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特許7400504異常検知装置、異常検知方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】異常検知装置、異常検知方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
G08G1/00 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020013868
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021120796
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞方山 貴也
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-128630(JP,A)
【文献】特開2010-095135(JP,A)
【文献】特開2007-010634(JP,A)
【文献】国際公開第2014/049856(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得部(20)と、
前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得部(22)と、
前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得部(24)と、
前記位置情報取得部で取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定部(26)と、
前記車両の走行予定経路に対応する経路情報を取得する経路情報取得部(60)と、
前記振動情報取得部で取得された振動情報を前記車両が走行した経路の走行位置毎に関連付けて参照情報として保存する参照情報保存部(68)と、
前記経路情報に基づいて前記参照情報保存部(68)から前記走行予定経路を構成する複数の経路の各々に対応する複数の前記参照情報を抽出する参照情報抽出部(64)と、
前記経路情報に基づいて複数の前記参照情報を組み合わせて前記走行予定経路に対応する前記基準情報を生成する基準情報生成部(66)と、
を備える異常検知装置。
【請求項2】
車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得部(20)と、
前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得部(22)と、
前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得部(24)と、
前記位置情報取得部で取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定部(26)と、
他車両(222)で取得された振動情報を前記他車両(222)が走行した経路の走行位置毎に関連付けて保存した情報を他車両情報と定義した場合に、前記車両の走行予定経路に対応する経路情報を取得する経路情報取得部(60)と、
前記走行予定経路を構成する複数の経路の各々に対応する複数の前記他車両情報を取得する他車両情報取得部(72)と、
前記経路情報に基づいて複数の前記他車両情報を組み合わせて前記走行予定経路に対応する前記基準情報を生成する基準情報生成部(66)と、
を備える異常検知装置。
【請求項3】
車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得部(20)と、
前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得部(22)と、
前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得部(24)と、
前記位置情報取得部で取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定部(26)と、
他車両(222)で取得された振動情報を前記他車両(222)の走行位置に関連付けて保存した情報を他車両情報と定義した場合に、前記他車両情報を保存する他車両情報保存部(86)と、
前記他車両情報を抽出する他車両情報抽出部(84)と、
前記基準情報を前記他車両情報に置き換えて更新する基準情報更新部(78)と、
を備える異常検知装置。
【請求項4】
コンピュータが、
車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得ステップと、
前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定ステップと、
前記車両の走行予定経路に対応する経路情報を取得する経路情報取得ステップと、
前記振動情報取得ステップで取得された振動情報を前記車両が走行した経路の走行位置毎に関連付けて参照情報として参照情報保存部(68)に保存する参照情報保存ステップと、
前記経路情報に基づいて前記参照情報保存部から前記走行予定経路を構成する複数の経路の各々に対応する複数の前記参照情報を抽出する参照情報抽出ステップと、
前記経路情報に基づいて複数の前記参照情報を組み合わせて前記走行予定経路に対応する前記基準情報を生成する基準情報生成ステップと、
を含む処理を実行する異常検知方法
【請求項5】
コンピュータが、
車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得ステップと、
前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定ステップと、
他車両(222)で取得された振動情報を前記他車両(222)が走行する経路の走行位置毎に関連付けて保存した情報を他車両情報と定義した場合に、前記車両の走行予定経路に対応する経路情報を取得する経路情報取得ステップと、
前記走行予定経路を構成する複数の経路の各々に対応する複数の前記他車両情報を取得する他車両情報取得ステップと、
前記経路情報に基づいて複数の前記他車両情報を組み合わせて前記走行予定経路に対応する前記基準情報を生成する基準情報生成ステップと、
を含む処理を実行する異常検知方法。
【請求項6】
コンピュータが、
車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得ステップと、
前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定ステップと、
他車両(222)で取得された振動情報を前記他車両(222)の走行位置に関連付けて保存した情報を他車両情報と定義した場合に、前記他車両情報を保存する他車両情報保存ステップと、
前記他車両情報を抽出する他車両情報抽出ステップと、
前記基準情報を前記他車両情報に置き換えて更新する基準情報更新ステップと、
を含む処理を実行する異常検知方法。
【請求項7】
車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得ステップと、
前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定ステップと、
前記車両の走行予定経路に対応する経路情報を取得する経路情報取得ステップと、
前記振動情報取得ステップで取得された振動情報を前記車両が走行した経路の走行位置毎に関連付けて参照情報として参照情報保存部(68)に保存する参照情報保存ステップと、
前記経路情報に基づいて前記参照情報保存部(68)から前記走行予定経路を構成する複数の経路の各々に対応する複数の前記参照情報を抽出する参照情報抽出ステップと、
前記経路情報に基づいて複数の前記参照情報を組み合わせて前記走行予定経路に対応する前記基準情報を生成する基準情報生成ステップと、
を含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得ステップと、
前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定ステップと、
他車両(222)で取得された振動情報を前記他車両(222)が走行する経路の走行位置毎に関連付けて保存した情報を他車両情報と定義した場合に、前記車両の走行予定経路に対応する経路情報を取得する経路情報取得ステップと、
前記走行予定経路を構成する複数の経路の各々に対応する複数の前記他車両情報を取得する他車両情報取得ステップと、
前記経路情報に基づいて複数の前記他車両情報を組み合わせて前記走行予定経路に対応する前記基準情報を生成する基準情報生成ステップと、
を含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得ステップと、
前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定ステップと、
他車両(222)で取得された振動情報を前記他車両(222)の走行位置に関連付けて保存した情報を他車両情報と定義した場合に、前記他車両情報を保存する他車両情報保存ステップと、
前記他車両情報を抽出する他車両情報抽出ステップと、
前記基準情報を前記他車両情報に置き換えて更新する基準情報更新ステップと、
を含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示する技術は、異常検知装置、異常検知方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の異常を検知する種々の技術が提案されている。この技術としては、例えば、次のものがある。すなわち、第一の例に係る技術は、車両内における乗員の動きをカメラで検知して、この乗員の状況を監視する装置である(例えば、特許文献1参照)。また、第二の例に係る技術は、車両に取り付けられた振動検知部によって車両の特定部位における振動を検出し、この振動に基づいて特定部位における異常の有無を判定する装置である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-149767号公報
【文献】特開2018-118621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、第一の例に係る技術では、車両内をカメラで撮像し、画像処理装置で画像を解析するため、コスト及び消費電力が増大するという課題がある。また、第二の例に係る技術では、車両に取り付けられた振動検知部によって車両の特定部位における振動を検出するため、例えば路面の段差等の道路形状によって発生する外乱振動が車両の特定部位に加わった場合に、異常を誤検知する虞があるという課題がある。
【0005】
そこで、本願の開示する技術は、一例として、コスト及び消費電力の増大を抑制しつつ、異常検知精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の開示する技術の第一態様は、車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得部(20)と、前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得部(22)と、前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得部(24)と、前記位置情報取得部で取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定部(26)と、前記車両の走行予定経路に対応する経路情報を取得する経路情報取得部(60)と、前記振動情報取得部で取得された振動情報を前記車両が走行した経路の走行位置毎に関連付けて参照情報として保存する参照情報保存部(68)と、前記経路情報に基づいて前記参照情報保存部(68)から前記走行予定経路を構成する複数の経路の各々に対応する複数の前記参照情報を抽出する参照情報抽出部(64)と、前記経路情報に基づいて複数の前記参照情報を組み合わせて前記走行予定経路に対応する前記基準情報を生成する基準情報生成部(66)と、を備える異常検知装置である。
本願の開示する技術の第二態様は、車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得部(20)と、前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得部(22)と、前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得部(24)と、前記位置情報取得部で取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定部(26)と、他車両(222)で取得された振動情報を前記他車両(222)が走行した経路の走行位置毎に関連付けて保存した情報を他車両情報と定義した場合に、前記車両の走行予定経路に対応する経路情報を取得する経路情報取得部(60)と、前記走行予定経路を構成する複数の経路の各々に対応する複数の前記他車両情報を取得する他車両情報取得部(72)と、前記経路情報に基づいて複数の前記他車両情報を組み合わせて前記走行予定経路に対応する前記基準情報を生成する基準情報生成部(66)と、を備える異常検知装置である。
