(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】貯湯式給湯機
(51)【国際特許分類】
F24H 1/18 20220101AFI20231212BHJP
F24H 15/18 20220101ALI20231212BHJP
F24H 15/184 20220101ALI20231212BHJP
F24H 15/196 20220101ALI20231212BHJP
F24H 15/215 20220101ALI20231212BHJP
F24H 15/219 20220101ALI20231212BHJP
F24H 15/315 20220101ALI20231212BHJP
F24H 15/34 20220101ALI20231212BHJP
F24D 17/00 20220101ALI20231212BHJP
【FI】
F24H1/18 G
F24H15/18
F24H15/184
F24H15/196 301G
F24H15/215
F24H15/219
F24H15/315
F24H15/34
F24D17/00 L
(21)【出願番号】P 2020136243
(22)【出願日】2020-08-12
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】黒柳 洋真
(72)【発明者】
【氏名】池田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】竹鶴 達哉
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-190701(JP,A)
【文献】特開2014-156992(JP,A)
【文献】特開平07-091737(JP,A)
【文献】特開平11-304241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H1/00,1/18-1/20,4/00-4/06,
15/00-15/493
F24D17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段により加熱された湯水を貯留する貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の湯水と浴槽内の浴槽水との間で熱交換を行う熱交換器と、
前記貯湯タンクと前記熱交換器とを接続する追い焚き回路と、
前記浴槽と前記熱交換器とを接続する浴槽水循環回路と、
前記追い焚き回路に設けられ、前記貯湯タンク内の湯水を前記追い焚き回路に循環させるタンク循環ポンプと、
前記浴槽水循環回路に設けられ、前記浴槽水を前記浴槽水循環回路に循環させる風呂循環ポンプと、
前記貯湯タンクと出湯端末とを接続する給湯管路と、
前記給湯管路に設けられ、前記貯湯タンクから前記給湯管路を通って供給される湯水が流入する湯側入口、前記湯側入口から流入する湯水よりも温度の低い湯水が流入する水側入口、及び前記湯側入口から流入した湯水と前記水側入口から流入した湯水とが混合した湯水が前記出湯端末へ向けて出る出口とを有し、開度を変更することにより前記湯側入口から流入する湯水と前記水側入口から流入する湯水との混合比を変更可能な給湯混合弁と、
前記給湯混合弁の前記出口から出た湯水の温度を検出する給湯温度センサと、
前記浴槽水を加熱するために前記タンク循環ポンプ及び前記風呂循環ポンプを動作させる追い焚き運転の実行中において前記タンク循環ポンプ及び前記風呂循環ポンプの動作を制御し、前記貯湯タンク内の湯水が前記給湯管路を通って前記出湯端末へ送られる給湯動作の実行中において前記給湯温度センサにより検出された湯水の温度が目標温度になるように前記給湯混合弁の開度を制御する制御部と、
を備え、
前記追い焚き回路における前記タンク循環ポンプより上流側の部分と、前記給湯管路における前記給湯混合弁より上流側の部分とは、一部の配管を共有し、
前記制御部は、前記給湯動作が実行中であり、前記追い焚き運転が停止中である場合において、前記給湯温度センサにより検出された湯水の温度が前記目標温度になったときの前記給湯混合弁の開度を第一の安定開度として記憶し、前記給湯動作が実行中であり、前記追い焚き運転が実行中である場合において、前記給湯温度センサにより検出された湯水の温度が前記目標温度になったときの前記給湯混合弁の開度を第二の安定開度として記憶し、前記給湯動作の停止中における前記給湯混合弁の開度を、前記追い焚き運転が停止中である場合には前記第一の安定開度とし、前記追い焚き運転が実行中である場合には前記第二の安定開度とする混合弁開度制御を実施する貯湯式給湯機。
【請求項2】
前記制御部は、前記給湯動作の開始時において、前記追い焚き運転が停止中である場合には、前記給湯混合弁の開度を前記第一の安定開度とする請求項1に記載の貯湯式給湯機。
【請求項3】
前記制御部は、前記給湯動作の開始時において、前記追い焚き運転が実行中である場合には、前記給湯混合弁の開度を前記第二の安定開度とする請求項1又は2に記載の貯湯式給湯機。
【請求項4】
前記制御部は、前記給湯動作の停止中において前記給湯温度センサにより検出された湯水の温度が予め設定された設定温度を超えた場合、前記給湯混合弁の開度を、前記第一の安定開度と前記第二の安定開度のうち、前記湯側入口から流入する湯水の混合比が小さい方の開度に変更する請求項1から3のいずれか一項に記載の貯湯式給湯機。
【請求項5】
前記制御部は、前記給湯動作の停止中において前記給湯温度センサにより検出された湯水の温度が予め設定された設定温度を超えたときの前記給湯混合弁の開度が前記第一の安定開度である場合には前記第一の安定開度の情報を消去し、前記給湯動作の停止中において前記給湯温度センサにより検出された湯水の温度が前記設定温度を超えたときの前記給湯混合弁の開度が前記第二の安定開度である場合には前記第二の安定開度の情報を消去
し、
前記給湯動作の停止中における前記給湯混合弁の開度を、
前記追い焚き運転が停止中である場合において前記第一の安定開度が記憶されていない場合には、前記湯側入口から流入する湯水の温度と、前記水側入口から流入する湯水の温度と、前記目標温度とから求められた開度とし、
前記追い焚き運転が実行中である場合において前記第二の安定開度が記憶されていない場合には、前記湯側入口から流入する湯水の温度と、前記水側入口から流入する湯水の温度と、前記目標温度とから求められた開度とする
請求項1から3のいずれか一項に記載の貯湯式給湯機。
【請求項6】
前記制御部は、前記タンク循環ポンプ又は前記風呂循環ポンプの故障を検知した場合、前記第二の安定開度の情報を消去
し、
前記給湯動作の停止中における前記給湯混合弁の開度を、
前記追い焚き運転が実行中である場合において前記第二の安定開度が記憶されていない場合には、前記湯側入口から流入する湯水の温度と、前記水側入口から流入する湯水の温度と、前記目標温度とから求められた開度とする
請求項1から5のいずれか一項に記載の貯湯式給湯機。
【請求項7】
前記追い焚き回路に設けられ、流路を切り替える切替弁を備え、
前記制御部は、前記切替弁の故障を検知した場合、前記第二の安定開度の情報を消去
し、
前記給湯動作の停止中における前記給湯混合弁の開度を、
前記追い焚き運転が実行中である場合において前記第二の安定開度が記憶されていない場合には、前記湯側入口から流入する湯水の温度と、前記水側入口から流入する湯水の温度と、前記目標温度とから求められた開度とする
請求項1から6のいずれか一項に記載の貯湯式給湯機。
【請求項8】
加熱手段により加熱された湯水を貯留する貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の湯水と浴槽内の浴槽水との間で熱交換を行う熱交換器と、
前記貯湯タンクと前記熱交換器とを接続する追い焚き回路と、
前記浴槽と前記熱交換器とを接続する浴槽水循環回路と、
前記追い焚き回路に設けられ、前記貯湯タンク内の湯水を前記追い焚き回路に循環させるタンク循環ポンプと、
前記浴槽水循環回路に設けられ、前記浴槽水を前記浴槽水循環回路に循環させる風呂循環ポンプと、
前記貯湯タンクと出湯端末とを接続する給湯管路と、
前記給湯管路に設けられ、前記貯湯タンクから前記給湯管路を通って供給される湯水が流入する湯側入口、前記湯側入口から流入する湯水よりも温度の低い湯水が流入する水側入口、及び前記湯側入口から流入した湯水と前記水側入口から流入した湯水とが混合した湯水が前記出湯端末へ向けて出る出口とを有し、開度を変更することにより前記湯側入口から流入する湯水と前記水側入口から流入する湯水との混合比を変更可能な給湯混合弁と、
前記給湯混合弁の前記出口から出た湯水の温度を検出する給湯温度センサと、
前記湯側入口から流入する湯水の温度を検出する湯側温度センサと、
前記水側入口から流入する湯水の温度を検出する水側温度センサと、
前記浴槽水を加熱するために前記タンク循環ポンプ及び前記風呂循環ポンプを動作させる追い焚き運転の実行中において前記タンク循環ポンプ及び前記風呂循環ポンプの動作を制御し、前記貯湯タンク内の湯水が前記給湯管路を通って前記出湯端末へ送られる給湯動作の実行中において前記給湯温度センサにより検出された湯水の温度が目標温度になるように前記給湯混合弁の開度を制御する制御部と、
を備え、
前記追い焚き回路における前記タンク循環ポンプより上流側の部分と、前記給湯管路における前記給湯混合弁より上流側の部分とは、一部の配管を共有し、
前記制御部は、前記給湯動作が実行中であり、前記追い焚き運転が停止中である場合において、前記給湯温度センサにより検出された湯水の温度が前記目標温度になったときの前記給湯混合弁の開度を第一の安定開度として記憶し、前記給湯動作の停止中における前記給湯混合弁の開度を、前記追い焚き運転が停止中である場合には前記第一の安定開度とし、前記追い焚き運転が実行中である場合には前記湯側温度センサにより検出された温度と前記水側温度センサにより検出された温度と前記目標温度とから求められた開度とする混合弁開度制御を実施する貯湯式給湯機。
【請求項9】
前記混合弁開度制御を実施するか否かを切替可能な切替手段を備える請求項1から8のいずれか一項に記載の貯湯式給湯機。
【請求項10】
