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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/04 20230101AFI20231212BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20231212BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20231212BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20231212BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
H01L27/04 E
H01L23/12 501Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020031813
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021136340
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】柴田 恭佑
(72)【発明者】
【氏名】松山 徹
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-220627(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0238933(US,A1)
【文献】特開2003-297961(JP,A)
【文献】特開2001-203470(JP,A)
【文献】特開2019-054181(JP,A)
【文献】特表2014-528650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/822
H01L23/12-23/15
H01L25/00-25/07
H01L25/10-25/11
H01L25/16-25/18
H01L27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPUと、
前記CPUからの情報に基づいて高速通信を行う第1高速通信コントローラーと、
前記CPUからの情報に基づいて高速通信を行う第2高速通信コントローラーと、
前記第1高速通信コントローラーに第1信号を入力するための第1高速通信端子を含む第1高速通信端子群と、
前記第2高速通信コントローラーに第2信号を入力するための第2高速通信端子を含む第2高速通信端子群と、
前記第1高速通信端子群及び前記第2高速通信端子群が設けられた端子実装面と、
を備え、
前記端子実装面は、第1辺と、前記第1辺と向かい合って位置する第2辺とを有し、
前記第1高速通信端子は、前記第1辺と隣り合って位置し、
前記第2高速通信端子は、前記第2辺と隣り合って位置し、
前記第1高速通信端子群と前記第1辺との最短距離は、前記第2高速通信端子群と前記第1辺との最短距離よりも短く、
前記第2高速通信端子群と前記第2辺との最短距離は、前記第1高速通信端子群と前記第2辺との最短距離よりも短い、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1高速通信端子群と前記第2高速通信端子群とは、前記端子実装面において、隣り合って位置していない、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
電圧値が第1電圧で一定に保持される第1定電圧端子を備え、
前記第1定電圧端子は、前記端子実装面に設けられ、前記第1高速通信端子群と前記第2高速通信端子群との間に位置している、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
メモリーコントローラーと、
外部メモリー群と前記メモリーコントローラーとの間で伝搬する第3信号を入力するための複数のメモリー操作端子を含むメモリー操作端子群を備え、
前記メモリー操作端子群は、前記端子実装面に設けられ、
前記端子実装面は、前記第1辺及び前記第2辺の双方と交差する第3辺を有し、
前記複数のメモリー操作端子の内の第1メモリー操作端子は、前記第1辺と隣り合って位置し、
前記複数のメモリー操作端子の内の第2メモリー操作端子は、前記第2辺と隣り合って位置し、
前記複数のメモリー操作端子の内の第3メモリー操作端子は、前記第3辺と隣り合って位置している、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
電圧値が第2電圧で一定に保持される第2定電圧端子を備え、
前記第2定電圧端子は、前記端子実装面に設けられ、前記第1高速通信端子群と前記メモリー操作端子群との間に位置している、
ことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
電圧値が第3電圧で一定に保持される第3定電圧端子を備え、
前記第3定電圧端子は、前記端子実装面に設けられ、前記第2高速通信端子群と前記メモリー操作端子群との間に位置している、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1高速通信コントローラーは、USB通信を制御するUSB通信コントローラーを含み、
前記第1高速通信端子群には、前記第1信号として前記USB通信を行うためのUSB通信信号が入力される、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2高速通信コントローラーは、PCIe通信を制御するPCIe通信コントローラーを含み、
前記第2高速通信端子群には、前記第2信号として前記PCIe通信を行うためのPCIe通信信号が入力される、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記CPUは、
複数のコアを有し、
64ビット以上の命令セットを実装するマイクロアーキテクチャを含み、
1.6GHz以上の周波数で駆動する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記CPUは、内部に浮動小数点演算処理部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の高集積化及び高機能化が進むにつれ、多くの機能が1つの半導体装置内に内蔵されたSoC(System on Chip)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の多くの機能を備えた半導体装置が普及している。
【0003】
このような多くの機能を備えた半導体装置では、機能に応じた信号を入出力するための多くの端子が必要となり、その結果、半導体装置が備える端子数が増加している。そして、端子数の増加に伴い、半導体装置が備える端子を狭ピッチで配置させる必要があった。しかしながら、半導体装置において狭ピッチで端子を配列させた場合、当該端子間のエレキクロストーク等の影響が生じ、その結果、半導体装置に誤作動が生じてしまうおそれがあった。また、半導体装置に誤作動が生じないように端子を配置しようとした場合、当該端子間の距離の確保等を行う必要となり、半導体装置の小型化が困難であるといった弊害が生じていた。すなわち、多くの機能を備えた半導体装置の信頼性を向上させるといった観点において各種の弊害が生じていた。
【0004】
係る弊害に対して、特許文献1に記載されているような、半導体装置が有する機能毎にグループ化し、半導体装置の内部に配置することで、半導体装置の信頼性を向上させる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-157098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、半導体装置に求められる機能の増加に伴い、半導体装置が備える端子数は増加し続けている。そのため、多くの機能を備えた半導体装置の信頼性を向上させるといった観点において、特許文献1に記載の発明では、依然として改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体装置の一態様は、
CPUと、
前記CPUからの情報に基づいて高速通信を行う第1高速通信コントローラーと、
前記CPUからの情報に基づいて高速通信を行う第2高速通信コントローラーと、
前記第1高速通信コントローラーに第1信号を入力するための第1高速通信端子を含む第1高速通信端子群と、
前記第2高速通信コントローラーに第2信号を入力するための第2高速通信端子を含む第2高速通信端子群と、
前記第1高速通信端子群及び前記第2高速通信端子群が設けられた端子実装面と、
を備え、
前記端子実装面は、第1辺と、前記第1辺と向かい合って位置する第2辺とを有し、
前記第1高速通信端子は、前記第1辺と隣り合って位置し、
前記第2高速通信端子は、前記第2辺と隣り合って位置し、
前記第1高速通信端子群と前記第1辺との最短距離は、前記第2高速通信端子群と前記
第1辺との最短距離よりも短く、
前記第2高速通信端子群と前記第2辺との最短距離は、前記第1高速通信端子群と前記第2辺との最短距離よりも短い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】半導体装置の機能構成を示す図である。
図2】半導体装置の断面構造を示す図である。
図3】端子実装面に設けられている複数の端子の配置の一例を示す図である。
図4】半導体装置における複数の端子で伝搬する信号を各端子に割り当てた場合の一例を示す図である。
図5】ICチップにおける回路配置の一例を示す図である。
