(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】フロアロック解除機構
(51)【国際特許分類】
B60N 2/02 20060101AFI20231212BHJP
B60N 2/30 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B60N2/02
B60N2/30
(21)【出願番号】P 2020094711
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 紘樹
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-030547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/02
B60N 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッション及びシートバックを有するシートの車両のフロアに対する移動をロックするフロアロックを解除可能なフロアロック解除機構であって、
前記シートクッションの骨格の一部を構成するクッションサイドフレームに対して前記シートバックの骨格の一部を構成するバックサイドフレームが傾動するときに、前記クッションサイドフレームに対する前記バックサイドフレームの回転方向と同じ方向に前記クッションサイドフレームに対して相対回転するアーム部材と、
前記クッションサイドフレームに対する前記アーム部材の回転時に前記アーム部材に押されることによって前記クッションサイドフレームに対して相対回転するように前記クッションサイドフレームに接続されたレバーと、
前記クッションサイドフレームに対する前記レバーの回転時に前記レバーに押されることによって前記クッションサイドフレームに対して相対回転するように前記クッションサイドフレームに接続されており、前記フロアロックが前記フロアに対する前記シートの移動をロックしたロック状態と前記フロアロックが前記フロアに対する前記シートの移動を許容するアンロック状態とに前記フロアロックを切り替え可能な切替部材と、
前記レバーを付勢するレバー付勢部材と、
前記切替部材を付勢する切替部材付勢部材と、を備え、
前記レバーは、当該レバーに対して前記アーム部材から外力が作用していない中立位置から前記クッションサイドフレームに対して前記バックサイドフレームが前傾するときに前記アーム部材が回転する前回転方向と反対の後回転方向に回転した後回転位置と、前記中立位置から前記前回転方向に回転した前回転位置と、の間で回転可能であり、
前記レバー付勢部材は、前記レバーを前記中立位置に向けて付勢しており、
前記切替部材は、前記フロアロックを前記ロック状態に維持するロック位置と、前記後回転位置に位置する前記レバーと接触しており、前記フロアロックを前記アンロック状態に維持するアンロック位置と、の間で回転可能であり、
前記切替部材付勢部材は、前記切替部材を前記ロック位置に向けて付勢しており、
前記レバーは、前記前回転方向に回転する前記アーム部材に押されることによって前記後回転位置に向けて回転しながら前記切替部材を前記アンロック位置に向けて押し、前記後回転方向に回転する前記アーム部材に押されることによって前記切替部材から離間した状態で前記前回転位置に向けて回転し、
前記レバーは、
前記アーム部材に押圧される被押圧部と、
前記切替部材を押圧する押圧部と、を有し、
前記押圧部は、前記被押圧部と前記レバーの回転中心とを結ぶ直線に直交する直線に対して前記被押圧部が配置された側と同じ側に配置されて
おり、
前記レバーは、
前記クッションサイドフレームに対して前記回転中心まわりに相対回転可能となるように前記クッションサイドフレームに接続されたレバー本体と、
前記回転中心の軸方向と平行な方向に前記レバー本体から突出する突出部と、を有し、
前記突出部は、前記被押圧部と前記押圧部とを有し、
前記突出部は、
前記レバー本体から前記回転中心の軸方向と平行な方向に延びる形状を有する支持軸と、
前記支持軸に対して相対回転可能となるように前記支持軸に支持されたローラと、を有し、
前記ローラは、前記被押圧部を有し、
前記支持軸は、前記押圧部を有する、フロアロック解除機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フロアロック解除機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロアに対するシートの移動をロックするフロアロックを解除可能なフロアロック解除機構が知られている。例えば、特開2002-67761号公報には、車両フロアとシートとの係脱を行うシートロックと、シートのシートバックの傾斜を調整可能にするリクライニング装置と、を備えるシート装置が開示されている。
【0003】
