(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】車載用電子装置
(51)【国際特許分類】
F28D 15/02 20060101AFI20231212BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231212BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
F28D15/02 F
H05K7/20 N
F28D15/02 L
F28D15/02 E
F28D15/02 101K
B60R16/02 610D
(21)【出願番号】P 2020098778
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】中川 充
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-306932(JP,A)
【文献】特開2015-230907(JP,A)
【文献】国際公開第2017/022639(WO,A1)
【文献】特開2009-049695(JP,A)
【文献】特開2006-093293(JP,A)
【文献】特開2005-239133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/02
H05K 7/20
B60R 16/02
B60J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)に搭載される車載用電子装置であって、
前記車両の屋根板(101)と車室(100a)の天井内張り(102)との間に設けられる電子部品(31)と、
前記電子部品を冷却する冷却部(40)と、を含み、
前記冷却部は、
温度上昇により体積が増加する冷媒が流れる管と、
前記管が接続されて前記冷媒が流入し、流入する前記冷媒と前記電子部品との間で熱交換させて、前記電子部品から吸熱する吸熱部(50)と、
前記車室に配置され、前記管が接続され前記冷媒が流入し、前記吸熱部を通過した前記冷媒と前記車室内の空気とを熱交換させて、前記冷媒の熱を前記車室に放熱する放熱部(60)と、
前記冷媒が流れる流路に配置され、前記冷媒の圧力上昇により開く逆止弁(73、74)と、
を含み、
前記流路において、前記冷媒を同一方向に流す2つの前記逆止弁が前記吸熱部を挟むように配置されており、
2つの前記逆止弁
に挟まれた前記吸熱部を含む前記流路に、前記冷媒の体積増加によって上昇した前記冷媒の圧力を弾性変形により蓄積し、前記冷媒の圧力低下時には、蓄積した圧力を放出する蓄圧部(71,72,254)を備える、車載用電子装置。
【請求項2】
車両(100)に搭載される車載用電子装置であって、
前記車両の屋根板(101)と車室(100a)の天井内張り(102)との間に設けられ
、前記屋根板の前端下に配置される電子部品(31)と、
前記電子部品を冷却する冷却部(40)と、を含み、
前記冷却部は、
温度上昇により体積が増加する冷媒が流れる管と、
前記管が接続されて前記冷媒が流入し、流入する前記冷媒と前記電子部品との間で熱交換させて、前記電子部品から吸熱する吸熱部(50)と、
前記車室に配置され、前記管が接続され前記冷媒が流入し、前記吸熱部を通過した前記冷媒と前記車室内の空気とを熱交換させて、前記冷媒の熱を前記車室に放熱する放熱部(60)と、
前記冷媒が流れる流路に配置され、前記冷媒の圧力上昇により開く逆止弁(73、74)と、
を含
み、
前記放熱部は、前記車両が備えるサンバイザに配置されている、車載用電子装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の車載用電子装置であって、
前記流路において、前記冷媒を同一方向に流す2つの前記逆止弁が前記吸熱部を挟むように配置されている、車載用電子装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載用電子装置であって、
2つの前記逆止弁
に挟まれた前記吸熱部を含む前記流路に、前記冷媒の体積増加によって上昇した前記冷媒の圧力を弾性変形により蓄積し、前記冷媒の圧力低下時には、蓄積した圧力を放出する蓄圧部を備える、車載用電子装置。
【請求項5】
請求項
1又は4に記載の車載用電子装置であって、
前記蓄圧部として、前記管の少なくとも一部であり、径方向に伸縮する伸縮管(71、72)を備える、車載用電子装置。
【請求項6】
請求項
1又は4に記載の車載用電子装置であって、
前記蓄圧部として、前記流路内に、加圧により収縮し、その後の減圧により膨張する蓄圧体(254)を備える、車載用電子装置。
【請求項7】
請求項
1に記載の車載用電子装置であって、
