(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 3/54 20060101AFI20231212BHJP
B65H 3/44 20060101ALI20231212BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B41J3/54 Z
B65H3/44 H
B41J29/00 A
B41J29/00 D
(21)【出願番号】P 2020121678
(22)【出願日】2020-07-15
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】疇地 悠
(72)【発明者】
【氏名】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】刑部 吉記
(72)【発明者】
【氏名】宮瀬 悟吏
(72)【発明者】
【氏名】大野 泰生
(72)【発明者】
【氏名】千葉 湧人
(72)【発明者】
【氏名】桑山 剛
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-059280(JP,A)
【文献】特開2017-193053(JP,A)
【文献】特開2002-302329(JP,A)
【文献】特開2014-120887(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0273717(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/54
B65H 3/44
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
上記筐体内に配置され、第1記録媒体を支持する第1供給トレイと、
上記筐体内で上記第1供給トレイより下方に配置され、第2記録媒体を支持する第2供給トレイと、
上記第1供給トレイから延び、上記第1記録媒体が通過する第1通路と、
上記第2供給トレイから延びて上記筐体内で上記第1通路より上方を通り、上記第2記録媒体が通過する第2通路と、
上記筐体内において上記第1供給トレイより上方に配置され、上記第1通路を案内される上記第1記録媒体に画像を形成する第1記録エンジンと、
上記筐体内において上記第1記録エンジンより上方に配置され、上記第2通路を案内される上記第2記録媒体に画像を形成する第2記録エンジンと、
外部装置と通信可能な通信インタフェースと、
上記第1記録エンジンと通信可能に有線接続される第1コントローラと、
上記筐体内において上記第1コントローラより上方に配置され、上記通信インタフェース、上記第1コントローラ、および上記第2記録エンジンと通信可能に有線接続される第2コントローラとを備える画像記録装置。
【請求項2】
上記第2コントローラは、上記第2通路の上端より上方に配置される請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記第1コントローラは、上記第2通路の上端より下方に配置される請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記第1コントローラは、上記第1記録エンジンより、上記第1通路の下流側に配置される請求項1から3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記第2コントローラは、上記第2記録エンジンより、上記第2通路の下流側に配置される請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記第2コントローラは、上記第1コントローラより上記通信インタフェースの近くに配置される請求項1から5のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記第2コントローラは、上記第2コントローラより上方に配置されるスキャナと有線接続される請求項1から6のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記第2コントローラと有線接続されるユーザインタフェースをさらに備える請求項1から7のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項9】
上記第1通路の下流端に配置され、上記第1記録エンジンにより画像が記録された上記第1記録媒体を支持する第1排出トレイと、
上記第2通路の下流端に配置され、上記第2記録エンジンにより画像が記録された上記第2記録媒体を支持する第2排出トレイとを備え、
上記第1コントローラは、上記第2排出トレイより下方に配置され、上記第2コントローラは、上記第1排出トレイよりも上方に配置される請求項1から8のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項10】
上記第2通路は、上記筐体内で上記第1通路より外側を通り、
上記通信インタフェースは上記第2通路よりも筐体内の外側に配置される請求項1から9のいずれかに記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置には、第1の記録部と、第2の記録部と、複数の給紙カセットと、制御手段とを備えているものがある。第2の記録部は、第1の記録部より上方に配置される。複数の給紙カセットは、第1の記録部より下方に配置される。制御手段は、第1の記録部、第2の記録部および複数の給紙カセットと電気的に接続されており、これらを、外部装置からの画像記録指示に基づいて制御する。制御手段による制御下で、複数の給紙カセットから送出された記録紙は、第1の記録部および第2の記録部に選択的に給送される。第1記録部および第2記録部の各々は、給送されてきた記録紙に画像を記録する(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像記録装置には、外部装置との通信インタフェースから第1の記録部および第2の記録部に至る通信線が必要となる。しかし、画像記録装置内には、上下方向において、第2の記録部、第1の記録部および複数の給紙カセットの順で配置されているため、通信線の引き回しが複雑になり、その結果、通信線の占有スペースが増大してしまう。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、通信線の占有スペースを低減可能な画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面は、画像記録装置であって、筐体と、第1供給トレイと、第2供給トレイと、第1通路と、第2通路と、第1記録エンジンと、第2記録エンジンと、通信インタフェースと、第1コントローラと、第2コントローラとを備える。