(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20231212BHJP
【FI】
H01L33/58
(21)【出願番号】P 2020155017
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】林 貴文
(72)【発明者】
【氏名】下西 正太
(72)【発明者】
【氏名】川岡 あや
(72)【発明者】
【氏名】立花 和也
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/186693(WO,A1)
【文献】特開2016-006832(JP,A)
【文献】特開2008-270707(JP,A)
【文献】特表2013-506251(JP,A)
【文献】特開2014-115506(JP,A)
【文献】国際公開第2020/075789(WO,A1)
【文献】特開2019-029645(JP,A)
【文献】国際公開第2018/100775(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/105162(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0303359(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0066720(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
F21S 2/00-45/70
F21V 8/00
F21K 9/00-9/90
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
レンズと、
前記基板に実装され、発光波長が260nm以上320nm以下である発光素子と、
前記基板と前記レンズとを接着する接着剤層と、
を有する発光装置において、
前記レンズは前記発光素子を収容する凹部と、前記接着剤層を介して前記基板と接着される平坦面と、を有し、
前記凹部は内側面を有し、
前記レンズの前記内側面は前記基板に近づくにつれて広がっており、
前記レンズの前記内側面と前記基板の板面とがなす角の角度が60°以上75°以下であり、
前記基板は、前記内側面と前記平坦面の成す角部よりも
前記発光素子側であってその角部近傍の領域に溝を有し、
前記基板のうち前記溝よりも外側の領域と、前記レンズの前記平坦面とが接着されてい
て、
前記接着剤層は、
フィレットを有し、
前記フィレットは、
前記基板の表面のうち前記溝よりも外側の領域の所定位置から前記レンズの前記内側面にかけて形成されている、発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記接着剤層の内周端が前記溝よりも外側の領域にある、ことを含む発光装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の発光装置において、
前記接着剤層は、前記溝の位置で表面張力により停止した形状である、ことを含む発光装置。
【請求項4】
請求項1
から請求項3までのいずれか1項に記載の発光装置において、
前記凹部は天井面を有し、
前記レンズの前記天井面と前記発光素子との間の距離が
50μm以上250μm以下であること
を含む発光装置。
【請求項5】
請求項
1から請求項4までのいずれか1項に記載の発光装置において、
前記フィレットは、前記基板の表面のうち前記溝の外周端から前記レンズの前記内側面にかけて形成されている、ことを含む発光装置。
【請求項6】
請求項
1から請求項5までのいずれか1項に記載の発光装置において、
前記フィレットは、
円環形状に形成されていること
を含む発光装置。
【請求項7】
請求項
1から請求項5までのいずれか1項に記載の発光装置において、
前記フィレットは、
多角形の環状に形成されていること
を含む発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、発光素子を有する発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置には、半導体発光素子を基板に実装したものが多く存在する。このような発光装置では一般に、半導体発光素子から発せられる光を基板の反対側に取り出す。そして、紫外発光する発光装置に対して、光取り出し面側に石英等からなるレンズ体を配置する発光装置が研究開発されてきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、実装基板16に光学素子14を実装し、透明封止部材10により封止する技術が開示されている。実装基板16には光学素子14を収容する凹部22が形成されている。透明封止部材10は、レンズ体28を有する(特許文献1の請求項3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レンズ体等と実装基板とで囲まれる領域内に発光素子を封止する場合には、レンズ体または実装基板の延長上の側壁が紫外光を出射させる光軸に対して鈍角側に屈折させることがある。
