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特許7400601車両用コミュニケーションランプユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】車両用コミュニケーションランプユニット
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/50 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020064961
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021160591
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】栗本英人
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-81048(JP,A)
【文献】特開2000-50366(JP,A)
【文献】特表2016-508231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
H05B 39/00-39/10
45/00-45/59
47/00-47/29
G09F 9/30- 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行方向および列方向の平面状に配列された光源のうち、所望の光源を適宜選択して発光せしめ、車外に対し、所要のメッセージを提示する車両用コミュニケーションランプユニットであって、
車両からの制御信号に基づいて前記所望の光源を選択する、単一の通信制御部を含むコントローラと、
M個の行方向ランプユニットと、
このM個の行方向ランプユニットに対応して設けられたM個のセンタ通信トランシーバとを備え、
行方向ランプユニットの各々は、
行方向に配列された複数の光源駆動ユニットを備え、
この光源駆動ユニットの各々は、
複数の光源素子を含む光源ブロックと、
この光源ブロックを発光駆動する光源駆動部と、
前記コントローラからの送られてくる表示制御信号を受信し、この表示制御信号を
前記光源駆動部に送出するローカル通信トランシーバとを備え、
前記複数の光源駆動ユニットは、前記センタ通信トランシーバに接続される通信バスに共通接続され、
前記M個のセンタ通信トランシーバは、前記通信制御部に接続される制御バスに共通接続されるとともに、前記M個のセンタ通信トランシーバの各々は、前記制御バスとは異なるM本のイネーブル制御ラインにより個別に前記通信制御部に接続されている
ことを特徴とする車両用コミュニケーションランプユニット。
【請求項2】
前記通信制御部は、前記M本の前記イネーブル制御ラインのうちの一つの制御ラインにON信号を送出することにより、前記M個のセンタ通信トランシーバのうちの一つのセンタ通信トランシーバを選択し、前記M個のセンタ通信トランシーバが順次、選択されることにより、平面状に配列された光源による表示が行われることを特徴とする請求項1記載の車両用コミュニケーションランプユニット。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に用いられるコミュニケーションランプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、車の自動運転、あるいは、運転支援システムの開発が進むとともに、車と車の近傍にいる人間あるいは外部環境とコミュニケーションを図ることができる車両用コミュニケーションランプユニットのニーズが高まりつつある。例えば、特許文献1は他者(歩行者、他車の運転者等)が伝達される情報を認知し易く、他者との意思疎通性の高い車両用コミュニケーションランプユニットを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-197010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複雑な構成、制御を要することなく、所要のコミュニケーションメッセージを車外に表示することができる車両用コミュニケーションランプユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、行方向および列方向の平面状に配列された光源のうち、所望の光源を適宜選択して発光せしめ、車外に対し、所要のメッセージを提示する車両用コミュニケーションランプユニットであって、車両からの制御信号に基づいて前記所望の光源を選択する、単一の通信制御部を含むコントローラと、M個の行方向ランプユニットと、このM個の行方向ランプユニットに対応して設けられたM個のセンタ通信トランシーバとを備え、行方向ランプユニットの各々は、行方向に配列された複数の光源駆動ユニットを備え、この光源