本願の開示する技術の第三態様は、車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得部(20)と、前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得部(22)と、前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得部(24)と、前記位置情報取得部で取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定部(26)と、他車両(222)で取得された振動情報を前記他車両(222)の走行位置に関連付けて保存した情報を他車両情報と定義した場合に、前記他車両情報を保存する他車両情報保存部(86)と、前記他車両情報を抽出する他車両情報抽出部(84)と、前記基準情報を前記他車両情報に置き換えて更新する基準情報更新部(78)と、を備える異常検知装置である。
【0007】
本願の開示する技術の第四態様は、コンピュータが、車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得ステップと、前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得ステップと、前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定ステップと、前記車両の走行予定経路に対応する経路情報を取得する経路情報取得ステップと、前記振動情報取得ステップで取得された振動情報を前記車両が走行した経路の走行位置毎に関連付けて参照情報として参照情報保存部(68)に保存する参照情報保存ステップと、前記経路情報に基づいて前記参照情報保存部から前記走行予定経路を構成する複数の経路の各々に対応する複数の前記参照情報を抽出する参照情報抽出ステップと、前記経路情報に基づいて複数の前記参照情報を組み合わせて前記走行予定経路に対応する前記基準情報を生成する基準情報生成ステップと、を含む処理を実行する異常検知方法である。
本願の開示する技術の第五態様は、コンピュータが、車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得ステップと、前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得ステップと、前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定ステップと、他車両(222)で取得された振動情報を前記他車両(222)が走行する経路の走行位置毎に関連付けて保存した情報を他車両情報と定義した場合に、前記車両の走行予定経路に対応する経路情報を取得する経路情報取得ステップと、前記走行予定経路を構成する複数の経路の各々に対応する複数の前記他車両情報を取得する他車両情報取得ステップと、前記経路情報に基づいて複数の前記他車両情報を組み合わせて前記走行予定経路に対応する前記基準情報を生成する基準情報生成ステップと、を含む処理を実行する異常検知方法である。
本願の開示する技術の第六態様は、コンピュータが、車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得ステップと、前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得ステップと、前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定ステップと、他車両(222)で取得された振動情報を前記他車両(222)の走行位置に関連付けて保存した情報を他車両情報と定義した場合に、前記他車両情報を保存する他車両情報保存ステップと、前記他車両情報を抽出する他車両情報抽出ステップと、前記基準情報を前記他車両情報に置き換えて更新する基準情報更新ステップと、を含む処理を実行する異常検知方法である。
【0008】
本願の開示する技術の第七態様は、車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得ステップと、前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得ステップと、前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定ステップと、前記車両の走行予定経路に対応する経路情報を取得する経路情報取得ステップと、前記振動情報取得ステップで取得された振動情報を前記車両が走行した経路の走行位置毎に関連付けて参照情報として参照情報保存部(68)に保存する参照情報保存ステップと、前記経路情報に基づいて前記参照情報保存部(68)から前記走行予定経路を構成する複数の経路の各々に対応する複数の前記参照情報を抽出する参照情報抽出ステップと、前記経路情報に基づいて複数の前記参照情報を組み合わせて前記走行予定経路に対応する前記基準情報を生成する基準情報生成ステップと、を含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
本願の開示する技術の第八態様は、車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得ステップと、前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得ステップと、前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定ステップと、他車両(222)で取得された振動情報を前記他車両(222)が走行する経路の走行位置毎に関連付けて保存した情報を他車両情報と定義した場合に、前記車両の走行予定経路に対応する経路情報を取得する経路情報取得ステップと、前記走行予定経路を構成する複数の経路の各々に対応する複数の前記他車両情報を取得する他車両情報取得ステップと、前記経路情報に基づいて複数の前記他車両情報を組み合わせて前記走行予定経路に対応する前記基準情報を生成する基準情報生成ステップと、を含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
本願の開示する技術の第九態様は、車両(200)の走行位置に応じた位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記車両に生じた車両振動に応じた振動情報を取得する振動情報取得ステップと、前記車両の走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報を取得する基準情報取得ステップと、前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報が表す走行位置について前記振動情報と前記基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する異常判定ステップと、他車両(222)で取得された振動情報を前記他車両(222)の走行位置に関連付けて保存した情報を他車両情報と定義した場合に、前記他車両情報を保存する他車両情報保存ステップと、前記他車両情報を抽出する他車両情報抽出ステップと、前記基準情報を前記他車両情報に置き換えて更新する基準情報更新ステップと、を含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示する技術によれば、一例として、コスト及び消費電力の増大を抑制しつつ、異常検知精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第一実施形態に係る異常検知装置を備える異常検知システムのブロック図である。
図2】基準情報が表す基準振動の一例を示すグラフである。
図3】第一実施形態に係る異常検知装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4】振動情報が表す車両振動と基準情報が表す基準振動とを比較した一例を示すグラフである。
図5】振動情報が表す車両振動のスペクトルと基準情報が表す基準振動のスペクトルとを比較した一例を示す図である。
図6図5に示される車両振動のスペクトルを走行位置毎に表した一例を示す図である。
図7】第四実施形態に係る異常検知装置を備える異常検知システムのブロック図である。
図8】第五実施形態に係る異常検知装置を備える異常検知システムのブロック図である。
図9】第六実施形態に係る異常検知装置を備える異常検知システムのブロック図である。
図10】第七実施形態に係る異常検知装置を備える異常検知システムのブロック図である。
図11】第八実施形態に係る異常検知装置を備える異常検知システムのブロック図である。
図12】第八実施形態に係る異常検知装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13】第九実施形態に係る異常検知装置を備える異常検知システムのブロック図である。
図14】第九実施形態に係る異常検知装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図15】第十実施形態に係る異常検知装置を備える異常検知システムのブロック図である。
図16】経路情報に基づいて複数の参照情報を組み合わせることにより走行予定経路に対応する基準情報が生成される一例を示す図である。
図17】第十一実施形態に係る異常検知装置を備える異常検知システムのブロック図である。
図18】経路情報に基づいて複数の他車両情報を組み合わせることにより走行予定経路に対応する基準情報が生成される一例を示す図である。
図19】第十二実施形態に係る異常検知装置を備える異常検知システムのブロック図である。
図20】更新情報保存部に更新情報を保存する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図21】基準情報更新部によって基準情報を更新情報に更新する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図22】第十三実施形態に係る異常検知装置を備える異常検知システムのブロック図である。
図23】他車両の振動情報及び位置情報から得られた他車両情報に基づいて車両の基準情報が更新される一例を説明する図である。
図24】第十四実施形態に係る異常検知装置を備える異常検知システムのブロック図である。
図25】第十五実施形態に係る異常検知装置を備える異常検知システムのブロック図である。
図26】予測モデルの一例を示す図である。
図27】予測モデルの変形例を示す図である。
図28】第十六実施形態に係る異常検知装置を備える異常検知システムのブロック図である。
図29】車両の複数の箇所に配置された複数の振動センサの受信強度と振動発生源との関係の一例を示す図である。
図30】表示器に表示された表示情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第一実施形態]
はじめに、本願の開示する技術の第一実施形態を説明する。
【0012】
図1は、第一実施形態に係る異常検知装置10を備える異常検知システムSのブロック図である。図1に示されるように、異常検知システムSは、車両200に搭載されている。車両200は、特に限定されないが、第一実施形態では、乗客を運ぶバスを車両200の一例とする。車両200は、有人や無人に関わらず、また、バスに限らず、自動車、二輪車でもよい。
【0013】
異常検知システムSは、位置情報受信器202、振動センサ204、表示器206及び異常検知装置10を備える。位置情報受信器202、振動センサ204及び表示器206は、例えばCAN(Controller Area Network)を介して異常検知装置10と電気的に接続されている。当然ながら、車両ネットワークと接続する必要はなく、例えば、車両ネットワークとは独立の後付けによって設置可能な機器を用いてもよく、また、これに限定しない。
【0014】
位置情報受信器202は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)の受信器である。この位置情報受信器202は、車両200の走行位置に応じた位置情報を受信し、この受信した位置情報を出力するように構成されている。
【0015】
振動センサ204は、例えば、加速度センサである。この振動センサ204は、車両200に生じた車両振動を検出し、この車両振動に応じた振動情報を出力するように構成されている。この振動センサ204は、一例として、車両振動の大きさに応じた振動情報を出力するように構成されている。
【0016】
振動センサ204が検出する振動の方向は、車両200の上下方向、左右方向及び前後方向のうち少なくともいずれかの方向である。振動センサ204が検出する振動の方向は、車両200の上下方向、左右方向及び前後方向のうち少なくとも一つの方向に対して傾斜する方向でもよい。
【0017】
この振動センサ204によって検出される車両振動には、例えば、車両200の右折に伴う振動、車両200の左折に伴う振動、車両200が段差を乗り越えたことに伴う振動又は車両200の駆動部の動作に伴う振動等のような、車両200の通常走行に伴う振動が含まれる。また、例えば、乗客が転倒したり、乗客が車両200内の構造物に衝突したり、車両200に物体が衝突したりするなど、異常な振動が車両200に生じた場合には、この異常な振動も、振動センサ204によって検出される車両振動に含まれる。
【0018】
表示器206は、例えば、液晶表示器である。この表示器206は、異常検知装置10から出力された異常検知情報に基づいて異常検知結果を表示するように構成されている。この表示器206は、例えば、車両200の運転席又は運転席から見える位置に設置される。表示器206に表示される異常検知結果の具体的な内容については、後述する異常検知方法と併せて説明する。
【0019】
異常検知装置10は、コンピュータである。この異常検知装置10は、ハードウェアとして、プロセッサ12及びメモリ14を備える。プロセッサ12は、CPU(Central Processing Unit)等を有する。メモリ14は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びストレージ等を有する。
【0020】
