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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】光レセプタクル
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/32 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
G02B6/32
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020066190
(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公開番号】P2021162779
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】川村 正信
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10036861(US,B1)
【文献】国際公開第2018/037958(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0036732(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状の光軸方向に沿って延びる光ファイバと、
第1端面及び逆の第2端面を含む円柱状の外形を有し、前記第1端面側から前記第2端面側に向かって延在する第1内孔が設けられ、前記第1内孔に前記光ファイバを収納するスタブと、
前記スタブの外周に一致する内周を有する第2内孔が設けられた保持部品であって、前記スタブが前記第2内孔を貫通した状態で前記保持部品に対して固定される保持部品と、
前記スタブの前記第1端面側の第1部分を収納する第3内孔が設けられたスリーブと、
前記スタブの前記第2端面に露出する前記光ファイバの先端から出射する光をコリメート光に変換するように構成されたコリメートレンズを有するレンズ部品であって、前記スタブの外周に一致する内周を有する第1凹部と、前記光軸方向において前記第1凹部及び前記コリメートレンズの間に位置する第2凹部と、が設けられたレンズ部品と、
を備え、
前記スタブの前記第2端面は、前記スタブの中心軸に直交する面に対して傾斜しており、
前記レンズ部品を前記光軸方向から見たとき、前記第2凹部の外周は、前記第1凹部の外周の内側に位置し、前記レンズ部品の前記第1凹部には前記第2凹部を囲むように底面が設けられ、
前記スタブの前記第2端面が前記底面に面接触又は線接触するように前記スタブの前記第2端面側の第2部分が前記第1凹部内に挿入されて固定され、
前記第1凹部の前記底面は、前記レンズ部品の光軸に交差する第1底面と、前記第1底面及び前記コリメートレンズの間に設けられる第2底面とを有し、前記第1底面及び前記第2底面の間に段差が設けられ、
前記スタブの前記第2端面は、前記第1底面と前記段差とによって画定される直線に線接触する、光レセプタクル。
【請求項2】
前記第1底面は、前記レンズ部品の光軸に直交し、
前記直線は、仮想線を含み、前記仮想線上において前記コリメートレンズの光軸と交差する、
請求項に記載の光レセプタクル。
【請求項3】
前記スタブの中心軸に直交する面に対する、前記スタブの前記第2端面の傾斜角度は、3°以上10°以下である、
請求項1または請求項2に記載の光レセプタクル。
【請求項4】
前記コリメートレンズは、前記第2凹部に突出する第1凸曲面を有する、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の光レセプタクル。
【請求項5】
前記レンズ部品には、前記コリメートレンズを基準として前記第2凹部とは逆に位置する第3凹部が設けられており、前記コリメートレンズは、前記第3凹部内に突出すると共に前記第1凸曲面と光軸が一致する第2凸曲面を有する、
請求項に記載の光レセプタクル。
【請求項6】
前記保持部品は、前記光ファイバの光軸に対して直交する方向に延びる基準面を有する、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の光レセプタクル。
【請求項7】
前記スリーブの全体を収容する第4内孔が設けられたリテーナを更に備え、前記リテーナの一端が前記保持部品に取り付けられている、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の光レセプタクル。
【請求項8】
前記レンズ部品の前記底面は、前記光ファイバの先端が前記コリメートレンズの焦点の位置と一致するように設けられている、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の光レセプタクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光レセプタクルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光ファイバを保持する保持部材と光ファイバから出射された光をコリメート光に変換するレンズとを備えた光通信用の光学部品が開示されている。この光学部品は、光ファイバ先端とレンズとの間の距離(空隙S)を自由に調整できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-193006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の光学部品は、光ファイバ先端とレンズとの間の距離を自由に調整できる構成であることから、光学部品から出射されるコリメート光が製品毎にばらついてしまう虞がある。また、光ファイバの光軸とレンズの光軸とのズレが製品毎に異なってしまう可能性があり、この点でも光学部品から出射されるコリメート光が製品毎にばらつく虞がある。
