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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】判定装置および判定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20231212BHJP
   H02S 50/00 20140101ALI20231212BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20231212BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G01R31/00
H02S50/00
H02J13/00 301A
H02J3/38 130
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020096177
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021189083
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】浅尾 芳久
(72)【発明者】
【氏名】松下 友久
(72)【発明者】
【氏名】中川 和三
(72)【発明者】
【氏名】谷村 晃太郎
【審査官】越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/150777(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/169473(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/096771(WO,A1)
【文献】特開平05-236662(JP,A)
【文献】特開平06-105556(JP,A)
【文献】特開2012-044066(JP,A)
【文献】特開2012-235658(JP,A)
【文献】特開2015-091170(JP,A)
【文献】特開2018-207595(JP,A)
【文献】国際公開第2019/163562(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/00
H02S 50/00
H02J 13/00
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電力変換装置を備える太陽光発電システムに用いられる判定装置であって、
前記複数の電力変換装置の各々に、太陽電池パネルを含む複数の発電部が電気的に接続され、
前記電力変換装置ごとの、各前記発電部の電圧の計測結果および計測時刻を含む計測情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された複数の前記計測情報に基づいて、前記複数の電力変換装置のうちの少なくともいずれか1つの前記電力変換装置の動作状態を判定する判定処理を行う判定部とを備え、
前記判定部は、前記判定処理において、前記複数の電力変換装置のうちの少なくともいずれか2つについて、前記電力変換装置ごとに、同一時刻における、前記電力変換装置に接続される各前記発電部の電圧の計測結果の代表値を特定し、特定した各前記電力変換装置の前記代表値に基づいて、稼働状態の前記電力変換装置である稼働中装置を決定し、各前記電力変換装置の前記代表値と前記稼働中装置の前記代表値とを比較し、比較結果に基づいて、前記代表値を特定した前記電力変換装置の動作状態を判定する、判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記判定処理において、特定した各前記代表値のうち、各前記代表値の最小値と他の前記代表値との比較結果に基づいて、前記他の代表値に対応する前記電力変換装置の動作状態を判定する、請求項に記載の判定装置。
【請求項3】
複数の電力変換装置を備える太陽光発電システムに用いられる判定装置であって、
前記複数の電力変換装置の各々に、太陽電池パネルを含む複数の発電部が電気的に接続され、
前記電力変換装置ごとの、各前記発電部の電流の計測結果および計測時刻を含む計測情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された複数の前記計測情報に基づいて、前記複数の電力変換装置のうちの少なくともいずれか1つの前記電力変換装置の動作状態を判定する判定処理を行う判定部とを備え、
前記判定部は、前記複数の電力変換装置のうちの少なくともいずれか2つの前記電力変換装置について、前記電力変換装置ごとに、同一時刻における、前記電力変換装置に接続される各前記発電部の電流の計測結果の代表値を特定し、特定した各前記電力変換装置の前記代表値に基づいて前記判定処理を行う、判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記電力変換装置ごとに、各前記発電部の電流の計測結果の平均値および中央値に基づいて前記判定処理を行う、請求項に記載の判定装置
【請求項5】
複数の電力変換装置を備える太陽光発電システムに用いられる判定装置における判定方法であって、
前記複数の電力変換装置の各々に、太陽電池パネルを含む複数の発電部が電気的に接続され、
前記電力変換装置ごとの、各前記発電部の電圧の計測結果および計測時刻を含む計測情報を取得するステップと、
取得した複数の前記計測情報に基づいて、前記複数の電力変換装置のうちの少なくともいずれか1つの前記電力変換装置の動作状態を判定するステップとを含み、
前記動作状態を判定するステップにおいては、前記複数の電力変換装置のうちの少なくともいずれか2つについて、前記電力変換装置ごとに、同一時刻における、前記電力変換装置に接続される各前記発電部の電圧の計測結果の代表値を特定し、特定した各前記電力変換装置の前記代表値に基づいて、稼働状態の前記電力変換装置である稼働中装置を決定し、各前記電力変換装置の前記代表値と前記稼働中装置の前記代表値とを比較し、比較結果に基づいて、前記代表値を特定した前記電力変換装置の動作状態を判定する、判定方法。
【請求項6】
複数の電力変換装置を備える太陽光発電システムに用いられる判定装置における判定方法であって、
前記複数の電力変換装置の各々に、太陽電池パネルを含む複数の発電部が電気的に接続され、
前記電力変換装置ごとの、各前記発電部の電流の計測結果および計測時刻を含む計測情報を取得するステップと、
取得した複数の前記計測情報に基づいて、前記複数の電力変換装置のうちの少なくともいずれか1つの前記電力変換装置の動作状態を判定する判定処理を行うステップとを含み、
前記動作状態を判定するステップにおいては、前記複数の電力変換装置のうちの少なくともいずれか2つの前記電力変換装置について、前記電力変換装置ごとに、同一時刻における、前記電力変換装置に接続される各前記発電部の電流の計測結果の代表値を特定し、特定した各前記電力変換装置の前記代表値に基づいて前記判定処理を行う、判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、判定装置および判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電システムを監視して異常を判別するための技術が開発されている。たとえば、特開2012-205078号公報(特許文献1)には、以下のような太陽光発電用監視システムが開示されている。すなわち、太陽光発電用監視システムは、複数の太陽電池パネルからの出力を集約して電力変換装置に送り込む太陽光発電システムについて、前記太陽電池パネルの発電状況を監視する太陽光発電用監視システムであって、前記複数の太陽電池パネルからの出力電路が集約された場所に設けられ、各太陽電池パネルの発電量を計測する計測装置と、前記計測装置に接続され、前記計測装置による発電量の計測データを送信する機能を有する下位側通信装置と、前記下位側通信装置から送信される前記計測データを受信する機能を有する上位側通信装置と、前記上位側通信装置を介して前記太陽電池パネルごとの前記計測データを収集する機能を有する判定装置とを備える。