加熱手段により加熱された湯水を貯留する貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の湯水と浴槽内の浴槽水との間で熱交換を行う熱交換器と、
前記貯湯タンクと前記熱交換器とを接続する追い焚き回路と、
前記浴槽と前記熱交換器とを接続する浴槽水循環回路と、
前記追い焚き回路に設けられ、前記貯湯タンク内の湯水を前記追い焚き回路に循環させるタンク循環ポンプと、
前記浴槽水循環回路に設けられ、前記浴槽水を前記浴槽水循環回路に循環させる風呂循環ポンプと、
前記貯湯タンクと出湯端末とを接続する給湯管路と、
前記給湯管路に設けられ、前記貯湯タンクから前記給湯管路を通って供給される湯水が流入する湯側入口、前記湯側入口から流入する湯水よりも温度の低い湯水が流入する水側入口、及び前記湯側入口から流入した湯水と前記水側入口から流入した湯水とが混合した湯水が前記出湯端末へ向けて出る出口とを有し、開度を変更することにより前記湯側入口から流入する湯水と前記水側入口から流入する湯水との混合比を変更可能な給湯混合弁と、
前記給湯混合弁の前記出口から出た湯水の温度を検出する給湯温度センサと、
前記浴槽水を加熱するために前記タンク循環ポンプ及び前記風呂循環ポンプを動作させる追い焚き運転の実行中において前記タンク循環ポンプ及び前記風呂循環ポンプの動作を制御し、前記貯湯タンク内の湯水が前記給湯管路を通って前記出湯端末へ送られる給湯動作の実行中において前記給湯温度センサにより検出された湯水の温度が目標温度になるように前記給湯混合弁の開度を制御する制御部と、
を備え、
前記追い焚き回路における前記タンク循環ポンプより上流側の部分と、前記給湯管路における前記給湯混合弁より上流側の部分とは、一部の配管を共有し、
前記制御部は、前記給湯動作の実行中に前記追い焚き運転を終了する場合、前記給湯動作の停止中に前記追い焚き運転を終了する場合よりも、前記タンク循環ポンプの回転数の単位時間あたりの減少量を小さくするポンプ回転数制御を実施する貯湯式給湯機。
【請求項11】
前記制御部は、前記給湯動作の実行中に前記追い焚き運転を開始する場合、前記給湯動作の停止中に前記追い焚き運転を開始する場合よりも、前記タンク循環ポンプの回転数の単位時間あたりの増加量を小さくする請求項10に記載の貯湯式給湯機。
【請求項12】
前記制御部は、
前記給湯動作の停止中に前記追い焚き運転を終了する場合よりも、前記タンク循環ポンプの回転数の単位時間あたりの減少量を小さくする前記ポンプ回転数制御の実施中において、前記給湯動作が停止した場合、前記ポンプ回転数制御の実施を終了
し、前記タンク循環ポンプの回転数の単位時間あたりの減少量を、前記給湯動作の停止中に前記追い焚き運転を終了する場合と同じにする請求項10又は11に記載の貯湯式給湯機。
【請求項13】
前記制御部は、前記ポンプ回転数制御の実施中において、前記追い焚き運転の動作時間が長くなる旨の表示を表示部に行わせる請求項10から12のいずれか一項に記載の貯湯式給湯機。
【請求項14】
前記ポンプ回転数制御を実施するか否かを切替可能な切替手段を備える請求項10から13のいずれか一項に記載の貯湯式給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貯湯式給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
貯湯タンクに貯留した湯を蛇口、シャワー等の出湯端末へ給湯する機能を有する貯湯式給湯機が広く用いられている。
【0003】
例えば特許文献1に記載の貯湯式給湯機は、貯湯タンク内の湯水を給湯混合弁で温度調整して出湯端末へ供給する。給湯混合弁は、貯湯タンクから供給される湯水が流入する湯側入口と、湯側入口から流入する湯水よりも温度の低い湯水が流入する水側入口と、湯側入口から流入した湯水と水側入口から流入した湯水とが混合した湯水が出る出口とを有する。制御部は、湯側入口から流入する湯水の温度と、水側入口から流入する湯水の温度とに応じて、給湯混合弁の開度を調整することで、使用者が設定した設定温度の湯水を出湯端末へ供給するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の貯湯式給湯機では、出湯端末への給湯動作時に貯湯タンク内の湯水が通る給湯管路と、浴槽内の浴槽水を加熱する追い焚き運転時に貯湯タンク内の湯水が循環する追い焚き回路とは、貯湯タンクから湯水を取り出す部分において、一部の配管を共有している。このため、追い焚き運転が実行中であるか否かによって、給湯混合弁の開度が同じ場合であっても混合弁の湯側入口に流入する湯水の量が変化し、湯側入口に流入する湯水の温度が変化せずとも出湯端末へ供給される湯水の温度が変化する。特に、追い焚き運転の停止中においては、追い焚き運転が実行中の場合と比べて、混合弁の湯側入口に流入する湯水の量が多くなるため、設定温度よりも高温の湯が出湯端末へ供給される恐れがあった。
【0006】
本開示は、上述した問題を解決するためになされたもので、設定温度よりも高温の湯が出湯端末へ供給されることを抑制することができる貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る貯湯式給湯機は、加熱手段により加熱された湯水を貯留する貯湯タンクと、貯湯タンク内の湯水と浴槽内の浴槽水との間で熱交換を行う熱交換器と、貯湯タンクと熱交換器とを接続する追い焚き回路と、浴槽と熱交換器とを接続する浴槽水循環回路と、追い焚き回路に設けられ、貯湯タンク内の湯水を追い焚き回路に循環させるタンク循環ポンプと、浴槽水循環回路に設けられ、浴槽水を浴槽水循環回路に循環させる風呂循環ポンプと、貯湯タンクと出湯端末とを接続する給湯管路と、給湯管路に設けられ、貯湯タンクから給湯管路を通って供給される湯水が流入する湯側入口、湯側入口から流入する湯水よりも温度の低い湯水が流入する水側入口、及び湯側入口から流入した湯水と水側入口から流入した湯水とが混合した湯水が出湯端末へ向けて出る出口とを有し、開度を変更することにより湯側入口から流入する湯水と水側入口から流入する湯水との混合比を変更可能な給湯混合弁と、給湯混合弁の出口から出た湯水の温度を検出する給湯温度センサと、浴槽水を加熱するためにタンク循環ポンプ及び風呂循環ポンプを動作させる追い焚き運転の実行中においてタンク循環ポンプ及び風呂循環ポンプの動作を制御し、貯湯タンク内の湯水が給湯管路を通って出湯端末へ送られる給湯動作の実行中において給湯温度センサにより検出された湯水の温度が目標温度になるように給湯混合弁の開度を制御する制御部と、を備え、追い焚き回路におけるタンク循環ポンプより上流側の部分と、給湯管路における給湯混合弁より上流側の部分とは、一部の配管を共有し、制御部は、給湯動作が実行中であり、追い焚き運転が停止中である場合において、給湯温度センサにより検出された湯水の温度が目標温度になったときの給湯混合弁の開度を第一の安定開度として記憶し、給湯動作が実行中であり、追い焚き運転が実行中である場合において、給湯温度センサにより検出された湯水の温度が目標温度になったときの給湯混合弁の開度を第二の安定開度として記憶し、給湯動作の停止中における給湯混合弁の開度を、追い焚き運転が停止中である場合には第一の安定開度とし、追い焚き運転が実行中である場合には第二の安定開度とする混合弁開度制御を実施する。
【0008】
また、本開示に係る貯湯式給湯機は、加熱手段により加熱された湯水を貯留する貯湯タンクと、貯湯タンク内の湯水と浴槽内の浴槽水との間で熱交換を行う熱交換器と、貯湯タンクと熱交換器とを接続する追い焚き回路と、浴槽と熱交換器とを接続する浴槽水循環回路と、追い焚き回路に設けられ、貯湯タンク内の湯水を追い焚き回路に循環させるタンク循環ポンプと、浴槽水循環回路に設けられ、浴槽水を浴槽水循環回路に循環させる風呂循環ポンプと、貯湯タンクと出湯端末とを接続する給湯管路と、給湯管路に設けられ、貯湯タンクから給湯管路を通って供給される湯水が流入する湯側入口、湯側入口から流入する湯水よりも温度の低い湯水が流入する水側入口、及び湯側入口から流入した湯水と水側入口から流入した湯水とが混合した湯水が出湯端末へ向けて出る出口とを有し、開度を変更することにより湯側入口から流入する湯水と水側入口から流入する湯水との混合比を変更可能な給湯混合弁と、給湯混合弁の出口から出た湯水の温度を検出する給湯温度センサと、湯側入口から流入する湯水の温度を検出する湯側温度センサと、水側入口から流入する湯水の温度を検出する水側温度センサと、浴槽水を加熱するためにタンク循環ポンプ及び風呂循環ポンプを動作させる追い焚き運転の実行中においてタンク循環ポンプ及び風呂循環ポンプの動作を制御し、貯湯タンク内の湯水が給湯管路を通って出湯端末へ送られる給湯動作の実行中において給湯温度センサにより検出された湯水の温度が目標温度になるように給湯混合弁の開度を制御する制御部と、を備え、追い焚き回路におけるタンク循環ポンプより上流側の部分と、給湯管路における給湯混合弁より上流側の部分とは、一部の配管を共有し、制御部は、給湯動作が実行中であり、追い焚き運転が停止中である場合において、給湯温度センサにより検出された湯水の温度が目標温度になったときの給湯混合弁の開度を第一の安定開度として記憶し、給湯動作の停止中における給湯混合弁の開度を、追い焚き運転が停止中である場合には第一の安定開度とし、追い焚き運転が実行中である場合には湯側温度センサにより検出された温度と水側温度センサにより検出された温度と目標温度とから求められた開度とする混合弁開度制御を実施する。
【0009】
