(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】移載設備及び容器の移載方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2020080874
(22)【出願日】2020-05-01
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末廣 尚也
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-4089(JP,A)
【文献】特表2003-536247(JP,A)
【文献】特開2019-106433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に対して処理を行う処理装置の上方に設けられて前記物品を収容する容器を受ける荷受台と、
前記荷受台に対して前記容器を搬出又は搬入し、搬出又は搬入する前記容器を前記荷受台と前記処理装置のロードポートとの間で昇降搬送する移載機と、
を備え、
前記荷受台と前記移載機と前記処理装置のロードポートとが平面視で互いに重なる位置に配置される移載設備であって、
前記荷受台は、前記容器の昇降経路上から離れた位置に設けられる回動軸によって、前記容器の昇降経路上に位置する第1の位置と、前記容器の昇降経路上から離れた第2の位置との間で回動可能に支持されるとともに、前記第1の位置において前記容器を受けるものであり、
前記荷受台は、前記荷受台によって支持される前記容器に当接することによって前記荷受台における前記容器の位置決めを行う位置決め部材を備え、
前記位置決め部材は、前記容器との当接面が、前記回動軸を中心とする前記
荷受台の回動軌道に沿った曲面によって構成されていること
を特徴とする移載設備。
【請求項2】
前記荷受台は、軸心が鉛直方向である前記回動軸によって回動可能に支持されること
を特徴とする請求項1に記載の移載設備。
【請求項3】
前記荷受台は、軸心が水平方向である前記回動軸によって回動可能に支持されること
を特徴とする請求項1に記載の移載設備。
【請求項4】
前記荷受台の回動範囲を制限するストッパーを備えること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の移載設備。
【請求項5】
物品に対して処理を行う処理装置の上方に設けられて前記物品を収容する容器を受ける荷受台と、
前記荷受台に対して前記容器を搬出又は搬入し、搬出又は搬入する前記容器を前記荷受台と前記処理装置のロードポートとの間で昇降搬送する移載機と、
を備え、
前記荷受台と前記移載機と前記処理装置のロードポートとが平面視で互いに重なる位置に配置される移載設備における容器の移載方法であって、
前記荷受台を、前記容器の昇降経路上から離れた位置に設けられる回動軸によって、前記容器の昇降経路上に位置する第1の位置と、前記容器の昇降経路上から離れた第2の位置との間で回動可能に支持し、
前記
荷受台に設けられている位置決め部材であって、前記回動軸を中心とする前記
荷受台の回動軌道に沿った曲面によって構成されている当接面を有する前記位置決め部材によって、前記
荷受台における前記容器の位置決めを行い、
前記第1の位置に位置する前記荷受台によって支持された前記容器を、前記移載機によって前記荷受台から搬出し、
前記回動軸の回動によって前記荷受台を前記第1の位置から前記第2の位置まで回動させることで、前記移載機による前記容器の昇降経路を形成し、
前記荷受台から搬出した前記容器を、前記移載機によって前記処理装置のロードポートまで下降移動させること
を特徴とする容器の移載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に対して処理を行う処理装置に、当該物品を収容した容器を移載する移載設備及び容器の移載方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記移載設備としては、例えば、処理装置であるチャンバに基板を収容したカセット(容器)を移載する設備がある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の移載設備においては、搬送台車ユニット上のカセット(容器)が、カセット搬送ユニットによって設備内に搬入され、チャンバ(処理装置)の上方に設けられる支持架台(荷受台)に載置される。支持架台に載置されたカセットは、カセット移載ユニット(移載機)によって下降搬送されることでチャンバに移載される。
また、チャンバ上のカセットは、カセット移載ユニットによって上昇搬送されることで支持架台に載置される。支持架台に載置されたカセットは、カセット搬送ユニットによって設備外の搬送台車ユニットへ搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような移載設備においては、カセット移載ユニット(移載機)がカセット(容器)を昇降移動させる際に、カセットが支持架台(荷受台)に干渉する。そのため、支持架台との干渉を避けるために、カセット移載ユニットによってカセットを旋回させる等の動作が必要となり、支持架台とチャンバ(処理装置)との間のカセットの移載に時間を要するという問題があった。