前記判定装置は、前記各太陽電池パネルについての、同一時点における発電量の差に基づいて異常の有無を判定するか、または前記各太陽電池パネルについての、所定期間の発電量の最大値又は積算値に基づいて異常の有無を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-205078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような特許文献1に記載の技術を超えて、太陽光発電システムの状態を判定可能なシステムにおいて、より優れた機能を実現することが可能な技術が望まれる。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、太陽光発電システムの状態を判定可能なシステムにおいて、より優れた機能を実現することが可能な判定装置および判定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の判定装置は、複数の電力変換装置を備える太陽光発電システムに用いられる判定装置であって、太陽電池パネルを含む複数の発電部が前記電力変換装置に電気的に接続され、各前記発電部の電流の計測結果および電圧の計測結果の少なくともいずれか一方を含む計測情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された複数の前記計測情報に基づいて、前記複数の電力変換装置のうちの少なくともいずれか1つの前記電力変換装置の動作状態を判定する判定処理を行う判定部とを備える。
【0007】
本開示の判定方法は、複数の電力変換装置を備える太陽光発電システムに用いられる判定装置における判定方法であって、太陽電池パネルを含む複数の発電部が前記電力変換装置に電気的に接続され、各前記発電部の電流の計測結果および電圧の計測結果の少なくともいずれか一方を含む計測情報を取得するステップと、取得した複数の前記計測情報に基づいて、前記複数の電力変換装置のうちの少なくともいずれか1つの前記電力変換装置の動作状態を判定するステップとを含む。
【0008】
本開示は、このような特徴的な処理部を備える判定装置として実現できるだけでなく、判定装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、判定装置を含む判定システムとして実現され得る。また、本開示は、判定方法における処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、太陽光発電システムの状態を判定可能なシステムにおいて、より優れた機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施の形態に係る太陽光発電システムの構成を示す図である。
図2図2は、本開示の実施の形態に係るPCSユニットの構成を示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態に係る集電ユニットの構成を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態に係る太陽電池ユニットの構成を示す図である。
図5図5は、本開示の実施の形態に係る判定システムの構成を示す図である。
図6図6は、本開示の実施の形態に係る判定システムにおける監視装置の構成を示す図である。
図7図7は、本開示の実施の形態に係る判定システムの判定対象を全体的に示す図である。
図8図8は、本開示の実施の形態に係る判定装置の構成を示す図である。
図9図9は、本開示の実施の形態に係る判定装置における記憶部に保存されている対応テーブルの一例を示す図である。
図10図10は、本開示の実施の形態に係る判定装置における記憶部に保存されている各計測結果の一例を示す図である。
図11図11は、本開示の実施の形態に係る太陽光発電システムにおける電流センサの計測結果の一例を示す図である。
図12図12は、本開示の実施の形態に係る太陽光発電システムにおける電圧センサの計測結果の一例を示す図である。
図13図13は、本開示の実施の形態に係る太陽光発電システムにおける電流センサの計測結果の他の例を示す図である。
図14図14は、本開示の実施の形態に係る太陽光発電システムにおける電圧センサの計測結果の他の例を示す図である。
図15図15は、本開示の実施の形態に係る判定装置がPCS判定処理および発電部判定処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0012】
(1)本開示の実施の形態に係る判定装置は、複数の電力変換装置を備える太陽光発電システムに用いられる判定装置であって、太陽電池パネルを含む複数の発電部が前記電力変換装置に電気的に接続され、各前記発電部の電流の計測結果および電圧の計測結果の少なくともいずれか一方を含む計測情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された複数の前記計測情報に基づいて、前記複数の電力変換装置のうちの少なくともいずれか1つの前記電力変換装置の動作状態を判定する判定処理を行う判定部とを備える。
【0013】
ここで、大規模な発電所等において、系統へ出力される電力の売電量の遠隔監視が行われる一方で、電力変換装置単体での動作状態の遠隔監視は行われないことがある。このような発電所等において、たとえば売電量がゼロではないが少ない場合、電力変換装置の動作不良が原因であるのか、または天候等が原因であるのかを判別することが困難である。
【0014】
これに対して、上記のような構成により、電力変換装置の動作状態を判定することができるため、たとえば売電量がゼロではないが少ない場合において、電力変換装置が原因であるか否かを判別することができる。また、電力変換装置単体での動作状態を判定することにより、たとえば、停止状態である電力変換装置を特定することができる。したがって、太陽光発電システムの状態を判定可能なシステムにおいて、より優れた機能を実現することができる。
【0015】
(2)好ましくは、前記判定部は、前記判定処理において、前記複数の電力変換装置のうちの少なくともいずれか2つについて、前記電力変換装置に接続される各前記発電部の電圧の計測結果の代表値を特定し、特定した各前記電力変換装置の前記代表値同士を比較し、比較結果に基づいて、前記代表値を特定した前記電力変換装置の動作状態を判定する。
【0016】
たとえば、日中の時間帯において電力変換装置が稼働状態である場合、当該電力変換装置に接続された発電部の電圧の計測結果は、太陽電池パネルの発電量が最大となる最適動作電圧付近の値で推移する。これに対して、電力変換装置が稼働状態から停止状態に切り替わると、当該電力変換装置に接続された発電部の電圧の計測結果は、最適動作電圧よりも高い開放電圧まで上昇する。
【0017】
このため、上記のように、各電力変換装置に対応する電圧同士を比較する構成により、たとえば、他の電力変換装置よりも高い電圧が計測された電力変換装置の動作状態を停止状態と判定するなど、複雑な判定処理を行うことなく各電力変換装置の動作状態を判定することができる。
【0018】
(3)好ましくは、前記判定部は、前記複数の電力変換装置のうちの少なくともいずれか1つの前記電力変換装置に接続される各前記発電部の電流の計測結果に基づいて前記判定処理を行う。
【0019】
たとえば、日中の時間帯において電力変換装置が稼働状態から停止状態に切り替わると、当該電力変換装置に接続された発電部の電流の計測結果は、ゼロ付近の値となる。
【0020】
このため、上記のような構成により、たとえば、ゼロ付近の電流が計測された電力変換装置の動作状態を停止状態と判定するなど、複雑な判定処理を行うことなく各電力変換装置の動作状態を判定することができる。
【0021】
(4)より好ましくは、前記判定部は、各前記発電部の電流の計測結果の平均値および中央値に基づいて前記判定処理を行う。
【0022】
たとえば、同一の電力変換装置の配下に設けられた複数の発電部のうちの一部が影の影響を受けて極めて低い発電状態となることにより、各発電部の電流の計測結果が2極化したとする。このような場合であって、影の影響を受けた発電部の電流の計測結果が、電流の計測結果の中央値として特定された場合、精度の高い判定結果を得ることができない。
【0023】