図6】端子実装面に設けられる複数の端子の配置に基づいて実装領域、及び端子実装領域を定める場合について説明するための図である。
図7】第2実施形態の半導体装置における複数の端子で伝搬する信号を各端子に割り当てた場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1.第1実施形態
1.1 半導体装置の機能構成
図1は、半導体装置1の機能構成を示す図である。図1に示すように半導体装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、メモリーコントローラー20、及び通信コントローラー30を備える。そして、CPU10と、メモリーコントローラー20及び通信コントローラー30とは、バス配線11を介して通信可能に接続されている。また、半導体装置1には、電源電圧としての電圧VDDと、半導体装置1の基準電位であって例えばグラウンド電位の電圧VSSとが入力される。
【0011】
CPU10は、半導体装置1の全体の制御を担う。具体的には、CPU10は、メモリーコントローラー20を制御する制御信号を出力することで、外部メモリー群2への情報の書込み、及び外部メモリー群2の保持されている情報の読み出しを制御する。
【0012】
メモリーコントローラー20は、CPU10から入力される制御信号に基づいて、半導体装置1の外部に設けられた外部メモリー群2に保持されている情報の読み出し、及び外部メモリー群2への情報の書込みを制御するためのメモリー制御信号MCを出力する。
【0013】
具体的には、外部メモリー群2は、情報を保持する複数のメモリセル回路を備えたDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)を含む。そして、メモリーコントローラー20にCPU10から外部メモリー群2に保持されている情報を読み出すための制御信号が入力された場合、メモリーコントローラー20は、入力される制御信号に応じて、当該情報が保持されているメモリセル回路にアクセスするためのメモリー制御信号MCを生成し、外部メモリー群2に出力する。すなわち、メモリーコントローラー20は、メモリー制御信号MCを用いて、外部メモリー群2に含まれる対応するメモリセル回路にアクセスするとともに、当該メモリセル回路に保持されている情報を読み出す。そして、メモリーコントローラー20は、外部メモリー群2から読み出した情報を、CPU10に出力する。
【0014】
また、メモリーコントローラー20にCPU10から外部メモリー群2に新たな情報を保持させるための制御信号が入力された場合、メモリーコントローラー20は、入力される制御信号に応じて、当該情報を保持するためのメモリセル回路にアクセスするためのメモリー制御信号MCを生成し、外部メモリー群2に出力する。すなわち、メモリーコントローラー20は、メモリー制御信号MCを用いて、外部メモリー群2に含まれる対応するメモリセル回路にアクセスするとともに、当該メモリセル回路にCPU10から供給される情報を保持させる。
【0015】
ここで、半導体装置1と外部メモリー群2との間で伝搬するメモリー制御信号MCは、外部メモリー群2に含まれるメモリセル回路の数や外部メモリー群に保持される情報量等に応じた複数の信号を含んでいてもよい。すなわち、メモリー制御信号MCは、半導体装置1と外部メモリー群2との間で通信可能に接続された複数の配線及び端子を介して伝搬し、半導体装置1は、メモリー制御信号MCを入力又は出力するための複数の端子を備える。
【0016】
また、CPU10は、メモリーコントローラー20を介して外部メモリー群2から読み出された情報に基づく処理を実行し、実行した処理結果に応じた信号を、通信コントローラー30を介して、半導体装置1の外部に設けられた外部回路3に出力する。
【0017】
通信コントローラー30は、高速通信コントローラー31と低速通信コントローラー32とを含む。
【0018】
低速通信コントローラー32は、数kHz~数MHzの周波数の信号を用いて外部回路3との間でデータ転送が可能な通信方式に準拠した信号を生成するための回路を含む。具体的には、低速通信コントローラー32は、数100Hz~数100kHZの周波数でのデータ転送が可能なUART(Universal Asynchronous Receiver / Transmitter)通信の規格に準拠して通信を制御するUART通信コントローラー32aと、数100kHz~数MHzの周波数でのデータ転送が可能なI2C(Inter-Integrated Circuit)通信の規格に準拠して通信を制御するI2C通信コントローラー32bとを含む。
【0019】
UART通信コントローラー32aは、CPU10から入力された信号を、UART通信の規格に準拠した低速通信信号LC1に変換し、半導体装置1の外部に設けられた外部回路3に出力する。また、I2C通信コントローラー32bは、CPU10から入力された信号を、I2C通信の規格に準拠した低速通信信号LC2に変換し、半導体装置1の外部に設けられた外部回路3に出力する。
【0020】
なお、半導体装置1が備える低速通信コントローラー32は、数kHz~数MHzの周波数でデータ転送が可能な通信方式であればよく、UART通信コントローラー32a、及びI2C通信コントローラー32bに限るものでない。さらに、半導体装置1が備える低速通信コントローラー32は、2つ以上のUART通信コントローラー32aを含んでもよく、2つ以上のI2C通信コントローラー32bを含んでもよい。
【0021】
ここで、半導体装置1と外部回路3との間で伝搬する低速通信信号LC1,LC2は、準拠する通信方式の仕様に応じた複数の信号を含んでもよい。すなわち、低速通信信号LC1,LC2は、半導体装置1と外部回路3との間で通信可能に接続された複数の配線及び端子を介して伝搬し、半導体装置1は、低速通信信号LC1,LC2のそれぞれを入力又は出力するための複数の端子を備える。
【0022】
高速通信コントローラー31は、低速通信コントローラー32よりも高い周波数でのデータ転送が可能な通信を制御する。具体的には、高速通信コントローラー31は、CPU
10からの情報に基づいて数MHz以上の周波数の信号を用いて外部回路3との間で高速通信が可能な通信方式に準拠した信号を生成するための回路を含む。具体的には、高速通信コントローラー31は、CPU10からの情報に基づいて12MHz以上の周波数での高速通信を行うUSB(Universal Serial Bus)通信の規格に準拠して通信を制御するUSB通信コントローラー31aと、CPU10からの情報に基づいて数GHz以上の周波数での高速通信を行うPCIe(Peripheral Component Interconnect Express)通信を制御するPCIe通信コントローラー31bとを含む。ここで、CPU10からの情報に基づいて高速通信を行うUSB通信コントローラー31aが第1高速通信コントローラーの一例であり、CPU10からの情報に基づいて高速通信を行うPCIe通信コントローラー31bが第2高速通信コントローラーの一例である。
【0023】
USB通信コントローラー31aは、CPU10から入力された信号を、USB通信の規格に準拠した高速通信信号HC1に変換し、半導体装置1の外部に設けられた外部回路3に出力する。また、PCIe通信コントローラー31bは、CPU10から入力された信号を、PCIe通信の規格に準拠した高速通信信号HC2に変換し、半導体装置1の外部に設けられた外部回路3に出力する。
【0024】
なお、半導体装置1が備える高速通信コントローラー31は、数MHz以上の周波数でデータ転送が可能な通信方式であればよく、USB通信コントローラー31a、及びPCIe通信コントローラー31bに限るものではない。さらに、半導体装置1が備える高速通信コントローラー31は、2つ以上のUSB通信コントローラー31aを含んでもよく、2つ以上のPCIe通信コントローラー31bを含んでもよい。
【0025】
ここで、高速通信コントローラー31は、数MHz以上の周波数でデータ転送が可能な通信方式であればよいが、5GHz以上の高い周波数でのデータ転送な可能な通信方式に準拠した通信方式を制御するコントローラーであることが好ましい。換言すれば、高速通信コントローラー31は、5GHz以上の周波数で通信を行うことが好ましい。このような高速通信コントローラー31としては、5GHz以上の周波数でのデータ転送が可能なUSB3.0の通信規格に準拠したUSB通信コントローラー31aや、上述したPCIe通信コントローラー31b等が挙げられる。
【0026】
高速通信コントローラー31におけるデータ転送の周波数が高まることで、高速通信コントローラー31から出力される信号、及び高速通信コントローラー31に入力される信号に含まれる単位時間当たりの情報量が増加し、半導体装置1はより多くの機能を実現することが可能となる。しかしながら、高速通信コントローラー31から出力される通信信号の周波数が高くなると、当該通信信号、及び高速通信コントローラー31の動作に起因して生じるスイッチングノイズ等によるエレキクロストークが生じるおそれが高まる。
【0027】
このような問題に対して、詳細は後述するが、第1施形態における半導体装置1では、半導体装置1と外部機器との間で高速通信を行う高速通信コントローラー31が、通信条件が異なるUSB通信コントローラー31aと、PCIe通信コントローラー31bとを含む複数の通信コントローラーを含む場合であっても、半導体装置1において、各通信コントローラーから出力される通信信号が相互に干渉するおそれを低減することが可能となる。すなわち、高速通信コントローラー31が、5GHz以上の高い周波数で通信を行う場合であっても、高速通信コントローラー31の動作に伴い生じたノイズが、半導体装置1の各回路、及び高速通信コントローラー31に含まれる異なる高速通信回路に影響を及ぼすおそれを低減することができる。
