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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】照明装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20231212BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20231212BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20231212BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20231212BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20231212BHJP
   F21V 9/35 20180101ALI20231212BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20231212BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20231212BHJP
【FI】
G03B21/14 A
F21S2/00 311
F21V5/00 510
F21V5/04 200
F21V7/28 240
F21V9/35
H04N5/74 Z
F21Y115:30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020097676
(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公開番号】P2021189395
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2021-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】小泉 竜太
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110764357(CN,A)
【文献】特開2017-194523(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0314141(US,A1)
【文献】特開2020-086261(JP,A)
【文献】特開2013-235756(JP,A)
【文献】国際公開第2014/196015(WO,A1)
【文献】特開2016-018111(JP,A)
【文献】特開2019-045529(JP,A)
【文献】特開2015-145976(JP,A)
【文献】国際公開第2017/154371(WO,A1)
【文献】特開2019-040177(JP,A)
【文献】特開2016-212375(JP,A)
【文献】特開2017-215549(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/173200(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
F21S 2/00
F21V 5/00
F21V 5/04
F21V 7/28
F21V 9/35
H04N 5/74
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長帯の第1光を射出する第1発光素子と、
前記第1波長帯の第3光を射出する第2発光素子と、
前記第1発光素子から射出される前記第1光を平行化する第1平行化素子と、
前記第2発光素子から射出される前記第3光を平行化する第2平行化素子と、
前記第2平行化素子から入射する前記第3光を反射する第1合成ミラーと、
前記第1合成ミラーから入射する前記第3光を反射する第2合成ミラーと、
前記第1光が入射する第1面と、前記第1面とは異なる第2面と、を有する波長変換層を有し、前記第1光を前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の第2光に変換する波長変換素子と、
前記第1波長帯の光と前記第2波長帯の光とのうちの一方を反射し、他方を透過する光学素子と、
前記第1平行化素子と前記光学素子との間に設けられ、正のパワーを有する第1集光光学系と、
前記第1集光光学系と前記光学素子との間に設けられ、前記第1集光光学系から射出される前記第1光を拡散させる拡散素子と、
前記光学素子と前記波長変換素子との間に設けられ、正のパワーを有する第2集光光学系と、
を備え、
前記第1集光光学系は、前記第1発光素子から射出された前記第1光の主光線に沿う光軸と重なり、かつ、前記第2発光素子から射出され前記第1合成ミラーに入射する前の前記第3光の主光線に沿う光軸と重ならない位置に配置され、
前記第1発光素子から射出された前記第1光は、前記第1合成ミラーおよび前記第2合成ミラーに入射することなく、前記第1集光光学系の第1位置に直接入射し、
前記第2平行化素子から射出され前記第3光は、前記第1合成ミラーおよび前記第2合成ミラーで反射されることで前記第1光に沿って進行し、前記第1集光光学系の前記第1位置と異なる第2位置に入射し、
前記第1集光光学系から射出された前記第1光は、前記光学素子を経由した後に焦点を結ぶ、照明装置。
【請求項2】
第1波長帯の第1光を射出する第1発光素子と、
前記第1発光素子から射出される前記第1光を平行化する第1平行化素子と、
前記第1光が入射する第1面と、前記第1面とは異なる第2面と、を有する波長変換層を有し、前記第1光を前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の第2光に変換する波長変換素子と、
前記第1波長帯の光と前記第2波長帯の光とのうちの一方を反射し、他方を透過する光学素子と、
前記第1平行化素子と前記光学素子との間に設けられ、正のパワーを有する第1集光光学系と、
前記第1集光光学系と前記光学素子との間に設けられ、前記第1集光光学系から射出される前記第1光を拡散させる拡散素子と、
前記光学素子と前記波長変換素子との間に設けられ、正のパワーを有する第2集光光学系と、
を備え、
前記第1集光光学系から射出された前記第1光は、前記光学素子を経由した後に焦点を結び、
前記第1集光光学系の焦点距離をFとし、前記第1集光光学系に入射する前記第1光の最外光線の光軸からの距離をHとし、前記拡散素子の拡散角をα(rad)としたとき、以下の(2)式を満たす、照明装置。
α≦2・tan-1(H/F)(ただし、α<π) …(2)
【請求項3】
前記光学素子は、前記波長変換素子の光軸と交差する位置に設けられている、請求項1または請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記波長変換素子は、
前記第1光を前記第2光に変換する波長変換層と、
前記波長変換層の前記第2面に設けられた反射層と、
前記波長変換層の前記第1面に設けられた構造体と、
を有する、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の照明装置と、
前記照明装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、
を備える、プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターに用いる光源装置として、発光素子から射出された励起光を蛍光体に照射した際に蛍光体から発せられる蛍光を利用した光源装置が従来から提案されている。
【0003】
下記の特許文献1には、励起光を射出する光源と、励起光を蛍光に変換する波長変換素子と、励起光を反射し、蛍光を透過するダイクロイックミラーと、ダイクロイックミラーから射出される励起光を波長変換素子に導く集光レンズユニットと、を備える光源装置が開示されている。
【0004】