上記第1供給トレイは、上記筐体内に配置され、第1記録媒体を支持する。上記第2供給トレイは、上記筐体内で上記第1供給トレイより下方に配置され、第2記録媒体を支持する。上記第1通路は、上記第1供給トレイから延び、上記第1記録媒体が通過する。上記第2通路は、上記第2供給トレイから延びて上記筐体内で上記第1通路より上方を通り、上記第2記録媒体が通過する。上記第1記録エンジンは、上記筐体内において上記第1供給トレイより上方に配置され、上記第1通路を案内される上記第1記録媒体に画像を形成する。上記第2記録エンジンは、上記筐体内において上記第1記録エンジンより上方に配置され、上記第2通路を案内される上記第2記録媒体に画像を形成する。通信インタフェースは、外部装置と通信可能である。上記第1コントローラは、上記第1記録エンジンと通信可能に有線接続される。第2コントローラは、上記筐体内において上記第1コントローラより上方に配置され、上記通信インタフェース、上記第1コントローラ、および上記第2記録エンジンと通信可能に有線接続される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通信線の占有スペースを低減可能な画像記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】(A)は、
図1のプリンタ部100を模式的に示す正面図であり、(B)は、プリンタ部100を模式的に示す背面図。
【
図3】
図1(A)の一点鎖線II-IIに沿う複合機10の断面の一部を示す模式図。
【
図5】
図4の記録ヘッド480A,480B、コントローラ660A,660B、および通信インタフェース670の位置関係を示す模式図。
【
図6】複合機10が実行する印刷処理の処理手順を示すフローチャート。
【
図7】
図6のデータ振り分け処理の詳細な処理手順を示すフローチャート。
【
図8】
図7のデータ分割処理の詳細な処理手順を示すフローチャート。
【
図9】
図8の画像数決定処理の詳細な処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された設置状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、前面201L,201R(
図2参照)を手前側として前後方向8が定義され、複合機10を前面201L,201R側から見て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8および左右方向9は、互いに直交している。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。換言すれば、向きは方向の一成分である。
【0010】
[複合機10の概略構成]
図1において、複合機10は、概ね直方体に形成されている。複合機10は、スキャナ部800、プリンタ部100、およびユーザインタフェース560を備えている。
【0011】
スキャナ部800は、複合機10の最上部に配置されている。スキャナ部800は、カバー801に加え、図示しないコンタクトガラスおよび光学系を有している。コンタクトガラス上には、原稿が載置される。カバーは、コンタクトガラス上の原稿を上方から覆う。原稿には、スキャナ部800による画像読み取りの対象となる画像(以下、「原稿画像」とも称する。)が記録されている。光学系は、CIS(Contact Image Sensor)や縮小光学系であり、原稿画像を光学的に読み取り、原稿画像を示す画像データを出力する。
【0012】
プリンタ部100は、複合機10においてスキャナ部800の直下に配置されている。プリンタ部100は、スキャナ部800から出力された画像データを受信し、インクジェット記録方式でシート1A,1B(
図3参照)に、画像データが示す画像を記録する。なお、プリンタ部100は、スキャナ部800以外にも、情報処理装置700(
図4参照)、複合機10に接続されたリムーバブルメディア(図示せず)から画像データを受信することもある。
【0013】
ユーザインタフェース560は、複合機10においてプリンタ部100の直上且つスキャナ部800より前方に配置されている。ユーザインタフェース560は、ディスプレイ561および複数の操作ボタン562を含む。ディスプレイ561は、コントローラ660B(
図4参照)により送信される表示用データに基づく画像を表示する。操作ボタン562は、複合機10の操作者により操作される。ユーザインタフェース560は、操作ボタン562に割り当てられている機能を示す操作信号を出力する。なお、
図1では、1つの操作ボタンにのみ参照符号「562」が付されている。
【0014】
なお、複合機10は、ファクシミリ機能等をさらに有していてもよい。また、スキャナ部800は、外部装置やスキャナの一例であり、プリンタ部100およびユーザインタフェース560の組み合わせは、画像記録装置の一例である。
【0015】
[プリンタ部100]
図2,
図3において、プリンタ部100は、筐体200内に、供給トレイ410A,410B、給送機構430A,430B、通路440A,440B、搬送ローラ対450A,450B、排出ローラ対460A,460B、プラテン470A,470B、および記録ヘッド480A,480Bを備える。複合機10は、排出トレイ420A,420B、内ガイド510、外ガイド520、内通路カバー530、および外通路カバー540を備える。
【0016】
図4に示すように、複合機10は、搬送モータ551A,551B、コントローラ660A,660B、通信インタフェース670をさらに備える。
【0017】
[筐体200]
図1,
図2において、筐体200は、略直方体の外形形状を有する外装体であり、筐体200の内部空間を外部空間から区画する。筐体200は、筐体200内の各種フレーム(図示せず)により支持される。
【0018】
図1,
図2(A)において、筐体200は、前面201L,201R、内側面202L,202R、奥面203A,203B、および外側面204L,204Rを有する。
【0019】
各前面201L,201Rは、正面視で概ね矩形形状であり、左右方向9に間隔をあけて並んでいる。前面201L,201Rの間には、開口201Aが形成され、開口201Aより下方に開口201Bが形成されている。
【0020】