ROMは、各種プログラム及び各種データを格納する。RAMは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。ROM又はストレージには、異常を検知するためのプログラム16が格納されている。プロセッサ12は、プログラム16を読み出し、RAMを作業領域として実行する。
【0021】
また、異常検知装置10は、機能的な構成として、位置情報取得部20、振動情報取得部22、基準情報取得部24、異常判定部26及び異常検知情報出力部28を備える。この位置情報取得部20、振動情報取得部22、基準情報取得部24、異常判定部26及び異常検知情報出力部28は、プロセッサ12がプログラム16を実行することにより実現される。また、メモリ14は、基準情報記憶部30を有する。基準情報記憶部30は、ストレージに形成される。
【0022】
位置情報取得部20は、車両200の走行位置に応じて位置情報受信器202から出力された位置情報を取得する機能を有する。位置情報取得部20で取得される位置情報は、一例として、車両200の現在の走行位置に関する情報である。振動情報取得部22は、車両200に生じた車両振動の大きさに応じて振動センサ204から出力された振動情報を取得する機能を有する。車両200が通常走行をしているときに振動情報取得部22で取得される振動情報には、異常な振動を検出した結果が含まれないが、異常な振動が車両200に生じているときに振動情報取得部22で取得される振動情報には、異常な振動を検出した結果が含まれる。
【0023】
基準情報記憶部30には、車両200の走行位置に関連付けて予め定められた基準振動を表す基準情報が記憶されている。この基準情報は、振動情報取得部22で取得された振動情報に対して比較の対象となる情報である。この基準情報が表す基準振動は、車両200の通常走行に伴う振動に相当する。つまり、この基準振動を表す基準情報には、異常な振動を検出した結果が含まれない。この基準情報は、例えば、車両200を走行させた際に振動情報取得部22で取得された振動情報に基づいて設定された情報でもよく、また、例えば、車両200が走行する予定の道路形状や周辺環境等の情報に基づいて推定された情報でもよい。
【0024】
ここで、図2は、基準情報が表す基準振動の一例を示すグラフである。図2において、横軸は走行位置を示し、縦軸は振動の大きさを示している。図2に示す一例では、車両200が右折したとき、車両200が段差を乗り越えたとき、及び、車両200が左折したときに、基準振動の大きさが上昇している。この基準振動の大きさの上昇は、異常な振動によるものではなく、車両200の通常走行に伴う振動によるものである。
【0025】
図1に示される基準情報取得部24は、基準情報記憶部30に記憶された基準情報を取得する機能を有する。異常判定部26は、位置情報取得部20で取得された位置情報が表す走行位置について振動情報と基準情報とを比較し、この比較した比較結果に基づいて異常を判定する機能を有する。
【0026】
上述の通り、振動情報には、異常な振動を検出した結果が含まれる場合があるが、基準情報には、異常な振動を検出した結果が含まれない。したがって、位置情報取得部20で取得された位置情報が表す走行位置について振動情報と基準情報とを比較することで、振動情報に異常な振動を検出した結果が含まれるか否かを判定することが可能である。そして、振動情報に異常な振動を検出した結果が含まれる場合には、異常であると判定することが可能であり、振動情報に異常な振動を検出した結果が含まれない場合には、正常であると判定することが可能である。
【0027】
この異常判定部26は、より具体的には、算出部32及び判定部34を有する。算出部32は、振動情報が表す車両振動及び基準情報が表す基準振動の大きさの差を比較結果として算出する機能を有する。判定部34は、算出部32で算出された差に基づいて異常を判定する機能を有する。
【0028】
この判定部34は、より具体的には、算出部32で算出された差が予め定められた適正範囲内にある場合には、正常であると判定した正常判定結果を出力し、算出部32で算出された差が予め定められた適正範囲外にある場合には、異常であると判定した異常判定結果を出力する機能を有する。異常検知情報出力部28は、判定部34から異常であると判定した異常判定結果が出力された場合に、異常検知情報を表示器206へ出力する機能を有する。異常検知情報には、例えば、異常な振動が発生した走行位置と異常な振動の大きさに関する情報が含まれる。
【0029】
続いて、第一実施形態に係る異常検知方法を説明する。
【0030】
第一実施形態に係る異常検知方法は、異常検知装置10を用いて実行される。図3は、第一実施形態に係る異常検知装置10の処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下の説明において、異常検知システムSの構成については、図1を参照し、異常検知装置10の処理の流れを示すステップS1~ステップS4については、図3を参照することにする。
【0031】
ステップS1では、位置情報取得部20が、車両200の走行位置に応じて位置情報受信器202から出力された位置情報を取得する。また、ステップS1では、振動情報取得部22が、車両200に生じた車両振動に応じて振動センサ204から出力された振動情報を取得する。位置情報を取得するステップは、「位置情報取得ステップ」の一例であり、振動情報を取得するステップは、「振動情報取得ステップ」の一例である。位置情報を取得するステップ及び振動情報を取得するステップは、どちらが先でもよい。
【0032】
振動情報取得部22で取得される振動情報は、より具体的には、位置情報取得部20で位置情報が取得されたときの走行位置で振動センサ204から出力された情報である。つまり、振動情報取得部22で取得される振動情報は、位置情報取得部20で取得される位置情報と同じ走行位置で取得された情報である。
【0033】
車両200が通常走行をしているときに振動情報取得部22で取得される振動情報には、異常な振動を検出した結果が含まれないが、異常な振動が車両200に生じているときに振動情報取得部22で取得される振動情報には、異常な振動を検出した結果が含まれる。
【0034】
ステップS2では、基準情報取得部24が、基準情報記憶部30に記憶された基準情報を取得する。この基準情報取得部24で取得される基準情報は、より具体的には、位置情報取得部20で取得された位置情報が表す走行位置に関連付けて予め定められた情報である。基準情報を取得するステップは、「基準情報取得ステップ」の一例である。
【0035】
ステップS3では、異常判定部26が、ステップS1で取得された振動情報とステップS2で取得された基準情報とを比較し、この比較した比較結果に基づいて異常を判定する。つまり、異常判定部26は、位置情報取得部20で取得された位置情報が表す走行位置について振動情報と基準情報とを比較し、この比較した比較結果に基づいて異常を判定する。この異常を判定するステップは、「異常判定ステップ」の一例である。
【0036】
そして、ステップS3において正常と判定(ステップS3:NO)されている間は、ステップS1~ステップS3が繰り返し実行される。一方、ステップS3において異常と判定された場合(ステップS3:YES)には、ステップS4に移行する。
【0037】
ステップS3では、より具体的には、異常判定部26の算出部32及び判定部34によって次の処理が実行される。すなわち、算出部32は、振動情報が表す車両振動及び基準情報が表す基準振動の大きさの差を算出する。そして、判定部34は、算出部32で算出された差が予め定められた適正範囲外にあるか否かの判定結果を出力する。
【0038】
ここで、図4を用いて算出部32及び判定部34の処理を具体的に説明する。図4は、振動情報が表す車両振動と基準情報が表す基準振動とを比較した一例を示すグラフである。図4において、横軸は走行位置を示し、縦軸は振動の大きさを示している。グラフG1は、振動情報が表す車両振動を示しており、グラフG2は、基準情報が表す基準振動を示している。
【0039】
ステップS3において、異常判定部26は、一例として、適正範囲40を設定する。この適正範囲40は、基準振動の大きさに対して予め定められた差を有する上限値40A及び下限値40Bによって規定される。算出部32は、位置情報取得部20で取得された位置情報が表す走行位置について、車両振動及び基準振動の大きさの差を算出する。
【0040】
そして、判定部34は、算出部32で算出された差が予め定められた適正範囲40外にあるか否かを判定する。ここで、判定部34は、算出部32で算出された差が適正範囲40内にある場合には正常と判定し、算出部32で算出された差が適正範囲40外にある場合には異常と判定する。適正範囲40は、異常の誤検知を抑制しつつ異常検知精度を確保できる範囲に設定される。
【0041】
図4に示す一例では、車両200が右折したとき、車両200が段差を乗り越えたとき、及び、車両200が左折したときに、車両振動及び基準振動の大きさが上昇している。しかしながら、車両振動及び基準振動の大きさの差が適正範囲40内にあるため、判定部34は、正常と判定する。判定部34は、正常と判定した場合には、正常判定結果を異常検知情報出力部28に出力する。
【0042】
一方、異常が発生したときには、グラフG1で示される車両振動の大きさが上昇し、車両振動及び基準振動の大きさの差が拡がるため、この差が適正範囲40外になる。このときには、判定部34は、異常と判定する。判定部34は、異常と判定した場合には、異常判定結果を異常検知情報出力部28に出力する。
【0043】
ステップS4では、異常検知情報出力部28が、判定部34から出力された異常判定結果に基づいて異常検知情報を表示器206へ出力する。異常検知情報には、例えば、異常な振動が発生した走行位置と異常な振動の大きさに関する情報が含まれる。なお、異常検知情報は、異常が発生した走行位置のみや異常が発生した時刻のみに関する情報でもよい。
【0044】
そして、表示器206で異常検知情報が受信されると、表示器206は、異常検知情報に基づいて異常検知結果を表示する。これにより、異常検知結果として、例えば、異常な振動が発生した走行位置と異常な振動の大きさに関する内容が表示される。なお、異常検知情報出力部28において車両振動の大きさに応じて異常の原因が推定され、この推定された異常の原因が表示器206に表示されてもよい。また、異常発生時には、異常通知を遠隔の管制センタへ通知し、管制センタのオペレータが車内のカメラ映像で状況を確認してもよい。また、管制センタのオペレータと車内の音声装置が音声電話で安全や異常確認を実施してもよい。
【0045】
続いて、第一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0046】
第一実施形態では、異常検知装置10で異常が判定されると、異常検知情報が表示器206へ出力される。そして、表示器206において異常な振動が発生した走行位置と異常な振動の大きさに関する内容が表示される。これにより、車両200の運転者に異常の発生を伝えることができる。
【0047】
また、第一実施形態では、位置情報、振動情報及び基準情報が取得され、位置情報が表す走行位置について振動情報と基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常が判定される。したがって、例えば、車両200内における乗員の動きをカメラで検知して、この乗員の状況を監視する装置と比べて、カメラ及び画像処置装置が不要になるので、コスト及び消費電力の増大を抑制できる。
【0048】
また、第一実施形態では、上述の通り、車両200に生じた車両振動に応じて出力された振動情報と、車両200の走行位置に関連付けて予め定められた基準振動とを比較し、この比較した比較結果に基づいて異常を判定する。したがって、例えば路面の段差等の道路形状によって発生する外乱振動が車両振動に加わる場合でも、この外乱振動が基準振動に予め含まれるため、外乱振動の影響を排除できる。これにより、例えば、車両200に取り付けられた振動検知部によって車両200の特定部位における振動を検出し、この振動に基づいて特定部位における異常の有無を判定する装置と比べて、異常検知精度を向上させることができる。
【0049】
また、第一実施形態では、振動情報が表す車両振動及び基準情報が表す基準振動の大きさの差を算出し、この差が予め定められた適正範囲外にあるか否かの判定結果に基づいて異常を判定する。したがって、例えば、単に車両振動の大きさが基準振動の大きさを上回ったことに基づいて異常を判定する場合に比して、異常の誤検知を抑制できる。
【0050】
なお、車両200内における乗員の動きをカメラで検知して、この乗員の状況を監視する装置では、例えば、カメラの光軸上に複数の乗員が重なった状態で複数の乗員のいずれかが転倒する等の異常が発生した場合に、異常の未検出や異常の検知が遅れる可能性がある。これに対し、第一実施形態では、車両200に生じた車両振動に応じて出力された振動情報を取得し、振動情報と基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する。したがって、例えば、複数の乗員が重なった状態で複数の乗員のいずれかが転倒する等の異常が発生した場合でも、異常を迅速に検知できる。
【0051】
続いて、第一実施形態の変形例について説明する。
【0052】
上述の第一実施形態において、基準情報は、例えば、ナビゲーションシステムから出力された情報、すなわち、例えば右左折情報、停止位置情報又は制限速度情報等の情報に基づいて推定された推定情報でもよい。
【0053】
また、基準情報は、例えば、車両200に装備されたECUから出力された情報、すなわち、ステアリングの角度情報、エンジンの回転数情報又はブレーキの作動情報等の情報に基づいて推定された推定情報でもよい。
【0054】
また、異常判定部26は、振動情報と基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常の発生の度合を判定してもよい。