また、たとえば、同一の電力変換装置の配下に設けられた複数の発電部のうちの少なくともいずれか1つにおいて、他の電流センサとのオフセットのずれ、または出力電流の逆流等の不具合が生じることがある。このような場合、各発電部の電流の計測結果の平均値は、不具合が生じている発電部の電流の計測結果が反映されるため、精度の高い判定結果を得ることができない。
【0024】
これに対して、上記のように、各発電部の電流の計測結果の平均値および中央値の両方に基づいて判定処理を行う構成により、電力変換装置の動作状態の判定をより高い精度で行うことができる。
【0025】
(5)好ましくは、前記取得部は、各前記発電部の電流の計測結果および電圧の計測結果の両方を含む前記計測情報を取得し、前記判定部は、前記複数の電力変換装置のうちの少なくともいずれか1つの前記電力変換装置に接続される各前記発電部の電流の計測結果および電圧の計測結果の両方に基づいて前記判定処理を行う。
【0026】
このように、判定処理において、各発電部の電圧の計測結果および電流の計測結果の両方を用いる構成により、電力変換装置の動作状態の判定をより一層高い精度で行うことができる。
【0027】
(6)本開示の実施の形態に係る判定方法は、複数の電力変換装置を備える太陽光発電システムに用いられる判定装置における判定方法であって、太陽電池パネルを含む複数の発電部が前記電力変換装置に電気的に接続され、各前記発電部の電流の計測結果および電圧の計測結果の少なくともいずれか一方を含む計測情報を取得するステップと、取得した複数の前記計測情報に基づいて、前記複数の電力変換装置のうちの少なくともいずれか1つの前記電力変換装置の動作状態を判定するステップとを含む。
【0028】
ここで、大規模な発電所等において、系統へ出力される電力の売電量の遠隔監視が行われる一方で、電力変換装置単体での動作状態の遠隔監視は行われないことがある。このような発電所等において、たとえば売電量がゼロではないが少ない場合、電力変換装置の動作不良が原因であるのか、または天候等が原因であるのかを判別することが困難である。
【0029】
これに対して、上記のような方法により、電力変換装置の動作状態を判定することができるため、たとえば売電量がゼロではないが少ない場合において、電力変換装置が原因であるか否かを判別することができる。また、電力変換装置単体での動作状態を判定することにより、たとえば、停止状態である電力変換装置を特定することができる。したがって、太陽光発電システムの状態を判定可能なシステムにおいて、より優れた機能を実現することができる。
【0030】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0031】
<構成および基本動作>
[太陽光発電システムの構成]
図1は、本開示の実施の形態に係る太陽光発電システムの構成を示す図である。
【0032】
図1を参照して、太陽光発電システム401は、4つのPCS(Power Conditioning Subsystem)ユニット80と、キュービクル6とを備える。キュービクル6は、銅バー73と、変圧器10とを含む。
【0033】
図1では、4つのPCSユニット80を代表的に示しているが、さらに多数または少数のPCSユニット80が設けられてもよい。
【0034】
図2は、本開示の実施の形態に係るPCSユニットの構成を示す図である。
【0035】
図2を参照して、PCSユニット80は、4つの集電ユニット60と、PCS(電力変換装置)8とを備える。PCS8は、銅バー7と、電力変換部9と、収集部21とを含む。
【0036】
図2では、4つの集電ユニット60を代表的に示しているが、さらに多数または少数の集電ユニット60が設けられてもよい。
【0037】
また、収集部21は、PCS8の内部に設けられる代わりに、PCS8の外部の装置に設けられてもよい。収集部21が設けられる外部の装置を収集装置とすると、収集装置は、たとえば、PCS8の近傍に設けられ、PCS8内の銅バー7を介して互いに接続された後述する各集約ライン5のいずれか1つに接続される。
【0038】
図3は、本開示の実施の形態に係る集電ユニットの構成を示す図である。
【0039】
図3を参照して、集電ユニット60は、4つの太陽電池ユニット74を有する。
【0040】
図3では、4つの太陽電池ユニット74を代表的に示しているが、さらに多数または少数の太陽電池ユニット74が設けられてもよい。
【0041】
図4は、本開示の実施の形態に係る太陽電池ユニットの構成を示す図である。
【0042】
図4を参照して、太陽電池ユニット74は、4つの発電部78A,78B,78C,78Dと、接続箱76とを含む。発電部78は、太陽電池パネル79を有する。接続箱76は、銅バー77を有する。以下、発電部78A,78B,78C,78Dの各々を発電部78とも称する。
【0043】
図4では、4つの発電部78を代表的に示しているが、さらに多数または少数の発電部78が設けられてもよい。
【0044】
発電部78は、この例では4つの太陽電池パネル79が直列接続されたストリングである。
【0045】
図4では、4つの太陽電池パネル79を代表的に示しているが、さらに多数または少数の太陽電池パネルが設けられてもよい。
【0046】
太陽光発電システム401では、複数の発電部78からの出力ラインおよび集約ラインすなわち電力線がそれぞれ、図1に示すキュービクル6に電気的に接続される。
【0047】
より詳細には、発電部78の出力ライン1は、発電部78に接続された第1端と、銅バー77に接続された第2端とを有する。各出力ライン1は、銅バー77を介して集約ライン5に集約される。銅バー77は、たとえば接続箱76の内部に設けられている。
【0048】
発電部78は、太陽光を受けると、受けた太陽光のエネルギーを直流電力に変換し、変換した直流電力を出力ライン1へ出力する。
【0049】
図3および図4を参照して、集約ライン5は、対応の太陽電池ユニット74における銅バー77に接続された第1端と、銅バー7に接続された第2端とを有する。
【0050】
図1図4を参照して、太陽光発電システム401では、上述のように複数の発電部78からの各出力ライン1が集約ライン5に集約され、各集約ライン5が集約ライン4に集約され、各集約ライン4がキュービクル6に電気的に接続される。
【0051】
より詳細には、PCS8において、内部ライン3は、銅バー7に接続された第1端と、電力変換部9に接続された第2端とを有する。
【0052】
PCS8において、電力変換部9は、たとえば、各発電部78において発電された直流電力を出力ライン1、銅バー77、集約ライン5、銅バー7および内部ライン3経由で受けると、受けた直流電力を交流電力に変換して集約ライン4へ出力する。
【0053】
集約ライン4は、電力変換部9に接続された第1端と、銅バー73に接続された第2端とを有する。
【0054】
キュービクル6において、各PCS8における電力変換部9から各集約ライン4へ出力された交流電力は、銅バー73を介して変圧器10へ出力される。そして、変圧器10において電圧の高さが変換された交流電力は、系統へ出力される。
【0055】
[判定システムの構成]
図5は、本開示の実施の形態に係る判定システムの構成を示す図である。
【0056】
図5を参照して、太陽光発電システム401は、判定システム301を備える。判定システム301は、判定装置101と、複数の監視装置111とを含む。
【0057】
図5では、1つの集電ユニット60に対応して設けられた4つの監視装置111を代表的に示しているが、さらに多数または少数の監視装置111が設けられてもよい。
【0058】
判定システム301では、監視装置111におけるセンサによる計測結果に基づく情報(以下、「計測情報」とも称する。)が、PCS8における収集部21へ定期的または不定期に伝送される。
【0059】
監視装置111は、たとえば集電ユニット60に設けられている。より詳細には、監視装置111は、4つの太陽電池ユニット74にそれぞれ対応して4つ設けられている。各監視装置111は、たとえば、対応の出力ライン1および集約ライン5に電気的に接続されている。
【0060】
監視装置111は、対応の太陽電池ユニット74における各出力ライン1の電流をセンサにより計測する。また、監視装置111は、対応の太陽電池ユニット74における各出力ライン1の電圧をセンサにより計測する。
【0061】
PCS8における収集部21は、各監視装置111の計測結果を収集する。より詳細には、収集部21は、たとえば、各監視装置111から送信された複数の計測情報を一括して判定装置101へ送信する。
