(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
F16K 5/04 20060101AFI20231212BHJP
F16K 11/085 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
F16K5/04 E
F16K11/085 Z
(21)【出願番号】P 2020079505
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 康誠
(72)【発明者】
【氏名】池本 忠
(72)【発明者】
【氏名】瀬古 直史
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-211075(JP,A)
【文献】特開2019-167943(JP,A)
【文献】特開2017-008847(JP,A)
【文献】特表2005-509777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 5/04
F16K 11/076
F16K 11/085 - 11/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ装置であって、
流体が流れる流路部(26)を形成する筒状のバルブ外周部(70)を有し、回転軸(CL)を中心に前記バルブ外周部の周方向に回転するバルブ(20)と、
前記バルブを収容し、前記流体を流入させる流体入口部(40、44)および前記流体を流出させる流体出口部(41)が前記バルブ外周部に対向する位置に形成されたハウジング(10)と、
前記バルブ外周部と前記流体出口部との間に設けられ、前記バルブ外周部と前記流体出口部との隙間を塞ぐバルブシート(123a)とを備え、
前記バルブ外周部には、前記流体入口部から流入した前記流体を前記流路部に流入させるバルブ流入口(84)が前記流体入口部に対向する位置に設けられるとともに、前記流路部に流入した前記流体を前記流体出口部に流出させるバルブ流出口(81、91、92、93、94)が前記流体出口部に対向する位置に前記周方向に並んで複数設けられており、
前記バルブシートは、前記バルブが回転する際に少なくとも一部が前記バルブ外周部に摺動するシート面(51)に、前記バルブ流出口と連通することで前記流体を前記流体出口部に流出させるシート開口部(61)が設けられており、
前記バルブは、前記周方向に回転することで前記バルブ流出口が前記シート開口部に連通する開弁状態および前記バルブ流出口が前記シート開口部に連通しない閉弁状態に切り替え可能であり、
前記バルブ流出口は、前記バルブが前記開弁状態において前記シート開口部の全部と連通する主要流出口(81)と、前記バルブが前記開弁状態において前記シート開口部の一部と連通する中間流出口(91、92、93、94)とを含み、
前記中間流出口は、前記周方向に並んで複数設けられており、前記回転軸の軸心方向の寸法が前記シート開口部の前記軸心方向の寸法より小さく、且つ、少なくとも前記周方向において前記シート開口部と重なる部位の前記軸心方向の寸法が前記周方向に沿って連続して変化
し、複数の前記中間流出口のうち、所定の中間流出口を一方の中間流出口とし、前記所定の中間流出口に隣り合う1つの流出口を他方の中間流出口とし、さらに、前記一方の中間流出口および前記他方の中間流出口において、前記周方向において互いに重なるそれぞれの部位と部位との間隔を流出口ピッチとしたとき、
前記流出口ピッチの最小値は、前記流出口ピッチが最小となる前記軸心方向の位置における前記シート開口部の前記周方向の寸法より小さいバルブ装置。
【請求項2】
前記一方の中間流出口および前記他方の中間流出口は、
前記一方の中間流出口および前記他方の中間流出口が前記シート開口部に連通する状態で前記バルブが回転すると、前記一方の中間流出口と前記シート開口部との連通する範囲が増加する際に前記他方の中間流出口と前記シート開口部との連通する範囲が減少し、前記一方の中間流出口と前記シート開口部との連通する範囲が減少する際に、前記他方の中間流出口と前記シート開口部との連通する範囲が増加するように前記流出口ピッチが設定されている請求項
1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記シート開口部は、円形状で形成されており、
前記一方の中間流出口および前記他方の中間流出口のそれぞれは、開口面積が同じ円形状で形成され、中心が前記シート開口部の中心と前記周方向において重なる位置に設けられるとともに、互いの中心間の距離が前記シート開口部の内径である請求項
2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記バルブ外周部を前記周方向に沿って平面状に展開した際の前記中間流出口の形状は、前記周方向における一方の端部および他方の端部のうち少なくとも一方が、前記周方向および前記バルブ外周部の径方向に直交する方向に沿って延びている請求項1
または2に記載のバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、曲面形状のボール面にバルブ開口が形成されたボールバルブと、曲面形状のシート面にシート開口が形成されたバルブシートと、ボールバルブと一体に回転するシャフトとを備えるバルブ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。バルブ開口は、ボールバルブの回転方向に沿って延びる一対の開口縁を有する長穴形状であって、シャフトの軸心方向の大きさがシート開口の内径より大きく形成されている。このため、ボールバルブが回転する際に、バルブ開口が真円形状に形成される場合に比較して、バルブ開口をシート開口に連通させ易い。また、バルブ開口は、開弁時にシート開口の全部に連通することができる。
【0003】
そして、シート面は、曲率半径がボール面の曲率半径より大きく形成されている。このため、シート面のうち、閉弁時にボール面に接してシール性を確保する箇所は、開弁時にボール面に接しない。したがって、バルブシートは、シート面における閉弁時にボール面に接してシール性を確保する箇所の摩耗が抑制されるので、シール性が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者らは、ボール面にシート開口部の一部に連通する開口部を追加することで、特許文献1に記載のバルブ装置を、シート開口に連通する開口の切り替えによって流体の流出量を調整可能な流量調整弁として機能させることを検討した。この検討によって追加した開口部(すなわち、追加開口部)は、ボールバルブの回転方向に沿って延びる一対の開口縁を有する長穴形状であって、シャフトの軸心方向の大きさがシート開口の内径より小さい形状になっている。
【0006】
しかしながら、上記の追加開口部がシート開口に連通する際、シート面は、閉弁時にボール面に接してシール性を確保する箇所のうち、周方向において追加開口部に重なる部位がボール面に接しない。一方、シート面は、閉弁時にボール面に接してシール性を確保する箇所のうち、周方向において追加開口部に重ならない部位がボール面に接する。したがって、追加開口部がシート開口に連通する位置で繰り返しボールバルブが回転すると、シート面は、周方向において一対の開口縁と重なる部位を境に、周方向において追加開口部に重なる部位と重ならない部位との間で摩耗の差が生じる。また、当該摩耗の差は、追加開口部の周方向の大きさが大きいほど大きくなる。これにより、発明者らは、バルブシートのシール性を確保することが難しいとの知見を得た。
【0007】
本開示は、バルブシートのシール性を確保しつつ、開弁状態の際の流体の流出量を調整可能なバルブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、
バルブ装置であって、
流体が流れる流路部(26)を形成する筒状のバルブ外周部(70)を有し、回転軸(CL)を中心にバルブ外周部の周方向に回転するバルブ(20)と、
バルブを収容し、流体を流入させる流体入口部(40、44)および流体を流出させる流体出口部(41)がバルブ外周部に対向する位置に形成されたハウジング(10)と、
バルブ外周部と流体出口部との間に設けられ、バルブ外周部と流体出口部との隙間を塞ぐバルブシート(123a)とを備え、
バルブ外周部には、流体入口部から流入した流体を流路部に流入させるバルブ流入口(84)が流体入口部に対向する位置に設けられるとともに、流路部に流入した流体を流体出口部に流出させるバルブ流出口(81、91、92、93、94)が流体出口部に対向する位置に周方向に並んで複数設けられており、
バルブシートは、バルブが回転する際に少なくとも一部がバルブ外周部に摺動するシート面(51)に、バルブ流出口と連通することで流体を流体出口部に流出させるシート開口部(61)が設けられており、
バルブは、周方向に回転することでバルブ流出口がシート開口部に連通する開弁状態およびバルブ流出口がシート開口部に連通しない閉弁状態に切り替え可能であり、
バルブ流出口は、バルブが開弁状態においてシート開口部の全部と連通する主要流出口(81)と、バルブが開弁状態においてシート開口部の一部と連通する中間流出口(91、92、93、94)とを含み、
中間流出口は、周方向に並んで複数設けられており、回転軸の軸心方向の寸法がシート開口部の軸心方向の寸法より小さく、且つ、少なくとも周方向においてシート開口部と重なる部位の軸心方向の寸法が周方向に沿って連続して変化し、複数の中間流出口のうち、所定の中間流出口を一方の中間流出口とし、所定の中間流出口に隣り合う1つの流出口を他方の中間流出口とし、さらに、一方の中間流出口および他方の中間流出口において、周方向において互いに重なるそれぞれの部位と部位との間隔を流出口ピッチとしたとき、
流出口ピッチの最小値は、流出口ピッチが最小となる軸心方向の位置におけるシート開口部の周方向の寸法より小さいバルブ装置。
【0009】
これによれば、バルブ装置は、主要流出口とシート開口部とが連通すると、流体がシート開口部の全部を通過して流体出口部から流出する。また、バルブ装置は、中間流出口とシート開口部とが連通すると、流体がシート開口部の一部を通過する。この場合、バルブ装置は、主要流出口とシート開口部とが連通する場合に比較して、少ない流量の流体が流体出口部から流出する。
【0010】
このため、バルブ装置は、バルブを周方向に回転させて、シート開口部に連通するバルブ流出口を主要流出口および中間流出口に切り替えることで、開弁状態の際における流体出口部からの流体の流出量を調整することができる。
【0011】