内側面202Lは、前面201Lの右端から後方へと延び、内側面202Rは、前面201Rの左端から後方へと延びている。
【0021】
図2(A)において、奥面203A,203Bの各々は、内側面202L,202Rの後端同士を繋いでいる。奥面203Aは、奥面203Bより下方にある。奥面203A,203Bの下端付近には、左右方向9に長い排出口444A,444Bがそれぞれ形成されている。
【0022】
図2(B)に示すように、筐体200は、後面206L,206R、内側面207L,207Rをさらに有する。
【0023】
後面206L,206Rの各々は、後方からの平面視で略矩形形状である。後面206Lは、後面206Rより左方に間隔をあけて位置する。
【0024】
内側面207Lは、後面206Lの右端から前方へと延び、内側面207Rは、後面206Rの左端から前方へと延びている。
【0025】
[供給トレイ410A,410B]
図3において、供給トレイ410A,410Bは、開口201A,201B(
図2(A)参照)を通って筐体200内に装着される。供給トレイ410A,410Bの各々は、上下方向7に薄い箱状の形状であり、複数枚のシート1A,1Bをそれぞれ支持する。各シート1A,1Bは、用紙やOHPシートである。なお、説明の便宜上、シート1A,1Bのサイズは互いに同じであるとする。
【0026】
なお、供給トレイ410A,410Bは、第1供給トレイおよび第2供給トレイの一例である。シート1A,1Bは、第1記録媒体および第2記録媒体の一例である。
【0027】
[排出トレイ420A,420B]
図1から
図3に示すように、排出トレイ420A,420Bは、内側面202L,202R(
図1参照)の間で、排出口444A,444Bより下方から前方へそれぞれ延びている。排出トレイ420A,420Bは、排出口444A,444Bから排出されたシート1A,1Bをそれぞれ支持する。排出トレイ420A,420Bは、第1排出トレイおよび第2排出トレイの一例である。また、以下、排出口444A,444Bから排出されたシート1A,1Bを、印刷物1A,1Bともそれぞれ称する。
【0028】
[給送機構430A,430B]
図3において、給送機構430Aは、給送ローラ431Aと、給送アーム432Aとを備え、給送アーム432A内に収容される駆動伝達機構(図示せず)により、搬送モータ551A(
図3参照)の駆動力を給送ローラ431Aに伝達する。これにより、給送ローラ431Aは、回転し、供給トレイ410A内のシート1Aを後方へ送る。
【0029】
給送機構430Bは、給送機構430Aと同様の構成を有し、搬送モータ551B(
図4参照)、給送ローラ431Bおよび給送アーム432Bにより、供給トレイ410B内のシート1Bを後方へ送る。
【0030】
シート1A,1Bは、供給トレイ410A,410Bにおいて給送機構430A,430Bにより後方へ送られる。その後、シート1A,1Bは、供給トレイ410A,410Bの後端に設けられたガイド面412A,412Bにより後方且つ上方へとそれぞれ案内され、通路440A,440Bに向かう。
【0031】
[通路440A,440B]
図3に示すように、筐体200内には、通路440A,440Bがそれぞれ形成されている。通路440A,440Bは、所謂Uターンパスである。通路440Aは、第1通路または内側通路の一例であり、通路440Bは、第2通路および外側通路の一例である。
【0032】
通路440Aは、
図3中一点鎖線で示され、湾曲部441Aと、直線部442Aとを有する。
【0033】
湾曲部441Aは、供給口443Aを有する。供給口443Aは、ガイド面412Aの上端のすぐ上に位置する。湾曲部441Aは、湾曲しつつ供給口443Aから上方へ延びる。湾曲部441Aは、筐体200内で外通路カバー540から前方に離れた位置を通る。湾曲部441Aは、排出口444Aと概ね同じ上下位置で前方に向かう。
【0034】
直線部442Aは、湾曲部441Aの下流端から前方に概ね直線的に延びる。直線部442Aは、上下方向7において、筐体200の上端から下方に離れた位置を通る。直線部442Aは、排出口444Aに至る。
【0035】
通路440Bは、
図3中二点鎖線で示され、通路440Bは、湾曲部441Bと、直線部442Bとを有する。
【0036】
湾曲部441Bは、供給口443Bを有する。供給口443Bは、ガイド面412Bの上端より上方且つ僅かに後方に位置する。湾曲部441Bは、湾曲しつつ供給口443Bから上方へ延びる。湾曲部441Bは、筐体200内において通路440Aよりも外側、具体的には通路440Aおよび外通路カバー540の間を通る。湾曲部441Bは、湾曲部441Aの下流端より上方で且つ排出口444Bと概ね同じ上下位置で前方へと屈曲する。
【0037】
直線部442Bは、湾曲部441Bの下流端から前方へと概ね直線的に伸びて、筐体200内で直線部442Aよりも外側(即ち、上方)を通る。直線部442Bは、排出口444Bに至る。
【0038】
また、通路440Bは、通路440Aよりも長い。具体的には、湾曲部441Bは、湾曲部441Aより長い。
【0039】
通路440A,440Bにおいて、シート1A,1Bは、まず、供給口443A,443Bに送り込まれる。その後、シート1A,1Bは、通路440A,440B内で搬送向き5A,5Bにそれぞれ送られる。
【0040】
[搬送ローラ対450A,450B]
図3に示すように、搬送ローラ対450Aは、湾曲部441Aの下流端(即ち、直線部442Aの上流端)の位置(以下、「第1ニップ位置」とも称する)で互いに当接し合う2個一対のローラを有する。2個のローラの一方は、駆動ローラとして、搬送モータ551A(
図4参照)で発生する駆動力により回転する。2個のローラの他方は、一方のローラに下方から当接し、従動ローラとして、駆動ローラの回転により回転する。
【0041】
搬送ローラ対450Bは、湾曲部441Bの下流端(即ち、直線部442Bの上流端)に位置し且つ搬送モータ551B(
図4参照)からの駆動力により回転する点を除き、搬送ローラ対450Aと同様である。なお、搬送ローラ対450Bの当接位置を第2ニップ位置とも称する。
【0042】
搬送ローラ対450A,450Bは、回転することで、湾曲部441A,441B内で搬送されたシート1A,1Bをニップし前方へとそれぞれ送る。これにより、シート1A,1Bは、直線部442A,442Bにおいて搬送される。
【0043】
[排出ローラ対460A,460B]
図3に示すように、排出ローラ対460Aは、直線部442Aにおいてプラテン470Aおよび排出口444Aの間の位置で、互いに当接し合う2個のローラを有する。2個のローラの一方は、駆動ローラとして、搬送モータ551A(