また、上記動作を行うことで、カセット移載ユニットがカセットを位置決めされた状態で保持することができず、カセット移載ユニットの移載精度が悪くなるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、物品に対して処理を行う処理装置に物品を収容した容器を移載する移載設備において、処理装置のロードポートと、処理装置のロードポートの上方に設けられる荷受台との間の容器の移載を効率良く行うことが可能な移載設備及び容器の移載方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上であり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、本発明の移載設備は、
物品に対して処理を行う処理装置の上方に設けられて前記物品を収容する容器を受ける荷受台と、
前記荷受台に対して前記容器を搬出又は搬入し、搬出又は搬入する前記容器を前記荷受台と前記処理装置のロードポートとの間で昇降搬送する移載機と、
を備え、
前記荷受台と前記移載機と前記処理装置のロードポートとが平面視で互いに重なる位置に配置される移載設備であって、
前記荷受台は、前記容器の昇降経路上から離れた位置に設けられる回動軸によって、前記容器の昇降経路上に位置する第1の位置と、前記容器の昇降経路上から離れた第2の位置との間で回動可能に支持されるとともに、前記第1の位置において前記容器を受けるものであり、
前記荷受台は、前記荷受台によって支持される前記容器に当接することによって前記荷受台における前記容器の位置決めを行う位置決め部材を備え、
前記位置決め部材は、前記容器との当接面が、前記回動軸を中心とする前記荷受台の回動軌道に沿った曲面によって構成されているものである。
【0008】
本発明の移載設備は、前記荷受台が、軸心が鉛直方向である前記回動軸によって回動可能に支持されるものである。
上記構成では、荷受台が、軸心が鉛直方向である回動軸の回動によって、容器の昇降経路上に位置する第1の位置と、容器の昇降経路上から離れた第2の位置との間を回動する。
【0009】
本発明の移載設備は、前記荷受台が、軸心が水平方向である前記回動軸によって回動可能に支持されるものである。
上記構成では、荷受台が、軸心が水平方向である回動軸の回動によって、容器の昇降経路上に位置する第1の位置と、容器の昇降経路上から離れた第2の位置との間を回動する。
【0010】
本発明の移載方法は、
物品に対して処理を行う処理装置の上方に設けられて前記物品を収容する容器を受ける荷受台と、
前記荷受台に対して前記容器を搬出又は搬入し、搬出又は搬入する前記容器を前記荷受台と前記処理装置のロードポートとの間で昇降搬送する移載機と、
を備え、
前記荷受台と前記移載機と前記処理装置のロードポートとが平面視で互いに重なる位置に配置される移載設備における容器の移載方法であって、
前記荷受台を、前記容器の昇降経路上から離れた位置に設けられる回動軸によって、前記容器の昇降経路上に位置する第1の位置と、前記容器の昇降経路上から離れた第2の位置との間で回動可能に支持し、
前記荷受台に設けられている位置決め部材であって、前記回動軸を中心とする前記荷受台の回動軌道に沿った曲面によって構成されている当接面を有する前記位置決め部材によって、前記荷受台における前記容器の位置決めを行い、
前記第1の位置に位置する前記荷受台によって支持された前記容器を、前記移載機によって前記荷受台から搬出し、
前記回動軸の回動によって前記荷受台を前記第1の位置から前記第2の位置まで回動させることで、前記移載機による前記容器の昇降経路を形成し、
前記荷受台から搬出した前記容器を、前記移載機によって前記処理装置のロードポートまで下降移動させる方法である。
【0011】
上記方法では、荷受台を、回動軸の回動によって、容器の昇降経路上に位置する第1の位置から、容器の昇降経路上から離れた第2の位置まで回動させて移載機による容器の昇降経路を形成した上で、荷受台から搬出した容器を処理装置のロードポートまで下降移動させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の移載設備及び容器の移載方法によれば、荷受台を、容器の昇降経路上に位置する第1の位置から容器の昇降経路上から離れた第2の位置まで回動可能であるため、荷受台と処理装置のロードポートとの間で容器を昇降移動させる際に、荷受台を容器の昇降経路を避ける位置まで移動させることができる。そのため、容器を昇降移動させる際に容器が荷受台に干渉することがない(容器が荷受台に接触することがない)。それゆえに、荷受台との干渉を避けるために移載機によって容器を旋回させる等の動作が不要となり、荷受台と処理装置のロードポートとの間の容器の移載を効率良く行うことができる。
また、移載機が上記動作を行う必要がないため、移載機が容器を位置決めされた状態で保持することができ、移載機の移載精度を向上させることができる。
さらに、荷受台が回動軸によって回動可能に支持されていることから、荷受台を動作させる機構を、軸受と回動軸とモータ等からなるシンプルな機構によって構成できる。また、軸受と回動軸とモータ等を筐体等によって覆うことで、荷受台の動作機構からの発塵を容易に封じ込めることができるため、当該動作機構を発塵源の少ない機構、或いは発塵源を封じ込み易い機構によって構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図4】同移載設備においてカセットが移載機によって移載される場合の正面図である。
【