【0055】
また、異常判定部26は、車両振動及び基準振動の大きさの差が予め定められた上限値よりも大きい場合に、車両200に大きな振動が生じたとする判定結果を出力してもよい。
【0056】
また、異常判定部26は、車両の走行位置に応じて基準振動の適正範囲の大きさを変更してから振動情報と基準情報とを比較して異常の発生を判定してもよい。
【0057】
[第二実施形態]
次に、本願の開示する技術の第二実施形態を説明する。
【0058】
第二実施形態において、異常検知システムSの構成は、図1を参照することにする。第二実施形態では、第一実施形態に対し、異常判定部26の構成が次のように異なっている。つまり、第二実施形態において、算出部32は、振動情報が表す車両振動及び基準情報が表す基準振動における同一周波数成分の強度の差を比較結果として算出する機能を有する。判定部34は、算出部32で算出された差に基づいて異常を判定する機能を有する。
【0059】
この判定部34は、より具体的には、算出部32で算出された差が予め定められた適正範囲内にある場合には、正常であると判定した正常判定結果を出力し、算出部32で算出された差が適正範囲外にある場合には、異常であると判定した異常判定結果を出力する機能を有する。
【0060】
続いて、第二実施形態に係る異常検知方法を説明する。
【0061】
第二実施形態において、異常検知装置10の処理の流れを示すステップS1~ステップS4については、図3を参照することにする。第二実施形態では、第一実施形態に対し、ステップS3において算出部32及び判定部34が次のように動作する。
【0062】
ここで、図5を用いて算出部32及び判定部34の処理を具体的に説明する。図5は、振動情報が表す車両振動のスペクトルと基準情報が表す基準振動のスペクトルとを比較した一例を示す図である。図5の上段の図は、基準情報が表す基準振動のスペクトルを示し、図5の下段の図は、振動情報が表す車両振動のスペクトルを示す。図5の上段の図及び下段の図において、横軸は走行位置を示し、縦軸は周波数を示している。
【0063】
以下の説明において、車両振動及び基準振動の同一周波数成分とは、車両振動の縦軸に表される周波数の値と基準振動の縦軸に表される縦軸の値とが同じことを意味する。また、スペクトルは、濃く表示されるほど強度が高いことを示す。参考として、図6は、図5に示される車両振動のスペクトルを走行位置毎に表した一例を示す図である。
【0064】
算出部32は、位置情報取得部20で取得された位置情報が表す走行位置について、振動情報が表す車両振動及び基準情報が表す基準振動における同一周波数成分の強度の差を算出する。そして、判定部34は、算出部32で算出された差が予め定められた適正範囲外にあるか否かの判定結果を出力する。適正範囲は、異常の誤検知を抑制しつつ異常検知精度を確保できる範囲に設定される。
【0065】
図5に示す一例では、車両200が右折したとき、車両200が段差を乗り越えたとき、及び、車両200が左折したときに、車両振動及び基準振動の同一周波数成分の強度が上昇している。しかしながら、車両振動及び基準振動における同一周波数成分の強度の差が適正範囲内にあるため、判定部34は、正常と判定する。判定部34は、正常と判定した場合には、正常判定結果を異常検知情報出力部28に出力する。
【0066】
一方、異常が発生したときには、基準振動の特定の周波数成分の強度が変化せずに、車両振動の特定の周波数成分の強度が上昇し、車両振動及び基準振動の同一周波数成分の差が拡がるため、この差が適正範囲外になる。異常を表す特定の周波数成分は、異常な振動の種類に応じて異なる。車両振動及び基準振動の同一周波数成分の差が適正範囲外になると、判定部34は、異常と判定する。判定部34は、異常と判定した場合には、異常判定結果を異常検知情報出力部28に出力する。
【0067】
異常検知情報出力部28は、判定部34から出力された異常判定結果に基づいて異常検知情報を表示器206へ出力し、表示器206は、異常検知情報に関する内容を表示する。なお、異常検知情報出力部28において車両振動の周波数成分及び強度に応じて異常の原因が推定され、この推定された異常の原因が表示器206に表示されてもよい。
【0068】
続いて、第二実施形態の作用及び効果について説明する。
【0069】
第二実施形態では、振動情報が表す車両振動及び基準情報が表す基準振動における同一周波数成分の強度の差を算出し、この差が予め定められた適正範囲外にあるか否かの判定結果に基づいて異常を判定する。したがって、同一周波数成分の強度の差を算出することにより、周波数成分に応じた種類の振動を検知できるので、異常検知精度をより一層向上させることができる。
【0070】
また、第二実施形態では、上述の通り、振動情報が表す車両振動及び基準情報が表す基準振動における同一周波数成分の強度の差を算出し、この差が予め定められた適正範囲外にあるか否かの判定結果に基づいて異常を判定する。したがって、例えば、単に車両振動の特定の周波数成分の強度が基準振動の特定の周波数成分の強度を上回ったことに基づいて異常を判定する場合に比して、異常の誤検知を抑制できる。
【0071】
また、異常判定部26は、車両振動及び基準振動の同一周波数成分の強度の差において、一定時間内に算出した同一周波数成分の強度の差が継続して一定値を示す場合に、次の周波数成分の振動情報の算出時に、車両振動情報から前記の特定の振動情報成分を除算した補正車両振動の強度と基準振動における同一周波数成分の強度の差を算出して、この差が予め定められた適正範囲外にあるか否かの判定結果に基づいて異常を判定してもよい。したがって、例えば、乗客が持ち込んだ荷物によって定常的に生じる振動があった場合、車両振動の荷物によって生じる振動の周波数領域の振動の強度が継続して増加してしまうために、僅かな外乱が発生した場合に異常の発生と検知してしまう場合においても、異常に関係しないが車両振動の周波数成分に含まれる振動情報の影響を排除することができるため、異常の誤検知を抑制できる。
【0072】
なお、第二実施形態において、第一実施形態と同様の構成については、同様の作用及び効果を奏する。また、第二実施形態において、第一実施形態と同様の構成については、同様の変形例を採用することが可能である。
【0073】
[第三実施形態]
次に、本願の開示する技術の第三実施形態を説明する。
【0074】
第三実施形態において、異常検知システムSの構成は、図1を参照することにする。第三実施形態では、第一実施形態に対し、算出部32及び判定部34の構成が次のように異なっている。つまり、第三実施形態において、算出部32は、振動情報が表す車両振動及び基準情報が表す基準振動の大きさの差を予め定められた時間窓で積分した積分値を比較結果として算出する機能を有する。
【0075】
判定部34は、積分値に基づいて異常を判定する機能を有する。この判定部34は、より具体的には、算出部32で算出された積分値が予め定められた閾値を上回っているか否かの判定結果を出力する機能を有する。
【0076】
そして、第三実施形態では、積分値が予め定められた閾値以下である場合には、判定部34で正常と判定され、判定部34から正常判定結果が出力される。一方、積分値が予め定められた閾値を上回っている場合には、判定部34で異常と判定され、判定部34から異常判定結果が出力される。
【0077】
このように、第三実施形態では、振動情報が表す車両振動及び基準情報が表す基準振動の大きさの差を予め定められた時間窓で積分した積分値が算出され、この積分値が予め定められた閾値を上回っているか否かに基づいて異常が判定される。したがって、異常ではない突発的な外乱振動が車両200に加わった場合でも、この突発的な外乱振動を異常と誤検知することを抑制できるので、異常検知精度をより向上させることができる。
【0078】
なお、第三実施形態において、算出部32は、振動情報が表す車両振動及び基準情報が表す基準振動における同一周波数成分の強度の差を予め定められた時間窓で積分した積分値を算出する機能を有していてもよい。また、判定部34は、算出部32で算出された積分値が予め定められた閾値を上回っているか否かの判定結果を出力する機能を有していてもよい。
【0079】
このように構成されていても、異常ではない突発的な外乱振動が車両200に加わった場合には、この突発的な外乱振動を異常と誤検知することを抑制できるので、異常検知精度をより向上させることができる。
【0080】
この第三実施形態において、第一実施形態と同様の構成については、同様の作用及び効果を奏する。また、第三実施形態において、第一実施形態と同様の構成については、同様の変形例を採用することが可能である。
【0081】
[第四実施形態]
次に、本願の開示する技術の第四実施形態を説明する。
【0082】
図7は、第四実施形態に係る異常検知装置10を備える異常検知システムSのブロック図である。図7に示されるように、第四実施形態では、第一実施形態に対し、異常判定部26の構成が次のように異なっている。つまり、第四実施形態において、異常判定部26は、算出部32及び判定部34に加えて、カウント部36を有する。
【0083】
算出部32は、振動情報が表す車両振動及び基準情報が表す基準振動の大きさの差を算出する機能を有する。カウント部36は、算出部32で算出された差が予め定められた適正範囲外にある時間をカウントしたカウント値を比較結果として得る機能を有する。判定部34は、カウント部36でカウントされたカウント値に基づいて異常を判定する機能を有する。この判定部34は、より具体的には、カウント値が予め定められた閾値を上回っているか否かの判定結果を出力する機能を有する。
【0084】
そして、第四実施形態では、カウント値が予め定められた閾値以下である場合には、判定部34で正常と判定され、判定部34から正常判定結果が出力される。一方、カウント値が予め定められた閾値を上回っている場合には、判定部34で異常と判定され、判定部34から異常判定結果が出力される。
【0085】
このように、第四実施形態では、振動情報が表す車両振動及び基準情報が表す基準振動の大きさの差が算出部32で算出され、この差が予め定められた適正範囲外にある時間をカウントしたカウント値がカウント部36で得られる。そして、このカウント値が予め定められた閾値を上回っているか否かに基づいて異常が判定される。したがって、異常ではない突発的な外乱振動が車両200に加わった場合でも、この突発的な外乱振動を異常と誤検知することを抑制できるので、異常検知精度をより向上させることができる。
【0086】
なお、第四実施形態において、算出部32は、振動情報が表す車両振動及び基準情報が表す基準振動における同一周波数成分の強度の差を算出する機能を有していてもよい。また、カウント部36は、算出部32で算出された差が予め定められた適正範囲外にある時間をカウントしたカウント値を得る機能を有していてもよい。さらに、判定部34は、カウント部36で得られたカウント値が予め定められた閾値を上回っているか否かの判定結果を出力する機能を有していてもよい。
【0087】
このように構成されていても、異常ではない突発的な外乱振動が車両200に加わった場合には、この突発的な外乱振動を異常と誤検知することを抑制できるので、異常検知精度をより向上させることができる。
【0088】
この第四実施形態において、第一実施形態と同様の構成については、同様の作用及び効果を奏する。また、第四実施形態において、第一実施形態と同様の構成については、同様の変形例を採用することが可能である。
【0089】
[第五実施形態]
次に、本願の開示する技術の第五実施形態を説明する。
【0090】
図8は、第五実施形態に係る異常検知装置10を備える異常検知システムSのブロック図である。図8に示されるように、第五実施形態では、第一実施形態に対し、異常検知装置10による異常検知情報の出力先が次のように異なっている。
【0091】
すなわち、車両200は、ECU(Electronic Control Unit)208を備える。異常検知装置10には、ECU208が接続されている。ECU208は、例えば、エンジンを制御するECU、エアバッグを制御するECU、ブレーキを制御するECU、ステアリングを制御するECU及び警告灯を制御するECUなど、車両200に搭載されたECUであれば、どのようなECUでもよい。
【0092】
異常検知情報出力部28は、判定部34から異常であると判定した異常判定結果が出力された場合に、異常検知情報をECU208へ出力する機能を有する。ECU208で異常検知情報が受信されると、ECU208は、異常検知情報に基づいて異常検知結果に応じた制御を実行する。したがって、例えば、車両振動の強度が非常に大きい異常の発生を検知した場合は、ハザードランプを点滅させながら安全な加速度を保持した状態で車両を停車させることが可能となり、既に発生している異常から誘発される2次異常の発生を未然に防ぐことや被害を最小限に留めることが可能となる。
【0093】
このように構成されていると、異常検知装置10で異常が検知された場合に、ECU208によって異常検知結果に応じた適切な制御を実行できる。
【0094】
なお、上述の第二乃至第四実施形態において、異常検知装置10による異常検知情報の出力先がECU208とされてもよい。また、後述する第六乃至第十六実施形態において、異常検知装置10による異常検知情報の出力先がECU208とされてもよい。
【0095】
[第六実施形態]
次に、本願の開示する技術の第六実施形態を説明する。
【0096】
図9は、第六実施形態に係る異常検知装置10を備える異常検知システムSのブロック図である。図9に示されるように、第六実施形態では、第一実施形態に対し、基準情報取得部24による基準情報の入力先が次のように異なっている。
【0097】
すなわち、車両200は、通信器210を備える。通信器210は、例えばインターネット等のネットワーク212を介して管理装置214と通信可能に接続される。管理装置214は、例えばサーバを有する。管理装置214は、複数の車両200の通信器210と通信可能に接続される。