また、本開示に係る貯湯式給湯機は、加熱手段により加熱された湯水を貯留する貯湯タンクと、貯湯タンク内の湯水と浴槽内の浴槽水との間で熱交換を行う熱交換器と、貯湯タンクと熱交換器とを接続する追い焚き回路と、浴槽と熱交換器とを接続する浴槽水循環回路と、追い焚き回路に設けられ、貯湯タンク内の湯水を追い焚き回路に循環させるタンク循環ポンプと、浴槽水循環回路に設けられ、浴槽水を浴槽水循環回路に循環させる風呂循環ポンプと、貯湯タンクと出湯端末とを接続する給湯管路と、給湯管路に設けられ、貯湯タンクから給湯管路を通って供給される湯水が流入する湯側入口、湯側入口から流入する湯水よりも温度の低い湯水が流入する水側入口、及び湯側入口から流入した湯水と水側入口から流入した湯水とが混合した湯水が出湯端末へ向けて出る出口とを有し、開度を変更することにより湯側入口から流入する湯水と水側入口から流入する湯水との混合比を変更可能な給湯混合弁と、給湯混合弁の出口から出た湯水の温度を検出する給湯温度センサと、浴槽水を加熱するためにタンク循環ポンプ及び風呂循環ポンプを動作させる追い焚き運転の実行中においてタンク循環ポンプ及び風呂循環ポンプの動作を制御し、貯湯タンク内の湯水が給湯管路を通って出湯端末へ送られる給湯動作の実行中において給湯温度センサにより検出された湯水の温度が目標温度になるように給湯混合弁の開度を制御する制御部と、を備え、追い焚き回路におけるタンク循環ポンプより上流側の部分と、給湯管路における給湯混合弁より上流側の部分とは、一部の配管を共有し、制御部は、給湯動作の実行中に追い焚き運転を終了する場合、給湯動作の停止中に追い焚き運転を終了する場合よりも、タンク循環ポンプの回転数の単位時間あたりの減少量を小さくするポンプ回転数制御を実施する。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る貯湯式給湯機によれば、設定温度よりも高温の湯が出湯端末へ供給されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る貯湯式給湯機の構成図である。
【
図2】実施の形態1に係る貯湯式給湯機の構成図であり、沸上運転時の湯水の流れを示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る貯湯式給湯機の構成図であり、追い焚き運転時の湯水の流れを示す図である。
【
図4】実施の形態1に係る貯湯式給湯機の構成図であり、湯張り運転時の湯水の流れを示す図である。
【
図5】実施の形態1に係る貯湯式給湯機の構成図であり、給湯運転時の湯水の流れを示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る貯湯式給湯機の構成図であり、給湯運転及び追い焚き運転がともに実行中である場合の湯水の流れを示す図である。
【
図7】実施の形態1に係る貯湯式給湯機の制御動作を示すフローチャートである。
【
図8】実施の形態2に係る貯湯式給湯機の構成図である。
【
図9】実施の形態2に係る貯湯式給湯機の制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1を用いて、実施の形態1の貯湯式給湯機100の構成を説明する。
図1は、実施の形態1に係る貯湯式給湯機100の構成図である。なお、本実施の形態において、湯水とは、温水及び冷水を総称している。
【0013】
図1に示すように、貯湯式給湯機100は、ヒートポンプユニット1、貯湯ユニット2、及びリモコン装置3を備える。ヒートポンプユニット1と貯湯ユニット2とは、ヒートポンプ往き配管33、ヒートポンプ戻り配管34、及び図示しない電気配線によって接続されている。また、貯湯ユニット2とリモコン装置3とは、有線又は無線によって電気的に接続されている。
【0014】
ヒートポンプユニット1は、貯湯ユニット2から導かれた湯水を加熱する加熱手段である。本実施の形態において、ヒートポンプユニット1は、ヒートポンプ式の加熱手段である。具体的には、ヒートポンプユニット1は、図示は省略するが、圧縮機、給湯用熱交換器、膨張弁、及び空気熱交換器を順次冷媒配管で接続したヒートポンプ回路を備える。
【0015】
貯湯ユニット2は、貯湯タンク4、貯湯温度センサ5a~5g、沸上温度センサ6、タンク循環ポンプ7、入水切替弁8、出湯切替弁9、中温戻し切替弁10、中温取出切替弁11、給湯混合弁12、風呂混合弁13、熱交換器14、給水温度センサ15、給湯流量センサ16、給湯温度センサ17、電磁弁18、風呂流量センサ19、風呂温度センサ20、風呂循環ポンプ21、各種配管30~50、及び制御部60を備える。
【0016】
貯湯タンク4は、ヒートポンプユニット1で加熱された湯水を貯留する。貯湯タンク4には、上方が高温で下方に行くにつれて低温となる温度成層が形成されている。説明の便宜上、貯湯タンク4において、上側から順に上部、中間部、及び下部と称する。本実施の形態では、貯湯タンク4の容量の1/3ずつに相当する部分をそれぞれ上部、中間部、及び下部と称するが、これとは異なる位置を境として上部、中間部、及び下部と定めてもよい。
【0017】
貯湯タンク4の外面には、第1の貯湯温度センサ5a、第2の貯湯温度センサ5b、第3の貯湯温度センサ5c、第4の貯湯温度センサ5d、第5の貯湯温度センサ5e、及び第6の貯湯温度センサ5fが設けられている。第1の貯湯温度センサ5a、第2の貯湯温度センサ5b、第3の貯湯温度センサ5c、第4の貯湯温度センサ5d、第5の貯湯温度センサ5e、及び第6の貯湯温度センサ5fは、貯湯タンク4の最上部からの容積が、例えば0L、50L、100L、150L、170L、220Lの各位置にそれぞれ設けられており、各位置における水温を検出する。第1の貯湯温度センサ5a、第2の貯湯温度センサ5b、第3の貯湯温度センサ5c、第4の貯湯温度センサ5d、第5の貯湯温度センサ5e、及び第6の貯湯温度センサ5fは、貯湯タンク4内の湯水の熱量を検出する残湯熱量検出手段として機能する。
【0018】
熱交換器14は、貯湯タンク4内の湯水と浴槽200内の湯水すなわち浴槽水との間で熱交換を行う。熱交換器14の一次側には貯湯タンク4内の湯水が供給され、熱交換器14の二次側には浴槽200内の浴槽水が供給される。
【0019】
入水切替弁8は、入口となるaポート及びbポートと、出口となるcポートとを有する。入水切替弁8は、a-c、b-cの2つの経路の間で流路を切り替え可能である。
【0020】
出湯切替弁9は、入口となるaポート及びbポートと、出口となるcポート及びdポートとを有する。出湯切替弁9は、a-c、a-d、b-c、b-dの4つの経路の間で流路を切り替え可能である。
【0021】
中温戻し切替弁10は、入口となるaポートと、出口となるbポート、cポート、及びdポートとを有する。中温戻し切替弁10は、a-b、a-c、a-dの3つの経路の間で流路を切り替え可能である。
【0022】
中温取出切替弁11は、入口となるaポート及びbポートと、出口となるcポートとを有する。中温取出切替弁11は、a-c、b-cの2つの経路の間で流路を切り替え可能である。
【0023】
給湯混合弁12は、入口となる湯側入口12a及び水側入口12bと、出口12cとを有する。湯側入口12aには、貯湯タンク4の上部から供給される湯水が流入する。水側入口12bには、湯側入口12aから流入する湯水よりも温度の低い湯水が流入する。すなわち、水側入口12bには、貯湯タンク4の中間部又は水源400から供給される湯水が流入する。出口12cからは、湯側入口12aから流入した湯水と、水側入口12bから流入した湯水とが混合した湯水が出る。給湯混合弁12は、湯側入口12aから流入する湯水と、水側入口12bから流入する湯水との混合比を調整することにより、出口12cから出る湯水の温度を調整する。
【0024】
給湯混合弁12は、例えば、ステッピングモータにより回転する弁体を備える。給湯混合弁12は、弁体の回転によって湯側入口12aの開口面積と水側入口12bの開口面積との比を変えることで、湯側入口12aから流入する湯水と水側入口12bから流入する湯水との混合比を調整する。本実施の形態において、給湯混合弁12の開度とは、ステッピングモータの回転位置に対応した数値で表されるものである。給湯混合弁12は、開度を変更することにより湯側入口12aから流入する湯水と水側入口12bから流入する湯水との混合比を変更することができる。本実施の形態では、給湯混合弁12の開度を大きくすることにより、湯側入口12aから流入する湯水の混合比を大きくすることができる。
【0025】
風呂混合弁13は、入口となる湯側入口13a及び水側入口13bと、出口13cとを有する。湯側入口13aには、貯湯タンク4の上部から供給される湯水が流入する。水側入口13bには、湯側入口13aから流入する湯水よりも温度の低い湯水が流入する。すなわち、水側入口13bには、貯湯タンク4の中間部又は水源400から供給される湯水が流入する。出口13cからは、湯側入口13aから流入した湯水と、水側入口13bから流入した湯水とが混合した湯水が出る。風呂混合弁13は、湯側入口13aから流入する湯水と、水側入口13bから流入する湯水との混合比を調整することにより、出口13cから出る湯水の温度を調整する。なお、風呂混合弁13の構成は、上述した給湯混合弁12の構成と同様である。
【0026】
入水切替弁8のaポートには、配管30の一端が接続される。配管30の他端は、貯湯タンク4の下部に接続される。入水切替弁8のbポートには、追い焚き戻り配管31の一端が接続される。追い焚き戻り配管31の他端は、熱交換器14の一次側出口に接続される。熱交換器14の一次側入口には、追い焚き往き配管32の一端が接続される。追い焚き往き配管32の他端は、貯湯タンク4の上部に接続される。入水切替弁8のcポートには、ヒートポンプ往き配管33の一端が接続される。ヒートポンプ往き配管33の他端は、ヒートポンプユニット1の入口に接続される。
【0027】
ヒートポンプ往き配管33には、タンク循環ポンプ7及び第7の貯湯温度センサ5gが設けられる。タンク循環ポンプ7は、入水切替弁8のcポートからヒートポンプユニット1の入口へ向かう湯水の流れを発生させる。第7の貯湯温度センサ5gは、ヒートポンプ往き配管33を流れる湯水の温度を検出する。第7の貯湯温度センサ5gは、貯湯タンク4の下部から取り出された湯水の温度を検出することで、貯湯タンク4内の湯水の熱量を検出する残湯熱量検出手段として機能する。
【0028】
出湯切替弁9のaポートには、ヒートポンプ戻り配管34の一端が接続される。ヒートポンプ戻り配管34の他端は、ヒートポンプユニット1の出口に接続される。出湯切替弁9のbポートには、配管35の一端が接続される。配管35の他端は、ヒートポンプ往き配管33におけるタンク循環ポンプ7とヒートポンプユニット1の入口との間に接続される。出湯切替弁9のcポートには、配管36の一端が接続される。配管36の他端は、中温戻し切替弁10のaポートに接続される。出湯切替弁9のdポートには、配管37の一端が接続される。配管37の他端は、貯湯タンク4の下部に接続される。
【0029】