図5】(a)は、同移載設備における荷受台の回動を示す概略平面図及ガイドブロックの概略拡大平面図、(b)は、同移載設備における別実施例の荷受台の回動を示す概略平面図及ガイドブロックの概略拡大平面図、(c)は、同移載設備における別実施例の荷受台の回動を示す概略平面図及ガイドブロックの概略拡大平面図である。
【
図6】(a)は、本発明の別実施に係る移載設備においてカセットが荷受台に載置されている場合の正面図、(b)は、同移載設備においてカセットが移載機によって移載される場合の正面図である。
【
図7】本発明の別実施に係る移載設備の平面図である。
【
図8】(a)は、本発明の別実施に係る移載設備における荷受台の平面図、(b)は、同荷受台がカセット受入位置に位置する場合の同荷受台の側面図、(c)は、同荷受台が台待機位置に位置する場合の同荷受台の側面図である。
【
図9】(a)は、本発明の別実施に係る移載設備における荷受台の平面図、(b)は、同荷受台がカセット受入位置に位置する場合の同荷受台の側面図、(c)は、同荷受台が台待機位置に位置する場合の同荷受台の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る移載設備10について説明する。
図1及び
図2に示すように、移載設備10は、半導体製品或いは液晶表示素子製品の仕掛かり品である基板91(「物品」の一例)に対して蒸着処理を行う蒸着装置80(「処理装置」の一例)に付設される設備である。移載設備10では、板状体の基板91を収容したカセット90(「容器」の一例)が、移載設備10外の台車走行レール85に沿って走行する搬送台車86から蒸着装置80のロードポート83に搬入されるとともに、蒸着装置80のロードポート83から移載設備10外の搬送台車86に搬出される。
移載設備10において搬送されるカセット90は、その一方側面或いは両側面が開口した略箱型形状の部材により形成され、その内部に複数の基板91を収容可能に構成されている。カセット90は、その上部に後述する移載機20に係止されるフランジ部92が複数形成されている。フランジ部92はカセット90の上面から突出して設けられる鉤状の部材によって構成され、カセット90の上面の複数箇所に設けられる。
【0015】
図2に示すように、移載設備10は、蒸着装置80の上方に付設されている。移載設備10に付設される蒸着装置80は、装置全体が装置筐体81により覆われている。装置筐体81は、その内部に蒸着装置80を格納可能な内部空間を有する。装置筐体81は、その上部に、カセット90を内部に搬送するためのカセット搬入口82が形成されている。
装置筐体81は、その内部空間においてカセット90を載置するためのロードポート83が設けられている。具体的には、ロードポート83は、カセット搬入口82の真下(後述する移載機20の真下であって、移載機20によって昇降するカセット90の昇降経路上)に設けられている。
【0016】
図1及び
図2に示すように、移載設備10の側方であって蒸着装置80の上方には、搬送台車86上のカセット90を移載設備10に搬送するフォークユニット40が設けられている。フォークユニット40は、カセット90をフォーク41の載置面41aに載置してフォーク41を水平方向に出退移動させることで、カセット90を搬送台車86から搬出し、搬出したカセット90を移載設備10内に搬入する。また、フォークユニット40は、カセット90を移載設備10内から搬出し、搬出したカセット90を搬送台車86に搬入する。このように、カセット90は、蒸着装置80の上方であって、移載設備10の側方から搬入又は搬出される。
【0017】
図2から
図4に示すように、移載設備10は、カセット90を昇降搬送する移載機20と、移載機20に対するカセット90の位置決めを行うプッシャー25と、フォークユニット40及び移載機20から搬送されるカセット90を受ける荷受台30と、を備える。
移載機20と、荷受台30と、蒸着装置80のロードポート83とは、平面視において互いに重なる位置に配置される。具体的には、移載設備10の上方(天井側)から移載機20、荷受台30、ロードポート83の順で配置され、且つ荷受台30とロードポート83とが移載機20によるカセット90の昇降経路上となるように配置される。
【0018】
移載機20は、ロードポート83の上方に設けられ、平面視において荷受台30及びロードポート83と重なる位置に配置される。移載機20は、フォークユニット40によって荷受台30に搬送されたカセット90を荷受台30から搬出し、搬出したカセット90を鉛直方向に下降移動させることによってカセット90をロードポート83に搬入する。また、移載機20は、ロードポート83上のカセット90を鉛直方向に上昇移動させることによってカセット90をロードポート83から搬出し、搬出したカセット90を荷受台30に搬入する。
移載機20は、蒸着装置80の上方において、カセット90の上部を係止して鉛直方向に昇降移動させることによってカセット90を搬送する。移載機20は、カセット90を昇降移動させる昇降機構21と、カセット90の上部を係止する係止機構24と、から主に構成されている。
【0019】
昇降機構21は、係止機構24を回動軸22Bにより吊り下げた状態で支持する。昇降機構21は、係止機構24(カセット90)を昇降移動させる第1昇降部22と、第1昇降部22及び係止機構24(カセット90)を昇降移動させる第2昇降部23と、から構成されている。昇降機構21は、第1昇降部22及び第2昇降部23による二段階の昇降移動によってカセット90を昇降させる。