【0098】
管理装置214には、車両200の走行位置に関連付けて予め定められた基準振動を表す基準情報が記憶されている。基準情報の内容は、第一実施形態の基準情報と同様である。基準情報取得部24は、管理装置214から送信され通信器210で受信された基準情報を取得する機能を有する。異常判定部26の機能、すなわち、基準情報取得部24で取得された基準情報と振動情報取得部22で取得された振動情報とを比較して異常を判定する機能は、第一実施形態と同様である。
【0099】
このように構成されていると、基準情報を更新又は変更する必要がある場合には、管理装置214に記憶されている基準情報を更新又は変更すればよい。したがって、複数の車両200の各々に搭載されたメモリ14の基準情報を複数の車両200毎に更新又は変更する場合に比して、基準情報を容易に更新又は変更できる。
【0100】
なお、上述の第二乃至第五実施形態において、基準情報取得部24による基準情報の入力先が管理装置214とされてもよい。また、後述する第七乃至第十六実施形態において、基準情報取得部24による基準情報の入力先が管理装置214とされてもよい。
【0101】
また、上述の第六実施形態において、管理装置は第六実施形態に記載の複数の異常検知装置を管理し、第一の車両に搭載された第一の異常検知装置が取得した車両振動情報を用いて第二の車両に搭載された第二の異常検知装置の基準振動情報を更新してもよい。したがって、例えば、突如道路形状が変化した場合においても、変化があった道路を通過した先行の車両の車両振動情報を加味した基準振動情報を後続の車両が用いることで、突如発生した道路形状に起因した振動を異常と誤検知することを抑制することができる。
【0102】
[第七実施形態]
次に、本願の開示する技術の第七実施形態を説明する。
【0103】
図10は、第七実施形態に係る異常検知装置10を備える異常検知システムSのブロック図である。図10に示されるように、第七実施形態では、第一実施形態に対し、異常検知装置10の構成が次のように異なっている。
【0104】
すなわち、第七実施形態において、異常検知装置10は、例えばサーバ等の管理装置である。異常検知装置10は、通信器216を有しており、車両200は、通信器210を有している。車両200の通信器210は、異常検知装置10の通信器216と例えばインターネット等のネットワーク212を介して通信可能に接続される。
【0105】
車両200に装備された振動センサ204及び位置情報受信器202から出力された位置情報及び振動情報は、通信器210から送信され、異常検知装置10の通信器216で受信される。位置情報取得部20及び振動情報取得部22は、通信器216で受信された位置情報及び振動情報をそれぞれ取得する。基準情報記憶部30、基準情報取得部24及び異常判定部26の機能は、第一実施形態と同様である。
【0106】
異常検知装置10の異常検知情報出力部28から出力された異常検知情報は、通信器216から送信され、車両200の通信器210で受信される。通信器210で受信された異常検知情報は、表示器206に出力され、表示器206は、異常検知情報に基づいて異常検知結果を表示する。
【0107】
このように構成されていると、車両200に異常検知装置10を搭載しなくて済むので、車両200のコストの増大を抑制できる。
【0108】
なお、上述の第二乃至第六実施形態において、異常検知装置10が管理装置として構成されていてもよい。また、後述する第八乃至第十六実施形態において、異常検知装置10が管理装置として構成されていてもよい。
【0109】
また、上述の第七実施形態において、管理装置は第七実施形態に記載の複数の車両を管理し、第一の車両が取得した走行位置情報及び振動情報を用いて、管理装置が管理する基準振動情報を更新し、第一の車両の走行位置情報及び振動情報を用いて更新した基準振動情報と第二の車両の走行位置情報と基準振動情報を用いて、異常の発生を判定してもよい。したがって、例えば、突如道路形状が変化した場合においても、変化があった道路を通過した先行の車両の車両振動情報を加味した基準振動情報を後続の車両が用いることで、突如発生した道路形状に起因した振動を異常と誤検知することを抑制することができる。
【0110】
[第八実施形態]
次に、本願の開示する技術の第八実施形態を説明する。
【0111】
図11は、第八実施形態に係る異常検知装置10を備える異常検知システムSのブロック図である。図11に示されるように、第八実施形態では、第一実施形態に対し、異常検知装置10の構成が次のように異なっている。
【0112】
すなわち、第八実施形態において、異常検知装置10は、車両情報取得部50を備える。車両情報取得部50は、プロセッサ12がプログラム16を実行することにより実現される。車両情報取得部50は、車両200に搭載されたECU208から出力された車両200に関する車両情報を取得する機能を有する。
【0113】
ECU208は、例えば、エンジンの回転数に応じた信号を出力するECU、車速センサに応じた信号を出力するECU、ドアの開閉に応じた信号を出力するECU又はエアコンの動作に応じた信号を出力するECUでもよい。また、ECU208は、ステアリングの角度に応じた信号を出力するECU、エアバッグの動作に応じた信号を出力するECU、ブレーキの動作に応じた信号を出力するECU又は警告灯の表示を制御するECUでもよい。
【0114】
さらに、ECU208は、車両200に搭載されたECUであれば、どのようなECUでもよい。また、ECU208から出力された車両情報は、車両200に関する情報であれば、どのような情報でもよい。
【0115】
異常判定部26は、位置情報取得部20で取得された位置情報が表す走行位置について振動情報と基準情報とを比較した比較結果及び車両情報に基づいて異常を判定する機能を有する。
【0116】
図12は、第八実施形態に係る異常検知装置10の処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下の説明において、異常検知システムSの構成については、図11を参照し、異常検知装置10の処理の流れを示すステップS11~ステップS16については、図12を参照することにする。
【0117】
ステップS11では、位置情報取得部20が、車両200の走行位置に応じて位置情報受信器202から出力された位置情報を取得する。また、ステップS11では、振動情報取得部22が、車両200に生じた車両振動に応じて振動センサ204から出力された振動情報を取得する。さらに、ステップS11では、車両情報取得部50が、ECU208から出力された車両情報を取得する。
【0118】
この車両情報取得部50で取得される車両情報は、より具体的には、位置情報取得部20で位置情報が取得されたときの走行位置でECU208から出力された情報である。つまり、車両情報取得部50で取得される車両情報は、位置情報取得部20で取得される位置情報と同じ走行位置で取得された情報である。
【0119】
ステップS12では、基準情報取得部24が、基準情報記憶部30に記憶された基準情報を取得し、ステップS13では、異常判定部26が、ステップS11で取得された振動情報とステップS12で取得された基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する。このステップS12及びステップS13は、第一実施形態におけるステップS2及びステップS3と同様である。
【0120】
そして、ステップS13において正常と判定(ステップS13:NO)されている間は、ステップS11~ステップS13が繰り返し実行される。一方、ステップS13において異常と判定された場合(ステップS13:YES)には、ステップS14に移行する。
【0121】
ステップS14では、異常判定部26が、車両情報を解析する。そして、この車両情報の解析の結果、ステップS15において、異常判定部26が、振動の発生が正常と判定した場合(ステップS15:YES)には、異常検知情報を出力することなくステップS11に戻る。
【0122】
一方、車両情報の解析の結果、ステップS15において、異常判定部26が、振動の発生が異常と判定した場合(ステップS15:NO)には、ステップS16において、異常検知情報を出力する。
【0123】
このように、第八実施形態では、位置情報取得部20で取得された位置情報が表す走行位置について振動情報と基準情報とを比較した比較結果及び車両情報に基づいて異常が判定される。したがって、例えば、車両200の正常な動作に伴う振動が検知された場合でも、異常の誤検知を抑制できるので、異常検知精度をより向上させることができる。
【0124】
なお、上述の第二乃至第七実施形態に係る異常検知装置10に、第八実施形態における機能、すなわち車両情報に基づいて異常を判定する機能が追加されてもよい。また、この車両情報に基づいて異常を判定する機能は、後述する第九乃至第十六実施形態に係る異常検知装置10に追加されてもよい。
【0125】
また、第八実施形態において、異常判定部26は、振動情報と基準情報との比較結果及び車両情報にその他の情報を加えて異常を判定してもよい。
【0126】
また、基準情報記憶部30には、基準情報に関連付けてその他の情報が記憶されてもよい。そして、位置情報取得部20で取得された位置情報が表す走行位置について、振動情報及び車両情報と、基準情報記憶部30に記憶された基準情報及びその他の情報とが比較されて異常が判定されてもよい。
【0127】
また、車両情報は、車両200に関する種類、型式、サイズ、重量、走行速度又は乗員の有無等の情報でもよい。また、車両情報は、ECU208から出力される情報とされているが、ECU208以外の装置から出力された情報でもよい。さらに、車両が無線通信用の通信器を備える場合は、通信器を用いて受信された車両情報が車両情報取得部50で取得されてもよい。
【0128】
[第九実施形態]
次に、本願の開示する技術の第九実施形態を説明する。
【0129】
図13は、第九実施形態に係る異常検知装置10を備える異常検知システムSのブロック図である。図13に示されるように、第九実施形態では、第一実施形態に対し、異常検知システムSの構成が次のように異なっている。
【0130】
すなわち、第九実施形態において、車両200は、環境センサ218を装備している。環境センサ218は、車両200の外の環境に関する環境情報を出力するように構成されている。この環境センサ218は、例えば、車両200の外の風速を検出する風速センサ等のような、車両200に振動を生じさせる環境因子を検出するセンサであると好適である。
【0131】
なお、環境センサ218は、車両200の外の環境に関する環境情報を出力するセンサであれば、どのようなセンサでもよい。また、環境センサ218から出力された環境情報は、車両200の外の環境に関する情報であれば、どのような情報でもよい。さらに、環境センサ218は、車両200が走行する走行通路に設置され、走行通路を走行する車両200に環境情報を提供する構成でもよい。
【0132】
この第九実施形態において、異常検知装置10は、環境情報取得部52を備える。環境情報取得部52は、プロセッサ12がプログラム16を実行することにより実現される。環境情報取得部52は、環境センサ218から出力された車両200の外の環境に関する環境情報を取得する機能を有する。
【0133】
異常判定部26は、位置情報取得部20で取得された位置情報が表す走行位置について振動情報と基準情報とを比較した比較結果及び環境情報に基づいて異常を判定する機能を有する。
【0134】
図14は、第九実施形態に係る異常検知装置10の処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下の説明において、異常検知システムSの構成については、図13を参照し、異常検知装置10の処理の流れを示すステップS21~ステップS26については、図14を参照することにする。
【0135】
ステップS21では、位置情報取得部20が、車両200の走行位置に応じて位置情報受信器202から出力された位置情報を取得する。また、ステップS21では、振動情報取得部22が、車両200に生じた車両振動に応じて振動センサ204から出力された振動情報を取得する。さらに、ステップS21では、環境情報取得部52が、環境センサ218から出力された環境情報を取得する。
【0136】
この環境情報取得部52で取得される環境情報は、より具体的には、位置情報取得部20で位置情報が取得されたときの走行位置で振動センサ204から出力された情報である。つまり、環境情報取得部52で取得される環境情報は、位置情報取得部20で取得される位置情報と同じ走行位置で取得された情報である。
【0137】
ステップS22では、基準情報取得部24が、基準情報記憶部30に記憶された基準情報を取得し、ステップS23では、異常判定部26が、ステップS21で取得された振動情報とステップS22で取得された基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する。このステップS22及びステップS23は、第一実施形態におけるステップS2及びステップS3と同様である。
【0138】
そして、ステップS23において正常と判定(ステップS23:NO)されている間は、ステップS21~ステップS23が繰り返し実行される。一方、ステップS23において異常と判定された場合(ステップS23:YES)には、ステップS24に移行する。
【0139】
ステップS24では、異常判定部26が、環境情報を解析する。そして、この環境情報の解析の結果、ステップS25において、異常判定部26が、振動の発生が正常と判定した場合(ステップS25:YES)には、異常検知情報を出力することなくステップS21に戻る。
【0140】