前記屋根板の前記電子部品が配置されている側とは反対側の面に配置され、前記屋根板から突き出し、アンテナ素子(222)を収容する突起部(221)をさらに備え、
前記電子部品は、前記アンテナ素子を介して外部と無線通信を行う無線通信回路である、車載用電子装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の車載用電子装置であって、
前記電子部品と熱的に結合する伝熱部材(38)をさらに含み、
前記吸熱部は、内部に冷媒流路を有する金属製の吸熱本体部(51)を備え、
前記吸熱本体部は前記伝熱部材と熱的に結合し、
前記吸熱部は、流入する冷媒の熱を前記吸熱本体部および前記伝熱部材を介して前記電子部品の熱と熱交換させて、前記電子部品から吸熱する
、車載用電子装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の車載用電子装置であって、
前記屋根板と前記電子部品との間に設けられる断熱部材(35)をさらに含む、車載用電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、電子部品が車両の屋根板と車室の天井内張りとの間に配置される車載用電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の天井に備えられ、アンテナを収容する突起部を有するアンテナ装置が開示されている(たとえば特許文献1参照)。アンテナ装置が備える回路部は、性能を維持するために放熱できるようになっていることが好ましい。
【0003】
特許文献1では、回路部を、車両の屋根から突き出す突起部の中に設け、さらに車両の屋根外面からも離間した位置に回路部を設けている。これによって回路部の熱を突起部内の空間に逃がすことができるので、回路部の温度上昇が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構造では、屋根上に回路部があるため、回路部の熱を突起部内の空間に逃がす工夫をしても、回路部が備える電子部品が、耐熱温度を超えた温度まで温度上昇してしまうことを十分に抑制できなかった。電子部品が耐熱温度を超えると、電子部品が異常作動したり、作動しなくなったりする恐れがある。電子部品を車両内に配置すれば、電子部品を屋根上に配置するよりも、電子部品の温度上昇を抑制できる。
【0006】
車両には多数の部品を搭載する必要があるので、電子部品を車両の屋根板と車室の天井内張りとの間に配置しなければならないことも生じる。車両の屋根板と車室の天井内張りとの間は、車両内では比較的高温になる領域である。したがって、車両の屋根板と車室の天井内張りとの間に電子部品を配置する場合、電子部品の温度が耐熱温度を超えないようにする構造が必要になる。
【0007】
さらに、電子部品は非作動時も耐熱温度を超えないようにする必要があるので、電力を使わずに電子部品の温度が耐熱温度を超えないようにすることが望まれる。
【0008】
開示される目的は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、電力を使わずに、車両の屋根板と車室の天井内張りとの間に設けられる電子部品の温度が耐熱温度を超えてしまうことを抑制できる車載用電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0010】
ここに開示された車載用電子装置は、
車両(100)に搭載される車載用電子装置であって、
車両の屋根板(101)と車室(100a)の天井内張り(102)との間に設けられる電子部品(31)と、
電子部品を冷却する冷却部(40)と、を含み、
冷却部は、
温度上昇により体積が増加する冷媒が流れる管と、
管が接続されて冷媒が流入し、流入する冷媒と電子部品との間で熱交換させて、電子部品から吸熱する吸熱部(50)と、
車室に配置され、管が接続され冷媒が流入し、吸熱部を通過した冷媒と車室内の空気とを熱交換させて、冷媒の熱を車室に放熱する放熱部(60)と、
冷媒が流れる流路に配置され、冷媒の圧力上昇により開く逆止弁(73、74)と、を含み、
流路において、冷媒を同一方向に流す2つの逆止弁が吸熱部を挟むように配置されており、
2つの逆止弁に挟まれた吸熱部を含む流路に、冷媒の体積増加によって上昇した冷媒の圧力を弾性変形により蓄積し、冷媒の圧力低下時には、蓄積した圧力を放出する蓄圧部を備える。
また、ここに開示された他の車載用電子装置は、
車両(100)に搭載される車載用電子装置であって、
車両の屋根板(101)と車室(100a)の天井内張り(102)との間に設けられ、屋根板の前端下に配置される電子部品(31)と、
電子部品を冷却する冷却部(40)と、を含み、
冷却部は、
温度上昇により体積が増加する冷媒が流れる管と、