【0005】
本開示は、出射されるコリメート光の製品毎のバラツキを抑えた光レセプタクルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、光レセプタクルを開示する。この光レセプタクルは、光ファイバ、スタブ、保持部品、スリーブ、及び、レンズ部品を備える。光ファイバは、直線状の光軸方向に沿って延びる。スタブは、第1端面及び逆の第2端面を含む円柱状の外形を有する。スタブには、第1端面側から第2端面側に向かって延在する第1内孔が設けられ、第1内孔に光ファイバを収納する。保持部品には、スタブの外周に一致する内周を有する第2内孔が設けられ、スタブが第2内孔を貫通した状態で保持部品に対して固定される。スリーブには、スタブの第1端面側の第1部分を収納する第3内孔が設けられる。レンズ部品は、スタブの第2端面に露出する光ファイバの先端から出射する光をコリメート光に変換するように構成されたコリメートレンズを有する。レンズ部品には、スタブの外周に一致する内周を有する第1凹部と、光軸方向において第1凹部及びコリメートレンズの間に位置する第2凹部と、が設けられる。この光レセプタクルでは、レンズ部品を光軸方向から見たとき、第2凹部の外周は、第1凹部の外周の内側に位置し、レンズ部品の第1凹部には第2凹部を囲むように底面が設けられる。スタブの第2端面が底面に面接触又は線接触するようにスタブの第2端面側の第2部分が第1凹部内に挿入されて固定される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、出射されるコリメート光の製品毎のバラツキを抑えた光レセプタクルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る光レセプタクルの断面を示す断面図である。
図2図2は、図1に示す光レセプタクルに用いられるレンズ部品を示す斜視図である。
図3図3は、第2実施形態に係る光レセプタクルの断面を示す断面図である。
図4図4は、第3実施形態に係る光レセプタクルの断面を示す断面図である。
図5図5は、図4に示す光レセプタクル30に用いられるレンズ部品を示す斜視図である。
図6図6は、図5に示すレンズ部品を第1端面から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態を列記して説明する。本開示の一実施形態に係る光レセプタクルは、光ファイバ、スタブ、保持部品、スリーブ、及び、レンズ部品を備える。光ファイバは、直線状の光軸方向に沿って延びる。スタブは、第1端面及び逆の第2端面を含む円柱状の外形を有する。スタブには、第1端面側から第2端面側に向かって延在する第1内孔が設けられ、第1内孔に光ファイバを収納する。保持部品には、スタブの外周に一致する内周を有する第2内孔が設けられ、スタブが第2内孔を貫通した状態で保持部品に対して固定される。スリーブには、スタブの第1端面側の第1部分を収納する第3内孔が設けられる。レンズ部品は、スタブの第2端面に露出する光ファイバの先端から出射する光をコリメート光に変換するように構成されたコリメートレンズを有する。レンズ部品には、スタブの外周に一致する内周を有する第1凹部と、光軸方向において第1凹部及びコリメートレンズの間に位置する第2凹部と、が設けられる。この光レセプタクルでは、レンズ部品を光軸方向から見たとき、第2凹部の外周は、第1凹部の外周の内側に位置し、レンズ部品の第1凹部には第2凹部を囲むように底面が設けられる。スタブの第2端面が底面に面接触又は線接触するようにスタブの第2端面側の第2部分が第1凹部内に挿入されて固定される。
【0010】
この光レセプタクルでは、光ファイバからの光をコリメート光に変換するレンズ部品に第1凹部が設けられており、光ファイバを収納するスタブの第2端面側の第2部分がこの第1凹部に挿入される。そして、この第1凹部の底面とスタブの第2端面とが面接触又は線接触し、これにより、スタブに収納される光ファイバの先端(光の出射端)とコリメートレンズとの間の距離が画一的に画定される。よって、この構成によれば、光ファイバの先端とコリメートレンズとの間の距離を製品毎に同じものとすることが確実に実行でき、これにより、出射されるコリメート光の製品毎のバラツキを抑えた光レセプタクルを提供することができる。また、レンズ部品として、第1凹部の中心軸とコリメートレンズの光軸とが一致するように予め調整しておくことが可能となるため、光ファイバの光軸とコリメートレンズの光軸との間のズレを低減しておくことも可能となる。更に、第1凹部の底面とコリメートレンズとの間の距離はレンズ部品によって決まるため、光レセプタクルの組立の際に、かかる距離の調整作業を不要とし又はその負荷を大きく軽減することができきるため、光レセプタクルの組立性を大きく向上させることができる。
【0011】
