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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】電装部品の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20231212BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B60R16/02 610J
B62D25/08 G
B62D25/08 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020134975
(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公開番号】P2022030757
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼市 皓太
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-100599(JP,A)
【文献】特開2008-037300(JP,A)
【文献】特開2018-158615(JP,A)
【文献】特開2016-112948(JP,A)
【文献】特開2002-159116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両幅方向に延びるダッシュパネルと、
前記ダッシュパネルの上部に接続され、車両幅方向に延びるカウルパネルと、
前記ダッシュパネルおよび前記カウルパネルの車両幅方向端部に接続され、車両前後方向および車両上下方向に延びるサイドパネルと、
車体に電装部品を取り付ける取付ブラケットと、を備える電装部品の取付構造であって、
前記取付ブラケットは、
前記電装部品が取り付けられる本体部と、
前記本体部から前方に延びて前記カウルパネルに取り付けられる前側脚部と、
前記本体部から上方に延びて前記サイドパネルに取り付けられる上側脚部と、
前記本体部から下方に延びて前記サイドパネルに取り付けられる下側脚部と、を有し、
前記上側脚部の上端は、前記カウルパネルの上端よりも上方に配置され、
前記下側脚部の上端は、前記カウルパネルの下端よりも下方に配置されていることを特徴とする電装部品の取付構造。
【請求項2】
前記取付ブラケットは、前記本体部との間に前記電装部品を挟み込んで保持した状態で前記本体部に取り付けられる副ブラケットを有することを特徴とする請求項1に記載の電装部品の取付構造。
【請求項3】
前記電装部品を第1電装部品としたとき、前記副ブラケットに第2電装部品が取り付けられ、
前記副ブラケットは、前記第1電装部品と前記第2電装部品とに挟まれていることを特徴とする請求項2に記載の電装部品の取付構造。
【請求項4】
前記副ブラケットは、前記本体部における前記前側脚部、前記上側脚部および前記下側脚部の間の位置に連結されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電装部品の取付構造。
【請求項5】
前記サイドパネルは、その縁部に形成されたフランジ部と、前記フランジ部から立ち上がるように屈曲する角部を有し、
前記上側脚部は、前記角部に取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の電装部品の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電装部品の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両においては、電気接続箱や制御装置等の電装部品が車体に取り付けられている。従来のこの種の電装部品の取付構造として、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の電装部品の取付構造は、車体剛性確保のためにダッシュパネルとヒンジピラーとに跨がって取付けられたコーナガセットと、ダッシュパネルとコーナガセットの頂部近傍とに跨がってこれら両者の車室内側に取付けられた車両部品と、を備えている。
【0003】