下記の特許文献2には、励起光を射出する第1光源と、励起光の照射によって蛍光を発する第2光源と、励起光を反射させ、蛍光を透過させるダイクロイックミラーと、を備える光源装置が開示されている。この光源装置においては、励起光を射出するレーザー光源とダイクロイックミラーとの間に、マイクロレンズアレイと、光束の断面形状を調整する調整レンズと、が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-194523号公報
【文献】特開2019-8193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の光源装置において、波長変換素子から射出される励起光の光束幅に対してダイクロイックミラーが大きい場合、励起光の多くがダイクロイックミラーで反射して光源側に戻るため、照明光として利用される励起光、すなわち青色光の割合が低下する、という問題がある。ところが、特許文献1の光源装置においては、光源とダイクロイックミラーとの間に第1レンズアレイおよび第2レンズアレイが設けられているため、これら2枚のレンズアレイにより波長変換素子上での励起光の分布が均一化されたとしても、ダイクロイックミラーを小型化することは困難である。
【0007】
同様に、特許文献2の光源装置においては、レーザー光源と調整レンズとの間にマイクロレンズアレイが設けられているため、マイクロレンズアレイにより蛍光体上での励起光の強度分布が均一化されたとしても、ダイクロイックミラーを小型化することは困難である。したがって、特許文献1および2の光源装置においては、励起光の利用効率の低下を抑制することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様の照明装置は、第1波長帯の第1光を射出する第1発光素子と、前記第1発光素子から射出される前記第1光を平行化する第1平行化素子と、前記第1光が入射する第1面と、前記第1面とは異なる第2面と、を有する波長変換層を有し、前記第1光を前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の第2光に変換する波長変換素子と、前記第1波長帯の光と前記第2波長帯の光とのうちの一方を反射し、他方を透過する光学素子と、前記第1平行化素子と前記光学素子との間に設けられ、正のパワーを有する第1集光光学系と、前記第1集光光学系と前記光学素子との間に設けられ、前記第1集光光学系から射出される前記第1光を拡散させる拡散素子と、前記光学素子と前記波長変換素子との間に設けられ、正のパワーを有する第2集光光学系と、を備え、前記第2集光光学系は、前記第2集光光学系の主点と前記波長変換層の前記第2面との間に焦点を有する。
【0009】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の照明装置と、前記照明装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
図2】第1実施形態の照明装置の概略構成を示す平面図である。
図3】第1発光素子の斜視図である。
図4】波長変換素子の断面図である。
図5】第1集光光学系の作用を説明するための模式図である。
図6図5の構成における波長変換素子上の励起光の像を示す図である。
図7】拡散板の作用を説明するための模式図である。
図8図5の構成に拡散板を付加した場合の波長変換素子上の励起光の像を示す図である。
図9】第1比較例の照明装置の概略構成図である。
図10】第2比較例の照明装置の要部の概略構成図である。
図11】第1実施形態の照明装置において、第1集光光学系の焦点距離と光学素子のサイズとの関係を説明するための図である。
図12】第1集光光学系の焦点距離と光学素子上の入射幅との関係を示すグラフである。
図13】拡散素子の拡散角を示す模式図である。
図14】最適な拡散角を求める数式を導くための図である。
図15】第2実施形態の照明装置の側面図である。
図16図15の構成から拡散素子を排除した場合の波長変換素子上の励起光の像を示す図である。
図17図15の構成における波長変換素子上の励起光の像を示す図である。
図18】第3実施形態の照明装置の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1図14を用いて説明する。
以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0012】
本実施形態に係るプロジェクターの一例について説明する。
図1は、本実施形態に係るプロジェクターの概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、スクリーンSCR上にカラー映像を表示する投射型画像表示装置である。プロジェクター1は、照明装置2と、色分離光学系3と、光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bと、合成光学系5と、投射光学装置6と、を備えている。照明装置2の構成については、後で説明する。
【0013】
色分離光学系3は、第1ダイクロイックミラー7aと、第2ダイクロイックミラー7bと、反射ミラー8aと、反射ミラー8bと、反射ミラー8cと、リレーレンズ9aと、リレーレンズ9bと、を備えている。色分離光学系3は、照明装置2から射出された照明光WLを赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離し、赤色光LRを光変調装置4Rに導き、緑色光LGを光変調装置4Gに導き、青色光LBを光変調装置4Bに導く。
【0014】
フィールドレンズ10Rは、色分離光学系3と光変調装置4Rとの間に配置され、入射した光を略平行化して光変調装置4Rに向けて射出する。フィールドレンズ10Gは、色分離光学系3と光変調装置4Gとの間に配置され、入射した光を略平行化して光変調装置4Gに向けて射出する。フィールドレンズ10Bは、色分離光学系3と光変調装置4Bとの間に配置され、入射した光を略平行化して光変調装置4Bに向けて射出する。
【0015】
第1ダイクロイックミラー7aは、赤色光成分を透過させ、緑色光成分および青色光成分を反射させる。第2ダイクロイックミラー7bは、緑色光成分を反射させ、青色光成分を透過させる。反射ミラー8aは、赤色光成分を反射させる。反射ミラー8bおよび反射ミラー8cは、青色光成分を反射させる。
【0016】
第1ダイクロイックミラー7aを透過した赤色光LRは、反射ミラー8aで反射し、フィールドレンズ10Rを透過して赤色光用の光変調装置4Rの画像形成領域に入射する。第1ダイクロイックミラー7aで反射した緑色光LGは、第2ダイクロイックミラー7bでさらに反射し、フィールドレンズ10Gを透過して緑色光用の光変調装置4Gの画像形成領域に入射する。第2ダイクロイックミラー7bを透過した青色光LBは、リレーレンズ9a、入射側の反射ミラー8b、リレーレンズ9b、射出側の反射ミラー8c、およびフィールドレンズ10Bを経て青色光用の光変調装置4Bの画像形成領域に入射する。
【0017】
光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bのそれぞれは、入射された色光を画像情報に応じて変調し、画像光を形成する。光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bのそれぞれは、液晶ライトバルブから構成されている。図示を省略したが、光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bの光入射側に、入射側偏光板がそれぞれ配置されている。光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bの光射出側に、射出側偏光板がそれぞれ配置されている。
【0018】
合成光学系5は、光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bから射出された各画像光を合成してフルカラーの画像光を形成する。合成光学系5は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視で略正方形状をなすクロスダイクロイックプリズムで構成されている。直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。
