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特許7400613光送信モジュール、光送受信モジュール、及び光モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】光送信モジュール、光送受信モジュール、及び光モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02325 20210101AFI20231212BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20231212BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H01S5/02325
H01L31/02 D
H01L31/02 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020078161
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021174892
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】黒川 宗高
(72)【発明者】
【氏名】原 弘
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-140306(JP,A)
【文献】特開2003-069131(JP,A)
【文献】特開2011-023383(JP,A)
【文献】特開2013-148825(JP,A)
【文献】特開2003-273410(JP,A)
【文献】特開2005-217090(JP,A)
【文献】特開2016-115721(JP,A)
【文献】特開2008-117980(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0281723(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00- 5/50
H01L 31/00-31/02
H01L 31/08-31/10
H01L 31/18
H10K 30/60-30/65
H10K 39/30
G02F 1/00- 1/125
G02F 1/21- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子と光結合された光変調素子と、
主面及び裏面を有する基板、前記基板の前記主面上に第1の温度制御素子を介して設けられ前記半導体レーザ素子を搭載する第1の搭載部、及び、前記基板の前記主面上に第2の温度制御素子を介して設けられ前記光変調素子を搭載する第2の搭載部を有する温調デバイスと、
前記基板の前記裏面と対向する底面を有し、前記半導体レーザ素子、前記光変調素子、及び前記温調デバイスを収容するパッケージと、
前記第1の温度制御素子と前記第2の温度制御素子との間に配置され、前記基板の前記主面に直接又は間接的に固着された裏面を有する中間ブロックと、
を備え
前記中間ブロック上には光学部品が搭載されている、光送信モジュール。
【請求項2】
半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子と光結合された光変調素子と、
主面及び裏面を有する基板、前記基板の前記主面上に第1の温度制御素子を介して設けられ前記半導体レーザ素子を搭載する第1の搭載部、及び、前記基板の前記主面上に第2の温度制御素子を介して設けられ前記光変調素子を搭載する第2の搭載部を有する温調デバイスと、
前記基板の前記裏面と対向する底面を有し、前記半導体レーザ素子、前記光変調素子、及び前記温調デバイスを収容するパッケージと、
前記第1の温度制御素子と前記第2の温度制御素子との間に配置され、前記基板の前記主面に直接又は間接的に固着された裏面を有する中間ブロックと、
を備え、
前記第1の搭載部、前記中間ブロック及び前記第2の搭載部の並び方向における、前記基板の前記主面と前記中間ブロックとが固着する固着領域の長さは、同方向における前記基板の長さの10%以上50%以下である、光送信モジュール。
【請求項3】
前記第1の搭載部、前記中間ブロック及び前記第2の搭載部の並び方向と直交する方向における、前記基板の前記主面と前記中間ブロックとが固着する固着領域の幅は、同方向における前記基板の幅の50%以上である、請求項1又は請求項2に記載の光送信モジュール。
【請求項4】
半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子と光結合された光変調素子と、
主面及び裏面を有する基板、前記基板の前記主面上に第1の温度制御素子を介して設けられ前記半導体レーザ素子を搭載する第1の搭載部、及び、前記基板の前記主面上に第2の温度制御素子を介して設けられ前記光変調素子を搭載する第2の搭載部を有する温調デバイスと、
前記基板の前記裏面と対向する底面を有し、前記半導体レーザ素子、前記光変調素子、及び前記温調デバイスを収容するパッケージと、
前記第1の温度制御素子と前記第2の温度制御素子との間に配置され、前記基板の前記主面に直接又は間接的に固着された裏面を有する中間ブロックと、
を備え、
前記基板の前記主面上には第1の金属膜が設けられており、
前記中間ブロックの前記裏面上には第2の金属膜が設けられており、
前記第1の金属膜と前記第2の金属膜とが金属接合材を介して互いに固着されている、光送信モジュール。
【請求項5】
前記基板の前記主面と前記中間ブロックの前記裏面とが樹脂を介して互いに固着されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光送信モジュール。
【請求項6】
半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子と光結合された光変調素子と、
主面及び裏面を有する基板、前記基板の前記主面上に第1の温度制御素子を介して設けられ前記半導体レーザ素子を搭載する第1の搭載部、及び、前記基板の前記主面上に第2の温度制御素子を介して設けられ前記光変調素子を搭載する第2の搭載部を有する温調デバイスと、
前記基板の前記裏面と対向する底面を有し、前記半導体レーザ素子、前記光変調素子、及び前記温調デバイスを収容するパッケージと、
前記第1の温度制御素子と前記第2の温度制御素子との間に配置され、前記基板の前記主面に直接又は間接的に固着された裏面を有する中間ブロックと、
を備え、
前記中間ブロックの前記主面に、前記半導体レーザ素子及び前記光変調素子と前記中間ブロックとを位置合わせするためのマークが設けられている、光送信モジュール。
【請求項7】
前記温調デバイスは、前記第1及び第2の温度制御素子のうち少なくとも一方に制御信号を供給する配線を前記基板の前記主面上に有し、
前記配線は、前記第1の搭載部、前記中間ブロック及び前記第2の搭載部の並び方向と交差する方向において、前記基板の前記主面と前記中間ブロックとが固着する固着領域と並んで配設され、
前記中間ブロックは前記配線を覆う部分を含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光送信モジュール。
【請求項8】
半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子と光結合された光変調素子と、
主面及び裏面を有する基板、前記基板の前記主面上に第1の温度制御素子を介して設けられ前記半導体レーザ素子を搭載する第1の搭載部、及び、前記基板の前記主面上に第2の温度制御素子を介して設けられ前記光変調素子を搭載する第2の搭載部を有する温調デバイスと、
前記基板の前記裏面と対向する底面を有し、前記半導体レーザ素子、前記光変調素子、及び前記温調デバイスを収容するパッケージと、
前記第1の温度制御素子と前記第2の温度制御素子との間に配置され、前記基板の前記主面に直接又は間接的に固着された裏面を有する中間ブロックと、
前記半導体レーザ素子を搭載する搭載面及び前記搭載面とは反対を向く裏面を有する第1のベース部材と、