図4参照)で発生する駆動力により回転する。2個のローラの他方は、拍車であり、一方のローラに上方から当接し、一方のローラの回転により回転する。
【0044】
排出ローラ対460Bは、直線部442Bにおいてプラテン470Bおよび排出口444Bの間に位置する点を除き、排出ローラ対460Aと同様である。そのため、排出ローラ対460Bの詳説を控える。
【0045】
排出ローラ対460A,460Bは、回転することで、直線部442A,442Bで搬送されたシート1A,1Bをニップし前方へと送る。これにより、シート1A,1Bは、排出口444A,444Bから排出される。
【0046】
[プラテン470A,470B]
図3に示すように、プラテン470Aは、前後方向8において搬送ローラ対450Aおよび排出ローラ対460Aの間に位置する。プラテン470Bは、前後方向8において、搬送ローラ対450Bおよび排出ローラ対460Bの間に位置する。プラテン470A,470Bは、直線部442A,442Bの直下で、直線部442A,442Bで搬送されるシート1A,1Bをそれぞれ支持する。
【0047】
[記録ヘッド480A,480B]
図3において、記録ヘッド480A,480Bは、上下方向7において、プラテン470A,470Bから上方に僅かに離れた位置で、直線部442A,442Bに沿ってそれぞれ配置される。
【0048】
記録ヘッド480A,480Bは、プラテン470A,470Bで支持されるシート1A,1Bに向けてインクをそれぞれ吐出する。これにより、シート1A,1Bの各々には、画像が記録される。以下、記録ヘッド480A,480Bによりシート1Aに画像を記録することを第1画像記録動作とも称し、記録ヘッド480Bによりシート1Bに画像を記録することを第2画像記録動作とも称する。本実施形態では、記録ヘッド480A,480Bは、シリアルヘッドである。しかし、記録ヘッド480A,480Bは、ラインヘッドであってもよい。また、記録ヘッド480A,480Bは、インクジェット方式により画像を記録するが、これに限らず、電子写真方式や熱転写方式等により画像を記録してもよい。
【0049】
なお、記録ヘッド480A,480Bは、第1記録エンジンおよび第2記録エンジンの一例である。
【0050】
[内ガイド510,外ガイド520]
図3において、内ガイド510および外ガイド520の各々は、後方からの平面視で内側面207L,207R(
図2(B)参照)の間の位置で、筐体200内のフレームに据え付けられている。
【0051】
内ガイド510は、
図4に示すように、前後方向8において搬送ローラ対450Aの僅かに後方で、上下方向7において供給口443Aと第1ニップ位置との間に位置する。内ガイド510は、湾曲部441Aの内側(即ち、前側及び下側)を区画するガイド面511を有する。
【0052】
外ガイド520は、前後方向8において搬送ローラ対450Bの僅かに後方に位置し、上下方向7において、第2ニップ位置と、内通路カバー530における上端との間に位置する。
【0053】
外ガイド520は、湾曲部441Bの内側(即ち、前側及び下側)において湾曲部441Bの上寄りの部分を区画するガイド面521を有する。
【0054】
[内通路カバー530]
内通路カバー530は、左右方向9においては、筐体200において内側面207L,207Rの間であって、内ガイド510と概ね同じ位置に取り付けられる。内通路カバー530は、
図3に示すように、筐体200内で内ガイド510より外側(即ち、後方)の位置である。
【0055】
内通路カバー530は、内ガイド面533および外ガイド面534を有する。内ガイド面533は、湾曲部441Aの外側(即ち、後側)を区画する。外ガイド面534は、湾曲部441Bの内側(即ち、前側)において下寄りの部分を区画する。
【0056】
なお、内ガイド面533および外ガイド面534は、単一の湾曲面で構成されてもよいが、左右方向9に間隔をあけて並ぶ多数のリブの先端面で構成されてもよい。この点については、後述のガイド面541も同様である。
【0057】
[外通路カバー540]
図2(B)において、外通路カバー540は、左右方向9において内側面207L,207Rの間の空間を覆う。
図2に示すように、外通路カバー540の上端は、第2ニップ位置より上方に、外通路カバー540の下端は、ガイド面412Bの上端より下方に位置する。
【0058】
図3に示すように、外通路カバー540は、上端部を除き、供給トレイ410A,410B、外ガイド520および内通路カバー530より外向き(即ち、後方)の位置に設けられる。
【0059】
外通路カバー540は、ガイド面541および後面542を有する。ガイド面541は、湾曲部441Bの外側(即ち、前側および下側)を区画する。後面542は、後面206L,206Rの間において外部に露出する。
【0060】
[コントローラ660A,660B]
図4において、コントローラ660A,660Bは、筐体200内に個別的に設けられた制御回路基板上に実装される点、CPU、ROM、RAM、I/O、およびASIC等を有する点で互いに共通する。CPU、ROM、RAM、I/O、およびASICは、内部バスにより相互に通信可能に接続されている。コントローラ660BのI/Oは、コントローラ660AのI/Oと、フラットケーブル等の通信ラインにより通信可能に接続される。
【0061】
コントローラ660AのASICには、搬送モータ551Aおよび記録ヘッド480Aが通信可能に接続されている。
【0062】
コントローラ660BのASICには、搬送モータ551B、記録ヘッド480B、スキャナ部800、ユーザインタフェース560および通信インタフェース670が通信可能に接続されている。詳細には、コントローラ660Bは、スキャナ部800の光学系と通信ライン803で接続される。コントローラ660Bは、ユーザインタフェース560と通信ライン563で接続される。コントローラ660Bは、通信インタフェース670と通信ライン683で接続される。
【0063】
ROMには、複合機10の各部を制御するためのプログラムなどが記憶される。CPUは、プログラムをRAM等を使いつつ実行する。
【0064】
図5に示すように、コントローラ660Bは、筐体200内でコントローラ660Aより上方に配置されている。より詳細には、コントローラ660Aは、上下方向7において、直線部442Bの下端よりも下方に配置される。コントローラ660Bは、上下方向7において、直線部442Bの上端よりも上方に配置される。
【0065】