一方、環境情報の解析の結果、ステップS25において、異常判定部26が、振動の発生が異常と判定した場合(ステップS25:NO)には、ステップS26において、異常検知情報を出力する。
【0141】
このように、第九実施形態では、位置情報取得部20で取得された位置情報が表す走行位置について振動情報と基準情報とを比較した比較結果及び環境情報に基づいて異常が判定される。したがって、例えば、車両200の外の環境の変化に伴う振動が検知された場合でも、異常の誤検知を抑制できるので、異常検知精度をより向上させることができる。
【0142】
なお、上述の第二乃至第八実施形態に係る異常検知装置10に、第八実施形態における機能、すなわち環境情報に基づいて異常を判定する機能が追加されてもよい。また、この環境情報に基づいて異常を判定する機能は、後述する第十乃至第十六実施形態に係る異常検知装置10に追加されてもよい。
【0143】
また、第九実施形態において、異常判定部26は、振動情報と基準情報との比較結果及び環境情報にその他の情報を加えて異常を判定してもよい。
【0144】
また、基準情報記憶部30には、基準情報に関連付けてその他の情報が記憶されてもよい。そして、位置情報取得部20で取得された位置情報が表す走行位置について、振動情報及び環境情報と、基準情報記憶部30に記憶された基準情報及びその他の情報とが比較されて異常が判定されてもよい。
【0145】
[第十実施形態]
次に、本願の開示する技術の第十実施形態を説明する。
【0146】
図15は、第十実施形態に係る異常検知装置10を備える異常検知システムSのブロック図である。図15に示されるように、第十実施形態では、第一実施形態に対し、異常検知システムSの構成が次のように異なっている。
【0147】
すなわち、第十実施形態において、車両200には、ナビゲーションシステム220が装備されている。ナビゲーションシステム220に目標地が設定されると、ナビゲーションシステム220において現在地から目標地までの走行予定経路が設定される。ナビゲーションシステム220は、走行予定経路を設定すると、走行予定経路に対応する経路情報を出力する。
【0148】
また、この第十実施形態において、異常検知装置10は、経路情報取得部60、参照情報保存実行部62、参照情報抽出部64及び基準情報生成部66を備える。経路情報取得部60、参照情報保存実行部62、参照情報抽出部64及び基準情報生成部66は、プロセッサ12がプログラム16を実行することにより実現される。また、メモリ14は、参照情報保存部68を有する。参照情報保存部68は、ストレージに形成される。
【0149】
経路情報取得部60は、ナビゲーションシステム220から出力された経路情報を取得する機能を有する。参照情報保存実行部62は、参照情報を参照情報保存部68に保存する機能を有する。参照情報は、振動情報取得部22で取得された振動情報を位置情報取得部20で取得された位置情報が表す走行位置に関連付けた情報である。参照情報保存部68には、参照情報が保存される。この参照情報保存部68に保存される参照情報は、車両200が過去に走行した経路に関する情報である。
【0150】
参照情報抽出部64は、経路情報に基づいて参照情報保存部68から走行予定経路を構成する複数の経路の各々に対応する複数の参照情報を抽出する機能を有する。基準情報生成部66は、経路情報に基づいて複数の参照情報を組み合わせて走行予定経路に対応する基準情報を生成する機能を有する。また、基準情報生成部66は、基準情報を基準情報記憶部30に記憶させる機能を有する。
【0151】
そして、第十実施形態では、車両200が走行し、振動情報取得部22及び位置情報取得部20で振動情報及び位置情報が取得される毎に、参照情報が参照情報保存部68に保存される。つまり、参照情報保存部68には、走行位置毎の参照情報が保存される。
【0152】
また、ナビゲーションシステム220において現在地から目標地までの走行予定経路が設定されると、ナビゲーションシステム220から走行予定経路に対応する経路情報が出力される。この経路情報は、経路情報取得部60で取得される。
【0153】
経路情報取得部60で経路情報が取得されると、この経路情報に基づいて参照情報保存部68から走行予定経路を構成する複数の経路の各々に対応する複数の参照情報が参照情報抽出部64によって抽出される。そして、基準情報生成部66では、経路情報に基づいて複数の参照情報を組み合わせて走行予定経路に対応する基準情報が生成される。この基準情報は、基準情報記憶部30に記憶される。
【0154】
図16は、経路情報に基づいて複数の参照情報を組み合わせることにより走行予定経路に対応する基準情報が生成される一例を示す図である。図16に示される例では、先ず、走行予定経路Aが設定されることにより、過去の走行経路A1~A3から走行予定経路Aを構成する複数の経路a1~a3が抽出される。続いて、この複数の経路a1~a3の各々に対する複数の参照情報x1~x3が抽出される。そして、この複数の参照情報x1~x3を組み合わせて走行予定経路Aに対応する基準情報Xが生成される。
【0155】
この第十実施形態によれば、例えば、図16に示されるように、異常検知装置10が走行予定経路Aに対応する基準情報Xを有していなくても、走行予定経路Aを構成する複数の経路a1~a3の各々に対応する複数の参照情報x1~x3を組み合わせることにより、基準情報Xを得ることができる。これにより、異常検知できない経路が生じることを回避できる。
【0156】
なお、上述の第二乃至第九実施形態に係る異常検知装置10に、第十実施形態における機能、すなわち複数の参照情報を組み合わせて基準情報を生成する機能が追加されてもよい。また、この複数の参照情報を組み合わせて基準情報を生成する機能は、後述する第十一乃至第十六実施形態に係る異常検知装置10に追加されてもよい。
【0157】
[第十一実施形態]
次に、本願の開示する技術の第十一実施形態を説明する。
【0158】
図17は、第十一実施形態に係る異常検知装置10を備える異常検知システムSのブロック図である。図17に示されるように、第十一実施形態では、第十実施形態に対し、異常検知装置10の構成が次のように異なっている。
【0159】
すなわち、第十一実施形態において、異常検知装置10が搭載された車両200は、通信器210を備える。通信器210は、例えばインターネット等のネットワーク212を介して管理装置214と通信可能に接続される。管理装置214は、複数の他車両222と通信可能に接続される。
【0160】
管理装置214は、複数の他車両222で取得された複数の他車両情報を保存している。他車両情報は、他車両222で取得された振動情報を他車両222の走行位置に関連付けて保存した情報である。この管理装置214には、他車両222が過去に走行した経路について他車両222の走行位置毎の他車両情報が保存される。管理装置214は、異常検知装置10から出力された要求情報に基づいて車両200の走行予定経路を構成する複数の経路の各々に対応する複数の他車両情報を抽出する機能を有する。
【0161】
この第十一実施形態において、異常検知装置10は、経路情報取得部60、要求情報出力部70、他車両情報取得部72及び基準情報生成部66を備える。経路情報取得部60、要求情報出力部70、他車両情報取得部72及び基準情報生成部66は、プロセッサ12がプログラム16を実行することにより実現される。
【0162】
経路情報取得部60は、第十実施形態と同様に、ナビゲーションシステム220から出力された経路情報を取得する機能を有する。要求情報出力部70は、経路情報に基づいて要求情報を生成し、要求情報を管理装置214に出力する機能を有する。
【0163】
他車両情報取得部72は、要求情報に応じて管理装置214から送信された複数の他車両情報を取得する機能を有する。基準情報生成部66は、経路情報に基づいて複数の他車両情報を組み合わせて走行予定経路に対応する基準情報を生成する機能を有する。また、基準情報生成部66は、基準情報を基準情報記憶部30に記憶させる機能を有する。
【0164】
そして、第十一実施形態では、ナビゲーションシステム220において現在地から目標地までの走行予定経路が設定されると、ナビゲーションシステム220から走行予定経路に対応する経路情報が出力される。この経路情報は、経路情報取得部60で取得される。
【0165】
経路情報取得部60で経路情報が取得されると、この経路情報に基づいて要求情報が生成され、この要求情報が管理装置214に送信される。管理装置214は、要求情報に基づいて走行予定経路を構成する複数の経路の各々に対応する複数の他車両情報を抽出し、この複数の他車両情報を送信する。この複数の他車両情報は、他車両情報取得部72で取得される。そして、基準情報生成部66では、経路情報に基づいて複数の他車両情報が組み合わされて走行予定経路に対応する基準情報が生成される。この基準情報は、基準情報記憶部30に記憶される。
【0166】
図18は、経路情報に基づいて複数の他車両情報を組み合わせることにより走行予定経路に対応する基準情報が生成される一例を示す図である。図18に示される例では、先ず、走行予定経路Aが設定されることにより、他車両1~3の過去の走行経路A1~A3から走行予定経路Aを構成する複数の経路a1~a3が抽出される。続いて、この複数の経路a1~a3の各々に対する複数の他車両情報x1~x3が抽出される。そして、この複数の他車両情報x1~x3を組み合わせて走行予定経路Aに対応する基準情報Xが生成されている。
【0167】
この第十一実施形態によれば、例えば、図18に示されるように、異常検知装置10及び管理装置214が走行予定経路Aに対応する基準情報Xを有していなくても、走行予定経路Aを構成する複数の経路a1~a3の各々に対応する複数の他車両情報x1~x3を組み合わせることにより、基準情報Xを得ることができる。これにより、異常検知できない経路が生じることを回避できる。また、基準情報Xを生成する場合に、複数の他車両情報の車両200の乗員に関する乗員情報、車両200に関する車両情報、車両200の車体に関する車体情報、車両200が走行する走行経路の気象に関する気象情報、車両200のタイヤに関するタイヤ情報、振動センサ204の振動センサに関する振動センサ情報、振動センサ204の車両200への搭載に関する振動センサ搭載情報又は路面情報等を用いてもよい。これにより、車両200と類似した他車両情報を用いて車両200の基準情報Xを作成することが可能となり、異常の発生の誤検知を抑制することが可能となる。
【0168】
なお、上述の第二乃至第十実施形態に係る異常検知装置10に、第十一実施形態における機能、すなわち複数の他車両情報を組み合わせて基準情報を生成する機能が追加されてもよい。また、この複数の他車両情報を組み合わせて基準情報を生成する機能は、後述する第十二乃至第十六実施形態に係る異常検知装置10に追加されてもよい。
【0169】
[第十二実施形態]
次に、本願の開示する技術の第十二実施形態を説明する。
【0170】
図19は、第十二実施形態に係る異常検知装置10を備える異常検知システムSのブロック図である。図19に示されるように、第十二実施形態では、第一実施形態に対し、異常検知装置10の構成が次のように異なっている。
【0171】
すなわち、第十二実施形態において、異常検知装置10は、更新情報保存実行部74、更新情報抽出部76及び基準情報更新部78を備える。更新情報保存実行部74、更新情報抽出部76及び基準情報更新部78は、プロセッサ12がプログラム16を実行することにより実現される。また、メモリ14は、更新情報保存部80を有する。更新情報保存部80は、ストレージに形成される。
【0172】
更新情報保存実行部74は、更新情報を更新情報保存部80に保存する機能を有する。更新情報は、振動情報取得部22で取得された振動情報を位置情報取得部20で取得された位置情報が表す走行位置に関連付けた情報である。更新情報保存部80には、更新情報が保存される。更新情報は、「変更情報」の一例である。この更新情報保存部80に保存される更新情報は、車両200が過去に走行した経路に関する情報である。
【0173】
更新情報抽出部76は、更新情報保存部80に保存された更新情報を抽出する機能を有する。基準情報更新部78は、更新情報に基づいて基準情報を変更する機能を有する。この基準情報更新部78は、より具体的には、基準情報を更新情報に置き換えて更新する機能を有する。更新情報抽出部76は、「変更情報抽出部」の一例であり、基準情報更新部78は、「基準情報変更部」の一例である。
【0174】
図20は、更新情報保存部80に更新情報を保存する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図20には、更新情報保存部80に更新情報を保存する処理の流れを示すステップS31~ステップS32が示されている。
【0175】
ステップS31では、位置情報取得部20が、車両200の走行位置に応じて位置情報受信器202から出力された位置情報を取得する。また、ステップS31では、振動情報取得部22が、車両200に生じた車両振動に応じて振動センサ204から出力された振動情報を取得する。
【0176】
この振動情報取得部22で取得される振動情報は、より具体的には、位置情報取得部20で位置情報が取得されたときの走行位置で振動センサ204から出力された情報である。つまり、振動情報取得部22で取得される振動情報は、位置情報取得部20で取得される位置情報と同じ走行位置で取得された情報である。
【0177】
ステップS32では、更新情報実行部が、更新情報を更新情報保存部80に保存させる。この更新情報は、ステップS31で取得された振動情報を、同じくステップS31で取得された位置情報が表す走行位置に関連付けた情報である。
【0178】
このステップS31~ステップS32は、繰り返し実行される。このようにして、ステップS31~ステップS32が繰り返し実行されることにより、振動情報取得部22及び位置情報取得部20で振動情報及び位置情報が取得される毎に、更新情報が更新情報保存部80に保存される。