中温戻し切替弁10のbポートには、配管38の一端が接続される。配管38の他端は、貯湯タンク4の上部に接続される。配管38には、沸上温度センサ6が設けられる。沸上温度センサ6は、ヒートポンプユニット1によって加熱されて貯湯タンク4の上部に戻される湯水の温度を検出する。中温戻し切替弁10のcポートには、中温戻し配管39の一端が接続される。中温戻し配管39の他端は、貯湯タンク4の中間部に接続される。中温戻し切替弁10のdポートには、配管40が接続される。配管40の他端は、給湯配管41の途中に接続される。
【0030】
給湯配管41の一端は、追い焚き往き配管32における熱交換器14の上流側、すなわち追い焚き往き配管32における貯湯タンク4の上部と熱交換器14の一次側入口との間に接続される。給湯配管41の他端は途中で2つに分岐し、一方は給湯混合弁12の湯側入口12aに接続され、他方は風呂混合弁13の湯側入口13aに接続される。
【0031】
中温取出切替弁11のaポートには、中温取出配管42の一端が接続される。中温取出配管42の他端は、貯湯タンク4の中間部に接続される。中温取出配管42の途中には、風呂熱回収配管43の一端が接続される。風呂熱回収配管43の他端は、追い焚き戻り配管31における熱交換器14の下流側、すなわち追い焚き戻り配管31における熱交換器14の一次側出口と入水切替弁8のbポートとの間に接続される。
【0032】
中温取出切替弁11のbポートには、第一給水配管44の一端が接続される。第一給水配管44の他端は、水道等の水源400に接続される。第一給水配管44の途中には、第二給水配管45の一端が接続される。第二給水配管45の他端は、貯湯タンク4の下部に接続される。第一給水配管44における第二給水配管45との接続部分と水源400との間には、給水温度センサ15が設けられる。給水温度センサ15は、第一給水配管44を流れる水の温度を検出する。
【0033】
中温取出切替弁11のcポートには、配管46の一端が接続されている。配管46の他端は、途中で2つに分岐し、一方は給湯混合弁12の水側入口12bに接続され、他方は風呂混合弁13の水側入口13bに接続される。
【0034】
給湯混合弁12の出口12cには、混合給湯配管47の一端が接続される。混合給湯配管47の他端は、シャワー、蛇口等の出湯端末300に接続される。混合給湯配管47には、給湯流量センサ16及び給湯温度センサ17が設けられる。給湯流量センサ16は、混合給湯配管47を流れる湯水の流量を検出する。給湯温度センサ17は、混合給湯配管47を流れる湯水の温度を検出する。
【0035】
風呂混合弁13の出口13cには、混合風呂配管48の一端が接続される。混合風呂配管48の他端は、浴槽往き配管49の途中に接続される。混合風呂配管48には、電磁弁18及び風呂流量センサ19が設けられる。電磁弁18は、混合風呂配管48内の流路を開閉する開閉弁である。風呂流量センサ19は、混合風呂配管48を流れる湯の流量を検出する。
【0036】
浴槽往き配管49は、一端が浴槽200に接続され、他端が熱交換器14の二次側出口に接続される。熱交換器14の二次側入口には、浴槽戻り配管50の一端が接続される。浴槽戻り配管50の他端は、浴槽200に接続される。浴槽往き配管49における混合風呂配管48との合流部分には、風呂温度センサ20が設けられる。風呂温度センサ20は、混合風呂配管48を流れる湯水の温度、及び浴槽往き配管49を流れる湯水の温度を検出する。浴槽戻り配管50には、風呂循環ポンプ21が設けられる。風呂循環ポンプ21は、浴槽戻り配管50から引き込んだ浴槽水を、熱交換器14を経由させ、浴槽往き配管49を通って浴槽200内に戻すように、浴槽水を循環させる。なお、風呂循環ポンプ21は、浴槽往き配管49に設けられていてもよい。
【0037】
制御部60は、貯湯式給湯機100を構成する各部品と電気的に接続される。具体的には、制御部60は、ヒートポンプユニット1、リモコン装置3、貯湯温度センサ5a~5g、沸上温度センサ6、タンク循環ポンプ7、入水切替弁8、出湯切替弁9、中温戻し切替弁10、中温取出切替弁11、給湯混合弁12、風呂混合弁13、給水温度センサ15、給湯流量センサ16、給湯温度センサ17、電磁弁18、風呂流量センサ19、風呂温度センサ20、風呂循環ポンプ21と電気的に接続される。制御部60は、本実施の形態の制御を行うための構成として、混合弁開度変更手段60a及び安定開度記憶手段60bを備える。混合弁開度変更手段60a及び安定開度記憶手段60bについては、後述する。
【0038】
リモコン装置3は、ユーザインタフェースであり、台所、リビング、浴室等の壁面に取り付けられる。リモコン装置3は、表示部3a及び操作部3bを有する。表示部3aは、例えば液晶ディスプレイによって形成される。表示部3aは、例えば貯湯式給湯機100の運転状態及び設定内容に関する情報を表示する。操作部3bは、例えば使用者からの操作を受け付けるボタンである。使用者は、操作部3bにより、給湯温度の変更等の操作を行うことができる。
【0039】
次に、貯湯式給湯機100の基本的な動作について説明する。まず、
図2を用いて、貯湯式給湯機100の沸上運転について説明する。
図2は、実施の形態1に係る貯湯式給湯機100の構成図であり、沸上運転時の湯水の流れを示す図である。
図2において、沸上運転時の湯水の流れを太線で示す。沸上運転は、ヒートポンプユニット1により加熱された湯水を貯湯タンク4に貯留する運転である。沸上運転は、例えば深夜電力時間帯に実施される。
【0040】
沸上運転において、制御部60は、ヒートポンプユニット1及びタンク循環ポンプ7を動作させる。また、制御部60は、入水切替弁8を配管30とヒートポンプ往き配管33とが連通した経路(a-c経路)、出湯切替弁9をヒートポンプ戻り配管34と配管36とが連通した経路(a-c経路)、中温戻し切替弁10を配管36と配管38とが連通した経路(a-b経路)に切り替える。これにより、貯湯タンク4内の下部から取り出された湯水が、配管30、入水切替弁8、及びヒートポンプ往き配管33を通ってヒートポンプユニット1に送られる。ヒートポンプユニット1で加熱された湯水は、ヒートポンプ戻り配管34、出湯切替弁9、配管36、中温戻し切替弁10、及び配管38を通って貯湯タンク4内の上部に流入する。沸き上げ運転は、例えば、翌日に使用される分の湯水を貯湯タンク4に貯留するように実施される。
【0041】
次に、
図3を用いて貯湯式給湯機100の追い焚き運転について説明する。
図3は、実施の形態1に係る貯湯式給湯機100の構成図であり、追い焚き運転時の湯水の流れを示す図である。
図3において、追い焚き運転時の湯水の流れを太線で示す。追い焚き運転は、貯湯タンク4内の湯水を利用して、浴槽200内の浴槽水を加熱する運転である。追い焚き運転は、例えば操作部3bにより追い焚き運転の開始指令が行われたときに実行される。
【0042】
追い焚き運転において、制御部60は、タンク循環ポンプ7及び風呂循環ポンプ21を動作させる。また、制御部60は、入水切替弁8を追い焚き戻り配管31とヒートポンプ往き配管33とが連通した経路(b-c経路)、出湯切替弁9を配管35と配管36とが連通した経路(b-c経路)、中温戻し切替弁10を配管36と中温戻し配管39とが連通した経路(a-c経路)に切り替える。これにより、貯湯タンク4の上部から取り出された湯水は、追い焚き往き配管32を通って熱交換器14に流入し、熱交換器14において浴槽水との熱交換が行われる。熱交換器14で熱交換が行われて温度低下した湯水は、追い焚き戻り配管31、入水切替弁8、ヒートポンプ往き配管33、配管35、出湯切替弁9、配管36、中温戻し切替弁10、及び中温戻し配管39を通って、貯湯タンク4内の中間部に流入する。また、浴槽200内の浴槽水は、浴槽戻り配管50を通って熱交換器14に流入し、貯湯タンク4内の湯水との熱交換が行われる。熱交換器14で熱交換が行われて温度上昇した浴槽水は、浴槽往き配管49を通って浴槽200内に流入する。追い焚き運転は、例えば、風呂温度センサ20で検出された浴槽水の温度が、操作部3bにより設定された設定温度に達するまで実施される。
【0043】
ここで、追い焚き運転時に貯湯タンク4内の湯水が循環する追い焚き回路81について説明する。本実施の形態において、追い焚き回路81は、追い焚き往き配管32、追い焚き戻り配管31、ヒートポンプ往き配管33の一部、配管35、配管36、及び中温戻し配管39により形成される。追い焚き回路81は、貯湯タンク4内の上部から取り出された湯水が熱交換器14を経由して貯湯タンク4内の中間部に戻るように、貯湯タンク4と熱交換器14とを接続する。タンク循環ポンプ7は、追い焚き回路81に設けられ、貯湯タンク4内の湯水を追い焚き回路81に循環させるポンプとして機能する。なお、本実施の形態において、追い焚き回路81は、熱交換器14を通った湯水が貯湯タンク4内の中間部に戻るように形成されているが、貯湯タンク4内の下部に戻るように形成されていてもよい。
【0044】
次に、追い焚き運転時に浴槽200内の浴槽水が循環する浴槽水循環回路82について説明する。本実施の形態において、浴槽水循環回路82は、浴槽往き配管49及び浴槽戻り配管50により形成される。浴槽水循環回路82は、浴槽200内の浴槽水が熱交換器14を経由して浴槽200内に戻るように、浴槽200と熱交換器14とを接続する。風呂循環ポンプ21は、浴槽水循環回路82に設けられ、浴槽200内の浴槽水を浴槽水循環回路82に循環させるポンプとして機能する。
【0045】
次に、
図4を用いて貯湯式給湯機100の湯張り運転について説明する。
図4は、実施の形態1に係る貯湯式給湯機100の構成図であり、湯張り運転時の湯水の流れを示す図である。
図4において、湯張り運転時の湯水の流れを太線で示す。湯張り運転は、貯湯タンク4内に貯留された湯を利用して、浴槽200内への湯張りを行う運転である。
図4では、貯湯タンク4内の上部の湯水と水源400からの水とを混合して温度調整した湯水を浴槽200内に供給する場合の湯水の流れを示す。湯張り運転は、例えば操作部3bにより湯張り運転の開始指令が行われたときに実行される。
【0046】
