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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】送風機器
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20231212BHJP
   B60H 3/06 20060101ALI20231212BHJP
   F04D 29/62 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B60H1/00 102F
B60H3/06 611B
B60H1/00 102P
F04D29/62 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020094105
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021187286
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 謙一郎
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-135137(JP,A)
【文献】特開2019-025941(JP,A)
【文献】特開2018-118722(JP,A)
【文献】特開平08-215528(JP,A)
【文献】特開2019-199190(JP,A)
【文献】特開2019-077238(JP,A)
【文献】特開2019-206205(JP,A)
【文献】特開2018-079918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
B60H 3/06
F04D 29/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線(S)を中心として回転して、軸線方向の一方側から空気を吸い込んで前記軸線を中心とする径方向の外側に前記空気を吹き出す遠心ファン(32)を備える遠心送風機(30)と、
前記遠心ファンに対して前記軸線方向の他方側に配置されている空気流ガイド部(50、60、34、24)と、
前記遠心ファンを収納して、前記軸線方向の他方側に空気流を流通させるケーシング(20)と、を備え、
前記遠心ファンから吹き出される前記空気流は、
前記遠心ファンから吹き出された後に前記軸線方向の他方側に曲げられて前記軸線方向の他方側に流れる第1空気流(K1)と、
前記遠心ファンから吹き出された後に前記軸線方向の他方側に曲げられ、その後前記径方向の内側に曲げられる第2空気流(K2)と、を含んでおり、
前記遠心ファンから前記第1空気流が吹き出されてから前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の他方側を前記第1空気流が流れる迄に前記第1空気流に生じる圧力損失を第1圧力損失とし、
前記遠心ファンから前記第2空気流が吹き出されてから前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の他方側を前記第2空気流が流れる迄に前記第2空気流に生じる圧力損失を第2圧力損失とし、
前記第2圧力損失を前記第1圧力損失で除算した除算値を第1圧力損失比とし、
前記遠心ファンから前記第1空気流が吹き出されてから前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の一方側を前記第1空気流が流れる迄に前記第1空気流に生じる圧力損失を第3圧力損失とし、
前記遠心ファンから前記第2空気流が吹き出されてから前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の一方側を前記第2空気流が流れる迄に前記第2空気流に生じる圧力損失を第4圧力損失とし、
前記第4圧力損失を前記第3圧力損失で除算した前記除算値を第2圧力損失比としたとき、
前記空気流ガイド部は、前記第1圧力損失比を前記第2圧力損失比に比べて小さくし、
前記遠心送風機は、
前記遠心ファンに対して前記軸線方向の他方側に配置されて前記遠心ファンを回転させるブロワモータ(33)と、
前記ブロワモータを前記軸線方向の他方側から覆うように形成されているブロワモータカバー(34)と、を備え、
前記ブロワモータカバー(34)は、前記第2空気流を前記径方向の内側にコアンダ効果によって案内する前記空気流ガイド部を構成する送風機器。
【請求項2】
軸線(S)を中心として回転して、軸線方向の一方側から空気を吸い込んで前記軸線を中心とする径方向の外側に前記空気を吹き出す遠心ファン(32)を備える遠心送風機(30)と、
前記遠心ファンに対して前記軸線方向の他方側に配置されている空気流ガイド部(50、60、34、24)と、
前記遠心ファンを収納して、前記軸線方向の他方側に空気流を流通させるケーシング(20)と、を備え、
前記遠心ファンから吹き出される前記空気流は、
前記遠心ファンから吹き出された後に前記軸線方向の他方側に曲げられて前記軸線方向の他方側に流れる第1空気流(K1)と、
前記遠心ファンから吹き出された後に前記軸線方向の他方側に曲げられ、その後前記径方向の内側に曲げられる第2空気流(K2)と、を含んでおり、
前記遠心ファンから前記第1空気流が吹き出されてから前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の他方側を前記第1空気流が流れる迄に前記第1空気流に生じる圧力損失を第1圧力損失とし、
前記遠心ファンから前記第2空気流が吹き出されてから前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の他方側を前記第2空気流が流れる迄に前記第2空気流に生じる圧力損失を第2圧力損失とし、
前記第2圧力損失を前記第1圧力損失で除算した除算値を第1圧力損失比とし、
前記遠心ファンから前記第1空気流が吹き出されてから前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の一方側を前記第1空気流が流れる迄に前記第1空気流に生じる圧力損失を第3圧力損失とし、
前記遠心ファンから前記第2空気流が吹き出されてから前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の一方側を前記第2空気流が流れる迄に前記第2空気流に生じる圧力損失を第4圧力損失とし、
前記第4圧力損失を前記第3圧力損失で除算した前記除算値を第2圧力損失比としたとき、
前記空気流ガイド部は、前記第1圧力損失比を前記第2圧力損失比に比べて小さくし、
前記空気流ガイド部は、前記第1空気流が前記軸線方向の他方側に流れることを妨げて前記第1空気流に前記圧力損失を生じさせる板面(61a)を備える板部材である送風機器。
【請求項3】
軸線(S)を中心として回転して、軸線方向の一方側から空気を吸い込んで前記軸線を中心とする径方向の外側に前記空気を吹き出す遠心ファン(32)を備える遠心送風機(30)と、
前記遠心ファンに対して前記軸線方向の他方側に配置されている空気流ガイド部(50、60、34、24)と、
前記遠心ファンを収納して、前記軸線方向の他方側に空気流を流通させるケーシング(20)と、を備え、
前記遠心ファンから吹き出される前記空気流は、
前記遠心ファンから吹き出された後に前記軸線方向の他方側に曲げられて前記軸線方向の他方側に流れる第1空気流(K1)と、
前記遠心ファンから吹き出された後に前記軸線方向の他方側に曲げられ、その後前記径方向の内側に曲げられる第2空気流(K2)と、を含んでおり、
前記遠心ファンから前記第1空気流が吹き出されてから前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の他方側を前記第1空気流が流れる迄に前記第1空気流に生じる圧力損失を第1圧力損失とし、
前記遠心ファンから前記第2空気流が吹き出されてから前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の他方側を前記第2空気流が流れる迄に前記第2空気流に生じる圧力損失を第2圧力損失とし、