この装置では、シートバックが前傾するときに、リクライニング装置に固定されたアームブラケットの下端部に形成された接触部がレバーの一端に設けられた第1ピンを後方に押すことにより、レバーを回転させる。これにより、レバーの他端に設けられた第2ピンがロック作動装置のリンクを駆動するため、フロアロックが解除される。
【0004】
そして、シートバックが折り畳まれた位置に至ると、アームブラケットの接触部がレバーの第1ピンから離間するため、レバーは、スプリングの引っ張り力によって中立位置に復帰する。このとき、第2ピンによるリンクの駆動が解除されるため、フロアロックがロック状態になる。
【0005】
その状態からシートバックが後傾すると、アームブラケットの接触部がレバーの第1ピンを前方に押すことにより、レバーは、上記とは逆回りに回転する。このとき、第2ピンは、リンクに設けられた長穴内を移動するため、第2ピンはリンクを駆動しない。このため、フロアロックは、ロック状態に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開2002-67761号公報に記載のシート装置では、アームブラケット及びレバーの構造に小型化の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、アーム部材及びレバーの小型化が可能なフロアロック解除機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の一局面に従ったフロアロック解除機構は、シートクッション及びシートバックを有するシートの車両のフロアに対する移動をロックするフロアロックを解除可能なフロアロック解除機構であって、前記シートクッションの骨格の一部を構成するクッションサイドフレームに対して前記シートバックの骨格の一部を構成するバックサイドフレームが傾動するときに、前記クッションサイドフレームに対する前記バックサイドフレームの回転方向と同じ方向に前記クッションサイドフレームに対して相対回転するアーム部材と、前記クッションサイドフレームに対する前記アーム部材の回転時に前記アーム部材に押されることによって前記クッションサイドフレームに対して相対回転するように前記クッションサイドフレームに接続されたレバーと、前記クッションサイドフレームに対する前記レバーの回転時に前記レバーに押されることによって前記クッションサイドフレームに対して相対回転するように前記クッションサイドフレームに接続されており、前記フロアロックが前記フロアに対する前記シートの移動をロックしたロック状態と前記フロアロックが前記フロアに対する前記シートの移動を許容するアンロック状態とに前記フロアロックを切り替え可能な切替部材と、前記レバーを付勢するレバー付勢部材と、前記切替部材を付勢する切替部材付勢部材と、を備え、前記レバーは、当該レバーに対して前記アーム部材から外力が作用していない中立位置から前記クッションサイドフレームに対して前記バックサイドフレームが前傾するときに前記アーム部材が回転する前回転方向と反対の後回転方向に回転した後回転位置と、前記中立位置から前記前回転方向に回転した前回転位置と、の間で回転可能であり、前記レバー付勢部材は、前記レバーを前記中立位置に向けて付勢しており、前記切替部材は、前記フロアロックを前記ロック状態に維持するロック位置と、前記後回転位置に位置する前記レバーと接触しており、前記フロアロックを前記アンロック状態に維持するアンロック位置と、の間で回転可能であり、前記切替部材付勢部材は、前記切替部材を前記ロック位置に向けて付勢しており、前記レバーは、前記前回転方向に回転する前記アーム部材に押されることによって前記後回転位置に向けて回転しながら前記切替部材を前記アンロック位置に向けて押し、前記後回転方向に回転する前記アーム部材に押されることによって前記切替部材から離間した状態で前記前回転位置に向けて回転し、前記レバーは、前記アーム部材に押圧される被押圧部と、前記切替部材を押圧する押圧部と、を有し、前記押圧部は、前記被押圧部と前記レバーの回転中心とを結ぶ直線に直交する直線に対して前記被押圧部が配置された側と同じ側に配置されている。
【0010】
このフロアロック解除機構では、レバーの押圧部は、被押圧部とレバーの回転中心とを結ぶ直線に直交する直線に対して被押圧部が配置された側と同じ側に配置されているため、被押圧部とレバーの回転中心とを結ぶ直線と平行な方向におけるアーム部材及びレバーが小型化される。
【0011】
また、前記レバーは、前記クッションサイドフレームに対して前記回転中心まわりに相対回転可能となるように前記クッションサイドフレームに接続されたレバー本体と、前記回転中心の軸方向と平行な方向に前記レバー本体から突出する突出部と、前記レバー本体から切り起こされた切り起こし片と、を有し、前記切り起こし片は、前記押圧部を有していてもよい。
【0012】