一実施形態として、スタブの第2端面は、スタブの中心軸に直交する面に対して第1角度で傾斜しており、第1凹部の底面は、レンズ部品の光軸に直交する面に対して第2角度で傾斜していてもよい。そして、第1角度と第2角度とが同じであり、スタブの第2端面が底面に面接触してもよい。この場合、スタブの第2端面がレンズ部材の第1凹部の底面に面接触するため、スタブとレンズ部材との相互位置関係を高精度に規定することができ、スタブに収納される光ファイバの先端(光の出射端)とレンズ部品のコリメートレンズとの間の距離を高精度に画一的に画定することができる。また、この場合、光ファイバの先端の端面が斜め研磨されていることから、光ファイバから出射した光がコリメートレンズにて反射してもその反射戻り光がそのまま光ファイバに入ってしまうことを抑制することができる。また、この場合、反射戻り光を防止するための反射防止膜を光ファイバ等に設けない構成を採用することができ、高温環境下での反射防止膜の剥離やそれに伴う環境対策等を回避または低減することができる。なお、この場合において、第1角度及び第2角度が3°以上10°以下であってもよい。
【0012】
一実施形態として、スタブの第2端面は、スタブの中心軸に直交する面に対して第1角度で傾斜しており、第1凹部の底面は、レンズ部品の光軸に交差する第1底面と、第1底面及びコリメートレンズの間に設けられる第2底面とを有し、第1底面及び第2底面の間に段差が設けられてもよい。スタブの第2端面は、第1底面と段差とによって画定される直線に線接触してもよい。この場合、上記同様、光ファイバの先端の端面が斜め研磨されていることから、反射戻り光がそのまま光ファイバに入ってしまうことを抑制できる。また、スタブの第2端面と第1凹部の底面とが線接触する構成であることから、両者が面接触する場合に比べて、製造バラツキによる接触部分でのずれの発生が少なくなり、スタブに収納される光ファイバの先端(光の出射端)とレンズ部品のコリメートレンズとの間の距離をより一層、画一的に画定することができる。なお、この実施形態において、第1底面は、レンズ部品の光軸に直交し、直線は、仮想線を含み、仮想線上において、コリメートレンズの光軸と交差してもよい。また、第1角度が3°以上10°以下であってもよい。
【0013】
一実施形態として、コリメートレンズは、第2凹部に突出する第1凸曲面を有してもよい。この場合、コリメートレンズのレンズ面が曲面となるため、コリメートレンズで反射する入射光を発散させて、光ファイバへの反射戻り光を更に低減することが可能となる。
【0014】
一実施形態として、レンズ部品には、コリメートレンズを基準として第2凹部とは逆に位置する第3凹部が設けられていてもよく、コリメートレンズは、第3凹部内に突出すると共に第1凸曲面と光軸が一致する第2凸曲面を有してもよい。この場合、コリメート光を出射する第2凸曲面がやや内側に位置するため、光レセプタクルを光モジュール等に取り付ける際、第2凸曲面がかかる取付けを阻害することを抑制できる。
【0015】
一実施形態として、保持部品は、光ファイバの光軸に対して直交する方向に延びる基準面を有してもよい。この場合、WDMフィルタなどの光学フィルタを有する光モジュールにこの光レセプタクルを取り付ける際、フィルタに入射する光の光軸角度の調整といった作業を簡易なものとすることができる。
【0016】
一実施形態として、この光レセプタクルは、スリーブの全体を収容する第4内孔が設けられたリテーナを更に備えてもよく、リテーナの一端が保持部材に取り付けられていてもよい。この場合、リテーナを用いて、光レセプタクルに対する外部の光コネクタの取り付けを容易に行うことが可能となる。
【0017】
一実施形態として、レンズ部品の底面は、光ファイバの先端がコリメートレンズの焦点の位置と一致するように設けられていてもよい。この場合、光レセプタクルの組立の際、光ファイバの先端とコリメートレンズとの位置関係の調整作業を不要とし又はその負荷を大きく軽減することができきるため、光レセプタクルの組立性を大きく向上させることができる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る光レセプタクルの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る光レセプタクルの断面を示す断面図である。図2は、図1に示す光レセプタクルに用いられるレンズ部品を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、光レセプタクル10は、リテーナ11、スリーブ12、スタブ13、光ファイバ14、保持用金具15(保持部品)、及び、レンズ部品20を備えて構成されている。図1に示す光レセプタクル10の中心軸Gは、光レセプタクル10の光軸に一致し、上述した各部材の中心軸又は光軸にも一致する。リテーナ11は、内部に内孔11aを有し、内孔11a内にスリーブ12を収納する。スリーブ12は、スタブ13の中心軸(光ファイバ14の光軸)と、光レセプタクル10に挿入されて接続される外部の光コネクタ(例えばLCコネクタ等)の光ファイバ(不図示)の光軸とを整列させるセラミック製の部材である。スリーブ12の内孔12aには、スタブ13の第1端面13a側の部分13dが挿入される。なお、以下の説明では、光ファイバ14の光軸(中心軸G)に沿った方向を光軸方向と称する場合がある。
【0020】