また、中間流出口が径方向にシート開口部と重なる範囲でバルブが回転する際、シート面のうちバルブ外周部に接する部位は、バルブの回転に伴って、中間流出口の形状に沿って変化する。このため、中間流出口がシート開口部に連通する位置でバルブが回転する際に、シート面において中間流出口に重なる部位と重ならない部位との間での摩耗の差の発生を抑制することができるので、バルブシートのシール性を確保することができる。
【0012】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係るバルブ装置を適用した冷却システムの概略図である。
【
図2】第1実施形態に係るバルブ装置の概略構成図である。
【
図3】第1実施形態に係るバルブの一部および第1スリーブを示す模式図である。
【
図4】第1実施形態に係るバルブの一部および第1スリーブを示す模式的な断面図である。
【
図6】第1実施形態に係るバルブ外周部の曲率半径および第1スリーブの曲率半径を説明するための説明図である。
【
図7】第1実施形態に係るバルブ外周部を周方向に沿って平面状に展開した展開図および第1開口部~第4開口部を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係る第1開口部の全閉状態を示す断面図である。
【
図9】第1実施形態に係る第1シート面と閉塞面との摺動部位を説明するための図である。
【
図10】第1実施形態に係る第1開口部の全開状態を示す断面図である。
【
図11】第1実施形態に係る第1開口部が全開する際の第1シート面と閉塞面との摺動部位を説明するための図である。
【
図12】第1実施形態に係る流出口ピッチを説明するための説明図である。
【
図13】第1実施形態に係る第1中間口と第2中間口との間隔を説明するための説明図である。
【
図14】第1実施形態に係る第1中間口と第2中間口との間隔を説明するための説明図である。
【
図15】第1実施形態に係る第2中間口と第3中間口との間隔を説明するための説明図である。
【
図16】第1実施形態に係る第4中間口と主要流出口との間隔を説明するための説明図である。
【
図17】第1実施形態に係るバルブの回転位置と第1開口部~第3開口部の開口率との関係を示すグラフである。
【
図19】第1実施形態に係る主要流出口、第1中間口~第4中間口、第2流出口、第3流出口の位置関係を説明するための説明図である。
【
図20】比較例の中間口と第1開口部とが連通する際の状態を示す断面図である。
【
図21】比較例の中間口と第1開口部とが連通する際の第1シート面と閉塞面との摺動部位を説明するための図である。
【
図22】第1実施形態に係る第1開口部と第1中間口とが連通する状態を示す断面図である。
【
図23】第1実施形態に係る第1開口部と第1中間口とが連通する際の第1シート面と閉塞面との摺動部位を説明するための図である。
【
図24】第1実施形態の変形例に係る第1中間口および第2中間口を示す図である。
【
図25】第1実施形態の変形例に係る第1中間口および第2中間口を示す図である。
【
図26】第2実施形態に係る第1中間口および第2中間口を示す図である。
【
図27】第2実施形態に係る第1中間口および第2中間口と第1開口部との位置ずれを示す図である。
【
図28】第2実施形態の変形例に係る第1中間口および第2中間口を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0015】
(第1実施形態)
【0016】
[バルブ装置1の概要]
本実施形態について、
図1~
図19を参照して説明する。本実施形態のバルブ装置1は、車両のエンジン3を冷却する冷却水を循環させる冷却システム2に適用されるものである。バルブ装置1は、冷却システム2を循環する冷却水の流量を制御する。本明細書でいう冷却水とは、例えば、エチレングリコールを主成分とする流体のことである。なお、流体として、他の液体が用いられてもよい。
【0017】
図1に示すように、冷却システム2は、バルブ装置1と、エンジン3と、空調用熱交換器4と、オイルクーラ5と、ラジエータ6と、ウォータポンプ7とを含んで構成されている。バルブ装置1は、エンジン3を通過することによって加熱された冷却水をウォータポンプ7が循環させる際に、空調用熱交換器4と、オイルクーラ5と、ラジエータ6とのそれぞれに対して必要な流量を流出する。
【0018】
バルブ装置1は、
図2に示すように、外殻を形成するハウジング10と、回転軸CLを中心に回転するバルブ20と、バルブ20を回転させるシャフト25と、シャフト25を回転させる駆動力を出力する駆動部30とを備えている。バルブ装置1は、バルブ20が回転軸CLを中心に回転することで、バルブ装置1の開閉動作およびバルブ装置1から流出する冷却水の流量の調整を行うロータリ式バルブとして構成されている。本実施形態は、回転軸CLに沿う方向を軸心方向DRa、軸心方向DRaに直交し、且つ、回転軸CLから放射状に延びる方向を径方向DRr、バルブ20のバルブ外周部70の周方向であってバルブ20の回転方向を周方向DRcとして各種構成等を説明する。
【0019】
ハウジング10は、バルブ20を収容する収容部である。ハウジング10は、例えば、樹脂部材によって構成されている。ハウジング10は、バルブ20が収容される中空形状のハウジング本体部11と、ハウジング本体部11から冷却水を流出させるパイプ部材12と、駆動部30が収容される駆動部カバー13とを含んで構成されている。
【0020】
ハウジング本体部11は、外観が略直方体であって、開口部を有する有底形状である。また、ハウジング本体部11の内部には、ハウジング本体部11の外壁部によって、軸心方向DRaの軸心を有する円柱形状のバルブ収容空間111が形成されている。ハウジング本体部11は、軸心方向DRaの一方側が開口している。
【0021】
ハウジング本体部11の開口側の外壁部には、駆動部カバー13が取り付けられる。また、ハウジング本体部11は、ハウジング本体部11の外壁部において、径方向DRrに位置する部位に、エンジン3が取り付けられるエンジン取付面112と、パイプ部材12が取り付けられるパイプ取付面113とを有する。エンジン取付面112とパイプ取付面113とは、径方向DRrにおいて互いの反対側となる位置に設けられている。また、ハウジング本体部11の内部には、軸心方向DRaの一方側の端部にシャフト25の一方側を回転可能に支持する第1軸受部114が設けられている。また、ハウジング本体部11の内部には、軸心方向DRaの他方側の端部にシャフト25の他方側を回転可能に支持する第2軸受部115が設けられている。
【0022】
駆動部カバー13は、駆動部30を収容する収容部である。駆動部カバー13は、例えば樹脂部材によって、中空形状に形成されている。また、駆動部カバー13は、ハウジング本体部11の開口側に取り付けられることによって、バルブ収容空間111を閉塞する。
【0023】
駆動部30は、シャフト25を回転させるための駆動力を出力する駆動源である。駆動部30は、バルブ20を回転させるための回転力を出力するモータ31と、モータ31の出力をシャフト25に伝動するギア部32と、シャフト25の回転位置を検出する回転角センサ33を有する。モータ31は、図示しないエレクトロニックコントロールユニット(以下、ECUという)に接続されており、ECUから送信される制御信号に従って回転する。回転角センサ33は、図示しないECUに接続されており、検出するシャフト25の回転位置の情報をECUに送信する。
【0024】
パイプ取付面113は、略平面状である。パイプ取付面113には、バルブ収容空間111に冷却水を流入させる第1入口部40が形成されている。また、パイプ取付面113には、バルブ収容空間111から冷却水を流出させる第1出口部41、第2出口部42、第3出口部43が形成されている。第1入口部40、第1出口部41、第2出口部42、第3出口部43は、それぞれが円形状に開口しており、バルブ外周部70に対向する位置に形成されている。また、第1入口部40、第1出口部41、第2出口部42、第3出口部43は、軸心方向DRaに沿って並んで設けられている。また、パイプ取付面113には、パイプ部材12が取り付けられる。本実施形態では、第1入口部40および後述する第2入口部44が流体入口部を構成し、第1出口部41が流体出口部を構成する。
【0025】
パイプ部材12は、バルブ収容空間111に流入した冷却水を空調用熱交換器4と、オイルクーラ5と、ラジエータ6とに流出させるためのものである。パイプ部材12は、例えば、樹脂部材によって構成されている。パイプ部材12は、バルブ20から流出する冷却水が流れる流路を有する。
【0026】
具体的に、パイプ部材12は、冷却水を空調用熱交換器4に導く第1パイプ部121aと、冷却水をオイルクーラ5に導く第2パイプ部121bと、冷却水をラジエータ6に導く第3パイプ部121cとを有する。また、パイプ部材12は、バルブ20から流出する冷却水を、第1パイプ部121aに導く第1スリーブ122aと、第2パイプ部121bに導く第2スリーブ122bと、第3パイプ部121cに導く第3スリーブ122cとを有する。
【0027】
第1パイプ部121aは、第1スリーブ122aに連結されている。また、第1パイプ部121aは、冷却水の流れ下流側に空調用熱交換器4が接続される。第2パイプ部121bは、第2スリーブ122bに連結されている。また、第2パイプ部121bは、冷却水の流れ下流側にオイルクーラ5が接続される。第3パイプ部121cは、第3スリーブ122cに連結されている。また、第3パイプ部121cは、冷却水の流れ下流側にラジエータ6が接続される。
【0028】
第1スリーブ122aは、バルブ20と第1出口部41との間に設けられている。また、第1スリーブ122aは、バルブ20から流出した冷却水を第1パイプ部121aに導く流路を形成している。第2スリーブ122bは、バルブ20と第2出口部42との間に設けられている。また、第2スリーブ122bは、バルブ20から流出した冷却水を第2パイプ部121bに導く流路を形成している。第3スリーブ122cは、バルブ20と第3出口部43との間に設けられている。また、第3スリーブ122cは、バルブ20から流出した冷却水を第3パイプ部121cに導く流路を形成している。
【0029】
第1スリーブ122aは、
図2に示すように、第1出口部41とバルブ外周部70との隙間を塞ぐ第1バルブシート123aおよび第1バルブシート123aをバルブ外周部70へ押し付ける第1スプリング124aを有する。第2スリーブ122bは、第2出口部42とバルブ外周部70との隙間を塞ぐ第2バルブシート123bおよび第2バルブシート123bをバルブ外周部70へ押し付ける第2スプリング124bを有する。第3スリーブ122cは、第3出口部43とバルブ外周部70との隙間を塞ぐ第3バルブシート123cおよび第3バルブシート123cをバルブ外周部70へ押し付ける第3スプリング124cを有する。