前記第2圧力損失を前記第1圧力損失で除算した除算値を第1圧力損失比とし、
前記遠心ファンから前記第1空気流が吹き出されてから前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の一方側を前記第1空気流が流れる迄に前記第1空気流に生じる圧力損失を第3圧力損失とし、
前記遠心ファンから前記第2空気流が吹き出されてから前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の一方側を前記第2空気流が流れる迄に前記第2空気流に生じる圧力損失を第4圧力損失とし、
前記第4圧力損失を前記第3圧力損失で除算した前記除算値を第2圧力損失比としたとき、
前記空気流ガイド部は、前記第1圧力損失比を前記第2圧力損失比に比べて小さくし、
前記空気流ガイド部は、前記第2空気流を前記径方向の内側に案内する板面(61b)を備える板部材である送風機器。
【請求項4】
軸線(S)を中心として回転して、軸線方向の一方側から空気を吸い込んで前記軸線を中心とする径方向の外側に前記空気を吹き出す遠心ファン(32)を備える遠心送風機(30)と、
前記遠心ファンに対して前記軸線方向の他方側に配置されている空気流ガイド部(50、60、34、24)と、
前記遠心ファンを収納して、前記軸線方向の他方側に空気流を流通させるケーシング(20)と、を備え、
前記遠心ファンから吹き出される前記空気流は、
前記遠心ファンから吹き出された後に前記軸線方向の他方側に曲げられて前記軸線方向の他方側に流れる第1空気流(K1)と、
前記遠心ファンから吹き出された後に前記軸線方向の他方側に曲げられ、その後前記径方向の内側に曲げられる第2空気流(K2)と、を含んでおり、
前記遠心ファンから前記第1空気流が吹き出されてから前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の他方側を前記第1空気流が流れる迄に前記第1空気流に生じる圧力損失を第1圧力損失とし、
前記遠心ファンから前記第2空気流が吹き出されてから前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の他方側を前記第2空気流が流れる迄に前記第2空気流に生じる圧力損失を第2圧力損失とし、
前記第2圧力損失を前記第1圧力損失で除算した除算値を第1圧力損失比とし、
前記遠心ファンから前記第1空気流が吹き出されてから前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の一方側を前記第1空気流が流れる迄に前記第1空気流に生じる圧力損失を第3圧力損失とし、
前記遠心ファンから前記第2空気流が吹き出されてから前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の一方側を前記第2空気流が流れる迄に前記第2空気流に生じる圧力損失を第4圧力損失とし、
前記第4圧力損失を前記第3圧力損失で除算した前記除算値を第2圧力損失比としたとき、
前記空気流ガイド部は、前記第1圧力損失比を前記第2圧力損失比に比べて小さくし、
前記ケーシングは、前記第1空気流が前記軸線方向の他方側に流れることを妨げて前記第1空気流に前記圧力損失を生じさせる前記空気流ガイド部(24)を構成する送風機器。
【請求項5】
前記ケーシングに収納されて、かつ前記空気流ガイド部に対して前記軸線方向の他方側に配置され、前記空気流ガイド部を通過した前記第1空気流および前記第2空気流を冷却する冷却用熱交換器(40)を備える請求項1ないしのいずれかに記載の送風機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用空調装置のケーシング内において、遠心ファン、および冷却用熱交換器が配置されているものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
車両用空調装置では、遠心ファンが軸線方向一方側から吸い込んだ空気流を径方向外側に吹き出す。冷却用熱交換器は、遠心ファンに対して軸線方向の他方側に配置されている。冷却用熱交換器は、遠心ファンから吹き出される空気流冷媒によって冷却する。このため、冷却用熱交換器から冷風を吹き出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公報20190021707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、上述の特許文献1の車両用空調装置において、遠心ファンから吹き出される空気流の風速分布について検討した。
【0006】
遠心ファンから吹き出される空気流の一部は、冷却用熱交換器の空気流入面のうち端部側に流入される。遠心ファンから吹き出される空気流うち空気流入面の端部側に流入される空気流を除いた空気流の一部は、冷却用熱交換器の空気流入面のうち中央部側に流入される。
【0007】
以下、説明の便宜上、遠心ファンから吹き出される空気流うち、冷却用熱交換器の空気流入面の端部側に流入される空気流を第1空気流という。遠心ファンから吹き出される空気流うち冷却用熱交換器の空気流入面の中央部側に流入される空気流を第2空気流という。
【0008】
本発明者の検討によれば、第1空気流は、遠心ファンから吹き出された後に軸線方向他方側に曲げられてそのまま軸線方向他方側に流入される。第2空気流は、遠心ファンから吹き出された後に軸線方向他方側に曲げられた後に径方向内側に曲げられて、更にその後軸線方向他方側に曲げられて軸線方向他方側に流入される。
【0009】
このため、第1空気流は、遠心ファンから吹き出された後に1回だけ曲げられて軸線方向他方側に流入される。これに対して、第2空気流は、遠心ファンから吹き出された後に3回曲げられて軸線方向他方側に流入される。
【0010】
したがって、第2空気流は、第1空気流に比べて、通風圧損が大きくなる。このため、
第1空気流の送風量は、第2空気流の送風量に比べて、大きくなる。これにより、遠心ファンから吹き出される空気流の風速分布に偏りが生じる。
【0011】
このような空気流の風速分布の偏りの問題は、ケーシング内に冷却用熱交換器が配置されてない送風機器にも生じる。
【0012】
本発明は上記点に鑑みて、遠心ファンから吹き出される空気流の風速分布に偏りが生じることを抑えるようにした送風機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、軸線(S)を中心として回転して、軸線方向の一方側から空気を吸い込んで軸線を中心とする径方向の外側に空気を吹き出す遠心ファン(32)を備える遠心送風機(30)と、
遠心ファンに対して軸線方向の他方側に配置されている空気流ガイド部(50、60、34、24)と、
遠心ファン、および空気流ガイド部を収納して、軸線方向の他方側に空気流を流通させるケーシング(20)と、を備え、
遠心ファンから吹き出される空気流は、
遠心ファンから吹き出された後に軸線方向の他方側に曲げられて軸線方向の他方側に流れる第1空気流(K1)と、
遠心ファンから吹き出された後に軸線方向の他方側に曲げられ、その後径方向の内側に曲げられる第2空気流(K2)と、を含んでおり、
遠心ファンから第1空気流が吹き出されてから空気流ガイド部に対して軸線方向の他方側を第1空気流が流れる迄に第1空気流に生じる圧力損失を第1圧力損失とし、
遠心ファンから第2空気流が吹き出されてから空気流ガイド部に対して軸線方向の他方側を第2空気流が流れる迄に第2空気流に生じる圧力損失を第2圧力損失とし、
第2圧力損失を第1圧力損失で除算した除算値を第1圧力損失比とし、
遠心ファンから第1空気流が吹き出されてから空気流ガイド部に対して軸線方向の一方側を第1空気流が流れる迄に第1空気流に生じる圧力損失を第3圧力損失とし、
遠心ファンから第2空気流が吹き出されてから空気流ガイド部に対して軸線方向の一方側を第2空気流が流れる迄に第2空気流に生じる圧力損失を第4圧力損失とし、