【0019】
合成光学系5から射出された画像光は、投射光学装置6によって拡大投射され、スクリーンSCR上で画像を形成する。すなわち、投射光学装置6は、光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bにより変調された光を投射する。投射光学装置6は、複数の投射レンズで構成されている。
【0020】
本実施形態の照明装置2の一例について説明する。
以下、図2においては、XYZ直交座標系を用い、光源装置20から射出される青色光BLの主光線に平行な軸をX軸と定義し、波長変換素子23から射出される蛍光YLの主光線に平行な軸をY軸と定義し、X軸およびY軸に直交する軸をZ軸と定義する。
また、青色光BLの主光線に沿う軸を光源装置20の光軸ax4と称する。すなわち、光源装置20の光軸ax4は、X軸と平行である。蛍光YLの主光線に沿う軸を波長変換素子23の光軸ax5と称する。すなわち、波長変換素子23の光軸ax5は、Y軸と平行である。
【0021】
図2は、Z軸方向から見た照明装置2の平面図である。
図2に示すように、本実施形態の照明装置2は、光源装置20と、ダイクロイックミラー21(光学素子)と、第2集光光学系22と、波長変換素子23と、インテグレーター光学系24と、偏光変換素子25と、重畳レンズ26と、を備えている。光源装置20は、第1発光素子311と、第1平行化素子312と、第1集光光学系35と、拡散素子36と、を備えている。
【0022】
第1発光素子311は、青色半導体レーザーから構成され、第1波長帯の青色光BLを射出する。青色半導体レーザーは、例えば380nm~495nmの範囲内にピーク波長を有する第1波長帯の青色光BLを射出する。本実施形態の青色光BLは、特許請求の範囲の第1光に対応する。第1発光素子311は、基材314上に実装されている。
【0023】
図3は、第1発光素子311の斜視図である。図3では、図2に示した基材314の図示を省略する。
図3に示すように、第1発光素子311は、光射出面311aを有し、光射出面311aから青色光BLを+X方向に向かって射出する。第1発光素子311は、主光線BL0に垂直な断面形状が楕円形の青色光BLを射出する。すなわち、第1発光素子311から射出される青色光BLの主光線BL0に垂直な断面は、楕円形状の形状を有する。光射出面311aの形状である長方形の長手方向C1は、断面K1の形状である楕円形の短軸方向D2に一致する。光射出面311aの形状である長方形の短手方向D1は、断面K1の形状である楕円形の長軸方向C2に一致する。この理由は、第1発光素子311から射出される青色光BLは、光射出面311aの長手方向に垂直な面内での発散角γ1が、光射出面311aの短手方向に垂直な面内での発散角γ2よりも大きいからである。青色光BLの発散角γ1の最大値(最大放射角度)は、例えば70°程度であり、青色光BLの発散角γ2の最大値(最大放射角度)は、例えば20°程度である。
【0024】
図2に示すように、第1平行化素子312は、第1発光素子311に対応して設けられている。第1平行化素子312は、凸レンズからなるコリメーターレンズで構成されている。第1平行化素子312は、第1発光素子311から射出される青色光BLを平行化する。
【0025】
第1集光光学系35は、第1平行化素子312とダイクロイックミラー21との間に設けられている。本実施形態では、第1集光光学系35は、1枚の凸レンズで構成されている。なお、第1集光光学系35を構成するレンズの数は、特に限定されず、複数枚のレンズで構成されていてもよい。第1集光光学系35は、入射した青色光BLを集光する。第1集光光学系35は、正のパワーを有し、ダイクロイックミラー21と波長変換素子23との間に焦点Eを有する。第1集光光学系35の焦点距離は、第1集光光学系35の主点Gとダイクロイックミラー21における青色光BLの入射点Nとの間の距離よりも長い。
【0026】
ダイクロイックミラー21における青色光BLの入射点Nは、ダイクロイックミラー21の光入射面21aと青色光BLの主光線とが交差する点と定義する。また、第1集光光学系35の主点Gとダイクロイックミラー21における青色光BLの入射点Nとの間の距離は、青色光BLの主光線が通る光軸ax4に沿う距離と定義する。なお、第1集光光学系35は、複数枚のレンズで構成されていてもよい。第1集光光学系35が複数枚のレンズで構成される場合、第1集光光学系35の主点Gは、複数枚のレンズからなる集光光学系全体の主点と定義する。
【0027】
拡散素子36は、第1集光光学系35とダイクロイックミラー21との間に設けられている。拡散素子36は、第1集光光学系35から射出された青色光BLを拡散させ、ダイクロイックミラー21に向けて射出させる。波長変換素子23上における青色光BLの照度分布は、拡散素子36によって均一化される。拡散素子36として、例えば光学ガラスからなる磨りガラス板が用いられる。拡散素子36には、透過型の拡散素子が用いられる。
【0028】
ダイクロイックミラー21は、光軸ax4および光軸ax5のそれぞれに対して45°の角度をなすように配置されている。すなわち、ダイクロイックミラー21は、波長変換素子23の光軸ax5と交差する位置に設けられている。ダイクロイックミラー21は、青色波長帯の光を反射させ、黄色波長帯の光を透過させる特性を有する。そのため、ダイクロイックミラー21は、光源装置20から射出される青色光BLを反射させ、波長変換素子23から射出される蛍光YLを透過させる。本実施形態のダイクロイックミラー21は、特許請求の範囲の光学素子に対応する。
【0029】
第2集光光学系22は、ダイクロイックミラー21と波長変換素子23との間に設けられている。第2集光光学系22は、第1レンズ221、第2レンズ222、および第3レンズ223からなる3枚の凸レンズから構成される。第2集光光学系22は、正のパワーを有する。なお、第2集光光学系22を構成するレンズの数は、特に限定されない。第2集光光学系22は、ダイクロイックミラー21で反射した青色光BLを集光し、波長変換素子23に入射させる。第2集光光学系22は、第2集光光学系22の主点と、後述する波長変換層233の第2面233bと、の間に焦点を有する。本実施形態の場合、第2集光光学系22が複数枚のレンズで構成されているため、第2集光光学系22の主点は、複数枚のレンズからなる集光光学系全体の主点と定義する。なお、第2集光光学系22が1枚のレンズで構成されている場合には、1枚のレンズの主点と定義する。
【0030】
図4は、波長変換素子23の断面図である。
図4に示すように、波長変換素子23は、基板231と、反射層232と、波長変換層233と、構造体234と、を備える。波長変換層233は、青色光BLが入射する第1面233aと、第1面233aとは異なる第2面233bと、を有する。波長変換層233において、第1面233aと第2面233bとは互いに対向している。波長変換素子23は、第2集光光学系22から射出された青色光BLを第1波長帯とは異なる第2波長帯の蛍光YLに変換する。波長変換層233は、青色光BLを黄色の蛍光YLに変換するセラミック蛍光体を含んでいる。第2波長帯は例えば490~750nmであり、蛍光YLは緑色光成分および赤色光成分を含む黄色光である。なお、蛍光体は、単結晶蛍光体を含んでいてもよい。また、波長変換素子23の平面形状は、青色光BLの入射方向(Y軸方向)から見て、略正方形である。
本実施形態の蛍光YLは、特許請求の範囲の第2光に対応する。
【0031】
基板231は、反射層232、波長変換層233、および構造体234を支持する支持基板として機能するとともに、波長変換層233で発生する熱を放熱する放熱基板として機能する。基板231は、例えば金属、セラミックス等、高い熱伝導率を有する材料で構成される。基板231は、波長変換層233が設けられる第1面231aを有する。