【0062】
判定装置101は、たとえばPCS8の近傍に設けられ、PCS8に電気的に接続されている。
【0063】
監視装置111およびPCS8は、たとえば、集約ライン5を介して電力線通信(PLC:Power Line Communication)を行うことにより、計測情報の送受信を行う。PCS8および判定装置101は、たとえば、LAN(Local Area Network)を用いた通信を行うことにより、計測情報の送受信を行う。
【0064】
[監視装置の構成]
図6は、本開示の実施の形態に係る判定システムにおける監視装置の構成を示す図である。図6では、接続箱76の内部がより詳細に示されている。
【0065】
図6を参照して、接続箱76は、集約部91と、出力ライン1と、集約ライン5と、銅バー77とを含む。
【0066】
出力ライン1の各々は、プラス側出力ライン1pと、マイナス側出力ライン1nとを含む。
【0067】
集約ライン5は、プラス側集約ライン5pと、マイナス側集約ライン5nとを含む。集約部91は、銅バー77を含み、複数の発電部78からの出力ライン1を集約する。銅バー77は、プラス側銅バー77pと、マイナス側銅バー77nとを有する。
【0068】
図示しないが、図5に示すPCS8における銅バー7は、プラス側集約ライン5pおよびマイナス側集約ライン5nにそれぞれ対応して、プラス側銅バー7pおよびマイナス側銅バー7nを含む。
【0069】
より詳細には、プラス側出力ライン1pは、対応の発電部78に接続された第1端と、プラス側銅バー77pに接続された第2端とを有する。
【0070】
マイナス側出力ライン1nは、対応の発電部78に接続された第1端と、マイナス側銅バー77nに接続された第2端とを有する。
【0071】
プラス側集約ライン5pは、プラス側銅バー77pに接続された第1端と、PCS8におけるプラス側銅バー7pに接続された第2端とを有する。マイナス側集約ライン5nは、マイナス側銅バー77nに接続された第1端と、PCS8におけるマイナス側銅バー7nに接続された第2端とを有する。
【0072】
監視装置111は、取得部11と、通信部14と、電圧センサ17と、記憶部18と、計測部19とを備える。計測部19は、4つの電流センサ16を含む。なお、監視装置111は、出力ライン1の数に応じて、さらに多数または少数の電流センサ16を備えてもよい。
【0073】
監視装置111は、たとえば、発電部78の近傍に設けられている。具体的には、監視装置111は、たとえば、計測対象の出力ライン1が接続された銅バー77が設けられた接続箱76の内部に設けられている。なお、監視装置111は、接続箱76の外部に設けられてもよい。
【0074】
監視装置111は、たとえば、プラス側集約ライン5pおよびマイナス側集約ライン5nとそれぞれプラス側電源線26pおよびマイナス側電源線26nを介して電気的に接続されている。以下、プラス側電源線26pおよびマイナス側電源線26nの各々を、電源線26とも称する。
【0075】
取得部11は、発電部78の電流の計測結果を取得する。より詳細には、取得部11は、電流センサ16により計測された出力ライン1の電流を示す計測結果を取得する。
【0076】
具体的には、電流センサ16は、たとえば、ホール素子タイプの電流プローブである。電流センサ16は、発電部78とPCS8との間に接続され、監視装置111の図示しない電源回路から受けた電力を用いて、対応のプラス側出力ライン1pを通して流れる電流を、たとえば所定時間ごとに計測し、計測結果を示す信号を取得部11へ出力する。なお、電流センサ16は、マイナス側出力ライン1nを通して流れる電流を計測してもよい。
【0077】
電圧センサ17は、たとえば所定時間ごとに出力ライン1の電圧を計測する。より詳細には、電圧センサ17は、プラス側銅バー77pおよびマイナス側銅バー77n間の電圧を計測し、計測結果を示す信号を取得部11へ出力する。
【0078】
取得部11は、たとえば、電流センサ16および電圧センサ17から受けた各々の信号に含まれる計測結果、対応の電流センサ16のIDおよび電圧センサ17のID、ならびに計測結果を取得した時刻を含む計測情報を記憶部18に保存する。
【0079】
なお、計測情報は、電流センサ16の計測結果および電圧センサ17の計測結果の両方を含む情報に限らず、電流センサ16の計測結果および電圧センサ17の計測結果いずれか一方を含まない情報であってもよい。
【0080】
通信部14は、集約ラインを介した電力線通信を、図5に示すPCS8と行うことが可能である。より詳細には、通信部14は、電源線26および集約ライン5を介してPCS8と電力線通信を行うことにより、情報の送受信を行うことができる。
【0081】
具体的には、通信部14は、たとえば、記憶部18に保存されている最新の計測情報を定期的または不定期に取得し、取得した計測情報をPCS8へ送信する。
【0082】
[判定システムの判定対象]
図7は、本開示の実施の形態に係る判定システムの判定対象を全体的に示す図である。
【0083】
図7を参照して、太陽光発電システム401は、判定装置101と、親機である複数のPCS8と、子機である複数の接続箱76と、複数の発電部78とを備える。
【0084】
各PCS8には、太陽電池パネル79を含む複数の発電部78が電気的に接続されている。より詳細には、各PCS8には、1または複数の接続箱76が接続されている。各接続箱76には、1または複数の発電部78が接続されている。発電部78の各々は、複数の太陽電池パネル79を有する。また、図6に示すように、接続箱76の各々に監視装置111が設けられている。
【0085】
図8は、本開示の実施の形態に係る判定装置の構成を示す図である。
【0086】
図8を参照して、判定装置101は、計測情報取得部31と、記憶部32と、判定部33と、通信部34とを備える。判定部33は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)およびDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサにより実現される。通信部34は、たとえば通信用IC(Integrated Circuit)等の通信回路により実現される。記憶部32は、たとえば不揮発性メモリである。
【0087】
図9は、本開示の実施の形態に係る判定装置における記憶部に保存されている対応テーブルの一例を示す図である。
【0088】
図9を参照して、記憶部32には、太陽光発電システム401に設けられたPCS8と、各PCS8に接続された接続箱76と、各接続箱76に設けられた電流センサ16および電圧センサ17との対応関係を示す対応テーブルT1が保存されている。
【0089】
ここでは、PCS8として、3つのPCS8a,PCS8b,PCS8cについて代表的に説明する。PCS8aの配下に、接続箱76として、接続箱76a1,76a2,76a3が設けられている。また、PCS8bの配下に、接続箱76として、接続箱76b1,76b2,76b3が設けられている。また、PCS8cの配下に、接続箱76として、接続箱76c1,76c2,76c3が設けられている。
【0090】
対応テーブルT1は、接続箱76a1に、IDがそれぞれ「Ia11」,「Ia12」,「Ia13」の3つの電流センサ16、ならびにIDが「Va1」の電圧センサ17が設けられていることを示す。同様に、対応テーブルT1は、他の各接続箱76に設けられている複数の電流センサ16および電圧センサ17の各々のIDを示す。
【0091】
再び図8を参照して、計測情報取得部31は、各発電部78の電流の計測結果および電圧の計測結果の少なくともいずれか一方を含む計測情報を取得する。各発電部78の電流および電圧は、たとえば、図6に示すように、対応する接続箱76において計測される。
【0092】
より詳細には、計測情報取得部31は、各接続箱76における監視装置111から送信された計測情報を、対応するPCS8経由で受信する。そして、計測情報取得部31は、受信した計測情報の示す電流センサ16の計測結果および電圧センサ17の計測結果を記憶部32に保存する。
【0093】
以下、接続箱76における監視装置111から送信された計測情報を、「接続箱76からの計測情報」とも称する。
【0094】
図10は、本開示の実施の形態に係る判定装置における記憶部に保存されている各計測結果の一例を示す図である。
