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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】電池配線モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/298 20210101AFI20231212BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20231212BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20231212BHJP
   H01M 50/507 20210101ALN20231212BHJP
【FI】
H01M50/298
H01M50/569
H01M50/209
H01M50/507
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020090488
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2021185562
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋
(72)【発明者】
【氏名】森 亮太
(72)【発明者】
【氏名】矢板 久佳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政巳
(72)【発明者】
【氏名】中須賀 麻耶
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-243608(JP,A)
【文献】特開2012-164598(JP,A)
【文献】特開2013-178969(JP,A)
【文献】特開2019-125474(JP,A)
【文献】特開平10-80041(JP,A)
【文献】特開2014-229594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池に組み付けられる電池配線モジュールであって、
前記二次電池に電気的に接続される電線と、
前記電線を収容するケースと、を備え、
前記ケースは、前記電線が通される電線挿通部を有するケース本体と、前記電線挿通部を覆うカバーと、を有し、
前記カバーは、前記ケース本体に対して別体に構成され、
前記ケース本体は、第1被係止部及び第2被係止部を有し、
前記カバーは、前記電線挿通部を覆うカバー本体部と、前記カバー本体部から前記ケース本体側に延出し、前記第1被係止部に係止される第1係止部と、前記カバー本体部から前記ケース本体側に延出し、前記第2被係止部に係止される第2係止部と、を有し、
前記第1係止部の延出方向の長さは、前記第2係止部の延出方向の長さよりも長く設定され、
前記ケース本体は、前記第1係止部を前記第2被係止部に係止させようとしたときに前記第1係止部の延出方向の先端部に当接して前記第1係止部の組付方向への変位を規制する規制部を有している、電池配線モジュール。
【請求項2】
前記ケース本体は、第3被係止部を有し、
前記カバーは、前記カバー本体部から前記ケース本体側に延出し、前記第3被係止部に係止される第3係止部を有し、
前記電線の挿通方向に沿った方向において、前記第1係止部の長さが前記第3係止部の長さよりも長く設定され、
前記規制部を第1規制部として、前記ケース本体は、前記電線の挿通方向に沿った方向における前記第3被係止部の側方に第2規制部を有し、
前記第2規制部は、前記第1係止部を前記第3被係止部に係止させようとしたときに前記第1係止部に当接して前記第1係止部の組付方向への変位を規制する、請求項1に記載の電池配線モジュール。
【請求項3】
前記電線挿通部は、底壁部と、前記底壁部から延出する一対の側壁部と、を有し、
前記側壁部には、スリットが設けられ、