【0028】
ここで、半導体装置1と外部回路3との間で伝搬する高速通信信号HC1,HC2は、準拠する通信方式の仕様に応じた複数の信号を含んでもよい。すなわち、高速通信信号H
C1,HC2は、半導体装置1と外部回路3との間で通信可能に接続された複数の配線及び端子を介して伝搬し、半導体装置1は、高速通信信号HC1,HC2のそれぞれを入力又は出力するための複数の端子を備える。
【0029】
以上のように半導体装置1の全体の制御を担うCPU10は、複数のコアを有し、64ビット以上の命令セットを実装するマイクロアーキテクチャを含み、1.6GHz以上の周波数で駆動してもよい。ここで、上述した性能を満足するCPU10には、例えば、ARM社からリリースされているARMアーキテクチャの内、特にアプリケーション用途に用いられることが想定されているARMv7Aアーキテクチャの機能を承継したプロセッサーであって、具体的には、ARM Cortex-A17以降のプロセッサー等が実装されていてもよい。
【0030】
ARM Cortex-A17は、浮動小数点演算処理部(FPU:Floating Point Unit only)が内部に実装されていることで、浮動小数点演算処理部が外部に実装されていた従来のCPUと比較して、処理を実行する際に経由する回路ブロック数が低減される。したがって、大きなデータを処理する場合における半導体装置1の消費電力を低減しつつ、高速に動作することが可能となる。そのため、ARM Cortex-A17以降のプロセッサーが実装されたCPU10を備えた半導体装置1では、少ない電力でより多くの処理を行いつつ、実装面積を小さくすることができる。そして、本実施形態における半導体装置1では、ARM Cortex-A17以降のプロセッサーが実装されたCPU10を備えることで、多くの機能を実装することが可能になるとともに、多くの機能を有する半導体装置1と外部機器とを接続するための端子が増加した場合であっても、当該端子間における信号の相互干渉を低減することができる。
【0031】
1.2 半導体装置の構造
次に、半導体装置1の構造の一例について説明する。図2は、半導体装置1の断面構造を示す図である。なお、以下の説明では、図示するように互いに直交するX方向、Y方向、及びZ方向を用いて説明する。また、図示したX方向の先端側を+X側、起点側を-X側と称し、Y方向の先端側を+Y側、起点側を-Y側と称し、Z方向の先端側を+Z側、起点側を-Z側と称する場合がある。
【0032】
図2に示すように、半導体装置1は、プリント配線基板100、ICチップ60及び筐体50を備える。
【0033】
ICチップ60には、上述したCPU10、メモリーコントローラー20、通信コントローラー30、及びデバック回路40が実装されている。
【0034】
ICチップ60の-Z側には、プリント配線基板100が位置している。そして、ICチップ60は、接着剤などの接合部材70を介してプリント配線基板100に取り付けられている。また、プリント配線基板100とICチップ60とは、ボンディングワイヤー80を介して電気的に接続される。
【0035】
プリント配線基板100には、不図示の複数の配線パターンと、不図示の複数の電極とが設けられている。ボンディングワイヤー80は、プリント配線基板100の+Z側の面に形成された不図示の電極と電気的に接続している。また、プリント配線基板100の-Z側の面に形成された不図示の複数の電極のそれぞれには、端子110が設けられている。この複数の端子110のそれぞれは、例えば、はんだボールを含む。そして、当該はんだボールにより半導体装置1と半導体装置1の外部に設けられた外部メモリー群2、及び外部回路3が電気的かつ物理的に接続される。すなわち、本実施形態における半導体装置1は、半導体装置1の外部と複数のはんだボールを介して電気的、且つ機械的に接続され
る所謂BGA(Ball Grid Array)パッケージを含んで構成されている。ここで、以下の説明では、複数の端子110が設けられたプリント配線基板100の-Z側の面を端子実装面101と称する。
【0036】
以上のように構成された半導体装置1では、端子実装面101に設けられた端子110を介して半導体装置1に入力された信号は、プリント配線基板100に設けられた不図示の電極及び配線パターンと、ボンディングワイヤー80とを介して伝搬し、ICチップ60に入力される。また、ICチップ60から出力された信号は、ボンディングワイヤー80と、プリント配線基板100に設けられた不図示の電極及び配線パターンと、端子110とを介して、半導体装置1の外部に出力される。すなわち、プリント配線基板100は、インターポーザ基板として機能する。
【0037】
筐体50は、ICチップ60の+Z側に位置し、ICチップ60を覆うようにプリント配線基板100に接合される。この筐体50は、エポキシ樹脂などを含み、ICチップ60を保護する。
【0038】
1.3 半導体装置における端子配置
次に、端子実装面101に設けられている複数の端子110の配置の一例について図3を用いて説明する。図3は、端子実装面101に設けられている複数の端子110の配置の一例を示す図である。
【0039】
図3に示すように、端子実装面101は、X方向に沿った方向に延在しY方向に沿った方向で向かい合って位置する辺102,103と、Y方向に沿った方向に延在しX方向に沿った方向で向かい合って位置する辺104,105とを含む。そして、辺104は、辺102,103の双方と交差し、辺105は、辺102,103の双方と交差している。すなわち、端子実装面101は、辺102~105を外周として構成された略矩形状である。ここで、端子実装面101に含まれる辺105が第1辺の一例であり、辺105と向かい合って位置する辺104が第2辺の一例であり、辺104及び辺105の双方と交差する辺103が第3辺の一例である。
【0040】
図3には、端子110が実装される実装領域112を図示している。実装領域112は、格子状に設けられた複数の端子実装領域114を含む。端子実装領域114は、実装領域112において、辺102に沿った方向に並んで設けられたm個の端子実装領域114が、辺104に沿った方向にn組設けられている。すなわち、端子実装面101の実装領域112には、合計n×m個の端子実装領域114が設けられている。なお、図3に示す例では、辺102に沿った方向に並んで設けられた18個の端子実装領域114が、辺104に沿った方向に18組設けられているとして図示している。すなわち、図3には、合計324個の端子実装領域114が図示されている。
【0041】
ここで、以下の説明において、辺102に沿って辺104から辺105に向かう方向を行方向、辺104に沿って辺102から辺103に向かう方向を列方向と称する場合がある。そして、以下の説明では、複数の端子実装領域114の内、行方向に沿ってi番目に位置し、且つ列方向に沿ってj番目に位置する端子実装領域114を端子実装領域114-ijと称する場合がある。具体的には、図3にAとして示す端子実装領域114を、端子実装領域114-6Eと称し、Bとして示す端子実装領域114を、端子実装領域114-14Sと称する場合がある。
【0042】
端子実装面101に設けられる複数の端子110のそれぞれは、格子状に設けられた端子実装領域114のそれぞれに対応して位置している。ここで、以下の説明では、端子実装領域114-ijに位置する端子110を端子110-ijと称する場合がある。すな
わち、図3にAとして示す端子実装領域114-6Eに位置する端子110を端子110-6Eと称し、Bとして示す端子実装領域114-14Sに位置する端子110を端子110-14Sと称する場合がある。なお、図3に示す端子110の配置の一例では、実装領域112に含まれる全ての端子実装領域114に端子110が位置している場合を例示しているが、後述する第2実施形態に示すように、実装領域112は、端子110が位置しない端子実装領域114を含んでもよい。
【0043】
半導体装置1と外部メモリー群2、及び外部回路3との間で伝搬するメモリー制御信号MC、低速通信信号LC1,LC2、及び高速通信信号HC1,HC2を含む複数の信号と、半導体装置1に入力される電圧VDD,VSSとは、以上に説明した端子実装面101に設けられた複数の端子110のそれぞれを介して伝搬する。そこで、半導体装置1と外部メモリー群2、及び外部回路3との間で伝搬する各種信号、及び電圧VDD,VSSが割り当てられる端子110の配置の具体例について、図4を用いて説明する。図4は、半導体装置1における複数の端子110で伝搬する信号を各端子110に割り当てた場合の一例を示す図である。
【0044】
図4に示すように、端子実装面101には、外部メモリー群2とメモリーコントローラー20との間で伝搬するメモリー制御信号MCを入力するための複数の端子110を含むメモリー操作端子群121と、高速通信コントローラー31に含まれるUSB通信コントローラー31aに高速通信信号HC1を入力するための複数の端子110を含む第1高速通信端子群122と、高速通信コントローラー31に含まれるPCIe通信コントローラー31bに高速通信信号HC2を入力するための複数の端子110を含む第2高速通信端子群123と、低速通信コントローラー32に含まれるUART通信コントローラー32aに低速通信信号LC1を入力するための複数の端子110を含む第1低速通信端子群124と、低速通信コントローラー32に含まれるI2C通信コントローラー32bに低速通信信号LC2を入力するための複数の端子110を含む第2低速通信端子群125と、が設けられている。さらに、端子実装面101には、外部から入力される信号をCPU10に伝搬するためのCPU入出力端子群131と、半導体装置1に電圧VDD,VSSを供給するための複数の端子110を含む電源端子群132と、電圧値が一定に保持された複数の端子110を含む定電圧端子群133と、が設けられている。ここで、本実施形態における定電圧端子群133に保持される一定の電圧値とは、例えば、グラウンド電位の電圧VSSである。なお、説明は省略するが、端子実装面101には上述した各種信号を入出力するための複数の端子110に加えて、クロック信号、その他のアナログ信号及びその他のデジタル信号が入力される複数の端子110が設けられていてもよい。