特許文献1に記載の技術によれば、車両部品の取付け作業性の向上と、比較的狭いスペースに対する車両部品のレイアウト性確保との両立を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-100599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の技術にあっては、車体剛性確保のためにコーナガセットを備えることにより、電装部品(車両部品)の設置スペースが狭くなり、電装部品のレイアウト性が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、電装部品のレイアウト性を低下させることなく車体剛性を確保できる電装部品の取付構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両幅方向に延びるダッシュパネルと、前記ダッシュパネルの上部に接続され、車両幅方向に延びるカウルパネルと、前記ダッシュパネルおよび前記カウルパネルの車両幅方向端部に接続され、車両前後方向および車両上下方向に延びるサイドパネルと、車体に電装部品を取り付ける取付ブラケットと、を備える電装部品の取付構造であって、前記取付ブラケットは、前記電装部品が取り付けられる本体部と、前記本体部から前方に延びて前記カウルパネルに取り付けられる前側脚部と、前記本体部から上方に延びて前記サイドパネルに取り付けられる上側脚部と、前記本体部から下方に延びて前記サイドパネルに取り付けられる下側脚部と、を有し、前記上側脚部の上端は、前記カウルパネルの上端よりも上方に配置され、前記下側脚部の上端は、前記カウルパネルの下端よりも下方に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように上記の本発明によれば、電装部品のレイアウト性を低下させることなく車体剛性を確保できる電装部品の取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施例に係る電装部品の取付構造を備える車両のインストルメントパネルの背面図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る電装部品の取付構造を備える車両のカウルパネルの背面図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係る電装部品の取付構造を備える車両の電装部品の背面図である。
図4図4は、本発明の一実施例に係る電装部品の取付構造を備える車両の電装部品の平面図である。
図5図5は、図1に示す電装部品の取付構造を備える車両のV-V方向の矢視断面図である。
図6図6は、本発明の一実施例に係る電装部品の取付構造を備える車両の電装部品および取付ブラケットの左側面図である。
図7図7は、本発明の一実施例に係る電装部品の取付構造を備える車両の取付ブラケットの主ブラケットの左側面図である。
図8図8は、本発明の一実施例に係る電装部品の取付構造を備える車両の取付ブラケットの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る電装部品の取付構造は、車両幅方向に延びるダッシュパネルと、ダッシュパネルの上部に接続され、車両幅方向に延びるカウルパネルと、ダッシュパネルおよびカウルパネルの車両幅方向端部に接続され、車両前後方向および車両上下方向に延びるサイドパネルと、車体に電装部品を取り付ける取付ブラケットと、を備える電装部品の取付構造であって、取付ブラケットは、電装部品が取り付けられる本体部と、本体部から前方に延びてカウルパネルに取り付けられる前側脚部と、本体部から上方に延びてサイドパネルに取り付けられる上側脚部と、本体部から下方に延びてサイドパネルに取り付けられる下側脚部と、を有し、上側脚部の上端は、カウルパネルの上端よりも上方に配置され、下側脚部の上端は、カウルパネルの下端よりも下方に配置されていることを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係る電装部品の取付構造は、電装部品のレイアウト性を低下させることなく車体剛性を確保できる。
【実施例
【0011】
以下、本発明の一実施例に係る電装部品の取付構造について、図面を用いて説明する。図1から図8において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態の電装部品の取付構造の上下前後左右方向とし、車両の前後方向に対して直交する方向が左右方向、電装部品の取付構造の高さ方向が上下方向である。
【0012】
図1から図8は、本発明の一実施例に係る電装部品の取付構造を示す図である。
【0013】