前記カバーは、前記スリットに嵌合された突起部を有している、請求項1又は請求項2に記載の電池配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池配線モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されるように、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両において、走行駆動用の電源として搭載される高電圧の二次電池には、電池配線モジュールが装着されている。特許文献1の電池配線モジュールは、二次電池に電気的に接続される電線と、その電線を収容するケースと、を備えている。電池配線モジュールのケースは、電線が通される電線挿通部を有するケース本体と、電線挿通部を覆うカバーと、を有している。特許文献1の電池配線モジュールのカバーは、ケース本体に対して別体に構成されている。カバーは、ケース本体に設けられた複数の被係止部に対して電線挿通部の開口方向に沿った方向にそれぞれ係止される係止部を有している。カバーの各係止部とケース本体の各被係止部との係止によって、カバーがケース本体に組み付いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-229594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電池配線モジュールのケースでは、カバーの複数の係止部がそれぞれ正規に対応するケース本体の複数の被係止部に係止されることで、カバーがケース本体に対して正規の向きと位置で組み付けられる。しかしながら、カバーの係止部が、正規の被係止部でない被係止部に係止可能であると、カバーの向きや位置が誤って組み付けられてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、カバーの誤組付を抑制可能とした電池配線モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電池配線モジュールは、二次電池に組み付けられる電池配線モジュールであって、前記二次電池に電気的に接続される電線と、前記電線を収容するケースと、を備え、前記ケースは、前記電線が通される電線挿通部を有するケース本体と、前記電線挿通部を覆うカバーと、を有し、前記カバーは、前記ケース本体に対して別体に構成され、前記ケース本体は、第1被係止部及び第2被係止部を有し、前記カバーは、前記電線挿通部を覆うカバー本体部と、前記カバー本体部から前記ケース本体側に延出し、前記第1被係止部に係止される第1係止部と、前記カバー本体部から前記ケース本体側に延出し、前記第2被係止部に係止される第2係止部と、を有し、前記第1係止部の延出方向の長さは、前記第2係止部の延出方向の長さよりも長く設定され、前記ケース本体は、前記第1係止部を前記第2被係止部に係止させようとしたときに前記第1係止部の延出方向の先端部に当接して前記第1係止部の組付方向への変位を規制する規制部を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、カバーの誤組付を抑制可能とした電池配線モジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の電池配線モジュールの斜視図である。
図2図2は、同形態の電池配線モジュールにおいて、カバーを外した状態を示す平面図である。
図3図3は、同形態の電池配線モジュールの一部を拡大して示す拡大斜視図である。
図4図4は、同形態の電池配線モジュールの一部を拡大して示す拡大斜視図である。
図5図5は、同形態の電池配線モジュールにおいて、第1係止部及び第1被係止部の付近の構成を示す側面図である。
図6図6は、同形態の電池配線モジュールにおいて、第2係止部及び第2被係止部の付近の構成を示す側面図である。
図7図7は、同形態の電池配線モジュールにおいて、第3係止部及び第3被係止部の付近の構成を示す側面図である。
図8図8は、同形態の電池配線モジュールの一部を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の電池配線モジュールは、
[1]二次電池に組み付けられる電池配線モジュールであって、前記二次電池に電気的に接続される電線と、前記電線を収容するケースと、を備え、前記ケースは、前記電線が通される電線挿通部を有するケース本体と、前記電線挿通部を覆うカバーと、を有し、前記カバーは、前記ケース本体に対して別体に構成され、前記ケース本体は、第1被係止部及び第2被係止部を有し、前記カバーは、前記電線挿通部を覆うカバー本体部と、前記カバー本体部から前記ケース本体側に延出し、前記第1被係止部に係止される第1係止部と、前記カバー本体部から前記ケース本体側に延出し、前記第2被係止部に係止される第2係止部と、を有し、前記第1係止部の延出方向の長さは、前記第2係止部の延出方向の長さよりも長く設定され、前記ケース本体は、前記第1係止部を前記第2被係止部に係止させようとしたときに前記第1係止部の延出方向の先端部に当接して前記第1係止部の組付方向への変位を規制する規制部を有している。