【0045】
メモリー操作端子群121は、端子実装面101の辺103側の領域に位置する複数の端子110を含む。
【0046】
具体的には、メモリー操作端子群121は、実装領域112に含まれる複数の端子実装領域114の内、実装領域112の最も辺103側に位置する端子実装領域114-1T~114-18Tに配置された端子110-1T~110-18Tと、端子実装領域114-1T~114-18Tのそれぞれと-Y側で隣り合って位置する端子実装領域114-1S~114-18Sに位置する端子110-1S~110-18Sと、端子実装領域114-1S~114-18Sのそれぞれと-Y側で隣り合って位置する端子実装領域114-1R~114-18Rに位置する端子110-1R~110-18Rと、端子実装領域114-1R~114-18Rのそれぞれと-Y側で隣り合って位置する端子実装領域114-1Q~114-18Qに位置する端子110-1Q~110-18Qと、端子実装領域114-1Q~114-18Qのそれぞれと-Y側で隣り合って位置する端子実装領域114-1P~114-18Pに位置する端子110-1P~110-18Pと、端子実装領域114-1P~114-18Pのそれぞれと-Y側で隣り合って位置する端
子実装領域114-1N~114-18Nに位置する端子110-1N~110-18Nと、を含む。
【0047】
以上のように、メモリー操作端子群121に含まれる複数の端子110の内、端子110-1N,110-1P,110-1Q,110-1R,110-1S,110-1Tは、端子実装面101の外周の1つである辺104と隣り合って位置し、メモリー操作端子群121に含まれる複数の端子110の内、端子110-1T~110-18Tは、端子実装面101の外周の1つである辺103と隣り合って位置し、メモリー操作端子群121に含まれる複数の端子110の内、端子110-18N,110-18P,110-18Q,110-18R,110-18S,110-18Tは、端子実装面101の外周の1つである辺105と隣り合って位置している。
【0048】
ここで、端子110-1N,110-1P,110-1Q,110-1R,110-1S,110-1Tは、端子実装面101の外周の1つである辺104と隣り合って位置しているとは、端子110-1N,110-1P,110-1Q,110-1R,110-1S,110-1Tが実装される端子実装領域114-1N,114-1P,114-1Q,114-1R,114-1S,114-1Tと端子実装面101の辺104との間に、端子110が設けられ得る端子実装領域114が位置しないことを意味する。同様に、端子110-1T~110-18Tは、端子実装面101の外周の1つである辺103と隣り合って位置しているとは、端子110-1T~110-18Tが実装される端子実装領域114-1T~114-18Tと端子実装面101の辺103との間に、端子110が設けられ得る端子実装領域114が位置しないことを意味し、端子110-18N,110-18P,110-18Q,110-18R,110-18S,110-18Tは、端子実装面101の外周の1つである辺105と隣り合って位置しているとは、端子110-18N,110-18P,110-18Q,110-18R,110-18S,110-18Tが実装される端子実装領域114-18N,114-18P,114-18Q,114-18R,114-18S,114-18Tと端子実装面101の辺104との間に、端子110が設けられ得る端子実装領域114が位置しないことを意味する。
【0049】
すなわち、メモリー操作端子群121に含まれる複数の端子110の内、端子110-1N,110-1P,110-1Q,110-1R,110-1S,110-1Tは、端子実装面101の外周の1つである辺104と隣り合って位置し、メモリー操作端子群121に含まれる複数の端子110の内、端子110-1T~110-18Tは、端子実装面101の外周の1つである辺103と隣り合って位置し、メモリー操作端子群121に含まれる複数の端子110の内、端子110-18N,110-18P,110-18Q,110-18R,110-18S,110-18Tは、端子実装面101の外周の1つである辺105と隣り合って位置しているとは、メモリー操作端子群121に含まれる複数の端子110が、端子実装面101の辺103側に位置し、且つ辺104側から辺105側に並んで位置していることを含む。
【0050】
ここで、メモリー操作端子群121に含まれる複数の端子110である端子110-1N~110-18N,110-1P~110-18P,110-1Q~110-18Q,110-1R~110-18R,110-1S~110-18S,110-1T~110-18Tが複数のメモリー操作端子の一例であり、メモリー操作端子群121に含まれる複数の端子110の内の端子110-18N,110-18P,110-18Q,110-18R,110-18S,110-18Tのいずれかが第1メモリー操作端子の一例であり、メモリー操作端子群121に含まれる複数の端子110の内の端子110-1N,110-1P,110-1Q,110-1R,110-1S,110-1Tのいずれかが第2メモリー操作端子の一例であり、メモリー操作端子群121に含まれる複数の端子110の内の端子110-1T~110-18Tのいずれかが第3メモリー操作端子の一例
である。
【0051】
そして、メモリー操作端子群121に含まれる複数の端子110のそれぞれには、外部メモリー群2に含まれる対応するメモリセル回路とメモリーコントローラー20との間で伝搬するメモリー制御信号MCが伝搬する。なお、メモリー操作端子群121は、電圧VDDに基づく一定電圧が保持される端子110、及びグラウンド電位である電圧VSSが保持される端子110を含んでもよい。このメモリー操作端子群121に含まれる複数の端子110で伝搬するメモリー制御信号MCが第3信号の一例である。
【0052】
定電圧端子群133は、メモリー操作端子群121の辺102側の領域に位置する複数の端子110を含む。具体的には、定電圧端子群133は、実装領域112に含まれる複数の端子実装領域114の内、端子実装領域114-1M~114-18Mに位置する端子110-1M~110-18Mを含む。すなわち、定電圧端子群133は、端子実装面101において、行方向に並んで位置している。そして、定電圧端子群133に含まれる端子110-1M~110-18Mのそれぞれには、電圧値がグラウンド電位で一定の電圧VSSが入力される。
【0053】
第1高速通信端子群122は、行方向に沿って並んで位置している定電圧端子群133の辺102側の領域であって、端子実装面101の辺105側の領域に位置する複数の端子110を含む。
【0054】
具体的には、第1高速通信端子群122は、実装領域112に含まれる複数の端子実装領域114の内、端子実装領域114-13L~114-18Lに位置する端子110-13L~110-18Lと、端子実装領域114-13K~114-18Kに位置する端子110-13K~110-18Kと、を含む。そして、第1高速通信端子群122に含まれる複数の端子110の内、端子110-18K,110-18Lは、端子実装面101の外周の1つである辺105と隣り合って位置している。ここで、端子110-18K,110-18Lのそれぞれと、端子実装面101の辺105とが隣り合って位置しているとは、端子110-18K,110-18Lのそれぞれが実装される端子実装領域114-18K~114-18Lと端子実装面101の辺105との間に、端子110が設けられ得る端子実装領域114が位置していないことを意味する。
【0055】
そして、第1高速通信端子群122に含まれる複数の端子110のそれぞれには、高速通信コントローラー31に含まれるUSB通信コントローラー31aと外部回路3との間で伝搬するUSB通信の規格に準拠した複数の信号が高速通信信号HC1として入力される。換言すれば、第1高速通信端子群122には、高速通信信号HC1としてUSB通信を行うための信号が入力される。なお、第1高速通信端子群122は、電圧VDDに基づく一定電圧が保持される端子110、及びグラウンド電位である電圧VSSが保持される端子110を含んでもよい。
【0056】
ここで、第1高速通信端子群122に含まれる複数の端子110の内、端子110-18K,110-18Lの少なくとも一方が第1高速通信端子の一例であり、端子110-18K,110-18Lを含む第1高速通信端子群122に入力される高速通信信号HC1が第1信号及びUSB通信信号の一例である。
【0057】
第2高速通信端子群123は、行方向に沿って並んで位置している定電圧端子群133の辺102側の領域であって、端子実装面101の辺104側の領域に位置する複数の端子110を含む。
【0058】
具体的には、第2高速通信端子群123は、実装領域112に含まれる複数の端子実装
領域114の内、端子実装領域114-1F~114-6Fに位置する端子110-1F~110-6Fと、端子実装領域114-1G~114-6Gに位置する端子110-1G~110-6Gと、端子実装領域114-1H~114-6Hに位置する端子110-1H~110-6Hと、端子実装領域114-1J~114-6Jに位置する端子110-1J~110-6Jと、端子実装領域114-1K~114-6Kに位置する端子110-1K~110-6Kと、端子実装領域114-1L~114-6Lに位置する端子110-1L~110-6Lと、を含む。