管が接続されて冷媒が流入し、流入する冷媒と電子部品との間で熱交換させて、電子部品から吸熱する吸熱部(50)と、
車室に配置され、管が接続され冷媒が流入し、吸熱部を通過した冷媒と車室内の空気とを熱交換させて、冷媒の熱を車室に放熱する放熱部(60)と、
冷媒が流れる流路に配置され、冷媒の圧力上昇により開く逆止弁(73、74)と、
を含み、
放熱部は、車両が備えるサンバイザに配置されている。
【0011】
この車載用電子装置は、電子部品を冷却する冷却部を有しているので、電子部品を、車両の屋根板と車室の天井内張りとの間に配置しても、その電子部品が耐熱温度を超えてしまうことを抑制できる。
【0012】
また、冷却部は、管の中に、温度上昇により体積が増加する冷媒が充填されている。太陽熱により電子部品の雰囲気温度が高くなっていくと、電子部品付近の冷媒も温度が上昇する。この温度上昇により、冷媒の圧力上昇が生じる。
【0013】
冷媒の圧力が高くなると逆止弁が開き、冷媒が流路を流れる。これにより、吸熱部で電子部品から吸熱した熱が、冷媒の循環により放熱部まで運ばれて、放熱部にて放熱される。このような作動により電子部品の熱が放熱されるので、電力を使わずに、電子部品の温度が耐熱温度を超えてしまうことを抑制できる。
【0014】
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態のアンテナ装置10を示す側面図。
【
図4】第2実施形態のアンテナ装置210を示す図。
【
図5】第3実施形態のアンテナ装置310を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
本開示の第1実施形態に関して、
図1~
図3を用いて説明する。本実施形態の車載用アンテナ装置10は、外部の装置と通信するための送受信機である。以下、車載用アンテナ装置10を、単にアンテナ装置10と記載する。アンテナ装置10は、車載用電子装置であって、たとえば自動運転に必要な電波による通信を行う。
【0017】
本実施形態のアンテナ装置10は、
図1に示すように、車両100の屋根板101の下に取り付けられる。屋根板101は、車両100の屋根を構成する金属板である。車両前後方向におけるアンテナ装置10の設置位置は屋根板101の前端であり、車両幅方向におけるアンテナ装置10の設置位置は車両幅方向の中央である。この位置は、オーバヘッドコンソールと呼ばれる部分である。
【0018】
アンテナ装置10は、
図1に示すように、屋根板101と、車室100aの天井内張り102との間に配置される上部11と、天井内張り102の下に配置される下部12とを備えている。天井内張り102は、車室100aの天井を構成する部材であり、ライナーと呼ばれることもある。天井内張り102は、ポリプロピレンなどの樹脂製である。
【0019】
図2に、アンテナ装置10の断面図を示す。
図2に示す断面は、車幅方向に平行な鉛直断面である。アンテナ装置10は、機能として、無線部30と冷却部40と備えている。無線部30は、無線通信を行う部分であり、電子部品31、回路基板32、筐体33、アンテナ素子34および断熱部材35を含んで構成される。冷却部40は、無線部30が備える電子部品31を冷却する部分である。
【0020】
筐体33は、直方体状であって、内部に電子部品31、回路基板32およびアンテナ素子34を収容する。筐体33は、樹脂ケース36とアルミカバー37によって構成される。樹脂ケース36は、樹脂材料からなり、中空の直方体状であって、6面のうち1面が開放されている。したがって樹脂ケース36は、いわゆるバスタブ形状である。
【0021】
アルミカバー37は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、樹脂ケース36の開放部分を覆うように設けられる。アルミカバー37は、筐体33の一部を構成する金属部分である。アルミカバー37は、伝熱性に優れ、筐体33の電子部品31の熱を外部に放熱する主要部分となる。アルミカバー37は、絞り加工によって成型されており、ビスやフックなどを用いた嵌合などで樹脂ケース36に対し固定されている。
【0022】
筐体33は、アルミカバー37が下側、すなわち車室100a側に位置するように配置される。筐体33は、断熱部材35を介して屋根板101の下面に設けられる。筐体33は、図示しない車体フレームにブラケットなどにより固定される。
【0023】
断熱部材35は、筐体33の外部に設けられ、筐体33および吸熱部50と屋根板101との間を断熱する。断熱部材35は、断熱性に優れる材料、たとえばグラスウールからなる。断熱部材35は、屋根板101と筐体33との間を埋め、かつ、筐体33と吸熱部50を覆うように設けられる。断熱部材35により、屋根板101と筐体33との間で形成される空間を埋める理由は、屋根板101が受けた日射熱量が筐体33、具体的には樹脂ケース36に影響しないよう空気遮蔽を目的にしているからである。また、断熱部材35が吸熱部50を覆う理由は、車室100aの空気により冷やされた冷媒が、屋根板101からの輻射熱や、屋根板101と天井内張り102の間の空気により温められないようにするためである。