【0030】
第1スリーブ122a~第3スリーブ122cは、基本的な構造が同じである。このため、本実施形態では、第1出口部41に対応する第1スリーブ122aについて詳細を説明し、第2スリーブ122b、第3スリーブ122cについて詳細な説明を省略する。
【0031】
第1バルブシート123aは、冷却水が第1出口部41とバルブ外周部70との隙間から漏れることを抑制するシール部材である。第1バルブシート123aは、
図3~
図5に示すように、円環状である。第1バルブシート123aは、第1スリーブ122aのバルブ20側の端部に設けられている。第1バルブシート123aは、バルブ20が回転する際にバルブ外周部70に摺動する第1シート面51を有する。第1バルブシート123aは、第1シート面51の中央が径方向DRrの外側に向かって窪んだ曲面形状である。
【0032】
また、第1バルブシート123aの中央には、バルブ20から流出する冷却水を第1出口部41に流出させる第1開口部61が貫通して形成されている。第1開口部61は、第1出口部41に連通している。本実施形態では、第1バルブシート123aがバルブシートを構成している。また、第1シート面51がシート面を構成している。また、第1開口部61がシート開口部を構成している。また、以下の説明において、第2バルブシート123bのシート面に形成され、第2出口部42に連通する開口部を第2開口部62とも呼ぶ。また、第3バルブシート123cのシート面に形成され、第3出口部43に連通する開口部を第3開口部63とも呼ぶ。
【0033】
エンジン取付面112は、略平面状である。エンジン取付面112には、バルブ収容空間111に冷却水を流入させる第2入口部44が形成されている。第2入口部44は、バルブ外周部70に対向する位置に形成されている。また、第2入口部44は、径方向DRrにおいて第1入口部40の反対側の位置に形成されており、円形状に開口している。また、第2入口部44には、第2入口部44から流入した冷却水を後述するバルブ流入口84に導く第4スリーブ122dが設けられている。
【0034】
第4スリーブ122dは、第1スリーブ122a~第3スリーブ122cと同様の構成であるため、その説明を省略する。以下、第4スリーブ122dに設けられる第4バルブシート123dのシート面に形成され、第2入口部44に連通する開口部を第4開口部64とも呼ぶ。第1開口部61~第4開口部64は、それぞれの中心が軸心方向DRaにおいて重なっている。
【0035】
シャフト25は、駆動部30が出力する駆動力によって、シャフト25の軸心を中心に回転する回転部材である。シャフト25は、シャフト25の軸心が回転軸CLと重なる位置に設けられている。シャフト25は、軸心方向DRaに沿って延びている。また、シャフト25は、バルブ20を貫通するとともに、バルブ20に連結されている。シャフト25は、バルブ20と一体に回転する。
【0036】
シャフト25は、一方側の端部がギア部32に接続されている。また、シャフト25は、他方側の端部が第2軸受部115に回転可能に支持されている。シャフト25は、モータ31の駆動力がギア部32を介して伝動されて周方向DRcに回転する。
【0037】
[バルブ20の概要]
バルブ20は、シャフト25と一体に回転することで、第1入口部40および第2入口部44から流入する冷却水の流量と、第1出口部41、第2出口部42、第3出口部43から流出する冷却水の流量とを調整する調整弁である。バルブ20は、第1出口部41から流出する冷却水の流量を調整することで空調用熱交換器4へ供給される冷却水の流量を調整する。また、バルブ20は、第2出口部42から流出する冷却水の流量を調整することでオイルクーラ5へ供給される冷却水の流量を調整する。また、バルブ20は、第3出口部43から流出する冷却水の流量を調整することでラジエータ6へ供給される冷却水の流量を調整する。
【0038】
バルブ20は、バルブ20の外殻を形成するバルブ外周部70を有する。バルブ外周部70は、一方側が閉塞する有底筒状であって、冷却水が流れる流路部26を形成している。バルブ外周部70の底部には、シャフト25が連結されている。また、バルブ外周部70は、第1開口部61~第4開口部64のそれぞれに対向する部位が、径方向DRrの外側に向かって凸状に曲げられた曲面形状で形成されている。例えば、
図6に示すように、バルブ外周部70のうち、第1シート面51に対向する部位は、表面の曲率半径が第1シート面51の曲率半径より小さい曲面形状で形成されている。また、バルブ外周部70は、バルブ外周部70の表面に第1入口部40、第1出口部41、第2出口部42、第3出口部43、第2入口部44を閉塞する閉塞面27を有する。
【0039】
バルブ外周部70には、バルブ20の回転を規制する図示しない位置決め部が設けられている。バルブ20は、位置決め部がハウジング10に設けられた図示しないストッパに当接することによって、回転範囲が規制されている。本実施形態において、バルブ20は、所定の回転位置を基準角度として、基準角度からストッパに当接するまでの範囲内で回転可能に構成されている。具体的に、バルブ20は、基準角度を0°として、0°~240°の範囲内で周方向DRcの一方側および他方側へ回転可能に構成されている。以下、周方向DRcのうち、0°から240°へ向かって回転する方向を一方側方向、240°から0°へ向かって回転する方向を他方側方向とも呼ぶ。
【0040】
また、バルブ外周部70には、第1入口部40および第2入口部44から流入する冷却水を流路部26に流入させるバルブ流入口84が形成されている。また、バルブ外周部70には、バルブ流入口84を介して流路部26に流入した冷却水をバルブ20の外部へ流出させる主要流出口81、第1中間口91、第2中間口92、第3中間口93、第4中間口94、第2流出口82、第3流出口83が形成されている。
【0041】
バルブ流入口84は、バルブ外周部70における軸心方向DRaの位置が、ハウジング本体部11の第1入口部40および第2入口部44が形成されている軸心方向DRaの位置と同じ位置に設定されている。換言すれば、バルブ流入口84は、第1入口部40および第2入口部44に対向する位置に形成されている。バルブ流入口84は、バルブ20が回転し、径方向DRrにおいて第1入口部40と重なると、第1入口部40と連通する。また、バルブ流入口84は、バルブ20が回転し、径方向DRrにおいて第4開口部64と重なると、第4開口部64と連通する。
【0042】
主要流出口81および第1中間口91~第4中間口94は、流路部26に流入した冷却水を第1出口部41を介して空調用熱交換器4へ流出させる流出部である。本実施形態では、主要流出口81および第1中間口91~第4中間口94が、流路部26に流入した冷却水を第1出口部41に流出させるバルブ流出口を構成する。
【0043】
主要流出口81および第1中間口91~第4中間口94は、バルブ外周部70における軸心方向DRaの位置が、ハウジング本体部11の第1出口部41が形成されている軸心方向DRaの位置と同じ位置に設定されている。主要流出口81および第1中間口91~第4中間口94は、第1出口部41に対向する位置に周方向DRcに並んで形成されている。また、第1中間口91~第4中間口94のそれぞれは、少なくとも一部が、周方向DRcにおいて、第1開口部61に重なる位置に設けられている。本実施形態において、第1中間口91~第4中間口94は、それぞれの全部が周方向DRcにおいて、第1開口部61に重なる位置に設けられている。
【0044】
主要流出口81および第1中間口91~第4中間口94は、バルブ20が回転し、径方向DRrにおいて第1開口部61と重なることによって、第1開口部61と連通する。ここで、連通とは、互いに異なる2つの空間が連なり、当該2つの空間に冷却水が流通可能となる状態を意味する。例えば、第1開口部61が主要流出口81に連通すると、第1開口部61に囲まれた空間の少なくとも一部と主要流出口81に囲まれた空間の少なくとも一部とが連なり、第1開口部61と主要流出口81との間を冷却水が流通可能となる。また、第1開口部61が主要流出口81に連通すると、第1開口部61が開いた状態(すなわち、開弁状態)となる。
【0045】
また、例えば、第1開口部61が第1中間口91に連通すると、第1開口部61に囲まれた空間の一部と第1中間口91に囲まれた空間の少なくとも一部とが連なり、第1開口部61と第1中間口91との間を冷却水が流通可能となる。本実施形態では、第1中間口91~第4中間口94が、バルブ20が開弁状態において第1開口部61の一部と連通する中間流出口を構成する。
【0046】
第2流出口82は、流路部26に流入した冷却水を第2出口部42を介してオイルクーラ5へ流出させる流出部である。第2流出口82は、バルブ外周部70における軸心方向DRaの位置が、ハウジング本体部11の第2出口部42が形成されている同じ軸心方向DRaの位置と同じ位置に設定されている。第2流出口82は、バルブ20が回転し、径方向DRrにおいて第2開口部62と重なることによって、第2開口部62と連通する。
【0047】
第3流出口83は、流路部26に流入した冷却水を第3出口部43を介してラジエータ6へ流出させる流出部である。第3流出口83は、バルブ外周部70における軸心方向DRaの位置が、ハウジング本体部11の第3出口部43が形成されている軸心方向DRaの位置と同じ位置に設定されている。第3流出口83は、バルブ20が回転し、径方向DRrにおいて第3開口部63と重なることによって、第3開口部63と連通する。
【0048】
バルブ20は、冷却水がバルブ流入口84から流路部26に流入する際に、主要流出口81、第1中間口91~第4中間口94、第2流出口82、第3流出口83の少なくとも1つが、それぞれに対向する開口部に連通すると開弁状態になる。そして、バルブ20が開弁状態になると、バルブ装置1は、主要流出口81、第1中間口91~第4中間口94、第2流出口82、第3流出口83に連通する開口部のそれぞれから冷却水を流出させる。
【0049】
また、バルブ20は、主要流出口81、第1中間口91~第4中間口94、第2流出口82、第3流出口83の全てがどの開口部にも連通しない状態になると閉弁状態になる。バルブ20が閉弁状態になると、バルブ装置1は、冷却水の流出を停止させる。バルブ20は、回転してバルブ20の状態を開弁状態および閉弁状態に切り替えることで、バルブ20から流出する冷却水の流量を調整する。
【0050】