【0032】
反射層232は、基板231の第1面231aに設けられている。すなわち、反射層232は、基板231の第1面231aと波長変換層233の第2面233bとの間に位置し、波長変換層233から入射される蛍光YLを、波長変換層233の側に反射させる。よって、反射層232が設けられる基板231の第1面231aと波長変換層233の第2面233bとは互いに対向している。反射層232は、例えば誘電体多層膜、金属ミラーおよび増反射膜等を含む積層膜で構成されている。また、反射層232は、例えば誘電体多層膜、金属ミラーおよび増反射膜等を含む多層膜で構成されていてもよい。
【0033】
波長変換層233は、例えばイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体を含んでいる。賦活剤としてセリウム(Ce)を含有するYAG:Ceを例にとると、蛍光体として、Y、Al、CeO等の構成元素を含む原料粉末を混合して固相反応させた材料、共沈法やソルゲル法等の湿式法により得られるY-Al-Oアモルファス粒子、噴霧乾燥法や火炎熱分解法、熱プラズマ法等の気相法により得られるYAG粒子等を用いることができる。
【0034】
構造体234は、波長変換層233の第1面233aに設けられている。構造体234は、波長変換素子23に入射する青色光BLの一部を散乱させ、青色光BLが入射する方向とは逆方向に反射させる。構造体234は、透光性材料で構成されており、複数の散乱構造を有する。本実施形態の散乱構造は、凸部からなるレンズ形状を有する。
【0035】
構造体234は、波長変換層233と別体で形成される。本実施形態の構造体234は、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法、塗布法等によって誘電体を形成した後、フォトリソグラフィーで加工する手法が適している。構造体234は、光吸収が小さく、化学的に安定な材料で構成することが望ましい。すなわち、構造体234は、屈折率が1.3~2.5の範囲の材料で構成され、例えばSiO、SiON、TiO等を用いることができる。例えばSiOを用いて構造体234を構成すれば、ウェットエッチングあるいはドライエッチングによって精度良く加工することができる。
【0036】
上記の構成により、波長変換素子23に入射した青色光BLのうち、一部の青色光BLは、構造体234を透過した後、波長変換層233において波長変換され、蛍光YLに変換される。一方、他の一部の青色光BLは、蛍光YLに波長変換される前に構造体234によって後方散乱し、波長変換されることなく波長変換素子23の外部に射出される。このとき、青色光BLは、蛍光YLの角度分布と略同様の角度分布に拡散された状態で構造体234から射出される。
【0037】
なお、上記の構造体234に代えて、蛍光体は、青色光BLおよび蛍光YLを散乱させるための散乱要素を含んでいてもよい。散乱要素として、例えば複数の気孔が用いられる。この場合、波長変換素子23に入射した青色光BLのうち、一部の青色光BLは、波長変換されて蛍光YLに変換されるが、他の一部の青色光BLは、蛍光YLに波長変換される前に蛍光体に含まれる散乱要素によって後方散乱し、波長変換されることなく波長変換素子23の外部に射出される。
【0038】
本実施形態の場合、図2に示すように、第1発光素子311とダイクロイックミラー21との間に正のパワーを有する第1集光光学系35が設けられているため、青色光BLが集光された状態でダイクロイックミラー21に入射する。そのため、第1集光光学系35が設けられていない場合に比べて、ダイクロイックミラー21を小型化することができる。ダイクロイックミラー21が黄色光成分を透過する特性を有するため、波長変換素子23から射出された蛍光YLは、第2集光光学系22を透過した後、ダイクロイックミラー21を透過する。
【0039】
また、ダイクロイックミラー21を小型化することにより、波長変換素子23から射出された青色光BLの中央部は、ダイクロイックミラー21に入射するが、青色光BLの周縁部は、ダイクロイックミラー21に入射することなく、ダイクロイックミラー21の外側の空間を通過する。ダイクロイックミラー21に入射した青色光BLは、ダイクロイックミラー21で反射され、損失となるが、ダイクロイックミラー21に入射しない光束BLは、蛍光YLとともに照明光WLとして利用される。この場合、ダイクロイックミラー21を小型化することにより、ダイクロイックミラー21で反射され、損失となる青色光BLを少なくすることができる。
【0040】
以上のようにして、青色光BLと蛍光YLとは、インテグレーター光学系24に入射する。青色の光束BLと黄色の蛍光YLとが合成されることにより、白色の照明光WLが生成される。
【0041】
インテグレーター光学系24は、第1マルチレンズアレイ241と、第2マルチレンズアレイ242と、を有する。第1マルチレンズアレイ241は、照明光WLを複数の部分光束に分割するための複数の第1レンズ2411を有する。
【0042】
第1マルチレンズアレイ241のレンズ面、すなわち第1レンズ2411の表面と、光変調装置4R,4G,4Bの各々の画像形成領域とは、互いに共役の関係となっている。そのため、光軸ax5の方向から見て、第1レンズ2411の各々の形状は、光変調装置4R,4G,4Bの画像形成領域の形状と略相似形の矩形状である。これにより、第1マルチレンズアレイ241から射出された部分光束の各々は、光変調装置4R,4G,4Bの画像形成領域にそれぞれ効率良く入射する。
【0043】
第2マルチレンズアレイ242は、第1マルチレンズアレイ241の複数の第1レンズ2411に対応する複数の第2レンズ2421を有する。第2マルチレンズアレイ242は、重畳レンズ26とともに、第1マルチレンズアレイ241の各第1レンズ2411の像を各光変調装置4R,4G,4Bの各々の画像形成領域の近傍に結像させる。
【0044】
インテグレーター光学系24を透過した照明光WLは、偏光変換素子25に入射する。偏光変換素子25は、図示しない偏光分離膜と位相差板とをアレイ状に配列した構成を有する。偏光変換素子25は、照明光WLの偏光方向を所定の方向に揃える。具体的には、偏光変換素子25は、照明光WLの偏光方向を光変調装置4R,4G,4Bの入射側偏光板の透過軸の方向に揃える。
【0045】
これにより、偏光変換素子25を透過した照明光WLから分離される赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBの偏光方向は、各光変調装置4R,4G,4Bの入射側偏光板の透過軸方向に一致する。したがって、赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBは、入射側偏光板でそれぞれ遮光されることなく、光変調装置4R,4G,4Bの画像形成領域にそれぞれ入射する。
【0046】
偏光変換素子25を透過した照明光WLは、重畳レンズ26に入射する。重畳レンズ26は、インテグレーター光学系24と協働して、被照明領域である光変調装置4R,4G,4Bの各々の画像形成領域における照度分布を均一化する。
【0047】
[本実施形態の原理]
以下、本実施形態の構成により、波長変換素子23上に光密度が小さい青色光BLの像を形成できる原理について説明する。
【0048】
最初に、本実施形態の第1集光光学系35の作用および効果を検証するため、図9に示す第1比較例の照明装置を想定する。
図9に示すように、第1比較例の照明装置101は、発光素子102と、平行化素子103と、第2集光光学系104と、波長変換素子105と、を備えており、第1集光光学系を備えていない。また、発光素子102と波長変換素子105とは、互いに共役の関係となっている。
【0049】