【0024】
回路基板32は、いわゆるプリント基板であり、絶縁性を有する基材の表面および裏面に所定の配線パターンが形成されている。回路基板32は、筐体33内に図示しないビスなどの固定部材で固定されている。回路基板32の表面および裏面には、電子部品31の伝熱経路としての伝熱パターンが形成されている。伝熱パターンは、伝熱性に優れる材料、たとえば銅箔が用いられる。したがって伝熱パターンと配線パターンとは、同じ材料で構成される。また回路基板32には、図示しない複数のバイヤホールが形成されている。バイヤホールは、円筒部分が銅箔で形成され、伝熱性に優れる材料、たとえばはんだが充填されればさらに伝熱効果が期待できる。これによってバイヤホールは、表面の伝熱パターンと裏面の伝熱パターンとを熱的に結合している。またバイヤホールは、表面の配線パターンと裏面の配線パターンとを、所定の配線経路で電気的に結合している。
【0025】
電子部品31は、種々の電子回路素子を含み、回路基板32の表面および裏面に複数実装されている。電子部品31は、通電すると発熱する発熱素子も含む。発熱素子は、たとえば複数のICにより構成されるモジュール構造の一部に1個から数個配置されている。複数の電子部品31は、回路基板32にはんだ固定され、配線パターンによって所定の関係で電気的に接続されている。
【0026】
所定の電子部品31は、アンテナ素子34と電気的に接続され、アンテナ素子34を介して外部と無線通信を行う無線通信回路の少なくとも一部をなすものである。本実施形態では、電子部品31として、送信信号を増幅するパワーアンプを含んでいる。それ以外にも、電子部品31として、たとえば受信信号を増幅するローノイズアンプ、給電ラインを送信側および受信側のいずれかに切り替えるスイッチ、送信側のバンドパスフィルタ、および受信側のバンドパスフィルタを含む構成としても良い。電子部品31は、車両100に搭載される車両用制御装置と有線(図示せず)によって電気的に接続されている。
【0027】
回路基板32とアルミカバー37とは熱的に結合されている。回路基板32とアルミカバー37との接続部分には、たとえば伝熱部材38として伝熱シートまたは伝熱グリスが設けられている。また回路基板32の伝熱パターンとの接続部分が、アルミカバー37との接続部分となる。このように伝熱部材38で空気層が介在しないように配置されて、回路基板32とアルミカバー37との伝熱通路が形成されている。電子部品31が発熱した熱は、回路基板32の基材、バイヤホールの円筒銅箔部および円筒部を介して、アルミカバー37に伝わる。
【0028】
〔冷却部40の説明〕
次に、冷却部40に関して説明する。冷却部40は、冷媒を用いて電子部品31を冷却する機能を有する。具体的には、冷却部40は、筐体33のアルミカバー37を冷却することで、電子部品31を冷却する。冷却部40は、電子部品31から熱を吸熱する吸熱部50と、冷媒の熱を車室100aに放熱する放熱部60と、吸熱部50と放熱部60とを連結する連結部70を含んで構成される。
【0029】
吸熱部50は、本実施形態では、アルミカバー37と熱交換することで、電子部品31から吸熱する。吸熱部50は、内部を冷媒が複数に分岐して通過する冷媒流路を有する吸熱本体部51、ゴムホース71に接続される入口部52、および、ゴムホース72に接続される出口部53を有する。吸熱本体部51は、伝熱性に優れる材料、たとえば銅からなる。入口部52および出口部53は、銅製の管部材であり、それぞれゴムホース71、72が接続されている。
【0030】
吸熱本体部51は、直方体状であり、一面がアルミカバー37に接触して設けられ、アルミカバー37と熱的に接続されている。吸熱本体部51はアルミダイキャストで成形される。この吸熱本体部51がアルミカバー37としての機能を兼ねていてもよい。この場合、アルミカバー37を省略できる。吸熱本体部51の構造は、一例としては、2つの部品がろう付けなどでシールされた構造である。入口部52から吸熱本体部51に流入した冷媒は、内部の冷媒流路を流れて出口部53に至り、出口部53からゴムホース71に流れる。冷媒が冷媒流路を流れるときに、アルミカバー37と冷媒とが熱交換し、アルミカバー37から吸熱する。
【0031】
冷媒は、冬は凍結せず、夏には120℃でも沸騰しない不凍液が用いられる。冷媒は、吸熱部50、放熱部60、連結部70内の流路に充填されている。冷媒は、常温で液体である一般的な物質と同様、室温以上の温度において、温度上昇により体積が増加し、温度低下により体積が減少する。