前記光変調素子を搭載する搭載面及び前記搭載面とは反対を向く裏面を有する第2のベース部材と、
を備え、
前記中間ブロックは、前記裏面とは反対を向く主面を有し、
前記第1のベース部材の前記裏面は前記第1の搭載部に固定されており、
前記第2のベース部材の前記裏面は前記第2の搭載部に固定されており、
前記第1のベース部材の前記搭載面、前記中間ブロックの前記主面、及び前記第2のベース部材の前記搭載面は互いに面一である、光送信モジュール。
【請求項9】
半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子と光結合された光変調素子と、
前記半導体レーザ素子と光結合された光受信素子と、
主面及び裏面を有する基板、前記基板の前記主面上に第1の温度制御素子を介して設けられ前記半導体レーザ素子を搭載する第1の搭載部、及び、前記基板の前記主面上に第2の温度制御素子を介して設けられ前記光変調素子を搭載する第2の搭載部を有する温調デバイスと、
前記基板の前記裏面と対向する底面を有し、前記半導体レーザ素子、前記光変調素子、前記光受信素子、及び前記温調デバイスを収容するパッケージと、
前記第1の温度制御素子と前記第2の温度制御素子との間に配置され、前記基板の前記主面に直接又は間接的に固着された裏面を有する中間ブロックと、
を備え
前記中間ブロック上には光学部品が搭載されている、光送受信モジュール。
【請求項10】
半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子と光結合された光変調素子と、
前記半導体レーザ素子と光結合された光受信素子と、
主面及び裏面を有する基板、前記基板の前記主面上に第1の温度制御素子を介して設けられ前記半導体レーザ素子を搭載する第1の搭載部、及び、前記基板の前記主面上に第2の温度制御素子を介して設けられ前記光変調素子を搭載する第2の搭載部を有する温調デバイスと、
前記基板の前記裏面と対向する底面を有し、前記半導体レーザ素子、前記光変調素子、前記光受信素子、及び前記温調デバイスを収容するパッケージと、
前記第1の温度制御素子と前記第2の温度制御素子との間に配置され、前記基板の前記主面に直接又は間接的に固着された裏面を有する中間ブロックと、
を備え、
前記中間ブロックは、前記裏面とは反対を向く主面を有し、
前記中間ブロックの前記主面上に、前記半導体レーザ素子からの出力光を分岐する光学部品が配置され、
分岐された前記出力光のうち一方が前記光変調素子に入力され、他方が前記光受信素子に入力される、光送受信モジュール。
【請求項11】
半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子と光結合された光変調素子と、
前記半導体レーザ素子と光結合された光受信素子と、
主面及び裏面を有する基板、前記基板の前記主面上に第1の温度制御素子を介して設けられ前記半導体レーザ素子を搭載する第1の搭載部、及び、前記基板の前記主面上に第2の温度制御素子を介して設けられ前記光変調素子を搭載する第2の搭載部を有する温調デバイスと、
前記基板の前記裏面と対向する底面を有し、前記半導体レーザ素子、前記光変調素子、前記光受信素子、及び前記温調デバイスを収容するパッケージと、
前記第1の温度制御素子と前記第2の温度制御素子との間に配置され、前記基板の前記主面に直接又は間接的に固着された裏面を有する中間ブロックと、
を備え、
前記中間ブロックは、前記裏面とは反対を向く主面を有し、
前記パッケージは、前記中間ブロックの前記主面と並んで設けられて前記光受信素子を搭載する搭載面を有し、
前記中間ブロックの前記主面及び前記パッケージの前記搭載面に、前記中間ブロックと前記パッケージとを位置合わせするためのマークが設けられている、光送受信モジュール。
【請求項12】
互いに光結合された第1及び第2の光素子と、
主面及び裏面を有する基板、前記基板の前記主面上に第1の温度制御素子を介して設けられ前記第1の光素子を搭載する第1の搭載部、及び、前記基板の前記主面上に第2の温度制御素子を介して設けられ前記第2の光素子を搭載する第2の搭載部を有する温調デバイスと、
前記基板の前記裏面と対向する底面を有し、前記第1の光素子、前記第2の光素子、及び前記温調デバイスを収容するパッケージと、
前記第1の温度制御素子と前記第2の温度制御素子との間に配置され、前記基板の前記主面に直接又は間接的に固着された裏面を有する中間ブロックと、
を備え
前記中間ブロック上には光学部品が搭載されている、光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光送信モジュール、光送受信モジュール、及び光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光モジュールに関する技術が開示されている。この光モジュールは、少なくとも1つの発熱体を含む複数の部品と、温度調節器とを備える。温度調節器は、板状の下基板と、下基板の上面に所定の距離だけ空けて異なる領域に設けられた複数の熱電素子と、複数の熱電素子の各々の上面に設けられた複数の上基板と、を有する。温度調節器は、複数の上基板の各々の上面に設けられた部品をペルチェ効果によって温度調節する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-140306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば光送信モジュール又は光送受信モジュールといった光モジュールにおいては、第1の光素子(例えば半導体レーザ素子)及び第2の光素子(例えば光変調素子)に対する温度制御をそれぞれ独立して行う場合がある。そのような場合、第1の光素子を第1の温度制御素子(温調素子又は熱電素子とも称される)上に搭載し、第2の光素子を第2の温度制御素子上に搭載する。そして、これらの温度制御素子を共通の基板上に配置することにより、第1及び第2の光素子の相対位置関係を固定する。
【0005】
しかしながらこのような場合、複数の温度制御素子を共通の基板上に配置するので、基板サイズが長くなる傾向がある。基板サイズが長くなると、各温度制御素子の実装時、又は光モジュールの運用時等の温度変化により、基板の反りが大きくなり易い。基板の反りが大きくなると、各光素子の光軸が相対的に傾き、光素子同士の光結合効率が低下してしまう。また、基板の反りに起因して各温度制御素子に応力が生じ、各温度制御素子に異常が生じるおそれもある。
【0006】
そこで、本開示は、第1及び第2の光素子の温度制御をそれぞれ独立して行う場合に、温度制御素子を搭載する基板の反りを低減することができる光送信モジュール、光送受信モジュール、及び光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る光送信モジュールは、半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子と光結合された光変調素子と、主面及び裏面を有する基板、基板の主面上に第1の温度制御素子を介して設けられ半導体レーザ素子を搭載する第1の搭載部、及び、基板の主面上に第2の温度制御素子を介して設けられ光変調素子を搭載する第2の搭載部を有する温調デバイスと、基板の裏面と対向する底面を有し、半導体レーザ素子、光変調素子、及び温調デバイスを収容するパッケージと、第1の温度制御素子と第2の温度制御素子との間に配置され、基板の主面に直接又は間接的に固着された裏面を有する中間ブロックと、を備える。
【0008】
一実施形態に係る光送受信モジュールは、半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子と光結合された光変調素子と、半導体レーザ素子と光結合された光受信素子と、主面及び裏面を有する基板、基板の主面上に第1の温度制御素子を介して設けられ半導体レーザ素子を搭載する第1の搭載部、及び、基板の主面上に第2の温度制御素子を介して設けられ光変調素子を搭載する第2の搭載部を有する温調デバイスと、基板の裏面と対向する底面を有し、半導体レーザ素子、光変調素子、光受信素子、及び温調デバイスを収容するパッケージと、第1の温度制御素子と第2の温度制御素子との間に配置され、基板の主面に直接又は間接的に固着された裏面を有する中間ブロックと、を備える。