コントローラ660A,660Bは、前後方向8において、記録ヘッド480A,480Bよりも通路440A,440Bの下流側(即ち、前方)に配置されている。
【0066】
なお、コントローラ660A,660Bは、第1コントローラ、および第2コントローラの一例である。
【0067】
[通信インタフェース670]
図5に示すように、通信インタフェース670は、筐体200内で、コントローラ660Aよりもコントローラ660Bに近い位置に設けられている。具体的には、通信インタフェース670は、筐体200内で直線部442Bの上端より上方であって、外側面204L(
図1,
図2参照)の近くに配置されている。
【0068】
通信インタフェース670は、無線LAN、有線LANまたはUSB等の通信規格に従って、複合機10から離れた位置にある情報処理装置700と通信リンク701を通じて接続される。通信リンク701は、無線リンクや有線リンクである。通信インタフェース670は、通信リンク701を通じて、情報処理装置700により送信された各種データを受信する。通信インタフェース670は、受信した各種データを通信ライン671を通じてコントローラ660AのRAMに転送する。
【0069】
[プリンタ部100,情報処理装置700の動作]
以下、
図1~
図9を参照して、情報処理装置700(
図4参照)から出力された記録指示に基づいて、プリンタ部100が画像をシート1A,1Bに記録する処理を説明する。なお、情報処理装置700は、外部装置の一例であり、パーソナルコンピュータやスマートフォンである。
【0070】
情報処理装置700は、記録指示(「印刷ジョブ」とも称する)を生成する。記録指示は、記録指示の開始コードと、付加情報と、複数の画像データと、記録指示の終了コードとを含む。
【0071】
各画像データは、プリンタ部100で記録される予定の画像(以下、「記録予定画像」とも称する。)を示す。個々の記録予定画像には、全記録予定画像における並び順が定められている。具体的には、各記録予定画像には、並び順としてのページ番号が割り振られている。なお、並び順は本来的には記録予定画像に割り当てられるものである。しかし、説明の便宜上、用語「特定の並び順の画像データ」は、「特定の並び順が割り当てられた記録予定画像を示す画像データ」と意味するとする。例えば、「並び順が最初の画像データ」は、並び順が最初の記録予定画像が示す画像データを意味する。
【0072】
付加情報は、画像数情報と、部数情報と、を含む。画像数情報は、記録指示に含まれる記録予定画像の総数を示す。部数情報は、記録予定画像を何セット(即ち、何部)作成するかを示す。
【0073】
情報処理装置700は、まず、開始コードをプリンタ部100に送信し、その後、複数の画像データを並び順に従ってプリンタ部100に送信する。情報処理装置700は、並び順が最後の画像データの送信後、終了コードをプリンタ部100に送信する。
【0074】
[印刷処理]
プリンタ部100は、記録指示の受信に応じて印刷処理を実行する。以下、
図6を参照して印刷処理について詳説する。
【0075】
図6のS101において、プリンタ部100の通信インタフェース670は、記録指示を受信し、コントローラ660BのRAMへ転送する。S101により、コントローラ660Bは、複数の画像データを順次取得する。S101は、第1取得処理に相当する。
【0076】
なお、プリンタ部100は、複数の情報処理装置700と通信可能でもあるため、複数の記録指示をほぼ同時に受信することもある。即ち、RAM内には、複数の記録指示が記憶されうる。
【0077】
S102で、コントローラ660Bは、データ振り分け処理を実行する。コントローラ660Bは、データ振り分け処理により、RAM内の1または複数の記録指示のそれぞれを、記録ヘッド480A,480Bのいずれかに振り分ける。
【0078】
[データ振り分け処理]
以下、
図7を参照して、データ振り分け処理について詳細に説明する。
図7のS201で、コントローラ660Bは、記録ヘッド480Aが稼動中か否かを判定する。S201で稼動中とは、第1画像記録動作中であることを意味する。コントローラ660Bは、NOと判定した場合、S202を実行し、YESと判定した場合、S209を実行する。
【0079】
S202において、コントローラ660Bは、記録ヘッド480Bが稼動中か否かを判定する。S202で稼動中とは、記録ヘッド480Bが第2画像記録動作中であることを意味する。S209における稼動中も同様である。コントローラ660Bは、NOと判定した場合、S203を実行し、YESと判定した場合、S208を実行する。
【0080】
S203で、コントローラ660Bは、RAMに複数の記録指示が記憶されているか否かを判定する。コントローラ660Bは、NOと判定した場合、S204を実行し、YESと判定した場合、S205を実行する。
【0081】
S204で、コントローラ660Bは、RAMに記憶されている1つの記録指示(以下、「分割対象の記録指示」とも称する。)に対し、データ分割処理を実行する。コントローラ660Bは、分割対象の記録指示に含まれる画像データの各々を、記録ヘッド480Aで画像記録される第1画像データと、記録ヘッド480Bで画像記録される第2画像データとに分ける。
【0082】
[データ分割処理]
以下、
図8を参照して、データ分割処理について詳細に説明する。
図8のS301で、コントローラ660Bは、分割対象の記録指示に含まれる部数情報が複数を示すか否かを判定する。コントローラ660Bは、YESと判定した場合、S306を実行し、NOと判定した場合、S302を実行する。
【0083】
S302で、分割対象の記録指示に含まれる画像数情報が画像数閾値未満か否かを判定する。コントローラ660Bは、YESと判定した場合、S309を実行し、NOと判定した場合、S303を実行する。
【0084】
S303で、コントローラ660Bは、画像数決定処理を実行する。コントローラ660Bは、画像数決定処理により、記録ヘッド480Aで記録する第1画像数と、記録ヘッド480Bで記録する第2画像数とを決定する。
【0085】
[画像数決定処理]
以下、画像数決定処理については、
図9を参照して詳説する。
図9のS401において、コントローラ660Bは、第1暫定値および第2暫定値を決定する。第1暫定値および第2暫定値は、分割対象の記録指示に含まれる画像数情報が偶数の場合、画像数情報が示す値(すなわち、記録予定画像の総数)の半数である。第1暫定値は、画像数情報が奇数の場合、第2暫定値より1だけ大きい値である。
【0086】