第1昇降部22は、係止機構24を吊下げて支持する複数本の昇降ベルト22Aと、昇降ベルト22Aを一体的に巻き取り及び巻き出す回動軸22Bと、回動軸22Bを回動する第1モータ22Cと、から主に構成されている。第1昇降部22は、第1モータ22Cの駆動により回動軸22Bを回動させて昇降ベルト22Aを巻き取り及び巻き出すことで係止機構24(カセット90)を昇降移動させる。第1昇降部22は、昇降ベルト22Aを巻き取り及び巻き出すことで係止機構24(カセット90)を昇降移動させることから、ロードポート83に対するカセット90の細かな位置合わせを容易に行うことができる。
第2昇降部23は、回動軸22Bの両端を回動可能に支持する支持体23Aと、支持体23Aを昇降可能にガイドするガイド体23Bと、支持体23Aを昇降移動させる駆動ベルト23Cと、駆動ベルト23Cを回動させるための第2モータ23Dと、から主に構成されている。
支持体23Aは、一対の長尺状の部材により構成され、鉛直方向に立設される上端部において回動軸22Bを回動可能に支持するとともに、その下端部がガイド体23Bにより昇降可能にガイドされる。ガイド体23Bは、一対の長尺状の部材により構成される。駆動ベルト23Cはガイド体23Bの上端部と下端部との間に回動可能に架け渡される。第2モータ23Dはガイド体23Bの上端部に設けられる。
第2昇降部23は、第2モータ23Dを駆動させて駆動ベルト23Cを回動させることにより支持体23Aをガイド体23Bに沿って昇降移動させる。これにより、支持体23Aが支持する回動軸22Bが昇降し、その昇降により昇降ベルト22Aを介して支持される係止機構24(カセット90)が昇降移動する。第2昇降部23は、鉛直方向に延設される長尺状の一対のガイド体23Bの間で回動軸22Bを昇降移動させることで、ロードポート83に対するカセット90の大まかな位置合わせを行う。
【0020】
係止機構24は、複数の昇降ベルト22Aにより支持されるとともに、カセット90の上部のフランジ部92を係止する。係止機構24は、カセット90の係止時にカセット90と対向する側にカセット90のフランジ部92を係止するための係止部24Aを有する。係止部24Aは、カセット90のフランジ部92に対応する位置に複数(
図3においては4個)設けられている。係止部24Aは、フランジ部92に係止可能な鉤状の部材により形成され、当該鉤状の部材が所定方向に旋回可能に構成されている。係止機構24は、係止部24Aがフランジ部92を係止することによりカセット90を吊下げた状態で支持する。
【0021】
プッシャー25は、荷受台30に載置されるカセット90に当接することで、荷受台30上におけるカセット90の移動を規制して移載機20に対するカセット90の位置決めを行う。プッシャー25は、支持体23Aに支持される基台26に立設され、荷受台30に載置されるカセット90を対となるプッシャー25で挟むように、荷受台30に載置されるカセット90の対角位置近傍に配置される。プッシャー25は、基台26に支持されるプッシャー本体部25Aと、プッシャー本体部25Aに支持されて水平方向に出退移動可能なアーム部25Bと、を備える。アーム部25Bは、カセット90に当接可能に構成されている。プッシャー25は、アーム部25Bを、対となるプッシャー25のアーム部25Bとともに、荷受台30上のカセット90の対角位置から挟み込むように、カセット90に当接させることで、カセット90を所定の位置に合わせる。ここで、所定の位置とは、移載機20が荷受台30上のカセット90の姿勢を保持した状態で係止して昇降可能な位置である。アーム部25Bは、移載機20が荷受台30からカセット90を搬出する際には、エアシリンダの駆動によってカセット90に向かって伸長移動を行うことでカセット90に当接する。アーム部25Bは、移載機20によってカセット90が昇降する際には、エアシリンダの駆動によってカセット90から離れる方向に収縮移動を行うでカセット90の昇降経路を避ける方向に移動する。
【0022】
図1から
図4に示すように、荷受台30は、フォークユニット40によって移載設備10内に搬入されるカセット90、及び移載機20によってロードポート83から搬出されるカセット90を受け入れる台である。
荷受台30は、カセット90の角部の底面を支持する。具体的には、荷受台30をカセット90の4つの角部にそれぞれ配置し、4体の荷受台30によってカセット90の4つの角部の底面を支持する。荷受台30は、移載機20がカセット90を昇降させる経路(カセット90の昇降経路)上のカセット受入位置U(「第1の位置」の例)に位置する場合において、そのカセット90の4つの角部の近傍にそれぞれ配置される。ここで、カセット受入位置Uとは、移載設備10内において荷受台30がフォークユニット40或いは移載機20からカセット90を受け入れる位置(移載設備10内におけるカセット90の搬出入位置)であり、ロードポート83の上方において、フォークユニット40のフォーク41がカセット90を搬送する経路と、移載機20がカセット90を昇降させる経路と、が交差する位置をいう。
【0023】
荷受台30は、基台部31と、カセット90を載置する載置部32と、載置部32におけるカセット90の位置決めを行う一対のガイドブロック33(「位置決め部材」の一例)と、荷受台30(基台部31)の回動範囲を制限するストッパー37と、から構成されている。
