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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 83/02 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
H01H83/02 D
H01H83/02 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020091178
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021190180
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】永野 義隆
(72)【発明者】
【氏名】濱田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誠
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-012968(JP,A)
【文献】特開平03-233824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 69/00 - 69/01
H01H 71/00 - 83/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過電流が流れると開離される開閉接点と、
前記開閉接点と負荷側端子とを接続する導体と、
前記開閉接点と前記負荷側端子との間に設けられ、前記導体に流れる電流から漏洩電流を検出する零相変流器と、
前記零相変流器の少なくとも一部を覆うように設けられたバリア部と、
前記開閉接点、前記導体、前記零相変流器、及び前記バリア部を収容するベースと前記ベースに被せられたカバーとで構成される筐体と、
を備え、
前記バリア部は、
前記零相変流器と前記負荷側端子との間に設けられた本体部と、
前記本体部の一端から続いて前記零相変流器の前記カバー側の面の少なくとも一部を覆う接続部と、
前記接続部と一体に形成され、前記カバーと前記零相変流器との間の隙間を埋めるように折り曲げられた緩和部と、
を有する遮断器。
【請求項2】
前記バリア部は、
前記本体部の端部に続いて設けられ、前記本体部と対向する前記零相変流器の面の側面の少なくとも一部を覆う支持部と、を有する
請求項1に記載の遮断器。
【請求項3】
前記零相変流器の検出した前記電流の値が、予め定められた値以上であれば、前記開閉接点を開放する信号を出力する制御装置と、
前記制御装置の出力する前記信号を受信すると、前記開閉接点を開放する漏電引外し装置と、
をさらに備える
請求項1又は2に記載の遮断器。
【請求項4】
前記緩和部は、
前記カバー側に向かって凸部になるように折り曲げられている
請求項1から3のいずれか1項に記載の遮断器。
【請求項5】
前記緩和部は、
前記カバーと対向する前記ベースの面に向かって凸部になるように折り曲げられている
請求項1から3のいずれか1項に記載の遮断器。
【請求項6】
前記緩和部は、
前記カバー側に向かって複数の重なりを有する
請求項1から3のいずれか1項に記載の遮断器。
【請求項7】
前記バリア部は、
前記開閉接点側の前記接続部の端部に続いて設けられ、前記零相変流器を挟んで前記本体部と対向する対向部と、
をさらに備え、
前記カバーと対向する前記ベースの面側の前記対向部の端部には、前記本体部側に向かって折れている引っ掛け部が設けられており、
前記引っ掛け部は、前記カバーと対向する前記ベースの面と前記零相変流器との間で前記零相変流器との引っ掛かりを有する
請求項1から6のいずれか1項に記載の遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、零相変流器を覆うように設けるバリア部を備えた遮断器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の相を持つ遮断器には、遮断後に開閉接点付近でアークガスが発生し、アークガスに含まれる導電飛散物が、相間をまたいだ範囲で絶縁壁等に付着していた。その結果、相間での絶縁性が劣化していた。