スタブ13は、円柱状の外形を有するセラミック製の部材である。スタブ13は、円柱状の外形の一端に第1端面13aを有し、円柱状の外形の他端に第2端面13bを有する。スタブ13には、第1端面13aから第2端面13bに向かって延在する貫通孔である内孔13cがその内部に設けられている。内孔13cは、スタブ13の外径と同軸となるように形成されており、内孔13cには光ファイバ14が収納される。すなわち、内孔13cの長手方向(光軸方向)に延びる中心軸は、スタブ13の外径の長手方向(光軸方向)に延びる中心軸とほぼ一致する。光ファイバ14は、例えば、1つのコアと当該コアの外周を取り囲むクラッドとを備えて構成される。光ファイバ14は長手方向(光軸方向)に沿って延びて内孔13cと同じ長さを有し、その先端面14aがスタブ13の第2端面13bから露出する。
【0021】
スタブ13の第1端面13aは、スタブ13の中心軸又は光ファイバ14の光軸に直交する面である。一方、スタブ13の第2端面13bは、スタブ13の中心軸又は光ファイバ14の光軸に直交する面に対して所定の角度(第1角度)で傾斜する。第2端面13bの当該直交する面に対する傾斜角度(第1角度)は、例えば3°以上10°以下であり、一例として6°である。スタブ13内に収納され、その先端が第2端面13bから露出する光ファイバ14の先端面14aも同様な角度で傾斜しており、スタブ13の第2端面13bと光ファイバ14の先端面14aとは面一となっている。このように光ファイバ14が光軸に垂直な面に対して斜めカットされた先端面14aを有していることにより、外部から先端面14aに入射したフレネル反射光が光ファイバ14内を伝搬できず、光ファイバ14への反射戻り光を第1端面13aから入射した入力光に対して、例えば40dB以上減衰させることができる。なお、光ファイバ14の先端面14aには反射防止コート(ARコート)は形成されていなくてもよいが、形成されていてもよい。
【0022】
保持用金具15は、略円板形状の外形を呈するステンレス製の部材である。保持用金具15は、円板状のフランジ部15aと本体部15bとを有する。本体部15bは、円柱状の外形を有する。円板状のフランジ部15aの中心軸は、本体部15bの中心軸と一致する。それらの中心軸は、光ファイバ14の光軸と重なるように設けられる。フランジ部15aの外周は、本体部15bの外周よりも大きな直径あるいは半径を有する。フランジ部15aは、光レセプタクル10の光モジュール等への取り付けに用いられる基準面15cを有する。基準面15cは、フランジ部15aの本体部15b側に設けられている。基準面15cは、フランジ部15aの中心軸に直交する面である。
【0023】
また、保持用金具15には、フランジ部15aの中心軸に沿ってフランジ部15aから本体部15bの途中までの内側に第1穴部15dが設けられており、本体部15bの残り部分の内側に第2穴部15eが設けられている。第2穴部15eは、本体部15bを中心軸に沿って貫通する。第1穴部15dには、リテーナ11の一端11b及びスリーブ12の一端12bが挿入され、リテーナ11及びスリーブ12が保持用金具15に取り付けられる。詳細には、リテーナ11の一端11bは、保持用金具15の第1穴部15dに圧入され、リテーナ11および保持用金具15は、互いに強固に固定される。なお、リテーナ11の一端11bは、接着によって保持用金具15の第1穴部15dに固定されてもよい。リテーナ11は、例えば、円柱状の外形を有するステンレス製の部材である。スリーブ12は、例えば、円柱状の外形を有するジルコニア製の部材である。スリーブ12の外形は、リテーナ11の外形よりも小さい。スリーブ12は、リテーナ11の内部(内孔11a)に収納される。上述したように、スリーブ12は、内部にスタブ13の部分13dを収納する。なお、リテーナ11と保持用金具15とが互いに一体化された部品から構成され、その中にスリーブ12が収納される形態であってもよい。この形態の場合、両部材の軸合せや相対的な位置等の調整が不要となる。
【0024】
保持用金具15の第2穴部15eは、中心軸に直交する断面において円形であり、その内径(内周)がスタブ13の外径(外周)と一致する穴であり、スタブ13はこの第2穴部15eを貫通した状態となるように圧入される。これにより、保持用金具15とスタブ13との位置関係が規定され、スタブ13が保持用金具15に対して所定の位置で固定される。特に、スタブ13の収納する光ファイバ14の光軸が基準面15cに直交するように固定される。なお、例えば、セラミック製の材料によって形成されたスタブ13が、ステンレス製の保持用金具15に圧入されるときに、スタブ13が第2穴部15eの内径を若干広げて貫通することも考え得る。その場合、スタブ13が第2穴部15eに圧入されていない状態では、第2穴部15eの内径(内周)は、スタブの外形(外周)よりも若干小さくなっていてもよい。また、スタブ13が保持用金具15に圧入された状態において、スタブ13が第2穴部15eに対してがたつきを生じない程度にスタブ13の外形(外周)は第2穴部15eの内径(内周)よりも小さくてもよい。また、保持用金具15の第2穴部15eにスタブ13を圧入する際、所定のジグ等を用いることにより、保持用金具15の一端面15fから突出するスタブ13の部分13eの突出量を製品毎にばらつかないようにすることが可能である。保持用金具15(第2穴部15e)では、その中心軸とスタブ13の中心軸及び光ファイバ14の光軸とが一致するようになっている。なお、保持用金具15の第2穴部15eの光軸方向に沿った長さは、例えば、0.5mm以上2.0mm以下である。