【0059】
そして、第2高速通信端子群123に含まれる複数の端子110の内、端子110-1F,110-1G,110-1H,110-1J,110-1K,110-1Lは、端子実装面101の外周の1つである辺104と隣り合って位置している。ここで、端子110-1F,110-1G,110-1H,110-1J,110-1K,110-1Lのそれぞれと、端子実装面101の辺105とが隣り合って位置しているとは、端子110-1F,110-1G,110-1H,110-1J,110-1K,110-1Lのそれぞれが実装される端子実装領域114-1F,114-1G,114-1H,114-1J,114-1K,114-1Lと端子実装面101の辺104との間に、端子110が設けられ得る端子実装領域114が位置していないことを意味する。
【0060】
そして、第2高速通信端子群123に含まれる複数の端子110のそれぞれには、高速通信コントローラー31に含まれるPCIe通信コントローラー31bと外部回路3との間で伝搬するPCIe通信の規格に準拠した複数の信号が高速通信信号HC2として入力される。換言すれば、第2高速通信端子群123には、高速通信信号HC2としてPCIe通信を行うための信号が入力される。なお、第2高速通信端子群123は、電圧VDDに基づく一定電圧が保持される端子110、及びグラウンド電位である電圧VSSが保持される端子110を含んでもよい。
【0061】
ここで、第2高速通信端子群123に含まれる複数の端子110の内、端子110-1F,110-1G,110-1H,110-1J,110-1K,110-1Lの少なくとも一方が第2高速通信端子の一例であり、端子110-1F,110-1G,110-1H,110-1J,110-1K,110-1Lを含む第2高速通信端子群123に入力される高速通信信号HC2が第2信号及びPCIe通信信号の一例である。
【0062】
電源端子群132は、行方向に沿って並んで位置している定電圧端子群133の辺102側の領域であって、第1高速通信端子群122の辺104側、且つ第2高速通信端子群123の辺105側の領域に位置する複数の端子110を含む。すなわち、電源端子群132は、端子実装面101に設けられ、辺103に沿った方向において、第1高速通信端子群122と第2高速通信端子群123との間に位置している。したがって、電源端子群132に含まれる複数の端子110の内のいくつかは、端子実装面101に設けられ、辺103に沿った方向において、第1高速通信端子群122と第2高速通信端子群123との間に位置している。
【0063】
具体的には、電源端子群132は、実装領域112に含まれる複数の端子実装領域114の内、端子実装領域114-7G~114-12G,114-7H~114-12H,114-7J~114-12J、114-7K~114-12K,114-7L~114-12L,114-7M~114-12Mのそれぞれに位置する端子110-7G~110-12G,110-7H~110-12H,110-7J~110-12J、110-7K~110-12K,110-7L~110-12L,110-7M~110-12Mを含む。
【0064】
そして、電源端子群132に含まれる複数の端子110のそれぞれには、半導体装置1
の電源電圧としての一定の電圧値の電圧VDD、及び半導体装置1の基準電位としての一定の電圧値の電圧VSSとが入力される。すなわち、電源端子群132に含まれる複数の端子110のそれぞれは、電圧値が電圧VDD又は電圧VSSで一定に保持される。ここで、電源端子群132に含まれる複数の端子110に供給される一定の電圧値の電圧VDD、又は電圧VSSが第1電圧の一例であり、電源端子群132に含まれる複数の端子110の内、辺103に沿った方向において、第1高速通信端子群122と第2高速通信端子群123との間に位置している端子110-7K~110-12K,110-7L~110-12Lのいずれかが第1定電圧端子の一例である。
【0065】
CPU入出力端子群131は、第1高速通信端子群122の辺102側の領域に位置する複数の端子110を含む。具体的には、CPU入出力端子群131は、実装領域112に含まれる複数の端子実装領域114の内、端子実装領域114-13G~114-18G,114-13H~114-18H,114-13J~114-18Jのそれぞれに位置する端子110-13G~110-18G,110-13H~110-18H,110-13J~110-18Jを含む。なお、CPU入出力端子群131は、電圧VDDに基づく一定電圧が保持される端子110、及びグラウンド電位である電圧VSSが保持される端子110を含んでもよい。
【0066】
そして、CPU入出力端子群131に含まれる複数の端子110のそれぞれには、CPU10に入力される制御信号、及びCPU10から半導体装置1の外部に出力される信号が伝搬する。
【0067】
第1低速通信端子群124は、CPU入出力端子群131の辺102側の領域であって、端子実装面101の辺105側の領域に位置する複数の端子110を含む。具体的には、第1低速通信端子群124は、実装領域112に含まれる複数の端子実装領域114の内、端子実装領域114-17A,114-18A,114-17B,114-18B,114-17C,114-18C,114-17D,114-18D,114-17E,114-18E,114-17F,114-18Fのそれぞれに位置する端子110-17A,110-18A,110-17B,110-18B,110-17C,110-18C,110-17D,110-18D,110-17E,110-18E,110-17F,110-18Fを含む。
【0068】
そして、第1低速通信端子群124に含まれる複数の端子110のそれぞれには、低速通信コントローラー32に含まれるUART通信コントローラー32aと外部回路3との間で伝搬するUART通信の規格に準拠した複数の信号が低速通信信号LC1として入力される。なお、第1低速通信端子群124は、電圧VDDに基づく一定電圧が保持される端子110、及びグラウンド電位である電圧VSSが保持される端子110を含んでもよい。
【0069】
第2低速通信端子群125は、電源端子群132の辺102側の領域であって、第1低速通信端子群124の辺104側の領域に位置する複数の端子110を含む。具体的には、第2低速通信端子群125は、実装領域112に含まれる複数の端子実装領域114の内、端子実装領域114-7A~114-10A,114-7B~114-10B,114-7C~114-10C,114-7D~114-10D,114-7E~114-10E,114-7F~114-10Fのそれぞれに位置する端子110-7A~110-10A,110-7B~110-10B,110-7C~110-10C,110-7D~110-10D,110-7E~110-10E,110-7F~110-10Fを含む。
【0070】
そして、第2低速通信端子群125に含まれる複数の端子110のそれぞれには、低速
通信コントローラー32に含まれるI2C通信コントローラー32bと外部回路3との間で伝搬するI2C通信の規格に準拠した複数の信号が低速通信信号LC2として入力される。なお、第2低速通信端子群125には、電圧VDDに基づく一定電圧が保持される端子110、及びグラウンド電位である電圧VSSが保持される端子110が含まれてもよい。
【0071】
以上のように複数の端子110が設けられた端子実装面101において、第1高速通信端子群122は、端子実装面101の辺105側において、端子実装面101の辺105に沿って設けられ、第2高速通信端子群123は、端子実装面101の辺104側において、端子実装面101の辺104に沿って設けられている。換言すれば、第1高速通信端子群122、及び第2高速通信端子群123は、第1高速通信端子群122と辺105との最短距離が、第2高速通信端子群123と辺105との最短距離よりも短く、第2高速通信端子群123と辺104との最短距離が、第1高速通信端子群122と辺104との最短距離よりも短くなるように、端子実装面101に設けられている。
【0072】
第1高速通信端子群122は、CPU10からの情報に基づいて高速通信を行うUSB通信コントローラー31aに対して高速通信信号HC1を伝搬し、第2高速通信端子群123は、CPU10からの情報に基づいて高速通信を行うPCIe通信コントローラー31bに対して高速通信信号HC2を伝搬する。すなわち、半導体装置1において、第1高速通信端子群122は、高速通信信号HC1に起因した高周波のスイッチングノイズを放射するおそれがあり、第2高速通信端子群123は、高速通信信号HC2に起因した高周波のスイッチングノイズを放射するおそれがある。このような高周波のスイッチングノイズに対して、本実施形態における半導体装置1では、第1高速通信端子群122が、端子実装面101の辺105側において、端子実装面101の辺105に沿って設けられ、第2高速通信端子群123が、端子実装面101の辺104側において、端子実装面101の辺104に沿って設けられていることから、端子実装面101において第1高速通信端子群122と第2高速通信端子群123をと離して配置することが可能となる。したがって、第1高速通信端子群122及びUSB通信コントローラー31aと、第2高速通信端子群123及びPCIe通信コントローラー31bとの双方に対して、高速通信信号HC1,HC2の双方に起因した高周波のスイッチングノイズが寄与するおそれを低減することができる。
【0073】