そこで、従来の遮断器においては、回路遮断機構部と異常電流検出素子との間に、遮蔽壁として、零相変流器を収容する門状のケースを備えた漏電検出ブロックを設けることで、アークガスが異常電流検出素子に付着するのを抑制していた。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6―012966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の遮断器では、遮断器のカバーとケースとの間のスペースを通ってアークガスが回り込んで付着するのをさらに抑制するため、ケースとカバーとの間のスペースを埋めるように、遮蔽壁であるケースとは別部品として蓋体を備える必要があった。また、ケースと蓋体とを組み合わせた隙間にアークガスが入ることもあった。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、遮蔽壁と蓋体とが一体化され、カバーと零相変流器の間の隙間に折り曲げられた緩和部とを有するバリア部を設けることにより、蓋体の部品点数及び蓋体を設ける作業工程を削減し、アークガスの回り込みをより効率的に抑制することが可能となる遮断器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る遮断器は、過電流が流れると開離される開閉接点と、開閉接点と負荷側端子とを接続する導体と、開閉接点と負荷側端子との間に設けられ、導体に流れる電流から漏洩電流を検出する零相変流器と、零相変流器の少なくとも一部を覆うように設けられたバリア部と、開閉接点、導体、零相変流器、及びバリア部を収容するベースとベースに被せられたカバーとで構成される筐体と、を備え、バリア部は、零相変流器と負荷側端子との間に設けられた本体部と、本体部の一端から続いて零相変流器のカバー側の面の少なくとも一部を覆う接続部と、接続部と一体に形成され、カバーと零相変流器との間の隙間を埋めるように折り曲げられた緩和部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる遮断器は、遮蔽壁と蓋体とが一体化され、カバーと零相変流器の間の隙間に折り曲げられた緩和部とを有するバリア部を設けることにより、蓋体の部品点数及び蓋体を設ける作業工程を削減し、アークガスの回り込みをより効率的に抑制することが可能となる遮断器を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る遮断器の外観を示す概略図である。
図2】実施の形態1に係る遮断器の内部構造を表す図である。
図3】実施の形態1に係る遮断器のカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
図4】実施の形態1に係る遮断器の負荷側端子、接合部、導体及びバリア部を示す平面図の例である。
図5】実施の形態1に係る遮断器の負荷側端子と接合部とを接続する導体と、バリア部とを示す側面図である。
図6】実施の形態1に係る遮断器における零相変流器を覆っているバリア部の図の例である。
図7】実施の形態1に係る遮断器が有するバリア部の緩和部の色々なパターンの形状を示した側面図の例である。
図8】実施の形態2に係る遮断器が有するバリア部の図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る遮断器100aの外観を示す概略図の例である。図1に示すように、実施の形態1に係る遮断器100aは、外側を絶縁材料で掲載されたカバー2で覆われている。カバー2に設けられた複数の穴では、漏電引外し装置4、電源側端子6a、及び負荷側端子6bがある場所を示している。本実施の形態に係る遮断器100aは、例えば、漏電遮断器である。
【0010】
図2の左半分は、本実施の形態に係る遮断器100aのカバー2を取り外した状態である、遮断器100aの内部構造を示す図である。図2の右半分は、本実施の形態に係る遮断器100aの外観図であり、下部分は、外観から透視したように内部構造を示している。
【0011】
図3は、本実施の形態に係る遮断器100aの、カバー2を取り外した状態を示す斜視図である。図1図3を用いて、遮断器100aの構造について説明する。
【0012】
図1図3に示すように、遮断器100aは、ベース1とカバー2とを備えており、ベース1とカバー2とが組み合わされて、ベース1を覆うようにカバー2が被せられて筐体を構成する。ベース1は、漏電引外し装置4、開閉接点3、導体5、接合部7、グリッド8、零相変流器9、制御装置10、及びバリア部11aを収容している。また、ベース1及びカバー2は、絶縁材料で形成されている。
【0013】
開閉接点3は、筐体内に構成されており、例えば、3つの相に分かれて電路に流れる電流を各々開閉する。それぞれの開閉接点3は、通電時に開離されることにより、アークガスが発生する。アークガスが発生することで、導電物が飛散する。開閉接点3は、例えば可動接点及び固定接点で構成される。