【0179】
図21は、基準情報更新部78によって基準情報を更新情報に更新する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図21には、基準情報更新部78によって基準情報を更新情報に更新する処理の流れを示すステップS41~ステップS44が示されている。
【0180】
ステップS41~ステップS44は、例えば、ステップS31で位置情報が取得される毎に実行される。このステップS41~ステップS44は、ステップS31で取得された位置情報が表す走行位置について基準情報を更新する処理である。
【0181】
ステップS41では、更新情報抽出部76が、更新情報保存部80に保存された最新の更新情報を抽出する。この最新の更新情報は、ステップS31で取得された位置情報が表す走行位置について保存された情報である。
【0182】
ステップS42では、基準情報更新部78が、更新情報が更新されたか否かを判断する。このとき、基準情報更新部78は、ステップS31で取得された位置情報が表す走行位置に対応して基準情報記憶部30に記憶されている基準情報を抽出し、この基準情報と最新の更新情報とを比較する。
【0183】
そして、この基準情報記憶部30から抽出された基準情報と更新情報抽出部76で抽出された最新の更新情報とが同じである場合、基準情報更新部78は、更新情報が更新されていないと判断する。更新情報が更新されていない場合(ステップS42:NO)、基準情報を更新せずに、処理を終了する。
【0184】
一方、上述の基準情報記憶部30から抽出された基準情報と更新情報抽出部76で抽出された最新の更新情報とが異なる場合、基準情報更新部78は、更新情報が更新されたと判断する。更新情報が更新された場合(ステップS42:YES)、ステップS43に移行する。
【0185】
ステップS43では、基準情報更新部78が、ステップS31で取得された位置情報が表す走行位置と同じ走行位置について更新情報保存部80に保存された複数の更新情報を統計処理する。この複数の更新情報には、ステップS41で抽出された最新の更新情報と、過去に保存された過去の更新情報とが含まれる。
【0186】
そして、基準情報更新部78は、この複数の更新情報を統計処理し、基準情報を更新するための更新情報を決定する。このときの統計処理には、例えば、平均、二乗平均又は重み付け平均など種々の手法が用いられる。
【0187】
ステップS44では、基準情報更新部78が、基準情報記憶部30に記憶されている基準情報を、ステップS43で決定した更新情報に置き換えて更新する。このようにして、ステップS41~ステップS44が実行されることにより、基準情報記憶部30に記憶されている基準情報が更新される。
【0188】
この第十二実施形態によれば、例えば、道路の路面形状等が変化することにより同じ走行位置で取得される振動情報が変化する場合でも、道路の路面形状等の変化に追従して基準情報が更新される。したがって、この基準情報に基づいて異常を適切に検知できるので、異常の誤検知を抑制できる。
【0189】
なお、上述の第二乃至第十一実施形態に係る異常検知装置10に、第十二実施形態における機能、すなわち更新情報を基準情報に置き換えて更新する機能が追加されてもよい。この更新情報を基準情報に置き換えて更新する機能は、後述する第十三乃至第十六実施形態に係る異常検知装置10に追加されてもよい。
【0190】
[十三実施形態]
次に、本願の開示する技術の第十三実施形態を説明する。
【0191】
図22は、第十三実施形態に係る異常検知装置10を備える異常検知システムSのブロック図である。図22に示されるように、第十三実施形態では、第十二実施形態に対し、異常検知装置10の構成が次のように異なっている。
【0192】
すなわち、第十三実施形態において、異常検知装置10が搭載された車両200は、通信器210を備える。通信器210は、例えばインターネット等のネットワーク212を介して管理装置214と通信可能に接続される。
【0193】
管理装置214は、他車両222で取得された他車両情報を保存している。他車両情報は、他車両222で取得された振動情報を他車両222の走行位置に関連付けて保存した情報である。この管理装置214には、他車両222が過去に走行した経路について他車両222の走行位置毎の他車両情報が保存される。他車両222は、車両200が走行する走行経路を車両200よりも先に走行する先行車又は車両200が走行する走行経路を過去に走行したことがある車両である。
【0194】
この第十三実施形態において、異常検知装置10は、他車両情報取得部72、他車両情報保存実行部82、他車両情報抽出部84及び基準情報更新部78を備える。他車両情報取得部72、他車両情報保存実行部82、他車両情報抽出部84及び基準情報更新部78は、プロセッサ12がプログラム16を実行することにより実現される。また、メモリ14は、他車両情報保存部86を有する。他車両情報保存部86は、ストレージに形成される。
【0195】
他車両情報取得部72は、管理装置214から送信された他車両情報を取得する機能を有する。他車両情報保存実行部82は、他車両情報を他車両情報保存部86に保存する機能を有する。他車両情報保存部86には、他車両情報が保存される。他車両情報は、「変更情報」の一例である。
【0196】
他車両情報抽出部84は、他車両情報保存部86に保存された他車両情報を抽出する機能を有する。基準情報更新部78は、他車両情報に基づいて基準情報を変更する機能を有する。この基準情報更新部78は、より具体的には、基準情報を他車両情報に置き換えて更新する機能を有する。他車両情報抽出部84は、「変更情報抽出部」の一例であり、基準情報更新部78は、「基準情報変更部」の一例である。
【0197】
そして、この第十三実施形態では、他車両222が走行した走行経路について他車両222の走行位置毎に取得された他車両情報が管理装置214から送信される。他車両情報取得部72は、管理装置214から送信された他車両情報を取得し、他車両情報実行部は、他車両情報を他車両情報保存部86に保存させる。これにより、他車両情報保存部86には、他車両222が走行した走行経路について他車両222の走行位置毎の他車両情報が保存される。
【0198】
また、他車両情報保存部86に他車両情報が保存されると、他車両222の走行位置毎に基準情報の更新処理が実行される。すなわち、他車両情報抽出部84は、他車両情報保存部86に保存された最新の他車両情報を抽出する。そして、基準情報更新部78が、他車両情報が更新されたか否かを判断する。このとき、基準情報更新部78は、基準情報記憶部30に記憶されている基準情報を抽出し、この基準情報と最新の他車両情報とを比較する。
【0199】
そして、この基準情報記憶部30から抽出された基準情報と他車両情報抽出部84で抽出された最新の他車両情報とが同じである場合、基準情報更新部78は、他車両情報が更新されていないと判断する。一方、上述の基準情報記憶部30から抽出された基準情報と他車両情報抽出部84で抽出された最新の他車両情報とが異なる場合、基準情報更新部78は、他車両情報が更新されたと判断する。
【0200】
続いて、基準情報更新部78は、他車両情報保存部86に保存された複数の他車両情報を統計処理する。この複数の他車両情報には、最新の他車両情報と、過去に取得された過去の他車両情報とが含まれる。この最新の他車両情報と、過去の他車両情報とは、他車両222の同じ走行位置で取得された情報である。基準情報更新部78は、この他車両222の同じ走行位置で取得された複数の他車両情報を統計処理し、基準情報を更新するための他車両情報を決定する。
【0201】
そして、基準情報更新部78は、基準情報記憶部30に記憶されている基準情報を、上述の決定した他車両情報に置き換えて更新する。このようにして、基準情報記憶部30に記憶されている基準情報が更新される。
【0202】
図23は、他車両222の振動情報及び位置情報から得られた他車両情報に基づいて車両200の基準情報が更新される一例を説明する図である。図23に示される例では、車両200に対する先行車である他車両222は、走行経路を走行中に工事による段差を乗り越えることにより振動を検知している。このとき検知した振動情報及び位置情報は、管理装置214に送信される。
【0203】
管理装置214では、他車両222で取得された振動情報が他車両222の走行位置に関連付けて他車両情報として保存される。そして、管理装置214から車両200に他車両情報が送信され、この他車両情報に基づいて車両200の基準情報が更新される。
【0204】
この第十三実施形態によれば、例えば、道路の路面形状等が変化することにより同じ走行位置で取得される振動情報が変化する場合でも、道路の路面形状等の変化に追従して基準情報が更新される。したがって、この基準情報に基づいて異常を適切に検知できるので、異常の誤検知を抑制できる。
【0205】
なお、上述の第二乃至第十一実施形態に係る異常検知装置10に、第十三実施形態における機能、すなわち他車両情報を基準情報に置き換えて更新する機能が追加されてもよい。また、この他車両情報を基準情報に置き換えて更新する機能は、後述する第十四乃至第十六実施形態に係る異常検知装置10に追加されてもよい。
【0206】
[十四実施形態]
次に、本願の開示する技術の第十四実施形態を説明する。
【0207】
図24は、第十四実施形態に係る異常検知装置10を備える異常検知システムSのブロック図である。図24に示されるように、第十四実施形態では、第十二実施形態に対し、異常検知システムSの構成が次のように異なっている。
【0208】
すなわち、第十四実施形態において、異常検知システムSは、通信器210を備える。通信器210は、例えばインターネット等のネットワーク212を介してクラウド224と通信可能に接続される。
【0209】
クラウド224は、変更情報を保有している。変更情報は、例えば、車両200が走行する走行経路の工事情報又は気象情報等である。この変更情報は、車両200が走行する走行経路の走行位置や時刻と関連付けられた情報である。
【0210】
この第十四実施形態において、異常検知装置10は、変更情報取得部88、変更情報保存実行部90、変更情報抽出部92及び基準情報変更部94を備える。変更情報取得部88、変更情報保存実行部90、変更情報抽出部92及び基準情報変更部94は、プロセッサ12がプログラム16を実行することにより実現される。また、メモリ14は、変更情報保存部96を有する。変更情報保存部96は、ストレージに形成される。
【0211】
変更情報取得部88は、クラウド224から送信された変更情報を取得する機能を有する。変更情報保存実行部90は、変更情報を変更情報保存部96に保存する機能を有する。変更情報保存部96には、変更情報が保存される。変更情報抽出部92は、変更情報保存部96に保存された変更情報を抽出する機能を有する。基準情報変更部94は、変更情報に基づいて基準情報を変更する機能を有する。
【0212】
そして、この第十四実施形態では、変更情報がクラウド224から送信される。クラウド224は、車両200からの要求に応じて変更情報を送信する管理装置を有していてもよく、また、定期的に変更情報を送信する管理装置を有していてもよい。また、クラウド224は、変更情報を用いて車両200に対して特定の走行位置や特定の時間に変更情報の送信が必要であるか否かを判定し、必要であると判定した場合に変更情報を送信する管理装置を有していてもよい。
【0213】
変更情報取得部88は、クラウド224から送信された変更情報を取得し、変更情報保存実行部90は、変更情報を変更情報保存部96に保存させる。これにより、変更情報保存部96には、車両200が走行する走行経路の走行位置に関連付けられた変更情報が保存される。
【0214】
また、変更情報保存部96に変更情報が保存されると、変更情報に対応する走行位置について、基準情報の変更処理が実行される。すなわち、変更情報抽出部92は、変更情報保存部96に保存された変更情報を抽出する。そして、基準情報変更部94は、基準情報記憶部30に記憶されている基準情報を変更情報に基づいて変更する。
【0215】
この第十四実施形態によれば、例えば、工事の有無又は気象の変化等により振動情報が変化する場合でも、工事の有無又は気象の変化等に対応して基準情報が変更される。したがって、この基準情報に基づいて異常を適切に検知できるので、異常の誤検知を抑制できる。
【0216】
なお、クラウド224から送信される変更情報が例えば工事情報である場合、この変更情報には、工事が行われる時間が含まれてもよい。そして、車両200が工事区間を走行する際に、工事時間外である場合には、基準情報の変更が行われなくてもよい。
【0217】
また、上述の第十四実施形態において、クラウド224が保有する変更情報は、例えば、他車両222及び車両200の過去の走行時に取得された振動情報及び位置情報を集計したビッグデータを用いて統計処理又は予測処理された情報でもよい。この変更情報は、車両200に関する振動情報を車両200の走行位置に関連付けた情報である。そして、基準情報変更部94は、基準情報記憶部30に記憶されている基準情報を変更情報に置き換えて変更してもよい。
【0218】
このように構成されていると、例えば、道路の路面形状等が変化することにより同じ走行位置で取得される振動情報が変化する場合でも、道路の路面形状等の変化に追従して基準情報が更新される。したがって、この基準情報に基づいて異常を適切に検知できるので、異常の誤検知を抑制できる。
【0219】
また、上述の第二乃至第十三実施形態に係る異常検知装置10に、第十四実施形態における機能、すなわち変更情報に基づいて基準情報を変更する機能が追加されてもよい。また、この変更情報に基づいて基準情報を変更する機能は、後述する第十五乃至第十六実施形態に係る異常検知装置10に追加されてもよい。
【0220】
また、第十四実施形態において、クラウド224以外から送信された変更情報が変更情報取得部88で取得され、この変更情報に基づいて基準情報が基準情報変更部94で変更されてもよい。