S402で、コントローラ660Bは、第1総印刷時間および第2総印刷時間を導出する。第1総印刷時間は、第1暫定値に、第1単位印刷時間を乗じた値である。第2総印刷時間は、第2暫定値に、第2単位印刷時間を乗じた値である。第1単位印刷時間および第2単位印刷時間は、プリンタ部100の設計段階で実験やシミュレーションで適宜定められる値である。第1単位印刷時間および第2単位印刷時間は、シート1A,1Bを供給トレイ410A,410Bから搬送し始めてから、記録ヘッド480A,480Bで、予め定められた基準画像をシート1A,1Bに記録した後、画像記録済のシート1A,1Bが排出トレイ420A,420Bに排出されるまでの時間である。第1単位印刷時間および第2単位印刷時間は、第1記録時間および第2記録時間に相当する。第1単位印刷時間および第2単位印刷時間の時間差は、主として、通路440A,440Bの経路長の差に起因し、第1単位印刷時間は、第2単位印刷時間より短い。
【0087】
S403で、コントローラ660Bは、第2総印刷時間から第1総印刷時間を減算した値(以下、「総印刷時間差」とも称する)を導出する。
【0088】
S404で、コントローラ660Bは、第1暫定値および第2暫定値に対し、総印刷時間の平滑化処理を実行して、第1画像数および第2画像数を決定する。S404で、コントローラ660Bは、まず、第1単位印刷時間および第2単位印刷時間の加算値で、総印刷時間差を徐算し、商の整数部を導出する。次に、コントローラ660Bは、第1暫定値に商の整数部を加算して得られる値を、第1画像数として導出する。また、コントローラ660Bは、第2暫定値から整数部を減算して得られる値を、第2画像数として導出する。
【0089】
S404の終了後、コントローラ660Bは、
図6,
図7の画像数決定処理を終了して、
図8のS304,S305を順に実行する。
【0090】
[データ分割処理(続き)]
S304で、コントローラ660Bは、分割対象の画像データにおける第2画像データを指定する。S304で、コントローラ660Bはさらに、第2画像データに基づく第2画像の第2記録順を決定する。
【0091】
詳細には、コントローラ660Bは、S304で、分割対象の全画像データにおいて、並び順が先頭寄りの画像データを、第2画像データと指定する。先頭寄りの画像データは、分割対象の全画像データにおいて、並び順が最初の画像データから、並び順が第2画像数に相当する画像データまでである。また、コントローラ660Bは、全第2画像データにおいて、並び順が最後の画像データに、第2記録順としての1番目を割り当てる。以降、コントローラ660Bは、記録予定画像の並び順が「1」だけ小さくなる毎に、「1」だけ大きい第2記録順を、各第2画像データに割り当てる。
【0092】
S305で、コントローラ660Bは、第2画像データとして指定されていない画像データ(即ち、並び順が末尾寄りの画像データ)の各々を、第1画像データと指定する。S305で、コントローラ660Bはさらに、各第1画像データの第1記録順を決定する。詳細には、コントローラ660Bは、全第1画像データにおいて、並び順が最後の画像データに、第1記録順としての「1」(即ち、最先)を割り当てる。以降、コントローラ660Bは、記録予定画像の並び順が「1」だけ小さくなる毎に、1だけ大きい第2記録順を、各第1画像データに割り当てる。
【0093】
S306で、コントローラ660Bは、分割対象の記録指示に含まれる画像データを、部数情報が示す部数分だけ複製する。コントローラ660Bはさらに、部数分の画像データの各々に、連続番号である部数番号を割り当てる。
【0094】
S307で、コントローラ660Bは、部数番号が奇数の画像データを、第1画像データとする。
【0095】
S308で、コントローラ660Bは、部数番号が偶数の画像データを、第2画像データとする。
【0096】
S309で、コントローラ660Bは、分割対象の記録指示に含まれる画像データを、第1画像データとする。
【0097】
S305,S308,S309の終了後、コントローラ660Bは、
図7,
図8のデータ分割処理を終了する。
【0098】
[データ振り分け処理(続き)]
図7のS205で、コントローラ660Bは、RAMに記憶されている複数の記録指示のうち、最高優先度の記録指示に含まれる画像データを、第1画像データと指定する。優先度は、プログラムに予め定められており、例えば、プリンタ部100により記録指示が受信された順番である。この場合、コントローラ660Bは、最も早く受信した記録指示に含まれる画像データを第1画像データと指定する。
【0099】
S206で、コントローラ660Bは、RAM内の複数の記録指示のうち、次点の優先度の記録指示に含まれる画像データを、第2画像データと指定する。
【0100】
S207で、コントローラ660Bは、残余の記録指示をRAM内に残しておく。残余の記録指示は、RAM内の記録指示のうち、第1画像データとしても第2画像データとしても指定されなかった画像データを含む記録指示である。なお、残余の記録指示がRAMに無い場合、S207はスキップされる。
【0101】
S207の終了後、またはS207をスキップした後、コントローラ660Bは、
図6,
図7のデータ振り分け処理を終了する。
【0102】
S208で、コントローラ660Bは、RAM内の記録指示のうち、最高優先度の記録指示に含まれる画像データを、第1画像データと指定する。
【0103】
S209で、コントローラ660Bは、S202と同様の処理を実行する。コントローラ660Bは、S209でNOと判定した場合、S210を実行する。
【0104】
S210で、コントローラ660Bは、RAM内の記録指示のうち、最高優先度の記録指示に含まれる画像データを、第2画像データと指定する。
【0105】
なお、コントローラ660Bは、S208,S210の実行後、または、S209でYESと判定した場合、S207を実行する。
【0106】
[印刷処理(続き)]
データ振り分け処理の終了後、コントローラ660Bは、S103BからS105B、およびS103Aを実行する。コントローラ660Aは、S104AからS106Aを実行する。S103AからS106Aまでの一連の処理、およびS103BからS105Bまでの一連の処理は、第1記録処理および第2記録処理の一例であり、並行処理である。
【0107】
図6のS103Bにおいて、コントローラ660Bは、第2印刷処理を実行する。S103Bで、コントローラ660Bは、まず、第2頭出し処理(第2搬送の一部)を制御する。詳細には、コントローラ660Bは、搬送モータ551Bに制御信号を出力する。その結果、給送ローラ431B、および搬送ローラ対450Bは、回転し、供給トレイ410Bのシート1Bを第2記録開始位置で停止するまで搬送する。第2記録開始位置では、シート1Bおける画像記録領域の先頭部分が記録ヘッド480Bのインク吐出口(図示せず)と対向する。