【0010】
この構成によれば、カバーの第1係止部を誤ってケース本体の第2被係止部に係止させようとしたとき、第1係止部の先端部がケース本体の規制部に当接することで、第1係止部が第2被係止部に係止することを回避することが可能となる。これにより、カバーの誤組付を抑制することが可能となる。また、規制部は、第1係止部自体に当接可能な構成である。このため、第1係止部と第2被係止部との係止を回避するための部位をカバーに別途設定する必要がなくなり、その結果、カバーの形状を簡素化することが可能となる。
【0011】
[2]前記ケース本体は、第3被係止部を有し、前記カバーは、前記カバー本体部から前記ケース本体側に延出し、前記第3被係止部に係止される第3係止部を有し、前記電線の挿通方向に沿った方向において、前記第1係止部の長さが前記第3係止部の長さよりも長く設定され、前記規制部を第1規制部として、前記ケース本体は、前記電線の挿通方向に沿った方向における前記第3被係止部の側方に第2規制部を有し、前記第2規制部は、前記第1係止部を前記第3被係止部に係止させようとしたときに前記第1係止部に当接して前記第1係止部の組付方向への変位を規制する。
【0012】
この構成によれば、カバーの第1係止部を誤ってケース本体の第3被係止部に係止させようとしたとき、第1係止部がケース本体の第2規制部に当接することで、第1係止部が第3被係止部に係止することを回避することが可能となる。これにより、カバーの誤組付を更に抑制することが可能となる。また、第2規制部は、第1係止部自体に当接可能な構成である。このため、第1係止部と第3被係止部との係止を回避するための部位をカバーに別途設定する必要がなくなり、その結果、カバーの形状を簡素化することが可能となる。
【0013】
[3]前記電線挿通部は、底壁部と、前記底壁部から延出する一対の側壁部と、を有し、前記側壁部には、スリットが設けられ、前記カバーは、前記スリットに嵌合された突起部を有している。
【0014】
この構成によれば、カバーを誤った位置や向きで組み付けたときに、カバーの突起部がケース本体の側壁部に当接するように構成することが可能となり、その結果、カバーの誤組付を抑制することが可能となる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の電池配線モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の電池配線モジュール10は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車などに搭載される二次電池BTに組み付けられるものである。二次電池BTは、図示しない車両の走行用モータに電力を供給する。また、二次電池BTは、充電状態や車両の運転状態に応じて走行用モータや発電用モータからの電力の供給を受ける。
【0017】
二次電池BTは、複数の電池セルCを備える。二次電池BTは、複数の電池セルCが一方向に複数並んで配置されることにより、例えば略直方体状をなしている。電池配線モジュール10は、二次電池BTの一側面に装着される。なお、以下の説明では、二次電池BTにおいて電池配線モジュール10が装着される側の面を上面とし、二次電池BTに対して電池配線モジュール10側を上方として説明する。また、図面中の互いに直交するXYZ軸におけるX軸は、電池配線モジュール10のケース12の長手方向Xの長手方向Xを表し、Y軸はケース12の幅方向Yを表し、Z軸はケース12の高さ方向Zを表している。各電池セルCは、電池配線モジュール10の長手方向Xに沿って並設されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、電池配線モジュール10は、二次電池BTに電気的に接続される複数の電線11と、各電線11を収容するケース12と、を備えている。なお、図1では、電線11の図示を省略している。
【0019】
また、本実施形態の電池配線モジュール10は、例えば、ケース12に支持された複数のバスバー13を備えている。各バスバー13は、例えば、ケース12の幅方向Yの両側においてケース12の長手方向Xに沿って複数並んで配置されている。各バスバー13は、各電池セルCの上面に設けられた図示しない正極端子と負極端子とが接続されている。
【0020】