第4圧力損失を第3圧力損失で除算した除算値を第2圧力損失比としたとき、
空気流ガイド部は、第1圧力損失比を第2圧力損失比に比べて小さくし、
遠心送風機は、
遠心ファンに対して軸線方向の他方側に配置されて遠心ファンを回転させるブロワモータ(33)と、
ブロワモータを軸線方向の他方側から覆うように形成されているブロワモータカバー(34)と、を備え、
ブロワモータカバー(34)は、第2空気流を径方向の内側にコアンダ効果によって案内する空気流ガイド部を構成する。
【0014】
したがって、空気流ガイド部を設けない場合に比べて、第1空気流の風速と第2空気流の風速の差を小さくすることができるので、遠心ファンから吹き出される空気流の風速分布に偏りが生じることを抑えるようにした送風機器を提供することができる。
【0015】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態における室内空調ユニットの断面構成を示す断面図である。
図2図1の第1実施形態における室内空調ユニットにおいて空気流の流れを示す断面図である。
図3】対比例における室内空調ユニットの断面構成を示す断面図である。
図4】本発明の第2実施形態における室内空調ユニットの断面構成を示す断面図である。
図5図4の第2実施形態における室内空調ユニットの内部構成を天地方向上側から視た図である。
図6図4の第2実施形態における室内空調ユニットのフィルタを軸線方向一方側から視た正面図である。
図7】本発明の第3実施形態における室内空調ユニットの断面構成を示す断面図である。
図8図7の第3実施形態における室内空調ユニット内のリブ部材の板面を示す図である。
図9図8中IX-IX断面図である。
図10】本発明の第4実施形態における室内空調ユニットの断面構成を示す断面図である。
図11】本発明の第5実施形態における室内空調ユニットの断面構成を示す断面図である。
図12】本発明の第6実施形態における室内空調ユニットの断面構成を示す断面図である。
図13図12の第6実施形態における室内空調ユニットの内部構成を天地方向上側から視た図である。
図14】本発明の第7実施形態における室内空調ユニットの断面構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0018】
(第1実施形態)
図1図2に本第1実施形態の車両用空調装置の室内空調ユニット10の全体構成を示す。本実施形態の室内空調ユニット10は、車室内のうちインストルメントパネルに対して車両進行方向前側に配置されている。
【0019】
室内空調ユニット10は、空調ケーシング20、遠心送風機30、冷却用熱交換器40、およびフィルタ50を備える。空調ケーシング20は、樹脂材料によって、空気入口21、空気流路22、および空気出口23を形成する。
【0020】
空気入口21は、車室内、或いは車室外から空気流路22に空気流を流入させる。空気流路22は、空気入口21から空気出口23に向けて流通させる。空気出口23は、空気流路22からの空気流を車室内に吹き出す。
【0021】
遠心送風機30は、空調ケーシング20内に配置されている。遠心送風機30は、遠心ファン31、ブロワケーシング32を備える。
【0022】
遠心ファン31は、軸線Sを中心として回転して、ブロワケーシング32の空気入口32aを通して軸線方向一方側から空気流を吸い込んで軸線Sを中心とする径方向外側に空気流を空気出口32b、32cを通して吹き出す。遠心ファン31は、図示しない電動モータによって回転駆動される。
【0023】
ブロワケーシング32は、遠心ファン31を軸線方向一方側および軸線方向他方側から覆うように形成されている。本実施形態では、軸線方向は、軸線Sが延びる方向である。軸線方向は、水平方向に平行になっている。
【0024】
ブロワケーシング32は、遠心ファン31に対して軸線方向一方側に開口する空気入口32aと、遠心ファン31に対して軸線Sを中心とする径方向外側に開口する空気出口32b、32cを形成する。空気出口32bは、遠心ファン31に対して天地方向上側に配置されている。空気出口32cは、遠心ファン31に対して天地方向下側に配置されている。
【0025】
冷却用熱交換器40は、空調ケーシング20内に配置されている。冷却用熱交換器40は、遠心送風機30に対して軸線方向他方側に配置されている。冷却用熱交換器40は、遠心ファン31から吹き出される空気流が流入される空気流入面41が形成されている。
【0026】
空気流入面41は、軸線方向に直交するように形成されている。空気流入面41のうち中央部側に軸線Sが貫通するように形成されている。
【0027】
冷却用熱交換器40は、圧縮機、放熱器、減圧器とともに冷媒を循環させる冷凍サイクルを構成し、空気流入面41に流入される空気流を冷媒によって冷却する。このことにより、冷却用熱交換器40から冷風が吹き出されることになる。
【0028】
フィルタ50は、空調ケーシング20内において遠心送風機30および冷却用熱交換器40の間に配置されている。フィルタ50は、遠心送風機30から冷却用熱交換器40に向けて吹き出される空気流を濾過して塵等を除去する。
【0029】
本実施形態のフィルタ50は、軸線方向に直交する面方向に亘って圧力損失が均一になっている。フィルタ50は、後述するように、冷却用熱交換器を通過する空気流の風速分布の均一化を図る機能を果たす。
【0030】
次に、本実施形態の室内空調ユニット10の作動について説明する。
【0031】
まず、ブロワケーシング32が軸線Sを中心として遠心ファン31を回転させる。このため、遠心ファン31が空気入口32aを通して軸線方向一方側から空気流を吸い込んで
空気出口32b、32cを通して軸線Sを中心とする径方向外側に吹き出す。
【0032】
このように空気出口32b、32cから吹き出される空気流は、フィルタ50を通して、冷却用熱交換器40の空気流入面41に流入される。冷却用熱交換器40は、空気流入面41に流入される空気流を冷媒によって冷却して冷風を吹き出す。冷風は、空気出口23から車室内に吹き出される。
【0033】
ここで、フィルタ50は、冷却用熱交換器40を通過する空気流の風速分布の均一化を図る機能を果たす。以下、フィルタ50による風速分布の均一化の詳細について図2図3を参照して説明する
図2は、本実施形態の室内空調ユニット10において、遠心ファン31から吹き出されてからフィルタ50および冷却用熱交換器40を通過する空気流の通風経路を示す。図3は、対比例の室内空調ユニット10Aにおいて、遠心ファン31から吹き出されてから冷却用熱交換器40を通過する空気流の通風経路を示す。対比例の室内空調ユニット10Aは、本実施形態の室内空調ユニット10からフィルタ50を削除した構成になっている。
【0034】
遠心ファン31から空気出口32b、32cを通して吹き出される空気流は、冷却用熱交換器40の空気流入面41のうち中央部側に流入される空気流K1と、冷却用熱交換器40の空気流入面41のうち中央部側に流入される空気流K2とを含んでいる。
【0035】
空気流K1は、遠心ファン31から空気出口32b、32cを通して吹き出された後に軸線方向他方側に曲げられてそのまま冷却用熱交換器40の空気流入面41に流入される第1空気流である。
【0036】
空気流K2は、遠心ファン31から空気出口32b、32cを通して吹き出された後に、軸線方向他方側に曲げられて、その後径方向内側に曲げられ、更にその後軸線方向他方側に曲げられて冷却用熱交換器の空気流入面41に流入される第2空気流である。
【0037】
このため、空気流K1は、遠心ファン31から吹き出された後に、一回だけ曲げられて冷却用熱交換器40の空気流入面41に流入される。これに対して、第2空気流は、遠心ファン31から吹き出された後に、3回曲げられて、冷却用熱交換器40の空気流入面41に流入される。
【0038】
ここで、空気流K1、空気流K2が、通風経路において曲がる毎に生じる圧力損失をR1とする。空気流K1、空気流K2が、冷却用熱交換器40を通過する際に生じる圧力損失をR2とする。空気流K1、空気流K2がフィルタ50を通過する際に生じる圧力損失をR3とする。
【0039】