第1比較例の照明装置101において、発光素子102から射出された後、平行化素子103によって平行化された青色光BLは、第2集光光学系104によって波長変換素子105上に結像される。このとき、発光素子102と波長変換素子105とが互いに共役の関係にあるため、波長変換素子105上に形成される青色光BLの像は、回折限界で決まる極めて小さい点状の像となる。このような小さい像の場合、波長変換素子105上の極めて小さい領域に光のエネルギーが集中するため、光密度が極端に大きくなる。波長変換素子105に入射する光の密度が大きい場合、蛍光体の波長変換に伴って発生する熱の密度も大きくなる。すなわち、蛍光体の波長変換に伴って生じる熱が波長変換素子105上の所定の箇所に集中する。その結果、波長変換効率が低下するとともに、蛍光体の損傷または破損が生じるおそれがある。第1比較例の照明装置101は、このような問題を有している。
【0050】
そこで、波長変換効率の低下および蛍光体の劣化を抑制するため、本実施形態の第1集光光学系35と拡散素子36との組み合わせを用いて、波長変換素子23上の光密度を下げることが必要となる。または、従来例のホモジナイザーを用いて、波長変換素子23上の光密度を下げることが必要となる。
【0051】
図5は、本実施形態の照明装置2の概略構成を示す図である。なお、図5では、第1集光光学系35の作用をわかりやすく説明するため、ダイクロイックミラー21および拡散素子36の図示を省略するとともに、第2集光光学系22を1枚のレンズで表している。
【0052】
図5に示すように、本実施形態の照明装置2は、第1発光素子311と、第1平行化素子312と、第1集光光学系35と、第2集光光学系22と、波長変換素子23と、を備えている。この構成において、第1集光光学系35が正のパワーを有しているため、波長変換素子23と共役になる点Pは、図9に示す第1比較例における発光素子102の位置から、第1平行化素子312と第1集光光学系35との間の位置にずれる。そのため、波長変換素子23上に形成される青色光BLの像は、第1平行化素子312によって平行化された後の青色光BLの断面形状に一致する。
【0053】
また、青色光BLの像の大きさは、第1集光光学系35の焦点距離をFとし、第2集光光学系22の焦点距離、すなわち、第2集光光学系22の主点G2と波長変換素子23の第1面233aとの間の距離をF2としたとき、第1平行化素子312によって平行化された後の青色光BLの光束幅に横倍率β(=F2/F)を乗じた値となる。
【0054】
図6は、図5の構成における波長変換素子23上の青色光BLの像のシミュレーション結果を示す図である。図6において、白く見える個所は光強度が高い個所である。
図6に示すように、波長変換素子23上の青色光BLの像は、回折限界に近い大きさを有する第1比較例での像に比べて、十分に大きい楕円形状の像となる。したがって、波長変換素子23上の光密度は、第1比較例における光密度に比べて大きく低下する。
【0055】
上述したように、波長変換素子23上の光密度を下げる手段として、本実施形態で用いた第1集光光学系35と拡散素子36の他、ホモジナイザーが考えられる。ここで、本実施形態の構成とホモジナイザーとの違いを検証するため、図10に示す第2比較例の照明装置を想定する。
【0056】
図10に示すように、第2比較例の照明装置111において、ホモジナイザー112は、第1レンズアレイ113と、第2レンズアレイ114と、を有する。このように、2枚のレンズアレイからなるホモジナイザー112を用い、入射した青色光BLを第1レンズアレイ113によって複数の光束に分割した後、複数の光束を第2レンズアレイ114によって波長変換素子上で重畳させることにより、波長変換素子上の光密度を均一化することができる。
【0057】
ところが、ホモジナイザー112を用いた場合、ホモジナイザー112を通過した青色光BLは、第1レンズアレイ113のパワーによって光軸axから離れる方向に広がりながら進む。したがって、ホモジナイザー112を通過した青色光BLはダイクロイックミラー115に到達するまでに光束幅が大きくなり、ダイクロイックミラー115を大型化せざるを得ない。
【0058】
これに対して、本実施形態の照明装置2においては、図7に示すように、第1集光光学系35が設けられているため、第1集光光学系35に入射する青色光BLのうち、光軸ax4から離れた外縁を通る光線を第1集光光学系35によって光軸ax4に近づく方向に屈折させることができる。このとき、第1集光光学系35の焦点距離を、図10のホモジナイザー112における第1レンズアレイ113の焦点距離よりも長くできるため、青色光BLがダイクロイックミラー21に入射する前に広がらないように設計することができる。
【0059】
さらに、第1集光光学系35とダイクロイックミラー21との間に拡散素子36が設けられている。そのため、第1集光光学系35によって集束光となった青色光BLは、拡散素子36を透過することによって拡散し、光軸ax4から離れる方向に広がろうとする。このとき、第1集光光学系35の曲率、すなわち第1集光光学系35の正のパワーと拡散素子36の拡散角とを所定の値に設定することによって、ダイクロイックミラー21上での青色光BLの広がりを制御することができる。これにより、ダイクロイックミラー21の小型化を図ることができる。なお、拡散素子36の拡散角の最適化については、後で詳しく説明する。
【0060】
図8は、本実施形態の構成における波長変換素子23上の青色光BLの像のシミュレーション結果を示す図である。図8において、白く見える個所は光強度が高い個所である。
図8に示すように、波長変換素子23上の青色光BLの像は、拡散素子36を備えていない図6の像に比べて、大きく広がった略円形の像となる。したがって、波長変換素子23上の光密度は、拡散素子36を付加したことによって大きく低下する。
【0061】
次に、第1集光光学系35と拡散素子36とを用いる場合、いずれの素子をダイクロイックミラー21に近い側に配置するかによって2通りの配置が考えられる。
2通りの配置による作用および効果の違いを検証するため、本実施形態の配置とは逆に、発光素子からダイクロイックミラーに向かって拡散素子、第1集光光学系の順に配置された第3比較例の照明装置を想定する。第3比較例の照明装置の図示は省略する。なお、上述した特許文献2に記載された光源装置は、発光素子からダイクロイックミラーに向かってマイクロレンズアレイ、調整レンズがこの順に配置されており、青色光をマイクロレンズアレイによって拡散させている。このように、特許文献2の光源装置は第3比較例の照明装置に相当するため、ここでは、第3比較例の照明装置として、特許文献2の光源装置を例に挙げて説明する。
【0062】
特許文献2の光源装置において、発光素子から射出された青色光は、マイクロレンズアレイによって光軸から離れる方向に広がって拡散された後、調整レンズに入射する。したがって、調整レンズの口径を大きくする必要があり、調整レンズの大型化に伴ってダイクロイックミラーも大きくする必要がある。そのため、特許文献2の光源装置においては、マイクロレンズアレイによって波長変換素子上の強度分布が均一化されたとしても、ダイクロイックミラーを小型化することは困難である。
【0063】
これに対して、本実施形態の照明装置2においては、第1発光素子311からダイクロイックミラー21に向かって第1集光光学系35、拡散素子36の順に配置され、拡散素子36が第1集光光学系35よりもダイクロイックミラー21に近い位置にある。そのため、青色光BLは、拡散素子36によって大きく広がらないうちにダイクロイックミラー21に入射する。これにより、本実施形態の照明装置2によれば、特許文献2の光源装置に比べてダイクロイックミラー21を小型化することが容易である。
【0064】
次に、本発明者は、ダイクロイックミラー21を小型化する場合に好適な条件について検討した。
図11は、本実施形態の照明装置2において、第1集光光学系35の焦点距離とダイクロイックミラー21のサイズとの関係を説明するための図である。