【0006】
このようにレンズ体等または基板の側壁が紫外光を光軸側でない方向に屈折させてしまうと発光装置の光出力が低下する。
【0007】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、発光素子を収容する部材の側壁において光取り出し側の反対側に向かう光の屈折を抑制する発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様における発光装置は、基板と、レンズと、基板に実装され、発光波長が260nm以上320nm以下である発光素子と、基板とレンズとを接着する接着剤層と、を有する発光装置において、レンズは発光素子を収容する凹部と、接着剤層を介して基板と接着される平坦面と、を有し、凹部は内側面を有し、レンズの内側面は基板に近づくにつれて広がっており、レンズの内側面と基板の板面とがなす角の角度が60°以上75°以下であり、基板は、内側面と平坦面の成す角部よりも発光素子側であってその角部近傍の領域に溝を有し、基板のうち溝よりも外側の領域と、レンズの平坦面とが接着されていて、接着剤層は、フィレットを有し、フィレットは、基板の表面のうち溝よりも外側の領域の所定位置からレンズの内側面にかけて形成されている。
【0009】
この発光装置においては、光軸に対して比較的大きな角度方向に進行する光の成分が減少し、光軸に対して比較的小さな角度方向に進行する光の成分が増加する。その結果、この発光装置の光出力は大きい。
【発明の効果】
【0010】
本明細書では、発光素子を収容する部材の側壁において光取り出し側の反対側に向かう光の屈折を抑制する発光装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態の発光装置100の概略構成図である。
【
図2】第1の実施形態の発光装置100のレンズ130を示す断面図である。
【
図3】第1の実施形態の発光装置100のレンズ130を示す平面図である。
【
図4】第1の実施形態の発光装置100における発光素子120の上面121とレンズ130の天井面134との間の距離を示す図である。
【
図5】第1の実施形態の発光装置100の接着面の周辺を示す拡大図である。
【
図6】第1の実施形態の発光装置100のキャビティ150の形状および発光素子120の配置を示す平面図である。
【
図7】第1の実施形態の変形例における発光装置200のキャビティ250の形状および発光素子120の配置を示す平面図(その1)である。
【
図8】第1の実施形態の変形例における発光装置300のキャビティ350の形状および発光素子120の配置を示す平面図(その2)である。
【
図9】実験に用いたレンズのサイズを示す図である。
【
図10】上面長W1と底面長W2とを変えた場合の光の放射強度の出射角度依存性を示すグラフである。
【
図11】発光素子の上面とレンズの天井面との間の距離と出射角度20°以内の光出力との間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態について、発光装置を例に挙げて図を参照しつつ説明する。しかし、本明細書の技術はこれらの実施形態に限定されるものではない。実施形態とは異なる構造を有していても構わない。そして、それぞれの図における各層の厚みの比は、概念的に示したものであり、実際の厚みの比を示しているわけではない。
【0013】
(第1の実施形態)
1.発光装置
図1は、第1の実施形態の発光装置100の概略構成図である。
図1に示すように、発光装置100は、基板110と、発光素子120と、レンズ130と、接着剤層140と、キャビティ150と、を有する。
【0014】
基板110は、発光素子120を実装するための基板である。発光素子120は、紫外光を発する半導体発光素子である。発光素子120の発光波長は、例えば、260nm以上320nm以下である。発光素子120は基板110に実装されている。レンズ130は、発光素子120からの光を外部に好適に取り出すための光学部品である。レンズ130は、例えば、ガラスである。接着剤層140は、基板110とレンズ130とを接着する。キャビティ150は、基板110とレンズ130と接着剤層140とにより囲まれた閉空間である。