まず、構成を説明する。図1図5において、車両1は、車体2を備えている。車体2は、その前部にダッシュパネル3、カウルパネル4、サイドパネル5およびステアリングサポートメンバ6を備えている。ダッシュパネル3は、図示しないエンジンルームと車室との間で車両幅方向に延びており、エンジンルームと車室とを仕切っている。ダッシュパネルは車室の床面の前端から上方に延びている。
【0014】
カウルパネル4は、ダッシュパネル3の上部に接続され、車両幅方向に延びている。サイドパネル5は、車両前後方向および車両上下方向に延びている。サイドパネル5は、車両1の前部の両側面に左右で一対設けられており、ダッシュパネル3およびカウルパネル4の車両幅方向端部に接続されている。
【0015】
ステアリングサポートメンバ6は、カウルパネル4の後方に配置されており、車両幅方向に延びている。ステアリングサポートメンバ6は、図示しないステアリングホイールの回転軸を支持している。ステアリングサポートメンバ6の両端部は、サイドパネル5に接続されている。
【0016】
図2図3において、車両1は、第1コントローラ11、第2コントローラ12および取付ブラケット20を備えている。第1コントローラ11および第2コントローラ12は、例えば、電気接続箱、または車両1の図示しないモータ等の駆動を電気的に制御する制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)等からなる。
【0017】
第1コントローラ11および第2コントローラ12は、2つの長辺と1つの短辺からなる直方体に形成されている。第2コントローラ12は、第1コントローラ11よりも小さく、第1コントローラ11の4分の1程度の大きさである。第1コントローラ11は本発明における電装部品および第1電装部品を構成している。第2コントローラ12は本発明における第2電装部品を構成している。
【0018】
図3図4図5において、取付ブラケット20は、主ブラケット21と副ブラケット27とを有している。主ブラケット21は、副ブラケット27とともに第1コントローラ11を保持している。主ブラケット21は、車体2のカウルパネル4およびサイドパネル5に固定されている。
【0019】
第1コントローラ11および取付ブラケット20は、車両前後方向で、カウルパネル4よりも後方、かつ、ステアリングサポートメンバ6(図5参照)よりも前方に配置されている。
【0020】
図1図5において、車両1は、図示しない計器類が配置されるインストルメントパネル7を備えている。インストルメントパネル7は、第1コントローラ11およびステアリングサポートメンバ6の後方に配置されており、第1コントローラ11およびステアリングサポートメンバ6を後方および上方から覆っている。
【0021】
図3図4図5において、取付ブラケット20の主ブラケット21は、第1コントローラ11が取り付けられる本体部22と、本体部22から前方に延びる前側脚部24と、本体部22から上方に延びる上側脚部25と、本体部22から下方に延びる下側脚部26と、を有している。
【0022】
図7において、本体部22は、全体として長方形の平板状に形成されており、第1コントローラ11を保持している。本体部22の中央部には、軽量化および第1コントローラ11の放熱等のために長方形の開口部23が形成されている。前側脚部24、上側脚部25および下側脚部26は、ボルト30により車体2に連結されている。
【0023】
図6において、カウルパネル4は、前側脚部24が連結される前側取付点4Aを有している。また、サイドパネル5は、上側脚部25が連結される上側取付点5Aと、下側脚部26が連結される下側取付点5Bと、を有している。前側取付点4A、上側取付点5Aおよび下側取付点5Bは、前側脚部24、上側脚部25および下側脚部26がボルト30の締結により固定される部位であり、ボルト30が締結される図示しないボルト孔を有している。
【0024】
図5において、サイドパネル5の下側取付点5Bは、カウルパネル4の前側取付点4Aよりも後方に配置されている。サイドパネル5の上側取付点5Aは、ステアリングサポートメンバ6よりも上方でかつ下側取付点5Bよりも後方に配置されている。つまり、車両前後方向において、前側取付点4Aよりも下側取付点5Bが後方に配置されている。また、下側取付点5Bよりも上側取付点5Aが後方に配置されている。
【0025】