図2に示すように、各バスバー13は、それぞれ対応する電線11に電気的に接続されている。各電線11は、ケース12の内部を長手方向Xに沿って挿通されている。複数の電線11のうちの一部は、ケース12の長手方向Xの一端部に設けられた第1電線導出部14からケース12外に導出され、残りの複数の電線11は、ケース12の長手方向Xの他端部に設けられた第2電線導出部15からケース12外に導出されている。
【0021】
(ケース12)
図1に示すように、ケース12は、ケース本体16及びカバー17を備えている。ケース本体16は、電線11が通される電線挿通部18を有している。電線挿通部18は、高さ方向Zの上方側に開口する溝状をなしている。また、電線挿通部18は、ケース12の長手方向Xに沿って延在している。なお、本実施形態のケース本体16では、電線挿通部18が、例えば幅方向Yに並んで2つ設けられている。また、ケース本体16は、2つの電線挿通部18を互いに連結する複数の連結部19を有している。カバー17は、電線挿通部18の上方を覆っている。本実施形態のカバー17は、2つの電線挿通部18にそれぞれ対応して2つ設けられている。また、カバー17は、ケース本体16に対して別体に構成されている。なお、ケース本体16及びカバー17は、例えば、合成樹脂にて構成されている。
【0022】
(ケース本体16)
図1及び図2に示すように、ケース本体16は、例えば、ケース12の長手方向Xにおいて複数分割された構成をなしている。なお、図2は、カバー17を外した状態における電池配線モジュール10の平面図である。本実施形態のケース本体16は、ケース12の長手方向Xにおいて3分割されている。すなわち、ケース本体16は、一対の第1ケース本体21と、一対の第1ケース本体21の間に配置された第2ケース本体22と、を有している。一対の第1ケース本体21及び第2ケース本体22は、ケース12の長手方向Xに沿って並設されている。
【0023】
図2に示すように、各電線挿通部18は、底壁部23と、底壁部23から上方に延出する一対の側壁部24,25とを有している。一対の側壁部24,25同士は、ケース12の幅方向Yに対向している。また、各電線挿通部18において、一方の側壁部24は、他方の側壁部25に対して幅方向Yの内側に位置している。各電線挿通部18は、底壁部23及び各側壁部24,25によって、高さ方向Zの上方側に開口する溝状をなしている。各電線挿通部18において、一対の側壁部24,25の間には電線11が挿通される。なお、底壁部23及び一対の側壁部24,25は、各第1ケース本体21及び第2ケース本体22にそれぞれ形成されている。
【0024】
また、各電線挿通部18は、第1被係止部31、第2被係止部32、第3被係止部33及び第4被係止部34を有している。各被係止部31~34は、例えば、側壁部24,25の外側面から幅方向Yの外側に突出するように設けられている。
【0025】
本実施形態では、第1被係止部31は、各電線挿通部18における幅方向Yの内側の側壁部24に複数設けられている。また、同側壁部24には、複数の第3被係止部33及び1つの第4被係止部34が設けられている。具体的には、例えば、各第1ケース本体21における側壁部24に、第1被係止部31及び第3被係止部33が1つずつ設けられている。また、第2ケース本体22における側壁部24に、第4被係止部34と2つの第1被係止部31が設けられている。
【0026】
第2被係止部32は、各電線挿通部18における幅方向Yの外側の側壁部25に複数設けられている。また、同側壁部25には、複数の第3被係止部33及び1つの第4被係止部34が設けられている。具体的には、例えば、各第1ケース本体21における側壁部25に、第2被係止部32及び第3被係止部33が1つずつ設けられている。また、第2ケース本体22における側壁部25に、第4被係止部34と2つの第2被係止部32が設けられている。
【0027】
(カバー17)
図1に示すように、一対の電線挿通部18をそれぞれ覆う一対のカバー17の各々は、例えば、複数の第1カバー17aと、第2カバー17bとを有している。本実施形態の各カバー17は、一対の第1カバー17aと、一対の第1カバー17aの長手方向Xの間に配置された第2カバー17bとを有している。すなわち、ケース12全体としては、4つの第1カバー17aと、2つの第2カバー17bを備えている。各第1カバー17aは、互いに同一形状をなしている。また、2つの第2カバー17bは、互いに同一形状をなしている。また、各第1カバー17aと第2カバー17bとは、互いに別体をなしている。