【0009】
一実施形態に係る光モジュールは、互いに光結合された第1及び第2の光素子と、主面及び裏面を有する基板、基板の主面上に第1の温度制御素子を介して設けられ第1の光素子を搭載する第1の搭載部、及び、基板の主面上に第2の温度制御素子を介して設けられ第2の光素子を搭載する第2の搭載部を有する温調デバイスと、基板の裏面と対向する底面を有し、第1の光素子、第2の光素子、及び温調デバイスを収容するパッケージと、第1の温度制御素子と第2の温度制御素子との間に配置され、基板の主面に直接又は間接的に固着された裏面を有する中間ブロックと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、第1及び第2の光素子の温度制御をそれぞれ独立して行う場合に、温度制御素子を搭載する基板の反りを低減することができる光送信モジュール、光送受信モジュール、及び光モジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る光送受信モジュール10の構成を示す切り欠き斜視図である。
図2図2は、光送受信モジュール10が備える各光学部品を省略した切り欠き斜視図である。
図3図3は、図2に示した光送受信モジュール10の部分平面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、温調デバイス40を示す平面図である。
図6図6は、中間ブロック50の裏面50bを示す底面図である。
図7図7は、光送受信モジュール10の組み立て手順を示すフローチャートである。
図8図8は、第3変形例に係る光送受信モジュール10Aの構成を示す切り欠き斜視図である。
図9図9は、第3変形例に係る光送受信モジュール10Aの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態を列記して説明する。一実施形態に係る光送信モジュールは、半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子と光結合された光変調素子と、主面及び裏面を有する基板、基板の主面上に第1の温度制御素子を介して設けられ半導体レーザ素子を搭載する第1の搭載部、及び、基板の主面上に第2の温度制御素子を介して設けられ光変調素子を搭載する第2の搭載部を有する温調デバイスと、基板の裏面と対向する底面を有し、半導体レーザ素子、光変調素子、及び温調デバイスを収容するパッケージと、第1の温度制御素子と第2の温度制御素子との間に配置され、基板の主面に直接又は間接的に固着された裏面を有する中間ブロックと、を備える。
【0013】
この光送信モジュールでは、半導体レーザ素子から出力されたレーザ光が光変調素子に入力され、光変調素子はレーザ光を変調することにより光信号を生成する。また、第1の温度制御素子は半導体レーザ素子の温度を制御することによってレーザ光の波長を制御し、第2の温度制御素子は光変調素子の温度を一定に保つことによって光変調素子の特性の変動を抑える。半導体レーザ素子及び光変調素子に対する温度制御をそれぞれ独立して行うので、これらの温度を精度良く制御することができる。そして、この光送信モジュールでは、中間ブロックが第1の温度制御素子と第2の温度制御素子との間に配置されており、その裏面は、基板の主面に直接又は間接的に固着されている。これにより、第1及び第2の温度制御素子を搭載する基板の反り(特に、第1の温度制御素子と第2の温度制御素子との間の部分の反り)を中間ブロックが妨げるので、基板の反りを低減することができる。故に、半導体レーザ素子の光軸と光変調素子の光軸との相対的な傾きを低減し、これらの光結合効率の低下を抑制できる。また、基板の反りに起因して各温度制御素子に生じる応力を低減し、各温度制御素子の信頼性を高めることができる。
【0014】
上記の光送信モジュールにおいて、第1の搭載部、中間ブロック及び第2の搭載部の並び方向における、基板の主面と中間ブロックとが固着する固着領域の長さは、同方向における基板の長さの10%以上50%以下であってもよい。固着領域の長さが基板の長さの10%以上であることにより、基板の反りを中間ブロックが効果的に妨げることができる。また、固着領域の長さが基板の長さの50%以下であることにより、基板の主面において第1及び第2の温度制御素子を配置するスペースを十分に確保することができる。
【0015】
上記の光送信モジュールにおいて、第1の搭載部、中間ブロック及び第2の搭載部の並び方向と直交する方向における、基板の主面と中間ブロックとが固着する固着領域の幅は、同方向における基板の幅の50%以上であってもよい。固着領域の幅が基板の幅の50%以上であることにより、基板の反りを中間ブロックが効果的に妨げることができる。
【0016】
上記の光送信モジュールにおいて、基板の主面上には第1の金属膜が設けられており、中間ブロックの裏面上には第2の金属膜が設けられており、第1の金属膜と第2の金属膜とが金属接合材を介して互いに固着されてもよい。この場合、中間ブロックと基板とを強固に固着し、基板の反りによる中間ブロックと基板との剥離を防いで、基板の反りを効果的に妨げることができる。
【0017】
上記の光送信モジュールにおいて、基板の主面と中間ブロックの裏面とが樹脂を介して互いに固着されてもよい。この場合、中間ブロックと基板とを簡易に固着することができ、製造プロセスを容易化することができる。
【0018】
上記の光送信モジュールにおいて、中間ブロックの主面に、半導体レーザ素子及び光変調素子と中間ブロックとを位置合わせするためのマークが設けられてもよい。この場合、中間ブロックが介在することによって互いの間隔が大きくなった半導体レーザ素子及び光変調素子の相対位置を精度良く合わせることができる。
【0019】
上記の光送信モジュールにおいて、温調デバイスは、第1及び第2の温度制御素子のうち少なくとも一方に制御信号を供給する配線を基板の主面上に有し、配線は、第1の搭載部、中間ブロック及び第2の搭載部の並び方向と交差する方向において、基板の主面と中間ブロックとが固着する固着領域と並んで配設され、中間ブロックは配線を覆う部分を含んでもよい。この場合、中間ブロックの面積を大きくすることができるため、中間ブロックの主面の上に、ビームスプリッタ等の光学部品を配置するスペースを十分に確保することができる。
【0020】
上記の光送信モジュールは、半導体レーザ素子を搭載する搭載面及び搭載面とは反対を向く裏面を有する第1のベース部材と、光変調素子を搭載する搭載面及び搭載面とは反対を向く裏面を有する第2のベース部材と、を更に備え、中間ブロックは、裏面とは反対を向く主面を有し、第1のベース部材の裏面は第1の搭載部に固定されており、第2のベース部材の裏面は第2の搭載部に固定されており、第1のベース部材の搭載面、中間ブロックの主面、及び第2のベース部材の搭載面は互いに面一であってもよい。この場合、高さ方向(基板の主面の法線方向)における半導体レーザ素子と光変調素子との光軸合わせを精度良く行うことができる。
【0021】
一実施形態に係る光送受信モジュールは、半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子と光結合された光変調素子と、半導体レーザ素子と光結合された光受信素子と、主面及び裏面を有する基板、基板の主面上に第1の温度制御素子を介して設けられ半導体レーザ素子を搭載する第1の搭載部、及び、基板の主面上に第2の温度制御素子を介して設けられ光変調素子を搭載する第2の搭載部を有する温調デバイスと、基板の裏面と対向する底面を有し、半導体レーザ素子、光変調素子、光受信素子、及び温調デバイスを収容するパッケージと、第1の温度制御素子と第2の温度制御素子との間に配置され、基板の主面に直接又は間接的に固着された裏面を有する中間ブロックと、を備える。
【0022】