【0108】
S103Bで、コントローラ660Bはさらに、第2画像記録動作および第2間欠搬送(第2搬送の一部)を実行する。第2画像記録動作において、コントローラ660Bは、1つの第1画像データに基づき記録ヘッド480Bからインクを、停止中のシート1Bに向けて吐出させる。これにより、シート1Bの部分画像記録領域に、第2画像データに基づく第2画像の一部が記録される。その後、第2間欠搬送において、コントローラ660Bは、搬送モータ551Bに制御信号を出力することで、搬送ローラ対450Bおよび排出ローラ対460Bを回転させ、シート1Bを搬送向き5Bへと第2特定距離だけ搬送した後、停止させる。第2特定距離は、部分画像領域の搬送向き5Bにおける幅に相当する距離である。第2画像記録動作および第2間欠搬送を繰り返すことで、シート1Bに、第2画像データに基づく第2画像が記録される。
【0109】
S103Bで、コントローラ660Bは、シート1Bにおける最後の第2画像記録動作が完了した後、第2排出処理を制御する。コントローラ660Bは、搬送モータ551Bに制御信号を出力することで、搬送ローラ対450Bおよび排出ローラ対460Bを、シート1Bが排出トレイ420Bへと排出されるまで回転させる。
【0110】
S103Bで、コントローラ660Bは、第2頭出し処理、第2間欠搬送および第2画像記録動作、ならびに、第2排出処理を含む一連の処理を、第2画像数分繰り返す。コントローラ660Bは、第2画像数分の第2画像記録動作において、第2記録順が小さいものから順番に、画像データに基づく画像が第2画像数分のシート1Bに記録される。
【0111】
S104Bで、コントローラ660Bは、第2印刷処理を終了させる。
【0112】
次に、S105Bで、コントローラ660Bは、RAMに記録指示のストックデータが記憶されているか否かを判定する。コントローラ660Bは、YESと判定した場合、S102を実行し、NOと判定した場合、
図6の処理を終了する。
【0113】
S103Aで、コントローラ660Bは、RAM内の各第1画像データと、各第1画像データに割り当てた第1記録順とを、自身が有するI/Oから通信ラインを通じて、コントローラ660Aに送信する。なお、S103Aは、第2印刷処理(S103B)における第2頭出し処理の開始よりも僅かに先または僅かに後に実行される。
【0114】
S104Aで、コントローラ660Aは、自身が有するI/Oを通じて、各第1画像データと第1記録順とを受信し、自身が有するRAMに転送する。
【0115】
S105Aで、コントローラ660Aは、第1印刷処理を実行する。第1印刷処理は、第2印刷処理と類似するため、その説明を簡素化する。
【0116】
S105Aで、コントローラ660Aは、まず、第1頭出し処理(第1搬送の一部)を制御する。これにより、給送ローラ431A、および搬送ローラ対450Aは、搬送モータ551Aからの駆動力で回転する。その結果、供給トレイ410Aのシート1Aは、自身の画像記録領域の先頭部分が記録ヘッド480Aのインク吐出口(図示せず)と対向する第1記録開始位置へと搬送され停止する。
【0117】
S105Aで、コントローラ660Aはさらに、第1画像記録動作および第1間欠搬送(第1搬送の一部)を実行する。第1画像記録動作および第1間欠搬送は、第2画像記録動作および第2間欠搬送と類似するため、それぞれの説明を簡素化する。
【0118】
第1画像記録動作で、コントローラ660Aは、第1画像データに基づき記録ヘッド480Aからインクを、停止中のシート1Aの部分記録領域へ吐出させる。その後、第1間欠搬送で、搬送ローラ対450Aおよび排出ローラ対460Aは、シート1Aを搬送向き5Aへと、部分記録領域の幅に相当する第1特定距離だけ搬送した後に停止させる。第1画像記録動作および第1間欠搬送を繰り返すことで、シート1Aに、第1画像データに基づく第1画像が1つ記録される。
【0119】
S105Aで、コントローラ660Aは、1枚のシート1Aへの第1画像記録動作が完了した後、第1排出処理を制御する。第1排出処理では、搬送ローラ対450Aおよび排出ローラ対460Aは、シート1Aが排出トレイ420Aに排出されるまで回転する。また、第1印刷処理における給送ローラ431Aおよび搬送ローラ対450Aの線速は、第2印刷処理における給送ローラ431Bおよび搬送ローラ対450Bの線速と概ね同じでよい。
【0120】
S105Aで、コントローラ660Aは、第1頭出し処理、第1間欠搬送および第1画像記録動作、ならびに、第1排出処理を含む一連の処理を、第1画像数分繰り返す。コントローラ660Aは、第1画像数分の第1画像記録動作において、第1記録順が小さいものから順番に、第1画像データに基づく画像を第1画像数分のシート1Aに記録する。
【0121】
本実施形態では、記録ヘッド480A,480Bは、シート1A,1Bの上方からインクを吐出する。また、上面に画像が記録されたシート1A,1Bは、上下方向7において反転されることなく直線部442A,442B内で搬送された後、排出口444A,444Bから排出トレイ420A,420Bに印刷物1A,1Bとして排出される。そのため、排出トレイ420A,420B上で、印刷物1A,1Bにおける画像は、上方を向いている。即ち、プリンタ部100は、フェイスアップの状態で印刷物1A,1Bを排出トレイ420A,420Bに排出する。
【0122】
S106Aで、コントローラ660Aは、第1印刷処理を終了させる。また、コントローラ660Aは、お互いのI/Oを通じて、第1印刷処理が終了したことを、コントローラ660Bに通知する。
【0123】
コントローラ660Bは、コントローラ660Aからの通知に応答して、S107Aで、RAMに記録指示のストックデータが記憶されているか否かを判定する。コントローラ660Bは、YESと判定した場合、S102を実行し、NOと判定した場合、
図6の処理を終了する。
【0124】
[実施形態の作用・効果]
実施形態では、筐体200内で、供給トレイ410Aは、供給トレイ410Bより上方に配置される。記録ヘッド480Aは、供給トレイ410Aより上方に配置される。記録ヘッド480Bおよびコントローラ660Bは、記録ヘッド480Aおよびコントローラ660Aより上方にそれぞれ配置される。また、一般に、複合機10に関しては低背化が求められるため、供給トレイ410B,410A、記録ヘッド480A,480Bは、上下方向7において高密度に配置される。そのため、記録ヘッド480A,480Bの間には、スペースの余裕が相対的に少ない。それに対し、記録ヘッド480Bの上方には、スキャナ部800が配置されるものの、直線部442Bより上方ではスペースの余裕が相対的に多い。