【0028】
図1及び図3に示すように、各第1カバー17aは、電線挿通部18の上方を覆うカバー本体部40を有している。カバー本体部40は、例えば、ケース12の長手方向Xに沿った長尺状をなしている。また、各第1カバー17aは、第1被係止部31に係止される第1係止部41と、第2被係止部32に係止される第2係止部42と、第3被係止部33に係止される第3係止部43と、を有している。第1係止部41、第2係止部42及び第3係止部43は、カバー本体部40から高さ方向Zのケース本体16側、すなわち下方に延出している。
【0029】
各第1カバー17aにおいて、第1係止部41は、カバー本体部40の幅方向Yの内側の縁部における、長手方向Xの両端部にそれぞれ形成されている。また、各カバー本体部40において、第2係止部42は、カバー本体部40の幅方向Yの外側の縁部における、長手方向Xの両端部にそれぞれ形成されている。すなわち、各カバー本体部40の長手方向Xの両端部において、第1係止部41と第2係止部42とが、幅方向Yに対向するように設けられている。また、第3係止部43は、例えば、カバー本体部40の長手方向Xの中間部において、カバー本体部40の幅方向Yの両縁部にそれぞれ1つずつ形成されている。第1~第3係止部41~43は、電線挿通部18の開口方向に沿った方向、すなわち、高さ方向Zにおいて、第1~第3被係止部31~33にそれぞれ係止される。これにより、第1カバー17aが電線挿通部18に組み付いている。
【0030】
なお、各第1カバー17aにおいて、第2ケース本体22の第1被係止部31に係止する第1係止部41は、同第1被係止部31に対して長手方向Xに相対移動可能に構成されている。詳しくは、ケース12の長手方向Xにおいて、同第1係止部41と第2ケース本体22の第1被係止部31との間には隙間が設定されている。同様に、各第1カバー17aにおいて、第2ケース本体22の第2被係止部32に係止する第2係止部42は、同第2被係止部32に対して長手方向Xに相対移動可能に構成されている。詳しくは、ケース12の長手方向Xにおいて、同第2係止部42と第2ケース本体22の第2被係止部32との間には隙間が設定されている。これにより、例えば、二次電池BTが熱膨張したときなどに、第1ケース本体21と第2ケース本体22とが長手方向Xにおいて相対的に移動することが許容されている。
【0031】
図1及び図4に示すように、各第2カバー17bは、電線挿通部18の上方を覆うカバー本体部50と、電線挿通部18の第4被係止部34に係止される第4係止部51を有している。カバー本体部50は、例えば、ケース12の長手方向Xに沿った長尺状をなしている。第4係止部51は、カバー本体部50から高さ方向Zのケース本体16側、すなわち下方に延出している。また、第4係止部51は、例えば、カバー本体部50の長手方向Xの中間部において、カバー本体部50の幅方向Yの両縁部にそれぞれ1つずつ形成されている。各第4係止部51は、電線挿通部18の開口方向に沿った方向、すなわち、高さ方向Zにおいて、各第4被係止部34に係止される。これにより、第2カバー17bが電線挿通部18に組み付いている。
【0032】
ここで、図5及び図6に示すように、第1係止部41の延出方向、すなわち高さ方向Zにおける第1係止部41の長さL1は、第2係止部42の延出方向、すなわち高さ方向Zにおける第2係止部42の長さL2よりも長く設定されている。これにより、第1係止部41の延出方向の先端部41a、すなわち下端部が、第2係止部42の下端部よりも下側に位置している。なお、例えば、カバー17に設けられる各第1係止部41の長さL1は互いに同一である。また、例えば、カバー17に設けられる各第2係止部42の長さL2は互いに同一である。
【0033】
図4及び図6に示すように、電線挿通部18における幅方向Yの外側の側壁部25において、第2係止部42が係止される第2被係止部32の下側近傍には、第1規制部61が設けられている。第1規制部61は、側壁部25の外側面から幅方向Yに突出している。
【0034】
第1規制部61は、第2係止部42が第2被係止部32に係止する状態で、第2係止部42に対して高さ方向Zに当接しないように構成されている。一方、第1係止部41を第2被係止部32に係止させようと、第1係止部41を第2被係止部32に対し高さ方向Zの下側に組み付けたとき、第1係止部41が第2被係止部32に係止する前に、第1係止部41の先端部41aが第1規制部61に当接し、それ以上の第1係止部41の変位が第1規制部61によって規制されるようになっている。なお、第1規制部61は、側壁部25の幅方向Yへの倒れを抑制すべく、側壁部25を補強する補強リブとしての役割も果たしている。