【0025】
レンズ部品20は、円筒形状を呈するプラスチック製の光学部材であり、その内部にコリメートレンズ21を有している。レンズ部品20には、コリメートレンズ21の光軸方向に沿って、第1端面20aから第2端面20bに向かって、第1凹部22、第2凹部23、及び第3凹部24が順に設けられている。第2凹部23と第3凹部24との間にコリメートレンズ21が位置する。第1凹部22、第2凹部23及び第3凹部24はいずれも円筒形状の開口であり、第1凹部22から第3凹部24の中心軸がコリメートレンズ21の光軸に一致する。第1凹部22および第2凹部23は、第1端面20aに設けられ、第3凹部24は、第2端面20bに設けられている。
【0026】
コリメートレンズ21は、第2凹部23側に突出する第1凸曲面21aと第3凹部24側に突出する第2凸曲面21bとを含んで構成され、光ファイバ14の先端面14aから出射される光をコリメート光に変換する。変換されたコリメート光は、第2凸曲面21bから光軸に沿って出射される。コリメートレンズ21は、第2端面20b側から光軸に沿って入射した光(コリメート光)を光ファイバ14の先端面14aに集光する。コリメートレンズ21の焦点距離(第1凸曲面21aから光ファイバ14の先端面14aまでの距離)については、第2凹部23の深さを所定の距離に設定しておくことにより、適切に確保される。このように、光レセプタクル10では、コリメートレンズ21の入射側の第1凸曲面21aが曲面形状であるため、レンズ表面からの反射光が発散する。このため、光ファイバ14に結合する反射戻り光は入力光量に対して例えば35dB程度減衰する。一般的な光モジュールでの反射戻り光量は入力光に対して26dB以上減衰することが好ましいが、本実施形態であれば、十分な減衰量であり、良好な特性を得ることが可能となる。
【0027】
第1凹部22は、レンズ部品20の光軸に直交する断面において円形であり、その内径がスタブ13の外径と一致する大きさであり、スタブ13(部分13e)が第1凹部22に圧入されることにより、スタブ13に保持される光ファイバ14とコリメートレンズ21の光軸とが一致する。これにより、光ファイバ14とコリメートレンズ21との偏芯量を所定の範囲内に抑えるよう好適に制御することができる。なお、例えば、セラミック製の材料によって形成されたスタブ13が、プラスチック製の光学部材で形成されたレンズ部品20に圧入されるときに、スタブ13が第1凹部22の内径を若干広げて嵌合することも考え得る。その場合、スタブ13が第1凹部22に圧入されていない状態では、第1凹部22の内径(内周)は、スタブ13の外形(外周)よりも若干小さくなっていてもよい。また、スタブ13がレンズ部品20に圧入された状態において、スタブ13が第1凹部22に対してがたつきを生じない程度に第1凹部22の内径(内周)はスタブの外形(外周)よりも大きくてもよい。なお、スタブ13の部分13eは、圧入ではなく、接着によってレンズ部品20の第1凹部22に固定されてもよい。この場合も同様に、光ファイバ14とコリメートレンズ21との偏芯量を好適に制御することができる。偏芯量は、光ファイバ14の光軸とコリメートレンズ21の光軸との間のズレ量(距離)に相当し、小さい値であることが好ましい。接着によってスタブ13の部分13eが第1凹部22に固定される場合、上述の圧入の場合と比べて、第1凹部22の内径(内周)はスタブの外形(外周)よりもさらに大きくてもよい。第2凹部23は、レンズ部品20の光軸に直交する断面において円形であり、その内径が第1凹部22の内径よりも小さい。このため、第1凹部22に底面22aが形成される。つまり、レンズ部品20を光軸方向から見たとき、第2凹部23の外周は第1凹部22の外周の内側に位置し、第2凹部23を囲むように第1凹部22に底面22aが設けられる。
【0028】
また、底面22aは、上述したスタブ13の第2端面13bに面接触するように、第2端面13bと平行な傾斜角度(第2角度)を有している。第1凹部22の深さは、スタブ13のうち保持用金具15から突出した部分13eの突出量と同じか又はそれよりも短くなっており、スタブ13の第2端面13bが第1凹部22の底面22aに確実に面接触するように構成されている。スタブ13の第2端面13bがレンズ部品20の底面22aと面接触することにより、スタブ13に保持される光ファイバ14の先端面14aとコリメートレンズ21との間の距離が第2凹部23の深さにより一律に決定される。なお、第1凹部22の深さは、スタブ13をレンズ部品20に確実に固定させるため、例えば1mm以上であってもよい。また、レンズ部品20の底面22aは、光レセプタクル10が組み立てられた際に、光ファイバ14の先端面14aがコリメートレンズ21の焦点位置と一致するように設けられている。
【0029】
このようなレンズ部品20は、例えば、ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂、商品名:ウルテム(登録商標))から形成することができる。レンズ部品20は、ガラス等から形成してもよい。なお、レンズ部品20の第1凹部22とスタブ13の外周にキー溝構成を設けて、それぞれが傾斜面を有する第1凹部22の底面22aとスタブ13の第2端面13bとが容易に面接触するように予め設定しておいてもよい。これにより、光レセプタクルの組立性をより一層向上することができる。
