例である。また、上記において説明した例では、国又は地域に応じた字体と書体との組み合わせは、フォントデザインの一例である。また、上記において説明した例では、制御部111は、当該制御部の一例である。また、上記において説明した例では、コードポイントは、当該文字コードの一例である。また、上記において説明した例では、順位変更コマンドは、第1コマンドの一例である。
【0086】
また、印刷装置では、文字コードの符号化方式は、Unicodeである、構成が用いられてもよい。
【0087】
また、印刷装置では、フォントデザインは、字体、書体、字体と書体との組み合わせ、のいずれかである、構成が用いられてもよい。
【0088】
また、印刷装置では、フォントデザインは、字体、又は、字体と書体との組み合わせであり、複数の字体は、2種類以上の言語のそれぞれに対応付けられた字体を含む、構成が用いられてもよい。
【0089】
また、印刷装置では、第1コマンドは、複数のフォントデザインのうちの1つのフォントデザインの優先順位を示すコマンドである、構成が用いられてもよい。
【0090】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0091】
また、以上に説明した装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。ここで、当該装置は、例えば、印刷装置11、情報処理装置12等である。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0092】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル又は差分プログラムであってもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…印刷システム、11…印刷装置、12…情報処理装置、13…回線、111…制御部、112…不揮発性メモリー、113…印刷部、114…通信部、115…スイッチ、131…CPU、132…ROM、133…RAM、151…印刷ヘッド、152…カッター、153…搬送モーター、211…1バイト文字フォントデータ、212…2バイト文字フォントデータ、213…Unicodeフォントデータ、311…第1記憶部、312…第2記憶部、331…第1指示受付部、351…第2指示受付部