この光送受信モジュールでは、半導体レーザ素子から出力されたレーザ光の一部が光変調素子に入力され、光変調素子はレーザ光を変調することにより光信号を生成する。また、半導体レーザ素子から出力されたレーザ光の残部が光受信素子に入力され、光受信素子は、受信した光信号の復調を、該レーザ光を利用して行う。第1の温度制御素子は半導体レーザ素子の温度を制御することによってレーザ光の波長を制御し、第2の温度制御素子は光変調素子の温度を一定に保つことによって光変調素子の特性の変動を抑える。半導体レーザ素子及び光変調素子に対する温度制御をそれぞれ独立して行うので、これらの温度を精度良く制御することができる。そして、この光送受信モジュールでは、中間ブロックが第1の温度制御素子と第2の温度制御素子との間に配置されており、その裏面は、基板の主面に直接又は間接的に固着されている。これにより、第1及び第2の温度制御素子を搭載する基板の反り(特に、第1の温度制御素子と第2の温度制御素子との間の部分の反り)を中間ブロックが妨げるので、基板の反りを低減することができる。故に、半導体レーザ素子の光軸と光変調素子の光軸との相対的な傾きを低減し、これらの光結合効率の低下を抑制できる。また、基板の反りに起因して各温度制御素子に生じる応力を低減し、各温度制御素子の信頼性を高めることができる。
【0023】
上記の光送受信モジュールにおいて、中間ブロックは、裏面とは反対を向く主面を有し、中間ブロックの主面上に、半導体レーザ素子からの出力光を分岐する光学部品が配置され、分岐された出力光のうち一方が光変調素子に入力され、他方が光受信素子に入力されてもよい。この場合、半導体レーザ素子から出力されるレーザ光の一部を光変調素子に入力させ、半導体レーザ素子から出力されるレーザ光の残部を光受信素子に入力させることができる。また、このような光学部品を中間ブロックの主面上に配置することにより、中間ブロック上のスペースを効率良く利用することができる。
【0024】
上記の光送受信モジュールにおいて、中間ブロックは、裏面とは反対を向く主面を有し、パッケージは、中間ブロックの主面と並んで設けられて光受信素子を搭載する搭載面を有し、中間ブロックの主面及びパッケージの搭載面に、中間ブロックとパッケージとを位置合わせするためのマークが設けられてもよい。この場合、パッケージに対する中間ブロックの相対位置を精度良く合わせることができ、ひいてはパッケージの搭載面上に配置される光受信素子と半導体レーザ素子とを精度良く光結合させることができる。
【0025】
一実施形態に係る光モジュールは、互いに光結合された第1及び第2の光素子と、主面及び裏面を有する基板、基板の主面上に第1の温度制御素子を介して設けられ第1の光素子を搭載する第1の搭載部、及び、基板の主面上に第2の温度制御素子を介して設けられ第2の光素子を搭載する第2の搭載部を有する温調デバイスと、基板の裏面と対向する底面を有し、第1の光素子、第2の光素子、及び温調デバイスを収容するパッケージと、第1の温度制御素子と第2の温度制御素子との間に配置され、基板の主面に直接又は間接的に固着された裏面を有する中間ブロックと、を備える。
【0026】
この光モジュールでは、第1の温度制御素子が第1の光素子の温度を制御し、第2の温度制御素子が第2の光素子の温度を制御する。第1及び第2の光素子に対する温度制御をそれぞれ独立して行うので、これらの温度を精度良く制御することができる。そして、この光モジュールでは、中間ブロックが第1の温度制御素子と第2の温度制御素子との間に配置されており、その裏面は、基板の主面に直接又は間接的に固着されている。これにより、第1及び第2の温度制御素子を搭載する基板の反り(特に、第1の温度制御素子と第2の温度制御素子との間の部分の反り)を中間ブロックが妨げるので、基板の反りを低減することができる。故に、第1及び第2の光素子の各光軸の相対的な傾きを低減し、これらの光結合効率の低下を抑制できる。また、基板の反りに起因して各温度制御素子に生じる応力を低減し、各温度制御素子の信頼性を高めることができる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の光送信モジュール、光送受信モジュール、及び光モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0028】
図1は、本開示の一実施形態に係る光送受信モジュール10の構成を示す切り欠き斜視図である。図2は、光送受信モジュール10が備える各光学部品を省略した切り欠き斜視図である。図3は、図2に示した光送受信モジュール10の部分平面図である。図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。光送受信モジュール10は、本実施形態における光モジュールの例である。これらの図に示されるように、本実施形態の光送受信モジュール10は、半導体レーザ素子11と、半導体レーザ素子11と光結合された光変調素子12と、半導体レーザ素子11と光結合された光受信素子13と、を備える。加えて、光送受信モジュール10は、レンズ21と、ビームスプリッタ22と、ミラー23,24,25と、偏波合成フィルタ26と、偏波分離フィルタ27と、レンズアレイ28,29とを備える。さらに、光送受信モジュール10は、パッケージ30と、光源用キャリア31と、光源用ベース32と、変調素子用キャリア33と、変調素子用ベース34と、受信素子用キャリア35と、温調デバイス40と、中間ブロック50とを備える。
【0029】
半導体レーザ素子11は、本実施形態における第1の光素子の例である。半導体レーザ素子11は、例えばDFBレーザであって、単一波長の連続波であるレーザ光Laを一端から出力する。また、半導体レーザ素子11は、出力波長を可変とするための構成を有する。一例では、半導体レーザ素子11はInP系の半導体レーザ素子である。半導体レーザ素子11は、光源用キャリア31上に搭載され、レーザ光Laの光軸が方向D1に沿うように配置されている。光源用キャリア31は、その平面形状が長方形である板状の部材であって、誘電体材料によって構成されている。誘電体材料は例えばセラミックであり、セラミックには、例えば、窒化アルミニウム及びアルミナのうち少なくとも1つが含まれる。光源用キャリア31の上面には、半導体レーザ素子11に駆動電流などを供給するための複数の配線が設けられている。
【0030】
レンズ21は、レーザ光Laの光軸上に配置され、半導体レーザ素子11の一端と光学的に結合されている。レンズ21は、例えば凸レンズであって、半導体レーザ素子11から出力されたレーザ光Laを平行化(コリメート)する。レンズ21は、例えばガラスまたはシリコンによって構成されている。
【0031】
光源用ベース32は、本実施形態における第1のベース部材の例である。光源用ベース32は、その平面形状が長方形である板状の部材であって、誘電体材料によって構成されている。誘電体材料は例えばセラミックであり、セラミックには、例えば、窒化アルミニウム及びアルミナのうち少なくとも1つが含まれる。図4に示されるように、光源用ベース32は、半導体レーザ素子11を搭載する平坦な搭載面32aと、搭載面32aとは反対を向く裏面32bとを有する。光源用キャリア31及びレンズ21は、光源用ベース32の搭載面32a上に搭載されている。光源用キャリア31は、例えば半田によって搭載面32aに固定されている。レンズ21は、例えば樹脂接着剤によって搭載面32aに固定されている。
【0032】
ビームスプリッタ22は、レーザ光Laの光軸上に配置され、レンズ21を介して半導体レーザ素子11の一端と光学的に結合されている。ビームスプリッタ22は、半導体レーザ素子11から出力されたレーザ光Laを2つのレーザ光La1,La2に分岐する光学部品である。一方のレーザ光La1は、ビームスプリッタ22を透過し、方向D1に沿って真っ直ぐに進む。他方のレーザ光La2は、ビームスプリッタ22において反射し、方向D1と交差(例えば直交)する方向D2に沿って進む。ビームスプリッタ22は、例えばガラスブロックの表面に形成された誘電体多層膜によって構成されている。
【0033】
ミラー23は、ビームスプリッタ22に対して方向D2に配置され、ビームスプリッタ22と光学的に結合されている。ミラー23は、ビームスプリッタ22において反射したレーザ光La2を再び反射する。ミラー23において反射したレーザ光La2は、再び方向D1に沿って進む。
【0034】