基台部31は、水平方向に配置される板状の部材によって構成され、その上面において、載置部32及びガイドブロック33を支持する。基台部31は、その一端部が軸受34を介して回動軸35に固定され、回動軸35の回動によって水平方向に回動する。軸受34は、基台26に固定されている。
回動軸35は、移載機20によるカセット90の昇降経路上から離れた位置(カセット受入位置Uから離れた位置)に、その軸心が鉛直方向となるように延設されている。回動軸35は、その下端に設けられるモータ36によって駆動される。
ここで、荷受台(基台部)を動作させる機構としては、荷受台を水平方向に摺動させる摺動機構が挙げられるが、当該摺動機構では、荷受台を摺動させるモータを備えることに加えて、荷受台を摺動させるためのレール等が必要となるため、荷受台の動作機構が大掛かりとなる。また、上記摺動機構は、荷受台を摺動させることから発塵源の多い機構である。さらに、上記摺動機構からの発塵を封じ込めるためには、モータ等を筐体等によって覆うことに加えてレール等を覆う必要があるため、発塵源を容易に封じ込むことができない。
一方で、移載設備10の荷受台30を動作させる機構は、軸受34と、回動軸35と、モータ36とからなる回動機構であるため、荷受台30の動作機構をシンプルな機構によって構成できる。また、上記回動機構は、回動軸35を回動させることによって荷受台30を動作させることから発塵源の少ない機構である。さらに、上記回動機構では、軸受34と回動軸35とモータ36を筐体等によって覆うことで、上記回動機構からの発塵を封じ込めることができるため、当該発塵源を容易に封じ込むことができる。
【0024】
載置部32は、その頂部にカセット90を載置可能な柱材によって構成され、基台部31の他端部(回動軸35が設けられている側と反対側の端部)に立設されている。載置部32は、その頂部にカセット90を載置するための載置面32aが形成されている。
【0025】
ガイドブロック33は、断面視略円状の柱材によって構成され、基台部31の他端部に立設されている。ガイドブロック33は、載置部32におけるカセット90の位置決めを行うとともに、載置部32からのカセット90の落下を防止する。ガイドブロック33は、カセット90が載置部32に載置された際に、カセット90の角部を対となるガイドブロック33で挟むような位置に配置される。ガイドブロック33は、その頂部が載置部32の頂部(載置面32a)より高く形成されている。ガイドブロック33は、その頂部の周端が傾斜状に形成された傾斜部33a(
図5参照)を有する。
ガイドブロック33は、その側面にカセット90の角部の側面が当接することで、載置部32上でのカセット90の位置決めを行うとともに、載置部32からのカセット90の落下を防止する。また、ガイドブロック33は、載置部32に載置されようとするカセット90がガイドブロック33の頂部に乗り上げた場合に、そのカセット90がガイドブロック33の傾斜部33aを滑り落ちることで、カセット90を載置部32上の所定位置まで誘導する。さらに、カセット90がガイドブロック33の頂部に乗り上げたままガイドブロック33によって保持された場合には、載置部32へのカセット90の移載が異常であることが検出される。
【0026】
図5(a)に示すように、ガイドブロック33は、カセット90の角部の側面と当接する当接面33bが、回動軸35を中心とする荷受台30の回動軌道Kに沿った曲面によって構成されている。具体的には、ガイドブロック33の当接面33bを構成するガイドブロック33の外周側面を回動軌道Kに沿うように湾曲状に形成させている。このように、ガイドブロック33の当接面33bを回動軸35を中心とする荷受台30の回動軌道Kに沿った曲面とすることで、荷受台30が回動軸35を中心に回動することによって荷受台30とカセット90との距離間隔が変動した場合であっても、カセット90を載置部32上の適切な位置で位置決めすることができる。なお、ガイドブロック33の当接面33bが曲面に形成されていれば、例えば、
図5(b)に示すガイドブロック33Aのように、ガイドブロック33の当接面33bを荷受台30(基台部31)の回動軌道Kに沿って湾曲状に形成した断面視円弧状の柱材によって構成しても構わない。また、
図5(c)に示すガイドブロック33Bのように、ガイドブロック33の当接面33bを荷受台30(基台部31)の回動軌道Kに沿って湾曲状に形成した板材によって構成しても構わない。
【0027】
図3に示すように、荷受台30は、移載機20によるカセット90の昇降移動に応じて回動軸35を回動させることよって、カセット受入位置U(「第1の位置」の例)と台待機位置T(「第2の位置」の一例)との間で水平方向に回動する。ここで、台待機位置Tとは、荷受台30が移載機20によって昇降移動するカセット90と接触しない位置で、且つフォークユニット40がカセット受入位置Uにカセット90へ搬送する際に、荷受台30がフォークユニット40のフォーク41に接触しない位置である。
荷受台30は、フォークユニット40或いは移載機20からカセット90を受け入れる際には、回動軸35の回動によってカセット受入位置Uまで回動する。具体的には、カセット受入位置Uに位置するカセット90の角部の底面に、荷受台30の載置部32の載置面32aが当接する位置まで荷受台30の基台部31が回動する。一方で、荷受台30は、移載機20がカセット90を昇降移動させる際には、カセット90の昇降経路上から離れた台待機位置Tに位置する。具体的には、荷受台30の載置部32及びガイドブロック33が、カセット受入位置Uに位置するカセット90に当接しない位置まで、荷受台30の基台部31が回動する。