駆動ユニットの各々は、複数の光源素子を含む光源ブロックと、この光源ブロックを発光駆動する光源駆動部と、前記コントローラからの送られてくる表示制御信号を受信し、この表示制御信号を前記光源駆動部に送出するローカル通信トランシーバとを備え、前記複数の光源駆動ユニットは、前記センタ通信トランシーバに接続される通信バスに共通接続され、前記M個のセンタ通信トランシーバは、前記通信制御部に接続される制御バスに共通接続されるとともに、前記M個のセンタ通信トランシーバの各々は、前記制御バスとは異なるM本のイネーブル制御ラインにより個別に前記通信制御部に接続される車両用コミュニケーションランプユニットを提供することにより上記課題は解決される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、より簡素化されたコントローラの構成、すなわち、単一の制御部により、光源ユニットの光源駆動制御が可能となり、複雑な回路構成、制御を要することなく、所要のコミュニケーションメッセージを車外に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は車両に設けられた、本発明の車両用コミュニケーションランプユニットを説明するための図である。
図2図2は本発明の車両用コミュニケーションランプユニットのブロック図である。
図3図3は本発明の車両用コミュニケーションランプユニットのより詳細なブロック図である。
図4図4はLED点灯ブロック駆動ユニットのブロック図である。
図5図5はECU2内のセンタ通信トランシーバ31、32,33に対するイネーブルタイミングを説明するための図である。
図6図6はLED点灯ブロック駆動ユニットの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態1)
以下、本発明の車両用コミュニケーションランプユニットの一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
本発明の一実施形態に係る車両用コミュニケーションランプユニットは、例えば、図1に示されるように、車両前部の、いわゆるフロントカウルと呼ばれる部分に設けられる。
【0010】
図2は、本発明の一実施形態に係る車両用コミュニケーションランプユニットのブロック図を示す。図2に示されるように本発明の一実施形態に係る車両用コミュニケーションランプユニットは、光源ユニット1と、車両からの制御信号(例えば、CAN信号)に基づき光源ユニット1を駆動制御するECU(Electronic Control Unit)2を含む。ECU2は、光源ユニット1における表示の制御を行うコントローラ21と、光源ユニット1により表示されるべき表示のパターンを記憶するメモリ22を有して構成される。
【0011】
ECU2内のコントローラ21は、車両からのCAN信号(例えば、車両の速度、ギアポジション、ターンシグナル、ブレーキシグナルの情報)に基づき、光源ユニット1において表示されるべきメッセージパターンに対応する表示データをメモリ22から読み出し、この表示データに対応する表示制御信号を生成して光源ユニット1に送出する。
【0012】
図3は、ECU2のコントローラ21および光源ユニット1の内部ブロック図である。コントローラ21は、通信制御部211を備えている。この通信制御部211は、光源ユニット1に対する信号のやりとりを、センタ通信トランシーバ31~38を介して制御する。光源ユニット1内は、マトリックス状に配列されたLED点灯ブロック駆動ユニット(31-1~31-16,32-1~32-16・・・38-1~38-16)(光源駆動部)を含む。
【0013】
例えば、センタ通信トランシーバ31は、行方向に共通接続されたLED点灯ブロック駆動ユニット31-1~31-16に対する表示制御信号を生成し、通信バス31aに送出する。この表示制御信号は一つのLED点灯ブロック駆動ユニットを指定するアドレス信号とLED点灯ブロック駆動ユニット内のそのLEDを点灯せしめるかの情報を含む。例えば、一つのLED点灯ブロック内に12個のLED素子が設けられているとすると、12ビットの点灯駆動信号となる。これらのアドレス信号と点灯駆動信号は連続して生成され、その前後には、所定のスタート信号、エンド信号が付されるかもしれない。
【0014】
図4は、LED点灯ブロック駆動ユニット31-1の内部ブロック図を示す。LED点灯ブロック駆動ユニット31-1は、ローカル通信トランシーバ3111と、光源駆動部3112と、LED点灯ブロック3113-1~3113-12を含む。ローカル通信トランシーバ3111は、センタ通信トランシーバ31から送られてくる表示制御信号が、同信号に含まれるアドレス信号に基づき、自ユニット宛のものか否か判定し、自ユニット宛のものであれば、後続する点灯駆動信号を取り込み、光源駆動部3112に送る。光源駆動部3112は、送られてくる点灯駆動信号に基づき、LED点灯ブロック3113-1~3113-12のうちの、指定されたLEDを点灯する。