【0095】
図10を参照して、記憶部32には、電流センサ16の計測結果および電圧センサ17の計測結果の一覧である計測結果ログT2が保存されている。
【0096】
計測情報取得部31は、受信した計測情報および図8に示す対応テーブルT1を参照して、たとえば、各電流センサ16の計測結果および各電圧センサ17の計測結果を時系列に並べて計測結果ログT2に登録する。
【0097】
具体的には、時刻t1を含む計測情報であって、接続箱76a1からの計測情報の示す3つの電流センサ16の計測結果がそれぞれ「5.0A」,「5.3A」,「5.1A」であり、電圧センサ17の計測結果が「500V」であるとする。この場合、計測情報取得部31は、計測結果ログT2における対応箇所に、電流センサ16の計測結果「5.0A」,「5.3A」,「5.1A」、および電圧センサ17の計測結果「500V」を書き込む。
【0098】
また、次の時刻t2を含む計測情報であって、接続箱76a1からの計測情報の示す3つの電流センサ16の計測結果がそれぞれ「5.1A」,「5.2A」,「5.2A」であり、電圧センサ17の計測結果が「500V」であるとする。この場合、計測情報取得部31は、計測結果ログT2における対応箇所に、電流センサ16の計測結果「5.1A」,「5.2A」,「5.2A」、および電圧センサ17の計測結果「500V」を書き込む。
【0099】
次の時刻t3以降についても同様に、計測情報取得部31は、計測結果ログT2における対応箇所に、電流センサ16の計測結果および電圧センサ17の計測結果を書き込む。
【0100】
また、計測情報取得部31は、他の接続箱76a2,76a3,76b1,76b2,76b3,76c1,76c2,76c3についても同様に、計測結果ログT2における対応箇所に、電流センサ16の計測結果および電圧センサ17の計測結果を書き込む。
【0101】
(PCSの状態と、電流の計測結果および電圧の計測結果との関係)
(a)PCSが日中に稼働している場合
図11は、本開示の実施の形態に係る太陽光発電システムにおける電流センサの計測結果の一例を示す図である。図11において、横軸は時間を示し、縦軸は電流センサ16の計測結果すなわち電流値を示す。
【0102】
図11を参照して、ここでは、ある出力ライン1において、朝方の時刻taまで電流が流れず、時刻taから夕方の時刻tbまでは対応の発電部78における発電電力に応じた電流が流れ、時刻tb以降は電流が流れないとする。
【0103】
この場合、グラフGi1に示すように、電流値は、時刻taまではゼロであり、時刻ta以降、徐々に上昇して昼間の時間帯において最大値となる。その後、電流値は、徐々に下がり夕方の時刻tbにおいてゼロ付近の値となる。
【0104】
図12は、本開示の実施の形態に係る太陽光発電システムにおける電圧センサの計測結果の一例を示す図である。図12において、横軸は時間を示し、縦軸は電圧センサ17の計測結果すなわち電圧値を示す。
【0105】
図12を参照して、図11と同様の状況である場合、グラフGv1に示すように、電圧値は、時刻taまではPCS起動開始電圧Vmまで徐々に上昇する。その後、時刻taにおいてPCS8の起動により出力ライン1に電流が流れると、電圧値は、PCS起動開始電圧Vmよりも下がり、太陽電池パネル79の発電量が最大となる最適動作電圧付近の値で推移する。
【0106】
より詳細には、PCS8稼働中の電圧値を動作電圧Vpとすると、動作電圧Vpは、時刻ta以降徐々に上昇して昼間の時間帯において最大値となり、その後徐々に下がる。そして、動作電圧Vpが所定値まで下がるとPCS8が停止する。
【0107】
また、電圧値は、時刻tbにおいてPCS8が停止すると、開放電圧Vo1まで再び上昇し、その後徐々に下がる。夕方の時刻tbにおける開放電圧Vo1は、一般的に、朝方の時刻taにおける開放電圧、すなわちPCS起動開始電圧Vmよりも低い。
【0108】
(b)PCSが日中に停止した場合
図13は、本開示の実施の形態に係る太陽光発電システムにおける電流センサの計測結果の他の例を示す図である。図13において、横軸は時間を示し、縦軸は電流センサ16の計測結果すなわち電流値を示す。
【0109】
図13を参照してたとえば、時刻taから時刻tbまでの間の時刻tcにおいて、あるPCS8が停止したとする。この場合、グラフGi2に示すように、当該PCS8に接続された接続箱76における電流値は、時刻ta以降において徐々に上昇した後、時刻tcにおいてゼロ付近の値となる。
【0110】
図14は、本開示の実施の形態に係る太陽光発電システムにおける電圧センサの計測結果の他の例を示す図である。図14において、横軸は時間を示し、縦軸は電圧センサ17の計測結果すなわち電圧値を示す。
【0111】
図14を参照して、図13と同様の状況である場合、グラフGv2に示すように、接続箱76における電圧値は、時刻tcにおいてPCS8が停止すると、開放電圧Vo2まで上昇し、その後徐々に下がる。
【0112】
昼間の時刻tcにおける開放電圧Vo2は、時刻tcにおける日射等に応じた値となるため、一般的に、図12に示す夕方の時刻tbにおける開放電圧Vo1よりも高い。以下、開放電圧Vo1,Vo2の各々を、開放電圧Voとも称する。
【0113】
図11図14に示すように、判定装置101は、電流センサ16の計測結果および電圧センサ17の計測結果の少なくともいずれか一方に基づいて、PCS8の動作状態を判定することができる。PCS8の動作状態とは、たとえば稼働状態または停止状態である。
【0114】
(PCS判定処理)
再び図8および図10を参照して、判定装置101における判定部33は、記憶部32に保存されている計測結果ログT2を参照して、計測情報取得部31によって取得された複数の計測情報に基づいて、複数のPCS8のうちの少なくともいずれか1つのPCS8の動作状態を判定するPCS判定処理を行う。
【0115】
より詳細には、判定部33は、PCS8に接続される各発電部78の電流の計測結果および電圧の計測結果の両方に基づいて、PCS8ごとに動作状態を判定する。
【0116】
(a)電圧判定処理の具体例
判定部33は、PCS8に接続される各接続箱76における電圧センサ17の計測結果に基づいて、PCS8ごとに動作状態を判定する電圧判定処理を行う。以下、電圧判定処理の具体例について説明する。
【0117】
(a-1)代表電圧値の特定
判定部33は、計測結果ログT2を参照して、PCS8に接続される各発電部78の電圧の計測結果の中央値を、PCS8ごとに特定する。以下、特定された中央値を、「代表電圧値」とも称する。
【0118】
具体的には、判定部33は、時刻t1に対応する電圧値であって、接続箱76a1の電圧値「500V」、接続箱76a2の電圧値「505V」、および接続箱76a3の電圧値「503V」の中央値である「503V」を、PCS8aの時刻t1における代表電圧値として特定する。
【0119】
また、判定部33は、時刻t1に対応する電圧値であって、接続箱76b1の電圧値「502V」、接続箱76b2の電圧値「501V」、および接続箱76b3の電圧値「504V」の中央値である「502V」を、PCS8bの時刻t1における代表電圧値として特定する。
【0120】
また、判定部33は、時刻t1に対応する電圧値であって、接続箱76c1の電圧値「501V」、接続箱76c2の電圧値「505V」、および接続箱76c3の電圧値「504V」の中央値である「504V」を、PCS8cの時刻t1における代表電圧値として特定する。
【0121】
(a-2)稼働状態であるPCSの決定
判定部33は、同一の時刻における各PCS8の代表電圧値のうちの最小値(以下、「最小電圧値」とも称する。)を特定する。そして、判定部33は、特定した最小電圧値に対応するPCS8を、当該時刻において稼働状態であるPCS8として決定する。
【0122】
具体的には、図10に示す例では、判定部33は、時刻t1における最小電圧値として、PCS8bの代表電圧値「502V」を特定する。この場合、判定部33は、時刻t1において稼働状態であるPCS8として、PCS8bを決定する。
【0123】
(a-3)代表電圧値の比較
判定部33は、特定した各PCS8の代表電圧値同士を比較し、比較結果に基づいて、複数のPCS8の動作状態を判定する。
【0124】