【0035】
図5及び図7に示すように、ケース12の長手方向Xにおける第1係止部41の長さL3は、同長手方向Xにおける第3係止部43の長さL4よりも長く設定されている。なお、例えば、カバー17に設けられる各第1係止部41の長さL3は互いに同一である。また、例えば、カバー17に設けられる各第3係止部43の長さL4は互いに同一である。
【0036】
図3に示すように、電線挿通部18の各側壁部24,25において、ケース12の長手方向Xにおける第3係止部43の両側には、第2規制部62がそれぞれ設けられている。第2規制部62は、各側壁部24,25の外側面から幅方向Yに突出している。なお、図7には、側壁部24の第3被係止部33の近傍に設けられた第2規制部62について図示している。
【0037】
図3及び図7に示すように、第2規制部62は、第3係止部43が第3被係止部33に係止する状態で、ケース12の長手方向Xにおいて第3係止部43に当接しない位置に設けられている。一方、第1係止部41を第3被係止部33に係止させようと、第1係止部41を第3被係止部33に対し高さ方向Zの下側に組み付けたとき、第1係止部41が第3被係止部33に係止する前に、第1係止部41が第2規制部62に当接し、それ以上の第1係止部41の変位が第2規制部62によって規制されるようになっている。
【0038】
なお、図6及び図7に示すように、ケース12の長手方向Xにおける第2係止部42の長さL5は、同長手方向Xにおける第3係止部43の長さL4よりも長く設定されている。これにより、第2係止部42を第3被係止部33に係止させようと、第2係止部42を第3被係止部33に対し高さ方向Zの下側に組み付けたとき、第2係止部42が第3被係止部33に係止する前に、第2係止部42が第2規制部62に当接し、それ以上の第2係止部42の変位が第2規制部62によって規制されるようになっている。
【0039】
また、電線挿通部18における幅方向Yの外側の側壁部25に設けられた第2規制部62は、側壁部25の幅方向Yへの倒れを抑制すべく、側壁部25を補強する補強リブとしての役割も果たしている。側壁部25は、各バスバー13に対応する位置に、各電線11をバスバー13側に通すための開口25aを有しているため、側壁部25の剛性の確保が難しい。そこで、側壁部25に設けられる第2規制部62及び第1規制部61に補強リブとしての役割を持たせると、側壁部25の剛性を確保する点で好適である。
【0040】
図4及び図8に示すように、各電線挿通部18の各側壁部24,25において、ケース12の長手方向Xにおける第4被係止部34の一側には、スリット63が設けられている。スリット63は、各側壁部24,25の上端部から高さ方向Zに沿って形成されている。なお、本実施形態では、スリット63は第2ケース本体22に設けられている。
【0041】
一方、第2カバー17bは、第4係止部51の近傍位置において突起部64を有している。突起部64は、カバー本体部50から第4係止部51と同方向、すなわち下方に延出している。また、突起部64は、例えば、カバー本体部50の幅方向Yの両縁部にそれぞれ1つずつ形成されている。第2カバー17bが正しい組付向きで電線挿通部18に組み付けられることで、各突起部64がスリット63に嵌合される。そして、第2カバー17bが正しい組付向きでないと、突起部64が側壁部24,25の上端部に干渉するようになっている。
【0042】
本実施形態の効果について説明する。
(1)ケース本体16は、第1係止部41を第2被係止部32に係止させようとしたときに第1係止部41の延出方向の先端部41aに当接して第1係止部41の組付方向への変位を規制する第1規制部61を有している。この構成によれば、第1カバー17aの第1係止部41を誤ってケース本体16の第2被係止部32に係止させようとしたとき、第1係止部41の先端部41aがケース本体16の第1規制部61に当接することで、第1係止部41が第2被係止部32に係止することを回避することが可能となる。これにより、第1カバー17aの誤組付を抑制することが可能となる。また、第1規制部61は、第1係止部41自体に当接可能な構成である。このため、第1係止部41と第2被係止部32との係止を回避するための部位をカバーに別途設定する必要がなくなり、その結果、第1カバー17aの形状を簡素化することが可能となる。