【0028】
荷受台30は、ストッパー37によって、基台部31の回動範囲が制限される。具体的には、ストッパー37が、水平方向に回動する基台部31をカセット受入位置U及び台待機位置Tで制止することで、基台部31の回動範囲がカセット受入位置Uと台待機位置Tとの間で制限される。ストッパー37は、基台部31(可動側)に固定される一対の可動側ブロック37Aと、基台26(固定側)に固定される固定側ストッパー37Bと、から構成される。
可動側ブロック37Aは、基台部31の側方から水平に突出する部材であり、基台部31の回動とともに回動する。
固定側ストッパー37Bは、基台26から上方に突出する部材であり、その両端部のいずれかに可動側ブロック37Aが当接することで、基台部31の回動を制止する。
ストッパー37は、基台部31がカセット受入位置Uから回動して台待機位置Tに位置する際に、一対の可動側ブロック37Aのうちの一方の可動側ブロック37Aが固定側ストッパー37Bの一端部に当接することで、基台部31を台待機位置Tで制止させる。一方で、ストッパー37は、基台部31が台待機位置Tから回動してカセット受入位置Uに位置する際に、一対の可動側ブロック37Aのうちの他方の可動側ブロック37Aが固定側ストッパー37Bの他端部に当接することで、基台部31をカセット受入位置Uで制止させる。このように、一対の可動側ブロック37Aが固定側ストッパー37Bに当接することで、基台部31の回動範囲がカセット受入位置Uと台待機位置Tとの間で制限され、基台部31が回動範囲外に回動することが防止される。
【0029】
次に、移載設備10におけるカセット90の移載方法について説明する。
図1に示すように、搬送台車86によってカセット90が所定の位置まで搬送されると、フォークユニット40は、フォーク41を搬送台車86に対して水平移動させることによって搬送台車86上のカセット90をフォーク41上に載置して支持する。
カセット90がフォーク41上に載置されると、フォークユニット40は、カセット90をフォーク41に載置した状態でフォーク41を旋回させる。さらに、フォークユニット40は、フォーク41を移載設備10の荷受台30の上方まで水平移動させる。この時、荷受台30は、回動軸35の回動によってカセット受入位置Uまで回動する。具体的には、
図3に示すように、荷受台30の基台部31が回動軸35の回動によって水平方向に回動することで、荷受台30の載置部32及びガイドブロック33が台待機位置Tからカセット受入位置Uまで回動する。荷受台30の基台部31は、一対の可動側ブロック37Aのうちの一方の可動側ブロック37Aが固定側ストッパー37Bの一端部に当接することで、カセット受入位置Uで停止する。
図2に示すように、フォークユニット40は、カセット90を荷受台30の上方まで搬送すると、フォーク41を下降させてカセット90を荷受台30に載置させる。これにより、カセット90がフォークユニット40から荷受台30の載置部32に移載される。ここで、荷受台30のガイドブロック33は、カセット90に当接することによって載置部32上でのカセット90の大まかな位置決めを行う。
【0030】
荷受台30にカセット90が載置されると、フォークユニット40は、フォーク41を荷受台30から離れた位置まで水平移動させる。続いて、プッシャー25のアーム部25Bがカセット90に向かって伸長移動し、カセット90の角部に当接する。これにより、カセット90が一対のアーム部25Bにより対角方向から挟持された状態となる。
プッシャー25は、一対のアーム部25Bを互いに伸縮移動させることによって、カセット90を四方に移動させる。そして、プッシャー25は、カセット90を、移載機20の係止部24A(係止機構24)がカセット90のフランジ部92を係止可能な位置まで移動させる。すなわち、プッシャー25は、カセット90を四方に移動させることで、移載機20の昇降位置に対するカセット90の位置決めを行う。
【0031】
移載機20の昇降位置に対するカセット90位置決めが完了すると、移載機20の第2昇降部23が駆動し、移載機20の係止機構24がカセット90の上方位置まで下降する。そして、係止機構24の係止部24Aが所定方向に旋回することで、カセット90のフランジ部92が係止部24Aにより係止される。これにより、カセット90が移載機20によって昇降移動可能な状態となる。
プッシャー25は、アーム部25Bをカセット90から離れる方向(カセット90の昇降経路を避ける方向)に収縮移動する。
アーム部25Bが収縮移動すると、モータ36の駆動によって回動軸35が回動することで、荷受台30が水平方向に回動する。具体的には、
図3に示すように、荷受台30の基台部31がカセット受入位置Uから台待機位置Tへ水平方向に回動する。荷受台30の基台部31は、一対の可動側ブロック37Aのうちの他方の可動側ブロック37Aが固定側ストッパー37Bの他端部に当接することで、台待機位置Tで停止する。これにより、荷受台30の載置部32及びガイドブロック33がカセット90の昇降経路を避ける方向に移動し、荷受台30の載置部32がカセット90を載置していた位置に、移載機20によるカセット90の昇降経路が形成される。
【0032】