導体5は、例えば直線状であり、3つの相それぞれに対応して設けられた負荷側端子6bと開閉接点3とを接続する。また、導体5は直線状でなくてもよい。
【0014】
電源側端子6aは、遮断器100aの外部の電源側導体(図示省略)と接続され、ベース1上に設けられている。負荷側端子6bは、遮断器100aの外部の負荷側導体(図示省略)と接続され、ベース1上に設けられている。
それぞれの開閉接点3を通電時開放することにより発生するアークガスを消弧するように設けられている。
【0015】
漏電引外し装置4は、電源側端子6aと負荷側端子6bの間に設けられ、開閉接点3と接続されている。漏電引外し装置4は、漏電時において、開閉接点3を開放することで、遮断器100aを動作させる。
また、過電流を検出した際においては、ベース1に収容された過電流引外し装置が開閉接点3を開放する。
【0016】
零相変流器9は、漏電引外し装置4よりも負荷側端子6b側に備えられている。零相変流器9の電源側は、ベース1とカバー2とが係合しており、各相の直線状の導体5が各相に分離され、電源側端子6aと接続されている。零相変流器9の負荷側は、分離されて設けられた各々の導体5と、それぞれに対応して設けられた負荷側端子6bと接続されている。零相変流器9は、導体5に流れている電流から漏洩電流を検出する。
【0017】
制御装置10は、零相変流器9とベース1との間に配置されている。また、制御装置10が備える電子回路が、漏洩電流の値を予め定めている閾値と比べて、漏電引外し装置4の引外し動作をするか否かを判定する。上記電子回路は、漏洩電流の値が閾値以上であれば、漏電引外し装置4が引外し動作を開始するための引外し信号を、漏電引外し装置4に出力する。漏洩電流の値が閾値よりも小さければ、引き外し信号を出力しない。
漏電引外し装置4は、引外し信号を受信すると、引外し動作を開始して、開閉接点3を開放する。
【0018】
バリア部11aは、ベース1の溝及びリブ等により篏合された零相変流器9の少なくとも一部を覆うように設けられている。バリア部11aは、絶縁性であるシート状の樹脂素材であり、折り曲げた構造を有している。バリア部11aの構造については、後述する。
【0019】
図4は、本実施の形態に係る遮断器100aの負荷側端子6b、接合部7、導体5、及びバリア部11aを示す平面図の例である。導体5は、負荷側端子6bと接合部7とを接続する。
負荷側端子6bは、接合部7を介して漏電引外し装置4に接続される。図4に示す遮断器100aでは、導体5を折り曲げて一箇所に集約し、零相変流器9の電源側端子6a側の面から負荷側端子6b側の面まで空いている孔である貫通部に貫通させている。
【0020】
図5は、本実施の形態に係る遮断器100aの負荷側端子6bと接合部7とを接続する導体5と、バリア部11aとを示す側面図の例である。
【0021】
図6は、本実施の形態に係る遮断器100aにおける零相変流器9を覆っているバリア部11aの例の図である。図6(a)は、バリア部11aの正面図である。図6(b)は、バリア部11aの斜視図である。図6(c)は、バリア部11aの平面図である。図6(d)は、バリア部11aの側面図である。
【0022】
図4図6を用いて、バリア部11aの構造について述べる。
バリア部11aは、シート状の樹脂素材を折り曲げて形成され、緩和部12a、支持部13a、本体部14a、及び接続部15aで構成されている。図6(a)(b)で表すように、バリア部11aは、本体部14aの中心部に空間を有している。空間は、導体5が通るための逃がし形状の孔形状である。
【0023】
本体部14aは、負荷側端子6bと零相変流器9との間に設けられている。
接続部15aは、本体部14aの一端から続いて零相変流器9のカバー2側の面の少なくとも一部を覆っている。
緩和部12aは、接続部15aに設けられ、カバー2と零相変流器9との間の隙間を埋めるように折り曲げられている。
支持部13aは、本体部14aと対向する零相変流器9の面の側面の少なくとも一部を覆っている。
【0024】
緩和部12aは、蛇腹状に折り目が付けられた折り曲げ形状となっていることで、ばね性を有している。カバー2は、緩和部12aを介して零相変流器9を抑えることで、零相変流器9を支えている。本実施の形態に係るバリア部11aの緩和部12aは、カバー2側に向かって凸部になるように折り曲げられている。
【0025】