【0015】
キャビティ150には、気体が存在する。気体は、例えば、大気である。発光素子120は紫外光を発する。一般に、樹脂は紫外線により結合を断ち切られ、劣化する。このため、キャビティ150は樹脂で封止されていない。このように、キャビティ150には気体が充填されている。
【0016】
2.レンズ
図2は、第1の実施形態の発光装置100のレンズ130を示す断面図である。
図2に示すように、レンズ130は、凸面131と平坦面132と内側面133と天井面134と基部135とを有する。レンズ130は、凹部U1を有する。凹部U1は、内側面133と天井面134とを有する。キャビティ150は、レンズ130の凹部U1と基板110とで囲まれている。
【0017】
凸面131は発光装置100の外部に面する面である。凸面131は回転放物面を有する。また、発光装置100は、凸面131から紫外光を発する(
図1の矢印L1参照)。
【0018】
平坦面132は基板110との接着面である。このため、発光装置100を製造後には平坦面132は接着剤層140と接触している。
【0019】
内側面133は、天井面134とともにキャビティ150を構成する。内側面133は、レンズ130の開口部である。内側面133は、基板110に向かうにつれて広がっている。内側面133は、基板110の板面S1に垂直な方向に対して15°以上30°以下の範囲内で傾斜している。
【0020】
レンズ130は発光素子120を収容する凹部U1を有する。凹部U1は内側面133と天井面134とを有する。レンズ130の内側面133は基板110に近づくにつれて広がっている。レンズ130の内側面133と基板110の板面S1とがなす角αの角度が60°以上75°以下である。
【0021】
天井面134は、基板110との接着後には基板110および発光素子120と対面する面である。天井面134は、内側面133とともにキャビティ150を構成する。天井面134は、基板110の板面S1と平行な面である。天井面134は、内側面133と交差する面である。
【0022】
基部135は、レンズ130の根本に位置する部分である。基部135は、接着剤層140と接着するための平坦面132を有する。
【0023】
端部B1は、平坦面132と内側面133とが交差する領域である。端部B1は、後述するように、実際には、四角形の環状に存在している。
【0024】
図3は、第1の実施形態の発光装置100のレンズ130を示す平面図である。
図3に示すように、凸面131は、回転放物面であるため、平面視では円形である。基部135は、平面視では正方形である。
【0025】
3.発光素子とレンズとの間の距離
図4は、第1の実施形態の発光装置100における発光素子120の上面121とレンズ130の天井面134との間の距離を示す図である。発光素子120の上面121は、発光素子120における基板110の実装面の反対側の面である。
図4に示すように、発光素子120の上面121とレンズ130の天井面134との間の距離H1は、50μm以上250μm以下である。好ましくは、50μm以上230μm以下である。より好ましくは、50μm以上200μm以下である。
【0026】
発光素子120の上面121とレンズ130の天井面134との間の距離H1は、小さいほどよい。発光素子120の上面121とレンズ130の天井面134との間の距離H1が小さいほど、光出力は大きい。しかし、クリアランスの観点から、発光素子120の上面121とレンズ130の天井面134との間の距離H1は、50μm以上であるとよい。
【0027】
4.フィレット
図5は、第1の実施形態の発光装置100の接着面の周辺を示す拡大図である。基板110は、AlN層111と、表面層112と、溝113とを有する。AlN層111はAlNからなる層である。表面層112は基板110の表面の層である。表面層112はAlN層111の側から順にNi、Pb、Auを積層した層である。溝113は、表面層112からAlN層111の表面まで達する微小な溝である。この溝113は、メタライズ領域の端を示している。つまり、メタライズ領域の端である溝113は、端部B1より内側に位置している。
【0028】
図5に示すように、接着剤層140は、フィレットF1を有する。フィレットF1は、基板110の表面からレンズ130の内側面133にかけて形成されている。フィレットF1は、キャビティ150に対面する領域であってレンズ130の内側面133と基板110の表面110aとに挟まれた位置に形成されている。