湯張り運転において、制御部60は、電磁弁18を開く。これにより、水源400からの低温の水が、第一給水配管44及び第二給水配管45を通って、貯湯タンク4内の下部に流入する。貯湯タンク4内の下部に低温の水が流入すると、貯湯タンク4内の上部から高温の湯水が取り出される。貯湯タンク4内の上部から取り出された湯水は、追い焚き往き配管32及び給湯配管41を通って、風呂混合弁13の湯側入口13aに流入する。また、制御部60は、中温取出切替弁11を、第一給水配管44と配管46とが連通した経路(b-c経路)に切り替える。これにより、水源400からの低温の水は、第一給水配管44及び配管46を通って、風呂混合弁13の水側入口13bに流入する。風呂混合弁13では、貯湯タンク4内の上部から供給された高温の湯水と、水源400から供給された低温水とが混合される。風呂混合弁13で混合されて温度調整された湯水は、混合風呂配管48、浴槽往き配管49、及び浴槽戻り配管50を通って、浴槽200内に流入する。湯張り運転は、例えば、風呂流量センサ19で検出された湯量が、操作部3bにより設定された設定湯量に達した場合に、制御部60が電磁弁18を閉じることで終了する。
【0047】
なお、
図4では、風呂混合弁13において、貯湯タンク4内の上部に貯留された高温の湯水と、水源400から供給された低温の水とを混合しているが、貯湯タンク4内の上部に貯留された高温の湯水と、貯湯タンク4内の中間部に貯留された中温の湯水とを混合するようにしてもよい。この場合、制御部60は、中温取出切替弁11を、中温取出配管42と配管46とが連通した経路(a-c経路)に切り替えればよい。
【0048】
次に、
図5を用いて貯湯式給湯機100の給湯動作について説明する。
図5は、実施の形態1に係る貯湯式給湯機100の構成図であり、給湯動作時の湯水の流れを示す図である。
図5において、給湯動作時の湯水の流れを太線で示す。給湯動作は、貯湯タンク4内に貯留された湯を利用して、シャワー、蛇口等の出湯端末300へ湯を供給する動作である。
図5では、貯湯タンク4内の上部の湯水と水源400からの水とを混合して温度調整した湯水を出湯端末300へ供給する場合の湯水の流れを示す。
【0049】
給湯動作の停止中において、制御部60は、中温取出切替弁11を、第一給水配管44と配管46とが連通した経路(b-c経路)に切り替えた状態にしている。この状態において、出湯端末300が使用者により開状態とされることにより、給湯動作が開始する。
【0050】
出湯端末300が開状態になると、水源400からの低温の水が、第一給水配管44及び第二給水配管45を通って、貯湯タンク4内の下部に流入する。貯湯タンク4内の下部に低温の水が流入すると、貯湯タンク4内の上部から高温の湯水が取り出される。貯湯タンク4内の上部から取り出された湯水は、追い焚き往き配管32及び給湯配管41を通って、給湯混合弁12の湯側入口12aに流入する。また、水源400からの低温の水は、第一給水配管44及び配管46を通って、給湯混合弁12の水側入口12bに流入する。給湯混合弁12では、貯湯タンク4の上部から供給された高温の湯水と、水源400から供給された低温水とが混合される。給湯混合弁12で混合されて温度調整された湯水は、混合給湯配管47を通って、出湯端末300から出湯される。給湯動作は、使用者が出湯端末300を閉状態とすることにより、停止する。
【0051】
なお、
図5では、給湯混合弁12において、貯湯タンク4内の上部に貯留された高温の湯水と、水源400から供給された低温の水とを混合しているが、貯湯タンク4内の上部に貯留された高温の湯水と、貯湯タンク4内の中間部に貯留された中温の湯水とを混合するようにしてもよい。この場合、制御部60は、中温取出切替弁11を、中温取出配管42と配管46とが連通した経路(a-c経路)に切り替えればよい。
【0052】
制御部60は、給湯流量センサ16により混合給湯配管47を流れる湯の流量を検出することにより、給湯動作が実行中であるか否かを検知する。また、制御部60は、給湯動作の実行中において、給湯温度センサ17で検出された給湯温度が、目標温度となるように給湯混合弁12の開度を制御する。
【0053】
ここで、給湯動作時に貯湯タンク4内の上部の湯水が通る給湯管路83について説明する。本実施の形態において、給湯管路83は、追い焚き往き配管32の一部、給湯配管41、及び混合給湯配管47により形成される。給湯管路83は、貯湯タンク4内の上部から取り出された湯水が給湯混合弁12で温度調整されて出湯端末300へ供給されるように、貯湯タンク4と出湯端末300とを接続する。給湯動作においては、貯湯タンク4内の湯水が給湯管路83を通って出湯端末300へ送られる。給湯混合弁12は、給湯管路83に設けられ、湯側入口12aには貯湯タンク4から給湯管路83を通って供給される湯水が流入する。給湯混合弁12の出口12cからは、湯側入口12aから流入した湯水と水側入口12bから流入した湯水とが混合した湯水が出湯端末300へ向けて出る。給湯温度センサ17は、給湯管路83における給湯混合弁12と出湯端末300との間を流れる湯水の温度を検出することで、給湯混合弁12の出口12cから出た湯水の温度を検出する。
【0054】
次に、
図6を用いて貯湯式給湯機100の給湯動作及び追い焚き運転がともに実行中である場合の動作について説明する。
図6は、実施の形態1に係る貯湯式給湯機100の構成図であり、給湯動作及び追い焚き運転がともに実行中である場合の湯水の流れを示す図である。
図6において、給湯動作及び追い焚き運転がともに実行中である場合の湯水の流れを太線で示す。
【0055】
追い焚き運転の実行中において、貯湯タンク4内の上部から取り出された湯水は追い焚き回路81を循環する。また、給湯動作の実行中において、貯湯タンク4内の上部から取り出された湯水は給湯管路83を通って出湯端末300へ供給される。
【0056】
本実施の形態において、追い焚き回路81と給湯管路83とは、一部の配管を共有している。具体的には、追い焚き回路81におけるタンク循環ポンプ7より上流側の部分と、給湯管路83における給湯混合弁12より上流側の部分とは、配管70を共有している。このため、追い焚き運転が実行中であるか否かによって、給湯混合弁12の湯側入口12aに流入する湯水の量が変化する。これは、水源400から第一給水配管44を経由し配管70に至るまでの経路には水流による圧力損失が生じており、水源400側から印加される水圧が同じであっても、流れの絶対量が多くなるほど圧力損失が増大して、配管70の位置での水圧に変化が生じるためである。すなわち、追い焚き運転が停止中の場合には、追い焚き運転が実行中の場合と比べて、給湯混合弁12の湯側入口12aに流入する湯水の量が多い。このため、追い焚き運転が実行中であるか否かに関わらず、給湯動作の停止中における給湯混合弁12の開度を一定とした場合、給湯開始時に設定温度よりも高温の湯が出湯端末300へ供給される恐れがあった。
【0057】
本実施の形態の制御部60は、給湯動作が実行中であり、追い焚き運転が停止中である場合において、給湯温度センサ17により検出された湯水の温度が目標温度になったときの給湯混合弁12の開度を第一の安定開度として記憶し、給湯動作の停止中における給湯混合弁12の開度を、追い焚き運転が停止中である場合には第一の安定開度とする混合弁開度制御を実施する。これにより、給湯動作の開始時において、設定温度よりも高温の湯が出湯端末300へ供給されることを抑制することができる。
【0058】
また、制御部60は、給湯動作が実行中であり、追い焚き運転が実行中である場合において、給湯温度センサ17により検出された湯水の温度が目標温度になったときの給湯混合弁12の開度を第二の安定開度として記憶し、給湯動作の停止中における給湯混合弁12の開度を、追い焚き運転が実行中である場合には第二の安定開度とする混合弁開度制御を実施する。これにより、第一の安定開度のみを用いた制御と比較して、給湯動作の開始時に出湯端末300へ供給される湯水の温度の変動をより抑制することができる。
【0059】
なお、給湯混合弁12の湯側入口12aから流入する湯水の温度と、給湯混合弁12の水側入口12bから流入する湯水の温度と、出湯端末300へ供給する湯水の目標温度とが、第一の安定開度が記憶されるときと第二の安定開度が記憶されるときとで同じ場合には、第一の安定開度は第二の安定開度よりも小さい値となる。すなわち、第一の安定開度のときの湯側入口12aから流入する湯水の混合比は、第二の安定開度のときの湯側入口12aから流入する湯水の混合比よりも小さくなる。ただし、給湯混合弁12の湯側入口12aから流入する湯水の温度と、給湯混合弁12の水側入口12bから流入する湯水の温度と、出湯端末300へ供給する湯水の目標温度とが、第一の安定開度が記憶されるときと第二の安定開度が記憶されるときとで異なる場合には、第一の安定開度と第二の安定開度の大小関係は逆になることもある。
【0060】
制御部60は、混合弁開度制御を実施するための構成として、混合弁開度変更手段60a及び安定開度記憶手段60bを備える。
【0061】
混合弁開度変更手段60aは、追い焚き運転が実行中であるか否かに応じて、給湯動作の停止中の給湯混合弁12の開度を変更する。具体的には、混合弁開度変更手段60aは、給湯動作の停止中において追い焚き運転が停止中である場合には、給湯混合弁12の開度を第一の安定開度とする。また、混合弁開度変更手段60aは、給湯動作の停止中において追い焚き運転が実行中である場合には、給湯混合弁12の開度を第二の安定開度とする。第一の安定開度及び第二の安定開度は、後述する安定開度記憶手段60bにより記憶されている。
【0062】
安定開度記憶手段60bは、給湯動作の実行中において、給湯温度センサ17により検出された湯水の温度が目標温度になったときの給湯混合弁12の開度を記憶する。具体的には、安定開度記憶手段60bは、給湯温度センサ17により検出された湯水の温度と目標温度との差が予め設定されている閾値以下となった場合に、給湯温度センサ17により検出された湯水の温度が目標温度になったと判定して、給湯混合弁12の開度を記憶する。目標温度としては、例えば要求温度を用いる。要求温度とは、操作部3bにより設定された設定温度に放熱を考慮したマージンを加えた温度である。
【0063】
安定開度記憶手段60bは、給湯動作が実行中であり、追い焚き運転が停止中である場合において、給湯温度センサ17により検出された湯水の温度が目標温度になったときの給湯混合弁12の開度を第一の安定開度として記憶する。また、安定開度記憶手段60bは、給湯動作が実行中であり、追い焚き運転が実行中である場合において、給湯温度センサ17により検出された湯水の温度が目標温度になったときの給湯混合弁12の開度を第二の安定開度として記憶する。