図11に示すように、第1集光光学系35に入射する青色光BLのうち、第1集光光学系35の最も外側を通る光線の光軸ax4からの距離、すなわち、第1集光光学系35に入射する青色光BLの光束幅の1/2をHとする。以下、青色光BLのうち、第1集光光学系35の最も外側を通る光線を最外光線と称し、青色光BLの最外光線の光軸からの距離Hを光束高さHと称する。また、第1集光光学系35の焦点距離をFとする。また、第1集光光学系35の主点Gからダイクロイックミラー21における青色光BLの入射点Nまでの光軸ax4に沿う方向の距離をLとする、以下、距離Lを第1集光光学系-ミラー間距離Lと称する。また、ダイクロイックミラー21における一方の最外光線の入射点Q1と他方の最外光線の入射点Q2との間の光入射面21aに沿う方向の距離をMとする。以下、距離Mを入射幅Mと称する。
【0065】
青色光BLの全ての光線をダイクロイックミラー21によって反射させるためには、ダイクロイックミラー21のサイズは、入射幅M以上であることが必要である。ただし、実際のダイクロイックミラー21のサイズは、拡散素子36の拡散角のばらつき、または各種光学素子の設置位置の誤差等の要因を考慮して、入射幅Mに余裕分を加えた大きさとすることが望ましい。入射幅Mは、図11の光束高さH、焦点距離F、および第1集光光学系-ミラー間距離Lにそれぞれ依存する。
【0066】
そこで、本発明者は、光束高さH、焦点距離F、および第1集光光学系-ミラー間距離Lの値を適宜変化させ、入射幅Mの値を計算した。計算結果を図12に示す。
なお、図12においては、F,L,Mの各値をHの値で規格化して示す。
図12の横軸は、焦点距離/光束高さ(F/H)を示す。図12の縦軸は、入射幅/光束高さ(M/H)を示す。グラフAは、第1集光光学系-ミラー間距離/光束高さがL/H=10のときを示す。グラフBは、第1集光光学系-ミラー間距離/光束高さがL/H=15のときを示す。グラフCは、第1集光光学系-ミラー間距離/光束高さがL/H=20のときを示す。
【0067】
図12において、L/H=F/Hのとき、すなわち、L=Fのとき、青色光BLは、ダイクロイックミラー21上で焦点を結ぶため、M=0となり、入射幅Mは最小の値となる。ところが、L=Fからずれた場合、ずれる方向によって入射幅Mの変化の傾向が異なる。具体的には、L>F、すなわち、焦点距離Fが第1集光光学系-ミラー間距離Lよりも小さくなる方向(図12の横軸における左側)にずれると、入射幅Mが急激に大きくなる傾向を示す。そのため、この場合にはダイクロイックミラー21のサイズを大きくする必要がある。一方、L<F、すなわち、焦点距離Fが第1集光光学系-ミラー間距離Lよりも大きくなる方向(図12の横軸における右側)にずれると、入射幅Mがあまり増加しない傾向を示す。そのため、この場合にはダイクロイックミラー21のサイズをあまり大きくする必要がない。
【0068】
したがって、第1集光光学系-ミラー間距離Lと焦点距離Fとが以下の(1)式を満たすことにより、ダイクロイックミラー21を小型化できるとともに、各種光学素子の製作誤差、組み立て誤差等の要因を考慮した場合でも、ダイクロイックミラー21のサイズの増加を極力小さく抑えることができる。
L≦F …(1)
【0069】
次に、本発明者は、拡散素子36の拡散角の好適な条件について検討した。
図13は、拡散素子36の拡散角を示す模式図である。
図13に示すように、第1集光光学系35によって光軸ax4に近付く側に屈折した青色光BLは、拡散素子36を透過することによって拡散する。拡散素子36から射出される青色光BLのうち、入射方向と同じ方向に射出する主光線BL0の強度を1としたとき、主光線BL0の外側に存在し、強度が0.5となる2本の光線BLAのなす角度を拡散角α(rad)と定義する。
【0070】
ここで、第1集光光学系35の焦点距離が十分に長く、青色光BLが光軸ax4に平行に近い角度で拡散素子36に入射すると仮定すると、拡散素子36を透過した青色光BLは拡散角αで光軸ax4から離れる方向に広がるため、ダイクロイックミラー21のサイズを大きくしなければならない。したがって、ダイクロイックミラー21のサイズを大きくしないために、拡散素子36は、拡散素子36を透過した青色光BLが光軸ax4に平行な方向、もしくは光軸ax4に近付く方向に進む程度の拡散角αを有する必要がある。
【0071】
図14は、最適な拡散角を求める数式を導くための図である。図14では、第1集光光学系35および拡散素子36をそれぞれ模式的に直線で示す。
図14に示すように、拡散素子36に対する青色光BLの入射角をθとする。拡散素子36を射出する光線が光軸ax4に平行な方向、もしくは光軸ax4に近付く方向に進むための条件は、以下の(3)式で表される。
π/2≧(π/2-θ)+α/2 …(3)
(3)式を変形すると、以下の(4)式が得られる。
θ≧α/2 …(4)
幾何学的な関係からθがπ/2を超えることはないため、(4)式に条件を追加すると、以下の(5)式が得られる。
π/2>θ≧α/2 …(5)
【0072】
上述したように、第1集光光学系35に入射する青色光BLの光束高さをHとし、第1集光光学系35の焦点距離をFとすると、幾何学的な関係から、以下の(6)式が得られる。
H/F=tanθ …(6)
したがって、(5)式および(6)式から、以下の(7)式が得られる。
H/F≧tan(α/2) …(7)
(7)式を変形すると、以下の(2)式が得られる。
α≦2・tan-1(H/F) …(2)
ただし、α<πである。
【0073】
以上に示したように、拡散素子36の拡散角αを、上記の(2)を満たすように設定することにより、拡散素子36を透過した青色光BLが光軸ax4から離れる方向に広がることが抑えられる。これにより、ダイクロイックミラー21のサイズをより確実に小さくすることができる。
【0074】
[第1実施形態の効果]
本実施形態の照明装置2は、青色光BLを射出する第1発光素子311と、第1発光素子311から射出される青色光BLを平行化する第1平行化素子312と、青色光BLが入射する第1面233aと、第1面233aとは異なる第2面233bと、を有する波長変換層233を有し、青色光BLを黄色の蛍光YLに変換する波長変換素子23と、青色光BLと蛍光YLとのうちの一方を反射し、他方を透過するダイクロイックミラー21と、第1平行化素子312とダイクロイックミラー21との間に設けられ、正のパワーを有する第1集光光学系35と、第1集光光学系35とダイクロイックミラー21との間に設けられ、第1集光光学系35から射出される青色光BLを拡散させる拡散素子36と、ダイクロイックミラー21と波長変換素子23との間に設けられ、正のパワーを有する第2集光光学系22と、を備え、第2集光光学系22は、第2集光光学系22の主点と波長変換層233の第2面233bとの間に焦点を有する。
【0075】
上記構成の照明装置2によれば、ダイクロイックミラー21のサイズを小さくすることによって、ダイクロイックミラー21で反射され、損失となる青色光BLを少なくすることができ、青色光BLの利用効率を高めることができる。また、波長変換素子23上の青色光BLの光密度を低減することができるため、波長変換効率を高められるとともに、波長変換素子23の破損や損傷を抑えることができる。これにより、青色光BLの利用効率が高く、かつ、波長変換効率および信頼性に優れた照明装置2を実現することができる。
【0076】
また、本実施形態の照明装置2は、第1集光光学系35の焦点距離をFとし、第1集光光学系35の主点Gからダイクロイックミラー21における青色光BLの入射点Nまでの光軸ax4に沿う方向の距離をLとしたとき、以下の(1)式を満たしている。
L≦F …(1)
この構成によれば、各種光学素子の製作誤差、組み立て誤差等の要因を考慮した場合であっても、ダイクロイックミラー21のサイズの増加を極力小さく抑えることができる。
【0077】
また、本実施形態の照明装置2は、第1集光光学系35の焦点距離をFとし、第1集光光学系35に入射する青色光BLの光軸高さをHとし、拡散素子36の拡散角をα(rad)としたとき、以下の(2)式を満たしている。
α≦2・tan-1(H/F)(ただし、α<π) …(2)
この構成によれば、ダイクロイックミラー21のサイズをより確実に小さくすることができる。
【0078】
また、本実施形態の照明装置2において、ダイクロイックミラー21は、波長変換素子23の光軸ax5と交差する位置に設けられている。