この態様では、レバー本体と押圧部とが別の部材で構成される場合に比べて部品点数が削減される。
【0013】
また、前記切替部材は、前記クッションサイドフレームに対して前記回転中心まわりに相対回転可能となるように前記クッションサイドフレームに接続された切替部材本体と、前記切替部材本体に接続されており、前記レバー本体が前記後回転方向に回転するときに前記押圧部に当接する当接部を有していてもよい。
【0014】
この場合において、前記当接部は、前記切替部材本体から切り起こされた切り起こし片で構成されており、前記当接部は、前記押圧部と交差する形状を有することが好ましい。
【0015】
このようにすれば、当接部と押圧部とが直交する場合に比べ、当接部の小型化が可能となる。
【0016】
また、前記レバーは、前記クッションサイドフレームに対して前記回転中心まわりに相対回転可能となるように前記クッションサイドフレームに接続されたレバー本体と、前記回転中心の軸方向と平行な方向に前記レバー本体から突出する突出部と、を有し、前記突出部は、前記被押圧部と前記押圧部とを有していてもよい。
【0017】
この態様では、突出部が被押圧部と押圧部とを有するため、部品点数が削減される。
【0018】
また、前記突出部は、前記レバー本体から前記回転中心の軸方向と平行な方向に延びる形状を有する支持軸と、前記支持軸に対して相対回転可能となるように前記支持軸に支持されたローラと、を有していてもよい。この場合において、前記ローラは、前記被押圧部を有し、前記支持軸は、前記押圧部を有することが好ましい。
【0019】
このようにすれば、アーム部材の前回転方向への回転時に当該アーム部材が被押圧部を押圧する際、ローラが支持軸に対して相対回転しながら支持軸の押圧部が切替部材を押圧するため、アーム部材及びレバー間に生じる摩擦が低減される。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、アーム部材及びレバーの小型化が可能なフロアロック解除機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態のフロアロック解除機構とシートとの側面図である。
【
図4】アーム部材がレバーを後回転位置に向けて押圧している状態を示すフロアロック解除機構の正面図である。
【
図5】アーム部材がレバーを後回転位置に向けて押圧している状態を示すフロアロック解除機構の正面図である。
【
図6】アーム部材によるレバーの後回転位置へ向かう方向の押圧が解除された状態を示すフロアロック解除機構の正面図である。
【
図7】アーム部材がレバーを前回転方向に向けて押圧している状態を示すフロアロック解除機構の正面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態のフロアロック解除機構の正面図である。
【
図9】
図8に示されるフロアロック解除機構の断面図である。
【
図10】アーム部材がレバーを後回転位置に向けて押圧している状態を示すフロアロック解除機構の正面図である。
【
図11】アーム部材がレバーを後回転位置に向けて押圧している状態を示すフロアロック解除機構の正面図である。
【
図12】アーム部材によるレバーの後回転位置へ向かう方向の押圧が解除された状態を示すフロアロック解除機構の正面図である。
【
図13】アーム部材がレバーを前回転方向に向けて押圧している状態を示すフロアロック解除機構の正面図である。
【
図14】第2実施形態のフロアロック解除機構の変形例を示す断面図である。
【
図15】本発明の第3実施形態のフロアロック解除機構の正面図である。
【
図16】
図15に示されるフロアロック解除機構の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で参照する図面では、同一又はそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態のフロアロック解除機構とシートとの側面図である。シート1は、シートクッション10と、シートバック20と、を有している。
【0024】
シートクッション10は、座部を構成している。シートクッション10は、当該シートクッション10の骨格を構成するクッションサイドフレーム11を有している。
【0025】
シートバック20は、シートクッション10に着座した乗員の背部を支持する。シートバック20は、当該シートバック20の骨格を構成するバックサイドフレーム21を有している。バックサイドフレーム21は、その下端部を傾動中心としてクッションサイドフレーム11に対して傾動可能である。クッションサイドフレーム11に対するバックサイドフレーム21の傾動は、クッションサイドフレーム11とバックサイドフレーム21との間に設けられたリクライナ4(
図3を参照)により可能となる。
【0026】