【0064】
制御部60は、例えば、演算部であるプロセッサと、記憶部であるメモリとを備える。混合弁開度変更手段60aの機能は、プロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。また、安定開度記憶手段60bの機能は、メモリに貯湯式給湯機100の運転に関する情報が記憶されることにより実現される。
【0065】
次に、
図7を用いて貯湯式給湯機100の制御動作について説明する。
図7は、実施の形態1に係る貯湯式給湯機100の制御動作を示すフローチャートである。
図7は、混合弁開度変更手段60aが実行する制御動作である。
図7に示す制御は、貯湯式給湯機100の電源が入ったときに開始する。
【0066】
ステップS1において、混合弁開度変更手段60aは、給湯動作が停止中であるか否かを判定する。混合弁開度変更手段60aは、給湯流量センサ16により給湯動作が実行中であることを検知している場合には給湯動作が実行中であると判定し、給湯流量センサ16により給湯動作が停止中であることを検知している場合には給湯動作が停止中であると判定する。混合弁開度変更手段60aは、給湯動作が停止中であると判定すると、ステップS2に進む。
【0067】
ステップS2において、混合弁開度変更手段60aは、追い焚き運転が停止中であるか否かを判定する。混合弁開度変更手段60aは、追い焚き運転が停止中であると判定すると、ステップS3に進む。
【0068】
ステップS3において、混合弁開度変更手段60aは、安定開度記憶手段60bに第一の安定開度が記憶されているか否かを判定する。混合弁開度変更手段60aは、安定開度記憶手段60bに第一の安定開度が記憶されていると判定すると、ステップS4に進む。
【0069】
ステップS4において、混合弁開度変更手段60aは、給湯混合弁12の開度を第一の安定開度に変更する。
【0070】
ステップS3において、混合弁開度変更手段60aは、安定開度記憶手段60bに第一の安定開度が記憶されていないと判定すると、ステップS5に進む。
【0071】
ステップS5において、混合弁開度変更手段60aは、給湯混合弁12の開度を式(1)演算開度に変更する。式(1)演算開度とは、下記式(1)で演算することによって得られる開度である。
{850/(TH-Tw)}×{|要求温度-Tw|}・・・式(1)
【0072】
式(1)において、THは、給湯混合弁12の湯側入口12aから流入する湯水の温度であり、第1の貯湯温度センサ5aにより検出された貯湯タンク4の上部の湯水の温度である。Twは、給湯混合弁12の水側入口12bから流入する湯水の温度であり、給水温度センサ15又は第4の貯湯温度センサ5dで検出された湯水の温度である。要求温度は、操作部3bにより設定された設定温度に放熱を考慮したマージンを加えた温度であり、給湯温度の目標温度である。定数「850」は、給湯混合弁12が備えるステッピングモータの回転位置に対応した数値である。本実施の形態の給湯混合弁12が備えるステッピングモータは、0~1050の間で回転位置を変更可能なものである。回転位置が0のときに水側入口12bから流入する湯水の混合比が100%となり、回転位置が1050のときに湯側入口12aから流入する湯水の混合比が100%となるようになっている。すなわち、式(1)演算開度が大きいほど、湯側入口12aから流入する湯水の混合比が大きくなるようになっている。
【0073】
なお、式(1)において、定数として「850」を用いているが、「850」以外の数値を用いてもよい。また、THとして、第1の貯湯温度センサ5aにより検出された温度を用いているが、給湯混合弁12の湯側入口12aから流入する湯水の温度を用いればよく、第1の貯湯温度センサ5aとは別のセンサにより検出された温度を用いてもよい。また、Twとして、給水温度センサ15又は第4の貯湯温度センサ5dにより検出された温度を用いているが、給湯混合弁12の水側入口12bから流入する湯水の温度を用いればよく、給水温度センサ15又は第4の貯湯温度センサ5dとは別のセンサにより検出された温度を用いてもよい。また、式(1)を用いて開度を演算しているが、湯側入口12aから流入する湯水の温度と、水側入口12bから流入する湯水の温度と、給湯温度の目標温度とを用いて演算すればよく、具体的な演算式は式(1)には限られない。
【0074】
ステップS2において、混合弁開度変更手段60aは、追い焚き運転が実行中であると判定すると、ステップS6に進む。
【0075】
ステップS6において、混合弁開度変更手段60aは、安定開度記憶手段60bに第二の安定開度が記憶されているか否かを判定する。混合弁開度変更手段60aは、安定開度記憶手段60bに第二の安定開度が記憶されていると判定すると、ステップS7に進む。
【0076】
ステップS7において、混合弁開度変更手段60aは、給湯混合弁12の開度を第二の安定開度に変更する。
【0077】
ステップS6において、混合弁開度変更手段60aは、安定開度記憶手段60bに第二の安定開度が記憶されていないと判定すると、ステップS8に進む。
【0078】
ステップS8において、混合弁開度変更手段60aは、給湯混合弁12の開度を式(1)演算開度に変更する。
【0079】
ステップS1において、混合弁開度変更手段60aが、給湯動作が実行中であると判定すると、ステップS11に進む。また、ステップS4、ステップS5、ステップS7、及びステップS8の処理の終了後も、ステップS11に進む。
【0080】
ステップS11において、混合弁開度変更手段60aは、給湯動作が開始したか否かを判定する。混合弁開度変更手段60aは、給湯流量センサ16により給湯動作が開始したことを検知した場合には給湯動作が開始したと判定する。また、混合弁開度変更手段60aは、給湯流量センサ16により給湯動作が停止中であることを検知している場合、又はステップS11において既に給湯動作が開始したと判定しており給湯動作が既に実行中である場合には、給湯動作が開始していないと判定する。混合弁開度変更手段60aは、給湯動作が開始したと判定すると、ステップS12に進む。
【0081】
ステップS12において、混合弁開度変更手段60aは、追い焚き運転が停止中であるか否かを判定する。混合弁開度変更手段60aは、追い焚き運転が停止中であると判定すると、ステップS13に進む。
【0082】
ステップS13において、混合弁開度変更手段60aは、安定開度記憶手段60bに第一の安定開度が記憶されているか否かを判定する。混合弁開度変更手段60aは、安定開度記憶手段60bに第一の安定開度が記憶されていると判定すると、ステップS14に進む。
【0083】
ステップS14において、混合弁開度変更手段60aは、給湯動作開始時の給湯混合弁12の開度を第一の安定開度とする。そして、給湯動作の開始後は、給湯動作が実行中で追い焚き運転が停止中の状態であるため、安定開度記憶手段60bにより、給湯温度センサ17により検出された湯水の温度が目標温度になったときの給湯混合弁12の開度が第一の安定開度として記憶される。
【0084】
ステップS13において、混合弁開度変更手段60aは、安定開度記憶手段60bに第一の安定開度が記憶されていないと判定すると、ステップS15に進む。
【0085】
ステップS15において、混合弁開度変更手段60aは、給湯動作開始時の給湯混合弁12の開度を現在の開度で維持する。そして、給湯動作の開始後は、給湯動作が実行中で追い焚き運転が停止中の状態であるため、安定開度記憶手段60bにより、給湯温度センサ17により検出された湯水の温度が目標温度になったときの給湯混合弁12の開度が第一の安定開度として記憶される。
【0086】
ステップS12において、混合弁開度変更手段60aは、追い焚き運転が実行中であると判定すると、ステップS16に進む。
【0087】
ステップS16において、混合弁開度変更手段60aは、安定開度記憶手段60bに第二の安定開度が記憶されているか否かを判定する。混合弁開度変更手段60aは、安定開度記憶手段60bに第二の安定開度が記憶されていると判定すると、ステップS17に進む。
【0088】
ステップS17において、混合弁開度変更手段60aは、給湯動作開始時の給湯混合弁12の開度を第二の安定開度とする。そして、給湯動作の開始後は、給湯動作及び追い焚き運転がともに実行中の状態であるため、安定開度記憶手段60bにより、給湯温度センサ17により検出された湯水の温度が目標温度になったときの給湯混合弁12の開度が第二の安定開度として記憶される。
【0089】
ステップS16において、混合弁開度変更手段60aは、安定開度記憶手段60bに第二の安定開度が記憶されていないと判定すると、ステップS18に進む。
【0090】
ステップS18において、混合弁開度変更手段60aは、給湯動作開始時の給湯混合弁12の開度を現在の開度で維持する。そして、給湯動作の開始後は、給湯動作及び追い焚き運転がともに実行中の状態であるため、安定開度記憶手段60bにより、給湯温度センサ17により検出された湯水の温度が目標温度になったときの給湯混合弁12の開度が第二の安定開度として記憶される。
【0091】
ステップS11において、混合弁開度変更手段60aが、給湯動作が開始していないと判定すると、「END」に進む。また、ステップS14、ステップS15、ステップS17、及びステップS18の処理の終了後も、「END」に進む。「END」に進むと、「START」に戻り、
図7のフローチャートで示す動作が繰り返される。
【0092】
実施の形態1の貯湯式給湯機100によれば、制御部60は、給湯動作が実行中であり、追い焚き運転が停止中である場合において、給湯温度センサ17により検出された湯水の温度が目標温度になったときの給湯混合弁12の開度を第一の安定開度として記憶する。そして、制御部60は、給湯動作の停止中における給湯混合弁12の開度を、追い焚き運転が停止中である場合には、第一の安定開度に設定する。これにより、給湯動作の開始時において、使用者が操作部3bで設定した設定温度よりも高温の湯が出湯端末300へ供給されることを抑制することができる。
【0093】