荷受台30の基台部31がカセット受入位置Uから離れると、移載機20の第2昇降部23が駆動し、カセット90を係止した係止機構24が蒸着装置80に向けて下降する。具体的には、第2モータ23Dが駆動することで駆動ベルト23Cが作動し、駆動ベルト23Cが作動することで支持体23Aがガイド体23Bに沿って下降する。そして、支持体23Aに支持される回動軸22Bが支持体23Aとともに下降し、その下降により昇降ベルト22Aに支持される係止機構24(カセット90)が所定位置まで下降する。
図4に示すように、係止機構24が所定位置まで下降すると、第2昇降部23の駆動が停止し、第1昇降部22が駆動する。これにより、係止機構24に係止されるカセット90が蒸着装置80のロードポート83に移載される。具体的には、第2モータ23Dの駆動が停止することで、第1モータ22Cが駆動して回動軸22Bが回動する。これにより、係止機構24を吊下げて支持する昇降ベルト22Aが回動軸22Bによって下方に巻き出され、その巻き出しに合わせて係止機構24(カセット90)が下降する。
【0033】
一方、蒸着装置80において基板91に対する処理が完了すると、移載機20の係止機構24の係止部24Aがカセット90のフランジ部92を係止する。そして、第1モータ22Cが駆動して回動軸22Bが回動する。これにより、係止機構24を吊下げて支持する昇降ベルト22Aが回動軸22Bによって上方に巻き取られ、その巻き取りに合わせて係止機構24が上昇してカセット90がロードポート83から搬出される。係止機構24が所定位置まで上昇すると、第1モータ22Cの駆動が停止し、第2モータ23Dが駆動する。これにより、駆動ベルト23Cが作動し、駆動ベルト23Cが作動することで支持体23Aがガイド体23Bに沿って上昇する。そして、支持体23Aに支持される回動軸22Bが支持体23Aとともに上昇し、その上昇により昇降ベルト22Aに支持される係止機構24が上昇する。
係止機構24に係止されるカセット90が荷受台30の上方まで上昇すると、荷受台30は、回動軸35の回動によって台待機位置Tからカセット受入位置Uまで回動する。具体的には、
図3に示すように、荷受台30の基台部31が回動軸35の回動によって水平方向に回動することで、荷受台30の載置部32及びガイドブロック33が台待機位置Tからカセット受入位置Uまで移動する。荷受台30の基台部31は、一対の可動側ブロック37Aのうちの一方の可動側ブロック37Aが固定側ストッパー37Bの一端部に当接することで、カセット受入位置Uで停止する。
【0034】
荷受台30がカセット受入位置Uまで回動すると、第2モータ23Dが駆動し係止機構24が下降する。これにより、
図2に示すように、カセット90が下降して荷受台30の載置部32に載置される。ここで、荷受台30のガイドブロック33は、カセット90に当接することによって載置部32上でのカセット90の大まかな位置決めを行う。カセット90が載置部32に載置されると、係止機構24の係止部24Aが所定方向に旋回することで、係止部24Aによるフランジ部92への係止が解除される。係止部24Aによるフランジ部92への係止が解除されると、フォークユニット40は、屈伸式アーム42を伸長してフォーク41をカセット受入位置Uまで水平移動させる。続いて、フォークユニット40は、フォーク41を上昇させることで、荷受台30に載置されているカセット90をフォーク41に載置して支持する。さらに、
図1に示すように、フォークユニット40は、屈伸式アーム42を屈折させるとともに、カセット90を載置したフォーク41を旋回させる。そして、フォークユニット40は、屈伸式アーム42を伸長してフォーク41を搬送台車86まで水平移動させ、フォーク41上のカセット90を搬送台車86に移載する。
【0035】
以上のように、本発明に係る移載設備10は、荷受台30を、カセット90の昇降経路上に位置するカセット受入位置Uからカセット90の昇降経路上から離れた台待機位置Tまで回動可能であるため、荷受台30と蒸着装置80のロードポート83との間でカセット90を昇降移動させる際に、荷受台30をカセット90の昇降経路を避ける位置まで移動させることができる。そのため、カセット90を昇降移動させる際にカセット90が荷受台30に干渉することがない(カセット90が荷受台30に接触することがない)。それゆえに、荷受台30との干渉を避けるために移載機20によってカセット90を旋回させる等の動作が不要となり、荷受台30と蒸着装置80のロードポート83との間のカセット90の移載を効率良く行うことができる。また、移載機20が上記動作を行う必要がないため、移載機20がカセット90を位置決めされた状態で保持することができ、移載機20の移載精度を向上させることができる。
さらに、荷受台30が回動軸35によって回動可能に支持されていることから、荷受台30を動作させる機構を、軸受34と回動軸35とモータ36からなるシンプルな機構によって構成できる。また、軸受34と回動軸35とモータ36を筐体等によって覆うことで、荷受台30の動作機構からの発塵を容易に封じ込めることができるため、当該動作機構を発塵源の少ない機構、或いは発塵源を封じ込み易い機構によって構成することができる。
【0036】
なお、本実施の形態においては、その軸心が鉛直方向である回動軸35によって荷受台30の基台部31を水平方向に回動させることで、荷受台30の載置部32をカセット受入位置Uと台待機位置Tとの間で回動させているが、これに限定されるものではなく、
図6から