図3に示す、フィルタ50が設けられていない対比例の室内空調ユニット10Aにおいて、遠心ファン31から吹き出されて冷却用熱交換器40を通過した空気流K1に生じる圧力損失AG1は、数式1で表される。
【0040】
AG1=R1+R2・・・・(数式1)
対比例の室内空調ユニット10Aにおいて、遠心ファン31から吹き出されて冷却用熱交換器40を通過した空気流K2に生じる圧力損失AG2は、数式2で表される。
【0041】
AG2=R1×3+R2・・・・(数式2)
本実施形態の室内空調ユニット10において、遠心ファン31から吹き出されて冷却用熱交換器40を通過した空気流K1に生じる圧力損失AS1は、数式3で表される。
【0042】
AS1=R1+R2+R3・・・・(数式3)
本実施形態の室内空調ユニット10において、遠心ファン31から吹き出されて冷却用熱交換器40を通過した空気流K2に生じる圧力損失AS2は、数式4で表される。
【0043】
AS2=R1×3+R2+R3・・・・(数式4)
対比例の室内空調ユニット10Aにおいて、圧力損失AG2を圧力損失AG1を除算した圧力損失比であるAG2/AG1は、数式5で表される。
【0044】
AG2/AG1=(R1×3+R2)/(R1+R2)・・・・(数式5)
本実施形態の室内空調ユニット10において、圧力損失AS2を圧力損失AS1を除算した圧力損失比であるAS2/AS1は、数式5で表される。
【0045】
AS2/AS1=(R1×3+R2+R3)/(R1+R2+R3)・・・・(数式6)
次に、(AG2/AG1)と(AS2/AS1)との大きさを比較するために、(AG2/AG1)から(AS2/AS1)を引いた差分であるΔAを数式7に示す。
ΔA=(R1×3+R2)/(R1+R2)-(R1×3+R2+R3)/(R1+R2+R3)=(2×R1×R3)/{(R1+R2)(R1+R2+R3)}・・・・(数式7)
ここで、数式7中の分子である(2×R1×R3)は、(2×R1×R3)>0が成立する。数式7中の分子である(R1+R2)(R1+R2+R3)は、(R1+R2)(R1+R2+R3)>0が成立する。
【0046】
このため、(2×R1×R3)/{(R1+R2)(R1+R2+R3)}>0が成立する。したがって、(AG2/AG1)から(AS2/AS1)を引いた差分ΔAが零よりも大きくなる。
【0047】
すなわち、対比例の圧力損失比であるAG2/AG1は、本実施形態の圧力損失比であるAS2/AS1よりも常に大きくなる。すなわち、フィルタ50は、の圧力損失R3によって、対比例の圧力損失比であるAG2/AG1に比べて、本実施形態の圧力損失比であるAS2/AS1を小さくすることができる。
【0048】
このような本実施形態の圧力損失比を小さくする効果は、フィルタ50の圧力損失R3が大きいほど効果的になる。
【0049】
このように、対比例の圧力損失比に比べて、本実施形態の圧力損失比を小さくすることができる。
【0050】
さらに、本実施形態では、遠心ファン31から空気流K1が吹き出されてからフィルタ50に対して軸線方向の他方側を空気流K1が流れる迄に空気流K1に生じる圧力損失を圧力損失XA1(すなわち、第1圧力損失)とする。圧力損失XA1は、(R1+R3)となる。
【0051】
本実施形態では、遠心ファン31から空気流K2が吹き出されてからフィルタ50に対して軸線方向の他方側を空気流K2が流れる迄に空気流K2に生じる圧力損失を圧力損失XA2(すなわち、第2圧力損失)とする。圧力損失XA2は、(R1×3+R3)となる。
【0052】
ここで、圧力損失XA2を圧力損失XA1で除算した第1圧力損失比である圧力損失比(XA2/XA1)は、(R1×3+R3)/(R1+R3)となる。
【0053】
さらに、本実施形態では、遠心ファン31から空気流K1が吹き出されてからフィルタ50に対して軸線方向の一方側を空気流K1が流れる迄に空気流K1に生じる圧力損失を圧力損失XB1(すなわち、第3圧力損失)とする。圧力損失YB1は、R1となる。
【0054】
本実施形態では、遠心ファン31から空気流K2が吹き出されてからフィルタ50に対して軸線方向の一方側を空気流K2が流れる迄に空気流K2に生じる圧力損失を圧力損失XB2(すなわち、第4圧力損失)とする。圧力損失XB2は、(R1×3)となる。
【0055】
ここで、圧力損失XB2を圧力損失XB1で除算した第2圧力損失比である圧力損失比(XB2/XB1)は、(R1×3)/(R1)となる。
【0056】
更に本実施形態では、フィルタ50の圧力損失R3によって、(R1×3+R3)/(R1+R3)は、(R1×3)/(R1)に比べて小さくなる。このため、圧力損失比(XA2/XA1)は、圧力損失比(XB2/XB1)に比べて小さくなる。
【0057】
以上説明した本実施形態では、室内空調ユニット10は、軸線Sを中心として回転して、軸線方向の一方側から空気流を吸い込んで軸線を中心とする径方向の外側に空気流を吹き出す遠心ファン31を備える遠心送風機30を備える。
【0058】
室内空調ユニット10は、遠心ファン31に対して軸線方向の他方側に配置されている空気流ガイド部としてのフィルタ50と、遠心ファン31、およびフィルタ50を収納して、軸線方向の他方側に空気流を流通させるケーシング20とを備える。遠心ファン31から吹き出される空気流は、空気流K1と空気流K2とを含んでいる。
【0059】
空気流K1は、遠心ファン31から吹き出された後に軸線方向の他方側に曲げられて軸線方向の他方側に流れる第1空気流である。空気流K2は、遠心ファン31から吹き出された後に軸線方向の他方側に曲げられ、その後径方向の内側に曲げられ、更にその後軸線方向の他方側に曲げられて軸線方向の他方側に流れる第2空気流である。
【0060】
遠心ファン31から空気流K1が吹き出されてからフィルタ50に対して軸線方向他方側を空気流K1が流れる迄に空気流K1に生じる圧力損失を圧力損失YA1とする。
【0061】
遠心ファン31から空気流K2が吹き出されてからフィルタ50に対して軸線方向他方側を空気流K2が流れる迄に空気流K2に生じる圧力損失を圧力損失YA2とする。
【0062】
圧力損失YA2を圧力損失YA1で除算した除算値を圧力損失比(YA2/YA1)とする。
【0063】
遠心ファン31から空気流K1が吹き出されてからフィルタ50に対して軸線方向一方側を空気流K1が流れる迄に空気流K1に生じる圧力損失を圧力損失YB1とする。
【0064】
遠心ファン31から空気流K2が吹き出されてからフィルタ50に対して軸線方向一方側を空気流K2が流れる迄に空気流K2に生じる圧力損失を圧力損失YB2とする。
【0065】
本実施形態では、圧力損失YB2を圧力損失YB1で除算した除算値を圧力損失比(YB2/YB1)とする。フィルタ50の圧力損失R3は、圧力損失比(YA2/YA1)を圧力損失比(YB2/YB1)に比べて小さくする。
【0066】
したがって、フィルタ50を設けない室内空調ユニット10Aの場合に比べて、空気流K2の風速と空気流K1の風速との差を小さくすることができる。よって、遠心ファン31から吹き出される空気流の風速分布に偏りが生じることをフィルタ50が抑えることができる。このため、冷却用熱交換器40に流れる風速分布に偏りが生じることを抑えることができる。
【0067】
さらに、フィルタ50を備える本実施形態の室内空調ユニット10の圧力損失比(AS2/AS1)は、フィルタ50を設けていない対比例の室内空調ユニット10Aの圧力損失比(AG2/AG1)に比べて、小さくなる。
【0068】
したがって、フィルタ50は、遠心ファン31から吹き出される空気流K1および空気流K2を濾過して空気流K1および空気流K2のそれぞれに圧力損失R3を生じさせることにより、対比例の圧力損失比に比べて、圧力損失比が小さくなる。
【0069】
これにより、遠心ファン31から吹き出される空気流の風速分布に偏りが生じることを対比例に比べて抑えることができる。このため、冷却用熱交換器40に流れる風速分布に偏りが生じることを対比例に比べて抑えることができる。
【0070】
(第2実施形態)