【0125】
また、通信ライン671は、通路440A,440Bを横切るように、または通路440A,440Bの直ぐ近くを通るように配線された場合、通路440A,440B内で搬送されるシート1A,1Bと干渉するおそれがある。
【0126】
実施形態では、通信インタフェース670がコントローラ660Bと通信ライン671で有線接続される。したがって、通信ライン671を、コントローラ660Bより下方であって、コントローラ660Aより上方の込み入った場所で引き回さずに済む。これによって、通信ライン671の複雑化を避けることができる。また、通信ライン671が通路440A,440B内で搬送されるシート1A,1Bと干渉することを防止できる。
【0127】
コントローラ660Bは、好ましい形態として、直線部442Bの上端より上方に配置される。この構成によれば、通信ライン671の複雑化をより避けることができる。
【0128】
コントローラ660Aは、好ましい形態として、直線部442Bの上端より下方に配置される。この構成によれば、コントローラ660Aそのものや、コントローラ660Aの配線と、通信ライン671との干渉を避けることができる。即ち、通信ライン671を、コントローラ660A等で込み入った場所を引き回さずに済む。これにより、通信ライン671の複雑化をより避けることができる。
【0129】
コントローラ660A,660Bを、記録ヘッド480A,480Bよりも直線部442A,442Bの下流側に配置することで、記録ヘッド480A,480Bそのものや、記録ヘッド480A,480Bに接続される通信ラインやインクチューブと、通信ライン671との干渉を避けることができる。これにより、通信ライン671の複雑化をより避けることができる。
【0130】
コントローラ660Bは、コントローラ660Aより通信インタフェース670の近くに配置されるため、コントローラ660Bおよび通信インタフェース670を互いに接続する通信ライン671の複雑化をより避けることができる。
【0131】
コントローラ660Bが、コントローラ660Bより上方に配置されるスキャナ部800と通信ライン803により有線接続される。これにより、通信ライン803の複雑化を避けることができる。
【0132】
ユーザインタフェース560は、複合機10においてプリンタ部100の直上且つスキャナ部800より前方に配置されている。このように配置されるユーザインタフェース560と、コントローラ660Bは、通信ライン563により有線接続される。これにより、通信ライン563の複雑化を避けることができる。
【0133】
通信インタフェース670は、筐体200において通路440Bよりも外側に配置される。これによっても、通信ライン671の複雑化を避けることができる。
【0134】
実施形態では、コントローラ660Bが通信インタフェース670とデータ通信可能である。また、通路440Aは、通路440Bより短いため、給送ローラ431A等と給送ローラ431B等の線速を実質上同じとすることで、シート1Aが通路440Aを通過し記録ヘッド480Aの下方に到達するまでの時間は、シート1Bが通路440Bを通過し記録ヘッド480Bの下方に到達するまでの時間より短くできる。よって、記録指示の受信から最初の印刷物1Aが排出トレイ420Aに排出されるまでの時間であるFPOTを短縮できる。
【0135】
また、
図8のS304,S305を実行することで、ユーザは、排出トレイ420B上のシート1Bの束を、排出トレイ420A上のシート1Aの束に重ねると、全画像が並び順に並んだシート1A,1Bの束を得ることができる。
【0136】
[その他の変形例]
実施形態では、画像記録装置としてプリンタ部100を例示した。しかし、これに限らず、画像記録装置は、複合機10であってもよい。
【0137】
実施形態では、プリンタ部100は、情報処理装置700から送信される画像データに対し
図6の印刷処理を実行していた。しかし、プリンタ部100は、情報処理装置700に代えて、スキャナ部800やリムーバブルメディアから取得された画像データに対し印刷処理を実行してもよい。
【0138】
実施形態では、通路440A,440Bは、Uターンパスであった。しかし、これに限らず、通路440A,440Bは、所謂Sパスまたはストレートパスであってもよい。
【0139】
また、給送ローラ431A等と給送ローラ431B等の線速を実質上同じであるとして説明した。しかし、これに限らず、給送ローラ431A等と給送ローラ431B等の線速は異なっていてもよい。
【0140】
実施形態では、通信インタフェース670は、筐体200内で、コントローラ660Aよりもコントローラ660Bに近い位置に設けられていた。しかし、これに限らず、通信インタフェース670は、筐体200の内部において、外側面204L,204R、後面206L,206Rの少なくとも一つの近くの場所に設けられていてもよい。他にも、通信インタフェース670は、筐体200の外表面上に設けられていてもよい。さらに他にも、通信インタフェース670は、コントローラ660Aよりもコントローラ660Bから遠い位置、例えば、筐体200内の下方寄りの場所に設けられていてもよい。これらの場合、通信ライン671は、通信インタフェース670から筐体200の内表面または外表面に沿って配線され、コントローラ660Bに繋がる。これにより、通信ライン671が通路440A,440B内で搬送されるシート1A,1Bと干渉することを防止できる。
【0141】
また、実施形態では、コントローラ660Bは、自身のRAMにストックデータを記憶していた。しかし、これに限らず、コントローラ660AのRAMに、ストックデータは記憶されてもよい。
【符号の説明】
【0142】
10・・・複合機
100・・・プリンタ部(画像記録装置)
200・・・筐体
410A,410B・・・供給トレイ(第1供給トレイ,第2供給トレイ)
420A,420B・・・排出トレイ
440A,440B・・・通路(第1通路,第2通路)
470A,470B・・・プラテン(第1記録エンジン,第2記録エンジン)
480A,480B・・・記録ヘッド(第1記録エンジン,第2記録エンジン)
551A,551B・・・搬送モータ
560・・・ユーザインタフェース
660A,660B・・・コントローラ
670・・・通信インタフェース
700・・・情報処理装置(外部装置)
800・・・スキャナ部