シート1は、車両のフロア2に対して移動可能に構成されている。前記移動は、車両の前後方向等へのフロア2に対するシート1のスライドや、シートバック20が折り畳まれた状態において、シートクッション10の前端部を回動中心としてシートクッション10の後端部を跳ね上げるようにシート1を回転すること等を含む。
【0027】
このシート1には、フロアロック3が設けられている。フロアロック3は、シート1のフロア2に対する移動をロックする機構である。フロアロック3の一部を構成するワイヤーWが引っ張られると、ロックが解除されたアンロック状態となり、シート1のフロア2に対する移動が許容される。ワイヤーWが引っ張られていないときは、シート1のフロア2に対する移動がロックされたロック状態に維持されている。
【0028】
図2は、フロアロック解除機構の正面図である。
図3は、フロアロック解除機構の断面図である。
【0029】
フロアロック解除機構50は、フロアロック3を解除可能な機構である。フロアロック解除機構50は、シートクッション10に対するシートバック20の傾動(リクライナ4の回動)に応じて作動する。フロアロック解除機構50は、アーム部材100と、レバー200と、切替部材300と、レバー付勢部材400と、切替部材付勢部材500と、を備えている。
【0030】
アーム部材100は、クッションサイドフレーム11に対してバックサイドフレーム21が傾動するときに、クッションサイドフレーム11に対するバックサイドフレーム21の回転方向と同じ方向にクッションサイドフレーム11に対して相対回転する。本実施形態では、アーム部材100は、クッションサイドフレーム11に対して相対回転可能となるようにクッションサイドフレーム11に接続されている。
【0031】
アーム部材100は、上側アーム110と、下側アーム120と、を有している。
【0032】
上側アーム110は、バックサイドフレーム21の一部を構成するアッパーアーム22と係合する。上側アーム110は、シートバック20が定常姿勢(
図1において実線で示される姿勢)であるときに、アーム部材100の回転中心Xから前方に向かうにしたがって上方に向かうように延びる形状を有している。
【0033】
下側アーム120は、シートバック20が前記定常姿勢であるときに、アーム部材100の回転中心Xから前方に向かうにしたがって下方に向かうように延びる形状を有している。下側アーム120は、レバー200と接触する接触部122を有している。接触部122は、下側アーム120の先端部で構成されている。
【0034】
レバー200は、クッションサイドフレーム11に対するアーム部材100の回転時にアーム部材100に押されることによってクッションサイドフレーム11に対して相対回転するようにクッションサイドフレーム11に接続されている。レバー200は、アーム部材100に押されることにより、レバー200の回転中心Aまわりにアーム部材100の回転方向と反対方向に回転する。
【0035】
レバー200は、後回転位置(
図5に示される位置)と、前回転位置(
図7に示される位置)と、の間で回転中心Aまわりに回転可能である。
【0036】
後回転位置は、レバー200に対してアーム部材100から外力が作用していない中立位置(
図1に示される位置)から、クッションサイドフレーム11に対してバックサイドフレーム21が前傾するときにアーム部材100が回転する前回転方向(
図2における反時計回り)と反対の後回転方向(
図2における時計回り)に回転中心Aまわりに回転した位置である。
【0037】
前回転位置は、前記中立位置から前回転方向に回転中心Aまわりに回転した位置である。
【0038】
レバー200は、前回転方向に回転中心Xまわりに回転するアーム部材100の接触部122に押されることによって、後回転位置に向けて回転中心Aまわりに回転する。このとき、レバー200は、切替部材300を後述のアンロック位置に向けて押す。レバー200は、後回転方向に回転中心Xまわりに回転するアーム部材100の接触部122に押されることによって、前回転位置に向けて回転中心Aまわりに回転する。このとき、レバー200は、切替部材300から離間している。
【0039】
図2及び
図3に示されるように、レバー200は、レバー本体210と、突出部220と、切り起こし片230と、を有している。
【0040】
レバー本体210は、クッションサイドフレーム11に対して回転中心Aまわりに相対回転可能となるようにクッションサイドフレーム11に接続されている。レバー本体210は、回転中心Aを中心軸とするピン15によって、クッションサイドフレーム11の一部を構成するブラケット12に接続されている。レバー本体210は、平板状に形成されている。
【0041】
突出部220は、回転中心Aの軸方向と平行な方向にレバー本体210から突出している。ブラケット12には、当該ブラケット12と突出部220との干渉を回避するための開口12hが設けられている。突出部220は、支持軸222と、ローラ224と、を有している。