本第2実施形態では、上記第1実施形態の室内空調ユニット10において、波状に形成されている濾材51を用いるフィルタ50を備える例について図5図6を参照して説明する。なお、図5図6において、図1と同一符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
【0071】
本実施形態の室内空調ユニット10と上記第1実施形態の室内空調ユニット10とは、フィルタ50が相違するだけであるため、以下、主に、本実施形態のフィルタ50について説明する。
【0072】
本実施形態のフィルタ50は、膜状に形成されて空気流K1および空気流K2を濾過する濾材51を備える。濾材51は、軸線Sを中心とする径方向に延びる複数の折り目52のそれぞれで折り曲がることによって波状に形成されている。
【0073】
複数の折り目52が延びる延出方向は天地方向であり、延出方向は、空気流K2が2回目に曲がる径方向(すなわち、2段目の曲がる方向)と同一方向である。このため、フィルタ50は、圧力損失が天地方向に亘って同一になっている。
【0074】
以上説明した本実施形態によれば、空気流K2が濾材51を通過する際に、空気流K2が2回目に径方向の内側軸線曲がることを濾材51の複数の折り目52が妨げることなく、スムーズに通過することができる。
【0075】
また、遠心ファン31から吹き出される空気流は、空調ケーシング20の空気流路22内を旋回流として軸線方向他方側に流れる。これに対して、濾材51は、軸線Sを中心とする径方向と同一方向に延びる複数の折り目52を備える。このため、旋回流が流れることを複数の折り目52がキャンセルすることができる。
【0076】
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、空気流ガイド部としてフィルタ50を用いた例について説明したが、これに代えて、空気流ガイド部としてガイド部60を用いる本第3実施形態について図7図8図9を参照して説明する。
【0077】
本実施形態の室内空調ユニット10は、上記第1実施形態の室内空調ユニット10において、フィルタ50に代わるガイド部60を用いる。図7において、図1と同一符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
【0078】
本実施形態の室内空調ユニット10では、遠心送風機30および冷却用熱交換器40の間に、ガイド部60が設けられている。ガイド部60は、2つのリブ部材60a、および2つのリブ部材60bを備える。
【0079】
2つのリブ部材60aのうち一方のリブ部材60aは、空調ケーシング20のうち天地方向上側に配置されている板部材である。2つのリブ部材60aのうち一方のリブ部材60a以外の他方のリブ部材60aは、空調ケーシング20のうち天地方向下側に配置されている板部材である。以下、一方のリブ部材60aを上側リブ部材60aとし、他方のリブ部材60aを下側リブ部材60aとする。
【0080】
本実施形態では、2つのリブ部材60a、および2つのリブ部材60bは、空調ケーシング20に対して独立して設けられている。
【0081】
上側リブ部材60aおよび下側リブ部材60aは、それぞれ、図8、および図9に示すように、板状に形成されている。上側リブ部材60aは、厚み方向に交差する方向に拡がる板面61aを有する。
【0082】
上側リブ部材60aは、板面61aが軸線Sに対して傾斜するように配置されている。上側リブ部材60aは、その板面61aが軸線方向一方側から軸線方向他方側に向かうほど軸線Sを中心とする径方向内側に進むように形成されている。
【0083】
本実施形態の上側リブ部材60aは、その板面61aが軸線方向一方側から軸線方向他方側に向かうほど天地方向下側に進むように形成されている。上側リブ部材60aは、その板面61aによって空気出口32bからの空気流K1を軸線Sを中心とする径方向内側に案内する。
【0084】
このことにより、上側リブ部材60aは、その板面61aによって空気出口32bからの空気流K1が軸線方向の他方側に流れることを妨げることになる。
【0085】
下側リブ部材60aは、板面61aが軸線Sに対して傾斜するように配置されている。下側リブ部材60aは、その板面61aが軸線方向一方側から軸線方向他方側に向かうほど軸線Sを中心とする径方向内側に進むように形成されている。
【0086】
本実施形態の下側リブ部材60aは、その板面61aが軸線方向一方側から軸線方向他方側に向かうほど天地方向上側に進むように形成されている。下側リブ部材60aは、その板面61aによって空気出口32cからの空気流K1を軸線Sを中心とする径方向内側に案内する。
【0087】
このことにより、下側リブ部材60aは、その板面61aによって空気出口32cからの空気流K1が軸線方向の他方側に流れることを妨げることになる。
【0088】
2つのリブ部材60bは、上側リブ部材60aおよび下側リブ部材60aの間に配置されている。2つのリブ部材60bのうち一方のリブ部材60bは、空調ケーシング20のうち天地方向上側に配置されている板部材である。2つのリブ部材60bのうち一方のリブ部材60b以外の他方のリブ部材60bは、空調ケーシング20のうち天地方向下側に配置されている板部材である。以下、一方のリブ部材60bを上側リブ部材60bとし、他方のリブ部材60bを下側リブ部材60bとする。
【0089】
上側リブ部材60bおよび下側リブ部材60bは、それぞれ、図8、および図9に示すように、板状に形成されている。上側リブ部材60bは、厚み方向に交差する方向に拡がる板面61aを有する。
【0090】
上側リブ部材60bは、板面61aが軸線Sに対して傾斜するように配置されている。上側リブ部材60bは、その板面61aが軸線方向一方側から軸線方向他方側に向かうほど軸線Sを中心とする径方向内側に進むように形成されている。
【0091】
本実施形態の上側リブ部材60bは、その板面61aが軸線方向一方側から軸線方向他方側に向かうほど天地方向下側に進むように形成されている。上側リブ部材60bは、その板面61aによって空気出口32bからの空気流K1が軸線Sを中心とする径方向内側(すなわち、天地方向上側)に案内する。
【0092】
下側リブ部材60bは、板面61aが軸線Sに対して傾斜するように配置されている。下側リブ部材60bは、その板面61aが軸線方向一方側から軸線方向他方側に向かうほど軸線Sを中心とする径方向内側に進むように形成されている。
【0093】
本実施形態の下側リブ部材60bは、その板面61aが軸線方向一方側から軸線方向他方側に向かうほど天地方向上側に進むように形成されている。下側リブ部材60bは、その板面61aによって空気出口32cからの空気流K1が軸線Sを中心とする径方向内側(すなわち、天地方向上側)に案内する。
【0094】
以上に説明した本実施形態によれば、遠心ファン31から空気流K1が吹き出されてから、上側リブ部材60a、或いは下側リブ部材60aに対して軸線方向他方側を空気流K1が流れる迄に空気流K1に生じる圧力損失を圧力損失YA1とする。
【0095】
遠心ファン31から空気流K2が吹き出されてから、上側リブ部材60b、或いは下側リブ部材60bに対して軸線方向他方側を空気流K2が流れる迄に空気流K2に生じる圧力損失を圧力損失YA2とする。圧力損失R2を圧力損失R1で除算した除算値を圧力損失比(YA2/YA1)とする。
【0096】
遠心ファン31から空気流K1が吹き出されてから、上側リブ部材60b、或いは下側リブ部材60bに対して軸線方向一方側を空気流K1が流れる迄に空気流K1に生じる圧力損失を圧力損失YB1とする。
【0097】
遠心ファン31から空気流K2が吹き出されてから、上側リブ部材60b、或いは下側リブ部材60bに対して軸線方向一方側を空気流K2が流れる迄に空気流K2に生じる圧力損失を圧力損失YB2とする。本実施形態では、圧力損失R2を圧力損失R1で除算した除算値を圧力損失比(YB2/YB1)とする。
【0098】
ガイド部60は、圧力損失比(YA2/YA1)を圧力損失比(YB2/YB1)に比べて小さくする。
【0099】
したがって、遠心ファン31から吹き出される空気流の風速分布に偏りが生じることをフィルタ50が抑えることができる。このため、冷却用熱交換器40に流れる風速分布に偏りが生じることを抑えることができる。