支持部13aは、シート状の樹脂素材が曲げられて形成されることで、ばね性を有している。本実施の形態では、一方の支持部13aは、本体部14aと対向する零相変流器9の面の一方の側面と、その一方の側面と対向するベース1の面との間に設けられている。もう一方の支持部13aは、零相変流器9のもう一方の側面と制御装置10との間に設けられている。
【0026】
バリア部11aは、緩和部12aにカバー2を押し付けることで、カバー2と零相変流器9との隙間を塞ぐことができ、アークガスが負荷側端子6b側に侵入するのを抑制する。
【0027】
ここで、アークガスの発生時のバリア部11aの動作及びその効果について説明する。
発生するアークガスの圧力を受けると、緩和部12aは、零相変流器9と、カバー2との隙間を埋めるように、広がる。その結果、アークガスに含まれる導電飛散物の負荷側端子6bへの回り込みを抑制できる。
同様に、一方の支持部13aは、零相変流器9の一方の側面と、ベース1との隙間を埋めるように広がる。もう一方の支持部13aは、零相変流器9のもう一方の側面と制御装置10との隙間を埋めるように広がる。その結果、零相変流器9の左右からのアークガスに含まれる導電飛散物の回り込みを抑制できる。
【0028】
図7は、本実施の形態に係る遮断器100aが有するバリア部11aの緩和部12aの色々なパターンの形状を示した側面図の例である。
図7(a)~(d)のパターンは例であり、カバー2と零相変流器9との間の隙間を埋めるような折り曲げ形状となっていれば、その他のパターンの形状であってもよい。
【0029】
図7(a)では、緩和部12aは、中央部分が、カバー2と対向するベース1の面に向かって凸部になるように折り曲げられている。図7(a)の凸部は例えば、断面形状で三角形に形成される。
図7(b)では、緩和部12aは、カバー2側に向かって複数の重なりとして、例えば2重の重なりを有するように折り曲げられている。
図7(c)では、緩和部12aは、電源側端子6a側が、負荷側端子6b側よりも凹むように折り曲げられている。
図7(d)では、緩和部12aは、中央部分が、ベース1側に向かって凸部になるように折り曲げられている。図7(d)の部は例えば、断面形状で四角形に形成される。なお、図7(a)(d)の凸部の断面形状は、上述した三角形又は四角形に限らず、いずれの形状であってもよい。
【0030】
バリア部11a、ベース1、カバー2、零相変流器9、及び制御装置10により、負荷側端子6b側の相間への隙間を埋め、アークガスの流体抵抗を増し気密性を高めることで、アークガスの侵入を抑制する。
【0031】
本実施の形態では、折り曲げられた緩和部12aを有するバリア部11aを設けることにより、カバー2と零相変流器9との間のスペースを埋めることができる。したがって、新たに蓋体の部品を設ける必要がないため、部品点数及び作業工程が削減され、組み立て性を向上させることができる。
【0032】
また、バリア部11aが一体となっており隙間がないため、アークガスが隙間に入ることがなく、より効率的にアークガスの付着を抑制することができる。
さらに、部品点数及び作業工程が削減されることで、コストが削減できる。
【0033】
ベース1上に設けられた零相変流器9を覆うように設けられたバリア部11a及びベース1によって、零相変流器9の負荷側は開閉接点3側と空間的に分離されている。その結果、遮断時のアークガスに含まれる導電飛散物が零相変流器9の負荷側端子6b側へ伝播しにくく、相間の絶縁性劣化を抑制することができる。
【0034】
本実施の形態では、カバー2が緩和部12aを介して零相変流器9を固定できるため、カバー2で零相変流器9を直接押さえることによる衝撃を吸収するために、カバー2側の零相変流器9の面に設けていた吸収体を設ける必要がなくなる。したがって、作業工程及び部品点数の減少を図ることができる。また、吸収体を設けることで生じる吸収体の隙間もなくなり、導電飛散物の回り込みを抑制することができる。
【0035】
また、遮断器100aの製造工程では、零相変流器9と負荷側端子6bとの間にバリア部11aを設けるという変更であるため、設備改修費用もわずかで実現ができる。
【0036】
また、相間の絶縁性劣化を抑制するために、相間にベース1とは別体の遮蔽壁を設ける必要が無く、バリア部11aだけでよいことから、作業工程及び部品点数を削減でき、組み立て性が向上する。
【0037】
また、カバー2は、バリア部11aの緩和部12aを抑えることで、零相変流器9を固定しているため、零相変流器9が振動することによる異音の発生も抑制できる。
【0038】
また、遮断器100aの例として、本実施の形では漏電遮断器について述べたが、その他の例として、漏電を検出して使用者に報知する機能を有する遮断器といったものでもよい。
【0039】
実施の形態2.