レンズアレイ28は、方向D2に沿って並ぶ3つのレンズを含む。該3つのレンズのうち中央のレンズは、ビームスプリッタ22に対して方向D1に配置され、ビームスプリッタ22と光学的に結合されている。該中央のレンズは、ビームスプリッタ22を透過したレーザ光La1を光変調素子12に向けて集光する。レンズアレイ29は、方向D2に沿って並ぶ3つのレンズを含む。該3つのレンズのうち中央のレンズは、ミラー23に対して方向D1に配置され、ミラー23と光学的に結合されている。該中央のレンズは、ミラー23において反射したレーザ光La2を光受信素子13に向けて集光する。レンズアレイ28,29の各レンズは、例えばガラスまたはシリコンによって構成されている。
【0035】
光変調素子12は、本実施形態における第2の光素子の例である。光変調素子12は、レーザ光La1を入力し、レーザ光La1を内部にて分岐し、分岐後の各レーザ光を個別に変調することにより、2つの信号光Lb1,Lb2を生成する。光変調素子12における変調方式は、例えば位相偏移変調(PSK:Phase Shift Keying)である。以下では、四位相偏移変調(QPSK:Quadrature Phase Shift Keying)の場合について説明する。光変調素子12は、例えばInP系又はシリコン(Si)系の半導体によって構成され、光強度を変調するための複数の電界吸収(EA)型光変調器を内部に含む。光変調素子12は、高さ調整のための変調素子用キャリア33上に搭載されている。変調素子用キャリア33は、その平面形状が長方形である板状の部材であって、誘電体材料によって構成されている。誘電体材料は例えばセラミックであり、セラミックには、例えば、窒化アルミニウム及びアルミナのうち少なくとも1つが含まれる。光変調素子12は、生成した2つの信号光Lb1,Lb2それぞれを、レーザ光La1の入力ポートを挟んで配置された一対の出力ポートそれぞれから出力する。一対の出力ポートから出力された信号光Lb1,Lb2は、方向D1に沿ってレーザ光La1とは逆向きに進む。一対の出力ポートはレンズアレイ28の3つのレンズのうち両端のレンズと光学的に結合されており、信号光Lb1,Lb2は該両端のレンズによって平行化される。ミラー25は、光変調素子12の一対の出力ポートのうち一方と、レンズアレイ28を介して光学的に結合されている。ミラー25は、該一方の出力ポートから出力された信号光Lb1を偏波合成フィルタ26に向けて反射する。その後の信号光Lb1は、方向D1と交差(例えば直交)する方向D2に沿って進む。
【0036】
偏波合成フィルタ26は、レンズアレイ28を介して光変調素子12の他方の光出力ポートと光学的に結合されており、平行化された信号光Lb1を受ける。また、偏波合成フィルタ26は、ミラー25と光学的に結合されており、ミラー25において反射した信号光Lb2を受ける。なお、信号光Lb1,Lb2のうち一方は、偏波合成フィルタ26に達するまでに、光変調素子12の内部または外部に設けられた波長板(不図示)によってその偏光方向を90°回転されている。そして、偏波合成フィルタ26は、信号光Lb1を反射するとともに信号光Lb2を透過することにより、信号光Lb1と信号光Lb2とを互いに合成し、合成後の送信信号光Lbを光送受信モジュール10の外部へ出力する。偏波合成フィルタ26は、例えばガラスブロックの表面に形成された誘電体多層膜によって構成されている。
【0037】
変調素子用ベース34は、本実施形態における第2のベース部材の例である。変調素子用ベース34は、その平面形状が長方形である板状の部材であって、誘電体材料によって構成されている。誘電体材料は例えばセラミックであり、セラミックには、例えば、窒化アルミニウム及びアルミナのうち少なくとも1つが含まれる。図4に示されるように、変調素子用ベース34は、光変調素子12を搭載する平坦な搭載面34aと、搭載面34aとは反対を向く裏面34bとを有する。変調素子用キャリア33、ミラー25、偏波合成フィルタ26、及びレンズアレイ28は、変調素子用ベース34の搭載面34a上に搭載され、例えば半田もしくは樹脂接着剤によって搭載面34aに固定されている。
【0038】
偏波分離フィルタ27は、光送受信モジュール10の外部から入力された受信信号光Lcを受ける。受信信号光Lcには、偏光方向が互いに異なる2つの信号光Lc1,Lc2が含まれている。偏波分離フィルタ27は、受信信号光Lcを2つの信号光Lc1,Lc2に分離する。偏波分離フィルタ27は、例えばガラスブロックの表面に形成された誘電体多層膜によって構成されている。偏波分離フィルタ27は、レンズアレイ29の3つのレンズのうち一端のレンズを介して、光受信素子13の一の入力ポートと光学的に結合されている。偏波分離フィルタ27により分離した一方の信号光Lc1は、レンズアレイ29の該一端のレンズにより集光されつつ光受信素子13の一の入力ポートに入力される。
【0039】
ミラー24は、偏波分離フィルタ27に対して方向D2に配置されている。ミラー24は、偏波分離フィルタ27と光学的に結合され、且つ、レンズアレイ29の3つのレンズのうち他端のレンズを介して光受信素子13の他の入力ポートと光学的に結合されている。偏波分離フィルタ27により分離した他方の信号光Lc2は、方向D2に沿って進んだ後、ミラー24において反射し、方向D1に沿って進み、レンズアレイ29の他端のレンズにより集光されつつ光受信素子13の他の入力ポートに入力される。
【0040】
光受信素子13は、光送受信モジュール10の外部から入力された受信信号光Lcを復調して電気信号に変換する半導体素子であって、受信素子用キャリア35上に搭載されている。光受信素子13は、例えばInP系又はSi系の半導体を主な構成材料とする。受信素子用キャリア35は、誘電体材料によって構成されている。誘電体材料は例えばセラミックであり、セラミックには、例えば、窒化アルミニウム及びアルミナのうち少なくとも1つが含まれる。本実施形態の受信信号光LcはPSK方式により変調された信号光であり、光受信素子13は、いわゆる光90°ハイブリッド素子である。具体的には、光受信素子13は、2つの信号光入力ポートと、1つの局発光入力ポートとを有する。これらの光入力ポートは、光受信素子13の一つの側面に配置され、2つの信号光入力ポートの間に局発光入力ポートが位置する。一方の信号光入力ポートはレンズアレイ29を介して偏波分離フィルタ27と光学的に結合されており、信号光Lc1は、レンズアレイ29のレンズにより集光されつつ該信号光入力ポートに入力される。他方の信号光入力ポートはレンズアレイ29を介してミラー24と光学的に結合されており、信号光Lc2は、レンズアレイ29のレンズにより集光されつつ該信号光入力ポートに入力される。局発光入力ポートはレンズアレイ29を介してミラー23と光学的に結合されており、レーザ光La2は、レンズアレイ29のレンズにより集光されつつ局発光として局発光入力ポートに入力される。
【0041】
光受信素子13は、信号光Lc1及びLc2をそれぞれレーザ光(局発光)La2と干渉させる。これにより、光受信素子13は、信号光Lc1及びLc2にそれぞれ含まれる情報を復調する。具体的には、光受信素子13は、マルチモード干渉導波路(MMI導波路)と、この導波路に光結合したフォトダイオードとを含む。MMI導波路は、例えばInP基板上に形成された光導波路である。レーザ光La2は、局発光入力ポートから光受信素子13に入力されたのち、2つの局発光に分岐される。MMI導波路は、信号光Lc1と、レーザ光La2から分岐された一方の局発光とを光学的に干渉させて、ホモダイン検波又はヘテロダイン検波を行う。これにより、MMI導波路は、信号光Lc1に含まれている情報を、局発光の位相に一致する位相成分と、局発光の位相と90°異なる位相成分とに分離して復調する。すなわち、光受信素子13は、信号光Lc1について二つの独立した情報を復調する。同様に、MMI導波路は、信号光Lc2と、レーザ光La2から分岐された他方の局発光とを光学的に干渉させて、ホモダイン検波又はヘテロダイン検波を行う。これにより、MMI導波路は、信号光Lc2に含まれている情報を、局発光の位相に一致する位相成分と、局発光の位相と90°異なる位相成分とに分離して復調する。すなわち、光受信素子13は、信号光Lc2についても二つの独立した情報を復調する。光受信素子13によって復調された4つの独立情報は、信号処理された後、光送受信モジュール10の外部に導かれる。