取付ブラケット20の上側脚部25は、車両側面視で上方に向かうにつれて後方に向かうように後ろ上がりに傾斜している。このように、上側脚部25は、本体部22の上部から後ろ上がりに傾斜して延びている。一方、下側脚部26は、車両側面視で本体部22の下部から真下に向かって真っ直ぐ延びている。また、前側脚部24は、車両側面視で本体部22の前端部の上部から前方に延びている。
【0026】
図8において、取付ブラケット20の前側脚部24は、車両上下方向で下側脚部26よりも上側脚部25に近い位置に配置されている。言い換えれば、車両上下方向で、前側脚部24と上側脚部25との距離は、前側脚部24と下側脚部26との距離よりも小さくなっている。
【0027】
図3図5において、取付ブラケット20の前側脚部24は、車両上下方向でステアリングサポートメンバ6よりも上方に位置している。ステアリングサポートメンバ6は、第1コントローラ11および第2コントローラ12の後方に配置されている。なお、図3では、第1コントローラ11等の全体を表示するために、ステアリングサポートメンバ6を破線で表している。
【0028】
図3図4において、取付ブラケット20の本体部22は、サイドパネル5から車両幅方向に離間して配置されている。つまり、取付ブラケット20の上側脚部25および下側脚部26は、本体部22とその左方のサイドパネル5との間に空間を形成するように、本体部22からサイドパネル5に向かって車両幅方向で右方に延びている。
【0029】
取付ブラケット20の前側脚部24は、本体部22とその前方のカウルパネル4との間に空間を形成するように、本体部22からカウルパネル4に沿って車両幅方向で左方に延びている。したがって、本体部22は、カウルパネル4から車両前後方向に離間して配置されている。
【0030】
カウルパネル4は傾斜部4Bを有しており、傾斜部4Bは、第1コントローラ11に最も近い位置から車両幅方向でサイドパネル5から離れるにつれて前方に向かうように傾斜している。前側取付点4Aは、傾斜部4Bに配置されている。前側脚部24は、第1コントローラ11およびカウルパネル4から離間して、第1コントローラ11とカウルパネル4との間に配置され、傾斜部4Bに沿って延びている。
【0031】
図3図4図6において、上側脚部25は、本体部22からサイドパネル5に向かって延びる上側連絡部25Aと、この上側連絡部25Aからサイドパネル5と略平行に延びて上側取付点5Aに連結される上側取付部25Bと、を有している。上側取付部25Bは、上側脚部25の延伸方向の先端の部位である。上側連絡部25Aは、上側脚部25における上側取付部25Bと本体部22との間の部位である。
【0032】
下側脚部26は、本体部22からサイドパネル5に向かって延びる下側連絡部26Aと、この下側連絡部26Aからサイドパネル5と略平行に延びて下側取付点5Bに連結される下側取付部26Bと、を有している。下側取付部26Bは、下側脚部26の延伸方向の先端の部位である。下側連絡部26Aは、下側脚部26における下側取付部26Bと本体部22との間の部位である。
【0033】
前側脚部24は、本体部22からカウルパネル4に沿って延びる前側連絡部24Aと、この前側連絡部24Aからカウルパネル4に沿ってさらに延びて前側取付点4Aに連結される前側取付部24Bと、を有している。前側取付部24Bは、前側脚部24の延伸方向の先端の部位である。前側連絡部24Aは、前側脚部24における前側取付部24Bと本体部22との間の部位である。
【0034】
図3において、前側取付部24Bには、その延伸方向である車両幅方向に延びる長孔24Cが形成されており、この長孔24Cに締結用のボルト30が差し込まれている。前側取付部24Bに長孔24Cを形成することにより、カウルパネル4への前側取付部24Bの固定位置の調整が可能となっている。
【0035】
取付ブラケット20は、本体部22と上側連絡部25Aとの間に上側屈曲部22Aを有している。上側屈曲部22Aは、本体部22と上側連絡部25Aとの間で右方に向かって屈曲している。上側屈曲部22Aの折り曲げ線は、車両上下方向に延びている。本実施例では、上側屈曲部22Aを形成する折り曲げ線は、後ろ下がりに傾斜する状態で、全体として車両上下方向に延びている。ここで、上側脚部25は、前述したように、車両側面視で本体部22の上部から後ろ上がりに傾斜して延びているため、後ろ下がりに傾斜する上側屈曲部22Aは、上側脚部25の延伸方向に対して直交している。
【0036】