【0029】
フィレットF1は、基板110の表面110aからレンズ130の内側面133の一部(下部)にわたって形成されている。
図5に示すように、フィレットF1は、溝113の手前まで形成されている。溝113の箇所で表面張力が働き、フィレットF1は溝113の手前の位置で停止する。溝113を端部B1より内側の位置に配置することにより、フィレットF1の形成領域を決定することができる。
【0030】
フィレットF1を形成するために、フィレットF1の形成予定領域に接着剤を多く供給すればよい。
【0031】
5.キャビティの形状および発光素子の配置
図6は、第1の実施形態の発光装置100のキャビティ150の形状および発光素子120の配置を示す平面図である。
図6は、キャビティ150を基板110の板面S1に射影した場合を示している。キャビティ150の形状を規定する端部B1は、正方形形状である。また、端部B1は、基板110の端面に平行である。発光素子120の端面は、端部B1および基板110の端面に平行である。
【0032】
このとき、フィレットF1は、四角形の環状に形成されている。
【0033】
6.第1の実施形態の効果
6-1.レンズの内側面
第1の実施形態の発光装置100は、レンズ130を有する。レンズ130は内側面133を有する。内側面133は、基板110の板面S1に向かうにつれて広がっている。内側面133は、基板110の板面S1に垂直な方向に対して15°以上30°以下の範囲内で傾斜している。このため、光軸に対して比較的大きな角度方向に進行する光の成分が減少し、光軸に対して比較的小さな角度方向に進行する光の成分が増加する。その結果、この発光装置100の光出力は大きい。
【0034】
6-2.発光素子とレンズとの間の距離
発光装置100においては、発光素子120とレンズ130との間の距離は十分に小さい。このため、発光素子120からみて基板110の反対側の方向に発せられる光出力は向上する。
【0035】
6-3.フィレット
接着剤層140がフィレットF1を有するため、基板110とレンズ130との接着力は高い。このため、平坦面132の面積を狭く設計することができる。
【0036】
7.変形例
7-1.レンズの形状および基板の形状
レンズの基体の形状は多角形形状または円形であってもよい。その場合には、基板の形状は多角形形状または円形であってもよい。
【0037】
7-2.キャビティの形状および発光素子の配置
図7は、第1の実施形態の変形例における発光装置200のキャビティ250の形状および発光素子120の配置を示す平面図(その1)である。
図7は、キャビティ250を基板110の板面S1に射影した場合を示している。キャビティ150の形状を規定する端部B1は、正方形形状である。また、端部B1は、基板110の端面に平行である。発光素子120の端面は、端部B1および基板110の端面に対して45°だけ傾いている。このように、発光素子120の端面は、基板110の端面に対して傾斜していてもよい。
【0038】
このとき、フィレットF1は、四角形の環状に形成されている。また、フィレットF1は、多角形の環状に形成されていてもよい。
【0039】
図8は、第1の実施形態の変形例における発光装置300のキャビティ350の形状および発光素子120の配置を示す平面図(その2)である。
図8は、キャビティ350を基板110の板面S1に射影した場合を示している。キャビティ350の形状を規定する端部B1は、円形である。発光素子120の端面は、基板110の端面に平行である。
【0040】
このとき、フィレットF1は、円環形状に形成されている。
【0041】
7-3.天井面
天井面134は基板110の板面S1に平行な平面である。しかし、天井面134は基板110の板面S1に平行でなくてもよい。また、天井面134は曲面であってもよい。
【0042】
7-4.境界
図2は、凸面131の回転中心を通る断面を示している。
図2に示すように、凸面131の回転中心を通る断面において、内側面133と平坦面132との境界B1は、曲率を有する曲線を有していてもよい。
【0043】
7-5.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
【実施例】
【0044】
1.レンズの製作
図9は、実験に用いたレンズのサイズを示す図である。
図9に示すように、レンズにおける天井面までの高さH2と、天井面長(上面長)W1と、底面長W2と、を変えて発光装置を製作した。
【0045】