【0042】
温調デバイス40は、半導体レーザ素子11及び光変調素子12の各温度をそれぞれ独立して制御するための構成要素である。図4に示すように、温調デバイス40は、下基板41と、2つの上基板42,43と、2つのペルチェ素子44,45とを有する。下基板41は、主面41a及び裏面41bを有する板状の部材である。下基板41の平面形状は、方向D1を長手方向とする長方形である。方向D1における下基板41の長さは例えば15mmであり、方向D2における下基板41の幅は例えば5mmである。下基板41は誘電体材料によって構成されている。誘電体材料は例えばセラミックであり、セラミックには、例えば、窒化アルミニウム及びアルミナのうち少なくとも1つが含まれる。
【0043】
上基板42は、本実施形態における第1の搭載部の例である。上基板42は板状の部材であって、その平面形状は方向D1を長手方向とする長方形である。方向D1における上基板42の長さは例えば5mmであり、方向D2における上基板42の幅は例えば4mmである。上基板42は、下基板41の主面41a上にペルチェ素子44を介して設けられ、半導体レーザ素子11を搭載する。具体的には、上基板42は、方向D1及び方向D2の双方と交差(例えば直交)する方向D3を厚み方向としてペルチェ素子44上に設けられており、ペルチェ素子44とは反対側の上基板42の板面には、光源用ベース32の裏面32bが固定されている。一例では、光源用ベース32と上基板42とは金属接合材を介して互いに接合されている。
【0044】
上基板43は、本実施形態における第2の搭載部の例である。上基板43は板状の部材であって、その平面形状は方向D1を長手方向とする長方形である。方向D1における上基板43の長さは例えば6mmであり、方向D2における上基板43の幅は例えば5mmである。このように、方向D1において上基板43は上基板42よりも短く、方向D2において上基板43は上基板42よりも長い。上基板43は、下基板41の主面41a上にペルチェ素子45を介して設けられ、光変調素子12を搭載する。具体的には、上基板43は、方向D3を厚み方向としてペルチェ素子45上に設けられており、ペルチェ素子45とは反対側の上基板43の板面には、変調素子用ベース34の裏面34bが固定されている。一例では、変調素子用ベース34と上基板43とは金属接合材を介して互いに接合されている。上基板42と上基板43とは、方向D1において間隔をあけて並んでいる。
【0045】
ペルチェ素子44は、本実施形態における第1の温度制御素子の例である。ペルチェ素子45は、本実施形態における第2の温度制御素子の例である。ペルチェ素子44,45は、下基板41の主面41a上において、方向D1に沿って互いに間隔をあけて並んでいる。ペルチェ素子44,45は、光送受信モジュール10の外部から供給される電力によって駆動し、上基板42,43と下基板41との間において熱の移動を行う。ペルチェ素子44,45の構成材料は、例えばBi-Sb-Te-Seである。
【0046】
中間ブロック50は、ペルチェ素子44とペルチェ素子45との間に配置された厚板状の部材である。言い換えると、下基板41の主面41a上において、ペルチェ素子44、中間ブロック50、ペルチェ素子45が方向D1に沿ってこの順に並んでいる。図示例では、中間ブロック50の平面形状は方向D2を長手方向とする長方形である。方向D2における中間ブロック50の長さは例えば5mmであり、方向D1における中間ブロック50の幅は例えば4mmである。このように、方向D1において中間ブロック50は上基板42,43よりも短く、方向D2において中間ブロック50は上基板42,43よりも長い。中間ブロック50は、金属材料及び誘電体材料のうち少なくとも1つによって構成されている。誘電体材料は例えばセラミックであり、セラミックには、例えば、窒化アルミニウム及びアルミナのうち少なくとも1つが含まれる。中間ブロック50は、主面50aと、主面50aとは反対を向く裏面50bとを有する。主面50aと裏面50bとは互いに平行である。図示例では、中間ブロック50の裏面50bは下基板41の主面41aに対して直接に固着されている。なお、中間ブロック50の裏面50bは、他の部材を介して下基板41の主面41aに間接的に固着されてもよい。
【0047】
図4に示されるように、光源用ベース32の搭載面32aと、中間ブロック50の主面50aと、変調素子用ベース34の搭載面34aとは、方向D1においてこの順に並んでおり、互いに面一である。言い換えると、搭載面32a及び34a並びに主面50aは、互いに法線方向が一致しており、下基板41の主面41aを基準とする高さが互いに等しい。図1に示されるように、中間ブロック50の主面50a上には、ビームスプリッタ22が配置されている。また、図示例では、搭載面32aと主面50aとは他に介在する物がなく互いに隣り合っており、同様に、搭載面34aと主面50aとは他に介在する物がなく互いに隣り合っている。
【0048】
図5は、温調デバイス40を示す平面図である。図5に示されるように、下基板41の主面41a上には、金属パターン48(第1の金属膜)が設けられている。金属パターン48は、主面41aにおけるペルチェ素子44の実装領域とペルチェ素子45の実装領域との間に形成され、その平面形状は例えば長方形又は正方形である。金属パターン48の平面形状が長方形又は正方形である場合、そのうちの一辺は方向D1に沿っており、別の一辺は方向D2に沿っている。金属パターン48は、金属材料が蒸着、めっき等により主面41aに成膜されて成る。一例では、金属パターン48は、主面41aに蒸着されたNi層と、Ni層上にめっき形成されたAu層とを含む。
【0049】
図6は、中間ブロック50の裏面50bを示す底面図である。図6に示されるように、中間ブロック50の裏面50b上には、金属パターン51(第2の金属膜)が設けられている。金属パターン51は、方向D2における裏面50bの一端50ba寄りに形成され、その平面形状は例えば長方形又は正方形である。金属パターン51の平面形状が長方形又は正方形である場合、そのうちの一辺は方向D1に沿っており、別の一辺は方向D2に沿っている。金属パターン51は、金属材料が蒸着、めっき等により裏面50bに成膜されて成る。一例では、金属パターン51は、裏面50bに蒸着されたTi層と、Ti層上に蒸着されたPt層と、Pt層上にめっき形成されたAu層とを含む。そして、中間ブロック50の金属パターン51と下基板41の金属パターン48とが金属接合材を介して互いに接合されることにより、中間ブロック50の裏面50bが下基板41の主面41aに固着される。したがって、主面41aのうち金属パターン48が占める領域は、下基板41と中間ブロック50とが固着する固着領域と一致する。金属接合材は、例えばSuAgCu系半田である。
【0050】
方向D1における、金属パターン48(固着領域)の長さEa(図5を参照)は、例えば、方向D1における下基板41の長さEbの10%以上50%以下である。また、方向D1と直交する方向(例えば方向D2)における、金属パターン48(固着領域)の幅Waは、例えば、同方向における下基板41の幅Wbの50%以上である。
【0051】
再び図5を参照する。下基板41の主面41aには、ペルチェ素子44に制御信号としての駆動電流を供給するための一対の配線46a,46bと、ペルチェ素子45に制御信号としての駆動電流を供給するための一対の配線47a,47bとが設けられている。配線46a,46bにおけるペルチェ素子44とは反対側の端部はボンディングパッド46c,46dにそれぞれ接続されており、配線47a,47bにおけるペルチェ素子45とは反対側の端部はボンディングパッド47c,47dにそれぞれ接続されている。ボンディングパッド46c,46d,47c,47dは、ペルチェ素子44に対して方向D2に配置され、方向D1に沿って延在する主面41aの側縁に沿って、この順に並んでいる。そして、ボンディングパッド47c,47dとペルチェ素子45とを繋ぐ一対の配線47a,47bは、主面41aの上記側縁に沿って方向D1に延びており、金属パターン48の横を通過する。すなわち、配線47a,47bは、方向D2において、金属パターン48(固着領域)と並んで配設されている。