【0100】
さらに、ガイド部60を備える本実施形態の室内空調ユニット10の圧力損失比(AS2/AS1)は、ガイド部60を設けていない対比例の室内空調ユニット10Aの圧力損失比(AG2/AG1)に比べて、小さくなる。
【0101】
これにより、遠心ファン31から吹き出される空気流の風速分布に偏りが生じることを対比例に比べて抑えることができる。このため、冷却用熱交換器40に流れる風速分布に偏りが生じることを対比例に比べて抑えることができる。
【0102】
(第4実施形態)
上記第1実施形態では、空気流ガイド部をフィルタ50によって構成する例について説明したが、これに代えて、ケーシング20によって構成した本第4実施形態について図10を参照して説明する。図10において、図1と同一符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
【0103】
本実施形態の室内空調ユニット10は、図10に示すように、フィルタ50が削除され、かつ図1のケーシング20に代わるケーシング20を備える。本実施形態のケーシング20は、入口側ケーシング24、案内ケーシング25、および出口側ケーシング26を備える。
【0104】
入口側ケーシング24は、軸線方向に空気流を流通させる空気流路を構成する。案内ケーシング25は、軸線方向に空気流を流通させる空気流路を構成する。案内ケーシング25は、入口側ケーシング24に対して軸線方向他方側に配置されている。出口側ケーシング26は、案内ケーシング25に対して軸線方向他方側に配置されている。入口側ケーシング24、案内ケーシング25、および出口側ケーシング26は、それぞれの空気流路が接続されて空気流路22が構成されている。
【0105】
入口側ケーシング24内には、遠心送風機30が配置されている。出口側ケーシング26内には、冷却用熱交換器40が配置されている。出口側ケーシング26の空気流路の断面積は、入口側ケーシング24の空気流路の断面積よりも小さくなっている。案内ケーシング25は、軸線方向の一方側から軸線方向の他方側に進むほど、軸線Sを中心とする径方向内側に向かうように形成されている。
【0106】
このことにより、案内ケーシング25は、遠心ファン31から吹き出される空気流K1を軸線Sを中心とする径方向内側に向けることにより、空気流K1が軸線方向他方側に流れることを妨げる。
【0107】
案内ケーシング25は、遠心ファン31に対して軸線方向他方側に配置されている。案内ケーシング25は、遠心ファン31から吹き出される空気流K1に圧力損失を生じさせる。案内ケーシング25は、遠心ファン31から吹き出される空気流K2が軸線方向他方側に流れることを妨げることはない。
【0108】
以上に説明した本実施形態によれば、遠心ファン31から空気流K1が吹き出されてから、案内ケーシング25に対して軸線方向他方側を空気流K1が流れる迄に空気流K1に生じる圧力損失を圧力損失YA1とする。
【0109】
遠心ファン31から空気流K2が吹き出されてから、案内ケーシング25に対して軸線方向他方側を空気流K2が流れる迄に空気流K2に生じる圧力損失を圧力損失YA2とする。本実施形態では、圧力損失R2を圧力損失R1で除算した除算値を圧力損失比(YA2/YA1)とする。
【0110】
遠心ファン31から空気流K1が吹き出されてから、案内ケーシング25に対して軸線方向一方側を空気流K1が流れる迄に空気流K1に生じる圧力損失を圧力損失YB1とする。
【0111】
遠心ファン31から空気流K2が吹き出されてから、案内ケーシング25に対して軸線方向一方側を空気流K2が流れる迄に空気流K2に生じる圧力損失を圧力損失YB2とする。本実施形態では、圧力損失R2を圧力損失R1で除算した除算値を圧力損失比(YB2/YB1)とする。
【0112】
案内ケーシング25は、圧力損失比(YA2/YA1)を圧力損失比(YB2/YB1)に比べて小さくする。
【0113】
したがって、遠心ファン31から吹き出される空気流の風速分布に偏りが生じることを案内ケーシング25が抑えることができる。このため、冷却用熱交換器40に流れる風速分布に偏りが生じることを抑えることができる。
【0114】
さらに、案内ケーシング25を備える本実施形態の室内空調ユニット10の圧力損失比(AS2/AS1)は、案内ケーシング25を設けていない対比例の室内空調ユニット10Aの圧力損失比(AG2/AG1)に比べて、小さくなる。
【0115】
これにより、遠心ファン31から吹き出される空気流の風速分布に偏りが生じることを対比例に比べて抑えることができる。このため、冷却用熱交換器40に流れる風速分布に偏りが生じることを対比例に比べて抑えることができる。
【0116】
(第5実施形態)
本第5実施形態では、上記第1実施形態において、ブロワモータカバー34で遠心ファン31から吹き出される空気流K2を軸線Sを中心とする径方向内側にコアンダ効果によって案内する例について図11を参照して説明する。図11において、図1と同一符号は、同一のものを示す。
【0117】
本実施形態と上記第1実施形態とは、遠心送風機30の構成は主に相違する。以下、本実施形態では、主に遠心送風機30の構成について説明する。
【0118】
本実施形態では、遠心送風機30は、遠心ファン31、ブロワケーシング32、および電動モータ33を備える。
【0119】
遠心ファン31は、軸線Sを中心として回転して、ブロワケーシング32の空気入口32aを通して軸線方向一方側から空気流を吸い込んで軸線Sを中心とする径方向外側に空気流を空気出口32b、32cを通して吹き出す。
【0120】
遠心ファン31は、電動モータ33によって回転駆動される。電動モータ33は、遠心ファン31に対して軸線方向他方側に配置されている。
【0121】
ブロワケーシング32は、遠心ファン31および電動モータ33を軸線方向一方側および軸線方向他方側から覆うように形成されている。
【0122】
ブロワケーシング32は、遠心ファン31に対して軸線方向一方側に開口する空気入口32aと、遠心ファン31に対して軸線Sを中心とする径方向外側に開口する空気出口32b、32cを形成する。空気出口32bは、遠心ファン31に対して天地方向上側に配置されている。空気出口32cは、遠心ファン31に対して天地方向下側に配置されている。
【0123】
本実施形態では、ブロワケーシング32は、電動モータ33を軸線方向他方側から覆うように形成されているブロワモータカバー34を備える。ブロワモータカバー34は、外径部34a、ガイド部34b、および中央部34cを備える。
【0124】
外径部34aは、軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。外径部34aは、軸線Sを中心とする円環状に形成されている。中央部34cは、外径部34aに対して軸線Sを中心とする径方向内側に配置されている。中央部34cは、軸線Sを中心とする円板状に形成されている。中央部34cは、外径部34aに対して軸線方向他方側に配置されている。
【0125】
ガイド部34bは、外径部34aおよび中央部34cの間に配置されている。ガイド部34bは、軸線Sを中心とする径方向外側から軸線Sを中心とする径方向内側に向かうほど軸線方向他方側に向かうように形成されている。
【0126】
本実施形態のブロワモータカバー34は、遠心ファン31から吹き出される空気流K2を軸線Sを中心とする径方向内側にコアンダ効果によって案内する。
【0127】
次に、本実施形態の室内空調ユニット10の作動について説明する。
【0128】
まず、ブロワケーシング32が軸線Sを中心として遠心ファン31を回転させる。このため、遠心ファン31が空気入口32aを通して軸線方向一方側から空気流を吸い込んで
空気出口32b、32cを通して軸線Sを中心とする径方向外側に吹き出す。
【0129】
このように空気出口32b、32cから吹き出される空気流K1、空気流K2は、冷却用熱交換器40の空気流入面41に流入される。冷却用熱交換器40は、空気流入面41に流入される空気流K1、空気流K2を冷媒によって冷却して冷風を吹き出す。