また、実施の形態1の貯湯式給湯機100によれば、制御部60は、給湯動作が実行中であり、追い焚き運転が実行中である場合において、給湯温度センサ17により検出された湯水の温度が目標温度になったときの給湯混合弁12の開度を第二の安定開度として記憶する。そして、制御部60は、給湯動作の停止中における給湯混合弁12の開度を、追い焚き運転が実行中である場合には、第二の安定開度に設定する。これにより、第一の安定開度のみを用いた制御と比較して、給湯動作の開始時に出湯端末300へ供給される湯水の温度の変動をより抑制することができる。
【0094】
また、実施の形態1の貯湯式給湯機100によれば、制御部60は、給湯動作の停止中における給湯混合弁12の開度を、追い焚き運転が実行中であるか否かに応じて変更するため、給湯動作が開始してから給湯混合弁12の開度を変更する場合と比較して、出湯端末300へ供給される湯水の温度が変動する時間を短くすることができる。
【0095】
また、実施の形態1の貯湯式給湯機100によれば、制御部60は、給湯動作の開始時において、追い焚き運転が停止中である場合には、給湯混合弁12の開度を第一の安定開度に設定する。また、制御部60は、給湯動作の開始時において、追い焚き運転が実行中である場合には、給湯混合弁12の開度を第二の安定開度に設定する。これにより、給湯動作の開始時に追い焚き運転が実行中であるか否かに応じて給湯混合弁12の開度を変更しない場合と比較して、給湯動作の開始後、短時間で目標温度の湯水を出湯端末300へ供給することができる。
【0096】
なお、実施の形態1の貯湯式給湯機100において、制御部60は、給湯動作の停止中において給湯温度センサ17により検出された湯水の温度が予め設定された設定温度を超えた場合、給湯混合弁12の開度を、第一の安定開度と第二の安定開度のうち、湯側入口12aから流入する湯水の混合比が小さい方の開度に変更するようにしてもよい。これにより、次回の給湯動作の開始時において、設定温度よりも高温の湯水が出湯端末300へ供給されることを抑制することができる。
【0097】
また、制御部60は、給湯動作の停止中において給湯温度センサ17により検出された温度が予め設定された設定温度を超えたとき、このときの給湯混合弁12の開度の情報を消去するようにしてもよい。具体的には、給湯動作の停止中において給湯温度センサ17により検出された湯水の温度が設定温度を超えたときの給湯混合弁12の開度が第一の安定開度である場合には第一の安定開度の情報を消去し、給湯動作の停止中において給湯温度センサ17により検出された湯水の温度が設定温度を超えたときの給湯混合弁12の開度が第二の安定開度である場合には第二の安定開度の情報を消去するようにしてもよい。これにより、給湯動作の停止中において、給湯温度センサ17により検出された温度が再度設定温度を超えることを抑制することができる。
【0098】
また、制御部60は、追い焚き運転に関連した部品に故障が発生した場合、安定開度記憶手段60bに記憶された第二の安定開度の情報を消去するようにしてもよい。これにより、追い焚き運転中に安定開度記憶手段60bが記憶した第二の安定温度が適切でない場合に、混合弁開度変更手段60aが第二の安定開度を用いて制御を行うことを防止することができる。具体的には、制御部60は、タンク循環ポンプ7又は風呂循環ポンプ21の故障を検知した場合、安定開度記憶手段60bに記憶された第二の安定開度の情報を消去するようにしてもよい。制御部60は、例えば、タンク循環ポンプ7又は風呂循環ポンプ21に指令した目標回転数に対して、フィードバックされる回転数が目標回転数に到達しない場合に、タンク循環ポンプ7又は風呂循環ポンプ21が故障したことを検知する。また、制御部60は、追い焚き回路81に設けられ、流路を切り替える切替弁の故障を検知した場合に、安定開度記憶手段60bに記憶された第二の安定開度の情報を消去するようにしてもよい。追い焚き回路81に設けられた切替弁とは、本実施の形態では、入水切替弁8、出湯切替弁9、及び中温戻し切替弁10である。制御部60は、例えば切替弁に指令した目標開度に対して、フィードバックされる開度が目標開度と異なっている場合に、切替弁が故障したことを検知する。
【0099】
また、実施の形態1の貯湯式給湯機100は、混合弁開度変更手段60a及び安定開度記憶手段60bによって実現される混合弁開度制御を実施するか否かを切替可能な切替手段を備えていてもよい。切替手段は、例えば制御部60が備える。使用者がリモコン装置3の操作部3bを操作することで、混合弁開度制御を実施するか否かを切り替えることができる。これにより、追い焚き回路と給湯回路とがそれぞれ独立した配管構成となっている貯湯式給湯機においては混合弁開度制御を実施しないように切り替えることで、混合弁開度制御により消費する電力を削減することができる。
【0100】
また、実施の形態1の貯湯式給湯機100において、制御部60は、第一の安定開度と第二の安定開度とを記憶し、第一の安定開度と第二の安定開度とを用いて給湯混合弁12の開度を制御していたが、第二の安定開度を記憶せず、第一の安定開度のみを用いて制御するようにしてもよい。この場合であっても、制御部60は、第一の安定開度を記憶し、給湯動作の停止中における給湯混合弁12の開度を、追い焚き運転が停止中である場合には第一の安定開度とすることで、給湯動作の開始時において、設定温度よりも高温の湯が出湯端末300へ供給されることを抑制することができる。具体的には、制御部60は、給湯動作の停止中における給湯混合弁12の開度を、追い焚き運転が停止中である場合には第一の安定開度とし、追い焚き運転が実行中である場合には、式(1)演算開度のように、給湯混合弁12の湯側入口12aから流入する湯水の温度と、給湯混合弁12の水側入口12bから流入する湯水の温度と、給湯温度の目標温度とから求められた開度とするようにしてもよい。本実施の形態において、湯側入口12aから流入する湯水の温度は、第1の貯湯温度センサ5aにより検出される。第1の貯湯温度センサ5aは、湯側入口12aから流入する湯水の温度を検出する湯側温度センサの一例である。また、本実施の形態において、水側入口12bから流入する湯水の温度は、給水温度センサ15又は第4の貯湯温度センサ5dにより検出される。給水温度センサ15又は第4の貯湯温度センサ5dは、水側入口12bから流入する湯水の温度を検出する水側温度センサの一例である。
【0101】
実施の形態2.
実施の形態1の貯湯式給湯機100は、追い焚き運転が実行中であるか否かに応じて給湯動作の停止中の給湯混合弁12の開度を変更する混合弁開度制御を実施することで、給湯動作の開始時において、設定温度よりも高温の湯が出湯端末300へ供給されることを抑制していた。一方、実施の形態2の貯湯式給湯機100は、給湯動作が実行中であるか否かに応じて追い焚き運転の開始時及び終了時のタンク循環ポンプ7の回転数の制御方法を変更するポンプ回転数制御を実施することで、給湯動作の実行中において、設定温度よりも高温の湯が出湯端末300へ供給されることを抑制する。
【0102】
実施の形態2の貯湯式給湯機100の構成について、
図8を用いて説明する。
図8は、実施の形態2に係る貯湯式給湯機100の構成図である。なお、
図8で実施の形態1と同一部分または相当部分は、同一符号を付し説明を省略する。
【0103】
図8に示すように、制御部60は、ポンプ回転数制御手段60cを備える。制御部60が、混合弁開度変更手段60a及び安定開度記憶手段60bではなく、ポンプ回転数制御手段60cを備えていること以外の構成については実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0104】
ポンプ回転数制御手段60cは、給湯動作が実行中であるか否かに応じて、追い焚き運転開始時及び終了時のタンク循環ポンプ7の回転数の制御方法を変更する。具体的には、ポンプ回転数制御手段60cは、給湯動作の実行中に追い焚き運転を終了する場合、給湯動作の停止中に追い焚き運転を終了する場合よりも、タンク循環ポンプ7の回転数の単位時間あたりの減少量を小さくする。また、ポンプ回転数制御手段60cは、給湯動作の実行中に追い焚き運転を開始する場合、給湯動作の停止中に追い焚き運転を開始する場合よりも、タンク循環ポンプ7の回転数の単位時間あたりの増加量を小さくする。
【0105】
次に、
図9を用いて貯湯式給湯機100の制御動作について説明する。
図9は、実施の形態2に係る貯湯式給湯機100の制御動作を示すフローチャートである。
図9は、ポンプ回転数制御手段60cが実行する制御動作である。
【0106】
ステップS21において、ポンプ回転数制御手段60cは、追い焚き運転の開始指令が行われたか否かを判定する。追い焚き運転の開始指令は、例えば操作部3bにより行われる。ポンプ回転数制御手段60cは、追い焚き運転の開始指令が行われたと判定すると、ステップS22に進む。
【0107】
ステップS22において、ポンプ回転数制御手段60cは、給湯動作が実行中であるか否かを判定する。ポンプ回転数制御手段60cは、給湯流量センサ16により給湯動作が実行中であることを検知している場合には給湯動作が実行中であると判定し、給湯流量センサ16により給湯動作が停止中であることを検知している場合には給湯動作が停止中であると判定する。ポンプ回転数制御手段60cは、給湯動作が実行中であると判定するとステップS23に進み、給湯動作が停止中であると判定するとステップS24に進む。
【0108】
ステップS23において、ポンプ回転数制御手段60cは、タンク循環ポンプ7の回転数を目標回転数に向けて所定回転数ずつ段階的に増加させる。また、ステップS24において、ポンプ回転数制御手段60cは、タンク循環ポンプ7の回転数を目標回転数に向けて急峻に増加させる。すなわち、ポンプ回転数制御手段60cは、給湯動作の実行中に追い焚き運転を開始する場合、給湯動作の停止中に追い焚き運転を開始する場合よりも、タンク循環ポンプ7の回転数の単位時間あたりの増加量が小さくなるように制御する。
【0109】
ステップS21において、ポンプ回転数制御手段60cは、追い焚き運転の開始指令が行われていないと判定すると、ステップS31に進む。また、ステップS23及びステップS24の処理の終了後も、ステップS31に進む。
【0110】