【0052】
図6に示されるように、中間ブロック50の裏面50bは、金属パターン51が設けられない(言い換えると、中間ブロック50の裏面50bが露出した)領域Aを有する。領域Aは、方向D2において裏面50bの他端50bb寄りに位置し、金属パターン51に対して他端50bb側に並んでいる。中間ブロック50が下基板41の主面41a上に配置された状態において、中間ブロック50のうち領域Aを構成する部分は、配線47a,47b上に位置し、配線47a,47bを覆う。領域Aには金属パターン51が設けられないので、領域Aが配線47a,47bに接触する場合であっても、配線47a,47b同士の短絡が回避される。
【0053】
再び図1図2及び図3を参照する。パッケージ30は、半導体レーザ素子11、光変調素子12、光受信素子13、及び温調デバイス40を収容する。パッケージ30は、底板36及び壁部37を有する。底板36は板状の部材であって、その平面形状は長方形である。底板36は、例えばCuWもしくはコバール(少なくともニッケル及びコバルトを鉄に配合した合金)といった金属材料によって主に構成されている。底板36の一方の板面は、パッケージ30の内部空間を画成する平坦な底面36aを構成する。前述した温調デバイス40は底面36a上に配置され、下基板41の裏面41bと底面36aとは互いに対向している。
【0054】
壁部37は、底板36の底面36a上に設けられ、半導体レーザ素子11、光変調素子12、及び温調デバイス40を囲む。壁部37は、底面36aの四辺に沿って配置された矩形枠状を呈する。すなわち、壁部37は、方向D1において互いに対向し方向D2に沿って延在する一対の部分371,372と、方向D2において互いに対向し方向D1に沿って延在する一対の部分373と、を含む。部分371には、方向D1に沿って部分371を貫通する孔37b,37cが形成されている。孔37b,37cは方向D2に沿って並んでおり、孔37bはパッケージ30の外部へ送信信号光Lbを導出し、孔37cはパッケージ30の外部から受信信号光Lcを導入する。壁部37は、例えば誘電体材料によって構成されている。誘電体材料は例えばセラミックであり、セラミックには、例えば、窒化アルミニウム及びアルミナのうち少なくとも1つが含まれる。
【0055】
また、壁部37は、光受信素子13、ミラー23、ミラー24、偏波分離フィルタ27、及びレンズアレイ29を搭載する搭載面37aを有する。搭載面37aは、壁部37の部分373からパッケージ30の内部空間に向けて延び出している。搭載面37aは、光源用ベース32の搭載面32a、中間ブロック50の主面50a、及び変調素子用ベース34の搭載面34aと同じ方向を向いており、方向D1に沿って延在し、搭載面32a、主面50a、及び搭載面34aに対して方向D2に並んで配置されている。一例では、搭載面37aは、搭載面32a、主面50a、及び搭載面34aと面一である。
【0056】
パッケージ30は、壁部37上に設けられた矩形枠状の部材38を更に有する。部材38は例えばコバールといった金属製であり、図示しない蓋部(リッド)を壁部37に固着するために用いられる。
【0057】
図2及び図3に示されるように、中間ブロック50とパッケージ30とを位置合わせするために、中間ブロック50の主面50aにおける搭載面37aと対向する辺には、一又は複数のマークM1が設けられ、パッケージ30の搭載面37aにおける主面50aと対向する辺には、マークM1に対応する一又は複数のマークM2が設けられている。マークM1の位置とマークM2の位置とを一致させることにより、パッケージ30内での中間ブロック50の方向D1における相対位置が精度よく位置決めされる。マークM1,M2は、例えば十字形状といった種々の形状を有することができる。
【0058】
中間ブロック50と半導体レーザ素子11とを位置合わせするために、中間ブロック50の主面50aにおける光源用ベース32と対向する辺には、一又は複数のマークM3が設けられ、光源用ベース32の搭載面32aにおける主面50aと対向する辺には、マークM3に対応する一又は複数のマークM4が設けられている。マークM3の位置とマークM4の位置とを一致させることにより、方向D2における中間ブロック50と光源用ベース32との相対位置、ひいては方向D2における中間ブロック50と半導体レーザ素子11との相対位置が精度よく位置決めされる。また、中間ブロック50と光変調素子12とを位置合わせするために、中間ブロック50の主面50aにおける変調素子用ベース34と対向する辺には、一又は複数のマークM5が設けられ、変調素子用ベース34の搭載面34aにおける主面50aと対向する辺には、マークM5に対応する一又は複数のマークM6が設けられている。マークM5の位置とマークM6の位置とを一致させることにより、方向D2における中間ブロック50と変調素子用ベース34との相対位置、ひいては方向D2における中間ブロック50と光変調素子12との相対位置が精度よく位置決めされる。マークM3,M4,M5,M6は、例えば十字形状といった種々の形状を有することができる。
【0059】
以上の構成を備える本実施形態の光送受信モジュール10の組み立て手順を説明する。図7は、光送受信モジュール10の組み立て手順を示すフローチャートである。図7に示されるように、まず、工程S1として、上述した構成を有するパッケージ30を準備する。次に、工程S2として、受信素子用キャリア35上に光受信素子13を搭載した受光素子アセンブリを、パッケージ30の搭載面37a上に実装する。続いて、工程S3として、温調デバイス40をパッケージ30の底面36a上に固定する。続いて、工程S4として、下基板41の主面41aに、中間ブロック50を固着する。続いて、工程S5として、変調素子用ベース34上に変調素子用キャリア33及び光変調素子12を搭載した変調素子アセンブリを、温調デバイス40の上基板43上に固定する。続いて、工程S6として、光源用ベース32上に光源用キャリア31及び半導体レーザ素子11を搭載した波長可変光源アセンブリを、温調デバイス40の上基板42上に固定する。なお、工程S5及びS6の順序は互いに入れ替わってもよい。続いて、工程S7として、ビームスプリッタ22、ミラー23,24,25、偏波合成フィルタ26、及び偏波分離フィルタ27をそれぞれ所定位置に実装する。そして、レンズ21及びレンズアレイ28,29をそれぞれ所定位置に実装する。最後に、パッケージ30の蓋部(リッド)を被せてパッケージ30の内部空間を気密に封止する。以上の工程を経て、本実施形態の光送受信モジュール10が作製される。
【0060】
以上に説明した本実施形態の光送受信モジュール10によって得られる効果について説明する。上述したように、この光送受信モジュール10では、半導体レーザ素子11から出力されたレーザ光Laの一部(レーザ光La1)が光変調素子12に入力され、光変調素子12はレーザ光Laを変調することにより信号光Lb1,Lb2を生成する。また、半導体レーザ素子11から出力されたレーザ光Laの残部(レーザ光La2)が光受信素子13に入力され、光受信素子13は、受信信号光Lcの復調を、レーザ光La2(局発光)を利用して行う。ペルチェ素子44は半導体レーザ素子11の温度を制御することによってレーザ光Laの波長を制御し、ペルチェ素子45は光変調素子12の温度を一定に保つことによって光変調素子12の特性の変動を抑える。このように、ペルチェ素子44,45が半導体レーザ素子11及び光変調素子12に対する温度制御をそれぞれ独立して行うので、これらの温度を精度良く制御することができる。そして、この光送受信モジュール10では、中間ブロック50がペルチェ素子44とペルチェ素子45との間に配置されており、その裏面50bは、下基板41の主面41aに直接又は間接的に固着されている。これにより、ペルチェ素子44,45を搭載する下基板41の温度変動に起因する反り(特に、ペルチェ素子44とペルチェ素子45との間の部分の反り)を中間ブロック50が妨げるので、下基板41の反りを低減することができる。故に、温度変動に起因する半導体レーザ素子11の光軸と光変調素子12の光軸との相対的な傾きを低減し、これらの光結合効率の変動を抑制できる。また、下基板41の反りに起因してペルチェ素子44,45に生じる応力を低減し、ペルチェ素子44,45の信頼性を高めることができる。