従来例の照明装置の場合、ダイクロイックミラーが波長変換素子の光軸と交差する位置に設けられていると、当該ダイクロイックミラーによって青色光の多くが第1発光素子の側に戻るおそれがある。これに対して、本実施形態の照明装置2によれば、第1発光素子311の側に戻る青色光BLを極力少なくでき、青色光BLの利用効率を高めることができる。
【0079】
また、本実施形態の照明装置2において、波長変換素子23は、青色光BLを蛍光YLに変換する波長変換層233と、波長変換層233の第1面233aに設けられた反射層232と、波長変換層233の第2面233bに設けられた構造体234と、を有する。
この構成によれば、波長変換層233に入射する前の青色光BLの一部を構造体234によって後方散乱させることができるため、青色光BLの一部を照明光として有効に利用することができる。
【0080】
本実施形態のプロジェクター1は、本実施形態の照明装置2を備えているため、光利用効率に優れる。
【0081】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図15図17を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターの構成は第1実施形態と同様であり、光源装置の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターおよび照明装置の全体構成の説明は省略する。
図15は、第2実施形態の光源装置の概略構成図である。
図15において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0082】
図15に示すように、本実施形態の光源装置28は、第1発光素子311と、第1平行化素子312と、第2発光素子321と、第2平行化素子322と、第1合成ミラー33と、第2合成ミラー34と、第1集光光学系35と、拡散素子36と、を備えている。
【0083】
第2発光素子321は、第1実施形態で説明した第1発光素子311と同様の構成を有する。すなわち、第2発光素子321は、青色光BL2を射出する青色半導体レーザーから構成されている。青色半導体レーザーは、例えば380nm~495nmにピーク波長を有する青色光BL2を射出する。なお、第1発光素子311と第2発光素子321とは、同じピーク波長を有する青色光を射出する青色半導体レーザーから構成されていてもよいし、互いに異なるピーク波長を有する青色光を射出する青色半導体レーザーから構成されていてもよい。青色光BL2は、青色光BL1とともに第1集光光学系35に入射する。本実施形態の青色光BL1は、特許請求の範囲の第1光に相当する。本実施形態の青色光BL2は、特許請求の範囲の第3光に相当する。
【0084】
第2平行化素子322は、第2発光素子321に対応して設けられている。第2平行化素子322は、第2発光素子321から射出される青色光BL2を平行化する。
【0085】
第1合成ミラー33は、反射面が第2発光素子321から射出される青色光BL2の主光線に沿う光軸ax1に対して45°の角度をなすように配置されている。これにより、青色光BL2は、第2発光素子321から+X方向に向かって射出された後、第1合成ミラー33で反射して-Z方向に向かって進行する。また、第2合成ミラー34は、反射面が第1合成ミラー33によって反射される青色光BL2の主光線に沿う光軸ax2に対して45°の角度をなすように配置されている。これにより、青色光BL2は、第1合成ミラー33から-Z方向に向かって進んだ後、第2合成ミラー34で反射して+X方向に向かって光軸ax3に沿って進行する。
【0086】
一方、第1発光素子311から射出される青色光BL1は、第1合成ミラー33および第2合成ミラー34に入射することなく、第1発光素子311から+X方向に向かって光軸ax3に沿って直進する。青色光BL2の光路が第1合成ミラー33および第2合成ミラー34で折り曲げられることにより、青色光BL2が第2合成ミラー34で反射した後の位置における青色光BL1と青色光BL2との間の間隔S1は、第1発光素子311および第2発光素子321からの射出直後の位置における青色光BL1と青色光BL2との間の間隔S2に比べて狭くなる。このように、青色光BL1と青色光BL2とは、第1合成ミラー33および第2合成ミラー34によって合成され、光束BLとなる。
【0087】
すなわち、第1合成ミラー33および第2合成ミラー34は、第1発光素子311および第2発光素子321とダイクロイックミラー21との間に設けられ、第1発光素子311から射出される青色光BL1と第2発光素子321から射出される青色光BL2との少なくとも一方が入射され、青色光BL1と青色光BL2とを合成する。合成された光束BLは、第1集光光学系35および拡散素子36に順次入射する。
光源装置28のその他の構成は、第1実施形態の光源装置20と同様である。
【0088】
[第2実施形態の効果]
本実施形態においても、青色光BLの利用効率が高く、かつ、波長変換効率および信頼性に優れた照明装置を実現することができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0089】
また、本実施形態において、光源装置28は、第1発光素子311および第1平行化素子312に加えて、第2発光素子321および第2平行化素子322を備えている。
この構成によれば、光源装置28からの青色光BLの光出力を増やすことができる。その結果、照明装置から射出される白色の照明光WLの光出力を増やすことができる。
【0090】
図16は、図15の構成から拡散素子36を排除した場合の波長変換素子23上の光束BLの像を示す図である。図16において、白く見える個所は光強度が高い個所である。
本実施形態の場合、図16に示すように、第1発光素子311から射出される青色光BL1と第2発光素子321から射出される青色光BL2とは、各光の光軸に垂直な断面形状である楕円形の短軸方向に並ぶように配置されている。したがって、青色光BL1と青色光BL2とからなる光束BLの光軸に垂直な断面形状は、断面形状の長手方向の寸法に対する短手方向の寸法の比が1:1に近い形状、すなわち円形や正方形に近い形状となっている。
【0091】
図17は、図15の構成における波長変換素子23上の光束BLの像を示す図である。図17において、白く見える個所は光強度が高い個所である。
拡散素子36を有する場合、光束BLが拡散素子36によって拡散された後に波長変換素子23に入射するため、図17に示すように、波長変換素子23に入射する光束BLの像は、略円形となる。その結果、円形に近い断面形状を有する青色光BLおよび蛍光YLが波長変換素子23から射出されるため、照明光WLを波長変換素子23の後段の光学系に効率良く入射させることができる。これにより、光利用効率の高い照明装置を実現することができる。
【0092】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、図18を用いて説明する。
第3実施形態のプロジェクターの構成は第1実施形態と同様であり、照明装置の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターの全体構成の説明は省略する。
図18は、第3実施形態の照明装置の概略構成図である。
図18において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0093】
図18に示すように、本実施形態の照明装置50は、光源装置20と、光学素子53と、第2集光光学系22と、波長変換素子23と、インテグレーター光学系24と、偏光変換素子25と、重畳レンズ26と、を備えている。光源装置20は、第1発光素子311と、第1平行化素子312と、第1集光光学系35と、拡散素子36と、を備えている。
【0094】