この場合において、図4に示すように、端子実装面101において、第1高速通信端子群122と第2高速通信端子群123とが隣り合って位置しないことが好ましい。これにより、第1高速通信端子群122と第2高速通信端子群123との間において、高速通信信号HC1,HC2の双方に起因した高周波のスイッチングノイズが寄与するおそれをさらに低減することができる。ここで、第1高速通信端子群122と第2高速通信端子群123とが隣り合って位置しないとは、第1高速通信端子群122に含まれる複数の端子110が実装される端子実装領域114と、第2高速通信端子群123に含まれる複数の端子110が実装される端子実装領域114とが隣り合っていないことを含む。
【0074】
さらに、図4に示すように、端子実装面101において、第1高速通信端子群122と第2高速通信端子群123との間に電圧値が一定の電圧VDD、又は電圧VSSで保持されている電源端子群132が位置することがさらに好ましい。これにより、一定の電圧値に保持されている電源端子群132がシールドとして機能し、その結果、第1高速通信端子群122と第2高速通信端子群123との間において、高速通信信号HC1,HC2の双方に起因した高周波のスイッチングノイズが寄与するおそれをさらに低減することができる。
【0075】
また、図4に示すように、第1高速通信端子群122とメモリー操作端子群121との
間に、定電圧端子群133が位置し、及び第2高速通信端子群123とメモリー操作端子群121との間に、定電圧端子群133が位置している。前述の通り、定電圧端子群133に含まれる複数の端子110のそれぞれには、電圧値がグラウンド電位で一定の電圧VSSが保持されている。したがって、高周波のスイッチングノイズが生じるおそれのある第1高速通信端子群122とメモリー操作端子群121との間を定電圧端子群133に含まれる複数の端子110によってシールドすることが可能となり、同様に、高周波のスイッチングノイズが生じるおそれのある第2高速通信端子群123とメモリー操作端子群121との間を定電圧端子群133に含まれる複数の端子110によってシールドすることが可能となる。これにより、メモリーコントローラー20がメモリー操作端子群121を伝搬するメモリー制御信号MCを用いて実行する外部メモリー群2の制御の信頼性が向上する。
【0076】
ここで、定電圧端子群133に含まれる複数の端子110の内、第1高速通信端子群122とメモリー操作端子群121との間に位置する端子110-13M~110-18Mのいずれかが第2定電圧端子の一例であり、第2定電圧端子に相当する端子110-13M~110-18Mに保持されている電圧VDD又は電圧VSSが第2電圧の一例である。同様に、定電圧端子群133に含まれる複数の端子110の内、第2高速通信端子群123とメモリー操作端子群121との間に位置する端子110-1M~110-6Mのいずれかが第3定電圧端子の一例であり、第3定電圧端子に相当する端子110-1M~110-6Mに保持されている電圧VDD又は電圧VSSが第3電圧の一例である。
【0077】
1.4 半導体装置における端子配置と回路配置との関係
次に、端子実装面101における複数の端子110の配置と、ICチップ60に設けられた回路の配置との関係について説明する。図5は、ICチップ60における回路配置の一例を示す図である。なお、図5では、半導体装置1を端子実装面101側から見た場合におけるICチップ60の回路配置を示している。また、図5には、端子実装面101及び端子実装面101に設けられた端子110を破線で示している。
【0078】
図5に示すように、ICチップ60は、X方向に沿った方向に延在しY方向に沿った方向で向かい合って位置する辺62,63と、Y方向に沿った方向に延在しX方向に沿った方向で向かい合って位置する辺64,65とを含む。そして、辺64は、辺62,63の双方と交差し、辺65は、辺62,63の双方と交差している。すなわち、ICチップ60は、辺62~65を外周として構成された略矩形状である。そして、ICチップ60は、辺62が端子実装面101の辺102側、辺63が端子実装面101の辺103側、辺64が端子実装面101の辺104側、辺65が端子実装面101の辺105側となるように、端子実装面101を含むプリント配線基板100に取り付けられている。
【0079】
ICチップ60には、前述したCPU10、メモリーコントローラー20、USB通信コントローラー31a、PCIe通信コントローラー31b、UART通信コントローラー32a、及びI2C通信コントローラー32bを含む複数の回路が設けられている。なお、ICチップ60には、上述した回路以外の回路が設けられていてもよい。
【0080】
メモリーコントローラー20は、ICチップ60の辺63側の領域に位置し、辺63に沿った方向に延在している。すなわち、ICチップ60において、メモリーコントローラー20は、ICチップ60の辺62よりも辺63の近傍であって、辺63に沿うように位置している。また、前述のとおりICチップ60は、辺63が端子実装面101の辺103側に位置するようにプリント配線基板100に取り付けられている。したがって、メモリーコントローラー20は、ICチップ60において、端子実装面101の辺103の近傍の領域に位置しているともいえる。換言すれば、半導体装置1において、メモリーコントローラー20は、メモリーコントローラー20と辺103との最短距離が、メモリーコ
ントローラー20と辺102との最短距離よりも短い位置に設けられている。
【0081】
ここで、前述の通り外部メモリー群2に含まれるメモリセル回路とメモリーコントローラー20との間で伝搬するメモリー制御信号MCが入力される複数の端子110を含むメモリー操作端子群121も、端子実装面101の辺103の近傍の領域に位置している。よって、メモリー制御信号MCが入力されメモリー操作端子群121とメモリーコントローラー20とを電気的に接続する配線の配線長を短くすることが可能となる。その結果、メモリーコントローラー20と外部メモリー群2との間で伝搬するメモリー制御信号MCに対して配線インピーダンスが寄与するおそれが低減し、伝搬されるメモリー制御信号MCの信号精度が向上する。
【0082】
USB通信コントローラー31aは、ICチップ60においてメモリーコントローラー20の辺62の領域であって、ICチップ60の辺65側の領域に位置している。すなわち、ICチップ60において、USB通信コントローラー31aは、メモリーコントローラー20の辺62側の領域であって、ICチップ60の辺64よりも辺65の近傍に位置している。また、前述のとおりICチップ60は、辺62が端子実装面101の辺102側に位置し、辺63が端子実装面101の辺103側に位置し、辺65が端子実装面101の辺105側に位置するようにプリント配線基板100に取り付けられている。したがって、USB通信コントローラー31aは、ICチップ60において、メモリーコントローラー20の辺102側の領域であって、端子実装面101の辺105の近傍の領域に位置しているともいえる。換言すれば、半導体装置1において、USB通信コントローラー31aは、辺102と向かい合って位置する辺103とメモリーコントローラー20との最短距離が、辺103とUSB通信コントローラー31aとの最短距離よりも短く、且つUSB通信コントローラー31aと辺105との最短距離が、USB通信コントローラー31aと辺104との最短距離よりも短い位置に設けられている。
【0083】
ここで、前述の通り外部回路3とUSB通信コントローラー31aとの間で伝搬する高速通信信号HC1が入力する複数の端子110を含む第1高速通信端子群122も、端子実装面101の辺105の近傍の領域に位置している。よって、高速通信信号HC1が伝搬し、第1高速通信端子群122とUSB通信コントローラー31aとを電気的に接続する配線の配線長を短くすることが可能となる。その結果、USB通信コントローラー31aと外部回路3との間で伝搬する高速通信信号HC1に対して配線インピーダンスが寄与するおそれが低減し、伝搬される高速通信信号HC1の信号精度が向上する。
【0084】
PCIe通信コントローラー31bは、ICチップ60においてメモリーコントローラー20の辺62の領域であって、ICチップ60の辺64側の領域に位置している。すなわち、ICチップ60において、PCIe通信コントローラー31bは、メモリーコントローラー20の辺62側の領域であって、ICチップ60の辺65よりも辺64の近傍に位置している。また、前述のとおりICチップ60は、辺62が端子実装面101の辺102側に位置し、辺63が端子実装面101の辺103側に位置し、辺65が端子実装面101の辺105側に位置するようにプリント配線基板100に取り付けられている。したがって、PCIe通信コントローラー31bは、ICチップ60において、メモリーコントローラー20の辺102側の領域であって、端子実装面101の辺104の近傍の領域に位置しているともいえる。換言すれば、半導体装置1において、PCIe通信コントローラー31bは、辺102と向かい合って位置する辺103とメモリーコントローラー20との最短距離が、辺103とPCIe通信コントローラー31bとの最短距離よりも短く、且つPCIe通信コントローラー31bと辺104との最短距離が、PCIe通信コントローラー31bと辺105との最短距離よりも短い位置に設けられている。
【0085】
ここで、前述の通り外部回路3とPCIe通信コントローラー31bとの間で伝搬する
高速通信信号HC2が入力する複数の端子110を含む第2高速通信端子群123も、端子実装面101の辺104の近傍の領域に位置している。よって、高速通信信号HC2が伝搬し、第2高速通信端子群123とPCIe通信コントローラー31bとを電気的に接続する配線の配線長を短くすることが可能となる。その結果、PCIe通信コントローラー31bと外部回路3との間で伝搬する高速通信信号HC2に対して配線インピーダンスが寄与するおそれが低減し、伝搬される高速通信信号HC2の信号精度が向上する。
【0086】