【0061】
本実施形態のように、方向D1における金属パターン48(固着領域)の長さEaは、同方向における下基板41の長さEbの10%以上50%以下であってもよい。金属パターン48(固着領域)の長さEaが下基板41の長さEbの10%以上であることにより、下基板41の反りを中間ブロック50が効果的に妨げることができる。また、金属パターン48(固着領域)の長さEaが下基板41の長さEbの50%以下であることにより、下基板41の主面41aにおいてペルチェ素子44,45を配置するスペースを十分に確保することができる。
【0062】
本実施形態のように、下基板41の主面41a上には金属パターン48が設けられており、中間ブロック50の裏面50b上には金属パターン51が設けられており、金属パターン48と金属パターン51とが半田等の金属接合材を介して互いに固着されてもよい。この場合、中間ブロック50と下基板41とを強固に固着し、下基板41の反りによる中間ブロック50と下基板41との剥離を防いで、下基板41の反りを効果的に妨げることができる。
【0063】
本実施形態のように、方向D1と直交する方向(例えば方向D2)における金属パターン48(固着領域)の幅Waは、同方向における下基板41の幅Wbの50%以上であってもよい。金属パターン48(固着領域)の幅Waが下基板41の幅Wbの50%以上であることにより、下基板41の反りを中間ブロック50が効果的に妨げることができる。
【0064】
本実施形態のように、中間ブロック50の主面50aに、半導体レーザ素子11及び光変調素子12と中間ブロック50とを位置合わせするためのマークM3,M5が設けられてもよい。この場合、中間ブロック50が介在することによって互いの間隔が大きくなった半導体レーザ素子11及び光変調素子12の相対位置を精度良く合わせることができる。
【0065】
本実施形態のように、中間ブロック50の主面50a及びパッケージ30の搭載面37aに、中間ブロック50とパッケージ30とを位置合わせするためのマークM1,M2が設けられてもよい。この場合、パッケージ30に対する中間ブロック50の相対位置を精度良く合わせることができ、ひいてはパッケージ30の搭載面37a上に配置される光受信素子13と半導体レーザ素子11とを精度良く光結合させることができる。
【0066】
本実施形態のように、温調デバイス40は、ペルチェ素子44,45のうち少なくとも一方に制御信号を供給する配線47a,47bを下基板41の主面41a上に有し、配線47a,47bは、方向D2において金属パターン48(固着領域)と並んで配設され、中間ブロック50は配線47a,47bを覆う部分を含んでもよい。この場合、中間ブロック50の面積を大きくすることができるため、中間ブロック50の主面50aの上に、ビームスプリッタ22等の光学部品を配置するスペースを十分に確保することができる。
【0067】
本実施形態のように、光源用ベース32の搭載面32a、中間ブロック50の主面50a、及び変調素子用ベース34の搭載面34aは互いに面一であってもよい。この場合、高さ方向(下基板41の主面41aの法線方向)における半導体レーザ素子11と光変調素子12との光軸合わせを精度良く行うことができる。また、本実施形態では下基板41がペルチェ素子44,45において互いに共通であるため、上基板42,43間の高さのバラツキを低減でき、ひいては搭載面32a,34a間の高さのバラツキを低減できる。故に、半導体レーザ素子11と光変調素子12との結合効率のバラツキを低減できる。
【0068】
本実施形態のように、中間ブロック50の主面50a上に、半導体レーザ素子11から出力されるレーザ光Laを分岐する光学部品(ビームスプリッタ22)が配置され、分岐されたレーザ光Laのうち一方のレーザ光La1が光変調素子12に入力され、他方のレーザ光La2が光受信素子13に入力されてもよい。このような光学部品を中間ブロック50の主面50a上に配置することにより、中間ブロック50上のスペースを効率良く利用することができる。なお、中間ブロック50の主面50a上には、ビームスプリッタ22に代えて、或いはビームスプリッタ22とともに、他の光学部品が配置されてもよい。
【0069】
(第1変形例)
上記実施形態の光送受信モジュール10の構成のうち、光受信素子13、ビームスプリッタ22、ミラー23,24,25、偏波分離フィルタ27、及びレンズアレイ29を除いた構成は、光送信モジュールとして利用可能である。そのような光送信モジュールであっても、光受信素子13に関わるものを除いて、上記実施形態の光送受信モジュール10と同様の効果を奏することができる。
【0070】
(第2変形例)
上記実施形態では下基板41の主面41aと中間ブロック50の裏面50bとが半田等の金属接合材を用いて固着されているが、主面41a及び裏面50bの固着方法は金属接合材に限られず、例えば、主面41aと裏面50bとが樹脂を介して互いに固着されてもよい。この場合、中間ブロック50と下基板41とを簡易に固着することができ、製造プロセスを容易化することができる。
【0071】
(第3変形例)
図8及び図9は、上記実施形態の第3変形例に係る光送受信モジュール10Aの構成を示す図である。図8は光送受信モジュール10Aの切り欠き斜視図であり、図9は光送受信モジュール10Aの平面図である。なお、これらの図において、レンズ21、ビームスプリッタ22、ミラー23,24,25、偏波合成フィルタ26、偏波分離フィルタ27、及びレンズアレイ28,29の図示を省略している。
【0072】
本変形例と上記実施形態との相違点は、マークM1,M2,M3,M4,M5,M6の形状である。本変形例では、マークM1,M2,M3,M4,M5,M6が十字形状ではなく中間ブロック50の主面50aの各辺と交差する方向に延びる直線状を呈している。このような形状であっても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0073】
本開示による光送信モジュール、光送受信モジュール、及び光モジュールは、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、本開示による光モジュールにおいて、第1の光素子として半導体レーザ素子11を例示し、第2の光素子として光変調素子12を例示したが、これらの光素子としては他に様々な光素子を適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
10,10A…光送受信モジュール
11…半導体レーザ素子
12…光変調素子
13…光受信素子
21…レンズ
22…ビームスプリッタ
23,24,25…ミラー
26…偏波合成フィルタ
27…偏波分離フィルタ
28,29…レンズアレイ
30…パッケージ
31…光源用キャリア
32…光源用ベース
32a…搭載面
32b…裏面
33…変調素子用キャリア
34…変調素子用ベース
34a…搭載面
34b…裏面
35…受信素子用キャリア
36…底板
36a…底面
37…壁部
37a…搭載面
37b,37c…孔
38…部材
40…温調デバイス
41…下基板(基板)
41a…主面
41b…裏面
42…上基板(第1の搭載部)
43…上基板(第2の搭載部)
44…ペルチェ素子(第1の温度制御素子)
45…ペルチェ素子(第2の温度制御素子)
46a,46b,47a,47b…配線
46c,46d,47c,47d…ボンディングパッド
48…金属パターン(第1の金属膜)
50…中間ブロック
50a…主面
50b…裏面
50ba…一端
50bb…他端
51…金属パターン(第2の金属膜)
371,372,373…部分
A…領域
D1,D2,D3…方向
La,La1,La2…レーザ光
Lb…送信信号光
Lb1,Lb2…信号光
Lc…受信信号光
Lc1,Lc2…信号光
M1,M2,M3,M4,M5,M6…マーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9