第1実施形態の照明装置2においては、光源装置20の光軸ax4と波長変換素子23の光軸ax5とが直交していた。これに対して、本実施形態の照明装置50においては、光源装置20の光軸ax4と波長変換素子23の光軸ax5とが同一直線上に配置されている。したがって、本実施形態の場合、第1発光素子311、第1平行化素子312、第1集光光学系35、拡散素子36、光学素子53、第2集光光学系22、および波長変換素子23は、同一の光軸上に配置されている。また、光軸ax4および光軸ax5は、インテグレーター光学系24、偏光変換素子25および重畳レンズ26を含む後段の光学系の光軸ax7と直交する。
【0095】
光学素子53は、光軸ax4および光軸ax5と光軸ax7のそれぞれに対して45°の角度をなすように配置されている。光学素子53は、透光性を有する基板55と、基板55の一面に設けられた光学膜と、を有する。光学膜として、光軸ax4および光軸ax5と光軸ax7とが交差する光学素子53の中央部には、青色波長帯の光を透過させ、黄色波長帯の光を反射させる特性を有するダイクロイックミラー57が設けられている。すなわち、本実施形態のダイクロイックミラー57は、透過波長帯および反射波長帯が第1実施形態のダイクロイックミラー21とは逆である。また、ダイクロイックミラー57の両側には、青色波長帯の光および黄色波長帯の光をともに反射させるミラー58が設けられている。
【0096】
本実施形態の場合、第1発光素子311から射出される青色光BLは、ダイクロイックミラー57を透過し、第2集光光学系22を介して波長変換素子23に入射する。このとき、本実施形態においても、第1実施形態と同様、第1発光素子311と光学素子53との間に第1集光光学系35と拡散素子36とが設けられているため、光学素子53上のダイクロイックミラー57を小型化することができる。
【0097】
また、ダイクロイックミラー57を小型化することにより、波長変換素子23で後方散乱した青色光BLのうち、青色光BLの中央部は、ダイクロイックミラー57に入射するが、青色光BLの周縁部はダイクロイックミラー57の両側のミラー58で反射する。ダイクロイックミラー57に入射する青色光BLは、ダイクロイックミラー57を透過するため、損失となるが、ミラー58に入射する青色光BLは、蛍光YLとともに照明光WLとして利用される。また、ダイクロイックミラー57を小型化することにより、ダイクロイックミラー57を透過し、損失となる青色光BLを少なくすることができる。
【0098】
[第3実施形態の効果]
本実施形態においても、青色光BLの利用効率が高く、かつ、波長変換効率および信頼性に優れた照明装置50を実現することができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0099】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記第2実施形態の照明装置においては、第1発光素子から射出される青色光と第2発光素子から射出される青色光とを合成ミラーを用いて合成した後、第1集光光学系に入射させる構成を有しているが、合成ミラーを用いることなく、第1発光素子から射出される青色光と第2発光素子から射出される青色光とを並列に第1集光光学系に入射させる構成を有していてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、ダイクロイックミラーは、波長変換素子の光軸と交差する位置に設けられているが、波長変換素子の光軸からオフセットされた位置に設けられていてもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、回転可能とされていない固定型の波長変換素子の例を挙げたが、本発明は、モーターによって回転可能とされた波長変換素子を有する照明装置にも適用が可能である。また、回転可能とされていない固定型の拡散素子の例を挙げたが、本発明は、モーターによって回転可能とされた拡散素子を有する照明装置にも適用が可能である。
【0102】
その他、照明装置およびプロジェクターの各構成要素の形状、数、配置、材料等の具体的な記載については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。上記実施形態では、本発明による照明装置を、液晶ライトバルブを用いたプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による照明装置を、光変調装置としてデジタルマイクロミラーデバイスを用いたプロジェクターに適用してもよい。また、プロジェクターは、複数の光変調装置を有していなくてもよく、1つの光変調装置のみを有していてもよい。
【0103】
上記実施形態では、本発明の照明装置をプロジェクターに適用した例を示したが、これに限られない。本発明の照明装置は、照明器具や自動車のヘッドライト等にも適用することができる。
【0104】
本発明の一つの態様の照明装置は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様の照明装置は、第1波長帯の第1光を射出する第1発光素子と、前記第1発光素子から射出される前記第1光を平行化する第1平行化素子と、前記第1光が入射する第1面と、前記第1面とは異なる第2面と、を有する波長変換層を有し、前記第1光を前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の第2光に変換する波長変換素子と、前記第1波長帯の光と前記第2波長帯の光とのうちの一方を反射し、他方を透過する光学素子と、前記第1平行化素子と前記光学素子との間に設けられ、正のパワーを有する第1集光光学系と、前記第1集光光学系と前記光学素子との間に設けられ、前記第1集光光学系から射出される前記第1光を拡散させる拡散素子と、前記光学素子と前記波長変換素子との間に設けられ、正のパワーを有する第2集光光学系と、を備え、前記第2集光光学系は、前記第2集光光学系の主点と前記波長変換層の前記第2面との間に焦点を有する。
【0105】
本発明の一つの態様の照明装置は、前記第1波長帯の第3光を射出する第2発光素子と、前記第2発光素子から射出される前記第3光を平行化する第2平行化素子と、をさらに備え、前記第2平行化素子から射出される前記第3光は、前記第1集光光学系に入射してもよい。
【0106】
本発明の一つの態様の照明装置において、前記第1集光光学系の焦点距離をFとし、前記第1集光光学系の主点と前記光学素子における前記第1光の入射点との距離をLとしたとき、以下の(1)式を満たしてもよい。
L≦F …(1)
【0107】
本発明の一つの態様の照明装置において、前記第1集光光学系の焦点距離をFとし、前記第1集光光学系に入射する前記第1光の最外光線の光軸からの距離をHとし、前記拡散素子の拡散角をα(rad)としたとき、以下の(2)式を満たしてもよい。
α≦2・tan-1(H/F)(ただし、α<π) …(2)
【0108】
本発明の一つの態様の照明装置において、前記光学素子は、前記波長変換素子の光軸と交差する位置に設けられていてもよい。
【0109】
本発明の一つの態様の照明装置において、前記波長変換素子は、前記第1光を前記第2光に変換する波長変換層と、前記波長変換層の第1面に設けられた反射層と、前記波長変換層の第2面に設けられた構造体と、を有していてもよい。
【0110】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の照明装置と、前記照明装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備える。
【符号の説明】
【0111】
1…プロジェクター、2,50…照明装置、4B,4G,4R…光変調装置、6…投射光学装置、21,57…ダイクロイックミラー(光学素子)、22…第2集光光学系、23…波長変換素子、35…第1集光光学系、36…拡散素子、53…光学素子、232…反射層、233…波長変換層、233a…第1面、233b…第2面、234…構造体、311…第1発光素子、312…第1平行化素子、321…第2発光素子、322…第2平行化素子、BL,BL1…青色光(第1光)、BL2…青色光(第3光)、E…焦点、YL…蛍光(第2光)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図18