【0043】
(2)第1カバー17aは、カバー本体部40からケース本体16側に延出し、ケース本体16の第3被係止部33に係止される第3係止部43を有している。電線11の挿通方向に沿った方向、すなわちケース12の長手方向Xにおいて、第1係止部41の長さL3が第3係止部43の長さL4よりも長く設定されている。ケース本体16は、ケース12の長手方向Xにおける第3被係止部33の側方に第2規制部62を有している。そして、第2規制部62は、第1係止部41を第3被係止部33に係止させようとしたときに第1係止部41に当接して第1係止部41の組付方向への変位を規制する。この構成によれば、カバーの第1係止部41を誤ってケース本体16の第3被係止部33に係止させようとしたとき、第1係止部41がケース本体16の第2規制部62に当接することで、第1係止部41が第3被係止部33に係止することを回避することが可能となる。これにより、第1カバー17aの誤組付を更に抑制することが可能となる。また、第2規制部62は、第1係止部41自体に当接可能な構成である。このため、第1係止部41と第3被係止部33との係止を回避するための部位をカバーに別途設定する必要がなくなり、その結果、第1カバー17aの形状を簡素化することが可能となる。
【0044】
(3)電線挿通部18は、底壁部23と、底壁部23から延出する一対の側壁部24,25と、を有している。そして、各側壁部24,25にはスリット63が設けられ、第2カバー17bは、スリット63に嵌合された突起部64を有している。この構成によれば、第2カバー17bを誤った位置や向きで組み付けたときに、第2カバー17bの突起部64がケース本体16の側壁部24,25に当接するように構成することが可能となり、その結果、第2カバー17bの誤組付を抑制することが可能となる。
【0045】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第1係止部41と第1被係止部31の凹凸関係を反対にして、凸状の第1係止部41が凹状の第1被係止部31に係止される構成としてもよい。また、第2係止部42と第2被係止部32の凹凸関係を反対にして、凸状の第2係止部42が凹状の第2被係止部32に係止される構成としてもよい。また、第3係止部43と第3被係止部33の凹凸関係を反対にして、凸状の第3係止部43が凹状の第3被係止部33に係止される構成としてもよい。また、第4係止部51と第4被係止部34の凹凸関係を反対にして、凸状の第4係止部51が凹状の第4被係止部34に係止される構成としてもよい。
【0046】
・ケース12におけるケース本体の数は、上記実施形態に限定されるものではなく、二次電池BTの長手方向Xの大きさなどに応じて、1つ、2つ、または4つ以上としてもよい。
【0047】
・上記実施形態のケース12において、電線挿通部18を覆うカバー17が計6つの第1及び第2カバー17a,17bから構成されるが、カバーの数は上記実施形態に限定されるものではなく、二次電池BTの長手方向Xの大きさなどに応じて適宜変更してもよい。
【0048】
・上記実施形態では、電池セルCの並設方向に沿ったケース12の長手方向Xに沿って電線11が配線される構成としたが、これ以外に例えば、ケース12の幅方向Yに沿って電線11が配線される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 電池配線モジュール
11 電線
12 ケース
13 バスバー
14 第1電線導出部
15 第2電線導出部
16 ケース本体
17 カバー
17a 第1カバー
17b 第2カバー
18 電線挿通部
19 連結部
21 第1ケース本体
22 第2ケース本体
23 底壁部
24 側壁部
25 側壁部
25a 開口
31 第1被係止部
31 被係止部
32 第2被係止部
32 被係止部
33 第3被係止部
33 被係止部
34 第4被係止部
34 被係止部
40 カバー本体部
41 第1係止部
41a 先端部
42 第2係止部
43 第3係止部
50 カバー本体部
51 第4係止部
61 第1規制部(規制部)
62 第2規制部
63 スリット
64 突起部
BT 二次電池
C 電池セル
L1 長さ
L2 長さ
L3 長さ
L4 長さ
L5 長さ
X ケースの長手方向
Y ケースの幅方向
Z ケースの高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8