レンズにおける天井面までの高さH2を550μmに固定した。このようにしてレンズの内側面が基板の板面に垂直な方向に対してなす角の角度θを変えた発光装置を製作した。そして、レンズの側に石英ガラスを配置した。このとき、レンズは石英ガラスと基板との間に位置している。
【0046】
2.レンズの内側面の角度と光出力
表1は、上面長W1と底面長W2とを変えた場合における石英透過後の光出力を示す表である。レンズの内側面が基板の板面に垂直な方向に対してなす角の角度θが0°の場合には、石英透過後の光出力は36.6mWであった。角度θが15.3°の場合には、石英透過後の光出力は39.7mWであった。角度θが20.0°の場合には、石英透過後の光出力は41.0mWであった。角度θが24.4°の場合には、石英透過後の光出力は41.4mWであった。角度θが28.6°の場合には、石英透過後の光出力は41.1mWであった。
【0047】
したがって、レンズの内側面が基板の板面に垂直な方向に対してなす角の角度θが15°以上30°以下の場合には、発光装置の光出力は十分に高い。
【0048】
[表1]
上面長 底面長 角度θ 光出力
(mm) (mm) (°) (mW)
2.1 2.1 0 36.6
2.0 2.3 15.3 39.7
1.9 2.3 20.0 41.0
1.9 2.4 24.4 41.4
2.0 2.6 28.6 41.1
【0049】
図10は、上面長W1と底面長W2とを変えた場合の光の放射強度の出射角度依存性を示すグラフである。
図10の横軸は出射角度である。
図10の縦軸は放射強度である。
図10に示すように、レンズの内側面が基板の板面に垂直な方向に対してなす角の角度θが15°以上30°以下の場合には、出射角度が30°より大きい光の成分が内側(前方)に寄っている。つまり、出射角度の大きい光の成分が減少し、出射角度の小さい光の成分が増加している。したがって、発光装置の光出力は向上している。なお、
図10においては、各データは上面長と底面長との組み合わせにより示されている。
【0050】
3.発光素子とレンズとの間の距離と光出力
図11は、発光素子の上面とレンズの天井面との間の距離と出射角度20°以内の光出力との間の関係を示すグラフである。
図11の横軸は発光素子の上面とレンズの天井面との間の距離である。
図11の縦軸は出射角度20°以内の光出力である。このときの内側面と基板の板面に垂直な方向との間の角度θは0°である。
【0051】
図11に示すように、発光素子の上面とレンズの天井面との間の距離が大きくなるにつれて光出力は低下する。また、発光素子の上面とレンズの天井面との間の距離が50μm以上200μm以下の範囲内では、光出力はそれほど変化していない。光出力の観点から、発光素子の上面とレンズの天井面との間の距離は250μm以下であるとよい。好ましくは230nm以下である。
【0052】
4.キャビティの形状
図6から
図8のキャビティの形状および発光素子を製作し、光出力を測定した。上面長は2mmであり、底面長は2.5mmであった。レンズの内側面が基板の板面に垂直な方向に対してなす角の角度θは24.4°であった。
【0053】
表2に示すように、キャビティの形状や発光素子の配置を変更しても、これらの変更の範囲内では、光出力は大きく変化しなかった。つまり、いずれの形状であっても、光出力を向上させることができる。
【0054】
[表2]
形状 光出力(mW)
形状1(
図6) 9.30
形状2(
図7) 9.30
形状3(
図8) 9.30
【0055】
(付記)
第1の態様における発光装置は、基板と、レンズと、基板に実装された発光素子と、基板とレンズとを接着する接着剤層と、を有する。レンズは発光素子を収容する凹部を有する。凹部は内側面を有する。レンズの内側面は基板に近づくにつれて広がっている。レンズの内側面と基板の板面とがなす角の角度が60°以上75°以下である。
【0056】
第2の態様における発光装置においては、凹部は天井面を有する。レンズの天井面と発光素子との間の距離が50μm以上250μm以下である。
【0057】
第3の態様における発光装置においては、接着剤層は、フィレットを有する。フィレットは、基板の表面からレンズの内側面にかけて形成されている。
【0058】
第4の態様における発光装置においては、フィレットは、円環形状に形成されている。
【0059】
第5の態様における発光装置においては、フィレットは、多角形の環状に形成されている。
【符号の説明】
【0060】
100…発光装置
110…基板
120…発光素子
130…レンズ
131…凸面
132…接着面
133…内側面
134…天井面
135…基部
140…接着剤層
150…キャビティ