【0030】
以上、本実施形態に係る光レセプタクル10では、光ファイバ14からの光をコリメート光に変換するレンズ部品20に第1凹部22が設けられており、光ファイバ14を収納するスタブ13の第2端面13b側の部分13eが第1凹部22に挿入(圧入)される。そして、第1凹部22の底面22aとスタブ13の第2端面13bとが面接触し、これにより、スタブ13に収納される光ファイバ14の先端面14a(光の出射端)とコリメートレンズ21との間の距離が画一的に画定される。よって、本実施形態によれば、光ファイバ14の先端面14aとコリメートレンズ21との間の距離を製品毎に同じものとすることが確実に実行でき、これにより、出射されるコリメート光の製品毎のバラツキを抑えた光レセプタクル1を提供することができる。コリメート光のバラツキを抑えることにより、例えば、光レセプタクル10を通信用光デバイス(光モジュール)の光学系と光学的に結合させるときに調芯の誤差による結合効率の劣化を抑制することができる。
【0031】
また、レンズ部品20として、第1凹部22の中心軸とコリメートレンズ21の光軸とが一致するように予め調整しておくことが可能となるため、光ファイバ14の光軸とコリメートレンズ21の光軸との間のズレを低減することも可能となる。更に、第1凹部22の底面22aとコリメートレンズ21との間の距離(すなわち、第2凹部23の深さ)がレンズ部品20によって予め決められているため、光レセプタクル1の組立の際に、かかる距離の調整作業を不要とし又はその負荷を大きく軽減することができきる。その結果、光レセプタクル1の組立性を大きく向上させることができる。
【0032】
また、本実施形態では、スタブ13の第2端面13bは、スタブ13(特に部分13e)の中心軸に直交する面に対して第1角度で傾斜し、第1凹部22の底面22aは、レンズ部品20の光軸(中心軸)に直交する面に対して第2角度で傾斜し、部分13eが第1凹部22に嵌ることでそれぞれの中心軸が一致し、これら第1角度と第2角度とが同じである。このように光ファイバ14の先端面14aが斜め研磨されていることから、光ファイバ14から出射した光がコリメートレンズ21にて反射してもその反射戻り光がそのまま光ファイバ14に入ってしまうことを抑制することができる。また、この場合、反射戻り光を防止するための反射防止膜を光ファイバ14等に設けない構成を採用することができ、高温環境下での反射防止膜の剥離やそれに伴う環境対策等を回避または低減することができる。なお、スタブ13の第2端面13bや第1凹部22の底面22aの傾斜面の角度は、3°以上10°以下であってもよい。また、このようにレンズ部品20の第1凹部22の底面22aの傾斜角度(第2角度)がスタブ13の第2端面13bの傾斜角度(第1角度)と一致するときに、第2端面13bは底面22aに面接触可能となるが、第2角度が第1角度と異なると、完全には面接触しなくなり得る。しかし、そのような場合でも、光ファイバ14の先端面14aとコリメートレンズ21との距離が所定の許容誤差内に入っていれば、第2端面13bと底面22aを可能な限り近づけることで十分な結合効率を得ることができる。従って、このような状態であれば、第1角度と第2角度とが若干ズレていても底面22aと第2端面13bとはほぼ面接触の状態にあると考えることができる。
【0033】
また、本実施形態では、コリメートレンズ21は、第2凹部23に突出する第1凸曲面21aを有している。このようにコリメートレンズ21のレンズ面が曲面であるため、コリメートレンズ21で反射する入射光を発散させて、光ファイバ14への反射戻り光を更に低減することが可能となる。
【0034】
また、本実施形態では、レンズ部品20には、コリメートレンズ21を基準として第2凹部23とは逆に位置する第3凹部24が設けられており、コリメートレンズ21は、第3凹部24内に突出すると共に第1凸曲面21aと光軸が一致する第2凸曲面21bを有している。この場合、コリメート光を出射する第2凸曲面21bがやや内側に位置するため、光レセプタクル1を光モジュール等に取り付ける際、第2凸曲面21bが、そのような取付けを阻害することを抑制できる。なお、コリメートレンズ21において、第2凸曲面21bを設けずに、光軸に対して3度以上10度以下の傾斜を持つ平面を第3凹部24の底面の設けてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、保持用金具15は、光ファイバ14の光軸に対して直交する方向に延びる基準面15cを有している。このため、例えば光トランシーバ等の筐体に光レセプタクル10を取り付ける際に、筐体に基準面15cと面接触する面を設けることで光レセプタクル10の光軸を筐体に対して所定の位置および方向に固定することができる。
WDMフィルタなどの光学フィルタを有する光モジュールにこの光レセプタクル10を取り付ける際、第2端面20bを光軸に対する基準面とし、光モジュールに第2端面20bと面接触する面を設けておくことで、フィルタに入射する光の光軸角度の調整といった作業を簡易なものとすることができる。なお、図1では第2端面20bは光軸に対して直交しているが、コリメート光の光モジュールへの入射角(あるいは光モジュールからの出射角)に応じて第2端面20bを光軸に直交する面に対して傾けて設けてもよい。