【0032】
放熱部60は、流入する冷媒と車室100a内の空気とを熱交換させて、冷媒の熱を車室100a内に放熱する。放熱部60は、内部を冷媒が通過する冷媒流路を有する放熱本体部61、ゴムホース71に接続される入口部62およびゴムホース72に接続される出口部63を有する。放熱本体部61は、伝熱性に優れる材料、たとえば銅からなる。本実施形態の放熱本体部61は断面が扁平な管形状である。入口部62および出口部63は、銅製の管部材である。
【0033】
入口部62から放熱本体部61に流入した冷媒は、内部の冷媒流路を流れ出口部63に至る。冷媒が冷媒流路を流れるときに、車室100a内の空気と冷媒とが熱交換し、冷媒の熱が放熱される。
【0034】
連結部70は、2つのゴムホース71、72と、2つの逆止弁73、74を備える。1つのゴムホース71は、一方の端が出口部53に接続され、他方の端が逆止弁73に接続されている。もう一方のゴムホース72は一方の端が逆止弁74に接続され、他方の端は入口部52に接続されている。ゴムホース71、72は、断面円形の管であって、内部に冷媒が流れる空間を形成している。また、ゴムホース71、72は、内圧により径方向に伸縮する伸縮管である。また、ゴムホース71、72は、ゴム製であることから、断熱性に優れる。
【0035】
逆止弁73は、順方向が、ゴムホース71が接続されている側から入口部62が接続されている側になっている。もう一方の逆止弁74は、順方向が、出口部63からゴムホース72が接続されている側になっている。したがって、2つの逆止弁73、74は、冷媒の流路において、吸熱部50を挟む位置に配置されており、また、これらの逆止弁73、74の順方向は同一の方向になっている。
【0036】
2つの逆止弁73、74は、同一の構成である。本実施形態の逆止弁73、74の形式は、バネにより弁体が閉弁状態になる方向に付勢される形式である。ただし、スイング式など種々の形式の逆止弁を採用することができる。本実施形態では、逆止弁73および逆止弁74は天井内張り102に接する。したがって、逆止弁73および逆止弁74に接続されている放熱部60と天井内張り102との間には僅かな隙間が存在する。なお、放熱部60は、車室100aに露出していてもよいが、放熱部60、逆止弁73および逆止弁74を覆う筐体が設けられてもよい。
【0037】
〔冷却部40による冷却作動〕
次に、冷却部40による冷却作動を説明する。屋根板101に太陽光が照射すると、電子部品31の温度が上昇する。電子部品31の温度上昇により、吸熱本体部51内の冷媒が温められる。吸熱本体部51内の冷媒は温度上昇により体積が増加する。
【0038】
ただし、吸熱本体部51内の流路は出口部53を介してゴムホース71に接続されているが、ゴムホース71の先端に接続されている逆止弁73は閉弁状態である。また、吸熱本体部51内の流路の反対側は入口部52を介してゴムホース72に接続されているが、ゴムホース72の先端に接続されている逆止弁74も閉弁状態である。
【0039】
したがって、吸熱本体部51の内部の冷媒の温度が上昇しても、冷媒は、体積が増加しにくい。冷媒が体積増加する代わりに、逆止弁74からゴムホース72、吸熱本体部51、ゴムホース71、逆止弁73までの流路に充填された冷媒の圧力が上昇する。なお、ゴムホース71、72は内圧により径方向に伸縮することから、温度上昇による冷媒の変化の一部は体積増加として現れる。
【0040】
冷媒の圧力が逆止弁73の作動圧力を超えると逆止弁73が開く。これにより、放熱本体部61に充填されている冷媒の圧力も上昇する。そして、放熱本体部61に充填されている冷媒の圧力が逆止弁74の作動圧力を超えると、逆止弁74が開く。逆止弁74が開くことにより冷媒が循環する。これにより、吸熱本体部51が吸熱した熱が、放熱本体部61で放熱されて吸熱本体部51に戻る。
【0041】
次に、
図3を用いて、冷却部40による冷却効果に関して説明する。
図3では、横軸に時間を示し、縦軸に摂氏温度と日射量を示す。
図3では、車両100を日当たりがよい屋外に配置した場合の各部の温度の変化を示している。
【0042】
図3に示すように、深夜0時から時刻が進み、朝5時の日の出とともに日射量が増加し、12時に日射量がピークである3.5MJ/m
2h(=970W)となり、日没に向けて日射量が減少する。日射量がピーク時の外気温は46℃であるが最高気温は地球のヒートマスにより2時間遅れで48℃程度となる。日射量と同様に温度変化するのが屋根板101の表面温度である。屋根板101が金属からなるので、日射量による影響を受けやすい。屋根板101と天井内張り102との間の空間は、屋根板101から温度が伝わるので、屋根板101よりは温度が低いが高温の空間となる。
【0043】