【0042】
支持軸222は、レバー本体210から回転中心Aの軸方向と平行な方向に延びる形状を有している。本実施形態では、支持軸222は、レバー本体210と別部材からなり、レバー本体210に対して相対回転不能となるようにレバー本体210に固定されている。なお、支持軸222は、レバー本体210と同じ材料によりレバー本体210と一体的に形成されてもよい。
【0043】
ローラ224は、支持軸222に対して相対回転可能となるように支持軸222に支持されている。ローラ224は、円筒状に形成されている。ローラ224は、アーム部材100の接触部122によって押圧されることにより、支持軸222に対して相対回転する。
図3に示されるように、ローラ224のうちアーム部材100によって押圧される部位は、被押圧部224aを構成する。
【0044】
切り起こし片230は、レバー本体210から切り起こされた部位である。切り起こし片230は、レバー本体210から突出部220が突出する向きと同じ向きにレバー本体210から切り起こされている。本実施形態では、切り起こし片230は、レバー本体210と直交している。切り起こし片230と回転中心Aとの距離は、ローラ224と回転中心Aとの距離よりも小さい。
【0045】
図3に示されるように、切り起こし片230は、押圧部232を有している。押圧部232は、切替部材300を押圧する部位である。押圧部232は、被押圧部224aとレバー200の回転中心Aとを結ぶ直線と回転中心Aの軸方向との双方に直交する直線L(
図2を参照)に対して被押圧部224aが配置された側と同じ側に配置されている。
【0046】
切替部材300は、前記ロック状態と前記アンロック状態とにフロアロック3を切り替え可能である。切替部材300は、クッションサイドフレーム11に対するレバー200の回転時にレバー200に押されることによってクッションサイドフレーム11に対して相対回転するようにクッションサイドフレーム11に接続されている。切替部材300は、ロック位置(
図2に示される位置)と、アンロック位置(
図5に示される位置)と、の間で回転可能である。
【0047】
ロック位置は、フロアロック3をロック状態に維持する位置である。アンロック位置は、後回転位置に位置するレバー200と接触しており、フロアロック3をアンロック状態に維持する位置である。
【0048】
切替部材300は、切替部材本体310と、当接部320と、支持片330と、ワイヤー支持部340と、を有している。
【0049】
切替部材本体310は、クッションサイドフレーム11に対して回転中心Aまわりに相対回転可能となるようにクッションサイドフレーム11に接続されている。切替部材本体310は、平板状に形成されている。
【0050】
当接部320は、切替部材本体310に接続されている。当接部320は、レバー本体210が後回転方向に回転するときに押圧部232に当接する。本実施形態では、当接部320は、切替部材本体310から切り起こされた切り起こし片で構成されている。当接部320は、レバー本体210から切り起こし片230が切り起こされた向きと同じ向きに切替部材本体310から切り起こされている。
図3に示されるように、当接部320は、切替部材本体310及び切り起こし片230の双方と交差する方向に延びる形状を有している。
【0051】
支持片330は、切替部材付勢部材500を支持する部位である。支持片330には、切替部材付勢部材500の一端が接続されている。
【0052】
ワイヤー支持部340は、ワイヤーWを支持する部位である。ワイヤー支持部340には、ワイヤーWの一端が接続されている。
【0053】
レバー付勢部材400は、レバー200を中立位置に向けて付勢している。本実施形態では、レバー付勢部材400は、トーションばねで構成されている。
【0054】
切替部材付勢部材500は、切替部材300をロック位置に向けて付勢している。切替部材付勢部材500は、支持片330と、クッションサイドフレーム11の支持片13と、を連結している。
【0055】
次に、
図4から
図7を参照しながら、シートバック20の前傾及び後傾に伴うフロアロック解除機構50の動作について説明する。なお、シートバック20が定常姿勢であるときは、フロアロック3は、ロック状態に維持されている。
【0056】
シートバック20が定常姿勢からシートクッション10に対して前傾すると、アーム部材100の接触部122がローラ224の被押圧部224aを後方に押す。これにより、ローラ224が支持軸222に対して相対回転しながら、レバー200は、後回転位置に向けて回転中心Aまわりに後回転方向に回転する。ローラ224が支持軸222に対して相対回転することにより、アーム部材100及びレバー200間に生じる摩擦が低減される。
【0057】
レバー200が後回転方向に回転するとき、