【0036】
また、本実施形態では、光レセプタクル10は、スリーブ12の全体を収容する内孔11aが設けられたリテーナ11を更に備えており、リテーナ11の一端11bが保持用金具15に取り付けられている。この場合、リテーナ11を用いて、光レセプタクル10に対する外部の光コネクタの取り付けを容易に行うことが可能となる。
【0037】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る光レセプタクル30では、スタブ13を保持固定する保持用金具35の構成が第1実施形態と異なっている。以下、主に第1実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0038】
図3は、第2実施形態に係る光レセプタクル30の断面を示す断面図である。図3に示すように、光レセプタクル30は、リテーナ11、スリーブ12、スタブ13、光ファイバ14、保持用金具35(保持部材)、及び、レンズ部品20を備えて構成されている。図3は、光ファイバ14の光軸を含む平面を断面とする光レセプタクル30の断面図である。
【0039】
保持用金具35は、スリーブ12側の構成は第1実施形態と同様であるが、レンズ部品20側の構成が第1実施形態と相違している。即ち、保持用金具35には、スタブ13の部分13eが挿入されて固定されるレンズ部品20の全体を収納する第3穴部35cが更に設けられている。第3穴部35cは、その底面35dから開口の縁の面35eまでの距離である深さがレンズ部品20の厚みよりも長くなっており、レンズ部品20を第3穴部35c内に完全に収納する。例えば、第3穴部35cは、円柱状の穴であり、円筒状の形状を有するレンズ部品20を収納できる大きさとなっている。そのため、第3穴部35cの内径は、レンズ部品20の外径よりも大きい。第3穴部35cは、穴の中心軸が光ファイバ14の光軸やコリメートレンズ21の光軸と一致するように構成されている。なお、面35eは、これらの光軸に直交する面であり、光レセプタクル30をWDMフィルタなどのフィルタを有する光モジュールに取り付ける際、基準面として機能する。面35eを基準面として用いることにより、光ファイバ14及びコリメートレンズ21からのコリメート光が所定の角度でWDMフィルタ等に入射するようにすることができる。
【0040】
以上、本実施形態に係る光レセプタクル30では、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。更に、光レセプタクル30では、レンズ部品20全体が保持用金具35内に収納されている。このため、レンズ部品20を外部から保護することができる。
【0041】
[第3実施形態]
次に、本開示の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る光レセプタクル40では、レンズ部品120の第1凹部122の底面122aの形状が第2実施形態と異なっている。以下、主に第2実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0042】
図4は、第3実施形態に係る光レセプタクル40の光軸を含む平面で切ったときの断面を示す断面図である。図4に示すように、光レセプタクル40は、リテーナ11、スリーブ12、スタブ13、光ファイバ14、保持用金具35、及び、レンズ部品120を備えて構成されている。レンズ部品120は、円筒形状を呈するプラスチック製の光学部材であり、第2実施形態と同様に、その内部にコリメートレンズ21を有する。レンズ部品120は、第1端面120aから第2端面120bに向かって、第1凹部122、第2凹部123、及び第3凹部24が設けられている。
【0043】
ここで図5及び図6を参照して、レンズ部品120の構成についてより詳細に説明する。図5は、光レセプタクル40に用いられるレンズ部品120を示す斜視図である。図6は、レンズ部品120を第1端面120a側から見た側面図である。図5及び図6に示すように、レンズ部品120では、第2実施形態と異なり、第1凹部122の底面122aが第1底面122bと第2底面122cとに分かれて構成されている。第1底面122bおよび第2底面122cは、レンズ部品120の光軸と直交(交差)する半円状の面である。光軸方向において、第2底面122cは、第1底面122bよりも第2端面120b側に位置する。すなわち、光軸方向において、第2底面122cは、第1底面122bとコリメートレンズ21との間に位置する。あるいは、第1端面120aと第1底面122bとの間の距離は、第1端面120aと第2底面122cとの距離より短く設定されている。
【0044】
第1凹部122の底面122aでは、光軸方向から見たとき、第1底面122bおよび第2底面122cはそれぞれの外周によって一つの円を形成するように配置されている。すなわち、光軸に直交する円形の面を、光軸を通る中心線Y(直線)によって2つの半円に分けたとき、一方の半円が第1底面122bに相当し、他方の半円が第2底面122cに相当する。第1底面122bの位置と第2底面122cの位置とは、光軸方向において異なっている。第1底面122bと第2底面122cとの間には光軸を通る直線を含んで光軸方向に沿って延びる一対の段差122dが設けられている。各段差122dと第1底面122bとが接触する中心線Yは、光軸と直交する。図6において、中心線Yは、一対の線分として示されているが、中心線Yはそれら一対の線分同士を結ぶ仮想線(不図示)も含んでいる。中心線Yは、仮想線の中心においてレンズ部品120の中心軸と直交する。