取付ブラケット20は、本体部22と下側連絡部26Aとの間に下側屈曲部22Bを有している。下側屈曲部22Bは、本体部22と下側連絡部26Aとの間で右方に向かって屈曲している。下側屈曲部22Bの折り曲げ線は、車両前後方向に延びている。ここで、下側脚部26は、車両側面視で本体部22の下部から真下に向かって真っ直ぐ延びているため、車両前後方向に延びる下側屈曲部22Bは、下側脚部26の延伸方向に対して直交している。
【0037】
取付ブラケット20は、本体部22と前側連絡部24Aとの間に前側屈曲部22Cを有している。前側屈曲部22Cは、本体部22と前側連絡部24Aとの間で左方に向かって屈曲している。前側屈曲部22Cの折り曲げ線は、車両上下方向に延びている。
【0038】
このように、本実施例では、上側屈曲部22Aおよび下側屈曲部22Bが右方に屈曲しており、前側屈曲部22Cは左方に屈曲している。言い換えれば、上側屈曲部22Aおよび下側屈曲部22Bが本体部22から右方に屈曲することにより、上側脚部25および下側脚部26は、車両幅方向において第1コントローラ11から離れる方向(右方)に延びている。
【0039】
一方、前側屈曲部22Cが本体部22から左方に屈曲することにより、前側脚部24は、車両幅方向において第1コントローラに近づく方向(左方)に延びている。図7に示すように、取付ブラケット20の主ブラケット21を左側面から見た状態で、上側屈曲部22Aおよび下側屈曲部22Bはいわゆる山折りの状態で屈曲しており、前側屈曲部22Cはいわゆる谷折りの状態で屈曲している。
【0040】
図4において、第1コントローラ11および本体部22は、車両平面視で、その長手方向が車両前後方向に沿い、かつ、後方に向かうにつれてサイドパネル5に近づくように傾斜する姿勢で配置されている。ここで、第1コントローラ11および本体部22の長手方向とは、平面視における第1コントローラ11および本体部22の長辺に沿う方向である。また、前側取付点4Aは、車両幅方向で本体部22に対してサイドパネル5とは反対側に位置している。
【0041】
図7において、上側脚部25の上端25Cは、カウルパネル4の上端4Cよりも上方に配置されている。また、下側脚部26の上端26Cは、カウルパネル4の下端4Dよりも下方に配置されている。ここで、下側脚部26の上端26Cの位置は、下側脚部26の基部と等しい位置である。下側脚部26の基部には、前述したように下側屈曲部22Bが設けられている。カウルパネル4の下端4Dは、カウルパネル4がダッシュパネル3と接合する位置である。
【0042】
図3図4図6において、取付ブラケット20の副ブラケット27は、主ブラケット21の本体部22との間に第1コントローラ11を挟み込んで保持した状態で、本体部22に取り付けられている。副ブラケット27には第2コントローラ12が取り付けられている。第2コントローラ12は、副ブラケット27における第1コントローラ11と反対側の面に取り付けられている。したがって、副ブラケット27は、第1コントローラ11と第2コントローラ12とに挟まれている。
【0043】
図6において、副ブラケット27は、本体部22における前側脚部24、上側脚部25および下側脚部26の間の位置に連結されている。詳しくは、副ブラケット27は、本体部22における前側脚部24の基部の近傍と、本体部22における上側脚部25の基部の近傍と、本体部22の後端と、の3箇所に連結されている。これらの連結部位は、何れも本体部22の一部であり、かつ、本体部22における前側脚部24、上側脚部25および下側脚部26の間の位置である。
【0044】
サイドパネル5は、その縁部5Cに形成されたフランジ部5Dと、フランジ部5Dから立ち上がるように屈曲する角部5Eを有している。そして、上側脚部25は角部5Eの近傍に取り付けられている。言い換えれば、サイドパネル5の角部5Eに前述の上側取付点5Aが設けられている。
【0045】
ここで、フランジ部5Dは、サイドパネル5が図示しない他の部材と平面で接合できるように平面状に形成された部位であり、サイドパネル5の縁部5Cの全体にわたって形成されている。フランジ部5Dは、図6の背面側に折り重ねるように曲げられており、剛性が高くなっている。また、サイドパネル5における少なくとも上側取付点5Aを含む部位は、フランジ部5Dよりも車両幅方向の内側(車室内側)に位置するように膨出している。サイドパネル5の角部5Eは、上側取付点5Aを含む部位が平面状のフランジ部5Dから車両幅方向の内側(車室内側)に立ち上がって膨出を開始する部位である。本実施例では、角部5Eは、フランジ部5Dから直角に立ち上がるように屈曲している。サイドパネル5の角部5Eは、フランジ部5Dを構成する面とこのフランジ部5Dに直交する面とがL字状に直角に交差するように屈曲する部位であるため、剛性が高くなっている。