実施の形態1と実施の形態2との相違点は、バリア部の形状の違いである。実施の形態1では、バリア部は、本体部、支持部、接続部及び緩和部で構成されていたが、実施の形態2では、本体部、支持部、接続部、緩和部及び対向部で構成されている。
なお、以下では、実施の形態1との相違点のみ説明し、同一又は、対応する部分についての説明は省略する。符号についても、実施の形態1と同一又は相当部分は同一符号とし、説明を省略する。
【0040】
図8は、本実施の形態に係る遮断器100bの有するバリア部11bの図の例である。
バリア部11bは、本体部14b、支持部13b、接続部15b、緩和部12b及び対向部16bで構成されている。
【0041】
対向部16bは、開閉接点3側の接続部15bの端部から続いて設けられ、零相変流器9を挟んで本体部14bと対向している。対向部16bは、本体部14bと同様に、中心部に空間を有しており、導体5を通している。
また、カバー2と対向するベース1の面側の対向部16bの端部には、本体部14b側に向かって折れている引っ掛け部17bが設けられている。このとき、引っ掛け部17bは、カバー2と対向するベースの面と零相変流器9との間で零相変流器9との引っ掛かりを有するように設けられる。
【0042】
したがって、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、バリア部11bが、カバー2と零相変流器9の隙間をなくすことで、カバー2と零相変流器9との間のスペースを埋めることができる。その結果、新たに蓋体の部品を設ける必要がないため、部品点数及び作業工程が削減され、組み立て性を向上させることができる。
【0043】
また、バリア部11bが一体となっており隙間がないため、アークガスが隙間に入ることがなく、より効率的にアークガスの付着を抑制することができる。
さらに、部品点数及び作業工程が削減されることで、コストが削減できる。
【0044】
本実施の形態では、カバー2が緩和部12bを介して零相変流器9を固定できるため、カバー2で零相変流器9を直接押さえることによる衝撃を吸収するために、カバー2側の零相変流器9の面に設けていた吸収体を設ける必要がなくなる。したがって、作業工程及び部品点数の減少を図ることができる。また、吸収体を設けることで生じる吸収体の隙間もなくなり、導電飛散物の回り込みを抑制することができる。
【0045】
また、遮断器100bの製造工程では、零相変流器9と負荷側端子6bとの間にバリア部11bを設ける工程であるため、設備改修費用もわずかで実現ができる。
【0046】
また、相間の絶縁性劣化を抑制するために、相間にベース1とは別体の遮蔽壁を設ける必要が無く、バリア部11aだけでよいことから、作業工程及び部品点数を削減でき、組み立て性が向上する。
【0047】
また、カバー2がバリア部11bの緩和部12bを抑えることで、零相変流器9を固定しているため、零相変流器9が振動することによる異音の発生も抑制できる。
【0048】
本実施の形態では、対向部16bを設けることで、発生するアークガスによる導体飛散物が、負荷側端子6bだけでなく、零相変流器9にも付着することをさらに抑制することができる。
【0049】
また、引っ掛け部17bをカバー2と対向するベース1の面と零相変流器9との間で零相変流器9との引っ掛かりを有するように設けることで、アークガスの発生する勢いによるバリア部11bの浮き上がりを抑制することができる。また、零相変流器9とベース1との間に、対向部16bの端部を設けることで、組み込み性が向上する。
【0050】
なお、本開示は、その開示の範囲内において、各実施の形態を適宜、変形、省略すること、及び別公知の技術と組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 ベース
2 カバー
3 開閉接点
4 漏電引外し装置
5 導体
6a 電源側端子
6b 負荷側端子
7 接合部
8 グリッド
9 零相変流器
10 制御装置
11a,11b バリア部
12a,12b 緩和部
13a,13b 支持部
14a,14b 本体部
15a,15b 接続部
16b 対向部
17b 引っ掛け部
100a,100b 遮断器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8