【0130】
具体的には、遠心ファン31から空気出口32b、32cを通して吹き出される空気流K1は、遠心ファン31から空気出口32b、32cを通して吹き出された後に軸線方向他方側に曲げられてそのまま冷却用熱交換器40の空気流入面41に流入される。すなわち、空気流K1は、ブロワモータカバー34の影響を受けない。
【0131】
空気流K2は、遠心ファン31から空気出口32b、32cを通して吹き出された後に、軸線方向他方側に曲げられて、その後空気流K2は、コアンダ効果によって、ブロワモータカバー34に沿って軸線Sを中心とする径方向内側に案内される。更にその後、空気流K2は、軸線方向他方側に曲げられて冷却用熱交換器の空気流入面41に流入される第2空気流である。
【0132】
以上に説明した本実施形態によれば、遠心ファン31から空気流K1が吹き出されてから、ブロワモータカバー34に対して軸線方向他方側を空気流K1が流れる迄に空気流K1に生じる圧力損失を圧力損失YA1とする。
【0133】
遠心ファン31から空気流K2が吹き出されてから、ブロワモータカバー34に対して軸線方向他方側を空気流K2が流れる迄に空気流K2に生じる圧力損失を圧力損失YA2とする。本実施形態では、圧力損失R2を圧力損失R1で除算した除算値を圧力損失比(YA2/YA1)とする。
【0134】
遠心ファン31から空気流K1が吹き出されてから、ブロワモータカバー34に対して軸線方向一方側を空気流K1が流れる迄に空気流K1に生じる圧力損失を圧力損失YB1とする。
【0135】
遠心ファン31から空気流K2が吹き出されてから、ブロワモータカバー34に対して軸線方向一方側を空気流K2が流れる迄に空気流K2に生じる圧力損失を圧力損失YB2とする。ここで、圧力損失YA2は、コアンダ効果によって圧力損失YB2よりも小さくなる。本実施形態では、圧力損失R2を圧力損失R1で除算した除算値を圧力損失比(YB2/YB1)とする。
【0136】
ブロワモータカバー34は、圧力損失比(YA2/YA1)を圧力損失比(YB2/YB1)に比べて小さくする。
【0137】
したがって、遠心ファン31から吹き出される空気流の風速分布に偏りが生じることを案内ケーシング25が抑えることができる。このため、冷却用熱交換器40に流れる風速分布に偏りが生じることを抑えることができる。
【0138】
さらに、案内ケーシング25を備える本実施形態の室内空調ユニット10の圧力損失比(AS2/AS1)は、ブロワモータカバー34を設けていない対比例の室内空調ユニット10Aの圧力損失比(AG2/AG1)に比べて、小さくなる。
【0139】
これにより、遠心ファン31から吹き出される空気流の風速分布に偏りが生じることを対比例に比べて抑えることができる。このため、冷却用熱交換器40に流れる風速分布に偏りが生じることを対比例に比べて抑えることができる。
(第6実施形態)
上記第1実施形態では、2つの空気出口32b、32cを備える遠心送風機30を用いた例について説明したが、これに代えて、1つの空気出口32bを備える遠心送風機30を用いた例について図12図13を参照して説明する。
【0140】
本実施形態と上記第1実施形態とは、遠心送風機30の構成は主に相違する。以下、本実施形態では、主に遠心送風機30の構成について説明する。
【0141】
本実施形態では、遠心送風機30は、遠心ファン31、およびブロワケーシング32を備える。ブロワケーシング32は、遠心ファン31に対して軸線方向一方側に開口する空気入口32aと、遠心ファン31に対して軸線Sを中心とする径方向外側(例えば、天地方向上側)に開口する空気出口32bを形成する。遠心送風機30は、天地方向下側に配置されている。
【0142】
(第7実施形態)
上記第1実施形態では、フィルタ50を冷却用熱交換器40に対して空気流れ上流側に配置した例について説明したが、これに限らず、図14に示す本第7実施形態のように、フィルタ50を冷却用熱交換器40に対して空気流れ下流側に配置してもよい。
【0143】
本実施形態では、フィルタ50は、冷却用熱交換器40に対して軸線方向他方側に配置されている。
【0144】
本実施形態と上記第1実施形態では、フィルタ50および冷却用熱交換器40の配置が相違するだけで、その他の構成は同一であるため、その説明を省略する。
【0145】
(他の実施形態)
(1)上記第1~第7実施形態では、本発明の送風機器を室内空調ユニット10に適用した例について説明したが、これに限らず、本発明の送風機器を室内空調ユニット10以外の装置に適用してもよい。
【0146】
(2)上記第1~第7実施形態では、冷却用熱交換器40を備える室内空調ユニット10を本発明の送風機器とした例について説明したが、これに限らず、冷却用熱交換器40を備えない室内空調ユニット10を本発明の送風機器としてもよい。
【0147】
(3)上記第3、第4、第5実施形態では、フィルタ50を備えない室内空調ユニット10を本発明の送風機器とした例について説明したが、これに代えて、フィルタ50を備える室内空調ユニット10を本発明の送風機器としてもよい。
【0148】
(4)上記第1実施形態では、軸線方向に直交する面方向に圧力損失が同一になっているフィルタ50を用いた例について説明した。しかし、軸線Sを中心とする径方向外側の領域が圧力損失が大きく、かつ軸線Sを中心とする径方向内側の領域が圧力損失が小さくなっているフィルタ50を用いてもよい。
【0149】
(5)上記第1実施形態では、天地方向に圧力損失が同一になっているフィルタ50を用いた例について説明した。しかし、軸線Sを中心とする径方向外側の領域が圧力損失が大きく、かつ軸線Sを中心とする径方向内側の領域の圧力損失が小さくなっているフィルタ50を用いてもよい。
【0150】
(6)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、センサから車両の外部環境情報(例えば車外の湿度)を取得することが記載されている場合、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報を受信することも可能である。あるいは、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報に関連する関連情報を取得し、取得した関連情報からその外部環境情報を推定することも可能である。
【0151】
このように構成される 上記第1~第7実施形態、および他の実施形態は、次のように追加請求項案を構成してもよい
(追加請求項案1)
送風機器は、軸線(S)を中心として回転して、軸線方向の一方側から空気を吸い込んで軸線を中心とする径方向の外側に空気を吹き出す遠心ファン(32)を備える遠心送風機(30)を備える。
【0152】
送風機器は、遠心ファンに対して軸線方向の他方側に配置されている空気流ガイド部(50、60、34、24)を備える。
【0153】
送風機器は、遠心ファン、および空気流ガイド部を収納して、軸線方向の他方側に空気流を流通させるケーシング(20)と、を備える。
【0154】
遠心ファンから吹き出される空気流は、遠心ファンから吹き出された後に軸線方向の他方側に曲げられて軸線方向の他方側に流れる第1空気流(K1)を備える。
【0155】
遠心ファンから吹き出される空気流は、遠心ファンから吹き出された後に軸線方向の他方側に曲げられ、その後径方向の内側に曲げられる第2空気流(K2)とを含んでいる。
【0156】
遠心ファンから第1空気流が吹き出されてから空気流ガイド部に対して軸線方向の他方側を第1空気流が流れる迄に第1空気流に生じる圧力損失を第1圧力損失とする。
【0157】
遠心ファンから第2空気流が吹き出されてから空気流ガイド部に対して軸線方向の他方側を第2空気流が流れる迄に第2空気流に生じる圧力損失を第2圧力損失とする。
【0158】
第2圧力損失を第1圧力損失で除算した除算値を圧力損失比とする。
【0159】
空気流ガイド部は、空気流ガイド部を設けない送風機器の圧力損失比に比べて、圧力損失比を小さくする。
【0160】
(追加請求項案2)
送風機器は、軸線(S)を中心として回転して、軸線方向の一方側から空気を吸い込んで軸線を中心とする径方向の外側に空気を吹き出す遠心ファン(32)を備える遠心送風機(30)を備える。