より詳細には、図12および図14に示すように、停止状態であるPCS8に接続された各発電部78の電圧値は、動作電圧Vpの最大値よりも高い開放電圧Vo付近まで上昇する。
【0125】
このため、判定部33は、たとえば、同一の時刻における各PCS8の代表電圧値と最小電圧値との差を算出し、算出した差が電圧閾値Thv以上であるか否かを確認することにより、各PCS8が停止状態であるか否かを判定することができる。電圧閾値Thvは、たとえば40Vであり、月単位で設定可能である。
【0126】
具体的には、判定部33は、判定期間において、計測結果ログT2を参照して、各接続箱76における最新の電圧値を用いて、上述のような各PCS8の代表電圧値の特定、稼働状態であるPCS8の決定、および各PCS8の代表電圧値と最小電圧値との比較を所定の時間間隔で行う。
【0127】
所定の時間間隔は、たとえば1分である。判定期間は、たとえば、日の出時刻の60分後から、日の入り時刻の60分前までの期間である。日の出時刻および日の入り時刻は、たとえば、月単位で設定可能であり、それぞれ、6時および18時などと設定される。
【0128】
判定部33は、たとえば、代表電圧値と最小電圧値との差が電圧閾値Thv以上である状態が所定時間以上継続する場合、当該代表電圧値に対応するPCS8が停止状態であると判定する。所定時間は、たとえば10分である。
【0129】
具体的には、図10に示す例では、時刻t1における、PCS8aの代表電圧値「503V」と、PCS8bの代表電圧値である最小電圧値「502V」との差「1V」は、電圧閾値Thv未満である。
【0130】
また、時刻t1における、PCS8cの代表電圧値「504V」と、PCS8bの代表電圧値である最小電圧値「502V」との差「2V」は、電圧閾値Thv未満である。
【0131】
この場合、判定部33は、時刻t1においてPCS8a,8b,8cはいずれも稼働状態であると判定する。
【0132】
また、時刻t2において、PCS8aの代表電圧値は「503V」であり、PCS8bの代表電圧値は「562V」であり、PCS8cの代表電圧値は「504V」である。この場合、判定部33は、時刻t2において稼働状態であるPCS8として、PCS8aを決定する。
【0133】
時刻t2における、PCS8cの代表電圧値「504V」とPCS8aの代表電圧値である最小電圧値「503V」との差は「1V」であり、電圧閾値Thv未満である。このため、判定部33は、時刻t2においてPCS8a,8cは稼働状態であると判定する。
【0134】
一方、時刻t2における、PCS8bの代表電圧値「562V」とPCS8aの代表電圧値である最小電圧値「503V」との差は「59V」であり、電圧閾値Thv以上である。判定部33は、時刻t2以降、このような状態が所定時間継続する場合、時刻t2以降の期間においてPCS8bは停止状態であると判定する。
【0135】
なお、判定部33は、PCS8に接続される各接続箱76における電圧値の中央値を代表電圧値とする構成に限定されない。たとえば、判定部33は、PCS8に接続される各接続箱76における電圧値の平均値などを代表電圧値として算出してもよい。
【0136】
しかしながら、たとえば、同一のPCS8に接続される複数の接続箱76のうちの少なくともいずれか1つに不具合が生じている場合、各接続箱76における電圧値の平均値は、不具合が生じている接続箱76における電圧値の影響を受ける。
【0137】
すなわち、不具合が生じている接続箱76における電圧値の計測結果の影響を大きく受けることなく電圧判定処理を行うためには、PCS8に接続される各接続箱76における電圧値の中央値を代表電圧値とする構成が好ましい。
【0138】
また、判定部33は、電圧判定処理において、各PCS8の代表電圧値同士を比較する構成に限定されず、各PCS8における各発電部78の電圧の計測結果を他の何らかの方法で用いる判定処理を行う構成であってもよい。
【0139】
(b)電流判定処理の具体例
判定部33は、PCS8に接続される各発電部78の電流の計測結果に基づいて、PCS8ごとに動作状態を判定する電流判定処理を行う。以下、電流判定処理の具体例について説明する。
【0140】
(b-1)電流平均値の算出および電流中央値の特定
判定部33は、計測結果ログT2を参照して、PCS8ごとに、各発電部78の電流値の平均値の絶対値の算出、および各発電部78の電流値の中央値の絶対値の特定を行う。算出された平均値の絶対値を、以下「電流平均値」とも称する。また、特定された中央値の絶対値を、以下「電流中央値」とも称する。
【0141】
電流値は、出力ライン1において電流が逆流することによりマイナスの値となることがある。このため、判定部33は、電流平均値として平均値の絶対値を算出し、電流中央値として中央値の絶対値を特定する。
【0142】
具体的には、判定部33は、時刻t1における電流値であって、PCS8aに接続されている9つの接続箱76a1,76a2,76a3,76b1,76b2,76b3,76c1,76c2,76c3にそれぞれ対応する9つの電流値「5.0A」,「5.3A」,「5.1A」,「5.3A」,「5.4A」,「5.5A」,「5.9A」,「5.7A」,「5.5A」の電流平均値の算出および電流中央値の特定を行う。
【0143】
すなわち、判定部33は、PCS8aの時刻t1における電流平均値および電流中央値として、それぞれ「5.41A」および「5.4A」を算出する。
【0144】
また、判定部33は、PCS8bに対しても同様に、時刻t1における電流平均値および電流中央値として、それぞれ「5.16A」および「5.2A」を算出する。
【0145】
また、判定部33は、PCS8cに対しても同様に、時刻t1における電流平均値および電流中央値として、それぞれ「5.17A」および「5.1A」を算出する。
【0146】
(b-2)電流平均値と第1電流閾値との比較、および電流中央値と第2電流閾値との比較
【0147】
図11および図13に示すように、停止状態であるPCS8に接続された各発電部78の電流値は、ゼロ付近の値となる。
【0148】
このため、判定部33は、たとえば、各PCS8の電流平均値が第1電流閾値Thi1未満であるか否かを確認することにより、各PCS8が停止状態であるか否かを判定することができる。
【0149】
また、判定部33は、たとえば、各PCS8の電流中央値が第2電流閾値Thi2未満であるか否かを確認することにより、各PCS8が停止状態であるか否かを判定することができる。
【0150】
第1電流閾値Thi1は、たとえば「0.3A」であり、月単位で設定可能である。第2電流閾値Thi2は、たとえば0.5Aであり、月単位で設定可能である。
【0151】
具体的には、判定部33は、判定期間において、計測結果ログT2を参照して、各接続箱76における最新の電流値を用いて、上述のように、PCS8ごとに、電流平均値の算出および電流中央値の特定、電流平均値と第1電流閾値Thi1との比較、ならびに電流中央値と第2電流閾値Thi2との比較を所定の時間間隔で行う。所定の時間間隔は、たとえば1分間隔である。
【0152】
判定部33は、たとえば、あるPCS8の電流平均値が第1電流閾値Thi1未満であり、かつ当該PCS8の電流中央値が第2電流閾値Thi2未満である状態が所定時間以上継続する場合、当該PCS8が停止状態であると判定する。所定時間は、たとえば10分である。
【0153】
具体的には、図10に示す例では、時刻t2における、PCS8aの電流平均値「5.37A」、およびPCS8cの電流平均値「5.16A」は、いずれも第1電流閾値Thi1以上である。また、時刻t2における、PCS8aの電流中央値「5.4A」、およびPCS8cの電流平均値「5.1A」は、いずれも第2電流閾値Thi2以上である。
【0154】
一方、時刻t2におけるPCS8bの電流平均値「0.06A」は、第1電流閾値Thi1未満である。また、時刻t2におけるPCS8bの電流平均値「0.1A」は、第2電流閾値Thi2未満である。
【0155】
判定部33は、時刻t2以降、このような状態が所定時間継続する場合、時刻t2以降の期間においてPCS8bは停止状態であると判定する。
【0156】
なお、判定部33は、電流判定処理において、電流平均値と第1電流閾値Thi1との比較、および電流中央値と第2電流閾値Thi2との比較のいずれか一方を行う構成であってもよい。
【0157】