CPU10は、ICチップ60においてUSB通信コントローラー31aの辺62の領域であって、ICチップ60の辺65側の領域に位置している。すなわち、ICチップ60において、CPU10は、ICチップ60の辺64よりも辺65の近傍に位置している。また、前述のとおりICチップ60は、辺65が端子実装面101の辺105側に位置するようにプリント配線基板100に取り付けられている。したがって、CPU10は、ICチップ60において、端子実装面101の辺105の近傍の領域に位置しているともいえる。換言すれば、半導体装置1において、CPU10は、CPU10と辺105との最短距離が、CPU10と辺104との最短距離よりも短い位置に設けられている。
【0087】
ここで、前述の通りCPU10に入力される信号、又はCPU10から出力される信号が入力する複数の端子110を含むCPU入出力端子群131も、端子実装面101の辺105の近傍の領域に位置している。よって、前述の通りCPU10に入力される信号、又はCPU10から出力される信号が伝搬し、CPU入出力端子群131とCPU10とを電気的に接続する配線の配線長を短くすることが可能となる。その結果、CPU10に入力される信号、又はCPU10から出力される信号に対して配線インピーダンスが寄与するおそれが低減し、伝搬されるCPU10に入力される信号、又はCPU10から出力される信号の信号精度が向上する。
【0088】
UART通信コントローラー32aは、ICチップ60においてCPU10の辺62の領域であって、ICチップ60の辺65側の領域、且つICチップ60の辺62側の領域に位置している。すなわち、ICチップ60において、UART通信コントローラー32aは、ICチップ60の辺64よりも辺65の近傍であって、辺63よりも辺62の近傍に位置している。また、前述のとおりICチップ60は、辺65が端子実装面101の辺105側に位置し、辺62が端子実装面101の辺102側に位置するようにプリント配線基板100に取り付けられている。したがって、UART通信コントローラー32aは、ICチップ60において、端子実装面101の辺105の近傍の領域であって、端子実装面101の辺102の近傍の領域に位置しているともいえる。換言すれば、半導体装置1において、UART通信コントローラー32aは、UART通信コントローラー32aと辺105との最短距離が、UART通信コントローラー32aと辺104との最短距離よりも短い位置であって、UART通信コントローラー32aと辺102との最短距離が、UART通信コントローラー32aと辺103との最短距離よりも短い位置に設けられている。
【0089】
ここで、前述の通り外部回路3とUART通信コントローラー32aとの間で伝搬する低速通信信号LC1が入力する複数の端子110を含む第1低速通信端子群124も、端子実装面101の辺105の近傍であって、端子実装面101の辺102の近傍の領域に位置している。よって、低速通信信号LC1が伝搬し、第1低速通信端子群124とUART通信コントローラー32aとを電気的に接続する配線の配線長を短くすることが可能となる。その結果、UART通信コントローラー32aと外部回路3との間で伝搬する低速通信信号LC2に対して配線インピーダンスが寄与するおそれが低減し、伝搬される低速通信信号LC1の信号精度が向上する。
【0090】
I2C通信コントローラー32bは、ICチップ60の辺62側の領域であって、IC
チップ60においてUART通信コントローラー32aの辺64側の領域に位置している。すなわち、ICチップ60において、I2C通信コントローラー32bは、ICチップ60の辺63よりも辺62の近傍に位置している。また、前述のとおりICチップ60は、辺62が端子実装面101の辺102側に位置するようにプリント配線基板100に取り付けられている。したがって、I2C通信コントローラー32bは、ICチップ60において、端子実装面101の辺102の近傍の領域に位置しているともいえる。換言すれば、半導体装置1において、I2C通信コントローラー32bは、I2C通信コントローラー32bと辺102との最短距離が、I2C通信コントローラー32bと辺103との最短距離よりも短い位置に設けられている。
【0091】
ここで、前述の通り外部回路3とI2C通信コントローラー32bとの間で伝搬する低速通信信号LC2が入力する複数の端子110を含む第2低速通信端子群125も、端子実装面101の辺102の近傍の領域に位置している。よって、低速通信信号LC2が伝搬し、第2低速通信端子群125とI2C通信コントローラー32bとを電気的に接続する配線の配線長を短くすることが可能となる。その結果、I2C通信コントローラー32bと外部回路3との間で伝搬する低速通信信号LC2に対して配線インピーダンスが寄与するおそれが低減し、伝搬される低速通信信号LC2の信号精度が向上する。
【0092】
1.5 作用効果
以上のように構成された本実施形態における半導体装置1は、高速通信を行うUSB通信コントローラー31aと高速通信を行うPCIe通信コントローラー31bとを有する。そして、USB通信コントローラー31aに高速通信信号HC1を伝搬する第1高速通信端子群122は、端子実装面101の辺105の近傍に位置し、PCIe通信コントローラー31bに高速通信信号HC2を伝搬する第2高速通信端子群123は、端子実装面101において辺105と向かい合った位置する辺104の近傍に位置する。すなわち、半導体装置1が有する高周波の信号である高速通信信号HC1が半導体装置1に入力又は出力される複数の端子110と、高周波の信号である高速通信信号HC2が半導体装置1に入力又は出力される複数の端子110とは、半導体装置1の端子実装面101において離れて位置している。したがって、高速通信信号HC1、及び高速通信信号HC2が伝搬することにより生じる高周波ノイズを含む高周波信号が相互に干渉するおそれが低減する。すなわち、半導体装置1に入力される信号の精度が向上する。その結果、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。
【0093】
特に、本実施形態における半導体装置1では、半導体装置1の信頼性を向上させるための特徴的な位置に端子110が設けられている。半導体装置1の信頼性を向上させるための1つの方法として、半導体装置1の内部回路を特徴的な位置に配置することも考えられる。しかしながら、半導体装置1の信頼性を向上させるために内部回路を特徴的な位置に設けた場合であっても、半導体装置1に入力される各種信号が端子110の近傍において相互に干渉した場合、半導体装置1の信頼性を十分に高めることが困難となる。これに対して、本実施形態における半導体装置1では、特徴的な位置に端子110が設けられていることから半導体装置1に入力又は出力されるに対して端子110の近傍における相互干渉を低減できる。そのため、半導体装置1に入力される信号の信頼性を高めることが可能となり、その結果、半導体装置1における信号の信頼性を高めることが可能となる。すなわち、本実施形態における半導体装置1では、半導体装置1の信頼性を向上させるための特徴的な位置に端子110の設けることで、半導体装置1における信号の信頼性を高めることを実現している。
【0094】
1.6 端子実装領域の考え方
上記第1実施形態の半導体装置1では、実装領域112に含まれる格子状に配置された端子実装領域114に対応して複数の端子110が位置しているとして説明を行ったが、
実装領域112、及び端子実装領域114は、端子実装面101に設けられる複数の端子110の配置を基準として定めることもできる。
【0095】
図6は、端子実装面101に設けられる複数の端子110の配置に基づいて実装領域112、及び端子実装領域114を定める場合について説明するための図である。なお、図6に示す例では、端子実装面101に設けられる複数の端子110の配置に基づいて実装領域112、及び端子実装領域114を定める場合の具体例を示す関係上、一部の端子実装領域114に端子110が位置していない場合を例示している。また、図6では、第1実施形態の半導体装置1と区別するために、端子実装面101を端子実装面101aと称し、辺102,103,104,105のそれぞれを辺102a,103a,104a,105aと称する。さらに、図6では、図示するように互いに直交するx方向、y方向、及びz方向を用いて説明する。
【0096】
図6に示すように、端子実装面101aには、複数の端子110が位置している。そして、辺102aに沿って辺104aから辺105aに向かう行方向において少なくとも1つの端子110を通過する仮想線と、辺104aに沿って辺102aから辺103aに向かう列方向において少なくとも1つの端子110を通過する仮想線とが交差する交差点が端子実装領域114に相当する。
【0097】
具体的には、図6に示す端子110の配置の一例では、辺102aに沿った方向における18本の仮想線と、辺104aに沿った方向における18本の仮想線とを得ることができる。したがって、図6に示す端子110の配置の一例の場合、端子実装面101aには、合計324個の交差点が生じる。すなわち、図6に示す端子110の配置の一例の場合、端子実装面101aは、格子状に配置された合計324個の端子実装領域114を含む。
【0098】
そして、合計324個の仮想線が交差する交差点の内、辺102aと辺104aとが交差する点に最も近い交差点と、辺104aと辺103aとが交差する点に最も近い交差点と、辺103aと辺105aとが交差する点に最も近い交差点と、辺105aと辺102aとが交差する点に最も近い交差点とで囲まれた領域が、実装領域112に相当する。
【0099】
以上のように、端子実装面101に設けられる複数の端子110の配置に基づいて定められ実装領域112、及び端子実装領域114であっても、図3図5に示す実装領域112、及び端子実装領域114に複数の端子110が配置されている場合と同様の作用効果を奏する。