【0046】
以上説明したように、本実施例の電装部品の取付構造において、取付ブラケット20は、第1コントローラ11が取り付けられる本体部22と、本体部22から前方に延びてカウルパネル4に取り付けられる前側脚部24と、本体部22から上方に延びてサイドパネル5に取り付けられる上側脚部25と、本体部22から下方に延びてサイドパネル5に取り付けられる下側脚部26と、を有している。また、上側脚部25の上端25Cは、カウルパネル4の上端4Cよりも上方に配置され、下側脚部26の上端26Cは、カウルパネル4の下端4Dよりも下方に配置されている。
【0047】
このように、車体2を構成するカウルパネル4とサイドパネル5とを取付ブラケット20によって連結することで、取付ブラケット20が補強部材としても機能するので、車体2の剛性を確保できる。また、コーナガセット等の補強部材を設けなくても取付ブラケット20によってカウルパネル4およびサイドパネル5の剛性を確保できるので、補強部材との干渉によって第1コントローラ11のレイアウト性が低下することを回避できる。この結果、第1コントローラ11のレイアウト性を低下させることなく車体2の剛性を確保できる。
【0048】
これに加え、本実施例では、取付ブラケット20の上側脚部25と下側脚部26とが、上下方向でカウルパネル4を跨ぐようにサイドパネル5に取り付けられているため、車両1の走行に伴って第1コントローラ11が振動した場合に、その振動が取付ブラケット20の前側脚部24、上側脚部25および下側脚部26を介してカウルパネル4に伝達されるので、第1コントローラ11の振動がカウルパネル4に直接伝達されることを防止でき、車体2を構成するカウルパネル4の振動を抑制できる。
【0049】
また、本実施例の電装部品の取付構造において、取付ブラケット20の副ブラケット27は、主ブラケット21の本体部22との間に第1コントローラ11を挟み込んで保持した状態で、本体部22に取り付けられている。
【0050】
このように、第1コントローラ11を本体部22と副ブラケット27とで挟み込んで形成することで、取付ブラケット20の本体部22の剛性を高めることができ、取付ブラケット20の全体としての剛性を向上させることができる。
【0051】
また、本実施例の電装部品の取付構造において、副ブラケット27に第2コントローラ12が取り付けられており、副ブラケット27は、第1コントローラ11と第2コントローラ12とに挟まれている。
【0052】
このように、副ブラケット27に第2コントローラ12を取り付け、第1コントローラ11と第2コントローラ12とで副ブラケット27を挟むことにより、取付ブラケット20の副ブラケット27の剛性を高めることができ、取付ブラケット20の全体としての剛性を向上させることができる。
【0053】
また、本実施例の電装部品の取付構造において、副ブラケット27は、本体部22における前側脚部24、上側脚部25および下側脚部26の間の位置に連結されている。
【0054】
これにより、前側脚部24、上側脚部25および下側脚部26の間の応力の集中しやすい部分である本体部22に副ブラケット27が連結されるので、取付ブラケット20の本体部22の剛性を高めることができる。
【0055】
また、本実施例の電装部品の取付構造において、サイドパネル5は、その縁部5Cに形成されたフランジ部5Dと、フランジ部5Dから立ち上がるように屈曲する角部5Eを有し、上側脚部25は、角部5Eの近傍に取り付けられている。
【0056】
これにより、サイドパネル5のフランジ部5Dから立ち上がる角部5Eに上側脚部25を取り付けることで取付ブラケット20の剛性を高めることができる。
【0057】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0058】
1...車両、2...車体、3...ダッシュパネル、4...カウルパネル、4C ...上端、4D...下端、5...サイドパネル、5C...縁部、5D...フランジ部、5E...角部、11...第1コントローラ(電装部品、第1電装部品)、12...第2コントローラ(第2電装部品)、20...取付ブラケット、21...主ブラケット、22...本体部、24...前側脚部、25...上側脚部、25C...上端、26...下側脚部、26C...上端、27...副ブラケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8