【0221】
[十五実施形態]
次に、本願の開示する技術の第十五実施形態を説明する。
【0222】
図25は、第十五実施形態に係る異常検知装置10を備える異常検知システムSのブロック図である。図25に示されるように、第十五実施形態では、第一実施形態に対し、異常検知装置10の構成が次のように異なっている。
【0223】
すなわち、第十五実施形態において、異常検知装置10は、基準情報予測部98を備える。基準情報予測部98は、予測モデル102を用いて位置情報及び振動情報から基準情報を予測する機能を有する。基準情報予測部98は、プロセッサ12がプログラム16を実行することにより実現される。また、メモリ14は、予測モデル記憶部100を有する。予測モデル記憶部100は、ストレージに形成される。この予測モデル記憶部100には、予測モデル102が記憶されている。
【0224】
図26は、予測モデル102の一例を示す図である。予測モデル102は、特に限定されないが、第十五実施形態では、ディープラーニングモデルを予測モデル102の一例とする。予測モデル102は、ディープラーニングモデル以外に統計モデル等でもよい。
【0225】
予測モデル102は、入力層104と、中間層106と、出力層108を有する。予測モデル102は、予め機械学習されることで構築されている。予めの機械学習では、位置情報及び振動情報に対応する数値と、基準振動に対応する数値との組が、教師データとして用いられる。この予測モデル102は、位置情報及び振動情報に対応する数値が入力層104に入力された場合に、走行位置及びこの走行位置における基準振動に対応する数値を予測して出力層108から出力するように構成されている。予測モデル102の出力層108から出力された走行位置及びこの走行位置における基準振動に対応する数値は、走行位置に関連付けられた基準振動を表す基準情報に相当する。
【0226】
そして、この第十五実施形態では、位置情報取得部20が、車両200の走行位置に応じて位置情報受信器202から出力された位置情報を取得する。また、振動情報取得部22が、車両200に生じた車両振動に応じて振動センサ204から出力された振動情報を取得する。
【0227】
この振動情報取得部22で取得される振動情報は、より具体的には、位置情報取得部20で位置情報が取得されたときの走行位置で振動センサ204から出力された情報である。つまり、振動情報取得部22で取得される振動情報は、位置情報取得部20で取得される位置情報と同じ走行位置で取得された情報である。
【0228】
そして、基準情報予測部98は、予測モデル102を用いて位置情報及び振動情報から基準情報を予測する。この基準情報予測部98で予測された基準情報は、その後、異常判定部26で用いられる。つまり、予測された基準情報が表す走行位置について振動情報と予測された基準情報とが比較されることにより異常が判定される。
【0229】
この第十五実施形態によれば、例えば、道路の路面形状等が変化することにより同じ走行位置で取得される振動情報が変化する場合でも、予測モデル102によって基準情報が予測される。したがって、この予測された基準情報に基づいて異常を適切に検知できるので、異常の誤検知を抑制できる。
【0230】
ここで、図27は、予測モデル102の変形例を示す図である。図27に示される変形例において、予測モデル102は、位置情報、振動情報及び他の情報に対応する数値が入力層104に入力された場合に、走行位置及びこの走行位置における基準振動に対応する数値を予測して出力層108から出力するように構成されている。
【0231】
予測モデル102の入力層104に入力される他の情報は、例えば、車両200の乗員に関する乗員情報、車両200に関する車両情報、車両200の車体に関する車体情報、車両200が走行する走行経路の気象に関する気象情報、車両200のタイヤに関するタイヤ情報、振動センサ204の振動センサに関する振動センサ情報、振動センサ204の車両200への搭載に関する振動センサ搭載情報又は路面情報等である。
【0232】
乗員情報は、乗員の数又は乗車位置等の情報である。車両情報は、走行速度、加速度、減速度、旋回速度又は旋回半径等の情報である。車体情報は、車体のサイズ、型式又は年式、駆動装置の型式や取り換え有無等の情報である。気象情報は、天候、雨量又は風速等の情報である。タイヤ情報は、タイヤのタイプ、サイズ又は経年劣化等の情報である。振動センサ情報は、センサ型式、振動検知方法等の情報である。振動センサ搭載情報は、車両200への振動センサ搭載走行位置情報、搭載個数、設置した土台の材質、設置に使用した接着剤の材質や経年劣化係数や取り換え有無に関する情報等である。路面状態は、路面の材質や路面の水分量や路面の付着物や傾斜角等の情報である。この予測モデル102の入力層104に入力される他の情報は、車両200に振動を生じさせる影響因子に関する情報であれば、どのような情報でもよい。
【0233】
このように、予測モデル102の入力層104に他の情報が追加される場合には、より多くの情報に基づいて基準情報を予測できるので、基準情報の予測精度を向上させることができる。これにより、精度の高い基準情報に基づいて異常を検知できるので、異常検知精度を向上させることができる。
【0234】
なお、上述の第二乃至第十四実施形態に係る異常検知装置10に、第十五実施形態における機能、すなわち予測モデル102を用いて基準情報を予測する機能が追加されてもよい。また、この予測モデル102を用いて基準情報を予測する機能は、後述する第十六実施形態に係る異常検知装置10に追加されてもよい。
【0235】
[十六実施形態]
次に、本願の開示する技術の第十六実施形態を説明する。
【0236】
図28は、第十六実施形態に係る異常検知装置10を備える異常検知システムSのブロック図である。図28に示されるように、第十六実施形態では、第一実施形態に対し、異常検知システムSの構成が次のように異なっている。
【0237】
すなわち、第十六実施形態において、異常検知システムSは、複数の振動センサ204を備える。複数の振動センサ204は、車両200の複数の箇所に設置されている。振動センサ204は、この振動センサ204が設置された箇所に生じた車両振動を検出し、この車両振動に応じた振動情報を出力するように構成されている。
【0238】
振動情報取得部22は、複数の振動センサ204から出力された振動情報を取得する機能を有する。異常判定部26は、位置情報取得部20で取得された位置情報が表す走行位置について複数の振動情報と基準情報とを比較した比較結果に基づいて異常を判定する機能を有する。例えば、この異常判定部26は、複数の振動情報と基準情報とを比較した結果、複数の振動情報のうち少なくとも一つの振動情報に異常な振動を検出した結果が含まれている場合には、異常と判定する機能を有する。
【0239】
また、この第十五実施形態において、異常検知装置10は、振動発生源推定部110、表示情報生成部112及び表示情報出力部114を有する。振動発生源推定部110は、異常判定部26で異常と判定された場合に、複数の振動情報に基づいて車両200における振動発生源の位置を推定する機能を有する。表示情報生成部112は、振動発生源の位置を表示器206に表示させる表示情報を生成する機能を有する。表示情報出力部114は、表示情報を表示器206に出力する機能を有する。
【0240】
そして、この第十六実施形態では、異常判定部26において、複数の振動情報と基準情報とが比較された結果、複数の振動情報のうち少なくとも一つの振動情報に異常な振動を検出した結果が含まれている場合には、異常と判定される。また、振動発生源推定部110において、複数の振動情報に基づいて車両200における振動発生源の位置が推定される。
【0241】
ここで、図29は、車両200の複数の箇所に配置された複数の振動センサ204の受信強度と振動発生源226との関係の一例を示す図である。図29は、車両200を模式的な平面図で示している。図29では、複数の振動センサ204による受信強度の値が同じとなる地点が等値線によって示されている。
【0242】
図29に示される例では、振動センサAと振動センサBとの間の中央に振動発生源226が位置しており、振動センサCは振動センサA、Bよりも振動発生源から遠い位置にある。この場合、振動センサAと振動センサBの受信強度が振動センサCの受信強度よりも大きくなり、かつ、振動センサAの受信強度と振動センサBの受信強度とが同じになる。
【0243】
この場合に、振動発生源推定部110は、例えば、振動センサAと振動センサBとの間の中央に振動発生源226が位置すると推定する。また、表示情報生成部112は、振動発生源226の位置を表示器206に表示させる表示情報を生成し、表示情報出力部114は、表示情報を表示器206に出力する。
【0244】
図30は、表示器206に表示された表示情報228の一例を示す図である。図30に示される例は、図29に示される例に基づいて生成された表示情報228を表示器206にヒートマップ表示した例である。この図30に示される例では、振動発生の確率が高い箇所ほど表示情報228が濃い色で表示されており、これにより、表示情報228に振動発生源226の位置が示されている。なお、表示器206に表示される表示情報228は、ヒートマップ表示以外に、例えば、コンター表示又はメッシュ表示等のその他の表示でもよい。
【0245】
この第十六実施形態によれば、車両200の複数の箇所に配置された複数の振動センサ204からの振動情報に基づいて異常判定部26で異常が判定される。したがって、例えば、車両200の一箇所に配置された振動センサ204からの振動情報に基づいて異常を判定する場合に比して、異常検知の感度を高めることができるので、異常の検知精度を向上させることができる。
【0246】
また、振動発生源推定部110では、複数の振動情報に基づいて車両200における振動発生源226の位置が推定され、この振動発生源推定部110で推定された振動発生源226の位置に関する表示情報228が表示器206に表示される。これにより、車両200の運転者に振動発生源226の位置を適切に伝えることができる。
【0247】
なお、上述の第二乃至第十五実施形態に係る異常検知装置10に、第十六実施形態における第一の機能、すなわち複数の振動情報に基づいて異常を判定する機能が追加されてもよい。また、上述の第二乃至第十五実施形態に係る異常検知装置10に、第十六実施形態における第二及び第三の機能、すなわち振動発生源を推定する機能及び表示情報を生成する機能が追加されてもよい。
【0248】
また、第十六実施形態において、振動発生源推定部110は、振動発生源226の位置を推定する機能を有するが、振動発生源226の種類を推定する機能を有していてもよい。また、振動発生源推定部110は、振動発生源226の位置及び種類を推定する機能を有していてもよい。
【0249】
また、振動発生源推定部110は、複数の振動情報に基づいて振動発生源226を推定する機能を有するが、一つの振動センサ204から出力された振動情報に基づいて振動発生源226を推定する機能を有していてもよい。
【0250】
また、振動発生源推定部110は、複数の振動情報又は一つの振動情報の周波数解析結果に基づいて振動発生源226の位置及び種類の少なくとも一方を推定する機能を有していてもよい。
【0251】
また、表示情報出力部114は、車両200に装備された表示器206に表示情報を出力するが、例えば、インターネット等のネットワーク212を介して異常検知装置10と接続された管理装置等に表示情報を出力してもよい。
【0252】
また、複数の振動センサ204から出力された複数の振動情報の全てに異常な振動を検出した結果が含まれる場合、異常判定部26は、車両200に大きな振動が生じたとする判定結果を出力してもよい。
【0253】
また、上記第一乃至第十六実施形態において開示された複数の技術のうち組み合わせ可能な技術は、適宜組み合わされてもよい。また、複数の技術のうち組み合わせ可能な技術が適宜組み合わされることによって、複数の機能が重複する場合には、複数の機能のいずれかが種々の条件等に基づいて優先されてもよい。
【0254】
以上、本願の開示する技術の一例について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0255】
10…異常検知装置、20…位置情報取得部、22…振動情報取得部、24…基準情報取得部、26…異常判定部、28…異常検知情報出力部、30…基準情報記憶部、32…算出部、34…判定部、50…車両情報取得部、52…環境情報取得部、60…経路情報取得部、62…参照情報保存実行部、64…参照情報抽出部、66…基準情報生成部、68…参照情報保存部、70…要求情報出力部、72…他車両情報取得部、74…更新情報保存実行部、76…更新情報抽出部、78…基準情報更新部、80…更新情報保存部、82…他車両情報保存実行部、84…他車両情報抽出部、86…他車両情報保存部、88…変更情報取得部、90…変更情報保存実行部、92…変更情報抽出部、94…基準情報変更部、96…変更情報保存部、98…基準情報予測部、100…予測モデル記憶部、102…予測モデル、110…振動発生源推定部、112…表示情報生成部、114…表示情報出力部、200…車両、202…位置情報受信器、204…振動センサ、206…表示器、210…通信器、212…ネットワーク、214…管理装置、218…環境センサ、220…ナビゲーションシステム、222…他車両、224…クラウド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図19
図20
図21
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図24
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図26
図27
図28
図29
図30