ところで、冷却システム2において、空調用熱交換器4、オイルクーラ5、ラジエータ6への必要な冷却水の流量は予め設定されている。このため、バルブ20は、空調用熱交換器4、オイルクーラ5、ラジエータ6への必要な冷却水の流量を流出させることが可能なように主要流出口81、第1中間口91~第4中間口94、第2流出口82、第3流出口83のそれぞれの寸法が設定される。また、主要流出口81、第2流出口82、第3流出口83それぞれの寸法に基づいて、第1開口部61~第3開口部63のそれぞれの寸法が設定される。
【0051】
また、空調用熱交換器4、オイルクーラ5、ラジエータ6それぞれへの必要な冷却水の流量および冷却水を流出させるタイミングは一定とは限らない。このため、バルブ20は、車両の運転状態等に応じて、空調用熱交換器4、オイルクーラ5、ラジエータ6それぞれへ必要なタイミングに必要な冷却水の流量を流出可能に設定されることが望ましい。
【0052】
本実施形態では、バルブ装置1は、バルブ20の回転位置を調整することで、空調用熱交換器4、オイルクーラ5、ラジエータ6のそれぞれへ必要なタイミングに必要な流量の冷却水を流出させることが可能になっている。具体的に、バルブ20は、所定の回転位置に対する第1出口部41~第3出口部43から流出させる冷却水の流量に基づいて、主要流出口81、第1中間口91~第4中間口94、第2流出口82、第3流出口83それぞれの寸法および形成位置が設定されている。また、バルブ装置1は、第1開口部61に連通する流出部を、主要流出口81および第1中間口91~第4中間口94のいずれかに変更することによって、空調用熱交換器4へ流出する冷却水の流量を変更させることが可能になっている。
【0053】
以下の説明において、主要流出口81、第1中間口91~第4中間口94、第2流出口82、第3流出口83について、それぞれの形状を説明した後、それぞれの形成位置を説明する。
【0054】
[主要流出口81、第1中間口91~第4中間口94、第2流出口82、第3流出口83、バルブ流入口84の形状]
主要流出口81、第1中間口91~第4中間口94、第2流出口82、第3流出口83、バルブ流入口84のそれぞれの形状について、
図7を参照して説明する。なお、
図7などに示すバルブ外周部70の展開図において、主要流出口81および第1中間口91~第4中間口94のそれぞれの寸法と第1開口部61の寸法を説明するために、第1開口部61も記載している。また、第2流出口82と第2開口部62との寸法関係を説明するために、第2開口部62も記載している。また、第3流出口83と第3開口部63との寸法関係を説明するために、第3開口部63も記載している。また、バルブ流入口84と第4開口部64との寸法関係を説明するために、第4開口部64も記載している。
【0055】
主要流出口81、第2流出口82、第3流出口83、バルブ流入口84は、軸心方向DRaの寸法に比較して周方向DRcの寸法が大きい長穴形状である。ただし、主要流出口81、第2流出口82、第3流出口83、バルブ流入口84は、それぞれの軸心方向DRaの寸法およびそれぞれの周方向DRcの寸法が互いに異なっている。主要流出口81、第2流出口82、第3流出口83、バルブ流入口84のそれぞれは、軸心方向DRaに対向し、周方向DRcに延びる一対の直線と、周方向DRcに対向する一対の円弧とが連なって形成されている。
【0056】
主要流出口81の軸心方向DRaの寸法W1は、第1開口部61の軸心方向DRaの寸法W3より大きい。換言すれば、主要流出口81の軸心方向DRaの寸法W1は、略真円形状に開口する第1開口部61の内径φ3より大きい。また、主要流出口81の軸心方向DRaの寸法W1は、第1シート面51の軸心方向DRaの寸法W4より小さい。また、主要流出口81の周方向DRcの寸法W2は、第1開口部61の内径φ3より大きい。
【0057】
このように形成される主要流出口81は、主要流出口81が第1開口部61に連通してバルブ20が開弁状態になる際に、第1開口部61の全部に連通することができる。すなわち、主要流出口81は、第1シート面51で囲まれる範囲の全てを覆うことができる。主要流出口81における第1開口部61に連通可能な最大範囲は、第1開口部61の全範囲である。
【0058】
第2流出口82は、軸心方向DRaの寸法および周方向DRcの寸法が第2開口部62の内径より大きい。第3流出口83は、軸心方向DRaの寸法および周方向DRcの寸法が第3開口部63の内径より大きい。バルブ流入口84は、軸心方向DRaの寸法および周方向DRcの寸法が第4開口部64の内径より大きい。
【0059】
これらに対して、第1中間口91~第4中間口94のそれぞれは、略真円形状で形成されている。また、第1中間口91~第4中間口94は、それぞれの軸心方向DRaの寸法および周方向DRcの寸法が、第1開口部61の軸心方向DRaの寸法W3より小さい。換言すれば、第1中間口91~第4中間口94のそれぞれの軸心方向DRaおよび周方向DRcの寸法は、第1開口部61の内径φ3より小さい。
【0060】
第1中間口91および第2中間口92は、開口面積が第1開口部61の開口面積の50%の大きさである。第3中間口93および第4中間口94は、開口面積が第1開口部61の開口面積の25%の大きさである。第1中間口91および第2中間口92の直径φ5は、第1開口部61の内径φ3より小さい。第3中間口93および第4中間口94の直径φ6は、第1開口部61の内径φ3および第1中間口91の直径φ5より小さい。
【0061】
また、第1中間口91~第4中間口94は、軸心方向DRaの寸法が周方向DRcに沿って連続して変化している。具体的に、第1中間口91~第4中間口94は、軸心方向DRaの寸法が最大となる部位から最小となる部位に向かって、軸心方向DRaの寸法が周方向DRcに沿って連続して小さくなっている。
【0062】
具体的に、第1中間口91~第4中間口94のそれぞれは、周方向DRcにおける中心の部位から周方向DRcにおける一方側の端部および他方側の端部に向かって、軸心方向DRaの寸法が周方向DRcに沿って連続して小さくなっている。
【0063】
このように形成される第1中間口91~第4中間口94のそれぞれは、第1中間口91~第4中間口94が第1開口部61に連通してバルブ20が開弁状態になる際に、第1開口部61の一部のみに連通することができる。第1中間口91~第4中間口94は、開口面積が第1開口部61よりも小さいので、第1開口部61を全開にすることができない。これに対し、第1開口部61は、第1中間口91~第4中間口94のうち所定の中間口に連通する際に、当該所定の中間口の全部に連通することができる。
【0064】
また、主要流出口81、第1中間口91~第4中間口94、第2流出口82、第3流出口83、バルブ流入口84のそれぞれが開口部に連通した際において、それぞれの開口部が開口する範囲を開口率として表すことができる。すなわち、第1開口部61~第4開口部64の開口率は、それぞれの開口部の開かれている度合いである。
【0065】
主要流出口81が第1開口部61の全部に連通すると第1開口部61の開口率は100%(すなわち、全開状態)となる。第2流出口82が第2開口部62の全部に連通すると第2開口部62の開口率は100%となる。第3流出口83が第3開口部63の全部に連通すると第3開口部63の開口率は100%となる。バルブ流入口84が第4開口部64の全部に連通すると第4開口部64の開口率は100%となる。
【0066】
また、第1中間口91の全部が第1開口部61に連通し、または、第2中間口92の全部が第1開口部61に連通すると第1開口部61の開口率は50%となる。また、第3中間口93の全部が第1開口部61に連通し、または、第4中間口94の全部が第1開口部61に連通すると第1開口部61の開口率は25%となる。
【0067】
また、第1開口部61~第4開口部64のそれぞれが閉塞面27によって閉塞されると、第1開口部61~第4開口部64の開口率は0%(すなわち、全閉状態)となる。
【0068】
ところで、バルブ20は、第1シート面51に対向する部位の曲率半径が第1シート面51の曲率半径より小さい。このため、第1開口部61が閉塞面27によって閉塞されてバルブ20が閉弁状態になる場合、第1シート面51は、
図8および
図9に示すように、第1シート面51のうち、第1開口部61の縁である環状の開口縁部611が全周に亘って閉塞面27に当接する。すなわち、開口縁部611は、第1開口部61を囲む部位の全範囲が閉塞面27に当接することで、第1バルブシート123aと閉塞面27との間のシール性を確保する。
【0069】
これに対して、第1開口部61が全開状態となる場合、
図10および
図11に示すように、第1シート面51は、開口縁部611より第1開口部61の径方向外側であって、軸心方向DRaにおいて主要流出口81の縁と重なる部位が閉塞面27に当接する。
【0070】
[主要流出口81、第1中間口91~第4中間口94、第2流出口82、第3流出口83、バルブ流入口84の形成位置]
バルブ20は、冷却水がバルブ流入口84から流路部26に流入する際に、第1出口部41~第3出口部43のそれぞれから流出する冷却水の流量を調整する。このため、バルブ流入口84は、軸心方向DRaにおいて、主要流出口81、第1中間口91~第4中間口94、第2流出口82、第3流出口83のそれぞれの少なくとも一部に重なるように形成される。本実施形態では、バルブ流入口84は、軸心方向DRaにおいて、主要流出口81、第1中間口91~第4中間口94、第2流出口82、第3流出口83のそれぞれの全範囲に重なっている。
【0071】
また、バルブ20は、第1出口部41から冷却水を流出しつつ、第2出口部42および第3出口部43から冷却水を流出する。このため、第2流出口82および第3流出口83のそれぞれは、軸心方向DRaにおいて、主要流出口81および第1中間口91~第4中間口94の少なくとも一部に重なるように形成される。本実施形態では、第2流出口82は、軸心方向DRaにおいて、主要流出口81、第1中間口91~第4中間口94のそれぞれの全範囲に重なっている。第3流出口83は、軸心方向DRaにおいて、主要流出口81、第2中間口92~第4中間口94のそれぞれの全範囲に重なっている。しかし、第3流出口83は、軸心方向DRaにおいて、第1中間口91の全範囲に重なっていない。
【0072】
主要流出口81、第1中間口91~第4中間口94、第2流出口82、第3流出口83、バルブ流入口84は、バルブ20が0°から一方側方向に回転する際に、第1開口部61~第4開口部64のそれぞれが異なるタイミングで開くように形成されている。本実施形態では、第4開口部64、第2開口部62、第1開口部61、第3開口部63の順に開口部が開くように主要流出口81、第1中間口91~第4中間口94、第2流出口82、第3流出口83、バルブ流入口84が形成されている。
【0073】