しかしながら、たとえば、同一のPCS8の配下に設けられた複数の発電部78のうちの一部が影の影響を受けることにより、各発電部78における電流値が2極化したとする。
【0158】
この場合、影の影響を受けた発電部78における電流値が、PCS8の電流中央値として特定されることがある。すなわち、この場合、電流中央値を用いた判定よりも、電流平均値を用いた判定の方がより正確な判定結果を得られる可能性が高い。
【0159】
一方、たとえば、同一のPCS8に接続された複数の接続箱76のうちの少なくともいずれか1つにおいて、他の電流センサ16とのオフセットのずれ、または出力電流の逆流等の不具合が生じることがある。
【0160】
この場合、PCS8の電流平均値は、不具合が生じている接続箱76における電流値の影響を受ける。すなわち、この場合、電流平均値を用いた判定よりも、電流中央値を用いた判定の方がより正確な判定結果を得られる可能性が高い。
【0161】
このため、電流判定処理において、電流平均値と第1電流閾値Thi1との比較、および電流中央値と第2電流閾値Thi2との比較の両方を行うことにより、電流判定処理をより高い精度で行うことができる。
【0162】
また、判定部33は、電流判定処理において、各発電部78の電流の計測結果の平均値および中央値を用いる構成に限定されず、平均値および中央値以外の値を用いる構成であってもよい。
【0163】
(c)PCS判定結果情報の出力
判定部33は、たとえば、同一の時刻に対応する電圧判定処理および電流判定処理の両方において停止状態であると判定したPCS8が存在する場合、当該PCS8が停止状態であることを示すPCS判定結果情報を通信部34に出力する。
【0164】
上述した例では、判定部33は、電圧判定処理および電流判定処理のいずれにおいても、PCS8bが時刻t2において停止状態であると判定したため、PCS8bが時刻t2において停止状態であることを示すPCS判定結果情報を通信部34に出力する。
【0165】
一方、判定部33は、電圧判定処理の結果と電流判定処理の結果とが一致しない場合、たとえば、PCS判定結果情報の作成および出力を行わない。
【0166】
なお、判定部33は、電圧判定処理および電流判定処理のいずれか一方を行う構成であってもよい。
【0167】
より詳細には、判定部33は、電流判定処理を行わない場合、電圧判定処理において停止状態であると判定したPCS8を示すPCS判定結果情報を通信部34に出力する。また、判定部33は、電圧判定処理を行わない場合、電流判定処理において停止状態であると判定したPCS8を示すPCS判定結果情報を通信部34に出力する。
【0168】
しかしながら、上述のとおり、電圧判定処理では、複数のPCS8のうちの少なくともいずれか1つを稼働状態であるPCS8であると決定するため、すべてのPCS8が停止状態である場合には、すべてのPCS8が稼働状態であると誤って判定してしまう。
【0169】
このため、たとえば、管理者は、すべてのPCS8が停止している状態を判定対象とするか否か選択することができる。
【0170】
より詳細には、管理者は、すべてのPCS8が停止している状態を判定対象としないことを選択したとする。この場合、判定部33は、すべてのPCS8のうちの一部であって、電圧判定処理および電流判定処理の両方において停止状態であると判定したPCS8が存在する場合、当該PCS8が停止状態であることを示すPCS判定結果情報を作成する。
【0171】
一方、管理者は、すべてのPCS8が停止している状態を判定対象とすることを選択したとする。この場合、判定部33は、電圧判定処理を行わず、電流判定処理において停止状態であると判定したPCS8が存在する場合、当該PCS8が停止状態であることを示すPCS判定結果情報を作成する。
【0172】
また、判定部33は、電圧判定処理および電流判定処理のいずれか一方において停止状態であると判定したPCS8が存在する場合、当該PCS8が停止状態であることを示すPCS判定結果情報を作成する構成であってもよい。この場合、すべてのPCS8が停止している状態を判定対象としながら、電圧判定処理および電流判定処理の両方を行う構成とすることができる。
【0173】
また、判定部33は、太陽光発電システム401に設けられたすべてのPCS8に対してPCS判定処理を行う構成に限定されず、一部の1または複数のPCS8に対してPCS判定処理を行う構成であってもよい。
【0174】
また、判定部33は、すべてのPCS8のうちの一部のPCS8に対して、電圧判定処理を行わずに電流判定処理により動作状態を判定し、他の少なくともいずれか1つのPCS8に対して、電流判定処理を行わずに電圧判定処理により動作状態を判定する構成であってもよい。
【0175】
[発電部判定処理]
再び図8を参照して、判定装置101における判定部33は、さらに、計測情報取得部31により取得された計測情報の示す電流センサ16の計測結果に基づいて、発電部78ごとに、異常が生じているか否かを判定する発電部判定処理を行う。
【0176】
ここで、上述のとおり、PCS8は、停止状態において高インピーダンスとなる。このため、PCS8の停止状態において、当該PCS8に電気的に接続されている出力ライン1には電流が流れない。
【0177】
しかしながら、PCS8の停止状態において、たとえば、図4に示す4つの発電部78のうち、発電部78Aの出力電圧が、影、汚れ、並列アーク、地絡および初期不良等の要因により低下したとする。この場合、他の3つの発電部78B,78C,78Dの出力電流がプラス側出力ライン1pを通して発電部78Aへ流れ込む。
【0178】
このとき、発電部78Aに対応する電流センサ16において、マイナスの電流値すなわち発電部78Aへの電流が計測される。
【0179】
このため、判定部33は、発電部78Aに対応するPCS8の停止状態において、プラス側出力ライン1pを通して発電部78Aへの電流が流れる場合、発電部78Aに対応する回路が異常であると判定することができる。
【0180】
たとえば、判定部33は、PCS8が停止状態であると判定した場合、当該PCS8に対応する複数の電流センサ16の各々の計測結果が電流閾値Thi3未満であるか否かを確認する。電流閾値Thi3は、ゼロまたは負の値である。
【0181】
そして、判定部33は、計測結果が電流閾値Thi3未満である電流センサ16がある場合、当該電流センサ16に対応する発電部78において異常が生じていると判定し、異常が生じている発電部78を示す発電部判定結果情報を、通信部34へ出力する。
【0182】
なお、判定装置101は、発電部判定処理を行わない構成であってもよい。
【0183】
[判定結果の通知方法]
通信部34は、判定部33から出力されたPCS判定結果情報に基づいて、停止状態である1または複数のPCS8を管理者等に通知する出力処理を行う。
【0184】
たとえば、通信部34は、停止状態であるPCS8のID、停止開始時刻、停止終了時刻、および停止期間の長さ等を、モニタに表示したり、メールで送信したりする。また、通信部34は、たとえば、複数のPCS8の配置を示す画面において、停止状態であるPCS8のID等を明るく表示するなど、稼働状態であるPCS8とは異なる表示態様で表示してもよい。
【0185】
また、通信部34は、判定部33から出力された発電部判定結果情報に基づいて、異常が生じている1または複数の発電部78を管理者等に通知する出力処理を行う。
【0186】
たとえば、通信部34は、異常が生じている発電部78のID、および異常発生の開始時刻等を、モニタに表示したり、メールで送信したりする。また、通信部34は、たとえば、複数の発電部78の配置を示す画面において、異常が生じている発電部78のID等を明るく表示するなど、他の発電部78とは異なる表示態様で表示してもよい。
【0187】
これにより、管理者は、PCS8の動作状態だけでなく、さらに、停止状態であるPCS8の配下に設けられた各発電部78の動作状態の両方を把握することができる。
【0188】
<動作の流れ>
次に、判定装置101がPCS判定処理および発電部判定処理を行う際の動作手順について図面を用いて説明する。
【0189】
判定システム301における各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0190】
図15は、本開示の実施の形態に係る判定装置がPCS判定処理および発電部判定処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0191】