図8に示す荷受台30Aのように、その軸心が水平方向である回動軸35Aによって、水平の基台部31Aを上方向に跳ね上げることで載置部32A及びガイドブロック33Aを回動させても構わない。この場合、水平の荷受台30Aの基台部31Aは、その一端が、軸受34Aを介して回動軸35Aに固定され、回動軸35Aの回動によって回動軸35Aを中心に上方向に跳ね上げられる。軸受34Aは基台26に固定されるとともに、基台部31Aを下方から支持する。回動軸35Aは、移載機20によるカセット90の昇降経路上から離れた位置(カセット受入位置Uから離れた位置)に、その軸心が水平方向となるように延設され、その他端部にモータ36Aが設けられる。
図8(b)及び
図8(c)に示すように、荷受台30Aでは、回動軸35Aが回動することで、軸受34Aによって水平に保持されている基台部31Aが上方向に跳ね上げられ、カセット受入位置Uに位置する載置部32A及びガイドブロック33Aが上方向に跳ね上げられた状態で台待機位置Tまで回動する。
また、荷受台30Aは、基台26(固定側)に固定される固定側ストッパー38A、38B(ストッパー38)によって、基台部31Aの回動範囲が制限される。具体的には、
図8(b)に示すように、カセット受入位置Uに位置する基台部31Aの下面に第1固定側ストッパー38Aが当接することで、基台部31Aがカセット受入位置Uで制止される。また、
図8(c)に示すように、カセット受入位置Uから台待機位置Tまで跳ね上げられた基台部31Aの上面に第2固定側ストッパー38Bが当接することで、基台部31Aが台待機位置Tで制止される。なお、第1固定側ストッパー38Aは、基台部31Aをカセット受入位置Uで制止させる機能を有するとともに、基台部31Aの荷重を支える機能を有する。
【0037】
さらに、
図9に示す荷受台30Bのように、その軸心が水平方向である回動軸35Aによって、水平の基台部31Aを下方向に倒すことで載置部32A及びガイドブロック33A、33Bを回動させても構わない。
図9(b)及び
図9(c)に示すように、荷受台30Bでは、回動軸35Aが回動することで、軸受34Aによって水平に保持されている基台部31Aが下方向に倒され、カセット受入位置Uに位置する載置部32A及びガイドブロック33A、33Bが下方向に倒された状態で台待機位置Tまで回動する。
また、荷受台30Bは、基台26(固定側)に固定される固定側ストッパー39A、39B(ストッパー39)によって、基台部31Aの回動範囲が制限される。具体的には、
図9(b)に示すように、カセット受入位置Uに位置する基台部31Aの側面(軸受34側の側面)に第1固定側ストッパー39Aが当接することで、基台部31Aがカセット受入位置Uで制止される。また、
図9(c)に示すように、カセット受入位置Uから台待機位置Tに向けて倒された基台部31Aの下面に第2固定側ストッパー39Bが当接することで、基台部31Aが台待機位置Tで制止される。
さらに、荷受台30Bは、ガイドブロック33Bにおいてカセット90の角部の側面と当接する当接面33bが、荷受台30Bの回動軌道Kに沿った曲面によって構成されている。具体的には、ガイドブロック33Bの当接面33bを構成するガイドブロック33Bの頂部を湾曲状に傾斜させている。
【0038】
本実施の形態においては、荷受台30の基台部31を回動させているが、これに限定されるものではなく、荷受台30の載置部32を直接回動させても構わない。すなわち、荷受台30においてカセット90が載置される部分を直接回動させても構わない。この場合、荷受台30を載置部32のみで構成し、載置部32に設けた回動軸35を回動することによって載置部32を回動させる。
本実施の形態においては、移載設備10において移載される物品はカセット90に限定されるものではなく、荷受台30と移載機20との間で移載を行うことが可能な物品であれば構わない。
本実施の形態においては、移載機20の係止部24Aがカセット90の上部の鉤状のフランジ部92を係止した状態で、移載機20がカセット90を昇降移動させているが、これに限定されるものではなく、例えば、移載機20がカセット90の側面を把持した状態でカセット90を昇降移動させても構わない。
本実施の形態においては、移載機20が第1昇降部22と第2昇降部23とによる二段階の昇降移動によってカセット90を昇降させているが、これに限定されるものではなく、第1昇降部22又は第2昇降部23のいずれか一方のみ、すなわち、一段階の昇降移動によってカセット90を昇降させても構わない。また、第1昇降部22は、係止機構24に取り付けた昇降ベルト22Aを回動軸22Bに対して巻き取り及び巻き出すことでカセット90の昇降を行うが、これに限定されるものではなく、係止機構24を吊下げ支持する支持枠をボールねじによって昇降させることによりカセット90の昇降を行っても構わない。
本実施の形態においては、移載設備10が基板91に対して蒸着処理を行う蒸着装置80に付設される設備であるが、これに限定されるものではなく、物品に対して処理を行う処理装置に物品を収容した容器を移載する移載設備であれば、蒸着装置80以外の装置に付設される設備であっても構わない。
本実施の形態においては、ストッパー37によって荷受台30の回動範囲を制限しているが、これに限定されるものではなく、ストッパー37を設けずに、センサ等によって荷受台30(基台部31)の位置を検出することで、荷受台30の回動範囲を制限しても構わない。
【符号の説明】
【0039】
10 移載設備
20 移載機
30 荷受台
35 回動軸
80 蒸着装置(処理装置)
83 ロードポート
90 カセット(容器)
91 基板(物品)
U カセット受入位置(第1の位置)
T 台待機位置(第2の位置)