【0015】
このようにして、一つの行方向に対し、例えば、16個のLED点灯ブロック駆動ユニット31-1~31-16が設けられ、各々が12個のLED素子を含むとすると、16×12=192個のLED素子の駆動がこの表示制御信号により可能となる。
【0016】
本実施態様においては、このような行が縦方向に、例えば、8行設けられており、8個のセンタ通信トランシーバ31~38が夫々に通信バス31a~38aを介して共通接続されたLED点灯ブロック駆動ユニット31-1~31-16,32-1~32-16,・・・38-1~38-16に対し、同様に表示制御信号を送出する。
【0017】
コントローラ21内の通信制御部211と、センタ通信トランシーバ31~38との間は、共通通信バス2110により共通接続されているので、通信制御部211は、送出する表示制御信号が、どの行に対する表示制御信号であるのか指定する必要がある。そこで、本発明の車両用コミュニケーションランプユニットによれば、通信制御部211と、センタ通信トランシーバ31~38の各々との間は、共通制御バス2110とは別に、イネーブル制御ライン2111~2118により、それぞれ接続される。
【0018】
したがって、通信制御部211は、例えば、第1行目のLED点灯ブロックを駆動するときは、図5に示すようにイネーブル制御ライン2111をONとし、その他のイネーブル制御ライン2112~2118をOFFとする。同様に、第2行目のLED点灯ブロックを駆動するときは、イネーブル制御ライン2112をONとし、その他のイネーブル制御ライン2111,2113~2118をOFFとする。このようにして、通信制御部211は、イネーブル制御ライン2111~2118をONまたはOFFして、所要のセンタ通信トランシーバ31~38を選択することによって、表示が行われるべき行を選択する。
【0019】
図6は、ローカル通信トランシーバ3111の受信動作を説明するための動作フローチャートである。ローカル通信トランシーバ3111は、センタ通信トランシーバ31から通信バス31aを介して送出されてくる表示制御信号中のアドレス信号をチェックすることにより、その表示制御信号がLED点灯ブロック駆動ユニット31-1宛てのものか否かチェックする(ステップS61)。LED点灯ブロック駆動ユニット31-1宛てのものであると判定されると、ローカル通信トランシーバ3111は、後続する12ビットの点灯駆動信号を取り入れ(ステップS62)、この12ビットの点灯駆動信号を光源駆動部3112に送出する。光源駆動部3112は、この12ビットの点灯駆動信号に基づき、接続されている12個のLED点灯ブロック3113-1~3113-12の点灯制御を行う(ステップS63)。
【0020】
本実施形態によると、縦方向に8個の行方向ランプユニットを設け、行方向ランプユニットの各々は、16個のLED点灯ブロックが横方向に連なり、かつ、各LED点灯ブロックは12個の発光素子を備えているので、8×16×12の画素によるメッセージディスプレイが可能となる。
【0021】
本実施形態によると、コントローラ21内に設けられた単一の通信制御部211により、光源ユニット1による、すべての表示制御が行われるので、回路ハード構成の簡素化、制御フローの簡素化をはかることができる。
【0022】
本実施形態では、縦方向にM個の行方向ランプユニットを設け、行方向ランプユニットの各々は、N個のLED点灯ブロックが横方向に連なる、いわゆるM×Nのマトリクス状のディスプレイを説明したが、行方向ランプユニットの各々は、異なる数のLED点灯ブロックを横方向に連ねてもよい。すなわち、1個目の行方向ランプユニットは16個の光源駆動ユニットを含み、2個目の行方向ランプユニットは15個の光源駆動ユニットを含み、3個目の行方向ランプユニットは14個の光源駆動ユニットを含むという具合である。
【0023】
本実施形態では、車両前部の、いわゆるフロントカウルと呼ばれる部分に設けられようにしたが、本発明はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の車両用コミュニケーションランプユニットは、車両後部のリア部分、あるいは、車体のいかなる一部分においても設置可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 光源ユニット
2 ECU
21 コントローラ
22 メモリ
211 通信制御部
31~38 センタ通信トランシーバ
2110 共通通信バス
2111~2118 イネーブル制御ライン
31-1~31-16,32-1~32-16,・・38-1~38-16 LED点灯ブロック駆動ユニット
31a~33a 通信バス
3111 ローカル通信トランシーバ
3112 光源駆動部
3113-1~3113-12 光源素子

図1
図2
図3
図4
図5
図6