【0100】
2.第2実施形態
次に第2実施形態における半導体装置1の構成について図7を用いて説明する。図7は、第2実施形態の半導体装置1における複数の端子110で伝搬する信号を各端子110に割り当てた場合の一例を示す図である。
【0101】
図7に示すように、第2実施形態における半導体装置1では、端子実装面101に位置する実装領域112の内のいくつかの端子実装領域114には、端子110が実装されていない。具体的には、第1高速通信端子群122は、端子実装面101に辺105の近傍に位置する端子110-13K~110-18K,110-13L~110-18Lを含み、第2高速通信端子群123は、端子実装面101に辺105と向かい合って位置する辺104の近傍に位置する端子110-1F~110-6F,110-1G~110-6G,110-1H~110-6H,110-1J~110-6J,110-1K~110-6K,110-1L~110-6Lを含む。
【0102】
そして、図7に示すように第1高速通信端子群122に含まれる複数の端子110と第2高速通信端子群123に含まれる複数の端子110とは、端子実装面101において隣り合って位置しない。ここで、第1高速通信端子群122に含まれる複数の端子110と第2高速通信端子群123に含まれる複数の端子110とが隣り合って位置しないとは、第1高速通信端子群122と第2高速通信端子群123との間に端子110が設けられていない端子実装領域114が位置している場合を含む。
【0103】
このような第2実施形態の半導体装置1であっても、第1実施形態における半導体装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【0104】
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0105】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0106】
上述した実施形態及び変形例から以下の内容が導き出される。
【0107】
半導体装置の一態様は、
CPUと、
前記CPUからの情報に基づいて高速通信を行う第1高速通信コントローラーと、
前記CPUからの情報に基づいて高速通信を行う第2高速通信コントローラーと、
前記第1高速通信コントローラーに第1信号を入力するための第1高速通信端子を含む第1高速通信端子群と、
前記第2高速通信コントローラーに第2信号を入力するための第2高速通信端子を含む第2高速通信端子群と、
前記第1高速通信端子群及び前記第2高速通信端子群が設けられた端子実装面と、
を備え、
前記端子実装面は、第1辺と、前記第1辺と向かい合って位置する第2辺とを有し、
前記第1高速通信端子は、前記第1辺と隣り合って位置し、
前記第2高速通信端子は、前記第2辺と隣り合って位置し、
前記第1高速通信端子群と前記第1辺との最短距離は、前記第2高速通信端子群と前記第1辺との最短距離よりも短く、
前記第2高速通信端子群と前記第2辺との最短距離は、前記第1高速通信端子群と前記第2辺との最短距離よりも短い。
【0108】
この半導体装置によれば、CPUからの情報に基づいて高速通信を行う第1高速通信コントローラーに第1信号を入力するための第1高速通信端子は、端子実装面の第1辺の近傍に位置し、CPUからの情報に基づいて高速通信を行う第2高速通信コントローラーに第2信号を入力するための第2高速通信端子は、端子実装面において第1辺と向かい合って位置する第2辺の近傍に位置する。すなわち、高速通信を行うための第1信号が伝搬する第1高速通信端子と高速通信を行うための第2信号が伝搬する第2高速通信端子とは、端子実装面において離れて位置することができる。
【0109】
第1信号及び第2信号は高速通信を行う高周波数の信号であるが故に、多くの情報を伝
搬できる一方で、第1信号が伝搬する第1高速通信端子、及び第2信号が伝搬する第2高速通信端子から高周波数のノイズが放出されるおそれが高い。このようなノイズが放出するおそれの高い第1高速通信端子と第2高速通信端子とを、端子実装面において離れて位置することで、第1信号及び第2信号のそれぞれに起因したノイズが第1信号及び第2信号の干渉するおそれが低減される。よって、多くの機能を備えた半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0110】
前記半導体装置の一態様において、
前記第1高速通信端子群と前記第2高速通信端子群とは、前記端子実装面において、隣り合って位置していなくてもよい。
【0111】
前記半導体装置の一態様において、
電圧値が第1電圧で一定に保持される第1定電圧端子を備え、
前記第1定電圧端子は、前記端子実装面に設けられ、前記第1高速通信端子群と前記第2高速通信端子群との間に位置していてもよい。
【0112】
この半導体装置によれば、第1高速通信端子と第2高速通信端子との間に一定の電圧値が保持されている第1定電圧端子が位置することで、当該第1定電圧端子がシールド端子として機能し、その結果、第1信号及び第2信号のそれぞれに起因したノイズが第1信号及び第2信号の干渉するおそれがさらに低減される。よって、多くの機能を備えた半導体装置の信頼性をさらに向上させることができる。
【0113】
前記半導体装置の一態様において、
メモリーコントローラーと、
外部メモリー群と前記メモリーコントローラーとの間で伝搬する第3信号を入力するための複数のメモリー操作端子を含むメモリー操作端子群を備え、
前記メモリー操作端子群は、前記端子実装面に設けられ、
前記端子実装面は、前記第1辺及び前記第2辺の双方と交差する第3辺を有し、
前記複数のメモリー操作端子の内の第1メモリー操作端子は、前記第1辺と隣り合って位置し、
前記複数のメモリー操作端子の内の第2メモリー操作端子は、前記第2辺と隣り合って位置し、
前記複数のメモリー操作端子の内の第3メモリー操作端子は、前記第3辺と隣り合って位置していてもよい。
【0114】
前記半導体装置の一態様において、
電圧値が第2電圧で一定に保持される第2定電圧端子を備え、
前記第2定電圧端子は、前記端子実装面に設けられ、前記第1高速通信端子群と前記メモリー操作端子群との間に位置していてもよい。
【0115】
この半導体装置によれば、第1高速通信端子とメモリー操作端子との間に一定の電圧値が保持されている第2定電圧端子が位置することで、当該第2定電圧端子がシールド端子として機能し、その結果、第1信号に起因したノイズがメモリー操作端子で伝搬する第3信号に干渉するおそれがさらに低減される。よって、多くの機能を備えた半導体装置の信頼性をさらに向上させることができる。
【0116】
前記半導体装置の一態様において、
電圧値が第3電圧で一定に保持される第3定電圧端子を備え、
前記第3定電圧端子は、前記端子実装面に設けられ、前記第2高速通信端子群と前記メモリー操作端子群との間に位置していてもよい。
【0117】
この半導体装置によれば、第2高速通信端子とメモリー操作端子との間に一定の電圧値が保持されている第3定電圧端子が位置することで、当該第2定電圧端子がシールド端子として機能し、その結果、第2信号に起因したノイズがメモリー操作端子で伝搬する第3信号に干渉するおそれがさらに低減される。よって、多くの機能を備えた半導体装置の信頼性をさらに向上させることができる。
【0118】
前記半導体装置の一態様において、
前記第1高速通信コントローラーは、USB通信を制御するUSB通信コントローラーを含み、
前記第1高速通信端子群には、前記第1信号として前記USB通信を行うためのUSB通信信号が入力されてもよい。
【0119】
前記半導体装置の一態様において、
前記第2高速通信コントローラーは、PCIe通信を制御するPCIe通信コントローラーを含み、
前記第2高速通信端子群には、前記第2信号として前記PCIe通信を行うためのPCIe通信信号が入力されてもよい。
【0120】
前記半導体装置の一態様において、
前記CPUは、
複数のコアを有し、
64ビット以上の命令セットを実装するマイクロアーキテクチャを含み、
1.6GHz以上の周波数で駆動してもよい。
【0121】
前記半導体装置の一態様において、
前記CPUは、浮動小数点演算処理部を内部に有してもよい。
【0122】
この半導体装置によれば、CPUが内部に浮動小数点演算処理部を有する故に、当該浮動小数点演算処理部が外部に設けられている場合と比較して、経由する回路ブロック数を低減することが可能となる。その結果、CPUが大きなデータを処理する場合の消費電力を低減しつつ、高速に動作することが可能となる。したがって、半導体装置の消費電力を低減しつつ、動作の高速化が可能となる。
【符号の説明】
【0123】
1…半導体装置、2…外部メモリー群、3…外部回路、10…CPU、11…バス配線、20…メモリーコントローラー、30…通信コントローラー、31…高速通信コントローラー、31a…USB通信コントローラー、31b…PCIe通信コントローラー、32…低速通信コントローラー、32a…UART通信コントローラー、32b…I2C通信コントローラー、40…デバック回路、50…筐体、60…ICチップ、62,63,64,65…辺、70…接合部材、80…ボンディングワイヤー、100…プリント配線基板、101,101a…端子実装面、102,102a,103,103a,104,104a,105,105a…辺、110…端子、112…実装領域、114…端子実装領域、121…メモリー操作端子群、122…第1高速通信端子群、123…第2高速通信端子群、124…第1低速通信端子群、125…第2低速通信端子群、131…CPU入出力端子群、132…電源端子群、133…定電圧端子群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7