屋根板101の最高温度が約112度であり、屋根板101と天井内張り102との間の空間の最高温度は約105度である。通常の電子部品31の耐熱温度85℃に対して、屋根板101と天井内張り102との間の空間は、約20℃と大幅にオーバーしている。
【0044】
天井内張り102の車室100a側の表面温度は、さらに温度が低下し約88度である。天井内張り102に接していない場合には、天井内張り102に近くても、天井内張り102の表面温度よりもさらに温度が低い。したがって、放熱本体部61の雰囲気温度は最高でも約80℃程度であると推定できる。
【0045】
屋根板101と天井内張り102との間の空気の温度よりも相対的に低い天井内張り102の下の車室100a内の空気を用いて、高温の空間である屋根板101と天井内張り102との間の空間に配置される電子部品31を冷却部40が冷却する。これによって電子部品31の温度が耐熱温度を越えてしまうことを抑制できる。
【0046】
〔第1実施形態のまとめ〕
以上説明したように本実施形態のアンテナ装置10は、冷却部40を有し、冷却部40は冷媒を放熱部60と吸熱部50との間で循環させ、冷媒と熱交換することで電子部品31を冷却している。したがって屋根板101と車室100aの天井内張り102との間に電子部品31を配置しても、その電子部品31が耐熱温度を超えてしまうことを抑制できる。
【0047】
また、冷却部40は、ゴムホース71、72の中に冷媒が充填されている。電子部品31の温度が高くなっていくと、電子部品31の付近の冷媒も温度が上昇する。この温度上昇により、冷媒の圧力上昇が生じる。
【0048】
冷媒の圧力が高くなると逆止弁73、74が開き、冷媒が流路を流れる。これにより、吸熱部50で電子部品31から吸熱した熱が、冷媒の循環により放熱部60まで運ばれて、放熱部60にて放熱される。このような作動により電子部品31の熱が放熱されるので、電力を使わずに、電子部品31の温度が耐熱温度を超えてしまうことを抑制できる。
【0049】
また、連結部70は、吸熱部50を挟むように、2つの逆止弁73、74を備えている。これにより、逆止弁73、74が開く前は、冷媒において、吸熱部50が吸熱した熱により温度上昇する部分は、主として、2つの逆止弁73、74の間の冷媒になる。その結果、2つの逆止弁73、74の間の冷媒が効率よく温度上昇することになる。よって、電子部品31の温度上昇により逆止弁73が開きやすくなり、冷媒の循環が効率よく行われる。
【0050】
また、本実施形態では、連結部70は、管としてゴムホース71、72を備えており、冷媒の温度上昇による体積増加により、ゴムホース71、72は径方向に拡大する。ゴムホース71、72が径方向に拡大することは、ゴムホース71、72に収縮する圧力が弾性変形により蓄積されている状態である。つまり、ゴムホース71、72は蓄圧部として機能する。
【0051】
ゴムホース71、72に蓄積された圧力は、逆止弁73、74が開き、冷媒の圧力が低下するときに放出される。したがって、このゴムホース71、72があることで、逆止弁73、74が開いたときに流路を流れる冷媒の勢いを増加させて、冷媒の循環量を増やすことができる。冷媒の循環量が増えれば、電子部品31の温度上昇をより抑制することができる。
【0052】
また本実施形態では、筐体33の一部であるアルミカバー37および伝熱部材38により、アルミダイキャスト製である吸熱本体部51は電子部品31とを熱的に結合している。熱的に結合とは、断熱材や空気などの低熱伝導素材を介さずに結合していることを意味する。吸熱部50は、流入する冷媒との熱交換により電子部品31から吸熱する。これによって筐体33内に冷媒を通過させる構造を設けることなく、筐体33と吸熱部50とが熱交換することで電子部品31を冷却することができる。したがって簡単な構成で吸熱部50を実現することができる。
【0053】
また本実施形態では、屋根板101と電子部品31との間に設けられる断熱部材35をさらに含む。断熱部材35によって屋根板101から電子部品31に伝わる熱を少なくすることができる。これによって電子部品31が高温になることをある程度抑制することができるので、電子部品31の温度が耐熱温度を超えてしまうことをより抑制できる。
【0054】
通常、屋根板101の近くは、太陽光によって高温環境になりやすいが、本実施形態では冷却部40を用いて太陽光による温度上昇を抑制しているので、電子部品31の設置スペースとして有効に活用することができる。また天井スペースから放熱するための穴を屋根板101に形成することなく、本実施形態のアンテナ装置10を実現することができる。これによって意匠的および防水的にも考慮する必要なく本実施形態のアンテナ装置10を実現することができる。