【0161】
送風機器は、遠心ファンに対して軸線方向の他方側に配置されているフィルタ(50)と、遠心ファン、およびフィルタを収納して、軸線方向の他方側に空気流を流通させるケーシング(20)とを備える。
【0162】
遠心ファンから吹き出される空気流は、遠心ファンから吹き出された後に軸線方向の他方側に曲げられて軸線方向の他方側に流れる第1空気流(K1)を備える。
【0163】
遠心ファンから吹き出される空気流は、遠心ファンから吹き出された後に軸線方向の他方側に曲げられ、その後径方向の内側に曲げられる第2空気流(K2)を含んでいる。
【0164】
フィルタは、第1空気流および第2空気流を濾過して第1空気流および第2空気流のそれぞれに第3圧力損失(R3)を生じさせる。
【0165】
(追加請求項案3)
送風機器は、軸線(S)を中心として回転して、軸線方向の一方側から空気を吸い込んで軸線を中心とする径方向の外側に空気を吹き出す遠心ファン(32)を備える遠心送風機(30)を備える。
【0166】
送風機器は、遠心ファンに対して軸線方向の他方側に配置されているフィルタ(50)と、遠心ファン、および空気流ガイド部を収納して、軸線方向の他方側に空気流を流通させるケーシング(20)とを備える。
【0167】
遠心ファンから吹き出される空気流は、遠心ファンから吹き出された後に軸線方向の他方側に曲げられて軸線方向の他方側に流れる第1空気流(K1)を備える。
【0168】
遠心ファンから吹き出される空気流は、遠心ファンから吹き出された後に軸線方向の他方側に曲げられ、その後径方向の内側に曲げられる第2空気流(K2)を含んでいる。
【0169】
遠心送風機は、遠心ファンに対して前記軸線方向の他方側に配置されて遠心ファンを回転させるブロワモータ(33)と、ブロワモータを前記軸線方向の他方側から覆うように形成されているブロワモータカバー(34)と、を備える。
【0170】
ブロワモータカバー(34)は、第2空気流を径方向の内側にコアンダ効果によって案内する。
【0171】
(追加請求項案4)
送風機器は、軸線(S)を中心として回転して、軸線方向の一方側から空気を吸い込んで軸線を中心とする径方向の外側に空気を吹き出す遠心ファン(32)を備える遠心送風機(30)を備える。
【0172】
送風機器は、遠心ファンに対して軸線方向の他方側に配置されている空気流ガイド部(60)と、遠心ファン、および空気流ガイド部を収納して、軸線方向の他方側に空気流を流通させるケーシング(20)とを備える。
【0173】
遠心ファンから吹き出される空気流は、遠心ファンから吹き出された後に軸線方向の他方側に曲げられて軸線方向の他方側に流れる第1空気流(K1)を備える。
【0174】
遠心ファンから吹き出される空気流は、遠心ファンから吹き出された後に軸線方向の他方側に曲げられ、その後径方向の内側に曲げられる第2空気流(K2)を含んでいる。
【0175】
空気流ガイド部は、第1空気流が前記軸線方向の他方側に流れることを妨げて第1空気流に圧力損失を生じさせる板面(61a)を備える板部材である。
【0176】
(追加請求項案5)
送風機器は、軸線(S)を中心として回転して、軸線方向の一方側から空気を吸い込んで軸線を中心とする径方向の外側に空気を吹き出す遠心ファン(32)を備える遠心送風機(30)を備える。
【0177】
送風機器は、遠心ファンに対して軸線方向の他方側に配置されている空気流ガイド部(24)と、遠心ファンを収納して、軸線方向の他方側に空気流を流通させるケーシング(20)とを備える。
【0178】
遠心ファンから吹き出される空気流は、遠心ファンから吹き出された後に軸線方向の他方側に曲げられて軸線方向の他方側に流れる第1空気流(K1)を備える。
【0179】
遠心ファンから吹き出される空気流は、遠心ファンから吹き出された後に軸線方向の他方側に曲げられ、その後径方向の内側に曲げられる第2空気流(K2)を含んでいる。
【0180】
空気流ガイド部は、第1空気流が前記軸線方向の他方側に流れることを妨げて第1空気流に圧力損失を生じさせる板面(61a)を備える板部材である。
【0181】
ケーシングは、第1空気流が軸線方向の他方側に流れることを妨げて第1空気流に圧力損失を生じさせる空気流ガイド部(24)を構成する。
【0182】
(まとめ)
上記第1~第7実施形態、および他の実施形態の一部または全部に記載された第1の観点によれば、送風機器は、遠心送風機を備える。遠心送風機は、軸線を中心として回転して、軸線方向の一方側から空気を吸い込んで軸線を中心とする径方向の外側に空気を吹き出す遠心ファンを備える。
【0183】
送風機器は、遠心ファンに対して軸線方向の他方側に配置されている空気流ガイド部と、遠心ファン、および空気流ガイド部を収納して、軸線方向の他方側に空気流を流通させるケーシングとを備える。
【0184】
遠心ファンから吹き出される空気流は、第1空気流と第2空気流とを含んでいる。第1空気流は、遠心ファンから吹き出される空気流は、遠心ファンから吹き出された後に軸線方向の他方側に曲げられて軸線方向の他方側に流れる。第2空気流は、遠心ファンから吹き出された後に軸線方向の他方側に曲げられ、その後径方向の内側に曲げられて、その後軸線方向の他方側に流れる。
【0185】
遠心ファンから第1空気流が吹き出されてから空気流ガイド部に対して軸線方向の他方側を第1空気流が流れる迄に第1空気流に生じる圧力損失を第1圧力損失とする。
【0186】
遠心ファンから第2空気流が吹き出されてから空気流ガイド部に対して軸線方向の他方側を第2空気流が流れる迄に第2空気流に生じる圧力損失を第2圧力損失とする。
【0187】
第2圧力損失を第1圧力損失で除算した除算値を第1圧力損失比とする。
【0188】
遠心ファンから第1空気流が吹き出されてから空気流ガイド部に対して軸線方向の一方側を第1空気流が流れる迄に第1空気流に生じる圧力損失を第3圧力損失とする。
【0189】
遠心ファンから第2空気流が吹き出されてから空気流ガイド部に対して軸線方向の一方側を第2空気流が流れる迄に第2空気流に生じる圧力損失を第4圧力損失とする。
【0190】
第4圧力損失を第3圧力損失で除算した除算値を第2圧力損失比としたとき、空気流ガイド部は、第1圧力損失比を第2圧力損失比に比べて小さくする。
【0191】
第2の観点によれば、空気流ガイド部は、第1空気流および第2空気流を濾過して第1空気流および第2空気流のそれぞれに第3圧力損失を生じさせるフィルタである。
【0192】
第3の観点によれば、フィルタは、膜状に形成されて第1空気流および第2空気流を濾過する濾材を備える。
【0193】
濾材は、径方向と同一方向に延びる複数の折り目のそれぞれで折り曲がることによって波状に形成されている。
【0194】
第4の観点によれば、遠心送風機は、遠心ファンに対して軸線方向の他方側に配置されて遠心ファンを回転させるブロワモータと、ブロワモータを軸線方向の他方側から覆うように形成されているブロワモータカバーとを備える。ブロワモータカバーは、第2空気流を径方向の内側にコアンダ効果によって案内する空気流ガイド部を構成する。
【0195】
第5の観点によれば、空気流ガイド部は、第1空気流が軸線方向の他方側に流れることを妨げて第1空気流に圧力損失を生じさせる板面を備える板部材である。
【0196】
第6の観点によれば、空気流ガイド部は、第2空気流を径方向の内側に案内する板面を備える板部材である。
【0197】
第7の観点によれば、ケーシングは、第1空気流が軸線方向の他方側に流れることを妨げて第1空気流に圧力損失を生じさせる空気流ガイド部を構成する。
【0198】
第8の観点によれば、ケーシングに収納されて、かつ空気流ガイド部に対して軸線方向の他方側に配置され、空気流ガイド部を通過した第1空気流および第2空気流を冷却する冷却用熱交換器を備える。
【符号の説明】
【0199】
10 室内空調ユニット
20 空調ケーシング
30 遠心送風機
40 冷却用熱交換器
50 フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14