【0045】
ここで、第3実施形態に係る光レセプタクル40による作用効果について、第1実施形態及び第2実施形態と対比して説明する。第1実施形態及び第2実施形態に係る光レセプタクル10,30では、スタブ13の第2端面13bは、スタブ13(特に部分13e)の中心軸に直交する面に対して第1角度で傾斜し、第1凹部22の底面22aは、レンズ部品20の光軸(中心軸)に直交する面に対して第2角度で傾斜し、これら第1角度と第2角度とが同じとなっている。この構成により、スタブ13の第2端面13bが第1凹部22の底面22aに面接触し、スタブ13に保持される光ファイバ14の先端面14aとコリメートレンズ21との間の距離が第2凹部23の深さにより一律に決定される。つまり、第1実施形態等ではコリメートレンズ21との距離の基準となる底面22aとスタブ13の第2端面13bとが面接触する構成であることから、光ファイバ14の先端面14aとコリメートレンズ21との間の距離を高精度に設定することができる。その一方、第1実施形態等では、製造バラツキにより、スタブ13の第2端面13bの第1角度とレンズ部品20の第1凹部22の底面22aの第2角度とが異なってしまう可能性がある。その場合、第1実施形態に係る光レセプタクル10等では、第2端面13bの傾斜方向と底面22aの傾斜方向とを一致させても第2端面13bと底面22aとが面接触しない。その結果、光ファイバ14の先端面14aとコリメートレンズ21との間の距離が所定の値から外れる虞がある。このため、第1実施形態に係る光レセプタクル10では、製造バラツキを抑制する必要があり、その分、製造コストが高くなる可能性がある。
【0046】
これに対し、第3実施形態では、スタブ13の第2端面13bは、第1実施形態等と同様に、スタブ13(特に部分13e)の中心軸に直交する面に対して第1角度で傾斜している。一方、第1凹部122の底面122aは、第1実施形態等と異なり、レンズ部品120の光軸(中心軸)に垂直な2つの半円状の平面(第1底面122bおよび第2底面122c)によって構成され、これら2つ半円状の平面に設けられた各段差122dと第1底面122bとによって画定される線(中心線Y)においてスタブ13の第2端面13bと線接触する。この中心線Yの光軸方向における位置は、第1凸曲面21aから光ファイバ14の先端面14aまでの距離が所定の距離となるように設定されている。このように、第3実施形態では、スタブ13の第2端面13bが底面122aの中心線Yと線接触する構成とすることで、面接触に必要とされる接触面積よりも接触面積が小さくてすみ、多少の製造バラツキによるずれ等があった場合でも、確実な接触を実現することができる。その結果、光ファイバ14の先端面14aとコリメートレンズ21との間の距離を、製造バラツキの影響をそれほど受けずに、一律に決定することが可能となる。また、ある程度の製造バラツキが許容されるため、その分、製造コストを下げることも可能となる。更に、光レセプタクル40では、第1底面122bと第2底面122cとがレンズ部品120の光軸方向に直交する構成であるため、中心線Yと第1凸曲面21aとの間の距離を精度よく設定することができる。従って、光ファイバ14の先端面14aとコリメートレンズ21との間の距離を、より確実且つより容易に、一律なものとすることができる。
【0047】
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な実施形態に適用することができる。例えば上記の実施形態では、スタブ13をレンズ部品20の第1凹部22に挿入する際、第2端面13b及び底面22aを傾斜面として両者が面接触するようにしたが、光反射防止の機能をいずれかの部材に設ける場合には、スタブ13の第2端面13bや第1凹部22の底面22aを傾斜面にせずに光ファイバ14の光軸に直交する面としてもよい。この場合であっても、第2端面13bと底面22aとが面接触することにより、光ファイバ14の先端面14aとコリメートレンズ21との距離や光軸を好適に制御することができるため、光レセプタクルから出射される光のバラツキを好適に抑えることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
10,30,40…光レセプタクル
11…リテーナ
11a…内孔
11b…一端
12…スリーブ
12a…内孔
12b…一端
13…スタブ
13a…第1端面
13b…第2端面
13c…内孔
13d,13e…部分
14…光ファイバ
14a…先端面
15,35…保持用金具
15a…フランジ部
15b…本体部
15c…基準面
15d…第1穴部
15e…第2穴部
15f…一端面
20,120…レンズ部品
20a,120a…第1端面
20b,120b…第2端面
21…コリメートレンズ
21a…第1凸曲面
21b…第2凸曲面
22,122…第1凹部
22a,122a…底面
23,123…第2凹部
24…第3凹部
35c…第3穴部
35d…底面
35e…面(基準面)
122b…第1底面
122c…第2底面
122d…段差
G…中心線
Y…中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6