【0055】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。この第2実施形態以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。
【0056】
図4に第2実施形態のアンテナ装置210の構成を示す。第2実施形態のアンテナ装置210は、アンテナ部220および装置本体230を含んで構成される。アンテナ部220は、車両100の屋根板101の上面に取り付けられる。
【0057】
アンテナ装置210の屋根板101における設置位置は、屋根板101の後端部であって、車両幅方向の中央である。装置本体230は、第1実施形態のアンテナ装置10と類似の構成である。装置本体230はアンテナ素子34を備えていない点でアンテナ装置10と相違する。また、吸熱本体部51の流路内に蓄圧球254を備えている。これらの点で、装置本体230はアンテナ装置10と相違する。
【0058】
アンテナ部220と装置本体230とは、屋根板101に形成された貫通孔(図示せず)を介して、コネクタ212によって電気的に接続される。
図4では、コネクタ212は簡略化して示している。貫通孔の周囲は、図示しない防水構造によって屋根板101にかかる雨水などが車室100a内に浸水することを禁止している。
【0059】
アンテナ部220は、突起部221およびアンテナ素子222を有する。突起部221は、アンテナ部220の外殻を構成し、内部にアンテナ素子222を収容する。突起部221は、樹脂材料からなり、走行による空気抵抗を減ずる流線形状に形成され、たとえばシャークフィン状に形成されている。突起部221は、屋根板101の上面に設けられる。
【0060】
アンテナ素子222は、絶縁性を有する板部材の表面に銅箔がパターニングされている。パターニングされた銅箔は、アンテナとして機能する。アンテナ素子222は、例えば5.9GHz帯を使用電波の周波数とする車々間通信用のアンテナを形成する。アンテナ素子222は、装置本体230に電気的に接続される。
【0061】
蓄圧部および蓄圧体である蓄圧球254は、蓄圧球254は弾性材料で構成されている。弾性材料の一例は、たとえばシリコンゴムである。蓄圧球254は、外圧により縮径し、縮径後、外圧が減少すると拡径する。蓄圧球254の数は、
図4では3つであるが、1つでも、また、3つ以外の複数でもよい。蓄圧球254は、中実の球体とすることもできる。ただし、蓄圧球254を、中空の球体とすることもできる。また、球は、真球でもよいが、転がり抑制のため、断面が楕円の球とすることもできる。また、球以外の形状でもよい。
【0062】
電子部品31の温度上昇により吸熱本体部51内の冷媒の温度が上昇すると、冷媒の体積増加により、吸熱本体部51内に配置された蓄圧球254が収縮する。収縮状態では、拡径する圧力が蓄積されている状態である。
【0063】
この蓄圧球254があることで、逆止弁73が開く前は、冷媒およびゴムホース71、72に加えてこの蓄圧球254にも圧力が蓄積される。したがって、逆止弁73が開いたときに流路を流れる冷媒の勢いをさらに増加させることができる。
【0064】
さらに本実施形態では、アンテナ素子222は突起部221に収容される。これによってアンテナを車両100の屋根板101の上に配置できるので送受信性能を高くすることができる。また電子部品31は、アンテナ素子222を介して外部と無線通信を行う無線通信回路である。これによってアンテナ素子222と無線通信回路部を近づけることができるので、アンテナ素子222と無線通信回路との間で信号が減衰してしまうことを抑制できる。
【0065】
<第3実施形態>
図5に第3実施形態のアンテナ装置310を示す。第3実施形態のアンテナ装置310は、第1実施形態のアンテナ装置10と車両100における設置位置が異なる。第3実施形態のアンテナ装置310は、車幅方向の位置は、運転席側のサンバイザ103と同じ位置である。
【0066】
アンテナ装置310においても、上部11は、車両100の屋根板101の前端において屋根板101と天井内張り102の間に配置される。
【0067】
アンテナ装置310において、ゴムホース71、72は、ともに、サンバイザ103を天井内張り102に結合するヒンジ104内を通る。なお、ゴムホース71、72が、ヒンジ104の外周に接するようにしてもよい。
【0068】
第3実施形態において、下部12は、サンバイザ103に設置される。放熱本体部61は、サンバイザ103の非使用時において、車室100aに露出する面に配置される。あるいは、放熱本体部61は、サンバイザ103の中に収容されていてもよい。
【0069】
この第3実施形態のように、下部12をサンバイザ103に設置すれば、車室100aに露出する下部12を目立たなくすることができる。
【0070】
<その他の実施形態>