図8および図15を参照して、まず、判定装置101における計測情報取得部31は、各PCS8からの計測情報を受信するたびに、受信した計測情報の示す電流値および電圧値を計測結果ログT2に書き込む(ステップS11)。
【0192】
次に、判定部33は、計測結果ログT2を参照して、PCS8に接続された各接続箱76における電圧センサ17の計測結果の中央値である代表電圧値を、PCS8ごとに特定する(ステップS12)。
【0193】
次に、判定部33は、同一の時刻に対応する各PCS8の代表電圧値のうちの最小値である最小電圧値を特定し、特定した最小電圧値に対応するPCS8を、稼働状態であるPCS8として決定する(ステップS13)。
【0194】
次に、判定部33は、同一の時刻に対応する各PCS8の代表電圧値と最小電圧値との差を算出し、算出した差が電圧閾値Thv以上であるか否かを確認することにより、PCS8ごとに動作状態を判定する(ステップS14)。なお、上述したステップS12からステップS14までの動作が、判定部33による電圧判定処理である。
【0195】
次に、判定部33は、計測結果ログT2を参照して、PCS8に接続された各接続箱76における電流センサ16の計測結果の電流平均値を、PCS8ごとに算出する。また、判定部33は、計測結果ログT2を参照して、PCS8に接続された各接続箱76における電流センサ16の計測結果の電流中央値を、PCS8ごとに特定する(ステップS15)。
【0196】
次に、判定部33は、各PCS8の電流平均値が第1電流閾値Thi1未満であるか否かを確認する(ステップS16)。
【0197】
次に、判定部33は、各PCS8の電流中央値が第2電流閾値Thi2未満であるか否かを確認する(ステップS17)。
【0198】
次に、判定部33は、電流平均値と第1電流閾値Thi1との比較結果、および電流中央値と第2電流閾値Thi2との比較結果に基づいて、PCS8ごとに動作状態を判定する(ステップS18)。なお、上述したステップS15からステップS18までの動作が、判定部33による電流判定処理である。
【0199】
次に、判定部33は、電圧判定処理の判定結果、および電流判定処理の判定結果に基づいて、PCS判定結果情報の作成を行うか否かを決定する(ステップS19)。
【0200】
次に、判定部33は、たとえば、同一の時刻に対応する電圧判定処理および電流判定処理の両方において停止状態であると判定したPCS8が存在する場合、PCS判定結果情報の作成を行うことを決定する(ステップS19において「YES」)。そして、判定部33は、当該PCS8が停止状態であることを示すPCS判定結果情報を作成し、作成したPCS判定結果情報を通信部34に出力する(ステップS20)。
【0201】
次に、判定部33は、停止状態であると判定したPCS8の配下に設けられた各発電部78に対して、異常が生じているか否かを判定する発電部判定処理を行う。そして、判定部33は、発電部判定処理の結果を示す発電部判定結果情報を作成し、作成した発電部判定結果情報を通信部34に出力する(ステップS21)。
【0202】
次に、通信部34は、判定部33から出力されたPCS判定結果情報および発電部判定結果情報を受けて、たとえば、これらの情報の示す内容をモニタ等に表示することにより、PCS判定処理および発電部判定処理の両方の判定結果を管理者に通知する(ステップS22)。そして、判定装置101は、ステップS12以降の動作を再び行う。
【0203】
一方、判定部33は、たとえば、同一の時刻に対応する電圧判定処理および電流判定処理の両方で停止状態であると判定したPCS8が存在しない場合、PCS判定結果情報の作成を行わないことを決定する(ステップS19において「NO」)。
【0204】
そして、判定部33は、PCS判定結果情報の作成および出力(ステップS20)、発電部判定処理(ステップS21)、ならびに判定結果の通知(ステップS22)を行わず、ステップS12以降の動作を再び行う。
【0205】
ところで、太陽光発電システムの状態を判定可能なシステムにおいて、より優れた機能を実現することが可能な技術が望まれる。
【0206】
これに対して、本開示の実施の形態に係る判定装置101では、太陽電池パネル79を含む複数の発電部78は、PCS8に電気的に接続される。計測情報取得部31は、各発電部78の電流の計測結果および電圧の計測結果の少なくともいずれか一方を含む計測情報を取得する。判定部33は、計測情報取得部31によって取得された複数の計測情報に基づいて、複数のPCS8のうちの少なくともいずれか1つのPCS8の動作状態を判定する判定処理を行う。
【0207】
また、本開示の実施の形態に係る判定方法は、複数のPCS8を備える太陽光発電システム401に用いられる判定装置101における判定方法である。太陽電池パネル79を含む複数の発電部78は、PCS8に電気的に接続される。この判定方法では、まず、計測情報取得部31が、各発電部78の電流の計測結果および電圧の計測結果の少なくともいずれか一方を含む計測情報を取得する。次に、判定部33が、取得した複数の計測情報に基づいて、複数のPCS8のうちの少なくともいずれか1つのPCS8の動作状態を判定する。
【0208】
ここで、大規模な発電所等において、系統へ出力される電力の売電量の遠隔監視が行われる一方で、PCS単体での動作状態の遠隔監視は行われないことがある。このような発電所等において、たとえば売電量がゼロではないが少ない場合、PCSの動作不良が原因であるのか、または天候等が原因であるのかを判別することが困難である。
【0209】
これに対して、上記のような構成により、PCS8の動作状態を判定することができるため、たとえば売電量がゼロではないが少ない場合において、PCS8が原因であるか否かを判別することができる。また、PCS8単体での動作状態を判定することにより、たとえば、停止状態であるPCS8を特定することができる。
【0210】
したがって、本開示の実施の形態に係る判定装置101および判定方法では、太陽光発電システム401の状態を判定可能なシステムにおいて、より優れた機能を実現することができる。
【0211】
なお、本開示の実施の形態に係る判定装置101の機能の一部または全部が、クラウドコンピューティングによって提供されてもよい。すなわち、本開示の実施の形態に係る判定装置101が、複数のクラウドサーバ等によって構成されてもよい。
【0212】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0213】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
複数の電力変換装置を備える太陽光発電システムに用いられる判定装置であって、
太陽電池パネルを含む複数の発電部が前記電力変換装置に電気的に接続され、
各前記発電部の電流の計測結果および電圧の計測結果の少なくともいずれか一方を含む計測情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された複数の前記計測情報に基づいて、複数のPCS8のうちの少なくともいずれか1つの前記電力変換装置の動作状態を判定する判定処理を行う判定部とを備え、
前記判定部は、さらに、前記判定処理において停止状態であると判定した前記電力変換装置が存在する場合、複数の前記計測情報に基づいて、停止状態である前記電力変換装置に接続された前記発電部ごとに、異常が生じているか否かを判定する発電部判定処理を行う、判定装置。
【符号の説明】
【0214】
1 出力ライン
4,5 集約ライン
3 内部ライン
6 キュービクル
7 銅バー
8 PCS(電力変換装置)
9 電力変換部
10 変圧器
11 取得部
14 通信部
16 電流センサ
17 電圧センサ
18 記憶部
19 計測部
21 収集部
26 電源線
31 計測情報取得部
32 記憶部
33 判定部
34 通信部
60 集電ユニット
73,77 銅バー
74 太陽電池ユニット
76 接続箱
78 発電部
79 太陽電池パネル
80 PCSユニット
91 集約部
101 判定装置
111 監視装置
301 判定システム
401 太陽光発電システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15