主要流出口81および第1中間口91~第4中間口94のそれぞれは、互いに所定の間隔を空けて設けられている。また、主要流出口81および第1中間口91~第4中間口94は、それぞれの中心が周方向DRcにおいて、第1開口部61の中心と重なっている。また、主要流出口81および第1中間口91~第4中間口94は、バルブ20が0°から一方側方向に回転する際に、第1中間口91、第2中間口92、第3中間口93、第4中間口94、主要流出口81の順に第1開口部61に連通するように並んでいる。
【0074】
ここで、バルブ20の回転位置が0°の際に、バルブ外周部70における第1開口部61の中心と径方向DRrに重なる点をバルブ外周部70の基準位置とする。なお、バルブ20の回転位置は、バルブ20を基準角度から一方側方向に回転させた際におけるバルブ20の回転角度を示す。
【0075】
バルブ流入口84は、主要流出口81、第1中間口91~第4中間口94、第2流出口82、第3流出口83よりも基準位置の近くに形成されている。バルブ流入口84は、基準位置から一方側方向に距離L1離れた位置から、基準位置から一方側方向に距離L9離れた位置までの範囲に形成されている。なお、距離L9は、距離L1より大きい。
【0076】
第2流出口82は、基準位置から一方側方向に距離L2離れた位置から、距離L9離れた位置までの範囲に形成されている。第3流出口83は、基準位置から一方側方向に距離L4離れた位置から、距離L9離れた位置までの範囲に形成されている。なお、距離L2および距離L4は、距離L1よりも大きく、距離L9よりも小さい。距離L4は、距離L2よりも大きい。
【0077】
第1中間口91は、基準位置から一方側方向に距離L3離れている。距離L3は、距離L2よりも大きく、距離L4よりも小さい。第2中間口92は、基準位置から一方側方向に距離L5離れている。なお、距離L5は、距離L4よりも大きく、距離L9よりも小さい。
【0078】
第3中間口93は、基準位置から一方側方向に距離L6離れている。第4中間口94は、基準位置から一方側方向に距離L7離れている。なお、距離L7は、距離L6よりも大きく、距離L9よりも小さい。主要流出口81は、基準位置から一方側方向に距離L8離れた位置から、距離L9離れた位置までの範囲に形成されている。なお、距離L8は、距離L7よりも大きく、距離L9よりも小さい。
【0079】
続いて、主要流出口81および第1中間口91~第4中間口94のそれぞれの間隔について、
図12~
図16を参照して説明する。まず、互いに隣り合う第1中間口91および第2中間口92の間隔について
図12~
図14を参照して説明する。なお、第1中間口91、第2中間口92、第1開口部61のそれぞれの一方側方向の端部をそれぞれ第1一方側端部91a、第2一方側端部92a、一方側シート端部61aとする。また、第1中間口91、第2中間口92、第1開口部61のそれぞれの他方側方向の端部をそれぞれ第1他方側端部91b、第2他方側端部92b、他方側シート端部61bとする。
【0080】
また、第1中間口91と第2中間口92において、周方向DRcにおいて互いに重なる部位と部位との間隔を流出口ピッチとする。流出口ピッチは、第1中間口91における周方向DRcの中心より他方側方向の部位および第2中間口92における周方向DRcの中心より一方側方向の部位において互いに対向する部位同士の間隔である。
【0081】
本実施形態において、第1中間口91と第2中間口92は、それぞれの開口面積が同じ真円形状であって、それぞれの中心が周方向DRcにおいて重なっている。このため、第1中間口91および第2中間口92の流出口ピッチは、第1他方側端部91bと第2一方側端部92aとの間隔が最小値となる。以下、流出口ピッチの最小値を最小ピッチP1とも呼ぶ。
【0082】
ここで、第1中間口91の中心および第2中間口92の中心を通り、周方向DRcに沿って延びる線を仮想中心線VLとする。仮想中心線VLは、流出口ピッチが最小ピッチP1となる軸心方向DRaの位置を通過する。
【0083】
本実施形態において、第1中間口91および第2中間口92は、最小ピッチP1が、第1開口部61における仮想中心線VLと交差する2点間の距離より小さくなっている。換言すれば、最小ピッチP1は、流出口ピッチが最小となる軸心方向DRaの位置における第1開口部61の周方向DRcの寸法(すなわち、内径φ3)より小さい。
【0084】
また、第1中間口91および第2中間口92は、それぞれの中間口が同時に第1開口部61に連通する状態でバルブ20が回転すると、それぞれの中間口と第1開口部61との連通する範囲が変化するように流出口ピッチが設定されている。具体的に、第1中間口91および第2中間口92は、バルブ20の回転に伴って第1中間口91と第1開口部61との連通する範囲が増加する際に、第2中間口92と第1開口部61との連通する範囲が減少するように形成されている。また、第1中間口91および第2中間口92は、バルブ20の回転に伴って第1中間口91と第1開口部61との連通する範囲が減少する際に、第2中間口92と第1開口部61との連通する範囲が増加するように形成されている。
【0085】
本実施形態において、第1中間口91および第2中間口92は、第1一方側端部91aと第2他方側端部92bとの間の寸法が内径φ3より大きくなるように間隔をあけて形成されている。すなわち、最小ピッチP1は、最小ピッチP1と、第1中間口91の直径φ5と、第2中間口92の直径φ5との合計が第1開口部61の内径φ3より大きくなるように設定されている。
【0086】
また、本実施形態において、第1中間口91および第2中間口92は、それぞれの中心の間隔である中心ピッチP2が第1開口部61の内径φ3と同じ値に設定されている。すなわち、中心ピッチP2は、
図12に示すように、一方側シート端部61aから他方側シート端部61bまでの距離であって、第1開口部61の内径φ3と等しい距離である。
【0087】
このように第1中間口91および第2中間口92が形成されると、第1一方側端部91aから第2一方側端部92aまでの寸法は、第1開口部61の内径φ3となる。また、第1他方側端部91bから第2他方側端部92bまでの寸法も、第1開口部61の内径φ3となる。
【0088】
また、第1一方側端部91aが一方側シート端部61aと重なる位置にバルブ20が回転した際、バルブ20は、
図13に示すように、第1中間口91の全部が第1開口部61に連通し、第2中間口92の全部が第1開口部61に非連通状態となる。そして、第1他方側端部91bが一方側シート端部61aと重なる位置にバルブ20が回転した際、バルブ20は、
図14に示すように、第1中間口91の全部が第1開口部61に非連通となり、第2中間口92の全部が第1開口部61に連通する。
【0089】
続いて、第3中間口93および第4中間口94の間隔について説明する。第3中間口93と第4中間口94との間隔は、第1中間口91と第2中間口92との間隔と同様に設定されている。具体的に、第3中間口93および第4中間口94は、それぞれの中心の間隔が第1開口部61の内径φ3と同じ値に設定されている。
【0090】
続いて、互いに隣り合う第2中間口92および第3中間口93の間隔について
図15を参照して説明する。ここで、第2中間口92および第3中間口93において、周方向DRcにおける互いに重なる部位と部位との間隔を中間ピッチとする。
【0091】
本実施形態において、第2中間口92と第3中間口93は、それぞれが真円形状であって、それぞれの中心が周方向DRcにおいて重なっている。このため、第2中間口92および第3中間口93の中間ピッチは、第2他方側端部92bと第3中間口93の一方側方向の端部との間隔が最小値P3となる。第2中間口92および第3中間口93は、中間ピッチの最小値P3が第1開口部61の内径φ3より小さくなるように設定されている。
【0092】
続いて、互いに隣り合う第4中間口94および主要流出口81の間隔について
図16を参照して説明する。ここで、第4中間口94および主要流出口81において、周方向DRcにおける互いに重なる部位と部位との間隔を主要ピッチとする。
【0093】
本実施形態において、第4中間口94は、真円形状で形成されている。また、主要流出口81は、周方向DRcに沿って延びる直線および円の半分を構成する円弧が連なって形成された長穴形状である。さらに第4中間口94および主要流出口81は、それぞれの中心が周方向DRcにおいて重なっている。
【0094】
このため、第4中間口94および主要流出口81の主要ピッチは、第4中間口94の他方側方向の端部と主要流出口81の一方側方向の端部との間隔が最小値P4となる。第4中間口94および主要流出口81は、主要ピッチの最小値P4が第1開口部61の内径φ3より小さくなるように設定されている。
【0095】
[バルブ装置1の作動]
続いて、バルブ装置1の作動について説明する。バルブ装置1は、空調用熱交換器4、オイルクーラ5、ラジエータ6への必要な冷却水の流量を流出するためのバルブ20の回転位置の情報を図示しないECUから受信する。バルブ装置1は、ECUから受信したバルブ20の回転位置の情報に基づいて、バルブ20を回転させる。また、バルブ装置1は、回転角センサ33が検出するシャフト25の回転位置の情報をECUに送信する。ECUは、バルブ装置1から受信したシャフト25の回転位置の情報に基づいて、バルブ20の回転位置を算出し、その結果をフィードバックする。
【0096】
バルブ装置1は、ECUから受信したバルブ20の回転位置の情報に基づいて、バルブ20の回転位置を調整する。バルブ装置1は、バルブ20の回転位置に対する第1開口部61~第3開口部63の開口率に基づいて、第1出口部41~第3出口部43から、それぞれの開口率に対応する流量の冷却水を流出させる。
【0097】
続いて、バルブ20を0°~240°の範囲内で一方側方向へ回転させる場合の第1開口部61~第3開口部63のそれぞれの開口率について、
図17~
図19を参照して説明する。なお、
図17に示す実線は、バルブ20の回転位置と第1開口部61の開口率との関係を示す。また、一点鎖線は、バルブ20の回転位置と第2開口部62の開口率との関係を示す。また、二点鎖線は、バルブ20の回転位置と第3開口部63の開口率との関係を示す。
【0098】
なお、
図17において特に図示しないが、バルブ20は、第1開口部61~第3開口部63のいずれかの開口率が0%より大きい場合、第4開口部64の開口率が100%となるように設定されている。
【0099】
また、
図19において、バルブ20の回転位置を説明するために、バルブ20を位置A、位置B、240°に回転させた際の第1開口部61~第4開口部64の位置を破線で表示している。
図19おけるバルブ20の位置Aおよび位置Bは、
図17および