図4及び
図5に示されるように、レバー200の切り起こし片230の一部である押圧部232は、切替部材300の当接部320をアンロック位置に向けて押す。これにより、切替部材300は、アンロック位置に向けて回転中心Aまわりに回転する。そうすると、ワイヤーWが引っ張られるため、フロアロック3がアンロック状態となる。
【0058】
その状態からさらにシートバック20が前傾すると、
図6に示されるように、接触部122がローラ224から離間する。そうすると、切替部材300は、切替部材付勢部材500の付勢力(引っ張り力)によってロック位置に向けて回転中心Aまわりに前回転方向に回転する。切替部材300がロック位置に位置すると、切替部材300によるワイヤーWの引っ張りが解除されるため、フロアロック3がロック状態となる。
【0059】
その状態からシートバック20が定常姿勢に向けて後傾すると、
図7に示されるように、アーム部材100の接触部122がローラ224の被押圧部224aを前方に押す。これにより、ローラ224が支持軸222に対して相対回転しながら、レバー200は、前回転位置に向けて回転中心Aまわりに前回転方向に回転する。
【0060】
このとき、押圧部232は、切替部材300の当接部320から離間する方向に移動するため、フロアロック3がロック状態に維持される。
【0061】
以上に説明したように、本実施形態のフロアロック解除機構50では、レバー200の押圧部232は、被押圧部224aとレバー200の回転中心Aとを結ぶ直線に直交する直線に対して被押圧部224aが配置された側と同じ側に配置されているため、被押圧部224aとレバー200の回転中心Aとを結ぶ直線と平行な方向におけるアーム部材100及びレバー200が小型化される。
【0062】
また、当接部320は、押圧部232を含む切り起こし片230と交差する形状を有しているため、当接部320と押圧部232とが直交する場合に比べ、当接部320が小型化される。
【0063】
(第2実施形態)
次に、
図8~
図13を参照しながら、本発明の第2実施形態のフロアロック解除機構50について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
図10~
図13では、ワイヤーWの図示は省略されている。
【0064】
本実施形態では、レバー200は、レバー本体210と突出部220とを有しており、突出部220は、被押圧部224a及び押圧部222aの双方を有している。具体的に、支持軸222は、押圧部222aを有している。
図9に示されるように、押圧部222aは、支持軸222の基端部で構成されている。なお、被押圧部224aは、第1実施形態と同様に、ローラ224の一部で構成されている。
【0065】
なお、
図14に示されるように、ローラ224が被押圧部224a及び押圧部224bの双方を有していてもよい。この場合、押圧部224bは、ローラ224の基端部で構成される。また、支持軸222とローラ224とは、同一の材料で一体的に形成されてもよい。ただし、この場合、アーム部材100の前回転方向への回転時にアーム部材100及びレバー200間に摩擦が生じるため、上記各実施形態のように、ローラ224は、切替部材300から離間していることが好ましい。
【0066】
(第3実施形態)
次に、
図14及び
図15を参照しながら、本発明の第3実施形態のフロアロック解除機構50について説明する。なお、第3実施形態では、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第2実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0067】
この実施形態では、押圧部222aは、支持軸222の先端部で構成されている。切替部材300の当接部320は、切替部材本体310を折り曲げることにより形成されている。当接部320は、レバー本体210から突出部220が突出する向きと同じ向きに切替部材本体310から離間した位置に形成されており、支持軸222の中心軸と直交している。
【0068】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1 シート、2 フロア、3 フロアロック、4 リクライナ、10 シートクッション、11 クッションサイドフレーム、20 シートバック、21 バックサイドフレーム、50 フロアロック解除機構、100 アーム部材、110 上側アーム、120 下側アーム、122 接触部、200 レバー、210 レバー本体、220 突出部、222 支持軸、222a 押圧部、224 ローラ、224a 被押圧部、230 切り起こし片、232 押圧部、300 切替部材、310 切替部材本体、320 当接部、330 支持片、340 付勢部材支持部、400 レバー付勢部材、500 切替部材付勢部材。