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は前述した実施形態に何ら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0071】
前述の実施形態の構造は、あくまで例示であって、本開示の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本開示の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものである。
【0072】
<変形例1>
第1実施形態では、逆止弁73、74は、天井内張り102の車室100a側の面に配置されていた。しかし、逆止弁73、74の位置は、その他の位置でもよい。たとえば、逆止弁73、74は、天井内張り102よりも上側に配置されていてもよい。また、逆止弁73、74は、ゴムホース71、72の中間にあってもよい。また、逆止弁73、74は1つでもよい。
【0073】
<変形例2>
第1実施形態では、筐体33の一部が金属からなるが、筐体33の全体を金属、たとえばアルミニウムから構成してもよい。
【0074】
<変形例3>
第1実施形態では、電子部品31は回路基板32の両面に配置されているが、このような構成に限るものではなく、回路基板32の上面、すなわち屋根板101側の表面にのみ配置してもよい。これによって回路基板32の下面に電子部品31を設ける構成に比べて、回路基板32での伝熱ロスを回避することができる。また回路基板32に両面を電気的に接続するための複数のバイヤホールが不要となるので、製造コストを低減することができる。
【0075】
<変形例4>
第1実施形態では、電子装置はアンテナ装置10によって実現されているが、アンテナ装置10に限るものではなく、他の機能を有する電子装置であってもよい。たとえば、車両100の天井に配置される空気清浄機、そのスモークセンサ、ドライブレコーダ、および自動運転に必要な車載カメラなどであってもよい。
【0076】
<変形例5>
第1実施形態では、吸熱部50は直方体状であり、その一面が直接、アルミカバー37に接触する構成であるが、このような構成に限るものではない。たとえば吸熱部50は、冷媒が流れるゴムホース71を偏平形状にして、アルミカバー37に板金などでろう付けまたは伝熱ゲルによって直接接触させてもよい。これによって吸熱部50を小型化、軽量化することができる。
【0077】
<変形例6>
放熱本体部61は管形状であったが、さらに、その管に1つあるいは複数のフィンあるいはフランジが形成されていてもよい。また、放熱本体部61の管形状は、断面が扁平であったが、断面が円形であってもよい。
【0078】
<変形例7>
MIMO(multiple-input and multiple-output)など、複数のアンテナを用いる通信、あるいは、複数種類の通信方式を実現するために、第1実施形態のアンテナ装置10または第3実施形態のアンテナ装置310と、第2実施形態のアンテナ装置210がともに車両100に設けられていてもよい。
【0079】
<変形例8>
第3実施形態のアンテナ装置310は、運転席側のサンバイザ103に下部12が設けられていた。しかし、助手席側のサンバイザ103に下部12が設けられ、助手席側のサンバイザ103に隣接する屋根板101の下に上部11が設けられていてもよい。また、上部11がオーバヘッドコンソール内に配置されていてもよい。
【0080】
<変形例9>
放熱部60が、車室100aの足元など、車室100aの天井内張り102のすぐ下の位置以外に設置されていてもよい。
【0081】
<変形例10>
第3実施形態では、ゴムホース71、72と、蓄圧球254の2種類の蓄圧部を備えていた。しかし、蓄圧球254のみを備え、ゴムホース71、72に代えて、銅など、伝熱性のよい管を備えてもよい。このようにすれば、冷媒の循環による放熱に加えて、管による熱伝導により、電子部品31の熱を車室100aに放熱することもできる。
【符号の説明】
【0082】
10:車載用アンテナ装 11:上部 12:下部 30:無線部 31:電子部品 32:回路基板 33:筐体 34:アンテナ素子 35:断熱部材 36:樹脂ケース 37:アルミカバー 38:伝熱部材 40:冷却部 50:吸熱部 51:吸熱本体部 52:入口部 53:出口部 60:放熱部 61:放熱本体部 62:入口部 63:出口部 70:連結部 71:ゴムホース(管、弾性管、蓄圧部) 72:ゴムホース(管、弾性管、蓄圧部) 73:逆止弁 74:逆止弁 100:車両 100a:車室 101:屋根板 102:天井内張り 103:サンバイザ 104:ヒンジ 210:アンテナ装置 212:コネクタ 220:アンテナ部 221:突起部 222:アンテナ素子 230:装置本体 254:蓄圧球(蓄圧部) 310:アンテナ装置