図18のグラフに示すバルブ20の回転位置を示すものである。
【0100】
図17に示すように、バルブ装置1は、バルブ20の回転位置を調整することで、第1開口部61~第3開口部63のそれぞれの開口率を調整することができる。例えば、バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が0°の際、第1開口部61~第3開口部63のそれぞれの開口率が0%となる。すなわち、バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が0°の際、閉弁状態となる。また、バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が240°になると、第1開口部61~第3開口部63のそれぞれが全開(すなわち開口率が100%)になる。
【0101】
第2開口部62の開口率の詳細について説明する。バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が第2流出口82の一方側方向の端部と、第2開口部62の他方側方向の端部とが径方向DRrにおいて重なる位置A1を超えると第2開口部62が開き始める。すなわち、バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が位置A1より大きくなると第2開口部62の開口率が0%より大きくなる。
【0102】
また、バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が第2流出口82の一方側方向の端部と、第2開口部62の一方側方向の端部とが径方向DRrにおいて重なる位置A2になると第2開口部62が全開(すなわち、開口率が100%)になる。バルブ装置1は、バルブ20が位置A2から240°の範囲で回転する際に、第2開口部62の開口率を100%で維持する。
【0103】
第3開口部63の開口率の詳細について説明する。バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が第3流出口83の一方側方向の端部と、第3開口部63の他方側方向の端部とが径方向DRrにおいて重なる位置A5を超えると第3開口部63が開き始める。すなわち、バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が位置A5より大きくなると第3開口部63の開口率が0%より大きくなる。
【0104】
また、バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が第3流出口83の一方側方向の端部と、第3開口部63の一方側方向の端部とが径方向DRrにおいて重なる位置A6になると第3開口部63が全開(すなわち、100%)となる。バルブ装置1は、バルブ20が位置A6から240°の範囲で回転する際に、第3開口部63の開口率を100%で維持する。
【0105】
第1開口部61の開口率の詳細について説明する。バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が第1一方側端部91aと他方側シート端部61bとが径方向DRrにおいて重なる位置A3を超えると第1開口部61が開き始める。すなわち、バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が位置A3より大きくなると第1開口部61の開口率が0%より大きくなる。
【0106】
また、バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が第1他方側端部91bと他方側シート端部61bとが径方向DRrにおいて重なる位置A4になると第1開口部61が第1中間口91の全部に連通する。バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が位置A4になると、第1開口部61の開口率が50%になる。
【0107】
図18に示すように、バルブ装置1は、バルブ20が位置A4から第1一方側端部91aと一方側シート端部61aとが径方向DRrにおいて重なる位置B1まで回転する際、第1開口部61の開口率を50%で維持する。なお、第2中間口92は、バルブ20の回転位置が位置B1になると、第2一方側端部92aが他方側シート端部61bと径方向DRrにおいて重なる。
【0108】
また、バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が第1他方側端部91bと一方側シート端部61aとが径方向DRrにおいて重なる位置B3になると第1開口部61が第1中間口91の全部に非連通の状態となる。これに対して、バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が位置B3になると、第2他方側端部92bと他方側シート端部61bとが径方向DRrにおいて重なり、第1開口部61が第2中間口92の全部に連通する。このため、バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が位置B3になると、第1開口部61の開口率が50%になる。
【0109】
図18に示すように、バルブ装置1は、バルブ20が位置B3から第2一方側端部92aと一方側シート端部61aとが径方向DRrにおいて重なる位置A7まで回転する際、第1開口部61の開口率を50%で維持する。
【0110】
ところで、バルブ20が位置B1から位置B3まで回転する場合、第1中間口91は、第1中間口91の全部が第1開口部61に連通する状態から、一部が非連通となる状態を経て、全部が非連通の状態となる。このため、第1中間口91は、バルブ20の回転位置が位置B1から位置B3に近づくにしたがい、第1開口部61に連通する範囲が減少する。
【0111】
これに対して、バルブ20が位置B1から位置B3まで回転する場合、第2中間口92は、第2中間口92の全部が第1開口部61に非連通である状態から、一部が連通する状態を経て、全部が連通する状態となる。このため、第2中間口92は、バルブ20の回転位置が位置B1から位置B3に近づくにしたがい、第1開口部61に連通する範囲が増加する。
【0112】
また、バルブ20が位置B1から位置B2まで回転する際、第1中間口91と第1開口部61との連通範囲の減少量は、第2中間口92と第1開口部61との連通範囲の増加量より大きい。このため、
図18に示すように、第1開口部61の開口率は、バルブ20の回転位置が位置B1から位置B1と位置B3との中間位置である位置B2に近づくにしたがい減少する。位置B2は、第1中間口91の中心が一方側シート端部61aに重なり、第2中間口92の中心が他方側シート端部61bに重なる位置である。
【0113】
また、バルブ20が位置B2から位置B3まで回転する際、第1中間口91と第1開口部61との連通範囲の減少量は、第2中間口92と第1開口部61との連通範囲の増加量より小さい。このため、第1開口部61の開口率は、バルブ20の回転位置が位置B2から位置B3に近づくにしたがい増加する。
【0114】
このように、バルブ20の回転位置が位置B1から位置B3までの範囲における第1開口部61の開口率は、50%より小さくなる。本実施形態において、第1開口部61に連通する流出口を第1中間口91から第2中間口92に変更する際における第1開口部61の開口率の減少量は、第1開口部61の開口面積の5%未満である。
【0115】
これにより、バルブ装置1は、位置B1から位置B3までの範囲において、第1開口部61の開口率を約50%で維持することができる。このため、バルブ装置1は、バルブ20を位置A4から位置A7まで回転させる際に、第1開口部61の開口率を約50%で維持しつつ第2開口部62の開口率を100%で維持した状態で、第3開口部63の開口率を0%から100%へ調整することができる。
【0116】
すなわち、バルブ装置1は、第1開口部61の開口率が約50%となるバルブ20の回転範囲を充分に確保することで、第1開口部61の開口率を約50%で維持した状態で、第3開口部63から流出する冷却水の流量を調整することができる。
【0117】
ここで、第1中間口91を本実施形態と異なる構成にした場合の比較例について、
図20および
図21を参照して説明する。比較例は、第1中間口91に代えて長穴流出口95がバルブ外周部70に形成されている。
【0118】
長穴流出口95は、
図20および
図21に示すように、軸心方向DRaの寸法が第1開口部61の内径φ3より小さく、周方向DRcの寸法が第1開口部61の内径φ3より大きい長穴形状で形成されている。また、長穴流出口95は、縁が周方向DRcに沿って延びる一対の直線を含んで形成されている。また、長穴流出口95は、周方向DRcにおいて第1開口部61と重なっている。長穴流出口95は、第1開口部61に連通可能な最大範囲が第1開口部61の50%の範囲となる大きさで形成されている。
【0119】
このような構成によれば、第1開口部61と長穴流出口95とが連通するバルブ20の回転範囲を大きくし易いので、バルブ20の回転範囲のうち、第1開口部61の開口率が50%となるバルブ20の回転範囲を確保し易い。
【0120】
第1開口部61の開口率が50%になる位置にバルブ20が回転すると、第1開口部61の開口縁部611は、一部が閉塞面27に対向し、一部が閉塞面27に対向しない。具体的には、開口縁部611のうち径方向DRrに長穴流出口95と重ならない部位は、閉塞面27に対向する。一方、開口縁部611のうち径方向DRrに長穴流出口95と重なる部位は、長穴流出口95に対向し、閉塞面27に対向しない。
【0121】
このため、第1開口部61の開口率が50%になる範囲でバルブ20が回転する際、開口縁部611は、周方向DRcにおいて長穴流出口95と重ならない部位のみが閉塞面27に摺動する。
【0122】
したがって、バルブ20の回転範囲において、開口縁部611のうち周方向DRcにおいて長穴流出口95と重ならない部位が閉塞面27に摺動する範囲は、周方向DRcにおいて長穴流出口95と重なる部位が閉塞面27に摺動する範囲に比較して大きくなる。また、開口縁部611と長穴流出口95の直線状の部位とが重なった状態でバルブ20が回転すると、開口縁部611は、開口縁部611における周方向DRcに長穴流出口95と重ならない部位の全てが閉塞面27に摺動する状態が維持される。
【0123】
したがって、比較例の長穴流出口95が適用されると、開口縁部611は、周方向DRcにおいて長穴流出口95に重なる部位と重ならない部位との間で、摩耗の差が生じやすい。これは、開口縁部611において、周方向DRcにおいて長穴流出口95と重なる部位に比較して、長穴流出口95と重ならない部位が偏摩耗する要因となる。そして、開口縁部611の一部が偏摩耗すると、第1バルブシート123aのシール性を確保することが困難となり、バルブ20を閉弁状態とする際に偏摩耗した部位と閉塞面27との隙間から冷却水が漏れる要因となる。