ステップS31において、ポンプ回転数制御手段60cは、追い焚き運転の終了指令が行われたか否かを判定する。追い焚き運転の終了指令は、風呂温度センサ20により検出された浴槽水の温度が目標温度に達したときに、制御部60により行われる。追い焚き運転の終了指令は、操作部3bにより使用者によって行われてもよい。ポンプ回転数制御手段60cは、追い焚き運転の終了指令が行われたと判定すると、ステップS32に進む。
【0111】
ステップS32において、ポンプ回転数制御手段60cは、給湯動作が実行中であるか否かを判定する。ポンプ回転数制御手段60cは、給湯動作が実行中であると判定するとステップS33に進み、給湯動作が停止中であると判定するとステップS34に進む。
【0112】
ステップS33において、ポンプ回転数制御手段60cは、タンク循環ポンプ7の回転数を所定回転数ずつ段階的に減少させて、タンク循環ポンプ7を停止させる。また、ステップS34において、ポンプ回転数制御手段60cは、タンク循環ポンプ7の回転数を急峻に減少させて、タンク循環ポンプ7を停止させる。すなわち、ポンプ回転数制御手段60cは、給湯動作の実行中に追い焚き運転を終了する場合、給湯動作の停止中に追い焚き運転を終了する場合よりも、タンク循環ポンプ7の回転数の単位時間あたりの減少量が小さくなるように制御する。
【0113】
ステップS31において、ポンプ回転数制御手段60cは、追い焚き運転の終了指令が行われていないと判定すると、「END」に進む。また、ステップS33及びステップS34の処理の終了後も、「END」に進む。「END」に進むと、「START」に戻り、
図9のフローチャートで示す動作が繰り返される。
【0114】
実施の形態2の貯湯式給湯機100は、実施の形態1の貯湯式給湯機100と同様、追い焚き回路81と給湯管路83とは、一部の配管を共有している。このため、給湯動作の実行中に追い焚き運転を終了すると、給湯混合弁12の湯側入口12aに流入する湯水の量が増加し、設定温度よりも高温の湯が出湯端末300へ供給される恐れがある。
【0115】
実施の形態2の貯湯式給湯機100によれば、制御部60は、給湯動作の実行中に追い焚き運転を終了する場合、給湯動作の停止中に追い焚き運転を終了する場合よりも、タンク循環ポンプ7の回転数の単位時間あたりの減少量を小さくするポンプ回転数制御を実施する。また、制御部60は、給湯動作の実行中において、給湯温度センサ17により検出された湯水の温度が目標温度になるように給湯混合弁12の開度を制御している。このため、給湯動作の実行中において、出湯端末300へ供給される湯水の温度の変動を抑制することができ、使用者が操作部3bで設定した設定温度よりも高温の湯が出湯端末300へ供給されることを抑制することができる。
【0116】
また、実施の形態2の貯湯式給湯機100によれば、制御部60は、給湯動作の実行中に追い焚き運転を開始する場合、給湯動作の停止中に追い焚き運転を開始する場合よりも、タンク循環ポンプ7の回転数の単位時間あたりの増加量を小さくするポンプ回転数制御を実施する。これにより、給湯動作の実行中において、出湯端末300へ供給される湯水の温度の変動を抑制することができる。
【0117】
また、実施の形態2の貯湯式給湯機100によれば、制御部60は、給湯動作の停止中に追い焚き運転を終了する場合には、給湯動作の実行中に追い焚き運転を終了する場合よりも、タンク循環ポンプ7の回転数の単位時間あたりの減少量を大きくしている。これにより、給湯動作の停止中に追い焚き運転を終了する場合には、給湯動作の実行中に追い焚き運転を終了する場合と比較して、タンク循環ポンプ7の動作時間を減らすことができ、追い焚き運転の時間を短くすることができる。
【0118】
また、実施の形態2の貯湯式給湯機100によれば、制御部60は、給湯動作の停止中に追い焚き運転を開始する場合、給湯動作の実行中に追い焚き運転を開始する場合よりも、タンク循環ポンプ7の回転数の単位時間あたりの増加量を大きくしている。これにより、給湯動作の停止中に追い焚き運転を開始する場合には、給湯動作の実行中に追い焚き運転を開始する場合と比較して、短時間で追い焚き能力を上げることができ、追い焚き運転の時間を短くすることができる。
【0119】
なお、実施の形態2の貯湯式給湯機100において、制御部60は、上述したポンプ回転数制御の実施中において、給湯動作が停止した場合、ポンプ回転数制御の実施を終了するようにしてもよい。すなわち、制御部60は、ステップS23の処理の実行中に給湯動作が停止した場合、タンク循環ポンプ7の回転数の単位時間あたりの増加量をステップS24の処理と同じとしてもよい。また、制御部60は、ステップS33の処理の実行中に給湯動作が停止した場合、タンク循環ポンプ7の回転数の単位時間あたりの減少量をステップS34の処理と同じとしてもよい。これにより、ポンプ回転数制御の実施が不要になった場合には、ポンプ回転数制御の実施を終了することで、追い焚き運転の時間を短くすることができる。
【0120】
また、制御部60は、ポンプ回転数制御の実施中において、追い焚き運転の動作時間が長くなる旨の表示をリモコン装置3の表示部3aに行わせるようにしてもよい。これにより、使用者は、追い焚き運転の動作時間が長くなることを知ることができる。制御部60は、例えば、以下のガイダンスを表示部3aに行わせる。
「追い焚き中に給湯が実施されたため、追い焚き時間が増加する可能性があります」
【0121】
また、実施の形態2の貯湯式給湯機100は、ポンプ回転数制御手段60cによって実現されるポンプ回転数制御を実施するか否かを切替可能な切替手段を備えていてもよい。切替手段は、例えば制御部60が備える。使用者がリモコン装置3の操作部3bを操作することで、ポンプ回転数制御を実施するか否かを切り替えることができる。これにより、追い焚き回路と給湯回路とがそれぞれ独立した配管構成となっている貯湯式給湯機においてはポンプ回転数制御を実施しないように切り替えることで、ポンプ回転数制御により消費する電力を削減することができる。
【0122】
また、実施の形態2では、ステップS23において、ポンプ回転数制御手段60cは、タンク循環ポンプ7の回転数を段階的に増加させているが、段階的ではなく直線的に増加させてもよい。この場合であっても、ポンプ回転数制御手段60cは、ステップS24のように給湯動作の停止中に追い焚き運転を開始する場合と比較して、タンク循環ポンプ7の回転数の単位時間あたりの増加量が小さくなるように制御すればよい。
【0123】
また、実施の形態2では、ステップS33において、ポンプ回転数制御手段60cは、タンク循環ポンプ7の回転数を段階的に減少させているが、段階的ではなく直線的に減少させてもよい。この場合であっても、ポンプ回転数制御手段60cは、ステップS34のように給湯動作の停止中に追い焚き運転を終了する場合と比較して、タンク循環ポンプ7の回転数の単位時間あたりの減少量が小さくなるように制御すればよい。
【0124】
また、実施の形態2の貯湯式給湯機100では、制御部60は、追い焚き運転の開始時及び終了時のタンク循環ポンプ7の回転数の制御方法を、給湯動作が実行中であるか否かに応じて変更していたが、追い焚き運転の開始時の制御方法は給湯動作が実行中であるか否かに応じて変更せず、追い焚き運転の終了時の制御方法のみを給湯動作が実行中であるか否かに応じて変更するようにしてもよい。この場合であっても、制御部60は、給湯動作の実行中に追い焚き運転を終了する場合、給湯動作の停止中に追い焚き運転を終了する場合よりも、タンク循環ポンプ7の回転数の単位時間あたりの減少量を小さくすることにより、給湯動作の実行中において、設定温度よりも高温の湯が出湯端末300へ供給されることを抑制することができる。
【0125】
また、実施の形態1の混合弁開度制御と、実施の形態2のポンプ回転数制御の両方を実施可能に構成してもよい。すなわち、制御部60は、混合弁開度変更手段60a、安定開度記憶手段60b、及びポンプ回転数制御手段60cを備えたものであってもよい。これにより、給湯動作の開始時と給湯動作の実行中の両方において、設定温度よりも高温の湯が出湯端末300へ供給されることを抑制することができる。
【0126】
また、実施の形態1及び2では、給湯動作が実行中であるか否かを検知する給湯検知手段として給湯流量センサ16を備えていたが、別の方法で給湯動作が実行中であるか否かを検知してもよい。例えば、給湯検知手段として、出湯端末300の栓の開閉を検出するセンサを備え、このセンサにより給湯動作が実行中であるか否かを検知してもよい。また、制御部60が出湯端末300の栓の開閉を制御できる構成である場合、制御部60で給湯動作が実行中であるか否かを判断できるため、給湯流量センサ16のような給湯検知手段を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1 ヒートポンプユニット、2 貯湯ユニット、3 リモコン装置、3a 表示部、3b 操作部、4 貯湯タンク、5a 第1の貯湯温度センサ、5b 第2の貯湯温度センサ、5c 第3の貯湯温度センサ、5d 第4の貯湯温度センサ、5e 第5の貯湯温度センサ、5f 第6の貯湯温度センサ、5g 第7の貯湯温度センサ、6 沸上温度センサ、7 タンク循環ポンプ、8 入水切替弁、9 出湯切替弁、10 中温戻し切替弁、11 中温取出切替弁、12 給湯混合弁、12a 湯側入口、12b 水側入口、12c 出口、13 風呂混合弁、13a 湯側入口、13b 水側入口、13c 出口、14 熱交換器、15 給水温度センサ、16 給湯流量センサ、17 給湯温度センサ、18 電磁弁、19 風呂流量センサ、20 風呂温度センサ、21 風呂循環ポンプ、30 配管、31 追い焚き戻り配管、32 追い焚き往き配管、33 ヒートポンプ往き配管、34 ヒートポンプ戻り配管、35 配管、36 配管、37 配管、38 配管、39 中温戻し配管、40 配管、41 給湯配管、42 中温取出配管、43 風呂熱回収配管、44 第一給水配管、45 第二給水配管、46 配管、47 混合給湯配管、48 混合風呂配管、49 浴槽往き配管、50 浴槽戻り配管、60 制御部、60a 混合弁開度変更手段、60b 安定開度記憶手段、60c ポンプ回転数制御手段、70 配管、81 追い焚き回路、82 浴槽水循環回路、83 給湯管路、100 貯湯式給湯機、200 浴槽、300 出湯端末、400 水源。