【0124】
これに対して、本実施形態の複数の第1中間口91~第4中間口94のそれぞれは、軸心方向DRaの寸法が最大となる部位から、軸心方向DRaの寸法が最小となる部位に向かって、軸心方向DRaの寸法が周方向DRcに沿って連続して小さくなっている。また、第1中間口91~第4中間口94は、周方向DRcに沿って延びる直線状の部位が存在しない。
【0125】
このため、第1中間口91~第4中間口94が径方向DRrにおいて開口縁部611と重なる範囲でバルブ20が回転する際、開口縁部611は、摺動しない部位の範囲が第1中間口91~第4中間口94の形状に沿って連続して変化する。
【0126】
例えば、第1中間口91が第1開口部61に非連通の状態から全部が連通する状態になる場合、開口縁部611の閉塞面27に摺動しない部位の範囲は、バルブ20の回転に伴って徐々に拡大され、所定の範囲となった後に縮小される。
【0127】
具体的には、第1中間口91の一部が連通状態になると、開口縁部611のうち径方向DRrにおいて第1中間口91と重なる部位は、閉塞面27に対向しない。バルブ20が一方側方向に回転し、第1開口部61と第1中間口91との連通する範囲が大きくなると、開口縁部611は、径方向DRrにおいて第1中間口91と重なる範囲が大きくなる。このため、開口縁部611は、閉塞面27に対向しない部位の範囲が拡大する。
【0128】
バルブ20がさらに一方側方向に回転し、開口縁部611が第1中間口91の軸心方向DRaの大きさが最大となる部位と径方向DRrにおいて重なる位置になると、開口縁部611は、閉塞面27に対向しない部位の範囲が最大となる。
【0129】
閉塞面27が対向しない部位の範囲が最大となる位置からバルブ20がさらに一方側方向に回転すると、開口縁部611は、径方向DRrにおいて第1中間口91と重なる範囲が小さくなる。このため、開口縁部611は、閉塞面27に対向しない部位の範囲が縮小する。そして、
図22および
図23に示すように、第1中間口91の全部が第1開口部61に連通する位置までバルブ20が回転すると、開口縁部611は、閉塞面27に対向しない部位がなくなる。すなわち、開口縁部611は、全周に亘って閉塞面27に対向する。
【0130】
このように、本実施形態では、第1中間口91が径方向DRrにおいて開口縁部611と重なる場合、開口縁部611が閉塞面27に対向しない部位がバルブ20の回転位置によって異なる。このため、第1中間口91が径方向DRrにおいて開口縁部611と重なる範囲でバルブ20が回転する際、開口縁部611は、閉塞面27に摺動しない部位の範囲がバルブ20の回転に伴って、第1中間口91の形状に沿って連続して変化する。
【0131】
続いて、バルブ20を位置A7から一方側方向に回転させる際の第1開口部61の開口率について説明する。バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が第3中間口93の他方側方向の端部と他方側シート端部61bとが径方向DRrにおいて重なる位置A8になると、第1開口部61が第2中間口92の全部に非連通の状態となる。これに対して、バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が位置A8になると、第1開口部61が第3中間口93の全部に連通する。バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が位置A8になると、第1開口部61の開口率が25%となる。
【0132】
また、バルブ装置1は、バルブ20が位置A8から第4中間口94の一方側方向の端部と一方側シート端部61aとが径方向DRrにおいて重なる位置A9まで回転する際、第1開口部61の開口率を約25%で維持する。なお、主要流出口81は、バルブ20の回転位置が位置A9になると、主要流出口81の一方側方向の端部と他方側シート端部61bとが径方向DRrにおいて重なる。
【0133】
バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が位置A9より大きくなると第1開口部61が主要流出口81に連通し始めるとともに、第1開口部61の開口率が25%より大きくなる。また、バルブ装置1は、バルブ20の回転位置が主要流出口81の一方側方向の端部と、一方側シート端部61aとが径方向DRrにおいて重なる位置A10になると、第1開口部61が全開状態(すなわち、開口率が100%)となる。バルブ装置1は、バルブ20が位置A10から240°の範囲で回転する際に、第1開口部61の開口率を100%で維持する。
【0134】
以上、説明したバルブ装置1では、主要流出口81と第1開口部61とが連通すると、第1開口部61の全部を冷却水が通過する。また、バルブ装置1は、第1中間口91~第4中間口94のいずれかと第1開口部61とが連通すると、冷却水が第1開口部61の一部を通過する。この場合、バルブ装置1は、主要流出口81と第1開口部61とが連通する場合に比較して少ない流量の冷却水を第1出口部41から流出する。
【0135】
このため、バルブ装置1は、バルブ20を回転させて、第1開口部61に連通する流出口を主要流出口81から第1中間口91~第4中間口94のいずれかに切り替えることで、開弁状態の際における第1出口部41からの冷却水の流出量を調整することができる。
【0136】
また、バルブ外周部70に4つの中間口が形成されているので、バルブ外周部70に中間口が1つだけ設けられている場合に比較して、第1開口部61と中間口とが連通するバルブ20の回転範囲を大きくできる。
【0137】
さらに、バルブ装置1は、開口面積が第1開口部61の開口面積の50%である第1中間口91および第2中間口92が設けられている。このため、バルブ装置1は、第1中間口91および第2中間口92の一方のみ設けられている場合に比較して、第1開口部61の開口率を50%で維持した状態で、第3開口部63の開閉を行い易くできる。
【0138】
また、第1中間口91~第4中間口94は、円形状であって、軸心方向DRaの寸法が周方向DRcに沿って連続して変化する。このため、第1中間口91~第4中間口94が径方向DRrにおいて開口縁部611と重なる範囲でバルブ20が回転する際、開口縁部611のうち閉塞面27に摺動しない部位は、バルブ20の回転に伴って、それぞれの中間口の形状に沿って連続して変化する。このため、第1中間口91~第4中間口94が第1開口部61に連通する位置でバルブ20が回転する際に、開口縁部611においてそれぞれの中間口に重なる部位と重ならない部位との間での摩耗の差の発生を抑制することができる。したがって、第1バルブシート123aのシール性を確保することができる。
【0139】
また、第1中間口91~第4中間口94のうち、互いに隣り合う中間口において、周方向DRcにおいて互いに重なるそれぞれの部位と部位との間隔の最小値は、第1開口部61の内径φ3より小さい。このため、互いに隣り合う中間口のそれぞれの一部を同時に第1開口部61に連通させることができる。このため、第1開口部61に連通する中間口を互いに隣り合う中間口に変更する際に、第1開口部61の開口率が0%となることを回避できるので、第1出口部41からの冷却水の流出量の変動を抑制できる。
【0140】
また、第1中間口91および第2中間口92は、第1一方側端部91aと第2他方側端部92bとの間の寸法が第1開口部61の内径φ3より大きくなるように間隔をあけて形成されている。これにより、バルブ20は、第1中間口91および第2中間口92が同時に第1開口部61に連通する状態で一方側方向に回転すると、第2中間口92と第1開口部61とが連通する範囲が増加し、第1中間口91と第1開口部61とが連通する範囲が減少する。また、バルブ20は、第1中間口91および第2中間口92が同時に第1開口部61に連通する状態で他方側方向に回転すると、第2中間口92と第1開口部61とが連通する範囲が減少し、第1中間口91と第1開口部61とが連通する範囲が増加する。
【0141】
このため、第1開口部61に連通する中間口を第1中間口91から第2中間口92に変更する際に、第1中間口91および第2中間口92のそれぞれの全部が同時に第1開口部61に連通することを回避できる。したがって、第1開口部61に連通する中間口を第1中間口91から第2中間口92に変更する途中の第1出口部41からの冷却水の流出量の変動を抑制できる。
【0142】
また、第1中間口91~第4中間口94は、それぞれの中心が第1開口部61の中心と周方向DRcにおいて重なる位置に設けられている。また、開口面積が同じ第1中間口91および第2中間口92は、それぞれの中心の間隔が第1開口部61の内径φ3と同じ値に設定されている。また、開口面積が同じ第3中間口93および第4中間口94は、それぞれの中心の間隔が第1開口部61の内径φ3と同じ値に設定されている。
【0143】
これによれば、開口面積が同じ2つの中間口は、第1開口部61に対して、一方の中間口の全部が連通し、他方の中間口の全部が非連通となっている状態からバルブ20が回転する際に、一方の中間口が非連通になり始めるとともに、他方の中間口が連通し始める。また、さらにバルブ20が回転し、一方の中間口の全部が第1開口部61に非連通の状態となる際に、他方の中間口は、全部が第1開口部61に連通する。
【0144】
このため、バルブ装置1は、第1開口部61に連通する中間口を開口面積が同じ2つの中間口同士で変更する際に、一方の中間口の全部が第1開口部61にする際に、他方の中間口が第1開口部61に連通することを回避できる。したがって、バルブ装置1は、第1開口部61の開口率が、一方の中間口の全部が第1開口部61に連通する際の開口率を超えることを回避できるので、第1出口部41からの冷却水の流出量の変動を抑制できる。また、バルブ装置1は、第1開口部61に連通する中間口を開口面積が同じ2つの中間口同士で変更する際に、変更前および変更後の第1出口部41からの冷却水の流出量を同じ流量とすることができる。
【0145】
(第1実施形態の変形例)
上述の第1実施形態では、第1中間口91~第4中間口94が略真円形状で形成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1中間口91~第4中間口94は、第1シート面51の摩耗の差の発生を抑制可能な形状であれば、略真円形状と異なる形状であってもよい。具体的に、第1中間口91~第4中間口94は、軸心方向DRaの寸法が第1開口部61の軸心方向DRaの寸法より小さく、軸心方向DRaの寸法が周方向DRcに沿って連続して変化する形状であれば、楕円形状や矩形状で形成されていてもよい。
【0146】
例えば、第1中間口91が楕円形状で形成される場合、
図24に示すように、第1中間口91は、軸心方向DRaの寸法W7が、第1中間口91の周方向DRcの寸法W8より大きく、且つ、第1開口部61の内径φ3より小さい形状であってもよい。また、第1中間口91が楕円形状で形成される場合、図示しないが、第1中間口91は、周方向DRcの寸法が第1開口部61の内径φ3より大きい形状であってもよい。また、第1中間口91が矩形状で形成される場合、
図25に示すように、第1中間口91は、軸心方向DRaの寸法W9が、第1中間口91の周方向DRcの寸法W9に等しく、且つ、第1開口部61の内径φ3より小さい形状であってもよい。
【0147】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、
図26、
図27を参照して説明する。本実施形態では、第1中間口91および第2中間口92の一方側方向の端部の形状が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0148】
図26に示すように、第1中間口91および第2中間口92は、バルブ外周部70の展開図において、直径φ5である円の一部を構成する円弧と周方向DRcおよび径方向DRrに直交する軸心方向DRaに沿って延びる直線とが連なって形成されている。本実施形態において、当該直線は、第1中間口91および第2中間口92において、一方側方向の端部に設けられている。
【0149】
すなわち、バルブ外周部70を周方向DRcに沿って平面状に展開した際の第1中間口91および第2中間口92の形状は、一方側方向の端部が軸心方向DRaに沿って延びて形成されている。また、第1中間口91および第2中間口92のそれぞれは、軸心方向DRaの寸法が第1開口部61の軸心方向DRaの寸法W3より小さく、且つ、軸心方向DRaの寸法が周方向DRcに沿って連続して変化している。
【0150】
このように構成される第1中間口91は、例えば、バルブ20が一方側方向に回転することによって、第1中間口91の一方側の端部が他方側シート端部61bを超えると、第1中間口91が第1開口部61に連通し始める。
【0151】
ここで、仮に、第1中間口91の中心が第1開口部61の中心に対して軸心方向DRaに位置ずれしていても、バルブ外周部70における第1中間口91の一方側の端部の位置は、変化しない。
【0152】
このため、バルブ20が所定の回転位置に配置された際において、第1中間口91の一方側の端部と他方側シート端部61bとの周方向DRcの距離は変化しない。したがって、
図27に示すように、バルブ20を所定の回転位置から一方側方向に回転させて第1中間口91を第1開口部61に連通させる際に、連通し始めるバルブ20の回転位置が一定になり易い。
【0153】
また、第1中間口91が第1開口部61に連通している状態からバルブ20を他方側方向に回転させることによって、第1中間口91の全部が第1開口部61に非連通の状態になる際に、第1中間口91が非連通になるバルブ20の回転位置が一定になり易い。
【0154】
これらより、本実施形態では、第1中間口91と第2中間口92との中心が第1開口部61の中心に対して軸心方向DRaに位置ずれしても、当該位置ずれに起因する第1中間口91または第2中間口92と第1開口部61との連通範囲の変化の影響が抑制される。したがって、バルブ装置1は、第1出口部41からの冷却水の流出量の精度悪化を抑制できる。
【0155】
(第2実施形態の第1の変形例)
上述の第2実施形態では、バルブ外周部70の展開図において、第1中間口91および第2中間口92が直径φ5である円の一部を構成する円弧と軸心方向DRaに沿って延びる直線が連なって形成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1中間口91または第2中間口92と第1開口部61とが連通し始めるバルブ20の回転位置が一定になり易い形状であれば、第1中間口91および第2中間口92は、円弧と直線とが連なった形状と異なる形状であってもよい。
【0156】
具体的に、第1中間口91および第2中間口92は、
図28に示すように、第1中間口91および第2中間口92の一方側方向における端部が軸心方向DRaに沿って延びる直線である三角形状で形成されていてもよい。例えば、第1中間口91は、一方側方向の端部に設けられる直線と、当該直線の軸心方向DRaの一方側の端部および他方側の端部から第1中間口91の他方側方向の端部に向かって延びる一対の直線が連なった三角形状で形成されていてもよい。
【0157】
(第2実施形態の第2の変形例)
上述の第2実施形態では、バルブ外周部70の展開図において、第1中間口91および第2中間口92それぞれの一方側方向の端部が軸心方向DRaに沿って延びている例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1中間口91および第2中間口92は、バルブ外周部70の展開図において、第1中間口91および第2中間口92は、一方側方向の端部に加えて、他方側方向の端部も軸心方向DRaに沿って延びて形成されていてもよい。また、第1中間口91および第2中間口92は、バルブ外周部70の展開図において、他方側方向の端部のみが軸心方向DRaに沿って延びて形成され、一方側方向の端部が軸心方向DRaに沿って延びていない形状であってもよい。
【0158】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0159】
上述の実施形態では、第1開口部61の一部のみに連通する流出部として、第1中間口91~第4中間口94がバルブ外周部70に形成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1開口部61の一部のみに連通する流出部は、バルブ外周部70に1つだけ設けられていてもよい。
【0160】
上述の実施形態では、同じ開口面積を有する第1中間口91および第2中間口92と、同じ開口面積を有する第3中間口93および第4中間口94がバルブ外周部70に形成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、バルブ外周部70には、同じ開口面積を有し、第1開口部61の一部のみに連通する流出部が3つ以上形成されていてもよい。
【0161】
上述の実施形態では、バルブ外周部70に、開口面積が第1開口部61の開口面積の50%である中間口と、開口面積が第1開口部61の開口面積の25%である中間口が形成されている例について説明したが、これに限定されない。中間口の開口面積は、バルブ装置1に接続される各種機器へ流出する冷却水の流量によって異なる。このため、中間口の開口面積は、バルブ装置1に接続される各種機器に応じて適宜設定することが望ましい。
【0162】
上述の実施形態では、第1中間口91~第4中間口94が第1出口部41に対向する位置71に形成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1中間口91~第4中間口94は、第2出口部42に対向する位置または第3出口部43に対向する位置に形成されてもよい。
【0163】
上述の実施形態では、第1中間口91~第4中間口94の軸心方向DRaの寸法が周方向DRcに沿って連続して変化する例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1中間口91~第4中間口94は、周方向DRcに沿って延びる部位を有しており、軸心方向DRaの寸法が周方向DRcに沿って変化しない部位を含んで構成されていてもよい。
【0164】
上述の実施形態では、第1中間口91および第2中間口92における流出口ピッチの最小ピッチP1が、流出口ピッチが最小となる軸心方向DRaの位置における第1開口部61の周方向DRcの寸法より小さい例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1中間口91および第2中間口92における流出口ピッチの最小ピッチP1は、流出口ピッチが最小となる軸心方向DRaの位置における第1開口部61の周方向DRcの寸法以上であってもよい。
【0165】
上述の実施形態では、第1中間口91および第2中間口92が同時に第1開口部61に連通する際、一方の中間口と第1開口部61との連通範囲が増加すると、他方の中間口と第1開口部61との連通範囲が減少する例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1中間口91および第2中間口92は、それぞれが同時に第1開口部61に連通する際、一方の中間口と第1開口部61との連通範囲が増加すると、他方の中間口と第1開口部61との連通範囲が維持されるように形成されていてもよい。すなわち、第1中間口91および第2中間口92は、それぞれの中間口の全部が同時に第1開口部61に連通できる間隔をあけて形成されていてもよい。
【0166】
上述の実施形態では、第1中間口91~第4中間口94において、開口面積が同じ中間口同士のそれぞれの中心の間隔が第1開口部61の内径φ3と同じ値に設定されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1中間口91~第4中間口94は、開口面積が同じ中間口同士のそれぞれの中心の間隔が第1開口部61の内径φ3と異なっていてもよい。
【0167】
上述の実施形態では、第1中間口91~第4中間口94において、それぞれの中心が第1開口部61の中心と周方向DRcにおいて重なる位置に設けられている例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1中間口91~第4中間口94は、それぞれの中心が第1開口部61の中心と周方向DRcにおいて重ならない位置に設けられていてもよい。
【0168】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0169】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0170】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【符号の説明】
【0171】
20 バルブ
40、44 流体入口部
41 流体出口部
51 シート面
61 シート開口部
70 バルブ外周部
81 主要流出口
84 バルブ流入口
91、92、93、94 中間流出口
123a バルブシート